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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】運行計画システムおよび運行計画方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/123 20060101AFI20231108BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20231108BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20231108BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20231108BHJP
   G16Y 40/60 20200101ALI20231108BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G08G1/00 D
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/60
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020208688
(22)【出願日】2020-12-16
(65)【公開番号】P2022095389
(43)【公開日】2022-06-28
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】長田 祐
(72)【発明者】
【氏名】中村 俊洋
【審査官】宮本 礼子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/024254(WO,A1)
【文献】特開2013-090359(JP,A)
【文献】特開2011-253257(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
B60L 1/00-58/40
G06Q 10/00-99/00
G16Y 10/40
G16Y 20/20
G16Y 40/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電電池を走行エネルギー源とする充電車両および燃料を走行エネルギー源とする燃料車両の運行計画を作成する運行計画システムであって、
出発地および目的地を含むリクエスト情報をユーザから受け付ける受付部と、
リクエスト情報に対する運行計画を決定する運行決定部と、を備え、
前記運行決定部は、
リクエスト情報から始点および終点を定めた運行区間を導出する区間情報導出部と、
前記充電車両に搭載された前記充電電池の充電量を取得する取得部と、
運行区間の走行予定距離をもとに、前記充電車両または前記燃料車両のいずれを運行区間に割り当てるか決定する車両割当部と、を有し、
前記運行決定部は、前記充電車両の充電量にもとづいて前記充電車両が運行区間を走行した場合に不足する不足充電量を導出し、導出した不足充電量を運行区間の運行開始までに充電可能な前記充電車両を運行区間に割り当てて運行計画を作成することを特徴とする運行計画システム。
【請求項2】
前記運行決定部は、前記充電車両の充電量をもとに前記充電車両の充電タイミングを決定する充電決定部を有し、
前記充電決定部は、複数の前記充電車両の充電量を比較して、充電量が他の前記充電車両の充電量よりも少ない前記充電車両を優先的に充電させる運行計画を作成することを特徴とする請求項1に記載の運行計画システム。
【請求項3】
前記充電電池に充電可能な複数の充電器の位置情報を保持する充電器情報保持部をさらに備え、
前記充電決定部は、導出された運行区間と、前記充電器の位置情報とにもとづいて、複数の前記充電器のなかから利用する前記充電器を決定することを特徴とする請求項2に記載の運行計画システム。
【請求項4】
前記充電車両に搭載された充電電池の電池劣化度を前記充電車両の識別情報に関連付けて保持する車両情報保持部をさらに備え、
前記車両割当部は、運行区間の走行予定距離と、電池劣化度とにもとづいて前記充電車両の割り当てを決定することを特徴とする請求項1に記載の運行計画システム。
【請求項5】
前記取得部は、リクエスト情報から導出された運行区間を走行するときの走行環境を示す走行環境情報を取得し、
前記運行決定部は、導出された運行区間とその運行区間の走行環境情報とをもとに前記充電車両が走行した場合のエネルギー消費量を導出し、導出したエネルギー消費量を運行開始までに確保可能な前記充電車両を運行区間に割り当てて運行計画を作成することを特徴とする請求項1に記載の運行計画システム。
【請求項6】
前記取得部は、走行環境情報として気温情報を取得し、
前記運行決定部は、気温情報をもとに前記充電電池の充電を禁止する禁止時間帯を導出し、導出した禁止時間帯に充電しない運行計画を作成することを特徴とする請求項5に記載の運行計画システム。
【請求項7】
充電電池を走行エネルギー源とする複数の充電車両および燃料を走行エネルギー源とする燃料車両の運行計画を作成する運行計画方法であって、
出発地および目的地を含むリクエスト情報をユーザから受け付けるステップと、
リクエスト情報から運行区間を導出するステップと、
運行区間の走行予定距離をもとに、前記充電車両または前記燃料車両のいずれを運行区間に割り当てるか決定するステップと、
