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特許7380525走行制御装置、走行制御プログラム及び走行制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】走行制御装置、走行制御プログラム及び走行制御システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20231108BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20231108BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20231108BHJP
   B60L 53/122 20190101ALI20231108BHJP
   B60L 53/66 20190101ALI20231108BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20231108BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20231108BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20231108BHJP
   H02J 50/40 20160101ALI20231108BHJP
【FI】
G08G1/09 Q
B60M7/00 X
B60L5/00 B
B60L53/122
B60L53/66
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
H02J7/02 F
H02J50/12
H02J50/40
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020185109
(22)【出願日】2020-11-05
(65)【公開番号】P2022074774
(43)【公開日】2022-05-18
【審査請求日】2022-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 真輝
(72)【発明者】
【氏名】高橋 祐希
(72)【発明者】
【氏名】吉田 咲子
(72)【発明者】
【氏名】山田 築
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 義正
(72)【発明者】
【氏名】今村 朋範
【審査官】秋山 誠
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2017/002471(JP,A1)
【文献】特開平10-143793(JP,A)
【文献】特開2020-064572(JP,A)
【文献】特開2000-163699(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/09
B60M 7/00
B60L 5/00
B60L 53/122
B60L 53/66
H02J 7/00
H02J 7/02
H02J 50/12
H02J 50/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一方向に車両が走行する複数の走行レーンであって、各走行レーンを走行する車両の種別が指定される複数の走行レーンにおいて、災害に関する情報を取得した場合に、各走行レーンにおいて走行する前記車両の種別の指定を解除するプロセッサ、
を備え
各走行レーンには、前記車両に電力を供給する給電装置が設置され、
前記プロセッサは、各走行レーンにおける給電比率を、前記給電装置を管理する給電管理装置に送信する、
走行制御装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記走行レーンにおいて前記車両の種別が指定されている場合は各走行レーンにおいて指定される車両の種別に応じた給電比率を設定し、前記種別の指定が解除された場合は各走行レーンに対して均等な供給比率を設定する、
請求項に記載の走行制御装置。
【請求項3】
プロセッサに、
同一方向に車両が走行する複数の走行レーンであって、前記車両に電力を供給する給電装置がそれぞれ設置され、各走行レーンを走行する車両の種別が指定される複数の走行レーンにおいて、各走行レーンにおける給電比率を、前記給電装置を管理する給電管理装置に送信し、災害に関する情報を取得した場合に、各走行レーンにおいて走行する前記車両の種別の指定を解除する、
ことを実行させる走行制御プログラム。
【請求項4】
前記プロセッサに、
前記走行レーンにおいて前記車両の種別が指定されている場合は各走行レーンにおいて指定される車両の種別に応じた給電比率を設定し、前記種別の指定が解除された場合は各走行レーンに対して均等な供給比率を設定する、
ことを実行させる請求項に記載の走行制御プログラム。
【請求項5】
同一方向に車両が走行する複数の走行レーンであって、各走行レーンを走行する車両の種別が指定される複数の走行レーンと、
前記複数の走行レーンにおいて、災害に関する情報を取得した場合に、各走行レーンにおいて走行する前記車両の種別の指定を解除する第1のプロセッサを有する走行制御装置と、
各走行レーンに設けられ、前記車両に電力を供給する給電装置と、
