(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】内燃機関の制御装置
(51)【国際特許分類】
F01N 3/20 20060101AFI20231108BHJP
F01N 3/24 20060101ALI20231108BHJP
F01N 3/023 20060101ALI20231108BHJP
F01N 3/027 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
F01N3/20 B
F01N3/20 K ZHV
F01N3/24 L
F01N3/023 K
F01N3/027 A
(21)【出願番号】P 2021129143
(22)【出願日】2021-08-05
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】北浦 浩一
(72)【発明者】
【氏名】廣岡 重正
(72)【発明者】
【氏名】是永 真吾
(72)【発明者】
【氏名】今井 大地
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-68233(JP,A)
【文献】特開2008-57364(JP,A)
【文献】特開2012-72665(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電により発熱する触媒担体に触媒を担持した排気浄化触媒であり前記触媒担体に通電することにより前記触媒担体を発熱させる電気加熱式触媒を有する電気加熱式触媒システムが搭載されており、前記電気加熱式触媒と、排気に含まれる粒子状物質を捕集するフィルタとが、排気通路において上流側から前記電気加熱式触媒、前記フィルタの順に配置されている内燃機関に適用されて、
前記フィルタに堆積している前記粒子状物質を酸化させて除去する再生処理と、
前記電気加熱式触媒の絶縁抵抗が既定値以下であると判定されているときに前記電気加熱式触媒の前端部に堆積した前記粒子状物質を酸化させて除去する回復処理と、を実行する内燃機関の制御装置であり、
前記再生処理は前記再生処理の開始前よりも前記内燃機関の燃焼室から排出される排気の温度を上昇させる処理であり、
前記回復処理は前記燃焼室から排出される排気の温度を前記再生処理の場合よりも高い温度まで上昇させる処理であり、
前記絶縁抵抗が前記既定値以下であると判定されており且つ前記フィルタにおける前記粒子状物質の堆積量が既定量以上であると判定されているときには、前記再生処理を実行してから前記回復処理を実行する内燃機関の制御装置。
【請求項2】
前記排気通路における前記電気加熱式触媒よりも下流側且つ前記フィルタよりも上流側に設けられた排気圧センサによって検出した排気圧力に基づいて前記堆積量を推定する
請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項3】
前記電気加熱式触媒システムは、前記絶縁抵抗を検出するための漏電検知回路を備えており、
前記漏電検知回路を用いて前記絶縁抵抗を検出する
請求項1又は請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項4】
前記再生処理及び前記回復処理では、前記内燃機関における点火時期を遅角させることによって排気の温度を上昇させる
請求項1~3のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項5】
前記絶縁抵抗が前記既定値以下であると判定されており且つ前記堆積量が前記既定量以上であると判定されていて前記回復処理に先立って前記再生処理を実行する場合には、前記絶縁抵抗が前記既定値以下であると判定されていないときに前記再生処理を実行する場合よりも前記堆積量が多い状態で前記再生処理を終了させ、前記回復処理を開始する
請求項1~4のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項6】
前記燃焼室から排出される排気に含まれる酸素量が多いほど、前記回復処理の実行期間を短くする
請求項1~5のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項7】
前記絶縁抵抗が前記既定値以下であると判定されたときに、カウンタを既定の値に設定し、
前記回復処理を実行している間に、前記酸素量が多いほど大きな値に設定される減算量を繰り返し前記カウンタから減算して前記カウンタが終了判定値以下まで低下したときに前記回復処理を終了させる
請求項6に記載の内燃機関の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は内燃機関の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の排気を浄化する排気浄化触媒は、活性化温度において十分な能力を発揮するようになる。そのため、冷間始動時のような排気浄化触媒の温度が活性化温度未満の状態では、排気を十分に浄化できないおそれがある。
【0003】
そこで、内燃機関の排気通路に設けられた排気浄化触媒に、電力を供給することによって発熱するヒータの機能を持たせた電気加熱式触媒が知られている。電気加熱式触媒であれば、内燃機関を始動する前に電力を供給して排気浄化触媒を暖機するプレヒート処理を実行できる。
【0004】
電気加熱式触媒においては、漏電を抑制するために十分に高い絶縁抵抗を確保することが求められている。特許文献1には、電気加熱式触媒への通電を制御する制御装置が開示されている。特許文献1の制御装置は、電気加熱式触媒の絶縁抵抗が低いことが検知された場合に、絶縁抵抗を回復させる回復処理を実行する。
【0005】
なお、電気加熱式触媒の前端に堆積した粒子状物質を酸化させて除去するための回復処理として、特許文献1には内燃機関を稼働させて排気を送り込むことによって排気浄化触媒を加熱することが開示されている。
【0006】
なお、排気通路に排気中の粒子状物質を捕集するフィルタが設けられている場合がある。フィルタに粒子状物質が堆積すると、排気通路における排気の抵抗が増大してしまう。そのため、こうしたフィルタに流入する排気の温度を上昇させて、フィルタに堆積した粒子状物質を酸化させて除去し、フィルタを再生する再生処理を実行することもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
回復処理によって電気加熱式触媒の前端部に堆積した粒子状物質は酸化して除去される。排気通路における電気加熱式触媒よりも下流側にフィルタが設けられている場合には、回復処理による粒子状物質の酸化熱や、電気加熱式触媒における反応熱によって、フィルタには電気加熱式触媒に送り込まれた排気よりもさらに高温になった排気が導入される。その結果、フィルタに堆積している粒子状物質の酸化反応が連鎖的に進行してフィルタの温度が過剰に上昇してしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するための内燃機関の制御装置は、通電により発熱する触媒担体に触媒を担持した排気浄化触媒であり前記触媒担体に通電することにより前記触媒担体を発熱させる電気加熱式触媒を有する電気加熱式触媒システムが搭載されており、前記電気加熱式触媒と、排気に含まれる粒子状物質を捕集するフィルタとが、排気通路において上流側から前記電気加熱式触媒、前記フィルタの順に配置されている内燃機関に適用される。この制御装置は、前記フィルタに堆積している前記粒子状物質を酸化させて除去する再生処理と、前記電気加熱式触媒の絶縁抵抗が既定値以下であると判定されているときに前記電気加熱式触媒の前端部に堆積した前記粒子状物質を酸化させて除去する回復処理と、を実行する。前記再生処理は前記再生処理の開始前よりも前記内燃機関の燃焼室から排出される排気の温度を上昇させる処理である。また、前記回復処理は前記燃焼室から排出される排気の温度を前記再生処理の場合よりも高い温度まで上昇させる処理である。そして、この制御装置は、前記絶縁抵抗が前記既定値以下であると判定されており且つ前記フィルタにおける前記粒子状物質の堆積量が既定量以上であると判定されているときには、前記再生処理を実行してから前記回復処理を実行する。
