IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電気株式会社の特許一覧

特許7380566情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20231108BHJP
   G01M 17/007 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G01M17/007 D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020534037
(86)(22)【出願日】2018-09-14
(86)【国際出願番号】 JP2018034165
(87)【国際公開番号】W WO2020026460
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-02-01
(31)【優先権主張番号】P 2018146728
(32)【優先日】2018-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134430
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 卓士
(72)【発明者】
【氏名】中山田 淳
【審査官】西畑 智道
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/012677(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/163538(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第108267322(CN,A)
【文献】国際公開第2017/171005(WO,A1)
【文献】特開2002-203108(JP,A)
【文献】特開2012-146251(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G01M 17/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想的走行環境をシミュレートする走行環境シミュレータが生成した仮想的走行環境情報を、車両の自動運転を行う人工知能への入力として提供する生成部と、
前記仮想的走行環境情報に基づいて前記車両の仮想的自動運転を行った前記人工知能から出力された仮想運転情報を取得する取得部と、
前記仮想的自動運転を行った前記人工知能が備える自動運転能力を前記仮想運転情報に基づいて評価する評価部と、
前記仮想的走行環境情報と、前記車両が危険状態になりやすい度合いを表す危険ランクと、を対応付けて記憶する記憶部と、
を備え、
前記生成部は、
前記評価部が第1の危険ランクに対応する前記仮想的走行環境情報に基づいて前記人工知能が備える自動運転能力に対して行った評価が所定の基準をクリアしなかった場合、前記第1の危険ランクより低い第2の危険ランクに対応する前記仮想的走行環境情報を前記人工知能への入力として提供し、
前記評価部が前記第1の危険ランクに対応する前記仮想的走行環境情報に基づいて前記人工知能が備える自動運転能力に対して行った評価が所定の基準をクリアした場合、前記第2の危険ランクに対応する前記仮想的走行環境情報を前記人工知能への入力として提供する処理を省略する
情報処理装置。
【請求項2】
前記評価部は、前記仮想的自動運転を行った前記人工知能が備える自動運転能力を複数の評価指標により評価する
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記複数の評価指標は、少なくとも、走行の安定性と、安全性とを含む
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記評価部は、前記仮想的自動運転を行った前記人工知能から出力された前記仮想運転情報と、模範となる車両における運転情報とを比較することによって、前記仮想的自動運転を行った前記人工知能が備える自動運転能力を評価する
請求項1乃至のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記生成部は、前記仮想的自動運転に関して前記人工知能が有する特定の機能であって、衝突安全及び行動計画のうち少なくともいずれかを含む特定の機能を評価するための前記仮想的走行環境情報を前記人工知能への入力として提供し、
前記評価部は、前記人工知能から出力された前記仮想運転情報に基づいて前記人工知能が有する前記特定の機能を評価する
請求項1乃至のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記危険ランクは、前記仮想的走行環境における前記車両の速度都市の発達度合い、レーン線の明瞭度合い、カーブの状況および逆光の状況の少なくともいずれか1つに基づいて定められる請求項1乃至5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
生成部が、仮想的走行環境をシミュレートする走行環境シミュレータが生成した仮想的走行環境情報を、車両の自動運転を行う人工知能への入力として提供する生成ステップと、
取得部が、前記仮想的走行環境情報に基づいて前記車両の仮想的自動運転を行った前記人工知能から出力された仮想運転情報を取得する取得ステップと、
評価部が、前記仮想的自動運転を行った前記人工知能が備える自動運転能力を前記仮想運転情報に基づいて評価する評価ステップと、
を含み、
前記生成ステップは、
前記評価ステップにおいて、第1の危険ランクに対応する前記仮想的走行環境情報に基づいて前記人工知能が備える自動運転能力に対して行った評価が所定の基準をクリアしなかった場合、前記第1の危険ランクより低い第2の危険ランクに対応する前記仮想的走行環境情報を前記人工知能への入力として提供し、
前記評価ステップにおいて、前記第1の危険ランクに対応する前記仮想的走行環境情報に基づいて前記人工知能が備える自動運転能力に対して行った評価が所定の基準をクリアした場合、前記第1の危険ランクより低い前記第2の危険ランクに対応する前記仮想的走行環境情報を前記人工知能への入力として提供する処理を省略する
情報処理方法。
【請求項8】
仮想的走行環境をシミュレートする走行環境シミュレータが生成した仮想的走行環境情報を、車両の自動運転を行う人工知能への入力として提供する生成ステップと、
前記仮想的走行環境情報に基づいて前記車両の仮想的自動運転を行った前記人工知能から出力された仮想運転情報を取得する取得ステップと、
前記仮想的自動運転を行った前記人工知能が備える自動運転能力を前記仮想運転情報に基づいて評価する評価ステップと、
をコンピュータに実行させる情報処理プログラムであって、
前記生成ステップは、
