(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】サービス管理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20230101AFI20231108BHJP
【FI】
G06Q10/08
(21)【出願番号】P 2020168063
(22)【出願日】2020-10-02
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大槻 将久
(72)【発明者】
【氏名】岩本 国大
(72)【発明者】
【氏名】李 海妍
(72)【発明者】
【氏名】加来 航
(72)【発明者】
【氏名】大石 耕太
【審査官】野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-054409(JP,A)
【文献】特開2016-133945(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0272154(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定エリアにおいて提供されるサービスを管理するサービス管理装置であって、
オペレータ向けの情報を表示する表示装置を含み、また、前記オペレータからの入力を受け付けるオペレータインタフェースと、
前記所定エリアにおける前記サービスの運用状態を前記表示装置に表示する1又は複数のプロセッサと
を備え、
前記1又は複数のプロセッサは、
前記所定エリアにおける前記サービスの提供に利用される自律走行ロボットと通信を行い、前記自律走行ロボットの位置及び状態を少なくとも示すサービスロボット情報を前記自律走行ロボットから取得し、
前記サービスロボット情報に基づいて、前記所定エリアの地図と前記自律走行ロボットの前記位置を前記表示装置に表示し、
前記表示装置に表示されている前記自律走行ロボットが前記オペレータインタフェースを通して前記オペレータによって指定された場合、前記サービスロボット情報に基づいて、前記オペレータによって指定された前記自律走行ロボットの前記状態を示す状態ウィンドウを前記表示装置に表示
し、
前記状態ウィンドウは、前記オペレータによって指定された前記自律走行ロボットの前記位置の履歴を示す位置履歴グラフを含み、
前記位置履歴グラフの第1軸は時間を表し、前記位置履歴グラフの第2軸は前記オペレータによって指定された前記自律走行ロボットの前記位置を表す
サービス管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のサービス管理装置であって、
前記位置履歴グラフは、出発地から目的地までの走行ルート上の前記自律走行ロボットの前記位置を示す
サービス管理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のサービス管理装置であって、
前記位置履歴グラフは、同じ時間における前記自律走行ロボットの前記位置と理想的な位置を対比可能なように示す
サービス管理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のサービス管理装置であって、
前記自律走行ロボットは、走行ルートに従って自律的に走行し、
前記自律走行ロボットが予期しない位置において一定時間以上予期せず停止した場合、前記1又は複数のプロセッサは、前記予期せず停止した自律走行ロボットに関するアラートを前記表示装置に表示する
サービス管理装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のサービス管理装置であって、
前記自律走行ロボットは、走行ルートに従って自律的に走行し、
エラー発生位置は、前記自律走行ロボットが一定時間以上予期せず停止した予期しない位置であり、
前記1又は複数のプロセッサは、前記エラー発生位置を一定期間収集し、エラー発生頻度分布を示すヒートマップを前記表示装置に表示する
サービス管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定エリアにおいて提供されるサービスを管理するサービス管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、物流管理システムを開示している。物流管理システムは、自律走行車両とサーバ装置を備える。自律走行車両は、商品の在庫量を含む第1の管理情報を記憶する。サーバ装置は、商品の需要予測情報を含む第2の管理情報を記憶する。自律走行車両は、第1の管理情報と第2の管理情報に基づいて、商品提供価格を設定する。
【0003】
特許文献2は、複数のサービスで構成されたサービスシステムの可用性を推定するためのシミュレーターを開示している。あるサービスにおいて不具合が生じた場合、不具合が生じたサービスに依存するサービスの処理内容およびリクエスト送信先の少なくとも1つが変更される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-140245号公報
