(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】住宅
(51)【国際特許分類】
E04H 1/02 20060101AFI20231108BHJP
【FI】
E04H1/02
(21)【出願番号】P 2021072967
(22)【出願日】2021-04-23
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】雨宮 一聖
【審査官】沖原 有里奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-097801(JP,A)
【文献】特開2002-029199(JP,A)
【文献】特開2000-054653(JP,A)
【文献】特開2000-352203(JP,A)
【文献】ソーラーポンプを使って、水の流れを作ってみた。川上から池に流れるイメージ,2020年11月29日,http://web.archive.org/web/20201129193931/https://takeshinonegoto.xyz/biotope/ikedukuri_kakutyou
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/00-1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1壁面および第2壁面を有する建物と、
第1開水路および第2開水路がレイアウトされた庭と、
上記第1開水路に
上記第1壁面に近づく向きの第1水流を発生させる第1水流発生部と、
上記第2開水路に
上記第2壁面から遠ざかる向きの第2水流を発生させる第2水流発生部と、を備え、
上記第1壁面および上記第2壁面は、第1方向に延び、
上記第1壁面は、上記第1方向に直交する方向において、上記第2壁面と並んで位置し、
上記第1開水路は、上記庭において上記第1壁面と隣接する第1端位置から、上記庭において上記第1端位置から離れている第2端位置まで、上記庭内で延びており、
上記第2開水路は、上記庭において上記第2壁面と隣接する第3端位置から、上記庭において上記第3端位置から離れている第4端位置まで、上記庭内で延びており、
上記第1端位置の上記第1開水路が占める領域と、上記第3端位置の上記第2開水路が占める領域とは、上記第1方向において重複する、住宅。
【請求項2】
上記建物は、上記第1壁面および上記第2壁面により区画された居室を有する、請求項
1に記載の住宅。
【請求項3】
上記建物は、
上記第1壁面から上記第1開水路の両側に沿って拡がる複数の第3壁面と、
上記第2壁面から上記第2開水路の両側に沿って拡がる複数の第4壁面と、を有する請求項
2に記載の住宅。
【請求項4】
上記建物は、
上記第1端位置の上方に設けられた第1デッキと、
上記第3端位置の上方に設けられた第2デッキと、を有する請求項1から
3のいずれかに記載の住宅。
【請求項5】
上記第2端位置は、上記第1端位置より高い位置にあり、
上記第4端位置は、上記第3端位置よりも
低い位置にある、請求項1から
4のいずれかに記載の住宅。
【請求項6】
上記建物は、
上記第1壁面に設けられた第1窓と、
上記第2壁面に設けられた第2窓と、を有する請求項1から
5のいずれかに記載の住宅。
【請求項7】
上記第1開水路および上記第2開水路の間に上記建物の基礎、をさらに備える請求項1に記載の住宅。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物と、庭とを備えた住宅に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、敷地内に、建物と、庭とを備える住宅が記載されている。庭には、滝用構造物と、小川用構造物とが構築される。滝用構造物は、水を高所から落下させて滝を構成する。小川用構造物は、滝用構造物による滝の水を流して小川を構成する。庭にはさらに、水循環手段が設けられている。水循環手段は、ポンプ等を含み、小川用構造物に流れる水を滝用構造物に戻す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1では、滝用構造物および小川用構造物から建物が離れている。この場合、住宅外にいる人には、滝や小川で発生した自然音と、居室から発生する生活音とが別方向から到来するため、生活音が住宅外の人に聞こえてしまうおそれがある。すなわち、特許文献1の住宅では、プライベート性が低いという問題点があった。