前記評価ステップにおいて、第1の危険ランクに対応する前記仮想的走行環境情報に基づいて前記人工知能が備える自動運転能力に対して行った評価が所定の基準をクリアしなかった場合、前記第1の危険ランクより低い第2の危険ランクに対応する前記仮想的走行環境情報を前記人工知能への入力として提供し、
前記評価ステップにおいて、前記第1の危険ランクに対応する前記仮想的走行環境情報に基づいて前記人工知能が備える自動運転能力に対して行った評価が所定の基準をクリアした場合、前記第1の危険ランクより低い前記第2の危険ランクに対応する前記仮想的走行環境情報を前記人工知能への入力として提供する処理を省略する
情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野において、特許文献1には、シミュレーションを用いて車両性能の評価を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-028725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記文献に記載の技術では、車両の自動運転を行う人工知能を効率的に評価することができなかった。
本発明の目的は、上述の課題を解決する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係る情報処理装置は、
仮想的走行環境をシミュレートする走行環境シミュレータが生成した仮想的走行環境情報を、車両の自動運転を行う人工知能への入力として提供する生成部と、
前記仮想的走行環境情報に基づいて前記車両の仮想的自動運転を行った前記人工知能から出力された仮想運転情報を取得する取得部と、
前記仮想的自動運転を行った前記人工知能が備える自動運転能力を前記仮想運転情報に基づいて評価する評価部と、
前記仮想的走行環境情報と、前記車両が危険状態になりやすい度合いを表す危険ランクと、を対応付けて記憶する記憶部と、
を備え、
前記生成部は、
前記評価部が第1の危険ランクに対応する前記仮想的走行環境情報に基づいて前記人工知能が備える自動運転能力に対して行った評価が所定の基準をクリアしなかった場合、前記第1の危険ランクより低い第2の危険ランクに対応する前記仮想的走行環境情報を前記人工知能への入力として提供し、
前記評価部が前記第1の危険ランクに対応する前記仮想的走行環境情報に基づいて前記人工知能が備える自動運転能力に対して行った評価が所定の基準をクリアした場合、前記第1の危険ランクより低い前記第2の危険ランクに対応する前記仮想的走行環境情報を前記人工知能への入力として提供する処理を省略する
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る情報処理方法は、
生成部が、仮想的走行環境をシミュレートする走行環境シミュレータが生成した仮想的走行環境情報を、車両の自動運転を行う人工知能への入力として提供する生成ステップと、
取得部が、前記仮想的走行環境情報に基づいて前記車両の仮想的自動運転を行った前記人工知能から出力された仮想運転情報を取得する取得ステップと、
評価部が、前記仮想的自動運転を行った前記人工知能が備える自動運転能力を前記仮想運転情報に基づいて評価する評価ステップと、
を含み、
前記生成ステップは、
前記評価ステップにおいて、第1の危険ランクに対応する前記仮想的走行環境情報に基づいて前記人工知能が備える自動運転能力に対して行った評価が所定の基準をクリアしなかった場合、前記第1の危険ランクより低い第2の危険ランクに対応する前記仮想的走行環境情報を前記人工知能への入力として提供し、
前記評価ステップにおいて、前記第1の危険ランクに対応する前記仮想的走行環境情報に基づいて前記人工知能が備える自動運転能力に対して行った評価が所定の基準をクリアした場合、前記第1の危険ランクより低い前記第2の危険ランクに対応する前記仮想的走行環境情報を前記人工知能への入力として提供する処理を省略する
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る情報処理プログラムは、
仮想的走行環境をシミュレートする走行環境シミュレータが生成した仮想的走行環境情報を、車両の自動運転を行う人工知能への入力として提供する生成ステップと、
前記仮想的走行環境情報に基づいて前記車両の仮想的自動運転を行った前記人工知能から出力された仮想運転情報を取得する取得ステップと、
前記仮想的自動運転を行った前記人工知能が備える自動運転能力を前記仮想運転情報に基づいて評価する評価ステップと、
をコンピュータに実行させる情報処理プログラムであって、
前記生成ステップは、
前記評価ステップにおいて、第1の危険ランクに対応する前記仮想的走行環境情報に基づいて前記人工知能が備える自動運転能力に対して行った評価が所定の基準をクリアしなかった場合、前記第1の危険ランクより低い第2の危険ランクに対応する前記仮想的走行環境情報を前記人工知能への入力として提供し、
前記評価ステップにおいて、前記第1の危険ランクに対応する前記仮想的走行環境情報に基づいて前記人工知能が備える自動運転能力に対して行った評価が所定の基準をクリアした場合、前記第1の危険ランクより低い前記第2の危険ランクに対応する前記仮想的走行環境情報を前記人工知能への入力として提供する処理を省略する
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車両の自動運転を行う人工知能を効率的に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図2A】本発明の第2実施形態に係る人工知能評価の概要を示す図である。
図2B】本発明の第2実施形態に係る人工知能評価のシチュエーションの例を示す図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る情報処理装置を含む情報処理システムの構成を示すブロック図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る情報処理装置を含む情報処理システムの動作手順を示すシーケンス図である。
図5】本発明の第2実施形態に係るクラウドサーバとしての情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る走行環境情報データベースの構成を示す図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る走行環境情報の選択テーブルの構成を示す図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る評価情報データベースの構成を示す図である。
図9】本発明の第2実施形態に係る評価テーブルの構成を示す図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る通信端末の機能構成を示すブロック図である。
