(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】便座装置
(51)【国際特許分類】
A47K 13/30 20060101AFI20231108BHJP
A47K 13/24 20060101ALI20231108BHJP
E03D 9/08 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
A47K13/30 Z
A47K13/24
E03D9/08 A
(21)【出願番号】P 2020033470
(22)【出願日】2020-02-28
【審査請求日】2022-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【氏名又は名称】竹内 功
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】神田 祥吾
(72)【発明者】
【氏名】野越 勇介
(72)【発明者】
【氏名】松下 大剛
(72)【発明者】
【氏名】雨森 博彰
(72)【発明者】
【氏名】林 功明
【審査官】村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-211235(JP,A)
【文献】特開2017-002571(JP,A)
【文献】特開2006-271562(JP,A)
【文献】特開2017-048570(JP,A)
【文献】特開2019-112818(JP,A)
【文献】特開2019-060231(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2010-0047082(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K13/00-17/02
E03D 1/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器のボウル部よりも後方に配置される本体部と、
前記本体部に回動可能に軸支される便座と、
使用状況を検知する検知部と、
洗浄液を吐出する洗浄液吐出部と、
前記洗浄液吐出部の動作を制御する制御部と、
使用者の操作情報を前記制御部に入力するための入力部と、
を備え、
前記制御部は、
前記検知部の検知結果に基づいて、前記便器内に向けて前記洗浄液を吐出する自動便器洗浄モードと、
前記操作情報の入力に基づいて、前記自動便器洗浄モードとは異なる吐水態様で吐水を行うことにより、使用者が清掃用具を手で持って配置可能な場所に向けて前記洗浄液を吐出する手動洗浄モードと、
を有することを特徴とする便座装置。
【請求項2】
前記手動洗浄モードにおける前記洗浄液の吐出範囲は、前記自動便器洗浄モードにおける前記洗浄液の吐出範囲よりも狭いことを特徴とする請求項1記載の便座装置。
【請求項3】
前記手動洗浄モードにおける前記洗浄液の吐出量は、前記自動便器洗浄モードにおける前記洗浄液の吐出量よりも少ないことを特徴とする請求項1又は2に記載の便座装置。
【請求項4】
前記手動洗浄モードにおける前記洗浄液の吐出方向は、前記自動便器洗浄モードにおける前記洗浄液の吐出方向よりも水平状であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の便座装置。
【請求項5】
除菌水を生成する除菌水生成部をさらに備え、
前記制御部は、前記洗浄液吐出部及び前記除菌水生成部の動作を制御し、前記除菌水を前記洗浄液として前記洗浄液吐出部から吐出させ、
前記手動洗浄モードにおける前記除菌水の濃度は、前記自動便器洗浄モードにおける前記除菌水の濃度よりも高いことを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載の便座装置。
【請求項6】
前記手動洗浄モードにおける前記洗浄液の吐出時間は、前記自動便器洗浄モードにおける前記洗浄液の吐出時間よりも短いことを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載の便座装置。
【請求項7】
前記手動洗浄モードにおける前記洗浄液の単位面積当たりの吐出量は、前記自動便器洗浄モードにおける前記洗浄液の単位面積当たりの吐出量よりも少ないことを特徴とする請求項1~6のいずれか1つに記載の便座装置。
【請求項8】
前記手動洗浄モードは、使用者が清掃用具を手で持って配置可能な前記ボウル部内の場所に向けて前記洗浄液を吐出することを特徴とする請求項1~7のいずれか1つに記載の便座装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、便座装置に関する。
【背景技術】
【0002】
便座を洗浄するために、便座の表面と裏面に洗浄液を吐出する便座装置が知られている(例えば、特許文献1)。便座装置は、使用者に洗浄液がかかってしまうことなどを抑制するため、使用者がいない時に洗浄液を便座に吐出することにより、自動的に便座の洗浄を行う。
【0003】
一方で、使用者がトイレットペーパーなどの清掃用具を用いて便座を清掃する際に、便座装置から洗浄液を吐出することによって、清掃用具に洗浄液を付着させたいという要望もある。例えば、汚物の付着を抑制したり、便器を除菌したりするために、便器内に向けて洗浄液を吐出する便座装置も知られている。こうした便器内に向けて吐出される洗浄液を利用して、清掃用具に洗浄液を付着させることも考えられる。
【0004】
