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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】組電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/262 20210101AFI20231108BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20231108BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20231108BHJP
   H01M 50/231 20210101ALI20231108BHJP
   H01M 50/242 20210101ALI20231108BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20231108BHJP
   H01M 50/293 20210101ALI20231108BHJP
【FI】
H01M50/262 E
H01M50/204 401H
H01M50/211
H01M50/231
H01M50/242
H01M50/262 M
H01M50/262 S
H01M50/291
H01M50/293
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021060591
(22)【出願日】2021-03-31
(65)【公開番号】P2022156748
(43)【公開日】2022-10-14
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 博之
(72)【発明者】
【氏名】加藤 真史
【審査官】福井 晃三
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-061210(JP,A)
【文献】特開2007-165698(JP,A)
【文献】特許第5039866(JP,B2)
【文献】特開2017-126430(JP,A)
【文献】特開2011-054368(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置と、
前記蓄電装置を冷却する冷却装置と、を備え、
前記蓄電装置は、
一方向に積層された複数の蓄電セルと、
前記複数の蓄電セルを収容するケースと、
前記ケースの内面を被覆する絶縁シートと、
前記ケース内に配置されており、前記一方向における前記ケースに対する前記複数の蓄電セルの相対変位を制限する制限ユニットと、を備え、
前記冷却装置は、前記ケースの外側面に接するように配置されており、
前記各蓄電セルは、
正極シート及び負極シートを含み、前記一方向に積層された複数の電極体と、
前記複数の電極体の各々の端部に電気的に接続された集電板と、
前記複数の電極体と前記集電板の一部とを被覆するラミネートフィルムと、を有し、
前記制限ユニットは、前記複数の蓄電セルの各蓄電セルが膨張するときにおける前記ケースに対する前記各蓄電セルの相対速度である第1速度で前記各蓄電セルが前記ケースに対して相対変位したときに第1弾性率を示し、前記ケースに対して前記各蓄電セルが前記一方向に前記第1速度よりも大きな第2速度で相対変位したときに前記第1弾性率よりも大きな第2弾性率を示し、
前記制限ユニットは、前記複数の蓄電セルのうち前記一方向における最も外側に配置された蓄電セルの前記ラミネートフィルムと前記絶縁シートとに接するように配置されている、組電池
【請求項2】
前記制限ユニットは、ダイラタンシー性を有する材料からなる、請求項1に記載の組電池
【請求項3】
前記制限ユニットは、複数の第1湾曲部と複数の第2湾曲部とを有する波板を含み、
前記複数の第1湾曲部の各第1湾曲部は、前記一方向における一方側に凸となるように湾曲するとともに、前記一方向と直交する直交方向に延びる形状を有し、
前記複数の第2湾曲部の各第2湾曲部は、前記一方向における他方側に凸となるように湾曲するとともに、前記直交方向に延びる形状を有し、
前記各第1湾曲部及び前記各第2湾曲部は、前記一方向及び前記直交方向の双方に直交する方向に沿って交互に並ぶように配置されている、請求項1に記載の組電池
【請求項4】
前記制限ユニットは、前記一方向における両側から前記波板に接するように配置された一対の板材をさらに有し、
前記一対の板材のうち前記波板に接する面は、平坦に形成されている、請求項3に記載の組電池