前記充電車両に搭載した前記充電電池の充電量を取得するステップと、
前記充電車両を運行区間に割り当てた場合に、前記充電車両の充電量にもとづいて前記充電車両が運行区間を走行した場合に不足する不足充電量を導出するステップと、
導出した不足充電量を運行区間の運行開始までに充電可能な前記充電車両を運行区間に割り当てて運行計画を作成するステップと、を含むことを特徴とする運行計画方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザから車両の運行の予約を受け付けて運行計画を作成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、利用者の要求に対応して車両を運行するデマンド交通を運用するデマンド交通運用システムが開示されている。このデマンド交通運用システムは、希望出発時刻および希望到着時刻と、出発地および目的地とを含む乗客の旅程要求を受信し、規定時刻までに集約した旅程要求をもとにデマンド交通車両の配車計画を作成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2019/106745号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
充電電池を走行エネルギー源とする充電車両は、充電量次第では運行途中で充電することになり、乗客を乗せたまま充電が数時間に及ぶと、運行の支障となる。
【0005】
本発明の目的は、充電によって運行途中で車両が遅滞することを抑える技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様は、充電電池を走行エネルギー源とする充電車両および燃料を走行エネルギー源とする燃料車両の運行計画を作成する運行計画システムであって、出発地および目的地を含むリクエスト情報をユーザから受け付ける受付部と、リクエスト情報に対する運行計画を決定する運行決定部と、を備える。運行決定部は、リクエスト情報から始点および終点を定めた運行区間を導出する区間情報導出部と、充電車両に搭載された充電電池の充電量を取得する取得部と、運行区間の走行予定距離をもとに、充電車両または燃料車両のいずれを運行区間に割り当てるか決定する車両割当部と、を有する。運行決定部は、充電車両の充電量にもとづいて充電車両が運行区間を走行した場合に不足する不足充電量を導出し、導出した不足充電量を運行区間の運行開始までに充電可能な充電車両を運行区間に割り当てて運行計画を作成する。
【0007】
運行決定部は、車両の充電量をもとに車両の充電タイミングを決定する充電決定部を有してもよい。充電決定部は、複数の車両の充電量を比較して、充電量が他の車両の充電量よりも少ない車両を優先的に充電させる運行計画を作成してもよい。
【0008】
充電電池に充電可能な複数の充電器の位置情報を保持する充電器情報保持部をさらに備えてもよい。充電決定部は、導出された運行区間と、充電器の位置情報とにもとづいて、複数の充電器のなかから利用する充電器を決定してもよい。
【0009】
本発明の別の態様は、充電電池を走行エネルギー源とする充電車両および燃料を走行エネルギー源とする燃料車両の運行計画を作成する運行計画方法である。運行計画方法は、出発地および目的地を含むリクエスト情報をユーザから受け付けるステップと、リクエスト情報から運行区間を導出するステップと、運行区間の走行予定距離をもとに、充電車両または燃料車両のいずれを運行区間に割り当てるか決定するステップと、充電車両に搭載した充電電池の充電量を取得するステップと、充電車両を運行区間に割り当てた場合に、充電車両の充電量にもとづいて充電車両が運行区間を走行した場合に不足する不足充電量を導出するステップと、導出した不足充電量を運行区間の運行開始までに充電可能な充電車両を運行区間に割り当てて運行計画を作成するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、充電によって運行途中で車両が遅滞することを抑える技術を提供を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例の運行計画システムの概要を示す図である。
図2】実施例の運行計画システムの機能構成を示す図である。
図3図3(a)は、ユーザ端末装置から送信されるリクエスト情報を示し、図3(b)は、車両管理装置から送信される車両情報を示し、図3(c)は、充電サービス装置から送信される充電器情報を示し、図3(d)は、情報提供装置から送信される走行環境情報を示す図である。
図4】第1実施例の運行計画システムによって作成される運行計画について説明するための図である。
図5】第1実施例の運行計画装置が運行計画を作成する処理のフローチャートである。
図6】車載された充電電池の電池劣化度と、航続距離との関係を示す図である。
図7】第2実施例の運行計画装置が運行計画を作成する処理のフローチャートである。
図8】第3実施例の運行計画装置が運行計画を作成する処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、実施例の運行計画システム1の概要を示す。運行計画システム1は、運行計画装置10、ユーザ端末装置12、車両管理装置14、車両16、充電サービス装置18および情報提供装置19を備える。運行計画システム1は、デマンド交通での運行の予約をユーザから受け付けて、リクエストに応じて車両16を運行してユーザやユーザの荷物を搬送する。図1に示す車両16には、ユーザ同士が乗り合うことが可能である。なお、図1では、車両16としてバスを示すが、この態様に限られず、例えば、小型車であってもよい。
