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特許7380713運転支援方法、運転支援システム、及び、運転支援装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】運転支援方法、運転支援システム、及び、運転支援装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20231108BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20231108BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20231108BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/0969
G09B29/00 A
G09B29/10 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021567303
(86)(22)【出願日】2020-12-15
(86)【国際出願番号】 JP2020046749
(87)【国際公開番号】W WO2021131903
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】P 2019238096
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健太
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一弘
(72)【発明者】
【氏名】中島 俊治
(72)【発明者】
【氏名】丸山 泰永
【審査官】中田 善邦
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-038845(JP,A)
【文献】特開2003-106857(JP,A)
【文献】特開2015-161604(JP,A)
【文献】特開2019-191200(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/34
G08G 1/0969
G09B 29/00
G09B 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リクエストを受け付ける通信部と、前記リクエストを処理するコントローラと、
を備える、車両の走行ルートを設定する運転支援装置に係る運転支援方法であって、
前記コントローラは、
前記車両の目的地を受け付け、
前記目的地までの走行ルートを検索して第1走行ルートとして設定し、
前記第1走行ルートの走行を開始する走行開始時刻を設定し、前記第1走行ルートをユーザに提示し、
前記第1走行ルートの設定の後、前記走行開始時刻から所定時間手前に車両情報を取得し、
前記第1走行ルートが前記ユーザに提示された後に、前記車両情報に基づいて前記目的地までの走行ルートを再度検索して第2走行ルートとして設定すること
を特徴とする運転支援方法。
【請求項2】
請求項1に記載の運転支援方法であって、
前記車両情報は、前記車両が搭載するバッテリの残量を示す情報を含むこと
を特徴とする運転支援方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の運転支援方法であって、
前記車両情報を取得する時刻と前記車両が前記第1走行ルート上の走行を開始する時刻の間の時間を、前記ユーザが設定可能であること
を特徴とする運転支援方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の運転支援方法であって、
前記コントローラは、前記車両が前記第2走行ルート上の走行を開始する時刻に合わせて、前記車両に搭載される機器の起動時刻を設定すること
を特徴とする運転支援方法。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の運転支援方法であって、
前記コントローラは、前記第2走行ルートを出力すること
を特徴とする運転支援方法。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の運転支援方法であって、
前記コントローラは、
前記第1走行ルートを端末に出力し、
前記第1走行ルートが端末に出力された後、第2走行ルートを端末に出力すること
を特徴とする運転支援方法。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の運転支援方法であって、
前記第1走行ルートは前記車両情報を使用しない仮ルートであり、
前記第2走行ルートは前記車両情報を使用する本ルートであること
を特徴とする運転支援方法。
【請求項8】
操作を受け付ける操作部と、前記操作を処理するコントローラと、
を備える、車両の走行ルートを設定する運転支援システムであって、
前記コントローラは、
前記操作部を介して、前記車両の目的地を受け付け、
前記目的地までの走行ルートを検索して第1走行ルートとして設定し、前記第1走行ルートをユーザに提示し、
前記第1走行ルートの走行を開始する走行開始時刻を設定し、
前記第1走行ルートの設定の後、前記走行開始時刻から所定時間手前に車両情報を取得し、
