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特許7380318アシストサーバ、改札システム、アシスト方法、およびアシストプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】アシストサーバ、改札システム、アシスト方法、およびアシストプログラム
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20231108BHJP
   G06Q 50/30 20120101ALI20231108BHJP
【FI】
G07B15/00 C
G07B15/00 H
G07B15/00 K
G06Q50/30
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020030473
(22)【出願日】2020-02-26
(65)【公開番号】P2021135661
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白岩 拓也
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-025767(JP,A)
【文献】特開2008-197777(JP,A)
【文献】特開2019-067210(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 11/00-17/04
G06Q 10/00-10/10,
30/00-30/08,
50/00-50/20,
50/26-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動改札機の改札通路を撮像した撮像画像を取得する撮像画像取得部と、
利用者が前記改札通路の通行時に使用した乗車券媒体の識別コードを前記自動改札機から取得する識別コード取得部と、
前記乗車券媒体の識別コードと、この乗車券媒体を所有する前記利用者を撮像した撮像画像から得られた特徴量を対応付けて記憶する記憶部と、
前記利用者が前記改札通路を通行した時間を基に、前記識別コード取得部が取得した前記乗車券媒体の識別コードを、前記撮像画像取得部が取得した撮像画像に撮像されている前記改札通路を通行した前記利用者に対応づける対応付け部と、
前記対応付け部で、前記乗車券媒体の識別コードを対応付けられなかった、前記改札通路を通行した前記利用者が撮像されている撮像画像を未処理撮像画像として抽出する未処理撮像画像抽出部と、
前記未処理撮像画像に撮像されている、前記改札通路を通行した前記利用者の特徴量を抽出し、この特徴量で前記記憶部を検索して、該当する前記乗車券媒体の識別コードを含む未処理通行情報を生成する未処理通行情報生成部と、を備えたアシストサーバ。
【請求項2】
前記対応付け部で、前記撮像画像取得部が取得した撮像画像に撮像されている前記改札通路を通行した前記利用者に対応付けた前記乗車券媒体の識別コードを、前記記憶部が記憶していなければ、この識別コードと、この利用者について撮像画像から得られた特徴量を対応付けて前記記憶部に記憶させる登録部を備えた、請求項1に記載のアシストサーバ。
【請求項3】
前記特徴量は、前記利用者の顔の特徴量である、請求項1または2に記載のアシストサーバ。
【請求項4】
前記未処理通行情報は、前記改札通路を通行した日時、前記自動改札機の設置駅、および前記改札通路の通行方向を含む情報である、請求項1~3のいずれかに記載のアシストサーバ。
【請求項5】
前記自動改札機は、第1ネットワークを介して接続されている判定用サーバの指示にしたがって、前記改札通路における前記利用者の通行を制御する、請求項1~4のいずれかに記載のアシストサーバ。
【請求項6】
前記撮像画像取得部は、前記自動改札機の前記改札通路を撮像した撮像画像を、前記第1ネットワークとは異なる第2ネットワークを介して取得する、請求項5に記載のアシストサーバ。
【請求項7】
前記識別コード取得部は、前記乗車券媒体の識別コードを、前記第2ネットワークを介して前記自動改札機から取得する、請求項6に記載のアシストサーバ。
【請求項8】
前記未処理通行情報生成部が生成した前記未処理通行情報を前記判定用サーバに出力する出力部を備えた、請求項5~7のいずれかに記載のアシストサーバ。
【請求項9】
請求項8に記載のアシストサーバと
前記判定用サーバと、
前記自動改札機と、を備えた改札システム。
【請求項10】
前記判定用サーバは、
前記アシストサーバから入力された前記未処理通行情報を記憶する未処理通行情報記憶部と、
前記改札通路を通行する前記利用者が使用した前記乗車券媒体の識別コードを含む前記未処理通行情報を前記未処理通行情報記憶部に記憶していれば、この未処理通行情報にかかる処理を前記自動改札機に指示する、請求項9に記載の改札システム。
【請求項11】
自動改札機の改札通路を撮像した撮像画像を撮像画像取得部で取得する撮像画像取得ステップと、
利用者が前記改札通路の通行時に使用した乗車券媒体の識別コードを前記自動改札機から取得する識別コード取得ステップと、
前記利用者が前記改札通路を通行した時間を基に、前記識別コード取得ステップで取得した前記乗車券媒体の識別コードを、前記撮像画像取得ステップで取得した撮像画像に撮像されている前記改札通路を通行した前記利用者に対応づける対応付けステップと、
前記対応付けステップで、前記乗車券媒体の識別コードを対応付けられなかった、前記改札通路を通行した前記利用者が撮像されている撮像画像を未処理撮像画像として抽出する未処理撮像画像抽出ステップと、
前記未処理撮像画像に撮像されている、前記改札通路を通行した前記利用者の特徴量を抽出し、この特徴量で、前記乗車券媒体の識別コードと、この乗車券媒体を所有する前記利用者を撮像した撮像画像から得られた特徴量を対応付けて記憶する記憶部を検索して、該当する前記乗車券媒体の識別コードを含む未処理通行情報を生成する未処理通行情報生成ステップと、をコンピュータが実行するアシスト方法。
