(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】電力制御装置及び電力制御方法
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20231108BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20231108BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20231108BHJP
H02J 3/06 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
H02J13/00 311S
H02J13/00 301A
H02J13/00 311R
H02J3/32
H02J3/38 130
H02J3/06
(21)【出願番号】P 2020532338
(86)(22)【出願日】2019-07-18
(86)【国際出願番号】 JP2019028279
(87)【国際公開番号】W WO2020022182
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-06-17
(31)【優先権主張番号】P 2018140248
(32)【優先日】2018-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 直
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/078750(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/121937(WO,A1)
【文献】特開2015-177566(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H02J 3/06
H02J 3/32
H02J 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の電力管理装置からの電力制御指示に従って、双方向交直流変換器に対して交流送電線との間の入出力電流を制御する電流制御部と、
前記電力制御指示に基づき、前記双方向交直流変換器が入出力した、電力融通期間における実融通電力量を取得する電力量取得部と、
前記電力融通期間における、前記電力量取得部が算出した前記実融通電力量の情報を前記電力管理装置に通知する通知部と、
を備え、
前記電流制御部は、前記電力融通期間における予定融通電力量と、前記実融通電力量との差分が所定の閾値以上であった場合に、所定のタイミングにおいて差分に相当する電力融通を双方向交直流変換器に対して指示する、電力制御装置。
【請求項2】
前記通知部は、電力の融通の必要が生じた場合に前記交流送電線を通じた電力融通を前記電力管理装置に要求する、請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項3】
前記通知部は、所定の電力シナリオに基づいて前記電力管理装置に電力融通を要求する、請求項2に記載の電力制御装置。
【請求項4】
前記所定の電力シナリオは、電力を使用する負荷による電力消費スケジュールを含む、請求項3に記載の電力制御装置。
【請求項5】
前記所定の電力シナリオは、電力を発電する発電装置による発電スケジュールを含む、請求項3に記載の電力制御装置。
【請求項6】
前記発電装置は、太陽光発電装置である、請求項5に記載の電力制御装置。
【請求項7】
前記所定の電力シナリオは、蓄電池の蓄電量を含む、請求項3
~6のいずれか1項に記載の電力制御装置。
【請求項8】
前記通知部は、前記双方向交直流変換器と接続されている蓄電装置の状態に基づいて前記電力管理装置に電力融通を要求する、請求項2
~7のいずれか1項に記載の電力制御装置。
【請求項9】
前記電流制御部は、前記双方向交直流変換器が接続されている前記交流送電線の基準電圧に基づいて入出力電流を制御する、請求項1
~8のいずれか1項に記載の電力制御装置。
【請求項10】
前記通知部は、電力を提供する際の売電価格の情報を前記電力管理装置に通知する、請求項1
~9のいずれか1項に記載の電力制御装置。
【請求項11】
外部の電力管理装置からの電力制御指示に従って、双方向交直流変換器に対して交流送電線との間の入出力電流を制御する電流制御部と、
前記電力制御指示で指定された目標電力量と、前記双方向交直流変換器が入出力した実融通電力量とを取得し、差分を算出する電力量取得部と、
を備え、
前記電流制御部は、電力量取得部が算出した差分に基づいて前記双方向交直流変換器に対して入出力電流を制御する、電力制御装置。
【請求項12】
前記電力量取得部は、前記電力制御指示で指定された電力融通期間において、前記目標電力量と、前記実融通電力量とを取得し、差分を算出する、請求項
11に記載の電力制御装置。
【請求項13】
外部の電力管理装置からの電力制御指示に従って、双方向交直流変換器に対して交流送電線との間の入出力電流を制御する
電流制御ステップと、
前記電力制御指示に基づき、前記双方向交直流変換器が入出力した、電力融通期間における実融通電力量を取得する
電力量取得ステップと、
前記電力融通期間における前記実融通電力量の情報を前記電力管理装置に通知する
通知ステップと、
を含み、
前記電流制御ステップでは、前記電力融通期間における予定融通電力量と、前記実融通電力量との差分が所定の閾値以上であった場合に、所定のタイミングにおいて差分に相当する電力融通を双方向交直流変換器に対して指示する、電力制御方法。
【請求項14】
