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特許7380323動き検出デバイス及び動き検出デバイスの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】動き検出デバイス及び動き検出デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/02 20060101AFI20231108BHJP
   G01L 1/16 20060101ALI20231108BHJP
   H10N 30/06 20230101ALI20231108BHJP
   H10N 30/074 20230101ALI20231108BHJP
   H10N 30/30 20230101ALI20231108BHJP
   H10N 30/80 20230101ALI20231108BHJP
   H10N 30/857 20230101ALI20231108BHJP
   H10N 30/87 20230101ALI20231108BHJP
【FI】
A61B5/02 310M
G01L1/16 B
H10N30/06
H10N30/074
H10N30/30
H10N30/80
H10N30/857
H10N30/87
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020031585
(22)【出願日】2020-02-27
(65)【公開番号】P2021132865
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】福田 昌士
(72)【発明者】
【氏名】大村 皇治
【審査官】田辺 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-012270(JP,A)
【文献】国際公開第2018/168143(WO,A1)
【文献】特表2007-515073(JP,A)
【文献】特開2013-046086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B5/00-5/03、5/06-5/22、9/00-10/06
G01L5/00-5/28
H01L27/20、41/00-41/47
H10N30/00-39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基板と、
前記ベース基板上に設けられた下部電極と、
前記下部電極上に設けられた第1圧電素子と、
前記下部電極上に設けられた第2圧電素子と、
前記第1圧電素子上に設けられた第1上部電極と、
前記第2圧電素子上に設けられた第2上部電極と、
前記下部電極の電位を基準とする前記第1上部電極の電圧である第1電圧と、前記下部電極の電位を基準とする前記第2上部電極の電圧である第2電圧との差分電圧を出力する電圧出力部と、
を有し、
前記第1圧電素子に前記第1上部電極側から圧力が加えられた場合に、前記第1圧電素子は第1極性の前記第1電圧を発生し、
前記第2圧電素子に前記第2上部電極側から圧力が加えられた場合に、前記第2圧電素子は前記第1極性と反対の第2極性の前記第2電圧を発生し、
前記第1上部電極は、外周が前記第1圧電素子の外周の内側になる領域に設けられており、
前記第2上部電極は、外周が前記第2圧電素子の外周の内側になる領域に設けられている、
動き検出デバイス。
【請求項2】
前記第1圧電素子と前記第2圧電素子との間に設けられた絶縁体をさらに有する、
請求項1に記載の動き検出デバイス。
【請求項3】
長方形の複数の前記第1圧電素子及び複数の前記第2圧電素子を有し、
前記複数の第1圧電素子のうちの少なくとも1つの前記第1圧電素子の四辺それぞれの隣に前記第2圧電素子が設けられており、
前記複数の第2圧電素子のうちの少なくとも1つの前記第2圧電素子の四辺それぞれの隣に前記第1圧電素子が設けられている、
請求項1又は2に記載の動き検出デバイス。
【請求項4】
前記複数の第1圧電素子上に設けられた複数の前記第1上部電極が同電位になるように、前記複数の第1上部電極それぞれが他の少なくとも1つの前記第1上部電極と結合しており、
前記複数の第2圧電素子上に設けられた複数の前記第2上部電極が同電位になるように、前記複数の第2上部電極それぞれが他の少なくとも1つの前記第2上部電極と結合している、
請求項に記載の動き検出デバイス。
【請求項5】
ベース基板を準備する工程と、
前記ベース基板上に下部電極を設ける工程と、
前記下部電極上に第1圧電素子を設ける工程と、
前記下部電極上に第2圧電素子を設ける工程と、
