(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】走行制御装置および走行制御方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20231108BHJP
B60W 30/00 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B60W30/00
(21)【出願番号】P 2020145830
(22)【出願日】2020-08-31
【審査請求日】2022-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100122116
【氏名又は名称】井上 浩二
(72)【発明者】
【氏名】賀集 隆郎
(72)【発明者】
【氏名】寺前 康隆
(72)【発明者】
【氏名】加藤 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】増谷 亮
(72)【発明者】
【氏名】魏 一
【審査官】西畑 智道
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-126024(JP,A)
【文献】特開2019-207190(JP,A)
【文献】特開2020-100247(JP,A)
【文献】特開2020-101745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
B60W 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が走行している複数の車線を有する第1車線区間において、前記車両が走行している現在車線を特定する第1特定部と、
前記車両の現在位置から所定距離以内の前方に、前記第1車線区間と、前記第1車線区間が有する車線の数より少ない複数の車線を有する第2車線区間とに挟まれた、車線を有しない無車線区間を検出する無車線区間検出部と、
前記第2車線区間が有する複数の車線のうち、前記現在車線の終点からの距離が最短となる始点を有する車線を特定する第2特定部と、
前記無車線区間における経路として、前記現在車線の終点と前記第2車線区間において特定された車線の始点とを接続する経路を優先して選択する選択部と、
を備える走行制御装置。
【請求項2】
前記選択部は、前記第1車線区間において前記現在車線に隣接する2つの車線のうち、前記第2車線区間において特定された車線に合流する車線を他車両が走行しており、かつ、前記2つの車線のうち他方の車線を他車両が走行していない場合、前記現在車線の終点と前記第2車線区間において特定された車線の始点とを接続する経路に代えて、前記現在車線の終点と前記第2車線区間において特定された車線に隣接する車線のうち前記第1車線区間において前記他車両が走行している車線が合流しない車線とを接続する経路を選択する、請求項1に記載の走行制御装置。
【請求項3】
前記無車線区間が検出されてから前記車両が前記無車線区間に到達するまでに、前記車両の運転者に対してステアリングホイールの保持要求を通知する通知部をさらに備える、請求項1または2に記載の走行制御装置。
【請求項4】
前記無車線区間を走行中における前記ステアリングホイールへの操作に対する反力を、前記無車線区間でない区間を走行中における前記反力よりも減少させる操舵制御部をさらに備える、請求項3に記載の走行制御装置。
【請求項5】
車両が走行している複数の車線を有する第1車線区間において、前記車両が走行している現在車線を特定し、
前記車両の現在位置から所定距離以内の前方に、前記第1車線区間と、前記第1車線区間が有する車線の数より少ない複数の車線を有する第2車線区間とに挟まれた、車線を有しない無車線区間を検出し、
前記第2車線区間が有する複数の車線のうち、前記現在車線の終点からの距離が最短となる始点を有する車線を特定し、
前記無車線区間における経路として、前記現在車線の終点と前記第2車線区間において特定された車線の始点とを接続する経路を優先して選択する、
ことを含む走行制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行を自動的に制御する走行制御装置および走行制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されたカメラにより生成された周辺画像に基づいて車両の走行を自動的に制御する走行制御装置が知られている。走行制御装置は、周辺画像から車線区画線を検出し、車線区画線によって区画される車線を走行するように車両の走行を制御する。
【0003】
