(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】積層セラミックコンデンサ
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20231108BHJP
【FI】
H01G4/30 512
H01G4/30 513
(21)【出願番号】P 2021039896
(22)【出願日】2021-03-12
【審査請求日】2022-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100130638
【氏名又は名称】野末 貴弘
(74)【代理人】
【氏名又は名称】西澤 均
(72)【発明者】
【氏名】平尾 尚大
【審査官】小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2021/0065988(US,A1)
【文献】特開2018-046104(JP,A)
【文献】特開昭59-082712(JP,A)
【文献】特開2020-013974(JP,A)
【文献】特開2010-153445(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/12
H01G 4/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数の第1の内部電極および第2の内部電極と、前記第1の内部電極および前記第2の内部電極の間に介在する誘電体層とを含み、一方向における一端側に位置する第1の外部電極形成部と、前記一方向における他端側に位置する第2の外部電極形成部と、前記第1の外部電極形成部と前記第2の外部電極形成部との間に位置する本体部とを有する積層体と、
前記第1の内部電極と電気的に接続され、前記積層体の前記第1の外部電極形成部を覆って設けられた第1の外部電極と、
前記第2の内部電極と電気的に接続され、前記積層体の前記第2の外部電極形成部を覆って設けられた第2の外部電極と、
を備え、
前記積層体の前記本体部と前記第1の外部電極形成部との境界、および、前記本体部と前記第2の外部電極形成部との境界に段差が存在し、
前記本体部の前記一方向の中央の位置において、前記一方向と直交する面で切断したときの断面の面積は、前記第1の外部電極が設けられている位置および前記第2の外部電極が設けられている位置において前記一方向と直交する面で切断したときの断面の面積よりも大き
く、
前記第1の内部電極の前記一方向と直交する方向の寸法のうち、前記本体部の前記一方向における中央の位置の寸法は、前記第1の外部電極形成部および前記第2の外部電極形成部内の位置の寸法よりも大きく、
前記第2の内部電極の前記一方向と直交する方向の寸法のうち、前記本体部の前記一方向における中央の位置の寸法は、前記第1の外部電極形成部および前記第2の外部電極形成部内の位置の寸法よりも大きく、かつ、
前記第1の外部電極形成部および前記第2の外部電極形成部内において、複数の前記第1の内部電極および前記第2の内部電極の積層方向の外側に位置する少なくとも1つの前記第1の内部電極の前記一方向と直交する方向における寸法は、前記積層方向の中央部に位置する前記第1の内部電極の前記一方向と直交する方向における寸法よりも小さく、
前記第1の外部電極形成部および前記第2の外部電極形成部内において、前記積層方向の外側に位置する少なくとも1つの前記第2の内部電極の前記一方向と直交する方向における寸法は、前記積層方向の中央部に位置する前記第2の内部電極の前記一方向と直交する方向における寸法よりも小さいことを特徴とする積層セラミックコンデンサ。
【請求項2】
前記第1の外部電極形成部および前記第2の外部電極形成部を前記一方向と直交する面で切断したときの断面の形状は、八角形以上の多角形であることを特徴とする請求項
1に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項3】
前記第1の外部電極形成部および前記第2の外部電極形成部を前記一方向と直交する面で切断したときの断面の形状は、円形であることを特徴とする請求項
1に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項4】
前記積層方向の中央部から外側に向かうにつれて、前記第1の内部電極および前記第2の内部電極の前記一方向と直交する方向における寸法は、段階的に小さくなることを特徴とする請求項
1から3のいずれか1項に記載の積層セラミックコンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層セラミックコンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内部電極と誘電体層とが交互に積層された構造の積層体の両端面に外部電極が設けられた積層セラミックコンデンサが知られている。
【0003】
