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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】ステアリングホイール
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/06 20060101AFI20231108BHJP
【FI】
B62D1/06
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021004530
(22)【出願日】2021-01-14
(65)【公開番号】P2021155021
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】P 2020056197
(32)【優先日】2020-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】近藤 真治
(72)【発明者】
【氏名】寺田 和宏
(72)【発明者】
【氏名】藤村 健司
(72)【発明者】
【氏名】大北 直之
(72)【発明者】
【氏名】矢嶋 孝敏
(72)【発明者】
【氏名】森田 文平
【審査官】松永 謙一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-081274(JP,A)
【文献】特開2016-030470(JP,A)
【文献】特開2008-056093(JP,A)
【文献】特開2016-153271(JP,A)
【文献】特開2017-109519(JP,A)
【文献】中国実用新案第209833746(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操舵時に把持するリング部と、該リング部の中央に配置されるボス部と、前記リング部と前記ボス部とを連結するスポーク部と、を備えるとともに、作動時に昇温する制御装置を配設させて構成されるステアリングホイールであって、
前記リング部、前記ボス部、及び、前記スポーク部を連結する金属製の芯金を備え、
前記制御装置が、前記芯金を放熱体として、前記芯金に接続させて、配設される構成とし、
前記芯金が、板状の連結部を備え、該連結部が前記制御装置側と面接触して熱伝導させる熱伝導用当接面を備えて前記制御装置と接続されるとともに、前記熱伝導用当接面と反対側の面を露出させて配設されており、
前記芯金が、前記リング部に配設されるリング芯金部、前記ボス部に配設されるボス芯金部、及び、前記リング芯金部と前記ボス芯金部とを連結するように前記スポーク部に配設されるスポーク芯金部を備えて構成され、
前記スポーク芯金部が、
前記リング芯金部と前記ボス芯金部との間で、隙間を空けて相互に分離した分岐杆部、を備えるとともに、
前記分岐杆部相互を連結するように、前記連結部を配設させていることを特徴とするステアリングホイール。
【請求項2】
前記スポーク芯金部の前記分岐杆部が、車両衝突時における前記リング部への運転者の干渉時に、前記リング部の略全面で運転者を受け止め可能に、塑性変形する変形予定部、を備え、
前記連結部が、前記変形予定部より、前記リング芯金部側の位置に、配設されていることを特徴とする請求項に記載のステアリングホイール。
【請求項3】
前記ボス芯金部と前記スポーク芯金部との下方を覆う合成樹脂製のロアカバーを備え、
前記制御装置が、前記連結部の前記ロアカバー側に、接続され、
前記ロアカバーが、前記制御装置と対向する部位に、前記制御装置側と面接触して、前記制御装置の昇温を抑制可能な放熱材、を配設させていることを特徴とする請求項若しくは請求項に記載のステアリングホイール。
【請求項4】
前記ロアカバーが、熱伝導性を高める熱伝導フィラーを配合されて形成されていることを特徴とする請求項に記載のステアリングホイール。
【請求項5】
操舵時に把持するリング部と、該リング部の中央に配置されるボス部と、前記リング部と前記ボス部とを連結するスポーク部と、を備えるとともに、作動時に昇温する制御装置を配設させて構成されるステアリングホイールであって、
前記リング部、前記ボス部、及び、前記スポーク部を連結する金属製の芯金を備え、
前記制御装置が、前記芯金を放熱体として、前記芯金に接続させて、配設される構成とし、
前記芯金が、板状の連結部を備え、該連結部が前記制御装置側と面接触して熱伝導させる熱伝導用当接面を備えて前記制御装置と接続されるとともに、前記熱伝導用当接面と反対側の面を露出させて配設されており、
前記芯金が、前記リング部に配設されるリング芯金部、前記ボス部に配設されるボス芯金部、及び、前記リング芯金部と前記ボス芯金部とを連結するように前記スポーク部に配設されるスポーク芯金部、を備えて構成され、
前記ボス芯金部が、
車両の操舵時の操舵軸と接続されるボスと、
該ボスの周囲で前記操舵軸の略直交に延びて、前記ボスと前記スポーク芯金部との間に介在されるボス囲繞部と、
を備えて構成され、
前記ボス囲繞部に、前記連結部を配設させており、
前記制御装置が、制御基板を備えた制御本体部と、該制御本体部の上方側を覆うカバーと、を備え、
前記連結部が、
前記熱伝導用当接面を上面に配設させて、前記制御本体部の下面側に当接される連結本体部と、該連結本体部の周縁から上方に延びる縦壁部と、を備え、
前記カバーが、前記ボス芯金部と別体として、
前記制御本体部の上方を覆う天板部と、
該天板部の周縁に配設されて、前記縦壁部の上端側に配設された結合部に対し、固着手段により結合される結合縁部と、
前記天板部の下面側に配設されて、前記制御本体部を取り付ける取付部と、
前記天板部の周縁から下方に延びる側板部と、
を備え、
