(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】サーバ装置、情報処理システム、及びシステムの動作方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20231108BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20231108BHJP
G08G 1/005 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
G06Q50/10
G01C21/26 P
G08G1/005
(21)【出願番号】P 2020114375
(22)【出願日】2020-07-01
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100187078
【氏名又は名称】甲原 秀俊
(74)【代理人】
【識別番号】100139491
【氏名又は名称】河合 隆慶
(72)【発明者】
【氏名】大出水 貴幸
(72)【発明者】
【氏名】井上 和幸
(72)【発明者】
【氏名】小林 亮介
(72)【発明者】
【氏名】田中 由里香
(72)【発明者】
【氏名】眞屋 朋和
(72)【発明者】
【氏名】駒嶺 聡史
【審査官】久宗 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-054945(JP,A)
【文献】特開2010-145868(JP,A)
【文献】特開2007-272842(JP,A)
【文献】特開2007-047844(JP,A)
【文献】特表2010-510621(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0043719(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G01C 21/26
G08G 1/005
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信部と、
前記通信部を介して情報を送受する制御部とを有し、
前記制御部は、それぞれ発光素子を有する複数の床材が配列された区域における歩行者が位置する第1の地点の位置情報と当該第1の地点と異なる第2の地点の位置情報とに基づいて
、前記第1の地点から前記第2の地点への経路に応じて前記複数の床材の発光を制御する指示を当該複数の床材へ送
り、前記歩行者が前記第2の地点に到達すると、当該歩行者に権限を付与する処理を行う、
サーバ装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記制御部は、前記歩行者の端末装置から前記第1の地点の位置情報を受ける、
サーバ装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記制御部は、前記区域の撮像画像に基づいて前記第1の地点を導出する、
サーバ装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記制御部は、前記床材が受ける前記歩行者の端末装置からの情報に基づいて前記第1の地点の位置情報を導出する、
サーバ装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記制御部は、前記床材が検出する荷重を加味して前記第1の地点の位置情報を導出する、
サーバ装置。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれかにおいて、
前記制御部は、前記複数の床材の発光を制御する指示を生成するとき、前記区域における前記複数の床材の属性を加味して当該指示を生成する、
サーバ装置。
【請求項7】
サーバ装置と、当該サーバ装置と通信するとともに発光素子を有する複数の床材とを有する情報処理システムであって、
前記サーバ装置は、前記複数の床材が配列された区域における歩行者が位置する第1の地点の位置情報と当該第1の地点と異なる第2の地点の位置情報とに基づいて
、前記第1の地点から前記第2の地点への経路、又は当該経路と前記区域における前記床材の属性に応じて前記複数の床材の発光を制御する指示を当該複数の床材へ送り、
前記複数の床材は、前記指示に応じて前記発光素子を発光させ
、
前記サーバ装置は、前記歩行者が前記第2の地点に到達すると、当該歩行者に権限を付与する処理を行う、
情報処理システム。
【請求項8】
請求項
7において、
前記サーバ装置は、前記歩行者の端末装置から前記第1の地点の位置情報を受ける、情報処理システム。
【請求項9】
請求項
7において、
前記サーバ装置は、前記区域の撮像画像に基づいて前記第1の地点を導出する、
情報処理システム。
【請求項10】
請求項
7において、
前記床材は、前記歩行者の端末装置から受ける情報又は当該情報と検出される荷重とを前記サーバ装置へ送り、
前記サーバ装置は、前記床材から受ける情報に基づいて前記第1の地点の位置情報を導出する、
