(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】コネクタ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01R 13/66 20060101AFI20231108BHJP
H01R 12/72 20110101ALI20231108BHJP
H01R 43/00 20060101ALI20231108BHJP
G02B 6/42 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
H01R13/66
H01R12/72
H01R43/00 B
G02B6/42
(21)【出願番号】P 2021512337
(86)(22)【出願日】2020-04-03
(86)【国際出願番号】 JP2020015421
(87)【国際公開番号】W WO2020204190
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-04-26
(31)【優先権主張番号】P 2019071593
(32)【優先日】2019-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】I-PEX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100162259
【氏名又は名称】末富 孝典
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【氏名又は名称】榊原 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100146916
【氏名又は名称】廣石 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100208269
【氏名又は名称】遠藤 雅士
(72)【発明者】
【氏名】橋本 陽一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 将
(72)【発明者】
【氏名】松尾 章吾
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-004628(JP,A)
【文献】特開2013-083946(JP,A)
【文献】特許第4613484(JP,B2)
【文献】特開2016-197549(JP,A)
【文献】特開2002-198110(JP,A)
【文献】米国特許第06210229(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/66
H01R 12/72
H01R 43/00
G02B 6/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部に信号線を介して接続される回路基板と、
前記回路基板の一方の主面に配置された第1の伝熱材と、
前記回路基板の端末部分が一端部から突出した状態で、前記一端部が相手方コネクタに嵌合し、前記回路基板の前記端末部分以外の領域である対象領域の少なくとも一部と対向する対向部を有し、前記対象領域の少なくとも一部を覆う導電性の第1のシェルと、
前記第1のシェルの他端部に接続され、前記回路基板の前記一方の主面における前記対象領域の少なくとも一部を覆い、前記第1の伝熱材に接触して前記回路基板と熱伝導可能に接続される導電性の第2のシェルと、
前記第2のシェルに係合し、前記回路基板の他方の主面における前記対象領域の少なくとも一部を覆う導電性の第3のシェルと、
を備え、
前記第1のシェル、前記第2のシェル及び前記第3のシェルが、前記回路基板の前記対象領域を覆い、
前記第2のシェル及び前記第3のシェルは外部に露出している、
コネクタ。
【請求項2】
前記第1のシェルには、前記相手方コネクタと係合することにより前記一端部と前記相手方コネクタとが嵌合した状態を保持する外れ止めが形成されている、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第3のシェルは、前記第1のシェルに対して前記一端部に沿う方向に間隔を空けて配置され、前記回路基板の前記対象領域と対向する、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記第3のシェルは、平板状の基部と、
前記第2のシェルに形成された立上り部に向けて前記基部
の四周から立ち上がる立上り部と、前記第3のシェルの立上り部から延出し、前記第1のシェルに当接する当接部と、を有し、
前記第3のシェルは、前記当接部を前記第2のシェルの前記第1のシェルに接続される側の反対側から前記第1のシェルに接続される側に向けてスライドして前記第1のシェルに当接させつつ、前記第3のシェルの立上り部に形成された係合部が前記第2のシェルの立上り部に形成された係合孔に係合された後、前記第3のシェルの立上り部が前記第2のシェルの立上り部に嵌合され、
前記基部は
、前記第3のシェルが
前記第2のシェルに係合するために移動する
方向であるスライド方向に沿う方向に
前記第1のシェルに対して間隔を空けて配置され、前記回路基板の前記対象領域と対向する、
請求項1から
3の何れか1項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記第1のシェルは、前記対向部に接続し前記対向部とともに挿通部を形成するカバー部を有し、
前記回路基板の前記端末部分は、前記挿通部に挿通される、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記第1のシェルは、前記第2のシェルと一体に形成される、
請求項1から
5の何れか1項に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記第1のシェルは、さらに前記第3のシェルと一体に形成される、
請求項
6に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記回路基板の前記他方の主面には、発熱部材が配置され、
前記第3のシェルの一部は、前記発熱部材に第2の伝熱材を介して熱伝導可能に接続されている、
請求項1から
7の何れか1項に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記第3のシェルには、舌部が形成されており、
前記舌部は、屈曲して、前記第2の伝熱材に接触している、
請求項
8に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記発熱部材は、前記回路基板に第3の伝熱材を介して熱伝導可能に接続されている、
請求項
8又は
9に記載のコネクタ。
【請求項11】
前記発熱部材は、シリコンフォトニクス回路を有する半導体素子から構成されている、
請求項
8から
10の何れか1項に記載のコネクタ。
【請求項12】
前記信号線は、光ファイバを備え、
前記光ファイバは、前記半導体素子が備える発光素子又は受光素子に接続されており、
前記半導体素子の電気端子は、前記回路基板に形成された配線を介して、前記端末部分に配置された複数の接続端子に接続されている、
請求項
11に記載のコネクタ。
【請求項13】
前記第2のシェル又は前記第3のシェルは、その一端部に配置された係合部を有し、
前記第1のシェルは、前記他端部に配置され、前記係合部に係合される被係合部を有する、
請求項1から
12の何れか1項に記載のコネクタ。
【請求項14】
前記第1のシェルは、前記回路基板と係合する係合爪と、前記回路基板の前記他方の主面を押止する押止部とを有する、
請求項1から
13の何れか1項に記載のコネクタ。
【請求項15】
前記第2のシェルと前記第3のシェルとのうちの少なくとも一方には、前記信号線が挿通される挿通口が形成されている、
請求項1から
14の何れか1項に記載のコネクタ。
【請求項16】
前記第1の伝熱材は、前記回路基板を前記第2のシェルに固定する固定材である、
請求項1から
15の何れか1項に記載のコネクタ。
【請求項17】
外部に信号線を介して接続される回路基板と、
前記回路基板を固定する固定部材と、
前記回路基板の端末部分が一端部から突出した状態で、前記一端部が相手方コネクタに嵌合し、前記回路基板の前記端末部分以外の領域である対象領域の少なくとも一部を覆う導電性の第1のシェルと、