図11】本発明の第2実施形態に係るクラウドサーバとしての情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図12】本発明の第2実施形態に係るクラウドサーバとしての情報処理装置の処理手順を示すフローチャートである。
図13】本発明の第3実施形態に係るクラウドサーバとしての情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。
図14】本発明の第3実施形態に係る走行環境情報データベースの構成を示す図である。
図15】本発明の第3実施形態に係るクラウドサーバとしての情報処理装置の処理手順を示すフローチャートである。
図16】本発明の第4実施形態に係る人工知能評価の概要を示す図である。
図17】本発明の第4実施形態に係るクラウドサーバとしての情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。
図18】本発明の第4実施形態に係る評価指標テーブルの構成を示す図である。
図19】本発明の第4実施形態に係る評価情報データベースの構成を示す図である。
図20】本発明の第4実施形態に係る評価テーブルの構成を示す図である。
図21】本発明の第4実施形態に係るクラウドサーバとしての情報処理装置の処理手順を示すフローチャートである。
図22】本発明の第5実施形態に係るクラウドサーバとしての情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。
図23】本発明の第5実施形態に係るクラウドサーバとしての情報処理装置の処理手順を示すフローチャートである。
図24】本発明の第6実施形態に係る人工知能評価の概要を示す図である。
図25】本発明の第6実施形態に係るクラウドサーバとしての情報処理装置の処理手順を示すフローチャートである。
図26】本発明の第7実施形態に係る情報処理装置を含む情報処理システムの動作手順を示すシーケンス図である。
図27】本発明の第8実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施の形態に記載されている構成要素は単なる例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態としての情報処理装置100について、図1を用いて説明する。情報処理装置100は、人工知能を評価する装置である。
【0011】
図1に示すように、情報処理装置100は、走行環境情報生成部101と、仮想運転結果取得部102と、性能評価部103と、を含む。走行環境情報生成部101は、仮想的な車両の走行環境をシミュレートする走行環境シミュレータが生成した走行環境情報のうち、車両が危険状態になりやすい走行環境を表す走行環境情報111を、車両の自動運転を行う人工知能110に提供するために生成する。仮想運転結果取得部102は、仮想的な走行環境下において、人工知能110により車両の仮想的な自動運転を行った仮想運転結果112を取得する。性能評価部103は、人工知能による自動運転の仮想運転結果から、人工知能の性能を評価する。
【0012】
本実施形態によれば、車両が危険状態になりやすい走行環境を表す走行環境情報に基づいて人工知能を評価するので、車両の自動運転を行う人工知能を効率的に評価することができる。
【0013】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る情報処理装置について説明する。本実施形態に係る情報処理装置は、仮想的な車両の走行環境をシミュレートする走行環境シミュレータが生成した走行環境情報のうち、前記車両が危険状態になりやすい走行環境を表す走行環境情報を、車両の自動運転を行う人工知能に提供して、人工知能により車両の仮想的な自動運転を行った結果を評価する。また、情報処理装置は、人工知能に含まれる特定の機能を評価するための走行環境情報を提供し、特定の機能の性能を評価してもよい。
【0014】
ここで、走行環境情報は、仮想的な車両の走行環境を表す前方カメラの映像データを含む。なお、車両が危険状態になりやすい走行環境を表す走行環境情報は、通常の走行ルールからはずれた状況を表す走行環境情報を含む。一方、車両が危険状態になりやすい度合いが閾値を超える走行環境を表す走行環境情報を提供しない。
【0015】
《人工知能評価の概要》
図2Aは、本実施形態に係る人工知能評価の概要を示す図である。図2Aは、本実施形態の人工知能の評価において、通信端末の表示部200の表示の遷移の概要を示している。
【0016】
画面210は、通信端末から本実施形態の情報処理装置へのログイン時の画面である。画面220は、通信端末から情報処理装置の評価対象を通知する画面である。なお、評価シチュエーション、評価レベル、報告レベルなどを設定してもよい。評価シチュエーションの設定が無ければ、ランダムな走行環境情報による評価が実行される。
【0017】
画面230は、走行環境情報に従ってAI(Artificial Intelligence)処理の実行が行われている間の状況を通知する画面である。画面230では、現在、「交差点の追い越しテスト」が実行されていることを示している。画面240は、テスト終了後の評価結果を通知する画面である。
【0018】
このように、通信端末の表示部200からの簡単な操作で、人工知能の評価結果を得ることができる。
【0019】
(人工知能評価のシチュエーションの例)
図2Bは、本実施形態に係る人工知能評価のシチュエーションの例を示す図である。
【0020】
図2Bのシチュエーション201は、「路上に飛び出した歩行者や自転車などを避けようとして、車が割り込んでくる」走行環境を表している。また、図2Bのシチュエーション202は、「路上駐車や、前方の低速車両を避けようとして、車が割り込んでくる」走行環境を表している。なお、図2Bは、一連であって他の多くの危険が発生しやすいシチュエーションが生成できる。本実施形態においては、これらを表す走行環境情報をAIに提供して仮想環境での仮想運転を実行させて、その結果を評価する。
【0021】
《情報処理システムの構成》
図3は、本実施形態に係る情報処理装置を含む情報処理システム300の構成を示すブロック図である。
【0022】
情報処理システム300は、ネットワーク340によって接続される、本実施形態のクラウドサーバとしての情報処理装置310と、AIの評価を依頼する通信端末321、322(図2の通信端末に相当)とを有する。また、AIの評価を依頼する通信端末321、322のそれぞれに接続された評価対象の評価対象モジュール331、332を有する。なお、評価対象モジュール331、332は、ECU(Electrotic Control Unit/Engine Control Unit)全体であっても、その一部の制御機構であってもよい。また、ソフトウェアに評価である場合に、通信端末内において評価されてもよい。