前記制御装置の制御本体部が、上下を、前記カバーの天板部と前記連結部の連結本体部とに覆われ、側方を、前記カバーの側板部と前記連結部の前記縦壁部とに覆われて、前記カバーと前記連結部とから構成されるケースに覆われて、配設されていることを特徴とするステアリングホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作動時に昇温する制御装置を搭載したステアリングホイールに関し、特に、制御装置の昇温を抑制できるステアリングホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の走行時に操舵するステアリングホイールには、運転者の把持するリング部の温度を制御したり、あるいは、運転者を撮影した画像データから適正運転か否かの判定を行なう判定処理等の種々の制御を行なう制御装置が搭載される場合があった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-153271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の制御装置を搭載したステアリングホイールでは、作動時の負荷により、制御装置が昇温することが避けられず、制御装置の昇温を好適に抑制することが望まれ、改善の余地があった。ちなみに、制御装置の周りに放熱用のヒートシンク等を設けて対処することも考えられるが、嵩張ることから、スペースに制限のあるステアリングホイールには、放熱用の接触面(熱伝導用当接面)を広く確保しつつ、制御装置とヒートシンク等とを相互接触させて搭載する構成を、採用し難かった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、搭載される制御装置の昇温を好適に抑制できるステアリングホイールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るステアリングホイールは、操舵時に把持するリング部と、該リング部の中央に配置されるボス部と、前記リング部と前記ボス部とを連結するスポーク部と、を備えるとともに、作動時に昇温する制御装置を配設させて構成されるステアリングホイールであって、
前記リング部、前記ボス部、及び、前記スポーク部を連結する金属製の芯金を備え、
前記制御装置が、前記芯金を放熱体として、前記芯金に接続させて、配設される構成とし、
前記芯金が、前記制御装置側と面接触して熱伝導させる熱伝導用当接面、を配設させて構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るステアリングホイールでは、作動時に昇温する制御装置が、芯金を放熱体として、芯金の熱伝導用当接面に面接触させて、配設されることから、制御装置の熱が、芯金に伝導されて、制御装置の昇温が抑制される。そして、制御装置を接続させる芯金は、制御装置と接続された熱伝導用当接面から、ステアリングホイールの他の部位に延びており、効率的に放熱することができて、制御装置の昇温を抑制できる。
【0008】
したがって、本発明に係るステアリングホイールでは、制御装置の熱を円滑に芯金に伝導させて放熱することができ、搭載される制御装置の昇温を好適に抑制することができる。
【0009】
そして、本発明に係るステアリングホイールでは、前記芯金が、板状の連結部を備え、
前記連結部が、前記熱伝導用当接面を備えて、前記制御装置と接続されるとともに、前記熱伝導用当接面と反対側の面を、露出させて、配設されていることが望ましい。
【0010】
このような構成では、制御装置を接続させる熱伝導用当接面を設けた板状の連結部が、制御装置側に接触させる熱伝導用当接面に伝導された熱を、芯金の他の部位に伝導させる他、熱伝導用当接面の反対側の面から放熱するような放熱板として機能させることができることから、一層、好適に、制御装置の昇温を抑制できる。
【0011】
さらに、本発明に係るステアリングホイールでは、前記芯金が、前記リング部に配設されるリング芯金部、前記ボス部に配設されるボス芯金部、及び、前記リング芯金部と前記ボス芯金部とを連結するように前記スポーク部に配設されるスポーク芯金部、を備えて構成され、
前記スポーク芯金部が、
前記リング芯金部と前記ボス芯金部との間で、隙間を空けて相互に分離した分岐杆部、を備えるとともに、
前記分岐杆部相互を連結するように、前記連結部を配設させていてもよい。
【0012】
このような構成では、制御装置を接続させる熱伝導用当接面を設けた板状の連結部が、放熱板自体として機能するとともに、スポーク芯金部における相互に離れた2本の分岐杆部を跨ぐように、配設されて、両側の分岐杆部に熱を伝導させることも可能となって、一層、好適に、制御装置の昇温を抑制できる。また、制御装置を接続させるスポーク芯金部は、ステアリングホイールにおける運転者の操舵時に把持するリング部のリング芯金部と、リング部の中央のボス部のボス芯金部と、を連結する芯金の部位であって、芯金の部位(リング芯金部)の周囲にウレタン等の被覆層を被覆させるリング部、あるいは、車両の操舵軸(ステアリングシャフト)に接続されたり、あるいは、エアバッグ装置を搭載するボス部、と異なり、スペースを確保しやすい。さらに付言すれば、ボス芯金部は、車両の操舵軸に連結させることから、ステアリングホイールの下部側に配設され、リング芯金部は、運転者に接近したボス芯金部から離れた上方で、かつ、外方に配置されることから、ボス芯金部とリング芯金部とを連結するスポーク芯金部は、ボス芯金部から、放射方向とした斜め上方向に延びるように、傾斜して配設されることとなって、スポーク芯金部の周囲においては、上方側では、リング芯金部までの上下方向の高さのスペースを確保し易く、また、下方側では、ボス芯金部までの上方方向の高さのスペースを確保し難く、その結果、制御装置自体の設置スペースとともに、制御装置側からの熱を伝導させる放熱用の接触面の面積を、容易に広く確保できて、好適に、制御装置とスポーク芯金部の熱伝導用当接面とを配設させて、制御装置の昇温を抑制できる。
【0013】
この場合、前記スポーク芯金部の前記分岐杆部が、車両衝突時における前記リング部への運転者の干渉時に、前記リング部の略全面で運転者を受け止め可能に、塑性変形する変形予定部、を備えていれば、前記連結部は、前記変形予定部より、前記リング芯金部側の位置に、配設されていることが望ましい。
【0014】