前記第1のシェルの他端部に接続され、前記回路基板の一方の主面における前記対象領域の少なくとも一部を覆う導電性の第2のシェルと、
前記第1のシェルの前記他端部に接続され、前記第2のシェルに係合し、前記回路基板の他方の主面における前記対象領域の少なくとも一部を覆う導電性の第3のシェルと、
を備え、
前記第1のシェル、前記第2のシェル及び前記第3のシェルが、前記回路基板の前記対象領域を覆い、
前記固定部材は、前記回路基板の前記一方の主面における前記対象領域の少なくとも一部を前記第2のシェルの主面に接触させるように固定し、
前記第2のシェル及び前記第3のシェルは外部に露出している、
コネクタ。
【請求項18】
外部に信号線を介して接続される回路基板の端末部分を、相手方コネクタに嵌合する第1のシェルの一端部から突出させ、
前記回路基板の一方の主面に伝熱材を配置し、
第2のシェルを、前記第1のシェルに係合すると共に前記伝熱材に密着させ、
第3のシェルを前記第2のシェルに沿ってスライドさせて前記第1のシェルに係合して、前記第1のシェル、前記第2のシェル及び前記第3のシェルにより、前記回路基板の前記端末部分以外の領域を覆い、
前記第2のシェル及び前記第3のシェルは外部に露出し、
前記第1のシェル、前記第2のシェル及び前記第3のシェルが相互に固定される、
コネクタの製造方法。
【請求項19】
外部に信号線を介して接続される回路基板と、
前記回路基板の一方の主面に配置された熱伝導性の固定材と、
前記回路基板の端末部分を挿通させる挿通部が一端部に形成され、前記回路基板の前記端末部分が前記一端部から突出した状態で、前記一端部が相手方コネクタに嵌合し、前記回路基板の前記端末部分以外の領域である対象領域の少なくとも一部を覆う導電性の第1のシェルと、
前記第1のシェルの他端部に接続され、前記回路基板の前記一方の主面における前記対象領域の少なくとも一部を覆い、前記固定材に接触して前記回路基板を固定する導電性の第2のシェルと、
前記第1のシェルの前記他端部に接続され、前記第2のシェルに係合し、前記回路基板の他方の主面における前記対象領域の少なくとも一部を覆う導電性の第3のシェルと、
を備え、
前記第1のシェル、前記第2のシェル及び前記第3のシェルが、前記回路基板の前記対象領域を覆い、
前記第2のシェル及び前記第3のシェルは外部に露出している、
コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
サーバ等の通信の高速化に伴い、サーバ等の機器に使用されるコネクタが大型化している。これに対応して、コネクタを小型化すべく、特許文献1に記載のコネクタが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載のコネクタには、シールドケースと送信用回路基板との間に、送信用回路基板のがたつきを抑制するためのスペーサを設ける必要がある。このため、小型化が困難である。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、小型化が可能なコネクタ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係るコネクタは、
外部に信号線を介して接続される回路基板と、
前記回路基板の一方の主面に配置された第1の伝熱材と、
前記回路基板の端末部分が一端部から突出した状態で、前記一端部が相手方コネクタに嵌合し、前記回路基板の前記端末部分以外の領域である対象領域の少なくとも一部と対向する対向部を有し、前記対象領域の少なくとも一部を覆う導電性の第1のシェルと、
前記第1のシェルの他端部に接続され、前記回路基板の前記一方の主面における前記対象領域の少なくとも一部を覆い、前記第1の伝熱材に接触して前記回路基板と熱伝導可能に接続される導電性の第2のシェルと、
前記第2のシェルに係合し、前記回路基板の他方の主面における前記対象領域の少なくとも一部を覆う導電性の第3のシェルと、
を備え、
前記第1のシェル、前記第2のシェル及び前記第3のシェルが、前記回路基板の前記対象領域を覆い、
前記第2のシェル及び前記第3のシェルは外部に露出している。
前記第1のシェルには、前記相手方コネクタと係合することにより前記一端部と前記相手方コネクタとが嵌合した状態を保持する外れ止めが形成されていてもよい。
【0007】
前記第3のシェルは、前記第1のシェルに対して前記一端部に沿う方向に間隔を空けて配置され、前記回路基板の前記対象領域と対向していてもよい。
前記第3のシェルは、平板状の基部と、前記第2のシェルに形成された立上り部に向けて前記基部の四周から立ち上がる立上り部と、前記第3のシェルの立上り部から延出し、前記第1のシェルに当接する当接部と、を有し、
前記第3のシェルは、前記当接部を前記第2のシェルの前記第1のシェルに接続される側の反対側から前記第1のシェルに接続される側に向けてスライドして前記第1のシェルに当接させつつ、前記第3のシェルの立上り部に形成された係合部が前記第2のシェルの立上り部に形成された係合孔に係合された後、前記第3のシェルの立上り部が前記第2のシェルの立上り部に嵌合され、
前記基部は、前記第3のシェルが前記第2のシェルに係合するために移動する方向であるスライド方向に沿う方向に前記第1のシェルに対して間隔を空けて配置され、前記回路基板の前記対象領域と対向していてもよい。
【0008】
前記第1のシェルは、前記対向部に接続し前記対向部とともに挿通部を形成するカバー部を有し、
前記回路基板の前記端末部分は、前記挿通部に挿通されていてもよい。
【0009】
前記第1のシェルは、前記第2のシェルと一体に形成されていてもよい。
【0010】
前記第1のシェルは、さらに前記第3のシェルと一体に形成されていてもよい。
【0011】
前記回路基板の前記他方の主面には、発熱部材が配置され、
前記第3のシェルの一部は、前記発熱部材に第2の伝熱材を介して熱伝導可能に接続されていてもよい。
【0012】
前記第3のシェルには、舌部が形成されており、
前記舌部は、屈曲して、前記第2の伝熱材に接触していてもよい。
【0013】
前記発熱部材は、前記回路基板に第3の伝熱材を介して熱伝導可能に接続されていてもよい。
【0014】
前記発熱部材は、シリコンフォトニクス回路を有する半導体素子から構成されていてもよい。
【0015】
前記信号線は、光ファイバを備え、
前記光ファイバは、前記半導体素子が備える発光素子又は受光素子に接続されており、
前記半導体素子の電気端子は、前記回路基板に形成された配線を介して、前記端末部分に配置された複数の接続端子に接続されていてもよい。
【0016】
前記第2のシェル又は前記第3のシェルは、その一端部に配置された係合部を有し、
前記第1のシェルは、前記他端部に配置され、前記係合部に係合される被係合部を有していてもよい。
【0017】
前記第1のシェルは、前記回路基板と係合する係合爪と、前記回路基板の前記他方の主面を押止する押止部とを有していてもよい。
【0018】
前記第2のシェルと前記第3のシェルとのうちの少なくとも一方には、前記信号線が挿通される挿通口が形成されていてもよい。
【0019】
前記第1の伝熱材は、前記回路基板を前記第2のシェルに固定する固定材であってもよい。
【0020】
上記目的を達成するために、本発明の第2の観点に係るコネクタは、
外部に信号線を介して接続される回路基板と、
前記回路基板を固定する固定部材と、
前記回路基板の端末部分が一端部から突出した状態で、前記一端部が相手方コネクタに嵌合し、前記回路基板の前記端末部分以外の領域である対象領域の少なくとも一部を覆う導電性の第1のシェルと、
前記第1のシェルの他端部に接続され、前記回路基板の一方の主面における前記対象領域の少なくとも一部を覆う導電性の第2のシェルと、
前記第1のシェルの前記他端部に接続され、前記第2のシェルに係合し、前記回路基板の他方の主面における前記対象領域の少なくとも一部を覆う導電性の第3のシェルと、
を備え、
前記第1のシェル、前記第2のシェル及び前記第3のシェルが、前記回路基板の前記対象領域を覆い、
前記固定部材は、前記回路基板の前記一方の主面における前記対象領域の少なくとも一部を前記第2のシェルの主面に接触させるように固定し、
前記第2のシェル及び前記第3のシェルは外部に露出している。
【0021】
上記目的を達成するために、本発明の第3の観点に係るコネクタの製造方法は、
外部に信号線を介して接続される回路基板の端末部分を、相手方コネクタに嵌合する第1のシェルの一端部から突出させ、
前記回路基板の一方の主面に伝熱材を配置し、