【0013】
ユーザ端末装置12は、運行計画装置10と通信可能である。ユーザは、ユーザ端末装置12を用いて運行計画装置10に車両16の運行を要求する。ユーザ端末装置12は、ユーザ毎に保持される携帯端末装置であってよく、車両16の運行を要求するためのアプリケーションプログラムを保持する。ユーザ端末装置12は、アプリケーションプログラムを実行して、運行計画装置10にリクエスト情報を送信し、運行計画装置10からリクエストの成立または不成立を示す予約結果を受け取る。
【0014】
ユーザのリクエスト情報は、運行日の前日や運行時間の所定時間前などの所定の受付期限まで受け付けられる。運行計画装置10は、成立させたリクエストに対応する運行計画を作成し、車両管理装置14に送信する。
【0015】
車両管理装置14は、車両16の運行を管理する。車両管理装置14は、運行計画装置10と車両16の車載装置と通信可能であり、車両16の位置情報を含む車両情報を車両16から受け取り、運行計画装置10に送信する。また、車両管理装置14は、運行計画装置10から運行計画を受け取り、車両16が運行計画に沿って走行するように管理する。車両16は自動運転可能であってもよい。車両16は、走行エネルギー源として充電電池16aを搭載する車種を含む。充電電池16aは、車両16に複数搭載されてよい。
【0016】
充電サービス装置18は、走行エネルギー源を外部から充電可能な充電車両、例えば電気自動車に電力を供給するサービスを提供する。充電サービス装置18は、各地に設置された充電器を管理しており、充電器の位置や性能を把握し、充電器の予約サービスを提供している。充電サービス装置18は、管理する充電器の位置や性能を示す充電器情報を運行計画装置10に送信する。また、充電サービス装置18は、運行計画装置10から充電器の利用予約を受け付ける。
【0017】
情報提供装置19は、運行計画装置10に走行環境情報を提供する。走行環境情報は、気温情報や、道路の勾配情報などを含む。情報提供装置19は、気温情報を提供するサーバ装置、道路の勾配情報を提供するサーバ装置に分かれていてよい。
【0018】
ところで、充電車両は充電時間が長くなる可能性があり、例えばバスは大きい容量の充電電池16aを搭載しているので、充電時間は最大で5時間程度かかる。また、急速充電で充電時間を短縮することは可能であるが、急速充電ができない車両16や充電器もある。デマンド交通においてユーザを乗せた状態で充電すると到着時刻が遅くなりすぎるおそれがある。そのため、充電車両の充電量を管理することが望ましい。そこで、実施例の運行計画システム1は、充電車両を運行させる場合に充電量や電池性能などをもとに運行計画を作成する。これにより、デマンド交通で充電車両を用いても円滑な運行ができる。
【0019】
図2は、実施例の運行計画システム1の機能構成を示す。図2において、さまざまな処理を行う機能ブロックとして記載される各要素は、ハードウェア的には、回路ブロック、メモリ、その他のLSIで構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。
【0020】
運行計画装置10は、通信部20、車両情報保持部24、充電器情報保持部26、受付部28および運行決定部30を備える。通信部20は、ユーザ端末装置12、車両管理装置14、充電サービス装置18および情報提供装置19と通信可能であり、情報を送受する。
【0021】
通信部20は、車両管理装置14から車両情報、充電サービス装置18から充電器情報、情報提供装置19から走行環境情報を取得する。通信部20は、所定周期で各情報を取得してよく、運行計画を作成するタイミングで各情報を取得してよい。また、通信部20は、ユーザ端末装置12からリクエスト情報を取得し、受付部28は、リクエスト情報を受け付ける。ここで、これらの情報について新たな図面を参照して説明する。
【0022】
図3(a)は、ユーザ端末装置12から送信されるリクエスト情報を示し、図3(b)は、車両管理装置14から送信される車両情報を示し、図3(c)は、充電サービス装置18から送信される充電器情報を示し、図3(d)は、情報提供装置19から送信される走行環境情報を示す。
【0023】
リクエスト情報は、ユーザID、出発地情報、目的地情報および希望日時情報を含む。出発地情報および目的地情報は、予め設定された停留所の位置情報であってよく、緯度または経度で示す位置情報であってよい。つまり、デマンド交通の車両16は、予め設定された停留所間の移動をするものであってよく、ユーザが希望する任意の位置に移動するものであってよい。希望日時情報は、出発時刻、出発時間帯、到着時刻または到着時間帯のいずれかを指定するものであってよい。なお、リクエスト情報には、乗車人数が含まれてよく、1回のリクエストで複数人の乗車を要求できてよい。
【0024】
図3(b)に示す車両情報は、車両ID、位置情報、充電可否情報、充電量、電池劣化度、充電性能および運行予定情報を含む。各車両の識別情報である車両IDに、位置情報、充電可否情報、充電量、電池劣化度、充電性能および運行予定情報が関連付けられて保持される。車両情報保持部24に保持される車両情報は、運行計画作成時に更新される。
【0025】