前記給電装置を給電制御する第2のプロセッサを有する給電制御装置と、
を備え
前記第1のプロセッサは、各走行レーンにおける給電比率を、前記給電装置を管理する給電管理装置に送信する、
走行制御システム。
【請求項6】
前記第1のプロセッサは、前記走行レーンにおいて前記車両の種別が指定されている場合は各走行レーンにおいて指定される車両の種別に応じた給電比率を設定し、前記種別の指定が解除された場合は各走行レーンに対して均等な供給比率を設定する、
請求項に記載の走行制御システム。
【請求項7】
前記第2のプロセッサは、設定された前記給電比率に基づいて、各走行レーンに設置される前記給電装置への給電を制御する、
請求項に記載の走行制御システム。
【請求項8】
前記給電装置は、無線通信によって給電信号を前記車両へ送信する、
請求項に記載の走行制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、走行制御装置、走行制御プログラム及び走行制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、災害時、ハイブリッド走行モードやEV走行モードで走行可能な車両のうち、緊急性の高い車両が優先して給電設備を使用できるように給電設備が制御されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-008339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、走行できる車両の種別が指定されている走行レーンでは、災害時に走行レーンが被災した場合、その被災レーンが緊急性の高い車両等が走行するレーンだと、緊急性の高い車両が移動できなくなったり、物資が搬送できなくなったりする場合があった。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、災害時等に、緊急性の高い車両の走行を維持することができる走行制御装置、走行制御プログラム及び走行制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る走行制御装置は、同一方向に車両が走行する複数の走行レーンであって、各走行レーンを走行する車両の種別が指定される複数の走行レーンにおいて、災害に関する情報を取得した場合に、各走行レーンにおいて走行する前記車両の種別の指定を解除するプロセッサ、を備える。
【0007】
また、本開示に係る走行制御プログラムは、プロセッサに、同一方向に車両が走行する複数の走行レーンであって、各走行レーンを走行する車両の種別が指定される複数の走行レーンにおいて、災害に関する情報を取得した場合に、各走行レーンにおいて走行する前記車両の種別の指定を解除する、ことを実行させる。
【0008】
また、本開示に係る走行制御システムは、同一方向に車両が走行する複数の走行レーンであって、各走行レーンを走行する車両の種別が指定される複数の走行レーンと、前記複数の走行レーンにおいて、災害に関する情報を取得した場合に、各走行レーンにおいて走行する前記車両の種別の指定を解除する第1のプロセッサを有する走行制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、災害時等に、緊急性の高い車両の走行を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、一実施形態に係る走行制御システムを示す概略図である。
図2図2は、一実施形態に係る車両(車両制御装置)の構成を説明するためのブロック図である。
図3図3は、一実施形態に係る走行制御システムにおける車両と走行レーンの一例を示す図である。
図4図4は、一実施形態に係る走行制御システムが行う走行制御処理を説明するシーケンス図である。
図5図5は、一実施形態に係る走行制御システムにおける、災害時の走行レーンの制御態様の一例を示す図である。
図6図6は、変形例に係る走行制御システムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施形態の全図においては、同一又は対応する部分には同一の符号を付す。また、本開示は以下に説明する実施形態によって限定されるものではない。
【0012】
(実施の形態)
まず、一実施形態に係る走行制御システムについて説明する。図1は、一実施形態に係る給電管理装置を備える走行制御システムを示す概略図である。図2は、一実施形態に係る車両(車両制御装置)の構成を説明するためのブロック図である。図3は、一実施形態に係る走行制御システムにおける車両と走行レーンの一例を示す図である。
【0013】
図1に示すように、この一実施形態による走行制御システム1は、走行レーン管理装置20、車両30、及び給電管理装置40を備える。この一実施形態による走行制御システム1においては、走行レーン管理装置20、各車両30、及び給電管理装置40が、ネットワーク10によって互いに通信可能に接続されている。ネットワーク10は、走行レーン管理装置20、車両30、及び給電管理装置40の相互間で通信可能な、インターネット回線網や携帯電話回線網等から構成される。本実施の形態において、車両30は、ハイブリッド走行モードやEV走行モードで走行可能な車両であるものとする。車両30は、給電管理装置40が管理する給電装置41から供給される電力によって充電される。
