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特許7380660電子機器、動作復帰方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】電子機器、動作復帰方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20231108BHJP
   G06F 3/0488 20220101ALI20231108BHJP
【FI】
G06F3/041 600
G06F3/0488
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021149598
(22)【出願日】2021-09-14
(65)【公開番号】P2023042347
(43)【公開日】2023-03-27
【審査請求日】2021-11-24
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】宗田 天志
【審査官】岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-167045(JP,A)
【文献】特開2019-002813(JP,A)
【文献】特開2017-215846(JP,A)
【文献】特開2018-132850(JP,A)
【文献】特開2014-016776(JP,A)
【文献】特開2013-020370(JP,A)
【文献】特表2019-502203(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0107770(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/048-3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチ操作に対応してタッチ位置を検出するタッチパネルと、
前記タッチパネルの背面に設けられる、少なくとも1つの橋桁状のスペーサと、
前記タッチパネルの背面の前記スペーサによって複数に分割された領域にそれぞれ設けられるとともに、前記タッチパネルの表面に加わる圧力に応じた信号を出力する圧力検出部であって、前記タッチパネルの表面に加わる圧力を、前記スペーサによって複数に分割された前記領域のそれぞれに対応して検出する圧力検出部と、
前記タッチパネルの動作を停止させた状態において、前記タッチ操作に対応して前記圧力検出部から出力される信号に基づいて前記タッチパネルを動作させる電子回路と、
を備え、
前記タッチパネルは、前記圧力検出部に重ねて設けられており、
前記電子回路は、前記タッチパネルのタッチ位置に対応する前記領域の前記圧力検出部から出力される信号に基づいて前記タッチパネルを動作させる、電子機器。
【請求項2】
前記タッチ操作に対応して前記圧力検出部から出力される信号に基づいて、前記電子回路に前記タッチパネルを動作させるための信号を出力する制御部を備えた、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、前記タッチパネルを動作させた後に、前記タッチパネルにより検出されるタッチ位置に応じた処理を実行するように制御する、
請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記電子回路は、前記タッチパネルの表面に加わる一定以上の圧力に対応して前記圧力検出部から出力される信号に基づいて前記タッチパネルを動作させ、
前記制御部は、前記タッチパネルの表面に加わる一定以上の圧力に対応して前記圧力検出部から出力される信号に基づいて、前記電子回路により前記タッチパネルが動作された後に、前記電子回路に前記タッチパネルを継続して動作させるための信号を出力する、
請求項2または請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記電子回路は、前記タッチパネルの動作を停止させた状態において、前記タッチ操作に対応して前記圧力検出部から出力される信号に基づいて、前記タッチパネルを前記動作を停止させた状態から動作状態に復帰させる、
請求項1から請求項4の何れかに記載の電子機器。
【請求項6】
前記圧力検出部は、
前記タッチパネルの下方に設けられる絶縁性のシートと、前記シートの下面に被覆して設けられる導電材料の被覆部と、前記シートの下に隙間を空けて設けられる絶縁性の板状部と、前記導電材料の被覆部と対向する前記板状部の上面に設けられる導電材料のパターン部と、を有し、
前記シートの導電材料の被覆部が前記板状部の導電材料のパターン部に接触する面積に応じて前記被覆部および前記パターン部を介して出力される電圧に基づき、前記タッチパネルの表面に加わる圧力を検出する、
請求項1から請求項5の何れかに記載の電子機器。
【請求項7】
前記導電材料の被覆部は平面状に設けられ、
前記導電材料のパターン部は、櫛歯状の第1パターン部と櫛歯状の第2パターン部とを有し、前記第1パターン部の櫛歯部と前記第2パターン部の櫛歯部とが交互に一定の隙間を置いて設けられ、
前記圧力検出部は、前記導電材料の被覆部が前記導電材料のパターン部に接触した状態で、前記第1パターン部と前記被覆部と前記第2パターン部とが電気的に導通して出力される電圧に基づき、前記タッチパネルの表面に加わる圧力を検出する、
請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記導電材料は、カーボンである、
請求項6または請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記シートの上面に、前記タッチパネルの下面と接触するように設けられる複数の凸部を備えた、
請求項6から請求項8の何れかに記載の電子機器。
【請求項10】
前記タッチパネルの動作を停止させた状態は、省電力モードである、
請求項1から請求項9の何れかに記載の電子機器。
【請求項11】
前記電子回路は、前記タッチパネルの前記複数に分割された領域のそれぞれで検出された圧力に基づいて、ユーザが前記タッチパネルを右手でタッチ操作したか左手でタッチ操作したかを判定する、
請求項1から請求項10の何れかに記載の電子機器。
【請求項12】
前記電子回路は、前記ユーザが右手で前記タッチ操作したと判定した場合と、前記ユーザが左手で前記タッチ操作したと判定した場合とで、それぞれ異なる表示を表示部に行わせる、
請求項11に記載の電子機器。
【請求項13】
タッチ操作に対応してタッチ位置を検出するタッチパネルと、前記タッチパネルの背面に設けられる、少なくとも1つの橋桁状のスペーサと、前記タッチパネルの背面の前記スペーサによって複数に分割された領域にそれぞれ設けられるとともに、前記タッチパネルの表面に加わる圧力に応じた信号を出力する圧力検出部であって、前記タッチパネルの表面に加わる圧力を、前記スペーサによって複数に分割された前記領域のそれぞれに対応して検出する圧力検出部と、を備え、前記タッチパネルが前記圧力検出部に重ねて設けられている電子機器の電子回路により、
前記タッチパネルの動作を停止させた状態において、前記タッチ操作に対応して前記圧力検出部から出力される信号に基づいて前記タッチパネルを動作させ、
前記タッチパネルのタッチ位置に対応する前記領域の前記圧力検出部から出力される信号に基づいて前記タッチパネルを動作させる、
動作復帰方法。
【請求項14】
タッチ操作に対応してタッチ位置を検出するタッチパネルと、前記タッチパネルの背面に設けられる、少なくとも1つの橋桁状のスペーサと、前記タッチパネルの背面の前記スペーサによって複数に分割された領域にそれぞれ設けられるとともに、前記タッチパネルの表面に加わる圧力に応じた信号を出力する圧力検出部であって、前記タッチパネルの表面に加わる圧力を、前記スペーサによって複数に分割された前記領域のそれぞれに対応して検出する圧力検出部と、前記タッチパネルの動作を停止させた状態において、前記タッチ操作に対応して前記圧力検出部から出力される信号に基づいて前記タッチパネルを動作させる電子回路と、を備え、前記タッチパネルが前記圧力検出部に重ねて設けられている電子機器の制御部を、
前記電子回路により前記タッチパネルが動作された後に、前記電子回路に前記タッチパネルを継続して動作させるための信号を出力し、
前記電子回路に、前記タッチパネルのタッチ位置に対応する前記領域の前記圧力検出部から出力される信号に基づいて前記タッチパネルを動作させるための信号を出力し、
前記タッチパネルにより検出されるタッチ位置に応じた処理を実行するように制御する、
ように機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザ操作に応じて動作する電子機器、動作復帰方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばパーソナルコンピュータや電子辞書など、ユーザ操作に応じた情報を入力し、入力した情報に応じて動作する電子機器が汎用されている。
【0003】