このような構成では、車両の前面衝突時等に伴なう運転者との干渉時、ステアリングホイールは、セルフアライニング作用を発揮するように、リング部に干渉する運転者をリング部の略全面で受け止め可能に、分岐杆部の変形予定部を塑性変形させることとなるが、その際、制御装置を接続させた連結部が、変形予定部より、リング芯金部側に配設されていれば、分岐杆部に配置された変形予定部の塑性変形を、阻害せず、ステアリングホイールがセルフアライニング作用を発揮して、干渉する運転者をリング部の略全面で適切に受け止めることができる。
【0015】
また、本発明に係るステアリングホイールでは、前記ボス芯金部と前記スポーク芯金部との下方を覆う合成樹脂製のロアカバーを備え、
前記制御装置が、前記連結部の前記ロアカバー側に、接続され、
前記ロアカバーが、前記制御装置と対向する部位に、前記制御装置側と面接触して、前記制御装置の昇温を抑制可能な放熱材、を配設させていてもよい。
【0016】
このような構成では、制御装置が、表裏の一方を、スポーク芯金部の連結部に接続させ、表裏の他方を、ロアカバーの放熱材に接続させて、表裏の両側から、放熱できることから、一層、好適に、制御装置の昇温を抑制できる。
【0017】
この場合、前記ロアカバーが、熱伝導性を高める熱伝導フィラーを配合されて形成されていれば、放熱材の熱をロアカバーに効率的に伝導させることができて、一層、好適に、制御装置の昇温を抑制できる。
【0018】
そしてまた、本発明に係るステアリングホイールでは、前記芯金が、前記リング部に配設されるリング芯金部、前記ボス部に配設されるボス芯金部、及び、前記リング芯金部と前記ボス芯金部とを連結するように前記スポーク部に配設されるスポーク芯金部、を備えて構成され、
前記ボス芯金部が、
車両の操舵時の操舵軸と接続されるボスと、
該ボスの周囲で前記操舵軸の略直交に延びて、前記ボスと前記スポーク芯金部との間に介在されるボス囲繞部と、
を備えて構成され、
前記ボス囲繞部に、前記連結部を配設させていてもよい。
【0019】
このような構成では、操舵軸と接続されるボスの周囲に配設されたボス囲繞部の連結部が、放熱板として機能し、さらに、操舵軸側やスポーク芯金部側に、制御装置の熱を伝導させることができて、制御装置の昇温を抑制することができる。
【0020】
この場合、前記制御装置が、制御基板を備えた制御本体部と、該制御本体部の上方側を覆うカバーと、を備え、
前記連結部が、
前記熱伝導用当接面を上面に配設させて、前記制御本体部の下面側に当接される連結本体部と、該連結本体部の周縁から上方に延びる縦壁部と、を備え、
前記カバーが、前記ボス芯金部と別体として、
前記制御本体部の上方を覆う天板部と、
該天板部の周縁に配設されて、前記縦壁部の上端側に配設された結合部に対し、固着手段により結合される結合縁部と、
前記天板部の下面側に配設されて、前記制御本体部を取り付ける取付部と、
前記天板部の周縁から下方に延びる側板部と、
を備え、
前記制御装置の制御本体部が、上下を、前記カバーの天板部と前記連結部の連結本体部とに覆われ、側方を、前記カバーの側板部と前記連結部の前記縦壁部とに覆われて、前記カバーと前記連結部とから構成されるケースに覆われて、配設されていてもよい。
【0021】
このような構成では、制御装置の制御本体部の周囲を覆うケースの下側を、連結部自体から形成できて、制御装置の構成部品を低減して、制御装置の昇温を抑制できる。さらに、制御装置の制御本体部は、ケースの上側のカバーに取り付けられ、制御本体部を取り付けたカバーを連結部に結合させれば、制御装置をボス芯金部に組み付けることができるとともに、制御本体部の周囲における上下と側方とが、カバーと連結部とからなるケースに覆われて、制御基板を備えた制御本体部側への異物の混入も防止される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係る第1実施形態のステアリングホイールの概略平面図である。
図2】第1実施形態のステアリングホイールの概略底面図である。
図3】第1実施形態の制御装置を取り付ける連結部を示す概略拡大底面図である。
図4】第1実施形態のステアリングホイールの概略部分拡大縦断面図であり、図5のIV-IV部位に対応する。
図5】第1実施形態のステアリングホイールの概略部分拡大底面図である。
図6】第1実施形態の変形例のステアリングホイールの概略部分拡大縦断面図である。
図7図6に示すステアリングホイールの概略部分拡大底面図である。
図8】第2実施形態のステアリングホイールの概略平面図である。
図9】第2実施形態のステアリングホイールの概略断面図であり、図8のIX-IX部位に対応する。
図10】第2実施形態のステアリングホイールの概略断面図であり、図8のX-X部位に対応する。
図11】第2実施形態のステアリングホイールの概略断面図であり、図8のXI-XI部位に対応する。
図12】第2実施形態のボス芯金部付近の概略斜視図である。
図13】第2実施形態のボス芯金部付近の概略分解斜視図である。
図14】第2実施形態のカバーを示す正面図、底面図、及び、側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、第1実施形態のステアリングホイールWは、図1,2に示すように、運転者が操舵時に把持する略円環状のリング部Rと、リング部Rの中央に配置されるボス部Bと、リング部Rとボス部Bとを連結するスポーク部Sと、を備えて構成されている。スポーク部Sは、ボス部Bから左右両側に延びる左スポーク部SL及び右スポーク部SRと、ボス部Bから後方に延びる後スポーク部SBと、を備えて構成されている。
【0024】
また、ステアリングホイールWは、リング部R、ボス部B、及び、スポーク部S(L,R,B)を連結するアルミニウム合金等の金属製の芯金1を備えている。芯金1は、リング部Rに配設されるリング芯金部2、ボス部Bに配設されるボス芯金部3、及び、リング芯金部2とボス芯金部3とを連結するようにスポーク部S(L,R,B)に配設されるスポーク芯金部6(L,R,B)、を備えて構成されている。
【0025】
ボス芯金部3は、芯金1における最も下方に配置されて、車両の操舵時の操舵軸(ステアリングシャフト)SS(図4参照)と接続される鋼製のボス4と、ボス4の周囲で操舵軸SSの略直交に延びて、ボス4とスポーク芯金部6との間に介在されるボス囲繞部5と、を備えて構成されている。ボス囲繞部5は、ボス4から左右に延びる左側部5a及び右側部5bを備え、さらに、ボス4から後方側に延びる後側部5cを備えている。後側部5cは、詳しくは、左側部5aと右側部5bとから後方に延びる軸状の突出杆部5ca,5cbと、左右の突出杆部5ca,5cbの後端側で、相互に連結するように配設される横杆部5dと、を備えて構成されている(図1参照)。
