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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】覚醒システムおよび覚醒制御装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20231108BHJP
【FI】
G08G1/16 F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021051851
(22)【出願日】2021-03-25
(65)【公開番号】P2022149618
(43)【公開日】2022-10-07
【審査請求日】2023-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】小谷 彩子
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 有華里
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】河合 政治
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-199270(JP,A)
【文献】特開2019-138791(JP,A)
【文献】特開2017-039426(JP,A)
【文献】国際公開第2008/117406(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 21/06
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者を覚醒させるための覚醒刺激を出力可能な覚醒装置(10)と、
同乗者に関する情報である同乗者情報を検出するための同乗者モニタ(41)と、
前記同乗者モニタを用いて検出された前記同乗者情報を取得する同乗者情報取得部(74)と、
前記覚醒装置の出力を制限する制限設定部(78)と、
前記制限設定部で制限されていない出力で前記覚醒装置による前記覚醒刺激の出力を実行する覚醒実行部(79)とを備え、
前記制限設定部は、車内に出力可能な前記覚醒刺激の種類または強度を前記同乗者情報に基づいて制限し、
前記同乗者情報取得部は、前記同乗者の状態を前記同乗者情報として取得し、
前記制限設定部は、前記同乗者の状態が制限状態である場合に、出力可能な前記覚醒刺激の種類または強度を前記同乗者がいない場合に比べて減らし、
前記制限状態には、視覚を用いた作業を行う視覚作業状態が含まれており、
前記制限設定部は、前記同乗者が助手席(45)に着座しており、かつ、前記同乗者が前記視覚作業状態である場合に、視覚に刺激を与える前記覚醒刺激である視覚刺激の出力を制限し、
前記制限設定部は、睡眠状態である前記同乗者が前記助手席に着座しており、車内が明るい状態では装飾灯(15)またはセンターインフォメーションディスプレイ(12)を用いた刺激の出力を許可し、車内が暗い状態では前記装飾灯または前記センターインフォメーションディスプレイを用いた刺激の出力を許可しない覚醒システム。
【請求項2】
運転者を覚醒させるための覚醒刺激を出力可能な覚醒装置(10)と、
同乗者に関する情報である同乗者情報を検出するための同乗者モニタ(41)と、
前記同乗者モニタを用いて検出された前記同乗者情報を取得する同乗者情報取得部(74)と、
前記覚醒装置の出力を制限する制限設定部(78)と、
前記制限設定部で制限されていない出力で前記覚醒装置による前記覚醒刺激の出力を実行する覚醒実行部(79)とを備え、
前記制限設定部は、車内に出力可能な前記覚醒刺激の種類または強度を前記同乗者情報に基づいて制限し、
前記同乗者情報取得部は、前記同乗者の状態を前記同乗者情報として取得し、
前記制限設定部は、前記同乗者の状態が制限状態である場合に、出力可能な前記覚醒刺激の種類または強度を前記同乗者がいない場合に比べて減らし、
記制限設定部は、飲食状態の前記同乗者が助手席(45)に着座している場合には、空調装置(46)を用いて運転席(35)に向かって空調風を吹き出す覚醒刺激の出力を許可とする覚醒システム。
【請求項3】
運転者を覚醒させるための覚醒刺激を出力可能な覚醒装置(10)と、
同乗者に関する情報である同乗者情報を検出するための同乗者モニタ(41)と、
前記同乗者モニタを用いて検出された前記同乗者情報を取得する同乗者情報取得部(74)と、
前記覚醒装置の出力を制限する制限設定部(78)と、
前記制限設定部で制限されていない出力で前記覚醒装置による前記覚醒刺激の出力を実行する覚醒実行部(79)とを備え、
前記制限設定部は、車内に出力可能な前記覚醒刺激の種類または強度を前記同乗者情報に基づいて制限し、
前記同乗者情報取得部は、前記同乗者の状態を前記同乗者情報として取得し、
前記制限設定部は、前記同乗者の状態が制限状態である場合に、出力可能な前記覚醒刺激の種類または強度を前記同乗者がいない場合に比べて減らし、
前記制限状態には、視覚を用いた作業を行う視覚作業状態が含まれており、
前記制限設定部は、前記同乗者が助手席(45)に着座しており、かつ、前記同乗者が前記視覚作業状態である場合に、視覚に刺激を与える前記覚醒刺激である視覚刺激の出力を制限し、
前記制限設定部は、視覚作業状態の前記同乗者が存在している場合には、前記同乗者の位置によらずシート振動装置(37)の出力を弱運転で許可する覚醒システム。
【請求項4】
運転者を覚醒させるための覚醒刺激を出力可能な覚醒装置(10)と、
同乗者に関する情報である同乗者情報を検出するための同乗者モニタ(41)と、
前記同乗者モニタを用いて検出された前記同乗者情報を取得する同乗者情報取得部(74)と、
前記覚醒装置の出力を制限する制限設定部(78)と、
前記制限設定部で制限されていない出力で前記覚醒装置による前記覚醒刺激の出力を実行する覚醒実行部(79)とを備え、
前記制限設定部は、車内に出力可能な前記覚醒刺激の種類または強度を前記同乗者情報に基づいて制限し、
前記同乗者情報取得部は、前記同乗者の状態を前記同乗者情報として取得し、
前記制限設定部は、前記同乗者の状態が制限状態である場合に、出力可能な前記覚醒刺激の種類または強度を前記同乗者がいない場合に比べて減らし、
前記制限設定部は、聴覚作業状態の前記同乗者が存在している場合には、前記同乗者の位置によらず空調装置(46)風量レベル閾値レベル以下とすることで許可する覚醒システム。
【請求項5】
運転者を覚醒させるための覚醒刺激を出力可能な覚醒装置(10)と、
同乗者に関する情報である同乗者情報を検出するための同乗者モニタ(41)と、
前記同乗者モニタを用いて検出された前記同乗者情報を取得する同乗者情報取得部(74)と、
前記覚醒装置の出力を制限する制限設定部(78)と、
前記制限設定部で制限されていない出力で前記覚醒装置による前記覚醒刺激の出力を実行する覚醒実行部(79)とを備え、
前記制限設定部は、車内に出力可能な前記覚醒刺激の種類または強度を前記同乗者情報に基づいて制限し、
前記同乗者情報取得部は、前記同乗者が子供であるか否かを前記同乗者情報として取得し、
前記制限設定部は、前記同乗者に子供が含まれる場合には、前記同乗者に子供が含まれない場合に比べて、嗅覚に刺激を与える前記覚醒刺激である嗅覚刺激の強度を低く制限する覚醒システム。
【請求項6】
同乗者に関する情報である同乗者情報を検出するための同乗者モニタ(41)を用いて検出された前記同乗者情報を取得する同乗者情報取得部(74)と、
運転者を覚醒させるための覚醒刺激を出力可能な覚醒装置(10)の出力を制限する制限設定部(78)と、
前記制限設定部で制限されていない出力で前記覚醒装置に前記覚醒刺激の出力を実行する覚醒実行部(79)とを備え、
前記制限設定部は、車内に出力可能な前記覚醒刺激の種類または強度を前記同乗者情報に基づいて制限し、
前記同乗者情報取得部は、前記同乗者が子供であるか否かを前記同乗者情報として取得し、
前記制限設定部は、前記同乗者に子供が含まれる場合には、前記同乗者に子供が含まれない場合に比べて、嗅覚に刺激を与える前記覚醒刺激である嗅覚刺激の強度を低く制限する覚醒制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、覚醒システム、覚醒制御装置および覚醒方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、運転者たる着座者が居眠り運転や漫然運転をしているような場合に、振動ユニットを用いて座席を振動させる振動制御装置を開示している。先行技術文献の記載内容は、この明細書における技術的要素の説明として、参照により援用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-55527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先行技術文献の構成では、ケース内に磁気回路が収容されたものを振動ユニットとして利用することで、運転者に振動刺激を与えている。また、運転者を覚醒させる目的で運転者に対して与える刺激は、振動刺激に限られず様々な種類の刺激が採用可能であり、刺激を発生させる装置としても様々な装置を採用可能である。
【0005】
