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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】内燃機関の吸気装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 35/10 20060101AFI20231108BHJP
   F02M 35/04 20060101ALI20231108BHJP
   F02M 35/104 20060101ALI20231108BHJP
   F02M 35/12 20060101ALI20231108BHJP
   B60K 13/02 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
F02M35/10 101D
F02M35/10 101M
F02M35/04 A
F02M35/104 H
F02M35/12 A
B60K13/02 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020079531
(22)【出願日】2020-04-28
(65)【公開番号】P2021173251
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻 勇佑
(72)【発明者】
【氏名】町野 厚己
【審査官】津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-48210(JP,A)
【文献】特開2011-74762(JP,A)
【文献】特開2011-213328(JP,A)
【文献】特開2017-36679(JP,A)
【文献】特開2019-173721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 35/10
B60K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気筒列が車両幅方向に延びる内燃機関の上方に設置されるエアクリーナと、
下流端部が前記内燃機関の後部に連結され、上流側が前記内燃機関の上面より上方に突出する吸気マニホールドと、
前記内燃機関の気筒列方向の一端部に外気を取り入れる吸気口を有するとともに、前記内燃機関の気筒列方向の他端部が前記エアクリーナに連結され、前記内燃機関の上方で、かつ前記吸気マニホールドの前方に設置される吸気ダクトと、
連通部によって前記吸気ダクトに連通する容積部を有し、前記容積部が車両の前後方向で前記吸気ダクトと前記吸気マニホールドとの間に設置されるレゾネータとを有する内燃機関の吸気装置であって、
前記内燃機関を車両の上方から見た場合に、前記吸気ダクトは、前記吸気口より車両後方側に延びる上流ダクト部と、前記上流ダクト部から車両前方に反転する反転ダクト部と、前記反転ダクト部から車両前方に延びる下流ダクト部とからなるU字状通路部を有し、
前記U字状通路部の内周面に囲まれる空間の下部に前記上流ダクト部と前記下流ダクト部を相互に連結する連結板が設けられており、
前記連結板の後端部を前記反転ダクト部の下部より下方に位置させ、車両の前方から取り入れられる走行風を、前記連結板から前記連結板と前記反転ダクト部の間を通して吸気マニホールド側に導くことを特徴とする内燃機関の吸気装置。
【請求項2】
前記吸気ダクトは、前記吸気口から取り入れられた吸入空気が流れる通路断面が縦長な形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の吸気装置。
【請求項3】
前記連結板は、前記後端部が前端部より低くなるように傾斜されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内燃機関の吸気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の吸気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される内燃機関の吸気装置として、特許文献1に記載される空気取り入れ装置が知られている。この空気取り入れ装置は、内燃機関におけるクランク軸方向の一端部にエアクリーナが配設されており、エアクリーナへの大気空気取り入れ用エアダクト管が、内燃機関の上面とエンジンカバーとの間に配設されている。
【0003】
エアダクト管は、内燃機関におけるクランク軸の方向に延びており、エアダクト管の途中には吸気騒音を低減するためのレゾネータまたはサイドブランチが配設されている。
【0004】
エンジンカバー、エアダクト管およびレゾネータの後方には吸気マニホールドが配設されており、吸気マニホールドは、吸気管を介してエアクリーナに連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-59456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、吸気マニホールドを流れる吸入空気を冷却して吸気温度を下げると、空気の密度が高くなり、内燃機関の充填効率を高めて内燃機関の出力の向上と燃費の向上を図ることができる。