【0026】
なお、横杆部5dの左右方向の中央付近には、後述するエアバッグ装置22を芯金1に取り付けるための組付座5fが配設されている。組付座5fは、エアバッグ装置22の取付ピン27を挿入係止する部位であり(図4参照)、取付ピン27を挿入させる係止孔5faと、挿入された取付ピン27を、弾性変形して係止する係止ピン5fbと、を配設させて構成されている。このような組付座5fは、ボス芯金部3のボス囲繞部5の左側部5aや右側部5bにも、配設されている(図1,2参照)。
【0027】
また、スポーク芯金部6L,6Rは、ボス芯金部3のボス囲繞部5における左側部5aと右側部5bとから、外方の左方と右方との斜め上方向に延び、そして、芯金1における最も上方位置に配置されたリング芯金部2に連結されるように、配設されている。後スポーク芯金部6Bは、ボス芯金部3のボス囲繞部5の後側部5cから斜め上方向に延びて、上方位置に配置されるリング芯金部2の部位2a,2bに連結されるように配設されている。
【0028】
さらに詳しく述べると、後スポーク部SBに配設される後スポーク芯金部6Bは、ボス囲繞部5における後側部5cの左右に分岐して突出する突出杆部5ca,5cbの後端における横杆部5dの部位から、左右に離れた状態のまま、斜め上方向の後方へ延びて、リング芯金部2に連結されている。すなわち、後スポーク芯金部6Bは、相互に、隙間Hを空けて配設される分岐杆部7(L,R)、から構成されている(図3,4参照)。そして、分岐杆部7L,7Rは、ボス芯金部3側において、横杆部5dで連結され、リング芯金部2側において、板状の連結部10により、相互に連結されて、配設されている。
【0029】
連結部10は、左右の縁10e,10fを、分岐杆部7L,7Rに連結させて、ステアリングホイールWのセルフアライニング作用を発揮する際の変形予定部9より、後方に配置されている(図1~4参照)。ちなみに、ステアリングホイールWは、車両の前面衝突時等に伴なう運転者と干渉する際、セルフアライニング作用を発揮して、リング部Rの略全面で運転者を受け止めるように、スポーク芯金部6Bにおける横杆部5dの後方の変形予定部9、を塑性変形させる。すなわち、車両搭載状態のステアリングホイールWは、リング部Rの後部Rbに運転者の干渉する衝撃力F(図4参照)が作用すると、変形予定部9を塑性変形させて、リング部Rを略鉛直方向に沿うように変形させるセルフアライニング作用を発揮して、運転者をリング部Rの略全面で受け止めて、運転者を保護する。そして、実施形態の場合、連結部10が、後スポーク芯金部6Bの分岐杆部7(L,R)に配置された変形予定部9より、後方のリング芯金部2側に配設されている。そのため、ステアリングホイールWのセルフアライニング作用の発揮時、分岐杆部7(L,R)が変形予定部9を中心とした下方への曲げ塑性変形する際(図4の二点鎖線参照)、その変形を阻害しない位置に、後述する制御装置40を取り付ける連結部10が、配置されており、ステアリングホイールWは、適切に、セルフアライニング作用を発揮することができる。
【0030】
なお、エアバッグ装置22は、図4に示すように、折り畳まれたエアバッグ24と、エアバッグ24に膨張用ガスを供給するインフレーター25と、折り畳まれたエアバッグ24を覆うエアバッグカバー23と、エアバッグ24、インフレーター25、及び、エアバッグカバー23を保持する取付ベース26と、を備えて構成され、取付ベース26に設けられた取付ピン27を利用して、ボス芯金部3の組付座5fに取付固定されている。エアバッグ装置22は、インフレーター25が作動して、膨張用ガスを発生させると、エアバッグ24が膨張して、膨張するエアバッグ24が、エアバッグカバー23を押し開いて、運転者を保護可能に、リング部R上で支持されつつ、大きく展開膨張することとなる。
【0031】
また、芯金1におけるリング芯金部2とリング芯金部2の近傍のスポーク芯金部6(L,R,B)との周囲には、ウレタン等の弾性を有した合成樹脂製の被覆層20が配設され、さらに、被覆層20の表面側に皮革等の表皮21が配設されている。さらに、後スポーク部SB付近では、リング部Rの内縁側に合成樹脂製の装飾カバー29が被覆層20に接着されるとともに、装飾カバー29とエアバッグカバー23との間に、被覆層20に接合された合成樹脂製の装飾カバー28が配設されている。さらにまた、ボス部Bの下部側には、ポリプロピレン等の合成樹脂製のロアカバー30が配設されるとともに、ボス部Bの上部側には、エアバッグ装置22が配設されている(図4参照)。ロアカバー30は、芯金1に配設された複数の取付座5eに、図示しないねじを利用して、取り付けられている。
【0032】
さらに、図1~5に示すように、芯金1の連結部10は、前縁10a側より後縁10b側を、分岐杆部7(L.R)の傾斜に沿って、上方に配置させた長方形板状としている。そして、連結部10は、四隅に、ボルト18を貫通させる取付孔11を配設させて、制御装置40を取り付ける取付部位とするとともに、制御装置40の熱を放熱する放熱板10として、配設されている。すなわち、放熱板10は、下面10c側を、制御装置40側と面接触させて、制御装置40の熱を伝導させる熱伝導用当接面12としているものの、熱伝導用当接面12と反対側の上面10d側を、大気に露出させて、制御装置40の熱を大気中に放熱可能な放熱面13として、機能している。
【0033】
制御装置40は、画像処理等を行なうものであり、所定のICチップを制御基板41に配設させ、熱伝導用当接面12側に、板金製のカバー42を配設させるとともに、熱伝導用当接面12との面接触が良好となって熱伝導効果を高めるように、シリコーンからなる放熱シート43を貼着させて、構成されている。実施形態の場合、制御基板41は、放熱板10と略同様な長方形板状とし、カバー42と放熱シート43とは、制御基板41より前後方向と左右方向との長さ寸法を小さくした略長方形板状としている。制御装置40は、カバー42に放熱シート43を貼着させた状態とし、その放熱シート43側を放熱板10との接触面(熱伝導面)40a側として、その接触面40a側をスポーク芯金部6Bの放熱板10の熱伝導用当接面12に接触させ、制御基板41の四隅に設けられた取付孔40bと、放熱板10の取付孔11とに、ボルト18を挿通させ、各ボルト18にナット19を締結して、放熱板10に取付固定されている。
