(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41F 9/00 20060101AFI20231108BHJP
H01G 13/00 20130101ALI20231108BHJP
【FI】
B41F9/00 B
H01G13/00 391B
(21)【出願番号】P 2020127916
(22)【出願日】2020-07-29
【審査請求日】2022-02-04
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】幸川 進一
(72)【発明者】
【氏名】石本 裕一
(72)【発明者】
【氏名】細田 肇
(72)【発明者】
【氏名】浅井 良太
【審査官】大関 朋子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-151451(JP,A)
【文献】特開2006-110917(JP,A)
【文献】特開平03-169554(JP,A)
【文献】特開2011-037170(JP,A)
【文献】特開2008-132721(JP,A)
【文献】特開2003-103750(JP,A)
【文献】特開2015-080881(JP,A)
【文献】特開2010-241054(JP,A)
【文献】特開平08-316091(JP,A)
【文献】特開平10-076629(JP,A)
【文献】特開平05-309815(JP,A)
【文献】特開平05-064873(JP,A)
【文献】米国特許第05389130(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 9/00
H01G 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に印刷パターン形状の凹部が形成され、版胴軸を中心として回転可能な版胴と、
印刷用の、電子部品に用いられるペーストを前記凹部に供給する供給部と、
前記版胴軸と平行な圧胴軸を中心として回転可能で、印刷対象であるセラミックグリーンシートを、前記版胴との間に挟持するとともに前記版胴側に押圧し、前記凹部に供給された前記ペーストを前記セラミックグリーンシートに転写させる圧胴と、
前記圧胴を操作して、前記セラミックグリーンシートの前記版胴に対する接触面積を調整する調整部と、
を備え、
前記調整部は、
前記圧胴の外周面を押圧して変形させ、
前記圧胴軸との間の距離又は前記圧胴軸に対する傾きの少なくとも一方を変更可能な調整軸を中心として回転可能な円筒又は円柱部材であり、
前記調整軸に沿った方向に複数に分割され、分割された前記調整軸はそれぞれ独立して前記圧胴軸との間の距離又は前記圧胴軸に対する傾きの少なくとも一方を変更可能である、
印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
積層セラミックコンデンサなどの積層型電子部品は、セラミックグリーンシートに導電性のペーストで電極用の印刷パターンを印刷し、そのシートを積層して得られたマザーブロックを切断した積層体チップを用いて製造される。
セラミックグリーンシートに印刷パターンを印刷する際、外周面に印刷パターン形状の凹部が形成された版胴と、導電性のペーストを凹部に供給する供給部と、版胴と平行に配置され、セラミックグリーンシートを版胴との間に挟持するとともに版胴側に押圧し、凹部に保持されているペーストをセラミックグリーンシートに転写させる圧胴と、を備える印刷装置が用いられている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、印刷の際、セラミックグリーンシートに生じる歪みにより、セラミックグリーンシートが版胴に対してシートの流れ方向に不均一に接触する場合がある。そうすると、版胴から転写された印刷パターンにずれや歪みが発生したりする場合がある。
【0005】
本発明は、シートに転写される印刷パターンの印刷精度を向上可能な印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は外周面に印刷パターン形状の凹部が形成され、版胴軸を中心として回転可能な版胴と、印刷用のペーストを前記凹部に供給する供給部と、前記版胴軸と平行な圧胴軸を中心として回転可能で、印刷対象であるシートを、前記版胴との間に挟持するとともに前記版胴側に押圧し、前記凹部に供給された前記ペーストを前記シートに転写させる圧胴と、前記圧胴を操作して、前記シートの前記版胴に対する接触状態を調整する調整部と、を備える印刷装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シートに転写される印刷パターンの印刷精度を向上可能な印刷装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態の印刷装置を示す概略図である。