【0023】
《情報処理システムの動作手順》
図4は、本実施形態に係る情報処理装置を含む情報処理システム300の動作手順を示すシーケンス図である。
【0024】
ステップS401において、AIの評価を依頼する通信端末320と評価対象の評価対象モジュール330とが接続される。ステップS403において、通信端末320から依頼先のクラウドサーバとしての情報処理装置310にログインして通信確立して、アプリケーションを起動する。
【0025】
情報処理装置310は、ステップS405において、評価対象に関する評価対象情報を取得する。なお、取得元は、通信端末320であっても評価対象モジュール330であってもよい。情報処理装置310は、ステップS407において、評価対象情報に基づいて走行環境情報を選択する。なお、評価対象がECU全体であれば、全走行環境情報を順に実行する。一方、評価対象が一部機能であれば、その機能を評価するのに好適な走行環境情報が選択される。
【0026】
ステップS409において、情報処理装置310と評価対象モジュール330との間で、通信端末320を介して、走行環境情報の提供とAI処理実行と処理情報の取得とが評価終了まで繰り返される。ステップS409は、情報処理装置310のステップS491における走行環境情報の提供を含む。また、ステップS409は、評価対象モジュール330のステップS493における走行環境情報の入力と、評価対象モジュール330のステップS495におけるAI処理実行と、評価対象モジュール330のステップS497における処理情報の出力と、を含む。また、ステップS409は、情報処理装置310のステップS499における処理情報の取得を含む。
【0027】
情報処理装置310は、ステップS411において、取得した処理情報をそのまま、あるいは、評価指標を算出して評価する。そして、情報処理装置310は、ステップS413において、評価結果を通信端末320に通知する。通信端末320は、ステップS415において、受信した評価結果をユーザに出力する。
【0028】
《情報処理装置の機能構成》
図5は、本実施形態に係るクラウドサーバとしての情報処理装置310の機能構成を示すブロック図である。
【0029】
情報処理装置310は、通信制御装置501と、評価対象情報取得部502と、走行環境情報データベース503と、走行環境情報選択取得部504と、走行環境情報生成部505と、を備える。さらに、情報処理装置310は、AI処理情報取得部506と、評価情報データベース507と、AI処理情報評価部508と、AI評価結果通知部509と、オプションとして着脱可能記憶媒体510と、を備える。
【0030】
通信制御装置501は、ネットワーク340を介して、通信端末320との通信を制御する。評価対象情報取得部502は、通信端末320から評価対象の評価対象情報を取得する。走行環境情報データベース503は、通信端末320を介して、評価対象モジュール330をテストするための走行環境情報を蓄積する。走行環境情報選択取得部504は、選択テーブル541を有し、評価対象情報を参照して走行環境情報を選択し、走行環境情報データベース503から取得する。走行環境情報生成部505は、選択取得された走行環境情報から提供するための走行環境情報を生成する。そして、生成された走行環境情報は、通信端末320を介して、あるいは、着脱可能記憶媒体510を介して、評価対象モジュール330に提供される。
【0031】
AI処理情報取得部506は、通信端末320を介して評価対象モジュール330の処理情報を取得する。評価情報データベース507は、取得した処理情報を評価するための評価情報を蓄積する。AI処理情報評価部508は、評価テーブル581を有し、AI処理情報と評価情報データベース507の評価情報とを対比して、AI処理情報を評価する。AI評価結果通知部509は、AI処理情報の評価結果を、通信端末320に提供する。
【0032】
(走行環境情報データベース)
図6は、本実施形態に係る走行環境情報データベース503の構成を示す図である。走行環境情報データベース503は、評価対象モジュール330をテストするための走行環境情報を蓄積する。
【0033】
走行環境情報データベース503は、走行環境情報ID601に対応付けて、評価対象602と、走行環境情報603と、評価情報ID604と、を記憶する。評価対象602は、その走行環境情報がECU全体を評価するものか、一部機能を評価するものかを記憶する。図6では、一部機能として、衝突安全モジュールや行動計画モジュールが記載されているが、これに限定されない。
【0034】
また、走行環境情報603としては、車両前方カメラによる映像データ、自車位置確認のための地図データ、走行エリアの障害物データ、信号データ、などが含まれる。評価情報ID604は、走行環境情報下でのAI処理を評価するための評価情報のIDである。
【0035】
(走行環境情報の選択テーブル)
図7は、本実施形態に係る走行環境情報の選択テーブル541の構成を示す図である。走行環境情報の選択テーブル541は、評価対象情報に基づいて提供する走行環境情報を選択するために、走行環境情報選択取得部504で使用される。
【0036】
走行環境情報の選択テーブル541は、評価対象情報701に対応して、少なくとも1つの走行環境情報ID702を記憶する。この走行環境情報ID702に基づいて、走行環境情報データベース503から走行環境情報が選択取得される。実行順序703は、複数の走行環境情報ID702がある場合の実行順序を記憶する。かかる順位は、車両が危険状態になりやすい走行環境を表す走行環境情報を先にするのが望ましい。
【0037】
(評価情報データベース)
図8は、本実施形態に係る評価情報データベース507の構成を示す図である。評価情報データベース507は、AI処理の処理情報と対比して評価するための処理情報を格納する。
【0038】
評価情報データベース507は、評価情報ID801に対応付けて、評価情報802と、評価条件803と、を記憶する。評価情報802は、例えば、AI処理の出力でもあるブレーキ操作、アクセル操作、ハンドル操作、などを有するが、これに限定されない。評価条件803は、例えば、評価情報802そのまま、あるいは、演算結果に対する閾値などが含まれる。
【0039】
(評価テーブル)
図9は、本実施形態に係る評価テーブル581の構成を示す図である。評価テーブル581は、AI処理の処理情報と、評価情報データベース507の評価情報とから評価結果を導くために、AI処理情報評価部508が使用する。
【0040】