【0007】
しかしながら、従来の空気取り入れ装置にあっては、エンジンカバー、エアダクト管およびレゾネータが吸気マニホールドの前方に配置されているため、走行風がエンジンカバー、エアダクト管およびレゾネータに遮られてしまう。
【0008】
このため、走行風が吸気マニホールドに到達し難く、走行風によって吸気マニホールドを冷却することができず、吸気温度を低下させることができない。
【0009】
本発明は、上記のような事情に着目してなされたものであり、吸気温度を下げて内燃機関の充填効率を向上でき、内燃機関の出力性能と燃費を向上できる内燃機関の吸気装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、気筒列が車両幅方向に延びる内燃機関の上方に設置されるエアクリーナと、下流端部が前記内燃機関の後部に連結され、上流側が前記内燃機関の上面より上方に突出する吸気マニホールドと、前記内燃機関の気筒列方向の一端部に外気を取り入れる吸気口を有するとともに、前記内燃機関の気筒列方向の他端部が前記エアクリーナに連結され、前記内燃機関の上方で、かつ前記吸気マニホールドの前方に設置される吸気ダクトと、連通部によって前記吸気ダクトに連通する容積部を有し、前記容積部が車両の前後方向で前記吸気ダクトと前記吸気マニホールドとの間に設置されるレゾネータとを有する内燃機関の吸気装置であって、前記内燃機関を車両の上方から見た場合に、前記吸気ダクトは、前記吸気口より車両後方側に延びる上流ダクト部と、前記上流ダクト部から車両前方に反転する反転ダクト部と、前記反転ダクト部から車両前方に延びる下流ダクト部とからなるU字状通路部を有し、前記U字状通路部の内周面に囲まれる空間の下部に前記上流ダクト部と前記下流ダクト部を相互に連結する連結板が設けられており、前記連結板の後端部を前記反転ダクト部の下部より下方に位置させ、車両の前方から取り入れられる走行風を、前記連結板から前記連結板と前記反転ダクト部の間を通して吸気マニホールド側に導くことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
このように上記の本発明によれば、吸気温度を下げて内燃機関の充填効率を向上でき、内燃機関の出力性能と燃費を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の一実施例に係る吸気装置を備えた内燃機関の正面図である。
図2図2は、本発明の一実施例に係る吸気装置を備えた内燃機関を右前斜め上方から見た図である。
図3図3は、本発明の一実施例に係る吸気装置を備えた内燃機関の右側面図である。
図4図4は、本発明の一実施例に係る吸気装置を備えた内燃機関の平面図である。
図5図5は、図1のV-V方向矢視断面図である。
図6図6は、本発明の一実施例に係る内燃機関の吸気装置の吸気ダクト、レゾネータおよびガイド部材を前側上方から見た図である。
図7図7は、図4の吸気ダクトおよびレゾネータのVII-VII方向矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施の形態に係る内燃機関の吸気装置は、気筒列が車両幅方向に延びる内燃機関の上方に設置されるエアクリーナと、下流端部が内燃機関の後部に連結され、上流側が内燃機関の上面より上方に突出する吸気マニホールドと、内燃機関の気筒列方向の一端部に外気を取り入れる吸気口を有するとともに、内燃機関の気筒列方向の他端部がエアクリーナに連結され、内燃機関の上方で、かつ吸気マニホールドの前方に設置される吸気ダクトと、連通部によって吸気ダクトに連通する容積部を有し、容積部が車両の前後方向で吸気ダクトと吸気マニホールドとの間に設置されるレゾネータとを有する内燃機関の吸気装置であって、内燃機関を車両の上方から見た場合に、吸気ダクトは、吸気口より車両後方側に延びる上流ダクト部と、上流ダクト部から車両前方に反転する反転ダクト部と、反転ダクト部から車両前方に延びる下流ダクト部とからなるU字状通路部を有し、U字状通路部の内周面に囲まれる空間の下部に上流ダクト部と下流ダクト部を相互に連結する連結板が設けられており、連結板の後端部を反転ダクト部の下部より下方に位置させ、車両の前方から取り入れられる走行風を、連結板から連結板と反転ダクト部の間を通して吸気マニホールド側に導く。
【0014】
これにより、本発明の一実施の形態に係る内燃機関の吸気装置は、吸気温度を下げて内燃機関の充填効率を向上でき、内燃機関の出力性能と燃費を向上できる。
【実施例
【0015】
以下、本発明の一実施例に係る内燃機関の吸気装置について、図面を用いて説明する。