しかしながら、車内に同乗者がいる場合には、運転者を覚醒させる目的で刺激を発生させた際に、同乗者に対しても意図せず刺激が与えられてしまうことがある。例えば、振動ユニットで振動を発生させるとともに、作動音が発生してしまい、同乗者の聴覚に刺激を与えてしまうことがある。同乗者に与えられた刺激の種類や強さによっては、同乗者の快適性が損なわれ得る。上述の観点において、または言及されていない他の観点において、覚醒システム等にはさらなる改良が求められている。
【0006】
開示される1つの目的は、同乗者に配慮しながら運転者に覚醒刺激を与えることのできる覚醒システム等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここに開示された覚醒システムは、運転者を覚醒させるための覚醒刺激を出力可能な覚醒装置(10)と、
同乗者に関する情報である同乗者情報を検出するための同乗者モニタ(41)と、
同乗者モニタを用いて検出された同乗者情報を取得する同乗者情報取得部(74)と、
覚醒装置の出力を制限する制限設定部(78)と、
制限設定部で制限されていない出力で覚醒装置による覚醒刺激の出力を実行する覚醒実行部(79)とを備え、
制限設定部は、車内に出力可能な覚醒刺激の種類または強度を同乗者情報に基づいて制限する。
同乗者情報取得部は、同乗者が子供であるか否かを同乗者情報として取得し、
制限設定部は、同乗者に子供が含まれる場合には、同乗者に子供が含まれない場合に比べて、嗅覚に刺激を与える覚醒刺激である嗅覚刺激の強度を低く制限する。
【0008】
また、ここに開示された覚醒制御装置は、同乗者に関する情報である同乗者情報を検出するための同乗者モニタ(41)を用いて検出された同乗者情報を取得する同乗者情報取得部(74)と、
運転者を覚醒させるための覚醒刺激を出力可能な覚醒装置(10)の出力を制限する制限設定部(78)と、
制限設定部で制限されていない出力で覚醒装置に覚醒刺激の出力を実行する覚醒実行部(79)とを備え、
制限設定部は、車内に出力可能な覚醒刺激の種類または強度を同乗者情報に基づいて制限する。
同乗者情報取得部は、同乗者が子供であるか否かを同乗者情報として取得し、
制限設定部は、同乗者に子供が含まれる場合には、同乗者に子供が含まれない場合に比べて、嗅覚に刺激を与える覚醒刺激である嗅覚刺激の強度を低く制限する。
【0009】
また、ここに開示された覚醒システムは、運転者を覚醒させるための覚醒刺激を出力可能な覚醒装置(10)と、同乗者に関する情報である同乗者情報を検出するための同乗者モニタ(41)と、同乗者モニタを用いて検出された同乗者情報を取得する同乗者情報取得部(74)と、覚醒装置の出力を制限する制限設定部(78)と、制限設定部で制限されていない出力で覚醒装置による覚醒刺激の出力を実行する覚醒実行部(79)とを備え、
制限設定部は、車内に出力可能な覚醒刺激の種類または強度を同乗者情報に基づいて制限し、
同乗者情報取得部は、同乗者の状態を同乗者情報として取得し、
制限設定部は、同乗者の状態が制限状態である場合に、出力可能な覚醒刺激の種類または強度を同乗者がいない場合に比べて減らし、
制限状態には、視覚を用いた作業を行う視覚作業状態が含まれており、
制限設定部は、同乗者が助手席(45)に着座しており、かつ、同乗者が視覚作業状態である場合に、視覚に刺激を与える覚醒刺激である視覚刺激の出力を制限し、
制限設定部は、睡眠状態である同乗者が助手席に着座しており、車内が明るい状態では装飾灯(15)またはセンターインフォメーションディスプレイ(12)を用いた刺激の出力を許可し、車内が暗い状態では装飾灯またはセンターインフォメーションディスプレイを用いた刺激の出力を許可しない。
また、ここに開示された覚醒システムは、運転者を覚醒させるための覚醒刺激を出力可能な覚醒装置(10)と、同乗者に関する情報である同乗者情報を検出するための同乗者モニタ(41)と、同乗者モニタを用いて検出された同乗者情報を取得する同乗者情報取得部(74)と、覚醒装置の出力を制限する制限設定部(78)と、制限設定部で制限されていない出力で覚醒装置による覚醒刺激の出力を実行する覚醒実行部(79)とを備え、
制限設定部は、車内に出力可能な覚醒刺激の種類または強度を同乗者情報に基づいて制限し、
同乗者情報取得部は、同乗者の状態を同乗者情報として取得し、
制限設定部は、同乗者の状態が制限状態である場合に、出力可能な覚醒刺激の種類または強度を同乗者がいない場合に比べて減らし、
制限設定部は、飲食状態の同乗者が助手席(45)に着座している場合には、空調装置(46)を用いて運転席(35)に向かって空調風を吹き出す覚醒刺激の出力を不許可とする。
また、ここに開示された覚醒システムは、運転者を覚醒させるための覚醒刺激を出力可能な覚醒装置(10)と、同乗者に関する情報である同乗者情報を検出するための同乗者モニタ(41)と、同乗者モニタを用いて検出された同乗者情報を取得する同乗者情報取得部(74)と、覚醒装置の出力を制限する制限設定部(78)と、制限設定部で制限されていない出力で覚醒装置による覚醒刺激の出力を実行する覚醒実行部(79)とを備え、
制限設定部は、車内に出力可能な覚醒刺激の種類または強度を同乗者情報に基づいて制限し、
同乗者情報取得部は、同乗者の状態を同乗者情報として取得し、
制限設定部は、同乗者の状態が制限状態である場合に、出力可能な覚醒刺激の種類または強度を同乗者がいない場合に比べて減らし、
制限状態には、視覚を用いた作業を行う視覚作業状態が含まれており、
制限設定部は、同乗者が助手席(45)に着座しており、かつ、同乗者が視覚作業状態である場合に、視覚に刺激を与える覚醒刺激である視覚刺激の出力を制限し、
制限設定部は、視覚作業状態の同乗者が存在している場合には、同乗者の位置によらずシート振動装置(37)の出力を弱運転で許可する。
また、ここに開示された覚醒システムは、運転者を覚醒させるための覚醒刺激を出力可能な覚醒装置(10)と、同乗者に関する情報である同乗者情報を検出するための同乗者モニタ(41)と、同乗者モニタを用いて検出された同乗者情報を取得する同乗者情報取得部(74)と、覚醒装置の出力を制限する制限設定部(78)と、制限設定部で制限されていない出力で覚醒装置による覚醒刺激の出力を実行する覚醒実行部(79)とを備え、
制限設定部は、車内に出力可能な覚醒刺激の種類または強度を同乗者情報に基づいて制限し、
同乗者情報取得部は、同乗者の状態を同乗者情報として取得し、
制限設定部は、同乗者の状態が制限状態である場合に、出力可能な覚醒刺激の種類または強度を同乗者がいない場合に比べて減らし、
制限設定部は、聴覚作業状態の同乗者が存在している場合には、同乗者の位置によらず空調装置(46)の風量レベルを閾値レベル以下とすることで許可する。
【0010】
開示された覚醒システム等によると、車内に出力可能な覚醒刺激の種類または強度を同乗者情報に基づいて制限する。このため、同乗者によらず常に特定の覚醒刺激を出力する場合に比べて、覚醒刺激の出力によって同乗者の快適性が大きく損なわれることを抑制しやすい。したがって、同乗者に配慮しながら運転者に覚醒刺激を与えることのできる覚醒システム等を提供できる。
【0011】
この明細書における開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。この明細書に開示される目的、特徴、および効果は、後続の詳細な説明、および添付の図面を参照することによってより明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】覚醒システムが搭載されている車両の概略構成を示す構成図である。
図2】覚醒システムの覚醒制御に関するブロック図である。
図3】覚醒システムの覚醒制御に関するフローチャートである。
図4】同乗者が睡眠状態である場合の制限内容を説明するための図である。
図5】同乗者が飲食状態である場合の制限内容を説明するための図である。
図6】同乗者が視覚作業状態である場合の制限内容を説明するための図である。
図7】同乗者が聴覚作業状態である場合の制限内容を説明するための図である。
図8】同乗者が運転者との会話状態である場合の制限内容を説明するための図である。
図9】同乗者がマッサージ状態である場合の制限内容を説明するための図である。
図10】同乗者が飲食状態かつ聴覚作業状態である場合の制限内容を説明するための図である。
図11】第2実施形態における覚醒システムの覚醒制御に関するフローチャートである。
図12】同乗者が子供である場合の制限内容を説明するための図である。
図13】同乗者が親密度の低い人物である場合の制限内容を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面を参照しながら、複数の実施形態を説明する。複数の実施形態において、機能的におよび/または構造的に対応する部分および/または関連付けられる部分には同一の参照符号、または百以上の位が異なる参照符号が付される場合がある。対応する部分および/または関連付けられる部分については、他の実施形態の説明を参照することができる。
【0014】
第1実施形態
図1において、覚醒システム1は、車両に搭載されている。車両は、運転席35と助手席45とを含む複数の座席を備えている。覚醒システム1は、車両を運転中の運転者をリフレッシュさせ、運転に対する集中力を高めるためのシステムである。覚醒システム1は、覚醒度合いが低下して運転に対する集中力が低下した状態の運転者に刺激を与え、運転に対する集中力が高い状態に覚醒させる。覚醒システム1は、運転者の運転に対する高い集中力を維持させる覚醒維持システムとも言える。
【0015】
