(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】管理システム、管理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B65G 61/00 20060101AFI20231108BHJP
【FI】
B65G61/00 540
B65G61/00 550
(21)【出願番号】P 2020141499
(22)【出願日】2020-08-25
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】岩本 国大
(72)【発明者】
【氏名】糸澤 祐太
(72)【発明者】
【氏名】古村 博隆
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-090152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配達先に荷物を配達する自律移動ロボットによる配達を管理する管理システムであって、
前記配達先の周辺における、前記自律移動ロボットの配達の障害となる環境についての情報である環境情報を取得する環境情報取得部と、
前記自律移動ロボットによる前記配達先への前記荷物の配達を行うか否か
を判定する配達判定部と
を有
し、
前記環境情報は、配達のための前記自律移動ロボットの移動の障害となる環境についての情報であって、前記配達先の周辺における地面に放置された廃棄物の有無を示す情報であり、
前記環境情報取得部は、前記廃棄物の前記地面からの回収スケジュールをさらに取得し、
前記配達判定部は、前記回収スケジュールと、前記荷物の配達スケジュールとに基づいて、前記配達先への前記荷物の配達を行うか否かを判定する
管理システム。
【請求項2】
配達先に荷物を配達する自律移動ロボットによる配達を管理する管理システムであって、
前記配達先の周辺における、前記自律移動ロボットの配達の障害となる環境についての情報である環境情報を取得する環境情報取得部と、
前記自律移動ロボットによる前記配達先への前記荷物の配達を行うか否かを前記環境情報に基づいて判定する配達判定部と
を有し、
前記配達先は、前記荷物を受け取るための収容器であり、
前記環境情報取得部は、前記環境情報として、前記自律移動ロボットによる前記収容器への前記荷物の収容の障害となる環境についての情報を取得する
管理システム。
【請求項3】
前記自律移動ロボットによる前記収容器への前記荷物の収容の障害となる環境についての情報は、前記収容器の位置または前記収容器の容量を表わす情報である
請求項2に記載の管理システム。
【請求項4】
配達先に荷物を配達する自律移動ロボットによる配達を管理する管理システムであって、
前記配達先の周辺における、前記自律移動ロボットの配達の障害となる環境についての情報である環境情報を取得する環境情報取得部と、
前記自律移動ロボットによる前記配達先への前記荷物の配達を行うか否かを前記自律移動ロボットの性能と前記環境情報とに基づいて判定する配達判定部と
を有する管理システム。
【請求項5】
配達先に荷物を配達する自律移動ロボットによる配達を情報処理装置が管理する管理方法であって、
前記配達先の周辺における、前記自律移動ロボットの配達の障害となる環境についての情報である環境情報を取得し、前記環境情報は、配達のための前記自律移動ロボットの移動の障害となる環境についての情報であって、前記配達先の周辺における地面に放置された廃棄物の有無を示す情報であり、
前記廃棄物の前記地面からの回収スケジュールをさらに取得し、
前記自律移動ロボットによる前記配達先への前記荷物の配達を行うか否かを前記回収スケジュールと、前記荷物の配達スケジュールとに基づいて判定する
管理方法。
【請求項6】
配達先に荷物を配達する自律移動ロボットによる配達を情報処理装置が管理する管理方法であって、
前記配達先の周辺における、前記自律移動ロボットの配達の障害となる環境についての情報である環境情報を取得し、
前記自律移動ロボットによる前記配達先への前記荷物の配達を行うか否かを前記環境情報に基づいて判定し、
前記配達先は、前記荷物を受け取るための収容器であり、
前記環境情報として、前記自律移動ロボットによる前記収容器への前記荷物の収容の障害となる環境についての情報を取得する
管理方法。
【請求項7】
