(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】自動駐車システム及び自動駐車システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/14 20060101AFI20231108BHJP
B60W 30/06 20060101ALI20231108BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20231108BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20231108BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
G08G1/14 A
B60W30/06
G08G1/00 X
G08G1/16 E
G08G1/09 V
(21)【出願番号】P 2021154073
(22)【出願日】2021-09-22
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100187311
【氏名又は名称】小飛山 悟史
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】菅野 達也
(72)【発明者】
【氏名】森田 孝治
【審査官】西 秀隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-039561(JP,A)
【文献】特開2009-149254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
B60W 10/00-10/30
30/00-60/00
G01C 21/00-21/36
23/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転車両である第一車両及び第二車両に対して指示を行うことにより駐車場内の追従走行を含む自動バレーパーキングを行わせる自動駐車システムであって、
前記駐車場内で前記第一車両に対する追従走行を前記第二車両に行わせる車両制御部と、
前記駐車場内で前記第一車両に対して前記第二車両が追従走行を行っている場合に、前記第一車両と前記第二車両との間に停止位置を設定する停止位置設定部と、
前記第二車両の位置、前記第二車両の車速、及び前記停止位置に基づいて、前記第二車両が前記停止位置で停止するための前記第二車両と前記停止位置との距離である減速開始距離を算出する減速開始距離算出部と、
前記追従走行における前記第二車両の前記第一車両に対する目標車間距離を設定する目標車間距離設定部と、
を備え、
前記目標車間距離設定部は、前記停止位置から前記第一車両までの距離である余裕距離と前記減速開始距離との和より大きい距離として前記目標車間距離を設定
し、
前記駐車場の走行路には、前記指示に用いられる複数のウェイポイントが前記走行路の延在方向に沿って予め設定されており、
前記停止位置設定部は、前記第一車両と前記第二車両との間であって、前記第一車両から所定の占有距離以上離れた前記ウェイポイントの中で前記第一車両に最も近い前記ウェイポイントを前記停止位置として設定する、自動駐車システム。
【請求項2】
自動運転車両である第一車両及び第二車両に対して指示を行うことにより駐車場内の追従走行を含む自動バレーパーキングを行わせる自動駐車システムの制御方法であって、
前記駐車場内で前記第一車両に対する追従走行を前記第二車両に行わせる車両制御ステップと、
前記駐車場内で前記第一車両に対して前記第二車両が追従走行を行っている場合に、前記第一車両と前記第二車両との間に停止位置を設定する停止位置設定ステップと、
前記第二車両の位置、前記第二車両の車速、及び前記停止位置に基づいて、前記第二車両が前記停止位置で停止するための前記第二車両と前記停止位置との距離である減速開始距離を算出する減速開始距離算出ステップと、
前記追従走行における前記第二車両の前記第一車両に対する目標車間距離を設定する目標車間距離設定ステップと、
を含み、
前記目標車間距離設定ステップにおいて、前記停止位置から前記第一車両までの距離である余裕距離と前記減速開始距離との和より大きい距離として前記目標車間距離を設定
し、
前記駐車場の走行路には、前記指示に用いられる複数のウェイポイントが前記走行路の延在方向に沿って予め設定されており、
前記停止位置設定ステップにおいて、前記第一車両と前記第二車両との間であって、前記第一車両から所定の占有距離以上離れた前記ウェイポイントの中で前記第一車両に最も近い前記ウェイポイントが前記停止位置として設定される、自動駐車システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動駐車システム及び自動駐車システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動駐車システムに関する技術文献として、特開2020-079079号公報が知られている。この公報には、駐車場管制サーバ(インフラストラクチャ)により車両の自律駐車を行わせる自動バレーパーキングの方法が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、駐車場管制サーバが複数台の自動バレーパーキングを同時に実行する場合において、複数台の自動運転車両が同じ走行路を通るときには先行車に対して後続車を追従させる追従走行を行わせることが考えられている。追従走行の車速調整は後続車の自動運転機能により行われる。このとき、駐車場管制サーバによる先行車との接近を避けるための減速指示と追従走行による後続車の自動運転機能の加速の判断とが錯綜すると後続車が加速と減速を繰り返すことになり走行効率が悪化するという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、自動運転車両である第一車両及び第二車両に対して指示を行うことにより駐車場内の追従走行を含む自動バレーパーキングを行わせる自動駐車システムであって、駐車場内で第一車両に対する追従走行を第二車両に行わせる車両制御部と、駐車場内で第一車両に対して第二車両が追従走行を行っている場合に、第一車両と第二車両との間に停止位置を設定する停止位置設定部と、第二車両の位置、第二車両の車速、及び停止位置に基づいて、第二車両が停止位置で停止するための第二車両と停止位置との距離である減速開始距離を算出する減速開始距離算出部と、追従走行における第二車両の第一車両に対する目標車間距離を設定する目標車間距離設定部と、を備え、目標車間距離設定部は、停止位置から第一車両までの距離である余裕距離と減速開始距離との和より大きい距離として目標車間距離を設定し、駐車場の走行路には、指示に用いられる複数のウェイポイントが走行路の延在方向に沿って予め設定されており、停止位置設定部は、第一車両と第二車両との間であって、第一車両から所定の占有距離以上離れたウェイポイントの中で第一車両に最も近いウェイポイントを停止位置として設定する。
