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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】非常用照明装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/20 20200101AFI20231108BHJP
【FI】
H05B47/20
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020068329
(22)【出願日】2020-04-06
(65)【公開番号】P2021166131
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148057
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 淑己
(72)【発明者】
【氏名】篠田 健吾
(72)【発明者】
【氏名】今▲吉▼ ちづる
(72)【発明者】
【氏名】江口 健太郎
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-35652(JP,A)
【文献】特開2005-285407(JP,A)
【文献】特開2018-160384(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池と、
前記電池から電力を供給されて点灯する光源と、
前記電池が前記光源を予め定められた規定時間、点灯させることが可能であるかを自動点検する制御回路と、
外部電源から電力を供給されて動作するフリップフロップ回路と、
を備え、
前記制御回路は、前記電池から電力を供給されて前記自動点検を実施し、前記自動点検を実施中であることを示す点検情報を前記フリップフロップ回路に記憶させることを特徴とする非常用照明装置。
【請求項2】
前記制御回路は、前記自動点検中にリセットされて再起動すると、前記フリップフロップ回路から前記点検情報を読み出し、前記点検情報に基づき、前記電池が前記光源を前記規定時間、点灯させることが可能であるかを判定することを特徴とする請求項1に記載の非常用照明装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記自動点検の終了後に前記フリップフロップ回路に記憶された前記点検情報を解除することを特徴とする請求項1または2に記載の非常用照明装置。
【請求項4】
前記制御回路は、前記フリップフロップ回路をセット信号またはリセット信号の一方を入力することで、前記フリップフロップ回路に前記点検情報を記憶させ、前記自動点検の終了後に前記フリップフロップ回路に前記セット信号または前記リセット信号の他方を入力することで、前記フリップフロップ回路に記憶された前記点検情報を解除することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の非常用照明装置。
【請求項5】
前記制御回路は、前記点検情報を前記フリップフロップ回路に記憶させた後、前記光源を点灯させて前記自動点検を実施することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の非常用照明装置。
【請求項6】
前記フリップフロップ回路は、前記外部電源からトランスを介して電力を供給されることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の非常用照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、非常用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光源となるランプと、ランプに電力供給する2次電池とを備える照明装置が開示されている。この照明装置は、外部の常用電源から電力供給を受けて2次電池を充電する充電部を備える。また、照明装置は、常用電源が停電したときに2次電池からの電力供給でランプを点灯させる点灯回路部を備える。また、照明装置は、2次電池の定期点検のための動作と常時監視のための動作を制御し、定期点検の結果と常時監視の結果とを総合的に判断して2次電池の異常を検出する制御部を備える。制御部の電源は、2次電池の点検動作中においても、常用電源と2次電池の双方から電力供給を受ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-353424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、誘導灯または非常灯などの非常用照明装置は、2次電池である非常用蓄電池により規定時間以上正常に点灯するか否かの点検を定期的に行うように、消防庁告示及び建築基準法などで義務付けられている。このような点検を自動で行う自動点検時に、電池電圧から制御回路の電源電圧を取得する非常用照明装置では、制御回路が動作可能な電源電圧値を電池電圧が下回ることで、制御回路がリセットされる場合がある。このとき、制御回路が保持する自動点検を実施中であることを示す情報もリセットされることが考えられる。これにより、制御回路は電池異常の表示をせずに充電状態に戻るおそれがある。
