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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/10 20060101AFI20231108BHJP
   B65D 5/02 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
B65D5/10 C
B65D5/02 L
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020146889
(22)【出願日】2020-09-01
(65)【公開番号】P2022041595
(43)【公開日】2022-03-11
【審査請求日】2023-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】袴田 亮平
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-214420(JP,A)
【文献】実開昭60-90115(JP,U)
【文献】登録実用新案第3100554(JP,U)
【文献】実開昭54-116(JP,U)
【文献】米国特許第4218009(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/00- 5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後左右の壁板を有する筒状の胴部と、
前記胴部の下側の開口部を閉塞している底部と、
前記胴部の上側の開口部に設けた頂部と、を備え、
前記頂部は、
前側の前記壁板の上縁部に連設された前部フラップと、
後側の前記壁板の上縁部に連設された後部フラップと、
左側の前記壁板の上縁部に連設された左部フラップと、
右側の前記壁板の上縁部に連設された右部フラップと、を備え、
前記右部フラップは、前記前部フラップおよび前記後部フラップに重ねられ、
前記左部フラップは、後部が前記後部フラップの上面に重ねられるとともに、前部は前記前部フラップの下面に重ねられており、
前記左部フラップには、左側の前記壁板の上縁部の前端部から右斜め後方に向けて延びている傾斜縁部が形成されるとともに、前記傾斜縁部には凹部が形成されており、
前記前部フラップには、本体部と、前記左部フラップの上面に重なる折り曲げ部と、が形成され、
前記本体部と前記折り曲げ部との境界には、頂部折れ線が形成されており、
前記折り曲げ部の左後の角部には、前記頂部折れ線に沿って先端縁部が形成されていることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
請求項1に記載の包装箱であって、
前記凹部は、蓋板によって塞がれており、前記蓋板の外縁部の一部が前記凹部の内縁部に折れ線を介して連設されていることを特徴とする包装箱。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の包装箱であって、
前記胴部は、隣り合う前記壁板同士の間に形成された傾斜壁を備えていることを特徴とする包装箱。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の包装箱であって、
前記底部は、
前側の前記壁板の下縁部に連設された前部下フラップと、
左右の前記壁板の下縁部に連設され、前記前部下フラップの下面に重ねられた左右の側部下フラップと、
後側の前記壁板の下縁部に連設され、前記両側部下フラップの下面に重ねられるとともに、先端部が前記前部下フラップの内面側に差し込まれている後部下フラップと、を備えていることを特徴とする包装箱。
【請求項5】
包装箱を形成するためのブランクシートであって、
前記包装箱の胴部の前後左右に配置される四つの壁板が左右方向に連設されており、
前側の前記壁板の上縁部に連設された前部フラップと、
後側の前記壁板の上縁部に連設された後部フラップと、
左側の前記壁板の上縁部に連設された左部フラップと、
右側の前記壁板の上縁部に連設された右部フラップと、を備え、
前記左部フラップには、前記包装箱を形成したときに、前記後部フラップの上面に重ねられる部位と、前記前部フラップの下面に重ねられる部位とが形成されており、
