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特許7380659電子機器、電子時計、情報出力方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】電子機器、電子時計、情報出力方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0245 20060101AFI20231108BHJP
   A61B 5/02 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
A61B5/0245 F
A61B5/02 310B
A61B5/0245 200
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021148349
(22)【出願日】2021-09-13
(65)【公開番号】P2023041157
(43)【公開日】2023-03-24
【審査請求日】2022-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】大村 竜義
【審査官】田辺 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-120065(JP,A)
【文献】特開2012-161556(JP,A)
【文献】特開昭62-274288(JP,A)
【文献】国際公開第2019/003549(WO,A1)
【文献】特開2021-069615(JP,A)
【文献】特開2018-007887(JP,A)
【文献】特開2017-133961(JP,A)
【文献】特開2018-109580(JP,A)
【文献】特開2017-090362(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0297223(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B5/00-5/0538、5/06-5/398、
9/00-10/06
G06Q50/22
G16H10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1出力部と、
処理部と、
を備え、
前記処理部は、
生体の情報である生体情報を取得し、
前記取得した生体情報に基づいて前記生体情報の信頼度を算出し、
針の位置により前記第1出力部に前記生体情報を表示させ、
前記針の振動によって前記第1出力部に前記算出した信頼度に関する情報を出力させる、
電子機器。
【請求項2】
前記処理部は、
前記算出した信頼度が第1閾値未満なら前記針の振動の振幅を第1振幅値に設定し、
前記算出した信頼度が前記第1閾値以上なら前記針の振動の振幅を第2振幅値に設定する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
記処理部は、
前記算出した信頼度が前記第1閾値以上で、かつ第2閾値未満なら前記針の振動の振幅を前記第2振幅値に設定し、
前記算出した信頼度が前記第2閾値以上なら前記針の振動の振幅を0に設定する、
請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第1出力部は文字により前記生体情報を表示する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
記処理部は、
前記算出した信頼度に基づいて文字の色、大きさ、濃さ、フォントのうちの少なくとも1つの属性を変更した文字で前記第1出力部に前記生体情報を表示する、
請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記第1出力部はグラフにより前記生体情報を表示する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
記処理部は、
前記算出した信頼度に基づいてグラフの線の線種、線幅、色及び濃さのうちの少なくとも1つの属性を変更した線のグラフで前記第1出力部に前記生体情報を表示する、
請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
第2出力部を備え、
前記処理部は前記第2出力部に前記信頼度に関する情報を出力する、
請求項1から7のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項9】
前記生体情報は脈拍数である、
請求項1から8のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項10】
請求項1から3のいずれか1項に記載の電子機器であって、
前記針と、時刻を計時する計時部と、を備える電子時計。
【請求項11】
第1出力部と処理部とを備える電子機器における情報出力方法であって、
前記処理部が、
生体の情報である生体情報を取得し、
前記取得した生体情報に基づいて前記生体情報の信頼度を算出し、
針の位置により前記第1出力部に前記生体情報を表示させ、
前記針の振動によって前記第1出力部に前記算出した信頼度に関する情報を出力する、
情報出力方法。
【請求項12】
第1出力部と処理部とを備えた電子機器のコンピュータに、
生体の情報である生体情報を取得し、
前記取得された生体情報に基づいて前記生体情報の信頼度を算出し、
針の位置により前記第1出力部に前記生体情報を表示させ、
前記針の振動によって前記第1出力部に前記算出した信頼度に関する情報を出力する、
処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、電子時計、情報出力方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、身体に装着する腕時計のような電子機器において、光学センサ等のセンサを用いて脈拍数等の生体情報を計測することができる電子機器が開発されている。このような電子機器は、ユーザ(装着者)の生体情報を手軽に計測することができる反面、例えば、腕にしっかりと装着されていない等、使い方によっては、計測される生体情報の信頼度が低下してしまう。信頼度の低い生体情報は誤差が大きい可能性があるが、誤差の大きい情報が表示されると、ユーザに余計な不安を与えるおそれがある。したがって、信頼度の高低が存在する情報を表示する場合には、その情報の信頼度も把握できるようにすることが望ましい。例えば特許文献1には、生体情報を表示する際に、その生体情報の信頼度も表示することができる電子装置及び方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-41088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来技術では、例えば特許文献1の図6に示されているように、生体情報と信頼度とが別々の欄に表示されているため、ユーザは生体情報の欄を見ただけでは、その生体情報の信頼度を把握することはできず、信頼度を把握するには、信頼度の欄も見る必要があった。