図1から図7は、本発明の一実施例に係る内燃機関の吸気装置を示す図である。図1から図7において、上下前後左右方向は、車両に設置された状態の内燃機関を基準とし、車両の前後方向を前後方向、車両の左右方向(車両の幅方向)を左右方向、車両の上下方向(車両の高さ方向)を上下方向とする。
【0016】
まず、構成を説明する。
図1において、車両1のエンジンルーム1Aには内燃機関としてのエンジン2が設置されている。図3に示すように、エンジンルーム1Aは、ダッシュパネル1Bによって図示しない車室と仕切られており、上部がフロントフード1Cによって覆われている。
【0017】
エンジンルーム1Aの前部は、フロントバンパ1Dによって閉じられており、エンジンルーム1Aにはフロントバンパ1Dに形成された図示しないフロントグリル等の開口部を通して走行風が取り入れられる。
【0018】
図1図2に示すように、エンジン2は、シリンダブロック3と、シリンダブロック3の上部に設けられたシリンダヘッド4と、シリンダヘッド4の上部に設けられたシリンダヘッドカバー5と、シリンダブロック3とシリンダヘッド4の右側面に取付られたチェーンカバー6とを備えている。
【0019】
シリンダブロック3には図示しない複数の気筒が設けられており、気筒は、車両1の幅方向(以下、車幅方向という)に並んで設置されている。なお、気筒の配列方向(左右方向)を気筒列方向Lという。本実施例のエンジン2は、横置きエンジンである。
【0020】
気筒にはそれぞれ図示しないピストンが収容されており、ピストンは、図示しないコネクティングロッドを介して図示しないクランク軸に連結されている。ピストンは、気筒内で往復運動することにより、コネクティングロッドを介してクランク軸を回転させる。
【0021】
シリンダヘッド4には図示しない複数の吸気ポートと複数の排気ポートが形成されている。
【0022】
吸気ポートは、それぞれ気筒に連通しており、吸入空気を気筒に導入する。図1に示すように、シリンダヘッド4の前部には排気マニホールド4Aが形成されている。
【0023】
排気マニホールド4Aは、排気ポートを通して複数の気筒に連通しており、複数の気筒から排出された排気ガスを集合して排気口4aから図示しない触媒コンバータに排出する。
【0024】
チェーンカバー6は、いずれも図示しないクランク軸のクランクスプロケットと吸気カム軸の吸気スプロケットと排気カム軸の排気スプロケットとに巻き掛けられたチェーンを覆っている。
【0025】
図1から図4に示すように、シリンダヘッドカバー5の上方には吸気装置10が設置されており、吸気装置10は、吸気ダクト11、エアクリーナ12、レゾネータ13、エアアウトレットホース14および吸気マニホールド15を備えている。
【0026】
図1図4に示すように、吸気ダクト11は、シリンダヘッドカバー5の上方に設置されており、エンジン2の気筒列方向Lに延びている。吸気ダクト11の気筒列方向Lの右端部には気筒列方向Lの右方(一方)に向かって開口する吸気口11aが設けられている(図2図3参照)。
【0027】
吸気ダクト11は、車両1の前方からエンジンルーム1Aに取り入れられた走行風(外気)を吸気口11aから取り入れる。具体的には、吸気ダクト11は、エンジン2の負圧によって外気を吸入する。
【0028】
エアクリーナ12は、シリンダヘッドカバー5の上方に設置されている。エアクリーナ12には吸気ダクト11の気筒列方向Lの左端部11bに連結されており、エアクリーナ12には吸気ダクト11から吸入空気が導入される。本実施例の吸気口11aは、本発明の吸気ダクトの気筒列方向の一端部を構成し、左端部11bは、本発明の吸気ダクトの気筒列方向の他端部を構成する。
【0029】
エアクリーナ12の内部には図示しないエアクリーナエレメントが設けられており、吸気ダクト11からエアクリーナ12に導入された吸入空気に含まれた塵等の異物は、エアクリーナエレメントによって除去される。
【0030】
レゾネータ13は、シリンダヘッドカバー5の上方に設置されており、連通管部16と箱状の容積部17を有する。連通管部16は、吸気ダクト11と容積部17とを連結しており、連通管部16の内部には吸気ダクト11と容積部17とを連通する連通路16aが形成されている(図4参照)。
【0031】
図4に示すように、容積部17は、吸気ダクト11の後方で、かつ吸気マニホールド15の前方に設置されている。すなわち、容積部17は、前後方向で吸気ダクト11と吸気マニホールド15の間に設置されている。
【0032】
レゾネータ13は、吸気ダクト11から連通路16aを通して容積部17に吸入空気が導入されることにより、容積部17によって吸気騒音を低減する。本実施例の連通路16aを有する連通管部16は、本発明の連通部を構成する。
【0033】
吸気マニホールド15は、箱状のサージタンク18と分岐管19A、19B、19Cとを有し、エンジン2の後方に設置されている。
【0034】
図3図5に示すように、サージタンク18の前部は、前後方向でシリンダヘッドカバー5に重なっており、サージタンク18の後部は、シリンダヘッドカバー5の後方に位置している。サージタンク18は、気筒列方向Lに延びており(図4参照)、容積部17の前端17fよりも後方に設置されている。