前記左部フラップには、左側の前記壁板の上縁部の右端部から左斜め上向きに延びている傾斜縁部が形成されるとともに、前記傾斜縁部には凹部が形成されており、
前記前部フラップには、本体部および折り曲げ部が形成され、
前記折り曲げ部は、前記包装箱を形成したときに、前記左部フラップの上面に重なる部位であり、
前記本体部と前記折り曲げ部との境界には、頂部折れ線が形成され、
前記折り曲げ部の左上の角部には、前記頂部折れ線に沿って先端縁部が形成されていることを特徴とするブランクシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
包装箱の頂部としては、胴部の上縁部に連設され、前後方向に並べられた二つの頂板と、胴部の上縁部に連設され、左右方向に並べられた交差フラップおよび係合フラップと、を備えているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この包装箱の頂部を閉じるときには、交差フラップの後部を後側の頂板の上面に重ねるとともに、交差フラップの前部を前側の頂板の下面に重ねる。また、係合フラップを両頂板の上面に重ねて、係合フラップに形成された差し込み部を頂板の連結穴に差し込むことで、粘着テープや接着剤を用いなくても、頂部を閉じることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-214420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記した従来の包装箱では、係合フラップを両頂板の上面に重ねたときに、差し込み部と連結穴との位置合わせが難しいという問題がある。
【0006】
本発明は、前記した問題を解決し、頂部を容易に閉じて開くことができる包装箱およびブランクシートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、第一の発明は、包装箱であって、前後左右の壁板を有する筒状の胴部と、前記胴部の下側の開口部を閉塞している底部と、前記胴部の上側の開口部に設けた頂部と、を備えている。前記頂部は、前側の前記壁板の上縁部に連設された前部フラップと、後側の前記壁板の上縁部に連設された後部フラップと、左側の前記壁板の上縁部に連設された左部フラップと、右側の前記壁板の上縁部に連設された右部フラップと、を備えている。前記右部フラップは、前記前部フラップおよび前記後部フラップに重ねられている。前記左部フラップは、後部が前記後部フラップの上面に重ねられるとともに、前部は前記前部フラップの下面に重ねられている。前記左部フラップには、左側の前記壁板の上縁部の前端部から右斜め後方に向けて延びている傾斜縁部が形成されるとともに、前記傾斜縁部には凹部が形成されている。前記前部フラップには、本体部と、前記左部フラップの上面に重なる折り曲げ部と、が形成され、前記本体部と前記折り曲げ部との境界には、頂部折れ線が形成されている。前記折り曲げ部の左後の角部には、前記頂部折れ線に沿って先端縁部が形成されている。
【0008】
前記課題を解決するため、第二の発明は、包装箱を形成するためのブランクシートであって、前記包装箱の胴部の前後左右に配置される四つの壁板が左右方向に連設されている。前記ブランクシートは、前側の前記壁板の上縁部に連設された前部フラップと、後側の前記壁板の上縁部に連設された後部フラップと、左側の前記壁板の上縁部に連設された左部フラップと、右側の前記壁板の上縁部に連設された右部フラップと、を備えている。前記左部フラップには、前記包装箱を形成したときに、前記後部フラップの上面に重ねられる部位と、前記前部フラップの下面に重ねられる部位とが形成されている。前記左部フラップには、左側の前記壁板の上縁部の右端部から左斜め上向きに延びている傾斜縁部が形成されるとともに、前記傾斜縁部には凹部が形成されている。前記前部フラップには、本体部および折り曲げ部が形成されている。前記折り曲げ部は、前記包装箱を形成したときに、前記左部フラップの上面に重なる部位である。前記本体部と前記折り曲げ部との境界には、頂部折れ線が形成されている。前記折り曲げ部の左上の角部には、前記頂部折れ線に沿って先端縁部が形成されている。
【0009】