外部の電力管理装置からの電力制御指示に従って、双方向交直流変換器に対して交流送電線との間の入出力電流を制御することと、
前記電力制御指示で指定された目標電力量と、前記双方向交直流変換器が入出力した実融通電力量とを周期的に取得し、差分を算出することと、
前記差分に基づいて前記双方向交直流変換器に対して入出力電流を制御することと、
を含む、電力制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力制御装置及び電力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
資源保護の観点から、家庭内などに蓄電池を設け、太陽光パネルなどで発電された電力を蓄電池に蓄えるとともに、余剰電力を既存の交流電力系統を通じて売電する仕組みが存在する。例えば特許文献1には、交流電力系統を通じて蓄電池への蓄電及び蓄電池からの売電を適切に行うことを目的とした電力供給システムの技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓄電池に蓄えられた電力を、交流電力系統を介してもう一方の蓄電池に送る電力制御において、要求された電力を正確に系統に出力する場合、系統の電圧は一定ではないので、系統の電圧に変動に応じて電流を変化させる必要がある。しかし、系統に対する入出力電流の変化は発振などの不安定な状態を引き起こすおそれがある。
【0005】
そこで、本開示では、交流電力系統を安定な状態に保ちつつ、交流電力系統を通じた電力融通を適切に行うことが可能な、新規かつ改良された電力制御装置及び電力制御方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によれば、外部の電力管理装置からの電力制御指示に従って、双方向交直流変換器に対して交流送電線との間の入出力電流を制御する電流制御部と、前記電力制御指示に基づき、前記双方向交直流変換器が入出力した、電力融通期間における実融通電力量を取得する電力量取得部と、前記電力融通期間における、前記電力量取得部が算出した前記実融通電力量の情報を前記電力管理装置に通知する通知部と、を備える、電力制御装置が提供される。
【0007】
また本開示によれば、外部の電力管理装置からの電力制御指示に従って、双方向交直流変換器に対して交流送電線との間の入出力電流を制御する電流制御部と、前記電力制御指示で指定された目標電力量と、前記双方向交直流変換器が入出力した実融通電力量とを取得し、差分を算出する電力量取得部と、を備え、前記電流制御部は、電力量取得部が算出した差分に基づいて前記双方向交直流変換器に対して入出力電流を制御する、電力制御装置が提供される。
【0008】
また本開示によれば、外部の電力管理装置からの電力制御指示に従って、双方向交直流変換器に対して交流送電線との間の入出力電流を制御することと、前記電力制御指示に基づき、前記双方向交直流変換器が入出力した、電力融通期間における実融通電力量を取得することと、前記電力融通期間における前記実融通電力量の情報を前記電力管理装置に通知することと、を含む、電力制御方法が提供される。
【0009】
また本開示によれば、外部の電力管理装置からの電力制御指示に従って、双方向交直流変換器に対して交流送電線との間の入出力電流を制御することと、前記電力制御指示で指定された目標電力量と、前記双方向交直流変換器が入出力した実融通電力量とを周期的に取得し、差分を算出することと、前記差分に基づいて前記双方向交直流変換器に対して入出力電流を制御することと、を含む、電力制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本開示によれば、交流電力系統を安定な状態に保ちつつ、交流電力系統を通じた電力融通を適切に行うことが可能な、新規かつ改良された電力制御装置及び電力制御方法を提供することが出来る。
【0011】
なお、上記の効果は必ずしも限定的なものではなく、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書に示されたいずれかの効果、または本明細書から把握され得る他の効果が奏されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の実施の形態に係る電力供給システムの全体構成例を示す説明図である。
【
図2】2つの拠点を抜き出して電力供給システムの構成例を示した説明図である。
【
図4】同実施の形態に係る電力制御装置の機能構成例を示す説明図である。
【
図5】同実施の形態に係る電力管理装置の動作例を示す流れ図である。
【
図6】同実施の形態に係る電力制御装置の動作例を示す流れ図である。
【
図7】同実施の形態に係る双方向直流交流変換器の動作例を示す流れ図である。
【
図8】同実施の形態に係る電力供給システムの動作による動作シーケンスの一例を示す説明図である。
【
図9】同実施の形態に係る電力供給システムの動作による動作シーケンスの一例を示す説明図である。
【
図10】同実施の形態に係る電力供給システムの動作による動作シーケンスの一例を示す説明図である。
【
図11】目標電力量と累積電力量の変化の一例を示す説明図である。
【
図12】同実施の形態の効果を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0014】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.本開示の実施の形態
1.1.構成例
1.2.動作例
2.まとめ
【0015】
<1.本開示の実施の形態>
[1.1.構成例]
まず、本開示の実施の形態に係る電力供給システムの全体構成例を説明する。