情報処理システム。
【請求項11】
サーバ装置と、当該サーバ装置と通信するとともに発光素子を有する複数の床材とを有する情報処理システムの動作方法であって、
前記サーバ装置が、前記複数の床材が配列された区域における歩行者が位置する第1の地点の位置情報と当該第1の地点と異なる第2の地点の位置情報とに基づいて
、前記第1の地点から前記第2の地点への経路、又は当該経路と前記区域における前記床材の属性に応じて前記複数の床材の発光を制御する指示を当該複数の床材へ送り、
前記複数の床材が、前記指示に応じて前記発光素子を発光させ、
前記サーバ装置が、前記歩行者が前記第2の地点に到達すると、当該歩行者に権限を付与する処理を行う、
動作方法。
【請求項12】
請求項
11において、
前記サーバ装置が、前記歩行者の端末装置から前記第1の地点の位置情報を受ける、動作方法。
【請求項13】
請求項
11において、
前記サーバ装置が、前記区域の撮像画像に基づいて前記第1の地点を導出する、
動作方法。
【請求項14】
請求項
11において、
前記床材が、前記歩行者の端末装置から受ける情報又は当該情報と検出される荷重とを前記サーバ装置へ送り、
前記サーバ装置が、前記床材から受ける情報に基づいて前記第1の地点の位置情報を導出する、
動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サーバ装置、情報処理システム、及びシステムの動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光機能を備えた床材用パネルが知られている。かかるパネルは、屋内外の商業施設等で床材として用いられ、その上を歩行する歩行者に向け、発光することにより装飾を提供する。例えば、特許文献1には、床等に取り付けられる構造要素に発光素子を設ける技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発光機能を備えた床材を利用して、歩行者の利便性を向上させる余地がある。
【0005】
本開示は、発光機能を備えた床材により歩行者の利便性を向上させることを可能にするサーバ装置等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示におけるサーバ装置は、通信部と、前記通信部を介して情報を送受する制御部とを有し、前記制御部は、それぞれ発光素子を有する複数の床材が配列された区域における歩行者が位置する第1の地点の位置情報と当該第1の地点と異なる第2の地点の位置情報とに基づいて前記複数の床材の発光を制御する指示を当該複数の床材へ送る。
【0007】
本開示におけるシステムは、サーバ装置と、当該サーバ装置と通信するとともに発光素子を有する複数の床材とを有する情報処理システムであって、前記サーバ装置は、前記複数の床材が配列された区域における歩行者が位置する第1の地点の位置情報と当該第1の地点と異なる第2の地点の位置情報とに基づいて前記複数の床材の発光を制御する指示を当該複数の床材へ送り、前記複数の床材は、前記指示に応じて前記発光素子を発光させる。
【0008】
本開示における情報処理システムの動作方法は、サーバ装置と、当該サーバ装置と通信するとともに発光素子を有する複数の床材とを有するシステムの動作方法であって、前記サーバ装置が、前記複数の床材が配列された区域における歩行者が位置する第1の地点の位置情報と当該第1の地点と異なる第2の地点の位置情報とに基づいて前記複数の床材の発光を制御する指示を当該複数の床材へ送り、前記複数の床材が、前記指示に応じて前記発光素子を発光させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示におけるサーバ装置等によれば、発光機能を備えた床材により歩行者の利便性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図6】情報処理システムの動作例を示すシーケンス図である。
【
図8】情報処理システムの動作例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について説明する。
【0012】
図1は、一実施形態における情報処理システムの構成例を示す図である。情報処理システム1は、例えば、ネットワーク11を介して互いに情報通信可能に接続される、それぞれ一以上の、サーバ装置10、端末装置12、撮像装置13、及び床材14を有する。サーバ装置10は、コンピュータである。端末装置12は、例えば、スマートフォン、タブレット端末装置、スマートウォッチ等の可搬型で通信機能を備えた情報端末装置である。また、端末装置12は、歩行者が装着するアンクレット12a、靴12b等に備えられる通信装置と通信する。撮像装置13は、例えば、一以上のカメラとその制御装置である。撮像装置13のカメラは、市街地等における区域内の各所に設置され、その区域内の歩行者を撮像する。かかる区域は、例えば、情報処理システム1による歩行者への情報サービスを提供する単位として任意に設定される、市街地の一以上のブロックに及ぶ区域である(以下、単に区域という)。床材14は、発光素子による発光機能とともに通信機能を備え、区域内の歩行者が歩行する路面に二次元配列状に敷設される。ネットワーク11は、例えばインターネットであるが、アドホックネットワーク、LAN、MAN(Metropolitan Area Network)、もしくは他のネットワーク又はこれらいずれかの組合せが含まれる。情報処理システム1が有する各構成要素の数はここに示す場合より多くてもよい。