【0005】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、ユーザが生体情報を把握する際に当該生体情報の信頼度も同時に把握可能な出力態様で当該生体情報を出力することができる電子機器、電子時計、情報出力方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る電子機器の一態様は、
第1出力部と、
処理部と、
を備え、
前記処理部は、
生体の情報である生体情報を取得し、
前記取得した生体情報に基づいて前記生体情報の信頼度を算出し、
針の位置により前記第1出力部に前記生体情報を表示させ、
前記針の振動によって前記第1出力部に前記算出した信頼度に関する情報を出力させる
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザが生体情報を把握する際に当該生体情報の信頼度も同時に把握可能な出力態様で当該生体情報を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態に係る電子機器の機能構成の一例を示すブロック図である。
図2】電子機器の正面からの外観の一例を示す図である。
図3】電子機器の裏面からの外観の一例を示す図である。
図4】脈拍数表示部に脈拍数をその信頼度に応じた出力態様で表示する第1の例を示す図である。
図5】脈拍数表示部に脈拍数をその信頼度に応じた出力態様で表示する第2の例を示す図である。
図6】脈拍数表示部に脈拍数をその信頼度に応じた出力態様で表示する第3の例を示す図である。
図7】脈拍数表示部に脈拍数をその信頼度に応じた出力態様で表示する第4の例を示す図である。
図8】脈拍数表示部に脈拍数をその信頼度に応じた出力態様で表示する第5の例を示す図である。
図9】脈拍数表示部に脈拍数をその信頼度に応じた出力態様で表示する第6の例を示す図である。
図10】電子機器の正面からの外観の他の例を示す図である。
図11】電子機器の正面からの外観のさらに他の例を示す図である。
図12】脈拍数表示部に脈拍数をその信頼度に応じた出力態様で表示する第7の例を示す図である。
図13】脈拍数を表示する際の様々な出力態様の例を示す表である
図14】脈拍数を指針で表示する際の振動の大きさの例を示す表である。
図15】実施の形態に係る脈拍数表示処理のフローチャートの一例である。
図16】実施の形態に係る針振動処理のフローチャートの一例である。
図17】実施の形態に係る対策出力処理のフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態に係る電子機器等について、図面を参照して説明する。なお、図中同一又は相当する部分には同一符号を付す。
【0010】
(実施の形態)
実施の形態に係る電子機器は、ユーザが手首に装着することによって、ユーザの脈拍数を計測することができる腕時計型の装置であり、例えばスマートウォッチである。
【0011】
実施の形態に係る電子機器100は、図1に示すように、処理部110、記憶部120、センサ部130、表示部140、操作部150、出力部155、計時部160、通信部170、位置取得部180を備える。
【0012】
処理部110は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサで構成される。処理部110は、記憶部120に記憶されているプログラムにより、後述する脈拍数表示処理等を実行する。また、処理部110は、マルチスレッド処理に対応しており、複数の処理を並行して実行可能である。
【0013】
記憶部120は、処理部110が実行するプログラムや、必要なデータを記憶する。記憶部120は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等を含み得るが、これらに限られるものではない。なお、記憶部120は、処理部110の内部に設けられていてもよい。
【0014】
センサ部130は、脈波センサ131、加速度センサ132、圧力センサ133、温度センサ134を備える。ただし、センサ部130は、生体情報を検出する第1検出部を構成するセンサ(例えば脈波センサ131)と生体情報以外の情報を検出する第2検出部を構成するセンサ(例えば圧力センサ133)とをそれぞれ少なくとも1つ備えていれば、他のセンサを備えなくてもよい。また、センサ部130は、脈波センサ131、加速度センサ132、圧力センサ133、温度センサ134以外のセンサを備えてもよい。
【0015】
脈波センサ131は、LED(Light Emitting Diode)と、PD(Photodiode)とを備える。脈波センサ131は、LEDから生体に向けて発光した光が生体内で反射した光をPDで受光し、受光強度の時間的な変化に基づいて脈波を検出する。処理部110は、PDでの受光強度をAD(Analog-to-Digital)コンバータでAD変換した値(AD値)を生体検出値として取得し、AD値の時間的な変化に基づいて脈拍数を算出する。なお、脈波センサ131は、AFE(Analog Front End)を備えてもよい。PDでの受光強度(アナログ信号)が微弱で、そのままではAD変換できない場合でも、AFEでアナログ信号を調整することにより、AD変換することができるようになる。また、脈拍数と心拍数は基本的に一致するため、心拍数も含めて脈拍数と呼ぶことにする。
【0016】
加速度センサ132は、直交する3軸方向の運動を検出する3軸加速度センサである。例えば、電子機器100を装着したユーザが動くと、どの方向にどの程度の加速度で動いたかを、処理部110は加速度センサ132から取得することができる。
【0017】
圧力センサ133は、電子機器100の腕への装着の圧力を計測する。例えば、ユーザが電子機器100を腕にきつく装着すると、圧力センサ133は高い圧力を検出し、ゆるく装着すると低い圧力を検出する。
【0018】
温度センサ134は、例えばサーミスタや測温抵抗体を備え、電子機器100の周囲の気温を計測する。
【0019】
表示部140は、物理的な針、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等の表示デバイスを備える。表示部140は、脈波センサ131で計測した脈拍数、計時部160で計時した時刻等を表示する。なお、表示部140は、物理的な針(秒針、分針、時針)及び日車並びにモータドライバ、モータ及び輪列機構によるアナログ時刻表示部を備えてもよい。また、表示部140は、物理的なアナログ時刻表示部ではなく、液晶ディスプレイ等の表示デバイスに針の画像を表示することによってアナログ時刻表示を行ってもよい。
【0020】
