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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】異常判定装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 61/12 20100101AFI20231108BHJP
【FI】
F16H61/12
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020132247
(22)【出願日】2020-08-04
(65)【公開番号】P2022029105
(43)【公開日】2022-02-17
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】樗澤 英明
(72)【発明者】
【氏名】吉川 徹哉
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 恵
(72)【発明者】
【氏名】山口 賢一
【審査官】松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-213601(JP,A)
【文献】特許第6665961(JP,B1)
【文献】特開2007-198918(JP,A)
【文献】特開平10-094943(JP,A)
【文献】特開2004-198384(JP,A)
【文献】特開平04-091348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 59/00-61/12,61/16-61/24,
61/66-61/70,63/40-63/50
G05B 23/00-23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯車によって動力を伝達する変速装置を備えた車両に適用され、
実行装置と、記憶装置と、を備え、
前記記憶装置には、機械学習によって学習済みの写像を規定するデータである写像データが記憶されており、
前記写像は、前記歯車の回転数の時系列データを示す変数が入力変数として入力されると、前記歯車の状態を示す変数である状態変数を出力変数として出力するものであり、
前記実行装置は、
前記時系列データを示す変数を取得して前記入力変数の値とする取得処理と、
前記入力変数の値を前記写像に入力することによって該写像が出力する出力変数の値を基に、前記変速装置に異常が発生しているか否かを判定する判定処理と、を実行する
異常判定装置。
【請求項2】
前記実行装置は、前記時系列データを加工した特徴量を算出する特徴量算出処理を実行し、
前記取得処理は、前記特徴量を取得して前記入力変数の値とするものであり、
前記特徴量算出処理では、前記時系列データを構成する前記回転数の値を該回転数の大きさで階級分けして、各階級における度数を前記特徴量として算出する
請求項1に記載の異常判定装置。
【請求項3】
前記特徴量算出処理は、前記回転数の最大値が「1」となり前記回転数の最小値が「0」となるように前記時系列データを正規化する処理を含む
請求項2に記載の異常判定装置。
【請求項4】
前記実行装置は、前記時系列データを加工した特徴量を算出する特徴量算出処理を実行し、
前記取得処理は、前記特徴量を取得して前記入力変数の値とするものであり、
前記特徴量算出処理では、前記時系列データを高速フーリエ変換して得られる周波数成分の分布を前記特徴量として算出する
請求項1に記載の異常判定装置。
【請求項5】
前記特徴量算出処理は、前記時系列データにおける前記回転数の平均値に基づいて1次周波数を算出し、該1次周波数を基準として前記周波数成分を正規化する処理を含む
請求項4に記載の異常判定装置。
【請求項6】
前記特徴量算出処理は、周波数領域を複数の周波数帯に区切り、各周波数帯における前記周波数成分の強度の平均値を当該周波数帯での強度とする処理を含む
請求項4または5に記載の異常判定装置。
【請求項7】
前記時系列データは、前記歯車の回転数を検出する回転数センサの検出信号に基づいて算出される
請求項1~6のいずれか一項に記載の異常判定装置。
【請求項8】
前記時系列データは、前記車両の車速に基づいて算出される
請求項1~6のいずれか一項に記載の異常判定装置。
【請求項9】
前記入力変数には、前記歯車によって伝達されるトルクの大きさを示す変数が含まれる
請求項1~8のいずれか一項に記載の異常判定装置。
【請求項10】
前記入力変数には、前記変速装置内の作動油の温度を示す変数が含まれる
請求項1~9のいずれか一項に記載の異常判定装置。
【請求項11】
前記入力変数には、前記歯車の諸元に基づいた当該歯車の寸法を示す変数が含まれる
請求項1~10のいずれか一項に記載の異常判定装置。
【請求項12】
前記入力変数には、前記歯車のかみあい誤差を示す変数が含まれる
請求項1~11のいずれか一項に記載の異常判定装置。
【請求項13】
前記入力変数には、前記歯車をかみ合わせたときのバックラッシの大きさを示す変数が含まれる
請求項1~12のいずれか一項に記載の異常判定装置。
【請求項14】
前記入力変数には、振動を検出する振動センサによる検出値を示す変数が含まれる
請求項1~13のいずれか一項に記載の異常判定装置。
【請求項15】
前記入力変数には、音を検出する音センサによる検出値を示す変数が含まれる
請求項1~14のいずれか一項に記載の異常判定装置。
【請求項16】
前記入力変数には、車両の制動装置における液圧を示す変数が含まれる
請求項1~15のいずれか一項に記載の異常判定装置。
【請求項17】
前記入力変数には、車両の走行距離を示す変数が含まれる
請求項1~16のいずれか一項に記載の異常判定装置。
【請求項18】
前記状態変数には、前記歯車が損傷している状態であることを示す変数が含まれる
請求項1~17のいずれか一項に記載の異常判定装置。
【請求項19】
前記状態変数には、前記歯車の回転に伴って歯打ち音が発生する状態であることを示す変数が含まれる
請求項1~18のいずれか一項に記載の異常判定装置。
【請求項20】
前記状態変数には、前記歯車の回転に伴ってうなり音が発生する状態であることを示す変数が含まれる
請求項1~19のいずれか一項に記載の異常判定装置。
【請求項21】
前記写像は、前記入力変数が入力されると、前記歯車が損傷している状態であるか否かを示す変数である状態変数を出力変数として出力する第1写像であり、
前記写像データは、前記第1写像を規定する第1写像データであり、
前記判定処理は、第1判定処理であり、
前記記憶装置には、機械学習によって学習済みの写像を規定するデータである第2写像データおよび第3写像データがさらに記憶されており、
前記第2写像データは、前記入力変数が入力されると、前記歯車の回転に伴って歯打ち音が発生する状態であるか否かを示す変数である状態変数を出力変数として出力する第2写像を規定するデータであり、
前記第3写像データは、前記入力変数が入力されると、前記歯車の回転に伴ってうなり音が発生する状態であるか否かを示す変数である状態変数を出力変数として出力する第3写像を規定するデータであり、
前記実行装置は、前記入力変数の値を前記第2写像に入力することによって該第2写像が出力する出力変数の値を基に、前記変速装置に異常が発生しているか否かを判定する第2判定処理と、前記入力変数の値を前記第3写像に入力することによって該第3写像が出力する出力変数の値を基に、前記変速装置に異常が発生しているか否かを判定する第3判定処理と、を実行する