特許文献1には、車線区画線が検出されない区間(無車線区間)であっても運転支援を行う運転支援装置が記載されている。特許文献1に記載の運転支援装置は、高速道路の料金所の前後といった無車線区間において、自車位置から料金所の位置を経て目標レーンの位置に至る予定走行路を走行するように車両を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
無車線区間の後に走行する目標レーンを、最も左の車線といった予め定められた基準に従って選択する場合、走行制御装置は、運転者の想定しない経路による走行制御を行うことがある。
【0006】
本発明は、無車線区間で運転者にとって違和感のない経路を選択可能な走行制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる走行制御装置は、車両が走行している複数の車線を有する第1車線区間において、車両が走行している現在車線を特定する第1特定部と、車両の現在位置から所定距離以内の前方に、第1車線区間と、第1車線区間が有する車線の数より少ない複数の車線を有する第2車線区間とに挟まれた、車線を有しない無車線区間を検出する無車線区間検出部と、第2車線区間が有する複数の車線のうち、現在車線の終点からの距離が最短となる始点を有する車線を特定する第2特定部と、無車線区間における経路として、現在車線の終点と第2車線区間において特定された車線の始点とを接続する経路を優先して選択する選択部と、を備える。
【0008】
本発明にかかる走行制御装置において、選択部は、第1車線区間において現在車線に隣接する2つの車線のうち、第2車線区間において特定された車線に合流する車線を他車両が走行しており、かつ、2つの車線のうち他方の車線を他車両が走行していない場合、現在車線の終点と第2車線区間において特定された車線の始点とを接続する経路に代えて、現在車線の終点と第2車線区間において特定された車線に隣接する車線のうち第1車線区間において他車両が走行している車線が合流しない車線とを接続する経路を選択することが好ましい。
【0009】
本発明にかかる走行制御装置は、無車線区間が検出されてから車両が無車線区間に到達するまでに、車両の運転者に対してステアリングホイールの保持要求を通知する通知部をさらに備えることが好ましい。
【0010】
本発明にかかる走行制御装置は、無車線区間を走行中におけるステアリングホイールへの操作に対する反力を、無車線区間でない区間を走行中における反力よりも減少させる操舵制御部をさらに備えることが好ましい。
【0011】
本発明にかかる走行制御方法は、車両が走行している複数の車線を有する第1車線区間において、車両が走行している現在車線を特定し、車両の現在位置から所定距離以内の前方に、第1車線区間と、第1車線区間が有する車線の数より少ない複数の車線を有する第2車線区間とに挟まれた、車線を有しない無車線区間を検出し、第2車線区間が有する複数の車線のうち、現在車線の終点からの距離が最短となる始点を有する車線を特定し、無車線区間における経路として、現在車線の終点と第2車線区間において特定された車線の始点とを接続する経路を優先して選択する、ことを含む。
【0012】
本発明にかかる走行制御装置によれば、無車線区間の前後での運転者が想定しない車線変更を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】走行制御装置が実装される車両の概略構成図である。
【
図3】走行制御装置が有するプロセッサの機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、無車線区間の前後での運転者が想定しない車線変更を減少させることができる走行制御装置について詳細に説明する。走行制御装置は、車両が走行している複数の車線を有する第1車線区間において、車両が走行している現在車線を特定する。走行制御装置は、車両の現在位置から所定距離以内の前方に、第1車線区間と、第1車線区間が有する車線の数より少ない複数の車線を有する第2車線区間とに挟まれた、車線を有しない無車線区間を検出する。さらに、走行制御装置は、第2車線区間が有する複数の車線のうち、現在車線の終点からの距離が最短となる始点を有する車線を特定する。そして、走行制御装置は、無車線区間における経路として、現在車線の終点と第2車線区間において特定された車線の始点とを接続する経路を優先して選択する。
【0015】
図1は、走行制御装置が実装される車両の概略構成図である。
【0016】
車両1は、カメラ2と、ステアリングホイール3と、メーターディスプレイ4と、GNSS受信機5と、ストレージ装置6と、走行制御装置7とを有する。カメラ2、ステアリングホイール3、メーターディスプレイ4、GNSS受信機5およびストレージ装置6と、走行制御装置7とは、コントローラエリアネットワークといった規格に準拠した車内ネットワークを介して通信可能に接続される。
【0017】