しかしながら、便器内に向けて洗浄液を吐出する場合には、下方に向けて洗浄液を吐出するとともに、便器内の比較的広い範囲に向けて洗浄液を吐出しようとする。このため、便器内の奥の方まで手を差し入れなければならなかったり、清掃用具だけでなく使用者の手にも洗浄液が付着してしまうなど、手で持った清掃用具に洗浄液を付着させる作業は、必ずしも簡単ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、手で持った清掃用具に洗浄液を付着させる作業をより容易に行うことができる便座装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、便器のボウル部よりも後方に配置される本体部と、前記本体部に回動可能に軸支される便座と、使用状況を検知する検知部と、洗浄液を吐出する洗浄液吐出部と、前記洗浄液吐出部の動作を制御する制御部と、使用者の操作情報を前記制御部に入力するための入力部と、を備え、前記制御部は、前記検知部の検知結果に基づいて、前記便器内に向けて前記洗浄液を吐出する自動便器洗浄モードと、前記操作情報の入力に基づいて、前記自動便器洗浄モードとは異なる吐水態様で吐水を行うことにより、使用者が清掃用具を手で持って配置可能な場所に向けて前記洗浄液を吐出する手動洗浄モードと、を有することを特徴とする便座装置である。
【0008】
この便座装置によれば、制御部が、操作情報の入力に基づいて、自動便器洗浄モードとは異なる吐水態様で吐水を行うことにより、使用者が清掃用具を手で持って配置可能な場所に向けて洗浄液を吐出する手動洗浄モードを有する。このように、自動便器洗浄モードとは異なる吐水態様で吐水を行うようにすることで、使用者が手で持った清掃用具に洗浄液を付着させる作業をより容易にすることができる。また、自動便器洗浄モードを行う洗浄液吐出部を用いて手動洗浄モードを行うようにすることで、便座装置の部品点数の増加やコスト増などを抑えつつ、手動洗浄モードを実現することができる。
【0009】
また、便座に直接的に洗浄液を吐出する構成の場合、着座の直前に洗浄液の吐出を行った際に、便座表面が濡れ過ぎ、使用者の臀部を濡らしてしまうことが懸念される。これに対し、この便座装置では、清掃用具に洗浄液を付着させ、使用者に清掃用具を用いて手動で便座を拭き取り清掃させる。これにより、着座の直前に拭き取り清掃が行われたとしても、便座表面が濡れ過ぎ、使用者の臀部を濡らしてしまうことを抑制することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の態様によれば、手で持った清掃用具に洗浄液を付着させる作業をより容易に行うことができる便座装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の実施形態に係るトイレ装置を模式的に表す斜視図である。
【
図2】第1の実施形態に係る便座装置の要部構成を模式的に表すブロック図である。
【
図3】第1の実施形態に係る便座装置の一部を模式的に表す断面図である。
【
図4】
図4(a)及び
図4(b)は、第1の実施形態に係る便座装置の変形例を模式的に表す断面図である。
【
図5】
図5(a)及び
図5(b)は、第1の実施形態に係る便座装置の変形例を模式的に表す断面図である。
【
図6】第2の実施形態に係る便座装置の要部構成を模式的に表すブロック図である。
【
図7】第2の実施形態に係る便座装置の変形例を模式的に表すブロック図である。
【
図8】第3の実施形態に係る便座装置を模式的に表す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るトイレ装置を模式的に表す斜視図である。
図1に表したように、トイレ装置2は、洋式腰掛便器(以下説明の便宜上、単に「便器100」と称する)と、便座装置10と、を備える。便器100は、汚物を受ける凹状のボウル部101を有する。便座装置10は、便器100の上部に設置されている。
【0014】
便座装置10は、便器100のボウル部101よりも後方に配置される本体部12と、本体部12に回動可能に軸支される便座14と、本体部12に回動可能に軸支される便蓋16と、を備える。
図1では、便座14が閉じた状態(下げられた状態)、及び便蓋16が開いた状態(上げられた状態)を表している。便蓋16は、閉じた状態では、便座14を上方から覆う。なお、本願明細書において、「上方」、「下方」、「前方」、「後方」、「左側方」、及び「右側方」のそれぞれは、開いた便蓋16に背を向けて便座14に座った使用者から見た方向である。
【0015】
図2は、第1の実施形態に係る便座装置の要部構成を模式的に表すブロック図である。 なお、
図2は、便座装置10の水路系と電気系の要部構成を併せて表している。
図2に表したように、本体部12は、使用者が便座14に座ったことを検知する着座検知センサ20を有する。また、本体部12は、身体洗浄機能部58を有する。身体洗浄機能部58は、本体部12の内部に内蔵され、便座14に座った使用者の人体局部(「おしり」など)の洗浄を実現する。
【0016】
着座検知センサ20が便座14に座った使用者を検知している場合において、使用者が例えばリモコンなどの手動操作部24を操作すると、身体洗浄機能部58の洗浄ノズル58a(以下説明の便宜上、単に「ノズル58a」と称する)を便器100のボウル部101内に進出させることができる。なお、
図1では、ノズル58aがボウル部101内に進出した状態を表している。
【0017】
ノズル58aの先端部には、ひとつまたは複数の吐水口が設けられている。そして、ノズル58aは、その先端部に設けられた吐水口から水を噴射して、便座14に座った使用者の「おしり」などを洗浄することができる。
【0018】
この例において、便座装置10は、換言すれば、身体洗浄機能部58を有する衛生洗浄装置である。但し、便座装置10は、必ずしも身体洗浄機能部58を有していなくてもよい。便座装置10は、例えば、便座14の暖房機能を有する暖房便座装置などでもよい。
【0019】
着座検知センサ20は、使用者の便座14への着座の有無を検知することができる。着座検知センサ20は、使用者の着座及び離座を検知する。着座検知センサ20には、マイクロ波センサ、測距センサ(赤外線投光式センサ)、超音波センサ、タクトスイッチ、静電容量スイッチ(タッチセンサ)、または歪みセンサを用いることができる。
【0020】
なお、タクトスイッチ、静電センサ及び歪みセンサなどのセンサを用いる場合には、これらのセンサは、便座14に設けられる。便座14に使用者が座ると、使用者の体重によってタクトスイッチが押下される。または、使用者が静電センサの上に着座する。または、使用者の体重によって歪みセンサに圧力が加えられる。これらのセンサからの電気信号により、使用者の着座を検知することができる。