請求項1~17のいずれか一項に記載の異常判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯車によって動力を伝達する変速装置に異常が発生しているか否かを判定する異常判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、歯車を備える駆動機構の異常を検知する診断装置が開示されている。特許文献1における駆動機構は、シートベルトのウェビングを巻き取る機構として採用されている。特許文献1における診断装置は、ウェビングの引き出し量を検出して、当該引き出し量が所定量を超えた場合に駆動機構を異常と判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-79489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている診断装置のように異常を判定する場合には、ある時点での検出値が所定のしきい値を超えたことをもって判別できる異常については検知できる。しかし、検出値がしきい値よりも小さい範囲で推移しつつ異常が生じていないときと比較して検出値の変動幅が大きかったり小さかったりする場合も、異常が生じているおそれがある。このような特徴が検出値に表れる異常については、特許文献1に開示されている診断装置のように判定を行うのでは異常を検知することができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記課題を解決するための手段およびその作用効果について記載する。
1.歯車によって動力を伝達する変速装置を備えた車両に適用され、実行装置と、記憶装置と、を備え、前記記憶装置には、機械学習によって学習済みの写像を規定するデータである写像データが記憶されており、前記写像は、前記歯車の回転数の時系列データを示す変数が入力変数として入力されると、前記歯車の状態を示す変数である状態変数を出力変数として出力するものであり、前記実行装置は、前記時系列データを示す変数を取得して前記入力変数の値とする取得処理と、前記入力変数の値を前記写像に入力することによって該写像が出力する出力変数の値を基に、前記変速装置に異常が発生しているか否かを判定する判定処理と、を実行する異常判定装置である。
【0006】
歯車が故障して変速装置に異常が発生している場合には、歯車の回転数の時系列データは、変速装置に異常が発生していない場合の時系列データとは異なる特徴を示すと予測できる。
【0007】
上記構成によれば、歯車の回転数の時系列データを示す変数が写像に入力されることによって、歯車の状態を示す変数である状態変数が出力される。これによって、歯車の回転数の時系列データを示す変数に基づいて、歯車の状態を判定することができる。すなわち、回転数の時系列データに基づいて、歯車の回転数の大きさのみからは捉えられない特徴を抽出して、変速装置に異常が発生しているか否かを判定することができる。
【0008】
2.前記実行装置は、前記時系列データを加工した特徴量を算出する特徴量算出処理を実行し、前記取得処理は、前記特徴量を取得して前記入力変数の値とするものであり、前記特徴量算出処理では、前記時系列データを構成する前記回転数の値を該回転数の大きさで階級分けして、各階級における度数を前記特徴量として算出する上記1に記載の異常判定装置である。
【0009】
上記構成では、回転数の時系列データが度数分布を示す特徴量に加工される。これによって、歯車に異常が発生している場合に回転数の時系列データが示す特徴と、歯車に異常が発生していない場合に回転数の時系列データが示す特徴とを判別しやすくなる。すなわち、変速装置に異常が発生しているか否かを判定する精度を向上させることができる。
【0010】
3.前記特徴量算出処理は、前記回転数の最大値が「1」となり前記回転数の最小値が「0」となるように前記時系列データを正規化する処理を含む上記2に記載の異常判定装置である。
【0011】
上記構成によれば、時系列データが正規化されることで、回転数の絶対値の大きさに影響を受けることなく、回転数の変動を時系列データが示す特徴として捉えて歯車の状態を判定することができる。
【0012】
4.前記実行装置は、前記時系列データを加工した特徴量を算出する特徴量算出処理を実行し、前記取得処理は、前記特徴量を取得して前記入力変数の値とするものであり、前記特徴量算出処理では、前記時系列データを高速フーリエ変換して得られる周波数成分の分布を前記特徴量として算出する上記1に記載の異常判定装置である。
【0013】
上記構成によれば、周波数領域に表れる時系列データの特徴に基づいて歯車の状態を判定することができる。
5.前記特徴量算出処理は、前記時系列データにおける前記回転数の平均値に基づいて1次周波数を算出し、該1次周波数を基準として前記周波数成分を正規化する処理を含む上記4に記載の異常判定装置である。
【0014】
上記構成によれば、周波数成分が正規化されることで、周波数成分の強度に影響を受けることなく、回転数の時系列データが示す特徴に基づいて歯車の状態を判定することができる。
【0015】
6.前記特徴量算出処理は、周波数領域を複数の周波数帯に区切り、各周波数帯における前記周波数成分の強度の平均値を当該周波数帯での強度とする処理を含む上記4または5に記載の異常判定装置である。
【0016】
上記構成によれば、入力変数の要素を削減することができる。これによって、判定処理における演算負荷を軽減することができる。
7.前記時系列データは、前記歯車の回転数を検出する回転数センサの検出信号に基づいて算出される上記1~6のいずれか一項に記載の異常判定装置である。
【0017】
8.前記時系列データは、前記車両の車速に基づいて算出される上記1~6のいずれか一項に記載の異常判定装置である。
9.前記入力変数には、前記歯車によって伝達されるトルクの大きさを示す変数が含まれる上記1~8のいずれか一項に記載の異常判定装置である。
【0018】
上記構成によれば、時系列データを示す変数に加えて、トルクの大きさを示す変数が入力変数として写像に入力される。異なる種類の変数を入力することによって、変速装置に異常が発生しているか否かを判定する精度を向上させることができる。
【0019】
10.前記入力変数には、前記変速装置内の作動油の温度を示す変数が含まれる上記1~9のいずれか一項に記載の異常判定装置である。
上記構成によれば、変速装置に異常が発生しているか否かを判定する精度を向上させることができる。
【0020】
11.前記入力変数には、前記歯車の諸元に基づいた当該歯車の寸法を示す変数が含まれる上記1~10のいずれか一項に記載の異常判定装置である。
上記構成によれば、変速装置に異常が発生しているか否かを判定する精度を向上させることができる。
【0021】
12.前記入力変数には、前記歯車のかみあい誤差を示す変数が含まれる上記1~11のいずれか一項に記載の異常判定装置である。
上記構成によれば、歯形の誤差等が回転数の時系列データに与える影響を考慮して判定処理を行うことができる。これによって、変速装置に異常が発生しているか否かを判定する精度を向上させることができる。
【0022】
13.前記入力変数には、前記歯車をかみ合わせたときのバックラッシの大きさを示す変数が含まれる上記1~12のいずれか一項に記載の異常判定装置である。
上記構成によれば、バックラッシが回転数の時系列データに与える影響を考慮して判定処理を行うことができる。これによって、変速装置に異常が発生しているか否かを判定する精度を向上させることができる。
【0023】
14.前記入力変数には、振動を検出する振動センサによる検出値を示す変数が含まれる上記1~13のいずれか一項に記載の異常判定装置である。
