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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】電源回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20231108BHJP
【FI】
H02M3/155 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020039023
(22)【出願日】2020-03-06
(65)【公開番号】P2021141756
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷野 光平
(72)【発明者】
【氏名】長野 昌明
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 智紀
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-130543(JP,A)
【文献】特開2018-7345(JP,A)
【文献】特開2010-130786(JP,A)
【文献】国際公開第2019/239453(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧に接続されたドレインと、ゲートと、ソースとを有するトランジスタと、
前記トランジスタの前記ソースに接続されたカソードと、共通電圧ノードに接続されたアノードとを有するダイオードと、
前記トランジスタの前記ソースおよび前記ダイオードの前記カソードに接続された第1端と、出力ノードに接続された第2端とを有するチョークコイルと、
前記出力ノードと、前記共通電圧ノードとの間に接続されたコンデンサと、
一次巻線と、前記トランジスタの前記ゲートに接続された二次巻線とを有するトランスと、
前記出力ノードにおける電圧である出力電圧に基づいて、前記トランジスタをオンオフさせるための駆動信号を、前記トランスの前記一次巻線に与える制御回路と、
前記出力電圧が過電圧である場合に、過電圧信号を出力する過電圧検出回路と、
前記過電圧信号に応答して、前記トランジスタの前記ゲートと前記ソースとを短絡する短絡回路とを備える、電源回路。
【請求項2】
前記過電圧検出回路は、
前記電源回路の前記出力電圧に比例した電圧を生成する抵抗分圧回路と、
前記抵抗分圧回路によって生成された電圧が基準電圧を上回る場合に前記過電圧信号を出力する比較回路とを含み、
前記抵抗分圧回路は、サーミスタを含む、請求項1に記載の電源回路。
【請求項3】
前記サーミスタは、NTCサーミスタである、請求項2に記載の電源回路。
【請求項4】
前記過電圧検出回路は、
前記出力ノードに接続されたカソードと、アノードとを有するツェナーダイオードと、
前記ツェナーダイオードの前記アノードと前記短絡回路との間に接続された抵抗とを含み、
前記出力ノードにおける前記出力電圧が所定の電圧を超える場合に、前記ツェナーダイオードが、前記抵抗に電流を流すことによって前記過電圧信号を発生させる、請求項1に記載の電源回路。
【請求項5】
前記短絡回路は、
前記過電圧信号に応じて、前記トランジスタの前記ゲートと前記ソースとの間を導通させるフォトカプラを含む、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電源回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は電源回路に関し、特に降圧チョッパ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
特開平9-93909号公報(特許文献1)は、チョッパー型のスイッチング電源回路を開示する。スイッチング電源回路は、NチャンネルMOSFET、インダクタ、コンデンサ、ダイオード、およびチョッパー制御回路を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-93909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
降圧チョッパ回路のハイサイドスイッチ(通常はMOSFET)を駆動するためにパルストランスを利用した駆動回路が知られている。上記駆動回路は、絶縁ゲートドライバなどを使用してハイサイドスイッチを駆動するケースに比べて、部品点数を少なくすることができるので、電源装置の低コスト化が可能である。パルストランスはコントローラにより駆動される。コントローラのドライブ端子からオン信号を出力するときにMOSFETはオンする。一方、コントローラのドライブ端子からオフ信号を出力するとき(ドライブ端子の電圧が0Vのとき)にはMOSFETはオフする。
【0005】