このような電子機器において、タッチパネル式の操作部を備え、ユーザが操作部の複数分割された接触座標検出エリアのうち何れのエリアをタッチしたかに応じて、異なる入力方式のアルゴリズムを呼び出し、当該アルゴリズムに従い接触座標の検出を行なうタッチパネル入力装置が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-161425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の電子機器において、ユーザの操作が一定の時間行なわれないと、表示部の点灯とその動作を停止させて電力消費の抑制を図る省電力機能(例えば、パワーオフモード)を備えたものがある。
【0006】
パワーオフモードは、キー入力がされると解除され、表示部の動作も再開されるが、パワーオフモードにあってもキー入力を検出可能な状態に維持するためには、入力装置が機械的なキーを用いたものであるかタッチパネルを用いたものであるかに関わらず、入力装置への通電が必要になる。このため更なる低消費電力化が望まれる。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みなされたもので、タッチパネル式の操作部を備え、低消費電力化した省電力機能を実現することが可能になる電子機器、動作復帰方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る電子機器は、タッチ操作に対応してタッチ位置を検出するタッチパネルと、
前記タッチパネルの背面に設けられる、少なくとも1つの橋桁状のスペーサと、
前記タッチパネルの背面の前記スペーサによって複数に分割された領域にそれぞれ設けられるとともに、前記タッチパネルの表面に加わる圧力に応じた信号を出力する圧力検出部であって、前記タッチパネルの表面に加わる圧力を、前記スペーサによって複数に分割された前記領域のそれぞれに対応して検出する圧力検出部と、
前記タッチパネルの動作を停止させた状態において、前記タッチ操作に対応して前記圧力検出部から出力される信号に基づいて前記タッチパネルを動作させる電子回路と、
を備え、
前記タッチパネルは、前記圧力検出部に重ねて設けられており、
前記電子回路は、前記タッチパネルのタッチ位置に対応する前記領域の前記圧力検出部から出力される信号に基づいて前記タッチパネルを動作させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の電子機器、動作復帰方法およびプログラムの実施形態に係る電子辞書10の外観構成を示す正面図。
図2】タッチパネル式操作部11の内部の構成を図1の下の方向から見て示す側面図。
図3】導電材料印刷シート11bの構成を図2の下の方向から見て示す平面図。
図4】制御基板11cの構成を示す図であり、同図(A)は制御基板11cを図2の上の方向から見て示す平面図、同図(B)は制御基板11cの上面に印刷される導電材料パターンCBPの一つを抜き出して示す拡大図、同図(C)は導電材料印刷シート11bの一つの導電材料印刷部CBと同導電材料印刷部CBに対向する制御基板11cの一つの導電材料パターンCBPとの組合せにより構成される圧力検出部11P1の電気回路を示す図。
図5】タッチパネル式操作部11のタッチパネル11aおよび圧力検出部11P1~11P5に基づいて、ユーザが右手でタッチ操作したか左手でタッチ操作したかを判定する手法の一例を説明する図。
図6】電子辞書10の電子回路の構成を示すブロック図。
図7】タッチパネル式操作部11のタッチパネル11a、導電材料印刷シート11bおよび制御基板11c(圧力検出部11P含む)に関わる電子回路の構成を示すブロック図。
図8】電子辞書10のペン入力モード[T]におけるペン入力処理を示すフローチャート。
図9】電子辞書10のペン入力処理に従ったタッチ位置に対応するポインタPおよびタッチ位置に対応する軌跡Lの表示動作を示す図。
図10】電子辞書10のペン入力モード[T]における利き手検出処理を示すフローチャート。
図11】電子辞書10の利き手検出処理に従ったタッチパネル式表示部12の表示動作(その1)を示す図。
図12】電子辞書10の利き手検出処理に従ったタッチパネル式表示部12の表示動作(その2)を示す図。
図13】電子辞書10のパワーオフ(省電力)モード[S]に応じた処理を示すフローチャート。
図14】他の実施形態に係る電子辞書10のタッチパネル式操作部11の内部の構成を示す側面図。
図15】他の実施形態に係る電子辞書10の外観構成を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0011】
図1は、本発明の電子機器、動作復帰方法およびプログラムの実施形態に係る電子辞書10の外観構成を示す正面図である。
【0012】
電子機器は、以下に説明する電子辞書10として構成されるだけでなく、タッチパネルを備えたPDA(personal digital assistants)、PC(personal computer)、タブレット端末、携帯電話、電子ブック、携帯ゲーム機などとしても構成され得る。
なお、以下の電子辞書10の説明において用いる上下の方向は、電子辞書10を平面上(例えば机上)に置いて通常使用する状態を基本として説明するが、図面の内容を説明する便宜上、場合によって図示の紙面を基準にして説明する。
【0013】
電子辞書10は、タッチパネル式操作部11を設けた下部筐体とタッチパネル式表示部12を設けた上部筐体とがヒンジ部13を介して展開/閉塞可能な折り畳み型筐体(クラムシェル構造)を備えて構成される。
【0014】
タッチパネル式操作部11のタッチパネル11aは、ユーザが指やペンなどでタッチした位置を検出するタッチ位置検出装置である。実施形態のタッチパネル11aには、抵抗膜方式を用いるがそれに限らず、静電容量方式などでもよい。
【0015】
タッチパネル11aは、その上部にキー入力用の記号(キャラクタ)として固定印刷PPされて形成される機能指定キー14dと、機能指定キー14dを除く範囲に対応して縦横等間隔に固定印刷PPされて形成されるペン入力用(タッチ操作用)マーク14mとを有する。
【0016】
機能指定キー14dは、各キーに表記されている辞書コンテンツのカテゴリ([国語][英和][和英]など)や[コンテンツ一覧]をそれぞれ直接指定するためのキーである。
【0017】
図2は、タッチパネル式操作部11の内部の構成を図1の下の方向から見て示す側面図である。
【0018】
タッチパネル式操作部11は、その表面にタッチパネル11aを備え、タッチパネル11aの下に、導電材料印刷シート11b、制御基板11c、補強板11dを積層して構成する。具体的には、補強板11d、制御基板11c、導電材料印刷シート11b、およびタッチパネル11aがこの順に積層される。
【0019】
タッチパネル11aは、タッチパネル11aの表面側の周縁部とタッチパネル式操作部11の筐体との間およびタッチパネル11aの下面側の周縁部と導電材料印刷シート11bの周縁部との間を、弾性体からなるパッキンPKを介して固定される。
【0020】
タッチパネル11a、導電材料印刷シート11b、制御基板11c、補強板11dは、タッチパネル式操作部11の筐体に対して、例えばその周縁部の突き当て、リブ、両面テープ、接着、ネジなどによって固定される。
【0021】
なお、タッチパネル11aは、表面がユーザの手Hやタッチペン40(図9図11図12参照)によりタッチされて下方向への圧力が加わると、例えば図2(B)に示すように、タッチされた位置とその圧力に応じて下方向への撓みが生じ、タッチされた位置を検出する。そして、タッチパネル11aの下方向への撓みは、当該タッチパネル11aの下方に配置された導電材料印刷シート11bにも伝わり、導電材料印刷シート11bも同様に下方向へ撓む構造とされる。
【0022】
後述するが、導電材料印刷シート11bおよび制御基板11cの構成は、タッチパネル11aに対するタッチ操作に応じて加わる圧力を検出するための圧力検出部11Pとして機能する。
【0023】
図3は、導電材料印刷シート11bの構成を図2の下の方向から見て示す平面図である。
【0024】
導電材料印刷シート11bは、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)を使用して生成した柔軟性を有する、例えば厚さ0.2mm程度のシートである。導電材料印刷シート11bの下面には、制御基板11cとの隙間を保持する複数本の橋桁状のスペーサSPによってタッチパネル式操作部11の左右の方向に複数に分割(ここでは5分割)した矩形の領域に、それぞれ導電材料(ここでは「カーボン」)を、例えば厚さ0.2mm程度で印刷した導電材料印刷部CBを備える。
【0025】
スペーサSPは、導電材料印刷シート11bの下面に対し、例えば、絶縁体の樹脂材料を使用して接着により高さ0.5~0.8mm程度で立設して形成される。
【0026】
また、導電材料印刷シート11bの上面には、その下面側に印刷した各導電材料印刷部CBに対応する領域に、例えば、高さ0.1mm程度の円弧状の凸部Dを絶縁体の樹脂材料を使用して設ける。凸部Dは、タッチパネル11aがタッチされたことによる下方向への撓みを、そのタッチ位置に対応する導電材料印刷シート11bの導電材料印刷部CBに感度よく伝える機能を有する。
【0027】