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の蓄電セルを備える蓄電装置が知られている。例えば、特開2013-229266号公報には、一方向に積層された複数の電池と、複数の電池を包囲する筐体と、を備える電池モジュールが開示されている。各電池は、ラミネートフィルムを外装とした長方形状のラミネート型電池である。各電池の短辺となる両端部の中央からそれぞれ薄い金属板からなる電極タブが帯状に導出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-229266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開2013-229266号公報に記載される蓄電装置では、各電池の膨張に伴ってケースが膨張することにより、ケースが破損する懸念がある。
【0005】
一方、ケースに対する各電池の相対変位が許容される状態では、蓄電装置が振動したときに各電池が共振する場合がある。
【0006】
本開示の目的は、蓄電セルの膨張時におけるケースの破損の抑制と、蓄電セルの共振の抑制と、を両立可能な蓄電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一局面に従った蓄電装置は、一方向に積層された複数の蓄電セルと、前記複数の蓄電セルを収容するケースと、前記ケース内に配置されており、前記一方向における前記ケースに対する前記複数の蓄電セルの相対変位を制限する制限ユニットと、を備え、前記制限ユニットは、前記複数の蓄電セルの各蓄電セルが膨張するときにおける前記ケースに対する前記各蓄電セルの相対速度である第1速度で前記各蓄電セルが前記ケースに対して相対変位したときに第1弾性率を示し、前記ケースに対して前記各蓄電セルが前記一方向に前記第1速度よりも大きな第2速度で相対変位したときに前記第1弾性率よりも大きな第2弾性率を示す。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、蓄電セルの膨張時におけるケースの破損の抑制と、蓄電セルの共振の抑制と、を両立可能な蓄電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の第1実施形態の蓄電装置を含む組電池の構成を概略的に示す斜視図である。
図2図1におけるII-II線での断面図である。
図3】蓄電モジュールの構成を概略的に示す分解斜視図である。
図4】制御ユニットの配置の変形例を概略的に示す断面図である。
図5】本開示の第2実施形態の蓄電装置の構成を概略的に示す断面図である。
図6】本開示の第3実施形態の蓄電装置における制限ユニットの構成を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、本開示の第1実施形態の蓄電装置を含む組電池の構成を概略的に示す斜視図である。図2は、図1におけるII-II線での断面図である。この組電池1は、例えば、電気自動車等の電動車に搭載される。
【0012】
図1及び図2に示されるように、組電池1は、蓄電装置10と、冷却装置20と、を備えている。冷却装置20は、蓄電装置10を冷却する装置である。冷却装置20は、蓄電装置10の側部に接するように配置されている。図1に示されるように、冷却装置20は、その内部を冷却媒体(水等)Cが流れるように構成されている。なお、図1では、冷却装置20の一部が破断された状態が示されている。
【0013】
図1に示されるように、蓄電装置10は、一対の外部端子11,12を有している。一方の外部端子11は、正極端子であり、他方の外部端子12は、負極端子である。図2に示されるように、蓄電装置10は、蓄電モジュール100と、ケース200と、絶縁シート300と、充填部400と、制限ユニット500と、を備えている。
【0014】
図3は、蓄電モジュールの構成を概略的に示す分解斜視である。図2及び図3に示されるように、蓄電モジュール100は、少なくとも一つの蓄電セル101を含んでいる。本実施形態では、蓄電モジュール100は、複数の蓄電セル101を有している。複数の蓄電セル101は、一方向(図1における上下方向)に積層されている。なお、図2及び図3には、3つの蓄電セル101が示されているが、蓄電セル101の数は、特に限定されない。蓄電セル101として、例えば、リチウムイオン電池が挙げられる。
【0015】
蓄電セル101は、いわゆるラミネート型セルである。すなわち、蓄電セル101は、複数の電極体110と、集電板120と、ラミネートフィルム130と、接着部材140と、電解液(図示略)と、を有している。なお、蓄電セル101は、セパレータと電解液の代わりに、固定電解質を有する全固体電池で構成されてもよい。
【0016】
複数の電極体110は、一方向に積層されている。複数の電極体110は、正極シートと負極シートとを含む。正極シート及び負極シート間には、セパレータが配置されている。各電極体110の端部は、集電板120に電気的に接続されている。
【0017】
ラミネートフィルム130は、複数の電極体110及び集電板120の一部を被覆している。ラミネートフィルム130内には、電解液(図示略)が充填されている。
【0018】
図2及び図3に示されるように、集電板120は、ラミネートフィルム130から突出する突出部122を有している。各突出部122は、複数の蓄電セル101が電気的に直列に接続されるようにバスバー102によって接続されている。