本発明では、包装箱の頂部を閉じるときには、前部フラップおよび後部フラップを閉じるとともに、右部フラップを前部フラップおよび後部フラップに重ねた後に、左部フラップを前部フラップおよび後部フラップの上面に重ねる。続いて、左部フラップの上方から凹部に作業者が指を差し込み、前部フラップの本体部に対して折り曲げ部を下方に押し込む。さらに、前部フラップの折り曲げ部の先端縁部に作業者の指を掛けて、折り曲げ部を左部フラップよりも上方に引き上げる。そして、本体部に対して折り曲げ部を平坦に戻して、前部フラップの折り曲げ部を左部フラップの上面に重ねることで、包装箱の頂部を閉じることができる。
【0010】
また、本発明では、包装箱の頂部を開くときには、折り曲げ部を下方に押し込むと、折り曲げ部は本体部に対して下向きに折り曲げられて左部フラップの下方に入り込む。これにより、前部フラップと左部フラップとの連結が解除されるため、頂部を開くことができる。
【0011】
このように、本発明では、前部フラップの折り曲げ部の先端縁部に指を掛けて、折り曲げ部を引き上げることで、頂部を容易に閉じることができる。また、本発明では、頂部を閉じた状態から前部フラップの折り曲げ部を下向きに折り曲げることで、折り曲げ部を左部フラップの下面側に押し込むことができるため、頂部を容易に開くことができる。
【0012】
前記した包装箱において、前記凹部を蓋板によって塞いで、前記蓋板の外縁部の一部を前記凹部の内縁部に折れ線を介して連設することができる。
【0013】
前記した包装箱において、前記胴部は、隣り合う前記壁板同士の間に傾斜壁を形成し、六角形や八角形などの多角形の筒状の胴部を構成してもよい。
【0014】
前記した包装箱において、前記底部には、前側の前記壁板の下縁部に連設された前部下フラップと、左右の前記壁板の下縁部に連設され、前記前部下フラップの下面に重ねられた左右の側部下フラップと、を設ける。さらに、前記底部には、後側の前記壁板の下縁部に連設され、前記両側部下フラップの下面に重ねられるとともに、先端部が前記前部下フラップの内面側に差し込まれている後部下フラップを設ける。
このように、底部をアメリカンロック方式によって閉じることで、底部を簡単かつ確実に組み立てることができ、粘着テープや接着剤を用いなくても、底部の強度を十分に高めることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の包装箱およびブランクシートでは、粘着テープや接着剤を用いなくても、頂部を容易に閉じて開くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る包装箱を前方右上から見た斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る包装箱を前方右下から見た斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る包装箱のブランクシートを示した図である。
図4】本発明の実施形態に係る包装箱の前部フラップおよび左部フラップを示した拡大斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係る包装箱の頂部を閉じる手順を示した図で、前部フラップおよび後部フラップの上面に左部フラップを重ねた状態の拡大斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係る包装箱の頂部を閉じる手順を示した図で、前部フラップの折り曲げ部を左部フラップの凹部から押し込んだ状態の拡大斜視図である。
図7】本発明の実施形態に係る包装箱の頂部を開く手順を示した図で、前部フラップの折り曲げ部を押し込んで、左部フラップを開いた状態の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
以下の説明において、前後左右方向とは、本実施形態の包装箱を説明する上で便宜上設定したものであり、包装箱の構成や使用状態を限定するものではない。
【0018】
本実施形態の包装箱1は、図1に示すように、六角形の多角筒状に形成された胴部10と、胴部10の下側の開口部を閉塞している底部20と、胴部10の上側の開口部を閉塞している頂部30と、を備えている。