図4は、制御基板11cの構成を示す図であり、同図(A)は制御基板11cを図2の上の方向から見て示す平面図、同図(B)は制御基板11cの上面に印刷される導電材料パターンCBPの一つを抜き出して示す拡大図、同図(C)は導電材料印刷シート11bの一つの導電材料印刷部CBと同導電材料印刷部CBに対向する制御基板11cの一つの導電材料パターンCBPとの組合せにより構成される圧力検出部11P1の電気回路を示す図である。
【0028】
制御基板11cの上面には、導電材料印刷シート11bに設けた複数本のスペーサSPによってタッチパネル式操作部11の左右の方向に複数に分割(ここでは5分割)され、且つ導電材料印刷シート11bの各導電材料印刷部CBに対向する矩形の領域に、それぞれ導電材料(ここでは「カーボン」)を、例えば厚さ0.2mm程度で櫛歯状に印刷した導電材料パターンCBPを備える。
【0029】
導電材料パターンCBPは、図4(B)に示すように、制御基板11cの電圧供給線から分圧抵抗R1を介して電気的に接続される櫛歯状の第1導電材料パターンCBPaと、制御基板11cの接地線から分圧抵抗R2を介して電気的に接続される、第1導電材料パターンCBPaと同様の櫛歯状の第2導電材料パターンCBPbとを有して構成される。第1導電材料パターンCBPa側の櫛歯部と第2導電材料パターンCBPb側の櫛歯部とは、互いに一定の隙間を置いて交互且つ平行に配置されるように印刷される。
【0030】
ここで、導電材料印刷シート11bの導電材料印刷部CBと同導電材料印刷部CBに対向する制御基板11cの導電材料パターンCBPとの組合せにより構成される圧力検出部11P(11P1,11P2,11P3,11P4,11P5)の機能について、圧力検出部11P1を代表例として説明する。
【0031】
図2(B)を参照して前述した通り、タッチパネル11aの表面がユーザ(H)によりタッチされて下方向への圧力が加わると、タッチされた位置とその圧力に応じてタッチパネル11aおよび導電材料印刷シート11bは下方向へ撓み、当該導電材料印刷シート11bの撓みに対応する範囲の導電材料印刷部CBが、制御基板11cの導電材料パターンCBPに接触する。導電材料印刷部CBが導電材料パターンCBPに接触することにより、第1導電材料パターンCBPaと第2導電材料パターンCBPbとが電気的に導通する。本実施形態の導電材料パターンCBPは、櫛歯状であるが、導電材料印刷部CBは、所定の面積を有するベタパターンである。一実施形態では、タッチパネル11aの撓みが、タッチパネル11aが撓んだときに導電材料印刷部CBが導電材料パターンCBPに接触する程度に十分な感度で導電材料印刷シート11bに伝わる場合は、凸部Dを設けなくてもよい。
【0032】
この際、タッチパネル11aへのタッチによって圧力が加わる範囲が広ければ広いほど、タッチパネル11aおよび導電材料印刷シート11bが撓む範囲も広くなり、導電材料印刷シート11bの導電材料印刷部CBが制御基板11cの導電材料パターンCBPに接触する面積も広くなる。
【0033】
図4に示す圧力検出部11P1において、制御基板11cの導電材料パターンCBPに対する、導電材料印刷シート11b側の導電材料印刷部CBの接触面積が広いほど、導電材料パターンCBP側の第1導電材料パターンCBPaと第2導電材料パターンCBPbとが電気的に導通する面積も広がり、分圧抵抗R1とR2との間で直列になる圧力検出部11P1の分圧抵抗は小さくなり、その分圧値である電圧V1は高くなる。
【0034】
すなわち、タッチパネル11aへのユーザ(H)のタッチ操作の圧力が高くなり、タッチパネル11aおよび導電材料印刷シート11bが撓む範囲が広がるのに応じて、タッチ操作の位置に対応する圧力検出部11Pnの電圧Vnは高くなり、当該タッチ操作の圧力を検出できる。
【0035】
ここで、実施形態では、圧力検出部11Pnの電圧Vnが予め設定された一定電圧以上である場合に、タッチパネル式操作部11にユーザのタッチ操作に伴う手の荷重が加わることによる一定以上の圧力であると判定する。一定電圧はユーザにより任意に設定してよい。なお、ここで述べているタッチパネル式操作部11にユーザの手の荷重が加わることによる一定以上の圧力(手荷重圧力)を判定するための一定電圧(手荷重判定電圧)と、後述するパワーオフ(省電力)モード[S]を解除するためにユーザが意思を持ってタッチパネル式操作部11に行なったタッチ操作に対応する一定以上の圧力(パワーオフ解除圧力)を判定するための一定電圧(パワーオフ解除判定電圧)とは、何れも任意に設定してよく、同じ電圧であっても、異なる電圧であってもよい。
【0036】
実施形態では、図2図4で示したように、圧力検出部11Pを、タッチパネル式操作部11の左右の方向に5分割した圧力検出部11P1~11P5として設ける場合の構成ついて説明しているが、その分割の数は5分割に限らず、さらに、各圧力検出部11Pnをタッチパネル式操作部11の図3図4上の上下の方向(電子辞書10の奥行き方向)に分割する構成も含めてよい。圧力検出部11Pnのタッチパネル式操作部11に対応する分割の数は、圧力検出の必要な位置的な精度や感度に応じて決定してよい。
【0037】
また、圧力検出部11Pnの導電材料パターンCBPを構成する櫛歯状の第1導電材料パターンCBPaと第2導電材料パターンCBPbは、その櫛歯の方向、数、太さ(幅)が、図4(B)で示した構成に限らず、さらには櫛歯状のパターンも限らない。すなわち、圧力検出部11Pnの導電材料パターンCBPは、導電材料印刷シート11b側の導電材料印刷部CBが接触する面積に応じて、当該圧力検出部11Pnの抵抗値が変化すればよく、そのパターンの形状は、圧力検出の必要な位置的な精度や感度に応じて決定してよい。
【0038】
図5は、タッチパネル式操作部11のタッチパネル11aおよび圧力検出部11P1~11P5に基づいて、ユーザが右手でタッチ操作したか左手でタッチ操作したかを判定する手法の一例を説明する図である。
【0039】
図5(A)に示すように、タッチパネル式操作部11の中央付近の圧力検出部11P3に対応する領域で、タッチパネル11aによりタッチ位置TPが検出されると共に、当該圧力検出部11P3より右側の領域の圧力検出部11P4および(または)11P5により一定以上の圧力検出に応じた一定電圧(手荷重判定電圧)以上の電圧V4および(または)V5が得られた場合、ユーザのタッチペン40を持つ右手がタッチパネル11aに載った状態に応じた圧力が検出されたと判定し、ユーザが右手でタッチ操作した(ここでは右利き)と判定する。
【0040】
同様に、タッチパネル式操作部11の中央付近の圧力検出部11P3に対応する領域で、タッチパネル11aによりタッチ位置TPが検出されると共に、当該圧力検出部11P3より左側の領域の圧力検出部11P2および(または)11P1により一定以上の圧力検出に応じた一定電圧以上の電圧V2および(または)V1が得られた場合、ユーザのタッチペン40を持つ左手がタッチパネル11aに載った状態に応じた圧力が検出されたと判定し、ユーザが左手でタッチ操作した(ここでは左利き)と判定する。
【0041】
また、図5(B)に示すように、タッチパネル式操作部11の左寄り(ここでは左端)の圧力検出部11P1に対応する領域で、タッチパネル11aによりタッチ位置TPが検出されると共に、当該圧力検出部11P1より右側の領域の圧力検出部11P2および(または)11P3および(または)11P4および(または)11P5により一定以上の圧力検出に応じた一定電圧以上の電圧V2および(または)V3および(または)電圧V4および(または)V5が得られた場合、ユーザのタッチペン40を持つ右手がタッチパネル11aに載った状態に応じた圧力が検出されたと判定し、ユーザが右手でタッチ操作した(ここでは右利き)と判定する。
【0042】
同様に、タッチパネル式操作部11の左寄り(ここでは左端)の圧力検出部11P1に対応する領域で、タッチパネル11aによりタッチ位置TPが検出されると共に、当該圧力検出部11P1より右側の領域の圧力検出部11P2~11P5の何れからも圧力検出に応じた電圧V2~V5が得られない場合、ユーザのタッチペン40を持つ左手がタッチパネル11aよりも左側に存在すると判定し、ユーザが左手でタッチ操作した(ここでは左利き)と判定する。
【0043】
また、図5(C)に示すように、タッチパネル式操作部11の右寄り(ここでは右端)の圧力検出部11P5に対応する領域で、タッチパネル11aによりタッチ位置TPが検出されると共に、当該圧力検出部11P5より左側の領域の圧力検出部11P4および(または)11P3および(または)11P2および(または)11P1により一定以上の圧力検出に応じた一定電圧以上の電圧V4および(または)V3および(または)電圧V2および(または)V1が得られた場合、ユーザのタッチペン40を持つ左手がタッチパネル11aに載った状態に応じた圧力が検出されたと判定し、ユーザが左手でタッチ操作した(ここでは左利き)と判定する。
【0044】
同様に、タッチパネル式操作部11の右寄り(ここでは右端)の圧力検出部11P5に対応する領域で、タッチパネル11aによりタッチ位置TPが検出されると共に、当該圧力検出部11P5より左側の領域の圧力検出部11P1~11P4の何れからも圧力検出に応じた電圧V1~V4が得られない場合、ユーザのタッチペン40を持つ右手がタッチパネル11aよりも右側に存在すると判定し、ユーザが右手でタッチ操作した(ここでは右利き)と判定する。
【0045】