【0013】
情報処理システム1では、サーバ装置10が、それぞれ発光素子を有する複数の床材14が配列された区域における歩行者が位置する第1の地点の位置情報と、当該第1の地点と異なる第2の地点の位置情報とに基づいて、複数の床材14の発光を制御する指示を複数の床材14へ送る。すると、複数の床材14は、それぞれサーバ装置10からの指示に応答して発光素子を発光させる。例えば、歩行者が位置する地点から歩行者の目的地までの経路に沿って床材14が任意のパターンで発光(例えば点滅)することで、歩行者を目的地へ誘導する。歩行者は、携行する端末装置12の経路案内を凝視することなく路面を見ることによって目的地への経路を認識できるので、歩行者にとっての利便性が向上する。
【0014】
図2は、サーバ装置10の構成例を示す。サーバ装置10は、通信部20、記憶部21、及び制御部22を有する。サーバ装置10は、同等の構成を有する他のサーバ装置と通信して協働することで、本実施形態における動作を実行してもよい。例えば、区域毎にその区域の床材14の動作を制御するサーバを設置し、各区域のサーバが中央サーバと協働することでサーバ装置10を構成してもよい。
【0015】
通信部20は、ネットワーク11に接続するための、1つ以上の有線又は無線LAN規格に対応する通信モジュールを有する。本実施形態において、サーバ装置10は、通信部20を介してネットワーク11に接続され、ネットワーク11経由で他の装置と情報通信を行う。
【0016】
記憶部21は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等を有する。記憶部21は、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部21は、サーバ装置10の動作に用いられる任意の情報、制御・処理プログラム等を記憶する。
【0017】
制御部22は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の1つ以上の汎用のプロセッサ、又は特定の処理に特化した1つ以上の専用のプロセッサを有する。あるいは、制御部22は、1つ以上の、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の専用回路を有してもよい。制御部22は、制御・処理プログラムに従って動作したり、回路として実装された動作手順に従って動作したりすることで、サーバ装置10の動作を統括的に制御する。そして、制御部22は、通信部20を介して、端末装置12、撮像装置13、及び床材14と各種情報を送受し、本実施形態にかかる動作を実行する。
【0018】
図3は、端末装置12の構成例を示す。端末装置12は、例えばスマートフォン、タブレット端末装置、パーソナルコンピュータ、スマートウォッチ等の情報端末装置である。端末装置12は、入出力部30、通信部31、記憶部32、及び制御部33を有する。
【0019】
入出力部30は、ユーザの入力を検出し、入力情報を制御部33に送る入力インタフェースを有する。かかる入力インタフェースは、例えば、物理キー、静電容量キー、パネルディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、各種ポインティングデバイス、音声入力を受け付けるマイクロフォン、撮像画像又は画像コードを取り込むカメラ等を含む任意の入力インタフェースである。また、入出力部30は、制御部33が生成したり他の装置から受けたりする情報を、ユーザに対して出力する出力インタフェースを有する。かかる出力インタフェースは、例えば、情報を画像・映像として出力する外付け又は内蔵のディスプレイ、情報を音声として出力するスピーカ、又は、外部の出力機器との接続インタフェースを含む、任意の出力インタフェースである。
【0020】
通信部31は、有線又は無線LAN規格に対応する通信モジュール、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)等の移動体通信規格に対応するモジュール、GPS受信モジュール、近距離通信モジュール等を有する。端末装置12は、通信部31により、近傍のルータ装置又は移動体通信の基地局を介してネットワーク11に接続され、ネットワーク11経由でサーバ装置10と情報通信を行ったり、近距離通信により歩行者が装着するアンクレット12a、靴12bの通信装置と通信を行うことでアンクレット12a、靴12bの通信装置を介して、又は直接、床材14と情報通信を行ったりする。また、端末装置12は、通信部31により現在地の位置情報を求めるためのGPS信号を受信する。