前記第1走行ルートが前記ユーザに提示された後に、前記車両情報に基づいて前記目的地までの走行ルートを再度検索して第2走行ルートとして設定すること
を特徴とする運転支援システム。
【請求項9】
リクエストを受け付ける通信部と、前記リクエストを処理するコントローラと、
を備える、車両の走行ルートを設定する運転支援装置であって、
前記コントローラは、
前記リクエストに含まれる、前記車両の目的地を取得し、
前記目的地までの走行ルートを検索して第1走行ルートとして設定し、前記第1走行ルートをユーザに提示し、
前記第1走行ルートの走行を開始する走行開始時刻を設定し、
前記第1走行ルートの設定の後、前記走行開始時刻から所定時間手前に車両情報を取得し、
前記第1走行ルートが前記ユーザに提示された後に、前記車両情報に基づいて前記目的地までの走行ルートを再度検索して第2走行ルートとして設定すること
を特徴とする運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法、情報処理システム、情報処理装置、及び、情報端末に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電気自動車の走行で、電欠を生じさせないために充電施設立ち寄りを考慮した最適な走行ルートを提供するナビゲーション装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-161604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術によれば、電気自動車のユーザが経由地及び目的地をナビゲーション装置に入力したタイミングで、充電施設の経由を考慮した走行ルートの計算が実施される。そのため、走行ルートの計算が実施された後に車両の状態が変化したとしても、最新の状態を反映した走行ルートに基づいた走行を開始できない恐れがある。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、走行ルートの計算が実施された後に、車両の状態が変化したとしても、最新の状態を反映した走行ルートに基づいた走行を開始することが可能な情報処理方法、情報処理システム、情報処理装置、及び、情報端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様に係る情報処理方法、情報処理システム、情報処理装置、及び、情報端末は、ユーザから車両の目的地を受け付け、目的地までの走行ルートを検索して第1走行ルートとして設定し、第1走行ルートを設定した後であって車両が第1走行ルート上の走行を開始する前に、取得した車両の車両情報に基づいて目的地までの走行ルートを再度検索して第2走行ルートとして設定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、走行ルートの計算が実施された後に、車両の状態が変化したとしても、最新の状態を反映した走行ルートに基づいた走行を開始することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムにおける仮ルート表示までの処理手順を示すフローチャートである。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムにおける本ルート表示までの処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。説明において、同一のものには同一符号を付して重複説明を省略する。
【0010】
[システムの構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、情報処理システムは、無線又は有線のネットワーク400で互いに接続された、端末100(情報端末)と、サーバ200と、車両300と、を備える。
【0011】
ネットワーク400は、例えば、インターネットが挙げられる。ネットワーク400は、4G/LTEや、5Gなどのモバイル通信機能を利用するものであってもよい。
【0012】
端末100は、ユーザの操作を受け付け、受け付けた操作に関する情報をネットワーク400に送信する。端末100としては、例えば、ユーザが日常的に利用する携帯端末(スマートフォン、タブレットなど)が挙げられる。
【0013】
ユーザは端末100を操作することにより、車両300が向かう目的地や目的地に到着する到着予定時刻を指定する。その他、ユーザは端末100を操作することにより、車両300が出発する出発予定時刻を指定するものであってもよい。したがって、受け付けた操作に関する情報には、車両300が向かう目的地、到着予定時刻、出発予定時刻などが含まれうる。
【0014】
車両300は、ユーザが指定する目的地までの移動手段を提供する乗り物であって、例えば、自動運転車両が挙げられる。その他、車両300としては、例えば、有人/無人のタクシー、バス、トラックなど、種々の移動手段が挙げられる。情報処理システムには、複数台の車両が登録されていてもよい。
【0015】
なお、車両300には、車載装置(図示なし)が搭載されており、車載装置を介して、車両300の車両情報(例えば、車両300が搭載するバッテリの残量を示すセンサ情報、車両300の表面の汚れの程度や、車両300の各種部品の摩耗度といった、車両300のメンテンナンスの必要度合いを示すセンサ情報など)が、車両300からネットワーク400に送信されるものとする。