なお、導電材料印刷シート11bの下面に設ける導電材料印刷部CBおよび当該導電材料印刷部CBに対向する制御基板11cの上面に設ける導電材料パターンCBPの導電材料は、コスト、加工、摩耗の面で好ましい「カーボン」を用いているが、これに限らず、ある程度の電気抵抗を有し、接触面積に応じてその接触抵抗が顕著に変化し易く且つ薄膜化した状態では形状変化に耐えられ柔軟性のある導電材料であればよい。
【0046】
図6は、電子辞書10の電子回路の構成を示すブロック図である。
【0047】
電子辞書10の電子回路は、コンピュータである制御部(CPU:central processing unit)21を備える。制御部21は、フラッシュROMなどの記憶部22に予め記憶された辞書制御プログラム22aに従って回路各部の動作を制御する。CPUなどのプロセッサは1つでも2つ以上でもよい。
【0048】
なお、辞書制御プログラム22aおよび後述する辞書データおよび後述する学習データの少なくとも何れかは、メモリカードなどの非一時的な外部記録媒体23から記録媒体読取部24により読み取られて記憶部22に記憶されてもよいし、通信ネットワークN上のWebサーバ(ここではプログラムサーバ)30から通信部25を介してダウンロードされ記憶部22に記憶されてもよい。
【0049】
制御部21には、データおよび制御バスを介して、記憶部22、記録媒体読取部24、通信部25を接続するほか、図1図5で示したタッチパネル式操作部11およびタッチパネル式表示部12を接続する。制御部21には、図示はしないが、音声出力部、音声入力部を接続してもよい。
【0050】
記憶部22は、本電子辞書10の全体の動作を司るシステムプログラム、通信部25を介して外部の電子機器と通信接続するための通信プログラムのほか、後述する辞書データに基づきユーザ所望の見出し語と当該見出し語に対応する訳語、語義、用例、解説などの説明情報を検索して表示させるための辞書検索プログラム、後述する学習データに基づきユーザ所望の教科(英語、国語、漢字など)の学習を行なうための学習プログラムを含む辞書制御プログラム22aを記憶する。
【0051】
また記憶部22には、辞書データ記憶領域22b、学習データ記憶領域22c、モードデータ記憶領域22d、タッチ位置データ記憶領域22e、電圧検出データ記憶領域22fおよび作業データ記憶領域22gなど、本電子辞書10により各種の機能を実行するためのデータを記憶する記憶領域が確保される。
【0052】
辞書データ記憶領域22bには、各種の辞書コンテンツ(国語辞典/百科辞典/英和辞典/和英辞典/…)に対応する辞書データが、見出し語と当該見出し語に対応する訳語、語義、用例、解説などの説明情報とを対応付けたデータとして記憶される。
【0053】
学習データ記憶領域22cには、各種の教科に対応する学習コンテンツ(問題集/書き方ドリル/…)に対応する学習データが記憶される。
【0054】
モードデータ記憶領域22dには、辞書制御プログラム22aに従った電子辞書10の動作に応じて選択的に設定されるペン入力モード[T]、パワーオフ(省電力)モード[S]を含む何れかのモードデータが記憶される。
【0055】
タッチ位置データ記憶領域22eには、タッチパネル式操作部11に対するタッチ操作に応じてタッチパネル11aにより検出される、タッチ位置(XY座標)を示すタッチ位置データが、制御部21によりノイズをキャンセルした状態でのタッチ位置データとして記憶される。ここで、タッチパネル11aにより検出されるノイズとは、ユーザが目的とするタッチ位置とは異なる位置で、例えばタッチ操作するユーザの手の側面がタッチパネル11aに接触して集合的に検出されるタッチ位置であり、当該ノイズのキャンセルとは、例えばこのような集合的に検出されたタッチ位置のデータをキャンセルすることをいう。
【0056】
電圧検出データ記憶領域22fには、タッチパネル式操作部11の圧力検出部11P1~11P5により各々検出されるタッチパネル11aへのユーザ操作に伴う圧力に応じた電圧V1~V5のデータが記憶される。
【0057】
作業データ記憶領域22gには、制御部21による辞書制御プログラム22aに従った回路各部の動作の制御に伴い、ユーザ操作に応じて入力されたデータや制御部21により取得あるいは生成されるなどした各種のデータが必要に応じて一時記憶(保持)される。
【0058】
図7は、タッチパネル式操作部11のタッチパネル11a、導電材料印刷シート11bおよび制御基板11c(圧力検出部11P含む)に関わる電子回路の構成を示すブロック図である。
【0059】
タッチパネル11aは、コネクタCNを介してタッチパネル制御回路(タッチパネルCONTROL IC)15と接続され、タッチパネル制御回路15は制御バスB1を介して制御部21と接続される。
【0060】
タッチパネル制御回路15は、オア回路OR1の出力信号OUTPUTをタッチパネル有効信号ENABLEとして入力し、タッチパネル11aを動作させると共に、当該タッチパネル11aにより出力されるタッチ位置(XY座標)に対応したタッチ位置データを制御部21に出力する。
【0061】
オア回路OR1は、後述する電圧検出回路17から出力される電圧検出信号をA信号IN_Aとして入力した場合、または制御部21により出力されるタッチパネル有効信号TEをB信号IN_Bとして入力した場合に、当該A信号IN_AまたはB信号IN_Bをタッチパネル制御回路15へ出力信号OUTPUTとして出力する。
【0062】
電圧検出回路17は、圧力検出部11P1~11P5が出力した一定電圧(パワーオフ解除判定電圧)以上の圧力検出電圧V1~V5をオア回路OR2を介して検出した場合に、その電圧検出信号を、A信号IN_Aとしてオア回路OR1へ出力すると共に、制御部21に対してタッチパネル有効信号TEを出力させるための割り込み信号INTとして出力する。一実施形態では、電圧検出回路17は、予め定められた電圧以上の電圧が入力されたときに、電圧検出信号を出力するIC(例えばボルテージディテクタ、コンパレータ等)を含んでもよく、トランジスタとダイオード等の組み合わせにより構成されてもよい。
【0063】
また、圧力検出部11P1~11P5が出力した圧力検出電圧V1~V5は、制御部21からのチャンネルセレクト信号CSに応じて時分割で切り替えられるアナログスイッチSWの各チャンネルCH1~CH5を介してA/Dコンバータ(ADC)16に入力される。A/Dコンバータ16により出力される各圧力検出部11P1~11P5からの圧力検出電圧V1~V5のデータは、制御バスB2を介して制御部21へ出力される。制御部21は、A/Dコンバータ16から入力した圧力検出電圧V1~V5のデータに基づいて、当該圧力検出電圧V1~V5の何れかが一定電圧(手荷重判定電圧)以上であるかを判定することで、圧力検出部11P1~11P5の何れかに対応する領域に、ユーザの手の荷重による一定以上の圧力(手荷重圧力)が加わったものと判定する。
【0064】
なお、制御部21は、圧力検出部11P1~11P5からの圧力検出電圧V1~V5を、自ら出力するチャンネルセレクト信号CSに応じて、アナログスイッチSWを介し時分割で入力することで、個々の圧力検出部11P1~11P5を特定した圧力検出電圧V1~V5のデータを得ているが、アナログスイッチSWを設けず、各圧力検出部11P1~11P5からの圧力検出電圧V1~V5のデータを、それぞれ独立したA/Dコンバータ(ADC)を介して並列に入力することで、個々の圧力検出部11P1~11P5を特定する構成としてもよい。
【0065】
制御部21は、辞書制御プログラム22aに従い動作モードがペン入力モード[T]に設定された場合、タッチパネル有効信号TEおよびチャンネルセレクト信号CSを出力する。
【0066】
これにより制御部21は、タッチパネル11aにより検出されるタッチ位置データを、タッチパネル制御回路15を介して取得すると共に、タッチ操作に応じてそのタッチ位置に対応する圧力検出部11PnからA/Dコンバータ16を介して取得される当該圧力検出部11Pnによる圧力検出電圧Vnが基準電圧Vref未満である場合には、タッチ位置に対応するポインタP(図9(A)参照)をタッチパネル式表示部12に表示させ、タッチパネル式操作部11に対する相対的なタッチ位置をユーザに示す。また、タッチ位置に対応する圧力検出部11Pnからの圧力検出電圧Vnが基準電圧Vref以上である場合には、タッチ位置に対応する軌跡L(図9(B)参照)をタッチパネル式表示部12に表示させる。
【0067】
さらに制御部21は、タッチパネル11aにより検出されるタッチ位置データと、圧力検出部11P1~11P5から出力される圧力検出電圧V1~V5のデータに基づいて、前述の図5を参照して説明したように、タッチパネル式操作部11に対するタッチ位置TPと、当該タッチ位置TPに対応する圧力検出部11Pn以外の領域であって、一定電圧(手荷重判定電圧)以上の圧力検出電圧Vnが得られている圧力検出部11Pnまたは一定電圧(手荷重判定電圧)以上の圧力検出電圧Vnが得られていない圧力検出部11Pnとの左右の位置関係を判定し、ユーザが右手でタッチ操作しているか(右利き)または左手でタッチ操作しているか(左利き)を判定する。そして、タッチ操作の右利きまたは左利きの判定結果に応じて、例えば、タッチパネル式表示部12に表示させる表示データの表示位置を、ユーザの右手RHまたは左手LHが遮ることのない左寄りまたは右寄りに移動させるなどの処理を実行する(図11図12参照)。