前記第1圧電素子上に第1上部電極を設ける工程と、
前記第2圧電素子上に第2上部電極を設ける工程と、
前記第1圧電素子に前記第1上部電極側から圧力が加えられた場合に、前記第1圧電素子が、前記下部電極の電位を基準として第1極性の第1電圧を発生するように前記第1圧電素子をポーリングする工程と、
前記第2圧電素子に前記第2上部電極側から圧力が加えられた場合に、前記第2圧電素子が、前記下部電極の電位を基準として前記第1極性と反対の第2極性の第2電圧を発生するように前記第2圧電素子をポーリングする工程と、
を有し、
前記第1圧電素子上に第1上部電極を設ける工程において、前記第1上部電極の外周が前記第1圧電素子の外周の内側になる領域に前記第1上部電極を設け、
前記第2圧電素子上に第2上部電極を設ける工程において、前記第2上部電極の外周が前記第2圧電素子の外周の内側になる領域に前記第2上部電極を設ける、動き検出デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動きを検出する対象物の動きを検出する動き検出デバイス、及び動き検出デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧電素子を用いて生体情報を測定する装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-183177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
圧電素子は電荷出力型の受動素子であるため、圧電素子を皮膚に密着させた場合に、容量結合によるノイズの影響を受けやすく、測定結果に誤差が生じやすいという問題が生じていた。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、圧電素子で物体の動きを測定する場合の測定精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る動き検出デバイスは、ベース基板と、前記ベース基板上に設けられた下部電極と、前記下部電極上に設けられた第1圧電素子と、前記下部電極上に設けられた第2圧電素子と、前記第1圧電素子上に設けられた第1上部電極と、前記第2圧電素子上に設けられた第2上部電極と、前記下部電極の電位を基準とする前記第1上部電極の電圧である第1電圧と、前記下部電極の電位を基準とする前記第2上部電極の電圧である第2電圧との差分電圧を出力する電圧出力部と、を有し、前記第1圧電素子に前記第1上部電極側から圧力が加えられた場合に、前記第1圧電素子は第1極性の前記第1電圧を発生し、前記第2圧電素子に前記第2上部電極側から圧力が加えられた場合に、前記第2圧電素子は前記第1極性と反対の第2極性の前記第2電圧を発生する。
【0007】
前記動き検出デバイスは、前記第1圧電素子と前記第2圧電素子との間に設けられた絶縁体をさらに有してもよい。
【0008】
前記第1上部電極は、外周が前記第1圧電素子の外周の内側になる領域に設けられており、前記第2上部電極は、外周が前記第2圧電素子の外周の内側になる領域に設けられていてもよい。
【0009】
前記動き検出デバイスは、長方形の複数の前記第1圧電素子及び複数の前記第2圧電素子を有し、前記複数の第1圧電素子のうちの少なくとも1つの前記第1圧電素子の四辺それぞれの隣に前記第2圧電素子が設けられており、前記複数の第2圧電素子のうちの少なくとも1つの前記第2圧電素子の四辺それぞれの隣に前記第1圧電素子が設けられていてもよい。
【0010】
前記動き検出デバイスにおいては、前記複数の第1圧電素子上に設けられた複数の前記第1上部電極が同電位になるように、前記複数の第1上部電極それぞれが他の少なくとも1つの前記第1上部電極と結合しており、前記複数の第2圧電素子上に設けられた複数の前記第2上部電極が同電位になるように、前記複数の第2上部電極それぞれが他の少なくとも1つの前記第2上部電極と結合していてもよい。
【0011】
本発明の第2の態様に係る動き検出デバイスの製造方法は、ベース基板を準備する工程と、前記ベース基板上に下部電極を設ける工程と、前記下部電極上に第1圧電素子を設ける工程と、前記下部電極上に第2圧電素子を設ける工程と、前記第1圧電素子上に第1上部電極を設ける工程と、前記第2圧電素子上に第2上部電極を設ける工程と、前記第1圧電素子に前記第1上部電極側から圧力が加えられた場合に、前記第1圧電素子が、前記下部電極の電位を基準として第1極性の第1電圧を発生するように前記第1圧電素子をポーリングする工程と、前記第2圧電素子に前記第2上部電極側から圧力が加えられた場合に、前記第2圧電素子が、前記下部電極の電位を基準として前記第1極性と反対の第2極性の第2電圧を発生するように前記第2圧電素子をポーリングする工程と、を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、圧電素子で物体の動きを測定する場合の測定精度が向上するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係る動き検出デバイスの構成を示す図である。