【0021】
記憶部32は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等を有する。記憶部32は、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部32は、端末装置12の動作に用いられる任意の情報、制御・処理プログラム等を記憶する。
【0022】
制御部33は、例えば、CPU、MPU(Micro Processing Unit)等の1つ以上の汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した1つ以上の専用プロセッサを有する。あるいは、制御部33は、1つ以上の、FPGA、ASIC等の専用回路を有してもよい。制御部33は、制御・処理プログラムに従って動作したり、あるいは、回路として実装された動作手順に従って動作したりすることで、端末装置12の動作を統括的に制御する。そして、制御部33は、通信部31を介してサーバ装置10等と各種情報を送受し、本実施形態にかかる動作を実行する。
【0023】
図4は、撮像装置13の構成例を示す。撮像装置13は、一以上のカメラ41、及びカメラ41を制御する制御装置40を有する。各カメラ41は、市街地等の所定の区角において歩行者を撮像可能な任意の箇所に取り付けられる。カメラ41は、単眼カメラ、ステレオカメラ、全方位カメラ等を含む。制御装置40は、通信部42、記憶部43、及び制御部44を有する。制御装置40は、ネットワーク11と接続可能で画像配信サーバとして機能する一以上のコンピュータである。
【0024】
通信部42は、ネットワーク11に接続するための、一以上の有線又は無線LAN規格に対応する通信モジュールを有する。本実施形態において、撮像装置13は、通信部42を介してネットワーク11に接続され、ネットワーク11経由で他の装置と情報通信を行う。
【0025】
記憶部43は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等を有する。記憶部43は、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部43は、撮像装置13の動作に用いられる任意の情報、制御・処理プログラム等を記憶する。
【0026】
制御部44は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の一以上の汎用のプロセッサ、又は特定の処理に特化した一以上の専用のプロセッサを有する。あるいは、制御部44は、一以上の、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の専用回路を有してもよい。制御部44は、制御・処理プログラムに従って動作したり、回路として実装された動作手順に従って動作したりすることで、撮像装置13の動作を統括的に制御する。そして、制御部44は、撮像装置13によるイベント及び観客の撮像画像を、通信部42を介してサーバ装置10に送ったり、通信部42を介してサーバ装置10から各種指示・情報を受けたりして、本実施形態にかかる動作を実行する。
【0027】
図5は、床材14の構成例を示す。床材14は、制御装置50、発光部55、及び荷重センサ56を有する。床材14は、例えば、数十センチの辺を有する矩形若しくは多角形、又は数十センチの径を有する略円形の平板状を呈し、例えば、樹脂、木質系素材等の層構造により形成される。発光部55は、例えば、一以上のLED等の発光素子とその制御回路を有する。発光部55は、制御装置50の制御のもと、発光素子を発光・消灯させる。発光部55は、発光素子が発光するときに床材14の上を歩行する歩行者が光を視認できるように、床材14が路面に敷設されたときの上面側に収容されるとともに、例えば透過性のカバーにより覆われる。荷重センサ56は、例えば、床材14が路面に敷設されたときに、上面側にかかる荷重を検知可能な位置に設けられ、検知結果を制御装置50へ送る。
【0028】
制御装置50は、通信部52、記憶部53、及び制御部54を有する。
【0029】
通信部52は、ネットワーク11に接続するための、一以上の有線又は無線LAN規格に対応する通信モジュール、及び近距離通信モジュールを有する。制御装置50は、通信部52を介してネットワーク11経由でサーバ装置10と情報通信を行ったり、通信部52を介してアンクレット12a又は靴12b経由で、又は直接、端末装置12と情報通信を行ったりする。
【0030】
記憶部53は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等を有する。記憶部53は、制御装置50の動作に用いられる任意の情報、制御・処理手順等を記憶する。
【0031】
