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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】印刷装置、印刷制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20231108BHJP
   A45D 29/18 20060101ALI20231108BHJP
   A45D 29/00 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
B41J2/01 201
B41J2/01 213
A45D29/18
A45D29/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022099974
(22)【出願日】2022-06-22
(65)【公開番号】P2023093296
(43)【公開日】2023-07-04
【審査請求日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】P 2021207978
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 修一
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-229327(JP,A)
【文献】特開2013-156772(JP,A)
【文献】特開2016-043635(JP,A)
【文献】特開2017-109365(JP,A)
【文献】特開2014-144649(JP,A)
【文献】特開2012-061841(JP,A)
【文献】特開2017-044940(JP,A)
【文献】特開2018-171875(JP,A)
【文献】特開平11-077992(JP,A)
【文献】特開平09-286123(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01
A45D 29/18
A45D 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液剤を吐出する複数のノズルを備え、印刷対象に印刷を施す印刷ヘッドと、
液剤の吐出を規定した吐出規定データに基づいて前記印刷ヘッドの吐出動作を制御する制御手段と、
を備え、
前記吐出規定データの適用に関して、少なくとも第1のモードと第2のモードとを有し、
前記制御手段は、設定された印刷濃度に基づいて、前記第1のモードと前記第2のモードとを切り替え、
前記印刷ヘッドを複数備える場合に、
前記制御手段は、前記設定された印刷濃度の閾値よりも低濃度で印刷する場合には、全ての前記印刷ヘッドについて共通の吐出規定データを適用する前記第1のモードにより前記吐出動作の制御を行い、前記設定された印刷濃度の閾値よりも高濃度で印刷する場合には、各前記印刷ヘッドについて個別の吐出規定データを適用する前記第2のモードにより前記吐出動作の制御を行う、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記吐出規定データは、前記印刷対象の印刷対象領域の各位置に対して前記印刷ヘッドから液剤を吐出させるか否かを規定したマスクパターンであり、
前記制御手段は、前記マスクパターンに基づいて前記印刷ヘッドの吐出動作を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記液剤は、下地を印刷する下地用インクであり、
前記制御手段は、前記印刷対象の印刷対象領域に重ねて複数回の印刷を行うように前記印刷ヘッドの吐出動作を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記印刷ヘッドは、デザインの印刷前に下地を印刷することが可能であって、
印刷する前記下地の印刷濃度を設定する下地濃度設定手段を備えており、
前記印刷ヘッドは、前記下地濃度設定手段によって設定された前記下地の印刷濃度で、前記下地を印刷することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記下地濃度設定手段は、前記デザインに基づいて前記下地の印刷濃度を設定することを特徴とする請求項に記載の印刷装置。
【請求項6】