【0005】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、プライベート性を高めることが可能な住宅を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明に係る住宅は、第1壁面および第2壁面を有する建物と、第1開水路および第2開水路がレイアウトされた庭と、上記第1開水路に第1水流を発生させる第1水流発生部と、上記第2開水路に第2水流を発生させる第2水流発生部と、を備えている。上記第1開水路は、上記庭において上記第1壁面と隣接する第1端位置から、上記庭において上記第1端位置から離れている第2端位置まで、上記庭内で延びている。上記第2開水路は、上記庭において上記第2壁面と隣接する第3端位置から、上記庭において上記第3端位置から離れている第4端位置まで、上記庭内で延びている。
【0007】
第1開水路および第2開水路は、庭において建物に向かって延びている。第1水流および第2水流により自然音が建物の周囲に発生する。自然音により、建物内で発生する生活音が住宅外の人に聞こえ難くなる。
【0008】
(2) 上記第1水流の向きは、上記第1壁面に近づく向きであり、上記第2水流の向きは、上記第2壁面から遠ざかる向きである。
【0009】
第1水流の向きおよび第2水流の向きがある程度揃っているので、建物の下を一連の水流が通っているように感じられる。
【0010】
(3)上記建物は、上記第1壁面および上記第2壁面により区画された居室を有する。
【0011】
居室が第1開水路および第2開水路で挟まれるため、自然音により建物内で発生する生活音が住宅外の人により聞こえ難くなる。
【0012】
(4)上記建物は、上記第1壁面から上記第1開水路の両側に沿って拡がる複数の第3壁面と、上記第2壁面から上記第2開水路の両側に沿って拡がる複数の第4壁面と、を有する。
【0013】
第3壁面および第4壁面により、生活音および自然音の各々が建物外で伝搬する方向が制限される。そのため、自然音により、建物内で発生する生活音が住宅外の人により聞こえ難くなる。
【0014】
(5)上記建物は、上記第1端位置の上方に設けられた第1デッキと、上記第3端位置の上方に設けられた第2デッキと、を有する。
【0015】
第1端位置および第3端位置が見え難くなるため、第1開水路と第2開水路とが建物の下で繋がっているように見える。
【0016】
(6)上記第2端位置は、上記第1端位置より高い位置にあり、上記第4端位置は、上記第3端位置よりも高い位置にある。
【0017】
水勾配が設けられるので、大きな自然音が発生する。また、第1開水路および第2開水路が一連の水の流れのようになる。
【0018】
(7)上記建物は、上記第1壁面に設けられた第1窓と、上記第2壁面に設けられた第2窓と、を有する。
【0019】
両水流の水面での反射光を居室に取り込みやすい。また、第1窓及び第2窓を通じて、第1開水路及び第2開水路上を通過する風が居室を流れる。
【0020】
(8)上記第1開水路および上記第2開水路の間に上記建物の基礎、をさらに備える。
【0021】
建物の下に水路が無いので、庭を低コストで造ることができ、且つ住宅の耐震性が向上する。
【発明の効果】
【0022】
住宅のプライベート性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】住宅100の北側ウッドデッキ233Aおよび南側ウッドデッキ233Bを示す平面図。
【
図3】
図1の線III-IIIに沿う住宅100の縦断面を東側から見たときの図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態に係る住宅100を詳説する。以下に説明される実施形態は、本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0025】
各図には、互いに直交する矢印X,Y,Zが示される。矢印Xは、東西を示す。矢印Yは、南北を示す。矢印Zは、鉛直方向を示す。
図1では、紙面の右方が東であり、紙面の奥方向が北であり、紙面の上方が鉛直上向きである。
【0026】
[住宅100の全体構成]
図1において、住宅100は、建物200、庭300、および基礎400(
図3、
図4参照)を備える。
【0027】
[建物200の構成]
図1において、建物200は、外壁により区画される内部空間を有する。内部空間は、複数の内壁により複数の部屋に区画される。以下、各部屋の東側、西側、南側および北側を区画する内壁を、「東壁」、「西壁」、「南壁」および「北壁」とそれぞれ称する場合がある。
【0028】
建物200は、平面視で略H字型の形状の平屋であり、パブリックエリア210、プライベートエリア220および中間エリア230を備える。
【0029】
パブリックエリア210は、建物200の東側に位置し、平面視で南北に長い略矩形形状である。パブリックエリア210には、住人により許可された人(以下、「関係者」とも称す)が出入りしてもよい複数の部屋がレイアウトされる。これら複数の部屋は、玄関211、シューズクローク(以下、「SC」とも称す)212、ホール213、ガレージ214、廊下215、トイレ216、バレエスタジオ217および納戸218である。
