(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】濾過フィルタ
(51)【国際特許分類】
B01D 29/11 20060101AFI20231108BHJP
B01D 39/20 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
B01D29/10 510D
B01D29/10 510G
B01D29/10 530A
B01D39/20 A
(21)【出願番号】P 2022013316
(22)【出願日】2022-01-31
(62)【分割の表示】P 2020538295の分割
【原出願日】2019-08-07
【審査請求日】2022-02-01
(31)【優先権主張番号】P 2018155942
(32)【優先日】2018-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183265
【氏名又は名称】中谷 剣一
(72)【発明者】
【氏名】横田 秀輔
(72)【発明者】
【氏名】近藤 孝志
(72)【発明者】
【氏名】萬壽 優
(72)【発明者】
【氏名】西川 美和子
【審査官】宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-114485(JP,A)
【文献】特開2010-131594(JP,A)
【文献】特公昭58-50780(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 29/11
B01D 39/10
B01D 39/20
B01D 46/10
C12N 1/02
C12M 1/12
F24F 1/0071
B07B 1/04
B07B 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面と、前記第1主面に対向する第2主面と、を有する平面状の濾過フィルタであって、
正方格子配列で配置される複数の貫通孔を画定する膜状のフィルタ基体部を備え、
前記フィルタ基体部は、
前記濾過フィルタの厚さ方向から見て、第1方向
に延びる複数の第1フィルタ基体部と、前記第1方向に直交す
る第2方向
に延びる複数の第2フィルタ基体部と、
で形成される第1連続部と、
前記濾過フィルタの厚さ方向から見て、前記複数の第1フィルタ基体部と、前記第2方向と平行に延び、且つ前記複数の第2フィルタ基体部に対して前記第1方向にずれている複数の第3フィルタ基体部と、で形成される第2連続部と、
前記
第1連続部と前記第2連続部とが接続される非連続部と、
を有する、濾過フィルタ。
【請求項2】
前記非連続部は、
前記複数の第2フィルタ基体部と前記第1フィルタ基体部とが接続される複数の第1接続部と、
前記複数の第3フィルタ基体部と前記第1フィルタ基体部とが接続される複数の第2接続部と
、
を含み、
前記複数の第1接続部と前記複数の第2接続部とは、前記第1方向にずれている、
請求項1に記載の濾過フィルタ。
【請求項3】
前記複数の第1接続部のそれぞれは、隣接する前記複数の第2接続部の間にそれぞれ配置される、請求項2に記載の濾過フィルタ。
【請求項4】
前記
濾過フィルタの厚さ方向から見て、
前記非連続部であって前記第1方向と直交する方向における前記第1フィルタ基体部の寸法は、
前記第1連続部及び前記第2連続部を形成するフィルタ基体部の延びる方向と直交する方向における前記フィルタ基体部の寸法と等しい、
請求項2又は3に記載の濾過フィルタ。
【請求項5】
前記濾過フィルタは、一端と他端とを有し、前記一端と前記他端とを接合され、
前記非連続部は、前記一端と前記他端とが接合される接合部に形成されている、
請求項1~4のいずれか一項に記載の濾過フィルタ。
【請求項6】
前記
第1連続部
、前記第2連続部及び前記非連続部は、一体で形成されている、
請求項1~
5のいずれか一項に記載の濾過フィルタ。
【請求項7】
前記フィルタ基体部は、金属及び金属酸化物のうち少なくともいずれかを主成分とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の濾過フィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濾過フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
フィルタとして、例えば、円筒形状を有するフィルタが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1のフィルタは、縦方向の重合部を溶接している内側の筒状金網と、金属繊維のフェルトシートを内側の筒状金網に所定の厚みに巻き付け且つ耐熱性樹脂を含浸・乾燥させたフィルタ本体と、縦方向の重合部を溶接している外側の筒状金網とで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、外部の力を加えることによって容易に切断することができる濾過フィルタが求められている。
【0006】
本発明は、外部の力を加えることによって容易に切断することができる濾過フィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の濾過フィルタは、
正方格子配列で配置される複数の貫通孔を画定するフィルタ基体部を備え、
前記フィルタ基体部は、
前記フィルタ基体部の延びる第1方向と、前記第1方向に直交する方向で濾過フィルタを切断したときの断面において前記フィルタ基体部の外表面に沿う第2方向と、に連続して形成される連続部と、
前記連続部の一部を前記第1方向にずらして形成される非連続部と、
を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、外部の力を加えることによって容易に切断することができる濾過フィルタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る実施の形態1の濾過フィルタの一例の概略斜視図である。
【
図2】
図1のフィルタ部の非連続部の一部を拡大した概略斜視図である。
【
図3】
図1のフィルタ部の非連続部の一部を拡大した概略平面図である。
【
図4】本発明に係る実施の形態1の濾過フィルタの切断方法の一例を示す図である。
【
図5A】本発明に係る実施の形態1の濾過フィルタの製造方法の工程の一例を示す概略図である。
【
図5B】本発明に係る実施の形態1の濾過フィルタの製造方法の工程の一例を示す概略図である。
【
図5C】本発明に係る実施の形態1の濾過フィルタの製造方法の工程の一例を示す概略図である。
【
図5D】本発明に係る実施の形態1の濾過フィルタの製造方法の工程の一例を示す概略図である。
【
図5E】本発明に係る実施の形態1の濾過フィルタの製造方法の工程の一例を示す概略図である。
【
図6A】非連続部を形成する方法の一例を示す概略図である。
【
図6B】非連続部を形成する方法の一例を示す概略図である。
【
図7】応力解析シミュレーションに用いた解析モデルの一例を示す概略拡大図である。
