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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】骨再生材料
(51)【国際特許分類】
   A61L 27/12 20060101AFI20231108BHJP
   A61L 27/22 20060101ALI20231108BHJP
   A61L 27/40 20060101ALI20231108BHJP
   A61L 27/56 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
A61L27/12
A61L27/22
A61L27/40
A61L27/56
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020550556
(86)(22)【出願日】2019-10-03
(86)【国際出願番号】 JP2019039172
(87)【国際公開番号】W WO2020071497
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】P 2018189243
(32)【優先日】2018-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 治
(72)【発明者】
【氏名】菅原 吉克
(72)【発明者】
【氏名】浦井 聡史
(72)【発明者】
【氏名】中村 友亮
【審査官】辰己 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106963984(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104353116(CN,A)
【文献】ISHIKO-UZUKA Risa, et al.,Oriented bone regenerative capacity of octacalcium phosphate/gelatin composites obtained through two,Journal of biomedical materials research B: Applied biomaterials,2016年03月02日,Vol.105B,P.1029-1039,特にAbstract, Synthesis of C-OCP and preparation of OCP/Gel composites, Table1,Figure3
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L15/00-33/18
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リン酸八カルシウム粒子およびゼラチンの複合体から少なくとも構成され、複数の気孔を有する多孔体であり、
前記リン酸八カルシウム粒子の粒子径はメジアン径(D50)で1μm以上1mm未満であるとともに、
前記ゼラチンは、その分子量または分子量分布が30kDa~70kDaの範囲内であることを特徴とする、
骨再生材料。
【請求項2】
前記多孔体に含まれる前記気孔の容積比である気孔率は、87%~98%の範囲内であり、かつ、前記気孔径の中央値は、14μm~55μmの範囲内であることを特徴とする、
請求項1に記載の骨再生材料。
【請求項3】
前記リン酸八カルシウム粒子の粒子径はメジアン径(D50)で1μm~200μmの範囲内にあることを特徴とする、
請求項1または2に記載の骨再生材料。
【請求項4】
前記複合体における前記リン酸八カルシウム粒子および前記ゼラチンの含有比は、質量比で前記ゼラチン1に対してリン酸八カルシウム粒子が1~9の範囲内であることを特徴とする、
請求項1に記載の骨再生材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リン酸カルシウム系化合物と高分子材料との複合体である骨再生材料に関し、特に、高分子材料としてゼラチンを用いた骨再生材料に関する。
【背景技術】
【0002】
骨再生材料は、失われた骨の代替、あるいは、骨の一部が欠損した際の補填等として用いられる。骨再生材料の材料としては、さまざまなものが知られているが、代表的には、リン酸カルシウム系化合物を用いたものを挙げることができる。リン酸カルシウム系化合物としては、ハイドロキシアパタイト(HApまたはHAP(hydroxyapatite))、β-リン酸三カルシウム(β-TCP(β-tricalcium phosphate))、リン酸八カルシウム(OCP(octacalcium phosphate))等が挙げられる。
【0003】