【0005】
また、特許文献1では、常用電源から電力供給を行うことで2次電池の正確な点検を可能とする提案がされている。しかし、常用電源の供給が無くなった際の非常点灯時を模擬するための自動点検であるにも関わらず、特許文献1では常用電源から制御回路に電力供給を行うため、正確に模擬が出来ていないという課題があった。
【0006】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、電池の点検を正確に行うことが可能な非常用照明装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る非常用照明装置は、電池と、該電池から電力を供給されて点灯する光源と、該電池が該光源を予め定められた規定時間、点灯させることが可能であるかを自動点検する制御回路と、外部電源から電力を供給されて動作するフリップフロップ回路と、を備え、該制御回路は、該電池から電力を供給されて該自動点検を実施し、該自動点検を実施中であることを示す点検情報を該フリップフロップ回路に記憶させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る非常用照明装置では、自動点検を実施中であることを示す点検情報をフリップフロップ回路に記憶させる。このため、電池の点検を正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る非常用照明装置の構成を説明する図である。
図2】実施の形態1に係るフリップフロップ回路を示す図である。
図3】比較例に係る非常用照明装置の動作を説明するフローチャートである。
図4】実施の形態1に係る非常用照明装置の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施の形態に係る非常用照明装置について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る非常用照明装置100の構成を説明する図である。非常用照明装置100は、点灯装置10と、光源85を有する光源部80とを備える。非常用照明装置100は例えば誘導灯または非常灯である。
【0012】
光源部80は例えばLEDモジュールである。光源部80は複数の光源85を有する。光源85は例えばLED等の発光素子である。複数の光源85は直列に接続される。光源部80は光源85を1つ以上備えれば良い。また、複数の光源85は並列または直並列に接続されても良い。
【0013】
点灯装置10の入力側には、外部電源ACが接続されている。外部電源ACは、例えば商用の交流電源である。点灯装置10は、外部電源ACから電力を供給され、光源85を点灯させる。
【0014】
点灯装置10は整流回路DB1と絶縁型フライバック回路を有する。整流回路DB1はダイオードブリッジとも呼ばれる。整流回路DB1は外部電源ACの交流電力を整流する。整流回路DB1の一対の出力端には、コンデンサC1が並列に接続される。整流回路DB1の一対の出力端の高電位側には、トランスT1の一次側の一端が接続される。トランスT1はフライバックトランスとも呼ばれる。トランスT1の一次側の他端は、フライバックコントロールIC14に接続される。
【0015】
フライバックコントロールIC14は、スイッチング素子を内蔵している。フライバックコントロールIC14に含まれるスイッチング素子は、例えばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)である。フライバックコントロールIC14は内蔵するスイッチング素子のオンオフを制御して、トランスT1に流れる電流を制御する。
【0016】
トランスT1の一次側の補助巻き線にはダイオードD1のアノードが接続される。ダイオードD1のカソードは、フライバックコントロールIC14とコンデンサC2の正極に接続される。ダイオードD1は、フライバックコントロールIC14の電源をトランスT1の補助巻き線から供給する。コンデンサC2の負極は接地用端子と接続される。
【0017】
コンデンサC1と並列に停電検出部12が接続される。ダイオードD1のカソードは、停電検出部12と接続される。
【0018】
フライバックコントロールIC14には抵抗R1を介してフォトカプラPC1-1が接続される。フォトカプラPC1-1は、トランスT1の二次側の情報をフライバックコントロールIC14に入力するために設けられる。抵抗R1とフライバックコントロールIC14とを接続する線路と、接地用端子との間にはコンデンサC3が接続される。
【0019】