第2のシェルを、前記第1のシェルに係合すると共に前記伝熱材に密着させ、
第3のシェルを前記第2のシェルに沿ってスライドさせて前記第1のシェルに係合して、前記第1のシェル、前記第2のシェル及び前記第3のシェルにより、前記回路基板の前記端末部分以外の領域を覆い、
前記第2のシェル及び前記第3のシェルは外部に露出し、
前記第1のシェル、前記第2のシェル及び前記第3のシェルが相互に固定される。
【0022】
上記目的を達成するために、本発明の第4の観点に係るコネクタは、
外部に信号線を介して接続される回路基板と、
前記回路基板の一方の主面に配置された熱伝導性の固定材と、
前記回路基板の端末部分を挿通させる挿通部が一端部に形成され、前記回路基板の前記端末部分が前記一端部から突出した状態で、前記一端部が相手方コネクタに嵌合し、前記回路基板の前記端末部分以外の領域である対象領域の少なくとも一部を覆う導電性の第1のシェルと、
前記第1のシェルの他端部に接続され、前記回路基板の前記一方の主面における前記対象領域の少なくとも一部を覆い、前記固定材に接触して前記回路基板を固定する導電性の第2のシェルと、
前記第1のシェルの前記他端部に接続され、前記第2のシェルに係合し、前記回路基板の他方の主面における前記対象領域の少なくとも一部を覆う導電性の第3のシェルと、
を備え、
前記第1のシェル、前記第2のシェル及び前記第3のシェルが、前記回路基板の前記対象領域を覆い、
前記第2のシェル及び前記第3のシェルは外部に露出している。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、コネクタを小型化でき、また、小型のコネクタを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】(a)は、本発明の第1実施形態に係るコネクタユニットの平面図である。(b)は、(a)中のIb-Ib線で切断したコネクタユニットの断面図である。
【
図2】(a)は、本発明の第1実施形態に係るコネクタの斜視図である。(b)は、(a)中のIIb-IIb線で切断したコネクタの断面図である。
【
図3】(a)は、本発明の第1実施形態に係る前方シェルの概略を示す斜視図である。(b)は、
図2(a)中のIIIb部分の拡大断面斜視図である。
【
図4】(a)は、本発明の第1実施形態に係る前方シェルの平面図である。(b)は、本発明の第1実施形態に係る前方シェルの背面図である。(c)は、本発明の第1実施形態に係る前方シェルの底面図である。(d)は、本発明の第1実施形態に係る前方シェルの斜視図である。(e)は、(a)のe部分の+Z側の本体部を省略したものの拡大斜視図である。(f)は、(a)中のIVf-IVf線で切断した前方シェルの断面図である。
【
図5】(a)は、本発明の第1実施形態に係る下方シェルの平面図である。(b)は、本発明の第1実施形態に係る下方シェルの斜視図である。
【
図6】(a)は、本発明の第1実施形態に係る上方シェルの底面図である。(b)は、本発明の第1実施形態に係る上方シェルの斜視図である。(c)は、(a)中のVIc-VIc線で切断した上方シェルの断面図である。
【
図7】(a)は、本発明の第1実施形態に係る回路基板及び信号線の斜視図である。(b)は、本発明の第1実施形態に係る回路基板及び信号線の側面図である。
【
図8】(a)は、回路基板を前方シェルに挿通する前の斜視図である。(b)は、回路基板を前方シェルに挿通した後の斜視図である。
【
図9】
図4(f)の前方シェルに回路基板が挿通されたときの拡大断面斜視図である。
【
図10】(a)は、下方シェルを前方シェルに係合する前の斜視図である。(b)は、下方シェルを前方シェルに係合した後の斜視図である。
【
図11】
図10(b)の前方シェルの+Z側の本体部を省略したもののXI部分の拡大断面斜視図である。
【
図12】(a)は、上方シェルを前方シェルに係合する前の斜視図である。(b)は、上方シェルを前方シェルに係合した後の斜視図である。
【
図13】(a)は、本発明の変形例1に係る下方シェル、前方シェル及び回路基板の斜視図である。(b)は、(a)中のXIIIb-XIIIb線で切断した下方シェル、前方シェル及び回路基板の断面図である。
【
図14】(a)は、本発明の変形例2に係る下方シェル及び前方シェルの斜視図である。(b)は、(a)中のXIVb-XIVb線で切断した下方シェル及び前方シェルの断面図である。
【
図15】(a)は、本発明の変形例2に係る回路基板の斜視図である。(b)は、(a)中のXVb-XVb線で切断した回路基板の断面図である。
【
図16】(a)は、本発明の変形例2に係る下方シェル、前方シェル及び回路基板の斜視図である。(b)は、(a)中のXVIb-XVIb線で切断した下方シェル、前方シェル及び回路基板の断面図である。
【
図17】本発明の第2実施形態に係るコネクタの筐体を開いた状態の斜視図である。
【
図18】(a)は、本発明の第2実施形態に係るコネクタの平面図である。(b)は、(a)のXVIIIb-XVIIIb線で切断した断面図である。
【
図19】本発明の第2実施形態に係るコネクタの製造方法を示す図であって、(a)は、回路基板を筐体に載置するときの斜視図である。(b)は、上方シェルを下方シェルに嵌合させるときの斜視図である。
【
図20】本発明の第3実施形態に係るコネクタの分解斜視図である。
【
図21】(a)は、本発明の第4実施形態に係るコネクタの斜視図である。(b)は、(a)のb部分の拡大平面図である。
【
図22】本発明の第4実施形態に係るコネクタの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の各実施形態に係るコネクタを備えるコネクタユニットを、図面を参照しながら説明する。図面には、相互に直交するXYZ座標を設定し、適宜参照する。XYZ座標のY軸方向は、
図1(a)に示すように、相手方コネクタ20に対してコネクタ10が嵌合するために移動する嵌合方向D1と同一の方向(前後方向)である。Z軸方向は、コネクタ10の回路基板200の厚さ方向と同一の方向(上下方向)である。X軸方向は、Y軸方向及びZ軸方向の両方向に直交する方向(幅方向)である。なお、同一の構成要素には、同一の符号を付す。
【0026】
[第1実施形態]
コネクタユニット1は、例えばサーバ内のGPU(Graphic Processing Unit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等に使用されるAOC(Active Optical Cable)コネクタのユニットである。コネクタユニット1は、第1実施形態に係るコネクタ10と、相手方コネクタ20と、を有する。
【0027】
図1(a)に示すように、コネクタ10は、メスコネクタである相手方コネクタ20に接続されるオスコネクタである。
【0028】
図1(b)に、
図1(a)のIb線断面で示すように、コネクタ10は、プリント回路が形成された回路基板200と、回路基板200上に配置された半導体素子210と、半導体素子210に接続された信号線300と、端末部分201を除く回路基板200及び信号線300の基部を収容する筐体100と、を備える。相手方コネクタ20は、回路基板200の端末部分201に配列された接続端子203(
図7参照)に接続される。
【0029】
コネクタ10は、信号線300を介して光信号を受信し、回路基板200に実装された半導体素子210によって光信号を電気信号に変換して処理する。その後、回路基板200上のプリント回路と端末部分201に配列された接続端子203とを介して、相手方コネクタ20に電気信号を送信する。また、コネクタ10は、相手方コネクタ20から送信された電気信号を端末部分201に配列された接続端子203とプリント回路とを介して半導体素子210に伝達する。その後、半導体素子210によって電気信号を処理し、これを光信号に変換し、信号線300を介して外部に光信号を送信する。
【0030】
次に、コネクタ10の構成をより詳細に説明する。
図2(a)及びそのIIb線断面図である
図2(b)に示すように、コネクタ10は、回路基板200と、回路基板200上に配置された半導体素子210と、半導体素子210に接続された信号線300と、端末部分201を除く回路基板200及び信号線300の基部を収容する筐体100と、を備える。
【0031】