操作部150は、竜頭や押しボタンスイッチ等のユーザインタフェースであり、ユーザからの操作入力を受け付ける。処理部110は、操作部150の竜頭の回転やスイッチの押下状態等の検出結果に基づいて、ユーザがどのような操作入力を行ったのかを取得することができる。なお、電子機器100が表示部140と一体化されたタッチパネルを備える場合、このタッチパネルも操作部150となり、ユーザのタップ操作等を受け付ける。
【0021】
出力部155は、スピーカを備え、音声アナウンスや効果音を出力する。なお、電子機器100は、出力部155として、スピーカの代わりに、又はスピーカに加えて、LED(発光部)やバイブレータ(振動部)を備えてもよい。
【0022】
計時部160は、電子機器100が表示部140に表示する時刻を計時する。また、計時部160は指定された時間を計測するタイマの機能も有する。なお、計時部160は、所定の時間(例えば1秒)毎に記憶部120の所定のアドレスに記憶させる値を変化させるソフトウェアにより構成されてもよいし、あるいは、専用のハードウェアにより構成されてもよい。また、計時部160は、処理部110の内部に設けられていてもよい。
【0023】
通信部170は、電子機器100が外部装置(例えば、スマートフォン、タブレット、PC(Personal Computer)、他のスマートウォッチ等)とデータ通信したり、インターネットから情報を取得したりするための通信インタフェースである。通信部170は、例えばBluetooth(登録商標)や無線LAN(Local Area Network)で通信するための無線通信インタフェースを含み得るが、これに限られるものではない。
【0024】
位置取得部180は、GPS(Global Positioning System)衛星から送信される衛星信号を受信して電子機器100の現在位置を取得する。位置取得部180は、屋内では衛星信号を受信できないため、処理部110は、位置取得部180での衛星信号の受信可否に基づいて、現在位置が屋外なのか屋内なのかを判定することもできる。
【0025】
電子機器100は、外観上は、図2に示すように、正面に表示部140として、時針141、分針142、秒針143、日車144、脈拍数表示部145及び小針表示部146を備える。電子機器100は、時針141、分針142、秒針143で時刻を、日車144で日付を、脈拍数表示部145でユーザの脈拍数を、それぞれ表示する。また、小針表示部146は、電子機器100の機能に応じて様々な情報を表示可能であるが、例えば、脈拍数表示部145で表示されている脈拍数の信頼度を表示する。
【0026】
また、電子機器100は、図2に示すように、側面に竜頭151及び押しボタンスイッチ152,153を備え、ユーザの操作を受け付ける。また、電子機器100は、図3に示すように、裏面に脈波センサ131及び圧力センサ133を備える。処理部110は、脈波センサ131で検出した脈波信号に基づいてユーザの脈拍数を取得し、圧力センサ133によりユーザの腕への装着の圧力(着圧)を取得する。
【0027】
電子機器100は、脈波センサ131で得られた受光強度(AD値)の時間的な変化に基づいてユーザの脈拍数を取得する。その際、電子機器100が適切に装着されていなかったり、血流量が少なかったりすると、受光強度が小さくなり、脈拍数の取得精度が悪くなる。
【0028】
電子機器100では、脈拍数を脈拍数表示部145に表示すると共に、その取得精度を3段階の信頼度指標で表して小針表示部146に表示する。図2に示す例では、脈拍数が76bpm(beats per minute)で、その信頼度指標が2(取得精度が普通)であることが表示されている。図2の例では、脈拍数を数字(文字)で表示することにより、アナログ表示の目盛りを読み取ることが難しい場合でも、脈拍数を容易に把握することができる。
【0029】
図2に示すように、小針表示部146を備えた電子機器100では、信頼度指標を小針表示部146に表示することが可能である。しかし、脈拍数表示部145に脈拍数のみを表示し、小針表示部146に信頼度指標のみを表示する仕様にしてしまうと、ユーザは脈拍数表示部145と小針表示部146の2つの表示部を確認しなければ、脈拍数をその信頼度とともに把握することができない。
【0030】
電子機器100では、ユーザが脈拍数表示部145を確認するだけで信頼度指標も把握できるように、脈拍数を脈拍数表示部145に表示する際に、信頼度指標に応じた出力態様で表示する。
【0031】
例えば、信頼度指標が3(取得精度が良い)なら、図4に示すように、脈拍数表示部145に脈拍数が大きな文字で表示される。そして、信頼度指標が2(取得精度が普通)なら、図5に示すように、脈拍数表示部145に脈拍数が中位の文字で表示される。そして、信頼度指標が1(取得精度が悪い)なら、図6に示すように、脈拍数表示部145に脈拍数が小さい文字で表示される。
【0032】
図4図6は、脈拍数を表示する文字の大きさで脈拍数の信頼度指標を表す例を示しているが、信頼度指標の表す際の出力態様は文字の大きさによるものに限定されない。電子機器100は、例えば、脈拍数表示自体の有無、脈拍数を表示する文字の大きさ、濃さ、色、フォント等のうちの少なくとも1つの属性を変更することによって、信頼度指標を表してもよい。このようにすることによって、ユーザは脈拍数表示部145を見るだけで、脈拍数とともにその信頼度も把握することができる。
【0033】
また、電子機器100は、脈拍数表示部145に、信頼度指標を表すマークを表示してもよい。例えば、信頼度指標が3(取得精度が良い)なら、図7のマーク201のように、3つのマークを表示することによって、信頼度指標が3であることを示してもよい。そして、信頼度指標が2(取得精度が普通)なら、図8のマーク202のように、2つのマークを表示することによって、信頼度指標が2であることを示してもよい。そして、信頼度指標が1(取得精度が悪い)なら、図9のマーク203のように、1つのマークを表示することによって、信頼度指標が1であることを示してもよい。なお、図7図9ではマークの個数で信頼度指標を示しているが、例えばマークの個数は変えずに、マークの大きさ、濃さ、色、種類等を信頼度に応じて変更することで信頼度指標を示してもよい。
【0034】
また、小針表示部146を備えていない電子機器100においては、脈拍数を表示している間は秒針143で秒数を表示することを中断して、秒針143で信頼度指標を表示するようにしてもよい。例えば図10に示すように、秒針143が信頼度良方向(例えば図10では6時の方向)を指すことによって、信頼度指標が1であることを表示してもよい。図示しないが、同様に、秒針143が信頼度普通方向(例えば3時の方向)を指すことによって、信頼度指標が2であることを表示し、秒針143が信頼度悪方向(例えば0時の方向)を指すことによって、信頼度指標が1であることを表示するようにしてもよい。信頼度指標をマークや針で表すことによって、出力態様のみで信頼度指標を表すのに比べて、よりユーザにわかりやすく信頼度指標を表示することができる。