覚醒システム1は、運転者を覚醒させるための様々な覚醒刺激を出力可能である。覚醒刺激とは、運転者の五感のいずれかを刺激する刺激である。覚醒刺激としては、例えば運転者の視覚を刺激する光を利用可能である。覚醒刺激としては、例えば運転者の聴覚を刺激する音を利用可能である。覚醒刺激としては、例えば運転者の嗅覚を刺激する臭いを利用可能である。覚醒刺激としては、例えば運転者の触覚を刺激する振動や温度変化を利用可能である。覚醒システム1は、複数の覚醒刺激を組み合わせて出力可能である。
【0016】
覚醒システム1は、覚醒装置10と運転者監視装置31と後述する同乗者モニタ41とを備えている。覚醒装置10には、センターインフォメーションディスプレイ(Center Information Display)12、ヘッドアップディスプレイ(Head-Up Display)14、装飾灯15が含まれている。以下では、センターインフォメーションディスプレイ12をCID12と称することがある。また、ヘッドアップディスプレイ14をHUD14と称することがある。車両には、メータディスプレイ11が設けられており、メータディスプレイ11、CID12、HUD14は、乗員に対して表示を行う表示装置を構成している。
【0017】
メータディスプレイ11は、インストルメントパネル19に設けられている。メータディスプレイ11は、自車両の車室内において運転席35の前方に配置されている。メータディスプレイ11は、運転席35に着座している運転者によって視認可能な液晶ディスプレイを有している。メータディスプレイ11は、スピードメータ等の画像を液晶ディスプレイに表示する。
【0018】
CID12は、インストルメントパネル19の左右方向における略中央に配置されている。CID12は、運転者に加えて、助手席45に着座する乗員にも視認可能な液晶ディスプレイを有している。CID12は、ナビゲーションの案内画面、空調機器の操作画面、およびオーディオ機器の操作画面等を、液晶ディスプレイに表示する。
【0019】
HUD14は、速度表示画像や警告表示画像等の光を、ウインドシールドに規定された投影領域14aに投影する。ウインドシールドによって車室内側に反射された画像の光は、運転席35に着座している運転者によって知覚される。運転者は、HUD14によって投影された画像の虚像を、自車両の前方の外界風景と重ねて視認可能となる。
【0020】
装飾灯15は、インストルメントパネル19の長手方向に沿ってメータディスプレイ11やCID12よりも上方に設けられている。装飾灯15は、インストルメントパネル19における運転席35の前方から助手席45の前方にわたって連続して設けられている。装飾灯15は、例えば青白色に発光する発光素子を備えている。装飾灯15は、状況に合わせて点灯や消灯を切り換えることで車内空間のデザイン性を向上させる装置である。装飾灯15の光は、運転者と助手席45に着座している乗員との両方が知覚可能である。
【0021】
運転者監視装置31は、運転者の状態をリアルタイムに監視する装置である。運転者監視装置31は、近赤外光源および近赤外カメラと、これらを制御する制御ユニットとを備えている。運転者監視装置31は、近赤外カメラを運転席35側に向けた姿勢にて、インストルメントパネル19の上面に配置されている。運転者監視装置31は、近赤外光源によって近赤外光を照射された運転者の顔を、近赤外カメラによって撮像する。近赤外カメラによる撮像画像は、制御ユニットによって画像解析される。制御ユニットは、例えば運転者の顔の向きおよび目の開き具合等を撮像画像から抽出する。運転者監視装置31を用いて撮像した撮像画像は、運転者の顔認証にも利用可能である。
【0022】
運転者監視装置31は、制御ユニットによる解析に基づき、運転者の状態を示す情報を運転者情報として、後述する覚醒制御装置70に出力する。より詳細には、運転者監視装置31は、運転者が運転に集中している集中状態と判断すると、運転者が集中状態にあることを覚醒制御装置70に出力する。運転者監視装置31は、運転者の目が閉じた居眠り状態と判断すると、運転者が居眠り状態であることを覚醒制御装置70に出力する。ここで、居眠り状態には、運転者が居眠りして目を閉じている状態だけでなく、うとうとしている状態も含まれる。さらに、運転者監視装置31は、運転者の視線の変化が少なく、運転に集中できていない漫然状態と判断すると、運転者が漫然状態であることを覚醒制御装置70に出力する。
【0023】
運転者監視装置31は、運転者の覚醒度合いを複数の段階に分類可能である。例えば、運転者監視装置31は、居眠り状態の運転者を、眠そうにしている状態、うとうとしている状態、居眠りしている状態の3つの状態に分類可能である。3つの状態のうち、眠そうにしている状態が最も覚醒度の高い状態であり、居眠りしている状態が最も覚醒度の低い状態である。
【0024】
運転者監視装置31が検出する運転者の状態は、上述の集中状態、居眠り状態、漫然状態に限られない。例えば、運転者が脇見をしている脇見状態を検出してもよい。例えば、運転者が不適切な運転姿勢で運転をしている不適切姿勢状態を検出してもよい。運転者監視装置31としては、例えばドライバーステータスモニター(登録商標)を採用可能である。
【0025】
図2において、覚醒システム1は、覚醒装置10と運転者監視装置31と同乗者モニタ41と覚醒制御装置70とを備えている。同乗者モニタ41は、近赤外光源および近赤外カメラと、これらを制御する制御ユニットとを備えている。同乗者モニタ41は、近赤外カメラを運転席35以外の席側に向けた姿勢にて車室内に配置されている。同乗者モニタ41は、車室内に複数設けられている。同乗者モニタ41は、助手席45に着座している同乗者の情報を検出するためのモニタを備えている。同乗者モニタ41は、二列目または三列目の座席に着座している同乗者の情報を検出するためのモニタを備えている。
【0026】
同乗者モニタ41は、近赤外光源によって近赤外光を照射された同乗者の顔を、近赤外カメラによって撮像する。近赤外カメラによる撮像画像は、制御ユニットによって画像解析される。制御ユニットは、例えば同乗者の動きや目の開き具合、口の動き等を撮像画像から抽出する。同乗者モニタ41を用いて撮像した撮像画像は、同乗者の顔認証にも利用可能である。
【0027】
同乗者モニタ41は、制御ユニットによる解析に基づき、同乗者の状態および位置等を示す情報を検出する。同乗者モニタ41は、検出した同乗者に関する情報を同乗者情報として覚醒制御装置70に出力する。同乗者情報は、同乗者がどの座席に着座しているかを示す情報や、同乗者が車内で何をしているかを示す情報や、同乗者が誰であるかを示す情報等を含んでいる。仮に、車室内に同乗者が存在しない場合には、同乗者が存在しないことを覚醒制御装置70に出力することとなる。また、車室内に同乗者が複数存在する場合には、同乗者毎の状態および位置等を示す情報を検出して、複数の同乗者情報を覚醒制御装置70に出力することとなる。
【0028】
同乗者モニタ41が検出可能な同乗者の状態には、睡眠状態、飲食状態、視覚作業状態、聴覚作業状態、運転者との会話状態、マッサージ状態が含まれる。睡眠状態とは、同乗者が眠っている状態である。ただし、同乗者が完全に眠っている状態だけでなく、うとうとしている状態も睡眠状態に含まれる。飲食状態とは、同乗者が飲食している状態である。
【0029】
視覚作業状態とは、同乗者が視覚を用いて行う作業をしている状態である。より詳細には、コンピュータを用いて作業している状態、本を読んでいる状態、スマートフォンの画面を見ている状態等が含まれる。聴覚作業状態には、同乗者が聴覚を用いて行う作業をしている状態である。より詳細には、音楽を聴いている状態、同乗者同士で会話している状態、携帯電話を使って会話している状態等が含まれる。また、動画を視聴している状態は、視覚作業状態と聴覚作業状態との両方の状態に該当することとなる。
【0030】
運転者との会話状態とは、同乗者が運転者と会話している状態である。マッサージ状態とは、同乗者が座席のマッサージ装置を駆動してマッサージを受けている状態である。同乗者モニタ41が検出可能な同乗者の状態は、上述の状態に限られず、景色を眺めている状態や退屈している状態等が含まれていてもよい。
【0031】
同乗者モニタ41が検出可能な同乗者の位置には、助手席45、二列目の座席、三列目の座席が含まれる。ここで、運転席35と助手席45とは、一列目の座席を構成している。また、二列目の座席には、運転席35の後ろに位置している座席と助手席45の後ろに位置している座席とが含まれる。以下では、一列目の座席を前席、二列目以降の座席を後席と称することがある。
【0032】
覚醒装置10は、運転席覚醒装置30と前席覚醒装置40と全体覚醒装置50とを備えている。運転席覚醒装置30は、運転席35に着座している運転者のみに覚醒刺激を与える装置である。前席覚醒装置40は、運転者と助手席45に着座している乗員のみに覚醒刺激を与え得る装置である。全体覚醒装置50は、運転者を含む乗員全体に覚醒刺激を与え得る装置である。覚醒刺激を与える範囲の広さは、全体覚醒装置50が最も広く、運転席覚醒装置30が最も狭い。前席覚醒装置40が覚醒刺激を与える範囲の広さは、全体覚醒装置50よりも狭く、運転席覚醒装置30よりも広い。
【0033】
運転席覚醒装置30は、HUD14と指向性スピーカ36とシート振動装置37とシートベルト巻き上げ装置38とシート冷却装置39とを備えている。HUD14は、運転者の覚醒度合いが低下していることを示す警告アイコンを表示することで、運転者に覚醒刺激を与える。
【0034】