しかし、パルストランス駆動回路は、コントローラのドライブ端子が0Vになっているすべての期間でMOSFETのゲート―ソース間の電荷を引き抜き続けているわけではない。オフ期間でMOSFETのゲート―ソース間の電荷を引き抜くことができていない期間に、MOSFETなどの寄生容量を介してMOSFETのゲート―ソース間に電荷が充電された場合には、MOSFETはオン状態となる。このような場合には、電源回路の出力電圧が上昇しやすい。電源回路の出力電圧が大きく上昇すると、電源回路の部品が損傷する可能性がある。
【0006】
本開示の目的は、過電圧を抑制することが可能な電源回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る電源回路は、入力電圧に接続されたドレインと、ゲートと、ソースとを有するトランジスタと、トランジスタのソースに接続されたカソードと、共通電圧ノードに接続されたアノードとを有するダイオードと、トランジスタのソースおよびダイオードのカソードに接続された第1端と、出力ノードに接続された第2端とを有するチョークコイルと、出力ノードと、共通電圧ノードとの間に接続されたコンデンサと、一次巻線と、トランジスタのゲートに接続された二次巻線とを有するトランスと、出力ノードにおける電圧である出力電圧に基づいて、トランジスタをオンオフさせるための駆動信号を、トランスの一次巻線に与える制御回路と、出力電圧が過電圧である場合に、過電圧信号を出力する過電圧検出回路と、過電圧信号に応答して、トランジスタのゲートとソースとを短絡する短絡回路とを備える。
【0008】
この開示によれば、電源回路の出力電圧が過電圧の状態になることを抑制することができる。
【0009】
上述の開示において、過電圧検出回路は、電源回路の出力電圧に比例した電圧を生成する抵抗分圧回路と、抵抗分圧回路によって生成された電圧が基準電圧を上回る場合に過電圧信号を出力する比較回路とを含み、抵抗分圧回路は、サーミスタを含む。
【0010】
この開示によれば、電源回路の周囲温度の変化に応じて、過電圧検出の閾値を変化させることができる。
【0011】
上述の開示において、サーミスタは、NTCサーミスタである。
この開示によれば、低温時に、電源回路を、過電圧からより確実に保護することができる。
【0012】
上述の開示において、過電圧検出回路は、出力ノードに接続されたカソードと、アノードとを有するツェナーダイオードと、ツェナーダイオードのアノードと短絡回路との間に接続された抵抗とを含み、出力ノードにおける出力電圧が所定の電圧を超える場合に、ツェナーダイオードが、抵抗に電流を流すことによって過電圧信号を発生させる。
【0013】
この開示によれば、より簡素な構成により、過電圧を検出することができる。
上述の開示において、短絡回路は、過電圧信号に応じて、トランジスタのゲートとソースとの間を導通させるフォトカプラを含む。
【0014】
この開示によれば、電源回路の入力側と電源回路の出力側との間の電気的な絶縁を実現できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、過電圧を抑制することが可能な電源回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施の形態に従う電源回路の概略構成を示した回路図である。
図2図1に示す短絡回路および過電圧検出回路の構成例を示した図である。
図3】パルストランスによって、降圧チョッパのトランジスタを駆動する場合に起こりうる課題を説明する波形図である。
図4】本発明の実施の形態に従う電源回路の動作を説明する波形図である。
図5】本実施の形態に従う電源回路の別の構成例を示した回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0018】
<適用例>
図1は、本実施の形態に従う電源回路の概略構成を示した回路図である。図1に示すように、この実施形態では、電源回路1は、降圧チョッパ回路である。電源回路1は、トランジスタTR1と、ダイオードD1と、チョークコイル3と、コンデンサC1と、制御IC4と、パルストランス5と、短絡回路7と、過電圧検出回路9とを備える。
【0019】
トランジスタTR1は、NチャネルMOSFETである。トランジスタTR1は、ドレインと、ゲートと、ソースとを有する。トランジスタTR1のドレインは、入力電圧Vinに接続される。入力電圧Vinは、直流電源2によって生成される直流電圧である。直流電源2は、交流電源および整流回路によって構成されてもよい。さらに、抵抗6がトランジスタTR1のゲートとソースとの間に接続される。
【0020】
ダイオードD1は、トランジスタTR1のソースに接続されたカソードと、共通電圧ノードN2に接続されたアノードとを有する。本実施形態において、共通電圧とは接地電圧である。
