(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】産業車両
(51)【国際特許分類】
B66F 9/24 20060101AFI20231108BHJP
【FI】
B66F9/24 P
(21)【出願番号】P 2020122066
(22)【出願日】2020-07-16
【審査請求日】2022-10-13
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支援センター「革新的技術開発・緊急展開事業(うち人工知能未来農業創造プロジェクト)」、産業技術力強化法第17条の適用を受けるもの
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】野々垣 保紀
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-300700(JP,A)
【文献】実開昭50-069157(JP,U)
【文献】実開昭55-168000(JP,U)
【文献】特開2007-145443(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0319640(US,A1)
【文献】特開2010-052894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/00-11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置と、前記走行装置の前側に配置された荷役装置と、前記荷役装置の前方に存在する物体を検知する検知装置と、前記検知装置の検知結果に基づいて荷役対象物の荷役を行うように前記走行装置及び前記荷役装置を制御する制御装置と、を備える産業車両であって、
前記検知装置は、
前記荷役装置の前方の照射範囲にレーザ光を投光して前記照射範囲における前記物体からの前記レーザ光の反射光を受光する投受光窓を含み、前記反射光に基づいて前記物体を検知するセンサと、
前記照射範囲を除く領域において前記センサの周囲を覆うように設けられ、前記センサの前記投受光窓よりも前方に延在するカバー部材と、を有
し、
前記カバー部材は、
前記センサの上方を覆う屋根部と、
前記屋根部の下方に設けられると共に前方から見て前記センサを挟んで両側に配置される一対の側壁部と、を含み、
前記カバー部材の内部には、前記屋根部と前記一対の側壁部とによって画定され、前記投受光窓の前方を経由する流路が形成されており、
前記検知装置は、
前記流路に気体を送り込む送風装置と、
前記送風装置に接続され、前記送風装置に供給される前記気体が流通する吸気ダクトと、を更に有し、
前記吸気ダクトは、外部から前記吸気ダクトの内部に前記気体を導入するための吸入口を含み、
前記吸入口は、前記吸気ダクトの下方に開口している、産業車両。
【請求項2】
前記屋根部は、前方に向かうほど上方に位置するように傾斜する上面を含む、請求項
1に記載の産業車両。
【請求項3】
前記流路は、前記流路の流路断面積を他の部分よりも小さくする絞り部を含み、
前記絞り部は、前記流路において前記投受光窓よりも上流側に設けられている、請求項
1又は2に記載の産業車両。
【請求項4】
前記吸気ダクトの内部には、前記吸入口から導入された前記気体中の異物を取り除くためのフィルタが設けられている、請求項
1~3のいずれか一項に記載の産業車両。
【請求項5】
前記センサは、上下方向に拡がる前記照射範囲において前記レーザ光を投受光する二次元センサである、請求項1~
4のいずれか一項に記載の産業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、産業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の産業車両として、例えば特許文献1に記載のフォークリフトが知られている。特許文献1に記載のフォークリフトは、車体を含む走行装置と、走行装置の前側に配置された荷役装置と、荷役装置の前方に存在する物体を検知するセンサと、を備える。センサは、荷役装置の前方にレーザ光を投光して前方の物体からのレーザ光の反射光を受光することにより、物体の位置を検知する。このようなフォークリフトでは、センサによって検知された物体の位置などに基づいて、荷役対象物に対する荷役が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようなフォークリフトを雨天時の屋外で使用する場合、前方からのセンサの投受光窓(レーザ光を前方に投受光するための窓)への降雨の吹込みによって、投受光窓に水滴が付着することがある。投受光窓に水滴が付着した状態でセンサによる物体の検知を行うと、その水滴の影響により物体を誤検知するなど、物体の検知が困難となり得る。特に、上下方向に拡がるレーザ光を照射する二次元センサを用いて物体の検知を行う場合、前上方にもレーザ光を投受光可能な構成とする必要があることから、前上方からの投受光窓への降雨の吹き込みによる投受光窓への水滴の付着が顕著になる懸念がある。
【0005】
本開示は、屋外で使用する場合であっても、天候によらずに物体の検知を確実に行うことができる産業車両を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る産業車両は、走行装置と、走行装置の前側に配置された荷役装置と、荷役装置の前方に存在する物体を検知する検知装置と、検知装置の検知結果に基づいて荷役対象物の荷役を行うように走行装置及び荷役装置を制御する制御装置と、を備える産業車両であって、検知装置は、荷役装置の前方の照射範囲にレーザ光を投光して照射範囲における物体からのレーザ光の反射光を受光する投受光窓を含み、反射光に基づいて物体を検知するセンサと、照射範囲を除く領域においてセンサの周囲を覆うように設けられ、センサの投受光窓よりも前方に延在するカバー部材と、を有する。
【0007】
上記の産業車両では、検知装置が、レーザ光の照射範囲を除く領域においてセンサの周囲を覆うように設けられ、センサの投受光窓よりも前方に延在するカバー部材を有している。従って、雨天時の屋外においてセンサによる物体の検知を行う際に、前方からのセンサの投受光窓への降雨の吹き込みをカバー部材によって防止できる。その結果、投受光窓への降雨の吹き込みによる投受光窓への水滴の付着を抑制でき、投受光窓に付着した水滴の影響による物体の誤検知の発生を抑制できる。すなわち、上記の産業車両によれば、屋外で使用する場合であっても、物体の検知を確実に行うことができる。