【0006】
本発明の一態様に係る自動駐車システムによれば、停止位置から第一車両までの距離である余裕距離と減速開始距離との和より大きい距離として目標車間距離を設定するので、第一車両に追従するための第二車両の加速と停止位置で停止するため第二車両の減速とが不必要に繰り返されることが避けられ、追従走行時の第二車両の走行効率の低下を抑制することができる。
【0008】
本発明の他の態様は、自動運転車両である第一車両及び第二車両に対して指示を行うことにより駐車場内の追従走行を含む自動バレーパーキングを行わせる自動駐車システムの制御方法であって、駐車場内で第一車両に対する追従走行を第二車両に行わせる車両制御ステップと、駐車場内で第一車両に対して第二車両が追従走行を行っている場合に、第一車両と第二車両との間に停止位置を設定する停止位置設定ステップと、第二車両の位置、第二車両の車速、及び停止位置に基づいて、第二車両が停止位置で停止するための第二車両と停止位置との距離である減速開始距離を算出する減速開始距離算出ステップと、追従走行における第二車両の第一車両に対する目標車間距離を設定する目標車間距離設定ステップと、を含み、目標車間距離設定ステップにおいて、停止位置から第一車両までの距離である余裕距離と減速開始距離との和より大きい距離として目標車間距離を設定し、駐車場の走行路には、指示に用いられる複数のウェイポイントが走行路の延在方向に沿って予め設定されており、停止位置設定ステップにおいて、第一車両と第二車両との間であって、第一車両から所定の占有距離以上離れたウェイポイントの中で第一車両に最も近いウェイポイントが停止位置として設定される。
【0009】
本発明の他の態様に係る自動駐車システムの制御方法によれば、停止位置から第一車両までの距離である余裕距離と減速開始距離との和より大きい距離として目標車間距離を設定するので、第一車両に追従するための第二車両の加速と停止位置で停止するため第二車両の減速とが不必要に繰り返されることが避けられ、追従走行時の走行効率の低下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の各態様によれば、自動バレーパーキングにおいて駐車場内の追従走行時の走行効率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第一実施形態に係る自動駐車システムを説明するための図である。
【
図2】自動バレーパーキングが行われる駐車場の一例を示す平面図である。
【
図3】駐車場管制サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】駐車場管制サーバの機能的構成の一例を示す図である。
【
図5】(a)駐車場のウェイポイントを説明するための図である。(b)停止位置の設定を説明するための図である。
【
図6】目標車間距離と車速との関係の一例を示すグラフである。
【
図7】自動バレーパーキングにおける追従走行時の目標車間距離設定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】第二実施形態に係る自動運転車両を説明するための図である。
【
図9】第二実施形態に係る自動バレーパーキングの追従走行時の目標車間距離設定処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0015】
[第一実施形態]
図1は第一実施形態に係る自動駐車システムを説明するための図である。
図1に示す自動駐車システム[AVPS:Automated Valet Parking System]1は、駐車場[Parking place]における複数台の自動運転車両2の自動バレーパーキング[AutomatedValet Parking]を行うためのシステムである。自動運転車両2について詳細は後述する。
【0016】
自動バレーパーキングとは、駐車場における降車場でユーザ(乗員)が降りた無人の自動運転車両2を駐車場側からの指示によって目標ルートを走行させ、駐車場内の目標駐車スペースに自動で駐車させるサービスである。目標駐車スペースとは、自動運転車両2の駐車位置として予め設定された駐車スペース[Parking space]である。目標ルートとは、自動運転車両2が目標駐車スペースに到達するために走行する駐車場内のルートである。なお、出庫時における目標ルートは、後述する乗車用スペースに到達するために走行するルートとなる。
【0017】
駐車場は、自動バレーパーキング専用の駐車場であってもよく、通信可能車両及び一般車両も使用可能な兼用の駐車場であってもよい。自動バレーパーキング用の駐車スペースとそれ以外の駐車スペースとを分け、走行する走行路を共通としてもよい。
【0018】
ここで、
図2は、自動バレーパーキングが行われる駐車場の一例を示す平面図である。
図2に、駐車場50、駐車エリア[Parking area]51、降車場[Drop-off area]52、及び乗車場[Pick up area]53を示す。駐車場50は、駐車エリア51、降車場52、及び乗車場53を含んでいる。なお、降車場52及び乗車場53は別々に設けられている必要はなく、一体の乗降場として設けられていてもよい。
【0019】
駐車エリア51は、自動バレーパーキングにより自動運転車両2が駐車する駐車スペース61が形成された場所である。駐車スペース61は、例えば
図2に示すように一方向(例えば駐車車両における車幅方向)に並んで複数形成されている。
【0020】