トランスT1の二次側のフライバック巻き線の一端には、ダイオードD2のアノードが接続される。ダイオードD2は、出力側に安定した電圧を伝達するために設けられる。ダイオードD2のカソードには、コンデンサC4の正極が接続される。コンデンサC4の負極は接地用端子に接続される。また、接地用の線路において、トランスT1の一次側と二次側はコンデンサC6によって絶縁されている。
【0020】
トランスT1の二次側のフォワード巻きの出力には、ダイオードD3のアノードが接続される。ダイオードD3のカソードと接地用端子との間にはコンデンサC5が接続される。ダイオードD3のカソードとコンデンサC5の正極には、スイッチング素子Q1の第1端子が接続される。スイッチング素子Q1は、例えばMOSFETである。スイッチング素子Q1がMOSFETの場合、第1端子はドレインであり、第2端子はソースであり、制御端子はゲートである。制御端子は第1、第2端子間をスイッチングするための端子である。
【0021】
スイッチング素子Q1の制御端子には抵抗R7の一端が接続される。抵抗R7の他端は制御回路16に接続される。スイッチング素子Q1の第1端子と制御端子との間には、抵抗R6が接続される。スイッチング素子Q1の第2端子には、充電回路18を介して電池40の正極が接続される。電池40の負極は接地用端子に接続される。電池40は、2次電池等の非常用蓄電池である。
【0022】
制御回路16は、充電回路18を制御して電池40を充電する。電池40は、例えば定電流で充電される。電池40は、トランスT1の二次側のフォワード巻きから、スイッチング素子Q1および充電回路18を介して充電電流を供給される。
【0023】
ダイオードD3のカソードには、フリップフロップ回路20が接続される。フリップフロップ回路20には制御回路16が接続される。
【0024】
電池40の正極にはコイルL1の一端が接続される。コイルL1の他端は、ダイオードD6のアノードに接続される。ダイオードD6のカソードはコンデンサC8の正極に接続される。コンデンサC8の負極は接地用端子に接続される。また、コンデンサC8の正極には、ダイオードD5を介して光源部80のアノード側が接続される。
【0025】
コイルL1とダイオードD6の接続点と接地用端子との間には、スイッチング素子Q3が接続されている。スイッチング素子Q3は例えばMOSFETである。スイッチング素子Q3の第1端子は、ダイオードD6のアノードに接続される。スイッチング素子Q3の第2端子はコンデンサC8の負極に接続される。スイッチング素子Q3の制御端子は昇圧IC26に接続される。コイルL1とダイオードD6とスイッチング素子Q3は、昇圧回路30を形成する。昇圧回路30は昇圧コンバータ回路とも呼ばれる。
【0026】
コンデンサC8と並列に電圧検出回路が接続される。電圧検出回路は、直列に接続された抵抗R12と抵抗R13から構成される。電圧検出回路は、昇圧回路30の出力電圧を検出する。抵抗R12と抵抗R13の分圧値は昇圧IC26に入力される。これにより、昇圧IC26は昇圧回路30の出力電圧を検出する。昇圧IC26は、電圧検出回路の検出電圧が予め定められた目標値と一致するように、スイッチング素子Q3をオンオフする。これにより、昇圧IC26は昇圧回路30を定電圧制御する。昇圧回路30は、外部電源ACの停電時等に、電池40の電圧を昇圧して光源85を点灯させる。
【0027】
電池40の正極には非常制御電源回路24が接続される。停電時において制御回路16、昇圧IC26、定電流制御回路28などの制御電源は、電池40から非常制御電源回路24を介して供給される。非常制御電源回路24から昇圧IC26への給電線路と接地用端子との間には、コンデンサC7が接続される。
【0028】
ダイオードD2のカソードとコンデンサC4の正極には、スイッチング素子Q2の第1端子が接続される。スイッチング素子Q2は例えばMOSFETである。スイッチング素子Q2の第2端子にはダイオードD4のアノードが接続される。スイッチング素子Q2の第1端子と制御端子との間には、抵抗R10が接続される。スイッチング素子Q2の制御端子には、抵抗R11を介して制御回路16が接続される。
【0029】
ダイオードD4のカソードには光源部80のアノード側が接続される。また、ダイオードD2のカソードとコンデンサC4の正極には、抵抗R8とツェナダイオードDZ1の直列回路を介してフォトカプラPC1-2が接続される。フォトカプラPC1-2と並列に抵抗R9が接続される。
【0030】
フォトカプラPC1-2と抵抗R9によって、トランスT1の二次側の出力電圧を検出できる。フォトカプラPC1-2は、トランスT1の二次側の出力電圧をトランスT1の一次側に伝達する。フライバックコントロールIC14は、フォトカプラPC1-1を介して、トランスT1の二次側の出力電圧を検出する。フライバックコントロールIC14は、この検出電圧に応じて内蔵するスイッチング素子をオンオフする。これにより、絶縁型フライバック回路の定電圧フィードバックが実現する。
【0031】
外部電源ACから点灯装置10への電力供給があるとき、トランスT1の二次側の出力電圧がスイッチング素子Q2、ダイオードD4を介して光源85に供給される。これにより光源85は点灯する。