【0021】
チョークコイル3は、NチャネルMOSFETのソースおよびダイオードD1のカソードに接続された第1端と、出力ノードN1に接続された第2端とを有する。コンデンサC1は、出力ノードN1と、共通電圧ノードN2との間に接続される。出力ノードN1は電源回路1から電圧(出力電圧Vdc)を出力するためのノードである。出力ノードN1および共通電圧ノードN2には後段回路20が接続される。特に限定されないが、後段回路20は、たとえばDC/DCコンバータであってもよい。
【0022】
パルストランス5は、一次巻線5pと、二次巻線5sとを有する。一次巻線5pは制御IC4に接続される。二次巻線5sは、トランジスタTR1のゲートに接続される。制御IC4は、出力ノードN1における電圧である出力電圧Vdcに基づいて、トランジスタTR1(NチャネルMOSFET)をオンオフさせるための駆動信号を、パルストランス5の一次巻線5pに与える制御回路である。
【0023】
過電圧検出回路9は、出力電圧Vdcが過電圧であることを検出する。出力電圧Vdcが過電圧である場合に、過電圧検出回路9は過電圧信号S1を出力する。
【0024】
短絡回路7は、過電圧検出回路9からの過電圧信号S1に応答して、トランジスタTR1のゲートとソースとを短絡する。トランジスタTR1のゲートとソースとが短絡されることにより、トランジスタTR1のゲート-ソース間容量から電荷が引き抜かれる。
【0025】
図2は、図1に示す短絡回路7および過電圧検出回路9の構成例を示した図である。図2に示すように、短絡回路7は、フォトカプラPHC1と、抵抗12とを含む。
【0026】
フォトカプラPHC1は、過電圧信号S1を受けて発光する発光素子(発光ダイオード)と、受光素子であるフォトトランジスタとを含む。フォトトランジスタは、トランジスタTR1のゲートとソースとの間に、抵抗12と直列に接続される。短絡回路7にフォトカプラPHC1を採用することにより、電源回路1の入力側と電源回路1の出力側との間の電気的な絶縁を実現できる。
【0027】
図2に示す構成例において、電源回路1は、減衰回路8をさらに有する。減衰回路8は、分圧回路であり、所定の比率で出力電圧Vdcを減衰させる。減衰回路8は、過電圧検出回路9に、出力電圧Vdcに比例した電圧V1を与える。
【0028】
過電圧検出回路9は、基準電圧源10と、差動増幅器11と、抵抗R1~R5と、サーミスタTHと、ダイオードD5とを有する。
【0029】
抵抗R1は、基準電圧源10と、差動増幅器11の反転入力端子(図2において「-」と示される)との間に接続される。抵抗R2は、差動増幅器11の反転入力端子と差動増幅器11の出力との間に接続される。
【0030】
抵抗R3,R4およびサーミスタTHは、減衰回路8と共通電圧(接地電圧)との間に直列に接続される。抵抗R3,R4およびサーミスタTHは、分圧回路を構成する。抵抗R3と抵抗R4との接続点N3は、差動増幅器11の非反転入力端子(図2において「+」と示される)に接続される。減衰回路8から電圧V1が供給されるときには、接続点N3において電圧V2が発生する。電圧V2は、電圧V1と分圧比との積により決定される。
【0031】
差動増幅器11は、非反転入力端子における電圧V2と反転入力端子における電圧Vrefとを比較する比較器である。差動増幅器11は、電圧V2と電圧Vrefとの間の電圧差(V2-Vref)を増幅する。差動増幅器11の増幅率は、抵抗R1の抵抗値と抵抗R2の抵抗値との比(R2/R1)である。
【0032】
抵抗R5は、差動増幅器11の出力と、ダイオードD5のアノードとの間に接続される。ダイオードD5のカソードがフォトカプラPHC1の発光素子に接続される。差動増幅器11から出力される過電圧信号S1がフォトカプラPHC1の発光素子に印加されると発光素子が発光する。これにより、フォトカプラPHC1のフォトトランジスタがオンする。
【0033】
フォトカプラPHC1のフォトトランジスタがオンすることにより、トランジスタTR1のゲートとソースとが短絡される。このとき、フォトトランジスタに電流が流れる。すなわちトランジスタTR1のゲート-ソース間容量から電荷が引き抜かれる。
【0034】
次に、図2に示した回路の動作について具体的に説明する。なお、以下に示した数値は一例であって、本発明の実施の形態を限定するものではない。
【0035】
出力電圧Vdcの設定値が380Vであり、入力電圧Vinが600Vであるとする。出力電圧Vdcが450Vになったときに、トランジスタTR1が強制的にオフされる。すなわち出力電圧Vdcが450Vに達したときに過電圧が検出される。
【0036】
減衰回路8は、出力電圧Vdcを1/100に減衰させた電圧を差動増幅器11に与える。出力電圧Vdcが450Vであるときには、差動増幅器11の非反転入力端子の電圧V2は、4.5Vである。
【0037】