そのような積層セラミックコンデンサの1つとして、特許文献1には、積層体の側面上の稜線部に隣接する位置における外部電極の厚みと、積層体の端面上の稜線部に隣接する位置における外部電極の厚みを、積層セラミックコンデンサの長さ方向の寸法と厚さ方向の寸法に基づいて規定した積層セラミックコンデンサが開示されている。この積層セラミックコンデンサによれば、小型化に伴い外部電極の厚みが薄くなったとしても、積層体の稜線部を被覆する外部電極において一定の厚みが確保されるので、積層体の内部にめっき液や水分が侵入することが抑制され、信頼性の低下を抑制することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の積層セラミックコンデンサは、直方体の積層体の表面に外部電極が設けられているため、積層体の表面から外側に出っ張っている外部電極の分だけ全体のサイズが大きくなる。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであり、サイズを小さくすることができる積層セラミックコンデンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の積層セラミックコンデンサは、
積層された複数の第1の内部電極および第2の内部電極と、前記第1の内部電極および前記第2の内部電極の間に介在する誘電体層とを含み、一方向における一端側に位置する第1の外部電極形成部と、前記一方向における他端側に位置する第2の外部電極形成部と、前記第1の外部電極形成部と前記第2の外部電極形成部との間に位置する本体部とを有する積層体と、
前記第1の内部電極と電気的に接続され、前記積層体の前記第1の外部電極形成部を覆って設けられた第1の外部電極と、
前記第2の内部電極と電気的に接続され、前記積層体の前記第2の外部電極形成部を覆って設けられた第2の外部電極と、
を備え、
前記積層体の前記本体部と前記第1の外部電極形成部との境界、および、前記本体部と前記第2の外部電極形成部との境界に段差が存在し、
前記本体部の前記一方向の中央の位置において、前記一方向と直交する面で切断したときの断面の面積は、前記第1の外部電極が設けられている位置および前記第2の外部電極が設けられている位置において前記一方向と直交する面で切断したときの断面の面積よりも大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の積層セラミックコンデンサによれば、積層体の本体部と第1の外部電極形成部との境界、および、本体部と第2の外部電極形成部との境界に段差が存在し、段差を埋めるような態様で第1の外部電極および第2の外部電極が設けられているので、外部電極が積層体の表面の外側へと出っ張ることを抑制することができ、全体のサイズを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態における積層セラミックコンデンサを模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す積層セラミックコンデンサをII-II線に沿って切断したときの構造を模式的に示す断面図である。
【
図3】
図1に示す積層セラミックコンデンサをIII-III線に沿って切断したときの構造を模式的に示す断面図である。
【
図4】積層セラミックコンデンサを構成する積層体の形状を模式的に示す斜視図である。
【
図5】(a)は、誘電体層と第1の内部電極の形状および位置関係を示す平面図であり、(b)は、誘電体層と第2の内部電極の形状および位置関係を示す平面図である。
【
図6】積層方向の中央部から外側に向かうにつれて、第1の内部電極および第2の内部電極の幅方向における寸法が段階的に小さくなるように構成されている場合に、
図3に示す断面図と同じ位置で積層セラミックコンデンサを切断したときの構造を模式的に示す断面図である。
【
図7】第2の実施形態における積層セラミックコンデンサを、第1の外部電極形成部の位置で、長さ方向と直交する面で切断したときの断面の構造を模式的に示す図である。
【
図8】第3の実施形態における積層セラミックコンデンサを、第1の外部電極形成部の位置で、長さ方向と直交する面で切断したときの断面の構造を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施形態を示して、本発明の特徴を具体的に説明する。
【0011】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態における積層セラミックコンデンサ10を模式的に示す斜視図である。
図2は、
図1に示す積層セラミックコンデンサ10をII-II線に沿って切断したときの構造を模式的に示す断面図である。
図3は、
図1に示す積層セラミックコンデンサ10をIII-III線に沿って切断したときの構造を模式的に示す断面図である。
図4は、積層セラミックコンデンサ10を構成する積層体11の形状を模式的に示す斜視図である。
【0012】
図1~
図3に示すように、積層セラミックコンデンサ10は、全体として直方体に近い形状を有しており、積層体11と、積層体11の表面に設けられた一対の外部電極20a、20bとを有している。一対の外部電極20a、20bは、
図1に示すように、対向するように配置されている。
【0013】
ここでは、一対の外部電極20a、20bが対向する方向を積層セラミックコンデンサ10の長さ方向Lと定義し、後述する誘電体層12と第1の内部電極13および第2の内部電極14とが積層されている方向を積層方向Tと定義し、長さ方向Lおよび積層方向Tのいずれの方向にも直交する方向を幅方向Wと定義する。長さ方向L、積層方向T、および、幅方向Wのうちの任意の2つの方向は、互いに直交する方向である。