降車場52は、駐車場50の入口側に設けられ、入庫前の自動運転車両2からユーザを含む乗員が降車するための場所である。降車場52には、乗員の降車時に自動運転車両2が停車するための降車用スペース62が形成されている。降車場52は、入庫ゲート54を介して駐車エリア51に通じている。
【0021】
乗車場53は、駐車場50の出口側に設けられ、出庫してきた自動運転車両2に乗員が乗車するための場所である。乗車場53には、乗員の乗車のために自動運転車両2が待機するための乗車用スペース63が形成されている。乗車場53は、出庫ゲート55を介して駐車エリア51に通じている。駐車スペース61、降車用スペース62、及び乗車用スペース63は、自動運転車両2の駐車(停車を含む)の目標である目標駐車スペースの対象となる。また、乗車場53と駐車エリア51との間には、乗車場53から駐車エリア51に自動運転車両2を戻すためのリターンゲート56が設けられている。なお、リターンゲート56は必須ではない。
【0022】
また、
図2において、降車場52の降車用スペース62で停車中の自動運転車両2A、駐車場50内を走行中の自動運転車両2B、駐車エリア51の駐車スペース61に駐車中の自動運転車両2C、及び乗車場53の乗車用スペース63で停車中の自動運転車両2Dを示す。
【0023】
自動駐車システム1では、例えば、駐車場50に入場[Entering]した自動運転車両2が降車用スペース62で乗員を降ろした後(自動運転車両2Aに対応)、自動運転車両2の指示権限を得て自動バレーパーキングを開始する。自動駐車システム1は、駐車エリア51に進入した自動運転車両2Bを走行させ、目標駐車スペースE1に自動運転車両2Bを自動駐車させる。自動駐車システム1は、ユーザから出庫指示を受けた場合、駐車していた自動運転車両2Bを乗車場53に向かって走行させ、乗車用スペース63に自動駐車させる(自動運転車両2Dに対応)。
【0024】
〈自動駐車システムの構成〉
以下、自動駐車システム1の構成について図面を参照して説明する。
図1に示すように、自動駐車システム1は駐車場管制サーバ10を備えている。駐車場管制サーバ10は駐車場を管理するためのサーバである。
【0025】
駐車場管制サーバ10は、自動運転車両2と通信可能に構成されている。自動運転車両2について詳しくは後述する。駐車場管制サーバ10は、駐車場に設けられていてもよく、駐車場から離れた施設に設けられていてもよい。駐車場管制サーバ10は、異なる場所に設けられた複数のコンピュータから構成されていてもよい。駐車場管制サーバ10は、駐車場センサ3及び駐車場地図データベース4と接続されている。
【0026】
駐車場センサ3は、駐車場内の状況を認識するためのセンサである。駐車場センサ3には、例えば駐車場内の自動運転車両2の位置を検出するための監視カメラが含まれている。監視カメラは、駐車場の天井や壁に設けられ、駐車場内の自動運転車両2を撮像する。監視カメラは、撮像画像を駐車場管制サーバ10に送信する。
【0027】
駐車場センサ3には、駐車スペース内に駐車車両が存在するか否か(駐車スペースが満車であるか空車であるか)を検出するための空車センサが含まれてもよい。空車センサは、駐車スペースごとに設けられてもよく、天井などに設けられて複数の駐車スペースを一台で監視可能に構成されていてもよい。空車センサの構成は特に限定されず、周知の構成を採用することができる。空車センサは、圧力センサであってもよく、電波を用いるレーダセンサ又はソナーセンサであってもよく、カメラであってもよい。空車センサは、駐車スペースにおける空車情報を駐車場管制サーバ10に送信する。
【0028】
駐車場地図データベース4は、駐車場地図情報を記憶するデータベースである。駐車場地図情報には、駐車場における駐車スペースの位置情報及び駐車場における走行路の情報が含まれている。また、駐車場地図情報には、自動運転車両2が位置認識に用いられるランドマークの位置情報が含まれていてもよい。ランドマークには、白線、ポール、セーフティコーン、駐車場の柱などのうち少なくとも一つが含まれる。
【0029】
駐車場管制サーバ10のハードウェア構成について説明する。
図3は、駐車場管制サーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、駐車場管制サーバ10は、プロセッサ10a、記憶部10b、通信部10c、及びユーザインターフェイス10dを備えた一般的なコンピュータとして構成されている。
【0030】
プロセッサ10aは、各種オペレーティングシステムを動作させて駐車場管制サーバ10を制御する。プロセッサ10aは、制御装置、演算装置、レジスタなどを含むCPU[Central Processing Unit]などの演算器である。プロセッサ10aは、記憶部10b、通信部10c、及びユーザインターフェイス10dを統括する。記憶部10bは、例えばROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]、HDD[Hard Disk Drive]、SSD[Solid State Drive]のうち少なくとも一つを含む記録媒体である。
【0031】
通信部10cは、ネットワークを介した無線通信を行うための通信デバイスである。通信部10cには、ネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカードなどを用いることができる。駐車場管制サーバ10は、通信部10cを用いて自動運転車両2と通信を行う。ユーザインターフェイス10dは、駐車場管制サーバ10の管理者などに対する駐車場管制サーバ10の入出力部である。ユーザインターフェイス10dは、ディスプレイ、スピーカなどの出力器、及び、タッチパネルなどの入力器を含む。
【0032】
次に、駐車場管制サーバ10の機能的構成について説明する。
図4は、駐車場管制サーバ10の機能的構成の一例を示す図である。
図4に示すように、駐車場管制サーバ10は、車両情報取得部11、車両制御部12、停止位置設定部13、減速開始距離算出部14、及び目標車間距離設定部15を有する。
【0033】
車両情報取得部11は、駐車場内の自動運転車両2との通信により自動運転車両2の車両情報を取得する。車両情報には、自動運転車両2の識別情報及び駐車場における自動運転車両2の位置情報が含まれる。識別情報は、個々の自動運転車両2を特定できる情報であればよい。識別情報は、ID番号[Identification Number]であってもよく、車両番号であってもよく、自動バレーパーキングの予約番号などであってもよい。