液剤を吐出する複数のノズルを備え、デザインの印刷前において印刷対象に下地を印刷可能な印刷ヘッドと、
液剤の吐出を規定した吐出規定データに基づいて前記印刷ヘッドの吐出動作を制御する制御手段と、
印刷する下地の印刷濃度を、前記デザインに基づいて設定する下地濃度設定手段と、
を備え、
前記吐出規定データの適用に関して、少なくとも第1のモードと第2のモードとを有し、
前記制御手段は、設定された下地の印刷濃度に基づいて、前記第1のモードと前記第2のモードとを切り替える、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
液剤を吐出する複数のノズルを備え、印刷対象に印刷を施す複数の印刷ヘッドの吐出動作を、液剤の吐出を規定した吐出規定データに基づいて制御する場合に、
前記吐出規定データの適用に関して、少なくとも第1のモードと第2のモードとを有し、
設定された印刷濃度に基づいて、前記第1のモードと前記第2のモードとを切り替える切替工程を含
前記設定された印刷濃度の閾値よりも低濃度で印刷する場合には、全ての前記印刷ヘッドについて共通の吐出規定データを適用する前記第1のモードにより前記吐出動作の制御を行い、前記設定された印刷濃度の閾値よりも高濃度で印刷する場合には、各前記印刷ヘッドについて個別の吐出規定データを適用する前記第2のモードにより前記吐出動作の制御を行う、
ことを特徴とする印刷制御方法。
【請求項8】
液剤を吐出する複数のノズルを備え、デザインの印刷前において印刷対象に下地を印刷可能な印刷ヘッドの吐出動作を、液剤の吐出を規定した吐出規定データに基づいて制御する場合に、
前記吐出規定データの適用に関して、少なくとも第1のモードと第2のモードとを有し、
印刷する下地の印刷濃度を、前記デザインに基づいて設定する下地濃度設定工程と、
設定された下地の印刷濃度に基づいて、前記第1のモードと前記第2のモードとを切り替える切替工程と、を含んでいる、
ことを特徴とする印刷制御方法。
【請求項9】
液剤を吐出する複数のノズルを備え、印刷対象に印刷を施す印刷ヘッドの吐出動作を、液剤の吐出を規定した吐出規定データに基づいて制御する場合に、
前記吐出規定データの適用に関して、少なくとも第1のモードと第2のモードとを有し、
設定された印刷濃度に基づいて、前記第1のモードと前記第2のモードとを切り替える切替機能を、コンピュータに実現させ、
前記設定された印刷濃度の閾値よりも低濃度で印刷する場合には、全ての前記印刷ヘッドについて共通の吐出規定データを適用する前記第1のモードにより前記吐出動作の制御を行い、前記設定された印刷濃度の閾値よりも高濃度で印刷する場合には、各前記印刷ヘッドについて個別の吐出規定データを適用する前記第2のモードにより前記吐出動作の制御を行う、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項10】
液剤を吐出する複数のノズルを備え、デザインの印刷前において印刷対象に下地を印刷可能な印刷ヘッドの吐出動作を、液剤の吐出を規定した吐出規定データに基づいて制御する場合に、
前記吐出規定データの適用に関して、少なくとも第1のモードと第2のモードとを有し、
印刷する下地の印刷濃度を、前記デザインに基づいて設定する下地濃度設定機能、
設定された下地の印刷濃度に基づいて、前記第1のモードと前記第2のモードとを切り替える切替機能を、コンピュータに実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、印刷制御方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、指の爪等にネイルデザインの印刷を行う印刷装置(ネイルプリンタ)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような印刷装置では、例えば、指の爪に印刷を施す際、仕上がりが爪の色に左右されないようにするため、ネイルデザインを印刷する前に白色等の下地用インクを爪に塗布して下地層を形成する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2003-534083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
下地層を形成する場合、隠蔽性を確保するために下地用インクを複数回重ねて塗布することが行われる。