【0014】
なお、本実施形態では、積層セラミックコンデンサ10の長さ方向L、幅方向W、および、積層方向Tの各方向における寸法のうち、長さ方向Lの寸法が最も大きいが、幅方向Wの寸法が最も大きい構成であってもよい。
【0015】
図2および
図3に示すように、積層体11は、積層された複数の第1の内部電極13および第2の内部電極14と、第1の内部電極13および第2の内部電極14の間に介在する誘電体層12とを含む。すなわち、積層体11は、第1の内部電極13と第2の内部電極14とが積層方向Tにおいて、誘電体層12を介して交互に複数積層された構造を有する。
【0016】
図2および
図4に示すように、積層体11は、一方向における一端側に位置する第1の外部電極形成部112aと、一方向における他端側に位置する第2の外部電極形成部112bと、第1の外部電極形成部112aと第2の外部電極形成部112bとの間に位置する本体部111とを有する。本実施形態において、一方向は、長さ方向Lである。
【0017】
誘電体層12は、例えば、BaTiO3、CaTiO3、SrTiO3、SrZrO3、または、CaZrO3などを主成分とするセラミック材料からなる。これらの主成分に、Mn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物などの主成分よりも含有量の少ない副成分が添加されていてもよい。
【0018】
第1の内部電極13および第2の内部電極14は、例えば、Ni、Ag、Pd、Au、Cu、Ti、または、Cr等の金属、または、上述した金属を主成分とする合金等を含有している。第1の内部電極13および第2の内部電極14は、共材として、誘電体層12に含まれる誘電体セラミックと同じセラミック材料を含んでいてもよい。第1の内部電極13における共材の含有割合は、例えば、第1の内部電極13全体の20体積%以下である。第2の内部電極14における共材の含有割合も同様である。
【0019】
なお、複数設けられている第1の内部電極13および第2の内部電極14の全ての材質が同じである必要はなく、異なっていてもよい。また、1つの内部電極13,14において、部位によって材質が異なっていてもよい。
【0020】
積層体11の本体部111は、四角柱の形状を有しており、積層方向Tにおいて互いに相対する第1の主面16aおよび第2の主面16bと、幅方向Wにおいて互いに相対する第1の側面17aおよび第2の側面17bとを有する。ただし、本体部111の稜線部は、丸みを帯びていてもよいし、角部も丸みを帯びていてもよい。なお、稜線部は、本体部111の2面が交わる部分であり、角部は、本体部111の3面が交わる部分である。
【0021】
図4に示すように、本実施形態における積層セラミックコンデンサ10において、積層体11の第1の外部電極形成部112aは、八角柱の形状を有する。すなわち、
図3に示すように、積層体11の第1の外部電極形成部112aを一方向、すなわち、本実施形態では長さ方向Lと直交する面で切断したときの断面の形状は、八角形である。換言すると、積層セラミックコンデンサ10を、第1の外部電極20aが形成されている位置で、長さ方向Lと直交する面で切断したときの積層体11の断面の形状は、八角形である。
【0022】
同様に、積層体11の第2の外部電極形成部112bを一方向、すなわち、本実施形態では長さ方向Lと直交する面で切断したときの断面の形状は、八角形である。換言すると、積層セラミックコンデンサ10を、第2の外部電極20bが形成されている位置で、長さ方向Lと直交する面で切断したときの積層体11の断面の形状は、八角形である。
【0023】
なお、第1の外部電極形成部112aおよび第2の外部電極形成部112bを一方向と直交する面で切断したときの断面の形状が八角形に限定されることはなく、例えば、十二角形のように、八角形以上の多角形であってもよい。
【0024】
このように、第1の外部電極形成部112aおよび第2の外部電極形成部112bを一方向と直交する面で切断したときの断面の形状を八角形以上の多角形とすることにより、第1の外部電極形成部112aおよび第2の外部電極形成部112bの稜線部における外部電極20a,20bの厚さが薄くなることを抑制することができる。すなわち、積層体が直方体の形状である従来の積層セラミックコンデンサでは、積層体を外部電極用導電性ペーストに浸漬することによって外部電極を形成する際、急峻にとがっている積層体の稜線部に外部電極用導電性ペーストが付着しにくく、稜線部における外部電極の厚さが薄くなりやすい。これに対して、本実施形態における積層セラミックコンデンサ10では、上述した断面の形状を四角形ではなく、八角形以上の多角形とすることにより、なだらかになっている稜線部に外部電極用導電性ペーストが付着しやすくなり、稜線部における外部電極20a,20bの厚さが薄くなることを抑制することができる。
【0025】
図2および