図2】複数の動き検出デバイスを組み合わせて構成された動き検出デバイス100の構成を示す図である。
図3】複数の第1上部電極及び複数の第2上部電極の結合部分の拡大図である。
図4】1つの圧電素子に圧力を印加した場合の測定結果を示す図である。
図5】本実施形態に係る動き検出デバイスに圧力を印加した場合の測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[動き検出デバイス1の構成]
図1は、本実施形態に係る動き検出デバイス1の構成を示す図である。動き検出デバイス1は、ベース基板11と、下部電極12と、第1圧電素子13と、第2圧電素子14と、第1上部電極15と、第2上部電極16と、絶縁体17と、チャージアンプ部18と、差動アンプ19と、低域通過フィルタ(LPF)20と、を有する。
【0015】
ベース基板11は、板状の基板であり、例えばポリエチレンテレフタラート(PET)又はポリエチレンナフタレート(PEN)のように可撓性を有する樹脂材料により形成されている。ベース基板11の上方に、下部電極12、第1圧電素子13、第2圧電素子14、第1上部電極15、第2上部電極16及び絶縁体17が設けられている。
【0016】
下部電極12は、基準電位となる電極であり、グラウンドに接続される。下部電極12は、例えばベース基板11の上面にスクリーン印刷法によって導電性材料が印刷されることにより形成されている。下部電極12は、例えば銀、又はポリチオフェン系の導電性塗料であるPEDOT:PSSにより形成されている。
【0017】
第1圧電素子13及び第2圧電素子14は、圧力が加わることにより電荷を発生する素子である。第1圧電素子13及び第2圧電素子14は、例えば、下部電極12の上面にスクリーン印刷法によって有機圧電材料が印刷されることにより形成されている。第1圧電素子13及び第2圧電素子14は、例えば強誘電ポリマーのP(VDF-TrFE)により形成されている。
【0018】
第1圧電素子13及び第2圧電素子14は、物理的には同一の構造を有するが、分極処理(ポーリング)をされる際に、それぞれ逆極性の電圧が印加されている。その結果、第1圧電素子13及び第2圧電素子14は、圧力が加えられた場合に、それぞれ逆極性の電荷を発生するように構成されている。
【0019】
第1圧電素子13は、第1上部電極15の側から圧力が加えられた場合に、第1極性の第1電圧を発生する。第1圧電素子13は、例えば、圧力が加えられた場合に正の電荷を第1上部電極15に対して放出する。一方、第2圧電素子14は、第2上部電極16の側から圧力が加えられた場合に、第1極性と反対の第2極性の第2電圧を発生する。第2圧電素子14は、圧力が加えられた場合に負の電荷を第2上部電極16に対して放出する。
【0020】
図1に示すように、第1圧電素子13及び第2圧電素子14は、下部電極12の上面だけではなく、下部電極12の側面に接しており、端部がベース基板11に接していてもよい。このように第1圧電素子13及び第2圧電素子14が下部電極12を覆うように形成されていることにより、下部電極12が第1上部電極15及び第2上部電極16と接触してしまうことを防止できる。
【0021】
第1上部電極15は、第1圧電素子13の上に設けられている。第1上部電極15は、例えば第1圧電素子13の上面にスクリーン印刷法によって導電性材料が印刷されることにより形成されている。第1上部電極15は、外周が第1圧電素子13の外周の内側になる領域に設けられている。第1上部電極15がこのような領域に設けられていることにより、第1上部電極15が下部電極12と接触することを防げる。
【0022】
第2上部電極16は、第2圧電素子14の上に設けられている。第2上部電極16は、例えば第2圧電素子14の上面にスクリーン印刷法によって導電性材料が印刷されることにより形成されている。第2上部電極16は、外周が第2圧電素子14の外周の内側になる領域に設けられている。第2上部電極16がこのような領域に設けられていることにより、第2上部電極16が下部電極12と接触することを防げる。第1上部電極15及び第2上部電極16は、例えば銀、又はポリチオフェン系の導電塗料であるPEDOT:PSSにより形成されている。
