(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
B60L 53/14 20190101AFI20231108BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
B60L53/14
H02J7/00 P
(21)【出願番号】P 2020119681
(22)【出願日】2020-07-13
【審査請求日】2022-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 徹
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-063695(JP,A)
【文献】特開2009-081917(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 53/14
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電口と、
車両外部から前記充電口に供給される電力によって充電可能に構成される蓄電装置と、
前記充電口を開閉する充電リッドと、
前記充電リッドのロック状態/アンロック状態を切り替えるロック装置と、
前記ロック装置を制御する制御装置とを備え
る車両であって、
前記制御装置は、当該車両の走行中に前記充電リッドのロック状態/アンロック状態の切替えが行なわれないように、前記ロック装置を制御する
ように構成され、
前記制御装置は、前記充電リッドがアンロック状態であるときに所定のロックトリガが発生すると、当該車両が走行中であるか否かを判断し、当該車両が走行中ではないと判断された場合には、前記充電リッドをアンロック状態からロック状態へ切り替える一方、当該車両が走行中であると判断された場合には、前記充電リッドのロック状態/アンロック状態の切替えを行なわない、車両。
【請求項2】
前記制御装置は、前記充電リッドがロック状態であるときに所定のアンロックトリガが発生すると、当該車両が走行中であるか否かを判断し、当該車両が走行中ではないと判断された場合には、前記充電リッドをロック状態からアンロック状態へ切り替える一方、当該車両が走行中であると判断された場合には、前記充電リッドのロック状態/アンロック状態の切替えを行なわない、請求項
1に記載の車両。
【請求項3】
前記所定のロックトリガと前記所定のアンロックトリガとの少なくとも一方は、当該車両の乗降用ドアのロック状態/アンロック状態の切替えが行なわれたときに発生する、請求項
2に記載の車両。
【請求項4】
ユーザからの入力を受け付ける入力装置を備え、
前記所定のロックトリガと前記所定のアンロックトリガとの少なくとも一方は、前記入力装置に対して所定の入力が行なわれたときに発生する、請求項
2又は
3に記載の車両。
【請求項5】
前記蓄電装置から供給される電力を用いて当該車両の走行駆動力を生成する走行駆動装置と、
前記蓄電装置から前記走行駆動装置までの電力経路の接続/遮断を切り替えるリレーとをさらに備え、
前記制御装置は、前記リレーの状態を用いて、当該車両が走行中であるか否かを判断する、請求項
1~4のいずれか1項に記載の車両。
【請求項6】
前記制御装置は、当該車両の起動スイッチの状態と、当該車両のシフトポジションと、当該車両のパーキングブレーキの状態との少なくとも1つを用いて、当該車両が走行中であるか否かを判断する、請求項
1~5のいずれか1項に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両に関し、特に、車両外部から充電口に供給される電力によって充電可能に構成される蓄電装置を備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2009-081917号公報(特許文献1)には、車両の乗降用ドアがアンロック状態からロック状態に切り替わることに連動して、車両の充電リッド(より特定的には、コンセントカバー)がアンロック状態からロック状態に切り替わる車両が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示される車両では、車両が走行を開始した後に乗降用ドアがアンロック状態からロック状態に切り替わると、車両の走行中に充電リッドがアンロック状態からロック状態に切り替わることがある(特許文献1の
図3のS13参照)。以下、乗降用ドアのロック状態/アンロック状態の切替えを、「ドアロック切替え」とも称する。ドアロック切替え時に発生する音を、「ドアロック音」とも称する。また、充電リッドのロック状態/アンロック状態の切替えを、「リッドロック切替え」とも称する。リッドロック切替え時に発生する音を、「リッドロック音」とも称する。
【0005】
車両の走行中にドアロック音以外の音が生じると、車両の乗員に違和感を与えてしまう傾向がある。ドアロック音とリッドロック音とを同時に発生させることで、上記の違和感を抑制することも考えられるが、両者のタイミングが僅かにずれるだけでも乗員は違和感を持つ傾向があるため、こうした方法によって上記課題を解決することは難しい。また、ドアロック音とリッドロック音とでは、音の発生する場所が異なるため、仮にドアロック音とリッドロック音とを同時に発生させることができたとしても、車両走行中に異なる複数の箇所から音が聞こえることによって乗員が違和感を持つ可能性がある。
【0006】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、走行中に乗員に違和感を与えることを抑制できる車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る車両は、充電口と、車両外部から充電口に供給される電力によって充電可能に構成される蓄電装置と、充電口を開閉する充電リッドと、充電リッドのロック状態/アンロック状態を切り替えるロック装置と、ロック装置を制御する制御装置とを備える。制御装置は、当該車両の走行中に充電リッドのロック状態/アンロック状態の切替えが行なわれないように、ロック装置を制御する。
【0008】
上記車両では、走行中にリッドロック切替え(すなわち、充電リッドのロック状態/アンロック状態の切替え)が行なわれない。このため、車両走行中にリッドロック音が発生しない。上記車両によれば、走行中にリッドロック音によって乗員に違和感を与えることを抑制できる。
【0009】
なお、充電口は、接触充電用の充電口であってもよいし、非接触充電用の充電口であってもよい。充電リッドの開閉動作は、回転動作であってもよいし、スライド動作であってもよい。
【0010】