しかしながら、インクの塗布の仕方によっては、隠蔽性に欠けたり、ざらつきが目立つ等、印刷品位が低下するという問題があった。
【0005】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、印刷品位の低下を抑制することのできる印刷装置、印刷制御方法及びプログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の印刷装置は、
液剤を吐出する複数のノズルを備え、印刷対象に印刷を施す印刷ヘッドと、
液剤の吐出を規定した吐出規定データに基づいて前記印刷ヘッドの吐出動作を制御する制御手段と、
を備え、
前記吐出規定データの適用に関して、少なくとも第1のモードと第2のモードとを有し、
前記制御手段は、設定された印刷濃度に基づいて、前記第1のモードと前記第2のモードとを切り替え、
前記印刷ヘッドを複数備える場合に、
前記制御手段は、前記設定された印刷濃度の閾値よりも低濃度で印刷する場合には、全ての前記印刷ヘッドについて共通の吐出規定データを適用する前記第1のモードにより前記吐出動作の制御を行い、前記設定された印刷濃度の閾値よりも高濃度で印刷する場合には、各前記印刷ヘッドについて個別の吐出規定データを適用する前記第2のモードにより前記吐出動作の制御を行う、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、印刷品位の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態における印刷装置の概略構成を示す図である。
図2】本実施形態における印刷装置及びこれと連携する端末装置の制御構成を示した要部ブロック図である。
図3図1の印刷装置における印刷処理の流れを示すフローチャートである。
図4】マスクモードの切り替え処理の流れを示すフローチャートである。
図5】共通マスクモードによる印刷処理を模式的に示す説明図である。
図6】個別マスクモードによる印刷処理を模式的に示す説明図である。
図7】共通マスクモードによる吐出制御を示すフローチャートである。
図8】共通マスクモードにおける吐出制御を示すフローチャートである。
図9】共通のマスクパターンを用いる場合の吐出制御を示す説明図であり、(a)は、ヘッドAの場合を示し、(b)は、ヘッドBの場合を示し、(c)は、ヘッドCの場合を示している。
図10】共通マスクモードで印刷濃度100%の印刷を行う場合について説明する説明図である。
図11】共通マスクモードで印刷濃度200%の印刷を行う場合について説明する説明図である。
図12】共通マスクモードで印刷濃度300%の印刷を行う場合について説明する説明図である。
図13】個別マスクモードによる吐出制御を示すフローチャートである。
図14】個別マスクモードにおける吐出制御を示すフローチャートである。
図15】個別のマスクパターンを用いる場合の吐出制御をヘッドAの場合を例に示す説明図である。
図16】個別マスクモードで印刷濃度100%の印刷を行う場合について説明する説明図である。
図17】個別マスクモードで印刷濃度200%の印刷を行う場合について説明する説明図である。
図18】個別マスクモードで印刷濃度300%の印刷を行う場合について説明する説明図である。
図19】透け感レベル設定処理を示すフローチャートである。
図20】透け感レベルの自動設定処理を示すフローチャートである。
図21】透け感レベルの自動設定処理を示すフローチャートである。
図22】爪色濃度設定処理を示すフローチャートである。
図23】透け感テーブルの一例を示す図である。
図24】デザイン対応付けテーブルの一例を示す図である。
図25】場面対応付けテーブルの一例を示す図である。
図26】爪色濃度判定テーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1から図26を参照しつつ、本発明に係る印刷装置、印刷制御方法及びプログラムの一実施形態について説明する。
なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
本実施形態の印刷装置は、印刷対象領域にインクを吐出して印刷を施すものであって、例えば、手の指の爪を印刷対象とし、爪のネイルデザインに応じた所定の領域を印刷対象領域としてネイルプリントを施す。