【
図2】印刷装置の、版胴軸及び圧胴軸と直交する方向の断面図である。
【
図4】積層セラミックコンデンサの製造工程を説明する図である。
【
図5】第2実施形態の印刷装置を説明する図である。
【
図6】
図5の状態から、複数の調整軸の内の一つを圧胴軸に近接させ、他の調整dを圧胴軸に対して傾けた場合を示す図である。
【
図7】第3実施形態の印刷装置を説明する図である。
【
図8】第4実施形態の印刷装置を説明する図である。
【
図9】第5実施形態の印刷装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る印刷装置1について説明する。
図1は、第1実施形態の印刷装置1を示す概略図である。第1実施形態の印刷装置1は、例えば、後述の積層セラミックコンデンサ100などの積層型電子部品を作製するために使用される印刷装置1であって、シートとして、セラミックグリーンシート2に内部電極となる印刷パターン3を印刷する装置である。
【0010】
印刷装置1は、印刷パターン3の形状の凹部12が形成された円筒状の版胴10と、ペーストとして電極用の導電性ペースト21が貯留されたペースト供給部20と、版胴10との間にセラミックグリーンシート2を挟持する圧胴30とを備える。以下、版胴10に対してペースト供給部20が配置されている側を下とする。圧胴30は版胴10の上部に配置されている。
【0011】
(セラミックグリーンシート2)
セラミックグリーンシート2は、セラミックス粉末、バインダ及び溶剤を含むセラミックスラリーがキャリアフィルム上においてダイコータ、グラビアコータ、マイクログラビアコータ等を用いてシート状に成形された帯状のシートである。
【0012】
(版胴10)
版胴10は水平に延びる版胴軸11を中心として回転可能な円筒状又は円柱状部材である。版胴10は、外周面にセラミックグリーンシート2に印刷される印刷パターン3の形状に対応した、複数の凹部12が形成されている。凹部12は、実施形態では、例えば、深さが5~50μmの矩形で、フォトマスク原版を用いたエッチングや彫刻などによって形成される。複数の凹部12は互いに同形で、版胴10の軸方向と円周方向に、一定の間隔で整列して形成されている。以下、版胴軸11が延びる方向を軸方向とする。
【0013】
(ペースト供給部20)
ペースト供給部20は、版胴10の下に配置されている、導電性ペーストの貯留槽である。導電性ペースト21は、例えば、導体材料として、0.03~1μmの粒子径を有するNi粉末を含む。また、バインダとして樹脂が使用される。さらに、焼結時の収縮を制御するためのセラミック材料、分散剤などが添加されている。導電性ペースト21はペースト供給部20に貯留され、版胴10の下方部分が導電性ペースト21に浸漬されている。それにより、版胴10外周面の凹部12に導電性ペースト21が入り込む。
【0014】
(ブレード14)
版胴10の側部にはブレード14が配置されている。ペースト供給部20に蓄えられた導電性ペースト21が版胴22の凹部12に導入され、セラミックグリーンシート2との接触部分まで導電性ペースト21が運ばれる。その途中において、ブレード14が版胴10の表面に押し当てられる。このブレード14によって、版胴22表面の凹部12以外の部分に付着した導電性ペースト21が掻き落とされる。
【0015】
(圧胴30)
圧胴30は、版胴10の上に配置され、版胴軸11と略平行な圧胴軸31を中心として回転する円筒状又は円柱状部材である。圧胴30の外周面は弾性部材で覆われている。弾性部材は、シリコーンゴムやウレタンゴム等のゴム部材又は樹脂材で製造されているが、これに限定されず、他の弾性材料で製造されていてもよい。
【0016】
圧胴30は、版胴10との間にセラミックグリーンシート2を挟持し、セラミックグリーンシート2を版胴10側に押圧する。
圧胴30の外周面は上述のように弾性部材で覆われているため、版胴10側に押圧されると、圧胴30の外周面は弾性変形する。
【0017】
圧胴30と版胴10との間にセラミックグリーンシート2が挟持され、版胴10と圧胴30とが回転してセラミックグリーンシート2が搬送される。
このとき、ペースト供給部20に蓄えられた導電性ペースト21が、版胴10の凹部12内に入り込み、セラミックグリーンシート2との接触部まで運ばれる。
セラミックグリーンシート2は、圧胴30によって版胴10の外周面に押し当てられ、版胴10の凹部12に充填されている導電性ペースト21は、ニップ幅によって規定される範囲内でセラミックグリーンシート2に転写されて、セラミックグリーンシート2に印刷パターン3が形成される。
【0018】