上記の制御装置は、充電リッドがアンロック状態であるときに所定のロックトリガが発生すると、当該車両が走行中であるか否かを判断し、当該車両が走行中ではないと判断された場合には、充電リッドをアンロック状態からロック状態へ切り替える一方、当該車両が走行中であると判断された場合には、充電リッドのロック状態/アンロック状態の切替えを行なわないように構成されてもよい。
【0011】
上記の制御装置は、所定のロックトリガが発生したときに、充電リッドをアンロック状態からロック状態へ切り替える。ただし、上記の制御装置は、車両が走行中であるときには、所定のロックトリガが発生しても、充電リッドをアンロック状態からロック状態へ切り替えない。こうした構成によれば、走行中にリッドロック音によって乗員に違和感を与えることを抑制できる。
【0012】
上記の制御装置は、充電リッドがロック状態であるときに所定のアンロックトリガが発生すると、当該車両が走行中であるか否かを判断し、当該車両が走行中ではないと判断された場合には、充電リッドをロック状態からアンロック状態へ切り替える一方、当該車両が走行中であると判断された場合には、充電リッドのロック状態/アンロック状態の切替えを行なわないように構成されてもよい。
【0013】
上記の制御装置は、所定のアンロックトリガが発生したときに、充電リッドをロック状態からアンロック状態へ切り替える。ただし、上記の制御装置は、車両が走行中であるときには、所定のアンロックトリガが発生しても、充電リッドをロック状態からアンロック状態へ切り替えない。上記の制御装置は、車両が走行中であるときには、所定のロックトリガと所定のアンロックトリガとのいずれが発生しても、リッドロック切替えを行なわない。こうした構成によれば、走行中にリッドロック音によって乗員に違和感を与えることを的確に抑制できる。
【0014】
ロックトリガとアンロックトリガとの各々は任意に設定できる。ロックトリガとアンロックトリガとの少なくとも一方は、たとえば下記のように設定されてもよい。
【0015】
所定のロックトリガと所定のアンロックトリガとの少なくとも一方は、当該車両の乗降用ドアのロック状態/アンロック状態の切替えが行なわれたときに発生してもよい。
【0016】
また、上記の車両は、ユーザからの入力を受け付ける入力装置を備えてもよい。そして、所定のロックトリガと所定のアンロックトリガとの少なくとも一方は、入力装置に対して所定の入力が行なわれたときに発生してもよい。
【0017】
車両が走行中であるか否かを判断する方法は任意である。制御装置は、たとえば下記のようなパラメータを用いて、車両が走行中であるか否かを判断してもよい。
【0018】
上記の車両は、蓄電装置から供給される電力を用いて当該車両の走行駆動力を生成する走行駆動装置と、蓄電装置から走行駆動装置までの電力経路の接続/遮断を切り替えるリレーとをさらに備えてもよい。そして、制御装置は、上記リレーの状態を用いて、当該車両が走行中であるか否かを判断するように構成されてもよい。たとえば、制御装置は、上記リレーが接続状態であるときに車両が走行中であると判断し、上記リレーが遮断状態であるときに車両が走行中ではないと判断してもよい。
【0019】
また、上記の制御装置は、車両の起動スイッチの状態と、車両のシフトポジションと、車両のパーキングブレーキの状態との少なくとも1つを用いて、車両が走行中であるか否かを判断するように構成されてもよい。
【0020】
たとえば、制御装置は、ユーザが起動スイッチに走行開始操作を行なってからユーザが起動スイッチに走行停止操作を行なうまでの期間において車両が走行中であると判断し、その期間外においては車両が走行中ではないと判断してもよい。また、制御装置は、シフトポジションが走行レンジであるときに車両が走行中であると判断し、シフトポジションが走行レンジでないときに車両が走行中ではないと判断してもよい。また、制御装置は、パーキングブレーキが解除されているときに車両が走行中であると判断し、パーキングブレーキが作動しているときに車両が走行中ではないと判断してもよい。
【0021】
上記蓄電装置は、車両が走行するための電力を供給するように構成されてもよい。上記車両は電動車両であってもよい。電動車両は、蓄電装置に蓄えられた電力を用いて走行するように構成される車両である。電動車両には、EV(電気自動車)及びPHV(プラグインハイブリッド車両)のほか、FC車(燃料電池自動車)、レンジエクステンダーEVなども含まれる。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、走行中に乗員に違和感を与えることを抑制できる車両を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本開示の実施の形態に係る車両及び充電コネクタの構成を示す図である。
【
図2】本開示の実施の形態に係る車両の外観とインレットの構造とを示す図である。
【
図3】本開示の実施の形態に係る車両の動作の第1例を示すタイムチャートである。
【
図4】比較例に係る制御を説明するためのタイムチャートである。
【
図5】本開示の実施の形態に係る車両の動作の第2例を示すタイムチャートである。
【
図6】本開示の実施の形態に係る車両において、リッドロックトリガを発生させる処理を示すフローチャートである。
【
図7】本開示の実施の形態に係る車両において、制御装置が実行する充電リッドのロック制御を示すフローチャートである。
【
図8】
図7に示した処理における走行中か否かの判断の詳細を示すフローチャートである。
【
図9】本開示の実施の形態に係る車両において、リッドアンロックトリガを発生させる処理を示すフローチャートである。
【
図10】本開示の実施の形態に係る車両において、制御装置が実行する充電リッドのアンロック制御を示すフローチャートである。
【
図11】
図8に示した処理の変形例を示すフローチャートである。
【
図12】
図7に示した処理の変形例を示すフローチャートである。
【
図13】
図12の処理において報知装置が表示する画面(報知画面)の一例を示す図である。
【
図14】本開示の実施の形態の変形例において、ドアロックトリガが発生したときに実行される処理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。以下では、電子制御ユニット(Electronic Control Unit)を「ECU」と称する。
【0025】
図1は、この実施の形態に係る車両及び充電コネクタの構成を示す図である。