【0034】
車両情報には、自動運転車両2の車種が含まれていてもよく、識別情報とは別に車両番号が含まれていてもよい。車両情報には、入庫予約時刻などの入庫予約情報が含まれていてもよく、出庫予定時刻が含まれていてもよい。車両情報には、自動運転車両2の旋回半径、大きさ、車幅などの車体情報が含まれていてもよく、自動運転車両2の自動運転機能に関する情報が含まれていてもよい。自動運転機能に関する情報には自動運転機能のバージョン情報が含まれていてもよい。
【0035】
車両情報には、自動運転車両2の走行状態及び外部環境の認識結果(先行車との車間距離など)が含まれていてもよい。走行状態及び外部環境の認識については後述する。車両情報には、自動運転車両2の残りの走行可能距離又は残燃料の情報が含まれていてもよい。
【0036】
車両情報取得部11は、自動バレーパーキングの間、自動運転車両2から車両情報を継続的に取得する。車両情報取得部11は、自動運転車両2が駐車中となった場合、車両情報の取得を中断してもよく、定期的に車両情報を取得してもよい。
【0037】
車両情報取得部11は、取得した車両情報に基づいて、自動バレーパーキング中の自動運転車両2の状況を認識する。自動運転車両2の状況には、駐車場内における自動運転車両2の位置が含まれる。自動運転車両2の状況には、自動運転車両2の車速が含まれてもよく、自動運転車両2のヨーレートが含まれてもよく、自動運転車両2と周囲の他車両との距離が含まれてもよい。
【0038】
車両制御部12は、車両情報取得部11の取得した車両情報と駐車場の駐車状況に基づいて、自動運転車両2の駐車する目標駐車スペースを決定する。車両制御部12は、自動運転車両2が目標駐車スペースに至るための駐車場内のルートである目標ルートを生成する。車両制御部12は、自動運転車両2に目標ルートに沿って走行するように指示することで目標駐車スペースに対する自動駐車を行わせる。
【0039】
車両制御部12は、駐車場内に予め設定された複数のウェイポイントを用いて自動運転車両2への指示を行ってもよい。ウェイポイントとは、駐車場内の仮想的に設定された位置ポイント(通過点)である。ウェイポイントは、例えば駐車場の走行路の延在方向に沿って一定間隔で設定される。なお、ウェイポイントの設定間隔は、必ずしも一定である必要はない。ウェイポイントの設定間隔は、カーブや駐車場出入口付近などの区間で変更されてもよい。
【0040】
図5(a)は、駐車場のウェイポイントを説明するための図である。
図5(a)に、走行路R、駐車場管制サーバ10による指示で走行中の自動運転車両2である第一車両N1及び第二車両N2、ウェイポイントW1~W6を示す。
図5(a)に示すように、ウェイポイントW1~W6は、一例として走行路Rの延在方向に沿って走行路Rの幅方向中央において一定間隔となるように設定されている。
【0041】
車両制御部12は、二台以上の自動運転車両2が同じ走行路を走行する場合に、先行車に対する後続車の追従走行を指示する。車両制御部12は、先行車と後続車の距離が一定距離以下など、追従走行を指示するための更なる条件を設けてもよい。
【0042】
車両制御部12は、
図5(a)に示す状況において先行する第一車両N1に対する追従走行を第二車両N2に指示する。車両制御部12は、後述する目標車間距離設定部15の設定した目標車間距離Lを第二車両N2に指示する。第二車両N2は、第一車両N1との車間距離が指示された目標車間距離となるように車速を調整することで追従走行を行う。追従走行の車速の調整は第二車両N2の判断で行われる。以下、追従対象となる先行車を第一車両N1、追従走行を行う後続車を第二車両N2として説明を行う。
【0043】
停止位置設定部13は、駐車場内で第一車両N1に対して第二車両N2が追従走行を行っている場合に、第一車両N1と第二車両N2との間に停止位置Dを設定する。停止位置設定部13は、第一車両N1及び第二車両N2の位置に基づいて、停止位置Dを設定する。
図5(b)は、停止位置の設定を説明するための図である。
図5(b)に、停止位置D(ウェイポイントW4)、減速開始位置G、目標車間距離L、減速開始距離Lg、及び余裕距離Lmを示す。余裕距離Lmは、第一車両N1から停止位置Dまでの距離である。減速開始距離Lgについて詳しくは後述する。
【0044】
また、
図5(b)に、第一車両N1の全長Ln1、第一車両N1の前方占有距離Lf1、第一車両N1の後方占有距離Lr1、第二車両N2の全長Ln2、第二車両N2の前方占有距離Lf2、及び第二車両N2の後方占有距離Lr2を示す。
【0045】
図5(b)に示す第一車両N1の前方占有距離Lf1及び第一車両N1の後方占有距離Lr1は、第一車両N1を基準として予め設定された距離である。前方占有距離Lf1及び後方占有距離Lr1は、固定値であってもよく、第一車両N1の全長Ln1に応じて決まる値であってもよい。前方占有距離Lf1及び後方占有距離Lr1は、第一車両N1の車速が大きいほど長い距離として設定されてもよい。第二車両N2の前方占有距離Lf2及び後方占有距離Lr2についても同様である。
【0046】
図5(b)において、第一車両N1の全長Ln1と第一車両N1の前方占有距離Lf1と第一車両N1の後方占有距離Lr1の範囲に含まれるウェイポイントW5,W6は、第一車両N1に占有されたウェイポイントとなる。なお、第二車両N2に対するウェイポイントW1,W2も同様の関係である。
【0047】
停止位置Dとは、追従走行を行っている第二車両N2が第一車両N1に接近し過ぎることを避けるために駐車場管制サーバ10が設定する位置である。
図5(b)に示すように、停止位置設定部13は、例えば、第一車両N1と第二車両N2との間であって、第一車両N1に占有されていないウェイポイントの中で第一車両N1に最も近いウェイポイントW4の位置を停止位置Dとして設定する。停止位置Dの他の設定方法については後述する。停止位置Dが決まることにより余裕距離Lm(第一車両N1から停止位置Dまでの距離)も決定される。
【0048】
減速開始距離算出部14は、車両情報取得部11の取得した第二車両N2の位置、第二車両N2の車速、及び停止位置設定部13の設定した停止位置Dに基づいて、減速開始距離Lgを算出する。減速開始距離Lgは、第二車両N2が停止位置Dで停止するための第二車両N2と停止位置Dとの距離である。停止位置Dから減速開始距離Lgだけ手前の位置が減速開始位置Gとなる。第二車両N2は、減速開始位置Gから減速を開始することにより停止位置Dで停止することができる。