【0035】
また、脈拍数表示部145での脈拍数の表示はデジタル表示に限らない。電子機器100は、図11に示すように、指針148により脈拍数をアナログ表示する脈拍数表示部145を備えてもよい。脈拍数を指針148で表示することにより、ユーザは数字を認識しなくても指針148の角度で脈拍数の大きさを視覚的に把握することができる。
【0036】
また、脈拍数表示部145を備えない電子機器100において、脈拍数を表示している間は秒針143で秒数を表示することを中断して、秒針143で脈拍数を表示するようにしてもよい。この場合、脈拍数と目盛り(1秒に対応する目盛り)とをどのように対応付けるかは任意であるが、例えば秒針143の回転時のステップ幅を1/4目盛り(秒)にして、目盛り1つ(1秒分)を脈拍数4bpm分に対応付けると、0~60秒の目盛りを脈拍数0~240bpmに対応付けることができる。また、例えば秒針143の回転時のステップ幅を1/3目盛り(秒)にして、目盛り1つ(1秒分)を脈拍数3bpm分に対応付けると、0~60秒の目盛りを脈拍数40~220bpmに対応付けることもできる。これらの場合も、ユーザは数字を認識しなくても秒針143の角度で脈拍数の大きさを視覚的に把握することができる。
【0037】
そして、脈拍数の信頼度指標を指針148(又は秒針143)の振動(揺れ)によって表してもよい。例えば、電子機器100は、信頼度指標が3(取得精度が良い)なら指針148(又は秒針143)を振動させず、信頼度指標が2(取得精度が普通)なら指針148(又は秒針143)を小さく振動させ、信頼度指標が1(取得精度が悪い)なら指針148(又は秒針143)を大きく振動させることによって、ユーザが信頼度指標を把握できるようにしてもよい。信頼度指標に応じて振動の大きさを変化させることによって、ユーザは、脈拍数だけでなく、脈拍数の信頼度も視覚的に把握することができる。
【0038】
また、脈拍数表示部145での脈拍数の表示はデジタル表示やアナログ表示に限らない。電子機器100は、図12に示すように、脈拍数表示部145に脈拍数をグラフ表示してもよい。グラフ表示を行うことによって、ユーザは脈拍数の時間的な変化を容易に把握することができる。なお、腕時計型の電子機器100の表示部140でグラフ表示を行うとかなり小さいグラフになってしまって見づらくなる可能性があるが、電子機器100は、通信部170で脈拍数及びその信頼度指標の情報をスマートフォンやPC等の他の装置に送信し、当該他の装置で脈拍数をグラフ表示してもよい。
【0039】
そして、電子機器100又は当該他の装置は、脈拍数をグラフ表示する場合には、グラフのプロット自体の有無、グラフをプロットする線の線種(実線、点線、破線等)、太さ(線幅)、色、濃さ等のうちの少なくとも1つの属性を変更することによって、信頼度指標を表してもよい。
【0040】
例えば、図12では、時間帯tz1での信頼度指標が3(取得精度が良い)であるため、実線301でグラフがプロットされ、時間帯tz2での信頼度指標が2(取得精度が普通)であるため、間隔の狭い点線302でグラフがプロットされ、時間帯tz3での信頼度指標が1(取得精度が悪い)であるため、間隔の広い点線303でグラフがプロットされ、時間帯tz4での信頼度指標が3(取得精度が良い)であるため、実線304でグラフがプロットされている。このようにすることによって、ユーザは脈拍数の時間的な変化を、脈拍数の信頼度の時間的な変化とともに把握することができる。
【0041】
以上説明した脈拍数の信頼度指標に応じた出力態様について表にまとめたものを図13に示す。このうち、指針の振動の大小については、指針の振動の周波数(振動周波数)や振幅(指針に対する振れ幅)について、様々な設定が可能であるが、処理部110は、信頼度指標が1(取得精度が悪い)なら、振動の周波数を第1振動周波数(例えば3Hz)に、振幅を第1振幅値(例えば2)に、それぞれ設定し、信頼度指標が2(取得精度が普通)なら、振動の周波数を第2振動周波数(例えば3Hz)に、振幅を第2振幅値(例えば1)に、それぞれ設定し、信頼度指標が3(取得精度が良い)なら指針を振動させない設定(振幅を0)にする。
【0042】
例えば、図14は、信頼度指標が3(取得精度が良い)なら指針を振動させず、信頼度指標が2(取得精度が普通)又は1(取得精度が悪い)なら指針を振動周波数3Hzで振動させ、その際の指針に対する振れ幅(振幅)を、信頼度指標が2なら±1、信頼度指標が1なら±2に設定している例を示している。
【0043】
なお、本実施の形態では、信頼度指標を1~3の3段階に区別した場合の出力態様を説明しているが、信頼度指標の段階数を3にしているのは一例に過ぎない。取得精度をより細かく区別して、信頼度指標の段階数を4以上にしてもよい。そうすると、脈拍数を表示する文字の大きさや濃さをより細かく設定したり、脈拍数を表示する指針の振動周波数や指針に対する振れ幅をより細かく設定したりすることができる。また、逆に信頼度指標を1(悪い)、2(良い)の2段階にしてもよい。
【0044】
また、電子機器100は、脈拍数表示部145(第1出力部)に脈拍数をその信頼度に応じた出力態様で表示するだけでなく、小針表示部146(第2出力部)に信頼度指標を表示してもよい。小針表示部146に信頼度を表示することにより、ユーザは信頼度指標と「信頼度に応じた出力態様」との対応を容易に把握することができる。そして、この対応を把握した後は、ユーザは脈拍数表示部145を見るだけで、脈拍数とその信頼度とを同時に把握することができる。
【0045】
次に、電子機器100が、脈拍数をその信頼度に応じた出力態様で表示する処理である脈拍数表示処理について、図15を参照して説明する。出力態様については、電子機器100の脈拍数表示部145の仕様等に基づいて予め(例えば文字の大きさに)設定されていてもよいし、ユーザ操作によって変更可能になっていてもよい。この脈拍数表示処理は、ユーザが電子機器100に対して、操作部150により脈拍数表示を指示すると、処理が開始される。また、電子機器100が起動すると、他の処理と並行して、この脈拍数表示処理が開始されるようになっていてもよい。
【0046】
脈拍数表示処理が開始されると、まず、処理部110は、脈波センサ131のLEDを発光させる(ステップS101)。LEDから発光され生体で反射した光は、脈波センサ131のPDで受光され、処理部110は、PDでの受光強度をADコンバータで変換したAD値を取得する(ステップS102)。
【0047】