【0021】
人体検知センサ22は、便器100の前方にいる使用者、すなわち便座14から前方へ離れた位置に存在する使用者を検知する。つまり、人体検知センサ22は、トイレ室に入室して便座14に近づいてきた使用者を検知する。このような人体検知センサとして、例えば焦電センサ、マイクロ波センサ、超音波センサ、または測距センサ(赤外線投光式センサ)を用いることができる。人体検知センサ22は、トイレ室のドアを開けて入室した直後の使用者や、トイレ室に入室する直前の使用者、すなわちトイレ室に入室しようとしてドアの前に存在する使用者を検知してもよい。例えば、マイクロ波センサを用いた場合には、トイレ室のドア越しに使用者の存在を検知することもできる。
【0022】
手動操作部24は、例えば、スイッチまたはボタンなどを有するリモコンである。手動操作部24は、使用者からの操作指示の入力を受け付け、入力された操作指示に基づく使用者の操作情報(信号)を制御部70に入力する。制御部70は、手動操作部24から入力された操作情報に基づいて便座装置10の各部の動作を制御する。なお、手動操作部24と制御部70との間の通信は、有線でもよいし、無線でもよい。
【0023】
また、本体部12の内部には、便座用モータ26、便蓋用モータ28、便座ヒータ30、送風装置32、温風ヒータ34、及び風向き変更部36が設けられている。便座用モータ26は、制御部70からの指令に基づいて、電動で便座14を回動させ開閉する。便蓋用モータ28は、制御部70からの指令に基づいて、電動で便蓋16を回動させ開閉する。
【0024】
便座ヒータ30は、例えば便座14の内部に設けられている。便座ヒータ30は、制御部70からの指令に基づいて通電が行われることで、便座14の着座面を内側から温める。便座ヒータ30には、例えば、チュービングヒータや、シーズヒータ、ハロゲンヒータ、カーボンヒータなどが用いられる。
【0025】
送風装置32は、例えば本体部12の内部に設けられたファンである。送風装置32は、制御部70からの指令に基づいて動作する。送風装置32は、例えばモータの回転に伴い羽根が回転することにより、便器100内(ボウル部101内)に向けて送風することができる。送風装置32は、例えばモータの回転制御により、風量を変更可能な風量変更部となっている。送風装置32は、例えば、便座14に座った使用者の局部に向けて送風する。
【0026】
温風ヒータ34は、送風装置32によって本体部12の外部へ送られる空気を温める。これにより、使用者の局部に向けて温風を送り、局部を乾燥させることができる。また、風向き変更部36は、本体部12から便器100内に向けて送られる風の向きを変更する。風向き変更部36は、例えばモータによりダンパやルーバなどの向きを変更させて、便器100内に送出される風の向きを変更する。また、風向き変更部36は、コアンダ効果により風の向きを可変に制御してもよい。
【0027】
水路系において、便座装置10は、管路40~43、電磁弁50、バキュームブレーカ52、除菌水生成部54、切替弁56、ノズル58a、ノズル洗浄室58c、及び洗浄液吐出部60を有する。これらは、本体部12内に配置されている。
【0028】
管路40は、水道や貯水タンクなどの図示しない給水源から供給された水を洗浄液吐出部60やノズル58aなどに導くためのものである。管路40の上流側には、電磁弁50が設けられている。電磁弁50は、開閉可能な電磁バルブであり、本体部12の内部に設けられた制御部70からの指令に基づいて水の供給を制御する。
【0029】
管路40上において、電磁弁50の下流には、バキュームブレーカ52が設けられている。このバキュームブレーカ52は、例えば水を流すための流路と、流路内に空気を取り込むための吸気口と、吸気口を開閉する弁機構と、を有する。弁機構は、例えば流路に水が流れているときに吸気口を塞ぎ、水の流れの停止とともに吸気口を開放して流路内に空気を取り込む。すなわち、バキュームブレーカ52は、管路40に水の流れがないときに、に空気を取り込む。弁機構には、例えばフロート弁が用いられる。バキュームブレーカ52は、上記のように管路40内に空気を取り込むことにより、例えば管路40のバキュームブレーカ52よりも下流の部分の水抜きを促進させる。バキュームブレーカ52は、例えば、ノズル58aや洗浄液吐出部60からの水抜きを促進する。
【0030】
管路40上において、バキュームブレーカ52の下流には、除菌水を生成する除菌水生成部54が設けられている。除菌水生成部54は、例えば次亜塩素酸などを含む除菌水を生成する。除菌水生成部54としては、例えば電解槽ユニットが挙げられる。電解槽ユニットは、制御部70からの通電の制御によって、陽極板(図示せず)と陰極板(図示せず)との間の空間(流路)を流れる水道水を電気分解する。なお、除菌水は、次亜塩素酸を含むものには限定されない。除菌水は、例えば銀イオンや銅イオンなどの金属イオンを含む溶液、電解塩素やオゾンなどを含む溶液、酸性水またはアルカリ水などでもよい。除菌水生成部54は電解槽に限らず、除菌水を生成可能な任意の構成でよい。
【0031】
管路40上において、除菌水生成部54の下流には、切替弁56が設けられている。切替弁56の下流には、身体洗浄機能部58のノズル58aやノズル洗浄室58c、洗浄液吐出部60が設けられている。管路40は、切替弁56により、ノズル58aへ水を導く管路41、ノズル洗浄室58cへ水を導く管路42、及び洗浄液吐出部60へ水を導く管路43に分岐している。切替弁56は、制御部70からの指令に基づいて、管路41、管路42、及び管路43のそれぞれの開閉を制御する。つまり、切替弁56は、ノズル58a、ノズル洗浄室58c、及び洗浄液吐出部60への水の供給を制御する。切替弁56は、制御部70からの指令に基づいて、給水源から供給された水道水又は除菌水生成部54から供給された除菌水を、ノズル58a、ノズル洗浄室58c、及び洗浄液吐出部60のいずれかに選択的に供給する。切替弁56は、例えば、水を供給する経路を切り替えるとともに、下流に供給する水の流量を調整できるようにしてもよい。