【請求項12】
自動改札機の改札通路を撮像した撮像画像を撮像画像取得部で取得する撮像画像取得ステップと、
利用者が前記改札通路の通行時に使用した乗車券媒体の識別コードを前記自動改札機から取得する識別コード取得ステップと、
前記利用者が前記改札通路を通行した時間を基に、前記識別コード取得ステップで取得した前記乗車券媒体の識別コードを、前記撮像画像取得ステップで取得した撮像画像に撮像されている前記改札通路を通行した前記利用者に対応づける対応付けステップと、
前記対応付けステップで、前記乗車券媒体の識別コードを対応付けられなかった、前記改札通路を通行した前記利用者が撮像されている撮像画像を未処理撮像画像として抽出する未処理撮像画像抽出ステップと、
前記未処理撮像画像に撮像されている、前記改札通路を通行した前記利用者の特徴量を抽出し、この特徴量で、前記乗車券媒体の識別コードと、この乗車券媒体を所有する前記利用者を撮像した撮像画像から得られた特徴量を対応付けて記憶する記憶部を検索して、該当する前記乗車券媒体の識別コードを含む未処理通行情報を生成する未処理通行情報生成ステップと、をコンピュータに実行させるアシストプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、駅の改札口に設置されている自動改札機での改札処理にかかる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駅の改札口に設置した自動改札機で、駅構内に入場する利用者や、駅構内から出場する利用者に対する改札処理を行っている。
【0003】
特許文献1には、駅構内に入場する多くの利用者が改札口に集まったときの混雑を緩和する技術が記載されている。この技術では、駅構内に入場する多くの利用者が改札口に集まったとき、改札処理を行わずに(改札処理を停止して)駅構内に入場させる。入場駅で改札処理が行われずに入場した利用者の乗車券媒体(ICカード等)には、入場情報(入場駅、入場日時等)が記録されない。入場駅以外の駅の自動改札機(出場用自動改札機)は、入場情報が記録されていない乗車券媒体を受け付けると、混雑緩和のために改札処理を行わずに利用者を駅構内に入場させた駅を入場駅と推定し、改札処理を行っている。
【0004】
また、最近では、ネットワークを介して複数の自動改札機をサーバに接続し、このサーバで接続されている複数の自動改札機を制御するシンクライアント方式の改札システムが検討されている(例えば、特許文献2参照)。このシンクライアント方式の改札システムは、サーバが、乗車券媒体であるICカードに対する乗車券情報の読み書き(Read/Write)等を自動改札機に指示する。また、このサーバが、運賃計算、改札通路の通行可否の判定等を行い、その結果を自動改札機に通知する。すなわち、自動改札機は、運賃計算、改札通路の通行可否の判定等を行わず、サーバからの指示にしたがって動作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-197777号公報
【文献】特開2019- 46352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、同じ時間帯に、複数の駅で、改札処理を行わずに利用者を駅構内に入場させた場合を想定していない。この場合、出場する利用者の乗車券媒体に入場情報が記録されていないと、出場用自動改札機は入場駅を推定することができない。
【0007】
また、特許文献2に記載されたシンクライアント方式の改札システムは、複数の駅に設置されている自動改札機がサーバに接続されることから、このサーバが障害の発生によりダウンしたときや、このサーバが自動改札機との通信に使用しているネットワークに障害が発生したとき等に、複数の駅で自動改札機(改札処理)が停止する事態になり、利用者の利便性が低下する。
【0008】
この発明の目的は、同じ時間帯に、複数の駅で自動改札機での改札処理が停止した事態が生じても、利用者の利便性を低下させることなく、利用者の利用区間を適正に取得できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のアシストサーバは、上記目的を達成するため以下に示すように構成している。
【0010】
撮像画像取得部が、自動改札機の改札通路を撮像した撮像画像を取得する。識別コード取得部が、利用者が改札通路の通行時に使用した乗車券媒体の識別コードを自動改札機から取得する。撮像画像取得部で取得した自動改札機の改札通路を撮像した撮像画像には、この改札通路を通行した利用者が撮像されている。
【0011】
また、記憶部は、乗車券媒体の識別コードと、この乗車券媒体を所有する利用者を撮像した撮像画像から得られた特徴量を対応付けて記憶する。特徴量は、利用者を撮像した撮像画像から検出できる種類の特徴量であればよく、例えば、利用者の顔の特徴量であってもよいし、虹彩の特徴量等であってもよいし、その他の種類の特徴量であってもよい。
【0012】
対応付け部が、利用者が改札通路を通行した時間を基に、識別コード取得部が取得した乗車券媒体の識別コードを、撮像画像取得部が取得した撮像画像に撮像されている改札通路を通行した利用者に対応づける。未処理撮像画像抽出部が、対応付け部で、乗車券媒体の識別コードを対応付けられなかった、改札通路を通行した利用者が撮像されている撮像画像を未処理撮像画像として抽出する。未処理撮像画像抽出部において抽出される撮像画像は、改札通路を通行した利用者であって、且つ自動改札機から乗車券媒体の識別コードを取得できなかった利用者である。すなわち、処理撮像画像抽出部において抽出される撮像画像には、改札処理を停止していた自動改札機の改札通路を通行した利用者が撮像されている。
【0013】