カメラ2は、車両近傍の状況を検出するためのセンサの一例である。カメラ2は、CCDあるいはC-MOSなど、赤外光に感度を有する光電変換素子のアレイで構成された2次元検出器と、その2次元検出器上の撮影対象となる領域の像を結像する結像光学系とを有する。カメラ2は、例えば車室内の前方上部に、前方を向けて配置され、所定の撮影周期(例えば1/30秒~1/10秒)ごとにフロントガラスを介して車両1の周辺の状況を撮影し、周辺の状況に対応した画像を出力する。
【0018】
ステアリングホイール3は、運転操作受付部の一例であり、車両1を操舵するステアリング機構の動作を要求する運転者の操作を受け付ける。ステアリング機構の動作を要求する操作は、例えば、ステアリングホイール3を右回りまたは左回りに回転させる操作である。車両1は、他の運転操作受付部として、不図示のアクセルペダルおよびブレーキペダルを有する。
【0019】
メーターディスプレイ4は、表示部の一例であり、例えば液晶ディスプレイを有する。メーターディスプレイ4は、車内ネットワークを介して走行制御装置7から受け取った信号に従って、車両1の走行に関する情報を、運転者に視認可能に表示する。
【0020】
GNSS受信機5は、所定の周期ごとにGNSS(Global Navigation Satellite System)衛星からのGNSS信号を受信し、受信したGNSS信号に基づいて車両1の自己位置を測位する。GNSS受信機5は、所定の周期ごとに、GNSS信号に基づく車両1の自己位置の測位結果を表す測位信号を、車内ネットワークを介して走行制御装置7へ出力する。
【0021】
ストレージ装置6は、記憶部の一例であり、例えば、ハードディスク装置、または不揮発性の半導体メモリを有する。ストレージ装置6は、高精度地図を記憶する。高精度地図には、例えば、その高精度地図に表される所定の領域に含まれる各道路についての車線区画線を表す情報が含まれる。
【0022】
走行制御装置7は、通信インタフェースと、メモリと、プロセッサとを有するECU(Electronic Control Unit)である。走行制御装置7は、通信インタフェースを介してカメラ2から受信する画像に基づいて、車両1の前方の無車線区間を検出し、無車線区間における車両の走行を制御する。
【0023】
図2は、走行制御装置7のハードウェア模式図である。走行制御装置7は、通信インタフェース71と、メモリ72と、プロセッサ73とを備える。
【0024】
通信インタフェース71は、通信部の一例であり、走行制御装置7を車内ネットワークへ接続するための通信インタフェース回路を有する。通信インタフェース71は、受信したデータをプロセッサ73に供給する。また、通信インタフェース71は、プロセッサ73から供給されたデータを外部に出力する。
【0025】
メモリ72は、記憶部の一例であり、揮発性の半導体メモリおよび不揮発性の半導体メモリを有する。メモリ72は、プロセッサ73による処理に用いられる各種データ、例えば無車線区間の検出対象となる現在位置から前方の距離範囲を定める距離閾値、道路において走行車線が配置される方向を表す走行車線方向情報等を保存する。また、メモリ72は、各種アプリケーションプログラム、例えば走行制御処理を実行する走行制御プログラム等を保存する。
【0026】
プロセッサ73は、制御部の一例であり、1以上のプロセッサおよびその周辺回路を有する。プロセッサ73は、論理演算ユニット、数値演算ユニット、またはグラフィック処理ユニットといった他の演算回路をさらに有していてもよい。
【0027】
図3は、走行制御装置7が有するプロセッサ73の機能ブロック図である。
【0028】
走行制御装置7のプロセッサ73は、機能ブロックとして、第1特定部731と、無車線区間検出部732と、第2特定部733と、選択部734と、経路走行部735と、通知部736と、操舵制御部737とを有する。プロセッサ73が有するこれらの各部は、プロセッサ73上で実行されるプログラムによって実装される機能モジュールである。あるいは、プロセッサ73が有するこれらの各部は、独立した集積回路、マイクロプロセッサ、またはファームウェアとして走行制御装置7に実装されてもよい。
【0029】
第1特定部731は、通信インタフェースを介してカメラ2から受信する画像を、車線区画線を検出するように予め学習された識別器に入力することにより、車両1が走行している第1車線区間が有する複数の車線のうち、車両1が走行している現在車線を特定する。車線区画線は、車線を区分するために道路上に表示される線である。
【0030】
識別器は、例えば、入力側から出力側に向けて直列に接続された複数の層を有する畳み込みニューラルネットワーク(CNN)とすることができる。予め車線区画線を含む画像を教師データとして用いてCNNに入力し、学習を行うことにより、CNNは車線区画線を含む画像を検出する識別器として動作する。