図1を参照して、車両100は、充電リッド10と、インレット20と、充電器30(車載充電器)と、充電リレー40と、蓄電装置50と、SMR(System Main Relay)60と、走行駆動装置70と、起動スイッチ80と、車両状態センサ81と、運転装置82と、入力装置83と、報知装置84と、開閉センサ110と、リッドロック装置(以下、「Lロック装置」とも称する)120と、接続センサ210と、コネクタロック装置(以下、「Cロック装置」とも称する)220と、ECU300とを備える。
【0026】
この実施の形態に係る車両100は、EV(電気自動車)である。蓄電装置50は、車両100が走行するための電力を走行駆動装置70へ供給するように構成される。走行駆動装置70は、蓄電装置50から供給される電力を用いて車両100の走行駆動力を生成するように構成される。走行駆動装置70の構成の詳細については後述する。SMR60は、蓄電装置50から走行駆動装置70までの電力経路の接続/遮断を切り替えるように構成される。この実施の形態に係るSMR60、ECU300は、それぞれ本開示に係る「リレー」、「制御装置」の一例に相当する。
【0027】
車両100の車体には充電口CPが形成されている。蓄電装置50は、車両外部から充電口CPに供給される電力によって充電可能に構成される。具体的には、車両100における充電口CPの内側にはインレット20が設けられている。インレット20は、充電ケーブルの充電コネクタ500が充電口CPを通じて接続可能に構成される。充電コネクタ500は、ユーザによってインレット20に接続される。車両外部に設置された給電設備(図示せず)につながる充電ケーブルの充電コネクタ500がインレット20に接続されることで、給電設備から充電ケーブルを通じてインレット20に電力を供給することが可能になる。充電器30は、インレット20に供給される電力を、蓄電装置50の充電に適した電力に変換するように構成される。充電リレー40は、充電器30から蓄電装置50までの電力経路の接続/遮断を切り替えるように構成される。充電リレー40が開状態(遮断状態)であるときには、インレット20から蓄電装置50までの充電経路は遮断される。充電リレー40が閉状態(接続状態)であるときには、インレット20から蓄電装置50への電力の供給が可能になる。充電リレー40の状態(接続/遮断)は、ECU300によって制御される。このように、蓄電装置50は外部充電可能に構成される。車両100における外部充電は、車両100の外部からインレット20に供給される電力によって蓄電装置50を充電することである。
【0028】
この実施の形態では、充電器30が、AC給電設備(すなわち、交流電力を給電する設備)に対応する充電器である。たとえば、充電器30は、給電設備(図示せず)からインレット20に供給される交流電力を直流電力に変換する電力変換回路と、ノイズを除去するフィルタ回路とを含んでもよい。電力変換回路は、ECU300によって制御されてもよい。ただし、充電器30は、上記構成に限定されず、DC給電設備(すなわち、直流電力を給電する設備)に対応する充電器であってもよい。なお、
図1には、インレット20のみを図示しているが、車両100は、複数種の給電方式(たとえば、AC方式及びDC方式)に対応できるように、給電方式ごとの複数のインレットを備えてもよい。
【0029】
充電リッド10は充電口CPを開閉するように構成される。充電リッド10は、開閉機構10a(たとえば、ヒンジ)を介して車体と連結されることによって、充電口CPを開閉可能に構成される。充電リッド10が閉じた状態では、充電リッド10が充電口CPを覆うことにより、インレット20の使用が禁止される。充電リッド10が開いた状態になると、ユーザが車両100の外側からインレット20を使用可能になる。充電リッド10には開閉センサ110が設けられている。開閉センサ110は、充電リッド10が開状態及び閉状態のいずれであるかを検出して、検出結果をECU300へ出力するように構成される。
【0030】
Lロック装置120は、充電リッド10のロック状態/アンロック状態を切り替えるように構成される。ロック状態は、充電リッド10が閉状態であり、かつ、充電リッド10の開動作が規制された状態である。アンロック状態は、充電リッド10の開動作が許容された状態である。この実施の形態に係るLロック装置120は、本開示に係る「ロック装置」の一例に相当する。以下、充電リッド10のリッドロック切替えのうち、充電リッド10のアンロック状態からロック状態への切替えを「リッドロック」と称し、充電リッド10のロック状態からアンロック状態への切替えを「リッドアンロック」と称する。
【0031】
Lロック装置120は、アクチュエータ11及びロック機構12を含む。ロック機構12はアクチュエータ11によって駆動されることにより充電リッド10の開動作を規制する。アクチュエータ11は、ECU300によって制御される。この実施の形態では、ロック機構12が、充電リッド10に対する係合部材(たとえば、ピン又は爪)を備える。そして、閉じた状態の充電リッド10と係合部材とが係合することにより充電リッド10の開動作が規制される。充電リッド10と係合部材とが係合しないときには、充電リッド10の開動作が許容される。アクチュエータ11は、上記係合部材を動かすことにより、充電リッド10と係合部材との係合/非係合を切り替えるモータであってもよい。
【0032】
図2は、車両100の外観とインレット20の構造とを示す図である。
図2の上部には、充電リッド10が開いたときに充電口CPを通じて露出するインレット20の構造が示されている。
【0033】
図1とともに
図2を参照して、車両100は、4つのドア101を備える。ドア101は乗降用ドアに相当する。
図2には、手前の2つのドア101のみが示されているが、車体で隠れている奥にも2つのドア101が存在する。ドア101ごとに、開閉センサ102と、ドアロック装置(以下、「Dロック装置」とも称する)103とが設けられている。開閉センサ102は、ドア101が開状態及び閉状態のいずれであるかを検出して、検出結果をECU300へ出力するように構成される。Dロック装置103は、ECU300からの指示に従って、ドア101のロック状態/アンロック状態を切り替えるように構成される。ロック状態は、ドア101が閉状態であり、かつ、ドア101の開動作が規制された状態である。アンロック状態は、ドア101の開動作が許容された状態である。ドア101がアンロック状態であるときには、ユーザは、車両100の外側からドア101を開けて車室に乗り込んだり、車室内からドア101を開けて車両100から降りたりすることができる。開閉センサ102及びDロック装置103としては、それぞれ周知のセンサ及びロック装置を採用できる。以下、ドア101のドアロック切替えのうち、ドア101のアンロック状態からロック状態への切替えを「ドアロック」と称し、ドア101のロック状態からアンロック状態への切替えを「ドアアンロック」と称する。