上記構成によれば、変速装置に異常が発生しているか否かを判定する精度を向上させることができる。
【0024】
15.前記入力変数には、音を検出する音センサによる検出値を示す変数が含まれる上記1~14のいずれか一項に記載の異常判定装置である。
上記構成によれば、変速装置に異常が発生しているか否かを判定する精度を向上させることができる。
【0025】
16.前記入力変数には、車両の制動装置における液圧を示す変数が含まれる上記1~15のいずれか一項に記載の異常判定装置である。
上記構成によれば、車両の減速に伴う回転数の時系列データの変動を考慮して判定処理を行うことができる。これによって、変速装置に異常が発生しているか否かを判定する精度を向上させることができる。
【0026】
17.前記入力変数には、車両の走行距離を示す変数が含まれる上記1~16のいずれか一項に記載の異常判定装置である。
上記構成によれば、変速装置に異常が発生しているか否かを判定する精度を向上させることができる。
【0027】
18.前記状態変数には、前記歯車が損傷している状態であることを示す変数が含まれる上記1~17のいずれか一項に記載の異常判定装置である。
上記構成によれば、歯車が損傷している状態であるか否かを判定することができる。これによって、要因別に分類した異常を検知することができる。
【0028】
19.前記状態変数には、前記歯車の回転に伴って歯打ち音が発生する状態であることを示す変数が含まれる上記1~18のいずれか一項に記載の異常判定装置である。
上記構成によれば、歯打ち音が発生する状態であるか否かを判定できる。これによって、要因別に分類した異常を検知することができる。
【0029】
20.前記状態変数には、前記歯車の回転に伴ってうなり音が発生する状態であることを示す変数が含まれる上記1~19のいずれか一項に記載の異常判定装置である。
上記構成によれば、うなり音が発生する状態であるか否かを判定できる。これによって、要因別に分類した異常を検知することができる。
【0030】
21.前記写像は、前記入力変数が入力されると、前記歯車が損傷している状態であるか否かを示す変数である状態変数を出力変数として出力する第1写像であり、前記写像データは、前記第1写像を規定する第1写像データであり、前記判定処理は、第1判定処理であり、前記記憶装置には、機械学習によって学習済みの写像を規定するデータである第2写像データおよび第3写像データがさらに記憶されており、前記第2写像データは、前記入力変数が入力されると、前記歯車の回転に伴って歯打ち音が発生する状態であるか否かを示す変数である状態変数を出力変数として出力する第2写像を規定するデータであり、前記第3写像データは、前記入力変数が入力されると、前記歯車の回転に伴ってうなり音が発生する状態であるか否かを示す変数である状態変数を出力変数として出力する第3写像を規定するデータであり、前記実行装置は、前記入力変数の値を前記第2写像に入力することによって該第2写像が出力する出力変数の値を基に、前記変速装置に異常が発生しているか否かを判定する第2判定処理と、前記入力変数の値を前記第3写像に入力することによって該第3写像が出力する出力変数の値を基に、前記変速装置に異常が発生しているか否かを判定する第3判定処理と、を実行する上記1~17のいずれか一項に記載の異常判定装置である。
【0031】
たとえば、歯打ち音が発生するときの時系列データは、うなり音が発生するときの時系列データとは異なる。一つの写像によって歯車の複数の状態を判別しようとすると、実行装置の演算負荷が高くなったり判定の精度が低下したりするおそれがある。
【0032】
上記構成では、歯車が損傷している状態であるか否かを検出するための第1写像と、歯打ち音が発生する状態であるか否かを検出するための第2写像と、うなり音が発生する状態であるか否かを検出するための第3写像と、が用いられる。これによって、一つの写像によって歯車の状態を判定する場合と比較して、実行装置の演算負荷を軽減することができる。また、一つの写像によって歯車の状態を判定する場合と比較して、変速装置に異常が発生しているか否かを判定する精度の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】第1の実施形態にかかる車両および制御装置の構成を示す図。
図2】同実施形態にかかる制御装置が実行する処理の手順を示す流れ図。
図3】(a)および(b)は、同実施形態にかかる歯車の回転数の時系列データを示す図。
図4】(a)および(b)は、同実施形態にかかる歯車の回転数の時系列データを加工した特徴量を示す図。
図5】同実施形態にかかる出力変数を定義する図。
図6】第2の実施形態にかかるシステムの構成を示す図。
図7】同実施形態にかかる制御装置が実行する処理の手順を示す流れ図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、車両VCは、内燃機関10、第1モータジェネレータ22および第2モータジェネレータ24を備えている。内燃機関10のクランク軸12には、動力分割装置20が機械的に連結されている。動力分割装置20は、内燃機関10、第1モータジェネレータ22、および第2モータジェネレータ24の動力を分割する。動力分割装置20は、遊星歯車機構を備えている。遊星歯車機構のキャリアCは、クランク軸12と機械的に連結されている。遊星歯車機構のサンギアSは、第1モータジェネレータ22の回転軸22aと機械的に連結されている。遊星歯車機構のリングギアRは、第2モータジェネレータ24の回転軸24aと機械的に連結されている。なお、第1モータジェネレータ22の端子には、第1インバータ23の出力電圧が印加される。また、第2モータジェネレータ24の端子には、第2インバータ25の出力電圧が印加される。
【0035】
動力分割装置20のリングギアRには、第2モータジェネレータ24の回転軸24aに加えて、変速装置26を介して駆動輪30が機械的に連結されている。変速装置26は、歯車の組み合わせによって動力を駆動輪30に伝達する装置である。
【0036】
動力分割装置20のキャリアCには、オイルポンプ32の従動軸32aが機械的に連結されている。オイルポンプ32は、オイルパン34内のオイルを潤滑油として動力分割装置20に循環させたり、同オイルを作動油として変速装置26に吐出したりするポンプである。なお、オイルポンプ32から吐出された作動油は、変速装置26内の油圧制御回路26aによってその圧力が調整されて作動油として利用される。
【0037】
制御装置40は、内燃機関10を制御対象とする。制御装置40は、内燃機関10の制御量であるトルクや排気成分比率等を制御すべく、内燃機関10の各種操作部を操作する。また、制御装置40は、第1モータジェネレータ22を制御対象とする。制御装置40は、第1モータジェネレータ22の制御量であるトルクや回転速度等を制御すべく、第1インバータ23を操作する。また、制御装置40は、第2モータジェネレータ24を制御対象とする。制御装置40は、第2モータジェネレータ24の制御量であるトルクや回転速度等を制御すべく、第2インバータ25を操作する。なお、図1には、制御装置40が内燃機関10や変速装置26を操作するために送信する信号を操作信号MSと表示している。
【0038】
制御装置40は、上記制御量を制御する際、クランク角センサ50の出力信号Scrや、第1モータジェネレータ22の回転軸22aの回転角を検知する第1回転角センサ52の出力信号Sm1、第2モータジェネレータ24の回転軸24aの回転角を検知する第2回転角センサ54の出力信号Sm2を参照する。また、制御装置40は、油温センサ56によって検出されるオイルの温度である油温Toilを参照する。