【0010】
上記構成によれば、再生処理を先に実行するため、回復処理を実行するときには、フィルタにおける粒子状物質の堆積量が少なくなっている。回復処理による上流側での反応熱によって高温化した排気がフィルタに導入されたとしても、堆積量が少なくなっていれば、粒子状物質が燃え尽きて連鎖的な酸化反応は収束しやすい。そのため、フィルタの温度が過剰に高くなってしまうことを抑制できる。
【0011】
内燃機関の制御装置の一態様では、前記排気通路における前記電気加熱式触媒よりも下流側且つ前記フィルタよりも上流側に設けられた排気圧センサによって検出した排気圧力に基づいて前記堆積量を推定する。
【0012】
フィルタに粒子状物質が堆積すると、フィルタが目詰まりして排気が流れにくくなる。そのため、フィルタよりも上流側における排気圧力が高くなる。電気加熱式触媒よりも下流側且つフィルタよりも上流側に設けられた排気圧センサによって検出された排気圧力は、こうした粒子状物質の堆積による排気の流動抵抗の増大に応じて高くなる。そのため、上記構成のように検出した排気圧力に基づいて堆積量を推定し、推定した堆積量に基づいて粒子状物質の堆積量が既定量以上であることを判定することができる。
【0013】
内燃機関の制御装置の一態様では、前記電気加熱式触媒システムは、前記絶縁抵抗を検出するための漏電検知回路を備えており、前記漏電検知回路を用いて前記絶縁抵抗を検出する。
【0014】
前記電気加熱式触媒システムが、前記絶縁抵抗を検出するための漏電検知回路を備えている場合には、前記漏電検知回路を用いて検出した前記絶縁抵抗に基づいて前記絶縁抵抗が既定値以下であると判定することができる。
【0015】
内燃機関の制御装置の一態様では、前記再生処理及び前記回復処理では、前記内燃機関における点火時期を遅角させることによって排気の温度を上昇させる。
前記再生処理及び前記回復処理では、上記構成のように、前記内燃機関における点火時期を遅角させることによって排気の温度を上昇させることができる。
【0016】
内燃機関の制御装置の一態様では、前記絶縁抵抗が前記既定値以下であると判定されており且つ前記堆積量が前記既定量以上であると判定されていて前記回復処理に先立って前記再生処理を実行する場合には、前記絶縁抵抗が前記既定値以下であると判定されていないときに前記再生処理を実行する場合よりも前記堆積量が多い状態で前記再生処理を終了させ、前記回復処理を開始する。
【0017】
回復処理に先立って再生処理を実行する場合、再生処理に続けて実行される回復処理の実行中にも、高温の排気がフィルタに導入され続ける。そのため、回復処理の実行中もフィルタに堆積している粒子状物質を酸化させることができる。したがって、前記絶縁抵抗が既定値以下であると判定されていないときに再生処理を実行する場合よりも前記堆積量が多い状態で再生処理を終了させたとしても、堆積量を十分に低減することができる。上記構成によれば、再生処理の実行期間を短くして、速やかに回復処理に移行させることができる。
【0018】
内燃機関の制御装置の一態様では、前記燃焼室から排出される排気に含まれる酸素量が多いほど、前記回復処理の実行期間を短くする。
粒子状物質は、酸素が多いほど酸化しやすい。そのため、排気に含まれる酸素量が多いほど、回復処理の実行期間は短くて済む。上記構成によれば、こうした実情にあわせて排気に含まれる酸素量が多いほど、回復処理の実行期間を短くするため、必要以上に回復処理が実行されることを抑制できる。
【0019】
内燃機関の制御装置の一態様では、前記絶縁抵抗が前記既定値以下であると判定されたときに、カウンタを既定の値に設定する。そして、前記回復処理を実行している間に、前記酸素量が多いほど大きな値に設定される減算量を繰り返し前記カウンタから減算して前記カウンタが終了判定値以下まで低下したときに前記回復処理を終了させる。こうした構成を採用することによって、前記燃焼室から排出される排気に含まれる酸素量が多いほど、前記回復処理の実行期間を短くする構成を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、内燃機関の制御装置の一実施形態である制御装置と、同制御装置が制御する内燃機関を備えた車両との関係を示す模式図である。
【
図2】
図2は、上記車両に搭載された電気加熱式触媒システムの概略構成を示す模式図である。
【
図3】
図3は、絶縁回復要求の操作にかかるルーチンにおける一連の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、絶縁回復要求がONになっているときに実行する一連の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、堆積量PMが既定量PM_x以上且つ絶縁抵抗Rtが既定値Rt_x以下であると判定されたときの各種の状態の推移を示すタイムチャートである。
図5(a)は絶縁回復要求の状態、
図5(b)は堆積量PM、
図5(c)は目標温度、
図5(d)はカウンタCNT、それぞれの推移を示している。
【
図6】
図6は、堆積量PMが既定量PM_x未満且つ絶縁抵抗Rtが既定値Tt_x以下であると判定されたときの各種の状態の推移を示すタイムチャートである。
図6(a)は絶縁回復要求の状態、
図6(b)は堆積量PM、
図6(c)は目標温度、
図6(d)はカウンタCNT、それぞれの推移を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、一実施形態にかかる内燃機関の制御装置である制御装置100について、
図1~
図6を参照して説明する。
<車両10の構成>
まず、
図1を参照して制御装置100が搭載された車両10の構成を説明する。
【0022】
図1に示すように車両10は、内燃機関11及び第2モータジェネレータ32を動力源として備えている。すなわち車両10は、ハイブリッド車両である。なお、車両10は、ハイブリッド車両の中でも、外部電源60に接続してバッテリ50を充電することができるプラグインハイブリッド車両である。そのため、バッテリ50には、外部充電用の充電器51が接続されている。なお、バッテリ50は、例えば400Vの高圧バッテリである。また、第2モータジェネレータ32は、例えば三相交流型のモータジェネレータである。
【0023】
内燃機関11は、吸気通路12と排気通路21を備えている。なお、
図1に示す例では、内燃機関11は、4つの気筒を備えている。吸気通路12には、吸気通路12を流れる吸気の流量を調整するためのスロットルバルブ13が設けられている。内燃機関11には、吸気中に燃料を噴射する複数の燃料噴射弁14が、各気筒に対して1つずつ設けられている。なお、複数の燃料噴射弁14は、各気筒に対して複数個ずつ設けられていてもよいし、各気筒に対して設けられている個数がそれぞれ異なっていてもよい。また、内燃機関11には、燃料と吸気との混合気を火花放電により点火する複数の点火プラグ15が、各気筒に対して1つずつ設けられている。なお複数の点火プラグ15は、各気筒に対して複数個ずつ設けられていてもよいし、各気筒に対して設けられている個数がそれぞれ異なっていてもよい。
【0024】