【0019】
本実施形態の包装箱1は、段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートS(図3参照)を各折れ線において山折りまたは谷折りすることで形成される。図3に示すブランクシートSは内面側が見えるように配置されている。
ブランクシートSの折れ線は、ブランクシートSの表面を線状に押し込んで形成された罫線(押罫)である。なお、罫線に断続的な切れ込みを形成してもよい。このようにすると、折れ線においてブランクシートSを折り曲げ易くなる。
また、シートの表面のみを切断したハーフカットの切れ込みやシートを貫通した切れ込みを断続させて線状に形成することで折れ線を構成してもよい。
【0020】
胴部10は、図1に示すように、前後一対の壁板11,12と、左右一対の壁板13,14と、隣り合う前側の壁板11と左側の壁板13との間に形成された傾斜壁16と、隣り合う後側の壁板12と右側の壁板14との間に形成された傾斜壁16と、を備えている。前後左右の壁板11~14は、四角形に形成されている。胴部10の上面および下面には、平面視で六角形の開口部が形成されている。
【0021】
二つの傾斜壁16,16は、胴部10の左前の角部および右後の角部に形成されている。左前の傾斜壁16は、前側の壁板11の左縁部および左側の壁板13の前縁部に折れ線を介して連設されている。右後の傾斜壁16は、後側の壁板12の右縁部および右側の壁板14の後縁部に折れ線を介して連設されている。
傾斜壁16は、細長い長方形に形成されており、二つの傾斜壁16,16は同じ形状である。両傾斜壁16,16は、各壁板11~14に対して傾斜している。
本実施形態では、右後の傾斜壁16の左縁部に接合片15が連設されている。接合片15は、後側の壁板12の内面に接合されている。
【0022】
ブランクシートS(図3参照)を各折れ線で折り曲げつつ、接合片15を後側の壁板12の内面に接合すると、前後左右の壁板11~14および両傾斜壁16,16によって、平面視で六角形の筒状の胴部10が形成される。
【0023】
底部20は、図2に示すように、前側の壁板11の下縁部に連設された前部下フラップ21と、後側の壁板12の下縁部に連設された後部下フラップ22と、左右の壁板13,14の下縁部に連設された左右一対の側部下フラップ23,24と、を備えている。
【0024】
前部下フラップ21は、折れ線を介して前側の壁板11の下縁部に連設されている。前部下フラップ21は、胴部10の下側の開口部の前半分の領域を塞いでいる。
前部下フラップ21の左側の側縁部は、左側の壁板13の内面と、左前の傾斜壁16の内面と、に沿って形成されている(図3参照)。また、前部下フラップ21の右側の側縁部は、右側の壁板14の内面に沿って形成されている。
そして、前部下フラップ21が胴部10の下側の開口部に入り込んだ状態では、前部下フラップ21の左側の側縁部が左側の壁板13の内面および左前の傾斜壁16の内面に接するとともに、右側の側縁部が右側の壁板14の内面に接している。
【0025】
左側の側部下フラップ23は、折れ線を介して左側の壁板13の下縁部に連設されている。左側の側部下フラップ23の前部は、前部下フラップ21の左部の下面に重ねられている。
【0026】
右側の側部下フラップ24は、折れ線を介して右側の壁板14の下縁部に連設されている。右側の側部下フラップ24の前部は、前部下フラップ21の右部の下面に重ねられている。
右側の側部下フラップ24の後縁部は、後側の壁板12の内面と、右後の傾斜壁16の内面と、に沿って形成されている(図3参照)。
そして、右側の側部下フラップ24が胴部10の下側の開口部に入り込んだ状態では、右側の側部下フラップ24の後縁部が接合片15の内面および右後の傾斜壁16の内面に接している。
なお、本実施形態では、右側の側部下フラップ24の後縁部は、接合片15の内面に接しているが、右側の側部下フラップ24の後縁部が後側の壁板12の内面に接するように構成してもよい。
【0027】
後部下フラップ22は、折れ線を介して後側の壁板12の下縁部に連設されている。後部下フラップ22は、基端部(後端部)から先端部(前端部)に向かうに連れて左右方向の幅が狭くなる台形状に形成されている(図3参照)。