図4に示すように、積層体11の本体部111と第1の外部電極形成部112aとの境界L1、および、本体部111と第2の外部電極形成部112bとの境界L2には、段差が存在する。すなわち、本体部111と第1の外部電極形成部112aとの境界L1において、積層方向Tにおける本体部111の寸法は、積層方向Tにおける第1の外部電極形成部112aの寸法よりも大きく、幅方向Wにおける本体部111の寸法は、幅方向Wにおける第1の外部電極形成部112aの寸法よりも大きい。また、本体部111と第2の外部電極形成部112bとの境界L2において、積層方向Tにおける本体部111の寸法は、積層方向Tにおける第2の外部電極形成部112bの寸法よりも大きく、幅方向Wにおける本体部111の寸法は、幅方向Wにおける第2の外部電極形成部112bの寸法よりも大きい。
【0026】
図5(a)は、誘電体層12と第1の内部電極13の形状および位置関係を示す平面図であり、
図5(b)は、誘電体層12と第2の内部電極14の形状および位置関係を示す平面図である。
図5(a)に示すように、第1の内部電極13は、積層体11の長さ方向Lの表面のうちの一方の表面である第1の端面15aに引き出され、後述する第1の外部電極20aと電気的に接続されている。第1の内部電極13は、第2の外部電極形成部112b内にも存在するが、第2の端面15bには引き出されていない。
【0027】
図5(b)に示すように、第2の内部電極14は、積層体11の長さ方向Lの表面のうちの他方の表面である第2の端面15bに引き出され、後述する第2の外部電極20bと電気的に接続されている。第2の内部電極14は、第1の外部電極形成部112a内にも存在するが、第1の端面15aには引き出されていない。
【0028】
なお、積層体11には、第1の内部電極13および第2の内部電極14の他に、第1の外部電極20aおよび第2の外部電極20bと電気的に接続されていない内部電極が含まれていてもよい。
【0029】
図5(a)に示すように、第1の内部電極13の一方向と直交する方向の寸法、すなわち、本実施形態では幅方向Wの寸法のうち、本体部111の長さ方向Lにおける中央の位置の寸法W1は、第1の外部電極形成部112aおよび第2の外部電極形成部112b内の位置の寸法W2よりも大きい。
【0030】
また、
図5(b)に示すように、第2の内部電極14の一方向と直交する方向の寸法、すなわち、本実施形態では幅方向Wの寸法のうち、本体部111の長さ方向Lにおける中央の位置の寸法W1は、第1の外部電極形成部112aおよび第2の外部電極形成部112b内の位置の寸法W2よりも大きい。
【0031】
上述したように、積層体11の本体部111と第1の外部電極形成部112aとの境界L1、および、本体部111と第2の外部電極形成部112bとの境界L2には段差が存在しており、第1の外部電極形成部112aおよび第2の外部電極形成部112bの幅方向Wにおける寸法は、本体部111の幅方向Wにおける寸法よりも小さい。したがって、第1の外部電極形成部112aおよび第2の外部電極形成部112bの幅方向Wにおける寸法に応じて、内部電極13,14の幅方向Wにおける寸法を一定値に定めると、内部電極13,14のサイズが小さくなる。
【0032】
これに対して、本実施形態における積層セラミックコンデンサ10では、第1の内部電極13の幅方向Wの寸法のうち、本体部111の長さ方向Lにおける中央の位置の寸法W1は、第1の外部電極形成部112aおよび第2の外部電極形成部112b内の位置の寸法W2よりも大きく、第2の内部電極14の幅方向Wの寸法のうち、本体部111の長さ方向Lにおける中央の位置の寸法W1は、第1の外部電極形成部112aおよび第2の外部電極形成部112b内の位置の寸法W2よりも大きい構成としている。これにより、第1の内部電極13および第2の内部電極14のサイズを一定値にする場合と比べて大きくすることができるので、積層セラミックコンデンサ10の静電容量を大きくすることができる。
【0033】
なお、本体部111の長さ方向Lの中央の位置における第1の内部電極13の幅方向Wの寸法と第2の内部電極14の幅方向Wの寸法は同じ(W1)であるものとして説明したが、異なっていてもよい。同様に、第1の外部電極形成部112aおよび第2の外部電極形成部112b内における第1の内部電極13の幅方向Wの寸法と第2の内部電極14の幅方向Wの寸法は同じ(W2)であるものとして説明したが、異なっていてもよい。
【0034】
図3に示すように、積層方向Tの外側に位置する少なくとも1つの第1の内部電極13の一方向と直交する方向における寸法、すなわち、本実施形態では幅方向Wの寸法は、積層方向Tの中央部に位置する第1の内部電極13の幅方向Wにおける寸法よりも小さい。なお、「積層方向Tの中央部」には、積層方向Tの中央の位置だけでなく、中央の位置付近が含まれる。
【0035】
また、積層方向Tの外側に位置する少なくとも1つの第2の内部電極14の一方向と直交する方向における寸法、すなわち、本実施形態では幅方向Wの寸法は、積層方向Tの中央部に位置する第2の内部電極14の幅方向Wにおける寸法よりも小さい。
【0036】