【0034】
なお、ステアリングホイールWの組立は、予め被覆層20、表皮21、及び、装飾カバー29を設けた芯金1に対して、上述したように、制御装置40を放熱板(連結部)10に取り付けるとともに、ロアカバー30や装飾カバー28を取り付け、さらに、ボス部Bに搭載する図示しない電子機器等を取り付け、ボス部Bのボス4に、車両側の操舵軸SSを挿入させ、操舵軸SSにナットNを取り付けて、芯金1を操舵軸SSに締結するとともに、操舵軸SSの周囲から延びる車体側の種々のリード線を、対応する制御装置40等に結線する。そして、予め組み立てておいたエアバッグ装置22のインフレーター25に、車両側から延びる作動用信号線を結線しつつ、エアバッグ装置22の各取付ピン27を、芯金1の組付座5fの係止孔5faに挿入させて、係止ピン5fbに係止させれば、ステアリングホイールWの組立が完了するとともに、ステアリングホイールWを車両に搭載することができる。
【0035】
そして、第1実施形態のステアリングホイールWでは、制御装置40が、所定の制御処理を行なって昇温しても、芯金1のスポーク芯金部6Bを放熱体として、芯金1の熱伝導用当接面12に面接触させて、配設されることから、制御装置40の熱が、芯金1のスポーク芯金部6Bに伝導されて、制御装置40の昇温が抑制される。そして、制御装置40を接続させる芯金1のスポーク芯金部6Bは、制御装置40と接続された熱伝導用当接面12から、ステアリングホイールWの他の部位(リング芯金部2やボス芯金部3)に延びており、効率的に放熱することができて、制御装置40の昇温を抑制できる。
【0036】
したがって、第1実施形態のステアリングホイールWでは、制御装置40の熱を円滑に芯金1のスポーク芯金部6Bに伝導させて放熱することができ、搭載される制御装置40の昇温を好適に抑制することができる。
【0037】
そして、第1実施形態のステアリングホイールWでは、芯金1のスポーク芯金部6Bが、板状の連結部10を備え、連結部10が、熱伝導用当接面12を備えて、制御装置40と接続されるとともに、熱伝導用当接面12と反対側の面10dを、露出させて、配設されている。
【0038】
そのため、第1実施形態では、制御装置40を接続させる熱伝導用当接面12を設けた板状の連結部10が、制御装置40の熱伝導面40aを当接させる熱伝導用当接面12に伝導された熱を、他の部位(リング芯金部2やボス芯金部3)に伝導させる他、熱伝導用当接面12と反対側の面10dを放熱面13として、大気中に放熱するような放熱板、として機能させることができることから、一層、好適に、制御装置40の昇温を抑制できる。
【0039】
さらに、第1実施形態のステアリングホイールWでは、芯金1が、リング部Rに配設されるリング芯金部2、ボス部Bに配設されるボス芯金部3、及び、リング芯金部2とボス芯金部3とを連結するようにスポーク部S(L,R,B)に配設されるスポーク芯金部6(L,R,B)、を備えている。そしてさらに、スポーク芯金部6Bが、リング芯金部2とボス芯金部3との間で、隙間Hを空けて相互に分離した分岐杆部7(L,R)、を備えるとともに、分岐杆部7(L,R)相互を連結するように、板状の連結部10を配設させている。
【0040】
そのため、第1実施形態では、制御装置40を接続させる熱伝導用当接面12を設けた板状の連結部10が、放熱板自体として機能するとともに、スポーク芯金部6Bにおける相互に離れた2本の分岐杆部7(L,R)を跨ぐように、配設されて、両側の分岐杆部7L,7Rに熱を伝導させることも可能となって、一層、好適に、制御装置40の昇温を抑制できる。また、制御装置40を接続させるスポーク芯金部6Bは、ステアリングホイールWにおける運転者の操舵時に把持するリング部Rのリング芯金部2と、リング部Rの中央のボス部Bのボス芯金部3と、を連結する芯金1の部位であって、芯金1の部位(リング芯金部2)の周囲にウレタン等の被覆層20を被覆させるリング部R、あるいは、車両の操舵軸(ステアリングシャフト)SSに接続されたり、あるいは、エアバッグ装置22を搭載するボス部B、と異なり、スペースSP(SPU,SPD)(図4参照)を確保しやすい。さらに付言すれば、ボス芯金部3は、操舵軸SSに連結させることから、ステアリングホイールWの下部側に配設され、リング芯金部2は、運転者に接近したボス芯金部3から離れた上方で、かつ、外方に配置されることから、ボス芯金部3とリング芯金部2とを連結するスポーク芯金部6(L,R,B)は、ボス芯金部3から、放射方向とした斜め上方向に延びるように、傾斜して配設されることとなって、スポーク芯金部6Bの周囲においては、図4に示すように、上方側では、リング芯金部2までの上下方向の高さのスペースSPUを確保し易く、また、下方側では、ボス芯金部3までの上方方向の高さのスペースSPDを確保し難く、その結果、制御装置40自体の設置スペースとともに、制御装置40側からの熱を伝導させる放熱用の接触面の面積を、容易に広く確保できて、好適に、制御装置40とスポーク芯金部6Bの熱伝導用当接面12とを配設させて、制御装置40の昇温を抑制できる。
【0041】
また、第1実施形態では、スポーク芯金部6Bの分岐杆部7(L,R)が、車両衝突時におけるリング部Rへの運転者の干渉時に、リング部Rの略全面で運転者を受け止め可能に、塑性変形する変形予定部9、を備えていても、連結部10が、変形予定部9より、リング芯金部2側の後方側の位置に、外れて配設されている。
【0042】