【文献】特開2019-153017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一つの街等の所定エリアにおいて、自律走行ロボットを利用して物流サービス等のサービスを展開することは、今後の社会における重要な課題の一つである。本発明の1つの目的は、所定エリアにおいて自律走行ロボットを利用して提供されるサービスを管理する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの観点は、所定エリアにおいて提供されるサービスを管理するサービス管理装置に関連する。
サービス管理装置は、
オペレータ向けの情報を表示する表示装置を含み、また、オペレータからの入力を受け付けるオペレータインタフェースと、
所定エリアにおけるサービスの運用状態を表示装置に表示する1又は複数のプロセッサと
を備える。
1又は複数のプロセッサは、所定エリアにおけるサービスの提供に利用される自律走行ロボットと通信を行い、自律走行ロボットの位置及び状態を少なくとも示すサービスロボット情報を自律走行ロボットから取得する。
1又は複数のプロセッサは、サービスロボット情報に基づいて、所定エリアの地図と自律走行ロボットの位置を表示装置に表示する。
1又は複数のプロセッサは、表示装置に表示されている自律走行ロボットがオペレータインタフェースを通してオペレータによって指定された場合、サービスロボット情報に基づいて、オペレータによって指定された自律走行ロボットの状態を示す状態ウィンドウを表示装置に表示する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、所定エリアにおいて自律走行ロボットを利用して提供されるサービスに関する情報が表示装置に表示される。特に、所定エリアの地図と自律走行ロボットの位置が表示装置に表示される。また、表示装置に表示されている自律走行ロボットがオペレータによって指定された場合、指定された自律走行ロボットの状態を示す状態ウィンドウが表示装置に表示される。このようにして、オペレータは、所定エリアにおけるサービスの運用状態を容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態に係るサービス提供システムを概略的に示す概念図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係るサービス管理装置の機能の概要を説明するための概念図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係るサービス管理装置の構成例を示すブロック図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係るサービス管理装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係るサービス管理装置のダッシュボード機能の一例を説明するための概念図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係るサービス管理装置のダッシュボード機能の他の例を説明するための概念図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係るサービス管理装置のダッシュボード機能の更に他の例を説明するための概念図である。
【
図8】本発明の実施の形態に係るサービス管理装置のダッシュボード機能の更に他の例を説明するための概念図である。
【
図9】本発明の実施の形態に係るサービス管理装置のダッシュボード機能の更に他の例を説明するための概念図である。
【
図10】本発明の実施の形態に係るサービス管理装置のシミュレータ機能の例を説明するための概念図である。
【
図11】本発明の実施の形態に係るサービス管理装置のシミュレータ機能の他の例を説明するための概念図である。
【
図12】本発明の実施の形態に係るサービス管理装置のシミュレータ機能の更に他の例を説明するための概念図である。
【
図13】本発明の実施の形態に係るサービス管理装置のシミュレータ機能の更に他の例を説明するための概念図である。
【
図14】本発明の実施の形態に係るサービス管理装置のシミュレータ機能の更に他の例を説明するための概念図である。
【
図15】本発明の実施の形態に係るサービス管理装置のシミュレータ機能の更に他の例を説明するための概念図である。
【
図16】本発明の実施の形態に係るサービス管理装置のシミュレータ機能の更に他の例を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0010】
1.サービス提供システム