【0016】
その他、車載装置は、端末100と同様に、ユーザの操作を受け付け、受け付けた操作に関する情報をネットワーク400に送信するものであってもよい。また、車載装置は、車両300の出発予定時刻を取得して、取得した出発予定時刻に基づいて、車両300に搭載される各種の機器(空調システム、シートヒータなど)の起動時刻を設定するものであってもよい。車載装置は、車両300の出発前に、あるいは、車両300の出発に合わせて、自動的に機器を起動させるものであってもよい。
【0017】
車両300は、所定のタイミングや、所定の周期で車両300の車両情報を送信するものであってもよいし、端末100やサーバ200からのリクエストに基づいて、車両300の車両情報を送信するものであってもよい。
【0018】
より具体的には、車両300は、搭載しているバッテリの充電開始のタイミングや、充電終了のタイミングで、車両情報、特にバッテリの残量を示す情報を送信するものであってもよい。また、車両300は、イグニッションがオンになったタイミングや、イグニッションがオフになったタイミングで、車両情報を送信するものであってもよい。
【0019】
サーバ200は、ネットワーク400を介して、端末100や車両300から送信される情報を取得し、取得した情報に基づいて車両300の走行ルートを検索する。走行ルートの検索には、車両300の現在位置、目的地周囲の地図情報や、道路情報が用いられる。
【0020】
以下では、ネットワーク400を介して、端末100、サーバ200、車両300は互いに双方向に通信可能であるとする。
【0021】
[端末の構成]
次に、端末100(情報端末)について説明する。図1に示すように、端末100は、センサ150と、表示部160と、操作部170と、通信部110と、制御部130(コントローラ)と、を備える。
【0022】
センサ150は、複数のセンサ群からなり、端末100の位置情報を取得する位置検出センサを含む。例えば、位置検出センサは、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)などの絶対位置を計測するセンサである。
【0023】
その他、センサ150は、端末100の置かれた環境に関する環境情報(温度、湿度、振動、加速度、音などの情報)を取得する環境センサを含んでいてもよい。例えば、環境センサは、温度センサ、湿度センサ、振動センサ、加速度センサ、マイクロフォンなどである。
【0024】
表示部160は、車両300の情報や、サーバ200によって検索された、車両300の走行ルートに関する情報を表示する。車両300の情報及び走行ルートに関する情報は、後述する通信部110により、ネットワーク400を介してサーバ200から取得する。その他、表示部160は、車両300の位置までユーザが移動するために必要な、端末100の位置から車両300の位置までの経路情報や、ユーザの移動をガイドするための案内情報を表示するものであってもよい。
【0025】
なお、表示部160としては、各種の情報を視覚情報によって情報を提示するものに限定されない。表示部160は、聴覚情報によってユーザに情報を提示するものであってもよいし、振動を発生させて、振動による刺激によってユーザに情報を提示するものであってもよい。
【0026】
視覚情報、聴覚情報、振動による刺激などにより、表示部160は、ユーザに各種の報知を行うものであってもよい。表示部160による報知の内容として、車両300の走行予定の有無、当該走行予定における車両300の出発予定時刻、車両300が走行を予定している走行ルート、当該走行ルート上の渋滞情報や天気情報などが挙げられる。表示部160が報知を行う時刻は、後述するサーバ200によって設定されるものであってもよい。
【0027】
操作部170は、情報処理システムに対するユーザからの各種の指令に対応するユーザの操作を受け付ける。例えば、操作部170は、複数のボタンを備えた入力インターフェイスであってもよいし、タッチインターフェイスを備えたタッチパネルであってもよい。
【0028】
より具体的には、絵や記号で表現したアイコンをユーザが操作可能なように表示部160が表示し、表示されたアイコンをユーザがタッチ、ドラッグなどすることで、操作部170はユーザの操作を受け付けるものであってもよい。
【0029】
通信部110は、ネットワーク400との間で情報を送受信する。通信部110は、ネットワーク400から取得した情報を図示しないメモリ等に記憶し、また、ユーザの操作に基づいて生成されるリクエストや環境情報など所定の情報をネットワーク400に対して出力する。例えば、通信部110は、4G/LTEのモバイル通信機能を備えた車載デバイスであってもよいし、Wifi通信機能を備えた車載デバイスであってもよい。
【0030】
制御部130は、センサ150、表示部160、操作部170、通信部110と接続されており、制御部130には、センサ150、操作部170、通信部110からの情報が入力され、制御部130からは表示部160、通信部110への情報が出力される。
【0031】