車両の位置情報は、車両16の車載装置から車両管理装置14に送信される。充電可否情報は、走行エネルギー源を充電可能な充電車両または走行エネルギー源を燃料とする燃料車両であることを示す。燃料車両は、ハイブリッド車や液体燃料車を含む。充電車両は充電電池16aのみで走行し、充電する以外に代替する走行エネルギー源がない車種である。燃料車両は充電電池以外での走行エネルギー源を有する車両である。充電可否情報は、充電車両または燃料車両であることを示す情報であればよく、例えば、車種情報から充電車両または燃料車両であることを判定できれば、車種情報であってもよい。なお、燃料車両には、充電量、電池劣化度、充電性能が記憶されなくてよい。
【0026】
電池劣化度は、充電車両に搭載された充電電池16aの劣化度合いを示す。電池劣化度は、各車両16の車載装置で測定可能であり、充電中の電流および電圧を監視して算出されてよく、電池残量および電池温度を監視して算出されてよい。電池劣化度は、例えば充電電池16aの最大充電容量の減少率であってよく、電池劣化度が小さいほど劣化してないことを示す。充電量は、充電電池16aに充電されている量を示し、例えば、満充電に対する充電割合であってよい。充電性能は、充電プラグを差し込む充電コネクタの性能を示し、充電電池16aに充電する充電速度を示す。運行予定情報は、運行計画装置10等によって、すでに決定されている車両16の運行予定の情報である。運行予定情報には、予約したユーザIDが含まれてよい。車両情報には、車種情報や車両重量が含まれてよい。
【0027】
図3(c)に示す充電器情報は、充電器ID、位置情報、給電性能および予約情報を含む。充電器情報は、充電サービス装置18で管理される充電器の情報を示す。充電器の位置情報は、充電器が設置された充電ステーションの位置を示す。充電器の給電性能は、設定可能な給電出力を示す。充電器の予約情報は、充電器の利用を予約している情報を示し、予約されている時間帯を含む。
【0028】
図3(d)に示す走行環境情報は、道路情報であって、道路リンクID、勾配情報および路面情報を含む。道路リンクIDは、道路区間の位置を示す。勾配情報は、道路リンクIDに対応する区間での道路の勾配を示し、高低差を示す値であってよい。路面情報は、道路リンクIDに対応する区間の路面の転がり抵抗を示す。
【0029】
図2に戻る。車両情報保持部24は、車両管理装置14から送信された車両情報を保持する。充電器情報保持部26は、充電サービス装置18から送信された充電器情報を保持する。
【0030】
受付部28は、ユーザから出発地および目的地を含むリクエスト情報を受け付ける。受付部28は、受け付けたリクエスト情報に対して予約が成立したか否かを示す予約結果を導出する成立判定部32を有する。成立判定部32は、所定期限までに受け付けられたリクエスト情報に対して成立または不成立の予約結果を導出する。成立判定部32は、例えばリクエスト成立数が最大となることを目的として成立または不成立の判定を行う。
【0031】
運行決定部30は、成立したリクエストに応じて車両16の運行計画を決定する。運行決定部30により決定された運行計画は、ユーザ端末装置12および車両管理装置14に通知される。運行決定部30は、取得部33、区間情報導出部34、充電決定部36および車両割当部38を有する。取得部33は、車両情報、充電器情報、走行環境情報を取得する。
【0032】
区間情報導出部34は、リクエスト情報をもとに、始点および終点を定めた運行区間を導出する。区間情報導出部34は、リクエスト情報に示す出発地を始点とし、目的地を終点として運行区間を導出してよい。区間情報導出部34は、リクエスト情報をもとに運行区間を示す区間情報を生成する。区間情報には、運行区間の始点および終点に加えて、始点を出発する出発目標時刻と、終点に到着する終着目標時刻が含まれる。また、区間情報に示す運行区間は、始点から終点までの走行経路を定めたものであってよく、区間情報には、走行経路の走行予定距離が含まれてよい。区間情報導出部34は、1つの運行区間を、複数のリクエスト情報をもとに生成してよい。
【0033】
充電決定部36は、運行計画にて車両16に充電をさせるか決定する。充電決定部36は、車両情報および充電器情報をもとに、車両16をいずれの充電器で充電させるか、いつのタイミングで充電するか決定する。
【0034】
車両割当部38は、リクエスト情報に対して、すなわち区間情報導出部34によって導出された運行区間に対して、いずれの車両16を割り当てるか決定する。車両割当部38は、車両16を割り当てる割当プログラムを有し、その割当プログラムに車両情報と区間情報とを入力して、車両16を割り当ててよい。割当プログラムは、決定木、ランダムフォレスト、ロジスティック回帰やニューラルネットワークの手法を用いた学習モデルであって、連続して車両16を運行させることを目的としてよい。このように、成立したリクエスト情報に対する運行区間に、充電予定および車両16の割り当てが決定し、運行計画が作成される。運行計画には、複数の運行区間が含まれることがある。これらの基本構成を前提として以下に各実施例を説明する。
【0035】
(第1実施例)
図4は、第1実施例の運行計画システム1によって作成される運行計画について説明するための図である。図4に示す第1車両から第4車両は、いずれも充電車両であり、充電電池を走行エネルギー源として走行し、第1車両から第4車両に割り当てられた1日の運行計画が示され、各運行計画の横軸は同じ時間である。また、図4には、第1車両から第4車両の運行開始前の初期充電量を示し、運行計画の下部に充電量の変化を示す。図4に示す運行区間では、車両16がユーザを乗降させることがあっても連続して走行し、運行区間を移動中に充電をすることはないが、運行区間同士の間に充電することは可能である。