【0049】
減速開始距離算出部14は、例えば予め決められた減速度で第二車両N2が停止位置Dに停止するための距離として減速開始距離Lgを算出する。減速開始距離Lgの算出に用いられる減速度は、現在の第二車両N2の車速に応じて予め用意された複数の減速度パターンの中から決定されてもよい。減速度パターンは例えば第二車両N2が停止するまでの減速度の時系列データである。
【0050】
目標車間距離設定部15は、第二車両N2が追従走行で用いる目標車間距離Lを設定する。目標車間距離設定部15は、停止位置Dから第一車両N1までの距離である余裕距離Lmと減速開始距離Lgとの和より大きい距離として目標車間距離Lを設定する。
【0051】
目標車間距離設定部15は、一例として、従来の手法により追従走行で用いられる基準目標車間距離Lbを算出する。基準目標車間距離Lbは、一般的な追従走行で用いられる値とすることができる。基準目標車間距離Lbは、第二車両N2の車速に応じて予め決められた距離として算出されてもよい。なお、基準目標車間距離は、第二車両N2から車両情報として取得されてもよい。第二車両N2には、運転者や車両メーカーにより追従走行時の目標車間距離が予め設定されていると考えられる。
【0052】
目標車間距離設定部15は、車両情報取得部11の取得した第一車両N1の位置と停止位置設定部13の設定した停止位置Dから余裕距離Lmを算出する。目標車間距離設定部15は、基準目標車間距離Lbが減速開始距離Lgと余裕距離Lmとの和より大きいか否かを判定する。目標車間距離設定部15は、基準目標車間距離Lbが減速開始距離Lgと余裕距離Lmとの和より大きい場合、基準目標車間距離Lbを目標車間距離Lとして設定する。目標車間距離設定部15は、基準目標車間距離Lbが減速開始距離Lgと余裕距離Lmとの和より小さい場合、減速開始距離Lgと余裕距離Lmとの和に一定距離を加えた距離を目標車間距離Lとして設定する。一定距離は特に限定されないが、微小な距離とすることができる。一定距離は、1cmであってもよく、5cmであってもよい。
【0053】
図6は、目標車間距離と車速との関係の一例を示すグラフである。
図6の縦軸が目標車間距離L、横軸が第二車両N2の車速に対応する。
図6において、減速開始距離Lgと余裕距離Lmとの和を一点鎖線で示し、基準目標車間距離Lbを破線で示す。
図6では、第二車両N2の車速が高くなるほど基準目標車間距離Lbが長い距離として算出される。
【0054】
図6に示すように、目標車間距離設定部15は、第二車両N2の車速が低く、基準目標車間距離Lbが減速開始距離Lgと余裕距離Lmとの和より小さい場合、減速開始距離Lgと余裕距離Lmとの和に一定距離を加えた距離を目標車間距離Lとして設定する。目標車間距離設定部15は、第二車両N2の車速が高く、基準目標車間距離Lbが減速開始距離Lgと余裕距離Lmとの和より大きい場合、基準目標車間距離Lbを目標車間距離Lとして設定する。
【0055】
〈自動駐車システムの制御方法〉
次に、第一実施形態に係る自動駐車システム1の制御方法の一例について説明する。
図7は、自動バレーパーキングにおける追従走行時の目標車間距離設定処理の一例を示すフローチャートである。
図7に示す目標車間距離設定処理は、駐車場管制サーバ10により追従走行が指示されてる場合に実行される。目標車間距離設定処理は、追従走行が行われている場合、繰り返し実行される。
【0056】
図7に示すように、自動駐車システム1の駐車場管制サーバ10は、S10として、車両情報取得部11により駐車場内の自動運転車両2の各種の情報を取得する(車両情報取得ステップ)。車両情報取得部11は、駐車場内の自動運転車両2との通信により自動運転車両2の車両情報を取得する。
【0057】
S11として、駐車場管制サーバ10は、停止位置設定部13により停止位置Dの設定を行う(停止位置設定ステップ)。停止位置設定部13は、第一車両N1及び第二車両N2の位置に基づいて、停止位置Dを設定する。
【0058】
S12として、駐車場管制サーバ10は、減速開始距離算出部14により減速開始距離Lgを算出する(減速開始距離算出ステップ)。減速開始距離算出部14は、車両情報取得部11の取得した第二車両N2の位置、第二車両N2の車速、及び停止位置設定部13の設定した停止位置Dに基づいて、減速開始距離Lgを算出する。減速開始距離算出部14は、余裕距離Lmも算出する。
【0059】
S13として、駐車場管制サーバ10は、目標車間距離設定部15により基準目標車間距離Lbを算出する(基準目標車間距離算出ステップ)。目標車間距離設定部15は、例えば第二車両N2の車速に応じて予め決められた基準目標車間距離Lbを算出する(
図6参照)。
【0060】
S14として、駐車場管制サーバ10は、目標車間距離設定部15により基準目標車間距離Lbが減速開始距離Lgと余裕距離Lmとの和より大きいか否かを判定する(判定ステップ)。駐車場管制サーバ10は、基準目標車間距離Lbが減速開始距離Lgと余裕距離Lmとの和より大きいと判定した場合(S14:YES)、S15に移行する。駐車場管制サーバ10は、基準目標車間距離Lbが減速開始距離Lgと余裕距離Lmとの和より大きいと判定しなかった場合(S14:NO)、S16に移行する。
【0061】
S15において、駐車場管制サーバ10は、目標車間距離設定部15により基準目標車間距離Lbを目標車間距離Lとして設定する(目標車間距離設定ステップ)。その後、駐車場管制サーバ10は、S17に移行する。
【0062】
S16において、駐車場管制サーバ10は、目標車間距離設定部15により減速開始距離Lgと余裕距離Lmとの和に一定距離を加えた距離を目標車間距離Lとして設定する(目標車間距離設定ステップ)。その後、駐車場管制サーバ10は、S17に移行する。
【0063】
S17において、駐車場管制サーバ10は、目標車間距離設定部15により目標車間距離Lを第二車両N2に指示する(目標車間距離指示ステップ)。第二車両N2は、先行車である第一車両N1との車間距離が目標車間距離Lとなるように追従走行を行う。
【0064】