図1は、本開示の実施の形態に係る電力供給システムの全体構成例を示す説明図である。以下、
図1を用いて本開示の実施の形態に係る電力供給システムの全体構成例について説明する。
【0016】
本開示の実施の形態に係る電力供給システムは、交流電力系統1を通じた家庭等の拠点間の電力融通を可能とするシステムである。拠点間の電力融通は、電力管理装置(Power Management Center;PMCとも称する)10によって制御される。
図1には、3つの柱上トランス20a、20b、20cが示されている。本実施形態では、同一の柱上トランスの配下にある拠点同士での電力融通が最も効果的であるが、柱上トランスを超えた電力融通も当然に可能である。電力管理装置10は、通信線COMを介して、交流電力計(AMR)30で測定された交流電力系統1の電流値を取得する。
【0017】
図1に示した構成において、交流電力系統1を通じた電力融通が可能な拠点は、拠点A-1、A-3、B-1、C-2である。拠点A-1を例にして説明すれば、拠点A-1は、電力制御装置(Power Control Device;PCDとも称する)100a、双方向直流交流変換器(Power Conditioning System;PCS)200a、交流電力計300a、蓄電装置400a、及び、太陽光発電装置500aを含む(なお以下の説明においては、単に、それぞれ電力制御装置100、双方向直流交流変換器200、交流電力計300、蓄電装置400、及び、太陽光発電装置500と表記されることもある)。
【0018】
電力制御装置100aは、拠点A-1と、他の拠点(例えば、拠点A-3)との間の電力融通を制御する装置である。例えば、蓄電装置400aに蓄えられている電力が少なくなってきており、他の拠点に対して電力を融通してもらいたい場合は、電力制御装置100aは、通信線COMを通じて電力管理装置10に電力の融通を要求する。電力制御装置100aは、電力管理装置10から融通指示を受信すると、双方向直流交流変換器200aを制御して、交流電力系統1を通じた電力の融通を受ける。
【0019】
蓄電装置400aに蓄えられている電力が多くなってきており、他の拠点に対して電力を融通することが出来る場合も同様である。この場合は、電力制御装置100aは、通信線COMを通じて電力管理装置10に電力が融通可能である旨を通知する。電力制御装置100aは、電力管理装置10から融通指示を受信すると、双方向直流交流変換器200aを制御して、交流電力系統1へ電力を供給する。
【0020】
電力制御装置100aは、他の拠点との間で電力の融通が行われる際に、実際に融通が行われた電力量の情報を取得する。交流電力系統1で供給される電力は、電圧が必ずしも一定では無く、電圧の変動の結果、予定していた電力量(予定電力量)を融通することが出来ない場合がある。そこで、電力制御装置100aは、実際に融通が行われた電力量(実融通電力量)の情報を取得して、電力管理装置10に実融通電力量の情報を送信する。ここで予定電力量と実融通電力量との差が所定の閾値以上であった場合、電力管理装置10は、改めてその差分を補正する電力融通が当該拠点間で行われるよう指示する。
【0021】
交流電力系統1の電圧は、交流電力計から先に繋がっている負荷の変動や、太陽光発電装置の発電量により変化する。しかし、電力制御装置100aは、その電圧を双方向直流交流変換器200aの制御電流の計算には用いず、想定基準電圧のみを制御電流の計算に用いる。交流電力計の積算電力値は、実電圧と実電流に力率の積で計算される実効電力累積値が出力されるので、電力制御装置100aは、融通開始時の累積電力を保持し、また、融通終了時の交流電力計からの累積値を読み出し、実際に融通された電力量を計算する。
【0022】
双方向直流交流変換器200aは、交流の電力を直流の電力に、また直流の電力を交流の電力に変換する機能を持った変換器である。双方向直流交流変換器200aは、他の拠点との間で電力の融通が行われる際に、電力制御装置100aの制御により動作する。双方向直流交流変換器200aは、他の拠点との間で電力の融通が行われる際に、交流電力の電流値をモニタして、そのモニタした電流値を用いて入出力電流を制御する。
【0023】
交流電力計300aは、交流電力系統1から拠点へ供給された電力や、逆に拠点から交流電力系統1へ出力された電力を計測する計測器である。電力制御装置100aは、交流電力計300aから情報を取得することで、実融通電力量の情報を得ることが出来る。
【0024】
本実施形態では、電力会社の1kWH電力価格単位をCp、送電側と受電側の二者間で合意した価格単位をCaとし、Cp>Caの状況で、融通期間Txで、送電側の逆潮流電力Psと受電側の電力PrがPs<Prとなった場合は、受電側がその差分を電力価格単位Cpで電力会社から購入したこととする。一方、Ps>Prとなった場合は、その差分は電力価格単位Caで電力会社が電力を購入したこととする清算方式とする。
【0025】
図2は、2つの拠点を抜き出して電力供給システムの構成例を示した説明図である。
図2には、拠点A-1と拠点B-1の2つの拠点が示されている。なお
図2において、拠点A-1には2つの負荷50a、50cが存在するが、負荷50aは交流の電力を使用し、負荷50cは直流の電力を使用する。また
図2において拠点B-2には負荷50bと交流発電機600が示されている。負荷50bは交流の電力を使用する。
【0026】
電力制御装置100a、100fは、それぞれ、発電装置の発電スケジュール(例えば太陽光発電装置500aの発電スケジュール)、電力消費スケジュール、電力の売電価格、電力の購入価格などを規定したシナリオを読み込む。そのシナリオと、蓄電装置400a、400fの蓄電量とに基づき、電力の融通を電力管理装置10に申し込む。