【0032】
身体洗浄機能部58は、ノズル58a、ノズルモータ58b、ノズル洗浄室58c、及びノズルダンパ58dを有している。ノズル58aは、非使用時にはノズルダンパ58dの後方に位置して本体部12内に収納されている。そして、人体局部の洗浄時などにおいて、ノズル58aは、ノズルモータ58bからの駆動力を受け、本体部12に対して開閉可能なノズルダンパ58dを押圧して、便器100のボウル部101内に進出する。ノズルモータ58bは、制御部70からの指令に基づいて駆動する。ノズル58aは、本体部12から前方へ進出した状態で、吐水口から水を吐出して、人体局部を洗浄する。ノズル洗浄室58cは、その内部に設けられた吐水口から除菌水あるいは水道水を噴射することにより、ノズル58aの外周表面(胴体)を洗浄する。
【0033】
洗浄液吐出部60は、洗浄液を吐出する。洗浄液吐出部60は、例えば、除菌水生成部54で生成された除菌水を洗浄液として吐出する。但し、洗浄液は、除菌水に限ることなく、例えば、給水源から供給された水道水などでもよい。洗浄液は、便座14などの洗浄が可能な任意の液体でよい。
【0034】
制御部70には、図示しない電源回路から電力を供給される回路が用いられる。制御部70は、例えばマイコンなどの集積回路を含む。制御部70は、使用者を検知する人体検知センサ22または着座検知センサ20の検知情報、手動操作部24の操作情報に基づいて、便座用モータ26、便蓋用モータ28、便座ヒータ30、送風装置32、温風ヒータ34、風向き変更部36、電磁弁50、バキュームブレーカ52、除菌水生成部54、切替弁56、ノズルモータ58b、及び洗浄液吐出部60を制御する。
【0035】
制御部70は、人体検知センサ22の検知情報(使用者の存在の有無を示す信号)や、着座検知センサ20の検知情報(使用者の着座の有無を示す信号)を受信し、受信した検知情報に基づいて、便座装置10の各部の動作を制御する。
【0036】
このように、便座装置10は、便器100のボウル部101よりも後方に配置される本体部12と、本体部12に回動可能に軸支される便座14と、使用状況を検知する着座検知センサ20及び人体検知センサ22(検知部)と、洗浄液を吐出する洗浄液吐出部60と、洗浄液吐出部60の動作を制御する制御部70と、使用者の操作情報を制御部70に入力するための手動操作部24(入力部)と、を備える。
【0037】
なお、使用者の操作情報を制御部70に入力するための手動操作部24は、リモコンなどに限ることなく、本体部12に一体的に設けられた操作パネルなどでもよい。また、使用者の操作情報は、例えば、スマートフォンなどの外部端末からインターネットなどのネットワークを介して制御部70に入力してもよい。この場合には、ネットワークを介して外部端末と通信を行うための通信機器を、使用者の操作情報を制御部70に入力するための入力部とすればよい。このように、入力部は、使用者の操作を受け付けて操作情報を制御部70に入力する操作部でもよいし、通信によって受信した操作情報を制御部70に入力する通信機器でもよい。入力部の構成は、操作情報を制御部70に入力可能な任意の構成でよい。
【0038】
図3は、第1の実施形態に係る便座装置の一部を模式的に表す断面図である。
図2及び
図3に表したように、洗浄液吐出部60は、ノズル62と、ノズル駆動部64と、を有する。ノズル62は、洗浄液を吐出するための吐出口62a、62bを有する。
【0039】
吐出口62aは、例えば、連続した流水状の洗浄液を吐出する。吐出口62aは、例えば、ボウル部101内において、前方側に向けて略水平状に流水状の洗浄液を吐出する。
【0040】
吐出口62bは、便器100のボウル部101に向けて洗浄液を吐出する。吐出口62bは、例えば、洗浄液をミスト状にしてボウル部101に吐出する。吐出口62bは、換言すれば、ミスト状の洗浄液をボウル部101に噴霧する。吐出口62bは、換言すれば、噴霧口である。これにより、洗浄液を流水状に吐出する場合と比べて、洗浄液をボウル部101のより広い範囲に吐出することができる。
【0041】
ノズル駆動部64は、本体部12内に収納した位置(
図3において二点鎖線で表した位置)と、ボウル部101内に進出した位置(
図3において実線で表した位置)と、にノズル62を移動させる。
【0042】
洗浄液吐出部60は、ノズル駆動部64を駆動し、ボウル部101内に進出した位置にノズル62を移動させた状態で、ノズル62の吐出口62a、62bから洗浄液(除菌水)を吐出する。
【0043】
制御部70は、自動便器洗浄モードと、手動洗浄モードと、を有する。自動便器洗浄モードは、着座検知センサ20又は人体検知センサ22による使用状況の検知結果に基づいて、便器100内に向けて洗浄液(除菌水)を吐出するモードである。
【0044】
制御部70は、例えば、人体検知センサ22が使用者を検知した際に、ノズル62の吐出口62bからボウル部101に水道水を吐出することにより、ボウル部101のボウル面を濡らす。これにより、ボウル部101のボウル面に汚物などを付着し難くすることができる。また、制御部70は、例えば、使用者の便座装置10から離れる動きを人体検知センサ22が検知した際に、ノズル62の吐出口62bからボウル部101に除菌水を吐出することにより、ボウル部101のボウル面を除菌する。これにより、ボウル部101に黒ずみなどが生じてしまうことを抑制することができる。
【0045】
なお、検知部は、着座検知センサ20のみでもよいし、人体検知センサ22のみでもよい。また、検知部は、着座検知センサ20や人体検知センサ22に限ることなく、便座装置10の使用状況を検知可能な任意のセンサなどでよい。
【0046】
手動洗浄モードは、手動操作部24からの操作情報の入力に基づいて、自動便器洗浄モードとは異なる吐水態様で吐水を行うことにより、使用者が清掃用具CTを手で持って配置可能な場所に向けて洗浄液を吐出するモードである。手動洗浄モードは、例えば、使用者が清掃用具CTを手で持って配置可能なボウル部101内の場所に向けて洗浄液を吐出する。