指向性スピーカ36は、運転者に向かって指向性の高い音を出力することで覚醒刺激を与えるスピーカである。このため、指向性スピーカ36から出力される音は、運転者のみに聞こえ、運転者以外の乗員には聞こえないこととなる。指向性スピーカ36からは、覚醒を促す警告音や音声メッセージや音楽を出力可能である。
【0035】
指向性スピーカ36を用いた刺激方法としては、発話形式、対話形式、音楽形式の三種類の方法が想定される。発話形式とは、運転者に対して覚醒を促すメッセージを出力して覚醒を促す方法である。発話形式において出力されるメッセージには、運転者の覚醒度合いが低いことを警告する警告メッセージや、運転者の覚醒度合いを高めるための応援メッセージや、休憩を提案する提案メッセージ等が含まれる。
【0036】
対話形式とは、運転者による応答を必要とする対話用音声を出力して、運転者との対話を繰り返すことで覚醒を促す方法である。対話形式においては、運転者からの応答を認識するためのマイクを併用して運転者による応答に沿った対話を繰り返すこととなる。運転者は、指向性スピーカ36から出力された音声によって聴覚を刺激されるとともに、自らが応答するために声を発することで、覚醒が促されることとなる。
【0037】
音楽形式とは、あらかじめ設定していておいた覚醒用の音楽や警告音を再生することで覚醒を促す方法である。音楽形式においては、運転者の覚醒が完了するまでの間、覚醒用の音楽や警告音を連続して再生し続けることとなる。
【0038】
シート振動装置37は、運転席35を振動させることで運転者に覚醒刺激を与える装置である。シート振動装置37は、運転席35のみを振動させるため、助手席45等の運転席35以外の座席については、振動させない。シート振動装置37は、振動のオンオフだけでなく、振動の強弱も調整可能である。シート振動装置37は、振動を発生させる際に作動音が発生する。シート振動装置37の作動音は、発生させる振動が強いほど大きくなる。
【0039】
シートベルト巻き上げ装置38は、運転席35のシートベルトを巻き上げる動きと緩める動きを繰り返すことで運転者に覚醒刺激を与える装置である。シート冷却装置39は、運転席35の座面を冷やすことで運転者に覚醒刺激を与える装置である。
【0040】
前席覚醒装置40は、CID12と装飾灯15と空調装置46とを備えている。CID12は、運転者の覚醒度合いが低下していることを示す警告メッセージを表示することで、主に運転者に覚醒刺激を与える。装飾灯15は、短時間に点灯と消灯を繰り返して点滅させることで、主に運転者に覚醒刺激を与える。空調装置46は、運転席35に向かって冷風を強く吹き出すことで、主に運転者に覚醒刺激を与える。
【0041】
CID12と装飾灯15から出力された覚醒刺激の光は、助手席45に着座している同乗者も知覚可能である。また、空調装置46によって運転席35に向かって冷風が強く吹き出されることで、運転席35に近い位置の座席である助手席45に着座している同乗者も冷風を知覚する場合がある。また、空調装置46が運転席35と助手席45とで風量を個別に調整できない構成である場合には、運転席35に向かって空調風が強く吹き出されると同時に、助手席45に向かって空調風が強く吹き出されることとなる。このように、前席覚醒装置40は、運転者だけでなく助手席45に着座している同乗者にも覚醒刺激を与え得る装置であると言える。
【0042】
全体覚醒装置50は、アロマユニット56を備えている。アロマユニット56は、香料を運転席35に向かって噴射することで、主に運転者に覚醒刺激を与える。アロマユニット56が噴射する香料としては、運転者の覚醒を促しやすい香りが好ましい。香料としては、例えばレモンやペパーミント等の香りを採用可能である。アロマユニット56は、空調装置46によって送風される空調風に香料を噴射して混ぜる構成を採用可能である。これによると、運転席35に向かって香り付きの空調風を送ることができる。ただし、アロマユニット56として、空調風に香料を噴射する構成ではなく、運転席35に向かって直接噴射する構成を採用してもよい。
【0043】
アロマユニット56から出力される香りは、運転席35に向かって噴射された後、車内全体に広がるため、運転者以外の同乗者も知覚可能である。このように、全体覚醒装置50は、運転者だけでなく、同乗者全体にも覚醒刺激を与え得る装置であると言える。ただし、運転席35から離れるほど香りは弱くなる。このため、同乗者が知覚する香りは、運転者が知覚する香りよりも弱い香りとなる。
【0044】
覚醒システム1は、運転者の覚醒に関する制御である覚醒制御を行う覚醒制御装置70を備えている。覚醒制御装置70は、運転者情報取得部73と同乗者情報取得部74と制限設定部78と覚醒実行部79とを備えている。
【0045】
運転者情報取得部73は、運転者監視装置31を用いて検出した運転者情報を取得する。運転者の状態は、時間経過によって変化し得る。このため、運転者情報取得部73は、取得時間が経過する度に運転者情報を繰り返し取得し続けることとなる。
【0046】
同乗者情報取得部74は、同乗者モニタ41を用いて検出した同乗者情報を取得する。同乗者の状態および位置は、時間経過によって変化し得る。このため、同乗者情報取得部74は、取得時間が経過する度に同乗者情報を繰り返し取得し続けることとなる。ただし、同乗者が存在しないと判断している場合には、少なくとも次に車両の扉が開くタイミングまで同乗者情報の取得を停止可能である。
【0047】
制限設定部78は、同乗者情報に基づいて利用可能な覚醒装置10の種類または強度を制限する。制限設定部78は、同乗者の邪魔にならないように出力可能な覚醒刺激の種類や強度を制限することとなる。覚醒装置10に加える制限の詳細については、後に説明する。
【0048】
覚醒実行部79は、制限設定部78によって制限を加えられた範囲内で覚醒装置10に向かって覚醒刺激を出力させる。覚醒実行部79は、運転者の覚醒が完了するまで覚醒刺激の出力を継続する。覚醒実行部79は、同時に複数の覚醒刺激を出力可能である。
【0049】
図3を用いて覚醒制御の流れについて説明する。覚醒制御は、例えば、車両のパワースイッチが乗員によってオンされるなどして、車両に電力が供給されると開始される。覚醒制御が開始されると、ステップS101で運転者情報取得部73が運転者監視装置31を用いて検出した運転者情報を取得する。その後、ステップS102に進む。
【0050】
ステップS102では、運転者に向かって覚醒刺激を出力する必要があるか否かを覚醒制御装置70が判断する。取得した運転者情報に基づいて、運転者が居眠り状態または漫然状態にある場合(S102:YES)には、覚醒刺激の出力が必要であると判断し、ステップS111に進む。一方、運転者が集中状態にある場合(S102:NO)には、覚醒刺激の出力は不要であると判断し覚醒刺激を出力せずに覚醒制御を終了する。ただし、運転者の状態は時間経過とともに変化し得るため、覚醒制御の終了後、再び覚醒制御を開始して一連の覚醒制御を繰り返すことが好ましい。
【0051】
ステップS111では、同乗者情報取得部74が同乗者モニタ41を用いて検出した同乗者情報を取得する。同乗者情報には、同乗者毎の状態および位置の情報が含まれている。同乗者情報を取得した後、ステップS112に進む。ステップS111は、同乗者情報取得ステップの一例を提供する。
【0052】
ステップS112では、同乗者が存在するか否かを覚醒制御装置70が判断する。同乗者が一人でも存在する場合(S112:YES)には、覚醒刺激を出力する際に同乗者に配慮する必要があると判断してステップS121に進む。一方、同乗者が一人も存在しない場合(S112:NO)には、覚醒刺激を出力する際に同乗者に配慮する必要がないと判断してステップS145に進む。
【0053】
ステップS121では、同乗者が制限状態であるか否かを覚醒制御装置70が判断する。制限状態とは、出力可能な覚醒刺激に制限を加えるべき状態のことである。制限状態には、睡眠状態、飲食状態、視覚作業状態、聴覚作業状態、運転者との会話状態が含まれる。また、制限状態には、景色を眺めている状態や退屈している状態は含まれない。ただし、制限状態に含まれる状態および含まれない状態の種類は、上述の例に限られない。
【0054】
同乗者が一人でも制限状態である場合(S121:YES)には、出力可能な覚醒刺激に制限が必要であると判断してステップS122に進む。一方、全ての同乗者が制限状態でない場合(S121:NO)には、出力可能な覚醒刺激に制限が必要でないと判断してステップS145に進む。覚醒制御装置70のうち、同乗者が制限状態であるか否かを判断する機能を担う部分は、制限の要否を判断する制限要否判断部とも言える。同乗者が制限状態であるか否かを判断するステップS121は、制限の要否を判断する制限要否判断ステップとも言える。
【0055】
ステップS122では、覚醒装置10に加えるべき制限を制限設定部78が設定する。覚醒装置10に加えられる制限の内容は、制限状態の種類に基づいて変更する。以下では、図4から図10までの図面を用いて、制限状態の種類毎および同乗者の位置毎に加えるべき制限の内容を説明する。図において、丸印は、該当する刺激方法が条件なしで利用可能であることを意味し、バツ印は、利用不可能であることを意味している。また、三角印は、条件付きで利用可能であることを意味している。
【0056】