【0039】
制御装置40は、CPU42、ROM44、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリである記憶装置46、および周辺回路48を備えている。CPU42、ROM44、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリである記憶装置46、および周辺回路48は、ローカルネットワーク49を介して通信可能とされている。ここで、周辺回路48は、内部の動作を規定するクロック信号を生成する回路や、電源回路、リセット回路等を含む。制御装置40は、ROM44に記憶されたプログラムをCPU42が実行することによって、上記制御量を制御する。
【0040】
制御装置40が実行する処理の一部を説明する。
制御装置40は、駆動トルク設定処理を実行する。駆動トルク設定処理は、駆動輪30に付与すべきトルクの指令値である駆動トルク指令値Trq*を算出する処理である。駆動トルク指令値Trq*は、車両VCが備えるアクセル操作部材の操作量を入力として、当該操作量が大きいほど大きい値に算出される。
【0041】
制御装置40は、駆動力分配処理を実行する。駆動力分配処理は、駆動トルク指令値Trq*に基づき、内燃機関10に対するトルク指令値Trqe*、第1モータジェネレータ22に対するトルク指令値Trqm1*、および第2モータジェネレータ24に対するトルク指令値Trqm2*を設定する処理である。これらトルク指令値Trqe*,Trqm1*,Trqm2*は、内燃機関10、第1モータジェネレータ22および第2モータジェネレータ24によってそれぞれ生成されることによって、駆動輪30に付与されるトルクが駆動トルク指令値Trq*となる値にされる。
【0042】
制御装置40は、回転数算出処理を実行する。回転数算出処理は、変速装置26に搭載されている歯車の回転数として歯車回転数Ngearを算出する処理である。歯車回転数Ngearは、出力信号Sm1に基づいて算出される。歯車回転数Ngearは、所定期間毎に算出される。歯車回転数Ngearの推移が歯車回転数Ngearの時系列データとして記憶装置46に記憶される。たとえば、動力が駆動輪30に伝達される経路上で駆動輪30に最も近い位置に配置されている被動歯車の回転数が歯車回転数Ngearとして算出される。当該被動歯車と組み合わせられる駆動歯車の回転数を歯車回転数Ngearとして算出することもできる。また、駆動輪30に最も近い位置の歯車の回転数に限らず、変速装置26に搭載されている歯車であれば、その歯車の回転数を歯車回転数Ngearとして算出してもよい。
【0043】
制御装置40は、変速装置26の歯車の異常を判定するための処理を実行する。以下、この処理について説明する。
図2に、制御装置40が実行する処理の手順を示す。図2に示す処理は、ROM44に記憶されたプログラムをCPU42がたとえば所定周期で繰り返し実行することによって実現される。なお、以下では、先頭に「S」が付与された数字によって、各処理のステップ番号を表現する。
【0044】
図2に示す一連の処理において、CPU42は、まず、歯車回転数Ngearの時系列データおよび油温Toilを取得する(S101)。次にCPU42は、規定期間における歯車回転数Ngearの時系列データを正規化する正規化処理を実行する(S102)。CPU42は、さらに、正規化した時系列データを加工した正規化特徴量NFvを算出する(S103)。正規化特徴量NFvは、規定期間における歯車回転数Ngearの度数分布を表すデータとして算出される。
【0045】
図3および図4を用いて、S102およびS103の処理を説明する。図3(a)は、歯車に異常が生じていない場合、すなわち歯車が正常である場合における歯車回転数Ngearの時系列データの一部を例示したものである。図3(b)は、歯車に異常が生じている場合における歯車回転数Ngearの時系列データの一部を例示したものである。なお、図3(a)と図3(b)とでは、例示している期間における駆動トルク指令値Trq*の大きさが等しいものとする。
【0046】
図3(a)に示すように、歯車に異常が生じていない場合には、歯車回転数Ngearは、規則的な周期および振幅で推移している。一方、図3(b)に示すように、歯車に異常が生じている場合には、歯車回転数Ngearは、図3(a)に示す波形とは異なる波形を示すように推移している。たとえば、歯車回転数Ngearの値が不規則に変動する。歯車回転数Ngearの値が極端に大きくなったり極端に小さくなったりすることもある。
【0047】
本実施形態では、規定期間における歯車回転数Ngearが一定のサンプリング周期でサンプリングされる場合の、時系列的に連続した複数のサンプリング値によって歯車回転数Ngearの時系列データを構成する。図3における図中の丸は、一定のサンプリング周期でサンプリングされるサンプリング値を例示したものである。歯車回転数Ngearをサンプリングする期間が規定期間である。
【0048】
CPU42は、S102の処理では、規定期間における歯車回転数Ngearの最大値が「1」となり規定期間における歯車回転数Ngearの最小値が「0」となるように歯車回転数Ngearの時系列データを正規化する。たとえば、以下の数式(式1)に基づいて正規化を行うことができる。
【0049】
N=(n-nmin)/(nmax-nmin) …(式1)
上記数式(式1)において、「N」は、正規化後の歯車回転数Ngearである。「n」は、正規化の対象とする歯車回転数Ngearである。「nmax」は、正規化前の歯車回転数Ngearの最大値である。「nmin」は、正規化前の歯車回転数Ngearの最小値である。
【0050】
CPU42は、S103の処理では、まず、規定期間における歯車回転数Ngearの最小値から最大値までの範囲を五等分して五つの階級に分ける。換言すれば、各階級の幅が「0.2」となるように階級分けを行う。そして、CPU42は、各階級における歯車回転数Ngearのサンプリング値の数、すなわち度数を正規化特徴量NFvとして算出する。以下、五つの階級は、小さい方から順に、第1階級Bin1、第2階級Bin2、第3階級Bin3、第4階級Bin4、第5階級Bin5という。
【0051】
図4(a)は、歯車に異常が発生していない場合の歯車回転数Ngearの時系列データにS102およびS103の処理が施された場合の一例である。すなわち、図4(a)は、歯車に異常が生じていない場合における正規化特徴量NFvの一例を示す。図4(a)に示すように、歯車に異常が発生していない場合には、第1階級Bin1における度数、第2階級Bin2における度数、第3階級Bin3における度数の順に度数が多くなっている。五つの階級における度数のうち歯車回転数Ngearの中央値を含む第3階級Bin3における度数が最も多く、第4階級Bin4における度数、第5階級Bin5における度数の順に度数が少なくなっている。また、第2階級Bin2における度数と第4階級Bin4における度数とが等しく、第1階級Bin1における度数と第5階級Bin5における度数とが等しい。すなわち、第3階級Bin3を中心に左右対称の分布を示している。
【0052】