【0034】
この実施の形態では、充電リッド10が、車両100の後方の車体側面に設けられている。また、ロック機構12、インレット20、開閉センサ110、接続センサ210、及びロックピン222は、たとえば
図2の上部に示される位置に配置される。ただしこれに限られず、充電リッド10、ロック機構12、インレット20、開閉センサ110、接続センサ210、及びロックピン222の各々の位置は任意に設定できる。
【0035】
再び
図1を参照して、インレット20には、接続センサ210と、Cロック装置220とが設けられている。接続センサ210は、充電コネクタ500がインレット20に接続されているか否かを検出して、検出結果をECU300へ出力するように構成される。Cロック装置220は、充電コネクタ500のロック状態とアンロック状態とを切り替えるように構成される。ロック状態は、充電コネクタ500がインレット20に接続され、かつ、インレット20からの充電コネクタ500の取り外しが規制された状態である。アンロック状態は、インレット20からの充電コネクタ500の取り外しが許容された状態である。この実施の形態では、Cロック装置220が、アクチュエータ221と、ロックピン222とを含む。ロックピン222はアクチュエータ221によって駆動されることにより充電コネクタ500の取り外しを規制する。アクチュエータ221は、ECU300によって制御される。
【0036】
車両100が走行するときには、SMR60が閉状態になり、蓄電装置50から走行駆動装置70へ電力が供給される。SMR60の状態は、ECU300によって制御される。SMR60としては、たとえば電磁式のメカニカルリレーを採用できる。SMR60が閉状態(接続状態)であるときには、蓄電装置50と走行駆動装置70との間での電力の授受が可能になる。SMR60が開状態(遮断状態)であるときには、SMR60によって電流が遮断される。
【0037】
走行駆動装置70は、図示しないPCU(Power Control Unit)及びMG(Motor Generator)を含む。MGは、たとえば三相交流モータジェネレータである。PCUは、ECU300によって制御されるコンバータ及びインバータを含む。MGの力行駆動時には、蓄電装置50に蓄えられた電力をPCUが交流電力に変換してMGへ供給し、供給される電力を用いてMGが車両100の駆動輪を回転させる。MGによる発電時(たとえば、回生制動時)には、発電された電力をPCUが整流して蓄電装置50へ供給する。
【0038】
蓄電装置50は、たとえばリチウムイオン電池又はニッケル水素電池のような二次電池と、蓄電装置50の状態を監視する監視ユニットと(いずれも図示せず)を含んで構成される。二次電池は、組電池であってもよい。また、二次電池の代わりに、電気二重層キャパシタのような他の蓄電装置を採用してもよい。監視ユニットは、蓄電装置50の状態(たとえば、温度、電流、及び電圧)を検出する各種センサを含み、検出結果をECU300へ出力する。監視ユニットは、上記センサ機能に加えて、SOC(State Of Charge)推定機能、SOH(State of Health)推定機能、組電池におけるセル電圧の均等化機能、診断機能、及び通信機能をさらに有するBMS(Battery Management System)であってもよい。
【0039】
ECU300は、プロセッサ310、RAM(Random Access Memory)320、記憶装置330、及びタイマ340を含んで構成される。プロセッサ310としては、たとえばCPU(Central Processing Unit)を採用できる。RAM320は、プロセッサ310によって処理されるデータを一時的に記憶する作業用メモリとして機能する。記憶装置330は、格納された情報を保存可能に構成される。記憶装置330は、たとえばROM(Read Only Memory)及び書き換え可能な不揮発性メモリを含む。記憶装置330には、プログラムのほか、プログラムで使用される情報(たとえば、マップ、数式、及び各種パラメータ)が記憶されている。この実施の形態では、記憶装置330に記憶されているプログラムをプロセッサ310が実行することで、ECU300における各種制御が実行される。ただし、ECU300における各種制御は、ソフトウェアによる実行に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で実行することも可能である。なお、ECU300が備えるプロセッサの数は任意であり、所定の制御ごとにプロセッサが用意されてもよい。
【0040】
タイマ340は、設定時刻の到来をプロセッサ310に知らせるように構成される。タイマ340に設定された時刻になると、タイマ340からプロセッサ310へその旨を知らせる信号が送信される。この実施の形態では、タイマ340としてタイマ回路を採用する。ただし、タイマ340は、ハードウェア(タイマ回路)ではなく、ソフトウェアによって実現されてもよい。また、ECU300は、ECU300に内蔵されるリアルタイムクロック(RTC)回路(図示せず)を利用して現在時刻を取得できる。
【0041】
起動スイッチ80は、車両システムを起動させるためのスイッチであり、起動スイッチ80がオンされることによって車両システム(ECU300を含む)が起動する。起動スイッチ80は、一般に「パワースイッチ」又は「イグニッションスイッチ」と称される。この実施の形態では、車両100が以下に説明するReady-ON状態になると車両システムが起動し、車両100が以下に説明するReady-OFF状態になると車両システムが停止状態(スリープ状態を含む)になる。
【0042】
ユーザが起動スイッチ80に走行開始操作を行なうと、車両100がReady-ON状態になる。Ready-ON状態では、SMR60が閉状態になり、蓄電装置50から走行駆動装置70へ電力が供給される。Ready-ON状態では、ECU300が、走行駆動装置70を制御することによって、車両100を走行させることができる。車両100がReady-ON状態であるときにユーザが起動スイッチ80に走行停止操作を行なうと、車両100がReady-OFF状態になる。Ready-OFF状態では、SMR60が開状態になり、蓄電装置50から走行駆動装置70へ電力が供給されなくなる。以下、ユーザが起動スイッチ80に走行開始操作を行なってからユーザが起動スイッチ80に走行停止操作を行なうまでの期間を、「走行期間」と称する。
【0043】