内燃機関11の排気通路21には、触媒コンバータ29が設置されている。触媒コンバータ29には通電に応じて発熱する電気加熱式触媒210が搭載されている。電気加熱式触媒210は、電源装置220を介してバッテリ50と接続されている。電気加熱式触媒210を含む電気加熱式触媒システム200の詳しい構成については、
図2を参照して後述する。また、排気通路21における触媒コンバータ29よりも下流側には、フィルタ36が設けられている。フィルタ36は、排気に含まれる粒子状物質を捕集する。粒子状物質は燃焼によって生じるカーボンを主成分とする微細な粒子状の物質である。
【0025】
第2モータジェネレータ32は、パワーコントロールユニット35を介してバッテリ50と接続されている。第2モータジェネレータ32は、減速機構34を介して駆動輪40に連結されている。
【0026】
また、内燃機関11は、動力分割機構30及び減速機構34を介して駆動輪40に連結されている。なお、動力分割機構30には、第1モータジェネレータ31も連結されている。第1モータジェネレータ31は、例えば三相交流型のモータジェネレータである。動力分割機構30は、遊星歯車機構であり、内燃機関11の駆動力を第1モータジェネレータ31と駆動輪40とに分割することができる。
【0027】
第1モータジェネレータ31は、内燃機関11の駆動力や駆動輪40からの駆動力を受けて発電を行う。また、第1モータジェネレータ31は、内燃機関11を始動する際に、内燃機関11の回転軸を駆動するスタータとしての役割も担う。その際には、第1モータジェネレータ31は、バッテリ50からの電力の供給に応じて駆動力を発生するモータとして機能する。
【0028】
第1モータジェネレータ31及び第2モータジェネレータ32は、パワーコントロールユニット35を介してバッテリ50に接続されている。第1モータジェネレータ31によって発電された交流電力は、パワーコントロールユニット35により直流に変換されてバッテリ50に充電される。すなわち、パワーコントロールユニット35はインバータとして機能する。
【0029】
また、バッテリ50の直流電力は、パワーコントロールユニット35により交流に変換されて、第2モータジェネレータ32に供給される。なお、車両10を減速させる際には、駆動輪40からの駆動力を利用して第2モータジェネレータ32で発電を行う。そして、発電した電力はバッテリ50に充電される。すなわち、この車両10では回生充電を行う。この際には、第2モータジェネレータ32は、ジェネレータとして機能する。このときには、第2モータジェネレータ32によって発電された交流電力は、パワーコントロールユニット35により直流に変換されてバッテリ50に充電される。
【0030】
なお、第1モータジェネレータ31をスタータとして機能させるときは、パワーコントロールユニット35は、バッテリ50の直流電力を交流に変換して第1モータジェネレータ31に供給する。
【0031】
<制御装置100について>
制御装置100は、内燃機関11、第1モータジェネレータ31及び第2モータジェネレータ32を制御する。すなわち、制御装置100は、プラグインハイブリッド車両である車両10のパワートレーンを制御する制御装置である。そのため、制御装置100は、電気加熱式触媒システム200を含む内燃機関11を制御する。要するに、制御装置100は、内燃機関11を制御する制御装置でもある。
【0032】
制御装置100は、車両10の各部に設けられたセンサの検出信号が入力されている。制御装置100に入力される検出信号には、車速、アクセルペダル開度、バッテリ50の残容量に応じた充電状態SOCが含まれる。また、制御装置100には、内燃機関11の冷却水の温度である水温Twを検出する水温センサ101が接続されている。また、制御装置100には、車両10の運転者が車両10のシステムの起動及び停止を行うためのパワースイッチ102も接続されている。そのため、制御装置100は、パワースイッチ102からの入力信号に基づいて、車両10のシステムの起動状態を把握する。制御装置100には、内燃機関11から排出された排気の温度である排気温度を検出する上流側排気温センサ103が接続されている。なお、上流側排気温センサ103は排気通路21における触媒コンバータ29よりも上流側に配置されている。また、排気通路21における触媒コンバータ29よりも下流側であり且つフィルタ36よりも上流側の部分には、下流側排気温センサ107が配置されている。下流側排気温センサ107は、触媒コンバータ29を通過した排気の温度を検出する。また、上流側排気温センサ103及び下流側排気温センサ107と同様に、触媒コンバータ29の上流側と下流側には、それぞれ空燃比センサが設けられている。排気通路21における触媒コンバータ29よりも上流側の部分に配置されている上流側空燃比センサ105は、触媒コンバータ29に導入される排気の空燃比を検出する。排気通路21における触媒コンバータ29よりも下流側であり且つフィルタ36よりも上流側の部分には、下流側空燃比センサ106が配置されている。下流側空燃比センサ106は、触媒コンバータ29を通過した排気の空燃比を検出する。そして、排気通路21における触媒コンバータ29とフィルタ36との間の部分には、排気の圧力を検出する排気圧センサ104が配置されている。これらのセンサはいずれも制御装置100に接続されている。制御装置100には、これらのセンサの検出信号が入力されている。
【0033】
上記のように構成された車両10は、バッテリ50に蓄えられている電力を利用して第2モータジェネレータ32を駆動することにより、第2モータジェネレータ32のみを利用して駆動輪40を駆動するモータ走行を行うことができる。また、内燃機関11と第2モータジェネレータ32を利用して駆動輪40を駆動するハイブリッド走行を行うこともできる。
【0034】
<電気加熱式触媒システム200の構成>
次に
図2を参照して電気加熱式触媒システム200の構成を説明する。
図2に示すように、触媒コンバータ29には、電気加熱式触媒210を構成する第1排気浄化触媒26に加えて、第2排気浄化触媒27が搭載されている。第1排気浄化触媒26及び第2排気浄化触媒27は、いずれも排気の流れる方向に延びる複数の通路が区画されたハニカム構造の触媒担体に、三元触媒を担持させたものである。
【0035】
第1排気浄化触媒26及び第2排気浄化触媒27は、ケース24に収容されている。ケース24は、金属、例えばステンレス鋼によって形成された筒である。ケース24は、排気通路21の一部を構成する排気管である。ケース24内において、第1排気浄化触媒26及び第2排気浄化触媒27と、ケース24との間には、マット28が介在している。マット28は、絶縁体であり、例えば、アルミナを主成分とする無機繊維によって形成されている。
【0036】
マット28は、圧縮された状態で第1排気浄化触媒26及び第2排気浄化触媒27とケース24との間に介在している。そのため、第1排気浄化触媒26及び第2排気浄化触媒27は、圧縮されたマット28の復元力によってケース24内に保持されている。
【0037】
ケース24の上流側の部分には、上流側ほど径が小さくなっている上流側接続管23が外側から被せられて固定されている。また、ケース24の下流側の部分には、下流側ほど径が小さくなっている下流側接続管25が外側から被せられて固定されている。
【0038】
図2に示すように、上流側接続管23は、ケース24よりも直径の小さな上流側排気管22とケース24とを接続する。同様に、下流側接続管25は、ケース24よりも直径の小さな下流側の排気管とケース24とを接続する。このように、第1排気浄化触媒26及び第2排気浄化触媒27を収容したケース24と上流側接続管23と下流側接続管25とは、排気通路21の一部を構成する触媒コンバータ29を構成している。