【0027】
図3は、シナリオの一例を示す説明図である。
図3には、シナリオとして、拠点での時系列での電力消費量と、蓄電装置の時系列での最大蓄電量(Max SOC)及び最低蓄電量(Min SOC)が示されている。電力制御装置100aは、このシナリオを参照して、蓄電装置400aの電力量が余剰であると考えられれば売電を申し込み、蓄電装置400aの電力量が不足していると考えられれば買電を申し込む。また
図3に示したシナリオには、電力会社から交流電力系統1を通じて電力を購入する際の価格(Grid価格)が高い時間帯は、電力会社からの購入を抑制し、Grid価格が安い時間帯は、電力会社から購入するような設定がなされている。
【0028】
電力管理装置10は、通信線COMで接続された各々の電力制御装置からの要求に応じて、電力制御装置間の電力融通可能量計算を行い、融通する電力パターンと同期させた融通スケジュールをそれぞれの電力制御装置に送信する。融通する電力パターンとは、例えば1.0kWhの電力を30分間融通する、というようなものである。
【0029】
電力制御装置100aは、電力管理装置10から受け取った電力パターンと融通スケジュールに従って双方向直流交流変換器200aの電流制御パターンを計算する。与えられた電力パターンから、その双方向直流交流変換器200aが接続されている交流電力系統1の基準電圧と基準力率とを基に、電流量を計算する。従って交流電力系統1の基準電圧が200Vの場合と100Vの場合では、双方向直流交流変換器200aの電流量が倍違うことになる。
【0030】
電力制御装置100aは、電力管理装置10で計算された電力パターンに従って双方向直流交流変換器200aの電流制御を行う。ここで、電流計ir1より内側に接続された負荷の消費は融通電力には含まないように、電力融通の制御が行われる。従って電力制御装置100aは、電力融通が無い場合で、負荷が電力を消費しているときは、電流計ir1が常に0Aとなる様、双方向直流交流変換器200aを制御する。
【0031】
本開示の実施の形態に係る電力供給システムの特徴の一つは、
図1に示したように、電力制御装置が設けられている拠点と、設けられていない拠点とを混在させることが出来ることである。すなわち、電力制御装置が設けられている拠点は、交流電力系統1から電力の供給を受けることが出来るだけでなく、電力制御装置が設けられている他の拠点との間で電力融通が可能である。一方、電力制御装置が設けられていない拠点は、交流電力系統1から電力の供給を受けるのみであるが、電力制御装置が設けられている拠点からの電力供給を受けることは無く、また電力制御装置が設けられている拠点からの電力供給に影響を与えることも無い。
【0032】
以上、本開示の実施の形態に係る電力供給システムの全体構成例を説明した。続いて、本開示の実施の形態に係る電力制御装置の機能構成例について説明する。
【0033】
図4は、本開示の実施の形態に係る電力制御装置100の機能構成例を示す説明図である。以下、
図4を用いて本開示の実施の形態に係る電力制御装置100の機能構成例について説明する。
【0034】
図4に示したように、本開示の実施の形態に係る電力制御装置100は、融通パターン生成部110と、電流制御部120と、電力量取得部130と、通知部140と、を含んで構成される。
【0035】
融通パターン生成部110は、シナリオを読み込み、また蓄電装置400の蓄電量(State Of Charge;SOC)を取得して、電力の融通パターンを生成する。生成した融通パターンは、例えば通知部140によって電力管理装置10に送られる。
【0036】
電流制御部120は、電力管理装置10からの電力制御指示に従って、双方向直流交流変換器200に対して、交流電力系統1との間の入出力電流を制御する。
【0037】
電力量取得部130は、電力管理装置10からの電力制御指示に基づき、双方向直流交流変換器200が入出力した、電力管理装置10からの電力制御指示に示された電力融通期間における実融通電力量の情報を取得する。具体的には、電力量取得部130は、電力融通期間の開始時刻における、交流電力計300aが計測した電力量と、電力融通期間の終了時刻における、交流電力計300aが計測した電力量と、を取得する。
【0038】
通知部140は、電力管理装置10に対する通知を実行する。例えば、通知部140は、融通パターン生成部110が生成した融通パターンを電力管理装置10に通知する処理を行う。また例えば、通知部140は、電力融通期間における、電力量取得部130が取得した実融通電力量の情報を電力管理装置10に通知する処理を行う。通知部140が、電力融通期間における実融通電力量の情報を電力管理装置10に通知することで、電力管理装置10は、電力融通期間における予定融通電力量と、実融通電力量との差分を補正するための電力融通を、電力融通を行った拠点の電力制御装置100に指示することが出来る。
【0039】
本開示の実施の形態に係る電力制御装置100は、係る構成を有することで、電力融通パターンを生成して電力管理装置10に通知するとともに、電力融通期間における実融通電力量の情報を電力管理装置10に通知することができる。そして本開示の実施の形態に係る電力制御装置100は、このように動作することで、仮に交流電力系統1の電圧が変動し、電力融通時の予定融通電力量と実融通電力量とに差が生じても、電力管理装置10における電力料金の決済時に、電力量の差に基づく電力料金の差額分について補正を行うことが容易となる。
【0040】