【0036】
充電車両に搭載した充電電池16aの充電量は、所定の閾値以上、例えば20パーセント以上で運行するように管理される。また、充電量は、原則として100パーセントにならないように90パーセント以下で管理されるが、運行に必要であれば100パーセントまで充電される。
【0037】
第1車両は、初期充電量60パーセントで運行開始し、1回目の運行区間で充電量を30パーセントまで減少する。次に第1車両は、充電して充電量を50パーセントまで回復さて2回目の運行を開始し、2回目の運行区間で充電量を20パーセントまで減少する。これにより、充電量が所定の閾値以上で維持する運行計画が実行できる。
【0038】
第1車両の運行計画は、1回目と2回目の運行区間の合間に充電を予定しており、その充電予定は充電量を100パーセントにするものでなく、2回目の運行に最低限必要な量だけ充電するものである。これにより、充電時間を短くしてすぐに次の運行に向かうことができる。
【0039】
第1車両の運行計画に充電予定を組み込む処理について説明する。区間情報導出部34は、1回目および2回目の運行区間の走行予定距離をそれぞれ導出し、充電決定部36は、1回目の運行区間で使用する第1エネルギー消費量と、2回目の運行区間で使用する第2エネルギー消費量を導出し、第1車両の充電量から第1エネルギー消費量および第2エネルギー消費量を減算して、不足する不足充電量を導出し、第1車両に充電予定が必要であると決定する。充電決定部36は、運行区間毎に不足充電量を導出し、運行区間までに充電が必要か導出する。
【0040】
このように、不足充電量は、走行予定距離を走行したときのエネルギー消費量から車両16の充電量を減算して導出される。充電電池16aの充電量は、所定の閾値以下になると不足しているとされてよく、不足充電量は所定の閾値に足らない量であってよい。つまり、不足充電量は、推定したエネルギー消費量と所定閾値の合計から充電電池16aの充電量を減算して算出されてよい。エネルギー消費量は車両毎または車種毎に導出されてよい。充電決定部36は、2回目の運行区間での不足充電量を導出する際、1回目の運行区間によって減少した充電量をもとに導出する。1回目の運行区間によって減少した充電量は、メモリに記憶される。2回目の運行区間での不足充電量を導出する際に、取得部33が1回目の運行区間によって減少した充電量を取得し、充電決定部36は、取得した充電量と、2回目の運行区間のエネルギー消費量とをもとに不足充電量を導出する。
【0041】
不足充電量は、運行中に充電量が少なくとも所定の閾値以下にならないと推定される最低限の量であってよく、充電決定部36は、不足充電量だけを充電することを決定してよい。また、充電決定部36は、不足充電量を充電した場合に、充電量が所定の上限値以下、例えば80パーセント以下であれば、不足充電量に所定量だけ追加して充電してよい。また、充電決定部36は、運行区間を走行完了したときの充電量が所定の閾値以上、かつ所定の基準値以下、例えば50パーセント以下となるように、充電電池16aに充電させる量を決定してよい。
【0042】
不足充電量は、充電電池の充電割合であってよく、充電時間に換算した数値であってもよい。充電決定部36は、充電電池16aの充電性能と充電器の給電性能とをもとに不足充電量を充電するのにかかる充電時間を導出できる。
【0043】
充電決定部36は、運行区間毎に充電量が不足するか判定し、運行区間毎に推定された充電量を取得部33から受け取る。充電決定部36は、1回目および2回目の運行区間の走行でのエネルギー消費量をそれぞれ導出し、1回目の運行区間の走行で第1車両の充電量が30パーセントになることを導出し、メモリにその充電量を記憶させる。取得部33は、メモリから1回目の運行区間で30パーセントの充電量になったことを取得する。充電決定部36は、30パーセントの充電量をもとに2回目の運行区間で不足する充電量を導出する。これにより、充電決定部36は、2回目の運行区間の走行で充電量が不足することを特定し、2回目の運行開始までに不足充電量を充電すべきことを決定する。車両割当部38は、導出した不足充電量をもとに、運行区間の運行開始までに不足充電量を充電可能な第1車両を運行区間に割り当てる。このように、運行決定部30は、運行区間の運行開始までに不足充電量を充電可能な車両16を運行区間に割り当てて運行計画を作成する。
【0044】
運行するには充電が必要な車両に対して、不足充電量をもとに運行計画を作成できるため、不足充電量を充電させて運行途中に充電することなく運行できる。また、運行に必要な分だけ最低限充電して運行計画を立てるため、満充電にする時間を削ることができ、リクエストを受けやすくなる。走行エネルギー源が暖まったまま連続で運行すると車両16のエネルギー効率がよいため、連続で運行する運行計画が立てられてよい。
【0045】
第2車両の運行計画は、初期充電量90パーセントで運行開始し、その運行で充電量を50パーセントまで減少し、その後の充電で90パーセントまで回復する。
【0046】
第3車両の運行計画は、初期充電量35パーセントで運行開始し、充電から開始し、充電量を90パーセントまで充電させ、運行によって充電量を20パーセントまで減少し、その後の充電で90パーセントまで回復する。第3車両の充電は、充電料金が安価な夜間に予定する。充電回数を減らし、満充電を避ける運行を計画するため、初期充電量が少ない車両16が前日から残っている。
【0047】