図1は、本実施の形態に係るサービス提供システム1を概略的に示す概念図である。サービス提供システム1は、一つの街等の所定エリアにおいてサービスを提供する。サービスが提供されるエリアを、以下、「サービスエリアA」と呼ぶ。サービスエリアAにおいて提供されるサービスとしては、例えば、物流サービスやモビリティサービスが挙げられる。
【0011】
本実施の形態では、サービスエリアにおけるサービスの提供に自律走行ロボット10が利用される。自律走行ロボット10は、自律走行機能を有する。物流サービスに利用される自律走行ロボット10は、自律走行可能な物流ロボットである。モビリティサービスに利用される自律走行ロボット10は、自律走行車両である。
【0012】
典型的には、自律走行ロボット10は、車輪、車輪を駆動するモータ、モータに電力を供給するバッテリ、及びモータを制御する制御装置を備えている。自律走行ロボット10の加速及び減速は、モータの制御によって行われる。モータの制御による回生ブレーキを利用して、制動が行われてもよい。また、任意の車輪に機械式ブレーキが設けられていてもよい。自律走行ロボット10の旋回は、左右の車輪(モータ)の回転速度の差を制御することによって実現可能である。車輪を操舵する操舵機構が設けられてもよい。
【0013】
また、自律走行ロボット10は、自身の位置及び方位を特定する位置特定機能を有する。位置特定機能は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機等の位置センサによって実現される。
【0014】
また、自律走行ロボット10は、自身の状態を検出する状態検出機能を有する。自律走行ロボット10の状態としては、車輪速、速度、加速度(前後加速度、横加速度、等)、角速度(ヨーレート、等)、積載重量、バッテリ残量、エラー状態、故障状態、等が例示される。そのような自律走行ロボット10の状態は、自律走行ロボット10に搭載された状態センサによって検出される。
【0015】
また、自律走行ロボット10は、周囲の状況を認識する認識機能を有する。認識機能は、カメラ、LIDAR(LIght Detection And Ranging)、レーダー、ソナー、等の認識センサによって実現される。
【0016】
また、自律走行ロボット10は、通信機能を有している。例えば、自律走行ロボット10は、4G、5G等の無線通信ネットワークを通して、サービス管理装置100と通信を行う。自律走行ロボット10は、無線LANに接続してもよい。自律走行ロボット10は、近くの他の自律走行ロボット10と近距離通信を行ってもよい。近距離通信の方式としては、赤外線通信やBluetooth(登録商標)が例示される。
【0017】
サービス提供システム1は、複数の自律走行ロボット10に加えてサービス管理装置100(管理サーバ)を含んでいる。サービス管理装置100は、自律走行ロボット10及びサービス全体の管理を行う。例えば、サービス管理装置100は、オペレータルームに設置されている。サービス管理装置100は、各自律走行ロボット10と通信可能である。サービス管理装置100は、通信を通して、自律走行ロボット10から各種情報を収集する。
【0018】
図2は、本実施の形態に係るサービス管理装置100の機能の概要を説明するための概念図である。サービス管理装置100は、大きく分けて2つの機能を有する。
【0019】
1つ目は、「ダッシュボード機能」である。ダッシュボード機能は、サービスのオペレータに対するユーザインタフェースを提供する。具体的には、ダッシュボード機能は、サービスエリアAにおけるサービスに関する様々な情報をオペレータに提供し、また、オペレータからの入力を受け付ける。例えば、ダッシュボード機能は、サービスエリアAにおけるサービスの運用状態(operating status)を表示装置に表示する。オペレータは、表示装置に表示された情報に基づいて、サービスエリアAにおけるサービスの運用状態を把握、監視することができる。オペレータがサービスエリアAにおける気になる箇所を指定した場合、ダッシュボード機能は、指定された箇所の詳細情報を表示装置に表示してもよい。例えば、ダッシュボード機能は、ポップアップウィンドウで詳細情報を表示する。これにより、オペレータは、詳細情報を簡単に知ることができる。
【0020】
2つ目は、「シミュレータ機能」である。シミュレータ機能は、サービスエリアAにおけるサービスのシミュレーションを行う。例えば、シミュレータ機能は、サービスエリアAにおける複数の自律走行ロボット10の自律走行に関してマルチエージェントシミュレーションを行う。また、シミュレータ機能は、オペレータがシミュレーション条件を指定するために用いるシミュレーション設定画面を表示装置に表示する。オペレータは、シミュレーション設定画面を通して、シミュレーション条件を自由に設定することができる。シミュレータ機能は、オペレータによって指定されたシミュレーション条件に従ってシミュレーションを行う。そして、シミュレータ機能は、シミュレーション結果を表示装置に表示する。オペレータは、シミュレーション結果に基づいて、サービスエリアAにおけるサービスに関する分析、検討を行うことができる。また、オペレータは、必要に応じてシミュレーション条件を変更することができる。