配達先に荷物を配達する自律移動ロボットによる配達を情報処理装置が管理する管理方法であって、
前記配達先の周辺における、前記自律移動ロボットの配達の障害となる環境についての情報である環境情報を取得し、
前記自律移動ロボットによる前記配達先への前記荷物の配達を行うか否かを前記自律移動ロボットの性能と前記環境情報とに基づいて判定する
管理方法。
【請求項8】
配達先に荷物を配達する自律移動ロボットによる配達を管理するコンピュータに、
前記配達先の周辺における、前記自律移動ロボットの配達の障害となる環境についての情報である環境情報を取得する環境情報取得ステップと、
前記自律移動ロボットによる前記配達先への前記荷物の配達を行うか否かを判定する配達判定ステップと
を実行させ、
前記環境情報は、配達のための前記自律移動ロボットの移動の障害となる環境についての情報であって、前記配達先の周辺における地面に放置された廃棄物の有無を示す情報であり、
前記環境情報取得ステップでは、前記廃棄物の前記地面からの回収スケジュールをさらに取得し、
前記配達判定ステップでは、前記回収スケジュールと、前記荷物の配達スケジュールとに基づいて、前記配達先への前記荷物の配達を行うか否かを判定する
プログラム。
【請求項9】
配達先に荷物を配達する自律移動ロボットによる配達を管理するコンピュータに、
前記配達先の周辺における、前記自律移動ロボットの配達の障害となる環境についての情報である環境情報を取得する環境情報取得ステップと、
前記自律移動ロボットによる前記配達先への前記荷物の配達を行うか否かを前記環境情報に基づいて判定する配達判定ステップと
を実行させ、
前記配達先は、前記荷物を受け取るための収容器であり、
前記環境情報取得ステップでは、前記環境情報として、前記自律移動ロボットによる前記収容器への前記荷物の収容の障害となる環境についての情報を取得する
プログラム。
【請求項10】
配達先に荷物を配達する自律移動ロボットによる配達を管理するコンピュータに、
前記配達先の周辺における、前記自律移動ロボットの配達の障害となる環境についての情報である環境情報を取得する環境情報取得ステップと、
前記自律移動ロボットによる前記配達先への前記荷物の配達を行うか否かを
前記自律移動ロボットの性能と前記環境情報
とに基づいて判定する配達判定ステップと
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は管理システム、管理方法、及びプログラムに関し、特に配達のための管理に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住居などへの荷物の配達の需要が増加している。このため、配達を管理するシステムが求められている。これに関して、例えば、特許文献1は、道路データ、建物データ、及び敷地データを格納する地図データベースを用いて、配達ルートを生成するシステムについて開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたシステムでは、人間が配達を行うことを想定している。すなわち、自律移動ロボットが配達を行うことを想定していない。自律移動ロボットにより配達を行う場合、配達に成功するか否かは、配達先の環境に依存する。例えば、配達先に到達するまでの移動が困難な環境であれば、自律移動ロボットは配達に失敗するかもしれない。
【0005】
本開示は、上記した事情を背景としてなされたものであり、自律移動ロボットによる配達の失敗の発生を低減することができる管理システム、管理方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本開示の一態様は、配達先に荷物を配達する自律移動ロボットによる配達を管理する管理システムであって、前記配達先の周辺における、前記自律移動ロボットの配達の障害となる環境についての情報である環境情報を取得する環境情報取得部と、前記自律移動ロボットによる前記配達先への前記荷物の配達を行うか否かを前記環境情報に基づいて判定する配達判定部とを有する管理システムである。
この管理システムによれば、自律移動ロボットの配達の障害となる環境についての情報に基づいて、自律移動ロボットによる配達を行うか否かが判定される。このため、自律移動ロボットによる配達が困難である配達先への配達を抑制できるため、自律移動ロボットによる配達の失敗の発生を低減することができる。