【0008】
カバー部材は、センサの上方を覆う屋根部を含んでもよい。この場合、前上方からの投受光窓への降雨の吹き込みを屋根部によって防止できるので、投受光窓への水滴の付着を抑制できるという上述した効果を好適に奏することができる。
【0009】
屋根部は、前方に向かうほど上方に位置するように傾斜する上面を含んでもよい。この場合、降雨により屋根部の上面に付着した水滴が、屋根部の前方から落下することを抑制できる。これにより、屋根部の前方から落下した水滴の吹き込みによる投受光窓への水滴の付着を抑制できる。
【0010】
カバー部材は、屋根部の下方に設けられると共に前方から見てセンサを挟んで両側に配置される一対の側壁部を更に含んでもよい。この場合、左右からの投受光窓への降雨の吹き込みを一対の側壁部によって防止することができる。これにより、投受光窓への水滴の付着をより確実に抑制できる。
【0011】
カバー部材の内部には、屋根部と一対の側壁部とによって画定され、投受光窓の前方を経由する流路が形成されており、検知装置は、流路に気体を送り込む送風装置を更に有してもよい。この場合、流路に送り込まれた気体によって、投受光窓の前方に存在する降雨を吹き飛ばすことができる。これにより、投受光窓への水滴の付着をより確実に抑制できる。
【0012】
流路は、流路の流路断面積を他の部分よりも小さくする絞り部を含み、絞り部は、流路において投受光窓よりも上流側に設けられていてもよい。この場合、流路に送り込まれた気体の流速は絞り部において高められ、流速が高められた気体によって、投受光窓の前方に存在する降雨をより確実に吹き飛ばすことができる。これにより、投受光窓への水滴の付着をより一層確実に抑制できる。
【0013】
検知装置は、送風装置に接続され、送風装置に供給される気体が流通する吸気ダクトを更に有し、吸気ダクトは、外部から吸気ダクトの内部に気体を導入するための吸入口を含み、吸入口は、吸気ダクトの下方に開口していてもよい。この場合、吸気ダクトの下方に開口する吸入口から吸気ダクトの内部に気体が導入され、吸気ダクトから送風装置を介して流路に気体が送り込まれる。このように、吸入口が吸気ダクトの下方に開口している場合、気体と共に降雨(水滴)が吸入口から吸気ダクトの内部に吸入される事態を抑制できる。これにより、水滴を含んだ気体が吸気ダクトから送風装置を介して流路に送り込まれる事態を抑制でき、気体中の水滴が流路においてセンサの投受光窓に接触する事態を抑制できる。従って、上述した構成によれば、投受光窓への水滴の付着をより一層確実に抑制できる。
【0014】
吸気ダクトの内部には、吸入口から導入された気体中の異物を取り除くためのフィルタが設けられていてもよい。この構成では、砂塵などの異物を含んだ気体が、吸入口から吸気ダクトの内部に導入された場合であっても、フィルタにおいて気体中の異物を取り除くことができる。これにより、異物を含んだ気体が吸気ダクトから送風装置を介して流路に送り込まれる事態を抑制でき、気体中の異物が流路においてセンサの投受光窓に接触する事態を抑制できる。その結果、気体中の異物によって投受光窓が損傷してしまう事態を抑制できる。
【0015】
センサは、上下方向に拡がる照射範囲においてレーザ光を投受光する二次元センサであってもよい。この場合、前上方にもレーザ光を投受光可能な構成とする必要があることから、前上方からの投受光窓への降雨の吹き込みによる投受光窓への水滴の付着が顕著になりやすい。従って、このような場合に、上述した効果を好適に奏することができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、屋外で使用する場合であっても、天候によらずに物体の検知を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本開示に係る産業車両の一実施形態であるフォークリフトを示す側面図である。
【
図3】
図3(a)は、
図2のセンサを前方から見た拡大図である。
図3(b)は、
図2のセンサを後方から見た拡大図である。
【
図4】
図4は、
図1のフォークリフトに搭載される制御装置の機能的構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5(a)は、検知装置の具体的な構成を示す斜視図である。
図5(b)は、
図5(a)の検知装置を分解して示す分解斜視図である。
【
図6】
図6(a)は、
図5(b)のカバー部材の構成を示す斜視図である。
図6(b)は、
図6(a)のカバー部材を別の角度から見た斜視図である。
【
図8】
図8(a)は、
図5(a)の検知装置の吸気ダクトの構成を示す斜視図である。
図8(b)は、
図8(a)の吸気ダクトを示す断面図である。
【
図9】
図9は、検知装置の第1変形例を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、検知装置の第2変形例を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、検知装置の第3変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態>
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一又は同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を適宜省略する。以下の説明において、「下」との語は、フォークリフトが走行可能に路面に置かれた状態においてフォークリフトから路面に向かう方向(鉛直方向の下側)を意味し、「上」との語は、路面からフォークリフトに向かう方向(鉛直方向の上側)を意味する。「前」との語は、フォークリフトが前進する側、すなわち、フォークリフトのフォークが指す方向を意味し、「後」との語は、フォークリフトの前進方向とは反対方向を意味する。「右」及び「左」との語は、鉛直方向に垂直な水平方向を意味し、後方からフォークリフトを見た場合を基準として用いられる。
【0019】