これらリン酸カルシウム系化合物は、脆性が高く賦形性が低い傾向にある。そこで、骨再生材料として用いる場合には、一般的には、焼結することでブロック状に成型するか、あるいは、リン酸カルシウム系化合物とともに高分子材料を併用して複合体を形成することが知られている。併用される高分子材料としては、代表的にはコラーゲンが挙げられる。
【0004】
このような骨再生材料を説明の便宜上「コラーゲン骨再生材料」とすれば、代表的な一例としては、例えば、特許文献1に開示される膨張性多孔体が挙げられる。この膨張性多孔体は、圧縮されたアパタイトとコラーゲンとの複合体からなり、乾燥時には圧縮時の形状を保っており、吸水により圧縮前の状態の多孔体に膨張する構成を有している。なお、このようなコラーゲン骨再生材料としては、既に、医療機器製造販売承認が取得され、かつ、保険適用も受けているものが存在する(例えば販売名「リフィット」(登録商標)等)。
【0005】
また、他の骨再生材料としては、本願出願人らにより、特許文献2または特許文献3に開示される骨再生材料が提案されている。これらの骨再生材料は、前述したコラーゲン骨再生材料とは異なり、高分子材料としてゼラチンを用いたものである。なお、リン酸カルシウム系化合物とゼラチンとを用いた骨再生材料を、前述したコラーゲン骨再生材料と区別する便宜上「ゼラチン骨再生材料」と称する。
【0006】
特許文献2に開示の骨再生材料(ゼラチン骨再生材料)は、リン酸八カルシウムとゼラチンとの共沈物の熱脱水架橋体を含む構成であり、特許文献3に開示の骨再生材料(ゼラチン骨再生材料)は、粒子径が5~1000nmのリン酸八カルシウム微粉末とゼラチンとの複合体を含み、10~500μmの細孔を有する構成である。これら骨再生材料は、良好な物理的強度、あるいは、物性賦形性および弾性率を実現することができ、かつ、新生骨と十分に置換され得る良好な骨再生能を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第5458237号公報
【文献】特許第5647432号公報
【文献】特許第5881206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示されるコラーゲン骨再生材料は、湿潤時に弾力性を有するため、骨欠損部に埋植する際に良好な適合性を有し、メスまたはハサミ等による加工も容易とされている。しかしながら、このコラーゲン骨再生材料は、ピンセット等で把持すると脆く崩れやすいことが明らかとなった。例えば、このコラーゲン骨再生材料を骨欠損部に埋植する際には、当該コラーゲン骨再生材料が崩壊して細かな崩壊片(微粉または「クズ」)が発生しやすくなる。
【0009】
一方、特許文献2または3に開示される骨再生材料(ゼラチン骨再生材料)は、コラーゲンではなくゼラチンを用いることで、これら文献に記載されているように、骨再生材料として良好な物性および骨再生能を実現することが可能である。ただし、これらゼラチン骨再生材料においても、その取扱性について改善の余地があることが明らかとなっている。
【0010】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、埋植時の崩壊を抑制することが可能であり、良好な取扱性を実現することが可能なゼラチン骨再生材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る骨再生材料は、前記の課題を解決するために、リン酸八カルシウム粒子およびゼラチンの複合体から少なくとも構成され、複数の気孔を有する多孔体であり、前記リン酸八カルシウム粒子の粒子径は1μm以上1mm未満であるとともに、前記ゼラチンは、その分子量が30kDa~70kDaの範囲内である構成である。
【0012】
前記構成によれば、リン酸カルシウム系化合物および高分子材料の複合体を主成分とする骨再生材料において、リン酸カルシウム系化合物として、マイクロメートルレベルのリン酸八カルシウム粒子(OCP粒子)を用いるとともに、高分子材料として、分子量が所定範囲内のゼラチンを用いて、OCPおよびゼラチンの複合体(OCP/Gel)を形成している。これにより、水を含有させた状態で圧縮しても、破断、崩壊等が生じることがなく、ほぼ元の形状を復元することができる。それゆえ、骨再生材料の形状安定性を従来よりも良好なものとすることができるので、埋植時の崩壊を抑制することが可能であり、良好な取扱性を実現することが可能なゼラチン骨再生材料を得ることができる。
【0013】
前記構成の骨再生材料においては、前記多孔体に含まれる前記気孔の容積比である気孔率は、87%~98%の範囲内であり、かつ、前記気孔径の中央値は、14μm~55μmの範囲内である構成であってもよい。
【0014】
また、前記構成の骨再生材料においては、前記リン酸八カルシウム粒子の粒子径は1μm~200μmの範囲内にある構成であってもよい。
【0015】
また、前記構成の骨再生材料においては、前記複合体における前記リン酸八カルシウム粒子および前記ゼラチンの含有比は、質量比で前記ゼラチン1に対してリン酸八カルシウム粒子が1~9の範囲内であってもよい。