筐体100は、例えば金属で構成された導電性の部材である。筐体100は、端末部分201を除く回路基板200を収容する。筐体100は、回路基板200の端末部分201を突出させる前方シェル110と、回路基板200の下部を固定する下方シェル120と、回路基板200の上部に配置される上方シェル130と、を有する。前方シェル110は第1のシェル、下方シェル120は第2のシェル、上方シェル130は第3のシェルの一例である。
【0032】
前方シェル110は、回路基板200の端末部分201を筐体100の外(前方)に突出させると共に回路基板200を覆う部材である。
図3(a)に概略を示すように、前方シェル110は、角筒状の本体部111と、本体部111のX軸方向の両端に回動可能に係止された略C字状の外れ止め115とを有する。
【0033】
詳しくは、前方シェル110は、
図4(a)に平面図で、
図4(d)に斜視図で示すように、本体部111と、外れ止め115と、を有する。
【0034】
本体部111は、前方シェル110の本体部分を構成しており、本体部111にはY軸方向(前後方向)に貫通する中空部分に相当する挿通部111aが形成されている。
図1(b)に示すように、本体部111の前方端部(一端部)117が回路基板200の端末部分201とともに、相手方コネクタ20に嵌合する。
図4(f)に示すように、本体部111の後方端部(他端部)118は、Z軸方向(上下方向)に広がるように形成されている。これは、前方シェル110に回路基板200を挿通するための空間を確保するためである。また、本体部111は、
図2(b)および
図4(f)に示すように、回路基板200の後述する一方の主面204と対向する対向部111bと、回路基板200の後述する他方の主面205と対向するカバー部111cと、対向部111bとカバー部111cとを接続する接続部111dと、を有する。対向部111b及びカバー部111cは、Z軸方向(上下方向)に離れた状態において、互いに対向して配置されている。接続部111dは、対向部111bの+Y方向(前方向)の端部と、カバー部111cの+Y方向(前方向)の端部とを接続する。接続部111dは、本体部111の前方端部117のX軸方向両端にそれぞれ設けられている。本体部111の前方端部(一端部)117において、挿通部111aは、対向部111b、カバー部111c及び接続部111dにより形成されている。
【0035】
図1及び
図2に示したように、挿通部111aには回路基板200の端末部分201が挿通され、前方シェル110の前方端部117から端末部分201が突出する。
【0036】
図4(a)とそのe部の拡大図である
図4(e)に示すように、本体部111のX軸方向(幅方向)の両端部には、XZ平面に主面を有する板状部材である被係合部112が形成されている。被係合部112には、下方シェル120の後述する係合部123が係合される。
【0037】
また、
図4(c)、(f)に示すように、本体部111のX軸方向(幅方向)の両端付近には、挿通部111a内に突出する鈎状の部材である係合爪113が形成されている。係合爪113は、挿通部111aに挿入された回路基板200の後述する凸部202と係合し、回路基板200が前方シェル110から脱落することを防止する。
【0038】
図4(a)、(d)、(f)に示すように、本体部111の上壁のX軸方向(幅方向)の両端付近には、挿通部111aに挿入された回路基板200を押止する押止部114が形成されている。押止部114は、本体部111から挿通部111aの内部に向けて弾性を有して突出するL字状の舌部から形成されている。これにより、押止部114は、挿通部111aに挿通された回路基板200を-Z方向に押止する。
【0039】
図4(c)、(d)に示すように、本体部111の後方端部118の-Z側(下側)に、半田付部116aが形成されている。半田付部116aは、XY平面視で、凹状部分を有する。半田付部116aの凹状部分に下方シェル120の後述する突出部125が配置されることにより、前方シェル110と下方シェル120とのY軸方向(前後方向)へのずれを抑制する。また、半田付部116aと突出部125との隙間に半田付けし、前方シェル110、下方シェル120及び回路基板200を互いに固定する。
【0040】
図4(a)、(d)、(f)に示すように、本体部111の後方端部118の+Z側(上側)に、当接部116bが形成されている。当接部116bは板状の舌片部を有し、舌片部は回路基板200の他方の主面205と近接する。前方シェル110の当接部116bの舌片部は、上方シェル130を前方シェル110に取り付ける時、
図3(b)に示すように、上方シェル130の後述する当接部137の-Y方向(後方向)端部と当接する。
【0041】
図4(a)、(d)に示すように、本体部111の前方端部117の+Z側(上側)に、凹部119が設けられている。凹部119は、-Z方向(下方向)に凹んでいる。コネクタ10が相手方コネクタ20に接続されている状態において、凹部119の凹みに相手方コネクタ20の凸部(不図示)が嵌合される。
【0042】
図4(e)に示すように、外れ止め115は、本体部111のX軸方向(幅方向)の両端に回動可能に両端部が係合する、略C字状の部材である。
図1(b)に示すように、回路基板200の端末部分201が相手方コネクタ20と接続されている状態において、外れ止め115をD2方向に回転移動させて相手方コネクタ20の+Y方向(前方向)の壁面21に引っ掛ける。これにより、外れ止め115は、回路基板200が相手方コネクタ20から外れることを防止する。
【0043】
一方、筐体100を構成する下方シェル120は、
図5(a)、(b)に示すように、基部121、立上り部122、一対の係合部123、を有する。下方シェル120は、回路基板200の端末部分201以外の領域である対象領域の少なくとも一部を覆うと共に、回路基板200を支持する部材である。
【0044】
基部121は、略長方形状の平板状部材である。基部121の主面121aには、後述する固定材400を介して回路基板200が配置される。
【0045】
基部121の+Y方向(前方)端部に突出部125が一対形成されている。突出部125は、前方シェル110に下方シェル120を係合する際、前方シェル110の後方端部118の-Z側(下側)に設けられた半田付部116aの凹部に配置される平板状の部材である。
【0046】
基部121の+Y方向(前方)の中央部には半田付部126が形成されている。半田付部126は、前方シェル110、下方シェル120及び回路基板200を半田で固定するための凹部を有する。
【0047】
立上り部122は、基部121のX方向の両端及び-Y方向の端部(後方及び側方)から立ち上がる壁を形成する部材である。
【0048】
-Y方向の端部(後方の端部)の立上り部122には、複数の係合孔124が形成されている。係合孔124は、それぞれ略矩形状に形成されている。係合孔124には、上方シェル130の後述する係合部136が係合される。
【0049】
係合部123は、X軸方向の両端(幅方向の両端)の立上り部122における+Y方向の端部(前方の端部)に形成された、フック状の部材である。下方シェル120が前方シェル110に接続された状態において、
図11に示すように、係合部123は、被係合部112に係合している。一対の係合部123はフック状の部分が外向きに形成され、一対の被係合部112が係合部123の外側に形成されているため、係合部123は、被係合部112に係合すると、簡単には外れない構造になっている。
【0050】
また、筐体100を構成する上方シェル130は、
図6(a)~(c)に示すように、基部131、立上り部132、舌部133、当接部137を有する。上方シェル130は、回路基板200の対象領域(端末部分201以外の領域)の少なくとも一部を覆う。
【0051】
基部131は、中央付近に切り込みを入れて舌部133が形成された略長方形状の平板状部材である。上方シェル130の基部131の短辺の長さ及び長辺の長さは、それぞれ、下方シェル120の基部121の短辺の長さ及び長辺の長さよりも少しだけ長い。これにより、上方シェル130は、下方シェル120の立上り部122の上端部を収容することができる。
【0052】
舌部133は、基部131から-Z方向(下方向、半導体素子210が配置された方向)に屈曲して形成された、XY平面視で略正方形状の部材である。舌部133は、回路基板200の後述する半導体素子210の放熱を促進させるための部材である。基部131と舌部133との間には空隙134が形成され、この空隙134から、半導体素子210により加熱された筐体100内部の空気が外部に放出される。