図1は、本開示に係る産業車両の一実施形態であるフォークリフト1を示す側面図である。
図1において、本実施形態に係るフォークリフト1は、例えばカウンター式のフォークリフトである。フォークリフト1は、走行装置10と、走行装置10の前側に配置された荷役装置30と、荷役装置30の前方に存在する物体を検知する検知装置50と、検知装置50の検知結果に基づいて走行装置10及び荷役装置30を制御する制御装置90(
図4参照)と、を備える。フォークリフト1は、検知装置50の検知結果に基づいて、荷役対象物としてのパレットWの荷役を行う位置まで自動で走行する自動運転フォークリフトとして構成されている。
【0020】
走行装置10は、車体11と、車体11の前下部に配置された駆動輪11aと、車体11の後下部に配置された操舵輪11bと、駆動輪11aを回転させる走行モータ13と、フォークリフト1のハンドル軸を回転させることにより操舵輪11bを転舵させる転舵モータ14(
図4参照)と、を有する。車体11には、ヘッドガード21を含むフレームによって構成された運転室20が設けられている。
【0021】
図2は、
図1のフォークリフト1を示す斜視図である。
図2に示すように、車体11に設けられるヘッドガード21は、運転室20の上方を覆う天井部21aと、天井部21aの左右両側に配置されると共に天井部21aの前端部から下方に延在する一対のピラー21b,21bと、を含む。天井部21aの前方には、左右方向に延在するフレーム21cが設けられている。フレーム21cは、一対のピラー21b,21bにかけ渡されるように配置され、一対のピラー21b,21bに固定されている。フレーム21cの左右の長さは、ヘッドガード21の左右の幅よりも長い。その結果、フレーム21cの左端部P1は、ヘッドガード21の左端よりも左方に突出しており、フレーム21cの右端部P2は、ヘッドガード21の右端よりも右方に突出している。
【0022】
荷役装置30は、パレットWの荷積み及び荷置きを行う装置である。
図1及び
図2に示すように、荷役装置30は、車体11の前端部に立設されたマスト31と、マスト31よりも前側に配置されたバックレスト32と、マスト31に昇降可能に支持されたリフトブラケット33と、リフトブラケット33に取り付けられた一対のフォーク34,34と、リフトブラケット33を昇降させるリフトシリンダ35と、マスト31を傾動させるティルトシリンダ36と、一対のフォーク34,34をマスト31に対して左右方向(車幅方向)にシフトさせるサイドシフトシリンダ37(
図4参照)と、を有する。
【0023】
一対のフォーク34,34は、リフトブラケット33から前方に突出しており、左右方向に互いに離間した位置に配置されている。一対のフォーク34,34には、パレットWが積載される。バックレスト32は、一対のフォーク34,34上に載せられたパレットWが後方にずれることを防ぐための荷受け枠である。パレットWは、例えば、略直方体形状を呈している。パレットWは、例えばトレーラ荷台L1に載置されたコンテナL2内に収容される(
図2参照)。
【0024】
検知装置50は、例えば、走行装置10に取り付けられている。
図2に示すように、検知装置50は、走行装置10における左右対称となる位置に取り付けられた一対のセンサ51,51を有する。例えば、一方のセンサ51は、車体11のフレーム21cの左端部P1に取り付けられており、他方のセンサ51は、フレーム21cの右端部P2に取り付けられている。一対のセンサ51,51は、互いに同一の構成を有する。そのため、以降の説明では、一方のセンサ51(フレーム21cの左端部P1に取り付けられたセンサ51)に関する構成を中心に説明するが、他方のセンサ51(フレーム21cの右端部P2に取り付けられたセンサ51)に関する構成についても同様に説明される。
【0025】
図3(a)は、
図2のセンサ51を前方から見た拡大図である。
図3(b)は、
図2のセンサ51を後方から見た拡大図である。センサ51は、フォークリフト1の周辺にレーザ光を照射し、レーザ光の反射光を受光することにより、フォークリフト1の周辺環境を認識可能なレーザレンジファインダである。本実施形態では、センサ51は、上下方向への照射角度を変更しながらレーザ光を照射する二次元のレーザレンジファインダ(二次元センサ)である場合を例示する。この場合、センサ51は、上下方向に2次元状に拡がる照射範囲Rにレーザ光を照射する。
図3(a)及び
図3(b)に示すように、フレーム21cの左端部P1に取り付けられたセンサ51は、ヘッドガード21の左端よりも外側(左側)に突出している。これにより、センサ51は、レーザ光を荷役装置30(
図3(b)参照)に当てることなく前方の照射範囲Rを照射することが可能となっている。
【0026】
センサ51は、レーザ光を投受光するための投受光窓51aを含む。左右方向から見た場合に、投受光窓51aは、センサ51の少なくとも前側の表面に設けられている。本実施形態では、投受光窓51aは、後述する
図7に示すセンサ51の範囲Aに設けられている。範囲Aは、センサ51の前端からセンサ51の後側部分に及ぶ範囲であり、センサ51の中心を基準とした場合に、例えば270°の角度範囲として規定される。レーザ光の投受光は、投受光窓51aの前側部分において行われる。照射範囲Rは、例えば、270°の角度範囲のうちの120°の角度範囲として規定される。
【0027】
センサ51は、荷役装置30の前方の照射範囲Rにレーザを投光し、照射範囲Rに存在する物体からのレーザ光の反射光を受光することにより、物体を検知する。具体的には、センサ51は、物体の表面上におけるレーザ光の照射点からの反射光を受光することにより、照射点までの距離を測定する。センサ51は、測定した照射点までの距離をレーザ光の照射角度に対応付けることにより、フォークリフト1に対する照射点の相対座標を検知する。そして、センサ51は、検知した照射点の相対座標に基づいて、フォークリフト1に対する物体の相対位置及び相対角度を検知し、物体の相対位置及び相対角度を検知結果として制御装置90に出力する。
【0028】