【0035】
図4に示すように、エアアウトレットホース14は、エアクリーナ12とサージタンク18とを連結しており、サージタンク18には吸気ダクト11からエアクリーナ12に導入されて浄化された吸入空気がエアアウトレットホース14を通して導入される。
【0036】
分岐管19A、19B、19Cは、サージタンク18からエンジン2の後部に延びており、延びる方向の下流端部19cがシリンダヘッド4に連結されている。
【0037】
具体的には、図3図5に示すように、分岐管19A、19B、19Cは、吸入空気の流れる方向の下流端部19cがシリンダヘッド4の後部に連結されている(但し、図3図5は、分岐管19Cと分岐管19Cの下流端部19cのみを図示)。
【0038】
分岐管19A、19B、19Cは、下流端部19cからシリンダヘッドカバー5の上面5aよりも上方に突出しており、上流端部19uがサージタンク18に連結されている。本実施例のシリンダヘッドカバー5の上面5aは、本発明の内燃機関の上面を構成する。
【0039】
すなわち、吸気マニホールド15は、分岐管19A、19B、19Cの下流端部19cがシリンダヘッド4に連結され、下流端部19cよりも上流側の上流端部19uやサージタンク18がシリンダヘッドカバー5の上面5aより上方に突出している。本実施例の分岐管19A、19B、19Cの上流端部19uやサージタンク18は、本発明の吸気マニホールドの上流側に相当する。
【0040】
ここで、上流、下流とは吸入空気が流れる方向に対して上流、下流を表す。吸気口11aに対して分岐管19A、19B、19C側が下流であり、分岐管19A、19B、19Cに対して吸気口11a側が上流である。
【0041】
図3に示すように、吸気ダクト11、レゾネータ13および吸気マニホールド15は、前側から後側に向かって吸気ダクト11、レゾネータ13および吸気マニホールド15の順に設置されており、前後方向に並んでいる。
【0042】
分岐管19A、19B、19Cの内部には図示しない分岐通路が形成されており、分岐通路は、シリンダヘッド4の吸気ポートにそれぞれ連通されている。エアアウトレットホース14からサージタンク18に導入された吸入空気は、分岐通路から吸気ポートを通して各気筒に分配される。
【0043】
図4に示すように、エアアウトレットホース14とサージタンク18の間にバルブボディ20が設けられている。バルブボディ20にはスロットルバルブ20Aが収容されている。
【0044】
スロットルバルブ20Aは、エアアウトレットホース14の通路断面積を可変してエンジン2の気筒に送り込む吸入空気量を調整する。
【0045】
図1図2に示すように、吸気装置10は、ガイド部材21を備えており、ガイド部材21は、底壁22と縦壁23を有する。
【0046】
図2図6に示すように、底壁22は、吸気ダクト11の吸気口11aの下方に位置し、吸気口11aよりも前方側で、かつ、吸気口11aよりも気筒列方向Lの右方側(一方側)に延びている。
【0047】
縦壁23は、底壁22の気筒列方向Lの右端部22aから上方に延びており、後部が気筒列方向Lで吸気口11aに対向している(図3参照)。
【0048】
ガイド部材21は、車両1の前方からエンジンルーム1Aに取付られた走行風を底壁22と縦壁23とによって吸気口11aやレゾネータ13に導く。
【0049】
図4において、エンジン2を車両1の上方から見た場合に、吸気ダクト11は、U字状通路部11Aを有する。U字状通路部11Aは、吸気口11aより後方側に延びる上流ダクト部11cと、上流ダクト部11cから前方に反転する反転ダクト部11dと、反転ダクト部11dから前方に延びる下流ダクト部11eとから構成されている(図6参照)。
【0050】
U字状通路部11Aには連結板25が取付けられている。連結板25は、U字状通路部11Aの内周面に囲まれる空間26の下部に設置されており、上流ダクト部11cと下流ダクト部11eを相互に連結している。これにより、吸気ダクト11は、連結板25によって補強され、湾曲した形状が維持される。
【0051】
ここで、U字状通路部11Aの内周面に囲まれる空間26は、上流ダクト部11cと反転ダクト部11dと下流ダクト部11eとによって囲まれる空間である。
【0052】
図6図7に示すように、連結板25の後端部25rは、反転ダクト部11dの下部11uより下方に位置しており、連結板25は、車両1の前方からエンジンルーム1Aに取り入れられる走行風が連結板25から連結板25と反転ダクト部11dの間を通して吸気マニホールド15側に導くことができるように構成されている。
【0053】
図3図7に示すように、吸気ダクト11は、吸気口11aから取り入れられた吸入空気が流れる通路断面が縦長な形状に形成されている。すなわち、吸気ダクト11は、吸入空気が流れる方向において縦方向の長さが横方向の長さよりも長く形成されており、通路面積が縦長に形成されている。
【0054】