【
図8A】比較例1の解析モデルの応力解析シミュレーション結果の一例を示す図である。
【
図9A】実施例1の解析モデルの応力解析シミュレーション結果の一例を示す図である。
【
図10】解析モデルのフィルタの非連続部で応力解析を行った箇所を示す図である。
【
図11】応力解析を行った詳細な位置を示す図である。
【
図12A】比較例2の解析モデルの概略構成を示す図である。
【
図12B】実施例9の解析モデルの概略構成を示す図である。
【
図13】比較例2及び実施例2~9の応力解析結果の一例を示す図である。
【
図14】比較例2を基準とする実施例2~9の最大主応力の関係を示す図である。
【
図15A】本発明に係る実施の形態1の濾過フィルタを用いて濾過を行っている様子の一例を示す図である。
【
図15B】本発明に係る実施の形態1の濾過フィルタを用いて濾過を行っている様子の別例を示す図である。
【
図16】本発明に係る実施の形態2の濾過フィルタの一部の一例の概略斜視図である。
【
図17】比較例3及び実施例10~14の応力解析結果の一例を示す図である。
【
図18】比較例4~5及び実施例15~16の応力解析結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本発明に至った経緯)
近年、筒形状の濾過フィルタを用いて濾過対象物を含む流体をクロスフロー濾過方式で濾過した後、濾過フィルタに捕捉された濾過対象物を観察したいという要望が高まっている。例えば、濾過フィルタを用いて濾過を行った後、濾過対象物を捕捉した濾過フィルタを光学顕微鏡にセットし、濾過対象物を観察したいという要望がある。
【0011】
しかしながら、筒形状の濾過フィルタにおいては、濾過フィルタの内部に濾過対象物が捕捉されるため、濾過フィルタに捕捉された濾過対象物を観察することが困難である。このため、濾過フィルタを用いて濾過を行った後、濾過フィルタに外部の力を加えて切断し、濾過フィルタ内部に捕捉された濾過対象物を観察することになる。
【0012】
このような背景の下、筒形状の濾過フィルタにおいては、濾過を行っているときの流体の力で破壊されず、且つ濾過が終了した後に外部から力を加えることで容易に切断できることが求められている。
【0013】
そこで、本発明者らは、濾過に耐え得る強度を維持しつつ、外部から力を加えることで容易に切断することができる筒形状のフィルタを提供すべく、以下の発明に至った。
【0014】
本発明の一態様の濾過フィルタは、
第1開口と前記第1開口に対向する第2開口とが設けられた筒形状の濾過フィルタであって、
正方格子配列で配置される複数の貫通孔を画定するフィルタ基体部を備え、
前記フィルタ基体部は、
前記濾過フィルタの前記第1開口から前記第2開口に向かう方向と、前記濾過フィルタの前記第1開口から前記第2開口に向かう方向に直交する方向で前記濾過フィルタを切断したときの断面において前記濾過フィルタの外周に沿う周方向と、に連続して形成される連続部と、
前記連続部の一部を前記濾過フィルタの前記周方向と直交する方向にずらして形成される非連続部と、
を有する。
【0015】
このような構成により、筒形状の濾過フィルタにおいて、外部から力を加えることで容易に切断することができる。
【0016】
前記フィルタ基体部は、前記非連続部において前記濾過フィルタの前記第1開口から前記第2開口に向かう方向に延びる第1フィルタ基体部と、前記濾過フィルタの前記周方向において前記第1フィルタ基体部の一方側に接続される複数の第2フィルタ基体部と、前記濾過フィルタの前記周方向において前記第1フィルタ基体部の他方側に接続される複数の第3フィルタ基体部と、を有し、
前記複数の第2フィルタ基体部と前記第1フィルタ基体部とが接続される複数の第1接続部と、前記複数の第3フィルタ基体部と前記第1フィルタ基体部とが接続される複数の第2接続部とは、前記濾過フィルタの前記第1開口から前記第2開口に向かう方向にずれていてもよい。
【0017】
このような構成により、非連続部を形成する第1フィルタ基体部において、濾過フィルタの周方向に延びる複数の第2フィルタ基体部及び複数の第3フィルタ基体部のそれぞれで接続点を形成している。これにより、非連続部において応力を発生させ易くし、濾過フィルタをより容易に切断することができる。
【0018】
前記複数の第1接続部のそれぞれは、隣接する前記複数の第2接続部の間にそれぞれ配置されてもよい。
【0019】
このような構成により、筒形状の濾過フィルタにおいて、外部から力を加えることでより容易に切断することができる。
【0020】
前記第1フィルタ基体部の幅は、前記連続部を形成するフィルタ基体部の幅と等しくてもよい。
【0021】
このような構成により、筒形状の濾過フィルタにおいて、外部から力を加えることで更に容易に切断することができる。
【0022】
前記濾過フィルタは、一端と他端とを有する膜状のフィルタであり、前記一端と前記他端とを接合することによって筒形状に形成され、
前記非連続部は、前記一端と前記他端とが接合される接合部に形成されていてもよい。
【0023】
このような構成により、容易に非連続部を形成することができると共に、筒形状の濾過フィルタにおいて、外部から力を加えることで更に容易に切断することができる。
【0024】
前記フィルタ基体部は、金属及び金属酸化物のうち少なくともいずれかを主成分としてもよい。
【0025】
このような構成により、筒形状の濾過フィルタにおいて、機械強度を向上させつつ、外部から力を加えることで容易に切断することができる。
【0026】
以下、本発明に係る実施の形態1について、添付の図面を参照しながら説明する。また、各図においては、説明を容易なものとするため、各要素を誇張して示している。
【0027】
(実施の形態1)
[全体構成]
図1は、本発明に係る実施の形態1の濾過フィルタ1Aの一例の概略斜視図である。
図2は、
図1のフィルタ部10の非連続部14の一部を拡大した概略斜視図である。
図3は、
図1のフィルタ部10の非連続部14の一部を拡大した概略平面図である。
図1中のD1、D2方向は、それぞれ、濾過フィルタ1Aの周方向、濾過フィルタ1Aの周方向と直交する方向を示している。
図2及び3中のX、Y、Z方向は、それぞれ濾過フィルタ1Aの横方向、縦方向、厚み方向を示している。
【0028】
図1に示すように、濾過フィルタ1Aは、第1開口2と、第1開口2に対向する第2開口3とが設けられた円筒形状に形成されている。第1開口2と第2開口3とは、濾過フィルタ1Aの縦方向(Y方向)において対向している。本明細書では、周方向D1とは、濾過フィルタ1Aの第1開口2から第2開口3に向かう方向D2に直交し、且つ濾過フィルタ1Aの外周部の形状に沿って周る方向を意味する。具体的には、周方向D1とは、濾過フィルタ1Aの第1開口2から第2開口3に向かう方向D2に直交する方向で濾過フィルタ1Aを切断したときの断面において濾過フィルタ1Aの外周に沿う方向を意味する。実施の形態1では、周方向D1は、濾過フィルタ1Aの円周方向を意味する。
【0029】