上記の「物体」とは、荷役対象物としてのパレットWを指す場合もあるし、パレットWが積み込まれるコンテナL2を指す場合もある。「物体」がコンテナL2を指す場合、上記の照射点は、照射範囲Rに照射されたレーザ光がコンテナL2に当たる部分(例えば、コンテナL2の天井、床、及び内壁面)上の点を指す。照射点の相対座標に基づく物体の相対位置及び相対角度の検知は、制御装置90が行ってもよい。この場合、センサ51は、フォークリフト1に対する照射点の相対座標を検知結果として制御装置90に出力してもよい。「物体を検知する」とは、フォークリフト1に対する物体表面上の照射点の相対座標を検知することと解してもよいし、フォークリフト1に対する物体の相対位置及び相対角度を検知することと解してもよい。
【0029】
制御装置90は、フォークリフト1に搭載されている。制御装置90は、フォークリフト1の自動運転時に、荷積み及び荷置きを含む荷役に関する制御を行う装置である。荷積みとは、指定の場所に載置されたパレットWを一対のフォーク34,34に積み込むことを意味する。荷置きとは、一対のフォーク34,34に積み込まれたパレットWをコンテナL2内に載置することを意味する。制御装置90は、検知装置50と情報通信可能に接続されており、検知装置50からの検知結果に基づいて、パレットWの荷役を行う位置にフォークリフト1が到達するように走行装置10及び荷役装置30を制御する。
【0030】
制御装置90は、物理的な構成要素として、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び入出力インターフェースなどを有している。制御装置90では、例えば、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムをCPUで実行することにより各種の機能が実現される。
【0031】
図4は、制御装置90の機能的構成を示すブロック図である。
図4に示すように、制御装置90は、機能的な構成要素として、動作選択部91と、荷積み位置決定部92と、荷積み制御部93と、荷置き位置決定部94と、荷置き制御部95と、を有する。動作選択部91は、上位のシステム管理装置から送られてきた指示信号に基づいて、フォークリフト1が実施する動作内容を選択する。実施する動作内容としては、荷積み動作、荷置き動作、及び移動動作がある。
【0032】
荷積み位置決定部92は、検知装置50による検知結果に基づいて、荷役装置30の前方に載置された荷積み対象のパレットWに対する一対のフォーク34,34の荷積み開始位置を決定する。荷積み開始位置は、フォークリフト1の一対のフォーク34,34がパレットWを荷取りすることが可能な位置である。例えば、荷積み開始位置は、パレットWの左右方向(幅方向)の中央位置に対応する位置としてよい。荷積み制御部93は、荷積み位置決定部92により決定された荷積み開始位置において荷積み対象のパレットWを一対のフォーク34,34に積むように、走行モータ13、転舵モータ14、リフトシリンダ35、ティルトシリンダ36、及びサイドシフトシリンダ37を制御する。
【0033】
荷置き位置決定部94は、検知装置50による検知結果に基づいて、一対のフォーク34,34の荷置き開始位置を決定する。荷置き制御部95は、荷置き位置決定部94により決定された荷置き開始位置において一対のフォーク34,34に積まれた荷置き対象のパレットWを置くように、走行モータ13、転舵モータ14、リフトシリンダ35、ティルトシリンダ36、及びサイドシフトシリンダ37を制御する。
【0034】
図5(a)は、検知装置50の具体的な構成を示す斜視図である。
図5(b)は、
図5(a)の検知装置50を分解して示す分解斜視図である。
図5(a)及び
図5(b)に示すように、検知装置50は、センサ51に取り付けられる雨よけ機構52を更に有する。雨よけ機構52は、センサ51の投受光窓51aへの降雨の吹込みを防止するために用いられる。雨よけ機構52は、カバー部材61と、送風装置71と、吸気ダクト81と、を含んで構成される。カバー部材61は、前後方向から見てセンサ51を覆うように設けられている。カバー部材61は、センサ51を上方から覆うように配置される。カバー部材61は、照射範囲Rと重ならないように、センサ51の投受光窓51aよりも前方に延在している。従って、カバー部材61は、照射範囲Rを除く領域に設けられる。
【0035】
送風装置71は、センサ51の投受光窓51aの前方に存在する降雨を吹き飛ばすために用いられる。送風装置71は、前方に気体を送風するブロア72と、ブロア72を覆うブロア用カバー73と、を有する。ブロア72は、カバー部材61の後部に取り付けられている。ブロア72は、カバー部材61に覆われたセンサ51に向けて気体を送風する。ブロア72の風量は、任意に変更可能であり、風雨の強さに応じて調整可能である。ブロア72による気体の送風は、雨天の間において連続的に行われてもよいし、断続的に行われてもよい。ブロア72に供給される気体は、例えば、空気である。気体は、空気以外の他の気体であってもよいし、当該他の気体を含む空気であってもよい。ブロア用カバー73は、下方に開口しており、ブロア72に対して上方から覆うように配置される。ブロア用カバー73は、ブロア72に加えてカバー部材61の左右両側も覆っている(
図5(a)参照)。
【0036】
図6(a)は、
図5(b)のカバー部材61の構成を示す斜視図である。
図6(b)は、
図6(a)のカバー部材61を別の角度から見た斜視図である。
図7は、
図5(a)の検知装置50を示す断面図である。
図7は、センサ51の左右方向の中心を通る平面での検知装置50の切断面を示している。
図6(a)及び
図6(b)に示すように、カバー部材61は、センサ51の上方を覆う屋根部62と、センサ51の左右両側に配置される一対の側壁部63,63と、を含む。
【0037】
屋根部62は、上方から見て前後方向に延びる矩形状をなしており、上下方向においてセンサ51に重なるように配置されている。屋根部62は、前後方向において、センサ51の後端から、センサ51の前端よりも前方に突出した位置まで延在している。屋根部62は、上方を向く外面62a(上面)と、下方を向く内面62b(下面)と、を含む。外面62aは、カバー部材61の外側に露出しており、内面62bは、カバー部材61の内側に配置される。
図7に示すように、外面62aは、前方に向かうほど上方に位置するように傾斜する平面となっている。その結果、外面62aの後端は、外面62aの前端よりも低い位置(すなわち、下方の位置)にある。
【0038】