【0023】
絶縁体17は、第1圧電素子13と第2圧電素子14とを絶縁するために、下部電極12の上方における第1圧電素子13と第2圧電素子14との間に設けられている。絶縁体17は、例えばポリエチレンテレフタラート又はポリエチレンナフタレート等の樹脂材料により形成されている。
【0024】
チャージアンプ部18は、第1上部電極15及び第2上部電極16から放出された電荷を電圧に変換する。チャージアンプ部18は、例えばチャージアンプ181及びチャージアンプ182の2つの増幅器を有している。チャージアンプ181は、第1上部電極15が発生した電荷に基づいて発生した電圧を差動アンプ19の正側電極に入力する。チャージアンプ182は、第2上部電極16が発生した電荷に基づいて発生した電圧を差動アンプ19の負側電極に入力する。
【0025】
差動アンプ19は、正側電極の電圧と負側電極の電圧との差分の電圧を出力する。具体的には、差動アンプ19は、下部電極12の電位を基準とする第1上部電極15の電圧である第1電圧と、下部電極12の電位を基準とする第2上部電極16の電圧である第2電圧との差分電圧を出力する電圧出力部として機能する。差動アンプ19は、差分電圧を低域通過フィルタ20へと出力する。
【0026】
差動アンプ19の正側電極には、第1上部電極15から出力される第1電圧とともに、商用電源等の外部機器に起因するノイズ電圧が印加される。差動アンプ19の負側電極には、第2上部電極16から出力される第2電圧とともに、ノイズ電圧が印加される。差動アンプ19は、正側電極に印加された電圧と負側電極に印加された電圧との差分電圧を生成することで、コモンモードのノイズを除去することができる。一方、第1電圧と第2電圧とは逆極性なので、差動アンプ19は、第1電圧の絶対値と第2電圧の絶対値とを加算した電圧を差分電圧として出力することができる。第1電圧と第2電圧の絶対値が等しい場合、差動アンプ19は、第1電圧の2倍の電圧を差分電圧として出力することができる。
【0027】
低域通過フィルタ20は、差動アンプ19から入力された差分電圧に含まれている高周波成分を遮断して、所定のカットオフ周波数以下の成分を含む出力信号(Vout)を出力する。
動き検出デバイス1が以上の構成を有することにより、動き検出デバイス1は、外部から混入するコモンモードのノイズに起因する電圧成分を除去するとともに、第1圧電素子13及び第2圧電素子14に圧力が加わったことにより生じる電圧を増幅することができるので、第1圧電素子13及び第2圧電素子14に加えられた圧力の大きさの検出精度を向上させることができる。
【0028】
[動き検出デバイス100の構成]
図2は、複数の動き検出デバイス1を組み合わせて構成された動き検出デバイス100の構成を示す図である。図2(a)は、動き検出デバイス100の上面視図であり、図2(b)は、A-A線断面図である。図2(a)においては、絶縁体17を破線で示している。
【0029】
動き検出デバイス100は、長方形(例えば正方形)の複数の第1圧電素子13及び複数の第2圧電素子14を有する。動き検出デバイス100においては、複数の第1圧電素子13のうちの少なくとも1つの第1圧電素子13の四辺それぞれの隣に第2圧電素子14が設けられている。また、複数の第2圧電素子14のうちの少なくとも1つの第2圧電素子14の四辺それぞれの隣に第1圧電素子13が設けられている。すなわち、動き検出デバイス100においては、複数の第1圧電素子13及び複数の第2圧電素子14が格子状に形成されている。
【0030】
さらに、複数の第1圧電素子13上に設けられた複数の第1上部電極15が同電位になるように、複数の第1上部電極15それぞれが他の少なくとも1つの第1上部電極15と結合している。同様に、複数の第2圧電素子14上に設けられた複数の第2上部電極16が同電位になるように、複数の第2上部電極16それぞれが他の少なくとも1つの第2上部電極16と結合している。
【0031】
図3は、複数の第1上部電極15及び複数の第2上部電極16の結合部分の拡大図である。複数の第1上部電極15は、導電性材料により形成された配線21により結合されている。また、複数の第2上部電極16は、導電性材料により形成された配線22により結合されている。配線21と配線22とが短絡しないように、配線21と配線22とが交差する位置には、絶縁性を有する樹脂により形成された絶縁体23が設けられている。
【0032】
動き検出デバイス100がこのように格子状に配置された多数の第1圧電素子13及び第2圧電素子14を有することで、ノイズの影響を受けにくい大面積の圧力検知デバイスを実現することができる。
【0033】
[動き検出デバイス1の製造方法]
