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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】操舵制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/12 20200101AFI20231108BHJP
   B62D 6/00 20060101ALI20231108BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20231108BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20231108BHJP
【FI】
B60W30/12
B62D6/00
G08G1/16 C
B60W60/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022049885
(22)【出願日】2022-03-25
(65)【公開番号】P2023142794
(43)【公開日】2023-10-05
【審査請求日】2022-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩間 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】藤巻 由太
【審査官】楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-144764(JP,A)
【文献】特開2004-264182(JP,A)
【文献】特開2009-180631(JP,A)
【文献】特許第6016996(JP,B1)
【文献】特開2018-173304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00~60/00
B62D 6/00
G08G 1/00~ 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が走行する道路情報を検出する検出部と、
前記車両の位置情報を取得する取得部と、
前記道路情報に基づいて前記車両が走行する第1車線情報を算出し、前記第1車線情報に基づいて前記車両の操舵を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記位置情報に基づいて前記車両が走行する第2車線情報を算出し、前記道路情報の検出レベルが所定の閾値以下の場合に、前記第1車線情報の位置と前記第2車線情報の位置との差に基づいて、以降の前記第2車線情報の位置を前記第1車線情報側に変更して維持し、前記第1車線情報から、変更された第2車線情報に切り換えて前記車両の操舵を制御する操舵制御装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記道路情報を撮影するカメラを含み、
前記取得部は、衛星測位システムから前記位置情報を取得する請求項1に記載の操舵制御装置。
【請求項3】
前記取得部は、種類の異なる複数の位置情報を取得し、
前記制御部は、前記複数の位置情報のうち、前記車両の位置精度が他の位置情報より高い特定の位置情報に基づいて前記第2車線情報を算出する請求項1または2に記載の操舵制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2車線情報の位置を前記差の値だけ前記第1車線情報側に移すように変更する請求項1~3のいずれか一項に記載の操舵制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、操舵制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば自動運転システムおよび運転支援システムにおいて、車両が車線内を維持するように操舵を制御する操舵制御装置が提案されている。この操舵制御装置は、操舵制御が途切れずに継続するために、車両が走行する車線情報を途切れずに検出することが求められる。
【0003】
そこで、車両が走行する車線情報をできるだけ途切れずに検出する技術として、例えば、特許文献1には、走行車線の左右を区画する区画線成分の特徴量を抽出し、この特徴量から左右区画線を認識するに際し、この特徴量をデータメモリに記憶しておき、区画線が途切れて特定できなくなった場合、その後再度区画線成分の特徴量を抽出した際には、データメモリに記憶されている特徴量と比較し、途切れた後の区画線を推定することで区画線を早期に認識して運転支援を再開させることができる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6697522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この特許文献1の装置において、操舵の精度を維持することが求められている。