図7に示すように、屋根部62の内面62bは、左右方向から見てV字状に屈曲した形状をなしている。内面62bは、内面62bの屈曲部分Bよりも前方に位置する面S1と、屈曲部分Bよりも後方に位置する面S2と、を含む。面S2は、外面62aの後端と面S1の後端とを接続する平面であり、前方に向かうほど下方に位置するように傾斜している。面S1は、面S2の前端と外面62aの前端とを接続する平面であり、前方に向かうほど上方に位置するように傾斜している。このように面S1が傾斜することによって、屋根部62は、照射範囲Rと重ならないように投受光窓51aよりも前方に延在することができる。内面62bの屈曲部分Bは、例えば、投受光窓51aの前端の上方に配置されている。屋根部62の内部(すなわち、外面62aと面S1と面S2とによって囲まれる領域)は、例えば、中空となっている。
【0039】
図6(a)及び
図6(b)に示すように、一対の側壁部63,63のそれぞれは、例えば、平板状をなしており、左右方向に平行に並んでいる。一対の側壁部63,63は、例えば、センサ51の左右方向の中心位置を挟んで左右対称となる位置に配置されている。一対の側壁部63,63は、照射範囲Rに重ならないように一定間隔を空けて左右に並んでいる。一方の側壁部63は、センサ51の左側に配置されており、他方の側壁部63は、センサ51の右側に配置されている。屋根部62は、一対の側壁部63,63の間において、一対の側壁部63,63の内面63b同士を接続している。
【0040】
一対の側壁部63,63は、左右方向から見て、後方に開口する切り欠き63aを有するC字状をなしている。一対の側壁部63,63の切り欠き63aにセンサ51が嵌め込まれている。一対の側壁部63,63は、前後方向において、センサ51の後端から、センサ51の前端よりも前方に突出した位置まで延在している。また、一対の側壁部63,63は、上下方向において、屋根部62よりも上方に突出した位置からセンサ51の下方の位置まで延在している。従って、屋根部62は、一対の側壁部63,63の上端よりも低い位置(下方の位置)に配置される。
【0041】
図6(a)に示すように、センサ51の左端部にはセンサカバー64が取り付けられており、センサカバー64は、一方の側壁部63の外面から外方に突出している。
図6(b)に示すように、他方の側壁部63の外面には、断面L字状のブラケット74が設けられている。他方の側壁部63は、ブラケット74を介してボルト締結によりフレーム21cの左端部P1に固定されている。ブラケット74は、センサ51よりも後方に延在する延在部分74aを含み、延在部分74aにブロア72が取り付けられている。また、一対の側壁部63,63の上部には、一対の側壁部63,63の外面から外方に張り出す張出部63cが形成されている。ブロア用カバー73は、張出部63cに支持されており、例えばボルト締結によって張出部63cに固定されている。
【0042】
図7に示すように、一対の側壁部63,63の間には、接続壁65及び接続壁66が設けられている。接続壁65及び接続壁66は、一対の側壁部63,63の内面63b同士を左右方向に接続している。接続壁65は、センサ51の下方に配置されており、カバー部材61の後端から前方に延在している。接続壁66は、センサ51の上方であって屋根部62から下方に一定距離離れた位置に配置されている。上下方向において、接続壁66と屋根部62との距離は、ブロア72の流出口の大きさと同一か僅かに大きくなるように設定される。接続壁66は、カバー部材61の後端から前方に向かって延在しており、センサ51の後部の上方を覆っている。接続壁66の前端は、前後方向においてセンサ51の中心位置よりも後方に位置している。接続壁66の上面66aは、上下方向における屋根部62側(すなわち、センサ51とは反対側)を向いており、上面66aの前端部は、接続壁66の前端に向かうほど下方に位置するように傾斜する傾斜面66bとなっている。
【0043】
カバー部材61の内部には、ブロア72から送り込まれる気体が流通可能な流路67が形成されている。流路67は、カバー部材61の内部においてセンサ51の上方に位置しており、カバー部材61の後端からセンサ51の前方を経由してカバー部材61の前端まで延在している。流路67の後端は、上下方向において屋根部62の面S2と接続壁66の上面66aとの間に位置している。流路67の後端には、ブロア72の流出口が直接接続されている。流路67の前端は、一対の側壁部63,63の前端に位置している。流路67は、屋根部62の内面62bと、一対の側壁部63,63の内面63bと、接続壁66の上面66aと、センサ51と、によって画定される。
【0044】
流路67は、流路67の断面積を他の部分よりも小さくする絞り部67aを含む。絞り部67aは、流路67において投受光窓51aよりも上流側に配置されている。「上流側」とは、流路67を流れる気体の上流側を意味する。
図7に示す例では、気体は、流路67の後端から前端に流れるので、「上流側」は、流路67の前端から後端に向かう側、すなわち後方を意味する。
図7に示す例では、絞り部67aは、流路67において投受光窓51aの前端よりも後方に設けられている。絞り部67aは、例えば、接続壁66の傾斜面66bと屋根部62の面S2とによって囲まれる部分である。流路67の流路断面積は、絞り部67aに向かうに従って小さくなっており、絞り部67aにおいて最小となる。絞り部67aの後方の流路断面積は、絞り部67aの流路断面積よりも大きくなる。
【0045】
ブロア72によって後方から流路67に送り込まれた気体は、絞り部67aを経て前方のセンサ51の上部を通過する。気体の流速は、絞り部67aにおいて高められる。このため、流速が高められた気体がセンサ51の上方を通ってセンサ51の前方に吹き抜け、流路67の前端からカバー部材61の外部に抜け出る。この気体により、センサ51の投受光窓51aの上方及び前方に存在する降雨(水滴)を吹き飛ばすことができる。気体が流路67に流入する際、気体は、センサ51の後部の上方に位置する接続壁66の上面66aに沿うように流れる。この接続壁66が存在することで、気体は、センサ51の後部の下方に漏れ出ることが抑制されている。つまり、気体は、接続壁66の上面66aに沿って流れることで、センサ51の後部から下方に拡散することなく、センサ51の上部を通って前方に向かうように案内される。従って、接続壁66は、流路67において気体の拡散を防ぐためのガイド壁として機能する。