なお、本発明における印刷装置は、ここに示す以外のものを印刷対象としてもよく、例えば足の指の爪等を印刷対象としてもよい。また、ネイルチップや各種アクセサリの表面等、人の爪以外の爪様のものや各種のシートやシール等を印刷対象としてもよい。
【0010】
図1は、本発明に係る印刷装置の要部外観構成を示す斜視図である。また、図2は、本実施形態における印刷装置の要部制御構成を示す要部ブロック図である。
なお、以下の実施形態において、上下、左右及び前後は、図1に示した向きをいうものとする。また、X方向、Y方向は、図1に示した方向をいうものとする。X方向は、主走査方向、Y方向は副走査方向である。
また、図2に示すように、本実施形態の印刷装置1は、外部の端末装置(図2において端末装置7)と通信可能であり互いに連携するように構成されている。
【0011】
図1に示すように、印刷装置1は、ほぼ箱形に形成された筐体2を有している。
筐体2は、前面側(印刷装置1の正面側、図1において前側)の下側部分に、左右方向(印刷装置1の横方向、図1において左右方向、X方向)のほぼ全面に亘って形成された開口部21を有している。また、筐体2の左右方向のほぼ中央部には、開口部21の上側に連続して切り欠き部22が形成されている。切り欠き部22は、後述する印刷ヘッド41を装置に対して着脱する際の出入口として機能する。
【0012】
筐体2の上面(天板)には、印刷装置1の操作部12が設けられている。操作部12は、例えば印刷装置1の電源をON/OFFする操作ボタン(電源スイッチボタン)である。操作部12が操作されると、操作信号が制御装置30に出力され、制御装置30が操作信号にしたがった制御を行い、印刷装置1の各部を動作させる。例えば操作部12が電源スイッチボタンである場合、ボタン操作に応じて印刷装置1の電源がON/OFFされる。
なお、操作部12に代えて、又は操作部12とともに、後述する端末装置7の操作部71から入力された操作信号にしたがって印刷装置1の各部が動作するようにしてもよい。
印刷装置1の外観構成、筐体2各部の形状や各部の配置等は、図示例に限定されず、適宜設定可能である。例えば、操作部12は、筐体2の上面ではなく側面や背面等に設けられていてもよい。また、筐体2にはその他各種の操作ボタンが操作部12として設けられていてもよいし、各種表示部やインジケータ等が設けられていてもよい。
【0013】
筐体2の内部には、装置本体10が収容されている。
装置本体10は、基台11と、これに取り付けられた指保持部6、印刷部40等を備えている。
【0014】
指保持部6は、基台11における装置前面側の左右方向(X方向)のほぼ中央部に配置されており、本実施形態における印刷対象である爪を有する指(いずれも図示せず)を印刷に適した位置に保持する指保持手段である。
図1に示すように、指保持部6は、装置前面側に開口部61を有している。また指保持部6の内部には、指載置部材62が設けられている。指載置部材62は、開口部61から挿入された指を下側から押し上げ支持するものであり、例えば柔軟性を有する樹脂等で形成されている。
【0015】
指保持部6の奥側(装置後方側)の上面には開口部61から挿入され指載置部材62により保持された指の爪部分を露出させる窓部(図示せず)が形成されている。また、指保持部6内には、爪の先端部分を載せる爪載せ部(図示せず)が設けられている。また、窓部63よりも指保持部6の手前側(装置前方側)の上面は、指の上面位置を規定する指押え(図示せず)となっている。
指保持部6に挿入された指は、爪先が爪載せ部に載せられ、指の上面が指押えによって規定されることで、印刷ヘッド41による印刷に適した適正位置に配置された状態で保持される。
【0016】
印刷部40は、後述する印刷データ生成部814(後述する端末装置7の制御部81、図2参照)において生成される印刷データにしたがって印刷対象領域(爪)に印刷を施す印刷手段である。
印刷部40は、ホルダ42に保持され、印刷動作を行う印刷ヘッド41(図1参照)、印刷ヘッド41及びこれを保持するホルダ42を移動させるためのヘッド移動機構49(図2参照)等を備えている。
【0017】
印刷ヘッド41は、液剤(以下の実施形態において「インク」)を吐出する複数のノズル(例えば図9(a)~図9(c)等では、ノズルn1~ノズルn6の6つのノズルを便宜的に図示している。)を備え、指保持部6に保持された印刷対象としての爪に印刷を施すものである。