【0053】
立上り部132は、基部131のX方向の両端及びY方向の両端の四周から立ち上がる壁面を形成する部材である。上方シェル130の立上り部132のうちX方向の両端及び-Y方向の端部(幅方向及び後方向)は、下方シェル120の立上り部122のX方向の両端及び-Y方向の端部(幅方向及び後方向)と重なって配置される。
【0054】
立上り部132の-Y方向(後方向)の壁の中央付近には、信号線300を通すための挿通口135が形成されている。
【0055】
また、立上り部132の-Y方向(後方向)の壁の頂部(-Z方向の端部)には、複数の係合部136が+Y方向(前方向)向きに形成されている。各係合部136は、略矩形状の部材である。係合部136は、下方シェル120の立上り部122に形成された係合孔124に係合する。
【0056】
当接部137は、+Y方向の端部(前方の端部)の立上り部132の-Z方向の端部(下端部)に形成された、板状の部材である。上方シェル130の当接部137は、前方シェル110の本体部111の+Z方向の面及び前方シェル110の当接部116bと当接する。
【0057】
当接部137の+Y方向(前方向)端部には、凹形状の凹部138が複数形成されている。前方シェル110に上方シェル130の当接部137が当接している状態において、隣接する凹部138,138の間を半田付けして、上方シェル130を前方シェル110に固定する。
【0058】
回路基板200は、AOC(Active Optical Cable)基板であり、
図7(a)、(b)に示すように、一対の凸部202、接続端子203を有する。
【0059】
回路基板200は、
図2(b)に示すように、固定材400を介して下方シェル120の主面121a上に固定され、下方シェル120に熱伝導可能に接続されている。
【0060】
端末部分201は、
図7(a)、(b)に示すように、回路基板200の+Y側(前側)端部である。端末部分201は、回路基板200が前方シェル110に後方端部118から+Y方向(前方向)に挿通された時に前方シェル110の前方端部117から突出する部分である。
【0061】
凸部202は、端末部分201のX軸方向(幅方向)両端から外側に突出して形成されている部分である。回路基板200が挿通部111aの所定の位置まで挿通されている状態において、
図9に示すように、凸部202は、係合爪113の鈎状の部分に係合され、回路基板200が前方シェル110から脱落することを防止する。
【0062】
接続端子203は、
図7(a)、(b)に示すように、端末部分201の他方の主面205上に複数形成されている。接続端子203は、相手方コネクタ20の接続端子と接続される。
【0063】
半導体素子210は、シリコンフォトニクス回路を有する発熱部材であり、発光素子212、受光素子213、電気端子等を備え、回路基板200に実装されている。シリコンフォトニクス回路では、発光素子212として例えばLD(Laser Diode)、受光素子213として例えばPD(Photo Diode)、他にドライバ等の部品が一体化されている。半導体素子210の電気端子は、回路基板200に形成された配線を介して端末部分201に配置された接続端子203に接続されている。半導体素子210は、
図2(b)に示すように、上方シェル130の舌部133に伝熱材410を介して熱伝導可能に接続されている。また、半導体素子210は、回路基板200の他方の主面205上に伝熱材420を介して熱伝導可能に回路基板200に接続されている。
【0064】
信号線300は、
図7(a)、(b)に示すように、光ファイバ301、接続部302を備える。光ファイバ301は、一端が接続部302に接続され、他端が外部(外部機器等)に接続されている。接続部302は、半導体素子210と接続されている。接続部302には、反射鏡303が配置されている。反射鏡303は、光ファイバ301から出射された光、又は、発光素子212から出射された光を反射・屈曲させる。反射鏡303によって、半導体素子210と信号線300とが光を伝送可能に接続されている。
【0065】
固定材400は、一般の樹脂製の接着剤よりも高い伝熱性を有する接着剤から構成され、例えば、銀ペーストから構成される。固定材400は、
図2(b)に示すように、半導体素子210の直下を含む回路基板200の一方の主面204と下方シェル120の基部121の主面121aとの間に充填されている。なお、回路基板200の一方の主面204にも配線が形成されている場合には、配線の表面には、絶縁加工が施されている。固定材400は、回路基板200を下方シェル120に固定する機能と、回路基板200の熱を下方シェル120に伝達して放熱させる機能とを備える。なお、固定材400としては固体に限定されず、ゾルやゲル等であってもよい。例えば、熱伝導グリス等の放熱グリスや放熱シート等を使用しても良い(第1の伝熱材の一例)。
【0066】
伝熱材410、420は、熱伝導性の部材であり、本実施形態では、例えば、銀ペーストを使用する。
伝熱材410は、半導体素子210で発生した熱を上方シェル130の舌部133に伝達して、上方シェル130全体で放熱させる機能を果たす。伝熱材410は、第2の伝熱材の一例である。
一方、伝熱材420は、半導体素子210で発生した熱を回路基板200に伝え、回路基板200から固定材400を介して下方シェル120に伝えることで、下方シェル120全体で放熱させる機能を果たす。伝熱材420は、第3の伝熱材の一例である。
【0067】
図1(a)、(b)に示すように、相手方コネクタ20は、基板(不図示)に実装されたメスコネクタである。相手方コネクタ20には、コネクタ10から突出する回路基板200の端末部分201が挿入される。
【0068】
なお、相手方コネクタ20は、コネクタ10に対応する構成を備えていればよい。
図1(a)、(b)に示すメスコネクタの構成は、一例であり、相手方コネクタ20の形状等は、適宜変更可能である。
【0069】
(コネクタ10の製造方法)
次に、上記構成をするコネクタ10の製造方法を説明する。
まず、作業者は、端末部分201にプリント配線と接続端子203が予め形成された回路基板200の他方の主面205上の接続パッドに、半導体素子210を接続する。
次に、回路基板200と半導体素子210との間に伝熱材420を充填する。続いて、半導体素子210の主面211の所定の位置に信号線300の接続部302を接続して、
図7(a)、(b)に示す状態になる。
【0070】
図8(a)に示すように、作業者は、回路基板200の端末部分201を、他方の主面205を+Z方向(上方向)に向けつつ、前方シェル110の挿通部111aに挿通する。回路基板200の端末部分201は、前方端部117から突出し、
図8(b)に示す状態になる。このとき、回路基板200は、押止部114を+Z方向(上方向)に撓ませつつ、係合爪113に乗り上げた後(係合爪113を-Z方向、下方向に押した後)、
図9に示すように、回路基板200の凸部202が、前方シェル110の係合爪113に係合される。また、回路基板200は押止部114に-Z方向に押止される。回路基板200が挿通部111aの所定の位置まで正しく挿通されていないとき、凸部202が係合爪113の+Z方向の立上り部分と干渉し、係合爪113をD4方向(-Z方向)に押し出す。従って、回路基板200が所定の位置まで挿通されたかどうかは、係合爪113がD4方向に突出しているか否かによって確認できる。挿通後、
図4(b)、(d)に示す半田付部116aと回路基板200とを半田付けする。
【0071】
作業者は、回路基板200の一方の主面204に、固定材400を塗布する。
図10(a)に示すように、作業者は、下方シェル120を、回路基板200の一方の主面204に沿ってD3方向にスライドして、前方シェル110の後方端部118に設けられた被係合部112に下方シェル120の係合部123を係合する(
図11)。この時、下方シェル120の主面121aに、回路基板200の一方の主面204が固定材400を介して固定され、回路基板200が下方シェル120と熱伝導可能に接続され、
図10(b)に示すような状態になる。
【0072】
作業者は、
図7に示す半導体素子210の主面211の接続部302が接続された部分以外の領域に、伝熱材410を塗布する。
【0073】