【0021】
以下、本実施の形態に係るサービス管理装置100について更に詳しく説明する。
【0022】
2.サービス管理装置の構成例
図3は、本実施の形態に係るサービス管理装置100の構成例を示すブロック図である。サービス管理装置100は、1台の管理サーバであってもよいし、分散処理を行う複数の管理サーバ(分散サーバ)であってもよい。サービス管理装置100は、オペレータインタフェース110、通信装置120、及び情報処理装置130を備えている。
【0023】
オペレータインタフェース110は、オペレータに各種情報を提供し、また、オペレータからの入力を受け付けるインタフェースである。オペレータインタフェース110は、入力装置111及び表示装置112を含んでいる。入力装置111は、情報を入力する際にオペレータによって用いられる。入力装置111としては、キーボード、マウス、タッチパネル、スイッチ、マイク、等が例示される。表示装置112は、オペレータ向けの情報を表示する。表示装置112としては、タッチパネル、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、等が例示される。オペレータインタフェース110は、更に、スピーカを含んでいてもよい。
【0024】
通信装置120は、外部との通信を行う。例えば、通信装置120は、4G、5G等の無線通信ネットワークを通して、各自律走行ロボット10と通信を行う。通信装置120は、無線LANに接続してもよい。
【0025】
情報処理装置130は、各種情報処理を行うコンピュータである。例えば、情報処理装置130は、1又は複数のプロセッサ131と1又は複数のメモリ132を含んでいる。プロセッサ131は、各種情報処理を行う。例えば、プロセッサ131は、CPU(Central Processing Unit)を含んでいる。メモリ132には、プロセッサ131による処理に必要な各種情報が格納される。メモリ132としては、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、等が例示される。プロセッサ131がコンピュータプログラムを実行することによって、情報処理装置130の機能が実現される。コンピュータプログラムは、メモリ132に格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータプログラムは、ネットワーク経由で提供されてもよい。
【0026】
サービスエリア構成情報200は、サービスが提供されるサービスエリアAの構成を示す。サービスエリア構成情報200は、サービスエリアAの地図、道路配置、建物配置、建物内のフロア構成、各フロアの部屋配置、エレベータ配置、等を含む。このようなサービスエリア構成情報200は、予め作成され、提供される。情報処理装置130は、サービスエリア構成情報200を取得し、サービスエリア構成情報200をメモリ132に格納する。
【0027】
サービスロボット情報300は、各自律走行ロボット10に関する情報である。例えば、サービスロボット情報300は、最初、各自律走行ロボット10によって取得される。情報処理装置130は、通信装置120を介して各自律走行ロボット10と通信を行い、それにより、各自律走行ロボット10からサービスロボット情報300を取得する。そして、情報処理装置130は、取得したサービスロボット情報300をメモリ132に格納する。
【0028】
サービスロボット情報300は、自律走行ロボット10の位置及び状態を示す位置状態情報を含む。位置状態情報は、上述の自律走行ロボット10の位置特定機能及び状態検出機能によって得られる。自律走行ロボット10の状態としては、車輪速、速度、加速度、角速度、積載重量、バッテリ残量、エラー状態、故障状態、等が例示される。
【0029】
また、サービスロボット情報300は、自律走行ロボット10の周囲の状況を示す周辺状況情報を含んでいてもよい。周辺状況情報は、上述の自律走行ロボット10の認識機能によって得られる。例えば、自律走行ロボット10は、周囲の状況を撮像するカメラを搭載している。周辺状況情報は、自律走行ロボット10のカメラによって撮像された画像(映像)を含んでいてもよい。
【0030】
更に、サービスロボット情報300は、各自律走行ロボット10の性能を示す性能情報を含んでいてもよい。性能情報は、自律走行ロボット10のサイズ、荷物格納容量、最大積載量、バッテリ容量、最大走行可能距離、最高移動速度、等を含む。性能情報は、自律走行ロボット10毎に予め作成される。
【0031】
図4は、本実施の形態に係るサービス管理装置100の機能構成例を示すブロック図である。情報処理装置130は、機能ブロックとして、ダッシュボード部140及びシミュレータ部150を備えている。これら機能ブロックは、1又は複数のプロセッサ131が1又は複数のメモリ132に格納されたコンピュータプログラムを実行することによって実現される。
【0032】