ここで、セラミックグリーンシート2は、薄層化が進むとシートの搬送方向に歪みやすくなる。ゆえに、歪みや変形が生じていると、セラミックグリーンシート2が版胴10と圧胴30との間に挟持されたときに、印刷される図形が所望の配置で印刷できなくなる可能性がある。そうなると、積層時に内部電極の位置ずれなどが生じることになる。
【0019】
(調整部40)
そこで、実施形態では、圧胴30を操作してセラミックグリーンシート2の版胴10に対する接触状態を調整する調整部40が設けられている。
図2は、調整部40の動作を説明する、印刷装置1の版胴軸11及び圧胴軸31と直交する方向の断面図である。
【0020】
第1実施形態において調整部40は、圧胴30の側部であって、セラミックグリーンシート2の搬送方向の上流側に配置され、圧胴軸31と略平行な調整軸41を中心として回転する円筒状又は円柱状部材である。
【0021】
ここで、調整軸41は、基本的な状態においては圧胴軸31と略平行であるが、調整軸41の圧胴軸31との間の距離、又は調整軸41の圧胴軸31に対する傾きの少なくとも一方が可変である。
具体的には、
図1に示すように、調整部40の調整軸41の一端には駆動部42a、他端には駆動部42bが設けられており、駆動部42a及び駆動部42bは制御部43に接続されている。制御部43の制御により、調整軸41の圧胴軸31との間の距離、又は調整軸41の圧胴軸31に対する傾きの少なくとも一方が可変である。
【0022】
例えば、まず、テスト印刷としてセラミックグリーンシート2に印刷パターン3を印刷する。このとき、印刷された印刷パターン3において、セラミックグリーンシート2の軸方向の一方が他方に比べて先行して搬送方向に歪んで搬送されたとする。この場合、先行した方のニップ幅を狭くすることで、搬送方向への印刷ずれを抑制することができる。
【0023】
そこで、制御部43により駆動部42a及び駆動部42bを操作し、歪んで印刷される調整軸41の一方を圧胴30に近づける。そうすると、
図2に示すように、調整部40における、調整軸41が近づいた方の外周面が、圧胴30の外周面を押圧する。圧胴30の外周面は弾性部材であるため押圧されて、径が小さくなる方向に変形する。
そうすると、幅方向の一方の圧胴30と版胴10との接触幅であるニップ幅が、N0からN1へと縮小する。ニップ幅の変化に対応してセラミックグリーンシート2と版胴10との搬送方向の接触幅が減少するので、セラミックグリーンシート2を搬送する力が弱くなり、歪みが是正される。ゆえに、セラミックグリーンシート2の軸方向の一方の印刷パターンの配置を調整することができる。
【0024】
すなわち、セラミックグリーンシート2に歪みや変形が生じていても、調整部40によりニップ幅を調整することで、セラミックグリーンシート2の送り量を調整することができる。これによって、印刷パターン3の印刷歪みを解消することができ、セラミックグリーンシート2に転写される印刷パターン3の印刷精度を向上することができる。
【0025】
(積層セラミックコンデンサ100の製造方法)
このようにして、歪みが解消された印刷パターン3が印刷されたセラミックグリーンシート2を用いて、
図3に示すような積層セラミックコンデンサ100が作成される。
図4は、積層セラミックコンデンサ100の製造工程を説明する図である。なお、
図4は積層工程を分かりやすくするために、
図3の積層セラミックコンデンサ100に比べて長さ方向Lの積層方向Tに対する縮尺が縮小されている。
【0026】
まず、印刷パターン3が印刷されたセラミックグリーンシート2が帯用の状態から所定長さで切断される。切断されたセラミックグリーンシート2は、
図4に示すように、印刷パターン3が隣り合うセラミックグリーンシート2間において長さ方向Lにおいて半ピッチずつずれるようして積み重ねられる。さらに、複数枚積層されたセラミックグリーンシート2の積層方向の両側に、外層部となる外層部用セラミックグリーンシート2が積み重ねられる。
そして、セラミックグリーンシート2の積層体は、1つのセラミックグリーンシート2上における隣接する印刷パターン3間のギャップ部分において切断され、積層体チップが形成される。
この積層体チップにおける印刷パターン3が露出した端部に導電性ペーストが塗布され、焼結されて外部電極23が形成され、
図3の積層セラミックコンデンサ100が製造される。
【0027】
以上、本実施形態の印刷装置1によると、セラミックグリーンシート2への印刷パターン3の印刷歪みを解消することができ、セラミックグリーンシート2に転写される印刷パターン3の印刷精度を向上することができる。ゆえに、積層セラミックコンデンサ100の歩留まりが向上し、製品精度も向上する。
【0028】
(第2実施形態)
図5は第2実施形態の印刷装置201を説明する図である。第2実施形態の印刷装置201が第1実施形態の印刷装置1と異なる点は、調整部240であり、それ以外の共通部分は同一の符号を付してその説明は省略する。