差動増幅器11は、過電圧信号S1を発生させる。基準電圧源10からの電圧Vrefを4.2Vとする。抵抗R1の抵抗値および抵抗R2の抵抗値の比(R2/R1)を100とする。このとき差動増幅器11の出力電圧は、30Vになる((450/100-4.2)×100=30)。
【0038】
フォトカプラPHC1の発光素子には、過電圧信号S1の電圧に応じた電流Ifが流れる。電流Ifは、If=30/R5(R5は抵抗R5の抵抗値)と表される。発光素子に電流Ifが流れることによって、フォトカプラPHC1のフォトトランジスタがオンする。フォトトランジスタがオンすることによって、フォトトランジスタのコレクタ-エミッタ間に電流Icが流れる。電流IcはIc=If*CTR(CTR:電流伝達率)によって求められる。
【0039】
図3は、パルストランスによって、降圧チョッパのトランジスタを駆動する場合に起こりうる課題を説明する波形図である。図1および図2に示すように、制御IC4は、トランジスタTR1をオンおよびオフさせる信号をドライブ端子から出力する。制御IC4の出力信号はパルストランス5の一次巻線5pに印加される。これによりパルストランス5の二次巻線5sに電圧が誘起される。
【0040】
トランジスタTR1のゲートはパルストランス5の二次巻線5sに接続される。基本的には、トランジスタTR1のゲートの電圧(ゲート電圧Vgs)は、制御IC4から出力される信号に追随して変化する。制御IC4からの制御信号がオフ状態になっている期間では、パルストランス5の二次巻線5sに電流が流れる。これによりMOSFETのゲート―ソース間容量は電荷を放出する。
【0041】
しかし、制御IC4からの制御信号がオフである期間が長い場合、パルストランス5の二次巻線5sには電流が流れなくなる期間が発生する。このため、この期間に寄生容量などを介しトランジスタTR1のゲート―ソース間容量に電荷が蓄積された場合、制御信号がオフ状態であるにもかかわらず、ゲート電圧Vgsが上昇することが起こりえる。
【0042】
通常では、コンデンサC1が出力電圧Vdcを平滑化するので、出力電圧Vdcが設定電圧を大きく上回ることが防がれる。しかし、たとえば電源回路1の周囲温度が低い場合には、コンデンサC1の容量が低下する。あるいは電源回路1の周囲温度が低い場合には、コンデンサC1のESR(等価直列抵抗)が大きくなる。このような場合には、コンデンサC1による出力電圧の平滑化が十分でないために、図3に示すように出力電圧Vdcが大きく上昇する可能性がある。
【0043】
図4は、本発明の実施の形態に従う電源回路1の動作を説明する波形図である。図4に示すように、本発明の実施の形態では、出力電圧Vdcが過電圧検出レベルに達したときに、過電圧検出回路9が、短絡回路7を動作させる。図2に示された構成例では、過電圧検出回路9が過電圧信号S1によってフォトカプラPHC1をオンさせる。フォトカプラPHC1がオンすることによって、トランジスタTR1のゲートとソースとが短絡される。これにより、トランジスタTR1のゲート-ソース間容量から電荷が引き抜かれて、ゲート電圧Vgsが低下する。ゲート電圧Vgsが閾値電圧Vgsthを下回るので、トランジスタTR1がオフされる。本実施の形態では、トランジスタTR1を強制的にオフすることができるので、出力電圧Vdcの大幅な上昇を抑えることができる。したがって、出力電圧Vdcを設定電圧以下に抑えることができる。
【0044】
上述のように、特に電源回路1の周囲温度が低い場合には、コンデンサC1の容量の低下あるいはコンデンサC1のESRの上昇によって、出力電圧Vdcの上昇が生じやすい。図2に示されるように、本実施の形態では、サーミスタTHが抵抗R4に直列に接続される。これにより、電源回路1の周囲温度の変化に応じて、過電圧検出の閾値を変化させることができる。
【0045】
好ましくは、サーミスタTHはNTCサーミスタである。温度が低下するにつれてNTCサーミスタの抵抗値が増大するので、抵抗R4の抵抗値およびサーミスタTHの抵抗値の合計値(合成抵抗の値)が増加する。抵抗R3の抵抗値に対する合成抵抗の値の比が大きくなるので、過電圧検出回路9を作動させるための出力電圧Vdcの閾値を下げることができる。たとえば周囲温度が低い場合、出力電圧Vdcが410Vのときに過電圧検出機能を動作させることができるので、電源回路1を、過電圧からより確実に保護することができる。さらに、差動増幅器11の増幅率も上げることができる。
【0046】
なお、過電圧検出回路の構成は図2に示された構成に限定されるものではない。図5は、本実施の形態に従う電源回路の別の構成例を示した回路図である。電源回路1は、過電圧検出回路9に替えて過電圧検出回路9Aを備える。過電圧検出回路9Aは、ツェナーダイオードZD1および抵抗R10を含む。ツェナーダイオードZD1のカソードは、出力ノードN1に接続される。抵抗R10は、ツェナーダイオードZD1のアノードと、フォトカプラPHC1の発光素子との間に接続される。ツェナーダイオードZD1、抵抗R10および、フォトカプラPHC1の発光素子(発光ダイオード)は、出力ノードN1と共通電圧ノードN2との間に直列に接続される。