【0007】
上記の一態様において、前記環境情報取得部は、前記環境情報として、配達のための前記自律移動ロボットの移動の障害となる環境についての情報を取得してもよい。
このようにすることで、自律移動ロボットの移動の障害となる環境についての情報に基づいて、自律移動ロボットによる配達を行うか否かが判定される。このため、移動が困難であることに起因した配達の失敗の発生を抑制することができる。
【0008】
上記の一態様において、前記配達のための前記自律移動ロボットの移動の障害となる環境についての情報は、前記配達先の周辺における地面の特徴を表わす情報であってもよい。
このようにすることで、地面の移動が困難であることに起因した配達の失敗の発生を抑制することができる。
【0009】
上記の一態様において、前記地面の特徴を表わす情報は、前記地面に放置された廃棄物の有無を示す情報であり、前記環境情報取得部は、前記廃棄物の前記地面からの回収スケジュールをさらに取得し、前記配達判定部は、前記回収スケジュールと、前記荷物の配達スケジュールとに基づいて、前記配達先への前記荷物の配達を行うか否かを判定してもよい。
このような管理システムによれば、地面に放置された廃棄物が配達時点においても、いまだ放置されたままであるか否かを確認した上で、配達の可否が判定される。すなわち、この廃棄物により実際に移動が妨げられるかを考慮して、配達の可否が判定される。このため、より適切に、配達の失敗の発生を抑制することができる。
【0010】
上記の一態様において、前記配達のための前記自律移動ロボットの移動の障害となる環境についての情報は、気象情報であってもよい。
このようにすることで、気象条件に起因した配達の失敗の発生を抑制することができる。
【0011】
上記の一態様において、前記配達先は、前記荷物を受け取るための収容器であり、前記環境情報取得部は、前記環境情報として、前記自律移動ロボットによる前記収容器への前記荷物の収容の障害となる環境についての情報を取得してもよい。
このような管理システムによれば、自律移動ロボットによる収容器への荷物の収容の障害となる環境についての情報に基づいて、自律移動ロボットによる配達を行うか否かが判定される。このため、収容作業が困難であることに起因した配達の失敗の発生を抑制することができる。
【0012】
上記の一態様において、前記自律移動ロボットによる前記収容器への前記荷物の収容の障害となる環境についての情報は、前記収容器の位置または前記収容器の容量を表わす情報であってもよい。
このようにすることで、収容器の位置または容量に起因して収容ができないことによる配達の失敗の発生を抑制することができる。
【0013】
上記の一態様において、前記配達判定部は、前記自律移動ロボットの性能と前記環境情報とに基づいて、前記自律移動ロボットによる前記配達先への前記荷物の配達を行うか否かを判定してもよい。
このようにすることで、自律移動ロボットの性能に応じて、自律移動ロボットによる配達を行うか否かが判定される。このため、より正確に、自律移動ロボットによる配達の失敗の発生を低減することができる。
【0014】
上記目的を達成するための本開示の他の一態様は、配達先に荷物を配達する自律移動ロボットによる配達を情報処理装置が管理する管理方法であって、前記配達先の周辺における、前記自律移動ロボットの配達の障害となる環境についての情報である環境情報を取得し、前記自律移動ロボットによる前記配達先への前記荷物の配達を行うか否かを前記環境情報に基づいて判定する管理方法である。
この管理方法によれば、自律移動ロボットの配達の障害となる環境についての情報に基づいて、自律移動ロボットによる配達を行うか否かが判定される。このため、自律移動ロボットによる配達が困難である配達先への配達を抑制できるため、自律移動ロボットによる配達の失敗の発生を低減することができる。
【0015】
上記目的を達成するための本開示の他の一態様は、配達先に荷物を配達する自律移動ロボットによる配達を管理するコンピュータに、前記配達先の周辺における、前記自律移動ロボットの配達の障害となる環境についての情報である環境情報を取得する環境情報取得ステップと、前記自律移動ロボットによる前記配達先への前記荷物の配達を行うか否かを前記環境情報に基づいて判定する配達判定ステップとを実行させるプログラムである。