【0006】
本開示は、操舵の精度を維持する操舵制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る操舵制御装置は、車両が走行する道路情報を検出する検出部と、車両の位置情報を取得する取得部と、道路情報に基づいて車両が走行する第1車線情報を算出し、第1車線情報に基づいて車両の操舵を制御する制御部と、を備え、制御部は、位置情報に基づいて車両が走行する第2車線情報を算出し、道路情報の検出レベルが所定の閾値以下の場合に、第1車線情報の位置と第2車線情報の位置との差に基づいて、以降の第2車線情報の位置を第1車線情報側に変更して維持し、第1車線情報から、変更された第2車線情報に切り換えて車両の操舵を制御するものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、操舵の精度を維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施の形態1に係る操舵制御装置を備えた車両の構成を示す図である。
図2】車線情報を算出する様子を示す図である。
図3】実施の形態1の動作を示すフローチャートである。
図4】車線情報を切り換える様子を示す図である。
図5】第2車線情報の位置を変更する様子を示す図である。
図6】実施の形態2に係る操舵制御装置の要部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に係る実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0011】
(実施の形態1)
図1に、本開示の実施の形態1に係る操舵制御装置を備えた車両1の構成を示す。車両1は、操舵制御装置2と、操舵部3とを有する。なお、操舵制御装置2は、例えば、自動運転システムおよび運転支援システムにおいて操舵を制御することができる。また、車両1としては、例えば、乗用車、トラック、バスおよびバンなどが挙げられる。
【0012】
操舵制御装置2は、検出部4と、取得部5と、制御部6とを有する。
【0013】
検出部4は、車両1が走行する道路情報を検出するもので、例えばカメラおよびLiDARなど、道路情報を直接的に検出する装置から構成することができる。検出部4は、例えば、車両1の前方の道路情報を検出するように車両1の前部に配置することができる。ここで、道路情報は、車線を示す情報、例えば、道路に引かれた区切り線(白線)、路肩および路側帯などの情報を含んでもよい。
【0014】
取得部5は、車両1の位置情報を取得するもので、例えば衛星測位システム(例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System))、路車間通信部、道路特徴検出部(例えば、LiDAR、カメラ)などから構成することができる。ここで、衛星測位システムは、衛星を用いて測定された車両1の位置情報を直接的に取得するシステムである。また、路車間通信部は、道路に設置された通信装置から位置情報を直接的に取得する装置である。また、道路特徴検出部は、地図情報から車両1の位置を特定するための道路の特徴情報、例えば道路の周囲に存在する建物、道路構造物および道路標識などの情報を検出する。これにより、検出された道路の特徴情報を、地図情報に含まれる特徴情報と照合させることで、車両1の位置を特定することができる。すなわち、位置情報は、車両1の位置を直接的に示す情報だけでなく、車両1の位置を特定するための情報も含むものである。
【0015】
制御部6は、車線情報算出部7と、判定部8と、自車位置算出部9と、記憶部10と、切換部11と、操舵量算出部12と、操舵制御部13とを有する。
【0016】
車線情報算出部7は、検出部4で検出された道路情報に基づいて、車両1が走行する第1車線情報を算出する。例えば、車線情報算出部7は、図2に示すように、車両1が走行する車線Lの左右の区切り線(白線)の位置および方向などの情報を算出する。続いて、車線情報算出部7は、区切り線の情報に基づいて、例えば車線Lの中央を通るように目標走行ラインLaを算出する。そして、車線情報算出部7は、目標走行ラインLaに基づいて、横偏差Y、方位角θおよび半径Rなどを算出する。このように、第1車線情報は、例えば、目標走行ラインLa、横偏差Y、方位角θおよび半径Rなどを含むことができる。なお、横偏差Yは、例えば、目標走行ラインLaに対する車両1の横偏差を算出してもよい。また、方位角θは、目標走行ラインLaの接線に対する車両1の角度を算出してもよい。また、半径Rは、目標走行ラインLaの曲線半径を算出してもよい。