ダッシュボード部140は、サービス管理装置100の「ダッシュボード機能」を提供する。具体的には、ダッシュボード部140は、入力装置111を通してオペレータから入力される情報を受け付ける。また、ダッシュボード部140は、オペレータに対する様々な情報を表示装置112に表示する。更に、ダッシュボード部140は、通信装置120を介して自律走行ロボット10からサービスロボット情報300を取得する。
【0033】
シミュレータ部150は、サービス管理装置100の「シミュレータ機能」を提供する。シミュレータ部150は、サービスエリアAにおけるサービスのシミュレーションを行う。より詳細には、シミュレータ部150は、オペレータがシミュレーション条件を指定するために用いるシミュレーション設定画面を、ダッシュボード部140を介して表示装置112に表示する。また、シミュレータ部150は、オペレータによって指定されるシミュレーション条件を、ダッシュボード部140を介して受け取る。そして、シミュレータ部150は、オペレータによって指定されるシミュレーション条件に従ってシミュレーションを行う。更に、シミュレータ部150は、シミュレーション結果を、ダッシュボード部140を介して表示装置112に表示する。
【0034】
以下、本実施の形態に係るサービス管理装置100のダッシュボード機能とシミュレータ機能について更に詳しく説明する。
【0035】
3.サービス管理装置のダッシュボード機能
情報処理装置130(ダッシュボード部140)は、様々な情報を表示装置112に表示する。特に、情報処理装置130は、サービスエリアA内の自律走行ロボット10と通信を行い、サービスロボット情報300をリアルタイムに取得する。そして、情報処理装置130は、サービスロボット情報300に基づいて、サービスエリアAにおけるサービスの運用状態を表示装置112に表示する。これにより、オペレータは、サービスエリアAにおけるサービスの運用状態を把握、監視することができる。
【0036】
以下、サービスの一例として、物流サービスを考える。物流サービスとしては、荷物配送サービス、出前サービス、ランドリーサービス(laundry service)、ごみ収集サービス、等が例示される。物流サービスに利用される自律走行ロボット10は、自律走行可能な物流ロボットである。
【0037】
図5は、ダッシュボード機能の一例を説明するための概念図である。情報処理装置130は、サービスロボット情報300に基づいて、各自律走行ロボット10の位置をリアルタイムに表示する。より詳細には、情報処理装置130は、サービスエリアAの地図と各自律走行ロボット10の位置を重ねて表示装置112に表示する。サービスエリアAの地図は、サービスエリア構成情報200から得られる。地図は、概略地図であってもよいし詳細地図であってもよい。
図5に示される例において、地図上の丸印が、各自律走行ロボット10の位置を表し、丸印の近傍の数字が各自律走行ロボット10のID番号を表している。丸印の色や模様は、自律走行ロボット10の運用状態(On Duty, Off Duty, Charging)毎に異なっていてもよい。
【0038】
情報処理装置130は、エラーが発生している自律走行ロボット10を強調して表示してもよい。例えば、情報処理装置130は、エラーが発生している自律走行ロボット10を大きな赤丸で示す。「Error」という文字が付随して表示されてもよい。これにより、オペレータは、エラーが発生している自律走行ロボット10の存在及びその位置を、容易に把握することができる。
【0039】
自律走行ロボット10の種類は一つに限られない。複数種類の自律走行ロボット10が用いられてもよい。例えば、小型、中側、大型の自律走行ロボット10が用いられる。情報処理装置130は、表示装置112に表示する自律走行ロボット10の種類を切り替えるための「レイヤ変更スイッチ(Layer change switches)」を表示してもよい。オペレータは、レイヤ変更スイッチを用いて、表示装置112に表示される自律走行ロボット10を自由に切り替えることができる。
【0040】
また、
図5に示されるように、情報処理装置130は、様々なパネルを表示装置112に表示してもよい。例えば、日時を示すパネルが表示される。他の例として、複数の自律走行ロボット10の運用状態(On Duty, Off Duty, Charging)の分布を示すパネルが表示される。更に他の例として、複数の自律走行ロボット10(物流ロボット)が配送している荷物の種類(普通、冷蔵、冷凍、等)の分布を示すパネルが表示される。更に他の例として、物流センターの棚使用率(Shelf Usage)を示すパネルが表示される。更に他の例として、サービスエリアにおけるエネルギー消費(Energy Consumption)を示すパネルが表示される。パネルは、サービスエリアAの地図と重ねて表示されてもよい。オペレータは、不要なパネルを消すこともできる。
【0041】