例えば、拠点A-1が受電する際の予定融通電力量が1.0kWhであるが、交流電力系統1の電圧が変動し、電力融通時の実融通電力量が0.9kWhであったとする。0.1kWh分の差分が生じるが、その差分の情報は電力管理装置10が把握することが出来る。電力管理装置10はその差分について価格を下げてもよく、後にその差分について再度電力融通を対象の拠点の電力制御装置100に指示しても良い。
【0041】
以上、
図4を用いて本開示の実施の形態に係る電力制御装置100の機能構成例を説明した。続いて、本開示の実施の形態に係る電力供給システムの動作例を説明する。
【0042】
[1.2.動作例]
図5は、本開示の実施の形態に係る電力管理装置10の動作例を示す流れ図である。以下、
図5を用いて本開示の実施の形態に係る電力管理装置10の動作例について説明する。
【0043】
電力管理装置10は、動作を開始すると、まず、電力制御装置100からの電力融通の要求があるかどうか判断する(ステップS101)。電力管理装置10は、電力制御装置100からの電力融通の要求があるまで待機する(ステップS101、No)。
【0044】
電力制御装置100からの電力融通の要求があると(ステップS101、Yes)、他の電力制御装置100からの電力融通の要求と合致しているかどうか判断する(ステップS102)。電力制御装置100からの電力融通の要求には、電力提供可能時間、最低電力、最高電力、電力量、価格範囲の情報が含まれる。
【0045】
なお、
図5では、電力管理装置10は、他の電力制御装置100からの電力融通の要求と合致しているかどうかを判断しているが、交流電力系統1に電力を供給する電力会社も電力融通の相手として選ばれうる。
【0046】
他の電力制御装置100からの電力融通の要求と合致していなければ(ステップS102、No)、電力管理装置10は、取得した電力融通の要求を融通予約リストに加え(ステップS103)、ステップS101の、融通要求を待ち受ける処理に戻る。
【0047】
一方、電力制御装置100からの電力融通の要求と合致していれば(ステップS102、Yes)、電力管理装置10は、融通ペア間の融通パターンと開始時間を設定し、合致した融通ペアにデータを送信する(ステップS104)。
【0048】
例えば、電力管理装置10は、拠点A-1の電力制御装置100aと、拠点B-1の電力制御装置100eとを融通ペアとして決定すると、電力制御装置100a、100eに、電力融通パターンと開始時間の情報を送信する。
【0049】
その後、開始時間になると、電力管理装置10が決定した融通ペア同士での電力融通が始まる。そして、電力管理装置10は、電力融通を行っている拠点の電力制御装置100から、融通終了通知を受信するまで待機する(ステップS105)。融通終了通知を受信すると(ステップS105、Yes)、電力管理装置10は、融通した2台の電力制御装置100からの終了情報を受け、予定融通電力量と実融通電力量との差分を取得する(ステップS106)。
【0050】
電力管理装置10は、予定融通電力量と実融通電力量との差分が規定以内かどうか判断し(ステップS107)、規定以内であれば(ステップS107、Yes)、ステップS101の、融通要求を待ち受ける処理に戻る。一方、規定以内で無ければ(ステップS107、No)、続いて電力管理装置10は、差分時に融通補正を行う設定になっているかどうか判断する(ステップS108)。
【0051】
融通補正を行う設定になっていなければ(ステップS108、No)、電力管理装置10は、ステップS101の、融通要求を待ち受ける処理に戻る。一方、融通補正を行う設定になっていれば(ステップS108、Yes)、電力管理装置10は、融通補正値を計算し(ステップS109)、融通ペアに融通補正値のデータを送信する(ステップS104)。
【0052】
以上、
図5を用いて本開示の実施の形態に係る電力管理装置10の動作例について説明した。続いて、本開示の実施の形態に係る電力制御装置100の動作例について説明する。
【0053】
図6は、本開示の実施の形態に係る電力制御装置100の動作例を示す流れ図である。以下、
図6を用いて本開示の実施の形態に係る電力制御装置100の動作例について説明する。
【0054】
電力制御装置100は、動作を開始すると、まずシナリオや蓄電装置400のSOCを読み込み、将来必要となる電力量の計算を行う(ステップS111)。そして電力制御装置100は、その電力量の計算の結果、蓄電装置400に蓄えられる電力と、負荷などで必要となる消費電力の過不足が規定以上であるか判断する(ステップS112)。
【0055】
過不足が規定以上であれば(ステップS112、Yes)、電力制御装置100は、融通パターン生成部110で電力融通パターンを生成し、電力管理装置10へ送信する(ステップS113)。この際、電力制御装置100は、電力を融通する際に、売電価格の情報を電力管理装置10へ通知しても良い。一方、過不足が規定以上でなければ(ステップS112、No)、電力制御装置100は、ステップS113の処理をスキップする。
【0056】
続いて電力制御装置100は、電力管理装置10からの融通指示があったかどうかを判断する(ステップS114)。電力管理装置10からの融通指示があった場合は(ステップS114、Yes)、電力制御装置100は、電力管理装置10からの融通指示に基づいて双方向直流交流変換器200を制御する。また電力制御装置100は、電力融通の開始時及び終了時の交流電力計300の値を記録し、差分を電力管理装置10に通知する(ステップS115)。一方、電力管理装置10からの融通指示が無い場合は(ステップS114、No)、電力制御装置100は、ステップS111の処理に戻る。
【0057】
電力制御装置100は、双方向直流交流変換器200を制御する際に、制御電流値icを双方向直流交流変換器200aに通知する。
【0058】