そして、処理部110は、AD値から脈拍数とその信頼度を算出する(ステップS103)。なお、AD値から脈拍数の信頼度を算出する手法は任意であるが、例えば、AD値の変化量(所定の期間(例えば10秒間)におけるAD値の最大値と最小値の差)の大きさ、SN(Signal Noise)比等に基づいて信頼度を算出する手法が考えられる。血液中に存在するヘモグロビンは光を吸収する性質があるため、血流量が多いとPDでの受光強度(=AD値)が小さくなるが、AD値の変化量が小さいと、血流量が大きい時と小さい時とでAD値の差が小さくなり、脈拍を検出しにくくなってしまう。このため、AD値の変化量が小さいほど脈拍数の信頼度は低くなる。逆に、AD値の変化量が大きいほど、血流量の変化をより正確に把握できるため、脈拍数の信頼度は高くなる。SN比についても同様で、SN比が大きいほど血流量の変化をより正確に把握できるため、脈拍数の信頼度は高くなるが、SN比が小さいと脈拍を検出しにくくなってしまうため、脈拍数の信頼度は低くなる。
【0048】
次に、処理部110は、信頼度を3段階の信頼度指標に変換する(ステップS104)。この3段階の変換方法も任意であるが、例えば信頼度が0以上100以下の数値で表されているとすると、信頼度が第1閾値(例えば50)未満なら信頼度指標を1に、信頼度が第1閾値以上第2閾値(例えば80)未満なら信頼度指標を2に、信頼度が第2閾値以上なら信頼度指標を3に設定する。
【0049】
そして、処理部110は、信頼度指標に応じた出力態様で脈拍数を脈拍数表示部145に表示し(ステップS105)、ステップS101に戻る。
【0050】
以上の脈拍数表示処理により、電子機器100は、脈拍数の信頼度を算出し、算出した信頼度に関連した出力態様で脈拍数表示部145に脈拍数を表示するので、ユーザは、脈拍数を見ただけで、脈拍数だけでなく、その信頼度も把握することができる。
【0051】
次に、脈拍数の信頼度指標に応じて指針を振動させる出力態様で脈拍数を表示する処理である針振動処理について、図16を参照して説明する。この針振動処理は、脈拍数表示部145が指針によって脈拍数を表示し、脈拍数の信頼度指標に応じて指針を振動させる出力態様で脈拍数を表示する場合、上述の脈拍数表示処理と並行して実行される。なお、振動周波数及び指針に対する振れ幅(振幅)が(図14に示す例のように)記憶部120に予め記憶されているものとする。
【0052】
まず、処理部110は、上述の脈拍数表示処理で算出された脈拍数及び信頼度指標を取得する(ステップS201)。そして、処理部110は、脈拍数、信頼度指標及び指針に対する振れ幅(振幅)に基づいて、以下の式で幅MAXと幅MINを算出する(ステップS202)。
幅MAX=脈拍数+信頼度指標に対応する「指針に対する振れ幅」
幅MIN=脈拍数-信頼度指標に対応する「指針に対する振れ幅」
【0053】
例えば、脈拍数が100bpm、信頼度指標が1、指針に対する振れ幅が図14に示す値だとすると、幅MAX=100+2=102、幅MIN=100-2=98となる。
【0054】
次に、処理部110は、幅MAX、幅MIN及び指針に対する振れ幅(振幅)に基づいて、以下の式で振動時動作周波数を算出する(ステップS203)。
振動時動作周波数=(幅MAX-幅MIN)×2×振動周波数
なお、振動時動作周波数とは、指針を脈拍数1に対応する角度だけ進める周波数である。また、(幅MAX-幅MIN)を2倍しているのは、「振動周波数」で設定された周波数で、指針が幅MAXと幅MINとの間を一往復させるためである。
【0055】
例えば、幅MAXが102、幅MINが98、振動周波数が3Hzの場合には、振動時動作周波数は(102-98)×2×3=24Hzとなる。
【0056】
次に処理部110は、現在の指針位置に基づいて指針を幅MAX又は幅MINの位置に早送りする(ステップS204)。具体的には、処理部110は、幅MAXと幅MINとで、現在の指針位置に近い方(同じ場合はどちらでも良いが、例えば幅MIN)に、指針を早送りさせる。例えば、現在の指針位置が90で、幅MAXが102、幅MINが98だったとすると、指針を幅MINの位置に早送りさせる。
【0057】
そして、処理部110は、現在のタイミングが振動時動作周波数タイミングであるか否かを判定する(ステップS205)。振動時動作周波数タイミングでないなら(ステップS205;No)、ステップS205に戻る。
【0058】
振動時動作周波数タイミングなら(ステップS205;Yes)、処理部110は、現在の指針位置が幅MAXの位置であるか否かを判定する(ステップS206)。現在の指針位置が幅MAXの位置であるなら(ステップS206;Yes)、処理部110は、状態を表す変数に「MaxToMin」を代入し(ステップS207)、ステップS210に進む。
【0059】
現在の指針位置が幅MAXの位置でないなら(ステップS206;No)、処理部110は、現在の指針位置が幅MINの位置であるか否かを判定する(ステップS208)。現在の指針位置が幅MINの位置であるなら(ステップS208;Yes)、処理部110は、状態を表す変数に「MinToMax」を代入し(ステップS209)、ステップS210に進む。現在の指針位置が幅MINの位置でないなら(ステップS208;No)、処理部110は、ステップS210に進む。
【0060】
ステップS210では、処理部110は、状態を表す変数の値が「MaxToMin」であるか否かを判定する。状態を表す変数の値が「MaxToMin」なら(ステップS210;Yes)、処理部110は、指針を現在の位置-1の位置に回転させ(ステップS211)、ステップS213に進む。
【0061】
状態を表す変数の値が「MaxToMin」でないなら(ステップS210;No)、処理部110は、指針を現在の位置+1の位置に回転させ(ステップS212)、ステップS213に進む。
【0062】
ステップS213では、処理部110は、現在のタイミングが脈拍数更新タイミングであるか否かを判定する(ステップS213)。脈拍数更新タイミングなら(ステップS213;Yes)、処理部110は、ステップS201に戻る。
【0063】
現在のタイミングが脈拍数更新タイミングでないなら(ステップS213;No)、処理部110は、ステップS205に戻る。
【0064】
以上の針振動処理により、指針は、脈拍数の信頼度指標に基づき、「振動周波数」に設定された周波数及び「指針に対する振れ幅」に設定された振幅で、現在の「脈拍数」を中心に振動する。したがって、ユーザは、指針を確認するだけで、脈拍数と、その信頼度指標とを同時に把握することができる。
【0065】
(信頼度低下防止対策)
脈拍数の信頼度が低下する原因としては様々な要因が考えられるが、基本的には、AD値が小さい場合、すなわちPDでの受光強度が低下すると、脈拍数の信頼度は低下する。PDでの受光強度が低下する要因としては、いくつか考えられるが、代表的なものは、装着圧力が適切でない(きつすぎたり、ゆるすぎたりする)ことと、LEDの光を反射している血流が弱いこととが挙げられる。また、一般に人は寒さを感じると体表面近くの血管が収縮し、血流が弱くなる。
【0066】