【0046】
図8(a)は、検知装置50の吸気ダクト81の構成を示す斜視図である。
図8(b)は、吸気ダクト81を示す断面図である。
図8(b)は、吸気ダクト81及び送風装置71を通る平面での検知装置50の切断面を示している。
図8(a)及び
図8(b)に示すように、吸気ダクト81は、ブロア72の吸入口に接続されており、ブロア72の吸入口から下方に延在している。吸気ダクト81は、下方に開口する吸入口81aと、ブロア72の吸入口に接続される流出口81bと、を含む。吸入口81aは、吸気ダクト81の下端に位置しており、外部から吸気ダクト81の内部に気体を導入するために設けられている。吸入口81aから吸気ダクト81の内部に導入された気体は、吸気ダクト81の内部を流通し、流出口81bからブロア72に供給される。
【0047】
吸気ダクト81の内部には、気体に含まれる異物を取り除くためのフィルタ82が設けられている。フィルタ82は、吸入口81aと流出口81bとの間の吸気ダクト81内の流路上に配置されている。フィルタ82は、吸気ダクト81の内部において上下方向に垂直な方向に延在しており、吸気ダクト81内の流路を塞ぐように配置されている。フィルタ82は、例えば、不織布であり、上下に二段重ねられた構成を有する。吸入口から吸気ダクト81の内部に導入された気体は、フィルタ82によって気体中の異物が取り除かれた後、ブロア72を介してカバー部材61の流路67(
図7参照)に流入する。上記の「異物」とは、例えば、砂塵などの粉塵、又は埃などである。
【0048】
以上に説明した雨よけ機構52は、一方のセンサ51と同様に、他方のセンサ51にも同様に取り付けられる。従って、本実施形態では、一対のセンサ51,51の双方に雨よけ機構52が設けられている。しかし、一対のセンサ51,51の一方のみに雨よけ機構52が設けられてもよい。また、本実施形態では、一対のセンサ51,51が共に、上下方向への照射角度を変更しながらレーザ光を照射する二次元のレーザレンジファインダである場合を例示したが、一対のセンサ51,51の一方又は双方が、左右方向への照射角度を変更しながらレーザ光を照射する二次元のレーザレンジファインダであってもよい。或いは、センサ51は、二次元のレーザレンジファインダに限らず、一方向へレーザ光を照射する一次元のレーザレンジファインダであってもよいし、上下方向及び左右方向への照射角度を変更しながらレーザ光を照射する三次元のレーザレンジファインダであってもよい。本開示の雨よけ機構は、このようなセンサに対しても適用可能である。
【0049】
<作用効果>
続いて、本実施形態に係るフォークリフト1によって奏される作用効果について説明する。本実施形態では、検知装置50が、レーザ光の照射範囲Rを除く領域においてセンサ51の周囲を覆うように設けられ、センサ51の投受光窓51aよりも前方に延在するカバー部材61を有している。従って、雨天時の屋外においてセンサ51による物体の検知を行う際に、前方からのセンサ51の投受光窓51aへの降雨の吹き込みをカバー部材61によって防止できる。その結果、投受光窓51aへの降雨の吹き込みによる投受光窓51aへの水滴の付着を抑制でき、投受光窓51aに付着した水滴の影響による物体の誤検知の発生を抑制できる。すなわち、本実施形態に係るフォークリフト1によれば、屋外で使用する場合であっても、物体の検知を確実に行うことができる。
【0050】
本実施形態では、カバー部材61は、センサ51の上方を覆う屋根部62を含んでいる。これにより、前上方からの投受光窓51aへの降雨の吹き込みを屋根部62によって防止できるので、投受光窓51aへの水滴の付着を抑制できるという上述した効果を好適に奏することができる。
【0051】
本実施形態では、屋根部62は、前方に向かうほど上方に位置するように傾斜する外面62aを含んでいる。これにより、降雨により屋根部62の外面62aに付着した水滴が、屋根部62の前方から落下することを抑制できる。その結果、屋根部62の前方から落下した水滴の吹き込みによる投受光窓51aへの水滴の付着を抑制できる。
【0052】
本実施形態では、カバー部材61は、屋根部62の下方に設けられると共に前方から見てセンサ51を挟んで両側に配置される一対の側壁部63,63を含んでいる。これにより、左右からの投受光窓51aへの降雨の吹き込みを一対の側壁部63,63によって防止することができる。これにより、投受光窓51aへの水滴の付着をより確実に抑制できる。
【0053】
本実施形態では、カバー部材61の内部には、屋根部62と一対の側壁部63,63とによって画定され、投受光窓51aの前方を経由する流路67が形成されており、検知装置50は、流路67に気体を送り込むブロア72を有している。この構成では、流路67に送り込まれた気体によって、投受光窓51aの前方に存在する降雨を吹き飛ばすことができる。これにより、投受光窓51aへの水滴の付着をより確実に抑制できる。
【0054】
本実施形態では、流路67は、流路67の流路断面積を小さくする絞り部67aを含み、絞り部67aは、流路67において投受光窓51aよりも上流側に設けられていている。この構成では、流路67に送り込まれた気体の流速は絞り部67aにおいて高められ、流速が高められた気体によって、投受光窓51aの前方に存在する降雨をより確実に吹き飛ばすことができる。これにより、投受光窓51aへの水滴の付着をより一層確実に抑制できる。
【0055】
本実施形態では、検知装置50は、吸気ダクト81の吸入口81aは、吸気ダクト81の下方に開口している。この構成では、吸気ダクト81の下方に開口する吸入口81aから吸気ダクト81の内部に気体が導入され、吸気ダクト81からブロア72を介して流路67に気体が送り込まれる。このように、吸入口81aが吸気ダクト81の下方に開口している場合、気体と共に降雨(水滴)が吸入口81aから吸気ダクト81の内部に吸入される事態を抑制できる。これにより、水滴を含んだ気体が吸気ダクト81からブロア72を介して流路67に送り込まれる事態を抑制でき、気体中の水滴が流路67においてセンサ51の投受光窓51aに接触する事態を抑制できる。従って、上述した構成によれば、投受光窓51aへの水滴の付着をより一層確実に抑制できる。
【0056】