後部下フラップ22は、左右の側部下フラップ23,24の下面に重なるとともに、先端部が前部下フラップ21の中央部の上面側に差し込まれている。
【0028】
包装箱1の底部20は、前部下フラップ21、左右の側部下フラップ23,24および後部下フラップ22をアメリカンロック方式に組み合わせることで閉じられている。
【0029】
頂部30は、図1に示すように、前部フラップ31と、後部フラップ32と、左部フラップ33と、右部フラップ34と、を備えている。
【0030】
前部フラップ31は、折れ線を介して前側の壁板11の上縁部に連設されている。前部フラップ31は、胴部10の上側の開口部の前半分を閉塞するものである。
後部フラップ32は、折れ線を介して後側の壁板12の上縁部に連設されている。後部フラップ32は、胴部10の上側の開口部の後半分を閉塞するものである。
【0031】
右部フラップ34は、折れ線を介して右側の壁板14の上縁部に連設されている。右部フラップ34の後部は、後部フラップ32の右部の下面に重ねられている。また、右部フラップ34の前部は、前部フラップ31の右部の上面に重ねられている。
このように、右部フラップ34の前部および後部を、前部フラップ31および後部フラップ32に対して上下に交差させることで、右部フラップ34は前部フラップ31および後部フラップ32に連結されている。
【0032】
左部フラップ33は、図4に示すように、折れ線を介して左側の壁板13の上縁部に連設されている。左部フラップ33の後部は、後部フラップ32の上面に重ねられている。また、左部フラップ33の前部は、前部フラップ31の下面に重ねられている。
【0033】
左部フラップ33は、図5に示すように、左側の壁板13の上縁部に連設された基端縁部33aと、基端縁部33aに平行している先端縁部33bと、後部フラップ32の後縁部に沿って形成された後縁部33cと、先端縁部33bの前端部から基端縁部33aの前端部に亘って形成された傾斜縁部33dと、を備えている。
先端縁部33bは、前側の壁板11と後側の壁板12との前後方向の間隔の後半分に配置されている。つまり、先端縁部33bは、後部フラップ32の上面に重ねられている部位である。
【0034】
傾斜縁部33dは、左側の壁板13の上縁部(基端縁部33a)の前端部から先端縁部33bの前端部に亘って右斜め後方に向けて延びている。つまり、傾斜縁部33dは、基端縁部33aの前端部から後方に向かうに連れて基端縁部33aから右方に離れるように、基端縁部33aに対して傾斜している。
【0035】
左部フラップ33の傾斜縁部33dの中間部には、凹部33eが形成されている。凹部33eは、傾斜縁部33dの中間部を矩形に窪ませた部位である。
凹部33eの内縁部には、両側縁部33f,33fと、底縁部33gと、が形成されている。凹部33eの内縁部において、側縁部33fと底縁部33gとの間の隅部は円弧状に湾曲している。
【0036】
凹部33eは、ブランクシートS(図3参照)の状態において、蓋板35によって塞がれている。蓋板35の外縁部は、凹部33eの底縁部33gに折れ線を介して連設されるとともに、凹部33eの両側縁部33f,33fにスリットを介して連設されている。
【0037】
前部フラップ31には、図1に示すように、本体部31aおよび折り曲げ部31bが形成されている。折り曲げ部31bは、前部フラップ31の左後の角部であり、左部フラップ33の上面に重なる部位である。
【0038】
本体部31aと折り曲げ部31bとの境界線は、図4に示すように、左部フラップ33の傾斜縁部33dの直上に配置されている。つまり、前部フラップ31において、左部フラップ33の傾斜縁部33dよりも前側に配置される部位は本体部31aであり、傾斜縁部33dよりも後側に配置される部位は折り曲げ部31bとなっている。
【0039】
本体部31aと折り曲げ部31bとの境界線には、頂部折れ線L10が形成されている。頂部折れ線L10は、前部フラップ31の下面(内面)に形成された折れ線である。なお、本実施形態の各図では、頂部折れ線L10の位置を分かり易くするために、頂部折れ線L10を前部フラップ31の上面(外面)に実線で示している。
【0040】
折り曲げ部31bの左後の角部には、頂部折れ線L10に平行した先端縁部31cが形成されている。これにより、折り曲げ部31bは台形状に形成されている。前部フラップ31の左後の角部は直角の状態から斜めに切り欠いた形状となっている。