このプログラムによれば、自律移動ロボットの配達の障害となる環境についての情報に基づいて、自律移動ロボットによる配達を行うか否かが判定される。このため、自律移動ロボットによる配達が困難である配達先への配達を抑制できるため、自律移動ロボットによる配達の失敗の発生を低減することができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、自律移動ロボットによる配達の失敗の発生を低減することができる管理システム、管理方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施の形態にかかる配達システムのシステム構成の一例を示す模式図である。
【
図2】実施の形態にかかる管理装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】実施の形態にかかる管理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】実施の形態にかかる管理装置による判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図4で示したステップS200の処理の詳細の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、実施の形態にかかる配達システム1のシステム構成の一例を示す模式図である。配達システム1は、管理装置10とセンサ20と自律移動ロボット30とを含む。なお、配達システム1は、自律移動ロボット30による配達を管理するシステムであり、管理システムとも称される。配達システム1において、管理装置10は、センサ20と通信可能に接続されている。また、管理装置10は、必要に応じて、自律移動ロボット30とも通信可能に接続されている。
【0019】
自律移動ロボット30は、配達先に荷物を配達するロボットであり、自律的に移動する。配達システム1は、例えば、性能の異なる複数のタイプの自律移動ロボット30を有する。自律移動ロボット30は、例えば、地面を走行することにより自律的に移動するロボットであるが、空中を飛行することにより自律的に移動するロボットであってもよい。また、地面を走行するタイプの自律移動ロボット30は、車輪を駆動することにより移動するロボットであってもよいし、クローラー(無限軌道)を駆動することにより移動するロボットであってもよい。このように、配達システム1は、移動性能が異なる複数のタイプの自律移動ロボット30を備えてもよい。なお、移動性能の違いは、自律移動ロボット30の構成の違いに起因しており、具体的な構成の違いは限定されない。例えば、移動性能の違いは、移動原理の違い(例えば、車輪による移動であるか、クローラによる移動であるか、飛行による移動であるかなど)に起因してもよいし、サイズ(例えば、車輪またはクローラなどの駆動部分のサイズなど)の違いに起因してもよいし、素材(例えば、耐水性を備えた素材であるかなど)の違いに起因してもよい。このような自律移動ロボット30の移動性能の違いによって、移動可能な環境は異なる。例えば、あるタイプの自律移動ロボット30は、地面に段差がある場合には移動できないのに対し、別のタイプの自律移動ロボット30は、所定の高さ以下の段差であれば、地面に段差があっても移動できる。また、例えば、あるタイプの自律移動ロボット30は、水たまりの上を走行可能であってもよいし、砂利の上を走行可能であってもよい。
【0020】
また、配達システム1は、荷物の受け渡し性能の異なる複数のタイプの自律移動ロボット30を備えてもよい。例えば、配達先が、宅配ボックスやポストなどの荷物を受け取るための収容器である場合、収容器の設置されている高さに自律移動ロボット30がアクセスできない場合には、荷物を配達先に受け渡すことができない。このように、荷物の受け渡し性能の違いは、例えば、自律移動ロボット30の構造に応じたアクセス可能な範囲の違いに起因するが、他の要因により荷物の受け渡し性能に差が生じていてもよい。
【0021】
自律移動ロボット30は、例えば、小型のロボットであってもよい。そして、自律移動ロボット30は、自律移動ロボット30を搬送する大型の搬送装置(例えば、車両)により、配達先の最寄りまで搬送されてもよい。例えば、大型の搬送装置は、自動車が通行可能な道路を走行し、配達先の最寄りの所定の地点まで、自律移動ロボット30を搬送する。自律移動ロボット30は、その地点から、配達先まで自律的に移動し、配達先において人もしくは住居内のロボット、または収容器などに荷物を受け渡すことにより配達を行う。