【0068】
また、制御部21は、辞書制御プログラム22aに従い動作モードがパワーオフモード[S]に設定された場合、少なくともタッチパネル式表示部12を消灯させると共に、タッチパネル有効信号TEおよびチャンネルセレクト信号CSの出力を停止し、省電力化を図る。タッチパネル有効信号TEの出力が停止されることで、タッチパネル11aおよびタッチパネル制御回路15の動作が停止される。
【0069】
パワーオフモード[S]において、タッチパネル式操作部11に対するタッチ操作に応じて、圧力検出部11P1~11P5の何れかから、ユーザによるタッチ操作に応じた圧力であると判定できる一定電圧(パワーオフ解除判定電圧)以上の圧力検出電圧Vnが出力されると、電圧検出回路17により検出された圧力検出電圧Vnの電圧検出信号が、オア回路OR1を介してタッチパネル制御回路15にタッチパネル有効信号ENABLEとして入力され、タッチパネル11aはタッチ操作後直ぐに動作状態に復帰される。また制御部21は、電圧検出回路17からの電圧検出信号を割り込み信号INTとして入力することに応じて、タッチパネル有効信号TEをタッチパネル制御回路15に出力し、タッチパネル11aの動作状態を継続させる。
【0070】
本実施形態ではパワーオフモード[S]において、制御部(CPU)21は通常動作状態であると仮定して説明したが、制御部21が所謂スリープモードのような省電力モードを備える場合は、パワーオフモード[S]では制御部21をスリープモードに移行させてもよい。この場合、割り込み信号INTにより制御部21がスリープモードから通常状態に復帰するように構成する。このようにすることでパワーオフモード[S]のさらなる省電力化を図ることが可能となる。
【0071】
このように構成された電子辞書10は、制御部21が、記憶部22に記憶された辞書制御プログラム22aの命令に従いタッチパネル式操作部11を含む回路各部の動作を制御し、ソフトウエアとハードウエアとが協働して動作することにより、以下の動作説明で述べるようなタッチ操作に応じた入力機能を含む各種の機能を実現する。
【0072】
次に、実施形態の電子辞書10の動作について説明する。
【0073】
<ペン入力(手書き)モード[T]>
図8は、電子辞書10のペン入力モード[T]におけるペン入力処理を示すフローチャートである。
【0074】
図9は、電子辞書10のペン入力処理に従ったタッチ位置に対応するポインタPおよびタッチ位置に対応する軌跡Lの表示動作を示す図である。
【0075】
制御部21により、電子辞書10の動作モードがペン入力モード[T]に設定されると、制御部21は、タッチパネル有効信号TEをタッチパネル制御回路15に出力し、タッチパネル11aを動作状態にする(ステップT1)。例えば、制御部21は、電圧検出回路17からの電圧検出信号を割り込み信号INTとして入力することに応じて、電子辞書10の動作モードをペン入力モード[T]に設定する。
【0076】
例えば図9に示すように、タッチパネル式操作部11に対するタッチペン40(ユーザの手Hの指先でもよい)によるタッチ操作に応じて、タッチパネル11aにより検出されたタッチ位置に対応するタッチ位置データがタッチパネル制御回路15を介して制御部21に入力されると(ステップT2)、制御部21は、タッチ操作に応じてタッチ位置に対応する圧力検出部11PnからアナログスイッチSWおよびA/Dコンバータ16を介して検出される当該圧力検出部11Pnの圧力検出電圧Vnが、基準電圧Vref未満であるか以上であるかを判定する(ステップT3,T4)。
【0077】
ここで、例えばタッチペン40がタッチパネル式操作部11に軽く触れている状態であって、当該タッチペン40によるタッチ操作(ペン入力操作)に応じて検出される圧力検出電圧Vnが、基準電圧Vref未満であると判定された場合(ステップT4(Yes))、制御部21は、図9(A)に示すように、タッチ位置に対応するポインタPをタッチパネル式表示部12に表示させ、タッチパネル式操作部11に対してタッチ操作する手Hの動き(タッチペン40の動き)M1に応じた相対的なタッチ位置M2をユーザに示す(ステップT5)。
【0078】
また、例えばタッチペン40がタッチパネル式操作部11に確りと触れている状態であって、当該タッチペン40によるタッチ操作(ペン入力操作)に応じて検出される圧力検出電圧Vnが、基準電圧Vref以上であると判定された場合(ステップT4(No))、制御部21は、図9(B)に示すように、タッチ位置に対応する軌跡Lをタッチパネル式表示部12に表示させ、例えば手書き入力される文字の字画を描画する(ステップT6)。
【0079】
これにより、ペン入力モード[T]におけるペン入力処理では、スタイラスペン(電磁誘導式)などの高価な専用のペンを用いることなく、タッチパネル式操作部11に対するタッチ操作に応じて、タッチ位置に対応する圧力検出部11Pnから出力される圧力検出電圧Vnが基準電圧Vref未満であるか以上であるかに基づき、ユーザがタッチパネル式操作部11を軽くタッチしている状態では、タッチ位置に対応したポインタPをタッチパネル式表示部12に表示させ、ユーザがタッチパネル式操作部11を確りタッチしている状態では、タッチ位置に対応した軌跡Lをタッチパネル式表示部12に表示させることができる。
【0080】
例えば図9に示すような字画が離れている文字(ここでは「仁」)を、タッチパネル式操作部11上で手書き入力してタッチパネル式表示部12に表示させる場合、ユーザは、タッチ位置に対応してタッチパネル式表示部12に表示されるポインタPにより、入力している字画間の位置を容易且つ正確に把握しながら正しく文字を手書き入力し、タッチパネル式表示部12に軌跡Lとして表示させることができる。
【0081】
なお、ユーザのタッチ位置に対応するタッチ操作の圧力の状態が、ポインタPを表示させる圧力の状態にあるか、軌跡Lを表示させる圧力の状態にあるのかを判定するための閾値となる基準電圧Vrefは、ユーザによりユーザ自身の筆圧などの特性に応じて任意に設定することができる。
【0082】
本実施形態のペン入力モード[T]におけるペン入力処理(図8)では、タッチペン40がタッチパネル式操作部11に軽く触れている状態であって、タッチ位置に対応する圧力検出電圧Vnが基準電圧Vref未満である場合に、タッチ位置に対応するポインタPを表示させ、タッチペン40がタッチパネル式操作部11に確りと触れている状態であって、タッチ位置に対応する圧力検出電圧Vnが基準電圧Vref以上である場合に、タッチ位置に対応する軌跡Lを表示させる構成としたが、これとは逆に、タッチ位置に対応する圧力検出電圧Vnが基準電圧Vref以上である場合に、タッチ位置に対応するポインタPを表示させ、タッチ位置に対応する圧力検出電圧Vnが基準電圧Vref未満である場合に、タッチ位置に対応する軌跡Lを表示させる構成としてもよい。
【0083】
これによれば、ユーザがペン入力を通常の筆圧で行なっている状態では、ペン入力された文字などの軌跡Lが表示され、筆圧を強くした状態では、ペン入力されている位置を示すポインタPが表示されることになる。
【0084】
また、タッチ位置に対応する圧力検出電圧Vnが、基準電圧Vref未満であるか基準電圧Vref以上であるかによって、ポインタPを表示させるか軌跡Lを表示させるかの設定は、ユーザによりユーザ自身の使い方の特性に応じて選択的に切り替え可能な構成としてもよい。
【0085】
図10は、電子辞書10のペン入力モード[T]における利き手検出処理を示すフローチャートである。
【0086】
図11は、電子辞書10の利き手検出処理に従ったタッチパネル式表示部12の表示動作(その1)を示す図である。
【0087】
図12は、電子辞書10の利き手検出処理に従ったタッチパネル式表示部12の表示動作(その2)を示す図である。
【0088】
制御部21により、電子辞書10の動作モードがペン入力モード[T]に設定されると、前述のペン入力処理(図8)と同様、制御部21は、タッチパネル有効信号TEをタッチパネル制御回路15に出力し、タッチパネル11aを動作状態にする(ステップT1)。
【0089】
例えば図11および図12に示すように、タッチパネル式操作部11に対するタッチペン40(ユーザの手RH/LHの指先でもよい)によるタッチ操作に応じて、タッチパネル11aにより検出されたタッチ位置に対応するタッチ位置データがタッチパネル制御回路15を介して制御部21に入力されると(ステップT2)、制御部21は、アナログスイッチSWおよびA/Dコンバータ16を介して入力される圧力検出部11P(11P1~11P5)からの一定電圧(手荷重判定電圧)以上の圧力検出電圧Vnが、タッチ位置に対応する圧力検出部11Pnよりも右側の圧力検出部11Pnからの圧力検出電圧Vnであるか、左側の圧力検出部11Pnからの圧力検出電圧Vnであるかを判定する(ステップT21,T22)。
【0090】
ここで、例えば前述の図5(A)または図5(B)を参照して説明したように、タッチ操作に応じたタッチ位置TPに対応する圧力検出部11Pnよりも右側の圧力検出部11Pnから一定電圧(手荷重判定電圧)以上の圧力検出電圧Vnが入力されていると判定されると(ステップT21(Yes))、制御部21は、ユーザが右手RHでタッチ操作を行っているものとして右利きに応じた処理を実行する(ステップT25)。