本実施形態では、印刷ヘッド41として、下地用ヘッド41aとデザイン用ヘッド41bとが搭載されている。以下において、単に「印刷ヘッド41」としたときは、下地用ヘッド41a及びデザイン用ヘッド41bの両方を含むものとする。なお、下地用ヘッド41aとデザイン用ヘッド41bとの配置等は図示例に限定されない。
【0018】
下地用ヘッド41aは、デザインを印刷する前に、デザインが印刷される印刷対象領域(本実施形態では、爪輪郭のとして検出された境界線の内側領域)に下地となる液剤(以下「下地用インク」という。)を印刷するものである。下地用ヘッド41aによって印刷される下地用インクは、デザインの印刷を行ったときにインクの発色がよくなるように、白色若しくはこれに近い色の液剤であることが好ましい。
【0019】
デザイン用ヘッド41bは、下地用ヘッド41aによる下地印刷後に、下地が印刷された印刷対象領域にデザインを印刷するものであり、例えばシアン(C;CYAN)、マゼンタ(M;MAGENTA)、イエロー(Y;YELLOW)等の各色のインク(以下「色インク」という。)を吐出可能となっている。なお、デザイン用ヘッド41bが吐出可能な色インクの種類はこれに限定されず、この他の色のインクを吐出可能となっていてもよい。
【0020】
本実施形態において、下地用ヘッド41a及びデザイン用ヘッド41bは、いずれも爪表面に対向する面がインクを吐出させる複数のノズル(例えば、図9(a)等のノズル1~6)を備えたインク吐出面(図示せず)となっており、インクを微滴化し、インク吐出面から印刷対象(爪)の被印刷面である爪表面に対して直接にインクを吹き付けて印刷を行うインクジェット方式のインクジェットヘッドである。
【0021】
本実施形態では、下地用のヘッド(図5(a)~図5(c)等において、ヘッドA、ヘッドB、ヘッドCとする。)を複数有する場合を例示する。
ここで複数とは、図1で図示する「下地用ヘッド41a」のような独立したヘッドが複数設けられていてもよいし、例えば図1において「下地用ヘッド41a」とした、カートリッジとしては1つのヘッドに、複数のヘッド機能部(ノズルを備える吐出機能部)が設置されていてもよい。
複数のヘッド(例えば、ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)により、同時的にインクを吐出(噴射)させるマルチヘッド方式とすることにより、例えば下地用インクを重ね塗りする場合の走査回数を減らし、印刷時間を短縮することが可能となる。
【0022】
ヘッド移動機構49は、印刷ヘッド41を移動させるための移動手段であり、印刷ヘッド41を主走査方向である装置の左右方向(X方向)に移動させるための図示しないX方向移動機構及び印刷ヘッド41を副走査方向である装置の前後方向(Y方向)に移動させるための図示しないY方向移動機構からなる。
X方向移動機構は、X方向移動モータ46を含んでおり、X方向移動モータ46が駆動することにより印刷ヘッド41を装置の左右方向(X方向)に移動させる。また、Y方向移動機構は、Y方向移動モータ48を含んでおり、Y方向移動モータ48が駆動することにより印刷ヘッド41を装置の前後方向(Y方向)に移動させる。
【0023】
ヘッド移動機構49のX方向移動モータ46、Y方向移動モータ48及び印刷ヘッド41の動作等は制御装置30の印刷制御部313(図2参照)によって制御される。
【0024】
また、筐体2の上面(天板)の内側であって、指保持部6の窓部の上方位置には、窓部から露出する爪(爪を含む指)を撮影して、爪の画像(爪を含む指の画像、以下「爪画像」という。)を取得する撮影部50が設けられている。
撮影部50は、例えば撮影手段であるカメラ51と、撮影対象である爪を照明する白色LED等で構成された光源52とを備えている(図2参照)。
この撮影部50は、後述する制御装置30の撮影制御部312(図2参照)に接続されており、該撮影制御部312によって制御される。
カメラ51によって撮影された爪画像は、撮影制御部312において取得され、連携する端末装置7に適宜送信される。
なお、撮影部50によって撮影された画像の画像データは、後述する記憶部32に記憶されてもよい。
【0025】
本実施形態では、カメラ51及び光源52が、筐体2の天面内側であって指保持部6に載置された指の爪(爪の表面)と対向可能な位置に固定配置されている場合を例示するが、撮影部50は、指保持部6に載置された指の爪を撮影可能な位置に設けられていればよく、具体的な配置は特に限定されない。