以上説明した第一実施形態に係る自動駐車システム1によれば、停止位置Dから第一車両N1までの距離である余裕距離Lmと減速開始距離Lgとの和より大きい距離として目標車間距離Lを設定するので、駐車場管制サーバ10による停止位置Dと第二車両N2の目標車間距離Lとが独立して設定される場合と比べて第一車両N1に追従するための第二車両N2の加速と停止位置Dで停止するため第二車両N2の減速とが不必要に繰り返されることが避けられ、追従走行時の第二車両N2の走行効率の低下を抑制することができる。
【0065】
また、自動駐車システム1では、ウェイポイントを利用して停止位置Dを設定することで、自由な位置に停止位置Dを設定する場合と比べて演算処理量を低減させることができ、第一車両N1の進行に応じた停止位置Dの切り替えを容易にすることができる。
【0066】
[第二実施形態]
第二実施形態に係る自動運転車両100は、駐車場管制サーバ110からの指示により自動駐車(自動バレーパーキング)を実行可能な車両である。第二実施形態に係る駐車場管制サーバ110は、第一実施形態における駐車場管制サーバ10と比べて、減速開始距離算出部14及び目標車間距離設定部15の機能を有しておらず、自動運転車両100が減速開始距離算出部14及び目標車間距離設定部15に対応する機能を有している。
【0067】
自動運転車両100は、駐車場管制サーバ110からの指示により先行車に対する追従走行を行う。
図5(b)に示す状況において、先行車が第一車両N1に対応し、自動運転車両100が第二車両N2に対応する。
【0068】
図8は、第二実施形態に係る自動運転車両を説明するための図である。
図8に示すように、自動運転車両100は、一例として、自動運転ECU20を有している。自動運転ECU20は、CPU、ROM、RAMなどを有する電子制御ユニットである。自動運転ECU20では、例えば、ROMに記録されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムをCPUで実行することにより各種の機能を実現する。自動運転ECU20は、複数の電子ユニットから構成されていてもよい。
【0069】
自動運転ECU20は、GPS受信部21、外部センサ22、内部センサ23、通信部24、及び、アクチュエータ25と接続されている。
【0070】
GPS受信部21は、複数のGPS衛星から信号を受信することにより、自動運転車両100の位置(例えば自動運転車両100の緯度及び経度)を測定する。GPS受信部21は、測定した自動運転車両100の位置情報を自動運転ECU20へ送信する。GPS受信部21に代えてGNSS[Global Navigation Satellite System]受信部を用いてもよい。
【0071】
外部センサ22は、自動運転車両100の外部環境を検出する車載センサである。外部センサ22は、カメラを少なくとも含む。カメラは、自動運転車両100の外部環境を撮像する撮像機器である。カメラは、例えば自動運転車両100のフロントガラスの裏側に設けられ、車両前方を撮像する。カメラは、自動運転車両100の外部環境に関する撮像情報を自動運転ECU20へ送信する。カメラは、単眼カメラであってもよく、ステレオカメラであってもよい。カメラは、複数台設けられていてもよく、自動運転車両100の前方の他、左右の側方及び後方を撮像してもよい。
【0072】
外部センサ22は、レーダセンサを含んでもよい。レーダセンサは、電波(例えばミリ波)又は光を利用して自動運転車両100の周辺の物体を検出する検出機器である。レーダセンサには、例えば、ミリ波レーダ又はライダー[LIDAR:Light Detection and Ranging]が含まれる。レーダセンサは、電波又は光を自動運転車両100の周辺に送信し、物体で反射された電波又は光を受信することで物体を検出する。レーダセンサは、検出した物体情報を自動運転ECU20へ送信する。また、外部センサ22は、自動運転車両100の外部の音を検出するソナーセンサを含んでもよい。
【0073】
内部センサ23は、自動運転車両100の走行状態を検出する車載センサである。内部センサ23は、車速センサ、加速度センサ、及びヨーレートセンサを含んでいる。車速センサは、自動運転車両100の速度を検出する検出器である。車速センサとしては、自動運転車両100の車輪又は車輪と一体に回転するドライブシャフトなどに対して設けられ、各車輪の回転速度を検出する車輪速センサを用いることができる。車速センサは、検出した車速情報(車輪速情報)を自動運転ECU20に送信する。
【0074】
加速度センサは、自動運転車両100の加速度を検出する検出器である。加速度センサは、例えば、自動運転車両100の前後方向の加速度を検出する前後加速度センサを含んでいる.加速度センサは、自動運転車両100の横加速度を検出する横加速度センサを含んでいてもよい。加速度センサは、例えば、自動運転車両100の加速度情報を自動運転ECU20に送信する。ヨーレートセンサは、自動運転車両100の重心の鉛直軸周りのヨーレート(回転角速度)を検出する検出器である。ヨーレートセンサとしては、例えばジャイロセンサを用いることができる。ヨーレートセンサは、検出した自動運転車両100のヨーレート情報を自動運転ECU20へ送信する。
【0075】
通信部24は、自動運転車両100の外部との無線通信を制御する通信デバイスである。通信部24は、駐車場管制サーバ10との通信により各種情報の送信及び受信を行う。通信部24は、例えば、駐車場管制サーバ10に車両情報を送信すると共に、駐車場管制サーバ10から自動バレーパーキングのために必要な情報(例えば目標ルート沿いのランドマークの情報)を取得する。
【0076】
アクチュエータ25は、自動運転車両100の制御に用いられる機器である。アクチュエータ25は、駆動アクチュエータ、ブレーキアクチュエータ、及び操舵アクチュエータを少なくとも含む。駆動アクチュエータは、自動運転ECU20からの制御信号に応じてエンジンに対する空気の供給量(スロットル開度)を制御し、自動運転車両100の駆動力を制御する。なお、自動運転車両100がハイブリッド車である場合には、エンジンに対する空気の供給量の他に、動力源としてのモータに自動運転ECU20からの制御信号が入力されて当該駆動力が制御される。自動運転車両100が電気自動車である場合には、動力源としてのモータに自動運転ECU20からの制御信号が入力されて当該駆動力が制御される。これらの場合における動力源としてのモータは、アクチュエータ25を構成する。