図4(b)は、歯車に異常が発生している場合の歯車回転数Ngearの時系列データにS102およびS103の処理が施された場合の一例である。すなわち、図4(b)は、歯車に異常が生じている場合における正規化特徴量NFvの一例を示す。図4(a)と同様に、第3階級Bin3における度数が最も多く、第1階級Bin1における度数および第5階級Bin5における度数が最も少なくなっている。しかし、歯車に異常が発生していない場合の図4(a)とは異なり、第3階級Bin3における度数が他の階級の度数に比して極端に多くなっている。これは、歯車回転数Ngearの不規則な変動によって中央値から大きく離れた少数の値がサンプリングされているためである。より詳しく説明するため、中央値から大きく離れた少数の値がサンプリングされているデータの度数分布を考える。当該データにおける歯車回転数Ngearの最小値から最大値までの範囲を、規則的に推移する歯車回転数Ngearの時系列データが加工された図4(a)に示す例と同じ数の階級に分ける。この結果、最頻値を含む階級には図4(a)に示す例と比較して多くのサンプルが含まれることになる。このように、中央値から大きく離れた少数の値がサンプリングされていると、最頻値を含む階級の度数がより多くなる一方で他の階級の度数が少なくなる。
【0053】
図4(a)および図4(b)に示すように、歯車回転数Ngearの時系列データを加工した正規化特徴量NFvは、歯車に異常が発生していない場合と歯車に異常が発生している場合とで異なる特徴を示す。
【0054】
図2に戻り、CPU42は、正規化特徴量NFvを算出すると、次に、図1に示した記憶装置46に記憶されている写像データDMによって規定される写像への入力変数x(1)~x(6)に、S103の処理によって算出した正規化特徴量NFvおよび油温Toilを代入する(S104)。より詳しくは、入力変数x(1)~x(5)には、第1階級Bin1の度数~第5階級Bin5の度数をそれぞれ代入する。入力変数x(6)には、油温Toilを代入する。ここでは、規定期間における油温Toilの平均値を入力変数x(6)に代入することができる。
【0055】
次にCPU42は、上記写像に入力変数x(1)~x(6)の値を代入することによって、歯車の状態を示す変数である出力変数y(0)~y(4)の値を算出する(S105)。
【0056】
本実施形態では、写像として関数近似器を例示し、詳しくは、中間層が1層の全結合順伝搬型のニューラルネットワークを例示する。具体的には、S105の処理によって値が代入された入力変数x(1)~x(6)とバイアスパラメータであるx(0)とが、係数wFjk(j=1~m,k=0~6)によって規定される線形写像にて変換された「m」個の値のそれぞれが活性化関数fに代入されることによって、中間層のノードの値が定まる。また、係数wSij(i=0~3)によって規定される線形写像によって中間層のノードの値のそれぞれが変換された値のそれぞれが活性化関数gに代入されることによって、出力変数y(0),y(1),y(2),y(3)の値が定まる。なお、活性化関数fとしては、ハイパボリックタンジェント等を採用することができる。活性化関数gとしては、ソフトマックス関数を採用することができる。
【0057】
図5に示すように、出力変数y(0),y(1),y(2),y(3)は、歯車の状態を特定する状態変数となっている。出力変数y(0)は、歯車に異常がない状態、すなわち歯車が正常な状態である確率を示す。出力変数y(1)は、歯車が損傷した状態である確率を示す。出力変数y(2)は、歯打ち音が発生する状態である確率を示す。出力変数y(3)は、うなり音が発生する状態である確率を示す。周知のように、歯打ち音とは、かみあう歯車の歯面同士が衝突することによって生じる音である。うなり音は、歯打ち音と比較して音の周波数が高いという特徴がある。
【0058】
図2に戻り、CPU42は、出力変数y(0)~y(3)のうちの最大値ymaxを選択する(S106)。そしてCPU42は、出力変数y(0)~y(3)のうちの最大値ymaxと等しい出力変数に基づき、歯車の状態を判定する(S107)。次に、CPU42は、歯車の状態を判定した結果を記憶装置46に記憶する記憶処理を実行する(S108)。たとえばCPU42は、出力変数y(1)の値が最大値ymaxに等しい場合には、歯車が損傷した状態であることを記憶装置46に記憶する。S108の処理において、CPU42は、図1に示す表示器70を操作して、記憶装置46に記憶させた歯車の状態に基づいて変速装置26の状態を報知する報知処理を実行することもできる。表示器70は、変速装置26の状態を報知する報知装置の一例である。たとえば、報知装置をスピーカとして、スピーカを操作して音声信号を出力することによって報知処理を実行してもよい。CPU42は、S108の処理が完了すると、図2に示す一連の処理を一旦終了する。
【0059】
なお、写像データDMは、予め学習された学習済みモデルである。写像データDMの学習には、正規化特徴量NFvおよび油温Toilに対して、実際の歯車の状態を示すデータが正解としてラベル付けされた教師データを用いる。教師データにおける正規化特徴量NFvは、試作車等を運転することによって得られる歯車回転数Ngearの時系列データに基づいてS102およびS103の処理と同様の処理にて算出した値である。写像データDMは、歯車が正常である状態のデータ、歯車が損傷している状態のデータ、歯打ち音が発生する状態のデータ、および、うなり音が発生する状態のデータが含まれている教師データを用いて学習される。
【0060】
ここで、本実施形態の作用および効果について説明する。
CPU42は、歯車回転数Ngearの時系列データに基づき歯車の状態を判定する。このように歯車回転数Ngearの時系列データを参照することによって、変速装置26に異常が生じたか否かを判定することができる。
【0061】
以上説明した本実施形態によれば、さらに以下に記載する作用および効果が得られる。
(1)写像への入力変数を、歯車回転数Ngearの時系列データを加工して算出する正規化特徴量NFvとした。時系列データが、図4に示すような度数分布を表すデータに加工されることによって、歯車に異常が発生している場合に歯車回転数Ngearの時系列データが示す特徴と、歯車に異常が発生していない場合に歯車回転数Ngearの時系列データが示す特徴とを判別しやすくなる。すなわち、変速装置に異常が発生しているか否かを判定する精度を向上させることができる。
【0062】
(2)歯車回転数Ngearの時系列データを正規化特徴量NFvに加工する際には、歯車回転数Ngearが階級分けされる。このため、入力変数の次数を削減することができる。これによって、歯車の異常を判定するための処理の演算負荷を軽減することができる。
【0063】
(3)歯車回転数Ngearの時系列データが正規化特徴量NFvのように正規化されることで、歯車回転数Ngearの絶対値の大きさに影響を受けることなく、歯車回転数Ngearの変動を時系列データが示す特徴として捉えて歯車の状態を判定することができる。
【0064】
(4)写像に一度に入力される入力変数に、正規化特徴量NFvに加えて、規定期間における油温Toilの平均値を含めた。これによって、オイルの温度を踏まえて状態変数の値を算出できる。
【0065】
(5)CPU42は、出力変数y(0)~y(3)の値を算出すると、そのうちの最大値に基づき歯車の状態を判定して記憶装置46に記憶した。歯車に異常が生じているか否かだけではなく、歯車に異常が生じている場合にはその異常の要因を特定することができる。すなわち、歯車の損傷、歯打ち音が発生する状態、または、うなり音が発生する状態を検知できる。
【0066】
(6)歯車の状態を判定した結果が記憶装置46に記憶されるため、車両VCが修理工場に持ち込まれた場合に、記憶装置46に記憶されている異常の要因に応じた対処を行うことができる。
【0067】
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0068】