電子機器100は、圧力センサ133や温度センサ134を備えているため、これらを利用して装着圧力が適切か、また、周囲の気温が寒すぎないか等を判定することができる。また、電子機器100は、通信部170を介してインターネット等から現在地点の気象情報(気温、湿度、風速等)を取得して、屋外での体感温度を算出できるので、算出した体感温度がユーザにとって寒すぎないかの判定を行うこともできる。したがって、脈拍数の信頼度が低い場合には、これらの判定結果に基づいて信頼度が低くなってしまう原因を推測することができる。
【0067】
電子機器100が、脈拍数の信頼度が低くなった原因を推測して、信頼度低下を防止する対策を出力するための対策出力処理について、図17を参照して説明する。この対策出力処理は、ユーザが電子機器100に対して、操作部150により信頼度低下防止対策の出力を指示すると、処理が開始される。また、電子機器100が起動したり、脈拍数表示処理が開始されたりすると、他の処理と並行して、この対策出力処理が開始されるようになっていてもよい。
【0068】
対策出力処理が開始されると、まず、処理部110は、現在取得されている脈拍数の信頼度の値が基準信頼度(信頼度を0以上100以下の数値と仮定すると例えば50)未満であるか否かを判定する(ステップS301)。信頼度の値が基準信頼度以上なら(ステップS301;No)、ステップS301に戻る。
【0069】
信頼度の値が基準信頼度未満なら(ステップS301;Yes)、処理部110は、加速度センサ132で検出した加速度に基づいて、現在ユーザが激しい運動をしているか否かを判定する(ステップS302)。例えば処理部110は、加速度センサ132(加速度検出部)が検出した加速度が加速度閾値よりも大きければ、ユーザが激しい運動をしていると判定する。
【0070】
次に、処理部110は、圧力センサ133が検出した圧力が着圧上限閾値を超えているか否かを判定する(ステップS303)。着圧上限閾値としては、電子機器100の腕への装着がきつすぎて、脈波センサ131での脈波の検出が適切に行えなくなる可能性がある最小の圧力値を予め設定しておく。
【0071】
圧力センサ133が検出した圧力が着圧上限閾値を超えているなら(ステップS303;Yes)、処理部110は、信頼度が低い原因は装着がきついためであると推測し、装着をゆるくする指示、例えば「装着をゆるめてください」等の音声アナウンスを出力部155から出力させる(ステップS304)。その際、ステップS302で処理部110が「激しい運動をしている」と判定していたなら、加速度が大きいこと(運動)が原因である可能性を示唆する内容を指示内容に含める。例えば音声アナウンスを「運動時は装着をゆるめてください」等にする。そして、ステップS301に戻る。
【0072】
圧力センサ133が検出した圧力が着圧上限閾値以下なら(ステップS303;No)、処理部110は、圧力センサ133が検出した圧力が着圧下限閾値未満か否かを判定する(ステップS305)。着圧下限閾値としては、電子機器100の腕への装着がゆるすぎて、脈波センサ131での脈波の検出が適切に行えなくなる可能性がある最大の圧力値を予め設定しておく。
【0073】
圧力センサ133が検出した圧力が着圧下限閾値未満なら(ステップS305;Yes)、処理部110は、信頼度が低い原因は装着がゆるいためであると推測し、装着をきつくする指示等の通知、例えば「しっかりと装着してください」等の音声アナウンスを出力部155から出力させる(ステップS306)。その際、ステップS302で処理部110が「激しい運動をしている」と判定していたなら、加速度が大きいこと(運動)が原因である可能性を示唆する内容を通知内容に含める。例えば音声アナウンスを「運動時はしっかりと装着してください」等にする。そして、ステップS301に戻る。
【0074】
圧力センサ133が検出した圧力が着圧下限閾値以上なら(ステップS305;No)、処理部110は、温度センサ134が検出した気温が気温閾値未満か否かを判定する(ステップS307)。気温閾値としては、ユーザの血流が小さくなって、脈波センサ131での脈波の検出が適切に行えなくなる可能性がある最高気温(例えば10℃)を予め設定しておく。
【0075】
温度センサ134が検出した気温が気温閾値未満なら(ステップS307;Yes)、処理部110は、信頼度が低い原因は気温が低くて血流が小さくなっているためであると推測し、血流を大きくするための指示等の通知、例えば「ウォーミングアップして体を温めてください」等の音声アナウンスを出力部155から出力させる(ステップS308)。その際、ステップS302で処理部110が「激しい運動をしている」と判定していたなら、加速度が大きいこと(運動)が原因である可能性を示唆する内容を通知内容に含める。例えば音声アナウンスを「激しい運動の前にウォーミングアップをしっかりとやりましょう」等にする。そして、ステップS301に戻る。
【0076】
温度センサ134が検出した気温が気温閾値以上なら(ステップS307;No)、処理部110は、現在位置が屋外で、しかも、体感温度が体感温度閾値未満か否かを判定する(ステップS309)。現在位置が屋外か否かは、処理部110は、位置取得部180で衛星信号が受信できるか否かにより判定できる。また、体感温度については、処理部110は、通信部170によりインターネットから現在位置(位置取得部180で取得)における気候データ(気温、湿度、風速)を取得し、気候データから体感温度を算出する。また体感温度閾値としては、ユーザの血流が小さくなって、脈波センサ131での脈波の検出が適切に行えなくなる可能性がある最高体感温度(例えば10℃)を予め設定しておく。
【0077】
現在位置が屋外で、かつ、体感温度が体感温度閾値未満なら(ステップS309;Yes)、処理部110は、信頼度が低い原因は体感温度が低くて血流が小さくなっているためであると推測し、血流を大きくするための指示等の通知、例えば「ウォーミングアップして体を温めてください」等の音声アナウンスを出力部155から出力させる(ステップS310)。その際、ステップS302で処理部110が「激しい運動をしている」と判定していたなら、加速度が大きいこと(運動)が原因である可能性を示唆する内容を通知内容に含める。例えば音声アナウンスを「激しい運動の前にウォーミングアップをしっかりとやりましょう」等にする。そして、ステップS301に戻る。
【0078】
現在位置が屋内であるか、又は、体感温度が体感温度閾値以上なら(ステップS309;No)、処理部110は、脈波センサ131から得られたAD値がAD閾値未満か否かを判定する(ステップS311)。AD閾値としては、AD値が小さすぎて脈拍数が適切に算出できなくなる可能性がある最大の値を予め設定しておく。
【0079】
脈波センサ131から得られたAD値がAD閾値未満なら(ステップS311;Yes)、処理部110は、信頼度が低い原因は装着が適切に行われていないためであると推測し、適切な装着を促す指示等の通知、例えば「しっかりと装着してください」等の音声アナウンスを出力部155から出力させる(ステップS312)。その際、ステップS302で処理部110が「激しい運動をしている」と判定していたなら、加速度が大きいこと(運動)が原因である可能性を示唆する内容を通知内容に含める。例えば音声アナウンスを「運動時はしっかりと装着してください」等にする。そして、ステップS301に戻る。