【0032】
ダイオードD2のカソードとコンデンサC4の正極には、常用制御電源回路22が接続される。常用制御電源回路22は、トランスT1の二次側の出力電圧から制御回路16および定電流制御回路28の電源を生成する。
【0033】
光源部80のカソード側には、定電流制御回路28と抵抗R14の一端が接続される。抵抗R14の他端は接地用端子と接続される。抵抗R14に発生する電圧は、光源部80を流れる光源電流に対応する。定電流制御回路28は、抵抗R14に発生する電圧を検出する。定電流制御回路28が有する記憶装置には、予め定められた目標値が記憶されている。定電流制御回路28は、抵抗R14に発生する電圧が目標値と一致するように光源電流を定電流制御する。
【0034】
定電流制御回路28はマイコン等の集積回路を有する。また、定電流制御回路28はスイッチング素子を内蔵していても良い。定電流制御回路28が内蔵するスイッチング素子は、例えばMOSFETである。定電流制御回路28は、内蔵するスイッチング素子をオンオフして、光源電流を制御する。
【0035】
図2は、実施の形態1に係るフリップフロップ回路20を示す図である。フリップフロップ回路20はセット端子20a、リセット端子20b、電源端子20c、出力端子20d、トランジスタ20e、20fを有する。セット端子20aとリセット端子20bは、制御回路16に接続される。制御回路16は、セット端子20aにセット信号を入力する。制御回路16は、リセット端子20bにリセット信号を入力する。
【0036】
電源端子20cは、ダイオードD3を介してトランスT1の二次側のフォワード巻きに接続される。フリップフロップ回路20は、外部電源ACからトランスT1を介して電力を供給される。出力端子20dは制御回路16に接続される。
【0037】
セット端子20aに1が入力され、リセット端子20bに0が入力されることで、出力端子20dの出力は0となる。セット端子20aに0が入力され、リセット端子20bに1が入力されることで、出力端子20dの出力は1となる。セット端子20aとリセット端子20bの入力が0の場合、出力端子20dの出力は現在の値が保持される。
【0038】
以下では、セット端子20aが1、リセット端子20bが0となる信号をセット信号と呼ぶ。また、セット端子20aが0、リセット端子20bが1となる信号をリセット信号と呼ぶ。
【0039】
次に、非常用照明装置100の動作を説明する。常用時は、トランスT1は外部電源ACから電圧を供給される。トランスT1の出力電圧は、フライバックコントロールIC14により定電圧制御されて光源85に印加される。また、光源電流は、定電流制御回路28で一定電流に制御される。このように、常用時において光源85は、外部電源ACから電力を供給されて点灯する。なお、常用時は外部電源ACから点灯装置10への給電がある非停電時を示す。外部電源ACは常用電源とも呼ばれる。
【0040】
常用時では、制御回路16はスイッチング素子Q1、Q2をオンさせる信号を出力している。これにより、トランスT1から光源85への給電が可能となる。また、トランスT1から充電回路18を介して電池40を充電することが可能となる。常用時において、電池40は、フォワード巻線で生成された電源から充電回路18を介して常時充電される。
【0041】
常用時において、制御回路16および定電流制御回路28などの制御電源は、定電圧制御されたトランスT1の出力電圧から常用制御電源回路22を介して供給される。
【0042】
非常時では、電池40の電圧を昇圧回路30で昇圧する。昇圧回路30の出力電圧は、光源85に印加される。また、光源電流は、定電流制御回路28で一定電流に制御される。このように、非常時において光源85は、電池40から電力を供給されて点灯する。なお、非常時は、外部電源ACから点灯装置10への給電がない停電時を示す。
【0043】
非常時において、制御回路16、昇圧IC26および定電流制御回路28などの制御電源は、電池40から非常制御電源回路24を介して供給される。
【0044】
次に、自動点検時の非常用照明装置100の動作について説明する。制御回路16は、電池40が光源85を予め定められた規定時間、点灯させることが可能であるかを自動点検する。制御回路16は、電池40から非常制御電源回路24を介して電力を供給されて、自動点検を実施する。
【0045】
自動点検時において、トランスT1は外部電源ACから電圧を供給される。トランスT1の出力電圧は、フライバックコントロールIC14により定電圧制御される。また、自動点検時において制御回路16は、スイッチング素子Q1、Q2をオフさせる信号を出力する。このため、光源85と充電回路18には外部電源ACから電力が供給されない。
【0046】
また、自動点検時において制御回路16は、常用制御電源回路22を停止させる。このため、制御回路16および定電流制御回路28には、常用制御電源回路22から電力が供給されない。自動点検時において、制御回路16、昇圧IC26および定電流制御回路28は、電池40から非常制御電源回路24を介して電力を供給されて動作する。このように、自動点検時において、電池40の電力による各部の動作は非常時と同じとなる。