【0091】
例えば図11に示すように、英語の問題集をタッチパネル式表示部12に表示させて学習している場面において、図11(B)に示すように、ユーザが右手RHでタッチパネル式操作部11をタッチ操作しているときには、制御部21は、タッチパネル式表示部12に表示させている問題集の問題文を当該表示部12の表示領域の左寄りに表示させ、回答のダイアログボックスを右寄りに表示させることで、問題文が右手RHに遮られて隠れることなく、円滑に学習を進めることができる。
【0092】
同様に、例えば図12(B)に示すように、ユーザが右手RHでタッチパネル式操作部11をタッチ操作しているときには、制御部21は、タッチパネル式表示部12に表示させているツールバー12Tを当該表示部12の表示領域の左寄りに表示させることで、ツールバー12Tが右手RHに遮られて隠れることなく、使い勝手よく電子辞書10を操作することができる。
【0093】
一方、例えば前述の図5(A)または図5(C)を参照して説明したように、タッチ操作に応じたタッチ位置TPに対応する圧力検出部11Pnよりも左側の圧力検出部11Pnから一定電圧(手荷重判定電圧)以上の圧力検出電圧Vnが入力されていると判定されると(ステップT21(Yes))、制御部21は、ユーザが左手LHでタッチ操作を行っているものとして左利きに応じた処理を実行する(ステップT26)。
【0094】
例えば図11(A)に示すように、ユーザが左手LHでタッチパネル式操作部11をタッチ操作しているときには、制御部21は、タッチパネル式表示部12に表示させている問題集の問題文を当該表示部12の表示領域の右寄りに表示させ、回答のダイアログボックスを左寄りに表示させることで、問題文が左手LHに遮られて隠れることなく、円滑に学習を進めることができる。
【0095】
同様に、例えば図12(A)に示すように、ユーザが左手LHでタッチパネル式操作部11をタッチ操作しているときには、制御部21は、タッチパネル式表示部12に表示させているツールバー12Tを当該表示部12の表示領域の右寄りに表示させることで、ツールバー12Tが左手LHに遮られて隠れることなく、使い勝手よく電子辞書10を操作することができる。
【0096】
また、例えば前述の図5(B)または図5(C)を参照して説明したように、タッチ操作に応じたタッチ位置TPに対応する圧力検出部11Pnよりも右側の圧力検出部11Pnから一定電圧以上の圧力検出電圧Vnが入力されてなく、且つ、当該タッチ位置TPに対応する圧力検出部11Pnよりも左側の圧力検出部11Pnからも一定電圧以上の圧力検出電圧Vnが入力されていないと判定された場合(ステップT21(No)→T22(No))、制御部21は、タッチ位置TPが、タッチパネル式操作部11の左端の圧力検出部11P1の領域に対応しているか(圧力検出部11P1からだけ圧力検出電圧V1が入力されているか)、右端の圧力検出部11P5の領域に対応しているか(圧力検出部11P5からだけ圧力検出電圧V5が入力されているか)を判定する(ステップT23,T24)。
【0097】
ここで、図5(B)を参照して説明したように、タッチ位置TPがタッチパネル式操作部11の左端の圧力検出部11P1の領域に対応している(圧力検出部11P1からだけ圧力検出電圧V1が入力されている)と判定されると(ステップT23(Yes))、制御部21は、ユーザが左手LHでタッチ操作を行っているものとして、例えば図11(A)および図12(A)を参照して説明したように、左利きに応じた処理を実行する(ステップT26)。
【0098】
一方、図5(C)を参照して説明したように、タッチ位置TPがタッチパネル式操作部11の右端の圧力検出部11P5の領域に対応している(圧力検出部11P5からだけ圧力検出電圧V5が入力されている)と判定されると(ステップT24(Yes))、制御部21は、ユーザが右手RHでタッチ操作を行っているものとして、例えば図11(B)および図12(B)を参照して説明したように、右利きに応じた処理を実行する(ステップT25)。
【0099】
なお、タッチ操作の利き手に応じて実行する処理としては、タッチパネル式表示部12に表示させる表示データを、利き手に遮られて隠されない位置に表示させる処理を挙げて説明したが、これに限らないのは勿論である。例えば文字の書き方を学習する学習コンテンツにおいて、ユーザが文字を入力している利き手を検出し、利き手に応じた文字の書き方(例えば「はね」「払い」)などを指導する機能を持たせることができる。
【0100】
これにより、ペン入力モード[T]における利き手検出処理では、タッチパネル11aにより検出されるタッチ位置データと、圧力検出部11P1~11P5から出力される圧力検出電圧V1~V5のデータに基づき、タッチパネル式操作部11に対するタッチ位置TPと、当該タッチ位置TPに対応する圧力検出部11Pn以外の領域であって、一定電圧(手荷重判定電圧)以上の圧力検出電圧Vnが得られている圧力検出部11Pnまたは一定電圧(手荷重判定電圧)以上の圧力検出電圧Vnが得られていない圧力検出部11Pnとの左右の位置関係を判定し、ユーザが右手でタッチ操作しているか(右利き)または左手でタッチ操作しているか(左利き)を精度よく判定できる。
【0101】
そして、タッチ操作の右利きまたは左利きの判定結果に応じた処理を実行することで、ユーザに対し、操作性の良い円滑な学習や利き手を考慮した効果的な学習を行なわせることができる。
【0102】
<パワーオフ(省電力)モード[S]>
図13は、電子辞書10のパワーオフ(省電力)モード[S]に応じた処理を示すフローチャートである。
【0103】
例えば電子辞書10に対するユーザ操作が行なわれない時間が一定時間(例えば3分)経過することに応じて、制御部21により、電子辞書10の動作モードがパワーオフモード[S]に設定されると、制御部21は、タッチパネル式表示部12をオフにする(消灯させ動作を停止させる)(ステップS1)。
【0104】
制御部21は、タッチパネル有効信号TEの出力を停止し、タッチパネル制御回路15およびタッチパネル制御回路15を介したタッチパネル11aの動作を停止させる(ステップS2)。
【0105】
制御部21は、チャンネルセレクト信号CSの出力を停止し、アナログスイッチSWおよびA/Dコンバータ16の動作を停止させる(ステップS3)。
【0106】
ここでは、少なくともタッチパネル式表示部12、タッチパネル11a、アナログスイッチSW、A/Dコンバータ16に電力が供給されない状態となる。また、制御部21内の関連ブロック(アナログスイッチSW、A/Dコンバータ16、およびタッチパネル有効信号TEの出力に関連するブロック)の動作も停止される。これにより、省電力化が図られる。
【0107】
このとき、ユーザによるタッチパネル式操作部11のタッチ操作に応じて、例えば図2(B)で示したようにタッチパネル11aが撓み、タッチ位置に対応する導電材料印刷シート11bの導電材料印刷部CBが制御基板11cの導電材料パターンCBPに接触することで電気的に導通することが無ければ、圧力検出部11P(11P1~11P5)の電力消費は無く、ここでも省電力化が図られる。
【0108】
この後、タッチパネル式操作部11に対する一定時間(例えば3秒)以上の連続したタッチ操作に応じて、タッチ位置に対応する圧力検出部11Pnから出力される一定以上の圧力(パワーオフ解除圧力)に応じた一定電圧(パワーオフ解除判定電圧)以上の圧力検出電圧Vnに基づき、電圧検出回路17からの電圧検出信号がオア回路OR1を介してタッチパネル制御回路15にタッチパネル有効信号ENABLEとして入力されると、タッチパネル11aは動作状態に復帰される。
【0109】
制御部21は、電圧検出回路17からの電圧検出信号を割り込み信号INTとして入力することに応じて、タッチパネル有効信号TEをタッチパネル制御回路15に出力し、復帰したタッチパネル11aの動作状態を継続させる(ステップS4,S5)。
【0110】
すると、タッチパネル11aにより検出されたタッチ位置に対応するタッチ位置データがタッチパネル制御回路15を介して制御部21に入力され(ステップS6)、制御部21は、タッチパネル式操作部11のタッチ位置に応じた処理を実行する(ステップS7)。
【0111】
すなわち、パワーオフモード[S]に設定された状態であっても、例えば機能指定キー14dに対する一定時間(例えば3秒)以上の連続したタッチ操作により任意の辞書コンテンツが指定された場合には、制御部21は、当該任意の辞書コンテンツに対応する初期画面をタッチパネル式表示部12に直ぐに表示させる。
【0112】
この場合、パワーオフモード[S]に従い動作を停止しているタッチパネル制御回路15は、制御部21から出力されるタッチパネル有効信号TEに基づき動作状態に復帰されるよりも前に、電圧検出回路17からの電圧検出信号をタッチパネル有効信号ENABLEとして動作状態に復帰される。それに伴いタッチパネル11aが動作するので、ユーザのタッチ操作後、瞬時にそのタッチ位置に応じた処理が実行されるようになると共に、電圧検出回路17が圧力検出部11Pからの電圧を検出しなくなった後もタッチパネル11aの動作を継続することができる。一実施形態では、制御部21は、割り込み信号INTの入力に応じて、チャンネルセレクト信号CSを出力してもよく、アナログスイッチSWおよびA/Dコンバータ16を動作させてもよい。