【0016】
本発明の上記目的、他の目的、特徴、および利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、以上の構成により、埋植時の崩壊を抑制することが可能であり、良好な取扱性を実現することが可能なゼラチン骨再生材料を提供することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施例1および比較例1に係る骨再生材料サンプルを圧縮試験した際における圧縮距離に対する圧縮力の変化を示すグラフである。
図2】本発明の実施例1、比較例1および比較例2に係る骨再生材料サンプルを圧縮試験した際における試験回数に対する弾性率の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示に係る骨再生材料は、リン酸八カルシウム粒子(OCP粒子)およびゼラチンの複合体から少なくとも構成され、複数の細孔を有する多孔体である。この複合体を構成するリン酸八カルシウム粒子の粒子径は1μm以上1mm未満であればよい。また、この複合体を構成するゼラチンは、その分子量が30kDa~70kDaの範囲内であればよい。以下、本開示の代表的な実施の形態について具体的に説明する。なお、以下の説明では、OCP粒子とゼラチンとの複合体を適宜「OCP/Gel」と記載する。
【0020】
本開示で用いられるOCP粒子は、その粒子径がメジアン径(D50)で1μm以上1mm未満のもの、すなわちマイクロメートルレベルのものであればよい。より好ましい一例としては、1μm以上100μm以下を挙げることができ、さらに好ましい一例としては、20μm~60μmの範囲内を挙げることができる。OCP粒子の粒子径が前記の範囲内から外れた場合には、OCP粒子がゼラチンに良好に分散された骨再生材料を得ることができない。つまり、本開示においては、OCP粒子は大きすぎても小さすぎても、良好なOCP/Gelを得ることができない。
【0021】
なお、OCP粒子の粒子径の測定方法は特に限定されないが、代表的には、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いた方法を挙げることができる。本実施の形態では、例えば、マイクロトラック・ベル株式会社製、製品名:Microtrac MT-3300 EX IIを用いた湿式測定によりOCP粒子の粒子径を測定している。
【0022】
本開示に係るOCP粒子は、マイクロメートルレベルのものであれば、他の物性あるいはその調製方法等は特に限定されない。マイクロメートルレベルの粒子径を有するOCP粒子が市販されていれば市販品を用いることができる。また、OCP粒子を調製する際には、例えば、特許文献3に記載の方法に基づいて、所定範囲の粒子径に入るように諸条件を設定または調節すればよい。
【0023】
本開示で用いられるゼラチンは、その分子量(もしくは分子量分布)が30kDa~70kDaの範囲内であればよい。ここでいう「分子量」とは重量平均分子量である。本開示におけるゼラチンは、市販のものであってもよいし、コラーゲンを変性することにより調製されたものであってもよい。コラーゲンの変性方法は特に限定されないが、代表的には、公知の条件によるコラーゲンの熱処理を挙げることができる。
【0024】
本開示におけるゼラチンをコラーゲンから調製する場合、原料であるコラーゲンの具体的な種類は特に限定されない。例えば、豚、牛の皮膚、骨、腱に由来するコラーゲンが挙げられる。好ましい一例としては、公知のタンパク質分解酵素により可溶化され、テロペプチドが除去された酵素可溶化コラーゲンを挙げることができる。コラーゲンのタイプも特に限定されず、代表的な一例としては、タイプI、タイプI+タイプIIIを挙げることができる。
【0025】
本開示で用いられるゼラチンの分子量(もしくは分子量分布)は、前記の通り、30kDa~70kDaの範囲内であればよいが、好ましい一例としては、35kDa~65kDaの範囲内を挙げることができ、より好ましい一例としては、40kDa~60kDaの範囲内を挙げることができる。
【0026】
ゼラチンの分子量(もしくは分子量分布の下限)が30kDa未満であれば、OCP粒子がゼラチンに良好に分散したOCP/Gelを得ることができない。また、ゼラチンの分子量(もしくは分子量分布の上限)が70kDaを超えれば、OCP粒子がゼラチンに良好に分散したOCP/Gel(すなわち骨再生材料またはその主成分)を得ることはできるが、その形状安定性が低下し、圧縮等により、ほぼ元の形状を復元することができなかったり、圧縮に伴って破断、崩壊等が生じたりする。
【0027】
なお、ゼラチンの分子量の測定方法は特に限定されないが、本実施の形態では、例えば、「パギイ法 写真用ゼラチン試験法 第10版(2006年版)」(写真用ゼラチン試験法合同審議会、2006年11月発行)の「20-2.平均分子量」に記載される方法を用いている。