制御部54は、例えば、特定の処理に特化した一以上の専用のプロセッサを有する。あるいは、制御部54は、一以上の、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の専用回路を有してもよい。制御部54は、制御・処理手順に従って動作したり、回路として実装された動作手順に従って動作したりすることで、床材14の動作を統括的に制御する。制御部44は、発光素子を発光・消灯させる指示を発光部50へ送る。また、制御部54は、荷重センサ56による検知結果を受けて床材14にかかる荷重を検出する。さらに、制御部54は、通信部52を介してサーバ装置10と任意の情報を送受する。
【0032】
図6は、情報処理システム1の動作例を示すシーケンス図である。
図6では、サーバ装置10、端末装置12、撮像装置13、及び床材14による連携動作の動作手順が示される。
図6の手順は、情報処理システム1が、歩行者の現在地から目的地までの経路誘導を支援する手順である。ここにおいて、歩行者の現在地が「第1の地点」に対応し、目的地が「第2の地点」に対応する。
【0033】
ステップS600において、端末装置12は、端末装置12の識別情報と、現在地の位置情報とをサーバ装置10へ送る。端末装置12の制御部33は、通信部31が受信するGPS信号により現在地の位置情報を導出すると、現在地の位置情報と、記憶部32に予め格納される端末装置12の識別情報とを、通信部31を介して、サーバ装置10へ送る。サーバ装置10の制御部22は、通信部20を介して、端末装置12の識別情報と現在地の位置情報とを受ける。
【0034】
ステップS602において、撮像装置13は、撮像画像と撮像装置13の識別情報とをサーバ装置10へ送る。撮像装置13の制御部44は、任意のタイミング又は周期でカメラ41により区域内の一部を撮像させ、撮像画像を記憶部43に格納する。制御部44は、撮像画像と撮像装置13の識別情報とを任意のタイミング又は周期で、通信部42を介して、サーバ装置10へ送る。識別情報は、予め記憶部43に格納されている。
サーバ装置10の制御部22は、通信部20を介して、撮像装置13の識別情報と撮像画像を受ける。ここで、サーバ装置10は、区域内の一以上の撮像装置13から撮像画像を受ける。
【0035】
ステップS604において、端末装置12は、端末装置12の識別情報を床材14へ送り、ステップS606において、床材14は、端末装置12の識別情報と、床材14の識別情報とをサーバ装置10へ送る。床材14は、床材14の識別情報に加え、床材14において検知される荷重を示す荷重情報をサーバ装置10へ送ってもよい。端末装置12の制御部33は、記憶部32に予め格納される識別情報を、通信部31を介して床材14へ送る。通信部31は、例えば、近距離通信により、最寄りの、具体的には歩行者が踏んでいる床材14へ、識別情報を送る。通信部31は、アンクレット12a又は靴12bを介して、識別情報を床材14へ送ってもよい。最寄りの床材14に選択的に識別情報を送ることができる程度に通信部31の電波強度又はアンクレット12a、靴12bの通信装置の電波強度が調整されてもよい。床材14の制御部54は、通信部52を介して端末装置12の識別情報を受ける。また、制御部54は、歩行者が床材14を踏むことで加えられる荷重を荷重センサ56により検知する。制御部54は、端末装置12の識別情報、及び記憶部53に予め格納される床材14の識別情報、又はこれらに加えて荷重情報を、通信部52を介してサーバ装置10へ送る。サーバ装置10の制御部22は、通信部20を介して、端末装置12の識別情報及び床材14の識別情報、又はこれらに加えて荷重情報を受ける。
【0036】
ステップS600、S602、及びステップS604とS606の順序はここに示す例に限られず、相前後してもよい。また、ステップS600、S602及びステップS604とS606のすべてでなはく、一以上が実行されてもよい。
【0037】
ステップS608において、サーバ装置10は、歩行者の現在地の位置情報を導出する。
【0038】
ステップS600で端末装置12から識別情報と位置情報とを受けた場合、サーバ装置10の制御部22は、端末装置12の位置情報を、歩行者の現在地の位置情報とする。
【0039】
また、ステップS602で区域内の一以上の撮像装置13から撮像画像を受けた場合、サーバ装置10の制御部22は、一以上の撮像画像から、予め記憶部21に格納される歩行者の画像を識別する。歩行者の画像の識別処理は、一以上の歩行者について、歩行者毎に実行される。歩行者の画像は、例えば、端末装置12から送られる歩行者の撮像画像から抽出され、予め記憶部21に端末装置12の識別情報と紐づけて格納される。制御部22は、歩行者の画像をある撮像画像から検出すると、その撮像画像を送った撮像装置13の識別情報に基づき、その撮像装置13が撮像した区域内の範囲を特定する。そして、制御部22は、その撮像画像内の歩行者の位置に対応する区域内の地点を歩行者の現在地として、その地点の位置情報を導出する。また、ここで、制御部22は、歩行者の画像と紐づけられた端末装置12の識別情報に基づき、歩行者の端末装置12を特定することができる。
【0040】