図12(a)に示すように、作業者は、上方シェル130を、回路基板200の他方の主面205に沿ってD3方向にスライドする。上方シェル130の当接部137は、前方シェル110の本体部111の後方端部118に当接する。また、係合部136を、下方シェル120の係合孔124に係合する。そして、上方シェル130の立上り部132を下方シェル120の立上り部122に嵌合し、嵌合された部分及び本体部111と上方シェル130の当接部137との間を半田付けして、
図12(b)に示す状態になり、コネクタ10が完成する。
【0074】
本実施形態のコネクタ10によると、回路基板200が下方シェル120に熱伝導性の固定材400で固定されているので、回路基板200のがたつきを抑制するためのスペーサは不要である。従って、コネクタ10を小型化できる。また、下方シェル120が回路基板200の放熱を促進するためのヒートシンクを備える必要性が低くなる。さらに、ヒートシンクを必要としない場合、コネクタ10を小型化できる。さらに、回路基板200に代わって前方シェル110の本体部111の前方端部117が相手方コネクタ20と嵌合するので、回路基板200に必要とされる強度が小さくなる。従って、回路基板200を薄くでき、コネクタ10を小型化できる。
【0075】
また、本実施形態のコネクタ10によると、半導体素子210が伝熱材410を介して上方シェル130の舌部133に熱伝導可能に接続されている。このため、半導体素子210が発する熱が舌部133を介して上方シェル130全体に広がり、放熱を促進させる。従って、上方シェル130がヒートシンクを備える必要性が低くなる。さらに、ヒートシンクを必要としない場合、コネクタ10をさらに小型化できる。
【0076】
また、本実施形態のコネクタ10によると、半導体素子210が伝熱材420を介して回路基板200に熱伝導可能に接続されている。このため、半導体素子210が発する熱が回路基板200を介して下方シェル120に拡散されて放熱を促進させる。従って、筐体100がヒートシンクを備える必要性が低くなる。さらに、ヒートシンクを必要としない場合、コネクタ10をさらに小型化できる。
【0077】
また、本実施形態のコネクタ10によると、半導体素子210は、シリコンフォトニクス回路を有する。シリコンフォトニクス回路では、LD、PD、ドライバ等の部品が一体化されているので、コネクタ10をさらに小型化できる。
【0078】
本実施形態のコネクタ10によると、信号線300は光ファイバ301を有し、光ファイバ301は半導体素子210が備える発光素子212又は受光素子213に接続されている。これにより、半導体素子210にシリコンフォトニクス回路を使用することができ、コネクタ10をさらに小型化できる。
【0079】
また、本実施形態のコネクタ10によると、下方シェル120は、前方端部117に係合部123を有し、前方シェル110は、後方端部118に、係合部123に係合される被係合部112を有する。従って、下方シェル120は、回路基板200に固定されるとともに前方シェル110に係止されることにより、前方シェル110にしっかりと固定されることができる。よって、コネクタ10を小型化できることに加えて、コネクタ10の筐体100の強度を向上できる。
【0080】
本実施形態のコネクタ10によると、前方シェル110は、回路基板200と係合する係合爪113と、回路基板200の他方の主面205を押止する押止部114とを有する。よって、回路基板200は前方シェル110から脱落せず、他方の主面205は前方シェル110に押止される。このため、前方シェル110に接続され、下方シェル120に係合している上方シェル130を、回路基板200に固定する必要がなくなる。従って、上方シェル130と回路基板200とを固定するためのスペースがコネクタ10に必要ないので、コネクタ10をさらに小型化できる。また、回路基板200は、より確実に前方シェル110に固定される。
【0081】
また、本実施形態のコネクタ10によると、上方シェル130には信号線300が挿通される挿通口135が形成されている。従って、前方シェル110、下方シェル120、上方シェル130の各々の間に、信号線300を外部に通すための隙間を設ける必要がなく、筐体100を小型化できるため、コネクタ10をさらに小型化できる。
【0082】
[第2実施形態]
図17に示すように、第2実施形態に係るコネクタ10Cの筐体100Cは、前方シェル110CがD5方向に回動可能に開閉する点、下方シェル120Cが+X側の前方シェル110Cと一体に形成されている点、及び上方シェル130Cが-X側の前方シェル110Cと一体に形成されている点、上方シェル130に係止部1301Cが形成され下方シェル120に被係止部1204Cが形成されている点において第1実施形態と異なっている。すなわち、本実施形態では、筐体100Cは1つの部品となっている。説明がない点については、第1実施形態に同じである。
【0083】
前方シェル110Cは、本体部111Cが前方端部(一端部)117のX軸方向の両端の接続部1113Cを中心にX軸まわりに開閉する。本体部111Cは、対向部1111Cとカバー部1112Cと接続部1113Cとを有する。
【0084】
図18(b)に断面図で示すように、対向部1111Cは、回路基板200の一方の主面204に対向して配置される。対向部1111Cは、下方シェル120と一体に形成されている。
図17に示すように、カバー部1112Cは、本体部111Cの前方端部117のX軸方向の両端に設けられた接続部1113Cによって対向部1111Cに接続し、対向部1111C、接続部1113Cとともに挿通部1114Cを形成する。カバー部1112Cは、上方シェル130と一体に形成されている。カバー部1112Cは、回路基板200の他方の主面205と対向する。接続部1113Cが曲がったり伸びたりすることで、前方シェル110Cの開閉が行われる。
図18(a)に平面図で、
図18(b)に断面図で示すように、挿通部1114Cには、回路基板200の端末部分201が挿通される。
【0085】
図17に示すように、対向部1111CのX軸方向の両端に形成された略U字状の嵌合部1115Cをカバー部1112Cの略U字状の被嵌合部1116Cに嵌合させることにより、前方シェル110Cは閉じた状態となる。なお、嵌合部1115Cの内側には、外れ止め115の両端部が係合され、嵌合部1115Cを被嵌合部1116Cに嵌合させることにより、外れ止め115が本体部111Cに回転可能に取り付けられる。
【0086】
下方シェル120Cは、係合部123、係合孔124、突出部125、半田付部126を有さず、信号線300を挿通する信号線挿通部1201Cを有する点において第1実施形態の下方シェル120と異なっている。信号線挿通部1201Cは、信号線300と当接する信号線当接部1202Cと信号線300を挿通する信号線挿通孔1203Cとを有する。また、下方シェル120Cは、-Y方向の端部の立上り部122に被係止部1204Cを有する。被係止部1204Cは、+Y方向にわずかに凸形状に突出している。被係止部1204Cは、この突出部分に後述する係止部1301Cを係止する。
【0087】
上方シェル130Cは、係合部136、凹部138を有さない点において第1実施形態の上方シェル130と異なっている。また、上方シェル130Cは、被係止部1204Cに係止される係止部1301Cを有する点においても上方シェル130と異なっている。係止部1301Cは、+Y方向にわずかに突出するように-Y方向の端部の立上り部132に形成されている。係止部1301Cの突出部分は、被係止部1204Cの突出部分を乗り越えて係止される。
【0088】
(コネクタ10Cの製造方法)
まず、作業者は、
図19(a)に示すように、上方シェル130Cを下方シェル120Cから開いた状態で、回路基板200の端末部分201を挿通部1114Cに挿通し、突出させながら回路基板200を下方シェル120Cに固定材400(または伝熱材)を介して載置する。その後、
図19(b)に示すように、上方シェル130Cを下方シェル120Cに嵌合させ、外れ止め115が係合された嵌合部1115Cを被嵌合部1116Cに嵌合させる。また、係止部1301Cを被係止部1204Cに係止させ、コネクタ10Cが完成する。
【0089】
本実施形態のコネクタ10Cによると、コネクタ10Cの筐体100Cは1つの部品であるので、3つの部品、前方シェル110、下方シェル120、上方シェル130を組み立てる第1実施形態のコネクタ10より容易にコネクタ10Cを製造することができることに加えて、コネクタ10Cを小型化できる。
【0090】
[第3実施形態]