未処理通行情報生成部が、未処理撮像画像に撮像されている、改札通路を通行した利用者の特徴量を抽出し、この特徴量で記憶部を検索して、該当する乗車券媒体の識別コードを含む未処理通行情報を生成する。この未処理通行情報は、例えば、改札通路を通行した日時、自動改札機の設置駅、および改札通路の通行方向(入場、または出場)を含む情報にすればよい。すなわち、改札処理を停止している自動改札機の改札通路を通行した利用者の通行情報(入場情報、または出場情報)を適正に生成することができる。したがって、同じ時間帯に、複数の駅で自動改札機での改札処理が停止した事態が生じても、利用者の利便性を低下させることなく、利用者の利用区間を適正に取得できる。
【0014】
また、対応付け部で、撮像画像取得部が取得した撮像画像に撮像されている改札通路を通行した利用者に対応付けた乗車券媒体の識別コードを、記憶部が記憶していなければ、この識別コードと、この利用者について撮像画像から得られた特徴量を対応付けて記憶部に記憶させる登録部を備える構成にしてもよい。
【0015】
このように構成すれば、利用者に特別な手続きを行わせることなく、利用者が所有する乗車券媒体の識別コードと、利用者の特徴量とを対応付けて記憶部に記憶させることができる。
【0016】
また、自動改札機は、第1ネットワークを介して接続されている判定用サーバの指示にしたがって、改札通路における利用者の通行を制御する構成にすることで、シンクライアント方式の改札システムを構築できる。
【0017】
この場合、撮像画像取得部は、自動改札機の改札通路を撮像した撮像画像を、第1ネットワークとは異なる第2ネットワークを介して取得する構成にし、第1ネットワークで障害発生しても、自動改札機の改札通路を撮像した撮像画像を取得できる構成するのが好ましい。また、識別コード取得部も、撮像画像取得部と同様に、乗車券媒体の識別コードを、第2ネットワークを介して自動改札機から取得する構成するのが好ましい。
【0018】
また、未処理通行情報生成部が生成した未処理通行情報を判定用サーバに出力する出力部を備えてもよい。このように構成すれば、判定用サーバが、利用者に対して、未処理通行情報に基づく運賃の精算を行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、同じ時間帯に、自動改札機での改札処理が複数の駅で停止した事態が生じても、利用者の利便性を低下させることなく、利用者の利用区間を適正に取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】この例にかかる改札システムの構成を示す概略図である。
図2】アシストサーバの主要部の構成を示すブロック図である。
図3】判定用サーバの主要部の構成を示すブロック図である。
図4】自動改札機の主要部の構成を示すブロック図である。
図5】自動改札機の動作を示すフローチャートである。
図6】アシストサーバの動作を示すフローチャートである。
図7】自動改札機の制御にかかる判定用サーバの動作を示すフローチャートである。
図8】変形例にかかるアシストサーバの主要部の構成を示すブロック図である。
図9】利用者登録処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の実施形態について説明する。
【0022】
<1.適用例>
図1は、この例にかかる改札システムの構成を示す概略図である。この例の改札システムは、シンクライアント方式の改札システムである。この例の改札システムは、アシストサーバ1、判定用サーバ2、複数の自動改札機5、および複数の撮像装置6を備えている。
【0023】
自動改札機5は、複数の駅の改札口に設置されている。図1では、A駅、およびB駅の2つを例示している。判定用サーバ2には、第1ネットワーク3を介して、各駅に設置されている複数の自動改札機5が接続されている。各自動改札機5は、判定用サーバ2からの指示にしたがって動作し、判定用サーバ2からの指示が無ければ動作を停止する。
【0024】
判定用サーバ2は、自動改札機5に対して、乗車券媒体であるICカードに記憶されている乗車券情報の読み取り、このICカードに対する乗車券情報の書き込みを指示する。ICカードには、そのICカードを識別する識別コードと、乗車券情報とが記録されている。識別コードは暗号化されていないが、乗車券情報は暗号化されている。自動改札機5は、暗号化されている乗車券情報を複合化するための複合鍵を記憶していない。したがって、自動改札機5は、ICカードから読み取った乗車券情報を復号化して取得することができない。ただし、自動改札機5は、ICカードの識別コードについては、暗号化されていないので取得できる。
【0025】
判定用サーバ2が、利用者に対する運賃計算等を行い、ICカードに書き込む乗車券情報を暗号化して、自動改札機5に通知する。自動改札機5は、判定用サーバ2から通知された乗車券情報(暗号化された乗車券情報)をICカードに書き込む。また、判定用サーバ2は、改札通路における利用者の通行可否を判定した判定結果を自動改札機5に通知する。自動改札機5は、判定用サーバ2から通知された通行可否の判定結果に応じて、改札通路における利用者の通行を制御する(この利用者にとっての改札通路の出口側に位置する扉の開閉を制御する。)。
【0026】
また、アシストサーバ1には、第2ネットワーク4を介して、各駅に設置されている自動改札機5、および撮像装置6が接続されている。この例では、第1ネットワーク3と、第2ネットワーク4とは異なるネットワークとして説明するが、同じネットワークであってもよい。
【0027】
自動改札機5は、ICカードから読み取った識別コード(この識別コードは、上記したように暗号化されていない。)に、この識別コードの読取日時を対応付けてアシストサーバ1に送信する。また、撮像装置6は、自動改札機5の改札通路を通行している利用者を正面から撮像するアングルで取り付けられている。撮像装置6は、第2ネットワーク4を介して、撮像画像をアシストサーバ1に送信する。自動改札機5は、周知のように、改札通路における利用者の通行方向を1方向(駅構内に入場する方向、または駅構内から出場する方向)に制限して運用しているものもあれば、改札通路における利用者の通行方向を双方向にして運用しているものもある。改札通路における利用者の通行方向が双方向である自動改札機5については、利用者の通行方向毎に、撮像装置6(2つの撮像装置6)を割り当てればよい。