ステップS606で床材14から端末装置12の識別情報、床材14の識別情報、又はこれらに加えて荷重情報を受けた場合、サーバ装置10の制御部22は、床材14の識別情報に基づき、床材14が配置された地点を特定する。床材14の識別情報と配置される地点の情報は、予め互いに紐づけられて記憶部21に格納される。よって、制御部22は、端末装置12の識別情報とともに送られた床材14の識別情報を用いて、床材14が配置された地点を、歩行者の現在地の位置情報として導出する。その際、歩行者が床材14を踏んでいると認められるような任意の基準を満たす荷重を示す荷重情報が取得されたことを、歩行者の位置情報を導出する条件としてもよい。そうすることで、位置情報の導出精度が向上する。
【0041】
制御部22は、二以上の位置情報が導出された場合には、導出結果を照合する。一致する場合、位置情報の精度が担保される。あるいは、二以上の導出結果が不一致の場合、導出結果の平均を最終的な導出結果とする等して、位置情報の精度を向上させてもよい。
【0042】
次いで、ステップS610において、端末装置12は、歩行者による入力に応答して、目的地までの経路誘導をサーバ装置10に要求する。端末装置12の制御部33は、入出力部30に対する歩行者による目的地の入力を受けると、通信部31を介して、目的地の情報とともに経路誘導の要求をサーバ装置10へ送る。あるいは、制御部33は、記憶部32に格納される歩行者の行動予定の情報を用い、現在時刻に応じた目的地を判断してもよい。サーバ装置10の制御部22は、通信部20を介して、目的地の位置情報及び経路誘導の要求を受ける。
【0043】
ステップS612において、サーバ装置10は、歩行者の現在地から目的地までの経路を検索する。そして、ステップS614において、サーバ装置10は、経路を誘導するような床材14の発光パターンを決定して床材14に対する発光指示を生成する。サーバ装置10の制御部22は、記憶部21に格納される地図情報を用いて経路を検索し、検索した経路に応じた床材14の任意の発光パターンを決定する。
【0044】
図7は、床材14の発光パターンについて説明する図である。ここでは、区域70の路面に配設された床材14が、マス目により模式的に示される。塗りつぶされた箇所は路面以外の区画を示す。空白のマス目は、現在地71から目的地72までの経路73に沿って発光させる床材14を示す。ハッチングされたマス目は、発光制御の対象外の床材14を示す。発光させる床材14の発光パターンは、例えば、床材14を常時発光させるパターンであってもよいし、任意の周期で点滅させるパターンであってもよい。あるいは、発光パターンは、歩行者の移動に合わせて発光が調整されるパターンであってもよい。例えば、歩行者の現在地の位置情報の変化に応じ、進路前方の床材14のみ発光・点滅させ、歩行者が踏破した床材14は消灯するようなパターンでもよい。また、サーバ装置10は。歩行者の移動速度に応じて点滅の速さを変更させてもよい。また、サーバ装置10は、曲がり角では直線経路とは異なるパターンで床材14を発光・点灯させるなどしてもよい。さらに、サーバ装置10は、路面において歩行者による歩行用の領域と車両による走行用の領域との境界に対応する床材14を、経路73に沿った床材14の発光パターンとは異なるパターンで発光させてもよい。このように、区画の属性に応じて発光パターンを変化させることで、歩行者の安全に対する意識を喚起することが可能となる。
【0045】
ステップS616において、サーバ装置10は、発光指示を床材14へ送る。サーバ装置10の制御部22は、歩行者の誘導経路に対応する位置に配置された床材14に対し、発光パターンに対応する態様で発光させるための指示を送る。制御部22は、記憶部21に予め格納される床材14毎の位置情報を誘導経路に照合し、発光させる床材14を決定する。床材14の制御部54は、通信部52を介して、発光指示を受ける。
【0046】
ステップS618において、床材14は発光指示に応答して発光する。床材14の制御部54は、発光部51の発光素子を発光指示に応じて発光させる。
【0047】
本実施形態によれば、情報処理システム1は、床材14を任意のパターンで発光させることで、歩行者を目的地へ誘導することができる。歩行者は、携行する端末装置12の経路案内を凝視していなくても路面を見ることによって目的地への経路を認識できるので、歩行者にとっての利便性が向上する。
【0048】
図8は、変形例における情報処理システム1の動作例を示すシーケンス図である。
図8の手順は、
図6の手順に対し、ステップS618の後にステップS800~S806が追加された点が
図6の手順と異なる。ここでは、
図6と同じステップについての説明は省略し、
図6と異なる点について説明する。
【0049】