以上、
図6を用いて本開示の実施の形態に係る電力制御装置100の動作例について説明した。続いて、本開示の実施の形態に係る双方向直流交流変換器200の動作例について説明する。
【0059】
図7は、本開示の実施の形態に係る双方向直流交流変換器200の動作例を示す流れ図である。以下、
図7を用いて本開示の実施の形態に係る双方向直流交流変換器200の動作例について説明する。
【0060】
双方向直流交流変換器200は、動作を開始すると、まず電力制御装置100からの制御電流値icを入手する(ステップS121)。続いて双方向直流交流変換器200は、電力融通を実行している際に、流れている電流の電流値irが制御電流値icの規定内かどうか判断する(ステップS122)。
【0061】
流れている電流の電流値irが制御電流値icの規定内であれば(ステップS122、Yes)、双方向直流交流変換器200は、ステップS121の処理に戻る。一方、流れている電流の電流値irが制御電流値icの規定内でなければ(ステップS122、No)、双方向直流交流変換器200は、制御目標値を変更して、電流値irが制御電流値icの規定内となるように動作する(ステップS123)。
【0062】
続いて双方向直流交流変換器200は、制御目標値を変更した結果、流れている電流の電流値irが制御電流値icの規定内かどうか判断する(ステップS124)。流れている電流の電流値irが制御電流値icの規定内であれば(ステップS124、Yes)、双方向直流交流変換器200は、ステップS121の処理に戻る。一方、流れている電流の電流値irが制御電流値icの規定内でなければ(ステップS124、No)、双方向直流交流変換器200は、逆潮電流が多い場合は発電機(例えば交流発電機600)の電流抑制を行い、受電電流が多い場合は負荷(例えば負荷50b)の電流抑制を行う(ステップS125)。
【0063】
以上、
図7を用いて本開示の実施の形態に係る双方向直流交流変換器200の動作例について説明した。続いて、本開示の実施の形態に係る電力供給システムの動作による動作シーケンスの一例を説明する。
【0064】
図8は、本開示の実施の形態に係る電力供給システムの動作による動作シーケンスの一例を示す説明図である。
図8に示したのは、本開示の実施の形態に係る電力供給システムに含まれる2つの拠点A-1、B-1の間で電力融通を行う場合の動作シーケンスを示したものである。
【0065】
予め2つの拠点A-1、B-1で電力融通パターンが生成され、2つの拠点A-1、B-1の間で電力融通の要求が合致していると電力管理装置10が判断したとする。時刻t1から時刻t2の間、電力融通パターンに基づいて電力融通が実行される。ここで、拠点A-1は20アンペアで30分間の予定で電力を融通してもらうとし、拠点B-1は10アンペアで30分間の予定で電力を供給するとする。
【0066】
しかし、
図8に示したように、交流電力系統1の電圧は安定しないことがあり得る。一定の電流を引き込んでいる場合に電圧が変化すれば、供給を受ける、また供給する電力量が変動する。従って、例えば1kWhの電力を融通する場合であっても、拠点A-1は0.9kWhの電力しか供給出来ず、また拠点B-1は1.1kWhの電力を受電してしまう場合があり得る。
【0067】
電力管理装置10は、スケジュールされた融通の結果、このような誤差が出てしまい、また、その差が許容される値以上の場合は、交流電力系統1に繋がっている主電力事業者による補填が行われたものと仮定して、その誤差分の電力料金の精算を行う。
図8の例では、拠点A-1は0.9kWhの電力を拠点B-1に販売し、拠点B-1は0.9kWhを拠点A-1、B-1の間で合意した価格で購入し、追加の0.2kWhは電力会社からの購入とする。
【0068】
逆に拠点A-1が予定より電力を多く送電してしまい、拠点B-1が予定より少なく受電した場合、多く放電した量は電力会社の規定価格、または拠点A-1、B-1の間で合意した価格の低い方で販売したものとする。
【0069】
また本実施形態では、この差分を補正するような電力融通を、拠点A-1、B-1の間で改めて実行する。すなわち、拠点A-1は不足する0.1kWhの電力を供給し、拠点B-1は、多く受電した0.1kWhの電力を送電するような電力融通を、電力管理装置10が指示する。
図8の例では、時刻t3からt4の間で、拠点B-1が0.1kWhの電力を交流電力系統1に戻し、時刻t5からt6の間で、拠点A-1が0.1kWhの電力を交流電力系統1に送電している。
【0070】
なお、電力管理装置10は、拠点間の電力融通の際の調停手数料や、融通する経路の長さに伴う送電ロス分の補填電力料金は、規定の計算式により算出して各需要家に請求してもよい。
【0071】
図9は、電源、負荷、バッテリの電流の変化を時系列で示す説明図である。
図9には、
図1の拠点A-1、B-1、C-2における電流の変化、及び、別の拠点(例えば
図1の拠点A-3とする)における交流電力計300、太陽光発電装置500、2つの負荷50、および蓄電装置400の電流の変化の例が示されている。
【0072】
時刻t1より前に、負荷によって蓄電装置400の電力が使用される。その後、時刻t1からt2の間において、拠点A-3は、拠点A-1から25円/kWhで売電された電力を買っている。この買電により供給される電力の一部は蓄電装置400に蓄えられ、残りは負荷によって使用されている。
【0073】
時刻t2で拠点A-1からの買電は終了し、続いて時刻t3からt4の間において、拠点A-3は、拠点B-1から28円/kWhで売電された電力を買っている。
【0074】