【0019】
図3に示されるように、一方向における一方側の端部に配置された蓄電セル101の突出部122には、外部端子11を有するバスバー13が接続されており、一方向における他方側の端部に配置された蓄電セル101の突出部122には、外部端子12を有するバスバー14が接続されている。
【0020】
接着部材140は、ラミネートフィルム130を集電板120に接着する部材である。接着部材140は、絶縁性を有する材料(樹脂等)からなる。接着部材140は、ラミネートフィルム130から突出する形状を有している。つまり、接着部材140は、突出部122の一部を被覆している。
【0021】
ケース200は、蓄電モジュール100を収容している。ケース200は、金属(アルミニウム等)からなる。図1に示されるように、ケース200は、ケース本体210と、閉塞板220と、を有している。
【0022】
ケース本体210は、少なくとも一方向に開口している。本実施形態では、ケース本体210は、各蓄電セル101の積層方向と直交する方向に延びる中心軸を有する四角筒状に形成されている。ケース本体210には、注入口h(図2を参照)が設けられている。
【0023】
閉塞板220は、ケース本体210の開口を塞ぐようにケース本体210に溶接されている。閉塞板220は、平板状に形成されている。
【0024】
冷却装置20は、ケース本体210の外側面に接するように設けられている。換言すれば、冷却装置20は、各蓄電セル101の積層方向と直交する方向にケース200に接するように設けられている。
【0025】
絶縁シート300は、ケース本体210の内面及び閉塞板220の内面を被覆している。図2に示されるように、絶縁シート300は、ケース本体210の上面及び下面を被覆していてもよい。
【0026】
充填部400は、絶縁性を有する材料からなる。充填部400は、熱伝導性を有する材料からなることが好ましい。充填部400は、ケース200の注入口hを通じてケース200内に前記材料(本実施形態ではポッティング材)を注入することにより形成される。
【0027】
図2に示されるように、充填部400は、突出部122の先端を被覆している。充填部400は、接着部材140とともに、突出部122の全域を被覆している。なお、充填部400は、接着部材140及びラミネートフィルム130の端部を被覆していてもよい。
【0028】
充填部400は、バスバー102,13,14の全域を被覆していることが好ましい。充填部400は、ケース本体210の内面に設けられた絶縁シート300と、閉塞板220の内面に設けられた絶縁シート300と、に接していることが好ましい。このようにすれば、ケース200に対する蓄電モジュール100の相対変位が抑制される。
【0029】
制限ユニット500は、ケース200内に配置されている。制限ユニット500は、蓄電モジュール100とケース本体210との間に配置されている。本実施形態の蓄電装置10は、図2に示されるように、蓄電モジュール100の上面とケース本体210との間に配置された第1制御ユニット501と、蓄電モジュール100の下面とケース本体210との間に配置された第2制御ユニット502と、を備えている。ただし、第1制御ユニット501及び第2制御ユニット502のいずれか一方は、省略されてもよい。
【0030】
制限ユニット500は、各蓄電セル101の積層方向におけるケース200に対する蓄電モジュール100の相対変位を制限する。制限ユニット500は、第1速度で各蓄電セル101がケース200に対して相対変位したときに第1弾性率を示し、第2速度で各蓄電セル101がケース200に対して相対変位しようとしたときに第1弾性率よりも大きな第2弾性率を示す。
【0031】
第1速度は、蓄電モジュール100の各蓄電セル101が膨張するときにおけるケース200に対する各蓄電セル101の相対速度である。第2速度は、ケース200に対する各蓄電セル101の相対速度であって第1速度よりも大きな速度である。第2速度は、例えば、蓄電装置10ないし組電池1が振動するときにおけるケース200に対する各蓄電セル101の相対速度である。
【0032】
図2に示されるように、制限ユニット500は、収容袋510と、液体520と、を有している。
【0033】
収容袋510は、液体520を密封状体で収容している。収容袋510は、柔軟な樹脂材料等からなる。
【0034】
液体520は、収容袋510内に充填されている。液体520は、ダイラタンシー性を有する材料(樹脂を含む流体等)からなる。ダイラタンシー性を有する材料は、ケース200に対して各蓄電セル101が第1速度で相対変位したとき、つまり、各蓄電セル101の膨張時に各蓄電セル101から第1の力を受けたときに、第1弾性率を示す。ダイラタンシー性を有する材料は、ケース200に対して蓄電モジュール100が第2速度で相対変位しようとしたとき、つまり、蓄電装置10の振動時に各蓄電セル101から第1の力よりも大きな第2の力を受けたときに、第2弾性率を示す。