図6に、本実施形態にかかる制御装置40の構成を示す。なお、図6において図1に示した部材に対応する部材については、便宜上同一の符号を付してその説明を省略する。
図6に示すように、車両VCの記憶装置46には、複数の写像データが記憶されている。たとえば、第1写像データDM(A1)は、歯車が正常であるときの正規化特徴量NFvに基づく教師データと、歯車が損傷している状態であるときの正規化特徴量NFvに基づく教師データとを用いて予め学習された学習済みモデルである。第2写像データDM(A2)は、歯車が正常であるときの正規化特徴量NFvに基づく教師データと、歯打ち音が発生する状態であるときの正規化特徴量NFvに基づく教師データとを用いて予め学習された学習済みモデルである。第3写像データDM(A3)は、歯車が正常であるときの正規化特徴量NFvに基づく教師データと、うなり音が発生する状態であるときの正規化特徴量NFvに基づく教師データとを用いて予め学習された学習済みモデルである。
【0069】
第2の実施形態では、第1写像データDM(A1)と、第2写像データDM(A2)と、第3写像データDM(A3)と、を用いて歯車の状態を判定する。
図7は、図6に示した制御装置40が実行する処理の手順を示す。図7に示す処理は、歯車の状態を判定する処理である。図7に示す処理は、ROM44に記憶されたプログラムをCPU42がたとえば所定周期で繰り返し実行することによって実現される。
【0070】
図7に示す一連の処理において、CPU42は、まず、歯車の状態を判定するために用いる写像データとして第1写像データDM(A1)を選択する(S201)。次にCPU42は、第1判定処理を実行する(S202)。
【0071】
第1判定処理は、図2に示す一連の処理の流れに従って実行される。第1判定処理に関して図2に示す一連の処理とは異なる点について説明する。CPU42は、S105の処理では、入力変数x(1)~x(6)を代入する写像として、第1写像データDM(A1)に規定される第1写像を用いる。CPU42は、第1写像に入力変数x(1)~x(6)の値を代入することによって、歯車の状態を示す変数である出力変数として、歯車が正常である確率、および歯車が損傷している状態である確率を算出する。CPU42は、算出した出力変数の最大値に基づいて歯車の状態を判定する。
【0072】
第1判定処理において出力変数に基づいて歯車の状態を判定する流れの一例を説明する。たとえばCPU42は、歯車が正常である確率が8割以上であるという結果が示された場合には、歯車が正常であると判定する。一方で、CPU42は、歯車が損傷している状態である確率が8割以上であるという結果が示された場合には、歯車に異常が発生していると判定して、異常の要因が歯車の損傷であると分類する。また、CPU42は、歯車が正常である確率および歯車が損傷している状態である確率のいずれも8割未満であるという結果が示された場合には、歯車の損傷とは異なる異常が発生する状態であると判定する。
【0073】
図7に戻り、CPU42は、第1判定処理によって歯車に異常が発生していると判定されたか否かを判定する(S203)。そしてCPU42は、異常が発生していると判定する場合(S203:YES)、歯車の異常が歯車の損傷として分類されたか否かを判定する(S204)。
【0074】
CPU42は、歯車の異常が歯車の損傷ではないと判定する場合(S204:NO)、歯車の状態を判定するために用いる写像データとして第2写像データDM(A2)を選択して(S205)、第2判定処理を実行する(S206)。
【0075】
第2判定処理は、図2に示す一連の処理の流れに従って実行される。図2に示す一連の処理とは異なり第2判定処理では、CPU42は、第2写像データDM(A2)に規定される第2写像に入力変数x(1)~x(6)を代入する。CPU42は、歯車の状態を示す変数である出力変数として、歯車が正常である確率、および歯打ち音が発生する状態である確率を算出する。CPU42は、算出した出力変数の最大値に基づいて歯車の状態を判定する。CPU42は、第1判定処理と同様の流れで、歯車に異常が発生しているか否かを判定して、異常が発生していると判定する場合にはその要因を分類する。
【0076】
図7に戻り、CPU42は、第2判定処理によって歯打ち音が発生していると判定されたか否かを判定する(S207)。歯車の異常が歯打ち音の発生ではないと判定する場合(S207:NO)、CPU42は、歯車の状態を判定するために用いる写像データとして第3写像データDM(A3)を選択して(S208)、第3判定処理を実行する(S209)。
【0077】
第3判定処理は、図2に示す一連の処理の流れに従って実行される。図2に示す一連の処理とは異なり第3判定処理では、CPU42は、第3写像データDM(A3)に規定される第3写像に入力変数x(1)~x(6)を代入する。CPU42は、歯車の状態を示す変数である出力変数として、歯車が正常である確率、および、うなり音が発生する状態である確率を算出する。CPU42は、算出した出力変数の最大値に基づいて歯車の状態を判定する。CPU42は、第1判定処理と同様の流れで、歯車に異常が発生しているか否かを判定して、異常が発生していると判定する場合にはその要因を分類する。
【0078】
なお、CPU42は、S209の処理を完了する場合、S204,S207の処理において肯定判定する場合、または、S203の処理において否定判定する場合には、図7に示す一連の処理を一旦終了する。
【0079】
また、制御装置40は、図6に示すように、油温センサ56によって検出される油温Toilに限らず車両VCが備える各種センサによって検出される検出値を参照することもできる。たとえば制御装置40は、車輪速センサ57によって検出される車輪速度を参照することができる。制御装置40は、車輪速度に基づいて車速SPDを算出することができる。制御装置40は、車両VCに搭載された振動センサ58によって検出される振動VBを参照することができる。制御装置40は、変速装置26に搭載された音センサ59によって検出される音NZを参照することができる。
【0080】
また、制御装置40は、車両VCが備える計器による測定値または他の制御装置から取得できる状態量を参照することもできる。たとえば制御装置40は、車両VCに搭載された走行距離計60によって計測される車両VCの積算走行距離ODを参照することができる。制御装置40は、制動制御装置80から取得できるブレーキ圧PBを参照することもできる。制動制御装置80は、車両VCの制動装置を対象とする制御装置である。たとえば、制動操作部材が操作される踏圧をブレーキ圧PBとして参照することができる。制動装置が液圧制動装置である場合には、マスタシリンダ圧をブレーキ圧PBとして参照することもできる。
【0081】
記憶装置46には、図6に示すように、歯車データDGがさらに記憶されていてもよい。歯車データDGには、変速装置26に搭載されている歯車の諸元に基づいた諸元データが含まれている。諸元データには、たとえば歯面の寸法の設計値等、歯車の各部の寸法を示す設計値が含まれている。また、歯車のかみあい誤差が予め測定され、当該かみあい誤差の値が歯車データDGに含まれている。さらに、歯車データDGには、歯車を組み合わせたときのバックラッシの大きさが含まれている。
【0082】
本実施形態の作用および効果について説明する。