図20に分解斜視図で示すように、第3実施形態に係るコネクタ10Dの筐体100Dは、前方シェル110Dが2つに分離可能である点、舌部133に代えて伝熱板430が設けられている点、下方シェル120Dに係止爪1201Dが設けられている点において第2実施形態と異なっており、他は第2実施形態と同じである。すなわち、本実施形態では、筐体100Dは2つの部品に分離可能である。
【0091】
前方シェル110Dは、本体部111Dと、外れ止め115と、を備える。本体部111Dは、本体部111Dの下部を構成する下方本体部1111Dと、本体部111Dの上部を構成する上方本体部1112Dとを有する。第2実施形態の前方端部(一端部)117のX軸方向の両端の接続部1113Cが、本実施形態では、下方本体部1111Dの下方接続部1114Dと上方本体部1112Dの上方接続部1116Dとに分かれている。
【0092】
下方本体部1111Dは、回路基板200に対向する対向部1113Dと、上方本体部1112Dと接続される下方接続部1114Dと、を備える。対向部1113Dは、回路基板200の一方の主面204に対向し、下方シェル120Cに接続される。下方接続部1114Dは、下方本体部1111Dの前方端部(一端部)117のX軸方向の両端に形成され、上方本体部1112Dの後述する上方接続部1116Dに接続される。下方本体部1111Dは、本体部111Cと同様にU字状の嵌合部1115Cを有し、嵌合部1115Cには、外れ止め115の両端部が係合される。
【0093】
上方本体部1112Dは、回路基板200の他方の主面205に対向するカバー部1115Dと、下方本体部1111Dと接続される上方接続部1116Dと、を備える。カバー部1115Dは、上方接続部1116D、下方接続部1114Dを介して対向部1113Dに接続され、これらとともに挿通部を形成する。カバー部1115Dは、上方シェル130Dと接続されている。上方本体部1112Dは、本体部111Cと同様にU字状の被嵌合部1116Cを有する。被嵌合部1116Cには、嵌合部1115Cが嵌合され、外れ止め115が本体部111Dに回転可能に取り付けられる。
【0094】
下方シェル120Dは、下方本体部1111Dと一体に形成され、上方シェル130と嵌合される。下方シェル120Dの立上り部122の+Y方向の端部には、係止爪1201Dが設けられている。係止爪1201Dは、上方シェル130Dの被嵌合部1116Cの+Y方向の端部に係止され、上方シェル130が+Y方向へ動くことを抑制する。上方シェル130Dは、上方本体部1112Dと一体に形成されている。上方シェル130Dには、舌部が形成されておらず、舌部の代わりに上方シェル130Dと回路基板200との間に伝熱板430が設けられている。伝熱板430として、例えば、本実施形態では、PCM(Phase Change Material)を使用する。
【0095】
(コネクタ10Dの製造方法)
まず、作業者は、下方本体部1111Dおよび下方シェル120Cに、回路基板200の端末部分201を下方本体部1111Dの前方端部(一端部)117から突出させながら下方シェル120Cに伝熱材(図示略)を介して回路基板200を載置する。その後、上方シェル130Dを下方シェル120Cに嵌合させ、外れ止め115が係合された嵌合部1115Cを被嵌合部1116Cに嵌合させ、コネクタ10Dが完成する。
【0096】
本実施形態のコネクタ10Dによると、コネクタ10Dの筐体100Dは2つの部品を嵌合させることにより組み立てられるので、3つの部品、前方シェル110、下方シェル120、上方シェル130を組み立てる第1実施形態のコネクタ10より容易にコネクタ10Dを製造することができることに加えて、コネクタ10Dを小型化できる。
【0097】
[第4実施形態]
図21(a)、(b)、
図22に示すように、第4実施形態に係るコネクタ10Eの筐体100Eは、前方シェル110Eが第3実施形態の上方本体部1112Dを備えておらず、上方シェル130Eが第3実施形態のカバー部1115Dに相当する部分を有する点で第3実施形態の筐体100Dと異なっている。すなわち、本実施形態では、筐体100Eは、第3実施形態の筐体100Dと同様に2つの部品に分離可能である。筐体100Eは、回路基板200と対向し、端末部分201を突出させる前方シェル110E、前方シェル110Eと一体に形成され、回路基板200の一方の主面を覆う下方シェル120Cと、回路基板200の他方の主面を覆い、下方シェル120Cに嵌合される上方シェル130Eと、を備える。
【0098】
図22に示すように、前方シェル110Eは、本体部111E(第3実施形態の下方本体部1111Dに相当)と外れ止め115とを備える。本体部(下方本体部)111Eは、回路基板200の一方の主面と対向する対向部1111Eと、外れ止め115の両端部を回転可能に囲い、支持する略円筒形の支持部1112Eと、X軸方向の両端に形成されたガイド部1113Eとを有する。ガイド部1113Eは、回路基板200の端末部分201付近におけるX軸方向の位置決めのために設けられている。なお、本体部111Eは、第3実施形態に係る下方接続部1114Dに相当する部分を有さない。
【0099】
下方シェル120Cは、本体部111Eと一体に形成され、上方シェル130Eと嵌合される。なお、下方シェル120Cと、本体部111Eとは、別体であってもよい。
【0100】
上方シェル130Eは、第3実施形態の前方シェル110Cのカバー部1115Dに相当するカバー部138Eを有する点が上方シェル130Cと異なる。また、上方シェル130Eは、第3実施形態に係る被嵌合部1116Cを有さない。他は上方シェル130Cと同様である。
図21(b)に示すように、カバー部138EのX軸方向の両端は、前方シェル110EのX軸方向の両端に形成されたガイド部1113Eと前方端部117(後方端部118またはX軸方向)に沿う方向に間隔Zを空けて配置され、対向しており、挿通部は形成されない。カバー部138Eは、対向部1111E及びガイド部1113Eと共に空間(第3実施形態に係る挿通部1114Cに相当)を形成し、上記空間に回路基板200の端末部分201が配置される。
【0101】
(コネクタ10Eの製造方法)
まず、作業者は、前方シェル110Eの支持部1112Eに、外れ止め115の両端部を係合させる。次に、前方シェル110Eの前方端部117から回路基板200の端末部分201を突出させながら、下方シェル120Cに伝熱材(図示略)を介して回路基板200を載置する。その後、上方シェル130Eを下方シェル120Cに嵌合させ、外れ止め115を係合された嵌合部1115Cを被嵌合部1116Cに嵌合させ、コネクタ10Eが完成する。
【0102】
本実施形態のコネクタ10Eによると、コネクタ10Eの筐体100Eは2つの部品を嵌合させることにより組み立てられるので、3つの部品、前方シェル110、下方シェル120、上方シェル130を組み立てる第1実施形態のコネクタ10より容易にコネクタ10Eを製造することができることに加えて、コネクタ10Eを小型化できる。
【0103】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明は上記実施の形態によって限定されるものではない。
【0104】
(変形例1)
上記第1実施形態では、
図2(b)に示すように、回路基板200は、下方シェル120に熱伝導性の固定材400で固定されていた。しかしながら、回路基板200の固定方法はこれに限らない。以下、回路基板200の固定方法が異なる変形例1について、
図13(a)、(b)を参照して説明する。変形例1においては、下方シェル120Aの形状が上記の実施の形態と異なる。なお、以下の変形例1(及び変形例2)では、上記の実施の形態と同様の構成については説明を省略し、第1実施形態と異なる点を主に説明する。
【0105】
図13(a)、(b)に示すように、コネクタ10Aの筐体100Aの下方シェル120Aは、-Y方向の端部の立上り部122Aの一部に切り込みを入れることにより、所定の間隔でL字状の拘束爪127が形成されている。拘束爪127は、下方シェル120Aの主面121aに回路基板200が配置された後、拘束爪127の上部を+Y方向に折り曲げることにより、回路基板200の一方の主面204の対象領域(端末部分201以外の領域)の少なくとも一部を下方シェル120Aの主面121aに接触させるように固定する。拘束爪127は、固定部材の一例である。なお、あらかじめ拘束爪127を折り曲げておき、下方シェル120Aを前方シェル110に係止する際、拘束爪127が回路基板200によって変形する(拘束爪127と下方シェル120Aの主面121aとの間の距離を広げる)ことで固定してもよい。