【0035】
すなわち、制限ユニット500は、ケース200に対する蓄電モジュール100の第1速度での相対変位を許容し、ケース200に対する蓄電モジュール100の第2速度での相対変位を規制する。
【0036】
以上のように、本実施形態の蓄電装置10では、各蓄電セル101の膨張時、すなわち、ケース200に対して各蓄電セル101が第1速度で相対変位するときには、制限ユニット500が相対的に小さな第1弾性率を示すため、制限ユニット500の弾性変形により各蓄電セル101の膨張が吸収される。一方、蓄電装置10の振動時等、ケース200に対して各蓄電セル101が第2速度で相対変位するときには、制限ユニット500が相対的に大きな第2弾性率を示すことによってケース200に対する蓄電モジュール100の相対変位が規制されるため、蓄電モジュール100の共振が抑制される。
【0037】
また、本実施形態では、前記積層方向と直交する方向におけるケース200の側部から、熱伝導性を有する材料からなる充填部400を介して冷却装置20によって集電板120及びバスバー102が冷却される。集電板120及びバスバー102は金属からなるため、蓄電モジュール100が有効に冷却される。
【0038】
さらに、制限ユニット500に接する蓄電セル101の熱は、制限ユニット500を介してケース本体210に伝わるため、当該蓄電セル101が有効に冷却される。
【0039】
なお、上記実施形態において、図4に示されるように、制限ユニット500は、互いに隣接する一対の蓄電セル101間に配置されてもよい。
【0040】
(第2実施形態)
次に、図5を参照しながら、本開示の第2実施形態の蓄電装置10について説明する。図5は、本開示の第2実施形態の蓄電装置の構成を概略的に示す断面図である。なお、第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明を行い、第1実施形態と同じ構造、作用及び効果の説明は繰り返さない。
【0041】
本実施形態では、制限ユニット500は、波板530を有している。波板530の熱伝導率は、例えば、10W/mK以上であることが好ましい。波板530は、複数の第1湾曲部532と、複数の第2湾曲部534と、を有している。
【0042】
各第1湾曲部532は、一方向における一方側に凸となるように湾曲するとともに、一方向と直交する直交方向(図5において紙面と直交する方向)に延びる形状を有している。
【0043】
各第2湾曲部534は、一方向における他方側に凸となるように湾曲するとともに、直交方向に延びる形状を有している。
【0044】
図5に示されるように、各第1湾曲部532及び各第2湾曲部534は、一方向及び直交方向の双方に直交する方向に沿って交互に並ぶように配置されている。
【0045】
波板530は、ケース200に対して各蓄電セル101が第1速度で相対変位したとき、つまり、各蓄電セル101の膨張時に各蓄電セル101から第1の力を受けたときに、各湾曲部532,534が開くように弾性変形する。このとき、波板530は、第1弾性率を示す。
【0046】
波板530は、各湾曲部532,534が直交方向に延びる形状を有していることによって曲げ剛性が確保されているため、ケース200に対して蓄電モジュール100が第2速度で相対変位しようとするとき、つまり、蓄電装置10の振動時に各蓄電セル101から第1の力よりも大きな第2の力を受けたときに、ケース200に対する蓄電モジュール100の相対変位を規制する。このとき、波板530は、第2弾性率を示す。
【0047】
本実施形態において、制限ユニット500は、一対の板材540をさらに有していてもよい。一対の板材540は、一方向における両側から波板530に接するように配置されている。各板材540のうち波板530に接する面は、平坦に形成されている。各板材540は、各湾曲部532,534が開くように波板530が弾性変形する際に当該波板530に生じる摩擦力を低減する機能を有する。各板材540の熱伝導率は、例えば、10W/mK以上であることが好ましい。一対の板材540のうち少なくとも蓄電セル101に接している板材540の端部540aは、充填部400から離間していることが好ましい。
【0048】
この態様では、各蓄電セル101の膨張時には、各湾曲部532,534が開くように波板530が弾性変形することによって各蓄電セル101の膨張が吸収され、一方、各湾曲部532,534が直交方向に延びる形状を有することによって波板530の曲げ剛性が確保されているため、蓄電装置10の振動時におけるケース200に対する蓄電モジュール100の相対変位が有効に規制される。
【0049】
また、制限ユニット500は、一対の板材540を有するため、各蓄電セル101の膨張時において波板530が弾性変形する際に当該波板530に生じる摩擦が低減される。
【0050】
さらに、蓄電セル101に接している板材540の端部540aが充填部400から離間しているため、各蓄電セル101の膨張時に当該板材540がケース200に対して一方向に有効に相対変位する。