【0022】
自律移動ロボット30が配達に成功するには、自律移動ロボット30の性能が、配達先の環境が要求する基準を満たす必要がある。この基準を満たさない自律移動ロボット30を利用して、荷物の配達を実行した場合、荷物の配達に失敗することとなる。したがって、本実施の形態では、センサ20を用いて予め配達先の環境情報を取得しておくことにより、そのような失敗を抑制する。
【0023】
センサ20は、配達先の周辺をセンシングするセンサであり、配達先の周辺における環境情報を検出する。なお、配達先の周辺は、具体的には例えば、配達先の最寄りの所定の地点(例えば、配達先の最寄りの車道)から配達先(例えば、指定された人物の住居の玄関または収容器など)までの自律移動ロボット30の動線を含む空間である。ここで、環境情報とは、自律移動ロボット30の配達の障害となる環境についての情報である。具体的には、例えば、配達のための自律移動ロボット30の移動の障害となる環境についての情報(以下、移動環境情報と称す)でもよいし、自律移動ロボット30による収容器への荷物の収容の障害となる環境についての情報(以下、収容環境情報と称す)であってもよい。
【0024】
移動環境情報は、例えば、配達先の周辺における地面の特徴を表わす情報である。地面の特徴を表す情報は、例えば、コンクリート、芝生、砂利などといった地面の種類を表す情報であってもよいし、地面に存在する段差の高さを表す情報であってもよいし、配達先の周辺の気象によりもたらされる地面の状態(例えば凍結、積雪、水たまり)を表す情報であってもよいし、地面に放置された廃棄物の有無を示す情報であってもよい。また、移動環境情報は、移動の障害となる気象情報(例えば、風速、天気、気温など)であってもよい。なお、これらは、移動環境情報の例に過ぎず、自律移動ロボット30の移動を妨害する他の情報が移動環境情報として検出されてもよい。
【0025】
また、収容環境情報は、例えば、宅配ボックスやポストなどの収容器の高さなどの位置を表す情報であってもよいし、収容器の容量を表わす情報であってもよい。例えば、上述の通り、収容器の設置高さによっては、自律移動ロボット30が収容器にアクセスできない場合がある。このため、収容器の位置を表す情報が検出されてもよい。また、収容器の容量によっては、荷物を収容することができない場合がある。このため、収容器の容量、すなわち、収容器の大きさを表す情報が検出されてもよい。なお、これらは、収容環境情報の例に過ぎず、自律移動ロボット30による収容器への収容を妨害する他の情報が収容環境情報として検出されてもよい。
【0026】
センサ20は、配達が行われるエリアに点在して固定的に設置されていてもよいし、環境情報を検出するための自律移動ロボットに搭載されていてもよいし、荷物を配達する自律移動ロボット30に搭載されていてもよい。センサ20は、検出した環境情報を管理装置10に送信する。
【0027】
センサ20は、具体的には、公知の任意のセンサを用いることができる。例えば、センサ20は、配達先の周辺を撮影し、移動環境情報または収容環境情報を含む画像を取得するカメラ(画像センサ)であってもよい。また、センサ20は、カメラに限らず、検出すべき環境情報の種類に応じた公知のセンサであってもよい。例えば、地面の特徴を検出するためにミリ波レーダーなどのセンサがセンサ20として用いられてもよいし、地面を走行するロボットなどに搭載された加速度センサがセンサ20として用いられてもよいし、地面を走行するロボットの走行時のスリップ量を検出するセンサがセンサ20として用いられてもよい。また、センサ20は、気象を検出するための風速計、温度計などの気象センサであってもよい。
【0028】
次に、管理装置10について説明する。
図2は、管理装置10の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、管理装置10は、環境情報取得部101と、性能記憶部102と、配達判定部103とを有する。
【0029】