【0028】
なお、撮像装置6は、自動改札機5本体に取り付けたり、内蔵したりしてもよいし、改札口の天井等に取り付けてもよい。また、撮像装置6を改札口の天井等に取り付ける場合、撮像装置6を複数の自動改札機5の改札通路をカバーするアングルで取り付けてもよい。
【0029】
この例の改札システムは、判定用サーバ2が発生した障害によってダウンしたり、第1ネットワーク3に障害が発生して判定用サーバ2と自動改札機5との間の通信が途切れたりしたときに、自動改札機5の動作が停止し、利用者に対して改札処理を行えない事態になる。この例の改札システムは、自動改札機5の動作が停止すると、利用者の利便性を低下させないため、利用者に対して改札処理を行うことなく、改札通路の通行を許可する。
【0030】
一方で、この例の改札システムでは、アシストサーバ1が、自動改札機5の動作が停止しているときに、改札通路を通行した利用者(すなわち、改札処理が行われることなく、改札通路を通行した利用者)の通行情報を未処理通行情報として生成する。アシストサーバ1は、撮像装置6によって撮像された改札通路の撮像画像を処理することにより、自動改札機5の動作が停止しているときに、改札通路を通行した利用者の顔画像を取得する。アシストサーバ1は、取得した顔画像を用いた認証処理により、自動改札機5の動作が停止しているときに、改札通路を通行した利用者と、この利用者が所有しているICカードの識別コードを対応づけた未処理通行情報を生成する。
【0031】
このアシストサーバ1が生成した未処理通行情報によって、自動改札機5の動作が停止しているときに、改札処理を行うことなく、改札通路を通行させた利用者の利用区間を適正に取得できる。
【0032】
なお、アシストサーバ1と、判定用サーバ2とは、データ通信が行えるように接続されている。アシストサーバ1と、判定用サーバ2とは、有線で直接接続されていてもよいし、ネットワークを介して接続されていてもよい。
【0033】
<2.構成例>
図2は、アシストサーバの主要部の構成を示すブロック図である。アシストサーバ1は、制御ユニット11と、第1通信ユニット12と、第2通信ユニット13と、利用者データベース14(利用者DB14)と、未処理通行情報記憶部15と、入出力部16とを備えている。
【0034】
制御ユニット11は、アシストサーバ1本体各部の動作を制御する。また、制御ユニット11は、利用者抽出部11a、対応付け部11b、未処理撮像画像抽出部11c、および顔認証部11dを有している。制御ユニット11が有する、利用者抽出部11a、対応付け部11b、未処理撮像画像抽出部11c、および顔認証部11dについては後述する。
【0035】
第1通信ユニット12は、自動改札機5との間における通信を制御する。第2通信ユニット13は、撮像装置6との間における通信を制御する。第1通信ユニット12が、この発明で言う識別コード取得部に相当し、第2通信ユニット13が、この発明で言う撮像画像取得部に相当する。第1通信ユニット12、および第2通信ユニット13は、1つの通信ユニットで構成してもよい。
【0036】
利用者DB14は、利用者毎に、その利用者が所有するICカードの識別コードと、その利用者の顔が撮像された撮像画像を処理して抽出した顔の特徴量とを対応付けたレコードが登録されたデータベースである。利用者DB14が、この発明で言う記憶部に相当する。未処理通行情報記憶部15は、後述する処理で作成された未処理通行情報を記憶する。入出力部16は、判定用サーバ2との間でデータの入出力を行う。
【0037】
次に、制御ユニット11が有する、利用者抽出部11a、対応付け部11b、未処理撮像画像抽出部11c、および顔認証部11dについては説明する。
【0038】
利用者抽出部11aは、撮像装置6の撮像画像を処理し、改札通路を通行した利用者の顔が撮像されているフレーム画像を抽出する。また、利用者抽出部11aは、抽出したフレーム画像毎に、このフレーム画像の撮像日時(利用者が改札通路を通行した日時)、通行方向(駅構内への入場、または駅構内からの出場)、自動改札機5の設置駅(利用者が改札通路を通行した駅)を対応づける。
【0039】
対応付け部11bは、利用者抽出部11aが抽出した利用者の顔が撮像されているフレーム画像毎に、自動改札機5から送信されてきたICカードの識別コードを対応づける。対応付け部11bは、自動改札機5がICカードから識別コードを読み取った日時と、利用者抽出部11aが抽出した利用者の顔が撮像されているフレーム画像に対応付けた撮像日時を基にして、フレーム画像とICカードの識別コードの対応づけを行う。ただし、自動改札機5がICカードから識別コードを読み取った日時と、利用者抽出部11aが抽出した利用者の顔が撮像されているフレーム画像に対応付けた撮像日時との間には、数秒程度(例えば、最大で3秒程度)のずれが生じている。このため、対応付け部11bは、短時間の間に連続して利用者が改札通路を通行しているときには、自動改札機5がICカードから識別コードを読み取った順番と、利用者の顔が撮像されているフレーム画像が撮像された順番を加味して、この対応付けを行う。
【0040】
アシストサーバ1は、自動改札機5が動作を停止しているときに改札通路を通行した利用者については、自動改札機5からICカードの識別コードを第1通信ユニット12で取得していない。したがって、対応付け部11bは、自動改札機5が動作を停止しているときに改札通路を通行した利用者の顔が撮像されているフレーム画像に、ICカードの識別コードを対応付けることができない。言い換えれば、対応付け部11bは、自動改札機5が動作しているときに改札通路を通行した利用者の顔が撮像されているフレーム画像に、ICカードの識別コードを対応付けることができる。
【0041】