【0041】
本実施形態の包装箱1を形成するためのブランクシートSでは、図3に示すように、四つの壁板11~14、二つの傾斜壁16,16および接合片15が左右方向に連設されている。本実施形態では、ブランクシートSの左側から右側に向けて、後側の壁板12、左側の壁板13、傾斜壁16、前側の壁板11、右側の壁板14、傾斜壁16、接合片15の順に並んでいる。
【0042】
ブランクシートSは、前側の壁板11の下縁部に連設された前部下フラップ21と、後側の壁板12の下縁部に連設された後部下フラップ22と、を備えている。また、ブランクシートSは、左側の壁板13の下縁部に連設された左側の側部下フラップ23と、右側の壁板14の下縁部に連設された右側の側部下フラップ24と、を備えている。
【0043】
ブランクシートSは、前側の壁板11の上縁部に連設された前部フラップ31と、後側の壁板12の上縁部に連設された後部フラップ32と、を備えている。また、ブランクシートSは、左側の壁板13の上縁部に連設された左部フラップ33と、右側の壁板14の上縁部に連設された右部フラップ34と、を備えている。
【0044】
左部フラップ33には、頂部30(図4参照)を形成したときに、後部フラップ32の上面に重ねられる部位と、前部フラップ31の下面に重ねられる部位とが形成されている。左部フラップ33には、左側の壁板13の上縁部の右端部から左斜め上向きに延びている傾斜縁部33dが形成されるとともに、傾斜縁部33dには凹部33eが形成されている。
【0045】
前部フラップ31には、本体部31aおよび折り曲げ部31bが形成されている。折り曲げ部31bは、頂部30(図4参照)を形成したときに、左部フラップ33の上面に重なる部位である。
【0046】
本体部31aと折り曲げ部31bとの境界には、頂部折れ線L10が形成され、折り曲げ部31bの左上の角部には、頂部折れ線L10に平行した先端縁部31cが形成されている。
【0047】
次に、包装箱1の頂部30を閉じる手順について説明する。
まず、図1に示す前部フラップ31を閉じた後に、右部フラップ34を閉じて、前部フラップ31の右部の上面に、右部フラップ34の前部を重ねる。
続いて、後部フラップ32を閉じて、右部フラップ34の後部の上面に、後部フラップ32の右部を重ねる。
これにより、右部フラップ34の前部および後部が、前部フラップ31および後部フラップ32に対して上下に交差し、右部フラップ34が前部フラップ31および後部フラップ32に連結される。
【0048】
その後、図5に示すように、左部フラップ33を閉じて、前部フラップ31および後部フラップ32の上面に左部フラップ33を重ねる。
さらに、図6に示すように、左部フラップ33の上方から蓋板35を作業者が指で下方に押し込んで、凹部33eに指を差し込む。
このとき、前部フラップ31の本体部31aに対して折り曲げ部31bが蓋板35によって下方に押し込まれ、本体部31aに対して折り曲げ部31bが下方に折れ曲がる。すなわち、前部フラップ31は、上面側から見ると、頂部折れ線L10において山折りされることになる。
【0049】
作業者は、凹部33eに差し込んだ指を折り曲げ部31bの先端縁部31cに掛けて、折り曲げ部31bを左部フラップ33の上方に引き上げる。
その後、本体部31aに対して折り曲げ部31bを平坦に戻して、折り曲げ部31bを左部フラップ33の上面に重ねることで、図1に示すように、包装箱1の頂部30を閉じることができる。
【0050】
次に、包装箱1の頂部30を開くときには、図7に示すように、折り曲げ部31bを下方に押し込む。このようにすると、折り曲げ部31bが本体部31aに対して下方に向けて折り曲げられて、左部フラップ33よりも下方に入り込む。つまり、折り曲げ部31bは、上から見て山折りに折れ曲がることで、左部フラップ33の傾斜縁部33dを避けて左部フラップ33よりも下方に移動する。このとき、左部フラップ33の傾斜縁部33dには、凹部33eが形成されているため、折り曲げ部31bが傾斜縁部33dを避けて下方に移動し易い。
これにより、前部フラップ31と左部フラップ33との連結が解除されるため、後部フラップ32、右部フラップ34(図1参照)、前部フラップ31の順に開いて、頂部30を開くことができる。