そのため、第1実施形態では、車両の前面衝突時等に伴なう運転者との干渉時、ステアリングホイールWは、セルフアライニング作用を発揮するように、リング部Rに干渉する運転者をリング部Rの略全面で受け止め可能に、分岐杆部7(L,R)の変形予定部9を塑性変形させることとなるが、その際、制御装置40を接続させた連結部10が、変形予定部9より、後方のリング芯金部2側に配設されていることから、分岐杆部7(L,R)に配置された変形予定部9の塑性変形(図4の二点鎖線参照)を、阻害せず、ステアリングホイールWは、セルフアライニング作用を発揮して、干渉する運転者をリング部Rの略全面で適切に受け止めることができる。
【0043】
また、制御装置40の一層の放熱を図れるように、図6,7に示す変形例のステアリングホイールWAのように、制御装置40Aの表裏に、放熱構造を設けてもよい。このステアリングホイールWAでは、実施形態のステアリングホイールWと同様に、スポーク芯金部6B側において、分岐杆部7L,7R相互を連結する放熱板としての連結部10が配設されて、制御装置40Aの制御基板41を覆うカバー42に放熱シート43が貼着され、そして、連結部(放熱板)10の熱伝導用当接面12に、放熱シート43を利用して、制御装置40Aの上面側となる熱伝導面40a側を接触させて、制御装置40Aが、取付孔11,40bを挿通するボルト18とナット19とを利用して、連結部10の下面10c側に取付固定されている。
【0044】
そして、このステアリングホイールWAでは、制御装置40Aが、制御基板41におけるスポーク芯金部6B側と逆側の下面41a側に、放熱グリス45を充填させたキャップ46を組み付けて、構成されている。放熱グリス45は、シリコーン等にアルミナ等の粉末を配合させて構成され、キャップ46は、アルミニウム等の金属材からなる直方体の箱形状としている。そして、ステアリングホイールWAのボス部Bの下面側を覆うロアカバー30Aには、実施形態のロアカバー30と相違して、制御装置40Aの下面40c(キャップ46の下面46a)に当接するアルミニウム等の金属材からなる板状(長方形板状)の放熱材32、が取り付けられて構成されている。放熱材32は、下面32aを、ロアカバー30Aに内周側に突設された取付リブ31,31に支持されている。取付リブ31,31は、放熱材32の下端側を嵌め込んで組み付ける嵌合部31aを配設させている。
【0045】
なお、取付リブ31,31を設けたロアカバー30Aは、嵌合部31aを有した取付リブ31,31を設けた形状が異なる他、他に、ポリプロピレン等の合成樹脂材料に、カーボンナノチューブ等の熱伝導性を高める熱伝導フィラーを配合させた成形材料から、成形されている点が、実施形態のロアカバー30と異なっているだけであり、他の構成や成形方法は、実施形態のロアカバー30と同様である。
【0046】
このステアリングホイールWAでは、実施形態のステアリングホイールWと同様に、ボス芯金部3とスポーク芯金部6(L,R,B)との下方を覆う合成樹脂製のロアカバー30Aを備え、制御装置40Aが、ロアカバー30A側のスポーク芯金部6Bにおける放熱板10の下面10c側の部位に、接続されている。そして、このステアリングホイールWAでは、ロアカバー30Aが、制御装置40Aの下面40cと対向する部位に、制御装置40A側と面接触して、制御装置40Aの昇温を抑制可能な放熱材32、を配設させている。
【0047】
そのため、このステアリングホイールWAでは、制御装置40Aが、表裏の一方の上面40a側を、スポーク芯金部6Bの連結部としての放熱板10の熱伝導用当接面12に当接させて、放熱板10に、ボルト18・ナット19止めされて接続され、表裏の他方の下面40c側を、ロアカバー30Aの放熱材32の上面側の熱伝導用当接面33に当接させるように、接続させて、表裏の両側から、放熱できることから、一層、好適に、制御装置40Aの昇温を抑制できる。
【0048】
さらに、このステアリングホイールWAでは、ロアカバー30Aが、熱伝導性を高める熱伝導フィラーを配合されて形成されており、放熱材32の熱をロアカバー30Aに効率的に伝導させることができて、一層、好適に、制御装置40Aの昇温を抑制できる。
【0049】
なお、ステアリングホイールWAでは、放熱グリス45を充填させたキャップ46を、放熱材32に接触させるように構成したが、放熱材32を配設せずに、熱伝導フィラーを配合させたロアカバー30Aの部位を、放熱グリス45を充填させたキャップ46に、当接させるように、構成してもよい。
【0050】
ちなみに、ロアカバーが熱伝導フィラーを配合させて形成されている場合には、制御装置を、熱伝導フィラーを配合させたロアカバーに接触させて、ロアカバー自体を放熱体として利用してもよい。この場合、制御装置は、ロアカバー自体に取り付けてもよいし、スポーク芯金部等に取り付けて、ロアカバーに接触させるようにしてもよい。
【0051】
また、第1実施形態のステアリングホイールWでは、制御装置40を、ロアカバー30側となる放熱板10の下面10c側に、接続させた場合を示したが、放熱板10の上面10d側(図4参照)に、制御装置40の放熱シート43側を接触させるようにして、制御装置40を、スポーク芯金部6Bに接続させてもよい。この場合、熱を大気に放熱する放熱板10としての放熱面13は、下面10c側となる。
【0052】
第1実施形態のステアリングホイールWでは、制御装置40をスポーク芯金部6Bに接続させた場合を示したが、図8~14に示す第2実施形態のステアリングホイールWBのように、制御装置50をボス芯金部3Bに接続させるように構成してもよい。
【0053】
このステアリングホイールWBでは、第1実施形態と同様に、アルミニウム合金等からなる芯金1Bが、リング部Rに配設されるリング芯金部2B、ボス部Bに配設されるボス芯金部3B、及び、リング芯金部2Bとボス芯金部3Bとを連結するようにスポーク部Sに配設されるスポーク芯金部6(L,R)、を備えて構成されている。ボス芯金部3Bは、車両の操舵時の操舵軸SS(図10参照)と接続される鋼製のボス4と、ボス4の周囲で操舵軸SSの略直交に延びて、ボス4とスポーク芯金部6(L,R)との間に介在されるボス囲繞部5Bと、を備えて構成されて、ボス囲繞部5Bに、制御装置50と接続される連結部14を配設させている。
【0054】
なお、第2実施形態の芯金1Bでは、ボス芯金部3Bとリング芯金部2Bとを連結するスポーク芯金部6L,6Rとして、ボス芯金部3Bから左右に延びる2本を備えているだけで、後側のスポーク部SBには、芯金1Bとしてのスポーク芯金部は配設されていない。