実施の形態1では、濾過フィルタ1Aは、フィルタ部10と、枠部20と、を備える。フィルタ部10は、中空円筒形状に形成されている。枠部20は、フィルタ部10の両端に配置されており、環状に形成されている。
【0030】
実施の形態1では、濾過フィルタ1Aが枠部20を備える例について説明するが、枠部20は必須の構成ではない。また、実施の形態1では、一例として、円筒形状の濾過フィルタ1Aについて説明するが、濾過フィルタ1Aの形状は円筒形状に限定されない。濾過フィルタ1Aは、筒形状を有していればよい。
【0031】
実施の形態1では、濾過フィルタ1Aは、第1主面PS1と第1主面PS1に対向する第2主面PS2とを有する矩形状を有する膜状のフィルタを丸めることによって、円筒形状に形成されている。第1主面PS1は円筒形状の濾過フィルタ1Aの外面に位置し、第2主面PS2は円筒形状の濾過フィルタ1Aの内面に位置する。
【0032】
濾過フィルタ1Aは、クロスフロー濾過に用いられるフィルタである。濾過フィルタ1Aでは、円筒形状の内側を、濾過対象物を含む流体が流れる。これにより、濾過フィルタ1Aの第2主面PS2に濾過対象物が捕捉されると共に、流体の一部が濾過フィルタ1Aの第2主面PS2から第1主面PS1に向かって流れる。
【0033】
本明細書において、「濾過対象物」とは、流体に含まれる対象物のうち濾過されるべき対象物を意味している。例えば、濾過対象物は、粉体又は微粒子であってもよい。また、濾過対象物は、流体に含まれる生物由来物質であってもよい。「生物由来物質」とは、細胞(真核生物)、細菌(真性細菌)、ウィルス等の生物に由来する物質を意味する。細胞(真核生物)としては、例えば、人工多能性幹細胞(iPS細胞)、ES細胞、幹細胞、間葉系幹細胞、単核球細胞、単細胞、細胞塊、浮遊性細胞、接着性細胞、神経細胞、白血球、再生医療用細胞、自己細胞、がん細胞、血中循環がん細胞(CTC)、HL-60、HELA、菌類を含む。細菌(真性細菌)としては、例えば、大腸菌、結核菌を含む。
【0034】
図1-3に示すように、フィルタ部10は、周期的に配列される複数の貫通孔11を画定するフィルタ基体部12で形成されている。実施の形態1では、複数の貫通孔11は正方格子配列で配置されている。フィルタ部10を形成するフィルタ基体部12は、金属及び金属酸化物のうち少なくともいずれかを主成分とする。フィルタ基体部12は、例えば、金、銀、銅、白金、ニッケル、パラジウム、チタン、これらの合金及びこれらの酸化物であってもよい。
【0035】
フィルタ基体部12は、格子状に連続して形成される連続部13と、連続部13を濾過フィルタ1Aの周方向D1と直交する方向D2にずらして形成される非連続部14と、を有する。
【0036】
図2及び
図3に示すように、連続部13は、格子状に連続して形成されている。「格子状に連続して形成されている」とは、フィルタ基体部12のうち濾過フィルタ1Aの周方向D1(X方向)に延びる部分が変曲点を有さずに形成されており、且つフィルタ基体部12のうち濾過フィルタ1Aの縦方向(Y方向)に延びる部分が変曲点を有さずに形成されていることを意味する。実施の形態1では、フィルタ基体部12は、一体で形成されている。
【0037】
言い換えると、「格子状に連続して形成されている」とは、濾過フィルタ1Aの第1開口2から第2開口3に向かう方向D2に連続して形成されており、且つ濾過フィルタ1Aの第1開口2から第2開口3に向かう方向D2に直交する方向で濾過フィルタ1Aを切断したときの断面において濾過フィルタ1Aの外周に沿う周方向D1に連続して形成されていることを意味する。
【0038】
連続部13においては、ハミルトニアンが並進対称性をもつように、周期的に複数の貫通孔11が配列されている。例えば、連続部13とは、フィルタ基体部12のうち濾過フィルタ1Aの周方向D1への延びる部分、または周方向D1に直交する方向D2に伸びる部分が、局所的に周期性を有していることを意味する。実施の形態1では、周方向D1に直交する方向D2とは、第1開口2から第2開口3へ向かう方向を意味する。
【0039】
このように、フィルタ基体部12においては、連続部13が格子状に連続して形成されている。このため、フィルタ基体部12により画定される複数の貫通孔11は、フィルタ部10の第1主面PS1及び第2主面PS2上に周期的に配置される。具体的には、複数の貫通孔11は、フィルタ部10においてマトリクス状に等間隔で設けられている。
【0040】
実施の形態1では、貫通孔11は、フィルタ部10の第1主面PS1側、即ちZ方向から見て、正方形の形状を有する。複数の貫通孔11は、フィルタ部10の第1主面PS1側(Z方向)から見て正方形の各辺と平行な2つの配列方向、即ち
図2及び
図3中のX方向とY方向に等しい間隔で設けられている。このように、複数の貫通孔11を正方格子配列で設けることによって、開口率を高めることが可能であり、濾過フィルタ1Aに対する流体の通過抵抗を低減することができる。
【0041】
複数の貫通孔11の間隔は、濾過対象物の種類(大きさ、形態、性質、弾性)又は量に応じて適宜設計されるものである。ここで、貫通孔11の間隔とは、
図3に示すように、貫通孔11をフィルタ部10の第1主面PS1側から見て、任意の貫通孔11の中心と隣接する貫通孔11の中心との間隔bを意味する。周期配列の構造体の場合、貫通孔11の間隔bは、例えば、貫通孔11の一辺dの1倍より大きく10倍以下であり、好ましくは貫通孔11の一辺dの3倍以下である。あるいは、例えば、フィルタ部10の開口率は、10%以上であり、好ましくは開口率は、25%以上である。このような構成により、フィルタ部10に対する流体の通過抵抗を低減することができる。なお、開口率とは、(貫通孔11が占める面積)/(貫通孔11が空いていないと仮定したときの第1主面PS1の投影面積)で計算される。
【0042】
フィルタ部10の厚みは、貫通孔11の大きさ(一辺d)の0.1倍以上10倍以下が好ましい。より好ましくは、フィルタ部10の厚みは、貫通孔11の大きさ(一辺d)の0.5倍より大きく10倍以下である。このような構成により、流体に対する濾過フィルタ1Aの抵抗を低減することができる。その結果、濾過対象物へのストレスを低減することができる。
【0043】
フィルタ部10において、濾過対象物を含む流体が接触する第2主面PS2は、表面粗さが小さいことが好ましい。ここで、表面粗さとは、第2主面PS2の任意の5箇所において触針式段差計で測定された最大値と最小値の差の平均値を意味する。実施の形態1では、表面粗さは、濾過対象物の大きさより小さいことが好ましく、濾過対象物の大きさの半分より小さいことがより好ましい。言い換えると、フィルタ部10の第2主面PS2上の複数の貫通孔11の開口が同一平面(XY平面)上に形成されている。また、フィルタ部10のうち貫通孔11が形成されていない部分であるフィルタ基体部12は、繋がっており、一体に形成されている。このような構成により、フィルタ部10の第2主面PS2への濾過対象物の付着が低減され、流体の抵抗を低減することができる。
【0044】