なお、制御部130は、CPU(中央処理装置)、メモリ、及び入出力部を備える汎用のマイクロコンピュータである。制御部130には、情報処理システムの一部として機能するためのコンピュータプログラム(情報端末プログラム)がインストールされている。コンピュータプログラムを実行することにより、制御部130は、表示部160及び通信部110の制御が行われる。
【0032】
制御部130が備える各種の情報処理は、ソフトウェアによって実現されるものであってもよいし、専用のハードウェアによって実現されるものであってもよい。
【0033】
制御部130が行う情報処理としては、特に、制御部130は、操作部170に対するユーザの操作に基づいて、情報処理システムに対するリクエストを生成する。例えば、リクエストには、車両300が向かう目的地や目的地に到着する到着予定時刻の指定が含まれていてもよい。また、リクエストには、車両300が出発する出発予定時刻の指定が含まれていてもよい。
【0034】
その他、リクエストには、ユーザの属性情報が含まれていてもよい。ユーザの属性情報には、ユーザの嗜好、年齢、性別、職種、身体的特徴、リクエストの前後でのイベントの有無、イベント種別などの情報が含まれていてもよい。
【0035】
例えば、端末100が、ユーザが日常的に利用する携帯端末(スマートフォン、タブレットなど)である場合には、情報端末プログラムとしてのアプリケーションが、SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)やその他のクラウドサービスなどと連携することにより、これらの属性情報を取得するものであってもよい。
【0036】
その他、車両300に搭載される車載装置(図示なし)は、端末100と同様に、センサ150と、表示部160と、操作部170と、通信部110と、制御部130(コントローラ)と、を備えるものであってもよい。
【0037】
[サーバの構成]
次に、サーバ200(情報処理装置)について説明する。図1に示すように、サーバ200は、通信部210(通信手段)と、データベース220と、制御部230(コントローラ)と、を備える。
【0038】
通信部210は、ネットワーク400との間で情報を送受信する。通信部210は、端末100から送信されたリクエストや、車両300から送信された車両情報など所定の情報をネットワーク400から取得し、取得した情報をデータベース220に記録する。その他、通信部210は、サーバ200以外の外部のサーバから、渋滞情報や天気情報を取得するものであってもよい。
【0039】
データベース220は、車両300の車両情報、端末100の位置、車両300の位置など、通信部210によって取得した情報を記憶する。その他、データベース220は、ユーザの過去のリクエストや、情報処理システムの利用履歴、頻度などを記憶するものであってもよい。また、データベース220は、ユーザのユーザ特性を推定するための種々のパラメータテーブルを記憶するものであってもよい。
【0040】
制御部230(コントローラ、処理部の一例)は、CPU(中央処理装置)、メモリ、及び入出力部を備える汎用のマイクロコンピュータである。制御部230には、情報処理システムの一部として機能させるためのコンピュータプログラム(情報処理サーバプログラム)がインストールされている。コンピュータプログラムを実行することにより、制御部230は、複数の情報処理回路(231、233、235)として機能する。
【0041】
なお、ここでは、ソフトウェアによって制御部230が備える複数の情報処理回路(231、233、235)を実現する例を示す。ただし、以下に示す各情報処理を実行するための専用のハードウェアを用意して、情報処理回路(231、233、235)を構成することも可能である。また、複数の情報処理回路(231、233、235)を個別のハードウェアにより構成してもよい。
【0042】
制御部230は、複数の情報処理回路(231、233、235)として、ルート算出部231、位置情報取得部233、時間設定部235を備える。
【0043】
位置情報取得部233(位置情報取得手段)は、通信部210を介して、端末100の位置及び車両300の位置を取得する。その他、端末100から送信されたリクエストに基づいて、車両300が向かう目的地の情報を取得する。
【0044】
ルート算出部231(ルート算出手段)は、位置情報取得部233によって取得した車両300の位置、及び、ユーザが指定する目的地に基づいて、目的地までの走行ルートを検索して、車両300の走行に用いるべき走行ルートとして設定する。
【0045】
ルート算出部231は、車両300の車両情報に基づいて経由する必要がある経由地を算出し、経由地を経由して目的地まで走行する走行ルートを算出する。例えば、車両情報のうち、車両300が搭載するバッテリの残量が所定閾値以下である場合、充電スポットを経由地として選出する。車両情報のうち、車両300のメンテンナンスの必要度合いが高い場合、車両300の洗浄あるいは車両300の各種部品の交換・修理が可能なメンテナンス施設を経由地として選出する。ルート算出部231は、これらの経由地を経由して目的地まで走行する走行ルートを算出する。
【0046】
その他、ルート算出部231は、走行ルートの検索にあたって、データベース220を参照するものであってもよく、地図情報、道路情報、渋滞情報、天気情報、その他、車両300が出発する出発予定時刻、目的地に到着する到着予定時刻などに基づいて、ルート算出部231は、走行ルートの検索するものであってもよい。