上述したように、本実施形態における積層セラミックコンデンサ10は、積層体11の第1の外部電極形成部112aおよび第2の外部電極形成部112bを長さ方向Lと直交する面で切断したときの断面の形状が八角形であるため、積層方向Tの外側における第1の外部電極形成部112aおよび第2の外部電極形成部112bの幅方向Wの寸法は、積層方向Tの中央部における第1の外部電極形成部112aおよび第2の外部電極形成部112bの幅方向Wの寸法よりも小さい。このため、内部電極13,14の幅方向Wの寸法を同一にすると、積層方向Tの外側に内部電極13,14を配置することが難しくなる。また、積層方向Tの外側の位置まで内部電極13,14を配置しようとすると、内部電極13,14の幅方向Wの寸法を、積層方向Tの外側における第1の外部電極形成部112aおよび第2の外部電極形成部112bの幅方向Wの寸法に合わせて小さくする必要がある。すなわち、内部電極13,14の幅方向Wの寸法が同一である場合には、静電容量が小さくなる。
【0037】
これに対して、本実施形態における積層セラミックコンデンサ10では、積層方向Tの外側に位置する少なくとも1つの第1の内部電極13の幅方向Wにおける寸法が積層方向Tの中央部に位置する第1の内部電極13の幅方向Wの寸法よりも小さく、積層方向Tの外側に位置する少なくとも1つの第2の内部電極14の幅方向Wにおける寸法が積層方向Tの中央部に位置する第2の内部電極14の幅方向Wの寸法よりも小さいので、積層方向Tの中央部における内部電極13,14の幅方向Wの寸法を小さくすることなく、積層方向Tの外側の位置にも内部電極13,14を配置することが可能となる。これにより、内部電極13,14の幅方向Wの寸法が同一である構成と比べて、内部電極13,14の積層枚数を増やすことができ、積層セラミックコンデンサ10の静電容量を大きくすることができる。
【0038】
なお、積層セラミックコンデンサ10の断面の構造を模式的に示している
図3では、積層方向Tの最も外側に位置する1つの第1の内部電極13の幅方向Wにおける寸法が、他の第1の内部電極13の幅方向Wにおける寸法よりも小さいが、積層方向Tの外側に位置する複数の第1の内部電極13の幅方向Wにおける寸法が、積層方向Tの中央部に位置する第1の内部電極13の幅方向Wにおける寸法よりも小さい構成であってもよい。同様に、積層方向Tの外側に位置する複数の第2の内部電極14の幅方向Wにおける寸法が、積層方向Tの中央部に位置する第2の内部電極14の幅方向Wにおける寸法よりも小さい構成であってもよい。その場合、
図6に示すように、積層方向Tの中央部から外側に向かうにつれて、第1の内部電極13および第2の内部電極14の幅方向Wにおける寸法が段階的に小さくなるように構成されていてもよい。そのような構成により、積層方向Tの外側に向かうにつれて幅方向Wの寸法が小さくなる第1の外部電極形成部112aおよび第2の外部電極形成部112bの形状に応じて、より多くの内部電極13,14を配置することができ、静電容量をより大きくすることができる。
【0039】
なお、「積層方向Tの中央部から外側に向かうにつれて、第1の内部電極13および第2の内部電極14の幅方向Wにおける寸法が段階的に小さくなる」とは、全ての第1の内部電極13および第2の内部電極14の幅方向における寸法が段階的に小さくなるのではなく、幅方向Wにおける寸法が段階的に小さくなる第1の内部電極13および第2の内部電極14が含まれることを意味する。
【0040】
第1の外部電極20aは、積層体11の第1の外部電極形成部112aを覆って設けられている。本実施形態では、積層体11の本体部111と第1の外部電極形成部112aとの間の段差が解消するように第1の外部電極20aが設けられている。すなわち、幅方向Wの中央の位置で、幅方向Wと直交する面で積層セラミックコンデンサ10を切断したときの断面において、積層方向Tにおける本体部111の寸法と、積層方向Tにおける第1の外部電極20aの寸法は同一であることが好ましい。また、積層方向Tの中央の位置で、積層方向Tと直交する面で積層セラミックコンデンサ10を切断したときの断面において、幅方向Wにおける本体部111の寸法と、幅方向Wにおける第1の外部電極20aの寸法は同一であることが好ましい。
【0041】
ただし、上述した幅方向Wの中央の位置における断面において、積層方向Tにおける本体部111の寸法と、積層方向Tにおける第1の外部電極20aの寸法は完全に同一ではなくてもよく、例えば、積層方向Tにおける第1の外部電極20aの寸法の方がわずかに小さくてもよい。また、上述した積層方向Tの中央の位置における断面において、幅方向Wにおける本体部111の寸法と、幅方向Wにおける第1の外部電極20aの寸法は完全に同一ではなくてもよく、幅方向Wにおける第1の外部電極20aの寸法の方がわずかに小さくてもよい。
【0042】
第2の外部電極20bは、積層体11の第2の外部電極形成部112bを覆って設けられている。本実施形態では、積層体11の本体部111と第2の外部電極形成部112bとの間の段差が解消するように第2の外部電極20bが設けられている。すなわち、幅方向Wの中央の位置で、幅方向Wと直交する面で積層セラミックコンデンサ10を切断したときの断面において、積層方向Tにおける本体部111の寸法と、積層方向Tにおける第2の外部電極20bの寸法は同一であることが好ましい。また、積層方向Tの中央の位置で、積層方向Tと直交する面で積層セラミックコンデンサ10を切断したときの断面において、幅方向Wにおける本体部111の寸法と、幅方向Wにおける第2の外部電極20bの寸法は同一であることが好ましい。
【0043】