未処理撮像画像抽出部11cは、対応付け部11bでICカードの識別コードが対応付けられなかった利用者の顔が撮像されているフレーム画像を抽出する。すなわち、未処理撮像画像抽出部11cは、自動改札機5が動作を停止しているときに改札通路を通行した利用者の顔が撮像されているフレーム画像を抽出する。
【0042】
顔認証部11dは、未処理撮像画像抽出部11c抽出したフレーム画像に撮像されている利用者の顔の特徴量を抽出し、この特徴量を利用者DB14に登録されている利用者の顔の特徴量と照合する顔認証処理を行う。顔認証部11dは、この顔認証処理で、未処理撮像画像抽出部11c抽出したフレーム画像に撮像されている利用者が所有するICカードの識別コードを取得する。顔認証部11dは、未処理撮像画像抽出部11c抽出したフレーム画像に撮像されている利用者について、ICカードの識別コード、改札通路の通行日時、利用者が改札通路を通行した駅(自動改札機5の設置駅)、および改札通路における利用者の通行方向(駅構内への入場、または駅構内からの出場)を対応付けた未処理通行情報を生成する。顔認証部11dが、この発明で言う未処理通行情報生成部に相当する。
【0043】
アシストサーバ1の制御ユニット11は、ハードウェアCPU、メモリ、その他の電子回路によって構成されている。ハードウェアCPUが、この発明にかかるアシストプログラムを実行したときに、利用者抽出部11a、対応付け部11b、未処理撮像画像抽出部11c、および顔認証部11dとして動作する。また、メモリは、この発明にかかるアシストプログラムを展開する領域や、このアシストプログラムの実行時に生じたデータ等を一時記憶する領域を有している。制御ユニット11は、ハードウェアCPU、メモリ等を一体化したLSIであってもよい。また、ハードウェアCPUが、この発明にかかるアシスト方法を実行するコンピュータである。
【0044】
図3は、判定用サーバの主要部の構成を示すブロック図である。判定用サーバ2は、制御ユニット21と、通信ユニット22と、入出力部23と、未処理通行情報記憶部24と、を備えている。
【0045】
制御ユニット21は、判定用サーバ2本体各部の動作を制御する。また、制御ユニット21は、運賃算出部21a、未処理判定部21b、および処理結果生成部21cを有している。運賃算出部21a、未処理判定部21b、および処理結果生成部21cについては後述する。
【0046】
通信ユニット22は、自動改札機5との間における通信を制御する。入出力部23は、アシストサーバ1との間でデータの入出力を行う。未処理通行情報記憶部24は、アシストサーバ1から通知された未処理通行情報を記憶する。
【0047】
制御ユニット21が有する運賃算出部21a、未処理判定部21b、および処理結果生成部21cについて説明する。
【0048】
運賃算出部21aは、利用者の鉄道の利用区間に対する運賃の算出を行う。未処理判定部21bは、自動改札機5から通知されたICカードの識別コードが、未処理通行情報記憶部24に登録されているかどうかを判定する。処理結果生成部21cは、自動改札機5に対して、ICカードに記録する乗車券情報を生成する。
【0049】
判定用サーバ2の制御ユニット21は、ハードウェアCPU、メモリ、その他の電子回路によって構成されている。ハードウェアCPUが、予めインストールされている改札処理プログラムを実行したときに、運賃算出部21a、未処理判定部21b、および処理結果生成部21cとして動作する。また、メモリは、改札処理プログラムを展開する領域や、この改札処理プログラムの実行時に生じたデータ等を一時記憶する領域を有している。制御ユニット21は、ハードウェアCPU、メモリ等を一体化したLSIであってもよい。
【0050】
図4は、自動改札機の主要部の構成を示すブロック図である。自動改札機5は、制御部51と、ICカードR/W52と、利用者検知部53と、表示部54と、扉開閉部55と、第1通信部56と、第2通信部57とを備えている。
【0051】
制御部51は、自動改札機5本体各部の動作を制御する。自動改札機5の制御部51は、ハードウェアCPU、メモリ、その他の電子回路によって構成されている。この制御部51は、ハードウェアCPU、メモリ等を一体化したLSIであってもよい。
【0052】
ICカードR/W52は、乗車券媒体であるICカードに対する乗車券情報の読み取り、書き込みを行う。ICカードR/W52は、無線通信エリアがアンテナから数cmの範囲であり、利用者が無線通信エリア内に翳したICカードとの無線通信により、ICカードに対する乗車券情報の読み取り、書き込みを行う。自動改札機5は、無線通信エリアが改札通路の入口付近になるようにアンテナを設けている。乗車券として使用されるICカードについては、周知であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0053】
利用者検知部53は、改札通路における利用者の通行方向に沿って並べた複数のセンサにより、改札通路を通行している利用者の位置を検知する。表示部54は、改札通路に進入した利用者に対するメッセージを表示器に表示する。扉開閉部55は、利用者に対して改札通路の通行を許可しない場合、当該利用者の出口側に位置する扉を閉する。扉開閉部55は、利用者に対して改札通路の通行を許可する場合、当該利用者の出口側に位置する扉を開する。
【0054】
第1通信部56は、判定用サーバ2との間における通信を制御する。第2通信部57は、アシストサーバ1との間における通信を制御する。
【0055】
また、撮像装置6は、改札通路の撮像画像(動画像)に、撮像時刻を示すタイムスタンプを付して、アシストサーバ1に送信するビデオカメラである。撮像装置6のフレームレートは、数十フレーム/秒(例えば、10~30フレーム/秒)である。撮像装置6は、カラー画像を撮像するものであってもよいし、モノクロ画像を撮像するものであってもよい。
【0056】
<3.動作例>
以下、この発明の改札システムの動作について説明する。図5は、自動改札機の動作を示すフローチャートである。自動改札機5は、判定用サーバ2からの指示にしたがって動作する。このため、自動改札機5は、判定用サーバ2からの指示が途切れると、動作を停止する。自動改札機5は、例えば、判定用サーバ2が発生した障害によってダウンしたとき、第1ネットワーク3に障害が発生し、判定用サーバ2との通信が途切れたときに動作を停止する。