評価テーブル581は、評価対象901に対応付けて、少なくとも1つのテストに用いた走行環境情報902を記憶する。そして、各走行環境情報902に対応付けて、AIから出力された処理情報903と、評価情報データベース507からの評価情報904と、評価結果905と、を記憶する。さらに、評価対象901に対応付けて、総合評価906と、ユーザへのコメント907とを記憶する。
【0041】
《通信端末の機能構成》
図10は、本実施形態に係る通信端末320の機能構成を示すブロック図である。
【0042】
通信端末320は、通信制御部1001と、入出力インタフェース1002と、評価対象情報送信部1003と、走行環境情報取得部1004と、走行環境情報出力部1005と、を備える。また、通信端末320は、AI処理情報取得部1006と、AI処理情報送信部1007と、AI評価結果取得出力部1008と、を備える。さらに、通信端末320は、入出力インタフェース1002に接続する表示部1009と、操作部1010と、評価対象モジュール330が接続されるAI接続部1011と、を備える。
【0043】
通信制御部1001は、ネットワーク340を介した、情報処理装置310との通信を制御する。入出力インタフェース1002は、表示部1009と、操作部1010と、AI接続部1011と、オプションとして着脱可能記憶媒体1012と、インタフェースする。
【0044】
評価対象情報送信部1003は、操作部1010から入力された、または、評価対象モジュール330から取得した評価対象情報を情報処理装置310に送信する。走行環境情報取得部1004は、情報処理装置310から評価対象情報に対応付いた走行環境情報を取得する。走行環境情報出力部1005は、AI接続部1011から評価対象モジュール330に走行環境情報を出力する。
【0045】
AI処理情報取得部1006は、AI接続部1011を介して、評価対象モジュール330からAI処理の処理情報を取得する。AI処理情報送信部1007は、取得したAI処理情報を情報処理装置310に送信する。AI評価結果取得出力部1008は、情報処理装置310におけるAI処理情報の評価結果を受信して表示部1009などに出力する。
【0046】
表示部1009は、通信端末320の状態やAI評価結果を表示する。操作部1010は、通信端末320の動作指示を受け付ける。AI接続部1011は、評価対象モジュール330を接続する。着脱可能記憶媒体1012は、クラウドサーバとしての情報処理装置310からの走行環境情報を、走行環境情報出力部1005およびAI接続部1011を介して、評価対象モジュール330に出力する。
【0047】
《情報処理装置のハードウェア構成》
図11は、本実施形態に係るクラウドサーバとしての情報処理装置310のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0048】
図11で、CPU(Central Processing Unit)1110は演算制御用のプロセッサであり、プログラムを実行することで図5の機能構成部を実現する。CPU1110は1つであっても複数であってもよい。ROM(Read Only Memory)1120は、初期データおよびプログラムなどの固定データおよびプログラムを記憶する。ネットワークインタフェース1130は、ネットワークを介して、通信端末320との通信を制御する。
【0049】
RAM(Random Access Memory)1140は、CPU1110が一時記憶のワークエリアとして使用するランダムアクセスメモリである。RAM1140には、本実施形態の実現に必要なデータを記憶する領域が確保されている。評価対象情報1141は、通信端末320から受信した評価対象モジュールを示す情報である。走行環境情報1142は、評価対象情報1141に対応付けて、走行環境情報データベース503から選択取得された走行環境情報である。AI処理情報1143は、走行環境情報1142を提供してAI処理した後に取得した処理情報である。AI評価情報1144は、評価対象情報1141に対応付けて、評価情報データベース507から取得された評価情報である。AI評価結果1145は、AI処理情報1143とAI評価情報1144との対比から導かれたAIの評価結果である。送受信データ1146は、ネットワークインタフェース1130を介して、通信端末320と送受信するデータである。
【0050】
ストレージ1150は、CPU1110が使用する、データベースや各種のパラメータ、あるいは本実施形態の実現に必要な以下のデータまたはプログラムが記憶されている。走行環境情報データベース503は、図6に示した、走行環境情報を格納するデータベースである。評価情報データベース507は、図8に示した、評価情報を格納するデータベースである。
【0051】
ストレージ1150には、以下のプログラムが格納される。情報処理プログラム1151は、本情報処理装置310全体を制御するプログラムである。評価対象情報取得モジュール1152は、評価対象情報を取得するためのモジュールである、走行環境情報提供モジュール1153は、評価対象情報に対応付いた走行環境情報を取得して評価対象に提供するモジュールである。AI処理情報取得モジュール1154は、AI処理情報を評価対象から取得するモジュールである。AI処理情報評価モジュール1155は、AI処理情報を評価して評価結果を、通信端末320を介してユーザに通知するモジュールである
なお、図11のRAM1140やストレージ1150には、クラウドサーバとしての情報処理装置310が有する汎用の機能や他の実現可能な機能に関連するプログラムやデータは図示されていない。
【0052】
《情報処理装置の処理手順》
図12は、本実施形態に係るクラウドサーバとしての情報処理装置310の処理手順を示すフローチャートである。なお、このフローチャートは、図11のCPU1110がRAM1140を用いて実行し、図5の機能構成部を実現する。
【0053】
情報処理装置310は、ステップS1211において、評価対象情報を取得したか否かを判定する。評価対象情報を取得したと判定した場合、情報処理装置310は、ステップS1211において、取得した評価対象情報に対応する走行環境情報を選択して、走行環境情報データベース503から取得する。そして、選択取得した走行環境情報を、通信端末320を介して評価対象に提供する。
【0054】
評価対象情報を取得しないと判定した場合、情報処理装置310は、ステップS1221において、AI処理情報を取得したか否かを判定する。AI処理情報を取得したと判定した場合、情報処理装置310は、ステップS1223において、走行環境情報に対応する評価情報を評価情報データベース507から取得する。そして、情報処理装置310は、ステップS1225において、AI処理情報の評価結果を蓄積する。
【0055】
評価対象情報を取得しない、かつ、AI処理情報を取得しないと判定した場合、情報処理装置310は、ステップS1231において、AI処理の終了か否かを判定する。AI処理の終了であると判定した場合、情報処理装置310は、ステップS1233において、評価対象に対して蓄積された評価結果から総合評価を生成する。そして、情報処理装置310は、ステップS1235において、評価対象とつながる通信端末に総合評価およびコメントを出力する。