【0031】
例えば、カメラ2から受信した第1車線区間の周辺を表す画像から、車両1の左側に1本、右側に2本の車線区画線が検出された場合、第1特定部731は、第1車線区間が有する2本の車線のうち左側の車線を、現在車線として特定する。
【0032】
無車線区間検出部732は、受信した画像から検出された車線区画線に基づいて、車両の現在位置から所定距離以内の前方に、第1車線区間と第2車線区間とに挟まれた、車線を有しない無車線区間を検出する。第2車線区間は、第1車線区間が有する車線の数より少ない複数の車線を有する区間である。画像の水平方向に車線区画線が3本以上検出されている場合、無車線区間検出部732は、左端および右端の車線区画線により区画される道路が、それらの間の車線区画線により複数の車線に区画されていると判定する。例えば、受信した画像から、画像の下端から上端に向けて、複数の車線に区画された車線区間と、車線区画線が2本だけ検出される区間と、車線区間とが順に検出されたとする。この場合、無車線区間検出部732は、車線区画線が2本だけ検出される区間を、画像の下端側の第1車線区間と上端側の第2車線区間とに挟まれた無車線区間と判定する。
【0033】
無車線区間検出部732は、ストレージ装置6に記憶された高精度地図に基づいて無車線区間を検出してもよい。例えば、無車線区間検出部732は、GNSS受信機5から測位信号を受信する。無車線区間検出部732は、測位信号に対応する地点の高精度地図をストレージ装置6から取得する。そして、無車線区間検出部732は、高精度地図における車線区画線の情報に基づいて、無車線区間を検出する。
【0034】
第2特定部733は、第2車線区間が有する複数の車線のうち、現在車線の終点からの距離が最短となる始点を有する車線を特定する。車線の終点または始点は、車線を区画する一対の車線区画線のそれぞれの末端の中間に位置する点である。
【0035】
選択部734は、無車線区間における経路として、現在車線の終点と第2車線区間において特定された車線の始点とを接続する経路を優先して選択する。
【0036】
経路走行部735は、選択部734により選択された経路に従って走行するよう、入出力インタフェースを介して車両1の走行機構(不図示)に制御信号を出力する。走行機構には、例えば車両1に動力を供給するエンジン、車両1の走行速度を減少させるブレーキ、および車両1を操舵するステアリング機構が含まれる。
【0037】
通知部736は、無車線区間が検出されてから車両1が無車線区間に到達するまでに、通信インタフェース71を介してメーターディスプレイ4に、車両1の運転者に対してステアリングホイール3の保持要求を通知するための情報を表示させる表示信号を送信する。車両1の運転者に対してステアリングホイール3の保持要求を通知するための情報は、例えば「ステアリングホイールを保持してください」といった文章、ステアリングホイールを保持する様子を示す画像などである。また、通知部736は、通信インタフェース71を介して車載スピーカ(不図示)に、ステアリングホイールの保持要求を通知する音声を再生させる音声信号を送信してもよい。
【0038】
操舵制御部737は、車両1の運転者によるステアリングホイール3への操作に対する反力を設定する。操舵制御部737は、ステアリングホイール3に設けられたアクチュエータ(不図示)を制御するステアリングコントローラ(不図示)に、通信インタフェース71を介して反力を設定するための反力設定信号を送信する。操舵制御部737は、無車線区間を走行中に、無車線区間でない区間を走行中における反力よりも反力を減少させるように、ステアリングコントローラに反力設定信号を送信する。
【0039】
無車線区間を走行中に、操舵制御部737がステアリングホイール3の反力を減少させる制御を行うことにより、運転者はステアリングホイール3の操舵をより少ない力で行うことができる。
【0040】
【0041】
車両1は、図面の下から上に向けて走行している。このとき、車両1の第1特定部731は、カメラ2により撮影された画像から、画像の水平方向に5本の車線区画線LL111-LL115を検出する。画像の水平方向に車線区画線が3本以上検出されるため、車両1が現在走行している道路の区間は、複数の車線に区画された第1車線区間LZ11である。そして、第1特定部731は、第1車線区間LZ11における左から2番目の車線L112を現在車線として特定する。
【0042】
無車線区間検出部732は、車両1の現在位置の前方に、画像の水平方向に車線区画線LL111およびLL115の2本だけ検出される無車線区間NLZ1を検出する。また、無車線区間検出部732は、無車線区間NLZ1のさらに前方に、画像の水平方向に4本の車線区画線LL111、LL121、LL122、LL115が検出される車線区間を検出する。車線L121-L123を有する車線区間は、第1車線区間LZ11が有する車線の数とは異なる複数の車線を有する第2車線区間LZ12である。