【0028】
ここで、本開示における「形状安定性」とは、少なくとも、水を含有させた(湿潤させた)骨再生材料を圧縮した(外力により押しつぶした)際に、当該骨再生材料に破断または崩壊等(破断等)のような、圧縮前の元の形状が維持できないような「破壊」が実質的に生じない性質を意味する。好ましくは、本開示における「形状安定性」は、破断等の「破壊」が実質的に生じないだけでなく、圧縮を解除したときに元の形状が実質的に復元する復元性も併せて有する性質を意味する。本開示に係る骨再生材料がこのような形状安定性を有することで、埋植時に良好な取扱性を実現することができる。
【0029】
本開示に係る骨再生材料は、前記の通り、OCP粒子およびゼラチンから構成される複合体(OCP/Gel)から少なくとも構成されているが、OCP粒子およびゼラチンの含有比(配合比あるいは混合比)は特に限定されない。代表的には、質量比でゼラチン1に対してOCP粒子が1~9の範囲内を挙げることができる。つまり、OCP/Gelにおけるゼラチンの質量とOCP粒子の質量との比(Gel:OCP)は、Gel:OCP=1:1~9であればよい。
【0030】
質量比でゼラチン1に対してOCP粒子が1未満であれば、諸条件によるが、得られる骨再生材料の骨再生能が劣る傾向にある。一方、質量比でゼラチン1に対してOCP粒子が9を超えれば、得られる骨再生材料の成形性が低下する。
【0031】
本開示に係る骨再生材料は、前記の通り、OCP粒子およびゼラチンから構成される複合体(OCP/Gel)から少なくとも構成されているが、OCP粒子およびゼラチン以外の成分を含有してもよい。このような成分としては、例えば、ポリ乳酸、ポリ乳酸-ポリエチレングリコール共重合体等のゼラチン以外の生体吸収性高分子;β-リン酸三カルシウム(β-TCP)等のOCP以外のリン酸カルシウム系化合物;ハイドロキシアパタイトセラミックス等の生体吸収性材料;等のように、骨再生材料の分野で公知の材料を挙げることができる。これら他の成分を含有させる際の含有量は特に限定されず、本開示に係る骨再生材料の物性、作用効果等を妨げない範囲内であればよい。
【0032】
本開示に係る骨再生材料の製造方法は特に限定されないが、特許文献2で開示される共沈法ではなく、特許文献3に開示される凍結乾燥法を挙げることができる。凍結乾燥法の具体的な条件等については特に限定されず、特許文献3に開示される条件等であってもよいし、公知の他の文献に開示される条件等であってもよいし、これら公知文献に開示される条件等を適宜調節または変更してもよい。
【0033】
本開示に係る骨再生材料は、前記の通り、OCP/Gelから少なくとも構成されるものであり、複数の気孔(または細孔)を有する。すなわち、本開示に係る骨再生材料は、OCP粒子およびゼラチンの複合体で構成される多孔体、あるいは、OCP粒子およびゼラチンの複合体を主成分とする多孔体である。
【0034】
本開示に係る骨再生材料が有する気孔の具体的な構成は特に限定されないが、その径(気孔径または細孔径)は、中央値で14μm~55μmの範囲内であればよい。気孔径の好ましい一例としては、中央値で20μm~45μmの範囲内を挙げることができ、より好ましい一例としては、中央値で25μm~40μmの範囲内を挙げることができる。
【0035】
気孔径が14μm未満であれば、諸条件にもよるが、骨再生材料を埋植した後に、気孔内への細胞の浸入が阻害される傾向にある。また、気孔径が55μmを超えれば、諸条件にもよるが、骨再生材料の強度あるいは形状安定性を低下させる傾向にある。なお、気孔径の測定方法は特に限定されないが、代表的には、例えば、後述する実施例で例示する細孔分布測定装置を用いた方法を挙げることができる。
【0036】
本開示に係る骨再生材料に含まれる多数の気孔のうち、その気孔径が100μmを超える気孔を便宜上「大径気孔」とする)と、全気孔(ただし、0.01μm~500μmの範囲内の気孔)のうち大径気孔の体積比は、特に限定されないものの、代表的には、35%以下であればよい。大径気孔の体積比の好ましい上限値としては、例えば20%以下を挙げることができ、より好ましい上限値としては、例えば5%以下を挙げることができる。大径気孔の体積比が35%を超えると、諸条件にもよるが、骨再生材料の形状安定性を低下させる可能性がある。
【0037】
なお、大径気孔の体積比の算出方法は特に限定されないが、例えば、後述する実施例で例示する細孔分布測定装置および条件を用いた水銀圧入法により大径気孔の体積および全気孔の体積を算出し、大径気孔の体積の算出値を全気孔の体積の算出値で除する方法を挙げることができる。
【0038】
また、本開示に係る骨再生材料における気孔率、すなわち、多孔体である骨再生材料に含まれる気孔の容積比は、88%~98%の範囲内であればよい。気孔率の好ましい一例としては、例えば、90%~96%の範囲内を挙げることができる。気孔率が88%未満であれば、諸条件にもよるが、骨再生材料の形状安定性を低下させる傾向にある。また、諸条件にもよるが、一般に、気孔率が98%を超える多孔体を製造することは難しい傾向にある。