【0017】
判定部8は、検出部4で検出された道路情報の検出レベルが所定の閾値以下か否かを判定する。ここで、所定の閾値は、例えば、車両1の操舵の安定性に基づいて設定することができる。
【0018】
記憶部10は、車両1が走行する道路を含む地図情報を記憶する。地図情報は、例えば、道路に設けられた車線の位置および方向などの情報を含んでもよい。例えば、地図情報は、車線Lの中央を通る目標走行ラインLaおよび半径Rなどの情報を含んでもよい。また、地図情報は、道路特徴検出部で検出される道路の特徴情報を含んでもよい。
【0019】
自車位置算出部9は、取得部5で取得された車両1の位置情報に基づいて、車線Lに対する車両1の位置を算出する。例えば、自車位置算出部9は、車両1の位置情報に基づいて記憶部10に記憶された地図情報を参照し、車両1が走行する車線Lを特定する。そして、自車位置算出部9は、特定された車線Lの目標走行ラインLaおよび半径Rを地図情報から取得すると共に、車両1の位置情報に基づいて車線Lに対する車両1の位置を算出する。そして、自車位置算出部9は、目標走行ラインLaに基づいて横偏差Yおよび方位角θなどを算出する。このとき、自車位置算出部9は、直前の車両1の位置(例えば1つ前の車両1の情報)に基づいて車両1の向き(姿勢)を算出し、その車両1の向きに基づいて横偏差Yおよび方位角θを算出してもよい。このようにして、目標走行ラインLa、横偏差Y、方位角θおよび半径Rなどの第2車線情報が、車両1の位置情報に基づいて算出される。
【0020】
切換部11は、判定部8の判定結果に基づいて、操舵量算出部12に出力する車線情報を切り換える。具体的には、切換部11は、判定部8において道路情報の検出レベルが所定の閾値を超えていると判定された場合には、車線情報算出部7で算出された第1車線情報を操舵量算出部12に出力する。一方、切換部11は、判定部8において道路情報の検出レベルが所定の閾値以下と判定された場合には、自車位置算出部9で算出された第2車線情報を操舵量算出部12に出力する。
【0021】
操舵量算出部12は、切換部11から出力される第1車線情報に基づいて、車両1の操舵量を算出する。ここで、操舵量算出部12は、切換部11において第1車線情報から第2車線情報に切り換えられた場合には、第2車線情報に基づいて、車両1の操舵量を算出する。このように、操舵量算出部12は、第1車線情報と第2車線情報を切り換えて車両1の操舵量を算出する。
なお、操舵量としては、例えば、目標操舵角および目標操舵トルクなどが挙げられる。
【0022】
操舵制御部13は、操舵量算出部12で算出される操舵量に基づいて操舵部3を制御する。操舵制御部13は、例えば、操舵量に応じた電流または電圧を操舵部3に出力することで、操舵部3を制御することができる。
【0023】
操舵部3は、車輪の角度を変更して車両1を操舵するもので、例えばモータおよびアクチュエータなどから構成される。操舵部3は、例えば、操舵制御部13から出力される電流または電圧に応じた角度だけ車輪の向きを変更する。
【0024】
次に、本実施の形態の動作について、図3のフローチャートを参照して説明する。
【0025】
まず、検出部4が、ステップS1で、車両1の走行に応じて道路情報を順次検出する。検出部4は、例えば、車両1の前方を撮影するカメラから構成され、道路情報を含む画像を生成することで道路情報を検出する。検出部4は、道路情報を含む画像を車線情報算出部7に出力する。
また、取得部5が、車両1の位置情報を取得する。取得部5は、例えば、衛星測位システムから車両1の位置情報を取得するように構成され、車両1の走行に応じて変化する位置情報を順次取得する。取得部5は、取得した位置情報を自車位置算出部9に出力する。
【0026】
車線情報算出部7は、検出部4で検出された画像を入力すると、ステップS2で、その画像から、車両1が走行する第1車線情報を算出する。例えば図2に示すように、車線情報算出部7は、画像から区切り線などの道路情報を抽出し、その抽出された道路情報から車両1が走行する車線Lの位置および方向などの情報を算出する。そして、車線情報算出部7は、車線Lの情報に基づいて目標走行ラインLaを算出し、その目標走行ラインLaに基づいて横偏差Y、方位角θおよび半径Rなどを算出する。このようにして、車線情報算出部7は、目標走行ラインLa、横偏差Y、方位角θおよび半径Rなどの第1車線情報を算出すると、その第1車線情報を切換部11に出力する。また、車線情報算出部7は、検出部4で検出された画像の情報、例えば第1車線情報などを判定部8に出力する。