【0039】
なお、ケース24の上流側の端部は、上流側排気管22に近づくにつれて径が小さくなっており、最も上流側排気管22に近い部分の直径は、上流側排気管22の直径とほぼ等しくなっている。
【0040】
第1排気浄化触媒26は、第2排気浄化触媒27よりも上流側に位置している。第1排気浄化触媒26の触媒担体は、通電されると電気抵抗となって発熱する素材によって形成されている。例えば、こうした素材としては、炭化ケイ素を用いることができる。なお、触媒担体は、温度が高いときには温度が低いときよりも電気抵抗が小さくなる特性を持っている。
【0041】
第1排気浄化触媒26には、第1電極211及び第2電極212が取り付けられている。第1電極211は正電極であり、第2電極212は負電極である。第1電極211と第2電極212の間に電圧をかけることによって第1排気浄化触媒26に電流が流れる。第1排気浄化触媒26に電流が流れると、触媒担体の電気抵抗によって触媒担体が発熱する。
【0042】
触媒担体の全体に対して均一に電流を流すために、第1電極211及び第2電極212は、触媒担体の外周面に沿って周方向及び軸方向に延びている。また、第1電極211及び第2電極212は、それぞれケース24を貫通している。
【0043】
第1電極211及び第2電極212のそれぞれとケース24との間には、アルミナなどの絶縁材料で構成された絶縁碍子213が嵌め込まれている。また、ケース24の内周面には、絶縁材料を塗布して絶縁コートが施されている。すなわち、排気管であるケース24における触媒担体が配置される部位には、絶縁コートが施されている。絶縁コートとしては、例えば、ガラスコートを用いることができる。これにより、第1排気浄化触媒26は、ケース24に対して電気的に絶縁されている。なお、絶縁コートは、温度が高いときには温度が低いときよりも電気抵抗が小さくなる特性を持っている。
【0044】
上記のように、第1排気浄化触媒26には、第1電極211及び第2電極212が取り付けられている。これにより、第1排気浄化触媒26は、電力を供給することによって発熱する電気加熱式触媒210になっている。以下では、電気加熱式触媒210をEHC210と称する。通電によって触媒担体が発熱することで第1排気浄化触媒26が加熱され、活性化が促進される。
【0045】
また、内燃機関11が稼働して排気が流れるようになると、EHC210を通過して温められた排気によって、熱が第2排気浄化触媒27にも移動する。これにより、第2排気浄化触媒27の暖機も促進される。
【0046】
第1電極211及び第2電極212は、パワーケーブルによって電源装置220にそれぞれ接続されている。こうしてEHC210は、電源装置220の電源回路221を介してバッテリ50に接続されている。電源装置220は、絶縁トランジスタ及びパワースイッチング素子を含む電源回路221と、電源回路221を制御する電源用制御装置である電源用マイコン222を備えている。電源回路221には、電流センサ224と、電圧センサ225とが設けられている。電流センサ224及び電圧センサ225は電源用マイコン222に接続されている。電源用マイコン222は、電流センサ224が出力する信号に基づいてEHC210に供給されている電流を検出する。また、電源用マイコン222は、電圧センサ225が出力する信号に基づいてEHC210に印加している電圧を検出する。なお、電源装置220には、補機バッテリ55が接続されている。
【0047】
また、電源装置220の電源回路221には、EHC210の絶縁抵抗Rtを検出して漏電を検知するための漏電検知回路223が設けられている。例えば、漏電検知回路223は、基準抵抗を備えている。漏電を検知する際には、補機バッテリ55から漏電検知回路223を含む電源回路221に電力を供給する。そして、電源用マイコン222は、このときに電流センサ224及び電圧センサ225によって検出される電流値及び電圧値に基づいてEHC210の絶縁抵抗Rtを算出する。なお、絶縁抵抗Rtは絶縁コートの電気抵抗値である。絶縁抵抗Rtが低いことに基づいて漏電を検知する。
【0048】
電源装置220は、制御装置100と相互に通信可能に接続されており、電源用マイコン222によって算出された絶縁抵抗Rtは制御装置100に出力される。また、制御装置100は、電源装置220に指令を出力し、電源装置220を介してEHC210への通電を制御する。すなわち、制御装置100は、電源装置220を介してバッテリ50の電力をEHC210に供給する。
【0049】
<走行モードについて>
プラグインハイブリッド車両である車両10では、バッテリ50の充電状態SOCに十分な余裕がある場合には、第2モータジェネレータ32のみを走行用の動力源として用いるモータ走行モードで走行する。このときの制御装置100は、内燃機関11を停止した状態に維持している。そして、制御装置100は、第2モータジェネレータ32が要求駆動力分の駆動力が得られるトルクを発生するようにパワーコントロールユニット35を制御する。
【0050】
また、制御装置100は、モータ走行モードでの走行中に、バッテリ50の充電状態SOCが一定の値を下回ると、車両10の走行モードをモータ走行モードからハイブリッド走行モードに切り替える。ハイブリッド走行モードは、内燃機関11及び第2モータジェネレータ32の双方を走行用の動力源として用いる走行モードである。
【0051】
<プレヒート処理について>
ハイブリッド走行モードへの切り替え直後から十分な排気浄化能力を発揮できるようにするためには、ハイブリッド走行モードに移行して内燃機関11を始動する前にEHC210に通電して、第1排気浄化触媒26を暖機しておくことが望ましい。
【0052】
そのため、制御装置100は、内燃機関11の始動に先立ってバッテリ50の電力をEHC210に通電して第1排気浄化触媒26を暖機するプレヒート処理を実行する。
制御装置100は、EHC通電要求がONになっているときにプレヒート処理を実行する。なお、EHC通電要求は、次の2つの条件のいずれもが成立しているときに、ONにされる。
【0053】
・充電状態SOCがハイブリッド走行モードへの切替閾値を下回っている。
・第1排気浄化触媒26の温度が活性化温度よりも低い既定温度以下である。
制御装置100は、水温センサ101によって検出される水温Twに基づいて第1排気浄化触媒26の温度を推定している。例えば、制御装置100は、水温センサ101によって検出される水温Twを第1排気浄化触媒26の温度とみなして第1排気浄化触媒26の温度が活性化温度よりも低い既定温度以下であるか否かを判定している。
【0054】
通電要求がONになると、制御装置100は、プレヒート処理を開始する。なお、制御装置100は、プレヒート処理を実行している間は、内燃機関11の始動を禁止する。制御装置100は、プレヒート処理において、投入電力の積算値である電力量が目標電力量に達するまでEHC210への通電を継続する。これによって第1排気浄化触媒26を活性化温度以上まで加熱して暖機を行う。なお、目標電力量は暖機が完了するまで第1排気浄化触媒26を加熱するために必要な電力量に基づいて設定される。また、電力量は、EHC210に実際に供給された電力の積算値である。
【0055】