図において、視覚刺激を出力する刺激方法としては、装飾灯15を用いた方法、HUD14を用いた方法、CID12を用いた方法の三種類の方法を例示している。聴覚刺激を出力する刺激方法としては、指向性スピーカ36を用いた方法であって、発話形式、対話形式、音楽形式の三種類の方法を例示している。嗅覚刺激を出力する刺激方法としては、アロマユニット56を用いた方法を例示している。触覚刺激を出力する刺激方法としては、シート振動装置37を用いた方法、シートベルト巻き上げ装置38を用いた方法、空調装置46を用いた方法、シート冷却装置39を用いた方法の四種類の方法を例示している。
【0057】
図4を用いて、同乗者が睡眠状態である場合の制限内容を説明する。睡眠状態の同乗者が助手席45に着座している場合には、装飾灯15やCID12を用いた刺激の出力を条件付きで許可する。この場合の条件とは車内が明るいことである。例えば、昼間のような車内が明るい状態では、装飾灯15やCID12を用いた刺激の出力を許可し、夜間のような車内が暗い状態では、装飾灯15やCID12を用いた刺激の出力を許可しない。これは、車内が明るい場合には光の刺激が同乗者の睡眠状態を阻害しにくいが、車内が暗い場合には光の刺激が同乗者の睡眠状態を阻害しやすいためである。
【0058】
装飾灯15やCID12から出力される光は、装飾灯15やCID12から離れた位置ほど届きにくい。このため、同乗者が二列目や三列目の座席に着座している場合には、車内が暗い場合であっても装飾灯15やCID12を用いた覚醒刺激の出力を許可する。ただし、出力される光の強さや同乗者の背の高さによっては、二列目や三列目に着座している同乗者の睡眠状態が阻害される恐れがある。このような場合には、同乗者が二列目や三列目に着座している場合についても、車内が明るいことを条件とした条件付きで許可するようにしてもよい。
【0059】
睡眠状態の同乗者が存在している場合には、同乗者の位置によらず対話形式による指向性スピーカ36の出力を不許可とする。これは、対話形式において運転者からの応答が必要であり、運転者の応答した際の声が同乗者の睡眠状態を阻害する恐れがあるためである。
【0060】
睡眠状態の同乗者が存在している場合には、同乗者の位置によらずシート振動装置37の出力を条件付きで許可する。この場合の条件とは、振動の強度を弱運転とすることである。より詳細には、弱運転でのシート振動装置37の駆動を許可し、強運転でのシート振動装置37の駆動を許可しない。これは、シート振動装置37の振動発生に伴って発生する作動音が同乗者の睡眠状態を阻害しないようにするためである。仮に、強運転でのシート振動装置37の作動音が同乗者の睡眠状態を阻害しない程度であれば、条件なしで許可してもよい。また、弱運転でのシート振動装置37の作動音であっても同乗者の睡眠状態を阻害してしまう場合には、シート振動装置37の出力を不許可とする。
【0061】
睡眠状態の同乗者が存在している場合には、同乗者の位置によらず空調装置46の出力を条件付きで許可する。この場合の条件とは、風量レベルを閾値レベル以下とすることである。これは、空調装置46から車内に冷風が吹き出されることで生じる空調音が同乗者の睡眠状態を阻害しないようにするためである。また、車内の温度が冷えすぎることを抑制するために、運転席35以外に吹き出される空調風の温度を設定温度よりもわずかに高めることが好ましい。
【0062】
HUD14を用いた覚醒刺激の出力は、運転者のみに覚醒刺激を与える刺激方法であり、覚醒刺激の出力に伴って作動音等の音がほとんど発生しない刺激方法である。指向性スピーカ36を用いた発話形式または音楽形式による覚醒刺激の出力についても同様である。また、シートベルト巻き上げ装置38やシート冷却装置39を用いた覚醒刺激の出力についても同様である。このように、睡眠状態の同乗者が存在している場合であっても、睡眠状態の同乗者に対して刺激を与えない刺激方法は、条件なしで利用可能である。
【0063】
アロマユニット56を用いた覚醒刺激の出力については、車内全体に刺激を与えることとなる。しかし、運転者に与える刺激が最も強く、運転席35から離れるほど香料が薄められ、刺激が弱くなる。このため、同乗者についてはアロマユニット56から出力された香りを知覚できるが、覚醒するほどの強い刺激とはならない。このように、睡眠状態の同乗者が存在している場合であっても、睡眠状態の同乗者を覚醒させてしまうほど強い刺激にならない刺激方法であれば、条件なしで利用可能である。
【0064】
図5を用いて、同乗者が飲食状態である場合の制限内容を説明する。飲食状態の同乗者が存在している場合には、同乗者の位置によらずアロマユニット56を用いた覚醒刺激の出力を不許可とする。これは、アロマユニット56から出力された香りが同乗者の快適な飲食を阻害する恐れがあるためである。
【0065】
飲食状態の同乗者が助手席45に着座している場合には、空調装置46を用いた覚醒刺激の出力を不許可とする。これは、空調装置46を用いて運転席35に向かって冷風を強く吹き出す場合に、助手席45側にも空調風が強く吹き出してしまい、快適な飲食を阻害する恐れがあるためである。仮に、運転席35側と助手席45側とで、吹き出す風量を個別に制御できる場合には、空調装置46を用いた覚醒刺激の出力を許可してもよい。
【0066】
飲食状態の同乗者が存在している場合であっても、上述した制限されている刺激方法以外は、条件なしで許可される。これは、許可されている刺激方法が飲食状態の同乗者に刺激を与えることがないことによる。あるいは、許可されている刺激方法が飲食状態の同乗者に刺激を与えることがあっても、聴覚を刺激するような刺激であって、同乗者の飲食に影響しないことによる。
【0067】
図6を用いて、同乗者が視覚作業状態である場合の制限内容を説明する。視覚作業状態の同乗者が助手席45に着座している場合には、装飾灯15やCID12を用いた覚醒刺激の出力を不許可とする。これは、装飾灯15やCIDから出力された光が助手席45に着座して視覚作業を行っている同乗者にも大きな刺激を与えてしまい、視覚作業を阻害する恐れがあるためである。
【0068】
視覚作業状態の同乗者が存在している場合には、同乗者の位置によらず対話形式による指向性スピーカ36の出力を不許可とする。これは、対話形式において運転者からの応答が必要であり、運転者の応答した際の声が同乗者の視覚作業を阻害する恐れがあるためである。
【0069】
視覚作業状態の同乗者が存在している場合には、同乗者の位置によらずシート振動装置37の出力を条件付きで許可する。この場合の条件とは、振動の強度を弱運転とすることである。これは、シート振動装置37の振動発生に伴って発生する作動音が同乗者の視覚作業を阻害しないようにするためである。仮に、強運転でのシート振動装置37の作動音が同乗者の視覚作業を阻害しない程度であれば、条件なしで許可してもよい。また、弱運転でのシート振動装置37の作動音でも同乗者の視覚作業を阻害してしまう場合には、シート振動装置37の出力を不許可とする。
【0070】
視覚作業状態の同乗者が存在している場合には、同乗者の位置によらず空調装置46の出力を条件付きで許可する。この場合の条件とは、風量レベルを閾値レベル以下とすることである。これは、空調装置46で車内に冷風が吹き出されることで生じる空調音が同乗者の視覚作業を阻害しないようにするためである。
【0071】
視覚作業状態の同乗者が存在している場合であっても、上述した制限されている刺激方法以外は、条件なしで許可される。これは、許可されている刺激方法が同乗者の視覚作業を阻害しないことによる。
【0072】
視覚作業の内容に基づいて、特定の刺激方法を許可するか否かを切り換えてもよい。例えば、同乗者が新聞を大きく広げて読んでいる状態においては、装飾灯15やCID12を用いた覚醒刺激の出力を不許可ではなく、許可とする。これは、新聞によって同乗者の視界全体が覆われるため、装飾灯15やCID12の光の刺激が同乗者に知覚されず、新聞を読む作業を阻害しないことによる。
【0073】
図7を用いて、同乗者が聴覚作業状態である場合の制限内容を説明する。聴覚作業状態の同乗者が存在している場合には、同乗者の位置によらず対話形式による指向性スピーカ36の出力を不許可とする。これは、対話形式において運転者からの応答が必要であり、運転者が応答した際の声が同乗者の聴覚作業を阻害する恐れがあるためである。
【0074】
聴覚作業状態の同乗者が存在している場合には、同乗者の位置によらずシート振動装置37の出力を条件付きで許可する。この場合の条件とは、振動の強度を弱運転とすることである。これは、シート振動装置37の振動発生に伴って発生する作動音が同乗者の聴覚作業を阻害しないようにするためである。仮に、強運転でのシート振動装置37の作動音が同乗者の聴覚作業を阻害しない程度であれば、条件なしで許可してもよい。また、弱運転でのシート振動装置37の作動音でも同乗者の聴覚作業を阻害してしまう場合には、シート振動装置37の出力を不許可とする。
【0075】
聴覚作業状態の同乗者が存在している場合には、同乗者の位置によらず空調装置46の出力を条件付きで許可する。この場合の条件とは、風量レベルを閾値レベル以下とすることである。これは、空調装置46で車内に冷風が吹き出されることで生じる空調音が同乗者の聴覚作業を阻害しないようにするためである。
【0076】
聴覚作業状態の同乗者が存在している場合であっても、上述した制限されている刺激方法以外は、条件なしで許可される。これは、許可されている刺激方法が同乗者の聴覚作業を阻害しないことによる。
【0077】