【0027】
続いて、判定部8が、検出部4で検出された画像の情報に基づいて、道路情報の検出レベルが所定の閾値以下か否かを判定する。ここで、第1車線情報の値は、検出レベルの低下に応じてぶれが大きくなる傾向を有する。例えば、区切り線に基づいて車線Lを示す関数を算出する場合に、検出レベルの低下に応じて区切り線の検出数が低下するため、車線Lの関数のぶれが大きくなる。そこで、判定部8は、例えば車線情報算出部7で算出された第1車線情報のぶれに基づいて、道路情報の検出レベルを判定してもよい。判定部8は、検出レベルの判定結果を切換部11に出力する。
【0028】
一方、自車位置算出部9は、取得部5で取得された車両1の位置情報を入力すると、その位置情報に基づいて記憶部10に記憶された地図情報を参照し、車両1が走行する車線Lを特定する。そして、自車位置算出部9は、特定された車線Lの目標走行ラインLaおよび半径Rを地図情報から取得し、その取得情報に基づいて車両1が走行する第2車線情報を算出する。例えば、自車位置算出部9は、車両1の位置と目標走行ラインLaとに基づいて、横偏差Yおよび方位角θなどを算出する。このようにして、自車位置算出部9は、車両1の位置、目標走行ラインLa、横偏差Y、方位角θおよび半径Rなどの第2車線情報を算出すると、その第2車線情報を切換部11に出力する。
【0029】
このようにして、切換部11には、第1車線情報、第2車線情報、および検出レベルの判定結果が順次入力されることになる。切換部11は、ステップS3で、判定部8の判定結果を参照し、道路情報の検出レベルが所定の閾値を超えているとの判定結果(第1信号)である場合には、ステップS4に進んで、第1車線情報を操舵量算出部12に出力する。
【0030】
これにより、操舵量算出部12は、切換部11から入力された第1車線情報に基づいて操舵量を算出する。例えば、操舵量算出部12は、現在の操舵角に対する目標操舵角、すなわち目標走行ラインLaを維持するための操舵角を操舵量として算出することができる。操舵量算出部12は、算出された操舵量を操舵制御部13に出力する。
【0031】
続いて、操舵制御部13が、操舵量算出部12で算出された操舵量に基づいて操舵部3を制御する。これにより、車両1は、目標走行ラインLaに沿って走行するように操舵されることになる。
【0032】
ここで、検出部4における道路情報の検出レベルが低下する場合が考えられる。例えば、摩耗などによる車線Lの区切り線の部分的な除去、路面の濡れによる区切り線の不検出、雪による区切り線の隠れなどが生じた場合に、道路情報の検出レベルが低下するおそれがある。
【0033】
そこで、切換部11は、ステップS3において、道路情報の検出レベルが所定の閾値以下との判定結果(第2信号)である場合には、ステップS5に進んで、第2車線情報を操舵量算出部12に出力する。
【0034】
これにより、操舵量算出部12は、第1車線情報から第2車線情報に切り換えて車両1の操舵量を算出する。操舵量算出部12は、第1車線情報と同様に、第2車線情報に基づいて操舵量を算出することができる。操舵量算出部12は、算出された操舵量を操舵制御部13に出力する。そして、操舵制御部13が、操舵量算出部12で算出された操舵量に基づいて操舵部3を制御する。
【0035】
このように、制御部6は、道路情報の検出レベルが所定の閾値以下の場合に、第1車線情報から第2車線情報に切り換えて車両の操舵を制御する。この第2車線情報は、検出レベルの低下の影響を受けない地図情報に基づいて算出されるため、検出レベルが低下した場合でも操舵の精度を維持することができる。
【0036】
ここで、制御部6は、第1車線情報から第2車線情報への切り換えに応じて車線情報の値が大きく変化しないように第2車線情報を変更してもよい。
【0037】
例えば、図4に示すように、第1車線情報の目標走行ラインL1と第2車線情報の目標走行ラインL2との位置が車線Lの車幅方向にずれている場合を考える。制御部6が、目標走行ラインL1に基づいて横偏差Y、方位角θおよび半径Rを算出し、この横偏差Y、方位角θおよび半径Rに基づいて操舵を制御、すなわち第1車線情報に基づいて操舵を制御しているものとする。このとき、時刻t1において第1信号から第2信号に切り換えられた場合(道路情報の検出レベルが所定の閾値以下と判定された場合)に、例えば目標走行ラインL1から目標走行ラインL2にそのまま切り換えると、目標走行ラインの位置がステップ状に大きく変化することになる。このため、目標走行ラインL2に基づいて算出される車両1の操舵量もまた大きく変化するおそれがある。特に、車線情報を微分した値に基づいて車両1の操舵量を算出する場合、操舵量が急激に変化するおそれがある。