本実施形態では、吸気ダクト81の内部には、吸入口81aから導入された気体中の異物を取り除くためのフィルタ82が設けられていてもよい。この構成では、砂塵などの異物を含んだ気体が、吸入口81aから吸気ダクト81の内部に導入された場合であっても、フィルタ82において気体中の異物を取り除くことができる。これにより、異物を含んだ気体が吸気ダクト81からブロア72を介して流路67に送り込まれる事態を抑制でき、気体中の異物が流路67においてセンサ51の投受光窓51aに接触する事態を抑制できる。その結果、気体中の異物によって投受光窓51aが損傷してしまう事態を抑制できる。
【0057】
本実施形態では、センサ51は、上下方向に拡がる照射範囲Rにおいてレーザ光を投受光する二次元のレーザレンジファインダである。この場合、前上方にもレーザ光を投受光可能な構成とする必要があることから、前上方からの投受光窓51aへの降雨の吹き込みによる投受光窓51aへの水滴の付着が顕著になりやすい。従って、このような場合に、上述した効果を好適に奏することができる。
【0058】
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。
【0059】
<第1変形例>
図9は、検知装置の第1変形例を示す斜視図である。
図10は、
図9の検知装置50Aを示す断面図である。
図9及び
図10に示すように、第1変形例に係る検知装置50Aでは、雨よけ機構52Aの送風装置71Aが、ブロア72とカバー部材61Aとを接続する送風ダクト75を有する。従って、検知装置50Aでは、上述した実施形態とは異なり、ブロア72がカバー部材61A(具体的には、流路67の後端)に直接的に接続されておらず、ブロア72が送風ダクト75を介してカバー部材61Aに間接的に接続されている。具体的には、送風ダクト75は、前後方向におけるカバー部材61Aとブロア72との間に配置され、送風ダクト75の後端は、ブロア72の流出口に接続され、送風ダクト75の前端は、カバー部材61Aにおける流路67(
図10参照)の後端に接続されている。また、カバー部材61Aの屋根部62Aの外面62aは、一対の側壁部63,63の上端と同じ高さに位置しており、一対の側壁部63,63の上端同士を接続している。
【0060】
検知装置50Aでは、吸気ダクト81の吸入口81aから吸入された気体は、フィルタ82を経てブロア72から送風ダクト75に供給される。そして、
図10に示すように、送風ダクト75に供給された気体は、カバー部材61Aの流路67に流入する。その後、流路67の絞り部67aによって気体の流速が高められ、流速が高められた気体が、センサ51の上部を通って前方に吹き抜ける。これにより、センサ51の投受光窓51aの前方に存在する降雨が吹き飛ばされる。このような形態であっても、上述した実施形態と同様の効果が得られる。更に、検知装置50Aによれば、ブロア72をカバー部材61Aに直接取り付ける必要が無いため、ブロア72の配置の自由度を高めることができる。
【0061】
<第2変形例>
図11は、検知装置の第2変形例を示す斜視図である。
図11に示すように、第2変形例に係る検知装置50Bは、第1変形例に係る検知装置50A(
図9及び
図10参照)と同様の送風装置71Aを有する。しかし、検知装置50Bでは、第1変形例に係る検知装置50Aとは異なり、センサ51Aが、左右方向への照射角度を変更しながらレーザ光を照射する二次元のレーザレンジファインダ(二次元センサ)として構成されている。更に、検知装置50Bでは、雨よけ機構52Bのカバー部材61Bが、第1変形例に係る雨よけ機構52Aのカバー部材61Aのように縦向きに配置されるのではなく、横向きに配置された構成となっている。
【0062】
図11に示すように、カバー部材61Bの一対の側壁部63A,63Aは、センサ51Aの投受光窓51aを上下に挟むように配置されている。従って、一対の側壁部63A,63Aのうち上側に配置される一方の側壁部63Aは、センサ51Aの上方を覆うように配置されており、センサ51Aの投受光窓51aよりも前方に延在している。このため、この側壁部63Aは、本開示の屋根部として機能し、側壁部63Aの外面は、本開示の屋根部の外面に相当する。この側壁部63Aの外面は、例えば、上下方向に垂直な平面となっている。カバー部材61Bの屋根部62Bは、一方の側壁部63Aの左端部から下方に延びて他方の側壁部63Aの左端部に接続されている。屋根部62Bは、センサ51Aの左側を覆うように配置され、センサ51Aの投受光窓51aよりも前方に延在している。このため、屋根部62Bは、本開示の側壁部として機能する。屋根部62Bの内面62cは、前方に向かうに従って左側に位置するように傾斜している。このように内面62cが傾斜することによって、屋根部62Bは、照射範囲Rと重ならないように前方に延在することができる。
【0063】
カバー部材61Bの内部に形成される流路67は、屋根部62Bの内面62cと、一対の側壁部63A,63Aの内面63bと、一対の側壁部63A,63Aの間に挟まれるセンサ51Aと、によって画定される。流路67は、一対の側壁部63A,63Aの間を左右方向に延在し、センサ51Aの前方を経由している。一対の側壁部63A,63Aの右端には、送風ダクト75の流出口が接続されており、一対の側壁部63A,63Aの右端から流路67に気体が送り込まれる。流路67に送り込まれた気体は、流路67を流通してセンサ51Aの前方を経由し、屋根部62Bの内面62cに当たって一対の側壁の前方に吹き抜ける。これにより、センサ51Aの投受光窓51aの前方に存在する降雨が吹き飛ばされる。このような形態であっても、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
【0064】
<第3変形例>
図12は、検知装置の第3変形例を示す斜視図である。
図12に示すように、第3変形例に係る検知装置50Cは、上述した実施形態に係る検知装置50とは異なり、荷役装置30のバックレスト32に取り付けられている。具体的には、検知装置50Cは、バックレスト32の最上部において左右方向に延在するフレーム32a(例えば、フレーム32aの左右方向の中央部分)に取り付けられている。
図12において、荷役装置30のフォーク34,34にパレットWが2段積み重ねられており、検知装置50Cは、上段のパレットWの上方から前方の照射範囲Rにレーザ光を照射するように配置されている。なお、