【0047】
ルート算出部231によって設定された走行ルートはサーバ200の外部に出力され、例えば、端末100に表示されたり、車両300による走行に用いられたりする。
【0048】
ルート算出部231は、ユーザからのリクエストを通信部210が取得した直後に、走行ルートとして仮ルート(第1走行ルート)を設定し、さらに、後述する本ルート算出時刻に、走行ルートとして本ルート(第2走行ルート)を設定する。
【0049】
時間設定部235(時間設定手段)は、ルート算出部231が本ルートを設定する処理を開始する本ルート算出時刻を設定する。より具体的には、仮ルート上の走行を車両300が開始する時刻から、第1所定時間だけ手前の時刻を、本ルート算出時刻として設定する。なお、第1所定時間は、車両300の車両情報を取得する時刻と車両300が仮ルート上の走行を開始する時刻の間の時間であるといえる。ユーザは、パラメータである第1所定時間を設定可能であってもよい。
【0050】
なお、ルート算出部231が仮ルートを設定する処理を開始する時刻(ユーザからのリクエストを通信部210が取得した直後の時刻)である仮ルート算出時刻は、本ルート算出時刻とは区別される。
【0051】
時間設定部235は、端末100がユーザに報知を行う時刻(リマインド時刻)を設定するものであってもよい。より具体的には、時間設定部235は、位置情報取得部233によって取得した端末100の位置及び車両300の位置、走行ルート上の走行を車両300が開始する時刻(第1時刻)に基づいて、リマインド時刻を設定する。
【0052】
例えば、時間設定部235は、走行ルート上の走行を車両300が開始する時刻(第1時刻)に基づいて、基準リマインド時刻を設定するものであってもよい。基準リマインド時刻は、走行ルート上の走行を車両300が開始する時刻であってもよいし、走行ルート上の走行を車両300が開始する時刻から第2所定時間を差し引くことにより算出される時刻をリマインド時刻として設定するものであってもよい。ユーザは、パラメータである第2所定時間を設定可能であってもよい。
【0053】
そして、時間設定部235は、端末100の位置から車両300の位置までのユーザの移動時間を算出し、基準リマインド時刻から移動時間を差し引くことにより算出される時刻を補正リマインド時刻(第2時刻)として設定するものであってもよい。
【0054】
ここで、ユーザの移動時間は、端末100の位置から車両300の位置までの移動距離を、地図情報や道路情報に基づいて算出し、移動距離を所定速度で除算することによって算出できる。所定速度とは、ユーザが利用する移動手段(歩行、自転車、バイクなど)の移動速度である。
【0055】
その他にも、端末100の位置における天気情報、又は、車両300の位置における天気情報を取得して、当該天気情報に基づいて、ユーザの移動時間を算出してもよい。具体的には、天候が良い場合(晴れ、曇りなど)の移動時間と比較して、天候が悪い場合(雨、雪、暴風など)の移動時間が長くなるよう、移動時間を算出するものであってもよい。
【0056】
時間設定部235は、仮ルート上の走行を車両300が開始する時刻に基づいて、リマインド時刻を設定するものであってもよいし、本ルート上の走行を車両300が開始する時刻に基づいて、リマインド時刻を設定するものであってもよい。
【0057】
[情報処理システムの処理手順]
次に、本実施形態に係る情報処理システムの処理手順を、図2及び図3のフローチャートを参照して説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムにおける仮ルート表示までの処理手順を示すフローチャートである。図3は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムにおける本ルート表示までの処理手順を示すフローチャートである。
【0058】
図2に示されるフローチャートの処理は、端末100又は車両300の車載装置が起動すると開始される。
【0059】
ステップS101にて、端末100又は車両300の車載装置は、ユーザからスケジュールを受け付ける。具体的には、ユーザから、車両300が向かう目的地、到着予定時刻が含まれるリクエストを受け付ける。
【0060】
ステップS103にて、端末100又は車両300の車載装置は、受け付けたスケジュール(リクエスト)を送信する。
【0061】
ステップS105にて、サーバ200は、受け付けたリクエストに基づいて、車両300が向かう目的地の情報を取得する。
【0062】
ステップS107にて、サーバ200は、仮ルート(第1走行ルート)を算出し、車両300の走行ルートとして設定する。
【0063】
ステップS109にて、サーバ200は、算出した仮ルートを送信する。
【0064】
ステップS111にて、リクエストを送信した端末100又は車両300の車載装置は、サーバ200から仮ルートを取得する。
【0065】
ステップS113にて、リクエストを送信した端末100又は車両300の車載装置は、取得した仮ルートを表示する。
【0066】
次に、図3に示されるフローチャートの処理は、本ルート算出時刻になると開始される。
【0067】
ステップS201にて、サーバ200は、車両300の車両情報を取得する。