例えば、撮影部50は、印刷ヘッド41を移動させるヘッド移動機構49によってXY方向に移動可能に構成されていてもよい。
【0026】
印刷装置1に搭載される制御装置30は、図示しないCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサにより構成される制御部31(図2参照)と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等(いずれも図示せず)で構成される記憶部32(図2参照)とを備えるコンピュータである。
【0027】
記憶部32は、印刷装置1を動作させるための各種プログラム等が格納されたプログラム記憶領域321を有している。プログラム記憶領域321には、印刷処理を行うための印刷プログラム等の各種プログラムが格納されており、制御部31がこれらのプログラムを例えばRAMの作業領域に展開して、プログラムが制御部31において実行されることによって、印刷装置1の各部が統括制御されるようになっている。
【0028】
制御部31は、機能的に見た場合、通信制御部311、撮影制御部312、印刷制御部313等を備えている。これら通信制御部311、撮影制御部312、印刷制御部313等としての機能は、制御部31と記憶部32のプログラム記憶領域321に記憶されたプログラムとの協働によって実現される。
【0029】
通信制御部311は、通信部13の動作を制御するものである。
通信部13は、端末装置7の通信部73との間で通信可能な無線通信モジュール等を備えており、通信制御部311は、印刷装置1、端末装置7間で各種のデータ等を送受信する際に通信部13の動作を制御する。
本実施形態の印刷装置1は、後述する端末装置7と連携してネイルデザイン(以下単に「デザイン」ともいう。)の印刷を行うようになっている。例えば爪に印刷するデザインのデータは端末装置7側に記憶されており、通信制御部311は適宜通信部13による通信を制御し、通信部13を介して端末装置7側からデザインのデータを取得する。
また、後述するように、印刷装置1の撮影部50によって取得された画像は適宜端末装置7に送信され、端末装置7の制御部81(後述する爪情報検出部813)が、当該撮影画像に基づいて各種の爪情報を検出する。さらに、本実施形態では、端末装置7の制御部81(後述する印刷データ生成部814)において、爪情報に基づき印刷データが生成される。端末装置7側で検出された各種の情報や生成された印刷データ等は、通信部13,73を介して端末装置7から印刷装置1に送られるようになっている。
【0030】
印刷装置1と端末装置7との間での通信は、インターネット等のネットワーク回線を使うものであってもよいし、例えばBluetooth(登録商標)やWi-Fi等の近距離無線通信規格に基づく無線通信を行うものであってもよい。ネットワークを介して通信を行う場合、通信に用いるネットワークはどのような回線を利用するものでもよい。また、印刷装置1と端末装置7との間の通信は無線に限定されず、有線接続により両者間で各種データの送受信が可能な構成としてもよい。
なお、通信部13は、端末装置7との間で通信を行うことのできるものであればよく、端末装置7の通信部73の通信規格と合致するものが適用される。
【0031】
撮影制御部312は、撮影部50のカメラ51及び光源52を制御してカメラ51により、指保持部6に載置された指の爪の画像を含む指の画像(爪画像)を撮影させる。
撮影部50により取得された当該爪の画像(爪画像)は、撮影制御部312に送られ、撮影制御部312が、爪画像のデータを取得する。なお、撮影制御部312は爪画像を記憶部32に記憶させてもよい。
【0032】
印刷制御部313は、後述の印刷データ生成部814において生成された印刷データにしたがって、印刷対象である爪の印刷対象領域(爪輪郭の内側領域等)に対して印刷を施すように印刷部40を制御する。
具体的には、印刷制御部313は、印刷データに基づいて印刷部40に制御信号を出力し、X方向移動モータ46及びY方向移動モータ48により印刷ヘッド41を移動させながら印刷対象の爪に対応する印刷対象領域の各位置に対して印刷ヘッド41の複数のノズル(図示例ではノズルn1~n6)のいずれかによりインクを吐出させることにより、印刷対象領域に対して印刷を行うように制御する。
【0033】