図12では、走行装置10を省略して示し、荷役装置30の一部のみを示している。
【0065】
図13は、検知装置50Cを示す拡大図である。
図14は、検知装置50Cを別の角度から見た拡大図である。
図15は、検知装置50Cを示す断面図である。
図15は、センサ51の左右方向の中央を通る平面での検知装置50Cの切断面を示している。検知装置50Cは、上下方向に拡がる照射範囲Rにレーザ光を照射するセンサ51に対して雨よけ機構52Cが取り付けられた構成を有する。
図13、
図14、及び
図15に示すように、検知装置50Cは、上下方向に向かい合う一対の支持板100,100を有する。一対の支持板100,100は、
図12に示すフレーム32aに対して上下方向から挟むようにして配置され、例えばボルト締結によってフレーム32aに固定される。一対の支持板100,100のうち上側の支持板100の上には、センサ51(
図13及び
図15参照)及びセンサ51を覆うカバー部材61Cが配置されている。
【0066】
カバー部材61Cの一対の側壁部63B,63Bは、上述した実施形態と同様、センサ51を挟んで左右両側に配置されており、センサ51の投受光窓51aよりも前方に延在している。一対の側壁部63B,63Bは、例えば、ボルト締結によって上側の支持板100に固定されている。また、カバー部材61Cの屋根部62Cは、上述した実施形態と同様、センサ51の上方を覆うように配置されている。
図15に示すように、屋根部62Cの内面62bは、前方に向かうに従って上方に位置するように傾斜している。このように内面62bが傾斜することによって、屋根部62Cは、照射範囲Rと重ならないように前方に延在することができる。カバー部材61Cの内部には、カバー部材61Cの後端から投受光窓51aの前方を経由してカバー部材61Cの前端まで延在する流路67が形成されている。流路67の後端は、屋根部62Cと、センサ51の後部の上方に配置された接続壁66と、の間に位置する。流路67の前端は、一対の側壁部63B,63Bの前端に位置する。
【0067】
検知装置50Cのブロア72は、センサ51の下方に配置されている。ブロア72は、例えば、ブラケットを介して上側の支持板100に固定されている。
図15に示すように、ブロア72の吸入口は、ブロア72の下方に開口しており、ブロア72の流出口は、ブロア72の後方に開口している。従って、ブロア72は、下方から気体を吸入して後方に気体を流出するように構成されている。ブロア72の流出口には、送風ダクト75Aが接続されている。送風ダクト75Aは、カバー部材61C及びブロア72の後方に配置され、カバー部材61C及びブロア72を接続するように上下方向に延在している。送風ダクト75Aの吸入口は、ブロア72の流出口に接続されており、送風ダクト75Aの流出口は、カバー部材61Cの流路67の後端に接続されている。
【0068】
検知装置50Cの吸気ダクト81Aは、ブロア72の下方に配置されている。吸気ダクト81Aの流出口81bは、吸気ダクト81Aの上方に開口しており、ブロア72の吸入口に接続されている。吸気ダクト81Aの吸入口81aは、上述した実施形態と同様、吸気ダクト81Aの下方に開口している。検知装置50Cでは、吸気ダクト81Aの吸入口81aから吸入された気体は、ブロア72を介して送風ダクト75Aに流入し、送風ダクト75Aからカバー部材61Cの流路67に気体が送り込まれる。流路67に送り込まれた気体は、絞り部67aを経てセンサ51の上部から前方に吹き抜け、流路67の前端からカバー部材61Cの外部へ抜き出る。気体の流速は、絞り部67aにおいて高められ、流速が高められた気体が、センサ51の投受光窓51aの前方を吹き抜ける。これにより、投受光窓51aの前方に存在する降雨を吹き飛ばすことができる。このような形態であっても、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
【0069】
更に、
図14及び
図15に示すように、検知装置50Cは、上下方向に2次元状に拡がる照射範囲Rにレーザ光を照射するセンサ51に加えて、左右方向に2次元状に拡がる照射範囲Rにレーザ光を照射するセンサ51Bを有する。センサ51Bは、センサ51Aの上方の屋根部62C上に載置されている。センサ51Bは、センサ51Aの上方からレーザ光を前方に照射する。検知装置50Cは、センサ51Bの周囲を覆う別のカバー部材68を有する。カバー部材68は、センサ51Bを上方から覆うように配置されており、センサ51Bによるレーザ光の照射範囲と重ならないように、センサ51Bの投受光窓よりも前方に延在している。このカバー部材68によってセンサ51Bの投受光窓への降雨の吹込みが防止されている。このような検知装置50Cでは、1つの雨よけ機構52Cを用いて2つのセンサ51,51Bへの降雨の吹き込みを防止することができる。これにより、検知装置50Cの省スペース化を図ることができる。
【0070】
本開示は、上述した実施形態及び各変形例に限られず、他に様々な変形が可能である。例えば、上述した実施形態及び各変形例を、必要な目的及び効果に応じて互いに組み合わせてもよい。産業車両としてのフォークリフトの構成は、上述した実施形態及び各変形例に限られない。例えば、フォークリフトの駆動方式及びボディー形状などは適宜変更可能である。フォークリフトは、カウンター式のフォークリフトに限られず、リーチ式のフォークリフトであってもよい。検知装置の配置及び構成は、上述した実施形態及び各変形例に限られない。例えば、検知装置は、走行装置10のヘッドガード21以外の箇所に取り付けられてもよいし、荷役装置30のバックレスト32以外の箇所に取り付けられてもよい。検知装置の雨よけ機構は、送風装置及び吸気ダクトを必ずしも有していなくてもよい。検知装置は、例えばCCDカメラなどの二次元撮像素子を有してもよい。
【符号の説明】
【0071】
10…走行装置、30…荷役装置、50,50A,50B,50C…検知装置、51,51A,51B…センサ、51a…投受光窓、61,61A,61B,61C…カバー部材、62,62A,62B,62C…屋根部、62a…外面(上面)、63,63A,63B…側壁部、67…流路、67a…絞り部、71,71A…送風装置、81,81A…吸気ダクト、81a…吸入口、82…フィルタ、90…制御装置、R…照射範囲。