図8を用いて、同乗者が運転者との会話状態である場合の制限内容を説明する。運転者との会話状態にある同乗者が存在している場合には、同乗者の位置によらず対話形式による指向性スピーカ36の出力を不許可とする。これは、対話形式において運転者からの応答が必要であり、運転者の応答した際の声が同乗者と運転者との会話を阻害する恐れがあるためである。また、音楽形式による指向性スピーカ36の出力についても不許可とする。これは、音楽形式において運転者が覚醒するまで音楽の出力が継続してしまい、運転者が同乗者の声を聞き取りづらくなることで、同乗者との会話を阻害する恐れがあるためである。
【0078】
運転者との会話状態の同乗者が存在している場合には、同乗者の位置によらずシート振動装置37の出力を条件付きで許可する。この場合の条件とは、振動の強度を弱運転とすることである。これは、シート振動装置37の振動発生に伴って発生する作動音が同乗者と運転者との会話を阻害しないようにするためである。仮に、強運転でのシート振動装置37の作動音が同乗者と運転者との会話を阻害しない程度であれば、条件なしで許可してもよい。また、弱運転でのシート振動装置37の作動音でも同乗者と運転者との会話を阻害してしまう場合には、シート振動装置37の出力を不許可とする。
【0079】
運転者との会話状態の同乗者が存在している場合には、同乗者の位置によらず空調装置46の出力を条件付きで許可する。この場合の条件とは、風量レベルを閾値レベル以下とすることである。これは、空調装置46で車内に冷風が吹き出されることで生じる空調音が同乗者と運転者との会話を阻害しないようにするためである。
【0080】
運転者との会話状態の同乗者が存在している場合であっても、上述した制限されている刺激方法以外は、条件なしで許可される。これは、許可されている刺激方法が同乗者と運転者との会話を阻害しないことによる。
【0081】
図9を用いて、同乗者がマッサージ状態である場合の制限内容を説明する。マッサージ状態の同乗者が存在している場合には、同乗者の位置によらず対話形式による指向性スピーカ36の出力を不許可とする。これは、対話形式において運転者の応答した際の声が、マッサージを受けている同乗者のリラックスした状態を阻害する恐れがあるためである。
【0082】
マッサージ状態の同乗者が存在している場合には、同乗者の位置によらずシート振動装置37の出力を条件付きで許可する。この場合の条件とは、振動の強度を弱運転とすることである。これは、シート振動装置37の振動発生に伴って発生する作動音が、マッサージを受けている同乗者のリラックスした状態を阻害しないようにするためである。仮に、強運転でのシート振動装置37の作動音が同乗者のリラックスした状態を阻害しない程度であれば、条件なしで許可してもよい。また、弱運転でのシート振動装置37の作動音でも同乗者のリラックスした状態を阻害してしまう場合には、シート振動装置37の出力を不許可とする。
【0083】
マッサージ状態の同乗者が存在している場合には、同乗者の位置によらず空調装置46の出力を条件付きで許可する。この場合の条件とは、風量レベルを閾値レベル以下とすることである。これは、空調装置46で車内に冷風が吹き出されることで生じる空調音が、マッサージを受けている同乗者のリラックスした状態を阻害しないようにするためである。
【0084】
マッサージ状態の同乗者が存在している場合であっても、上述した制限されている刺激方法以外は、条件なしで許可される。これは、許可されている刺激方法がマッサージを受けている同乗者のリラックスした状態を阻害しないことによる。
【0085】
図10を用いて、同乗者が飲食状態、かつ、聴覚作業状態である場合の制限内容を説明する。飲食状態、かつ、聴覚作業状態である場合としては、例えば、1人の同乗者が車両のオーディオ機器を用いて音楽を聴きながらご飯を食べている状態が想定できる。あるいは、2人の同乗者のうち1人の同乗者が電話で会話しており、別の同乗者がご飯を食べている状態が想定できる。
【0086】
同乗者が聴覚作業状態であるため、同乗者の位置によらず対話形式による指向性スピーカ36の出力を不許可とする。また、同乗者が飲食状態であるため、同乗者の位置によらずアロマユニット56を用いた覚醒刺激の出力を不許可とする。また、同乗者が聴覚作業状態であるため、同乗者の位置によらず振動の強度を弱運転とするという条件付きでシート振動装置37の出力を許可する。
【0087】
また、飲食状態の同乗者が着座している座席が助手席45である場合には、空調装置46を用いた覚醒刺激の出力を不許可とする。仮に、飲食状態の同乗者が着座している座席が助手席45以外である場合には、風量レベルを閾値レベル以下とするという条件付きで空調装置46の出力を許可する。
【0088】
同乗者が飲食状態、かつ、聴覚作業状態である場合であっても、上述した制限されている刺激方法以外は、条件なしで許可される。これは、許可されている刺激方法が同乗者の飲食および聴覚作業を阻害しないことによる。
【0089】
同乗者が飲食状態、かつ、聴覚作業状態である場合には、同乗者が飲食状態のみの場合や聴覚作業状態のみの場合に比べて、条件なしで許可される刺激方法が少なくなる。同乗者が二種類の異なる状態である場合を例に説明を行ったが、三種類以上の異なる状態となる場合も想定される。同乗者の状態の種類が多いほど、条件なしで許可される刺激方法が少なくなる。
【0090】
HUD14を用いた覚醒刺激の出力と、発話形式による指向性スピーカ36を用いた覚醒刺激の出力とは、同乗者の状態や位置によらず条件なしで許可される刺激方法である。同様に、シートベルト巻き上げ装置38やシート冷却装置39を用いた覚醒刺激の出力は、同乗者の状態や位置によらず条件なしで許可される刺激方法である。覚醒装置10に加えるべき制限を設定した後、ステップS145に進む。ステップS122は、制限設定ステップの一例を提供する。
【0091】
ステップS145では、覚醒実行部79が覚醒装置10を用いて覚醒刺激を出力する。覚醒刺激の出力においては、許可されている刺激方法および条件で出力を行う。以下では、同乗者が一人であって、飲食状態で助手席45に着座している状況を例に覚醒刺激の出力を説明する。
【0092】
同乗者が飲食状態で助手席45に着座しているため、アロマユニット56を用いた覚醒刺激の出力と空調装置46を用いた覚醒刺激の出力とが不許可とされている。したがって、覚醒実行部79は、アロマユニット56と空調装置46とを用いることなく覚醒刺激を出力する。
【0093】
覚醒出力の大きさにも依存するが、覚醒刺激の種類によって運転者が感じる覚醒刺激の強さは異なる。例えば、視覚刺激と聴覚刺激と嗅覚刺激と触覚刺激との四種類の覚醒刺激においては、聴覚刺激と触覚刺激とが、視覚刺激と嗅覚刺激とに比べて強い刺激に感じられやすい。より詳細には、触覚刺激が最も強い刺激として感じられ、聴覚刺激、嗅覚刺激、視覚刺激の順に刺激が弱く感じられやすい。
【0094】
覚醒刺激が強いほど運転者を素早く覚醒させやすい。一方、覚醒刺激が弱いほど運転者の運転に対する集中を阻害しにくい。このため、運転者の覚醒の度合いに応じて、覚醒刺激の種類や強度を変更することが好ましい。より詳細には、覚醒度合いが比較的高く、集中状態に近い状態であれば、HUD14を用いて視覚を刺激する覚醒刺激を出力する。一方、覚醒度合いが比較的低く、集中状態から遠い状態であれば、シート振動装置37を用いて触覚を刺激する覚醒刺激を出力する。
【0095】
あるいは、覚醒度合いが比較的高い場合にはシート振動装置37を弱運転し、覚醒度合いが比較的低い場合にはシート振動装置37を強運転することで覚醒刺激の強度を変更する。あるいは、覚醒度合いが比較的高い場合には一種類の覚醒刺激のみを出力し、覚醒度合いが比較的低い場合には、二種類の覚醒刺激を出力する構成とする。覚醒刺激を出力した後、覚醒刺激の出力を維持した状態でステップS151に進む。ステップS145は、覚醒実行ステップの一例を提供する。
【0096】
ステップS151では、運転者情報取得部73が運転者監視装置31を用いて検出した運転者情報を取得する。ここで、運転者は、覚醒装置10から覚醒刺激が出力されていることにより、覚醒刺激が出力される前よりも運転者の覚醒度合いが高められている状態であると推定される。運転者情報を取得した後、ステップS152に進む。
【0097】
ステップS152では、運転者に向かって覚醒刺激の出力を続ける必要があるか否かを覚醒制御装置70が判断する。取得した運転者情報に基づいて、運転者が居眠り状態または漫然状態にある場合(S152:YES)には、覚醒刺激の出力を続ける必要があると判断し、ステップS111に戻る。一方、運転者が集中状態にある場合(S152:NO)には、覚醒刺激の出力は不要であると判断し覚醒刺激の出力を停止して覚醒制御を終了する。ただし、運転者の状態は時間経過とともに変化し得るため、覚醒制御の終了後、再び覚醒制御を開始することが好ましい。
【0098】
以下、上述した実施形態による効果を説明する。上述した実施形態によると、制限設定部78は、車内に出力可能な覚醒刺激の種類または強度を同乗者情報に基づいて制限する。このため、同乗者によらず常に特定の覚醒装置10を特定の強度で出力して運転者に対して覚醒刺激を与える場合に比べて、同乗者の快適性が大きく損なわれることを抑制しやすい。したがって、同乗者に配慮しながら運転者に対して覚醒刺激を与えることができる覚醒システム1や覚醒制御装置70を提供できる。
【0099】
制限設定部78は、同乗者の状態が制限状態である場合に、出力可能な覚醒刺激の種類または強度を同乗者がいない場合に比べて減らす。このため、同乗者がどのような状態にあるかに応じて、同乗者に配慮しながら運転者に対して覚醒刺激を与えやすい。