【0039】
なお、気孔径および気孔率の測定方法は特に限定されないが、代表的には、前記の通り、実施例で例示する細孔分布測定装置および条件を用いた水銀圧入法を挙げることができる。また、骨再生材料における気孔径および気孔率の制御方法は特に限定されず、例えば、前記の凍結乾燥法において気孔の形成に寄与する諸条件を適宜調節または変更すればよい。
【0040】
本開示に係る骨再生材料の諸物性は特に限定されない。例えば、本開示に係る骨再生材料の弾性率は特に限定されないが、0.01N/mm2 ~0.1N/mm2 の範囲内であればよく、好ましい弾性率の範囲としては、0.015N/mm2 ~0.0750N/mm2 の範囲内を挙げることができる。弾性率が0.01N/mm2 未満であると、諸条件にもよるが、骨再生材料の復元率が実用性に満たない程度まで低下するおそれがあり、弾性率が0.1N/mm2 を超えると、諸条件にもよるが、圧縮の繰り返し等により破断、崩壊等が生じるおそれがある。
【0041】
なお、弾性率の測定方法は特に限定されないが、代表的には、後述する実施例で例示する圧縮試験機を用いた方法を挙げることができる。また、弾性率の測定時には、骨再生材料を水で湿潤させておく。
【0042】
また、本開示に係る骨再生材料は、圧縮しても良好な復元率を有する。その具体的な復元率については特に限定されないが、代表的には、圧縮前の骨再生材料を基準となる水平面(基準面)上に載置し、当該骨再生材料の基準面からの高さを100%としたときに、圧縮後の高さが90%~100%の範囲内であればよい。圧縮後の好ましい復元率としては、例えば、94%~100%の範囲内を挙げることができる。また、圧縮後の復元率の上限が97%以上であれば、さらに良好な復元率を有していると評価することができる。
【0043】
なお、復元率を評価する際には、骨再生材料を水で湿潤させた状態で圧縮する。また、復元率の評価においては、圧縮後の骨再生材料に、破断または崩壊等が生じていないことが必要である。つまり、圧縮後の骨再生材料に破断等が生じていた場合には、その骨再生材料は復元率の評価対象とはならない。
【0044】
本開示に係る骨再生材料では、高分子材料であるゼラチン中にOCP粒子が良好に分散している。この良好な分散状態を便宜上「均一な分散」と称する。すなわち、本開示に係る骨再生材料では、ゼラチン中ではOCP粒子が凝集するようなことがほとんどなく、実質的にOCP粒子が独立して分散した状態となっている。特に、本開示に係る骨再生材料(後述する実施例1に係る骨再生材料)を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察すると、ゼラチンがOCP粒子の周囲全体をコーティングする(覆う)ように存在していることが明らかとなった。
【0045】
これに対して、後述する比較例2に係る骨再生材料は、高分子材料としてコラーゲンを用いたもの、すなわち、OCP粒子とコラーゲンとの複合体(OCP/Col)で構成される骨再生材料である。この骨再生材料をSEMで観察すると、OCP粒子の周囲にはコラーゲンが所々に存在しているものの、OCP粒子の周囲全体をコーティングするように存在していないことが明らかとなった。
【0046】
また、後述する比較例1に係る骨再生材料は、高分子材料としてコラーゲンを用い、リン酸カルシウム系化合物の粒子として、ハイドロキシアパタイト粒子(HAp粒子)を用いたもの、すなわち、HAp粒子とコラーゲンとの複合体(HAp/Col)で構成された骨再生材料である。この骨再生材料をSEMで観察すると、コラーゲン繊維とHAp粒子とがそれぞれ均等に分散しているように見受けられた。この観察結果に基づけば、比較例1におけるHAp/Colは、コラーゲン繊維にHAp粒子が「練り込まれた」ような状態にあると推測される。このような状態では、最外層のHAp粒子が脱落しやすく、コラーゲン骨格が脆くなりやすいことが推測される。
【0047】
つまり、本開示に係る骨再生材料は、従来の骨再生材料とは異なり、リン酸カルシウム系化合物の粒子である、マイクロメートルレベルのOCP粒子が、所定の分子量を有するゼラチンでコーティングされている構造を有しているため、従来の骨再生材料と比較して、優れた形状安定性を発揮できるのではないか、と考えられる。また、前述した諸条件を調節または変更することにより、本開示に係る骨再生材料は、その形状安定性をより一層向上することができると考えられる。
【0048】
なお、特許文献3に開示される骨再生材料もOCP/Gelであるが、この骨再生材料では、OCP粒子をナノメートルレベルまで微細化することにより、良好な賦形性および弾性率の実現性を図っている。そのため、ゼラチンの分子量については特に限定されていない。本開示では、ゼラチンの分子量を限定するとともに、OCP粒子をナノメートルレベルまで微細化せずにマイクロメートルレベルに留めておくことで、OCP粒子およびゼラチンを複合化したときに、特に良好な形状安定性を実現できたものと考えられる。