【0057】
なお、図5を参照して説明する自動改札機5の動作は、判定用サーバ2からの指示が途切れていないときの動作である。
【0058】
自動改札機5は、判定用サーバ2からの指示にしたがって、ICカードR/W52が一定時間間隔で繰り返しポーリングを行っている。自動改札機5は、ICカードR/W52が無線通信エリア内に翳されたICカードに記憶されている乗車券情報を読み取ると、今回読み取った乗車券情報を含む通行判定用情報を判定用サーバ2に送信する(s1、s2)。s2では、今回読み取った乗車券情報に、この乗車券情報を読み取った日時、自機(自動改札機5)を識別する号機番号、自機の設置駅、利用者の通行方向(駅構内への入場、または駅構内からの出場)等を加えた判定用情報を判定用サーバ2に送信する。第1通信部56が、この判定用サーバ2との通信を行う。
【0059】
なお、ICカードから読み取った乗車券情報には、このICカードを識別する識別コード、前回の利用履歴(前回、どの駅で、入場、または出場したかを示す情報)、保有している価値残高、定期券利用区間、定期券有効期限等の情報が含まれている。また、識別コード以外の情報は、暗号化されている。識別コードは、暗号化されていない。
【0060】
自動改札機5は、今回乗車券情報を読み取ったICカードの識別コードを含む使用情報をアシストサーバ1に送信する(s3)。この使用情報には、ICカードの識別コード、今回乗車券情報を読み取った日時、自機(自動改札機5)を識別する号機番号、自機の設置駅、および利用者の通行方向(駅構内への入場、または駅構内からの出場)が含まれている。第2通信部57が、このアシストサーバ1との通信を行う。
【0061】
s2、s3にかかる処理の順番は、上記と反対であってもよい(s2よりも、s3を先に実行してもよい。)。
【0062】
自動改札機5は、判定用サーバ2から処理結果を受信するのを待つ(s4)。判定用サーバ2の処理については、後述する。判定用サーバ2は、改札通路における利用者の通行可否、およびICカードに書き込む情報(今回の利用日時、利用駅、入出場の種別、価値残高等)を処理結果として自動改札機5に送信する。ICカードに書き込む情報は、判定用サーバ2において暗号化されている。
【0063】
自動改札機5は、判定用サーバ2から受信した処理結果が、改札通路における利用者の通行を許可するものであると、今回判定用サーバ2から受信したICカードに書き込む情報をICカードに書き込むとともに、利用者にとっての改札通路の出口側に位置する扉を開する(s5~s7)。s6にかかる処理は、ICカードR/W52によって行われる。s7にかかる処理は、扉開閉部55によって行われる。
【0064】
また、自動改札機5は、判定用サーバ2から受信した処理結果が、改札通路における利用者の通行を許可しないものであると、利用者にとっての改札通路の出口側に位置する扉を閉する(s5、s8)。s8にかかる処理は、扉開閉部55によって行われる。
【0065】
また、この例の自動改札機5は、判定用サーバ2からの指示が途絶えると、扉を開した状態で停止する。この場合、利用者は、自動改札機5で改札処理が行われないが、改札通路を通行することができる。すなわち、判定用サーバ2が発生した障害によってダウンしたときや、第1ネットワーク3に障害が発生し、自動改札機5と判定用サーバ2との通信が途切れたときにも、利用者は改札通路を通行することができる。
【0066】
なお、図5に示す処理は、改札通路を通行する1人の利用者に対する処理であり、自動改札機5は、図5に示す処理を並行して行える(先に改札通路に進入した利用者が改札通路内にいるときにも、後続する利用者に対して図5に示す処理を行える。)。
【0067】
次に、アシストサーバ1の動作について説明する。図6は、アシストサーバの動作を示すフローチャートである。
【0068】
アシストサーバ1は、常時、第1通信ユニット12で、自動改札機5から送信されてきた使用情報を受信すると、この使用情報を使用情報記憶部(不図示)に記憶している。アシストサーバ1は、自動改札機5毎に分類して(すなわち改札通路毎に分類して、)、使用情報を使用情報記憶部に記憶する。また、アシストサーバ1は、利用者の通行方向が双方向である改札通路については、利用者の通行方向で分類して使用情報を使用情報記憶部に記憶する。
【0069】
また、アシストサーバ1は、常時、第2通信ユニット13で受信した、撮像装置6から送信されてきた改札通路の撮像画像を撮像画像記憶部(不図示)に記憶している。アシストサーバ1は、撮像装置6毎に分類して、撮像画像を撮像画像記憶部に記憶する。
【0070】
アシストサーバ1は、予め設定されているタイミングになると、図6に示す処理を実行する。このタイミングは、例えば、毎正時等のタイミングにしてもよいし、毎日鉄道の運行を停止している時刻(終電から始発までの時刻)にしてもよい。
【0071】
アシストサーバ1は、利用者抽出部11aが処理対象の改札通路を選択する(s11)。利用者抽出部11aは、利用者の通行方向が双方向である改札通路については、s11で利用者の通行方向も選択する。利用者抽出部11aは、s11で選択した改札通路を撮像している撮像装置6の撮像画像を処理し、この改札通路を通行した利用者の顔が撮像されているフレーム画像を抽出する(s12)。s12では、フレーム画像と、そのフレーム画像の撮像日時とを対応付けて抽出する。
【0072】
対応付け部11bが、s12で抽出したフレーム画像に、ICカードの識別コードを対応付ける対応付け処理を行う(s13)。s13では、s11で選択した改札通路に対応する自動改札機5から送信されてきた使用情報に含まれているICカードの識別コードを、s12で抽出したフレーム画像に対応付ける。s13では、使用情報に含まれる自動改札機5がICカードから識別コードを読み取った日時と、利用者抽出部11aがs12で抽出した利用者の顔が撮像されているフレーム画像の撮像日時を基にして、フレーム画像とICカードの識別コードの対応づけを行う。