また、情報処理装置130は、後述されるシミュレーション機能への切り替えを行う「シミュレーション切り替えスイッチ」を表示装置112に表示してもよい。オペレータは、シミュレーション切り替えスイッチを用いて、シミュレーション機能への切り替えを容易に行うことができる。
【0042】
シミュレーション機能によってシミュレーションが行われる場合、情報処理装置130は、シミュレーション結果を表示装置112に表示する。オペレータは、表示装置112に表示されるシミュレーション結果を検討、分析することができる。
【0043】
情報処理装置130は、表示装置112に表示される情報(サービスエリアAの運用状態)の時刻を変更するための「時間軸(Timeline)変更バー」を表示してもよい。未来の情報は、シミュレーション結果から得られる。オペレータは、時間軸変更バーを用いて、表示装置112に表示される情報の時刻を自由に変更することができる。
【0044】
表示装置112に表示されている物(例:自律走行ロボット10、建物、等)の詳細情報を知りたい場合、オペレータは、その対象物を指定(選択)する。例えば、オペレータは、入力装置111を用いて、表示されている対象物をクリックあるいはタップすることによって、対象物を指定することができる。情報処理装置130は、オペレータによって指定された物の詳細情報を表示する。
【0045】
図6は、ある建物がオペレータによって指定された場合を示している。情報処理装置130は、オペレータによって指定された建物の詳細情報を示す建物ウィンドウを表示装置112に表示する。典型的には、建物ウィンドウは、ポップアップウィンドウである。例えば、建物ウィンドウは、建物内の構成(フロア構成)を示す。建物内の構成は、サービスエリア構成情報200から得られる。建物ウィンドウは、建物内に存在する自律走行ロボット10の位置を示してもよい。建物ウィンドウは、建物内に存在する自律走行ロボット10運用状態(On Duty, Off Duty, Charging)の分布を示してもよい。
【0046】
図7は、ある自律走行ロボット10がオペレータによって指定された場合を示している。情報処理装置130は、サービスロボット情報300に基づいて、オペレータによって指定された自律走行ロボット10の状態を示す「状態ウィンドウ」を表示装置112に表示する。典型的には、状態ウィンドウは、ポップアップウィンドウである。例えば、状態ウィンドウは、オペレータによって指定された自律走行ロボット10の速度、走行距離、積載重量、荷物種別、バッテリ残量、エラー状態、故障状態、等を示す。これにより、オペレータは、サービスエリアAにおけるサービスの運用状態を容易に把握することができる。
【0047】
状態ウィンドウは、オペレータによって指定された自律走行ロボット10の視界情報を示してもよい。具体的には、自律走行ロボット10は、周囲の状況を撮像するカメラを搭載している。状態ウィンドウは、オペレータによって指定された自律走行ロボット10のカメラによって撮像された画像(映像)を含んでいてもよい。これにより、オペレータは、自律走行ロボット10の周囲の状況を把握することができる。
【0048】
自律走行ロボット10は、走行ルートに従って出発地から目的地へ自律的に走行する。情報処理装置130は、オペレータによって指定された自律走行ロボット10の走行ルートを背景の地図に重ね合わせて表示してもよい。状態ウィンドウは、走行ルートに沿った位置の履歴を示してもよい。例えば、状態ウィンドウは、走行ルートに沿った位置の履歴を示す位置履歴グラフを含む。
【0049】
図8は、位置履歴グラフの一例を示している。縦軸は、時間を表している。横軸は、出発地から走行ルートに沿った移動距離、すなわち、自律走行ロボット10の位置を表している。自律走行ロボット10が移動している場合、時間の経過に従って位置が変化する。位置履歴グラフは、理想的な位置と実際の位置を対比して示してもよい。理想的な位置と実際の位置との対比により、自律走行ロボット10の遅延度合いを把握することができる。
【0050】
自律走行ロボット10がエレベータを利用する場合もある。自律走行ロボット10がエレベータを待っている間、時間が経過しても自律走行ロボット10の位置は変わらない。走行ルート上のエレベータ位置は、サービスエリア構成情報200から分かる。従って、エレベータ位置における自律走行ロボット10の停止は予期できる。
図6に示される例では、移動距離D1、D2、D3に相当する位置にエレベータが存在する。それら位置における自律走行ロボット10の停止は想定内である。
【0051】
しかしながら、何らかの理由により、自律走行ロボット10が予期しない位置において予期せず停止する場合もあり得る。その場合、
図8に示されるように、自律走行ロボット10の位置は、予期しない位置のまま一定時間以上変わらない。
図8に示されるような位置履歴グラフが表示されることにより、オペレータは、自律走行ロボット10が予期しない位置において一定時間以上予期せず停止していることを容易に認識することができる。
【0052】