制御装置100は、プレヒート処理において、電源回路221を制御してバッテリ50の電圧を変換してEHC210に電力を供給する。プレヒート処理によって第1排気浄化触媒26の温度が上昇すると、それに伴ってEHC210の電気抵抗は次第に低下する。そのため、制御装置100は、電気抵抗の低下にあわせて電圧を低くして投入電力を一定の電力に維持する。また、制御装置100は、電圧が予め設定された上限電圧の値を超えないように、上限電圧以下の範囲で電圧を制御する。すなわち、上限電圧は、プレヒート処理において電圧を制御する際の電圧の上限値である。なお、通電を開始すると、制御装置100は、電流センサ224によって検出している電流値及び電圧センサ225で検出している電圧値を読み込み、投入電力の積算を開始する。そして、制御装置100は、EHC210に通電している間、投入電力を積算してEHC210に投入した電力量を算出し続ける。
【0056】
制御装置100は、算出している電力量が目標電力量に到達したか否かを判定している。そして、電力量が目標電力量に到達したと判定した場合には、EHC210への通電を終了させる。すなわち、制御装置100は、電力量が目標電力量に到達するまでバッテリ50からの通電を継続する。そして、制御装置100は、電力量が目標電力量に到達すると、バッテリ50からの通電を終了させることにより、プレヒート処理を終了させる。
【0057】
そして、制御装置100は、プレヒート処理を終了させると、内燃機関11の始動を許可し、内燃機関11を始動させる。
ところで、制御装置100は、プレヒート処理を開始する前に、EHC210の絶縁抵抗Rtを確認する。
【0058】
この車両10では、システムが起動したときに、上述したように電源用マイコン222が漏電検知回路223を用いて絶縁抵抗Rtを検出する。なお、上述したように、このときには補機バッテリ55の電力をEHC210に供給して絶縁抵抗Rtを検出する。
【0059】
EHC通電要求がONになったときに、制御装置100は、システム起動時に検出した絶縁抵抗Rtを読み込んで取得する。そして、プレヒート処理を開始する前に絶縁抵抗Rtが既定値Rt_xよりも高いか否かを判定する。既定値Rt_xは、絶縁抵抗Rtが既定値Rt_xよりも高いことに基づいて絶縁抵抗Rtが漏電を抑制する上で十分な大きさであることを判定するための閾値である。絶縁抵抗Rtが既定値Rt_x以下であるときには、EHC210への通電を禁止する。
【0060】
EHC210への通電が禁止されているときには、制御装置100は、EHC通電要求がONになっていてもEHC210への通電を行わない。すなわち、この場合には、制御装置100は、プレヒート処理を実行せずに内燃機関11を始動させる。
【0061】
<回復処理について>
制御装置100は、低下してしまった絶縁抵抗Rtを回復させる回復処理を実行する。絶縁コートが施されているケース24内に、排気に含まれる粒子状物質が付着すると、粒子状物質に含まれるカーボンによって導通パスが形成される場合がある。すなわち、絶縁コートの表面に付着したカーボンが連なり、電流が流れている第1排気浄化触媒26と絶縁コートが施されていない部分とを繋ぐ導通パスが形成されることがある。なお、
図2に示すように触媒コンバータ29では、ケース24は、第1排気浄化触媒26を収容している部分よりも上流側まで延びている。電流が流れる第1排気浄化触媒26から離れた位置までケース24が延びていることにより、絶縁コートが施されていない部分までのケース24の表面積が大きくなる。これにより、通電パスの形成を抑制する効果が期待できる。
【0062】
回復処理は、内燃機関11の排気の熱を利用してカーボンによる導通パスを焼き切る処理である。回復処理を実行すると、絶縁抵抗Rtが回復することがある。
<再生処理について>
フィルタ36に粒子状物質が堆積すると、排気通路21における排気の抵抗が増大してしまう。そのため、制御装置100は、フィルタ36に堆積した粒子状物質を除去してフィルタ36を再生する再生処理を実行する。再生処理では、制御装置100は、フィルタ36に流入する排気の温度を上昇させて、フィルタ36に堆積した粒子状物質を酸化させる。
【0063】
なお、制御装置100は、排気圧センサ104によって検出される触媒コンバータ29とフィルタ36との間の排気圧力に基づいてフィルタ36における粒子状物質の堆積量PMを推定する。フィルタ36に粒子状物質が堆積するほど、排気圧センサ104によって検出される排気圧力は高くなる。そこで、排気圧センサ104で検出される排気圧力が高いほど堆積量PMが多いと推定する。
【0064】
そして、制御装置100は、排気圧力に基づいて推定した堆積量PMが閾値PM_yよりも多いときに、再生処理を実行する。なお、制御装置100は、堆積量PMが「0」になると再生処理を終了させる。
【0065】
<再生処理と回復処理の実行順序について>
このように、再生処理も回復処理も粒子状物質を酸化させて除去する処理である。回復処理によってEHC210の前端部、すなわちケース24におけるEHC210よりも上流側の部分に堆積した粒子状物質は回復処理によって除去される。車両10では、EHC210よりも下流側にフィルタ36が設けられている。この場合には、回復処理による粒子状物質の酸化熱や、EHC210における反応熱によって、フィルタ36にはEHC210に送り込まれた排気よりもさらに高温になった排気が導入される。その結果、フィルタ36に堆積している粒子状物質の酸化反応が連鎖的に進行してフィルタ36の温度が過剰に上昇してしまうおそれがある。
【0066】
そこで、制御装置100は、回復処理の実行条件が成立しているときに、堆積量PMが既定量PM_x以上であると判定されている場合には、再生処理を先に実行するようにしている。すなわち、制御装置100では、絶縁抵抗Rtが既定値Rt_x以下であると判定されており且つ堆積量PMが既定量PM_x以上であると判定されているときには、再生処理を実行してから回復処理を実行する。なお、既定量PM_xは閾値PM_yよりも小さい値である。既定量PM_xは、回復処理を実行した場合にフィルタ36に堆積している粒子状物質が連鎖的に反応し、フィルタ36が過剰に高温になってしまうおそれがあることを判定するための閾値である。
【0067】
次に、
図3及び
図4を参照しながら、再生処理と回復処理の実行順序の制御にかかる処理の流れについて説明する。
<絶縁回復要求について>
まず、
図3を参照して、回復処理の実行要求である絶縁回復要求の操作にかかるルーチンについて説明する。
図3に示すこのルーチンは、内燃機関11の運転中に制御装置100によって繰り返し実行される。
【0068】
制御装置100は、このルーチンを開始すると、まずステップS100の処理において、絶縁抵抗Rtを取得する。具体的には、制御装置100は、検出済みの最新の絶縁抵抗Rtを読み込んで取得する。例えば、制御装置100は、システム起動時に検出した絶縁抵抗Rtを読み込んで取得する。そして、次のステップS110の処理において、制御装置100は、取得した絶縁抵抗Rtが既定値Rt_x以下であるか否かを判定する。
【0069】
ステップS110の処理において、絶縁抵抗Rtが既定値Rt_x以下であると判定した場合(ステップS110:YES)には、制御装置100は、処理をステップS120へと進める。そして、制御装置100は、ステップS120の処理において、絶縁回復要求をONにする。なお、絶縁回復要求は初期状態ではOFFである。パワースイッチ102がOFFにされ、車両10のシステムの稼働が停止される度に絶縁回復要求はOFFにリセットされる。なお、絶縁抵抗Rtが既定値Rt_x以下である場合には、上述したようにEHC210への通電は禁止される。そのため、絶縁回復要求がONになっているときにはEHC210への通電は行われず、プレヒート処理を実行せずに内燃機関11の始動が許可される。
【0070】