【0073】
ただし、自動改札機5がICカードから識別コードを読み取った日時と、利用者抽出部11aが抽出した利用者の顔が撮像されているフレーム画像の撮像日時との間には、数秒程度(例えば、最大で3秒程度)のずれが生じていることがある。このため、対応付け部11bは、短時間の間に連続して利用者が改札通路を通行しているときには、自動改札機5がICカードから識別コードを読み取った順番と、利用者の顔が撮像されているフレーム画像が撮像された順番を加味して、この対応付けを行う。
【0074】
未処理撮像画像抽出部11cは、s12で抽出した利用者の顔が撮像されているフレーム画像であって、s13でICカードの識別コードが対応付けられなかったフレーム画像を、未処理撮像画像として抽出する(s14)。
【0075】
顔認証部11dが、s14で抽出された未処理撮像画像毎に、撮像されている利用者を特定する顔認証処理を行う(s15)。s15では、未処理撮像画像に撮像されている利用者の顔の特徴量を抽出し、抽出した顔の特徴量を、利用者DB14に登録されている利用者の顔の特徴量に照合して利用者を特定する。顔認証部11dは、s15の顔認証処理で利用者を特定すると、未処理通行情報を生成し、未処理通行情報記憶部15に記憶する(s16)。この未処理通行情報には、ICカードの識別コード、改札通路の通行日時、利用者が改札通路を通行した駅(自動改札機5の設置駅)、および改札通路における利用者の通行方向(駅構内への入場、または駅構内からの出場)が含まれている。
【0076】
アシストサーバ1は、未処理の改札通路の有無を判定し(s17)、未処理の改札通路があればs11に戻る。アシストサーバ1は、未処理の改札通路が無ければ、本処理を終了する。
【0077】
アシストサーバ1は、上記の処理で生成し、未処理通行情報記憶部15に記憶した未処理通行情報を適当なタイミングで判定用サーバ2に出力する。また、アシストサーバ1は、判定用サーバ2に出力した未処理通行情報を未処理通行情報記憶部15から消去する。アシストサーバ1が、未処理通行情報を判定用サーバ2に出力するタイミングは、例えばs17で未処理の改札通路が無いと判定したタイミングにしてもよいし、判定用サーバ2から未処理通行情報の通知要求を受信したタイミングにしてもよいし、その他のタイミングにしてもよい。
【0078】
図7は、自動改札機の制御にかかる判定用サーバの動作を示すフローチャートである。判定用サーバ2は、アシストサーバ1から未処理通行情報が入出力部23に入力されると、入力された未処理通行情報を未処理通行情報記憶部24に記憶する。
【0079】
判定用サーバ2は、通信ユニット22において、自動改札機5から送信されてきた判定用情報を受信するのを待つ(s21)。判定用サーバ2は、自動改札機5から送信されてきた判定用情報を受信すると、未処理判定部21bが今回の受信した判定用情報に含まれているICカードの識別コードで未処理通行情報記憶部24に記憶されている未処理通行情報を検索し、該当する未処理通行情報の有無を判定する(s22)。
【0080】
未処理判定部21bは、今回の受信した判定用情報に含まれているICカードの識別コードを含む未処理通行情報が未処理通行情報記憶部24に記憶されていれば、その未処理通行情報を読み出す(s23)。s23で読み出される未処理通行情報は、1つであるとは限らない。
【0081】
なお、未処理判定部21bは、今回の受信した判定用情報に含まれているICカードの識別コードを含む未処理通行情報が未処理通行情報記憶部24に記憶されていなければ、s23にかかる処理を行わない。
【0082】
運賃算出部21aが、今回の処理で運賃を算出する運賃計算が必要であるかどうかを判定する(s24)。s24は、利用者に対して、精算すべき運賃が発生しているかどうかを判定する処理である。また、s24では、未処理判定部21bがs23で未処理通行情報を読み出していれば、それらの未処理通行情報も含めて運賃計算の要否を判定する。
【0083】
運賃算出部21aは、s24で運賃計算が必要であると判定すると、運賃計算を行う(s25)。s25では、未処理判定部21bがs23で未処理通行情報を読み出していれば、複数の利用区間について運賃を計算することがある。運賃算出部21aは、s24で運賃計算が必要でないと判定すると、s25にかかる処理を行わない。
【0084】
処理結果生成部21cが、s21で受信した判定用情報、およびs25で算出された運賃の金額等を用いて、利用者が改札通路を通行するのを許可するかどうかを判定する(s26)。処理結果生成部21cは、利用者が改札通路を通行するのを許可すると判定すると、その利用者のICカードに書き込む乗車券情報を生成する(s27)。s27では、生成した乗車券情報を暗号化する処理も行う。処理結果生成部21cは、利用者が改札通路を通行するのを許可しないと判定すると、s27にかかる処理を行わない。
【0085】
判定用サーバ2は、今回判定用情報を送信してきた自動改札機5に対して、処理結果生成部21cにより生成された処理結果を送信し(s28)、本処理を終了する。s28では、通行可否だけでなく、s27で生成された暗号化された乗車券情報が含まれている。
【0086】
なお、図7に示す処理は、改札通路を通行する1人の利用者について送信されてきた判定用情報に対する処理であり、判定用サーバ2は、図7に示す処理を並行して行える。また、判定用サーバ2は、未処理通行情報記憶部24に記憶している未処理通行情報であって、自動改札機5で利用者のICカードに書き込まれた未処理通行情報を未処理通行情報記憶部24から削除する。
【0087】
このように、この例にかかる改札システムは、判定用サーバ2が発生した障害によってダウンしたり、第1ネットワーク3に障害が発生して判定用サーバ2と自動改札機5との間の通信が途切れたりして、自動改札機5の動作が停止すると、利用者に対して改札処理を行うことなく、改札通路の通行を許可するので、利用者の利便性を低下させない。