ある自律走行ロボット10が予期しない位置において一定時間以上予期せず停止した場合、情報処理装置130は、その自律走行ロボット10に関するアラートを表示装置112に表示してもよい。例えば、既出の
図5で示されたように、情報処理装置130は、エラーが発生した自律走行ロボット10を強調して表示する。情報処理装置130は、エラーが発生した自律走行ロボット10を大きな赤丸で示してもよい。「Error」という文字が付随して表示されてもよい。これにより、オペレータは、エラーが発生している自律走行ロボット10の存在及びその位置を、容易に把握することができる。
【0053】
オペレータは、エラーが発生している自律走行ロボット10を指定(選択)することができる。オペレータによる指定に応答して、情報処理装置130は、エラーが発生している自律走行ロボット10の状態を示す状態ウィンドウを表示装置112に表示する。これにより、オペレータは、エラーが発生している自律走行ロボット10の詳細状態を容易に把握することができる。既出の
図7に示されるように、状態ウィンドウは、「Error」や「Stuck」といった文字を強調して示してもよい。例えば、状態ウィンドウは、「Error」や「Stuck」といった文字を赤い太文字で表示する。状態ウィンドウは、
図8で示されたような位置履歴グラフを含んでいてもよい。状態ウィンドウは、エラーが発生している自律走行ロボット10のカメラによって撮像された画像を含んでいてもよい。これにより、オペレータは、エラーが発生している自律走行ロボット10の周囲の状況を把握することができる。
【0054】
情報処理装置130は、複数の自律走行ロボット10の走行履歴に基づいて、サービスエリアA内で予期しない停止が発生したエラー発生位置を収集してもよい。サービスエリアA内のエラー発生位置を一定期間収集することによって、サービスエリアA内のエラー発生頻度分布を示す「ヒートマップ」を生成することができる。
図9は、そのようなヒートマップの一例を示している。情報処理装置130は、エラー発生頻度分布を示すヒートマップを表示装置112に表示してもよい。これにより、オペレータは、エラー発生頻度の高い位置を容易に把握することができる。
【0055】
エラー発生の原因を究明したり、エラー発生を低減するための措置を検討するためには、以下に説明されるようなシミュレータ機能が有用である。
【0056】
4.サービス管理装置のシミュレータ機能
情報処理装置130(シミュレータ部150)は、サービスエリアAにおけるサービスのシミュレーションを行う。例えば、情報処理装置130は、サービスエリアAにおける複数の自律走行ロボット10の自律走行に関してマルチエージェントシミュレーションを行う。情報処理装置130は、シミュレーション結果を表示装置112に表示する。
【0057】
情報処理装置130は、オペレータがシミュレーション条件を指定するために用いる「シミュレーション設定画面」を表示装置112に表示してもよい。オペレータは、オペレータインタフェース110(入力装置111)を用いて、シミュレーション設定画面上でシミュレーション条件を指定する。情報処理装置130は、オペレータによって指定されるシミュレーション条件を受け付け、指定されたシミュレーション条件に従ってシミュレーションを行う。
【0058】
図10は、シミュレーション設定画面の一例を示す概念図である。シミュレーション条件は、自律走行ロボット10の数及び種類を含んでいてもよい。オペレータは、シミュレーション設定画面上で、自律走行ロボット10の種類毎の数を指定することができる。シミュレーション条件は、小型の自律走行ロボット10(Roomie)による配送を許可するか禁止するかを含んでいてもよい。オペレータは、小型の自律走行ロボット10による配送を許可するか禁止するかを指定することができる。
【0059】
図11は、シミュレーション設定画面の他の例を示す概念図である。シミュレーション条件は、自律走行ロボット10の性能を含んでいてもよい。例えば、自律走行ロボット10の性能は、最高速度(Max Speed)、情緒反応レベル(Emotional Reaction Level)、相互作用距離(Interaction Distance)、エフェクト豊富度(Effects Richness)、等を含む。例えば、自律走行ロボット10は、各種情報を表示するディスプレイを備えている。ディスプレイには、人に対するメッセージ(例:「こんにちわ(Hello)」、「ありがとう(Thank you)」、等)が表示される。情報反応レベルは、そのような人に対するメッセージを出す頻度を指定する。オペレータは、シミュレーション設定画面上で、自律走行ロボット10の性能を指定することができる。
【0060】
図12は、シミュレーション設定画面の更に他の例を示す概念図である。シミュレーション条件は、自律走行ロボット10に課される規制(制限)のON/OFFを含んでいてもよい。自律走行ロボット10に課される規制のON/OFFとしては、次のようなものが例示される。
[A]自律走行ロボット10がモビリティ(例:自動車、バス)が走行する車道を走行することを禁止するか許可するか。