図4の例で、第2車線区間LZ12が有する車線の数は3であり、第1車線区間LZ11が有する車線の数の4よりも少ない。
【0043】
第2特定部733は、第2車線区間LZ12が有する車線L121-L123のうち、現在車線である車線L112の終点E112からの距離が最短となる始点を有する車線を特定する。車線L112の終点E112から車線L121の始点S121までの距離D121は、終点E112から車線L122の始点S122までの距離D122および終点E112から車線L123の始点S123までの距離D123よりも短い。そのため、第2特定部733は、現在車線である車線L112の終点E112からの距離が最短となる始点を有する車線として、車線L121を特定する。
【0044】
選択部734は、無車線区間NLZ1における経路として、車線L112の終点E112と車線L121の始点S121とを接続する経路R121を優先して選択する。そして、経路走行部735は、車両1が経路R121に従って走行するよう、入出力インタフェースを介して車両1の走行機構(不図示)に制御信号を出力する。
【0045】
【0046】
走行制御の第2の例では、車線L211-L214を有する第1車線区間LZ21において車両1が走行している車線L212に隣接する2つの車線L211およびL213のうち車線L211には、他車両10が走行している。また、第1車線区間LZ21において車線L212に隣接する他方の車線L213には、他車両は走行していない。なお、選択部734は、例えばカメラ2から受信した画像を、他車両を検出するよう予め学習された識別器に入力することにより、車両1の周囲を走行する他車両を検出する。
【0047】
第2車線区間LZ22が有する車線L221-L223のうち、車線L221が、車両1が走行する車線L212の終点E212からの距離が最短となる始点を有する車線として特定される。一方、第2車線区間LZ22が有する車線L221-L223のうち、他車両10が走行する車線L211の終点E211からの距離が最短となる始点を有する車線もまたL221である。すなわち、他車両10が走行する車線L211は、第2車線区間LZ22において特定された車線に合流する車線である。このように、第2車線区間LZ22の車線数が第1車線区間LZ21より少ない場合、第1車線区間LZ21の複数の車線から第2車線区間LZ22の1つの車線に経路が設定され、合流が生じる。
【0048】
図5に示す例において、選択部734は、無車線区間における経路として、現在車線の終点E212と第2車線区間LZ22において特定された車線L221の始点S221とを接続する経路R221に代えて、経路R222を選択する。経路R222は、現在車線の終点E212と、第2車線区間LZ22において特定された車線L221に隣接する車線のうち、他車両が走行している車線L211が合流しない車線L222の始点S222とを接続する経路である。そして、経路走行部735は、車両1が経路R222に従って走行するよう、入出力インタフェースを介して車両1の走行機構(不図示)に制御信号を出力する。
【0049】
図7は、走行制御処理のフローチャートである。走行制御装置7は、車両1が走行する間、処理を所定の時間間隔(例えば1/10秒間隔)で繰り返し実行する。
【0050】
まず、第1特定部731は、車両1が走行している複数の車線を有する第1車線区間において、車両1が走行している現在車線を特定する(ステップS1)。
【0051】
次に、無車線区間検出部732は、現在位置から所定距離以内の前方に、第1車線区間と第2車線区間とに挟まれた無車線区間を検出する(ステップS2)。
【0052】
続いて、第2特定部733は、第2車線区間が有する複数の車線のうち、現在車線の終点からの距離が最短となる始点を有する車線を特定する(ステップS3)。
【0053】
そして、選択部734は、無車線区間における経路として、現在車線の終点と第2車線区間において特定された車線の始点とを接続する経路を優先して選択し(ステップS4)、走行制御処理を終了する。
【0054】
このように走行制御処理を実行することにより、走行制御装置7は、無車線区間の前後での運転者が想定しない車線変更を減少させることができる。
【0055】
当業者は、本発明の精神および範囲から外れることなく、種々の変更、置換および修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。
【符号の説明】
【0056】
1 車両
7 走行制御装置
731 第1特定部
732 無車線区間検出部
733 第2特定部
734 選択部
735 経路走行部
736 通知部
737 操舵制御部