【0113】
なお、タッチパネルを備えた従来の電子機器で、前述したようなパワーオフモード[S](あるいはスリープモード)などの省電力モードを解除する場合、タッチパネルからタッチ位置の検出信号が得られたことに応じて、当該省電力モードを解除する処理を実行する必要があるので、タッチパネル自体の動作を停止させて効果的な省電力化を図ることができない。また、タッチパネルは、ユーザの意思を持ったタッチ操作に限らず、軽い接触であってもタッチ位置の検出信号を出力するので、省電力モードを解除するためのユーザの意思を持ったタッチ操作を精度よく検出し、誤動作の無い省電力モードの解除処理を実行することができない。
【0114】
本実施形態の電子辞書10では、前述したように、タッチパネル11a自体の動作を停止させて効果的な省電力化を図ることができる。また、本実施形態の電子辞書10では、タッチ操作に応じたタッチパネル11aの撓みに応じて撓む導電材料印刷シート11bの導電材料印刷部CBと、制御基板11cの導電材料パターンCBPとの組合せにより構成される圧力検出部11Pにより、タッチ操作に応じた一定以上の圧力(パワーオフ解除圧力)を検出することで、省電力モードを解除するためのユーザの意思を持ったタッチ操作を精度よく検出し、誤動作の無い省電力モードの解除処理を実行することができる。
【0115】
(実施形態のまとめ)
実施形態の電子辞書10によれば、パワーオフモード[S]に従いタッチパネル制御回路15およびタッチパネル11aを含むタッチパネル式操作部11の少なくとも一部の動作を停止させている状態において、タッチパネル式操作部11に対するタッチ操作が行なわれた場合、タッチパネル制御回路15は、タッチ操作に応じて圧力検出部11Pnから出力される一定以上の圧力(パワーオフ解除圧力)に応じた一定電圧(パワーオフ解除判定電圧)以上の圧力検出電圧Vn(電圧信号)に基づき、電圧検出回路17から出力される電圧検出信号をタッチパネル有効信号ENABLEとして動作状態に復帰され、タッチパネル11aを動作させる。そして制御部21は、電圧検出回路17からの電圧検出信号を割り込み信号INTとして入力することで、タッチパネル有効信号TEをタッチパネル制御回路15に出力し、復帰したタッチパネル11aの動作状態を継続させる。
【0116】
これにより、タッチパネル11aを通電させておく必要なく、パワーオフモード[S](省電力モード)を解除するためのユーザの意思を持ったタッチ操作を精度よく検出し、瞬時にそのタッチ位置に応じた処理を実行させることができる。また圧力検出部11Pは、ユーザのタッチ操作に応じて、導電材料印刷シート11bの導電材料印刷部CBが制御基板11cの導電材料パターンCBPに接触して電気的に導通することが無ければ電力消費は無い。
【0117】
よって、低消費電力化した省電力機能を実現しつつタッチ位置に対応した処理を直ちに実行できるようになる。
【0118】
また、実施形態の電子辞書10によれば、制御部21は、タッチパネル11aを動作させた後に、タッチパネル11aにより検出されるタッチ位置に応じた処理を実行するように制御するので、例えば機能指定キー14dに対するタッチ操作により任意の辞書コンテンツが指定された場合には、当該任意の辞書コンテンツに対応する初期画面をタッチパネル式表示部12に直ぐに表示させることができる。
【0119】
また、実施形態の電子辞書10によれば、圧力検出部11P1~11P5は、タッチパネル11aの表面に加わる圧力を、当該タッチパネル11aの複数に分割された領域のそれぞれに対応して検出し、タッチパネル制御回路15は、タッチパネル11aのタッチ位置に対応する領域の圧力検出部11Pnから出力される圧力検出電圧Vnに基づいてタッチパネル11aを動作させるので、簡単な構成で圧力検出の必要な位置的な精度や感度に応じて精度よく省電力モードを解除するためのユーザの意思を持ったタッチ操作を検出できる。
【0120】
また、実施形態の電子辞書10によれば、圧力検出部11P1~11P5は、タッチパネル11aの下方に設けられる導電材料印刷シート11b(絶縁性シート)と、導電材料印刷シート11bの下面に印刷被覆して設けられる導電材料印刷部CB(導電材料被覆部)と、導電材料印刷シート11bの下に隙間を空けて設けられる制御基板11c(絶縁性板状部)と、導電材料印刷部CBと対向する前記制御基板11cの上面に設けられる導電材料パターンCBP(導電材料パターン部)とにより構成され、導電材料印刷シート11bの導電材料印刷部CBが制御基板11cの導電材料パターンCBPに接触する面積に応じて、導電材料印刷部CBおよび導電材料パターンCBPを介して出力される電圧V1~V5に基づき、タッチパネル11aの表面に加わる圧力を検出するので、コスト面に限らず、タッチパネル式操作部11の薄型化を要する面からも、物理的、回路規模的且つ制御規模的に好ましくない圧力センサを用いることなく、タッチパネル式操作部11に好適な圧力検出部11Pを実現できる。
【0121】
また、実施形態の電子辞書10によれば、導電材料パターンCBPは、櫛歯状の第1導電材料パターンCBPa(第1パターン部)と櫛歯状の第2導電材料パターンCBPb(第2パターン部)とを有し、第1導電材料パターンCBPaの櫛歯部と第2導電材料パターンCBPbの櫛歯部とが交互に一定の隙間を置いて設けられ、圧力検出部11P1~11P5は、導電材料印刷部CBが導電材料パターンCBPに接触した状態で、電気的に導通した第1導電材料パターンCBPaと導電材料印刷部CBと第2導電材料パターンCBPbとを介して出力される圧力検出電圧Vnに基づき、タッチパネル11aの表面に加わる圧力を検出するので、圧力検出の必要な感度に応じて精度よく圧力を検出できる。
【0122】
また、実施形態の電子辞書10によれば、導電材料印刷部CBおよび導電材料パターンCBPの導電材料には、カーボンを用いることで、コスト、加工性、耐摩耗の面で良好な圧力検出部11Pを実現できる。
【0123】
また、実施形態の電子辞書10によれば、導電材料印刷シート11bの上面には、その下面側に印刷した各導電材料印刷部CBに対応する領域に凸部Dを設けたので、タッチパネル11aがタッチされたことによる下方向への撓みを、そのタッチ位置に対応する導電材料印刷シート11bの導電材料印刷部CBに感度よく伝えることができる。
【0124】
(他の実施形態)
前記実施形態の電子辞書10のタッチパネル式操作部11は、主にペン入力用(手書き入力用)の操作部11として機能させる構成としたが、以下の図14および図15を参照して説明する他の実施形態の電子辞書10のように、タッチパネル式操作部11をキー入力用の操作部11(キー入力部14K)としても機能させる構成としてよい。
【0125】
図14は、他の実施形態に係る電子辞書10のタッチパネル式操作部11の内部の構成を示す側面図である。
【0126】
図15は、他の実施形態に係る電子辞書10の外観構成を示す正面図である。
【0127】
図14および図15において、前述した図1および図2と同一の部分には、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0128】
他の実施形態の電子辞書10のタッチパネル式操作部11は、その表面に詳細を後述する透過シート11sを備え、透過シート11sの下にタッチパネル11a、導光板11e、導電材料印刷シート11b、制御基板11c、補強板11dを積層して構成する。導光板11eの近傍または一部にはキー透過用LED11Lを設ける。具体的には、補強板11d、制御基板11c、導電材料印刷シート11b、導光板11e、タッチパネル11a、および透過シート11sがこの順に積層される。
【0129】
透過シート11sは、光を通さない遮光領域LBと、光を通す透光領域LTとして形成され当該シート11sの下に光が導光されることでキー入力用の文字及び図形を含む記号(キャラクタ)を視認できるように表示するキー表示部14sと、同透光領域LTとして形成される各キーの境界を視認できるように表示する境界表示部14bと、当該シート11sの上部にキー入力用の記号(キャラクタ)として固定印刷PPされて形成される機能指定キー14dと、各キーのある範囲に対応して縦横等間隔に固定印刷PPされて形成されるペン入力用(タッチ操作用)マーク14mとを有する。
【0130】
キー表示部14sは、QWERTYキーもしくは50音キーに対応する文字及び図形を含む記号を視認可能に表示する。
【0131】
キー表示部14sおよび境界表示部14bは、キー透過用LED11Lを点灯させることで導光板11eにより導光された光が、透過シート11sの下から照射される。照射された光は透光領域LTを透過するためキー入力用の文字や記号および各キーの境界が視認できるようになる。キー透過用LED11Lを消灯させると、キー表示部14sおよび境界表示部14bは視認できなくなり、図1で示した前記実施形態の電子辞書10と同様に、機能指定キー14dおよびペン入力用マーク14mが視認可能に残った状態になる。
【0132】
他の実施形態の電子辞書10は、前記実施形態の電子辞書10のペン入力(手書き)モード[T]とパワーオフ(省電力)モード[S]に加えて、キー入力モード[K]を含む3つの動作モードを有する。