第4車両の運行計画は、初期充電量80パーセントで運行開始し、1回目の運行で充電量を45パーセントまで減少し、2回目の運行をするに当たって充電が必要となっている。第4車両は、第2車両と比べて充電量が低くなっているので、優先的に充電器を利用可能な運行計画を作成する。そのため、第2車両には、第4車両の充電終了まで待機するか、別の充電ステーションに移動する充電予定が作成される。
【0048】
充電決定部36は、車両16の充電量をもとに充電器および充電タイミングを決定するものであって、充電時の複数の車両16の充電量を比較して、充電量が他の車両16の充電量よりも少ない車両16を優先的に充電させる運行計画を決定する。比較する複数の車両16の充電量は、運行区間の走行によって変化した量であってよく、例えば、ある車両16の運行が終了したタイミングでの充電量であってよい。これにより、充電量の少ない車両16の充電を優先させることで、充電量が所定の閾値以下になりにくくすることができる。車両16の充電量を比較する対象は、運行区間を走行予定や充電予定がない車両16になる。
【0049】
充電決定部36は、車両16の充電量と、区間情報導出部34によって導出された区間情報と、充電器の位置情報とをもとに、運行計画において、複数の充電器のうちいずれの充電器を利用するか決定する。これにより、充電決定部36は、出発地や目的地の近くにある充電器を選択でき、充電量に応じた適切な充電タイミングを決定できる。
【0050】
充電決定部36は、車両16の運行にあたって充電が必要な場合、充電器の利用を予約する利用申請情報を生成し、充電サービス装置18に予約申請情報を送信して充電器の利用を予約してよい。利用申請情報には、予約する充電器IDと、利用開始時刻から利用終了時刻とが含まれる。充電決定部36は、充電サービス装置18から取得した充電器情報に含まれる充電器の予約情報を参照して、すでに予約されている時間を避けて利用申請情報を生成する。充電器の予約をすることで、充電渋滞を避けて効率的に充電器を利用でき、その後の運行を滞りなく実行できる。
【0051】
図5は、第1実施例の運行計画装置10が運行計画を作成する処理のフローチャートである。運行計画装置10の受付部28は、ユーザ端末装置12からリクエスト情報を所定期限まで受け付け(S10)、成立判定部32は、リクエストの成立を判定する(S12)。リクエストが成立しなければ本処理を終了する。
【0052】
運行決定部30の区間情報導出部34は、成立したリクエスト情報をもとに区間情報を導出する(S14)。取得部33は、車両管理装置14から車両情報を取得する(S16)。車両情報には、充電電池16aの充電量が含まれる。
【0053】
車両割当部38は、リクエスト情報に対して運行可能な車両を割当プログラムを用いて選択し(S18)、充電決定部36は、選択した車両の充電量と区間情報とにもとづいて運行区間を運行した場合に不足する不足充電量を導出し、不足充電量をもとに充電が必要か判定する(S20)。選択した車両が充電を必要としなければ(S20のN)、車両割当部38は、選択した車両を割り当てることを決定して運行計画を作成する(S28)。
【0054】
選択した車両が充電を必要であれば(S20のY)、充電決定部36は、その車両が運行した場合の充電時間を、走行予定距離および充電量をもとに導出し、運行の前に充電することを決定する(S22)。充電決定部36は、導出された区間情報と充電器の位置情報とにもとづいていずれの充電器で充電するか選択し、選択した充電器の利用申請情報を生成し、利用申請情報を充電サービス装置18に送信する(S24)。充電器の利用予約が成立しなければ(S26のN)、充電決定部36は、別の充電器の利用申請を行う(S24)。
【0055】
充電器の利用予約が成立すれば(S26のY)、車両割当部38によって選択された車両がリクエストに対する運行に割り当てられて、運行計画が作成される(S28)。このように、運行計画装置10は、車両の運行計画に充電予定を組み込むことで、運行開始までに不足充電量を充電させて、運行中に充電電池が空になることを避けることができる。
【0056】
(第2実施例)
図6は、車載された充電電池16aの電池劣化度と、航続距離との関係を示す図である。図6の縦軸は電池劣化度Ddを示し、横軸は満充電時の航続距離Crを示す。電池劣化度Ddが所定値に達すると充電電池16aが交換される。
【0057】
図6に示すように、電池劣化度Ddが大きくなると、航続距離Crが短くなる。そのため、車両16が走行予定距離が長い運行をした場合、充電電池16aの電池劣化度Dd次第で、運行途中に充電量が所定の閾値以下になるおそれがある。
【0058】
そこで、第2実施例の運行計画装置10は、走行予定距離が所定距離以上の運行区間に対して燃料車両を充電車両よりも優先的に割り当てる。また、車両割当部38は、運行区間に充電車両または燃料車両のいずれの車両16を割り当てるか、運行区間の走行予定距離にもとづいて決定する。燃料車両は、充電車両に比べて、走行距離が長くエネルギー充填時間が短くなる車両特性を有している。充電可否情報をもとに配車を選択することで、走行予定距離に対して、車両特性に合わせた適切な配車が可能となる。走行予定距離が所定距離以上に長距離であるか、例えば80キロメートル以上であれば長距離であると判定してよい。
【0059】