環境情報取得部101は、配達先の周辺における、自律移動ロボット30の配達の障害となる環境についての情報、すなわち上述の環境情報を取得する。環境情報取得部101は、上述したセンサ20から環境情報を受信することにより取得してもよいし、環境情報を管理する他の装置から当該環境情報を受信することにより取得してもよいし、ユーザが入力した環境情報を取得してもよい。なお、ユーザは、環境情報として、自律移動ロボット30の移動を禁止するエリア(例えば、敷地内において走行を禁止するエリア)を指定する情報を入力してもよい。
【0030】
なお、環境情報取得部101は、センサ20などから受信した情報に対して解析処理を行うことにより、環境情報を取得してもよい。例えば、センサ20から受信した画像に対して、公知の画像認識処理を行うことにより、地面の特徴もしくは状態、地面に放置された廃棄物の有無、収容器の位置もしくは容量などを解析してもよい。
【0031】
環境情報取得部101は、取得した環境情報を配達が行われるエリアの地図データに反映させる。すなわち、取得した環境情報が、地図上のどの地点(どの配達先)における環境情報であるかを特定する。環境情報取得部101は、環境情報とともに当該環境情報についての地点の位置情報を取得した場合には、当該位置情報を用いて、当該環境情報を地図上の地点と関連づける。例えば、自律移動ロボットに搭載されたセンサ20が環境情報を検出する場合には、当該自律移動ロボットは当該環境情報の検出位置を管理装置10に送信する。これにより、環境情報取得部101は、環境情報とともに当該環境情報の検出地点についての位置情報を取得してもよい。また、例えば、ユーザまたは他の装置から、環境情報とともに、どの地点に対する環境情報であるかを示す情報を取得してもよい。また、設置位置が固定されたセンサ20に対しては、環境情報取得部101は、予め特定されている当該センサの設置位置情報に基づいて、地図上のどの地点(どの配達先)における環境情報であるかを特定してもよい。
【0032】
環境情報取得部101は、さらに、他の情報を取得してもよい。例えば、環境情報取得部101は、放置された廃棄物の回収スケジュールを取得してもよい。例えば、環境情報取得部101は、清掃事業者の管理サーバなどから回収スケジュールを取得する。
【0033】
性能記憶部102は、配達を行う自律移動ロボット30それぞれの性能情報(スペック)を記憶している。この性能情報は、移動性能及び荷物の受け渡し性能についての情報を含む。なお、後述する配達判定部103において、移動性能のみを参照して自律移動ロボット30による配達の可否を判定する場合には、性能記憶部102は移動性能のみを記憶していてもよい。また、同様に、配達判定部103において、荷物の受け渡し性能のみを参照して自律移動ロボット30による配達の可否を判定する場合には、性能記憶部102は荷物の受け渡し性能のみを記憶していてもよい。
【0034】
配達判定部103は、自律移動ロボット30による配達先への荷物の配達を行うか否かを環境情報取得部101が取得した環境情報に基づいて判定する。例えば、配達判定部103は、荷物の配達先が指定されると、環境情報が反映された地図を参照し、当該配達先に荷物を配達するために必要な性能を特定する。そして、配達判定部103は、性能記憶部102を参照し、必要とされる性能を有する自律移動ロボット30があるかないかを判定する。これにより、配達判定部103は、自律移動ロボット30による配達先への荷物の配達を行うか否かを判定する。このように、配達判定部103は、自律移動ロボット30の性能と環境情報とに基づいて、自律移動ロボット30による配達先への荷物の配達を行うか否かを判定してもよい。このようにすることで、自律移動ロボット30の性能に応じて、自律移動ロボット30による配達を行うか否かが判定される。このため、より正確に、自律移動ロボット30による配達の失敗の発生を低減することができる。
【0035】
例えば、配達先への移動経路上に段差がある場合には、当該段差を走行できる移動性能を備えた自律移動ロボット30があれば、配達判定部103は、当該自律移動ロボット30による配達が可能であると判定する。これに対し、当該段差を走行できる移動性能を備える自律移動ロボット30がなければ、配達判定部103は、自律移動ロボット30による配達が不可能であると判定する。この場合、配達判定部103は、例えば、配達員(人間)により配達を実施することを決定する。なお、ここでは、段差を例に説明したが、環境情報が他の地面の特徴を示す場合についても、同様に、配達判定部103は判定を行う。また、上述した例では、地上を走行する自律移動ロボット30の移動性能を例にして説明したが、配達判定部103は、飛行する自律移動ロボット30対しても、同様に判定を行うことができる。例えば、配達判定部103は、環境情報が風速を示す場合には、示された風速の風が吹いている環境でも飛行可能な自律移動ロボット30があるか否かにより、自律移動ロボット30による配達の可否を判定する。