【0133】
キー入力モード[K]では、タッチパネル式操作部11のキー透過用LED11Lをオンにして、透過シート11sの透光領域LTであるキー表示部14sおよび境界表示部14bを機能指定キー14dと共に視認可能にすることで、タッチパネル式操作部11をキー入力部14Kとして機能させる。
【0134】
ペン入力モード[T]では、タッチパネル式操作部11のキー透過用LED11Lをオフにして、図1で示したように、機能指定キー14dおよびペン入力用マーク14mを視認可能に残すことで、タッチパネル式操作部11をペン入力部として機能させる。
【0135】
パワーオフモード[S]では、少なくともキー透過用LED11Lを含むタッチパネル式操作部11およびタッチパネル式表示部12の電源をオフにする。この場合、タッチパネル式操作部11は、図1で示したように、見かけ上、機能指定キー14dおよびペン入力用マーク14mが視認可能な状態になる。
【0136】
このように、他の実施形態の電子辞書10によれば、前記実施形態の電子辞書10と同様のタッチ操作に応じた入力機能を含む各種の機能を実現できるだけでなく、キー透過用LED11Lのオンとオフとを切り替えることで、タッチパネル式操作部11をキー入力部14K(図15参照)とペン入力部(図1参照)とに切り替えることができる。
【0137】
よって、消費電力が大きい、回路的規模及び機構的規模が大きい、製品価格が高いなどの問題があるタッチパネル式の表示装置を、タッチパネル式操作部11に使用することなく、キー入力と手書き入力とをユーザに操作性よく行わせることが可能になる。
【0138】
本発明の電子機器は、実施形態として説明した電子辞書10に限らず、当該電子辞書10と同様のタッチパネル式操作部11を備えた他の電子機器にも適用可能であるのは言うまでもない。
【0139】
以上の実施形態において記載した電子辞書10による各処理の手法、すなわち、図8のフローチャートに示すペン入力モード[T]でのペン入力処理、図10のフローチャートに示すペン入力モード[T]での利き手検出処理、図13のフローチャートに示すパワーオフモード[S]での処理などの各手法は、何れもコンピュータに実行させることができるプログラムとして、メモリカード(ROMカード、RAMカードなど)、磁気ディスク(フロッピ(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD-ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの外部記録装置の媒体に格納して配布することができる。そして、電子機器の制御部(CPU)は、この外部記録装置の媒体に記録されたプログラムを記憶装置に読み込み、この読み込んだプログラムによって動作が制御されることにより、実施形態において説明したタッチ操作に応じた入力機能を含む各種の機能を実現し、前述した手法による同様の処理を実行することができる。
【0140】
また、各手法を実現するためのプログラムのデータは、プログラムコードの形態として通信ネットワーク(N)上を伝送させることができ、この通信ネットワーク(N)に接続されたコンピュータ装置(プログラムサーバ)から、前記プログラムのデータを電子機器に取り込んで記憶装置に記憶させ、前述したタッチ操作に応じた入力機能を含む各種の機能を実現することもできる。
【0141】
なお、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0142】
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0143】
[付記1]
タッチ操作に対応してタッチ位置を検出するタッチパネルと、
前記タッチパネルの表面に加わる圧力に応じた信号を出力する圧力検出部と、
前記タッチパネルの動作を停止させた状態において、前記タッチ操作に対応して前記圧力検出部から出力される信号に基づいて前記タッチパネルを動作させる電子回路と、
を備え、
前記タッチパネルは、前記圧力検出部に重ねて設けられている、電子機器。
【0144】
[付記2]
前記タッチ操作に対応して前記圧力検出部から出力される信号に基づいて、前記電子回路に前記タッチパネルを動作させるための信号を出力する制御部を備えた、
付記1に記載の電子機器。
【0145】
[付記3]
前記制御部は、前記タッチパネルを動作させた後に、前記タッチパネルにより検出されるタッチ位置に応じた処理を実行するように制御する、
付記2に記載の電子機器。
【0146】
[付記4]
前記電子回路は、前記タッチパネルの表面に加わる一定以上の圧力に対応して前記圧力検出部から出力される信号に基づいて前記タッチパネルを動作させ、
前記制御部は、前記タッチパネルの表面に加わる一定以上の圧力に対応して前記圧力検出部から出力される信号に基づいて、前記電子回路により前記タッチパネルが動作された後に、前記電子回路に前記タッチパネルを継続して動作させるための信号を出力する、
付記2または付記3に記載の電子機器。
【0147】
[付記5]
前記圧力検出部は、前記タッチパネルの表面に加わる圧力を、前記タッチパネルの複数に分割された領域のそれぞれに対応して検出し、
前記電子回路は、前記タッチパネルのタッチ位置に対応する領域の前記圧力検出部から出力される信号に基づいて前記タッチパネルを動作させる、
付記1から付記4の何れかに記載の電子機器。
【0148】
[付記6]
前記圧力検出部は、
前記タッチパネルの下方に設けられる絶縁性のシートと、前記シートの下面に被覆して設けられる導電材料の被覆部と、前記シートの下に隙間を空けて設けられる絶縁性の板状部と、前記導電材料の被覆部と対向する前記板状部の上面に設けられる導電材料のパターン部と、を有し、
前記シートの導電材料の被覆部が前記板状部の導電材料のパターン部に接触する面積に応じて前記被覆部および前記パターン部を介して出力される電圧に基づき、前記タッチパネルの表面に加わる圧力を検出する、
付記1から付記5の何れかに記載の電子機器。
【0149】
[付記7]
前記導電材料の被覆部は平面状に設けられ、
前記導電材料のパターン部は、櫛歯状の第1パターン部と櫛歯状の第2パターン部とを有し、前記第1パターン部の櫛歯部と前記第2パターン部の櫛歯部とが交互に一定の隙間を置いて設けられ、
前記圧力検出部は、前記導電材料の被覆部が前記導電材料のパターン部に接触した状態で、前記第1パターン部と前記被覆部と前記第2パターン部とが電気的に導通して出力される電圧に基づき、前記タッチパネルの表面に加わる圧力を検出する、
付記6に記載の電子機器。
【0150】
[付記8]
前記導電材料は、カーボンである、
付記6または付記7に記載の電子機器。
【0151】
[付記9]
前記シートの上面に、前記タッチパネルの下面と接触するように設けられる複数の凸部を備えた、
付記6から付記8の何れかに記載の電子機器。
【0152】
[付記10]
前記タッチパネルの動作を停止させた状態は、省電力モードである、
付記1から付記9の何れかに記載の電子機器。
【0153】
[付記11]
タッチ操作に対応してタッチ位置を検出するタッチパネルと、前記タッチパネルの表面に加わる圧力に応じた信号を出力する圧力検出部と、を備え、前記タッチパネルが前記圧力検出部に重ねて設けられている電子機器の電子回路により、
前記タッチパネルの動作を停止させた状態において、前記タッチ操作に対応して前記圧力検出部から出力される信号に基づいて前記タッチパネルを動作させる、
動作復帰方法。
【0154】
[付記12]
タッチ操作に対応してタッチ位置を検出するタッチパネルと、前記タッチパネルの表面に加わる圧力に応じた信号を出力する圧力検出部と、前記タッチパネルの動作を停止させた状態において、前記タッチ操作に対応して前記圧力検出部から出力される信号に基づいて前記タッチパネルを動作させる電子回路と、を備え、前記タッチパネルが前記圧力検出部に重ねて設けられている電子機器の制御部を、
前記電子回路により前記タッチパネルが動作された後に、前記電子回路に前記タッチパネルを継続して動作させるための信号を出力し、
前記タッチパネルにより検出されるタッチ位置に応じた処理を実行するように制御する、
ように機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0155】
10 …電子辞書(電子機器)
11 …タッチパネル式操作部
11a…タッチパネル
11b…導電材料印刷シート
CB …導電材料印刷部
11c…制御基板
CBP…導電材料パターン
CBPa…第1導電材料パターン
CBPb…第2導電材料パターン
SP …スペーサ
D …撓み伝達用凸部
11P(11P1~11P5)…圧力検出部
V1~V5…圧力検出電圧
TP …タッチ位置
12 …タッチパネル式表示部
P …ポインタ(目印)
L …軌跡
14d…機能指定キー
14m…ペン入力用(タッチ操作用)マーク
PP …固定印刷
21 …制御部(CPU)
22 …記憶部
22a…辞書制御プログラム
22d…モードデータ記憶領域
22e…タッチ位置データ記憶領域
22f…電圧検出データ記憶領域
40 …タッチペン
H …手
RH …右手
LH …左手
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15