【0029】
(調整部240)
第2実施形態の調整部240は、圧胴30の側方であって、セラミックグリーンシート2の搬送方向の上流側に配置され、圧胴軸31と基本的な状態において略平行な調整軸241を中心として回転する円筒状又は円柱状部材である点は第1実施形態と同様である。
【0030】
しかし、第2実施形態の調整部240は、調整軸241に沿った方向に複数に分割されている。なお、実施形態では調整部240a、調整部240b、調整部240c及び調整部240dの4つに分割されているが分割の数はこれに限定されない。
調整部240a、調整部240b、調整部240c及び調整部240dのそれぞれの調整軸241a、調整軸241b、調整軸241c及び調整軸241dは、それぞれが、圧胴30の圧胴軸31との間の距離又は傾きの少なくとも一方が可変である。
図6は、
図5の状態から、一例として、調整軸241bを圧胴軸31に近接させ、調整軸241dを圧胴軸31に対して傾けた場合を示す図である。
【0031】
本実施形態によると、第1実施形態よりも、調整部240によるニップ幅の調整を、部分的に行うことができる。テスト印刷を行った結果をもとに、セラミックグリーンシート2の版胴10に対する接触面積の調整が部分ごとに可能となり、印刷パターン3のずれや変形の高精度な調整が可能となる。
【0032】
(第3実施形態)
図7は第3実施形態の印刷装置301を説明する図である。第3実施形態の印刷装置301が第2実施形態の印刷装置1と異なる点は、調整部340であり、それ以外の共通部分は同一の符号を付してその説明は省略する。
【0033】
第3実施形態において調整部340は、第1調整部340Aと第2調整部340Bとの2本設けられている。それぞれが、円柱又は円筒部材であり、それぞれの調整軸341A及び調整軸341Bに沿った方向に複数に分割されている。
【0034】
第2実施形態と同様に、第1調整部340Aは、第1調整部340Aa、第1調整部340Ab、第1調整部340Ac及び第1調整部340Adに分割されている。
そして、第1調整部340Aは、第1調整部340Aa、第1調整部340Ab、第1調整部340Ac及び第1調整部340Adのそれぞれの第1調整軸341Aa、第1調整軸341Ab、第1調整軸341Ac及び第1調整軸341Adは、それぞれが、圧胴30の圧胴軸31との間の距離又は傾きの少なくとも一方が可変である。
【0035】
また、第2調整部340Bも、第2調整部340Ba、第2調整部340Bb、第2調整部340Bc及び第2調整部340Bdに分割されている。
そして、第2調整部340Bは、第2調整部340Ba、第2調整部340Bb、第2調整部340Bc及び第2調整部340Bdのそれぞれの第2調整軸341Ba、第2調整軸341Bb、第2調整軸341Bc及び第2調整軸341Bdは、それぞれが、圧胴30の圧胴軸31との間の距離又は傾きの少なくとも一方が可変である。
【0036】
また、第3実施形態では第1調整部340Aと第2調整部340Bとの分割部は、軸方向において位置がずれている。例えば、第1調整部340Aaと第1調整部340Abとの切れ目と、第2調整部340Baと第2調整部340Bbとの切れ目が、横方向に重なっていない。
すなわち、圧胴30の外周面上において、第1調整部340Aaと第1調整部340Abとの切れ目は第1調整部340Aによって押圧できないことになるが、第2調整部340Baによって押圧可能となる。第1調整部340Aの他の切れ目も、第2調整部340Bの他の部分によって押圧可能となる。ゆえに、第1調整部340Aの切れ目の位置においても、圧胴30の外周面の押圧量を精度よく調整することができる。
ただし、これに限定されず、第3実施形態は、調整部340が第1調整部340Aと第2調整部340Bとの2本設けられていればよく、第1調整部340Aと第2調整部340Bとの分割部は、軸方向においてずれていなくてもよい。
【0037】
第3実施形態によると、調整部340が第1調整部340Aと第2調整部340Bとの2本設けられているので、第2実施形態よりも、さらに、調整部340によるニップ幅の均一化の調整が、より精度良く行うことができる。これにより、セラミックグリーンシート2の変形状態を調整の精度が向上し、印刷パターン3のずれや変形の高精度な調整が可能となる。
【0038】
(第4実施形態)
図8は第4実施形態の印刷装置401を説明する図である。第4実施形態の印刷装置401が第1実施形態の印刷装置1と異なる点は、調整部440であり、それ以外の共通部分は同一の符号を付してその説明は省略する。
【0039】
図8において符号32Aおよび符号32Bは、圧胴軸31の固定部である。圧胴軸31の固定部は、他の実施形態では図示していないが、他の実施形態においても設けられている。固定部32Aにより圧胴軸31の一方が回転可能に保持され、固定部32Bにより圧胴軸31の他方が回転可能に保持されている。