【0100】
制限設定部78は、同乗者が助手席45に着座しており、かつ、同乗者が視覚作業状態である場合に、視覚に刺激を与える覚醒刺激である視覚刺激の出力を制限する。このため、運転者に対して覚醒刺激を出力した際に、助手席45に着座している同乗者の視覚作業を阻害しにくい。
【0101】
制限設定部78は、同乗者が助手席45に着座しており、かつ、同乗者が視覚作業状態である場合に、装飾灯15を用いた視覚刺激を出力不可能とし、HUD14を用いた視覚刺激を出力可能とする。このため、視覚刺激を出力する全ての覚醒装置10を出力不可能にする場合に比べて、出力可能な刺激方法の種類を多く確保できる。
【0102】
制限設定部78は、同乗者が睡眠状態である場合に、指向性スピーカ36から運転者による応答を必要とする対話用音声を出力不可能とし、指向性スピーカ36から運転者による応答を必要としない音を出力可能とする。このため、指向性スピーカ36から出力する音の内容によらず指向性スピーカ36を出力不可能にする場合に比べて、出力可能な刺激方法の種類を多く確保できる。
【0103】
制限設定部78は、同乗者が睡眠状態である場合に、触覚に刺激を与える覚醒刺激である触覚刺激の出力可能な強度を、同乗者がいない場合に出力可能な触覚刺激の強度よりも低い強度に制限する。このため、覚醒刺激の出力に伴って発生する作動音などの音を小さく抑えることができる。
【0104】
制限設定部78は、同乗者が睡眠状態である場合に、出力可能な空調装置46の送風量を、同乗者がいない場合に出力可能な送風量よりも少ない送風量に制限する。このため、覚醒刺激の出力に伴って発生する空調音を小さく抑えることができる。
【0105】
制限設定部78は、同乗者が飲食状態である場合に、嗅覚に刺激を与える覚醒刺激である嗅覚刺激を出力不可能とする。このため、運転者に対して覚醒刺激を出力した際に、同乗者の快適な飲食を阻害しにくい。
【0106】
制限設定ステップでは、車内に出力可能な覚醒刺激の種類または強度を同乗者情報に基づいて制限する。このため、同乗者によらず常に特定の覚醒装置10を特定の強度で出力して運転者に対して覚醒刺激を与える場合に比べて、同乗者の快適性が大きく損なわれることを抑制しやすい。したがって、同乗者に配慮しながら運転者に対して覚醒刺激を与えることができる覚醒方法を提供できる。
【0107】
制限設定部78は、同乗者の状態によらず、HUD14、シートベルト巻き上げ装置38、シート冷却装置39を用いた覚醒刺激の出力を条件なしで許可する。言い換えると、制限設定部78は、全ての覚醒刺激の出力を同時に制限することがなく、少なくとも1つの覚醒装置10については、覚醒刺激の出力を許可する。このため、出力可能な覚醒刺激の種類および強度に加えられる制限が最も大きい状態であっても、同乗者に配慮しながら運転者に対して覚醒刺激を与えることができる。
【0108】
覚醒制御装置70は、運転者の覚醒度合いに応じて覚醒装置10から出力する刺激レベルを設定する刺激レベル設定部を備える構成としてもよい。刺激レベルとは、運転者の覚醒に必要な刺激の強さを示す指標であって、運転者の覚醒度合いが低いほど、刺激レベルが高くなる。例えば、運転者の居眠り状態を、眠そうにしている状態、うとうとしている状態、居眠りしている状態の順に覚醒度合いが低くなると想定する。この場合、眠そうにしている状態に対応する刺激レベルをレベル1、うとうとしている状態に対応する刺激レベルをレベル2、居眠りしている状態に対応する刺激レベルをレベル3にそれぞれ設定可能である。
【0109】
覚醒実行部79は、刺激レベルに応じて設定されている刺激方法の選択候補の中から刺激方法を選択し、車内に覚醒刺激を出力する。例えば、刺激レベルがレベル1の場合、視覚刺激または嗅覚刺激の刺激方法の中から制限されていない刺激方法を選択して覚醒刺激を出力する。また、刺激レベルがレベル2の場合、聴覚刺激の刺激方法の中から制限されていない刺激方法を選択して覚醒刺激を出力する。また、刺激レベルがレベル3の場合、触覚刺激の刺激方法の中から制限されていない刺激方法を選択して覚醒刺激を出力する。
【0110】
同乗者の状態によっては、該当する刺激レベルの刺激方法が全て制限されている場合がある。例えば、刺激レベルがレベル1の場合に、視覚刺激および嗅覚刺激の刺激方法が全て制限されていることがある。この場合、覚醒実行部79は、刺激レベルがレベル2の場合の選択候補である聴覚刺激の刺激方法の中から制限されていない刺激方法を選択して覚醒刺激を出力する。このように、現在の刺激レベルで選択候補となる刺激方法が全て制限されている場合には、現在の刺激レベルよりも高い刺激レベルにおける刺激方法を選択候補に含める。まとめると、覚醒実行部79は、現在の刺激レベルに応じた覚醒刺激が全て出力不可能である場合に、現在の刺激レベルよりも高い刺激レベルの覚醒刺激を出力する。
【0111】
第2実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。この実施形態では、同乗者に制限対象者が含まれる場合に、出力可能な覚醒装置10に制限を加える。また、覚醒刺激を出力する前に運転者に対して承認画面を表示し、承認された後に覚醒刺激を出力する。
【0112】
図11を用いて覚醒制御の流れについて説明する。覚醒制御は、例えば、車両のパワースイッチが乗員によってオンされるなどして、車両に電力が供給されると開始される。覚醒制御が開始されると、ステップS101で運転者情報取得部73が運転者情報を取得する。その後、ステップS102に進み、運転者に向かって覚醒刺激を出力する必要があるか否かを覚醒制御装置70が判断する。覚醒刺激の出力が必要である場合(S102:YES)には、ステップS211に進む。一方、覚醒刺激の出力が必要でない場合(S102:NO)には、覚醒制御を終了する。
【0113】
ステップS211では、同乗者情報取得部74が同乗者情報を取得する。同乗者情報としては、同乗者毎の種類および位置を取得することとなる。同乗者情報は、あらかじめ登録しておいた顔情報を用いた顔認証の認証結果を採用可能である。同乗者情報を取得した後、ステップS212に進む。ステップS211は、同乗者情報取得ステップの一例を提供する。
【0114】
ステップS212では、同乗者が存在するか否かを覚醒制御装置70が判断する。同乗者が一人でも存在する場合(S212:YES)には、覚醒刺激を出力する際に同乗者に配慮する必要があると判断してステップS213に進む。一方、同乗者が一人も存在しない場合(S212:NO)には、覚醒刺激を出力する際に同乗者に配慮する必要がないと判断してステップS231に進む。
【0115】
ステップS213では、制限設定部78が同乗者の状態、位置、種類によらず対話形式による指向性スピーカ36の出力を不許可とする制限を加える。これは、対話形式による覚醒刺激の出力によって、運転者が覚醒システム1と対話してしまい、同乗者と運転者とが会話しにくい状況となることを防止するためである。対話形式による指向性スピーカ36の出力は、同乗者が存在しない場合にのみ許可される刺激方法ということとなる。対話形式による指向性スピーカ36の出力を不許可とした後、ステップS221に進む。ステップS213は、制限設定ステップの一例を提供する。
【0116】
ステップS221では、同乗者は制限対象者であるか否かを覚醒制御装置70が判断する。制限対象者とは、出力可能な覚醒刺激に制限を加えるべき人物のことである。制限対象者には、子供や親密度の低い人物が含まれる。子供とは、例えば15歳未満の人物のことである。親密度の低い人物とは、運転者が特に気を使う相手のことであり、例えば会社の上司や取引先などの関係の人物である。制限対象者には、大人であって、家族や友人のような親密度の高い人物は含まれない。制限対象者に含まれる人物および含まれない人物の種類は、上述の例に限られない。
【0117】
同乗者が子供であるか否かは、あらかじめ設定しておいた人物毎の年齢の情報と顔認証結果とを対応づけることで推定可能である。子供であるか否かの推定方法は、上述の方法に限られない。例えば、人工知能を用いて同乗者の顔の撮像データから年齢を推定してもよい。
【0118】
同乗者の親密度は、車内での運転者との会話量や笑顔の量から推定可能である。より詳細には、会話量や笑顔の量が多いほど、運転者と同乗者との間での親密度が高いと推定できる。親密度の推定方法は、上述の方法に限られない。例えば、運転者があらかじめ設定しておいた人物毎の親密度の情報と顔認証結果とを対応づけることで同乗者の親密度を推定してもよい。
【0119】
同乗者に一人でも制限対象者を含む場合(S221:YES)には、出力可能な覚醒刺激に制限が必要であると判断してステップS222に進む。一方、全ての同乗者が制限対象者でない場合(S221:NO)には、出力可能な覚醒刺激に制限が必要でないと判断してステップS231に進む。
【0120】
ステップS222では、覚醒装置10に加えるべき制限を制限設定部78が設定する。覚醒装置10に加えられる制限の内容は、制限対象者の種類に基づいて変更する。以下では、図12図13とを用いて、制限対象者の種類毎に加えられる制限の内容を説明する。図において、該当する刺激方法毎に、丸印は条件なしで利用可能、バツ印は利用不可能、三角印は条件付きで利用可能であることをそれぞれ意味している。
【0121】
図12を用いて、同乗者が大人のみである場合と子供を含む場合との制限内容の違いを説明する。同乗者が大人のみである場合には、ステップS213で不許可とされた対話形式による指向性スピーカ36の出力のみが利用不可能であり、それ以外の刺激方法は許可される。