連結板25は、後端部25rが前端部25fよりも低くなるように傾斜されており、前端部25fは、反転ダクト部11dの下部11uよりも上方に位置している。
【0055】
次に、本実施例の吸気装置10の効果を説明する。
本実施例の吸気装置10は、気筒列が車両幅方向に延びるエンジン2のシリンダヘッドカバー5の上方に設置されるエアクリーナ12と、下流端部19cがシリンダヘッド4の後部に連結され、分岐管19A、19B、19Cの上流端部19uやサージタンク18がシリンダヘッドカバー5の上面5aより上方に突出する吸気マニホールド15とを有する。
【0056】
また、吸気装置10は、エンジン2の気筒列方向Lの右端部に外気を取り入れる吸気口11aを有するとともに、エンジン2の気筒列方向Lの左端部11bがエアクリーナ12に連結され、エンジン2の上方で、かつ吸気マニホールド15の前方に設置される吸気ダクト11を有する。
【0057】
さらに、吸気装置10は、連通管部16の連通路16aによって吸気ダクト11に連通する容積部17を有し、容積部17の前後方向で吸気ダクト11と吸気マニホールド15との間に設置されるレゾネータ13とを有する。
【0058】
エンジン2を車両1の上方から見た場合に、吸気ダクト11は、吸気口11aより後方側に延びる上流ダクト部11cと、上流ダクト部11cから前方に反転する反転ダクト部11dと、反転ダクト部11dから前方に延びる下流ダクト部11eとからなるU字状通路部11Aを有する。
【0059】
U字状通路部11Aの内周面に囲まれる空間26の下部に上流ダクト部11cと下流ダクト部11eを相互に連結する連結板25が設けられており、連結板25の後端部25rを反転ダクト部11dの下部11uより下方に位置させ、車両1の前方からエンジンルーム1Aに取り入れられる走行風W(図5参照)を、連結板25から連結板25と反転ダクト部11dの間を通して吸気マニホールド15側に導く。
【0060】
これにより、吸気マニホールド15を走行風Wによって冷却でき、吸気マニホールド15を流れる吸入空気の温度、すなわち、吸気温度を下げてエンジン2の気筒に導入される吸入空気の密度を高くできる。
【0061】
この結果、エンジン2の気筒に導入される吸入空気の充填効率を向上でき、エンジン2の出力性能と燃費を向上できる。
【0062】
これに加えて、吸気ダクト11がU字状通路部11Aを有するので、吸気ダクト11の設置スペースを低減しつつ、吸気ダクト11の長さを長くでき、吸気騒音の低減を図ることができる。
【0063】
また、本実施例の吸気装置10によれば、吸気ダクト11は、吸気口11aから取り入れられた吸入空気が流れる通路断面が縦長な形状に形成されている。
【0064】
これにより、U字状通路部11Aの内周の空間を拡大でき、より多くの走行風WをU字状通路部11Aの内部の空間に取り入れることができ、より多くの吸入空気を吸気マニホールド15に送ることができる。
【0065】
このため、連結板25から連結板25と反転ダクト部11dの間を通して吸気マニホールド15側に導かれた走行風Wによって吸気マニホールド15に送り込まれたより多くの吸入空気を冷却でき、エンジン2の気筒に導入される吸入空気の密度をより高くできる。
【0066】
この結果、エンジン2の気筒に導入される吸入空気の充填効率をより効果的に向上でき、エンジン2の出力性能と燃費をより効果的に向上できる。
【0067】
また、本実施例の吸気装置10によれば、連結板25は、後端部25rが前端部25fより低くなるように傾斜されている。
【0068】
これにより、連結板25から反転ダクト部11dの下方を通過する走行風Wの風量を増加でき、吸気マニホールド15の冷却効果を高めることができる。このため、吸気マニホールド15を流れる吸入空気をより効果的に冷却できる。
【0069】
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正および等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0070】
1...車両、2...エンジン(内燃機関)、5a...上面(内燃機関の上面)、10...吸気装置、11...吸気ダクト、11A...U字状通路部、11a...吸気口、11b...左端部、11c...上流ダクト部、11d...反転ダクト部、11e...下流ダクト部、11u...下部(反転ダクト部の下部)、12...エアクリーナ、13...レゾネータ、15...吸気マニホールド、16...連通管部(連通部)、17...容積部、18...サージタンク(吸気マニホールドの上流側)、19c...下流端部(吸気マニホールドの下流端部)、19u...上流端部(吸気マニホールドの上流側)、25...連結板、25f...前端部(連結板の前端部)、25r...後端部(連結板の後端部)、26...空間(U字状通路部の内周面に囲まれる空間)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7