【0056】
本実施形態によれば、車両が危険状態になりやすい走行環境を表す走行環境情報に基づいて人工知能を評価するので、車両の自動運転を行う人工知能を効率的に評価することができる。さらに、評価対象を大きな構成から小さな構成まで選定できるので、柔軟性のある評価をすることができる。
【0057】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る情報処理装置について説明する。本実施形態に係る情報処理装置は、上記第2実施形態と比べると、車両が危険状態になりやすい走行環境を表す走行環境情報から危険状態になりにくい走行環境を表す走行環境情報への順に優先順位を付けて評価する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0058】
《情報処理装置の機能構成》
図13は、本実施形態に係るクラウドサーバとしての情報処理装置1310の機能構成を示すブロック図である。なお、図13において、図5と同様の構成要素には同じ参照番号を付して、重複する説明を省略する。
【0059】
図13の情報処理装置1310は、走行環境情報データベース1303と、選択テーブル1341を有する走行環境情報選択取得部1304と、を備える。走行環境情報データベース1303は、各走行環境情報がどの程度の危険を有するかを保持している。なお、走行環境情報選択取得部1304や選択テーブル1341は、走行環境情報データベース1303が変更されたためであり実質的な変更はないので、説明は省略する。
【0060】
(走行環境情報データベース)
図14は、本実施形態に係る走行環境情報データベース1303の構成を示す図である。なお、図14において、図6と同様の構成要素には同じ参照番号を付して、重複する説明は省略する。
【0061】
走行環境情報データベース1303は、各走行環境情報に対して危険ランク1405を記憶する。かかる危険ランク1405も考慮しながら、走行環境情報選択取得部1304は提供すべき走行環境情報を選択取得する。通常は、危険ランク1405の高い走行環境情報から選択取得するのが望ましいが、限定されない。なお、危険ランク1405には危険レベルを記憶し、取得時に危険レベルからランク付けをしてもよい。
【0062】
《情報処理装置の処理手順》
図15は、本実施形態に係るクラウドサーバとしての情報処理装置1310の処理手順を示すフローチャートである。なお、図15において、図12と同様のステップには同じステップ番号を付して、重複する説明を省略する。
【0063】
情報処理装置1310は、ステップS1513において、例えば、評価対象に対応して危険ランクの高い方から走行環境情報を選択する。
【0064】
なお、本実施形態における優先順位は、例えば、速度が大きい環境から小さい環境へ、大雨の環境から小雨の環境へ、都心の道路から田舎の道路へ、レーン線の薄い環境から濃い環境へ、カーブが急な道路から緩い道路へ、逆光が正面から非正面へ、と選択するようにしてよい。
【0065】
本実施形態によれば、提供する走行環境情報に優先順位を付けることで、危険レベルの高い評価をクリアした場合に、危険レベルの低い評価をスキップすることも可能となり、より効率的に評価することができる。
【0066】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る情報処理装置について説明する。本実施形態に係る情報処理装置は、上記第2実施形態および第3実施形態と比べると、複数の評価指標(軸)で人工知能を評価する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態および第3実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0067】
なお、最終評価は、複数の評価指標を組み合わせて人工知能の総合的な性能とする。複数の評価指標としては、快適さを示す安定性と安全性とを含む。そして、快適さを示す安定性には、速度の安定性と、車両の動きの直線性と、カーブでの車両の曲り角度とを含む。これら複数の評価指標によるそれぞれの評価結果が出力されてもよい。
【0068】
《人工知能評価の概要》
図16は、本実施形態に係る人工知能評価の概要を示す図である。
【0069】
図16においては、複数の評価指標(軸)によって、AI処理が評価されている。例えば、図16の評価結果通知画面1640では、大きく「安全性」と「安定性」との2つが評価指標である。また、「安定性」には、「速度変動(細かな速度のブレ)」、「直線性(直線走行時に左右にゆれる)」、「曲り方(カーブにおける急カーブ)」などが負の要素として含まれる。
【0070】
《情報処理装置の機能構成》
図17は、本実施形態に係るクラウドサーバとしての情報処理装置1710の機能構成を示すブロック図である。なお、図17において、図5と同様の構成要素には同じ参照番号を付して、重複する説明を省略する。
【0071】
図17の情報処理装置1710は、評価情報データベース1707と、評価テーブル1781を有するAI処理情報評価部1708と、を備える。評価情報データベース1707は、1つの走行環境情報に対応して、複数の評価指標(軸)のそれぞれに評価情報を保持する。なお、AI処理情報評価部1708は、評価情報データベース1707が変更されたためであり実質的な変更はないので、説明は省略する。
【0072】
(評価指標テーブル)
図18は、本実施形態に係る評価指標テーブル1810の構成を示す図である。評価指標テーブル1810は、本実施形態で使用する複数の評価指標(軸)についてまとめたテーブルである。
【0073】
評価指標テーブル1810には、大きな評価軸1811として「安全性」と「安定性」とが、細かな評価軸1812として、「安全性」に含まれる「危険状態」や「事故」など、「安定性」に含まれる「速度変動」や「直線性」や「曲り方」などが示されているが、これらに限定されない。なお、「安定性」は「快適性」に繋がる軸である。
【0074】
(評価情報データベース)
図19は、本実施形態に係る評価情報データベース1707の構成を示す図である。なお、図19において、図8と同様の構成要素には同じ参照番号を付して、重複する説明は省略する。
【0075】
評価情報データベース1707は、第1評価軸の評価情報1912と、第n評価軸の評価情報1913とを保持する。なお、第1評価軸の評価情報1912と、第n評価軸の評価情報1913との内容は、図8の評価情報802と同様としたが、評価軸に対応して評価情報の種類あるいは値などが異なってもよく、評価軸に対応して評価条件803が異なってもよい。