【0047】
制御部70は、手動操作部24からの操作情報の入力に基づいて、ノズル62をボウル部101内に進出させ、吐出口62aから洗浄液を吐出する。これにより、
図3に表したように、使用者が持った清掃用具CTに向けて洗浄液を吐出し、清掃用具CTに洗浄液を付着させることができる。
【0048】
これにより、便座装置10では、清掃用具CTに洗浄液を付着させ、使用者に清掃用具CTを用いて手動で手軽に便座14を拭き取り清掃させることができる。制御部70は、前述のように、除菌水を洗浄液として清掃用具CTに付着させる。これにより、便座14の洗浄を行うことができるとともに、便座14の除菌も行うことができる。
【0049】
清掃用具CTは、例えば、トイレットペーパーである。清掃用具CTは、雑巾やペーパータオルなどでもよい。清掃用具CTは、便座14の表面や裏面に付着した汚れを拭き取る拭き取り清掃が可能な任意の清掃用具でよい。
【0050】
使用者が清掃用具CTを手で持って配置可能な場所とは、例えば、ボウル部101内において、ボウル部101内に進出したノズル62よりも前方側の場所である。これにより、吐出口62aから前方側に向けて略水平状に洗浄液を吐出することで、使用者が手で持った清掃用具CTに洗浄液を付着させることができる。但し、使用者が清掃用具CTを手で持って配置可能な場所は、これに限ることなく、使用者が清掃用具CTを手で持って配置可能な任意の場所でよい。
【0051】
前述のように、制御部70は、自動便器洗浄モードにおいては、吐出口62bから洗浄液をミスト状にしてボウル部101に向けて吐出し、手動洗浄モードにおいては、吐出口62aから洗浄液を流水状にして清掃用具CTに向けて吐出する。このため、手動洗浄モードにおける洗浄液の吐出範囲SDAは、自動便器洗浄モードにおける洗浄液の吐出範囲BDAよりも狭い。換言すれば、制御部70は、手動洗浄モードにおける洗浄液の吐出範囲SDAを、自動便器洗浄モードにおける洗浄液の吐出範囲BDAよりも狭くする。
【0052】
また、制御部70は、自動便器洗浄モードにおいては、ボウル部101の比較的広い範囲に洗浄液を吐出し、手動洗浄モードにおいては、清掃用具CTの比較的狭い範囲に洗浄液を吐出する。このため、手動洗浄モードにおける洗浄液の吐出量は、自動便器洗浄モードにおける洗浄液の吐出量よりも少ない。換言すれば、制御部70は、手動洗浄モードにおける洗浄液の吐出量を、自動便器洗浄モードにおける洗浄液の吐出量よりも少なくする。手動洗浄モードにおける洗浄液の吐出量は、例えば、1mL程度である。自動便器洗浄モードにおける洗浄液の吐出量は、例えば、30mL~40mL程度である。
【0053】
また、
図3に表したように、制御部70は、手動洗浄モードにおける洗浄液の吐出方向を、自動便器洗浄モードにおける洗浄液の吐出方向よりも水平状にする。手動洗浄モードにおける洗浄液の吐出方向は、自動便器洗浄モードにおける洗浄液の吐出方向よりも水平状である。
【0054】
また、制御部70は、除菌水を洗浄液として吐出する際に、手動洗浄モードにおける除菌水の濃度を、自動便器洗浄モードにおける除菌水の濃度よりも高くする。手動洗浄モードにおける除菌水の濃度は、自動便器洗浄モードにおける除菌水の濃度よりも高い。除菌水の濃度は、例えば、電気分解の時間や、電気分解において電極間に印加する電圧などを調整することよって変化させることができる。
【0055】
また、制御部70は、手動洗浄モードにおける洗浄液の吐出時間を、自動便器洗浄モードにおける洗浄液の吐出時間よりも短くする。手動洗浄モードにおける洗浄液の吐出時間は、自動便器洗浄モードにおける洗浄液の吐出時間よりも短い。制御部70は、例えば、上記のように、洗浄液の吐出量を少なくすることによって、手動洗浄モードにおける洗浄液の吐出時間を、自動便器洗浄モードにおける洗浄液の吐出時間よりも短くする。
【0056】
また、制御部70は、手動洗浄モードにおける洗浄液の単位面積当たりの吐出量を、自動便器洗浄モードにおける洗浄液の単位面積当たりの吐出量よりも少なくする。手動洗浄モードにおける洗浄液の単位面積当たりの吐出量は、自動便器洗浄モードにおける洗浄液の単位面積当たりの吐出量よりも少ない。
【0057】
このように、制御部70は、例えば、吐水形態、吐出範囲、吐出量、吐出方向、吐出時間、及び除菌水の濃度の少なくともいずれかを変化させることにより、手動洗浄モードの吐水態様を自動便器洗浄モードの吐水態様と異ならせる。吐水形態は、例えば、流水状の吐水やミスト状の吐水などである。吐水形態は、例えば、シャワー状の吐水などを含んでもよい。
【0058】
この例では、清掃用具CTに向けて洗浄液を吐出するための吐出口62aと、ボウル部101に向けて洗浄液を吐出する吐出口62bと、を1つのノズル62に設けている。ボウル部101に向けて洗浄液を吐出する吐出口62bは、例えば、清掃用具CTに向けて洗浄液を吐出するための吐出口62aを有するノズル62とは別のノズルなどに設けてもよい。洗浄液吐出部60は、清掃用具CTに向けて洗浄液を吐出するための吐出口62aを有するノズル62と、ボウル部101に向けて洗浄液を吐出する吐出口62bを有するノズルと、の2つのノズルを有してもよい。
【0059】
洗浄液吐出部60の構成は、上記に限ることなく、清掃用具CT及びボウル部101に洗浄液を吐出可能な任意の構成でよい。例えば、この例では、局部洗浄用のノズル58aとは別に、洗浄液を吐出するためのノズル62を設けているが、流水状の洗浄液を吐出する場合には、局部洗浄用のノズル58aを用いて清掃用具CTに洗浄液を吐出してもよい。換言すれば、身体洗浄機能部58を洗浄液吐出部60として用いてもよい。ノズル62及びノズル駆動部64は、必要に応じて設けられ、省略可能である。また、局部洗浄用のノズル58aを用いる場合には、局部洗浄用の吐出口と清掃用具CTに洗浄液を吐出する吐出口とを別にしてもよい。
【0060】