一方で、ステップS110の処理において、絶縁抵抗Rtが既定値Rt_xよりも高いと判定した場合(ステップS110:NO)には、制御装置100は、処理をステップS130へと進める。そして、制御装置100は、ステップS130の処理において、絶縁回復要求をOFFにする。後述するように、回復処理が終了したときには、制御装置100は、絶縁抵抗Rtを改めて検出する。そのため、回復処理を通じて絶縁抵抗Rtが回復した場合には、このルーチンにおけるこのステップS130の処理を通じて絶縁回復要求がOFFにリセットされる。また、絶縁抵抗Rtが既定値Rt_xよりも高くなれば、EHC210への通電禁止は解除される。
【0071】
こうしてステップS120又はステップS130の処理を実行し、絶縁回復要求を更新する処理を実行すると、制御装置100は、このルーチンを一旦終了させる。
なお、回復処理が終了したときに、絶縁抵抗Rtが回復すれば、EHC210への通電禁止が解除されるが、回復処理が終了しても絶縁抵抗Rtが回復せず、絶縁抵抗Rtが既定値Rt_x以下の状態が継続することもある。この場合には、絶縁不良の異常が発生していると判定するようにしてもよい。
【0072】
<絶縁回復要求がONのときの回復処理と再生処理について>
図4は、絶縁回復要求がONのときに制御装置100が繰り返し実行するルーチンの処理の流れを示している。
図4に示すようにこのルーチンを開始すると、制御装置100は、まずステップS200の処理において、堆積量PMを取得する。具体的には、制御装置100は、上述したように排気圧センサ104の検出した排気圧力に基づいて推定した堆積量PMを読み込んで取得する。そして、制御装置100は処理をステップS210へと進める。
【0073】
ステップS210の処理において、制御装置100は、堆積量PMが既定量PM_xよりも少ないか否かを判定する。すなわち、このステップS210の処理では、回復処理を実行してもフィルタ36の過熱が発生しない状態であるか否かを判定する。
【0074】
ステップS210の処理において堆積量PMが既定量PM_xよりも少ないと判定した場合(ステップS210:YES)には、制御装置100は、処理をステップS220へと進める。そして、ステップS220の処理において、回復処理として第1酸化制御を実行する。すなわち、堆積量PMが既定量PM_x未満であり、回復処理を実行してもフィルタ36の過熱は発生しないと判定した場合には、制御装置100は回復処理を実行する。
【0075】
一方で、ステップS210の処理において堆積量PMが既定量PM_x以上であると判定した場合(ステップS210:NO)には、制御装置100は、処理をステップS230へと進める。そして、ステップS230の処理において、再生処理として第2酸化制御を実行する。すなわち、堆積量PMが既定量PM_x以上であり、回復処理を実行するとフィルタ36の過熱が発生するおそれがあると判定した場合には、制御装置100は回復処理を実行せずに、再生処理を実行する。
【0076】
上述したように再生処理と回復処理はいずれも内燃機関11の燃焼室から排出される排気の温度を上昇させて粒子状物質を酸化させる酸化制御である。回復処理として実行する第1酸化制御と再生処理として実行する第2酸化制御とでは、燃焼室から排出される排気の目標温度が異なっている。
【0077】
フィルタ36に堆積している粒子状物質を酸化させる再生処理としての第2酸化制御の場合、フィルタ36よりも上流側にある第1排気浄化触媒26及び第2排気浄化触媒27における反応熱を考慮して低めの目標温度Taを設定している。
【0078】
具体的には、目標温度Taは、第1排気浄化触媒26及び第2排気浄化触媒27における反応熱によって温度が上昇した排気がフィルタ36に流入することによって粒子状物質を酸化させることができる程度の温度に設定されている。また、目標温度Taは、フィルタ36に堆積している粒子状物質が連鎖的に酸化することによりフィルタ36が過熱に陥らない程度の大きさに設定されている。
【0079】
一方で、EHC210の前端部、すなわちケース24におけるEHC210よりも上流側の部分に付着している粒子状物質に含まれるカーボンを酸化させる回復処理の場合には、触媒の反応熱によらずに粒子状物質を酸化させる必要がある。そのため、回復処理として実行する第1酸化制御における目標温度Tbは、目標温度Taよりも高い。目標温度Tbは粒子状物質を酸化させることができる温度に設定されている。
【0080】
なお、制御装置100では、ステップS220の回復処理としての第1酸化制御及びステップS230の再生処理としての第2酸化制御のいずれにおいても点火時期を遅角させることによって排気の温度を上昇させる。すなわち、酸化制御を実行していない場合と比較して点火時期を遅角させる。点火時期を遅角させることにより燃焼が緩慢になり、排気の温度が高くなる。第1酸化制御では、第2酸化制御よりも点火時期の遅角量を大きくすることによってより排気の温度を高くする。
【0081】
このように、第2酸化制御では燃焼室から排出される排気の温度が目標温度Taになるように点火時期を遅角させ、第1酸化制御では燃焼室から排出される排気の温度が目標温度Tbになるように、点火時期をより大きく遅角させる。
【0082】
また、制御装置100は、燃料噴射量を、酸化制御を実行していない場合と比較して増量して内燃機関11の出力を増大させる。これにより、点火時期の遅角による出力の低下を補うことができる。また、排気の流量を増大させて、単位時間当たり投入する熱量を増大させることができる。
【0083】
ステップS230の処理において、再生処理としての第2酸化制御を実行すると、制御装置100は、この一連の処理を一旦終了させる。再生処理を実行することにより、フィルタ36における堆積量PMは次第に減少する。そのため、このルーチンを繰り返し実行することにより、堆積量PMがいずれ既定量PM_xよりも少なくなり、ステップS210において肯定判定がなされるようになる(ステップS210:YES)。すなわち、いずれ再生処理から回復処理に移行するようになる。
【0084】
ステップS220の処理において、回復処理としての第1酸化制御を実行すると、制御装置100は、処理をステップS240へと処理を進め、カウンタCNTを更新する。カウンタCNTは、絶縁抵抗Rtが既定値Rt_x以下であると判定され、EHC210への通電を禁止したときに既定の値に設定される。このステップS240の処理では、このカウンタCNTの値を減算して更新する。ステップS240の処理においてカウンタCNTを減算する量は、上流側空燃比センサ105で検出される触媒コンバータ29よりも上流側の排気の空燃比に応じて設定される。具体的には上流側空燃比センサ105で検出される空燃比が高いときほど、すなわち排気に含まれる酸素量が多いほど大きな値に設定される。
【0085】
こうしてステップS240の処理において、カウンタCNTを更新すると、制御装置100は処理をステップS250へと進める。そして、ステップS250の処理において、制御装置100は、カウンタCNTが終了判定値である閾値CNT_x以下であるか否かを判定する。
【0086】
ステップS250の処理において、カウンタCNTが閾値CNT_xより大きいと判定した場合(ステップS250:NO)には、制御装置100は、このルーチンを一旦終了させる。一方で、ステップS250の処理において、カウンタCNTが閾値CNT_x以下であると判定した場合(ステップS250:YES)には、制御装置100は、処理をステップS260へと進める。そして、ステップS260の処理において、制御装置100は、抵抗確認制御を実行する。
【0087】
この抵抗確認制御では、まず、システムが起動したときと同様に、電源用マイコン222が漏電検知回路223を用いて絶縁抵抗Rtを検出する。次に、制御装置100は、
図3を参照して説明したルーチンを実行する。そして、改めて検出した絶縁抵抗Rtが既定値Rt_xよりも高くなっていれば(ステップS110:NO)、制御装置100は、絶縁回復要求をOFFに更新する(ステップS130)。そして、制御装置100は、抵抗確認制御を終了させ、このルーチンを終了させる。