【0047】
なお、本実施の形態では制御回路16がスイッチング素子Q1、Q2のオンオフを制御する。これに限らず、スイッチング素子Q1、Q2は設けられなくても良い。この場合、制御回路16は直接、トランスT1から光源85および充電回路18への給電をオンオフしても構わない。
【0048】
図3は、比較例に係る非常用照明装置の動作を説明するフローチャートである。比較例に係る非常用照明装置は、フリップフロップ回路20を備えない。また、制御回路16による制御が本実施の形態とは一部異なる。
【0049】
ステップS1において、外部電源ACが入力される。これにより、ステップS2に示されるように、光源85は常用点灯する。また、電池40は充電される。ステップS3において、自動点検が開始される。これにより、ステップS4に示されるように、光源85は電池40から電力を供給されて非常点灯する。
【0050】
光源85が規定時間点灯した場合、ステップS5に示されるように、制御回路16は電池40が正常であると判定する。次に制御回路16は、ステップS6に示されるように、充電モニタ用のランプを点灯させる。制御回路16は、ランプの点灯により正常判定を使用者に通知する。
【0051】
光源85が規定時間未満で消灯した場合、ステップS7に示されるように、制御回路16は電池40が異常または寿命であると判定する。次に制御回路16は、ステップS8に示されるように、充電モニタ用のランプを点滅させる。制御回路16は、ランプの点滅により異常判定または寿命判定を使用者に通知する。
【0052】
ここで、寿命末期の電池または劣化が進んだ電池は、一般に内部インピーダンスが高い。この場合、充電後の電池電圧が正常であっても、非常点灯した際に放電電流と内部インピーダンスにより、急激に電池電圧が下降するおそれがある。このため、自動点検時に電池電圧から制御回路16の電源電圧を取得する場合、電池電圧が制御回路16の動作可能な電圧を下回ることがある。
【0053】
このとき、マイコンのリセット機能等により、制御回路16がリセットされる。制御回路16のリセットにより光源85は消灯する。また、制御回路16が保持していた自動点検を実施中であることを示す情報がリセットされる。これにより、非常用照明装置100は充電状態に戻る。このとき、自動点検を実施中であることを示す情報は失われている。このため、ステップS9に示されるように、制御回路16は電池40が正常であると判定することとなる。従って、制御回路16は、ステップS10に示されるように、ランプを点灯させて正常判定を使用者に通知する。
【0054】
このように、比較例に係る非常用照明装置では、制御回路16のリセットにより電池異常の表示が行われない場合がある。
【0055】
これに対し、制御回路16の制御に関する情報の全てを不揮発性メモリに記憶させることが考えられる。しかし、不揮発性メモリに大きな容量が必要となり、非常用照明装置が大型化する可能性がある。
【0056】
図4は、実施の形態1に係る非常用照明装置100の動作を説明するフローチャートである。ステップS1~ステップS3は、図3で説明した動作と同様である。ステップS3において、外部から電池40の点検要求が入力されることで、制御回路16は自動点検を開始しても良い。また、制御回路16は予め定められた時刻に自動点検を実施しても良い。
【0057】
次に、ステップS104に示されるように、制御回路16は、フリップフロップ回路20に自動点検を実施中であることを示す点検情報をセットする。具体的には、制御回路16は、フリップフロップ回路20にセット信号を入力する。これにより、フリップフロップ回路20の出力端子20dからは論理0が出力され続ける。このように、制御回路16は点検情報をフリップフロップ回路20に記憶させる。
【0058】
次に、制御回路16は、ステップS105に示されるように、光源85を電池40からの電力で非常点灯させる。
【0059】
自動点検において光源85が規定時間点灯した場合、ステップS106に示されるように、制御回路16は電池40が正常であると判定する。次に制御回路16は、ステップS107に示されるように、充電モニタ用のランプを点灯させる。充電モニタ用のランプは、電池40の状態を使用者に通知するために設けられる。制御回路16は、例えばランプの点灯により正常判定を使用者に通知する。
【0060】
自動点検において光源85が規定時間未満で消灯した場合、ステップS108に示されるように、制御回路16は電池40が異常または寿命であると判定する。次に制御回路16は、ステップS109に示されるように、充電モニタ用のランプを点滅させる。制御回路16は、例えばランプの点滅により、異常判定または寿命判定を使用者に通知する。
【0061】
また、自動点検中に電池40から非常制御電源回路24を介して供給される電圧が、制御回路16の電源電圧未満となった場合、マイコンのリセット機能等により、制御回路16がリセットされる。制御回路16のリセットにより光源85は消灯する。