以上、説明したように、本実施形態に係る便座装置10では、制御部70が、操作情報の入力に基づいて、自動便器洗浄モードとは異なる吐水態様で吐水を行うことにより、使用者が清掃用具CTを手で持って配置可能な場所に向けて洗浄液を吐出する手動洗浄モードを有する。このように、自動便器洗浄モードとは異なる吐水態様で吐水を行うようにすることで、使用者が手で持った清掃用具CTに洗浄液を付着させる作業をより容易にすることができる。また、自動便器洗浄モードを行う洗浄液吐出部60を用いて手動洗浄モードを行うようにすることで、便座装置10の部品点数の増加やコスト増などを抑えつつ、手動洗浄モードを実現することができる。
【0061】
また、便座14に直接的に洗浄液を吐出する構成の場合、着座14の直前に洗浄液の吐出を行った際に、便座14の表面が濡れ過ぎ、使用者の臀部を濡らしてしまうことが懸念される。これに対し、この便座装置10では、清掃用具CTに洗浄液を付着させ、使用者に清掃用具を用いて手動で便座14を拭き取り清掃させる。これにより、着座の直前に拭き取り清掃が行われたとしても、便座14の表面が濡れ過ぎ、使用者の臀部を濡らしてしまうことを抑制することができる。
【0062】
また、便座装置10では、手動洗浄モードにおける洗浄液の吐出範囲が、自動便器洗浄モードにおける洗浄液の吐出範囲よりも狭いことにより、清掃用具CTを持っている使用者の手に洗浄液がかかってしまうことをより確実に抑制することができる。
【0063】
また、便座装置10では、手動洗浄モードにおける洗浄液の吐出量が、自動便器洗浄モードにおける洗浄液の吐出量よりも少ないことにより、清掃用具CTが濡れ過ぎてしまうことを抑制することができる。例えば、トイレットペーパーを清掃用具CTとして用いた際に、トイレットペーパーが濡れ過ぎて破れてしまうことなどを抑制することができる。
【0064】
また、便座装置10では、手動洗浄モードにおける洗浄液の吐出方向が、自動便器洗浄モードにおける洗浄液の吐出方向よりも水平状であることにより、使用者が手で持った清掃用具CTに洗浄液を付着させる作業をより容易にすることができる。例えば、便器100内の奥の方まで手を差し入れることなどを抑制することができる。
【0065】
また、便座装置10では、手動洗浄モードにおける除菌水の濃度が、自動便器洗浄モードにおける除菌水の濃度よりも高いことにより、清掃用具CTに付着させることによって除菌水の濃度が低下したとしても、清掃用具CTを用いた手動の拭き取り清掃によって、より適切に便座を除菌することができる。
【0066】
また、便座装置では、手動洗浄モードにおける洗浄液の吐出時間が、自動便器洗浄モードにおける洗浄液の吐出時間よりも短いことにより、使用者が清掃用具CTに洗浄液を付着させる作業の時間を短くすることができる。
【0067】
また、便座装置10では、手動洗浄モードにおける洗浄液の単位面積当たりの吐出量が、自動便器洗浄モードにおける洗浄液の単位面積当たりの吐出量よりも少ないことにより、清掃用具CTが濡れ過ぎてしまうことを抑制することができる。例えば、トイレットペーパーを清掃用具CTとして用いた際に、トイレットペーパーが濡れ過ぎて破れてしまうことなどを抑制することができる。
【0068】
また、便座装置10では、手動洗浄モードにおいて、ボウル部101内の場所に向けて洗浄液を吐出することにより、便器100の外側に洗浄液が飛散してしまうことを抑制することができる。
【0069】
図4(a)及び
図4(b)は、第1の実施形態に係る便座装置の変形例を模式的に表す断面図である。
なお、上記実施形態と機能・構成上実質的に同じものについては、同符号を付し、詳細な説明を省略する。これは、以下の実施形態においても、同様とする。
図4(a)及び
図4(b)に表したように、この例において、洗浄液吐出部60のノズル62は、上下方向に略垂直状に延びる。また、この例では、ノズル62が、流水状の洗浄液を吐出する吐出口62aのみを有し、ミスト状の洗浄液を吐出する吐出口62bが省略されている。
【0070】
ノズル駆動部64は、上下方向にノズル62を移動させるとともに、上下方向を軸にノズル62を回転させる。
【0071】
図4(a)に表したように、制御部70は、手動洗浄モードにおいては、吐水口62aから前方側に向けて洗浄液を吐出する。
図4(b)に表したように、制御部70は、自動便器洗浄モードにおいては、ノズル62を手動洗浄モードよりも下方に移動させるとともに、上下方向を軸にノズル62を回転させながら、吐水口62aから洗浄液を吐出する。
【0072】
これにより、この例においても、上記と同様に、手動洗浄モードにおいて、自動便器洗浄モードとは異なる吐水態様で吐水を行い、使用者が手で持った清掃用具CTに洗浄液を付着させる作業をより容易にすることができる。
【0073】
また、この例においても、手動洗浄モードにおける洗浄液の吐出範囲を、自動便器洗浄モードにおける洗浄液の吐出範囲よりも狭くすることができる。このように、洗浄液の吐出範囲は、流水状かミスト状かの違いに限ることなく、ノズル62の移動や回転など、ノズル62の動きによって変化させてもよい。
【0074】
また、この例では、例えば、手動洗浄モードにおける洗浄液の吐出の勢いを、自動便器洗浄モードにおける洗浄液の吐出の勢いよりも強くすることによって、手動洗浄モードにおける洗浄液の吐出方向を、自動便器洗浄モードにおける洗浄液の吐出方向よりも水平状にすることができる。このように、洗浄液の吐出方向は、洗浄液の吐出の勢いを変化させることによって調整してもよい。また、洗浄液の吐出方向は、例えば、ノズル62の傾きを変化させるなど、ノズル62の動きによって調整してもよい。
【0075】
図5(a)及び
図5(b)は、第1の実施形態に係る便座装置の変形例を模式的に表す断面図である。
図5(a)及び
図5(b)に表したように、この例において、洗浄液吐出部60のノズル62は、ミスト状の洗浄液を吐出する吐出口62bのみを有し、流水状の洗浄液を吐出する吐出口62aが省略されている。ノズル駆動部64は、上下方向を軸にノズル62を回転させる。
【0076】
図5(a)に表したように、制御部70は、手動洗浄モードにおいては、吐水口62bから前方側に向けて洗浄液を吐出する。