この実施の形態では、システム起動操作及びシステム停止操作がそれぞれ走行開始操作及び走行停止操作と同じであるが、システム起動操作及びシステム停止操作はそれぞれ走行開始操作及び走行停止操作とは異なる操作であってもよい。たとえば、システム停止状態で起動スイッチ80を押すと、車両システムが起動し、システム起動後に起動スイッチ80をもう1度押すと、車両100がReady-ON状態になるようにしてもよい。
【0044】
車両状態センサ81は、車両100の状態を検出するセンサ群である。この実施の形態では、車両状態センサ81が、車両100の環境を監視する各種センサ(たとえば、外気温センサ、外気圧センサ、及び障害物検知器)と、車両100の走行を監視する各種センサ(たとえば、車速センサ、位置センサ、操舵角センサ、及びオドメータ)とを含む。
【0045】
運転装置82は、ユーザによる車両100の運転操作(たとえば、シフトチェンジ、アクセル、ブレーキ、ステアリング、及び車両固定の各々に関する操作)を受け付ける装置である。運転装置82は、ユーザの運転操作に対応する信号をECU300へ出力する。ECU300は、運転装置82から受信する信号に基づいて、車両100の走行制御を行なう。この実施の形態では、運転装置82が、シフトレバーと、アクセルペダルと、ブレーキペダルと、ステアリングホイールと、パーキングブレーキとを含む。ユーザは、シフトレバーを操作することにより、車両100のシフトポジションを変更することができる。ユーザは、アクセルペダルを操作することにより、車両100の加速を強めたり弱めたりすることができる。ユーザは、ブレーキペダルを操作することにより、車両100の制動を強めたり弱めたりすることができる。ユーザは、ステアリングホイールを操作することにより、車両100の操舵輪の角度(操舵角)を調整することができる。ユーザは、パーキングブレーキを操作することにより、車両100を固定したり、その固定を解除したりすることができる。
【0046】
入力装置83は、ユーザによる運転操作以外の入力を受け付ける装置である。入力装置83は、ユーザの入力に対応する信号をECU300へ出力する。ユーザは、入力装置83を通じて、所定の指示又は要求を行なったり、パラメータの値を設定したりすることができる。通信方式は有線でも無線でもよい。入力装置83の例としては、各種スイッチ、各種ポインティングデバイス、キーボード、タッチパネルが挙げられる。また、入力装置83は、音声入力を受け付けるスマートスピーカを含んでもよい。入力装置83は、カーナビゲーションシステムの操作部であってもよい。
【0047】
この実施の形態では、入力装置83が、ドアロック専用スイッチ(以下、「DロックSW」と表記する)と、ドアアンロック専用スイッチ(以下、「DアンロックSW」と表記する)と、リッドロック専用スイッチ(以下、「LロックSW」と表記する)と、リッドアンロック専用スイッチ(以下、「LアンロックSW」と表記する)とを含む。
【0048】
DロックSW、DアンロックSWは、それぞれユーザがECU300に対してドアロック、ドアアンロックを指示するためのスイッチである。ユーザによってDロックSWが操作されると、ECU300が、ドア101(
図2)をロック状態にするようにDロック装置103(
図2)を制御する。ユーザによってDアンロックSWが操作されると、ECU300が、ドア101(
図2)をアンロック状態にするようにDロック装置103(
図2)を制御する。DロックSW及びDアンロックSWの各々は、たとえば各ドア101の取っ手(内側及び外側の両方)に設けられてもよい。
【0049】
詳細は後述するが、LロックSW、LアンロックSWは、それぞれユーザがECU300に対してリッドロック、リッドアンロックを指示するためのスイッチである。ユーザによってLロックSWが操作されると、所定の信号(以下、「ユーザロック指示」と称する)がECU300へ出力される。ユーザによってLアンロックSWが操作されると、所定の信号(以下、「ユーザアンロック指示」と称する)がECU300へ出力される。LロックSW及びLアンロックSWの各々は、たとえば車両100の車室内に設けられてもよい。
【0050】
報知装置84は、ECU300から要求があったときに所定の報知処理を行なうように構成される。報知装置84の例としては、表示装置(たとえば、メータパネル又はヘッドアップディスプレイ)、スピーカ、ランプが挙げられる。報知装置84は、カーナビゲーションシステムの表示部であってもよい。
【0051】
以下、
図1とともに
図3を参照して、車両100が走行停止後に外部充電を行なってから再び走行を開始するまでの動作について説明する。
図3は、この実施の形態に係る車両100の動作の第1例を示すタイムチャートである。
図3において、線L11、L12、L13、L14は、それぞれ車両100の走行状態(走行中/非走行)、ドア101の状態(ロック/アンロック)、充電リッド10の状態(ロック/アンロック)、蓄電装置50の充電状態(充電中/非充電)の推移を示している。
【0052】
図3に示す例では、車両100が走行中であるときには、ドア101及び充電リッド10の各々がロック状態になっている(線L12及びL13参照)。ユーザは、給電設備の近くに車両100を駐車して、起動スイッチ80に走行停止操作を行なう。これにより、車両100がReady-OFF状態(すなわち、電動走行できない状態)になり、車両100の走行期間が終了する(線L11)。その後、タイミングt11で、ユーザがDアンロックSWを操作することによりドア101をアンロック状態にする(線L12)。ドア101がロック状態からアンロック状態に切り替わることに連動して、充電リッド10もロック状態からアンロック状態に切り替わる(線L13)。この際、ドアアンロックとリッドアンロックとは略同時に行なわれるが、リッドアンロックはドアアンロックよりも少し遅れて実行される。充電リッド10のアンロック制御の詳細については後述する(
図9及び
図10参照)。
【0053】
ドア101がアンロック状態になると、ユーザは、ドア101を開けて車外に出て、給電設備につながる充電ケーブルの充電コネクタ500をインレット20に接続する。インレット20に充電コネクタ500が接続されると、ECU300がCロック装置220を制御することにより充電コネクタ500をロック状態にする。これにより、給電設備から充電ケーブルを通じてインレット20に電力を供給することが可能になる。外部充電の準備が完了したら、ユーザは給電設備を操作して蓄電装置50の外部充電を開始する(線L14)。その後、ユーザは所望のタイミングで外部充電を停止する(線L14)。
【0054】