動き検出デバイス1は、以下の複数の工程を実行することにより製造することができる。
まず、ベース基板11を準備する工程を実行する。続いて、ベース基板11の上面に下部電極12を設ける工程を実行する。この工程においては、例えばベース基板11の上面に導電性材料をスクリーン印刷することにより下部電極12を設けることができる。
【0034】
続いて、下部電極12の上面に第1圧電素子13を設ける工程と、下部電極12の上面に第2圧電素子14を設ける工程と、を実行する。これらの工程は同時に実行することが可能であり、例えば下部電極12の上面に有機圧電材料をスクリーン印刷することにより第1圧電素子13及び第2圧電素子14を設けることができる。
【0035】
続いて、第1圧電素子13の上面に第1上部電極15を設ける工程と、第2圧電素子14の上面に第2上部電極16を設ける工程と、を実行する。これらの工程は同時に実行することが可能であり、例えば第1圧電素子13及び第2圧電素子14の上面に導電性材料をスクリーン印刷することにより第1上部電極15及び第2上部電極16を設けることができる。
【0036】
続いて、第1圧電素子13に第1上部電極15の側から圧力が加えられた場合に、第1圧電素子13が、下部電極12の電位を基準として第1極性の第1電圧を発生するように第1圧電素子13をポーリングする工程を実行する。また、第2圧電素子14に第2上部電極16の側から圧力が加えられた場合に、第2圧電素子14が、下部電極12の電位を基準として第1極性と反対の第2極性の第2電圧を発生するように第2圧電素子14をポーリングする工程を実行する。これらのポーリング工程を同時に実行してもよく、いずれか一方のポーリング工程を先に実行してもよい。これらのポーリング工程により、第1圧電素子13及び第2圧電素子14が、それぞれ逆極性の電圧を発生することが可能になる。
【0037】
[実験例]
図4及び図5は、上記の製造方法により製造した動き検出デバイス1によるノイズ低減効果を確認するための実験結果を示す図である。図4は、1つの圧電素子に圧力を印加した場合の測定結果を示す図である。図5は、本実施形態に係る動き検出デバイス1に圧力を印加した場合の測定結果を示す図である。
【0038】
図4(a)及び図5(a)の横軸は時間を示しており、縦軸はノイズの電圧レベルを示している。図4(b)及び図5(b)の横軸は周波数を示しており、縦軸は信号レベルを示している。
【0039】
図4(a)と図5(a)とを比較すると、図4(a)におけるノイズの電圧は約1.7V(p-p)であるのに対して、図5(a)におけるノイズの電圧は約0.4V(p-p)である。このように、本実施形態に係る動き検出デバイス1は、1つの圧電素子に比べて、出力電圧に含まれるノイズの電圧を低減していることがわかる。
【0040】
図4(b)と図5(b)とを比較すると、図4(b)における50Hzの信号のレベルが-3.0dBVであるのに対して、図5(b)における50Hzの信号のレベルは-16dBVである。このように、本実施形態に係る動き検出デバイス1は、1つの圧電素子に比べて、50Hzの商用電源のノイズを約13dB低減していることがわかる。
【0041】
[動き検出デバイス1による効果]
以上説明したように、本実施形態に係る動き検出デバイス1は、互いに極性が異なる第1圧電素子13及び第2圧電素子14を有しており、それぞれが出力する電荷に基づく電圧が差動アンプ19に入力される。その結果、動き検出デバイス1が出力する信号に含まれるコモンモードノイズが低減するとともに、第1圧電素子13及び第2圧電素子14が発生する電圧が増幅されるので、動き検出デバイス1を用いて物体の動きを測定する場合の測定精度が向上する。このような動き検出デバイス1は、微小な動きを検出する必要がある生体情報の測定に好適である。
【0042】
なお、以上の説明においては、第1圧電素子13及び第2圧電素子14が正方形である場合を例示したが、第1圧電素子13及び第2圧電素子14の形状は任意である。第1圧電素子13及び第2圧電素子14は、三角形、六角形等のように長方形以外の形状であってもよく、円形又は楕円形であってもよい。
【0043】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0044】
1 動き検出デバイス
11 ベース基板
12 下部電極
13 第1圧電素子
14 第2圧電素子
15 第1上部電極
16 第2上部電極
17 絶縁体
18 チャージアンプ部
19 差動アンプ
20 低域通過フィルタ
20 低域通過フィルタ(LPF)
21 配線
22 配線
23 絶縁体
100 動き検出デバイス
181 チャージアンプ
182 チャージアンプ
図1
図2
図3
図4
図5