【0036】
また、環境情報が荷物の受け渡し性能を要求する場合であっても同様である。例えば、配達先が宅配ボックスなどの荷物を受け取るための収容器であり、環境情報が当該収容器の高さを示す場合、配達判定部103は、その高さにアクセス可能な自律移動ロボット30があるか否かを判定することにより、自律移動ロボット30による配達の可否を判定する。また、例えば、配達先が収容器であり、環境情報が当該収容器の容量を示す場合、配達判定部103は、配達対象の荷物の大きさが当該収容器に入るか否かを判定することにより、自律移動ロボット30による配達の可否を判定する。このようにすることで、収容器の位置または容量に起因して収容ができないことによる配達の失敗の発生を抑制することができる。
【0037】
特に、環境情報が、移動の妨げとなる廃棄物が地面に放置されていることを示す場合、配達判定部103は、当該廃棄物の回収スケジュールと、荷物の配達スケジュールとに基づいて、配達先への荷物の配達を自律移動ロボット30が行うか否かを判定してもよい。荷物の配達予定日時が、廃棄物の回収予定日時の前であるか後であるかによって、当該荷物の配達に要求される自律移動ロボット30の性能は異なる。したがって、配達判定部103は、荷物の配達予定日時が、廃棄物の回収予定日時の前である場合には、当該廃棄物があっても配達先に到達可能な移動性能を有する自律移動ロボット30が存在するか否により、自律移動ロボット30による配達の可否を判定する。これに対して、配達判定部103は、荷物の配達予定日時が、廃棄物の回収予定日時の後である場合には、当該廃棄物は存在しないものとして、配達先に到達可能な移動性能を特定する。そして、配達判定部103は、特定された移動性能を有する自律移動ロボット30が存在するか否により、自律移動ロボット30による配達の可否を判定する。このようにすることで、地面に放置された廃棄物が配達時点においても、いまだ放置されたままであるか否かを確認した上で、配達の可否が判定される。すなわち、この廃棄物により実際に移動が妨げられるかを考慮して、配達の可否が判定される。このため、より適切に、配達の失敗の発生を抑制することができる。
【0038】
以上、管理装置10の機能について説明した。管理装置10の上述した機能は、一例に過ぎず、上述した機能の一部が省略されてもよいし、他の機能が追加されてもよい。例えば、配達判定部103は、環境情報が所定の基準以上の性能を要求する場合には、配達対象の荷物が所定の性質(例えば高価)を有するか否かにより、自律移動ロボット30による配達の可否を判定してもよい。例えば、段差がある場合には、高価な荷物は自律移動ロボット30に配達させないなどの判定が行われてもよい。また、環境情報が反映された地図データに基づいて、走行環境が所定の条件を満たすルートを生成する機能を有してもよい。例えば、車椅子を利用する人でも通ることが可能なルートの生成機能を有してもよい。
【0039】
次に、管理装置10のハードウェア構成の一例について説明する。
図3は、管理装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、管理装置10は、ネットワークインタフェース150、メモリ151、及びプロセッサ152を含む。ネットワークインタフェース150、メモリ151、及びプロセッサ152は、データバスなどを介して相互に接続されている。
【0040】
ネットワークインタフェース150は、センサ20などの他の任意の装置と通信するために使用される。ネットワークインタフェース150は、例えば、ネットワークインタフェースカード(NIC)を含んでもよい。
【0041】
メモリ151は、例えば、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。メモリ151は、プロセッサ152により実行される、1以上の命令を含むソフトウェア(コンピュータプログラム)、及び管理装置10の各種処理に用いるデータなどを格納するために使用される。上述した性能記憶部102は、メモリ151により実現されてもよい。