ただし、上述した幅方向Wの中央の位置における断面において、積層方向Tにおける本体部111の寸法と、積層方向Tにおける第2の外部電極20bの寸法は完全に同一ではなくてもよく、例えば、積層方向Tにおける第2の外部電極20bの寸法の方がわずかに小さくてもよい。また、上述した積層方向Tの中央の位置における断面において、幅方向Wにおける本体部111の寸法と、幅方向Wにおける第2の外部電極20bの寸法は完全に同一ではなくてもよく、例えば、幅方向Wにおける第2の外部電極20bの寸法の方がわずかに小さくてもよい。
【0044】
ここで、第1の外部電極20aおよび第2の外部電極20bは、積層体11を外部電極用導電性ペーストに浸漬した後、焼成する工程を経て形成することが可能である。上述したように、積層体11の第1の外部電極形成部112aおよび第2の外部電極形成部112bを長さ方向Lと直交する面で切断したときの断面の形状は、八角形であるため、積層体11を外部電極用導電性ペーストに浸漬することによって外部電極20a,20bを形成した場合、
図3に示すように、外部電極20a,20bの稜線部の位置は、積層体11の本体部111の稜線部の位置よりも内側になる。
【0045】
このため、積層セラミックコンデンサ10を、一方向、すなわち、本実施形態では長さ方向Lの中央の位置において、長さ方向Lと直交する面で切断したときの断面の面積は、第1の外部電極20aが設けられている位置および第2の外部電極20bが設けられている位置において、長さ方向Lと直交する面で切断したときの断面の面積よりも大きい。なお、積層セラミックコンデンサ10を、長さ方向Lの中央の位置において、長さ方向Lと直交する面で切断したときの断面の面積とは、本体部111を、長さ方向Lの中央の位置において切断したときの断面の面積のことである。
【0046】
第1の外部電極20aおよび第2の外部電極20bは、例えば、下地電極層と、下地電極層上に配置されためっき層とを備える。
【0047】
下地電極層は、例えば、後述する焼付け電極層、樹脂電極層、および、薄膜電極層などの層のうち、少なくとも1つの層を含む。第1の外部電極20aおよび第2の外部電極20bの線膨張係数を、誘電体層12の線膨張係数と近づけるため、下地電極層は、誘電体層12に含まれる材料と同じまたは類似する材料からなる共材、または、ガラスを含有していてもよい。下地電極層が共材またはガラスを含有する場合、その含有割合は、外部電極全体の30体積%以上70体積%以下であることが好ましい。
【0048】
焼付け電極層は、ガラスと金属とを含む層であり、1層であってもよいし、複数層であってもよい。焼付け電極層は、例えば、Ni、Ag、Pd、Au、Cu、Ti、または、Cr等の金属、またはそれらの金属を含む合金などを含む。焼付け電極層は、例えば、ガラスおよび金属を含む導電性ペーストが貯留されているペースト槽に積層体を浸漬した後、焼き付けることによって形成することが可能である。
【0049】
樹脂電極層は、例えば、導電性粒子と熱硬化性樹脂とを含む層として形成することができる。樹脂電極層を形成する場合には、焼付け電極層を形成せずに、セラミック素体上に直接形成するようにしてもよい。樹脂電極層は、1層であってもよいし、複数層であってもよい。
【0050】
薄膜電極層は、例えば、金属粒子が堆積した1μm以下の層であり、スパッタ法または蒸着法などの既知の薄膜形成法により形成することができる。
【0051】
下地電極層上に配置されるめっき層は、例えば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ti、Cr、または、Auなどの金属、または、それらの金属を主成分とする合金を含む。めっき層は、1層であってもよいし、複数層であってもよい。ただし、めっき層は、Niめっき層とSnめっき層の2層構造とすることが好ましい。Niめっき層は、下地電極層が積層セラミックコンデンサ10を実装する際のはんだによって侵食されるのを防止する機能を果たす。また、Snめっき層は、積層セラミックコンデンサ10を実装する際のはんだの濡れ性を向上させる機能を果たす。
【0052】
積層セラミックコンデンサ10のサイズの一例について説明すると、積層セラミックコンデンサ10の長さ方向Lの寸法は、例えば、0.7mm以上1.2mm以下であって、一例として1.0mmである。積層セラミックコンデンサ10の幅方向Wの寸法は、例えば、0.4mm以上0.6mm以下であって、一例として0.5mmである。積層セラミックコンデンサ10の積層方向Tの寸法は、例えば、0.4mm以上0.6mm以下であって、一例として0.5mmである。積層体11の本体部111の長さ方向Lにおける寸法は、例えば、0.4mm以上0.7mm以下であって、一例として0.6mmである。積層体11の第1の外部電極形成部112aおよび第2の外部電極形成部112bの長さ方向Lにおける寸法は、例えば、0.15mm以上0.25mm以下であって、一例として0.2mmである。誘電体層12の積層方向Tにおける厚みは、例えば、0.001mm以上0.01mm以下であり、一例として0.002mmである。第1の内部電極13および第2の内部電極14の積層方向Tにおける厚みは、例えば、0.001mm以上0.008mm以下であり、一例として0.002mmである。第1の内部電極13および第2の内部電極14の上述した寸法W1は、例えば、0.2mm以上0.58mm以下であり、一例として0.44mmである。第1の内部電極13および第2の内部電極14の上述した寸法W2は、例えば、0.001mm以上0.574mm以下であり、一例として0.42mmである。第1の外部電極20aおよび第2の外部電極20bの厚みは、例えば、0.003mm以上0.1mm以下であり、一例として0.01mmである。積層方向Tにおいて、最も外側に位置する内部電極13,14から積層セラミックコンデンサ10の表面までの距離La(