貫通孔11は、第1主面PS1側の開口と第2主面PS2側の開口とが連続した壁面を通じて連通している。具体的には、貫通孔11は、第1主面PS1側の開口が第2主面PS2側の開口に投影可能に設けられている。即ち、フィルタ部10を第1主面PS1側から見た場合に、貫通孔11は、第1主面PS1側の開口が第2主面PS2側の開口と重なるように設けられている。
【0045】
フィルタ部10の第1主面PS1に対して垂直な面に投影した貫通孔11の形状(断面形状)は、長方形である。具体的には、貫通孔11の断面形状は、濾過フィルタ1Aの周方向D1の一辺の長さが濾過フィルタ1Aの厚み方向の一辺の長さより長い長方形である。なお、貫通孔11の断面形状は、長方形に限定されず、例えば、平行四辺形又は台形等のテーパー形状であってもよいし、対称形状であってもよいし、非対称形状であってもよい。
【0046】
非連続部14は、連続部13の一部を濾過フィルタ1Aの周方向D1と直交する方向D2にずらして形成されている。具体的には、連続部13のうち濾過フィルタ1Aの横方向(X方向)に延びる部分を濾過フィルタ1Aの縦方向(Y方向)にずらして形成される。
【0047】
非連続部14とは、フィルタ基体部12のうち濾過フィルタ1Aの周方向D1に伸びる部分、または周方向D1に直交する方向D2に伸びる部分が変曲点を有し、変曲点において3岐路を形成している部分を意味する。
【0048】
図2及び
図3に示すように、フィルタ基体部12は、非連続部14において濾過フィルタ1Aの周方向D1(X方向)と直交する方向D2(Y方向)に延びる第1フィルタ基体部12aを有する。また、フィルタ基体部12は、濾過フィルタ1Aの周方向D1(X方向)において第1フィルタ基体部12aの一方側に接続される複数の第2フィルタ基体部12bと、濾過フィルタ1Aの周方向D1(X方向)において第1フィルタ基体部12aの他方側に接続される複数の第3フィルタ基体部12cと、を有する。複数の第2フィルタ基体部12bと複数の第3フィルタ基体部12cは、一体で形成されている。
【0049】
非連続部14では、複数の第2フィルタ基体部12bと第1フィルタ基体部12aとが接続される複数の第1接続部15と、複数の第3フィルタ基体部12cと第1フィルタ基体部12aとが接続される複数の第2接続部16とが形成されている。
【0050】
複数の第1接続部15と複数の第2接続部16とは、第1フィルタ基体部12aにおいて、互いに離れている。具体的には、第1接続部15は、隣接する2つの第2接続部16との間に配置されている。言い換えると、複数の第1接続部15のそれぞれは、隣接する複数の第2接続部16の間にそれぞれ配置されている。
【0051】
このため、非連続部14において、複数の第1貫通孔11aと、複数の第1貫通孔11aに隣接する複数の第2貫通孔11bとは、貫通孔の配列が濾過フィルタ1Aの周方向D1に直交する方向D2(Y方向)にずれている。なお、複数の第1貫通孔11a及び複数の第2貫通孔11bは、それぞれ、非連続部14において、濾過フィルタ1Aの高さ方向(Y方向)、即ち濾過フィルタ1Aの周方向D1に直交する方向D2に配置されている。
【0052】
このように、濾過フィルタ1Aは、連続部13の一部を濾過フィルタ1Aの周方向D1(X方向)と直交する方向D2(Y方向)にずらすことによって、非連続部14を形成している。非連続部14においては、フィルタ基体部12が接続される接続部の数を連続部13に比べて増やすことができる。なお、連続部13における接続部とは、濾過フィルタ1Aの横方向(X方向)に延びるフィルタ基体部12の部分と、濾過フィルタ1Aの縦方向(Y方向)に延びるフィルタ基体部12の部分とが交差して接続される部分である。非連続部14における接続部は、第1接続部15と第2接続部16とを意味する。
【0053】
非連続部14においては、連続部13よりも接続部が多く形成されているため、連続部13よりも応力が集中し易い。このため、非連続部14は、連続部13に比べて、外部から力を加えたときに破壊又は変形しやすい。即ち、非連続部14では、連続部13に比べて容易に切断することができる。また、非連続部14は、濾過時において流体の流れる力によって破壊されない強度を有する。このように、濾過フィルタ1Aは、濾過に耐え得る強度を維持しつつ、外部から力を加えることで容易に切断することができる。その結果、濾過フィルタ1Aでは、濾過が終了した後、非連続部14に外部から力を加えて切断し、濾過フィルタ1Aに捕捉された濾過対象物を容易に観察することができる。
【0054】
実施の形態1では、非連続部14を形成する第1フィルタ基体部12aの幅は、連続部13を形成するフィルタ基体部12の幅と等しい。具体的には、非連続部14において、円筒形状の濾過フィルタ1Aの周方向D1(X方向)と直交する方向D2(Y方向)に延びる第1フィルタ基体部12aの幅は、連続部13を形成するフィルタ基体部12の幅と等しい。ここで、「等しい」とは、10%の範囲内の誤差を含む。
【0055】
枠部20は、円筒形状のフィルタ部10の両端とにそれぞれ配置される部材である。枠部20は、円筒形状のフィルタ部10の一端側又は他端側から見て、環状に形成されている。
【0056】
枠部20には、フィルタの情報(例えば、貫通孔11の寸法など)を表示してもよい。これにより、改めて測長などを行うことなく貫通孔11の孔寸法を把握することができる。
【0057】
実施の形態1では、枠部20を構成する材料は、フィルタ部10(フィルタ基体部12)を構成する材料と同じである。
【0058】
実施の形態1では、円筒形状の濾過フィルタ1Aは直径12mm、高さ22mm、膜厚2μmである。正方形の貫通孔11の一辺は6μmである。フィルタ基体部12の幅は2.5μmである。なお、濾過フィルタ1Aは、これらの寸法に限定されることなく、他の寸法で作製されていてもよい。
【0059】
[動作]
濾過フィルタ1Aの切断方法について、
図4を用いて説明する。
図4は、本発明に係る実施の形態1の濾過フィルタ1Aの切断方法の一例を示す。
【0060】
図4に示すように、非連続部14を濾過フィルタ1Aの高さ方向(Y方向)に延びる切断線CL1に沿って切断することによって、円筒形状の濾過フィルタ1Aを容易に切断することができる。
【0061】
切断については、例えば、ピンセットとメスを用いて行う。
【0062】
[製造方法]
次に、濾過フィルタ1Aの製造方法の一例について、
図5A~5Eを用いて説明する。
図5A~5Eは、本発明に係る実施の形態1の濾過フィルタ1Aの製造方法の工程の一例を示す概略図である。なお、
図5A~5Eは、濾過フィルタ1Aを円筒形状に加工する前の工程を示す。
【0063】
図5Aに示すように、シリコンなどの基板31上に厚さ1.5μmの銅薄膜32を形成する。銅薄膜32は蒸着またはスパッタリングにより形成することができる。このとき、基板31と銅薄膜32との接着性を向上させるために厚さ0.5μmのTiの中間層33を形成する。
【0064】
次に、銅薄膜32上にスピンコートによりレジストを塗布し、乾燥させることで厚さ2μmのレジスト膜を形成する。
【0065】
図5Bに示すように、レジスト膜34を露光および現像処理し、フィルタ基体部12に相当する箇所のレジスト膜34を除去した。なお、孔形状は正方形とする。