時刻t4で拠点B-1からの買電は終了する。そして時刻t4より前の時点で、太陽光発電装置500による発電が始まり、蓄電装置400は、太陽光発電装置500が発電した電力を蓄えることができる。そして蓄電装置400の蓄電量に余裕が出たので、拠点A-3は、時刻t5からt6の間におい、拠点C-2へ30円/kWhで売電する。
【0075】
これらの拠点A-3の電力の売買は、電力管理装置10により開始時間と終了時間が管理される。その時の電力量は交流電力計300が計算して電力制御装置100から通知される値を使う。そのため、それぞれの拠点の電力価格が違っていても、拠点あたり一台の電力量計で適切に処理できる。
図9の例では、拠点A-3の積購買電力価格の合計額は(Pt2-Pt1)×25円+(Pt4-Pt3)×28円-(Pt6-Pt5)×30円となる。この式において、Pt1~Pt6は、それぞれ時刻t1~t6における交流電力計300の値を指す。
【0076】
電力制御装置100は、電力管理装置10からの電力制御指示で指定された電力融通期間において、電力管理装置10から与えられた目標電力量に対して、定期的に累積電力量を計算し、その差分を随時補正することで、目標電力量と累積電力量との最終的な誤差を低減させるようにしても良い。
【0077】
図10は、本開示の実施の形態に係る電力制御装置100の動作例を示す流れ図である。以下、
図10を用いて本開示の実施の形態に係る電力制御装置100の動作例について説明する。
【0078】
電力制御装置100は、電力管理装置10からの指示があるまで待機し(ステップS131、No)、電力管理装置10からの指示が到達すると(ステップS131、Yes)、交流電力計300及び電力管理装置10からの情報を取得し、取得したそれぞれの情報を変数に格納する(ステップS132)。ステップS132の処理は、例えば電力量取得部130が実行しうる。
【0079】
具体的には、電力制御装置100は交流電力計300の情報から系統電圧値を入手し、その値から平均電圧値を算出して変数Vに保持する。また電力制御装置100は電力管理装置10からの指示電力値を変数Pに保持する。また電力制御装置100は、電力の潮流・逆潮流時間を変数tに保持しておく。
【0080】
続いて電力制御装置100は、変数tが0以下になったかどうか判断する(ステップS133)。ステップS133の処理は、例えば電力量取得部130が実行しうる。変数tが0以下になっていれば(ステップS133、Yes)、電力制御装置100は処理を終了する。一方、変数tが0以下になっていなければ(ステップS133、No)、電力制御装置100は、上記ステップS132で保持した変数P及びt、または後述するステップS135で更新された変数P及びtから、双方向直流交流変換器200の電流値を計算して、双方向直流交流変換器200に指示するとともに、交流電力計300から取得した情報を用いて変数値を更新する(ステップS134)。ステップS134の処理は、例えば電流制御部120が実行しうる。
【0081】
具体的には、電力制御装置100は、変数Pの値とVの値からi=P/Vとして電流値を計算し、そのiの値を双方向直流交流変換器200にセットし制御を行う。また電力制御装置100は、交流電力計300から現在の累積電力量を入手し、変数Wに保持する。
【0082】
続いて電力制御装置100は、一定時間Δt待った後に、交流電力計300からの情報を用いて変数値を更新する(ステップS135)。ステップS135の処理は、例えば電力量取得部130が実行しうる。具体的には、電力制御装置100は、ステップS135において一定時間Δt待った後に、交流電力計300からの累積電力量を入手し、変数Wとの差分ΔWhを計算する。また電力制御装置100は、変数tをt=t-Δtとして更新し、また変数PをP=(P×t-ΔWh)/tとして更新する。電力制御装置100は、変数値を更新すると、ステップS133の判断処理に戻る。
【0083】
電力制御装置100は、
図10に示した一連の動作を実行することで、電力管理装置10から与えられた目標電力量に対して、定期的に累積電力量を計算し、その差分を随時補正することができる。そして電力制御装置100は、
図10に示した一連の動作を実行することで、目標電力量と累積電力量との最終的な誤差を低減させることが可能となる。
【0084】
図11は、電力管理装置10からの電力制御指示で指定された電力融通期間における、目標電力量と累積電力量の変化の一例を示す説明図である。
図11に示したグラフは、横軸に時間を、縦軸に交流電力系統の電圧値、双方向直流交流変換器200の制御電流値、及び電力量を表している。
【0085】
時刻t1の時点で、目標電力量カーブP1と、累積電力量Psumとの間に差分が生じていることがわかれば、電力制御装置100は、目標電力量を更新するとともに、新たな制御電流値を双方向直流交流変換器200に与えることで、誤差の低減を試みる。
【0086】
続く時刻t2の時点で、目標電力量カーブP2と、累積電力量Psumとの間に差分が生じていることがわかれば、電力制御装置100は、目標電力量を更新するとともに、新たな制御電流値を双方向直流交流変換器200に与えることで、誤差の低減を試みる。
【0087】
続く時刻t3の時点で、目標電力量カーブP3と、累積電力量Psumとの間に差分が生じていることがわかれば、電力制御装置100は、目標電力量を更新するとともに、新たな制御電流値を双方向直流交流変換器200に与えることで、誤差の低減を試みる。
【0088】
このように制御を行うことで、電力制御装置100は、電力管理装置10から与えられた目標電力量に対して、定期的に累積電力量を計算し、その差分を随時補正することができる。そして電力制御装置100は、目標電力量と累積電力量との最終的な誤差を低減させることが可能となる。
【0089】