外部充電が終了すると、ユーザは、車両100に乗り込み、ドア101を閉じる。そして、タイミングt12で、ユーザはDロックSWを操作することによりドア101をロック状態にする(線L12)。ドア101がアンロック状態からロック状態に切り替わることに連動して、充電リッド10もアンロック状態からロック状態に切り替わる(線L13)。この際、ドアロックとリッドロックとは略同時に行なわれるが、リッドロックはドアロックよりも少し遅れて実行される。充電リッド10のロック制御の詳細については後述する(
図6及び
図7参照)。
【0055】
ユーザは、上記のようにドア101をロック状態にした後、起動スイッチ80に走行開始操作を行なう。これにより、車両100がReady-ON状態(すなわち、電動走行可能な状態)になり、車両100の走行期間が開始する(線L11)。
【0056】
以上説明したように、この実施の形態に係るECU300は、ドアロック切替え(すなわち、ドア101のロック状態/アンロック状態の切替え)に連動してリッドロック切替え(すなわち、充電リッド10のロック状態/アンロック状態の切替え)を行なうように構成される。ただし、ECU300は、車両100の走行中にはリッドロック切替えを行なわない。以下、こうした制御によって奏される効果を、比較例に係る制御との対比により説明する。
【0057】
図4は、比較例に係る制御を説明するためのタイムチャートである。比較例に係る制御では、車両100が走行中であるか否かにかかわらず、ドアロック切替えに連動してリッドロック切替えが行なわれる。
図4における線L21、L22、L23、L24は、それぞれ
図3における線L11、L12、L13、L14に対応する。
【0058】
図4に示す例では、ユーザがドアロックを行なう前に車両100の走行を開始している。そして、走行開始後のタイミングt13でドアロックが行なわれる(線L22)。車両走行中のドアロックは、ユーザ操作によって行なわれてもよいし、所定のドアロック条件が成立することによって自動的に行なわれてもよい。たとえば、車速が所定値以上になると、ドアロック条件が成立してもよい。
【0059】
比較例に係る制御では、このドアロックに連動してリッドロックが行なわれる(線L23)。ドアロックとリッドロックとは略同時に行なわれるが、リッドロックはドアロックよりも少し遅れて実行される。
【0060】
上記のように、比較例に係る制御では、車両100の走行中にリッドロックが行なわれる。車両100の走行中にリッドロック音が生じると、車両100の乗員に違和感を与えることがある。特にEVでは走行時にエンジン音がなく静かなので乗員に違和感を与えやすい。また、車両100の走行中に異なる作動音(ドアロック音及びリッドロック音)が略同時に発生すると、走行駆動系の異音(異常時の音)と紛らわしく、走行駆動系に異常が発生したと乗員が誤解する可能性がある。
【0061】
そこで、この実施の形態では、ECU300が、車両100の走行中にはリッドロック切替えが行なわれないように、Lロック装置120を制御する。以下、
図1とともに
図5を参照して、この実施の形態に係る制御について説明する。
図5は、この実施の形態に係る車両100の動作の第2例を示すタイムチャートである。
図5における線L1、L2、L3、L4は、それぞれ
図3における線L11、L12、L13、L14に対応する。
【0062】
図5に示す例でも、
図4に示す例と同様、ユーザがドアロックを行なう前に車両100の走行を開始している。そして、走行開始後のタイミングt13でドアロックが行なわれる(線L2)。しかし、ECU300は、車両100の走行中にはリッドロック切替えを行なわない。このため、タイミングt13でドアロックが行なわれてもリッドロックは行なわれない(線L3)。
【0063】
上記のように、この実施の形態に係る制御では、走行中にリッドロック切替えが行なわれない。このため、車両100の走行中にはリッドロック音が発生しない。こうした制御によれば、車両100の走行中に乗員に違和感を与えることを抑制できる。また、車両100の走行中に走行駆動系の異音と紛らわしい音が発生することも抑制される。このため、ユーザは、走行中の音の変化によって車両100の走行駆動系の異常に気づきやすくなる。
【0064】
この実施の形態に係るECU300は、充電リッド10がアンロック状態であるときにリッドロックトリガが発生すると、車両100が走行中であるか否かを判断し、車両100が走行中ではないと判断された場合には、充電リッド10をアンロック状態からロック状態へ切り替える一方、車両100が走行中であると判断された場合にはリッドロック切替えを行なわない。この実施の形態に係るリッドロックトリガは、本開示に係る「ロックトリガ」の一例に相当する。
【0065】
図6は、リッドロックトリガを発生させる処理を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、ECU300によって繰り返し実行される。
【0066】
図1とともに
図6を参照して、ステップ(以下、単に「S」と表記する)101では、充電リッド10がアンロック状態であるか否かを、ECU300が判断する。充電リッド10がアンロック状態である場合(S101にてYES)には、処理がS102に進む。充電リッド10がロック状態である場合(S101にてNO)には、S102以降の処理は実行されない。
【0067】
S102では、ECU300が、前回の処理ルーチンから今回の処理ルーチンまでの間にドアロックが行なわれたか否かを判断する。
【0068】
S102においてNO(ドアロックは行なわれていない)と判断されると、ECU300は、S103において、前回の処理ルーチンから今回の処理ルーチンまでの間にLロックSWからユーザロック指示を受信したか否かを判断する。
【0069】
S102及びS103のいずれかでYESと判断されると、S104においてリッドロックトリガが発生する。S103においてNO(ユーザロック指示を受信していない)と判断されると、処理が最初のステップ(S101)に戻る。
【0070】
上記のように、リッドロックトリガは、充電リッド10がアンロック状態でないとき(S101にてNO)には発生しない。また、リッドロックトリガは、車両100の乗降用ドア(ドア101)がアンロック状態からロック状態に切り替わったとき(S102にてYES)に発生する。また、リッドロックトリガは、入力装置83(たとえば、LロックSW)に対して所定の入力が行なわれたとき(S103にてYES)に発生する。
【0071】
図6のS104においてリッドロックトリガが発生すると、以下に説明する
図7に示す処理が実行される。
図7は、ECU300が実行する充電リッド10のロック制御を示すフローチャートである。