【0049】
本開示に係る骨再生材料は、公知の方法により所望の形状に成形することができる。具体的な成形方法は特に限定されず、例えば、特許文献3に例示されるように、所望の形状に対応する成形型(金型等)を用いればよい。また、成形された骨再生材料は、埋植の対象である骨欠損部の形状に応じて、適宜成形することができる。
【0050】
本開示に係る骨再生材料は、使用前に、公知の方法で滅菌処理すればよい。滅菌方法は特に限定されないが、代表的には、ガンマ線滅菌あるいは電子線滅菌等の放射線滅菌を挙げることができる。
【0051】
本開示に係る骨再生材料の使用条件または適用条件は特に限定されない。例えば、本開示に係る骨再生材料が適用される対象の生物としては、代表的には、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、イヌ、ネコ、サル、ヒト等の哺乳動物を挙げることができる。より好ましい一例としては、ヒトが挙げられる。
【0052】
本開示に係る骨再生材料は、埋植時の崩壊を抑制する等の良好な取扱性を有するとともに良好な骨再生能を有するものである。それゆえ、本開示に係る骨再生材料は、骨再生が求められる用途(使用目的)であれば特に限定されることなく好適に用いることができる。本開示に係る骨再生材料の具体的な用途(使用目的)としては、例えば、骨腫瘍等の疾病の治療により生じた骨欠損、骨折などの外傷により生じた骨欠損、あるいは自家骨採取により生じた骨欠損等の骨欠損における骨再生の促進;自家骨(同種骨)移植の補助または代替等を挙げることができる。
【0053】
本開示に係る骨再生材料は、前述した用途(使用目的)で用いる場合には、骨欠損部位または骨移植の補助または代替となる部位に埋植すればよい。本開示に係る骨再生材料が埋植される部位、すなわち、骨再生材料の適用部位としては、例えば、骨と腱との間、骨と靭帯との間、あるいは、骨と骨との間等における骨欠損部を挙げることができる。本開示に係る骨再生材料を、対象生物の骨欠損部位または骨移植の補助または代替となる部位に埋植することにより、対象生物における骨再生材料成分(特にOCP/Gel)の吸収、並びに、骨欠損部位の再生が促進される。
【0054】
このように、本開示に係る骨再生材料では、リン酸カルシウム系化合物および高分子材料の複合体を主成分とする骨再生材料において、リン酸カルシウム系化合物として、マイクロメートルレベルのリン酸八カルシウム粒子(OCP粒子)を用いるとともに、高分子材料として、分子量が所定範囲内のゼラチンを用いて、OCPおよびゼラチンの複合体(OCP/Gel)を形成している。これにより、水を含有させた状態で圧縮しても、破断、崩壊等が生じることがなく、ほぼ元の形状を復元することができる。それゆえ、骨再生材料の形状安定性を従来よりも良好なものとすることができるので、埋植時の崩壊を抑制することが可能であり、良好な取扱性を実現することが可能なゼラチン骨再生材料を得ることができる。
【実施例
【0055】
本発明について、実施例、比較例および参考例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行うことができる。
【0056】
(骨再生材料の圧縮試験方法)
骨再生材料サンプルとして、1辺が10mmの立方体状のもの(10mm×10mm×10mm)を準備し、当該骨再生材料サンプルを水で湿潤させた上で、圧縮試験機(株式会社島津製作所製、製品名:精密万能試験機オートグラフAG-IS)により圧縮し、圧縮力(試験力)または弾性率を測定した。この圧縮試験としては、次の(A)ピンセットで骨再生材料を把持する状況、もしくは、(B)使用者が骨再生材料を指で把持する状況を模擬するように、圧縮時における移動クロスヘッドの圧縮速度(クロスヘッド速度)および圧縮距離(移動クロスヘッドのストローク長)を設定し、破断、崩壊等の有無を評価するとともに、圧縮力または弾性率を測定した。
【0057】
(A)ピンセットで骨再生材料を把持する状況の模擬
クロスヘッド速度:10mm/分、圧縮距離:9mmの条件で骨再生材料サンプルを圧縮して、当該骨再生材料サンプルにおける形状安定性(破断、崩壊等の有無)を評価するとともに、当該骨再生材料サンプルの圧縮時の圧縮力[単位:N]の変化を測定した。
【0058】
(B)使用者が骨再生材料を指で把持する状況の模擬
クロスヘッド速度:60mm/分、圧縮距離:7.5mmの条件で骨再生材料サンプルを圧縮し、そのときの弾性率[単位:N/mm2 ]を測定した。また、この圧縮および弾性率の測定を1回の試験として、当該骨再生材料サンプルを圧縮できなくなるまで、もしくは、最大10回まで試験を繰り返した。
【0059】