【0014】
走行レーン管理装置20は、走行レーンを走行する車両30の隊列を制御するとともに、走行レーンにおける給電態様を制御するための情報を給電管理装置40に送信する。走行レーン管理装置20は、制御情報作成部21、制御部22及び記憶部23を備える。走行レーン管理装置20は、CPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等を含む一つ又は複数のコンピュータ等を用いて構成される。走行レーン管理装置20は、走行制御装置に相当する。
【0015】
制御情報作成部21は、受信した災害に関する情報に基づいて、走行レーンにおける給電を制御するための走行レーン制御情報を作成する。
【0016】
制御部22は、走行レーン管理装置20の各部の動作を統括的に制御する。また、制御部22は、車両30の走行を制御する。制御部22は、車両30の種別に応じて、各車両30が走行する走行レーン、走行速度を制御する。本実施の形態では、通常、制御部22の制御のもと、走行レーンを走行する車両の種別が規制される。例えば、緊急性の高さに応じて車両30の種別ごとに走行する走行レーンが規制される。緊急性は、医療、物資搬送等の公共性が高いほど、高くなる。
【0017】
記憶部23は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体を用いて構成され、各種プログラム及び各種データが書き込み及び読み出し可能に格納されている。この記録媒体としては、光ディスク、フラッシュメモリ、磁気ディスク等の記憶媒体、及びこれらの記憶媒体のドライブ装置を有して構成される。
【0018】
また、記憶部23は、制御情報作成部21が制御情報を作成する際に用いる給電制御情報を記憶する。この給電制御情報は、走行レーンに対する種別指定又は指定解除時において、各走行レーンに割り当てられる制御種別に応じた給電比率を含む。給電比率は、例えば、走行する車両30の大きさに応じた供給電力の大小関係に応じて決定される。給電比率は、走行する車両30の大きさが大きい走行レーンほど、給電装置41が供給する電力が大きくなるように設定される。
【0019】
本実施の形態では、車両30と給電装置41との間で、非接触充電が実施される。車両30に設けられる受信部31と、給電管理装置40に接続する給電装置41とが通信することによって、給電信号が車両30に送信される。受信部31及び給電装置41は、例えば、それぞれコイル、スイッチング回路及び整流平滑回路を用いて構成され、磁界共鳴方式によって給電信号を送受信する。これにより、車両30と、給電装置41とは非接触の状態で通信する。給電装置41は、給電区間を長くとるうえで、走行レーンに沿って延びていることが好ましい。なお、本実施の形態では、電磁波を利用して給電、及び情報を送信する例を説明するが、光を利用して給電/情報送信する構成としてもよい。
また、受信部31は、車両30のバッテリの蓄電残量が上限値に達している場合は、給電信号の入力を受け付けないようにしてもよい。蓄電残量は、例えばSOC(State Of Charge)である。
【0020】
給電装置41は、車両が走行する複数の車線(走行レーン)に設けられ、給電管理装置40と電気的に接続する。また、本実施の形態において、給電装置41は、当該給電装置41上に位置する車両30を検知する検知機能や、当該車両30の情報を受信する受信機能を備えてもよい。この検知機能及び受信機能は、例えばループアンテナを用いて構成される。例えば、検知機能は、車両30を検知した際には給電管理装置40に検知信号を送信する。なお、給電用のコイル等によって車両の検知が可能であれば、そのコイルを給電用と共通に検知用として用いてもよい。
【0021】
続いて、車両30の構成について図2を参照して説明する。車両30は、受信部31、並びに、通信部32、GPS(Global Positioning System)部33、入出力部34、ECU(Electronic Control Unit)35を備える。また、車両30には、各部に電力を供給するバッテリ36が設けられる。このバッテリ36は、充電可能に構成される。
本実施の形態では、通信部32、GPS部33、入出力部34及びECU35によって車両制御装置300を構成する。車両制御装置300は、CPU、FPGA、ROM、及びRAM等からなる一つ又は複数のコンピュータ等を用いて構成される。
【0022】
受信部31は、給電装置41からの給電信号を受信する。なお、受信部31は、光等の給電装置41からエネルギーを取得する構成としてもよいし、給電装置41に自身の情報を電磁波に乗せて送信してもよい。受信部、取得部及び送信部は、一体ではなく別体で設けてもよい。受信部31が受信した給電信号が、電力としてバッテリ36に供給される。
【0023】
通信部32は、ネットワーク10を介した無線通信によって、走行レーン管理装置20との間で通信を行う。通信部32は、走行レーン管理装置20から、車両30の運転を支援する運転支援情報を受信する。なお、運転支援情報は、走行する走行レーン、速度に関する走行情報や、規制や渋滞等の道路交通情報を含む。また、通信部32が、給電管理装置40に自身の情報を送信する構成としてもよい。
【0024】