【0066】
図5Cに示すように、レジスト膜34を除去した部分に電鋳を用いて、Niめっき膜35からなるフィルタ基体部12を形成する。続いて、有機溶剤を用いてレジスト膜34を除去することで、円筒形状に加工する前の濾過フィルタ1Aを作製する。
【0067】
円筒形に加工する際、濾過フィルタ1A単体では流体による変形が起きる恐れがあるため、濾過フィルタの機械強度を向上させる必要がある。そこで、濾過フィルタ1Aの外周部および中央ライン部に、補強層36を形成する。補強層36の厚みは20μmであり、フィルタ基体部12に配置される部分は、一辺290μm正方形の貫通孔11が10μm間隔で正方格子状に配列されている。
【0068】
補強層36については、
図5A~5Cと同様の方法で、厚さ30μmのレジスト膜34を形成し、露光および現像処理により、濾過フィルタ1Aの外周部および中央ライン部のレジスト膜34を除去する。レジスト膜34を除去した箇所に電鋳を用いて、
図5Dに示すように、Niめっき膜からなる補強層36を形成する。有機溶剤を用いてレジスト膜34を除去することで、
図5Eに示すように、貫通孔11の一辺6μm、開口率50%の濾過フィルタ1Aを作製する。この段階においては、濾過フィルタ1Aは、矩形形状を有する膜状のフィルタである。濾過フィルタ1Aの枠部20及び支持部21は、補強層36で形成される。
【0069】
なお、実施の形態1の濾過フィルタ1Aの製造方法では、補強層36を形成する例について説明したが、補強層36は必須の構成ではない。
【0070】
次に、濾過フィルタ1Aを円筒形状に加工する方法の例について
図6A及び
図6Bを用いて説明する。
図6A及び
図6Bは、非連続部14を形成する方法の一例の概略図である。
【0071】
図6Aに示すように、ポリアセタール樹脂で形成される円筒状の容器40の外周に、濾過フィルタ1Aを巻き付ける。容器40は、有底の容器である。濾過フィルタ1Aが巻き付けられる容器40の側壁は、開放されている。容器40は、濾過に用いるための容器の一例である。容器40は、これに限定されない。
【0072】
具体的には、一端E1と他端E2とを有する膜状の濾過フィルタ1Aの外周部にテープを貼付けた後、濾過フィルタ1Aを容器40に巻きつけることによって、円筒形状に丸めて固定する。より具体的には、濾過フィルタ1Aの外周部に、外周部のXおよびY方向の幅に合わせ、ポリエステルフィルムを基材としアクリル粘着材を薄く塗りつけた、厚み50μmの両面テープ(リンテック(株):タックライナー TL-450S-16)を貼り付ける。なお、外周部の他端E2側は、長手方向(X方向)に両面テープを貼り付けない3mmの隙間をつくる。両面テープを貼り付けた濾過フィルタ1Aを容器40に巻きつけることによって、円筒形状に丸めて固定する。
【0073】
図6Bに示すように、光学顕微鏡およびマイクロマニュピレーターを用いて、濾過フィルタ1Aの一端E1と他端E2とをエポキシ系樹脂によって接合する。具体的には、一端E1と他端E2との接合面、及び濾過フィルタ1Aの外周部と容器40との隙間にエポキシ樹脂を塗布することによって接合する。このとき、複数の貫通孔11の配列が非連続的になるように、一端E1と他端E2とをずらして接合する。これにより、一端E1と他端E2とを接合する接合部に非連続部14を形成する。より具体的には、光学顕微鏡の倍率を1000倍とし、顕微鏡で覗きながら、両面テープを貼り付けていない外周部の他端E2側を、マイクロマニュピレーターを用いて動かし、接合部における格子の位置あわせを行う。位置あわせを行った後、テープで仮止めし、一端E1と他端E2との接合面、及び濾過フィルタ1Aの外周部と容器40との隙間に、エポキシ樹脂を塗布することによって接合する。
【0074】
[濾過対象物の観察方法]
円筒形状の濾過フィルタ1Aを用いた濾過対象物の濾過が終了した後、ピンセット及びメスを用いて、濾過フィルタ1Aの非連続部14を切断する。具体的には、濾過フィルタ1Aの一端E1と他端E2とを接合するエポキシ樹脂を切り剥がし、非連続部14を外周からピンセットを用いて容器40からゆっくり剥がす。これにより、円筒形状の濾過フィルタ1Aを非連続部14で切断し、濾過フィルタ1Aの第2主面PS2に捕捉された濾過対象物を顕微鏡で直接観察することができる。特に、濾過対象物が細胞である場合、細胞にダメージを与えることなく、濾過対象物を観察することができる。
【0075】
[応力解析シミュレーション]
フィルタ部10の非連続部14に発生する応力について、株式会社村田製作所製Femtetを用いて応力解析シミュレーションを行った結果を説明する。
【0076】
図7は、応力解析シミュレーションに用いた解析モデルの一例を示す概略拡大図である。
図7に示すように、解析モデルで用いた濾過フィルタは、正方形の複数の貫通孔11が正方格子配列で配置されている。解析モデルのフィルタの貫通孔11の一辺L1は12μmであり、深さL2は5μmである。フィルタ基体部12の幅L3は5μmである。また、解析モデルのフィルタの構成材料はNiである。
【0077】
応力解析シミュレーションでは、非連続部14で形成される第1貫通孔11aと第2貫通孔11bとの配列のずれS1,S2を変化させている。ずれS1は、非連続部14における第2貫通孔11bの下辺L11をフィルタの横方向(X方向)に延長した延長線L12と第1貫通孔11aの側辺L21とが交差する点P1から第1貫通孔11aの下辺L22までの距離を意味する。ずれS2は、延長線L12と第1貫通孔11aの側辺L21とが交差する点P1から第1貫通孔11aの上辺L23までの距離を意味する。なお、ずれS2は、「S2=(12-S1)」で算出できる。
【0078】
応力解析シミュレーションでは、ずれS1,S2を調整し、ずれがない比較例1と、ずれがある実施例1と、で応力解析を行った。なお、比較例1はS1=0μm、S2=12μmであり、実施例1はS1=8.5μm、S2=3.5μmである。
【0079】
比較例1及び実施例1の応力解析シミュレーションでは、濾過フィルタの周方向D1、即ち+X方向及び-X方向の両方向に解析モデルのフィルタを引っ張り、非連続部14の主面(第1主面PS1)に対して、0.05N/m2の面荷重を加えた。
【0080】
図8Aは、比較例1の解析モデルの応力解析シミュレーション結果の一例を示す。
図8Bは、
図8Aの比較例1のZ1部分を拡大した図である。
図9Aは、実施例1の解析モデルの応力解析シミュレーション結果の一例を示す。
図9Bは、
図9Aの実施例1のZ2部分を拡大した図である。
図8A,8B及び
図9A,9Bに示すように、実施例1の非連続部14においては、比較例1に比べて、広い範囲で応力が発生している。これは、実施例1の非連続部14では、比較例1に比べて、フィルタ基体部12の接続部の数が多いことに起因する。フィルタ基体部12の接続部においては、応力が発生しやすいため、実施例1では、比較例1に比べて、応力の発生する箇所が多くなったと考えられる。
【0081】