【0072】
図1とともに
図7を参照して、S11では、車両100が走行中であるか否かを、ECU300が判断する。ECU300は、たとえば以下に説明する
図8に示す処理によって車両100が走行中であるか否かを判断する。
図8は、
図7のS11の詳細を示すフローチャートである。
【0073】
図1とともに
図8を参照して、S31では、車両100がReady-ON状態であるか否かを、ECU300が判断する。具体的には、SMR60が閉状態であるときには、ECU300は、S31において車両100がReady-ON状態であると判断する。SMR60が開状態であるときには、ECU300は、S31において車両100がReady-OFF状態であると判断する。
【0074】
車両100がReady-ON状態である場合(S31にてYES)には、ECU300は、S32において車両100が走行中である(すなわち、
図7のS11においてYES)と判断する。車両100がReady-OFF状態である場合(S31にてNO)には、ECU300は、S33において車両100が走行中ではない(すなわち、
図7のS11においてNO)と判断する。
【0075】
再び
図1とともに
図7を参照して、S11においてYES(走行中)と判断された場合には、ECU300は、リッドロック切替えを行なうことなく、
図7に示す一連の処理を終了する。S11においてNO(非走行)と判断された場合には、ECU300は、S12において、リッドロック(すなわち、充電リッド10をアンロック状態からロック状態へ切り替える処理)を行なうようにLロック装置120を制御する。
【0076】
次に、この実施の形態に係る充電リッド10のアンロック制御について説明する。この実施の形態に係るECU300は、充電リッド10がロック状態であるときにリッドアンロックトリガが発生すると、車両100が走行中であるか否かを判断し、車両100が走行中ではないと判断された場合には、充電リッド10をロック状態からアンロック状態へ切り替える一方、車両100が走行中であると判断された場合にはリッドロック切替えを行なわない。この実施の形態に係るリッドアンロックトリガは、本開示に係る「アンロックトリガ」の一例に相当する。
【0077】
図9は、リッドアンロックトリガを発生させる処理を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、ECU300によって繰り返し実行される。
【0078】
図1とともに
図9を参照して、S201では、充電リッド10がロック状態であるか否かを、ECU300が判断する。充電リッド10がロック状態である場合(S201にてYES)には、処理がS202に進む。充電リッド10がアンロック状態である場合(S201にてNO)には、S202以降の処理は実行されない。
【0079】
S202では、ECU300が、前回の処理ルーチンから今回の処理ルーチンまでの間にドアアンロックが行なわれたか否かを判断する。
【0080】
S202においてNO(ドアアンロックは行なわれていない)と判断されると、ECU300は、S203において、前回の処理ルーチンから今回の処理ルーチンまでの間にLアンロックSWからユーザアンロック指示を受信したか否かを判断する。
【0081】
S202及びS203のいずれかでYESと判断されると、S204においてリッドアンロックトリガが発生する。S203においてNO(ユーザアンロック指示を受信していない)と判断されると、処理が最初のステップ(S201)に戻る。
【0082】
上記のように、リッドアンロックトリガは、充電リッド10がロック状態でないとき(S201にてNO)には発生しない。また、リッドアンロックトリガは、車両100の乗降用ドア(ドア101)がロック状態からアンロック状態に切り替わったとき(S202にてYES)に発生する。また、リッドアンロックトリガは、入力装置83(たとえば、LアンロックSW)に対して所定の入力が行なわれたとき(S203にてYES)に発生する。
【0083】
図9のS204においてリッドアンロックトリガが発生すると、以下に説明する
図10に示す処理が実行される。
図10は、ECU300が実行する充電リッド10のアンロック制御を示すフローチャートである。
【0084】
図1とともに
図10を参照して、S21では、車両100が走行中であるか否かを、ECU300が判断する。ECU300は、たとえば
図8に示した処理によって、車両100が走行中であるか否かを判断する。
【0085】
S21においてYES(走行中)と判断された場合には、ECU300は、リッドロック切替えを行なうことなく、
図10に示す一連の処理を終了する。S21においてNO(非走行)と判断された場合には、ECU300は、S22において、リッドアンロック(すなわち、充電リッド10をロック状態からアンロック状態へ切り替える処理)を行なうようにLロック装置120を制御する。
【0086】
以上説明したように、この実施の形態に係るECU300は、車両100の走行中にはリッドロック切替え(リッドロック及びリッドアンロック)を行なわない。このため、車両100の走行中にドアロック又はドアアンロックされた場合にも、車両100の走行中にユーザが誤ってLロックSW又はLアンロックSWを操作してしまった場合にも、リッドロック音が発生しない。ECU300は、こうした制御により、車両100の走行中に乗員に違和感を与えることを抑制できる。また、この実施の形態に係るLロック装置120の制御では、比較例に係る制御(すなわち、ドアロックとリッドロックとが常に連動する制御)と比べて、Lロック装置120の作動頻度が低減する。よって、この実施の形態に係る車両100では、Lロック装置120に要求される耐久性が低くなる。このため、安価なLロック装置120を採用して低コスト化を図ることが可能になる。
【0087】
上記実施の形態では、ECU300が、SMR60の状態(接続/遮断)のみを用いて、車両100が走行中であるか否かを判断している(
図8参照)。しかし、車両100が走行中であるか否かを判断する方法は、上記方法に限定されない。たとえば、ECU300は、SMR60の状態に代えて又は加えて、起動スイッチ80の状態と、車両100のシフトポジションと、車両100のパーキングブレーキの状態との少なくとも1つを用いて、車両100が走行中であるか否かを判断してもよい。
【0088】
ECU300は、
図8に示した処理に代えて
図11に示す処理を実行してもよい。
図11は、
図8に示した処理の変形例を示すフローチャートである。
【0089】
図1とともに