GPS部33は、GPS衛星からの電波を受信して、車両30の位置を検出する。検出された位置は、車両30の位置情報として、外部(走行レーン管理装置20)に出力されるか、又は記憶部に格納される。
【0025】
また、入出力部34は、タッチパネルディスプレイや、スピーカ、マイク等から構成される。入出力部34は、ECU35による制御に従って、タッチパネルディスプレイの画面上に文字や図形等を表示したり、スピーカから音を出力したりして、運転支援に関する情報等の所定の情報を入出力可能に構成される。また、入出力部34は、車両30の利用者等がタッチパネルディスプレイを操作したり、マイクに向けて音声を発したりすることによって、ECU35に所定の情報を入力可能に構成される。
【0026】
ECU35は、CPU、FPGA、ROM、及びRAM等からなるマイクロコンピュータ等の情報処理装置によって構成されている。ECU35は、車両30の各部の電気的な動作を統括的に制御する。ECU35は、入力されたデータや予め記憶しているデータ及びプログラムを使用して演算を行い、その演算結果を制御指令信号として出力するように構成されている。
【0027】
なお、車両30は、ハードディスクや半導体メモリ等の記憶媒体、及びこれらの記憶媒体のドライブ装置を含む記憶部や、車両30に近付く物体を検知するセンサ等を備える。記憶部には、ECU35が車両30の各部の作動を統括的に制御するために必要なオペレーティングシステム(OS)や各種アプリケーションのプログラムが格納されている。
【0028】
また、車両30には、車両30を駆動するための制御機構及び操作機構を備えている。具体的に、車両30は、駆動機構として、パワートレイン及び駆動輪とを備える。パワートレインは、駆動力を発生して出力軸から出力する動力源と、動力源が出力した駆動力を駆動輪に伝達する動力伝達機構と、を備えている。
また、操作機構は、シフトレバーや、アクセルペダル等によって構成される。
本実施の形態では、車両30が自動運転によって走行し、ECU35の制御のもと、各部が指示信号に従って駆動する。ECU35は、走行レーン管理装置20の制御のもと、車両30を、設定された速度で、設定された走行レーンを走行させる。
【0029】
給電管理装置40は、給電装置41に接続し、給電装置41が各車両30から取得した情報を受信し、受信した情報に基づいて車両30への給電を制御する。給電管理装置40は、CPU、FPGA、ROM、及びRAM等からなる一つ又は複数のコンピュータ等を用いて構成される。
【0030】
また、給電管理装置40は、制御部40aを備える。
制御部40aは、給電管理装置40の各部の動作を統括的に制御する。制御部40aは、走行レーン管理装置20から取得した制御情報をもとに、各走行レーンに設置される給電装置41への給電を制御する。
【0031】
ここで、本実施の形態では、同一方向に車両30が進行する走行レーンを三つ、その走行レーンに隣接して、逆方向に車両30が走行する走行レーンを三つ、計六つの走行レーンが設けられる道路50を例に説明する。具体的には、第1走行レーン51、第2走行レーン52及び第3走行レーン53において車両30が同一方向に走行し、第4走行レーン54、第5走行レーン55及び第6走行レーン56において車両30が同一方向に走行する。
【0032】
また、本実施の形態では、通常、各走行レーンを走行する車両30の種別が規制されているものとする。具体的には、第1走行レーン51及び第4走行レーン54に小型、第2走行レーン52及び第5走行レーン55に中型、第3走行レーン及び第6走行レーン56に大型の車両30が走行するよう規制される。ここでいう通常とは、事故や災害等によって、道路50の走行に支障がない状態をさす。また、車両30の小型、中型及び大型は、車両30の重量(積載可能重量を含む)によって分類される。緊急性の高い車両は、例えば大型車に分類される。例えば、図3では、大型の車両30を30L、中型の車両30を30M、小型の車両30を30Sとしている。
【0033】
給電装置41は、各走行レーンにおいて、予め設定された間隔で複数設けられる。給電装置41は、例えば、数km間隔で設けられる。なお、図3では、給電装置41の設置領域が、車両30よりも小さい(短い)例について図示しているが、車両30よりも長くしたり、給電範囲を調整したりすることができる。
【0034】
本実施の形態では、通常時、各走行レーンを走行する車両30の種別が決まっているため、その種別に応じて各走行レーンの給電装置41に供給される電力が設定される。例えば、大型の走行レーンに設置されている給電装置41には、供給される電力が相対的に大きく、小型の走行レーンに設置されている給電装置41には、供給される電力が相対的に小さい。中型の走行レーンに設置されている給電装置41への給電は、小型、大型の走行レーンの給電装置41への供給電力の中間程度となる。このように給電比率を制御することによって、走行する車両30に応じた電力が供給される。
【0035】
続いて、走行制御システム1が行う走行制御処理について、図4を参照して説明する。図4は、一実施形態に係る走行制御システムが行う走行制御処理を説明するシーケンス図である。
【0036】