[B]自律走行ロボット10が歩道を走行することを禁止するか許可するか。
[C]自律走行ロボット10が人用エレベータに乗ることを禁止するか許可するか。
シミュレーション条件は、これら規制のON/OFFの少なくとも1つを含む。オペレータは、シミュレーション設定画面上で、自律走行ロボット10に課される規制のON/OFFを指定することができる。
【0061】
図13は、シミュレーション設定画面の更に他の例を示す概念図である。サービスエリアAでは、複数種類のサービスが提供される場合がある。その場合、シミュレーション条件は、複数種類のサービスの各々のON/OFFを含んでいてもよい。
図13に示される例では、物流サービスに関連する複数種類のサービスは、コンビニエンスストア受け取りサービス、ごみ収集サービス、ランドリーサービス、冷凍/チルド配送サービスを含んでいる。オペレータは、シミュレーション設定画面上で、複数種類のサービスの各々のON/OFFを指定することができる。
【0062】
図14は、シミュレーション設定画面の更に他の例を示す概念図である。シミュレーション条件は、時間帯、曜日、季節、及び天候のうち少なくとも1つを含んでいてもよい。オペレータは、シミュレーション設定画面上で、時間帯、曜日、季節、及び天候のうち少なくとも1つを指定することができる。
【0063】
図15は、シミュレーション設定画面の更に他の例を示す概念図である。シミュレーション条件は、サービスエリアA内の人間の種類や数を含んでいてもよい。オペレータは、シミュレーション設定画面上で、人間の種類毎の数を指定することができる。
【0064】
尚、シミュレーション設定画面には、シミュレーション実行ボタン(Run simulation)が表示されていてもよい。オペレータは、シミュレーション実行ボタンを選択することによって、シミュレーションを開始することができる。
【0065】
図16は、シミュレーション結果の一例を示している。例えば、自律走行ロボット10(物流ロボット)による配送が時間通りに行われる割合が見積もられる。配送が時間通りに行われない割合は、遅延発生率である。
図16に示される例では、5パターンのシミュレーション条件が用意され、それぞれのシミュレーション条件の場合の5パターンのシミュレーション結果が同時に表示されている。オペレータは、5パターンのシミュレーション結果を比較することによって、シミュレーション条件の影響を分析したり、最適なサービス提供条件を検討することができる。最適なサービス提供条件の基準としては、「低遅延(ユーザ満足度が高い)」だけでなく、「環境にやさしいこと(Ecology)」も考えられる。様々な観点から、最適なサービス提供条件を検討することが好ましい。
【0066】
このように、本実施の形態によれば、オペレータがシミュレーション条件を指定するために用いるシミュレーション設定画面が、表示装置112に表示される。オペレータは、シミュレーション設定画面を通して、シミュレーション条件を自由に設定することができる。そして、オペレータによって指定されたシミュレーション条件に従ってシミュレーションが行われ、シミュレーション結果が表示装置112に表示される。オペレータは、シミュレーション結果に基づいて、サービスエリアAにおけるサービスに関する分析、検討を行うことができる。また、オペレータは、必要に応じてシミュレーション条件を変更することができる。
【0067】
シミュレーションの用途としては、様々なものが考えられる。例えば、
図16で示されたように、シミュレーション条件を様々に変えながら、物流サービスの遅延を見積もることができる。また、シミュレーション条件を様々に変えることによって、最適なサービス提供条件を検討することができる。
【0068】
他の例として、シミュレーション条件を様々に変えることによって、自律走行ロボット10のエラー(
図7~
図9参照)が発生する原因を究明することができる。また、シミュレーション条件を様々に変えることによって、エラー発生を低減するための措置を検討することができる。
【0069】
更に他の例として、シミュレーション条件を様々に変えることによって、最適な街の構成を検討することができる。例えば、道路の配置や種類を様々に変えることによって、最適な道路の配置や種類を検討することができる。
【0070】
更に他の例として、シミュレーションを行うことによって、サービス運用上の課題を抽出することができる。また、シミュレーションを行うことによって、人間が自律走行ロボット10等の挙動に対してどのような印象を抱くのかのイメージを得ることができる。
【符号の説明】
【0071】
1 サービス提供システム
10 自律走行ロボット
100 サービス管理装置
110 オペレータインタフェース
111 入力装置
112 表示装置
120 通信装置
130 情報処理装置
131 プロセッサ
132 メモリ
140 ダッシュボード部
150 シミュレータ部
200 サービスエリア構成情報
300 サービスロボット情報
A サービスエリア