【0042】
プロセッサ152は、メモリ151からソフトウェア(コンピュータプログラム)を読み出して実行することで、上述した管理装置10の処理を行う。
【0043】
プロセッサ152は、マイクロプロセッサ、MPU(Micro Processor Unit)、又はCPU(Central Processing Unit)などであってもよい。プロセッサ152は、複数のプロセッサを含んでもよい。
このように、管理装置10は、コンピュータとして機能する装置であり、情報処理装置とも称される。
【0044】
なお、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0045】
次に、管理装置10による判定処理の流れについて説明する。
図4は、管理装置10による判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。以下、フローチャートを参照しつつ、処理の流れについて説明する。
【0046】
ステップS100において、環境情報取得部101が、センサ20などを介して、環境情報を取得する。なお、環境情報取得部101は、上述した通り、さらに、回収スケジュールを取得してもよい。
【0047】
次に、ステップS200において、配達判定部103は、ステップS100において取得した情報に基づいて、指定された配達先に対して、自律移動ロボット30による荷物の配達を行うか否かを判定する。
【0048】
図5は、
図4で示したステップS200の処理の詳細の一例を示すフローチャートである。以下、
図5を参照しつつ、ステップS200の処理の一例を説明する。
【0049】
ステップS201において、配達判定部103は、配達先に関する環境情報に基づいて、当該配達先に荷物を配達するために必要な自律移動ロボット30の性能を特定する。なお、環境情報が移動経路上の廃棄物の存在を示す場合には、配達判定部103は、当該廃棄物の回収スケジュールを参照して、配達に必要な性能を特定してもよい。
【0050】
次に、ステップS202において、配達判定部103は、性能記憶部102を参照し、ステップS201で特定された性能を備えた自律移動ロボット30があるか否かを判定する。必要とされる性能を備えた自律移動ロボット30がある場合には、処理はステップS203へ移行する。これに対して、そのような性能を備えた自律移動ロボット30がない場合には、処理はステップS204へ移行する。
【0051】
ステップS203において、配達判定部103は、必要とされる性能を備えた自律移動ロボット30による配達の実施を決定する。なお、配達判定部103は、必要とされる性能を備えた自律移動ロボット30が複数存在する場合には、それらのうち、必要最低限の性能を備えた自律移動ロボット30により配達を実施することを決定してもよい。
【0052】
これに対し、ステップS204では、配達判定部103は、自律移動ロボット30による配達はできないと判定し、配達員による配達の実施を決定する。
【0053】
以上、実施の形態について説明した。本実施の形態では、自律移動ロボット30の配達の障害となる環境についての情報である環境情報に基づいて、自律移動ロボット30による配達を行うか否かが判定される。このため、自律移動ロボット30による配達が困難である配達先への配達を抑制できるため、自律移動ロボット30による配達の失敗の発生を低減することができる。また、この環境情報は、上述した移動環境情報であってもよいし、上述した収容環境情報でもよい。このため、移動または収容作業が困難であることに起因した配達の失敗の発生を抑制することができる。例えば、環境情報が地面の特徴を表わす情報である場合、地面の移動が困難であることに起因した配達の失敗の発生を抑制することができる。また、例えば、環境情報が気象情報を含む場合、気象条件に起因した配達の失敗の発生を抑制することができる。
【0054】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 配達システム
10 管理装置
20 センサ
30 自律移動ロボット
101 環境情報取得部
102 性能記憶部
103 配達判定部
150 ネットワークインタフェース
151 メモリ
152 プロセッサ