【0080】
脈波センサ131から得られたAD値がAD閾値以上なら(ステップS311;No)、処理部110は、信頼度が低い原因は不明であると推測し、一般的な対策の指示等の通知、例えば「適切に装着し、ウォーミングアップして体を温めてください」等の音声アナウンスを出力部155から出力させる(ステップS313)。その際、ステップS302で処理部110が「激しい運動をしている」と判定していたなら、加速度が大きいこと(運動)が原因である可能性を示唆する内容を通知内容に含める。例えば音声アナウンスを「運動時は適切に装着し、ウォーミングアップをしっかりとやりましょう」等にする。そして、ステップS301に戻る。
【0081】
以上の対策出力処理により、電子機器100は、脈拍数の信頼度が低下した原因を推測して、推測した原因に関連する通知(例えば、信頼度が低下しないようにするための対策)を出力するので、ユーザは出力された対策に従うことで、脈拍数の信頼度を向上させることができる。また、対策は音声でアナウンスされるので、ユーザは表示部140を確認しなくても対策を把握することができる。また、ステップS303~S306で装着の圧力に問題ないことを判定してからステップS308以降の判定を行っているため、信頼度が低下した原因として複数の原因が考えられる場合は、まずユーザに正しい装着を行うことを促すようにしている。このようにすることで、複数の原因がある場合でも原因を1つずつ着実に解消していくことができる。
【0082】
なお、電子機器100は、周囲の気温を計測する温度センサ134の代わりに又は温度センサ134に加えて、ユーザの体温を計測する体温センサを備えてもよい。この場合、対策出力処理において、処理部110は、体温センサが計測した体温が体温閾値(例えば35℃)未満か否かを判定する。そして、体温が体温閾値未満なら、処理部110は、信頼度が低い原因は体温が低くて血流が小さくなっているためであると推測し、血流を大きくするための指示等の通知、例えば「ウォーミングアップして体を温めてください」等の音声アナウンスを出力部155から出力させる。
【0083】
また、電子機器100は、効果音を出力する音出力部を備え、音出力部から出力する音の種類によって信頼度低下の原因を表すようにしてもよい。例えば、装着がきつすぎると推測した場合には装着がきついことを示す効果音(例えば「ピ」)を出力し、装着がゆるすぎると推測した場合には装着がゆるいことを示す効果音(例えば「ピピ」)を出力し、気温が低いと推測した場合には気温が低いことを示す効果音(例えば「ブー」)を出力する等である。音声アナウンスの代わりに効果音を出力させることにより、電子機器100の製造コストや処理部110の処理量を低減することができる。このような単純な効果音でも、ユーザは例えば「ピピ」という音が聞こえたら「装着がゆるいということは、装着をきつくした方が良さそうだ。」等と対策を取ることができる。
【0084】
また、電子機器100での出力は音声アナウンスや効果音に限定されない。電子機器100は、例えば文字を表示可能な文字表示部を備えて、当該文字表示部に対策を表示してもよい。文字表示部に対策を表示することにより、周囲がうるさい環境である等、音声アナウンスを聞き取れない状況でもユーザは信頼度低下防止のための対策を把握することができる。
【0085】
また、電子機器100は、出力部155として、電子機器100を振動させる振動部を備え、振動部による振動の種類によって信頼度低下の原因を表すようにしてもよい。例えば、装着がきつすぎると推測した場合には装着がきついことを示す振動(例えば「ブル」)を行い、装着がゆるすぎると推測した場合には装着がゆるいことを示す振動(例えば「ブルブル」)を行い、気温が低いと推測した場合には気温が低いことを示す振動(例えば「ブーン」)を行う等である。音声アナウンスの代わりに振動させることにより、処理部110の処理量を低減することができ、またユーザは騒音等でうるさい状況でも信頼度低下防止のための対策を取ることができる。
【0086】
また、電子機器100は、出力部155として発光部(例えばLED)を備え、発光部による発光の種類によって信頼度低下の原因を表すようにしてもよい。例えば、装着がきつすぎると推測した場合には装着がきついことを示す発光(例えば0.1秒間隔で0.1秒点灯を繰り返す)を行い、装着がゆるすぎると推測した場合には装着がゆるいことを示す発光(例えば0.5秒間隔で0.5秒点灯を繰り返す)を行い、気温が低いと推測した場合には気温が低いことを示す発光(例えば1秒間隔で1秒点灯を繰り返す)を行う等である。音声アナウンスの代わりに発光させることにより、処理部110の処理量を低減することができ、またユーザは騒音等でうるさい状況でも発光の種類を確認することにより信頼度低下防止のための対策を取ることができる。
【0087】
また、電子機器100が加速度センサ132を備えていないなら、ステップS302の処理を行わなくてもよく、この場合は、ステップS304、ステップS306、ステップS308、ステップS310、ステップS312、ステップS313でのユーザへの通知内容に加速度が大きいこと(運動)が原因である可能性を示唆する内容を含めなくてよい。
【0088】
また、電子機器100が、圧力センサ133を備えていないなら、ステップS303~ステップS306の処理は行わなくてもよい。
【0089】
また、電子機器100が、温度センサ134を備えていないなら、ステップS307及びステップS308の処理は行わなくてもよい。
【0090】
また、電子機器100が、通信部170及び位置取得部180を備えていないなら、ステップS309及びステップS310の処理は行わなくてもよい。
【0091】
以上説明した実施の形態では、電子機器100が、PDの出力値から得られるAD値に基づいて脈拍数及びその信頼度を算出し、脈拍数をその信頼度に応じた出力態様で表示するものとして説明したが、電子機器100が出力する情報は脈拍数に限らない。例えば、脈波センサ131では、赤外線と赤色光の2つの波長を使って動脈血中酸素飽和度(SpO2)を計測することも可能だが、この信頼度も脈拍数と同様の条件(例えば装着圧力が不適正)で低下する。したがって、電子機器100は、ユーザの動脈血中酸素飽和度をその信頼度に応じた出力態様で表示したり、信頼度低下防止対策を出力したりすることができる。
【0092】
また、電子機器100は、必要に応じてセンサ部130に備えるセンサを増減させてもよく、センサ部130から得られる任意の生体情報をその信頼度に応じた出力態様で表示したり、信頼度低下防止対策を出力したりしてもよい。
【0093】