【0047】
図5に示す構成においては、ツェナーダイオードZD1のツェナー電圧Vzが、過電圧を検出するための出力電圧Vdcの閾値電圧に相当する。出力電圧Vdcが、ツェナーダイオードZD1のツェナー電圧を上回ると、ツェナーダイオードZD1および抵抗R10に電流が流れる。すなわち過電圧信号S1が発生する。これによりフォトカプラPHC1の発光素子が発光してフォトカプラPHC1のフォトトランジスタがオンする。したがって、図2に示した構成と同様に、トランジスタTR1のゲート-ソース間容量から電荷が引き抜かれて、ゲート電圧Vgsが低下する。ゲート電圧Vgsが閾値電圧Vgsthを下回るので、トランジスタTR1がオフされる。したがって出力電圧Vdcの大幅な上昇を抑えることができる。さらに、図5に示す構成によれば、図2に示す構成に比べて、過電圧検出回路の構成を簡素化することができる。
【0048】
同様に、短絡回路7の構成は、図2および図5に示された構成に限定されない。短絡回路7は、MOSFET(トランジスタTR1)のゲート-ソース間の電荷を引き抜くことが可能なよう、種々の構成を有し得る。
【0049】
<付記>
上述したような実施の形態は、以下のような技術思想を含む。
【0050】
(構成1)
入力電圧(Vin)に接続されたドレインと、ゲートと、ソースとを有するトランジスタ(TR1)と、
前記トランジスタ(TR1)の前記ソースに接続されたカソードと、共通電圧ノード(N2)に接続されたアノードとを有するダイオード(D1)と、
前記トランジスタ(TR1)の前記ソースおよび前記ダイオード(D1)の前記カソードに接続された第1端と、出力ノード(N1)に接続された第2端とを有するチョークコイル(3)と、
前記出力ノード(N1)と、前記共通電圧ノード(N2)との間に接続されたコンデンサ(C1)と、
一次巻線(5p)と、前記トランジスタ(TR1)の前記ゲートに接続された二次巻線(5s)とを有するトランス(5)と、
前記出力ノード(N1)における電圧である出力電圧(Vdc)に基づいて、前記トランジスタ(TR1)をオンオフさせるための駆動信号を、前記トランス(5)の前記一次巻線(5p)に与える制御回路(4)と、
前記出力電圧(Vdc)が過電圧である場合に、過電圧信号(S1)を出力する過電圧検出回路(9,9A)と、
前記過電圧信号(S1)に応答して、前記トランジスタ(TR1)の前記ゲートと前記ソースとを短絡する短絡回路(7)とを備える、電源回路(1)。
【0051】
(構成2)
前記過電圧検出回路(9)は、
前記電源回路(1)の前記出力電圧(Vdc)に比例した電圧(V2)を生成する抵抗分圧回路(R3,R4,TH)と、
前記抵抗分圧回路(R3,R4,TH)によって生成された電圧(V2)が基準電圧(Vref)を上回る場合に前記過電圧信号(S1)を出力する比較回路(11)とを含み、
前記抵抗分圧回路(R3,R4,TH)は、サーミスタ(TH)を含む、構成1に記載の電源回路。
【0052】
(構成3)
前記サーミスタ(TH)は、NTCサーミスタである、構成2に記載の電源回路。
【0053】
(構成4)
前記過電圧検出回路(9A)は、
前記出力ノード(N1)に接続されたカソードと、アノードとを有するツェナーダイオード(ZD1)と、
前記ツェナーダイオード(ZD1)の前記アノードと前記短絡回路(7)との間に接続された抵抗(R10)とを含み、
前記出力ノード(N1)における前記出力電圧(Vdc)が所定の電圧を超える場合に、前記ツェナーダイオード(ZD1)が、前記抵抗(R10)に電流を流すことによって前記過電圧信号(S1)を発生させる、構成1に記載の電源回路。
【0054】
(構成5)
前記短絡回路(7)は、
前記過電圧信号に応じて、前記トランジスタの前記ゲートと前記ソースとの間を導通させるフォトカプラ(PHC1)を含む、構成1から構成4のいずれか1つに記載の電源回路。
【0055】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0056】
1 電源回路、2 直流電源、3 チョークコイル、4 制御IC、5 パルストランス、5p 一次巻線、5s 二次巻線、6,12,R1~R5,R10 抵抗、7 短絡回路、8 減衰回路、9,9A 過電圧検出回路、10 基準電圧源、11 差動増幅器、20 後段回路、C1 コンデンサ、D1,D5 ダイオード、N1 出力ノード、N2 共通電圧ノード、N3 接続点、PHC1 フォトカプラ、S1 過電圧信号、TH サーミスタ、TR1 トランジスタ、ZD1 ツェナーダイオード。
図1
図2
図3
図4
図5