【0040】
(調整部440)
第4実施形態の調整部440は、圧胴30を操作して、セラミックグリーンシート2の版胴10に対する接触状態を調整するものである点は、他の実施形態と同様である。
しかし、第4実施形態の調整部440は、圧胴30の圧胴軸31の両端に取り付けられ、保持している圧胴軸31の部分の版胴軸11からの距離を変更する。
【0041】
固定部32Aに保持されている圧胴軸31の一端側は、固定部32Aの両側で、さらに第1調整部441と、第2調整部442とにより回転可能に保持されている。固定部32Bに保持されている圧胴軸31の他端側は、固定部32Aの両側で、さらに第3調整部443と、第4調整部444とにより回転可能に保持されている。
【0042】
第1調整部441は、圧胴軸31における固定部32Aに固定されている部分の一方を、その圧胴軸31における固定部32Aに固定されている部分に対して上下動可能である。第2調整部442は、圧胴軸31における固定部32Aに固定されている部分の他方を、その圧胴軸31における固定部32Aに固定されている部分に対して上下動可能である。第3調整部443は、圧胴軸31における固定部32Bに固定されている部分の一方を、その圧胴軸31における固定部32Bに固定されている部分に対して上下動可能である。第4調整部444は、圧胴軸31における固定部32Bに固定されている部分の他方を、その圧胴軸31における固定部32Bに固定されている部分に対して上下動可能である。
【0043】
そして、これらの第1調整部441と、第2調整部442と、第3調整部443と、第4調整部444とは、それぞれ独立して上下動可能である。印刷装置401の調整部440は、第1調整部441、第2調整部442、第3調整部443及び第4調整部444を、それぞれ独立して上下動させることによりに圧胴軸31を湾曲させることができる。
ゆえに、軸方向の位置によって、圧胴軸31の版胴軸11との間の距離を変えることができる。圧胴軸31の版胴軸11との間の距離が近くなると、互いの押圧力が大きくなるのでニップ幅が増加し、圧胴軸31の版胴軸11との間の距離が遠くなると、互いの押圧力が小さくなるのでニップ幅が減少する。
【0044】
これにより、セラミックグリーンシート2に歪みや変形が生じていても、調整部440によりニップ幅を均一にすることができセラミックグリーンシート2の変形状態を調整可能となる。そしてセラミックグリーンシート2の変形状態を調整することによって、印刷パターンのずれが調整可能となる。
【0045】
(第5実施形態)
図9は第5実施形態の印刷装置501を説明する図である。第5実施形態の印刷装置501が第1実施形態の印刷装置1と異なる点は、調整部540であり、それ以外の共通部分は同一の符号を付してその説明は省略する。
【0046】
(調整部540)
第5実施形態の調整部540は、圧胴30を操作して、セラミックグリーンシート2の版胴10に対する接触状態を調整するものである点は、他の実施形態と同様である。
調整部540は、圧胴30の外周に装着される筒部材である。調整部540は、一定の厚みを有し、圧胴30の材質と同様で、圧縮空気により径方向に伸縮可能である。また、ゴム又は樹脂であり、圧胴30の外周への装着が容易な部材で、圧胴30に調整部540を装着することで、径の大きさを変化させることが可能である。
【0047】
実施形態では2つの調整部540が、圧胴30の外周に装着されている。そして調整部540が、圧胴30の外周に装着されることにより、装着された部分では、圧胴軸31の外径が大きくなるので、互いの押圧力が大きくなるのでニップ幅が増加する。
これにより、セラミックグリーンシート2に歪みや変形が生じていても、調整部540によりニップ幅を均一にすることができ、セラミックグリーンシート2の変形状態を調整可能となる。そしてセラミックグリーンシート2の変形状態を調整することによって、印刷パターンのずれが調整可能となる。
【0048】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。例えば実施形態ではセラミックグリーンシート2に導電性ペースト21が印刷される例について説明したが、これに限定されず、セラミックペーストが印刷されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0049】
1,201,301,401,501 印刷装置
2 セラミックグリーンシート
3 印刷パターン
10 版胴
11 版胴軸
12 凹部
20 ペースト供給部
21 導電性ペースト
23 外部電極
30 圧胴
31 圧胴軸
40,240,340,440,540 調整部
41,241,341A.340B 調整軸
100 積層セラミックコンデンサ