【0030】
プライベートエリア220は、建物200においてパブリックエリア210から西に離れて位置し、平面視で南北に長い略矩形形状である。プライベートエリア220には、基本的に住人のみが出入り可能な複数の部屋がレイアウトされる。これら複数の部屋は、廊下221、サンルーム222、洗面室223、浴室224、パントリー225、ウォークインクローゼット(以下、「WIC」とも称す)226A、226Bおよび寝室227である。
【0031】
中間エリア230は、パブリックエリア210およびプライベートエリア220における南北方向の中央部分同士を繋いでおり、平面視で東西に長い略矩形形状である。中間エリア230には、住人と親しい関係者が出入りしてもよい部屋がレイアウトされる。この部屋は、リビングダイニングキッチン(以下、「LDK」とも称す)231である。
【0032】
[パブリックエリア210の詳細な構成]
パブリックエリア210の各部屋は、ホール213および廊下215を除き、平面視で矩形形形状である。
【0033】
玄関211は、パブリックエリア210の東側であって、南北方向における略中央に位置する。玄関211の東側には、出入口211Aが設けられている。玄関211の南側および北側の各々は内壁で区画されている。玄関211の西側は、壁で区画されずにホール213と繋がっている。
【0034】
SC212は、玄関211と南側で隣接している。SC212の東側は外壁で、その南側および西側の各々は内壁で区画されている。SC212には、南壁に沿って、靴の収納家具が複数並んでいる。SC212の西壁には、ホール213に繋がる出入口が設けられている。
【0035】
ホール213は、玄関211およびSC212の各々と西側で隣接している。ホール213の西側および北側の各々は、内壁で区画されている。ホール213の南側は、壁で区画されずに、廊下215と繋がっている。
【0036】
ガレージ214は、玄関211およびホール213の各々と北側で隣り合っている。ガレージ214の東側は、車両の出入口214Aになっている。ガレージ214の西側および北側は、外壁で区画される。外壁においてガレージ214の西側部分は、外壁面219A(第3壁面の一例)になっている。
【0037】
トイレ216は、SC212と南側で隣接している。トイレ216の西側、南側および東側の各々は内壁で区画されている。トイレ216の南壁には、出入口が設けられている。
【0038】
廊下215は、平面視でL字型の形状であって、ホール213の南端から、トイレ216の西側および南側に沿って延び、バレエスタジオ217の出入口に至る。
【0039】
バレエスタジオ217は、廊下215および納戸218と南側で隣接している。バレエスタジオ217の東側、南側および西側は、外壁で区画される。外壁の南側の部分には窓217Aが、外壁の西側の部分には窓217Bが設けられている。窓217Aは、格子窓であることが好ましい。これにより、住宅100の外部からバレエスタジオ217内を見え難くなる。窓217Bは、格子窓でなくともよい。窓217Bが建物200のプライベートエリア220の方を向いているため、住宅100の外部からバレエスタジオ217内が見え難いからである。バレエスタジオ217の北壁には廊下215の南東隅の部分と繋がる出入口が設けられる。
【0040】
外壁においてバレエスタジオ217および廊下215の各西側部分は、上下南北に拡がる外壁面219B(第4壁面の一例)をなしている。
【0041】
[プライベートエリア220の詳細な構成]
プライベートエリア220の各部屋は、平面視で矩形形状である。
【0042】
廊下221は、東西においてプライベートエリア220の略中央で南北に延びている。
【0043】
サンルーム222は、プライベートエリア220の北西の隅に位置する。サンルーム222の北側および西側は外壁で、その東側および南側は内壁で区画される。外壁の西側の部分には、主に採光のための窓が設けられている。サンルーム222の東壁には、廊下221と繋がる出入口が設けられている。
【0044】
洗面室223は、サンルーム222と東側で隣接している。洗面室223の北側は外壁で、その東側および南側は内壁で区画される。東壁には、浴室224と繋がる出入口が設けられている。南壁には、廊下221の北端に面する出入口が設けられている。
【0045】
浴室224は、洗面室223と東側で隣接している。浴室224の北側および東側は外壁で、その南側は内壁で区画される。
【0046】