車両割当部38は、充電車両の配車において、走行予定距離が所定距離以上の運行区間に対して電池劣化度が相対的に小さい車両16を優先的に割り当てる。つまり、車両割当部38は、充電電池16aの電池劣化度が他の車両の電池劣化度よりも低い車両を、所定距離以上の走行予定距離の運行に優先的に割り当てる。また、車両割当部38は、運行区間の走行予定距離と、電池劣化度とにもとづいて運行区間に対する車両16の割り当てを決定する。充電電池16aの電池劣化度をもとに配車を選択することで、走行予定距離に合わせた適切な配車が可能となる。また、満充電時の航続距離が長い車両を走行予定距離が長い運行区間に割り当てることができる。
【0060】
充電決定部36は、運行区間の走行予定距離から充電電池16aに必要な充電時間を導出し、車両割当部38は、充電電池16aの充電時間にもとづいて運行区間に対する車両16の割り当てを決定する。充電決定部36は、走行予定距離からエネルギー消費量を導出し、エネルギー消費量と充電量とから走行に不足する充電量を導出し、不足する充電量を確保する充電時間を導出する。車両割当部38は、導出された充電時間をもとに、運行前に充電時間を確保できる車両16を割り当てる。運行決定部30は、車両16の充電量が運行によって所定の閾値以下にならないように運行計画を作成する。そのため、運行によって車両16の充電量が所定の閾値以下になると推定される車両16には、運行区間の運行開始までに充電させる。運行開始までに充電時間を確保できない車両16は、その運行に割り当てられない。これにより、運行に必要な充電量を確保して配車できる。
【0061】
図7は、第2実施例の運行計画装置10が運行計画を作成する処理のフローチャートである。運行計画装置10の受付部28は、ユーザ端末装置12からリクエスト情報を所定期限まで受け付け(S30)、成立判定部32は、リクエストの成立を判定する(S32)。リクエストが成立しなければ本処理を終了する。
【0062】
運行決定部30の区間情報導出部34は、成立したリクエスト情報をもとに運行区間をそれぞれ導出する(S34)。取得部33は、車両管理装置14から車両情報を取得する(S36)。
【0063】
充電決定部36は、運行可能な車両16に充電車両があるか判定する(S38)。充電車両がない場合(S38のN)、車両割当部38は、運行区間と車両情報とにもとづいて、リクエスト情報に対する車両16の割り当てを決定し(S40)、運行計画を作成する(S50)。
【0064】
充電車両がある場合(S38のY)、車両割当部38は、運行区間の走行予定距離が所定距離以上の長距離であるか判定する(S42)。走行予定距離が長距離でなければ(S42のN)、車両割当部38は、特段の制限なく、リクエスト情報に対する車両16の割り当てを決定し(S40)、運行計画を作成する(S50)。
【0065】
走行予定距離が長距離であれば(S42のY)、車両割当部38は、燃料車両を充電車両よりも優先的に長距離のリクエストに割り当てる(S44)。燃料車両がない場合や、複数の長距離のリクエストがある場合に対処して、車両割当部38は、長距離の運行区間が残っているか判定する(S46)。長距離の運行区間が残っていない場合(S46のN)、車両割当部38は、残りのリクエストに対して所定の割当プログラムを用いて車両16を割り当てて(S40)、運行計画を作成する(S50)。
【0066】
長距離の運行区間が残っている場合(S46のY)、車両割当部38は、電池劣化度にもとづいて車両16を割り当て(S48)、運行計画を作成する(S50)。長距離の運行区間には、電池劣化度の低い車両16が優先的に割り当てられる。
【0067】
(第3実施例)
第3実施例の運行計画システム1で用いられる車両16は、走行エネルギー源を充電可能な充電車両である。車載の充電電池16aの消費量は、走行距離だけでなく、道路の高低差、エアコンディショナー装置の使用の有無、充電電池の温度などの原因で大きく変化する。そこで、第3実施例の運行計画装置10は、運行区間を走行するときの走行環境情報をもとに運行計画を作成する。走行環境情報には、道路勾配情報、走行予定日の予報である気温情報、過去の走行環境情報等が含まれる。走行環境情報をもとにエネルギー消費量を導出できるので、走行予定距離を走行した場合の充電電池の消費量を精度良く導出できる。
【0068】
図2に戻る。充電決定部36は、区間情報導出部34によって導出された運行区間の走行予定距離とその運行区間の走行環境情報とをもとに、車両16がその運行区間を走行した場合のエネルギー消費量を導出する。第3実施例の区間情報導出部34は、走行経路を定めた運行区間を導出する。充電決定部36は、走行予定距離および車両重量をもとに基準エネルギー消費量を導出し、導出した基準エネルギー消費量に対して道路の高低差、エアコンディショナー装置の使用の有無、気温情報などで補正してエネルギー消費量を導出する。これらの導出は、実験等で作成したマップを用いてよい。エネルギー消費量は、車両毎または車種毎に導出される。充電決定部36は、導出したエネルギー消費量および車両16の充電量から不足した不足充電量を算出する。不足充電量は、運行区間のエネルギー消費量から車両16の充電量を減算して導出される。充電決定部36は、不足充電量をもとに運行区間を走行するために必要な不足充電時間を導出してよい。
【0069】
車両割当部38は、導出したエネルギー消費量を運行区間の運行開始までに確保可能な車両16を運行区間に割り当てて運行計画を作成する。また、車両割当部38は、導出された不足充電量を運行開始前までに充電可能な車両16を運行区間に割り当ててよい。運行計画には、不足充電量を運行開始前までに充電完了する予定が含まれる。これにより、運行区間の走行環境情報をもとにエネルギー消費量を精度良く導出し、エネルギー消費量を確保させることを前提に運行計画を作成できるため、運行中に充電量が所定の閾値以下になることを避けることができ、滞りなく運行できる。