【0076】
(評価テーブル)
図20は、本実施形態に係る評価テーブル1781の構成を示す図である。なお、図20において、図9と同様の構成要素には同じ参照番号を付して、重複する説明は省略する。
【0077】
評価テーブル1781は、第1評価軸の評価情報2014と第1評価軸の評価結果2015、第n評価軸の評価情報2016と第n評価軸の評価結果2017、を記憶する。
【0078】
《情報処理装置の処理手順》
図21は、本実施形態に係るクラウドサーバとしての情報処理装置1710の処理手順を示すフローチャートである。なお、図21において、図12と同様のステップには同じステップ番号を付して、重複する説明を省略する。
【0079】
ステップS1231において、AI処理の終了と判定されると、情報処理装置1710は、ステップS2131において、評価に用いる複数の評価指標を選択する。情報処理装置1710は、ステップS2133において、評価対象に対して蓄積された評価結果から複数の評価指標に対応する評価を生成する。そして、情報処理装置1710は、ステップS2135において、評価対象とつながる通信端末に複数の評価指標による評価およびコメントを出力する。
【0080】
本実施形態によれば、複数の評価指標による多軸の人工知能評価ができるので、人工知能の強みや弱みなどを含む繊細な評価をすることができる。
【0081】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態に係る情報処理装置について説明する。本実施形態に係る情報処理装置は、上記第2実施形態および第4実施形態と比べると、評価が模範車両において実行した車両情報との対比で行われる点で異なる。すなわち、本実施形態では、人工知能による自動運転の結果と模範となる車両における運転結果とを比較することによって、人工知能の性能を評価する。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0082】
《情報処理装置の機能構成》
図22は、本実施形態に係るクラウドサーバとしての情報処理装置2210の機能構成を示すブロック図である。なお、図22において、図5と同様の構成要素には同じ参照番号を付して、重複する説明を省略する。
【0083】
図22の情報処理装置2210は、評価情報データベース2207と、評価テーブル2281を有するAI処理情報評価部2208と、を備える。評価情報データベース2207は、模範となる車両あるいは評価対象から同じ走行環境情報から生成された評価情報を保持する。なお、評価テーブル2281やAI処理情報評価部2208は、評価情報データベース2207が変更されたためであり実質的な変更はないので、説明は省略する。
【0084】
《情報処理装置の処理手順》
図23は、本実施形態に係るクラウドサーバとしての情報処理装置2210の処理手順を示すフローチャートである。なお、図23において、図12と同様のステップには同じステップ番号を付して、重複する説明を省略する。
【0085】
ステップS1211で評価対象情報の取得と判定すると、情報処理装置2210は、ステップS2313において、選択された走行環境情報に基づいて、模範となる評価対象を動作させて、処理情報を生成する。そして、情報処理装置2210は、ステップS2314において、生成した処理情報を、評価情報データベース2207に登録する。
【0086】
また、ステップS1221でAI処理情報の取得と判定されると、情報処理装置2210は、ステップS2323において、走行環境情報に対応して、ステップS2313で生成されて評価情報データベース2207に登録された評価情報を取得する。
【0087】
本実施形態によれば、模範となる車両における運転結果を評価基準とするので、人工知能の評価の正当性や安定性を担保することができる。
【0088】
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態に係る情報処理装置について説明する。本実施形態に係る情報処理装置は、上記第2実施形態乃至第5実施形態と比べると、情報処理装置から評価結果を考慮してAI入れ替えなどの提案を提案部で行う点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0089】
《人工知能評価の概要》
図24は、本実施形態に係る人工知能評価の概要を示す図である。
【0090】
図24においては、評価結果通知画面2440に、評価結果と共に、評価対象のAIを更新することが勧められている。
【0091】
《情報処理装置の処理手順》
図25は、本実施形態に係るクラウドサーバとしての情報処理装置2510の処理手順を示すフローチャートである。なお、図25において、図12と同様のステップには同じステップ番号を付して、重複する説明を省略する。
【0092】
情報処理装置2510は、ステップS2537において、評価結果に基づいて、評価対象の更新を提案する。なお、評価結果に基づく提案部による提案は、バージョンアップなどであってもよい。
【0093】
本実施形態によれば、自動運転車のユーザのより改善した走行環境を提供することができる。
【0094】
[第7実施形態]
次に、本発明の第7実施形態に係る情報処理装置について説明する。本実施形態に係る情報処理装置は、上記第2実施形態乃至第6実施形態と比べると、AIの評価を情報処理装置で行う点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態から第6実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0095】
《情報処理システムの動作手順》
図26は、本実施形態に係る情報処理装置を含む情報処理システムの動作手順を示すシーケンス図である。なお、図26において、図4と同様のステップには同じステップ番号を付して、重複する説明を省略する。
【0096】
ステップS2604において、通信端末2620から情報処理装置2610に、AIモジュールの評価依頼が行われる。そして、ステップS2605において、通信端末2620から情報処理装置2610に、評価対象モジュールが機密に送付される。ステップS2606において、情報処理装置2610は、送付された評価対象モジュールの評価を受託する。
【0097】
ステップS2609のテスト実行では、ステップS2695において、情報処理装置2610内で、評価対象モジュールに対応して選択された走行環境情報を用いてAI処理が実行される。
【0098】
本実施形態によれば、同じ機能を果たす人工知能を共通の条件下で公正な評価をすることができる。
【0099】
[第8実施形態]