図5(b)に表したように、制御部70は、自動便器洗浄モードにおいては、上下方向を軸にノズル62を回転させながら、吐水口62bから洗浄液を吐出する。
【0077】
これにより、この例においても、上記と同様に、手動洗浄モードにおいて、自動便器洗浄モードとは異なる吐水態様で吐水を行い、使用者が手で持った清掃用具CTに洗浄液を付着させる作業をより容易にすることができる。このように、流水状の洗浄液を吐出する吐出口62aに限ることなく、ミスト状の洗浄液を吐出する吐出口62bを有するノズル62を回転させるか停止させるかによって、手動洗浄モードと自動便器洗浄モードとを切り替えてもよい。
【0078】
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態に係る便座装置の要部構成を模式的に表すブロック図である。
図6に表したように、便座装置10aでは、洗浄液吐出部60が、洗剤タンク80と、ポンプ81と、洗剤水生成部82と、泡吐出部83と、を有する。
【0079】
洗剤タンク80は、内部の空間に液状の洗剤を収容する。洗剤タンク80は、例えば、洗剤を供給するための供給口、及び供給口を開閉する蓋部などを有し、洗剤を補給できるようにする。
【0080】
ポンプ81は、管路などを介して洗剤タンク80と接続されるとともに、管路などを介して洗剤水生成部82と接続される。ポンプ81は、制御部70の制御に基づいて動作し、洗剤タンク80に収容された洗剤を洗剤水生成部82に供給する。
【0081】
洗剤水生成部82は、ポンプ81と接続されるとともに、切替弁56と接続される。制御部70は、ポンプ81を駆動して洗剤を洗剤水生成部82に供給するとともに、電磁弁50及び切替弁56を駆動して給水源から供給された水道水を洗剤水生成部82に供給する。洗剤水生成部82は、供給された洗剤と水道水とを混合することにより、洗剤及び水道水から洗剤水を生成する。洗剤水生成部82は、管路などを介して泡吐出部83と接続され、生成した洗剤水を泡吐出部83に供給する。
【0082】
泡吐出部83は、洗剤水生成部82から供給された洗剤水に空気を混ぜることにより、洗剤水を泡化させる。泡吐出部83は、この泡化した洗剤水を泡状の洗浄液として吐出する。洗剤水を泡化させる構成としては、例えば、洗剤水と空気とをメッシュ状の部材に通すことによって泡化させる構成などを用いることができる。
【0083】
泡状の洗浄液は、ノズル62から流水状の洗浄液を吐出する場合と同様に、吐出口の向きや吐出の強さなどを調整することによって、付着する位置を制御することができる。従って、例えば、
図4及び
図5で説明したように、手動洗浄モードにおいては、吐水口から前方側に向けて泡状の洗浄液を吐出し、自動便器洗浄モードにおいては、上下方向を軸にノズルを回転させながら、吐水口から泡状の洗浄液を吐出する。これにより、上記実施形態と同様に、手動洗浄モードにおいて、自動便器洗浄モードとは異なる吐水態様で吐水を行い、使用者が手で持った清掃用具CTに洗浄液を付着させる作業をより容易にすることができる。
【0084】
このように、便座装置10aでは、洗浄液吐出部60が、洗浄液を泡状にして吐出する。これにより、例えば、洗浄液を清掃用具CTに付着させ易くすることができる。例えば、液状の洗浄液を付着させる場合と比べて、トイレットペーパーなどの清掃用具CTが濡れ過ぎて破れてしまうことなどを抑制することができる。また、洗剤水を洗浄液として吐出することで、便座14をより適切に洗浄することができる。なお、洗浄液を泡状にして吐出する構成は、上記に限ることなく、泡状の洗浄液を吐出可能な任意の構成でよい。
【0085】
図7は、第2の実施形態に係る便座装置の変形例を模式的に表すブロック図である。
図7に表したように、便座装置10bでは、泡吐出部83が、局部洗浄用のノズル58aに設けられている。このように、ノズル58aに泡吐出部83を設け、洗剤水生成部82で生成した洗剤水をノズル58aに供給することにより、ノズル58aの泡吐出部83から泡状の洗浄液を吐出するようにしてもよい。この場合には、例えば、進退移動の機構などを別途設ける必要を抑制し、便座装置10bの部品点数の削減を図ることができる。例えば、製造コストの増加を抑制しつつ、泡状の洗浄液の吐出を可能とすることができる。
【0086】
(第3の実施形態)
図8は、第3の実施形態に係る便座装置を模式的に表す平面図である。
図8に表したように、便座装置10cでは、洗浄液吐出部60が、手動洗浄モードにおいて、本体部12の側面から側方に向かって洗浄液を吐出する。このように、手動洗浄モードで洗浄液を吐出する場所は、必ずしも便器100のボウル部101内でなくてもよい。手動洗浄モードにおいて洗浄液を吐出する場所は、使用者が清掃用具CTを手で持って配置可能な任意の場所でよい。
【0087】
このように、ボウル部101の外側に洗浄液を吐出する場合には、洗浄液吐出部60は、ミスト状の洗浄液を吐出することが好ましい。これにより、例えば、ボウル部101の外側に飛散した洗浄液によって、トイレ室内を濡らしてしまうことなどを抑制することができる。但し、ボウル部101の外側に洗浄液を吐出する場合にも、洗浄液は、流水状や泡状などでもよい。
【0088】
以上説明した実施形態に基づく便座装置として、例えば以下に述べる態様のものが考えられる。
【0089】
第1の態様は、便器のボウル部よりも後方に配置される本体部と、前記本体部に回動可能に軸支される便座と、使用状況を検知する検知部と、洗浄液を吐出する洗浄液吐出部と、前記洗浄液吐出部の動作を制御する制御部と、使用者の操作情報を前記制御部に入力するための入力部と、を備え、前記制御部は、前記検知部の検知結果に基づいて、前記便器内に向けて前記洗浄液を吐出する自動便器洗浄モードと、前記操作情報の入力に基づいて、前記自動便器洗浄モードとは異なる吐水態様で吐水を行うことにより、使用者が清掃用具を手で持って配置可能な場所に向けて前記洗浄液を吐出する手動洗浄モードと、を有することを特徴とする便座装置である。
【0090】