【0068】
ステップS203にて、サーバ200は、車両300の車両情報に基づいて、車両300が目的地に向かうまでに経由する必要のある充電スポットを選出し、選出した充電スポットを経由地に設定する。
【0069】
ステップS205にて、サーバ200は、データベース220に記録されている車両300が向かう目的地の情報を取得する。
【0070】
ステップS207にて、サーバ200は、本ルート(第2走行ルート)を算出し、車両300の走行ルートとして設定する。
【0071】
ステップS209にて、サーバ200は、算出した本ルートを送信する。
【0072】
ステップS211にて、リクエストを送信した端末100又は車両300の車載装置は、サーバ200から本ルートを取得する。
【0073】
ステップS213にて、リクエストを送信した端末100又は車両300の車載装置は、取得した本ルートを表示する。
【0074】
[実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る情報処理方法、情報処理システム、情報処理装置、及び、情報端末は、ユーザから車両の目的地を受け付け、目的地までの走行ルートを検索して第1走行ルートとして設定し、第1走行ルートを設定した後であって車両が第1走行ルート上の走行を開始する前に、取得した車両の車両情報に基づいて目的地までの走行ルートを再度検索して第2走行ルートとして設定する。
【0075】
これにより、走行ルートの計算が実施された後に、車両の状態が変化したとしても、最新の状態を反映した走行ルートを再度得ることができ、最新の状態を反映した走行ルートに基づいて車両の走行を開始することができる。その結果、車両を利用するユーザの利便性を向上させることができる。
【0076】
また、本実施形態に係る情報処理方法、情報処理システム、情報処理装置、及び、情報端末において、車両情報は、車両が搭載するバッテリの残量を示す情報を含むものであってもよい。これにより、第1走行ルートを設定した後に、車両がバッテリ駆動によって走行したり、バッテリ充電が行われたりして、バッテリの残量が変化した場合であっても、最新の車両の状態に基づいて充電スポットを経由地に含めるか否かをより正確に判定することができ、走行ルートの設定を適切に行うことができる。その結果、車両を利用するユーザの利便性を向上させることができる。さらには、ユーザは、走行中の車両のバッテリ残量を気にして、走行前に設定された走行ルートの再確認等を行う必要がなくなる。
【0077】
さらに、本実施形態に係る情報処理方法、情報処理システム、情報処理装置、及び、情報端末において、車両情報を取得する時刻と車両が第1走行ルート上の走行を開始する時刻の間の時間を、ユーザが設定可能であってもよい。つまり、走行ルートを再度検索して第2走行ルートを設定するタイミングをユーザが調節することが可能になるため、車両が走行を開始する前のどのタイミングにおける車両の状態を第2走行ルートに反映させるかを、ユーザ自身が決めることができる。その結果、ユーザの好みや、ユーザの車両の利用方法に合わせた、より実用的な走行ルート設定ができる。
【0078】
また、本実施形態に係る情報処理方法、情報処理システム、情報処理装置、及び、情報端末において、車両が第2走行ルート上の走行を開始する時刻に合わせて、車両に搭載される機器の起動時刻が設定されてもよい。これにより、空調システム、シートヒータといった車両に搭載される機器によって車両内の環境を整えることができ、車両内でユーザがより快適に過ごすことができるようになる。
【0079】
さらに、本実施形態に係る情報処理方法、情報処理システム、情報処理装置、及び、情報端末は、第2走行ルートを出力するものであってもよい。これにより、最新の状態を反映した走行ルートに基づいて車両の走行を開始することができる。その結果、車両を利用するユーザの利便性を向上させることができる。
【0080】
上述の実施形態で示した各機能は、1又は複数の処理回路によって実装されうる。処理回路には、プログラムされたプロセッサや、電気回路などが含まれ、さらには、特定用途向けの集積回路(ASIC)のような装置や、記載された機能を実行するよう配置された回路構成要素なども含まれる。
【0081】
以上、実施形態に沿って本発明の内容を説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。この開示の一部をなす論述および図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0082】
本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【0083】
本出願は、2019年12月27日に出願された日本国特許願第2019-238096に基づく優先権を主張しており、この出願の全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【符号の説明】
【0084】
100 端末(情報端末)
110 通信部
130 制御部
150 センサ
160 表示部
170 操作部
200 サーバ(情報処理装置)
210 通信部
220 データベース
230 制御部
231 ルート算出部
233 位置情報取得部
235 時間設定部
300 車両
400 ネットワーク
図1
図2
図3