【0062】
制御回路16は、自動点検中にリセットされて再起動すると、フリップフロップ回路20から点検情報を読み出す。制御回路16が読み出す点検情報は、出力端子20dの論理0に対応する。
【0063】
制御回路16は、読みだした点検情報に基づき、自動点検中であったことを認識し、電池40が光源85を規定時間、点灯させることが可能であるかを判定する。これにより制御回路16は、ステップS108に示されるように、電池40が異常または寿命であると判定する。次に制御回路16は、ステップS109に示されるように、充電モニタ用のランプを点滅させる。制御回路16は、例えばランプの点滅により、異常判定または寿命判定を使用者に通知する。
【0064】
次に制御回路16は、ステップS110に示されるように、自動点検の終了後にフリップフロップ回路20に記憶された点検情報を解除する。つまり、制御回路16は、リセット信号を入力し、出力端子20dの出力を論理1とする。
【0065】
また、制御回路16は、正常判定後にもステップS110を実施し、点検情報を解除する。
【0066】
本実施の形態では、制御回路16は自動点検モードに入る際に、フリップフロップ回路20にモードを記憶させる。このため、電池電圧の低下による制御回路16の電源リセットが起こっても、制御回路16はフリップフロップ回路20が記憶する情報に基づき、電池40の異常を外部に報知できる。従って、電池40の点検を正確に行うことができる。
【0067】
また、フリップフロップ回路20は外部電源ACから電力を供給されて動作する。このため、自動点検中に電池電圧が低下しても、フリップフロップ回路20は点検情報を保持できる。制御回路16がリセットされた場合にも、フリップフロップ回路20の点検情報は制御回路16からリセット信号が入力されるまでは保持される。従って、制御回路16は再起動後に自動点検中であったことを認識できる。
【0068】
制御回路16は、電池40から電力を供給されて自動点検を実施する。自動点検において、制御回路16の電源は、外部電源ACから供給されない。従って、非常時と同様の動作を模擬でき、電池40の点検を正確に行うことができる。
【0069】
さらに、点検情報を保持するために制御回路16の不揮発性メモリ等への書き込みを行う必要がない。従って、メモリ容量を低減できる。
【0070】
制御回路16は例えばマイコンである。制御回路16は、マイコン等の1つの制御装置から構成されても良く、複数の制御装置から構成されても良い。制御回路16は、例えば演算部、記憶部、出力部、入力部を有する。演算部は、自動点検の処理を実施するための演算を行う。記憶部は演算部で実施されるプログラム等を記憶する。出力部は、フリップフロップ回路20にセット信号、リセット信号を出力する。入力部は、フリップフロップ回路20から点検情報を読み出す。
【0071】
図2に示されるフリップフロップ回路20は一例である。フリップフロップ回路20は、制御回路16からのセット信号およびリセット信号で信号の保持および解除が可能な回路であればよい。フリップフロップ回路20として、汎用のフリップフロップICまたは別の構成を採用しても良い。
【0072】
本実施の形態では、セット信号が点検情報に対応するものとした。これに限らず、制御回路16は、フリップフロップ回路20にセット信号またはリセット信号の一方を入力することで、フリップフロップ回路20に点検情報を記憶させればよい。また、制御回路16は、フリップフロップ回路20にセット信号またはリセット信号の他方を入力することで、フリップフロップ回路20に記憶された点検情報を解除すれば良い。
【0073】
また、制御回路16は、例えば外部から点検要求が入力されることで通常モードから自動点検モードに切り替わる。制御回路16は、自動点検モードとなると、点検情報をフリップフロップ回路20に記憶させる。制御回路16は点検情報をフリップフロップ回路20に記憶させた後、光源85を点灯させて自動点検を実施する。これに限らず、制御回路16は光源85の非常点灯を開始した後に、点検情報をフリップフロップ回路20に記憶させても良い。
【0074】
なお、本実施の形態で説明した技術的特徴は適宜に組み合わせて用いてもよい。
【符号の説明】
【0075】
10 点灯装置、12 停電検出部、16 制御回路、18 充電回路、20 フリップフロップ回路、20a セット端子、20b リセット端子、20c 電源端子、20d 出力端子、20e、20f トランジスタ、22 常用制御電源回路、24 非常制御電源回路、28 定電流制御回路、30 昇圧回路、40 電池、80 光源部、85 光源、100 非常用照明装置、AC 外部電源、C1~C8 コンデンサ、D1~D6 ダイオード、DB1 整流回路、DZ1 ツェナダイオード、14 フライバックコントロールIC、26 昇圧IC、L1 コイル、PC1-1、PC1-2 フォトカプラ、Q1~Q3 スイッチング素子、R1、R6~R14 抵抗、T1 トランス
図1
図2
図3
図4