【0055】
第2実施形態の芯金1Bは、第1実施形態の芯金1の分岐杆部7L,7Rと連結部10とを備えずに、ボス囲繞部5Bにおけるボス4から後方側に延びる後側部5cが、ボス囲繞部5におけるスポーク芯金部6L,6R側に連結される左側部5aと右側部5bとからそれぞれ後方に突出する突出杆部5ca,5cbと、突出杆部5ca,5cbの後端相互を連結する横杆部5dと、を備えるとともに、ボス4の後縁側から突出杆部5ca,5cbの間を塞ぐように配設される連結部14と、を備えて構成されている。ボス囲繞部5には、第1実施形態と同様に、横杆部5d、左側部5a、及び、右側部5bに、エアバッグ装置22を組み付ける組付座5fが配設され、左側部5aや右側部5bに、図示しないロアカバーを取り付ける取付座5eが配設されている。
【0056】
連結部14は、制御装置50と面接触して制御装置50の昇温を抑制する放熱板として機能するものである。連結部14は、熱伝導用当接面12Bを上面に配設させて、ボス囲繞部5におけるボス4の後縁側の後縁部5ccから突出杆部5ca,5cbの間を塞ぐ板状(略六角板状)の連結本体部15と、連結本体部15の周縁から上方に延びる縦壁部16と、を備えて構成されている。縦壁部16は、連結本体部15の左縁側から上方へ延びる左部16aと、連結本体部15の右縁側から上方へ延びる右部16bと、連結本体部15の前縁側から上方へ延びる前部16cと、から構成されている。第2実施形態の場合、左部16aは、左側の突出杆部5caから構成され、右部16bは、右側の突出杆部5cbから構成され、前部16cは、ボス4の後縁側の後縁部5ccから構成されている。連結本体部15は、後端側を横杆部5dと連結されず隙間を空けて配設させ、そして、左右の突出杆部5ca,5cbの下端側相互を連結するように配設されている。また、連結本体部15は、上面15a側の熱伝導用当接面12Bを、制御装置50の後述する制御本体部52の下面53b側に貼着される放熱シート55に当接させ、下面15b側を、大気に露出させて大気に熱を放出する放熱面13Bとしている。
【0057】
縦壁部16の左部16aと右部16bとを構成する突出杆部5ca,5cbの上端面16d側は、制御装置50を取り付ける結合部17として、結合部17には、ボルト18Bを挿通させる取付孔17aが開口されている。
【0058】
制御装置50は、リング部Rに設けた図示しないヒータの温度制御、把持検知処理、画像処理等を行なうものであり、制御基板53を備えた制御本体部52と、制御本体部52の上方側を覆うカバー62と、を備えて構成されている。制御基板53の上面53a側には、所定の配線や種々の電子部品54が設けられ、制御基板53の下面53bには、熱伝導用当接面12Bとの面接触が良好となって熱伝導効果を高めるように、シリコーンからなる放熱シート55が貼着されている。また、制御基板53の周縁には、制御基板53をカバー62に取り付けるねじ69を挿通させる取付孔53c(図13参照)が形成されている。
【0059】
カバー62は、ボス芯金部3と別体のABS樹脂等の合成樹脂製として、制御本体部52の上方を覆って、連結本体部15の外形形状と略同形とした天板部63と、天板部63の周縁から上方に延びるように配設されて、縦壁部16の上端面16d側に配設された結合部17に対し、固着手段としてのボルト18Bにより結合される結合縁部64と、天板部63の下面63b側に配設されて、制御本体部52を取り付ける取付部65と、天板部63の後縁63cから下方に延びる側板部67と、を備えて構成されている。
【0060】
結合縁部64は、ボス芯金部3のボス囲繞部5における後側部5cの突出杆部5ca,5cbや後縁部5ccからなる連結部14の縦壁部16の内周側に配置されて、天板部63の外周縁から上方に延びる縦板部64aと、縦板部64aの上端から縦壁部16の上端面16dに当接するように外方へ延びる鍔部64bと、を備えて構成され、そして、鍔部64bの先端には、縦壁部16の左右の結合部17に対応して、固着手段としてのボルト18Bを挿通させる取付孔64dを設けた結合片64cを、左右の外方側に突設させている。
【0061】
取付部65は、天板部63の下面63bから下方に突出する円柱状として、制御基板53の取付孔53cを挿通するねじ69を螺着させる取付孔65aを開口させている。
【0062】
側板部67は、天板部63の後縁63cから下方に延びるように配設され、制御本体部52の制御基板53に設けられた種々の電子部品54に導通させるための図示しないコネクタ用に、開口67a,67b,67cが配設されている(図14のB参照)。
【0063】
なお、天板部63の上面63a側にも、種々の電子部品54に導通させるための図示しないコネクタ用に、接続口部63dが配設されている(図14参照)。
【0064】
そして、第2実施形態では、制御装置50の制御本体部52が、上下を、カバー62の天板部63と連結部14の連結本体部15とに覆われ、側方を、カバー62の側板部67と連結部14の縦壁部16とに覆われることとなる。すなわち、制御装置50における電子部品54等を配設させた制御基板53を備えてなる制御本体部52は、上下と側方とがカバー62と連結部14とから構成されるケース60に覆われて、ステアリングホイールWBに配設されることとなる。換言すれば、制御本体部52は、上面52a側と後面52d側とがカバー62からなるケース60の上側部60aに覆われ(図11参照)、下面52b側と後面52d側を除く左右と前側との前側面52cとが連結部14からなる下側部60bに覆われて、異物の侵入等を防止されて、ステアリングホイールWBに配設されることとなる。
【0065】
なお、制御装置50の芯金1Bへの組付は、制御本体部52における電子部品54を取り付けた制御基板53を、取付孔53cを下面53b側から貫通するねじ69を、各取付部65の取付孔65aに螺着させて、カバー42に取り付けて、ついで、カバー62の左右の結合片64cを、連結部14の縦壁部16の上端面16dの結合部17に当接させ、各取付孔64d,17a相互を一致させて、各取付孔64d,17aにボルト18Bを挿通させて(図8,9参照)、各ボルト18Bにナット19Bを締結すれば、制御装置50をステアリングホイールWBに組み付けることができる。