【0038】
そこで、制御部6は、第2車線情報の位置を第1車線情報の位置との差に基づいて変更し、その変更された第2車線情報に基づいて車両の操舵を制御する。
【0039】
例えば、図5に示すように、操舵量算出部12は、時刻t1において第1信号から第2信号に切り換えられると、目標走行ラインL1と目標走行ラインL2との位置の差を算出する。そして、操舵量算出部12は、算出された差の値だけ、目標走行ラインL2の位置を目標走行ラインL1側に移すように変更する。すなわち、操舵量算出部12は、算出された差の値を目標走行ラインL2に順次足し合わせることで目標走行ラインL2の位置を変更する。これにより、目標走行ラインL1から目標走行ラインL2が連続して繋がる目標走行ラインL3が生成されることになる。
また、操舵量算出部12は、横偏差Y、方位角θおよび半径Rなどの他の第2車線情報についても、第1車線情報と第2車線情報との位置の差に基づいて変更することができる。続いて、操舵量算出部12は、変更された横偏差Y、方位角θおよび半径Rに基づいて操舵量を算出する。そして、操舵制御部13が、操舵量算出部12で算出された操舵量に基づいて操舵部3を制御する。
【0040】
このように、制御部6は、道路情報の検出レベルが所定の閾値以下の場合に、第2車線情報の位置を第1車線情報の位置との差に基づいて変更し、その変更された第2車線情報に基づいて車両1の操舵を制御する。これにより、第1車線情報から第2車線情報への切り換えに応じた操舵量の変化を抑制することができ、車両1をスムーズに操舵することができる。
【0041】
また、制御部6は、第2車線情報の位置を差の値だけ第1車線情報側に移すように変更する。これにより、車両1をよりスムーズに操舵することができる。
【0042】
このようにして、制御部6は、時刻t1において第1車線情報から第2車線情報に切り換えると、時刻t1以降の操舵量は、その差の値に基づいて第2車線情報の位置を順次変更しつつ算出し、算出された操舵量に基づいて車両1の操舵を制御する。
【0043】
本実施の形態によれば、制御部6は、道路情報の検出レベルが所定の閾値以下の場合に、第1車線情報から第2車線情報に切り換えて車両の操舵を制御する。これにより、検出レベルの低下の影響を受けない第2車線情報に基づいて操舵量が算出されるため、検出レベルが低下した場合でも操舵の精度を維持することができる。
【0044】
(実施の形態2)
以下、本開示の実施の形態2について説明する。ここでは、上記の実施の形態1との相違点を中心に説明し、上記の実施の形態1との共通点については、共通の参照符号を使用して、その詳細な説明を省略する。
【0045】
上記の実施の形態1において、操舵制御装置2は、複数の取得部を配置してもよい。
【0046】
例えば、図6に示すように、実施の形態1の取得部5に換えて2つの取得部21および22を配置し、自車位置算出部9に判定部23を新たに接続してもよい。
【0047】
取得部21と取得部22は、互いに種類の異なる位置情報を取得する。
取得部21は、例えば、衛星を用いて測定された車両1の位置情報を取得してもよい。取得部21は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)などの衛星測位システムから構成することができる。
【0048】
また、取得部22は、車両1の位置を特定するための道路の特徴情報、例えば道路の周囲に存在する建物、道路構造物および道路標識などの情報を位置情報として検出してもよい。取得部22は、例えば、LiDARおよびカメラなどの道路特徴検出部から構成することができる。
【0049】
自車位置算出部9は、取得部21で取得された車両1の位置情報に基づいて地図情報を参照し、第2車線情報を算出する。また、自車位置算出部9は、取得部22で取得された道路の特徴情報を、地図情報に含まれる特徴情報と照合することで車両1の位置を特定し、その車両1の位置に基づいて第2車線情報を算出する。
【0050】
判定部23は、取得部21および22で取得された2つの位置情報のうち、車両1の位置を示す精度が高い特定の位置情報を判定する。判定部23は、例えば、最も位置精度が高い特定の位置情報を判定してもよい。
【0051】
次に、本実施の形態の動作について説明する。
【0052】
まず、実施の形態1と同様に、車線情報算出部7が、検出部4で検出された道路情報に基づいて第1車線情報を算出し、その第1車線情報を切換部11に出力する。