パントリー225は、小型の収納室であり、LDK231のキッチン231Aと北側で隣接している。パントリー225は、浴室224と南側で隣り合っている。パントリー225の東側は外壁で、その南側および西側の各々は内壁で区画される。外壁においてパントリー225の東側部分は、外壁面228A(第3壁面の一例)を有する。パントリー225の西壁には廊下221と繋がる出入口が設けられ、その南側にはキッチン231Aと繋がる出入口が設けられている。
【0047】
WIC226Aは、サンルーム222と南側で隣接している。WIC226Aの西側は外壁で、その南側および東側は内壁で区画されている。WIC226Aの東壁には廊下221と繋がる出入口が設けられている。
【0048】
寝室227は、廊下221およびキッチン231Aと南側で隣接している。寝室227の東側および南側は外壁で区画される。東側の外壁は、外壁面228B(第4壁面の一例)と、外壁の窓227Aと、を有している。窓227Aは、窓217Bと同じ理由から格子窓でなくともよい。
【0049】
WIC226Bは、寝室227と西側で隣接している。WIC226Bの西側および南側は外壁で、その東側および北側は内壁で区画されている。WIC226Aの東壁には寝室227と繋がる出入口が設けられている。
【0050】
[中間エリア230の詳細な構成]
LDK231は、キッチン231Aおよびリビングダイニング(以下、「LD」とも称す)231Bからなる。
【0051】
キッチン231Aは、パントリー225と南側で隣接し、寝室227と北側で隣接し、廊下221と東側で隣接している。キッチン231Aの北側、西側および南側は内壁により区画される。北壁および西壁には、パントリー225および廊下221とそれぞれ繋がる出入口が設けられている。
【0052】
LD231Bは、東西においてホール213およびキッチン231Aの間に位置する。LD231Bの東側は内壁によりホール213と区画される。この東壁には、ホール213と繋がる出入口が設けられている。LD231Bの北側および南側は外壁により区画される。外壁においてLD231Bの北側部分は、外壁面232A(第1壁面の一例)を有する。外壁においてLD231Bの南側部分は、外壁面232B(第2壁面の一例)を有する。LD231Bの西側は内壁で区画されずにキッチン231Aと繋がる。
【0053】
図2に示すように、外壁面232Aにおいて庭300の地表から鉛直上方に離れた位置には、北側ウッドデッキ233A(第1デッキの一例)が設けられている。外壁面232Bにおいて庭300の地表から鉛直上向きに離れた位置には、南側ウッドデッキ233B(第2デッキの一例)が設けられている。
【0054】
北側ウッドデッキ233Aは、外壁面219A,228Aの間の全域に亘って、外壁面232Aに沿って東西に延びている。北側ウッドデッキ233Aは、外壁面219A,228Aの間の東西全域に亘って、外壁面232Aに沿って東西に延びている。
【0055】
南側ウッドデッキ233Bは、外壁面219B,228Bの間の全域に亘って、外壁面232Bに沿って東西に延びている。南側ウッドデッキ233Bは、外壁面219B,228Bの間の東西全域に亘って、外壁面232Bに沿って東西に延びている。
【0056】
図3に示すように、外壁面232Aにおいて、北側ウッドデッキ233Aより上方の位置には、窓234A(第1窓の一例)が設けられている。外壁面232Bにおいて、南側ウッドデッキ233Bより上方の位置には、窓234B(第2窓の一例)が設けられている。
図2において、窓234Aは外壁面232Aの東西全域に、窓234Bは外壁面232Bの東西全域に亘っている。
【0057】
[庭300]
図1~
図3において、庭300は、建物200の周囲に造られている。庭300は、北側開水路310(第1開水路の一例)、南側開水路320(第2開水路の一例)、北側水流発生部330(第1水流発生部の一例)および南側水流発生部340(第2水流発生部の一例)を有する。北側水流発生部330および南側水流発生部340は、
図3にのみ示されている。
【0058】
[北側開水路310、南側開水路320]
図1~
図3において、北側開水路310および南側開水路320は、庭300の地表を掘り下げて造られた構造物であり、パブリックエリア210およびプライベートエリア220の間で南北に延びる。北側開水路310および南側開水路320の形状は、特に限定されないが、本実施形態では、緩やかに蛇行している。北側開水路310および南側開水路320の縁に沿って複数の造園石材が配置される。北側開水路310および南側開水路320の内面は、防水シート等で防水施工されている。北側水流発生部330において、貯水タンク331の底面には、北側開水路310の清掃のために、開閉可能な蓋が設けられた北側排水口310Cが設けられている。南側水流発生部340において、貯水タンク331の内面には、開閉可能な蓋が設けられた南側排水口310Dが設けられている。