【0070】
運行区間の道路勾配が長い下り坂である場合、充電量が増える可能性がある。充電決定部36が、運行によって充電量が増えると推定した場合には、車両割当部38は、増えると推定された充電量で次の運行に割り当ててよい。エアコンディショナー装置のエネルギー消費量は、ドライブレコーダから過去のエアコンディショナー装置のエネルギー消費量を参照して、導出してよい。また、エアコンディショナー装置のエネルギー消費量と外気温との関係を示すマップを保持してよい。
【0071】
また、運行決定部30は、リクエストの希望日時の気温情報をもとに充電電池16aに充電を禁止する禁止時間帯を導出し、導出した禁止時間帯に充電をしない運行計画を決定する。充電電池16aは、周辺温度が所定の低温度以下または所定の高温度以上である場合に、車載装置の機能によって充電を禁止されている。所定の低温度は例えばゼロ度であり、所定の高温度は例えば50度である。そのため、充電電池16aの周辺温度によっては、充電器に接続して充電電池16aを充電しようとしても充電ができないことがある。
【0072】
充電禁止時間帯の導出は、過去の走行環境情報を用いてよい。例えば、充電決定部36は、ドライブレコーダに記録された過去の走行履歴を参照すると、13時から15時まで充電電池16aに設けた温度センサの検出結果が所定の高温度以上になっており、過去の気温と走行予定日の気温が同じである場合、13時から15時まで充電禁止時間帯であると導出する。また、充電決定部36は、例えば気温が35度以下であれば、充電電池16aの周辺温度が所定の高温度以上になって充電禁止時間帯になると導出してもよい。充電決定部36が、気温情報をもとに充電禁止時間帯を導出し、車両割当部38は、充電禁止時間帯を避けて不足充電量を運行開始前に充電可能な車両16を割り当てることを決定する。これにより、車両16側の機能によって充電が禁止される時間帯を避けて充電させる運行計画を作成できる。
【0073】
図8は、第3実施例の運行計画装置10が運行計画を作成する処理のフローチャートである。運行計画装置10の受付部28は、ユーザ端末装置12からリクエスト情報を所定期限まで受け付け(S52)、成立判定部32は、リクエストの成立を判定する(S54)。リクエストが成立しなければ本処理を終了する。
【0074】
運行決定部30の区間情報導出部34は、成立したリクエスト情報をもとに運行区間を導出する(S56)。取得部33は、運行区間の走行環境情報を情報提供装置19から取得する(S58)。また、取得部33は、車両管理装置14から車両情報を取得する(S60)。
【0075】
車両割当部38は、運行区間に対して車両16を割当プログラムを用いて選択し(S62)、充電決定部36は、運行区間の走行予定距離を走行した場合のエネルギー消費量を走行環境情報を用いて導出し、選択した車両16が走行した場合の不足充電量を導出する(S64)。充電決定部36は、導出した不足充電量をもとに充電が必要か判定する(S66)。選択した車両16が運行に充電を必要としなければ(S66のN)、車両割当部38は、選択した車両を割り当てることを決定して運行計画を作成する(S72)。
【0076】
選択した車両16が運行に充電を必要としていれば(S66のY)、充電決定部36は、走行予定日の気温情報をもとに走行禁止時間帯を導出する(S68)。充電決定部36は、選択した車両16が運行開始前までに不足充電量を充電可能か判定する(S70)。選択した車両16が充電可能でなければ(S70のN)、車両割当部38は、新たな車両16を選択して充電量が足りる車両16を探す(S62)。
【0077】
選択した車両16が充電可能であれば(S70のY)、車両割当部38は、選択した車両16に運行を割り当てて運行計画を作成する(S72)。このように、運行区間の走行環境をもとに充電予定を立てて運行計画に組み込むことで、滞りのない運行が可能となる。
【0078】
なお各実施例はあくまでも例示であり、各構成要素の組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0079】
例えば、第1実施例の運行決定部30が充電器の利用予約をする態様は、第2実施例および第3実施例の運行計画の処理に組み込んでもよい。また、第2実施例に示す運行決定部30が、走行予定距離が所定距離以上のリクエストに対して燃料車両を充電車両よりも優先的に割り当てる態様は、第1実施例および第3実施例の運行計画の処理に組み込んでよい。また、第3実施例に示す運行決定部30が走行環境情報を用いて運行区間のエネルギー消費量を導出する態様は、第1実施例および第2実施例の運行計画の処理に組み込んでもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 運行計画システム、 10 運行計画装置、 12 ユーザ端末装置、 14 車両管理装置、 16 車両、 16a 充電電池、 18 充電サービス装置、 19 情報提供装置、 20 通信部、 24 車両情報保持部、 26 充電器情報保持部、 28 受付部、 30 運行決定部、 32 成立判定部、 33 取得部、 34 区間情報導出部、 36 充電決定部、 38 車両割当部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8