第2の実施形態では、歯車が損傷している状態を検出するための第1写像が規定された第1写像データDM(A1)と、歯打ち音が発生する状態を検出するための第2写像が規定された第2写像データDM(A2)と、うなり音が発生する状態を検出するための第3写像が規定された第3写像データDM(A3)と、が用いられる。このため、第1判定処理、第2判定処理および第3判定処理の各判定処理を実行するときには、一つの写像によって歯車の異常の要因を判別しようとする場合と比較して、実行装置の演算負荷が軽減される。これによって、変速装置26に異常が発生しているか否かを判定する際に、実行装置の演算負荷が高くなったり判定の精度が低下したりすることを抑制できる。
【0083】
<対応関係>
上記実施形態における事項と、上記「課題を解決するための手段」の欄に記載した事項との対応関係は、次の通りである。以下では、「課題を解決するための手段」の欄に記載した解決手段の番号毎に、対応関係を示している。[1]異常判定装置は、図1および図6の制御装置40に対応する。実行装置は、図1および図6のCPU42およびROM44に対応する。記憶装置は、図1および図6の記憶装置46に対応する。写像データは、写像データDMに対応する。取得処理は、図2のS104の処理に対応する。判定処理は、図2のS105~S107の処理に対応する。[2,3]特徴量算出処理は、図2のS102,S103の処理に対応する。[21]第1写像データは、第1写像データDM(A1)に対応する。第2写像データは、第2写像データDM(A2)に対応する。第3写像データは、第3写像データDM(A3)に対応する。
【0084】
<その他の実施形態>
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0085】
「時系列データについて」
図3に歯車回転数Ngearの時系列データを例示したが、図3は、規定期間における歯車回転数Ngearのサンプリング数を限定するものではない。
【0086】
・上記実施形態の回転数算出処理では、出力信号Sm1に基づいて歯車回転数Ngearを算出する例を示した。歯車の回転数である歯車回転数Ngearを算出する手段は、これに限らない。たとえば、変速装置26が備える歯車の回転数は、車速SPDと相関がある。このため、歯車回転数Ngearは、車速SPDに基づいて算出することもできる。また、歯車の回転数を検出するためのセンサを採用して、当該センサによって検出される値に基づいて歯車回転数Ngearを算出することもできる。
【0087】
「入力変数としての特徴量について」
・上記実施形態におけるS102の処理では、規定期間における歯車回転数Ngearの最大値が「1」となり規定期間における歯車回転数Ngearの最小値が「0」となるように歯車回転数Ngearの時系列データを正規化した。歯車回転数Ngearの時系列データを正規化する手法は、この限りではない。たとえば、歯車回転数Ngearの平均値が「0」となり分散が「1」となるように歯車回転数Ngearの時系列データを正規化することも考えられる。
【0088】
・上記実施形態におけるS103の処理では、規定期間における歯車回転数Ngearの最小値から最大値までの範囲を五等分して五つの階級に分けた。入力変数としての特徴量において階級の数が揃っているのであれば、S103の処理において設定する階級の数は適宜変更することができる。換言すれば、各階級の幅は、変更することができる。
【0089】
・上記実施形態におけるS102およびS103の処理では、歯車回転数Ngearの時系列データを正規化してから、正規化したデータを加工して度数分布を表す正規化特徴量NFvを算出した。これに限らず、歯車回転数Ngearの時系列データを加工して度数分布を表す特徴量として特徴量Fvを算出してから、特徴量Fvに基づいて正規化特徴量NFvを算出することもできる。
【0090】
・上記実施形態では、写像データDMによって規定される写像への入力変数として正規化特徴量NFvを例示したが、これに限らない。たとえば、歯車回転数Ngearの時系列データから度数分布を表すデータである特徴量Fvを算出して、特徴量Fvを入力変数としてもよい。すなわち、正規化処理は必須ではない。階級の幅が調整されていない特徴量Fvであっても、特徴量Fvは、歯車回転数Ngearの時系列データから特徴が抽出されたデータである。特徴量Fvを入力変数とすることで、歯車の状態を判定することができる。
【0091】
・上記実施形態では、歯車回転数Ngearの時系列データを加工した特徴量として度数分布を表すデータを例示したが、これに限らない。たとえば、歯車回転数Ngearの時系列データを高速フーリエ変換して得られる周波数成分の分布を特徴量として算出することもできる。このように算出した特徴量を写像への入力変数とすることによって、周波数領域に表れる時系列データの特徴に基づいて歯車の状態を判定することができる。すなわち、歯車回転数Ngearの時系列データを周波数分析して得られる特徴に基づいて歯車の状態を判定することができる。
【0092】
・歯車回転数Ngearの時系列データを高速フーリエ変換して得られる周波数成分の分布を正規化して、正規化後の特徴量を写像への入力変数とすることもできる。たとえば、規定期間における歯車回転数Ngearの平均値から1次周波数を算出し、1次周波数を基準として上記周波数成分を正規化する処理を行ってもよい。周波数成分を正規化することによって、周波数成分の強度に影響を受けることなく、歯車回転数Ngearの時系列データを周波数分析して得られる特徴に基づいて歯車の状態を判定することができる。
【0093】
・歯車回転数Ngearの時系列データを周波数分析して得られる特徴量を入力変数とする場合には、周波数領域を複数の周波数帯に区切り、各周波数帯における上記周波数成分の強度の平均値を当該周波数帯での強度としてもよい。これによって、歯車回転数Ngearの時系列データを周波数分析して得られる特徴量を入力変数とする場合に、入力変数の要素を削減することができる。すなわち、変速装置26に異常が発生しているか否かを判定する処理における演算負荷を軽減することができる。
【0094】
・上記実施形態における正規化特徴量NFvのように度数分布を表す特徴量と、上記変更例における時系列データを周波数分析して得られる特徴量と、の両者を入力変数としてもよい。異なる加工を行ったデータを組み合わせて用いることによって、時系列データが示す特徴をより判別しやすくなり、判定の精度がさらに向上することを期待できる。
【0095】
・上記変更例では、歯車回転数Ngearの時系列データを周波数分析して得られる特徴量を入力変数とする例を示した。これに限らず、歯車回転数Ngearの時系列データを回転次数比分析して得られる特徴量を入力変数とすることもできる。
【0096】
「写像への入力変数について」
・上記実施形態では、歯車回転数Ngearの時系列データを加工した特徴量を写像への入力変数としているが、歯車回転数Ngearの時系列データを入力変数としてもよい。たとえば、サンプリング値を入力変数とすることができる。
【0097】
・上記実施形態では、油温Toilの平均値を写像への入力変数としているが、これに限らない。たとえば、油温Toilの時系列データを入力変数としてもよい。
・写像データDMによって規定される写像への入力変数に、油温Toilを含めることは必須ではない。入力変数には、歯車回転数Ngearの時系列データが含まれていればよい。
【0098】
・写像データDMによって規定される写像への入力変数に、振動VBを含めてもよい。
・写像データDMによって規定される写像への入力変数に、音NZを含めてもよい。
・写像データDMによって規定される写像への入力変数に、積算走行距離ODを含めてもよい。積算走行距離ODに替えて、車両VCが始動している間の積算時間を用いることもできる。この構成によれば、変速装置26に異常が発生しているか否かを判定する際に、歯車等の経年変化を考慮することができる。
【0099】