次に、解析モデルのフィルタを用いて、非連続部14においてフィルタの縦方向(Y方向)にかかる応力の解析を行った。
【0082】
図10は、解析モデルのフィルタの非連続部14で応力解析を行った箇所を示す。
図11は、応力解析を行った詳細な位置を示す。
図10及び
図11に示すように、非連続部14において、第1貫通孔11aのうち第2貫通孔11bと対向する側の一辺を通る解析ラインCL2に沿って応力解析を行った。解析モデルのフィルタは、複数の貫通孔11が周期的に形成されていることから、応力分布は周期性を有すると考えられる。このため、フィルタの縦方向(Y方向)に隣接する2つの貫通孔11aa、11ab間を1周期とみなす。応力解析シミュレーションでは、
図11に示すように、解析ラインCL2上において、2つの貫通孔11aa、11ab間に5つの解析位置P1~P5を設け、それぞれの解析位置における応力を解析した。なお、貫通孔11aaは、貫通孔11abの下方に配置されている。
【0083】
図11に示すように、解析位置P1は、解析ラインCL2を通る貫通孔11aaの一辺の中央に位置する。解析位置P2は、解析位置P1の上方であって、貫通孔11aaの角部に位置する。解析位置P3は、貫通孔11aaと貫通孔11aaに隣接する貫通孔11abとの間の第1フィルタ基体部12a上にあり、貫通孔11aaの角部と貫通孔11abの角部とから互いに等しい距離に位置する。解析位置P4は、解析位置P3の上方であって、貫通孔11aa側に配置される貫通孔11abの角部に位置する。解析位置P5は、解析ラインCL2を通る貫通孔11abの一辺の中央に位置する。
【0084】
応力解析シミュレーションにおいては、第1貫通孔11aと第2貫通孔11bとの配列のずれをパラメータとして、比較例2及び実施例2~9を用いた。比較例2は、ずれが0%であり、非連続部14を有していない。実施例2~9は、それぞれ、ずれが1%、5%、10%、20%、40%、60%、80%及び100%である。
【0085】
図12Aは、比較例2の解析モデルの概略構成を示す。
図12Bは、実施例9の解析モデルの概略構成を示す。
図12Aに示すように、比較例2は、ずれが0%であり、非連続部14を有していない。ずれ0%とは、すべての貫通孔11が正方格子配列で配置されていることを意味する。言い換えると、比較例2は、
図7において、S1=0μm、S2=12μmの構成を有する。
図12Bに示すように、実施例9は、ずれ100%であり、非連続部14において第1貫通孔11aと第2貫通孔11bとが最もずれている。ずれ100%とは、
図7において、S1=8.5μm、S2=3.5μmの構成を有する。実施例2~8においては、順にS1を大きくすると共にS2を小さくすることによって、ずれの割合を変更している。
【0086】
図13は、比較例2及び実施例2~9の応力解析結果の一例を示す。
図13に示すように、実施例3~9においては、比較例2に比べて、解析位置P2,P4近傍での最大主応力が高くなっている。実施例3~9では、比較例2に比べて、非連続部14におけるフィルタ基体部12の接続部の数が多いため、接続部に応力が集中しやすくなり、破壊しやすくなる。また、解析位置P3付近では、ずれの割合が大きいほど最大主応力の値が小さくなっている。このことから、解析位置P3付近に亀裂や欠けが生じにくいということが考えられる。
【0087】
このように、第1貫通孔11aと第2貫通孔11bとの間のずれが5%以上である場合、ずれが0%である場合に比べて、非連続部14におけるフィルタ基体部12の接続部での応力が大きくなり、破壊しやすくなる。
【0088】
また、荷重を加えることで解析対象の両隣のフィルタ基体部12の接続部にも同様の応力が発生すると考えられる。そのため、荷重を大きくすると両隣のフィルタ基体部12の接続部と亀裂が繋がり、より破壊しやすくなると考えられる。
【0089】
実施例2の場合においても、フィルタの縦方向の端面において、非連続部14におけるフィルタ基体部12の接続部にずれが生じる。そのため、濾過後にメスとピンセットを用いて切断する際に、持ち手や隙間が存在することから、比較例2と比較して、切断成功の確率を高めたり、表面へのダメージを抑えた切断を行うことができる。
【0090】
図14は、比較例2を基準とする実施例2~9の最大主応力の関係を示す図である。
図14では、解析位置P4における比較例2及び実施例2~9の最大主応力を用いている。
図14に示すように、比較例2の最大主応力を基準とすると、実施例3~9の最大主応力の値は、実施例3、実施例4、実施例5、実施例6、実施例7、実施例9、実施例8の順で大きくなっている。また、実施例8は、実施例9よりもずれが小さいにも関わらず、実施例9に比べて最大主応力が大きくなっている。
【0091】
このように、解析位置P4において、ずれが0%の構成の最大主応力を基準とした場合、ずれが5%~100%の構成の最大主応力は、ずれが0%の構成と比べて大きくなり、且つずれが80%の構成において最大主応力が最も大きくなる。
【0092】
[濾過]
図15Aは、本発明に係る実施の形態1の濾過フィルタ1Aを用いて濾過を行っている様子の一例を示す。
図15Aに示すように、濾過フィルタ1Aは、円筒状の容器41の側壁に取り付けられている。濾過フィルタ1Aが取り付けられた容器41を重力方向D3に対して直交する方向D4に沿って配置する。言い換えると、濾過対象物を含む流体の流入口42を、重力方向D3に対して直交する方向D4へ向くように、容器41を配置する。これにより、流体は、濾過フィルタ1Aの内部を方向D4へ向かって流れると共に、濾過フィルタ1Aの第2主面PS2に沿って平行に流れる。このとき、非連続部14にかかる応力は、主に重力による荷重と、流体の摩擦によるせん断応力が支配的になると考えられる。
図15Aに示す例では、重力による影響が大きい。したがって、非連続部14は、重力方向D3において濾過フィルタ1Aの上側に配置することが好ましい。これにより、重力方向D3への荷重が非連続部14にかかることを避け、濾過中に非連続部14が破壊されることを抑制することができる。
【0093】
図15Bは、本発明に係る実施の形態1の濾過フィルタ1Aを用いて濾過を行っている様子の別例を示す図である。
図15Bに示すように、濾過フィルタ1Aが取り付けられた円筒状の容器41を重力方向D3に沿って配置してもよい。言い換えると、濾過対象物を含む流体の流入口42を上向きにして容器41を配置する。これにより、流体は重力方向D3と同じ方向D5へ向かって流れると共に、濾過フィルタ1Aの第2主面PS2に沿って平行に流れる。このように、重力方向D3への荷重が非連続部14にかかりにくいため、濾過中に非連続部14が破壊されることを抑制することができる。
【0094】
また、
図15A及び
図15Bの両方において、非連続部14におけるフィルタ基体部12の接続部の壁面は、流体の流れる方向に沿って配置されている。そのため、非連続部14にかかるせん断力は、流れの粘性による影響が支配的になる。ニュートンの粘性法則により、壁面の極近傍にかかるせん断応力は粘度と速度勾配により決定される。速度勾配は壁面近傍においてのみ層流と同じ直線と見なせるため、流速と濾過フィルタ1Aの円径により決定される。一般的に流体として使用される水などの液体の粘度は、数mPa/s以下と小さい。半径6mmの円筒状の濾過フィルタ1Aの壁面にかかるせん断応力を計算すると、20℃の水を5×10