図12は、本開示の実施の形態の効果を示す説明図である。
図12には2つの拠点A-1、X-1が示されており、拠点A-1は本開示の実施の形態による構成を備え、拠点X-1は、送電と受電でそれぞれ別の交流電力計を設けている構成を備えている。
【0090】
買電と売電で料金体系が違うため、拠点X-1では、太陽光発電装置(PV)が発電した電力量を1つの電力量計(AMR2)で計量することで売電料金の計算を行っており、一方、消費電力量は別の電力量計(AMR1)で計量して買電料金の計算を行わなければならない。また拠点X-1では、停電の発生に備え、特定の負荷に対してインバータ(INV)で供給できるようにしているものもあるが、逆潮流はしない方式となっている。
【0091】
これに対して拠点A-1は、売電する時と買電する時の電力量と、融通時間とから電力料金が明確に分かる。そのため、拠点A-1では交流電力計が1つで済むという効果がある。
【0092】
<2.まとめ>
以上説明したように本開示の実施の形態によれば、交流電力系統を介して電力を融通し合うことが可能な電力供給システムに設けられる電力制御装置であって、双方向直流交流変換器に対して電流を制御するとともに、融通開始時と終了時の電力量を、中央の電力管理装置に送信する電力制御装置が提供される。本開示の実施の形態に係る電力制御装置は、電力融通時の融通開始時と終了時の電力量を電力管理装置に提供することで、融通が予定された電力量と、実際の融通電力量との差分を把握できる。
【0093】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0094】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0095】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
外部の電力管理装置からの電力制御指示に従って、双方向交直流変換器に対して交流送電線との間の入出力電流を制御する電流制御部と、
前記電力制御指示に基づき、前記双方向交直流変換器が入出力した、電力融通期間における実融通電力量を取得する電力量取得部と、
前記電力融通期間における、前記電力量取得部が算出した前記実融通電力量の情報を前記電力管理装置に通知する通知部と、
を備える、電力制御装置。
(2)
前記通知部は、電力の融通の必要が生じた場合に前記交流送電線を通じた電力融通を前記電力管理装置に要求する、前記(1)に記載の電力制御装置。
(3)
前記通知部は、所定の電力シナリオに基づいて前記電力管理装置に電力融通を要求する、前記(2)に記載の電力制御装置。
(4)
前記所定の電力シナリオは、電力を使用する負荷による電力消費スケジュールを含む、前記(3)に記載の電力制御装置。
(5)
前記所定の電力シナリオは、電力を発電する発電装置による発電スケジュールを含む、前記(3)に記載の電力制御装置。
(6)
前記発電装置は、太陽光発電装置である、前記(5)に記載の電力制御装置。
(7)
前記所定の電力シナリオは、蓄電池の蓄電量を含む、前記(3)~(6)のいずれかに記載の電力制御装置。
(8)
前記通知部は、前記双方向交直流変換器と接続されている蓄電装置の状態に基づいて前記電力管理装置に電力融通を要求する、前記(2)~(7)のいずれかに記載の電力制御装置。
(9)
前記電流制御部は、前記双方向交直流変換器が接続されている前記交流送電線の基準電圧に基づいて入出力電流を制御する、前記(1)~(8)のいずれかに記載の電力制御装置。
(10)
前記電流制御部は、前記電力融通期間における予定融通電力量と、前記実融通電力量との差分が所定の閾値以上であった場合に、所定のタイミングにおいて差分に相当する電力融通を双方向交直流変換器に対して指示する、前記(1)~(9)のいずれかに記載の電力制御装置。
(11)
前記通知部は、電力を提供する際の売電価格の情報を前記電力管理装置に通知する、前記(1)~(10)のいずれかに記載の電力制御装置。
(12)
外部の電力管理装置からの電力制御指示に従って、双方向交直流変換器に対して交流送電線との間の入出力電流を制御する電流制御部と、
前記電力制御指示で指定された目標電力量と、前記双方向交直流変換器が入出力した実融通電力量とを取得し、差分を算出する電力量取得部と、
を備え、
前記電流制御部は、電力量取得部が算出した差分に基づいて前記双方向交直流変換器に対して入出力電流を制御する、電力制御装置。
(13)
前記電力量取得部は、前記電力制御指示で指定された電力融通期間において、前記目標電力量と、前記実融通電力量とを取得し、差分を算出する、前記(12)に記載の電力制御装置。
(14)
外部の電力管理装置からの電力制御指示に従って、双方向交直流変換器に対して交流送電線との間の入出力電流を制御することと、
前記電力制御指示に基づき、前記双方向交直流変換器が入出力した、電力融通期間における実融通電力量を取得することと、
前記電力融通期間における前記実融通電力量の情報を前記電力管理装置に通知することと、
を含む、電力制御方法。
(15)
外部の電力管理装置からの電力制御指示に従って、双方向交直流変換器に対して交流送電線との間の入出力電流を制御することと、
前記電力制御指示で指定された目標電力量と、前記双方向交直流変換器が入出力した実融通電力量とを周期的に取得し、差分を算出することと、
前記差分に基づいて前記双方向交直流変換器に対して入出力電流を制御することと、
を含む、電力制御方法。
【符号の説明】
【0096】
1 :交流電力系統
10 :電力管理装置
100 :電力制御装置
200 :双方向直流交流変換器
300 :交流電力計
400 :蓄電装置
500 :太陽光発電装置
600 :交流発電機