【0088】
こうして絶縁回復要求がOFFにされると、このルーチンは実行されなくなり、回復処理も実行されなくなる。すなわち、制御装置100は、ステップS260の処理において絶縁回復要求をOFFに更新することにより、回復処理を終了させる。
【0089】
一方で、改めて検出した絶縁抵抗Rtが既定値Rt_x以下のままであれば(ステップS110:YES)、制御装置100は、絶縁回復要求をONのままにする(ステップS120)。そして、制御装置100は、抵抗確認制御を終了させ、このルーチンを終了させる。
【0090】
絶縁回復要求がONのままなので、この場合には、再び回復処理が実行されることになる。なお、回復処理を繰り返し実行しても絶縁抵抗Rtが回復しない場合には、EHC210に異常が発生していると判定するようにしてもよい。
【0091】
このように制御装置100は、回復処理を開始すると、ステップS250の処理においてカウンタCNTが閾値CNT_x以下であると判定されるまで、このルーチンを繰り返し実行して回復処理を継続させる。カウンタCNTの初期値として設定される既定の値の大きさや、減算量の大きさは、絶縁抵抗Rtを回復させるのに必要な期間に亘って回復処理を継続させることができるように、予め行う実験などの結果に基づいて設定されている。
【0092】
<作用>
次に、
図5及び
図6を参照して制御装置100の作用について説明する。なお、
図5及び
図6は、回復処理が実行されるときの堆積量PMの推移を示すタイムチャートである。
図5及び
図6では、(b)が、堆積量PMの推移を示している。また、
図5及び
図6には、堆積量PMの推移の他に、絶縁回復要求の状態の推移、酸化制御における目標温度の推移、カウンタCNTの推移が示されている。すなわち、
図5及び
図6における(a)は、絶縁回復要求の状態の推移を示している。
図5及び
図6における(c)は、酸化制御における目標温度の推移を示している。
図5及び
図6における(d)は、カウンタCNTの推移を示している。
【0093】
なお、
図5及び
図6では、「t」の後に数字を付して時刻を示している。
図5及び
図6では、「t」の後に付された数字が大きいほど、時間的に後の時刻であることを示している。例えば、
図5における「t4」は、
図6における「t3」よりも後の時刻である。
【0094】
図5は絶縁抵抗Rtが既定値Rt_x以下であると判定され、且つ堆積量PMが既定量PM_x以上であると判定されたときの各値の推移を示すフローチャートである。
図6は絶縁抵抗Rtが既定値Rt_x以下であると判定され、且つ堆積量PMが既定量PM_x未満であると判定されたときの各値の推移を示すフローチャートである。
【0095】
時刻t1において絶縁抵抗Rtが既定値Rt_x以下であると判定されると(ステップS110:NO)、
図5(a)に示すように絶縁回復要求がOFFからONに更新される(ステップS120)。これにより、カウンタCNTが既定の値に設定される。
【0096】
時刻t2において
図4に示したルーチンが開始されると、
図5(b)に示すように、堆積量PMが既定量PM_x以上(ステップS210:NO)であるため、再生処理として第2酸化制御が開始される(ステップS230)。これにより、
図5(c)に示すように、内燃機関11の燃焼室から排出される排気の温度が目標温度Taになるような酸化制御が実行される。
【0097】
こうして時刻t2において再生処理を開始すると、
図5(b)に示すように堆積量PMが次第に減少していく。時刻t4において堆積量PMが既定量PM_xを下回る(ステップS210:YES)と、回復処理として第1酸化制御が開始される(ステップS220)。すなわち、制御装置100が実行する処理は、再生処理から回復処理に移行する。これにより、
図5(c)に示すように、内燃機関11の燃焼室から排出される排気の温度が目標温度Taよりも高い目標温度Tbになるような第2酸化制御が実行されるようになる。
【0098】
時刻t4において回復処理が開始されると、カウンタCNTの更新が開始される(ステップS250)。これにより、
図5(d)に示すように、時刻t4以降はカウンタCNTが次第に減少していく。
【0099】
このとき、回復処理によってEHC210の前端部の粒子状物質が酸化して除去されるとともに、触媒コンバータ29の下流側に位置するフィルタ36には酸化熱や、触媒コンバータ29における反応熱で温められた排気が導入される。そのため、フィルタ36においても粒子状物質の酸化が継続する。そのため、
図5(b)に示すように時刻t4以降も堆積量PMは減少し続ける。なお、
図5では、時刻t7において堆積量PMは「0」になっている。
【0100】
図5(d)に示すように、時刻t8において、カウンタCNTが閾値CNT_x以下になったことが判定されると(ステップS250:YES)、抵抗確認制御が実行される(ステップS260)。そして、絶縁抵抗Rtが既定値Rt_xよりも高くなっていれば(ステップS110:NO)、
図5(a)に示すように、時刻t9において絶縁回復要求がOFFに更新される。これにより、回復処理が終了する。
【0101】
このように、制御装置100によれば、絶縁抵抗Rtが既定値Rt_x以下であると判定されており且つ堆積量PMが既定量PM_x以上であると判定されているときには、再生処理が先に実行される。そして、再生処理により堆積量PMが減少してから回復処理が実行される。
【0102】
次に、
図6を参照して堆積量PMが既定量PM_x以上であると判定されていないときの作用を説明する。
この場合にも、
図6(a)に示すように、時刻t1において絶縁抵抗Rtが既定値Rt_x以下であると判定されると(ステップS110:NO)、絶縁回復要求がOFFからONに更新される(ステップS120)。これにより、カウンタCNTが既定の値に設定される。
【0103】
この場合には、
図6(b)に示すように、堆積量PMが既定量PM_x未満(ステップS210:YES)である。そのため、この場合には、時刻t2において
図4に示したルーチンが開始されると、回復処理として第1酸化制御が開始される(ステップS220)。これにより、
図6(c)に示すように、内燃機関11の燃焼室から排出される排気の温度が目標温度Tbになるような第1酸化制御が実行される。上述したように回復処理を実行している間は、堆積量PMが減少し続ける。そのため、こうして時刻t2において回復処理を開始すると、
図6(b)に示すように堆積量PMが次第に減少していく。なお、
図6では、時刻t3において堆積量PMは「0」になっている。
【0104】
時刻t2において回復処理が開始されると、カウンタCNTの更新が開始される(ステップS250)。これにより、
図6(d)に示すように、時刻t2以降はカウンタCNTが次第に減少していく。
【0105】
図6(d)に示すように、時刻t5において、カウンタCNTが閾値CNT_x以下になったことが判定されると(ステップS250:YES)、抵抗確認制御が実行される(ステップS260)。そして、絶縁抵抗Rtが既定値Rt_xよりも高くなっていれば(ステップS110:NO)、
図6(a)に示すように、時刻t6において絶縁回復要求がOFFに更新される。これにより、回復処理が終了する。
【0106】
このように、制御装置100によれば、絶縁抵抗Rtが既定値Rt_x以下であると判定されており且つ堆積量PMが既定量PM_x以上であると判定されていないときには、再生処理が実行されずに回復処理が実行される。そして、回復処理によりEHC210の前端部の粒子状物質とフィルタ36に堆積している粒子状物質が除去される。