まず、走行レーン管理装置20の制御部22は、災害に関する情報(以下、災害情報という)の受信の有無を判断する(ステップS101)。災害情報は、例えば、国や地方自治体の防災センター等から配信される。制御部22は、災害情報を受信していないと判断した場合(ステップS101:No)、受信確認を繰り返す。これに対し、制御部22は、災害情報を受信したと判断した場合(ステップS101:Yes)、ステップS102に移行する。なお、災害情報を取得する前は、走行レーン制御は、通常状態であるものとする。すなわち、各走行レーンには、走行する車両30の種別が指定され、給電比率も行レーンを走行する車両30の種別に対応する比率となっている。
【0037】
ステップS102において、制御情報作成部21は、受信した災害情報に基づいて、走行レーンを走行する車両30の種別の指定解除する旨の情報と、走行レーンにおける給電比率とを含む走行レーン制御情報を作成する。ここで作成される給電比率は、指定解除後の各走行レーンにおける給電比率である。指定が解除されると、走行レーンには、全種別の車両30が走行するため、すべての走行レーンへの供給電力を均等にする。この際、供給電力は、給電力が均等であればよいが、大型の車両30(30L)への電力供給を確実に行うため、通常時に車両30Lが走行する走行レーンに供給される電力に合わせて、各走行レーンの供給電力が均等となるように設定されることが好ましい。
【0038】
制御部22は、ステップS102において作成された走行レーン制御情報を、給電管理装置40に送信する(ステップS103)。この際、走行レーン制御情報は、災害エリアの給電装置41を管轄する給電管理装置40に送信される。
【0039】
制御部22は、走行レーンにおける種別の指定を解除することによって、走行規制を解除する(ステップS104)。これにより、各車両30は、複数の走行レーンのいずれかを走行することが可能になる。例えば、図3に示す、同一方向に走行する第1走行レーン51、第2走行レーン52及び第3走行レーン53のうち、第3走行レーン53を走行していた車両30は、指定の解除によって、第3走行レーン53に加え、第1走行レーン51、第2走行レーン52を走行することができる。
この際、車両30は、制御部22によって割り振られる走行レーンを走行する、すなわち自動運転を継続して車両30が走行する走行レーンが制御されるようにしてもよいし、運転者が指定された走行レーンを走行するように手動運転するようにしてもよい。
【0040】
図5は、一実施形態に係る走行制御システムにおける、災害時の走行レーンの制御態様の一例を示す図である。図5は、第3走行レーン53と、第5走行レーンが被災して走行できない状態になった場合を示している。走行車両の種別が指定されている状態(図3参照)から、指定が解除されると、各車両30(車両30L、30M、30S)は、図5に示すように、種別によらず各走行レーン(ここでは、第1走行レーン51、第2走行レーン52、第4走行レーン54及び第6走行レーン56)を走行する。
【0041】
一方、給電管理装置40は、走行レーン制御情報を受信したか否かを判断する(ステップS105)。制御部40aは、走行レーン制御情報を受信していないと判断した場合(ステップS105:No)、走行レーン制御情報の受信確認を繰り返す。これに対し、制御部40aは、走行レーン制御情報を受信したと判断した場合(ステップS105:Yes)、ステップS106に移行する。
【0042】
ステップS106において、制御部40aは、走行レーン制御情報に従い、各走行レーンの給電制御を変更する。制御部40aは、指定解除に伴い、各走行レーンへ供給する電力を均等にする。この際、被災して車両30が走行しない走行レーンには電力を供給しないようにしてもよい。
【0043】
ステップS104及びS106の制御によって、例えば、緊急性の高い車両30(車両30L)が走行する走行レーン(図3では第3走行レーン53、第6走行レーン56)が被災して走行できなくなった場合であっても、他の走行レーンを走行して移動することができる。この際、給電比率が均等になっているため、走行レーンによらずバッテリ36に充電される。
【0044】
その後、制御部22は、災害に因る規制を解除する解除情報を受信したか否かを判断する(ステップS107)。ここで、制御部22は、解除情報を受信していないと判断した場合(ステップS107:No)、受信確認を繰り返す。これに対し、制御部22は、解除情報を受信したと判断すると(ステップS107:Yes)、ステップS108に移行する。
【0045】
ステップS108において、制御部22は、車両30に対する種別指定を再設定するとともに、解除情報を給電管理装置40に送信する。
【0046】
制御部40aは、解除情報を受信したか否かを判断する(ステップS109)。制御部40aは、解除情報を受信していないと判断した場合(ステップS109:No)、受信確認を繰り返す。これに対し、制御部40aは、解除情報を受信したと判断した場合(ステップS109:Yes)、ステップS110に移行する。
【0047】
ステップS110において、制御部40aは、各走行レーンにおける給電装置41への給電比率を通常の比率に戻す。
【0048】
以上説明した本実施の形態では、走行レーン管理装置20が、走行レーンに対して走行する車両30の種別が指定された通常状態において、災害が発生した場合に、その車両の種別の指定を解除する。これにより、緊急性の高い車両30が走行する走行レーンが被災した場合であっても、他の走行レーンを走行することによって、緊急性の高い車両の移動を維持することができる。本実施の形態によれば、通常、走行レーンにおいて、走行する車両30の種別が指定される場合において、災害時等に、緊急性の高い車両の走行を維持することができる。