一方、取得部21が衛星測位システムで測定された車両1の位置情報を取得し、取得部22が道路の特徴情報からなる車両1の位置情報を取得する。取得部21および22は、それぞれ、取得した車両1の位置情報を自車位置算出部9に出力する。そして、自車位置算出部9が、取得部21から出力された車両1の位置情報に基づいて第2車線情報を算出すると共に、取得部22で取得された車両1の位置情報に基づいて第2車線情報を算出する。
【0053】
自車位置算出部9は、算出した第2車線情報を切換部11に出力する。また、自車位置算出部9は、取得部21および22で取得された位置情報の精度を示す情報、例えば取得部21で位置情報を取得した衛星の数、取得部22で取得された道路の特徴情報と地図情報の特徴情報との一致数などを判定部23に出力する。
【0054】
判定部23は、取得部21および22で取得された2つの位置情報のうち、車両1の位置精度が高い特定の位置情報を判定する。例えば、判定部23は、位置情報を取得する衛星の数が所定数以上か否かに基づいて、取得部21の位置精度を判定することができる。また、判定部23は、道路の特徴情報と地図情報に含まれる特徴情報との一致数が所定数以上か否かに基づいて、取得部22の位置精度を判定することができる。
ここで、判定部23は、取得部21で取得される位置情報が取得部22で取得される位置情報より車両1の位置精度が高いと判定したものとする。判定部23は、判定結果を切換部11に出力する。
【0055】
切換部11は、ステップS3において、道路情報の検出レベルが所定の閾値以下との判定結果である場合には、自車位置算出部9で算出された2つの第2車線情報のうち、判定部23で位置精度が高いと判定された第2車線情報、すなわち取得部21の位置情報に基づいて算出された第2車線情報を選択する。そして、切換部11は、選択された第2車線情報を操舵量算出部12に出力する。
【0056】
このように、切換部11が、取得部21および22で取得された2つの位置情報のうち、車両1の位置精度が高い特定の位置情報に基づいて算出された第2車線情報を選択する。これにより、位置精度が高い第2車線情報に基づいて操舵量が算出されるため、車両1を高精度に操舵することができる。
【0057】
本実施の形態によれば、制御部6が、取得部21および22で取得された2つの位置情報のうち、車両1の位置精度が他の位置情報より高い特定の位置情報に基づいて第2車線情報を算出する。これにより、第2車線情報に基づいて車両1を高精度に操舵することができる。
【0058】
以上、本開示に係る実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、上述した各装置の機能は、コンピュータプログラムにより実現することができる。
【0059】
上述した各装置の機能をプログラムにより実現するコンピュータは、キーボードやマウス、タッチパッドなどの入力装置、ディスプレイやスピーカなどの出力装置、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク装置やSSD(Solid State Drive)などの記憶装置、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)やUSB(Universal Serial Bus)メモリなどの記録媒体から情報を読み取る読取装置、ネットワークを介して通信を行うネットワークカードなどを備え、各部はバスにより接続される。
【0060】
そして、読取装置は、上記各装置の機能を実現するためのプログラムを記録した記録媒体からそのプログラムを読み取り、記憶装置に記憶させる。あるいは、ネットワークカードが、ネットワークに接続されたサーバ装置と通信を行い、サーバ装置からダウンロードした上記各装置の機能を実現するためのプログラムを記憶装置に記憶させる。
【0061】
そして、CPUが、記憶装置に記憶されたプログラムをRAMにコピーし、そのプログラムに含まれる命令をRAMから順次読み出して実行することにより、上記各装置の機能が実現される。
【0062】
以上、本開示の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本開示に係る操舵制御装置は、車両の操舵を制御する装置に利用できる。
【符号の説明】
【0064】
1 車両
2 操舵制御装置
3 操舵部
4 検出部
5,21,22 取得部
6 制御部
7 車線情報算出部
8 判定部
9 自車位置算出部
10 記憶部
11 切換部
12 操舵量算出部
13 操舵制御部
23 判定部
L 車線
La,L1,L2,L3 目標走行ライン
R 半径
t1 時刻
Y 横偏差
θ 方位角
図1
図2
図3
図4
図5
図6