また、センサ部130から得られる情報(例えば脈波センサ131から得られるAD値)や、センサ部130からの情報に基づいて算出される脈拍数、動脈血中酸素飽和度等は生体情報であるが、さらにこれらの情報から算出可能な様々な情報(例えば、ストレスレベル、血管年齢)も生体情報と言える。そして、電子機器100は、これらの任意の生体情報をその信頼度に応じた出力態様で出力してもよい。
【0094】
この場合も、その任意の生体情報の信頼度はその算出に用いた情報(大元はAD値のようなセンサ部130からの情報)の信頼度に基づいて算出可能なので、電子機器100は、任意の生体情報をその信頼度に応じた出力態様で表示することができる。そして、その任意の生体情報の信頼度はその算出に用いた情報(例えばAD値)の信頼度に依存するので、電子機器100は、上述の対策出力処理と同様の処理により、信頼度低下防止対策を出力することができる。
【0095】
また、電子機器100は、生体情報の出力に関して、必ずしも表示部への表示という形で出力しなくてもよい。電子機器100は、生体情報を例えば音声によって、その信頼度に応じた出力態様で出力してもよい。音声で出力する場合の出力態様としては、例えば、電子機器100は、生体情報の信頼度が低い場合には生体情報を不明瞭な音声で出力し、信頼度が高い場合には生体情報を明瞭な音声で出力することが考えられる。
【0096】
なお、電子機器100は、ユーザの身体に装着可能なウェアラブルコンピュータ、ユーザの身体に装着したセンサ類が検出した検出値を取得可能なスマートフォン、タブレット、PC等のコンピュータによっても実現することができる。具体的には、上記実施の形態では、電子機器100が実行する脈拍数表示処理等のプログラムが、記憶部120に予め記憶されているものとして説明した。しかし、プログラムを、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto-Optical disc)、メモリカード、USBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、そのプログラムをコンピュータに読み込んでインストールすることにより、上述の各処理を実行することができるコンピュータを構成してもよい。
【0097】
さらに、プログラムを搬送波に重畳し、インターネットなどの通信媒体を介して適用することもできる。例えば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS:Bulletin Board System)にプログラムを掲示して配信してもよい。そして、このプログラムを起動し、OS(Operating System)の制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上述の各処理を実行できるように構成してもよい。
【0098】
また、処理部110は、シングルプロセッサ、マルチプロセッサ、マルチコアプロセッサ等の任意のプロセッサ単体で構成されるものの他、これら任意のプロセッサと、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field‐Programmable Gate Array)等の処理回路とが組み合わせられて構成されてもよい。
【0099】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は係る特定の実施の形態に限定されるものではなく、本発明には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲とが含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0100】
(付記1)
第1出力部と、
処理部と、
を備え、
前記処理部は、
生体の情報である生体情報を取得し、
前記取得した生体情報に基づいて前記生体情報の信頼度を算出し、
前記算出した信頼度に関連した出力態様で前記第1出力部に前記生体情報を出力する、
電子機器。
【0101】
(付記2)
前記第1出力部は針の位置により前記生体情報を表示する、
付記1に記載の電子機器。
【0102】
(付記3)
前記出力態様は前記針の振動であり、
前記処理部は、
前記算出した信頼度が第1閾値未満なら前記針の振動の振幅を第1振幅値に設定し、
前記算出した信頼度が第2閾値以上なら前記針の振動の振幅を0に設定する、
付記2に記載の電子機器。
【0103】
(付記4)
前記第1出力部は文字により前記生体情報を表示する、
付記1に記載の電子機器。
【0104】
(付記5)
前記出力態様は文字の色、大きさ、濃さ、フォントのうちの少なくとも1つの属性を含み、
前記処理部は、
前記算出した信頼度に基づいて前記少なくとも1つの属性を変更した文字で前記第1出力部に前記生体情報を表示する、
付記4に記載の電子機器。
【0105】
(付記6)
前記第1出力部はグラフにより前記生体情報を表示する、
付記1に記載の電子機器。
【0106】
(付記7)
前記出力態様はグラフの線の線種、線幅、色及び濃さのうちの少なくとも1つの属性を含み、
前記処理部は、
前記算出した信頼度に基づいて前記少なくとも1つの属性を変更した線のグラフで前記第1出力部に前記生体情報を表示する、
付記6に記載の電子機器。
【0107】
(付記8)
第2出力部を備え、
前記処理部は前記第2出力部に前記信頼度を出力する、
付記1から7のいずれか1つに記載の電子機器。
【0108】
(付記9)
前記生体情報は脈拍数である、
付記1から8のいずれか1つに記載の電子機器。
【0109】
(付記10)
第1出力部と処理部とを備える電子機器における情報出力方法であって、
前記処理部が、
生体の情報である生体情報を取得し、
前記取得した生体情報に基づいて前記生体情報の信頼度を算出し、
前記算出した信頼度に関連した出力態様で前記第1出力部に前記生体情報を出力する、
情報出力方法。
【0110】
(付記11)
第1出力部と処理部とを備えた電子機器のコンピュータに、
生体の情報である生体情報を取得し、
前記取得された生体情報に基づいて前記生体情報の信頼度を算出し、
前記算出された信頼度に関連した出力態様で前記第1出力部に前記生体情報を出力する、
処理を実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0111】
100…電子機器、110…処理部、120…記憶部、130…センサ部、131…脈波センサ、132…加速度センサ、133…圧力センサ、134…温度センサ、140…表示部、141…時針、142…分針、143…秒針、144…日車、145…脈拍数表示部、146…小針表示部、148…指針、150…操作部、151…竜頭、152,153…押しボタンスイッチ、155…出力部、160…計時部、170…通信部、180…位置取得部、201,202,203…マーク、301,304…実線、302,303…点線、tz1,tz2,tz3,tz4…時間帯
図1
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