【0049】
なお、実施の形態では、走行レーン管理装置によって、各車両30が走行する走行レーン、速度が制御される車両30が自動運転によって走行する例について説明したが、各車両30が、運転者の操作に従う手動運転によって走行する場合にも適用できる。手動運転の場合、例えば、通常時には、車両30のディスプレイに、自身の車両が走行すべき走行レーンの指定情報が表示されたり、指定とは異なる走行レーンを走行時に指定の走行レーンを報知する音声が出力されたりする。この際、運転者は、指示に従って車両30を操作し、所定の走行レーンを走行する。また、指定が解除された場合は、解除された旨の情報が出力される。
【0050】
(変形例)
図6は、変形例に係る走行制御システムを示す概略図である。変形例に係る走行制御システムは、実施の形態に係る実施の形態に係る走行制御システム1と同等の構成を備える。本変形例では、走行レーンとして、第1走行レーン51~第6走行レーン56に加え、地下搬送レーン57を備える。
【0051】
地下搬送レーン57は、道路50の地下に設けられ、物流用の車両30が走行する。すなわち、通常、地下搬送レーン57は、走行する車両30が物流用の車両のみに規制されている。また、地下搬送レーン57においても、給電装置41が設けられ、当該地下搬送レーン57を走行する車両30へ給電が行われる。
【0052】
走行レーン管理装置20は、災害時、地下搬送レーン57を含めた、第1走行レーン51~第6走行レーン56、及び地下搬送レーン57において種別によらず車両30を走行させる。この際、各走行レーンへの給電比率は、各走行レーンへの供給電力が均等になるように設定される。なお、地下搬送レーン57には、搬送用の車両30の他、医療等の緊急の車両30に限定して走行可能なようにしてもよい。
【0053】
以上説明した本変形例では、実施の形態と同様に、走行レーン管理装置20が、走行レーンに対して走行する車両30の種別が指定された通常状態において、災害が発生した場合に、その車両の種別の指定を解除する。これにより、緊急性の高い車両30が走行する走行レーンが被災した場合であっても、他の走行レーンを走行することによって、緊急性の高い車両の移動を維持することができる。本変形例によれば、通常、走行レーンにおいて、走行する車両30の種別が指定される場合において、災害時等に、緊急性の高い車両の走行を維持することができる。
【0054】
(記録媒体)
一実施形態において、走行制御システムによる処理方法を実行可能なプログラムを、コンピュータその他の機械又は装置(以下、コンピュータなど、という)が読み取り可能な記録媒体に記録することができる。コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、当該コンピュータ等が災害特定システムの各装置の制御部として機能する。ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データ又はプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、又は化学的作用によって蓄積し、コンピュータなどから読み取ることができる非一時的な記録媒体をいう。このような記録媒体のうちのコンピュータなどから取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R/W、DVD(Digital Versatile Disk)、BD、DAT、磁気テープ、フラッシュメモリ等のメモリカード等がある。また、コンピュータ等に固定された記録媒体としてハードディスク、ROM等がある。さらに、SSDは、コンピュータなどから取り外し可能な記録媒体としても、コンピュータ等に固定された記録媒体としても利用可能である。
【0055】
(その他の実施形態)
また、一実施形態による走行制御システムにおいては、「部」は、「回路」等に読み替えることができる。例えば、通信部は、通信回路に読み替えることができる。
【0056】
また、一実施形態による走行制御システムの各装置に実行させるプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。
【0057】
さらなる効果、変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。本開示のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細及び代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付のクレーム及びその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 走行制御システム
10 ネットワーク
20 走行レーン管理装置
21 制御情報作成部
22、40a 制御部
23 記憶部
30 車両
31 受信部
32 通信部
33 GPS部
34 入出力部
35 ECU
36 バッテリ
40 給電管理装置
41 給電装置
51 第1走行レーン
52 第2走行レーン
53 第3走行レーン
54 第4走行レーン
55 第5走行レーン
56 第6走行レーン
57 地下搬送レーン
図1
図2
図3
図4
図5
図6