【0066】
そして、第2実施形態のステアリングホイールWBでも、第1実施形態と同様に、エアバッグ装置22等を取り付けて、車両に搭載することができる。
【0067】
この第2実施形態のステアリングホイールWBでも、制御装置50が、所定の制御処理を行なって昇温しても、芯金1Bのボス芯金部3Bを放熱体として、芯金1Bの熱伝導用当接面12Bに面接触させて、配設されることから、制御装置50の熱が、芯金1Bのボス芯金部3Bに伝導されて、制御装置50の昇温が抑制される。そして、制御装置50を接続させる芯金1Bのボス芯金部3Bは、制御装置50と接続された熱伝導用当接面12Bから、ステアリングホイールWBの他の部位(スポーク芯金部6やリング芯金部2B)に延びており、効率的に放熱することができて、制御装置50の昇温を抑制できる。
【0068】
したがって、第2実施形態のステアリングホイールWBでも、制御装置50の熱を円滑に芯金1Bのボス芯金部3Bに伝導させて放熱することができ、搭載される制御装置50の昇温を好適に抑制することができる。
【0069】
また、第2実施形態のステアリングホイールWBでも、芯金1Bのボス芯金部3Bが、板状の連結部14の連結本体部15を備え、連結部14の連結本体部15が、熱伝導用当接面12Bを備えて、制御装置50と接続されるとともに、熱伝導用当接面12Bと反対側の面15bを、露出させて、配設されている。
【0070】
そのため、第2実施形態でも、制御装置50を接続させる熱伝導用当接面12Bを設けた板状の連結部14が、制御装置50の熱伝導面50aを当接させる熱伝導用当接面12Bに伝導された熱を、他の部位(スポーク芯金部6やリング芯金部2B)に伝導させる他、熱伝導用当接面12Bと反対側の面15bを放熱面13Bとして、大気中に放熱するような放熱板、として機能させることができることから、一層、好適に、制御装置50の昇温を抑制できる。
【0071】
そしてまた、第2実施形態のステアリングホイールWBでは、第1実施形態と同様に、芯金1Bが、リング部Rに配設されるリング芯金部2B、ボス部Bに配設されるボス芯金部3B、及び、リング芯金部2Bとボス芯金部3Bとを連結するようにスポーク部Sに配設されるスポーク芯金部6、を備えて構成されている。また、ボス芯金部3Bが、車両の操舵時の操舵軸SSと接続されるボス4と、ボス4の周囲で操舵軸SSの略直交に延びて、ボス4とスポーク芯金部6との間に介在されるボス囲繞部5Bと、を備えて構成されている。但し、第2実施形態では、ボス囲繞部5Bに、連結部14を配設させている。
【0072】
そのため、第2実施形態では、操舵軸SSと接続されるボス4の周囲に配設されたボス囲繞部5Bの連結部14が、放熱板として機能し、さらに、操舵軸SS側やスポーク芯金部6側に、制御装置50の熱を伝導させることができて、制御装置50の昇温を抑制することができる。
【0073】
さらに、第2実施形態では、制御装置50が、制御基板53を備えた制御本体部52と、制御本体部52の上方側を覆うカバー62と、を備え、連結部14が、熱伝導用当接面12Bを上面15aに配設させて、制御本体部52の下面50a(53b)側に当接される連結本体部15と、連結本体部15の周縁から上方に延びる縦壁部16と、を備えている。さらに、カバー62が、ボス芯金部3Bと別体として、制御本体部52の上方を覆う天板部63と、天板部63の周縁に配設されて、縦壁部16の上端面16d側に配設された結合部17に対し、固着手段としてのボルト18B,ナット19Bにより結合される結合縁部64と、天板部63の下面63b側に配設されて、制御本体部52を取り付ける取付部65と、天板部63の周縁から下方に延びる側板部67と、を備えている。そして、制御装置50の制御本体部52が、上下を、カバー62の天板部63と連結部14の連結本体部15とに覆われ、側方を、カバー62の側板部67と連結部14の縦壁部16とに覆われて、カバー62と連結部14とから構成されるケース60に覆われて、配設されている。
【0074】
そのため、第2実施形態では、制御装置50の制御本体部52の周囲を覆うケース60の下側を、連結部14自体から形成できて、制御装置50の構成部品を低減して、制御装置50の昇温を抑制できる。さらに、制御装置50の制御本体部52は、ケース60の上側部60aとしてのカバー62に取り付けられ、制御本体部52を取り付けたカバー62を連結部14に結合させれば、制御装置50をボス芯金部3Bに組み付けることができるとともに、制御本体部52の周囲における上下と側方とが、上側部60aとしてのカバー62と下側部60bとしての連結部14とからなるケース60に覆われて、制御基板53を備えた制御本体部52側への異物の混入も防止される。
【0075】
なお、第1,2実施形態のステアリングホイールW,WBでは、リング部Rが略円環状に形成されている場合を示したが、リング部Rは、略円環状以外の、例えば、平面視で、U字状、H字状、あるいは、四角環状等として、構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1,1B…芯金、2,2B…リング芯金部、3,3B…ボス芯金部、4…ボス、5,5B…ボス囲繞部、6(L,R,B)…スポーク芯金部、6B…後スポーク芯金部、7(L,R)…分岐杆部、9…変形予定部、10…放熱板・連結部、12,12B…熱伝導用当接面、13,13B…放熱面、
14…放熱板・連結部、15…連結本体部、16…縦壁部、16d…上端面、17…結合部、18,18B…(固着手段)ボルト、19,19B…ナット、
30,30A…ロアカバー、32…放熱材、33…熱伝導用当接面、40,40A…制御装置、
50…制御装置、52…制御本体部、53…制御基板、60…ケース、62…カバー、63…天板部、64…結合縁部、64c…結合片、65…取付部、67…側板部、
R…リング部、B…ボス部、S(L,R,B)…スポーク部、SS…(ステアリングシャフト)操舵軸、H…隙間、W,WA,WB…ステアリングホイール。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14