-1m/sで流した際、約42mPaとなる。エポキシ樹脂の強度が数百MPaの単位で示されることから、薄く塗布したとしても十分に硬化していれば、濾過時に非連続部14が破壊される可能性は極めて低いと考えられる。
【0095】
なお、濾過フィルタ1Aは、重力方向D3に対して傾けた状態で使用されてもよい。
【0096】
観察時は、
図4に示すように、切断線CL1に沿って非連続部14を切断するために、外部から切り剥がす方向に力を加えることによって、濾過フィルタ1Aを切断することができる。
【0097】
[効果]
実施の形態1に係る濾過フィルタ1Aによれば、以下の効果を奏することができる。
【0098】
濾過フィルタ1Aは、筒形状のフィルタであって、正方格子配列で配置される複数の貫通孔11を画定するフィルタ基体部12を備える。フィルタ基体部12は、濾過フィルタ1Aの第1開口2から第2開口3に向かう方向D2と、濾過フィルタ1Aの第1開口2から第2開口3に向かう方向D2に直交する方向で濾過フィルタ1Aを切断したときの断面において濾過フィルタ1Aの外周に沿う周方向D1に連続して形成される連続部13と、連続部13の一部を濾過フィルタ1Aの第1開口2から第2開口3に向かう方向D2にずらして形成される非連続部14と、を有する。このような構成により、濾過フィルタ1Aにおいては、クロスフロー濾過を行っているときに流体の力で破壊されることがなく、濾過が終了した後に外部から力を加えることで容易に切断することができる。その結果、濾過フィルタ1Aの内部に捕捉された濾過対象物を容易に観察することができる。
【0099】
このように、濾過フィルタ1Aは、筒形状のフィルタにおいて、濾過に耐え得る強度を維持しつつ、外部から力を加えることで容易に切断することができる。
【0100】
フィルタ基体部12は、非連続部14において濾過フィルタ1Aの周方向D1と直交する方向D2に延びる第1フィルタ基体部12aを有する。また、フィルタ基体部12は、濾過フィルタ1Aの周方向D1において第1フィルタ基体部12aの一方側に接続される複数の第2フィルタ基体部12bと、濾過フィルタ1Aの周方向D1において第1フィルタ基体部12aの他方側に接続される複数の第3フィルタ基体部12cと、を有する。複数の第2フィルタ基体部12bと第1フィルタ基体部12aとが接続される複数の第1接続部15と、複数の第3フィルタ基体部12cと第1フィルタ基体部12aとが接続される複数の第2接続部16とは、濾過フィルタ1Aの周方向D1と直交する方向D2にずれている。
【0101】
このような構成により、非連続部14を形成する第1フィルタ基体部12aにおいて、互いに離れた複数の第1接続部15及び複数の第2接続部16を形成している、これにより、非連続部14においては、連続部13と比べて接続部の数を多くすることができ、応力が発生しやすくなっている。その結果、濾過フィルタ1Aは、円筒形状のフィルタにおいて、濾過に耐え得る強度を維持しつつ、外部から力を加えることでより容易に切断することができる。
【0102】
複数の第1接続部15のそれぞれは、隣接する複数の第2接続部16の間にそれぞれ配置される。このような構成により、濾過フィルタ1Aに外部から力を加えたとき、より容易に切断することができる。
【0103】
非連続部14を形成する第1フィルタ基体部12aの幅は、連続部13を形成するフィルタ基体部12の幅と等しい。このような構成により、非連続部14に外力を加えたときに応力が発生しやすくなり、円筒形状の濾過フィルタ1Aをより容易に切断することができる。
【0104】
濾過フィルタ1Aは、一端E1と他端E2とを有する膜状のフィルタであり、一端E1と他端E2とを接合することによって円筒形状に形成されている。非連続部14は、一端E1と他端E2とが接合される接合部に形成されている。このような構成により、非連続部14を容易に形成することができると共に、外部の力を加えることによって濾過フィルタ1Aをより容易に切断することができる。
【0105】
フィルタ基体部12は、金属及び金属酸化物のうち少なくともいずれかを主成分とする。このような構成により、非連続部14は流体の濾過による力によっては破壊しにくく、外力を加えたときに切断されやすくなる。即ち、濾過フィルタ1Aは、機械強度を向上させつつ、外部から力を加えることで容易に切断することができる。
【0106】
非連続部14と連続部13の境界面(ずれが生じる面)において、境界面をまたぐように位置する第1貫通孔11aと隣接する第2貫通孔11bとの間の距離が、境界面以外の位置において隣接する2つの貫通孔11間の距離よりも長くすることができる。開口率を上げるため、貫通孔11およびフィルタ基体部12は規則的に配置しているが、境界面でずれにより隣接する第1貫通孔11aと第2貫通孔11bとの間の距離を長くすることができるため、境界面の第1フィルタ基体部12aを細くして、境界面とそれ以外の領域における隣接する貫通孔11間の距離とを等しくすることができる。このような構成により、開口率が高くなり、濾過効率を上げることができる。
【0107】
実施の形態1では、濾過対象物が細胞であり、流体が細胞懸濁液である場合に、有益である。
【0108】
なお、実施の形態1では、濾過フィルタ1Aは、一端E1と他端E2とを接合することによって円筒形状に形成する例について説明したが、これに限定されない。例えば、濾過フィルタ1Aは、一体形成されていてもよい。言い換えると、連続部13と非連続部14とは一体で形成されていてもよい。例えば、
図5Bに示す工程において、連続部13と非連続部14を連結させたパターンを同マスク内にまとめ、露光現像処理を行うことにより、連続部13と非連続部14が一体となった濾過フィルタ1Aの型を一体形成することができる。
【0109】
実施の形態1では、濾過フィルタ1Aにおいて、一端E1と他端E2とをエポキシ樹脂で接合する例について説明したが、これに限定されない。例えば、一端E1と他端E2とは、溶接によって接合されてもよい。
【0110】
実施の形態1では、非連続部14は、濾過フィルタ1Aの周方向D1(X方向)に直交する方向D2(Y方向)に形成される例について説明したが、これに限定されない。非連続部14は、濾過フィルタ1Aの周方向D1に向かって交差する方向に形成されていればよい。例えば、非連続部14は、濾過フィルタ1Aの周方向D1に向かって斜めに形成されていてもよい。また、非連続部14は、1つ以上形成されていてもよい。例えば、顕微鏡の1視野に入れて分析するため、6ウエルに入れて再培養するため、などの理由により、濾過フィルタ1Aを分離したい場合、非連続部14を複数箇所に入れることで、処理後に任意の大きさの濾過フィルタに切断することができる。このように非連続部14は1つ以上形成されていてもよい。上述のように、複数箇所に非連続部14を形成していてもよい。
【0111】