【0107】
<効果>
本実施形態の効果について説明する。
(1)制御装置100では、絶縁抵抗Rtが既定値Rt_x以下であると判定されており且つ堆積量PMが既定量PM_x以上であると判定されているときには再生処理を先に実行する。そのため、回復処理を実行するときには、フィルタ36における粒子状物質の堆積量PMが少なくなっている。回復処理による上流側での反応熱によって高温化した排気がフィルタ36に導入されたとしても、堆積量PMが少なくなっていれば、粒子状物質が燃え尽きて連鎖的な酸化反応は収束しやすい。そのため、フィルタ36の温度が過剰に高くなってしまうことを抑制できる。
【0108】
(2)制御装置100では、絶縁抵抗Rtが既定値Rt_x以下と判定されており且つ堆積量PMが既定量PM_x以上と判定されていないときには、再生処理を実行せずに回復処理を実行する。そのため、一度の回復処理によって、EHC210の前端部の粒子状物質及びフィルタ36に堆積した粒子状物質の双方を除去することができる。
【0109】
(3)
図5に示したように、制御装置100では、絶縁抵抗Rtが既定値Rt_x以下と判定されており且つ堆積量PMが既定量PM_x以上と判定されていて回復処理に先立って再生処理を実行する場合には、堆積量PMが既定量PM_xを下回ったときに再生処理から回復処理に移行する。すなわち、制御装置100は、堆積量PMが「0」になる前に再生処理を終了させる。要するに、この場合には、制御装置100は、絶縁抵抗Rtが既定値Rt_x以下と判定されていないときに再生処理を実行する場合よりも堆積量PMが多い状態で再生処理を終了させ、回復処理を開始する。
【0110】
回復処理に先立って再生処理を実行する場合、再生処理に続けて実行される回復処理の実行中にも、高温の排気がフィルタ36に導入され続ける。そのため、回復処理の実行中もフィルタ36に堆積している粒子状物質を酸化させることができる。したがって、絶縁抵抗Rtが既定値Rt_x以下と判定されていないときに再生処理を実行する場合よりも堆積量PMが多い状態で再生処理を終了させたとしても、堆積量PMを十分に低減することができる。したがって、制御装置100によれば、再生処理の実行期間を短くして、速やかに回復処理に移行させることができる。
【0111】
(4)上記のように速やかに回復処理に移行させることができるため、絶縁抵抗Rtを早期に回復させ、速やかに通電の禁止を解除することができる。
(5)。粒子状物質は、酸素が多いほど酸化しやすい。そのため、排気に含まれる酸素量が多いほど、回復処理の実行期間は短くて済む。制御装置100では、燃焼室から排出される排気に含まれる酸素量が多いほど、回復処理の実行期間を短くしている。そのため、必要以上に回復処理が実行されることを抑制できる。
【0112】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0113】
・温度が高いほど粒子状物質は酸化しやすい。内燃機関11の燃焼室から排出される排気の温度が高いほど、カウンタCNTの減算量を大きな値に設定するようにしてもよい。
・カウンタCNTを用いて回復処理を終了させるタイミングを決定する方法を例示したが、こうした方法には限らない。異なる方法を適用してもよい。また、カウンタCNTを減少させる例を示したが、カウンタCNTを増大させていって、カウンタCNTが閾値に達したことを条件に回復処理を終了させるようにしてもよい。
【0114】
・カウンタCNTを回復処理の実行中のみ減算する例を示したが、再生処理の実行中に減算させる仕様もあり得る。排気の温度によっては、再生処理中にEHC210の前端部の粒子状物質が酸化することもあり得る。再生処理としての第2酸化制御における目標温度Taが、酸化熱や反応熱が加わってもフィルタ36における過熱が発生しない温度に設定されていればよい。
【0115】
・再生処理において、フィルタ36に酸素を供給する制御を合わせて実行してもよい。例えば一部の気筒における燃料噴射と点火を休止させ、その気筒から排気通路21に空気を排出させることにより、フィルタ36に酸素を供給することができる。こうした酸素供給を行えば、触媒コンバータ29に設けられた三元触媒に酸素が吸蔵されても、フィルタ36に十分な酸素を供給できる。フィルタ36に酸素を供給することにより、燃焼が促進され、速やかに再生処理を完了させることができる。また、あわせて他の気筒の燃料噴射量を増大させて、平均の空燃比を理論空燃比近傍に維持するようにしてもよい。
【0116】
・堆積量PMが既定量PM_x以上であることを判定する方法は適宜変更可能である。例えば、排気圧力が閾値以上であることに基づいて堆積量PMが既定量PM_x以上であると判定するようにしてもよい。
【0117】
・排気圧力によらずにフィルタ36における粒子状物質の堆積量PMを推定してもよい。例えば、排気の流量から堆積量PMを算出してもよい。さらに、三元触媒での反応による影響を考慮してフィルタ36に流入する粒子状物質の量を算出するようにするとよい。また、回復処理による酸化による排気中の粒子状物質の減少量を算出してその減少量も堆積量PMの算出に反映させるようにしてもよい。
【0118】
・触媒コンバータ29の構成は、適宜変更可能である。例えば、第2排気浄化触媒27を備えていない構成であってもよい。
・排気浄化触媒の触媒担体に担持される触媒は、三元触媒に限らず、例えば、酸化触媒、吸蔵還元型NOx触媒、又は選択還元型NOx触媒であってもよい。
【0119】
・電気加熱式触媒の例として、排気浄化触媒自体に電流を流し、加熱するEHC210を例示した。しかしながら、電気加熱式触媒の構成はこうした構成に限定されない。例えば、電気加熱式触媒は、排気浄化触媒と隣接する位置に通電により発熱するヒータを設け、ヒータによって排気浄化触媒を加熱する構成であってもよい。
【0120】
・電気加熱式触媒システム200及び制御装置100が搭載される車両10は、プラグインハイブリッド車両だけでなく、プラグイン機能を有しないハイブリッド車両、及び、内燃機関11のみを動力源とする車両であってもよい。プラグインハイブリッド車両以外のこれらの車両の例では、EHC210の通電要求は、内燃機関11の始動要求があり且つEHC210の温度が所定値以下となる場合にONになる。
【0121】
・制御装置100は、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサ、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路として構成し得る。また、制御装置100は、これらの組み合わせを含む回路(circuitry)としても構成し得る。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0122】
・また、内燃機関の制御装置を、車両10のパワートレーンを制御する制御装置100として具現化した例を示した。これに対して、内燃機関の制御装置を、内燃機関11を制御する専用の制御装置として構成してもよい。
【符号の説明】
【0123】
10…車両
11…内燃機関
21…排気通路
24…ケース
26…第1排気浄化触媒
27…第2排気浄化触媒
28…マット
29…触媒コンバータ
36…フィルタ
50…バッテリ
55…補機バッテリ
100…制御装置
101…水温センサ
102…パワースイッチ
103…上流側排気温センサ
104…排気圧センサ
105…上流側空燃比センサ
106…下流側空燃比センサ
107…下流側排気温センサ
200…電気加熱式触媒システム
210…電気加熱式触媒
220…電源装置
221…電源回路
222…電源用マイコン
223…漏電検知回路
224…電流センサ
225…電圧センサ