【0059】
北側開水路310は、南端位置310A(第1端位置の一例)および北端位置310B(第2端位置の一例)の間で庭300内で南北に延びる。南端位置310Aは、北側開水路310の下流端且つ南端であって、庭300において北側ウッドデッキ233Aの鉛直下方に位置する。北側開水路310は、平面視で外壁面232Aと隣接している。北側開水路310において南端位置310A寄りの底部には、水の北側吸込口311Aが形成されている。北端位置310Bは、北側開水路310の上流端且つ北端であって、庭300において北側ウッドデッキ233Aの北端より北に離れている。北側開水路310において北端位置310B付近の底部には、水の北側吐出口311Bが形成されている。北端位置310Bは、鉛直方向において、南端位置310Aよりも上方に位置する。即ち、北側開水路310には水勾配がつけられている。
【0060】
南側開水路320は、北端位置320A(第3端位置の一例)および南端位置320B(第4端位置の一例)の間で庭300内で南北に延びる。北端位置320Aは、南側開水路320の上流端且つ北端であって、庭300において南側ウッドデッキ233Bの鉛直下方に位置する。南側開水路320は、平面視で外壁面232Bと隣接している。南側開水路320において北端位置320A付近の底部には、水の南側吐出口321Aが形成されている。南端位置320Bは、南側開水路320の下流端且つ南端であって、庭300において南側ウッドデッキ233Bの南端より南に離れている。南側開水路320において南端位置320B付近の底部には、水の吸込口321Bが形成されている。南端位置320Bは、鉛直方向において、北端位置320Aよりも下方に位置する。即ち、南側開水路320には水勾配がつけられている。
【0061】
[北側水流発生部330、南側水流発生部340]
北側水流発生部330および南側水流発生部340の各々は、貯水タンク331、水中ポンプ332および配管333を備える。
【0062】
北側水流発生部330において、貯水タンク331は、北側吸込口311Aと連通しており、北側吸込口311Aから流入した水を貯留する。北側水流発生部330において、水中ポンプ332は、貯水タンク331内に設置され、貯水タンク331内の水を吸込口から吸い込んで吐出口から吐出する。北側水流発生部330において、配管333は、水中ポンプ332の吐出口と、北側開水路310の北側吐出口311Bとを、流体連通可能に互いに接続する。北側水流発生部330により、北側開水路310には、北側吐出口311Bから北側吸込口311Aへと流れる北側水流312(第1水流の一例)が発生する。北側水流312の水面は、地上に露出している。これにより、北側水流312による自然音が北側水流312上に伝播する。北側水流312の向きは、矢印A1で示すように、北側吐出口311Bから外壁面232Aに近づく向きである。
【0063】
南側水流発生部340は、北側水流発生部330と比較すると、南側開水路320に対応して設けられる点で相違するだけである。そのため、南側水流発生部340の各部の詳説を控えるが、南側水流発生部340により、南側開水路320には、南側吐出口321Aから吸込口321Bへと流れる南側水流322(第2水流の一例)が発生する。南側水流322の水面は、地上に露出している。これにより、南側水流322による自然音が南側水流322上に伝播する。南側水流322の向きは、矢印A2で示すように、外壁面232Bから吸込口321Bへと遠ざかる向きである。
【0064】
[基礎400]
図3,
図4において、基礎400は、ベタ基礎であり、建物200の自重による鉛直荷重、または建物200に加わる水平荷重を地盤に伝えるための構造物である。
図3、
図4では、LD231Bの直下に位置する基礎400のみが示されている。
図4に示すように、基礎400は、平面視で、北側開水路310および南側開水路320と接触しない。なお、基礎400は、布基礎であってもよい。
【0065】
[実施形態の作用効果]
実施形態によれば、北側開水路310および南側開水路320は、庭300に配置され、建物200に隣接している。北側開水路310および南側開水路320には、北側水流発生部330および南側水流発生部340により北側水流312および南側水流322が発生する。北側水流312および南側水流322により、水が流れる自然音が建物200の周囲に発生する。この自然音の発生場所は、LD231B(即ち、住人の生活音の発生場所)の近くである。したがって、住宅100外の人には、自然音と生活音とが概ね同じ方向から到来するので、この自然音は、建物200内で発生する生活音をマスキングすることになる。その結果、生活音が住宅100外の人に聞こえ難くなる。これにより、住宅100のプライベート性が高まる。
【0066】