・写像データDMによって規定される写像への入力変数に、ブレーキ圧PBを含めてもよい。この構成によれば、変速装置26に異常が発生しているか否かを判定する際に、車両VCが減速することによる振動、および車両VCの減速に伴う歯車回転数Ngearの変動等を考慮することができる。
【0100】
・写像データDMによって規定される写像への入力変数に、バックラッシを含めてもよい。
・写像データDMによって規定される写像への入力変数に、かみあい誤差を含めてもよい。この構成によれば、変速装置26に異常が発生しているか否かを判定する際に、歯形の誤差等が歯車回転数Ngearに与える影響を考慮することができる。
【0101】
・写像データDMによって規定される写像への入力変数に、歯車データDGに含まれる歯面の寸法の設計値等、歯車の各部の寸法を示す設計値を含めてもよい。
・写像データDMによって規定される写像への入力変数に、歯車によって伝達されるトルクの大きさを含めてもよい。
【0102】
「写像について」
・ニューラルネットワークとしては、全結合順伝播型ネットワークに限らない。たとえば、1次元の畳み込みニューラルネットワークを用いてもよい。もっとも、機械学習による学習済みモデルとしては、ニューラルネットワークに限らない。たとえば、サポートベクターマシンによる分類を用いて歯車の状態を判別してもよい。
【0103】
・S105の処理においては、中間層の層数が1層のニューラルネットワークを例示したが、これに限らず、中間層の層数が2層以上であってもよい。
・写像としては、出力変数y(0),y(1),y(2),y(3)の四つを出力変数とするものに限らない。時系列データを加工した特徴量に基づいて特定できる歯車の状態がさらにあれば、新たに状態変数として採用して写像の出力変数とすることができる。
【0104】
「写像データの選択について」
・上記第2の実施形態における図7の処理では、第1写像データDM(A1)~第3写像データDM(A3)を順に選択して、選択した写像データを用いて判定処理を実施した。複数の写像データのうち一つの写像データを選択する際には、第1写像データDM(A1)~第3写像データDM(A3)の順に写像データを選択することは必須ではない。たとえば、音センサ59によって検出される音NZの周波数が、うなり音の周波数のように高い場合には、最初に第3写像データDM(A3)を選択するようにしてもよい。これによって、少ない試行回数で歯車の異常を特定できる場合がある。
【0105】
このように、各種センサによって検出することができる検出値や、車両VCの状態量に応じて写像データを選択することもできる。以下、写像データを選択する構成を例示する。
【0106】
歯車が伝達するトルクが「0」に近い場合には第2写像データDM(A2)を最初に選択するようにしてもよい。トルクは、直流成分と交流成分とによって構成される。このため、トルクが「0」に近いときには、交流成分の影響によってトルクが「0」を跨いで脈動することがある。歯車が伝達するトルクが「0」を跨いで脈動すると、駆動歯車が時計回りに回転したり反時計回りに回転したりすることで、駆動歯車が被動歯車に打ち付けられやすくなる。すなわち、歯打ち音が発生しやすくなることがある。このような場合に第2写像データDM(A2)を最初に選択することで、少ない試行回数で歯車の異常を特定できる場合がある。歯車が伝達するトルクが「0」に近いか否かは、たとえば、駆動トルク指令値Trq*を参照することによって判定することができる。
【0107】
写像データを選択するための材料として油温Toilを採用してもよい。油温Toilは、オイルの粘度に影響する。オイルの粘度に応じて、オイルによって潤滑される歯車が、うなり音や歯打ち音が発生しやすい状態であるか否かを推定することができる。うなり音や歯打ち音が発生しやすい状態であると推定されるときには、第2写像データDM(A2)または第3写像データDM(A3)を選択することによって、少ない試行回数で歯車の異常を特定できる場合がある。
【0108】
写像データを選択するための材料として歯車データDGを採用してもよい。たとえばバックラッシが大きいと、バックラッシが小さい場合と比較して歯打ち音が発生しやすいと云える。歯車データDGを参照して写像データを選択することによって、少ない試行回数で歯車の異常を特定できる場合がある。
【0109】
写像データを選択するための材料として振動VBを採用してもよい。たとえば歯打ちが起きることに伴って変速装置26が振動することがある。振動VBを参照して写像データを選択することによって、少ない試行回数で歯車の異常を特定できる場合がある。
【0110】
・上記第2の実施形態では、第1写像データDM(A1)~第3写像データDM(A3)の三つの写像データを例示したが、二つの写像データを使い分けてもよいし、複数の写像データとして四つ以上の写像データを採用することもできる。
【0111】
「記憶処理について」
・上記実施形態では、判定結果を記憶する記憶装置を、写像データDMが記憶されている記憶装置と同一としたが、これに限らない。
【0112】
・出力変数の判定結果を記憶する記憶処理を実行する代わりに、車両VCの製造メーカやデータ解析センタ等に判定結果を送信する送信処理を実行してもよい。記憶処理と送信処理とを実行することもできる。
【0113】
「出力変数の用途について」
・上記実施形態では、修理工場に車両VCが持ち込まれた際の対応に、出力変数の算出結果を用いた。たとえば車両VCの製造メーカにおいて、歯打ち音が発生する動作点を特定できると、これを避けるように設計を行うことができる。同様に、うなり音が発生する動作点を特定できると、これを避けるように設計を行うことができる。
【0114】
「実行装置について」
・実行装置としては、CPU42とROM44とを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態においてソフトウェア処理されたものの少なくとも一部を、ハードウェア処理するたとえばASIC等の専用のハードウェア回路を備えてもよい。すなわち、実行装置は、以下の(a)~(c)のいずれかの構成であればよい。(a)上記処理のすべてを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶するROM等のプログラム格納装置とを備える。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える。(c)上記処理のすべてを実行する専用のハードウェア回路を備える。ここで、処理装置およびプログラム格納装置を備えたソフトウェア実行装置や、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。
【0115】
「車両について」
・上記実施形態では、内燃機関10、第1モータジェネレータ22および第2モータジェネレータ24を備えている車両VCを例示した。歯車によって動力を伝達する変速装置を備えている車両であれば、制御装置40を適用することができ、上記実施形態と同様に歯車の状態を判定することができる。
【符号の説明】
【0116】
10…内燃機関
22…第1モータジェネレータ
24…第2モータジェネレータ
26…変速装置
30…駆動輪
32…オイルポンプ
40…制御装置
42…CPU
44…ROM
46…記憶装置
50…クランク角センサ
52…第1回転角センサ
54…第2回転角センサ
56…油温センサ
57…車輪速センサ
58…振動センサ
59…音センサ
60…走行距離計
80…制動制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7