図2参照)は、例えば、0.03mm以上0.1mm以下であり、一例として0.06mmである。第1の内部電極13の一端から積層体11の第2の端面15bまで、および、第2の内部電極14の一端から積層体11の第1の端面15aまでの距離Lb(
図2参照)は、例えば、0.03mm以上0.2mm以下であり、一例として0.06mである。
【0053】
本実施形態における積層セラミックコンデンサ10によれば、積層体11の本体部111と第1の外部電極形成部112aとの境界L1、および、本体部111と第2の外部電極形成部112bとの境界L2に段差が存在し、段差を埋めるような態様で第1の外部電極20aおよび第2の外部電極20bが設けられているので、積層体11の表面に対して外部電極20a,20bが外側へと出っ張った形状となることを抑制することができる。これにより、直方体の積層体の表面に外部電極が設けられている従来の構成と比べて、全体のサイズを小さくすることができる。
【0054】
また、積層体11の表面に対して外部電極20a,20bが外側に出っ張った形状となることが抑制されることにより、積層体11のサイズを積層セラミックコンデンサ10のサイズに近づけることができる。これにより、サイズあたりの静電容量を大きくすることができる。
【0055】
また、積層体が直方体の形状である従来の積層セラミックコンデンサでは、複数の積層セラミックコンデンサの搬送時などにおいて、外側に出っ張った外部電極によって積層セラミックコンデンサ同士が引っかかることがある。これに対して、本実施形態における積層セラミックコンデンサ10では、外部電極20a,20bが出っ張らないように設けられているため、上述した積層セラミックコンデンサ10同士の引っかかりを抑制することができる。
【0056】
また、積層体が直方体の形状である従来の積層セラミックコンデンサでは、積層体を外部電極用導電性ペーストに浸漬することによって外部電極を形成する際、外部電極用導電性ペーストが濡れ上がって、外部電極の形状を所望の形状に制御することができない場合がある。これに対して、本実施形態における積層セラミックコンデンサ10では、積層体11の本体部111と第1の外部電極形成部112aとの境界L1、および、本体部111と第2の外部電極形成部112bとの境界L2に段差が存在しており、第1の外部電極形成部112aおよび第2の外部電極形成部112bをそれぞれ覆うように、積層体11を外部電極用導電性ペーストに浸漬することにより、段差部分で外部電極用導電性ペーストの濡れ上がりを抑制することができる。これにより、容易に外部電極20a,20bの形状を所望の形状に制御することが可能になる。
【0057】
上述した積層セラミックコンデンサ10は、例えば、3Dプリンタを用いて製造することができる。すなわち、誘電体層用インクおよび内部電極用インクを用いたインクジェット方式の印刷によって、上述した構造を有する未焼成の積層体を作製する。続いて、未焼成の積層体を外部電極用導電性ペーストに浸漬した後、焼成し、必要に応じてめっき層を形成することによって、上述した構造の積層セラミックコンデンサ10が得られる。なお、未焼成の積層体を焼成してから、外部電極用導電性ペーストに浸漬するようにしてもよい。
【0058】
なお、内部電極用導電性ペーストが塗工されたセラミックグリーンシートを複数積層してプレスすることによって、未焼成の積層体を作製するようにしてもよい。その場合も、未焼成の積層体を外部電極用導電性ペーストに浸漬してから焼成し、必要に応じてめっき層を形成することによって、上述した構造の積層セラミックコンデンサ10が得られる。この場合も、未焼成の積層体を焼成してから、外部電極用導電性ペーストに浸漬するようにしてもよい。
【0059】
<第2の実施形態>
第1の実施形態における積層セラミックコンデンサ10では、第1の外部電極形成部112aおよび第2の外部電極形成部112bを一方向と直交する面で切断したときの断面の形状が八角形である。
【0060】
これに対して、第2の実施形態における積層セラミックコンデンサ10Aでは、第1の外部電極形成部112aおよび第2の外部電極形成部112bを一方向と直交する面で切断したときの断面の形状が円形である。なお、本実施形態でも、一方向は長さ方向Lである。
【0061】
図7は、第2の実施形態における積層セラミックコンデンサ10Aを、
図3に示す断面図と同じ位置、すなわち、第1の外部電極形成部112aの位置で、一方向である長さ方向Lと直交する面で切断したときの構造を模式的に示す断面図である。
図7に示すように、第1の外部電極形成部112aの位置で、積層セラミックコンデンサ10Aを長さ方向Lと直交する面で切断したときの第1の外部電極形成部112aの形状は円形である。すなわち、第1の外部電極形成部112aは、円柱状の形状を有する。
【0062】