(A)の状況および(B)の状況のいずれにおいても、圧縮試験後に、サンプルに破断、崩壊等が生じなければ、圧縮試験に対する形状安定性が良好であるとして「○」と評価した。一方、圧縮試験後に、破断または崩壊等が生じれば、圧縮試験に対する形状安定性が良好でないとして「×」と評価した。
【0060】
(気孔率の測定方法)
細孔分布測定装置(Micromeritics社製、製品名:AutoPore IV 9500 V1.09)を用いた水銀圧入法により、骨再生材料サンプルと水銀との接触角を140°とし、水銀の表面張力を480dyne/cmとする測定条件下において、Washburnの式に基づいて、骨再生材料サンプルの気孔径および気孔率を測定した。
【0061】
(実施例1)
公知の方法(例えば、特許文献3に記載の方法により、粒子径が30μmのOCP粒子を製造した。このOCP粒子と分子量40~60kDaの範囲内のゼラチン(ゼライス株式会社製、製品名:RM-50)とを用いて、特許文献1に記載の方法により、1辺が10mmの立方体状(10mm×10mm×10mm)であるOCP/Gel複合体の成形物を得た。この成形物を実施例1の骨再生材料サンプルとした。
【0062】
実施例1の骨再生材料サンプルについて、前述した圧縮試験方法で説明したように、前記(A)ピンセットで骨再生材料を把持する状況、並びに、前記(B)使用者が骨再生材料を指で把持する状況を模擬して物性を測定または評価した。また、前述した気孔率の測定方法で説明したように、実施例1の骨再生材料サンプルの気孔率を測定した。
【0063】
(A)の状況を模擬した結果については、形状安定性の結果を表1または表2に示し、圧縮距離に対する圧縮力(試験力)変化を図1のグラフにおいて実線で示した。気孔率の測定結果も表1または表2に示した。また、(B)の状況を模擬した結果については、試験回数および形状安定性の結果を表1に示し、試験回数毎の弾性率を図2のグラフにおいて菱形のシンボルで示した。
【0064】
(比較例1)
市販のコラーゲン骨再生材料である販売名「リフィット」(登録商標)を比較例1の骨再生材料サンプルとして用いた以外は、実施例1と同様にして、前記(A)の状況、並びに、前記(B)の状況を模擬して物性を測定または評価した。なお、比較例1(販売名「リフィット」)の骨再生材料サンプルのサイズは、実施例1と同様に1辺が10mmの立方体状(10mm×10mm×10mm)である。
【0065】
なお、(A)の状況を模擬した結果については、形状安定性の結果を表1に示し、圧縮距離に対する圧縮力(試験力)変化を図1のグラフにおいて点線で示した。気孔率については、「リフィット」の添付文書に記載されている数値範囲を記載した。また、(B)の状況を模擬した結果については、試験回数および形状安定性の結果を表1に示し、試験回数毎の弾性率を図2のグラフにおいて正方形のシンボルで示した。
【0066】
(比較例2)
高分子材料として、ゼラチンに代えてコラーゲン(日本ハム株式会社製、製品名:NMPコラーゲンPS)を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例2の骨再生材料サンプル(コラーゲン骨再生材料)を得た。この骨再生材料サンプルについて、実施例1と同様にして、前記(A)の状況、並びに、前記(B)の状況を模擬して物性を測定または評価するとともに、気孔率を測定した。
【0067】
なお、(A)の状況を模擬した結果については、形状安定性の結果を表1に示した(圧縮力の変化については測定していない)。気孔率の測定結果も表1に示した。また、(B)の状況を模擬した結果については、試験回数および形状安定性の結果を表1に示し、試験回数毎の弾性率を図2のグラフにおいて三角形のシンボルで示した。
【0068】
【表1】

(比較例3)
ゼラチンとして、分子量8.7kDaのもの(株式会社ニッピ製、製品名:ハイグレードゼラチンType:AP、分子量は検査成績書に記載のデータ)を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例3の骨再生材料サンプル(ゼラチン骨再生材料)を得た。この骨再生材料サンプルについて、実施例1と同様にして、前記(A)の状況のみを模擬して形状安定性を評価するとともに気孔率を測定した。なお、形状安定性および気孔率の結果は表2に示した。
【0069】
(比較例4)
ゼラチンとして、分子量80~100kDaのもの(ゼライス株式会社製、製品名:RM-100)を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例4の骨再生材料サンプル(ゼラチン骨再生材料)を得た。この骨再生材料サンプルについて、実施例1と同様にして、前記(A)の状況のみを模擬して形状安定性を評価するとともに気孔率を測定した。なお、形状安定性および気孔率の結果は表2に示した。
【0070】
(比較例5)