この便座装置によれば、制御部が、操作情報の入力に基づいて、自動便器洗浄モードとは異なる吐水態様で吐水を行うことにより、使用者が清掃用具を手で持って配置可能な場所に向けて洗浄液を吐出する手動洗浄モードを有する。このように、自動便器洗浄モードとは異なる吐水態様で吐水を行うようにすることで、使用者が手で持った清掃用具に洗浄液を付着させる作業をより容易にすることができる。また、自動便器洗浄モードを行う洗浄液吐出部を用いて手動洗浄モードを行うようにすることで、便座装置の部品点数の増加やコスト増などを抑えつつ、手動洗浄モードを実現することができる。
【0091】
また、便座に直接的に洗浄液を吐出する構成の場合、着座の直前に洗浄液の吐出を行った際に、便座表面が濡れ過ぎ、使用者の臀部を濡らしてしまうことが懸念される。これに対し、この便座装置では、清掃用具に洗浄液を付着させ、使用者に清掃用具を用いて手動で便座を拭き取り清掃させる。これにより、着座の直前に拭き取り清掃が行われたとしても、便座表面が濡れ過ぎ、使用者の臀部を濡らしてしまうことを抑制することができる。
【0092】
第2の態様は、第1の態様において、前記手動洗浄モードにおける前記洗浄液の吐出範囲は、前記自動便器洗浄モードにおける前記洗浄液の吐出範囲よりも狭いことを特徴とする便座装置である。
【0093】
この便座装置によれば、手動洗浄モードにおける洗浄液の吐出範囲が、自動便器洗浄モードにおける洗浄液の吐出範囲よりも狭いことにより、清掃用具を持っている使用者の手に洗浄液がかかってしまうことをより確実に抑制することができる。
【0094】
第3の態様は、第1又は第2の態様において、前記手動洗浄モードにおける前記洗浄液の吐出量は、前記自動便器洗浄モードにおける前記洗浄液の吐出量よりも少ないことを特徴とする便座装置である。
【0095】
この便座装置によれば、手動洗浄モードにおける洗浄液の吐出量が、自動便器洗浄モードにおける洗浄液の吐出量よりも少ないことにより、清掃用具が濡れ過ぎてしまうことを抑制することができる。例えば、トイレットペーパーを清掃用具として用いた際に、トイレットペーパーが濡れ過ぎて破れてしまうことなどを抑制することができる。
【0096】
第4の態様は、第1~第3のいずれか1つの態様において、前記手動洗浄モードにおける前記洗浄液の吐出方向は、前記自動便器洗浄モードにおける前記洗浄液の吐出方向よりも水平状であることを特徴とする便座装置である。
【0097】
この便座装置によれば、手動洗浄モードにおける洗浄液の吐出方向が、自動便器洗浄モードにおける洗浄液の吐出方向よりも水平状であることにより、使用者が手で持った清掃用具に洗浄液を付着させる作業をより容易にすることができる。例えば、便器内の奥の方まで手を差し入れることなどを抑制することができる。
【0098】
第5の態様は、第1~第4のいずれか1つの態様において、除菌水を生成する除菌水生成部をさらに備え、前記制御部は、前記洗浄液吐出部及び前記除菌水生成部の動作を制御し、前記除菌水を前記洗浄液として前記洗浄液吐出部から吐出させ、前記手動洗浄モードにおける前記除菌水の濃度は、前記自動便器洗浄モードにおける前記除菌水の濃度よりも高いことを特徴とする便座装置である。
【0099】
この便座装置によれば、手動洗浄モードにおける除菌水の濃度が、自動便器洗浄モードにおける除菌水の濃度よりも高いことにより、清掃用具に付着させることによって除菌水の濃度が低下したとしても、清掃用具を用いた手動の拭き取り清掃によって、より適切に便座を除菌することができる。
【0100】
第6の態様は、第1~第5のいずれか1つの態様において、前記手動洗浄モードにおける前記洗浄液の吐出時間は、前記自動便器洗浄モードにおける前記洗浄液の吐出時間よりも短いことを特徴とする便座装置である。
【0101】
この便座装置によれば、手動洗浄モードにおける洗浄液の吐出時間が、自動便器洗浄モードにおける洗浄液の吐出時間よりも短いことにより、使用者が清掃用具に洗浄液を付着させる作業の時間を短くすることができる。
【0102】
第7の態様は、第1~第6のいずれか1つの態様において、前記手動洗浄モードにおける前記洗浄液の単位面積当たりの吐出量は、前記自動便器洗浄モードにおける前記洗浄液の単位面積当たりの吐出量よりも少ないことを特徴とする便座装置である。
【0103】
この便座装置によれば、手動洗浄モードにおける洗浄液の単位面積当たりの吐出量が、自動便器洗浄モードにおける洗浄液の単位面積当たりの吐出量よりも少ないことにより、清掃用具が濡れ過ぎてしまうことを抑制することができる。例えば、トイレットペーパーを清掃用具として用いた際に、トイレットペーパーが濡れ過ぎて破れてしまうことなどを抑制することができる。
【0104】
第8の態様は、第1~第7のいずれか1つの態様において、前記手動洗浄モードは、使用者が清掃用具を手で持って配置可能な前記ボウル部内の場所に向けて前記洗浄液を吐出することを特徴とする便座装置である。
【0105】
この便座装置によれば、手動洗浄モードにおいて、ボウル部内の場所に向けて洗浄液を吐出することにより、便器の外側に洗浄液が飛散してしまうことを抑制することができる。
【0106】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、便座装置などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0107】
2 トイレ装置、 10、10a、10b、10c 便座装置、 12 本体部、 14 便座、 16 便蓋、 20 着座検知センサ、 22 人体検知センサ、 24 手動操作部、 26 便座用モータ、 28 便蓋用モータ、 30 便座ヒータ、 32 送風装置、 34 温風ヒータ、 36 風向き変更部、 40,41,42,43 管路、 50 電磁弁、 52 バキュームブレーカ、 54 除菌水生成部、 56 切替弁、 58 身体洗浄機能部、 58a ノズル、 58b ノズルモータ、 58c ノズル洗浄室、 58d ノズルダンパ、 60 洗浄液吐出部、 62 ノズル、 64 ノズル駆動部、 80 洗剤タンク、 81 ポンプ、 82 洗剤水生成部、 83 泡吐出部、 100 便器、 101 ボウル部