実施の形態1では、円筒形状の濾過フィルタ1Aを切断し、切断した濾過フィルタを光学顕微鏡に置いて濾過対象物を観察する例について説明したが、これに限定されない。例えば、円筒形状の濾過フィルタ1Aを切断し、濾過対象物を回収してもよい。
【0112】
実施の形態1では、濾過フィルタ1Aは円筒形状を有する例について説明したが、これに限定されない。例えば、濾過フィルタ1Aは、D2方向に直交する方向切断した断面が円形、楕円形、多角形の筒形状を有していてもよい。
【0113】
(実施の形態2)
本発明に係る実施の形態2の濾過フィルタについて説明する。
【0114】
実施の形態2では、主に実施の形態1と異なる点について説明する。実施の形態2においては、実施の形態1と同一又は同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、実施の形態2では、実施の形態1と重複する記載は省略する。
【0115】
実施の形態2では、非連続部が平板部を有する点で、実施の形態1と異なる。
【0116】
図16は、本発明に係る実施の形態2の濾過フィルタ1Bの一部の一例の概略構成図である。
図16に示すように、濾過フィルタ1Bでは、非連続部14aが濾過フィルタ1Bの周方向D1と直交する方向D2に延びる平板部17を有する。
【0117】
具体的には、平板部17は、実施の形態1の第1フィルタ基体部12aの幅を大きくしたものである。即ち、平板部17は、フィルタ基体部12の一部である。平板部17は、非連続部14aで形成される複数の第1貫通孔11aと複数の第2貫通孔11bとの間に形成される。また、平板部17の幅とは、濾過フィルタ1Bの横方向(X方向)の長さを意味する。平板部17の厚みは、フィルタ基体部12の厚みと等しい。平板部17は、フィルタ基体部12と同じ材料で形成されている。
【0118】
実施の形態2では、平板部17の幅は、25μmである。
【0119】
濾過フィルタ1Bでは、平板部17を間に挟んで、第1貫通孔11aと第2貫通孔11bとの配列がずれて配置されている。即ち、濾過フィルタ1Bの周方向D1において平板部17の一方側には、複数の第2フィルタ基体部12bが接続されている。濾過フィルタ1Bの周方向D1において平板部17の他方側には、複数の第3フィルタ基体部12cが接続されている。
【0120】
[応力解析シミュレーション]
非連続部14aに発生する応力について、株式会社村田製作所製Femtetを用いて解析シミュレーションを行った結果を説明する。
【0121】
応力解析シミュレーションでは、濾過フィルタ1Bと同様の構成を有する解析モデルを用いて応力解析を行った。応力解析の条件は、実施の形態1と同様である。具体的には、非連続部14aにおける第1貫通孔11aと第2貫通孔11bとの間のずれS1,S2を調整し、ずれがない比較例3と、ずれがある実施例10~14と、で応力解析を行った。なお、比較例3は、平板部17を有しているが、第1貫通孔11aと第2貫通孔11bとの間のずれが0%であり、すべての貫通孔11が正方格子配列で配置されている。実施例10~14は、濾過フィルタ1Bにおいて、それぞれ、第1貫通孔11aと第2貫通孔11bとの間のずれを20%、40%、60%、80%及び100%としている。
【0122】
図17は、比較例3及び実施例10~14の応力解析結果の一例を示す。
図17に示すように、解析位置P2及びP4に着目すると、実施例12~14の最大主応力が、比較例3の最大主応力よりも大きくなっている。言い換えると、非連続部14aの第1貫通孔11aと第2貫通孔11bとのずれが60%以上100%以下の範囲において、最大主応力がずれ0%の場合よりも大きくなっている。なお、比較例3と実施例14とを比べると、解析位置P2及びP4における最大主応力の差が小さくなっている。
【0123】
次に、平板部17を有する場合と有しない場合を比較するため、比較例4~5と実施例15~16を用いて応力解析シミュレーションを行った。比較例4は、平板部17を有さず、第1貫通孔11aと第2貫通孔11bとの間のずれが0%のフィルタである。比較例5は、平板部17を有するが、ずれが0%のフィルタである。実施例15は、平板部17を有さず、ずれが100%の濾過フィルタ1Aである。実施例16は、平板部17を有し、ずれが100%の濾過フィルタ1Bである。
【0124】
図18は、比較例4~5及び実施例15~16の応力解析結果の一例を示す。解析位置P2及びP4における最大主応力に着目すると、比較例4、比較例5、実施例16、実施例15の順に、最大主応力が大きくなっている。
【0125】
[効果]
実施の形態2に係る濾過フィルタ1Bによれば、以下の効果を奏することができる。
【0126】
濾過フィルタ1Bでは、非連続部14aは、円筒形状の濾過フィルタ1Bの周方向D1と直交する方向D2に延びる平板部17を有している。平板部17の幅は、フィルタ基体部12の幅よりも大きい。このような構成により、非連続部14aの強度を実施の形態1の非連続部14に比べて大きくすることができる。これにより、濾過時における流体の力に対する強度が大きくなる。一方、非連続部14aに外部から力を加えることによって、容易に切断することができる。その結果、濾過フィルタ1Bでは、非連続部14aの機械的強度を向上させつつ、外部から力を加えて容易に切断することができる。即ち、濾過フィルタ1Bにおいても、濾過に耐え得る強度を維持しつつ、外部から力を加えることで容易に切断することができる。
【0127】
平板部17の幅は、フィルタ基体部12の幅よりも大きいため、非連続部14aで複数の貫通孔11の規則的な配列、即ち正方格子配列が崩れる。このため、濾過フィルタ1Bの周方向D1に延びるフィルタ基体部12b,12cと平板部17との接合箇所に応力集中が発生し易くなる。これにより、濾過フィルタ1Bの非連続部14aにおいて、外部の力が加わったときに容易に切断することができる。
【0128】
また、平板部17と容器40の隙間にメスなどの薄い刃を差し込めるため、平板部17と容器40の接着面を容易に剥がすことができる。これにより、非連続部14aの接合を弱めることができるため、濾過フィルタ1Bの非連続部14aにおいて、外部の力が加わったときに容易に切断することができる。
【0129】
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した特許請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明の濾過フィルタは、容易に捕集物を観察することができるため、例えば細胞を使用する薬効調査や再生医療薬の製造等の分野に有用である。
【符号の説明】
【0131】
1A、1B 濾過フィルタ
2 第1開口
3 第2開口
10 フィルタ部
11 貫通孔
12 フィルタ基体部
12a 第1フィルタ基体部
12b 第2フィルタ基体部
12c 第3フィルタ基体部
13 連続部
14 非連続部
15 第1接続部
16 第2接続部
17 平板部
20 枠部
21 支持部
31 基板
32 銅薄膜
33 中間層
34 レジスト膜
35 めっき膜
36 補強層
40 容器
41 容器
42 流入口