【0122】
一方、同乗者に子供が含まれる場合には、同乗者が大人である場合と同様、ステップS213で不許可とされた対話形式による指向性スピーカ36の出力が利用不可能である。さらに、アロマユニット56を用いた覚醒刺激の出力を条件付きで許可する。この場合の条件とは、アロマユニット56の出力強度を低くすることである。これは、アロマユニット56から出力された刺激が大人よりも体の小さな子供に与える影響を低く抑えるためである。
【0123】
アロマユニット56の出力強度を低くする方法としては、香料を噴射する回数を減らす方法や、1回の噴射量を減らす方法等が採用可能である。また、噴射する香料の種類や濃度を変えることで、アロマユニット56の出力強度を低くしてもよい。同乗者に子供が含まれる場合において、上述した制限されている刺激方法以外は、条件なしで許可される。
【0124】
図13を用いて、同乗者が親密度の高い人物のみである場合と親密度の低い人物を含む場合との制限内容の違いを説明する。同乗者が親密度の高い人物のみである場合には、ステップS213で不許可とされた対話形式による指向性スピーカ36の出力のみが利用不可能であり、それ以外の刺激方法は許可される。
【0125】
一方、同乗者に親密度の低い人物が含まれる場合には、運転者に対して覚醒刺激が出力されていることを同乗者に悟られやすい刺激方法による覚醒刺激の出力を不許可とする。より詳細には、装飾灯15またはCID12を用いた覚醒刺激の出力を不許可とする。さらに、発話形式、対話形式、音楽形式による指向性スピーカ36を用いた覚醒刺激の出力を不許可とする。さらに、アロマユニット56を用いた覚醒刺激の出力を不許可とする。さらに、シート振動装置37、空調装置46を用いた覚醒刺激の出力を不許可とする。
【0126】
同乗者に親密度の低い人物が含まれる場合において、上述した制限されている刺激方法以外は、条件なしで許可される。覚醒装置10に加えるべき制限を設定した後、ステップS231に進む。ステップS222は、制限設定ステップの一例を提供する。
【0127】
ステップS231では、覚醒刺激の出力を運転者が承認するための承認画面を覚醒制御装置70が表示する。承認画面は、例えばCID12に表示される。承認画面には、手動承認モードと自動承認モードとのどちらのモードも採用可能である。
【0128】
手動承認モードは、運転者によって承認操作された場合に覚醒刺激の出力を開始するモードである。手動承認モードでは、覚醒刺激を出力するか否かを問いかけるメッセージとともに、承認ボタンと拒否ボタンとを表示する。運転者によって承認ボタンが押された場合には、覚醒刺激の出力が承認される。一方、運転者によって拒否ボタンが押された場合には、覚醒刺激の出力が拒否される。また、承認ボタンと拒否ボタンのどちらも押されない場合には、覚醒刺激の出力が待機された状態となり、あらかじめ設定されている待機時間を経過すると覚醒刺激の出力が拒否される。待機時間は、例えば10秒である。
【0129】
自動承認モードは、運転者によって操作されない場合に覚醒刺激の出力を開始するモードである。自動承認モードでは、覚醒刺激の出力を開始することを示すメッセージと、覚醒刺激の出力開始までの待機時間をカウントダウンする表示と、拒否ボタンとを表示する。待機時間内に拒否ボタンが押されなかった場合には、覚醒刺激の出力が承認され、待機時間内に運転者によって拒否ボタンが押された場合には、覚醒刺激の出力が拒否される。
【0130】
承認モードや待機時間は、同乗者の有無や種類によって変更可能である。特に、同乗者が存在する場合には、同乗者が存在しない場合に比べて自動承認モードにおける待機時間を長くすることが好ましい。例えば、同乗者が存在しない場合には待機時間を5秒とし、同乗者が存在する場合には待機時間を10秒とする。これによると、同乗者が存在する場合には、覚醒刺激の出力を拒否できるタイミングを長く確保できる。したがって、覚醒刺激の出力が不要であると考えている運転者が覚醒刺激の出力を拒否しやすく、運転者に対して覚醒刺激が出力される回数を減らしやすい。よって、運転者に対する覚醒刺激の出力によって、同乗者に意図せず影響を与えてしまうことを抑制しやすい。
【0131】
承認モードや待機時間の変更内容は、上述の例に限られない。例えば、同乗者に親密度の低い人物が含まれる場合には、自動承認モード、かつ、待機時間をゼロ秒とすることができる。これによると、実質的にCID12に承認画面を表示させることなく、覚醒刺激の出力を承認することができる。承認画面を表示した後、ステップS232に進む。
【0132】
ステップS232では、覚醒刺激の出力が承認されているか否かを覚醒制御装置70が判断する。覚醒刺激の出力が承認されている場合(S232:YES)には、ステップS145に進み、覚醒実行部79が覚醒装置10を用いて覚醒刺激を出力する。その後、ステップS151に進む。一方、覚醒刺激の出力が承認されていない場合、すなわち覚醒刺激の出力が拒否されている場合(S232:NO)には、ステップS151に進む。
【0133】
ステップS151では、運転者情報取得部73が運転者監視装置31を用いて検出した運転者情報を取得し、その後、ステップS152に進む。ステップS152では、運転者に向かって覚醒刺激を出力する必要があるか否かを覚醒制御装置70が判断する。運転者が居眠り状態または漫然状態にある場合(S152:YES)には、覚醒刺激を出力する必要があると判断し、ステップS211に戻る。一方、運転者が集中状態にある場合(S152:NO)には、覚醒刺激の出力は不要であると判断して覚醒制御を終了する。この時、覚醒刺激を出力している場合には、覚醒刺激の出力を停止してから覚醒制御を終了する。
【0134】
以下、上述した実施形態による効果を説明する。上述した実施形態によると、制限設定部78は、同乗者に子供が含まれる場合には、同乗者に子供が含まれない場合に比べて、嗅覚に刺激を与える覚醒刺激である嗅覚刺激の強度を低く制限する。このため、運転者に対する嗅覚刺激の影響が同乗者である子供に大きく出てしまうことを抑制できる。
【0135】
制限設定部78は、同乗者に親密度が低い相手が含まれる場合には、同乗者に親密度が低い相手が含まれない場合に比べて、出力可能な覚醒刺激の種類を減らす。このため、同乗者の親密度に応じて、同乗者への配慮の程度を変えながら運転者に対して覚醒刺激を与えることができる。
【0136】
アロマユニット56を用いた覚醒刺激の出力を制限する例は、同乗者に子供が含まれる場合に限られない。例えば、アロマユニット56から出力する香りが同乗者にとって苦手な香りである場合には、年齢によらずアロマユニット56を用いた覚醒刺激の出力を制限してもよい。この場合、同乗者情報として同乗者毎の香りの好みを事前に登録しておくことで、アロマユニット56から出力する香りが同乗者にとって苦手な香りであるか否かを判断できる。
【0137】
他の実施形態
この明細書および図面等における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、1つの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、さらに請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
【0138】
明細書および図面等における開示は、請求の範囲の記載によって限定されない。明細書および図面等における開示は、請求の範囲に記載された技術的思想を包含し、さらに請求の範囲に記載された技術的思想より多様で広範な技術的思想に及んでいる。よって、請求の範囲の記載に拘束されることなく、明細書および図面等の開示から、多様な技術的思想を抽出することができる。
【0139】
本開示に記載の制御部およびその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された1つないしは複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の装置およびその手法は、専用ハードウェア論理回路により、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の装置およびその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと1つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された1つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0140】
1 覚醒システム、 10 覚醒装置、 12 センターインフォメーションディスプレイ(CID)、 14 ヘッドアップディスプレイ(HUD)、 14a 投影領域、 15 装飾灯、 19 インストルメントパネル、 30 運転席覚醒装置、 31 運転者監視装置、 35 運転席、 36 指向性スピーカ、 37 シート振動装置、 38 シートベルト巻き上げ装置、 39 シート冷却装置、 40 前席覚醒装置、 41 同乗者モニタ、 45 助手席、 46 空調装置、 50 全体覚醒装置、 56 アロマユニット、 70 覚醒制御装置、 73 運転者情報取得部、 74 同乗者情報取得部、 78 制限設定部、 79 覚醒実行部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13