【0077】
ブレーキアクチュエータは、自動運転ECU20からの制御信号に応じてブレーキシステムを制御し、自動運転車両100の車輪へ付与する制動力を制御する。ブレーキシステムとしては、例えば、液圧ブレーキシステムを用いることができる。操舵アクチュエータは、電動パワーステアリングシステムのうち操舵トルクを制御するアシストモータの駆動を自動運転ECU20からの制御信号に応じて制御する。これにより、操舵アクチュエータは自動運転車両100の操舵トルクを制御する。
【0078】
次に、自動運転ECU20の機能的構成の一例について説明する。自動運転ECU20は、外部環境認識部31、走行状態認識部32、自車位置認識部33、車両情報提供部34、停止位置取得部35、減速開始距離算出部36、目標車間距離設定部37、及び自動運転制御部38を有している。
【0079】
外部環境認識部31は、外部センサ22(カメラの撮像画像又はレーダセンサの検出した物体情報)の検出結果に基づいて、自動運転車両100の外部環境を認識する。外部環境には、自動運転車両100に対する周囲の物体の相対位置が含まれる。外部環境には、自動運転車両100に対する周囲の物体の相対速度及び移動方向が含まれていてもよい。外部環境認識部31は、パターンマッチングなどにより、他車両及び駐車場の柱などの物体を認識する。外部環境認識部31は、駐車場のゲート、駐車場の壁、ポール、セーフティコーンなどを認識してもよい。また、外部環境認識部31は、白線認識により駐車場における走行境界[driving boundaries]を認識してもよい。
【0080】
走行状態認識部32は、内部センサ23の検出結果に基づいて、自動運転車両100の走行状態を認識する。走行状態には、自動運転車両100の車速、自動運転車両100の加速度、自動運転車両100のヨーレートが含まれる。具体的に、走行状態認識部32は、車速センサの車速情報に基づいて、自動運転車両100の車速を認識する。走行状態認識部32は、加速度センサの車速情報に基づいて、自動運転車両100の加速度を認識する。走行状態認識部32は、ヨーレートセンサのヨーレート情報に基づいて、自動運転車両100の向きを認識する。
【0081】
自車位置認識部33は、通信部24を通じて駐車場管制サーバ10から取得した駐車場地図情報と外部環境認識部31の認識した外部環境とに基づいて、駐車場内における自動運転車両100の位置を認識する。
【0082】
自車位置認識部33は、駐車場地図情報に含まれる駐車場内のランドマークの位置情報と外部環境認識部31の認識した自動運転車両100に対するランドマークの相対位置とに基づいて、駐車場内における自動運転車両100の位置を認識する。ランドマークとしては、駐車場に固定して設けられた物体を用いることができる。
【0083】
その他、自車位置認識部33は、内部センサ23の検出結果に基づいて、デッドレコニングにより自動運転車両100の位置を認識してもよい。また、自車位置認識部33は、駐車場に設けられたビーコンとの通信により自動運転車両100の位置を認識してもよい。
【0084】
車両情報提供部34は、通信部24を通じて駐車場管制サーバ10に車両情報を提供する。車両情報提供部34は、例えば一定時間ごとに自車位置認識部33の認識した駐車場内における自動運転車両100の位置の情報を含む車両情報を駐車場管制サーバ10に提供する。車両情報には、自動運転車両100認識した外部環境(先行車との車間距離を含む)及び/又は走行状態が含まれていてもよい。
【0085】
停止位置取得部35は、駐車場管制サーバ110の指示により駐車場内で自動運転車両100が先行車に対する追従走行を行う場合に、駐車場管制サーバ110の設定した停止位置Dの情報を取得する。駐車場管制サーバ110による停止位置Dの設定は第一実施形態と同様とすることができる。
【0086】
停止位置取得部35は、駐車場地図上の位置と関連付けて停止位置Dの情報を取得してもよく、自動運転車両100からの距離として停止位置Dの情報を取得してもよい。停止位置Dはウェイポイントと関連付けられていてもよく、ウェイポイントとは無関係な位置として設定されていてもよい。停止位置取得部35は、外部環境認識部31の認識した自動運転車両100から先行車までの距離と停止位置Dとに基づいて、停止位置Dから先行車までの距離である余裕距離Lmを算出する。
【0087】
減速開始距離算出部36は、自車位置認識部33の認識した自動運転車両100の位置、走行状態認識部32の認識した自動運転車両100の車速、及び停止位置取得部35の取得した停止位置Dに基づいて、減速開始距離Lgを算出する。減速開始距離Lgは、自動運転車両100が停止位置Dで停止するための自動運転車両100と停止位置Dとの距離である。停止位置Dから減速開始距離Lgだけ手前の位置が減速開始位置Gとなる。自動運転車両100は、減速開始位置Gから減速を開始することにより停止位置Dで停止することができる。
【0088】
減速開始距離算出部36は、例えば予め決められた減速度で自動運転車両100が停止位置Dに停止するための距離として減速開始距離Lgを算出する。減速開始距離Lgの算出に用いられる減速度は、現在の自動運転車両100の車速に応じて予め用意された複数の減速度パターンの中から決定されてもよい。
【0089】
目標車間距離設定部37は、駐車場管制サーバ110の指示により駐車場内で自動運転車両100が先行車に対する追従走行を行う場合に、先行車と自動運転車両100との目標車間距離を設定する。目標車間距離設定部37は、停止位置Dから先行車までの距離である余裕距離Lmと減速開始距離Lgとの和より大きい距離として目標車間距離Lを設定する。
【0090】
目標車間距離設定部37は、一例として、従来の手法により追従走行で用いられる基準目標車間距離Lbを算出する。基準目標車間距離Lbの算出方法は第一実施形態と同様とすることができる。基準目標車間距離Lbは、自動運転車両100に対して運転者が予め設定していた目標車間距離を用いてもよい。
【0091】
目標車間距離設定部37は、基準目標車間距離Lbが減速開始距離Lgと余裕距離Lmとの和より大きいか否かを判定する。目標車間距離設定部37は、基準目標車間距離Lbが減速開始距離Lgと余裕距離Lmとの和より大きい場合、基準目標車間距離Lbを目標車間距離Lとして設定する。目標車間距離設定部37は、基準目標車間距離Lbが減速開始距離Lgと余裕距離Lmとの和より小さい場合、減速開始距離Lgと余裕距離Lmとの和に一定距離を加えた距離を目標車間距離Lとして設定する。