図8の変形例では、歩行者が目的地に到達したとき、サーバ装置10が歩行者に対する権限付与処理を行う。例えば、歩行者の目的地が住居、倉庫、配達物の受け取り施設(駐停車された車両を含む)等であって、施錠されており解錠が必要な場合、サーバ装置10は、権限付与処理として、電子鍵を端末装置12へ送る。そうすることで、歩行者は、目的地の施設を開錠する権限を付与される。また、歩行者が、例えば、区域内に設けられる秘密の地点に到達して床材14を踏むことでポイントが得られる宝探し、又は、区域内に設けられるチェックポイントに到達してそこの床材14を踏むことでスタンプが得られるスタンプラリー等のゲームに参加する場合に、秘密の地点又はチェックポイントである目的地に歩行者が到達すると、サーバ装置10は、権限付与処理として、歩行者のアカウントに、ポイント又はスタンプを付与する処理を実行する。そうすることで、歩行者は、ポイント又はスタンプを経済価値と交換する権限を付与される。
【0050】
ステップS800において、床材14は、歩行者が目的地に到達したことを検出する。すると、ステップS802において、床材14は、歩行者による目的地への到達をサーバ装置10へ通知する。例えば、サーバ装置10の制御部22は、予め、目的地に配置される床材14に対し、発光指示とともに歩行者の到達を通知する指示を送っておく。目的地における床材14の制御部54は、荷重センサ56が歩行者に踏まれたことを示す荷重を検知すると、通信部42を介して、到達通知をサーバ装置10に送る。あるいは、サーバ装置10の制御部22が、予め、歩行者の到達を通知する指示とともに歩行者の端末装置12の識別情報を送っておき、目的地における床材14の制御部54がその識別情報を通信部42を介して端末装置12から受けたときに、到達通知をサーバ装置10に送ってもよい。なお、床材14に、到達を検出すると誘導時とは異なるパターンで発光するような指示を予めサーバ装置10から送っておき、歩行者到達時には床材14が経路誘導時とは異なるパターンで発光することで、歩行者に目的地到達を通知してもよい。サーバ装置10の制御部22は、通信部20を介して、到達通知を受ける。
【0051】
ステップS804において、サーバ装置10は、歩行者に対する権限付与処理を実行する。歩行者は、ステップS804に先立ち、例えばステップS610で端末装置12から目的地までの経路誘導をサーバ装置10に要求する際に、目的地到達時に取得したい権限を指定する情報をサーバ装置10へ送っておく。
【0052】
歩行者が目的地の施設の開錠を指定した場合、サーバ装置10の制御部22は、権限付与処理として、通信部20を介して、電子鍵を端末装置12へ送る。かかる電子鍵のデータは予め記憶部21に格納しておくことができる。端末装置12の制御部33は、通信部31を介して、電子鍵を受ける。かかる電子鍵には、予めサーバ装置10の制御部22が、任意の有効期限を設定してもよい。そうすることで、歩行者が施設の至近距離に滞在する限られた時間においてのみ有効な電子鍵を歩行者に付与することができるので、施錠の安全性が向上するとともに、歩行者は必要な時だけ電子鍵を取得することができるので、常時電子鍵を保有することに伴うデータ管理の煩雑さが解消される。
【0053】
また、歩行者がポイント等の付与を指定した場合、サーバ装置10の制御部22は、予め登録され記憶部21に格納された歩行者のアカウントに、ポイント又はスタンプを付与する処理を実行する。このとき、歩行者のアカウントは、端末装置12の識別情報により特定される。そうすることで、歩行者が区域内を歩行するときの興趣が向上する。また、ポイントが区域内の店舗で利用可能な経済価値を有していれば、区域内の商業振興に寄与しつつ、歩行者の興趣を向上させることが可能となる。
【0054】
上述のとおり、情報処理システム1において床材14の発光を制御することにより、歩行者は、携行する端末装置12の経路案内を凝視していなくても路面を見ることによって目的地への経路を認識できるので、歩行者にとっての利便性が向上する。さらに、目的地に到達することで各種権限を付与されるので、歩行者の更なる利便性の向上又は興趣の向上が可能となる。
【0055】
上述の実施形態において、端末装置12の制御部33の動作を規定する処理・制御プログラムは、サーバ装置10の記憶部21又は他のサーバ装置の記憶部に記憶されていて、ネットワーク11経由で端末装置12にダウンロードされてもよいし、端末装置12に読取り可能な可搬型で非一過性の記録・記憶媒体に格納され、端末装置12が媒体から読み取ってもよい。
【0056】
上記において、実施形態を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形及び修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段、各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段、ステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 情報処理システム
10 サーバ装置
11 ネットワーク
12 端末装置
13 撮像装置
14 床材
20、31、42 通信部
21、32、43 記憶部
22、33、44 制御部
40 制御装置
41 カメラ
50 制御装置
55 発光部
56 荷重センサ