同様に、第2の外部電極形成部112bの位置で、積層セラミックコンデンサ10Aを長さ方向Lと直交する面で切断したときの第2の外部電極形成部112bの形状は円形である。すなわち、第2の外部電極形成部112bは、円柱状の形状を有する。
【0063】
本実施形態でも、積層方向Tにおいて外側に位置する少なくとも1つの第1の内部電極13の幅方向Wにおける寸法は、積層方向Tの中央部に位置する第1の内部電極13の幅方向Wにおける寸法よりも小さい。また、積層方向Tにおいて外側に位置する少なくとも1つの第2の内部電極14の幅方向Wにおける寸法は、積層方向Tの中央部に位置する第2の内部電極14の幅方向Wにおける寸法よりも小さい。そのような構成により、第1の実施形態における積層セラミックコンデンサ10と同様、内部電極13,14の幅方向Wの寸法が同一である構成と比べて、内部電極13,14の積層枚数を増やすことができ、静電容量を大きくすることができる。
【0064】
なお、
図7では、積層方向Tの中央部から外側に向かうにつれて、第1の内部電極13および第2の内部電極14の幅方向Wにおける寸法が段階的に小さくなる構成を示している。
【0065】
<第3の実施形態>
第3の実施形態における積層セラミックコンデンサ10Bでは、第1の外部電極形成部112aおよび第2の外部電極形成部112bを一方向と直交する面で切断したときの断面の形状が、角が丸みを帯びた矩形である。なお、本実施形態でも、一方向は長さ方向Lである。
【0066】
図8は、第3の実施形態における積層セラミックコンデンサ10Bを、
図3に示す断面図と同じ位置、すなわち、第1の外部電極形成部112aの位置で、一方向である長さ方向Lと直交する面で切断したときの構造を模式的に示す断面図である。
図8に示すように、第1の外部電極形成部112aの位置で、積層セラミックコンデンサ10Bを長さ方向Lと直交する面で切断したときの第1の外部電極形成部112aの形状は、角が丸みを帯びた矩形、換言すると、角にRがついた矩形である。
【0067】
同様に、第2の外部電極形成部112bの位置で、積層セラミックコンデンサ10Aを長さ方向Lと直交する面で切断したときの第2の外部電極形成部112bの形状は、角が丸みを帯びた矩形、換言すると、角にRがついた矩形である。第1の外部電極形成部112aおよび第2の外部電極形成部112bにおいて、角のRの寸法は、例えば、0.01mm以上0.25mm以下であり、一例として0.04mmである。
【0068】
本実施形態でも、積層方向Tにおいて外側に位置する少なくとも1つの第1の内部電極13の幅方向Wにおける寸法は、積層方向Tの中央部に位置する第1の内部電極13の幅方向Wにおける寸法よりも小さい。また、積層方向Tにおいて外側に位置する少なくとも1つの第2の内部電極14の幅方向Wにおける寸法は、積層方向Tの中央部に位置する第2の内部電極14の幅方向Wにおける寸法よりも小さい。そのような構成により、第1の実施形態における積層セラミックコンデンサ10と同様、内部電極13,14の幅方向Wの寸法が同一である構成と比べて、内部電極13,14の積層枚数を増やすことができ、静電容量を大きくすることができる。
【0069】
なお、第1の実施形態と同様、積層方向Tの外側に位置する複数の第1の内部電極13の幅方向Wにおける寸法が、積層方向Tの中央部に位置する第1の内部電極13の幅方向Wにおける寸法よりも小さくてもよいし、積層方向Tの外側に位置する複数の第2の内部電極14の幅方向Wにおける寸法が、積層方向Tの中央部に位置する第2の内部電極14の幅方向Wにおける寸法よりも小さくてもよい。その場合、積層方向Tの中央部から外側に向かうにつれて、第1の内部電極13および第2の内部電極14の幅方向Wにおける寸法が段階的に小さくなるように構成されていてもよい。
【0070】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。例えば、第1の内部電極13および第2の内部電極14の形状は矩形であってもよい。ただし、上述したように、第1の内部電極13の幅方向Wの寸法のうち、本体部111の長さ方向Lにおける中央の位置の寸法W1が、第1の外部電極形成部112aおよび第2の外部電極形成部112b内の位置の寸法W2よりも大きく、第2の内部電極14の幅方向Wの寸法のうち、本体部111の長さ方向Lにおける中央の位置の寸法W1が、第1の外部電極形成部112aおよび第2の外部電極形成部112b内の位置の寸法W2よりも大きい構成とすることにより、第1の内部電極13および第2の内部電極14のサイズを、本体部111と第1の外部電極形成部112aおよび第2の外部電極形成部112bの形状に応じて大きくすることができるので好ましい。
【0071】
上述した各実施形態およびその変形例における特徴的な構成は、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0072】
10,10A,10B 積層セラミックコンデンサ
11 積層体
12 誘電体層
13 第1の内部電極
14 第2の内部電極
15a 第1の端面
15b 第2の端面
16a 第1の主面
16b 第2の主面
17a 第1の側面
17b 第2の側面
20a 第1の外部電極
20b 第2の外部電極
111 本体部
112a 第1の外部電極形成部
112b 第2の外部電極形成部