図11を参照して、S311では、走行期間(すなわち、ユーザが起動スイッチ80に走行開始操作を行なってからユーザが起動スイッチ80に走行停止操作を行なうまでの期間)の内か外かを、ECU300が判断する。
【0090】
S312では、車両100のシフトポジションが走行レンジであるか否かを、ECU300が判断する。
【0091】
S313では、車両100のパーキングブレーキが解除されているか否かを、ECU300が判断する。
【0092】
S311~S313の全てでYES(走行期間内であり、かつ、シフトポジションが走行レンジであり、かつ、パーキングブレーキが解除されている)と判断された場合には、ECU300は、S32において車両100が走行中である(すなわち、
図7のS11においてYES)と判断する。S311~S313のいずれかでNOと判断された場合には、ECU300は、S33において車両100が走行中ではない(すなわち、
図7のS11においてNO)と判断する。
【0093】
上記実施の形態では、車両100の走行中にリッドロックトリガが発生した場合(
図7のS11にてYES)には、何も処理が実行されない。また、車両100の走行中にリッドアンロックトリガが発生した場合(
図10のS21にてYES)にも、何も処理が実行されない。しかしこれに限られず、車両100の走行中にリッドロックトリガ又はリッドアンロックトリガが発生した場合に、所定の処理が実行されてもよい。
【0094】
ECU300は、
図7に示した処理に代えて
図12に示す処理を実行してもよい。
図12は、
図7に示した処理の変形例を示すフローチャートである。
図12に示す処理では、
図7に示した処理に対してS13が追加されている。
【0095】
図1とともに
図12を参照して、車両100の走行中にリッドロックトリガが発生した場合には、S11においてYESと判断され、処理がS13に進む。S13では、ECU300が、報知装置84を制御することにより、リッドロックが行なわれなかったことをユーザに報知する。報知装置84は、たとえば、リッドロックが行なわれなかったことをユーザに報知する画面を表示する。
【0096】
図13は、
図12のS13において報知装置84が表示する画面(報知画面)の一例を示す図である。
図13を参照して、この画面は、車両走行中であるためにリッドロックが行なわれなかったことを、ユーザに知らせるメッセージを表示している。
【0097】
なお、報知の方法は任意であり、表示装置への表示(たとえば、文字又は画像の表示)でユーザに知らせてもよいし、スピーカにより音(音声を含む)でユーザに知らせてもよいし、所定のランプを点灯(点滅を含む)させてもよい。
【0098】
図12には、充電リッド10のロック制御についての変形例を示しているが、充電リッド10のアンロック制御について同様の変形を行なってもよい。
【0099】
リッドロックトリガが発生する条件は、
図6に示す条件に限られず任意である。たとえば、
図6の処理においてS102又はS103が割愛されてもよい。リッドアンロックトリガが発生する条件は、
図9に示す条件に限られず任意である。たとえば、
図9の処理においてS202又はS203が割愛されてもよい。
【0100】
上記実施の形態では、ECU300が充電リッド10のロック制御(
図7)とアンロック制御(
図10)とを別々に行なっているが、こうした制御態様には限定されない。車両100の走行中にリッドロック切替えのトリガが発生してもリッドロック切替えが行なわれないようにECU300がLロック装置120を制御していればよく、制御態様は任意である。
【0101】
上記実施の形態では、リッドロックトリガが発生したときに、
図7に示した処理が実行される。しかしこれに限られず、ECU300は、所定のドアロックトリガが発生したときに、以下に説明する
図14に示す処理を実行するように構成されてもよい。
図14に示す処理が実行される変形例において、ECU300は、
図6及び
図7に示した処理を実行しなくてもよい。
図14は、上記実施の形態の変形例において、ドアロックトリガが発生したときに実行される処理を示す図である。
【0102】
図14を参照して、S51では、車両100が走行中であるか否かを、ECU300が判断する。S51においてNO(非走行)と判断された場合には、ECU300は、S52において、ドアロック及びリッドロックの両方を行なうようにDロック装置103及びLロック装置120を制御する。他方、S51においてYES(走行中)と判断された場合には、ECU300は、S53において、ドアロック及びリッドロックのうちドアロックのみを行なうようにDロック装置103を制御する。すなわち、S53においては、リッドロック切替えは行なわれない。
【0103】
上記のドアロックトリガは、ユーザがDロックSWに所定の操作を行なったときに発生してもよいし、車速が所定値以上になったときに発生してもよいし、シフトポジションが走行レンジになったときに発生してもよい。
図14には、充電リッド10のロック制御についての変形例を示しているが、充電リッド10のアンロック制御について同様の変形を行なってもよい。
【0104】
車両の構成は、
図1及び
図2に示した構成に限られない。走行駆動装置70は、図示しないエンジン(内燃機関)をさらに含んでもよい。車両は、蓄電装置50に蓄えられた電力とエンジンの出力との両方を用いて走行可能なPHV(プラグインハイブリッド車両)であってもよい。車両は、乗用車であってもよいし、バスであってもよいし、トラックであってもよい。車両は、非接触充電可能に構成されてもよい。車両は、自動運転又は遠隔運転によって無人走行可能に構成されてもよい。車両は、無人搬送車(AGV)であってもよいし、MaaS(Mobility as a Service)事業者が管理するMaaS車両であってもよい。車輪の数も4輪に限定されず適宜変更可能である。車輪の数は、3輪であってもよいし、5輪以上であってもよい。
【0105】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0106】
10 充電リッド、11 アクチュエータ、12 ロック機構、20 インレット、30 充電器、40 充電リレー、50 蓄電装置、60 SMR、70 走行駆動装置、80 起動スイッチ、81 車両状態センサ、82 運転装置、83 入力装置、84 報知装置、100 車両、101 ドア、102 開閉センサ、103 Dロック装置、110 開閉センサ、120 Lロック装置、210 接続センサ、220 Cロック装置、221 アクチュエータ、222 ロックピン、300 ECU、310 プロセッサ、320 RAM、330 記憶装置、340 タイマ、500 充電コネクタ、CP 充電口。