ゼラチンとして、分子量230kDaのもの(株式会社ニッピ製、製品名:メディゼラチンType:HMG-BP、分子量は検査成績書に記載のデータ)を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例5の骨再生材料サンプル(ゼラチン骨再生材料)を得た。この骨再生材料サンプルについて、実施例1と同様にして、前記(A)の状況のみを模擬して形状安定性を評価するとともに気孔率を測定した。なお、形状安定性および気孔率の結果は表2に示した。
【0071】
【表2】

(実施例および比較例の対比)
表1における実施例1,比較例1および2の対比から明らかなように、実施例1に係るゼラチン骨再生材料は、(A)ピンセットで骨再生材料を把持する状況、並びに、(B)使用者が骨再生材料を指で把持する状況のいずれを模擬した場合であっても、良好な形状安定性を実現できる。これに対して、高分子材料がコラーゲンである比較例1または比較例2に係るコラーゲン骨再生材料では、(A)並びに(B)のいずれの状況を模擬した場合であっても、破断または崩壊が発生し、十分な形状安定性を実現することができなかった。
【0072】
また、図1に示すように、実施例1に係るゼラチン骨再生材料では、(A)の状況を模擬した場合には、圧縮距離を徐々に増加させると圧縮力(試験力)も増加し、圧縮距離が7~8mm程度から急激に圧縮力が増加し、圧縮距離が最大(9mm)に達した時点で圧縮力も最大となるが、骨再生材料サンプルは破断せずに圧縮されただけであり、圧縮を解除するとほぼ圧縮前の元の形状に復元可能であった。
【0073】
これに対して、比較例1に係るコラーゲン骨再生材料では、圧縮距離が約5mmに達するまでは、実施例1に係るゼラチン骨再生材料よりも圧縮力(試験力)が大きいものの、その後は圧縮力が低下した。しかも、比較例1に係るコラーゲン骨再生材料は、圧縮距離が約3mmにおいて破断していた。
【0074】
また、(B)の状況の模擬では、表1および図2に示すように、実施例1に係るゼラチン骨再生材料では、試験を10回繰り返しても、実質的な形状に変化がなく破断等が生じることもなかった。また、図2に示すように、実施例1に係るゼラチン骨再生材料の弾性率は、1回目の圧縮試験で最大値を示し、2回目の圧縮試験で低下を示すものの、2回目~10回目までは弾性率の低下がほとんど見られず、実質的な弾性率の変化がないと言える状況であった。
【0075】
これに対して、比較例1に係るコラーゲン骨再生材料では、1回目の圧縮試験で元の形状が失われるとともに、その弾性率は、試験回数が2回までは測定できたものの3回目で測定できなくなった(それゆえ、表1では試験回数を3回としている)。また、図2に示すように、比較例1に係るコラーゲン骨再生材料では、1回目の弾性率は0.1N/mm2 近くあったが2回目で0.02N/mm2 未満に急激に低下した。
【0076】
比較例2に係るコラーゲン骨再生材料では、比較例1と同様に、1回目の圧縮試験で元の形状が失われただけでなく、弾性率の測定は1回目の圧縮試験でのみ可能であり、2回目の測定はできなかった。測定された1回目の弾性率は、比較例1よりもさらに高い数値を示していた。
【0077】
さらに、表2における実施例1、比較例3~5の対比から明らかなように、実施例1に係るゼラチン骨再生材料のように、ゼラチンの分子量が本開示の範囲内であれば、(A)の状況を模擬しても良好な形状安定性を実現することができた。
【0078】
これに対して、比較例3に係るゼラチン骨再生材料では、そもそもOCPが分散された骨再生材料サンプルを得ることができず、水を浸漬させると容易に崩壊した。また、比較例4に係るゼラチン骨再生材料では、(A)の状況を模擬すると崩壊が発生し、比較例5に係るゼラチン骨再生材料では、(A)の状況を模擬すると破断が発生した。
【0079】
なお、表2に示すように、実施例1および比較例1,2,4および5に係る骨再生材料サンプル(OCPが分散された骨再生材料サンプルが得られなかった比較例3を除く)は、いずれも気孔率は同程度である。
【0080】
このように、本開示に係る骨再生材料は、水を含有(湿潤)させた状態で圧縮しても、破断、崩壊等が生じることがなく、ほぼ元の形状を復元することができる。それゆえ、骨再生材料の形状安定性を従来よりも良好なものとすることができるので、埋植時の崩壊を抑制することが可能であり、良好な取扱性を実現することが可能なゼラチン骨再生材料を得ることができる。
【0081】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【0082】
また、本発明は前記実施の形態の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態や複数の変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、骨再生材料の分野に広く好適に用いることができる。
図1
図2