【0092】
自動運転制御部38は、自動運転車両100の自動運転を行う。自動運転制御部38は、駐車場管制サーバ110からの指示により先行車に対する自動運転車両100の追従走行を実行する。自動運転制御部38は、目標車間距離設定部37の設定した目標車間距離Lを用いて追従走行を行う。
【0093】
〈自動運転車両の制御方法〉
次に、第二実施形態に係る自動運転車両100の制御方法の一例について説明する。
図9は、第二実施形態に係る自動バレーパーキングの追従走行時の目標車間距離設定処理の一例を示すフローチャートである。
図9に示す目標車間距離設定処理は、駐車場管制サーバ110により自動運転車両100に追従走行が指示されてる場合に実行される。目標車間距離設定処理は、追従走行が行われている場合、繰り返し実行される。
【0094】
図9に示すように、自動運転車両100の自動運転ECU20は、S20として、停止位置取得部35により先行車に対する自動運転車両100の停止位置Dを取得する(停止位置取得ステップ)。また、停止位置取得部35は、外部環境認識部31の認識した自動運転車両100から先行車までの距離と停止位置Dとに基づいて、停止位置Dから先行車までの距離である余裕距離Lmを算出する。
【0095】
S21において、自動運転ECU20は、減速開始距離算出部36により減速開始距離Lgを算出する(減速開始距離算出ステップ)。減速開始距離算出部36は、自動運転車両100の位置、自動運転車両100の車速、及び停止位置Dに基づいて、減速開始距離Lgを算出する。
【0096】
S22において、自動運転ECU20は、目標車間距離設定部37により基準目標車間距離Lbを算出する(基準目標車間距離算出ステップ)。目標車間距離設定部37は、例えば自動運転車両100の車速に応じて基準目標車間距離Lbを算出する。
【0097】
S23において、自動運転ECU20は、目標車間距離設定部37により基準目標車間距離Lbが減速開始距離Lgと余裕距離Lmとの和より大きいか否かを判定する(判定ステップ)。駐車場管制サーバ10は、基準目標車間距離Lbが減速開始距離Lgと余裕距離Lmとの和より大きいと判定した場合(S23:YES)、S24に移行する。駐車場管制サーバ10は、基準目標車間距離Lbが減速開始距離Lgと余裕距離Lmとの和より大きいと判定しなかった場合(S23:NO)、S25に移行する。
【0098】
S24において、自動運転ECU20は、目標車間距離設定部37により基準目標車間距離Lbを目標車間距離Lとして設定する(目標車間距離設定ステップ)。その後、自動運転ECU20は、S26に移行する。
【0099】
S25において、自動運転ECU20は、目標車間距離設定部37により減速開始距離Lgと余裕距離Lmとの和に一定距離を加えた距離を目標車間距離Lとして設定する(目標車間距離設定ステップ)。その後、自動運転ECU20は、S26に移行する。
【0100】
S26において、駐車場管制サーバ10は、自動運転制御部38により目標車間距離Lを用いた追従走行を行う(車両制御ステップ)。自動運転車両100は、先行車との車間距離が目標車間距離Lとなるように車速調整を行う。
【0101】
以上説明した第二実施形態に係る自動運転車両100によれば、停止位置Dから先行車までの距離である余裕距離Lmと減速開始距離Lgとの和より大きい距離として目標車間距離Lを設定するので、駐車場管制サーバ110による停止位置Dと自動運転車両100の目標車間距離Lとが独立して設定される場合と比べて、先行車に追従するための自動運転車両100の加速と停止位置Dで停止するため自動運転車両100の減速とが不必要に繰り返されることが避けられ、追従走行時の走行効率の低下を抑制することができる。
【0102】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。本発明は、上述した実施形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した様々な形態で実施することができる。
【0103】
第一実施形態に係る自動運転車両2は、第二実施形態の自動運転車両100と同じであってもよく、自動運転車両100から停止位置取得部35、減速開始距離算出部36、及び目標車間距離設定部37の機能を除いた車両としてもよい。
【0104】
例えば自動運転車両2,100として、他車両(駐車対象車両)を運搬可能な運搬ロボットが用いられてもよい。駐車対象車両は、自動運転機能を有しない一般車両であってもよく、自動運転車両であってもよい。運搬ロボットは、例えば、駐車対象車両を持ち上げて保持できるリフト機構を備えている。駐車場管制サーバ10、110は、運搬ロボットに対して指示を行って駐車対象車両を運搬させることで、駐車対象車両の自動バレーパーキングを実現する。駐車場管制サーバ10、110は、運搬ロボット同士についても追従走行の指示を行う。
【0105】
停止位置Dの設定には、必ずしも第一車両N1(先行車)の後方占有距離Lr1を用いる必要はない。停止位置Dは、第一車両N1の後方で第一車両N1に最も近いウェイポイントの位置に設定されてもよく、第一車両N1の後方で第一車両N1に二番目に近いウェイポイントの位置に設定されてもよい。停止位置Dの設定は、必ずしもウェイポイントを用いる必要はない。停止位置Dはウェイポイントと関係なく駐車場内の任意の位置に設定してもよい。第一車両N1の位置から予め設定された距離だけ第二車両N2側の位置を停止位置Dとしてもよい。
【0106】
目標車間距離Lの設定には、必ずしも基準目標車間距離Lbを用いる必要はない。減速開始距離Lgと余裕距離Lmの和より大きい距離を目標車間距離Lとして算出してもよい。
【符号の説明】
【0107】
1…自動駐車システム、2,100…自動運転車両、10,110…駐車場管制サーバ、12…車両制御部、13…停止位置設定部、14,36…減速開始距離算出部、15,37…目標車間距離設定部、35…停止位置取得部、50…駐車場、D…停止位置、L…目標車間距離、Lg…減速開始距離、Lm…余裕距離、N1…第一車両(先行車)、N2…第二車両、R…走行路、W1~W6…ウェイポイント。