【0051】
(第3実施形態)
次に、図6を参照しながら、本開示の第3実施形態の蓄電装置10における制限ユニット500について説明する。図6は、本開示の第3実施形態の蓄電装置における制限ユニットの構成を概略的に示す断面図である。なお、第3実施形態では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明を行い、第1実施形態と同じ構造、作用及び効果の説明は繰り返さない。
【0052】
本実施形態では、制限ユニット500は、収容袋510内に配置された波板530をさらに有している。波板530の構成は、第2実施形態のそれと同じである。収容袋510内への液体520の充填量は、第1実施形態のそれよりも少なく設定されている。
【0053】
この態様では、液体520及び波板530によって制限ユニット500の曲げ剛性がより高まるため、蓄電モジュール100の共振がより確実に抑制される。
【0054】
上述した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0055】
上記実施形態における蓄電装置は、一方向に積層された複数の蓄電セルと、前記複数の蓄電セルを収容するケースと、前記ケース内に配置されており、前記一方向における前記ケースに対する前記複数の蓄電セルの相対変位を制限する制限ユニットと、を備え、前記制限ユニットは、前記複数の蓄電セルの各蓄電セルが膨張するときにおける前記ケースに対する前記各蓄電セルの相対速度である第1速度で前記各蓄電セルが前記ケースに対して相対変位したときに第1弾性率を示し、前記ケースに対して前記各蓄電セルが前記一方向に前記第1速度よりも大きな第2速度で相対変位したときに前記第1弾性率よりも大きな第2弾性率を示す。
【0056】
この蓄電装置では、各蓄電セルの膨張時、すなわち、ケースに対して各蓄電セルが第1速度で相対変位するときには、制限ユニットが相対的に小さな第1弾性率を示すため、制限ユニットの弾性変形により各蓄電セルの膨張が吸収され、一方、蓄電装置の振動時等、ケースに対して各蓄電セルが第2速度で相対変位するときには、制限ユニットが相対的に大きな第2弾性率を示すことによってケースに対する複数の蓄電セルの相対変位が規制されるため、複数の蓄電セルの共振が抑制される。
【0057】
また、前記制限ユニットは、ダイラタンシー性を有する材料からなってもよい。
【0058】
また、前記制限ユニットは、複数の第1湾曲部と複数の第2湾曲部とを有する波板を含み、前記複数の第1湾曲部の各第1湾曲部は、前記一方向における一方側に凸となるように湾曲するとともに、前記一方向と直交する直交方向に延びる形状を有し、前記複数の第2湾曲部の各第2湾曲部は、前記一方向における他方側に凸となるように湾曲するとともに、前記直交方向に延びる形状を有し、前記各第1湾曲部及び前記各第2湾曲部は、前記一方向及び前記直交方向の双方に直交する方向に沿って交互に並ぶように配置されていてもよい。
【0059】
この態様では、各蓄電セルの膨張時には、各湾曲部が開くように波板が弾性変形することによって各蓄電セルの膨張が吸収され、一方、各湾曲部が直交方向に延びる形状を有することによって波板の曲げ剛性が確保されているため、蓄電装置の振動時におけるケースに対する各蓄電セルの相対変位が有効に規制される。
【0060】
また、前記制限ユニットは、前記一方向における両側から前記波板に接するように配置された一対の板材をさらに有し、前記一対の板材のうち前記波板に接する面は、平坦に形成されていてもよい。
【0061】
この態様では、各蓄電セルの膨張時において波板が弾性変形する際に当該波板に生じる摩擦が低減される。
【0062】
あるいは、前記制限ユニットは、前記波板を密封状態で収容する収容袋と、前記収容袋内に充填された液体と、をさらに含んでいてもよい。
【0063】
この態様では、液体によって制限ユニットの曲げ剛性がより高まるため、各蓄電セルの共振がより確実に抑制される。
【0064】
この場合において、前記液体は、ダイラタンシー性を有する材料からなることが好ましい。
【0065】
また、前記制限ユニットは、互いに隣接する前記蓄電セル間に配置されていてもよい。
【0066】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0067】
1 組電池、10 蓄電装置、11 外部端子、12 外部端子、20 冷却装置、100 蓄電モジュール、101 蓄電セル、102 バスバー、110 電極体、120 集電板、122 突出部、130 ラミネートフィルム、140 接着部材、200 ケース、210 ケース本体、220 閉塞板、300 絶縁シート、400 充填部、500 制限ユニット、510 収容袋、520 液体、530 波板、532 第1湾曲部、534 第2湾曲部、540 板材、C 冷却媒体、h 注入口。
図1
図2
図3
図4
図5
図6