【0106】
以上、説明したように、本変形例1において、回路基板200が下方シェル120Aに拘束爪127で固定されているので、回路基板200のがたつきを抑制するためのスペーサは不要である。従って、コネクタ10Aを小型化できる。また、本変形例1において、拘束爪127によって、下方シェル120Aの主面121aに回路基板200の一方の主面204の対象領域(端末部分201以外の領域)の少なくとも一部を接触させるように固定しているので、回路基板200の熱は下方シェル120Aを介して外部に放熱される。従って、下方シェル120Aが回路基板200の放熱のためのヒートシンクを備える必要性が低くなり、ヒートシンクを必要としない場合、コネクタ10Aを小型化できる。また、本変形例1では、下方シェル120Aと回路基板200との間に固定材400を使用していないため、固定材400が固化するまでの待ち時間が必要なくコネクタ10Aの組立時間を短縮でき、製造コストを低減できる。
【0107】
(変形例2)
上記の第1実施形態及び変形例1と異なる回路基板200の固定方法の変形例2について、
図14(a)、(b)、
図15(a)、(b)、
図16(a)、(b)を参照して説明する。変形例2においては、下方シェル120B及び回路基板200Aの形状が上記の実施の形態と異なる。
【0108】
図14(a)、(b)に示すように、コネクタ10Bの筐体100Bの下方シェル120Bは、-Y方向(後方向)端部の立上り部122に近い基部121Bに略コ字状の切り込みを入れて形成された舌片状の部材を+Z方向(上方向)に折り曲げることにより、一対の挿通爪128が形成されている。
【0109】
図15(a)、(b)に示すように、回路基板200Aは、下方シェル120Bの一対の挿通爪128に対応する位置に、一対の挿通孔206を有する。挿通孔206には、
図16(a)、(b)に示すように、下方シェル120Bの挿通爪128が挿通される。挿通後、回路基板200Aの一方の主面204の対象領域(端末部分201以外の領域)の少なくとも一部を下方シェル120Bの主面121aに接触させるように、挿通爪128を半田にて回路基板200Aに固定する。挿通爪128を回路基板200Aに固定する半田は、固定部材の一例である。
【0110】
以上、説明したように、本変形例2において、回路基板200Aが下方シェル120Bに挿通爪128及び半田で固定されているので、回路基板200Aのがたつきを抑制するためのスペーサは不要である。従って、コネクタ10Bを小型化できる。また、本変形例2において、下方シェル120Bの主面121aに回路基板200の一方の主面204の対象領域(端末部分201以外の領域)の少なくとも一部を接触させるように固定しているので、回路基板200Aの熱は下方シェル120Bを介して外部に放熱される。従って、下方シェル120Bが回路基板200Aの放熱のためのヒートシンクを備える必要性が低くなり、ヒートシンクを必要としない場合、コネクタ10Bを小型化できる。また、本変形例2でも、下方シェル120Bと回路基板200Aとの間に固定材400を使用していないため、固定材400が固化するまでの待ち時間が必要なくコネクタ10Bの組立時間を短縮でき、製造コストを低減できる。
【0111】
(その他の変形例)
上記の各実施形態では、コネクタ10は、AOCコネクタである例を説明したが、電気コネクタであってもよい。半導体素子210も、シリコンフォトニクス回路を有さない、一般的な回路であってもよい。信号線も、光ファイバを有していなくてもよい。コネクタを小型化できる構成であればよい。
【0112】
また、上記第1実施形態および変形例では、筐体100は、前方シェル110、下方シェル120及び上方シェル130を別々の部材として備えていたが、前方シェル110と下方シェル120又は前方シェル110と上方シェル130は一体に形成されていてもよい。一体に形成されたシェル同士の間に接続部分を設ける必要がないので、コネクタをさらに小型化できる。また、コネクタの製造工程及び部品点数を削減でき、製造工程の短縮やコスト削減ができる。
【0113】
上記の実施の形態では、挿通口135が、上方シェル130に設けられている例を説明したが、挿通部が下方シェルに設けられ、上方シェルに回路基板が固定材を介して固定されていてもよい。
【0114】
また、上記の各実施形態では、接続部302に、反射鏡303が配置されていたが、接続部が半導体素子に後方から接続され、反射鏡が半導体素子に配置されていてもよい。
【0115】
上記の各実施形態では、下方シェル120と上方シェル130とが嵌合されていたが、下方シェルと上方シェルとは互いの端部を突きつけにして、半田付けして固定してもよい。
【0116】
変形例1、変形例2では、下方シェル120A、120Bの主面121aに、回路基板200、200Aの一方の主面204の対象領域(端末部分201以外の領域)の少なくとも一部を接触させるように固定するための固定部材は、拘束爪127や挿通爪128及び半田であった。しかしながら、下方シェルの主面121aに、回路基板の一方の主面204の対象領域の少なくとも一部を接触させるように固定することができれば、他の固定部材で固定してもよい。例えば、前方シェル110の押止部114を固定部材とし、押止部114の力で回路基板200を下方シェル120に固定してもよい。或いは、回路基板200を下方シェル120に向けて押して固定する押部を固定部材とし、この押部が上方シェルに設けられている等であってもよい。
【0117】
上記の第1実施形態、第2実施形態および第4実施形態では、上方シェル130、130Cに舌部133が形成されていたが、上方シェル130、130C、130Dと回路基板200の半導体素子210との間に放熱板(伝熱板)が配置されていても良い。
【0118】
この発明は、この発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、この発明の範囲を限定するものではない。すなわち、この発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【0119】
本出願は、2019年4月3日に出願された、日本国特許出願特願2019-71593号に基づく。本明細書中に日本国特許出願特願2019-71593号の明細書、特許請求の範囲、図面全体を参照として取り込むものとする。
【符号の説明】
【0120】
1:コネクタユニット、10、10A、10B、10C、10D、10E:コネクタ、20:相手方コネクタ、21:壁面、100、100A、100B、100C、100D、100E:筐体、110、110C、110D、110E:第1のシェル(前方シェル)、120、120A、120B、120C、120D:第2のシェル(下方シェル)、130、130C、130D、130E:第3のシェル(上方シェル)、111、111C、111D、111E、:本体部、111a、1114C:挿通部、111b、111A、1111C、1113D、1111E:対向部、111c、111B、1112C、1115D、138E:カバー部、111d、1113C:接続部、112:被係合部、113:係合爪、114:押止部、115:外れ止め、116a:半田付部、116b:当接部、117:一端部(前方端部)、118:他端部(後方端部)、119:凹部、121、121B:基部、121a:主面、122、122A:立上り部、123:係合部、124:係合孔、125:突出部、126:半田付部、127:拘束爪、128:挿通爪、131:基部、132:立上り部、133:舌部、134:空隙、135:挿通口、136:係合部、137:当接部、138:凹部、200、200A:回路基板、201:端末部分、202:凸部、203:接続端子、204:一方の主面、205:他方の主面、206:挿通孔、210:半導体素子、211:主面、212:発光素子、213:受光素子、300:信号線、301:光ファイバ、302:接続部、303:反射鏡、400:第1の伝熱材(固定材)、410:第2の伝熱材(伝熱材)、420:第3の伝熱材(伝熱材)、430:伝熱板、1111D:下方本体部、1112D:上方本体部、1112E:支持部、1113E:ガイド部、1114D:下方接続部、1115C:嵌合部、1116C:被嵌合部、1116D:上方接続部、1201C:信号線挿通部、1201D:係止爪、1202C:信号線当接部、1203C:信号線挿通孔、1204C:被係止部、1301C:係止部。