実施形態によれば、LD231Bが北側開水路310および南側開水路320で挟まれるため、LD231Bで生じる生活音を、北側水流312および南側水流322により発生する自然音でマスキングできる。したがって、住宅100外においてLD231Bから南側にいる人や北側にいる人に生活音が聞こえ難くなる。これにより、住宅100のプライベート性がより高まる。
【0067】
実施形態によれば、外壁面219A,228Aにより、LD231Bで生じた生活音および北側水流312による自然音の各々が建物200外で伝搬する方向が北向きに制限される。同様に、外壁面219B,228Bにより、生活音および自然音の各々が建物200外で伝搬する方向が南向きに制限される。上記より、LD231Bで生じる生活音を、北側水流312および南側水流322により発生する自然音でより効果的にマスキングできる。
【0068】
実施形態によれば、北側ウッドデッキ233Aにより北側開水路310の下流端である南端位置310Aが隠れ、南側ウッドデッキ233Bにより南側開水路320の上流端である北端位置320Aが隠れる。これにより、北側開水路310および南側開水路320がLD231Bの下で繋がっているように見える。
【0069】
実施形態によれば、北側開水路310および南側開水路320には水勾配がつけられるので、大きな自然音が発生する。また、北側水流312および南側水流322の向きが概ね揃っているので、北側水流312および南側水流322が一連の水の流れのように見える。
【0070】
実施形態によれば、窓234A,234Bにより、北側水流312および南側水流322の水面での反射光をLD231Bに取り込み易い。また、窓234A,234Bを開放したときに、向きが概ね揃っている北側水流312および南側水流322により発生する風がLD231Bを通る。
【0071】
実施形態によれば、平面視で、北側開水路310および南側開水路320は、基礎400の下方を通っていないため、北側開水路310および南側開水路320を低コストで造ることができ、且つ住宅100の耐震性が向上する。
【0072】
[変形例]
実施形態では、北側開水路310および南側開水路320は、同一の居室であるLD231Bの外壁面232A,232Bに隣接するように設けられていた。しかし、これに限らず、北側開水路310および南側開水路320は、相異なる複数の部屋の外壁面に隣接するように設けられていてもよい。
【0073】
実施形態では、外壁面232Aの東端および西端から外壁面219A,228Aが北側開水路310の両側に沿って北へと延びていた。外壁面232Bの東端および西端から外壁面219B,228Bが南側開水路320の両側に沿って南へと延びていた。しかし、これに限らず、北側開水路310および南側開水路320の少なくとも一方の両側に沿って外壁面は設けられなくともよい。
【0074】
実施形態では、北側ウッドデッキ233Aにより北側開水路310の下流端が覆われ、南側ウッドデッキ233Bにより南側開水路320の上流端が覆われていた。しかし、これに限らず、北側ウッドデッキ233Aおよび南側ウッドデッキ233Bの少なくとも一方は無くともよい。また、北側ウッドデッキ233A以外の構造物で北側開水路310の下流端が覆われてもよい。南側ウッドデッキ233B以外の構造物で南側開水路320の上流端が覆われてもよい。
【0075】
実施形態では、北側開水路310および南側開水路320には水勾配がつけられていた。しかし、これに限らず、北側開水路310および南側開水路320の少なくとも一方に水勾配はつけられなくともよい。
【0076】
実施形態では、窓234A,234Bが外壁面232A,232Bの全面に設けられていた。しかし、これに限らず、窓234A,234Bは、外壁面232A,232Bの一部にのみ設けられていてもよく、また、窓234A、234Bの少なくとも一方は無くともよい。
【符号の説明】
【0077】
100・・・住宅
200・・・建物
231・・・リビングダイニングキッチン(居室)
219A・・・外壁面(第3壁面)
228A・・・外壁面(第3壁面)
219B・・・外壁面(第4壁面)
228B・・・外壁面(第4壁面)
232A・・・外壁面(第1壁面)
234A・・・窓(第1窓)
232B・・・外壁面(第2壁面)
234B・・・窓(第2窓)
300・・・庭
310・・・北側開水路(第1開水路)
310A・・・南端位置(第1端位置)
310B・・・北端位置(第3端位置)
320・・・南側開水路(第2開水路)
320A・・・北端位置(第2端位置)
320B・・・南端位置(第4端位置)
330・・・北側水流発生部(第1水流発生部)
340・・・南側水流発生部(第2水流発生部)
233A・・・北側ウッドデッキ(第1デッキ)
233B・・・南側ウッドデッキ(第2デッキ)
400・・・基礎