【0088】
また、アシストサーバ1が、改札処理を行うことなく、改札通路の通行させた利用者については未処理通行情報を生成するので、改札処理を行うことなく、改札通路を通行させた利用者の利用区間を適正に取得できる。
【0089】
さらに、改札システムが復旧すると、改札処理を行うことなく、改札通路の通行させた利用者については、判定用サーバ2が未処理通行情報を用いて自動改札機5に改札処理を行わせるので、利用者に対する改札処理が不適正になるのを防止できる。
【0090】
なお、上記の例では、撮像装置6は、第2ネットワーク4を介してアシストサーバ1に接続されているとしたが、撮像装置6は、アシストサーバ1に接続されていなくてもよい。例えば、撮像装置6で撮像した改札通路の撮像画像を、ハードディスク等の記録媒体に記録し、この記録媒体をアシストサーバ1に接続してもよい。
【0091】
<4.変形例>
図8は、変形例にかかるアシストサーバの主要部の構成を示す図である。この変形にかかるアシストサーバ1Aは、制御ユニット11が、登録部11eを有している点で上記の例と異なる。図8では、図2と同様の構成については、同じ符号を付している。
【0092】
登録部11eは、利用者DB14に対して、利用者が所有するICカードの識別コードと、その利用者の顔の特徴量とを対応付けて登録する利用者登録処理を行う。
【0093】
なお、この変形例のアシストサーバ1Aも、図6に示した処理を実行する。したがって、上記した改札システムのアシストサーバ1を、この変形例のアシストサーバ1Aに置き換えても、上記した改札システムと同様に動作する。
【0094】
この変形例にかかるアシストサーバ1Aは、利用者登録処理を実行する点で上記の例と相違する。図9は、利用者登録処理を示すフローチャートである。登録部11eは、上記したs13で実行された対応付け処理で、利用者の撮像画像に対応付けられたICカードの識別コードを抽出する(s31)。s31で、s14で抽出されなかった撮像画像に対応付けられたICカードの識別コードを抽出している。
【0095】
登録部11eは、s31で抽出したICカードの識別コードに対して、処理対象のICカードの識別コードを選択する(s32)。登録部11eは、s32で選択した処理対象のICカードの識別コードが利用者DB14に登録されているかどうかを判定する(s33)。登録部11eが、s33で処理対象のICカードの識別コードが未登録であると判定すると、顔認証部11dがこの識別コードが対応付けられた撮像画像を処理し、撮像されている利用者の顔の特徴量を抽出する(s34)。登録部11eは、s32で選択した処理対象のICカードの識別コードと、s34で顔認証部11dが抽出した利用者の顔の特徴量とを対応付けて、利用者DB14に登録する(s35)。
【0096】
登録部11eは、s33で登録済みと判定した場合、またはs35にかかる処理を終了すると、未処理のICカードの識別コードの有無を判定する(s36)。登録部11eは、未処理のICカードの識別コードがあると判定すると、s32に戻って、上記処理を繰り返す。また、登録部11eは、未処理のICカードの識別コードが無いと判定すると、本処理を終了する。
【0097】
この変形例のアシストサーバ1Aは、上記した利用者登録処理を行うので、利用者に特別な手続きを行わせることなく、利用者が所有するICカードの識別コードと、利用者の特徴量とを対応付けて利用者DB14に記憶させることができる。
【0098】
なお、この発明は、上記したシンクライアント方式の改札システムに限らず、自動改札機5側で運賃計算等を行う改札システムにも適用できる。この場合、自動改札機5が、未処理通行情報記憶部24を備えればよい。
【0099】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【0100】
さらに、この発明に係る構成と上述した実施形態に係る構成との対応関係は、以下の付記のように記載できる。
<付記>
自動改札機(5)の改札通路を撮像した撮像画像を取得する撮像画像取得部(13)と、
利用者が前記改札通路の通行時に使用した乗車券媒体の識別コードを前記自動改札機(5)から取得する識別コード取得部(12)と、
前記乗車券媒体の識別コードと、この乗車券媒体を所有する前記利用者を撮像した撮像画像から得られた特徴量を対応付けて記憶する記憶部(14)と、
前記利用者が前記改札通路を通行した時間を基に、前記識別コード取得部(12)が取得した前記乗車券媒体の識別コードを、前記撮像画像取得部(13)が取得した撮像画像に撮像されている前記改札通路を通行した前記利用者に対応づける対応付け部(11b)と、
前記対応付け部で、前記乗車券媒体の識別コードを対応付けられなかった、前記改札通路を通行した前記利用者が撮像されている撮像画像を未処理撮像画像として抽出する未処理撮像画像抽出部(11c)と、
前記未処理撮像画像に撮像されている、前記改札通路を通行した前記利用者の特徴量を抽出し、この特徴量で前記記憶部を検索して、該当する前記乗車券媒体の識別コードを含む未処理通行情報を生成する未処理通行情報生成部(11d)と、を備えたアシストサーバ(1)。
【符号の説明】
【0101】
1、1A…アシストサーバ
2…判定用サーバ
3…第1ネットワーク
4…第2ネットワーク
5…自動改札機
6…撮像装置
11…制御ユニット
11a…利用者抽出部
11c…未処理撮像画像抽出部
11d…顔認証部
11e…登録部
12…第1通信ユニット
13…第2通信ユニット
14…利用者データベース(利用者DB)
15…未処理通行情報記憶部
16…入出力部
21…制御ユニット
21a…運賃算出部
21b…未処理判定部
21c…処理結果生成部
22…通信ユニット
23…入出力部
24…未処理通行情報記憶部
51…制御部
53…利用者検知部
54…表示部
55…扉開閉部
56…第1通信部
57…第2通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9