次に、本発明の第8実施形態に係る情報処理装置について説明する。本実施形態に係る情報処理装置は、上記第2実施形態乃至第7実施形態と比べると、AIは、あたかも仮想走行シミュレーションゲーム機である情報処理装置と接続されて、評価される点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態から第6実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0100】
《情報処理装置の構成》
図27は、本実施形態に係る情報処理装置2710の構成を示すブロック図である。
【0101】
情報処理装置2710は、仮想走行環境シミュレータ部2711と仮想運転走行シミュレータ部2712とが接続されて、仮想の自動運転シミュレータとして機能する。人工知能(AI)330は、仮想走行環境シミュレータ部2711から走行環境情報を取得し、仮想運転走行シミュレータ部2712に仮想運転情報を出力する。仮想走行環境シミュレータ部2711と仮想運転走行シミュレータ部2712とは、あたかも人工知能(AI)330がゲームユーザで自動運転シミュレータがゲーム機であるかのように動作する。そして、性能評価部2713は、自動運転シミュレータからの情報に基づいて人工知能(AI)330の自動運転能力を評価する。
【0102】
本実施形態によれば、将来標準化された自動運転の人工知能(AI)をより効率的により公正に評価することができる。
【0103】
[他の実施形態]
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の範疇に含まれる。
【0104】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用されてもよいし、単体の装置に適用されてもよい。さらに、本発明は、実施形態の機能を実現する情報処理プログラムが、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給される場合にも適用可能である。したがって、本発明の機能をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム、あるいはそのプログラムを格納した媒体、そのプログラムをダウンロードさせるWWW(World Wide Web)サーバも、本発明の範疇に含まれる。特に、少なくとも、上述した実施形態に含まれる処理ステップをコンピュータに実行させるプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)は本発明の範疇に含まれる。
【0105】
[実施形態の他の表現]
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
仮想的な車両の走行環境をシミュレートする走行環境シミュレータが生成した走行環境情報のうち、前記車両が危険状態になりやすい走行環境を表す走行環境情報を、車両の自動運転を行う人工知能に提供するために生成する生成部と、
前記仮想的な走行環境下において、前記人工知能により前記車両の仮想的な自動運転を行った仮想運転結果を取得する取得部と、
前記人工知能による自動運転の仮想運転結果から、前記人工知能の性能を評価する評価部と、
を備えた情報処理装置。
(付記2)
前記生成部は、前記車両が危険状態になりやすい走行環境を表す走行環境情報から危険状態になりにくい走行環境を表す走行環境情報への順に生成する付記1に記載の情報処理装置。
(付記3)
前記車両が危険状態になりやすい走行環境を表す走行環境情報は、通常の走行ルールからはずれた状況を表す走行環境情報を含む付記2に記載の情報処理装置。
(付記4)
前記生成部は、前記車両が危険状態になりやすい度合いが閾値を超える走行環境を表す走行環境情報は生成しない付記2または3に記載の情報処理装置。
(付記5)
前記走行環境情報は、仮想的な車両の走行環境を表す前方カメラの映像データを含む付記1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(付記6)
前記評価部は、前記人工知能の性能を複数の評価指標により評価する付記1乃至5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(付記7)
前記評価部は、前記複数の評価指標を組み合わせて、前記人工知能の総合的な性能とする付記6に記載の情報処理装置。
(付記8)
前記複数の評価指標は、少なくとも、快適さを示す安定性と安全性とを含む付記7に記載の情報処理装置。
(付記9)
前記快適さを示す安定性は、速度の安定性と、車両の動きの直線性と、カーブでの車両の曲り角度とを含む付記8に記載の情報処理装置。
(付記10)
前記評価部は、前記複数の評価指標によるそれぞれの評価結果を出力する付記6に記載の情報処理装置。
(付記11)
前記評価部は、前記人工知能による自動運転の結果と模範となる車両における運転結果とを比較することによって、前記人工知能の性能を評価する付記1乃至10のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(付記12)
前記生成部は、前記人工知能に含まれる特定の機能を評価するための走行環境情報を生成し、
前記評価部は、前記特定の機能の性能を評価する付記1乃至11のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(付記13)
前記評価部による評価結果を考慮して、前記人工知能の更新を提案する提案部をさらに備えた付記1乃至12のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(付記14)
仮想的な車両の走行環境をシミュレートする走行環境シミュレータが生成した走行環境情報のうち、前記車両が危険状態になりやすい走行環境を表す走行環境情報を、車両の自動運転を行う人工知能に提供するために生成する生成ステップと、
前記仮想的な走行環境下において、前記人工知能により前記車両の仮想的な自動運転を行った仮想運転結果を取得する取得ステップと、
前記人工知能による自動運転の仮想運転結果から、前記人工知能の性能を評価する評価ステップと、
を含む情報処理方法。
(付記15)
仮想的な車両の走行環境をシミュレートする走行環境シミュレータが生成した走行環境情報のうち、前記車両が危険状態になりやすい走行環境を表す走行環境情報を、車両の自動運転を行う人工知能に提供するために生成する生成ステップと、
前記仮想的な走行環境下において、前記人工知能により前記車両の仮想的な自動運転を行った仮想運転結果を取得する取得ステップと、
前記人工知能による自動運転の仮想運転結果から、前記人工知能の性能を評価する評価ステップと、
をコンピュータに実行させる情報処理プログラム。
【0106】
この出願は、2018年8月3日に出願された日本国特許出願 特願2018-146728号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27