【0051】
以上のような包装箱1およびブランクシートSでは、図6に示すように、頂部30を閉じるときには、左部フラップ33の凹部33eに作業者の指を差し込み、前部フラップ31の本体部31aに対して折り曲げ部31bを下方に向けて折り曲げる。そして、折り曲げ部31bの先端縁部31cに指を掛けて、折り曲げ部31bを引き上げることで、頂部30を容易に閉じることができる。
【0052】
なお、左部フラップ33の蓋板35を押し込んで作業者の指を凹部33eに差し込むときに、凹部33eの側縁部33fと底縁部33gとの間の隅部は円弧状に形成されているため、凹部33eの角部から左部フラップ33が裂けるのを防ぐことができる。
【0053】
本実施形態の包装箱1およびブランクシートSでは、図7に示すように、頂部30を開くときには、折り曲げ部31bを下方に押し込むと、折り曲げ部31bは本体部31aに対して下向きに折り曲げられて左部フラップ33よりも下方に入り込むため、頂部30を容易に開くことができる。このとき、折り曲げ部31bは、凹部33eが形成された傾斜縁部33dを避けて下方に移動し易い。このように、前部フラップ31を下方に押し込むと、前部フラップ31が頂部折れ線L10において山折りされ、折り曲げ部31bと左部フラップ33の傾斜縁部33dの上下が入れ替わるため、左部フラップ33を容易に開く(立ち上げる)ことができる。
【0054】
このように、本実施形態の包装箱1およびブランクシートSでは、粘着テープや接着剤を用いなくても、頂部30を容易に閉じて開くことができる。
【0055】
また、本実施形態の包装箱1およびブランクシートSでは、図2に示すように、底部20がアメリカンロック方式によって閉じられる。そのため、底部20を簡単かつ確実に組み立てることができ、粘着テープや接着剤を用いなくても、底部20の強度を十分に高めることができる。
【0056】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
本実施形態では、図5に示すように、左部フラップ33の凹部33eが蓋板35によって塞がれているが、凹部33eを蓋板などによって塞がなくてもよい。
【0057】
本実施形態では、図1に示すように、前部フラップ31、右部フラップ34、後部フラップ32、左部フラップ33の順に重ねることで頂部30が形成されている。しかしながら、右部フラップ34を前部フラップ31および後部フラップ32に重ねる構成は限定されるものではない。
【0058】
本実施形態では、前部フラップ31と後部フラップ32とが突き合わされているが、前部フラップ31と後部フラップ32とを前後方向に間隔を空けて配置することで、頂部30の中央部に開口部を形成してもよい。
【0059】
包装箱1の各壁板11~14および傾斜壁16の幅や高さは限定されるものではない。また、傾斜壁16の数も限定されるものではない。また、各壁板11~14に対する傾斜壁16の傾斜角度も限定されるものではない。
例えば、包装箱1の各壁板11~14および両傾斜壁16,16を同じ幅に形成して、胴部10を正六角形に形成してもよい。
【0060】
本実施形態では、胴部10に傾斜壁16が設けられているが、胴部10に傾斜壁16を設けることなく、前後左右の壁板11~14によって四角形の胴部を形成してもよい。
【0061】
本実施形態の包装箱1およびブランクシートSは段ボール製であるが、各種公知の板紙によって包装箱1を形成できる。
【符号の説明】
【0062】
1 包装箱
10 胴部
11 前側の壁板
12 後側の壁板
13 左側の壁板
14 右側の壁板
15 接合片底部
16 傾斜壁
20 底部
21 前部下フラップ
22 後部下フラップ
23 左側の側部下フラップ
24 右側の側部下フラップ
30 頂部
31 前部フラップ
31a 本体部
31b 折り曲げ部
31c 先端縁部
32 後部フラップ
33 左部フラップ
33a 基端縁部
33b 先端縁部
33c 後縁部
33d 傾斜縁部
33e 凹部
33f 側縁部
33g 底縁部
34 右部フラップ
35 蓋板
L10 頂部折れ線
S ブランクシート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7