特に本実施形態の印刷制御部313は、液剤(インク)を吐出する複数のノズルを備えて印刷対象である爪に印刷を施す印刷ヘッド41の吐出動作を、液剤(インク)の吐出を規定した「吐出規定データ」に基づいて制御するようになっている。また本実施形態では「吐出規定データ」の適用に関して、少なくとも「第1のモード」と「第2のモード」とが用意されており、印刷制御部313は、「設定された吐出量」に基づいて、「第1のモード」と「第2のモード」とを切り替える。なお、印刷制御部313が行うヘッドの吐出制御の詳細については後述する。
【0034】
また、前述のように、本実施形態の印刷装置1は、端末装置7と連携して爪に対する印刷を行う。
端末装置7は、例えばスマートフォン等の携帯端末装置である。なお、端末装置7はスマートフォンに限定されない。例えばタブレット型のパーソナルコンピュータ(以下において「PC」とする。)やノート型のPC、据置型のPC、ゲーム用の端末装置等であってもよい。
図2に示すように、端末装置7は、操作部71、表示部72、通信部73及び制御装置80等を備えている。
【0035】
操作部71は、ユーザの操作に応じて各種の入力・設定等を行うことができるようになっており、例えば表示部72の表面に一体的に設けられたタッチパネルである。操作部71が操作されると、当該操作に対応する入力信号が制御部81に送信される。
表示部72に構成されるタッチパネルには、後述する表示制御部812の制御にしたがって各種の操作画面が表示され、ユーザはタッチパネルへのタッチ操作によって各種の入力・設定等の操作を行うことができる。
なお、各種の入力・設定等の操作を行う操作部71はタッチパネルである場合に限定されない。例えば各種の操作ボタンやキーボード、ポインティングデバイス等が操作部71として設けられていてもよい。
【0036】
本実施形態では、ユーザが操作部71を操作することで、端末装置7から印刷装置1に対して印刷開始等の各種指示が出力されるようになっており、端末装置7は印刷装置1の操作部としても機能する。
また、ユーザが操作部71を操作することで、爪に印刷するネイルデザイン(デザイン)を選択すること等ができるようになっている。
【0037】
表示部72は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイその他のフラットディスプレイ等で構成されている。
なお、前述のように、表示部72の表面に各種の入力を行うためのタッチパネルが一体的に構成されていてもよい。この場合には、タッチパネルが操作部71として機能する。
本実施形態では、ユーザが操作部71から入力・選択したネイルデザインや、各種の案内画面、警告表示画面等が表示部72に表示可能となっている。
【0038】
通信部73は、印刷装置1の通信部13との間で通信可能に構成されたものである。
印刷装置1と端末装置7との間での通信は、前述のように、無線接続方式、有線接続方式のどちらでもよく、具体的な方式は限定されない。通信部73は印刷装置1との間で通信を行うことのできるものであればよく、印刷装置1の通信部13の通信規格と合致するものが適用される。
通信部73は、後述する制御装置80の通信制御部811(図2参照)に接続され、該通信制御部811によって制御される。
【0039】
図2に示すように、本実施形態の端末装置7の制御装置80は、図示しないCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサにより構成される制御部81と、図示しないROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等で構成される記憶部82とを備えるコンピュータである。
【0040】
記憶部82には、端末装置7の各部を動作させるための各種プログラムや各種データ等が格納されている。
具体的には、本実施形態のROM等には、端末装置7の各部を統括制御するための動作プログラム821aの他、印刷装置1を用いたネイルプリントを行うためのネイルプリントアプリケーションプログラム821b(以下「ネイルプリントAP」とする。)等の各種プログラムが格納されており、制御部81がこれらのプログラムを例えばRAMの作業領域に展開して、プログラムが制御部81において実行されることによって、端末装置7の各部が統括制御されるようになっている。
【0041】
また、本実施形態の記憶部82には、ネイルデザイン(デザイン)のデータを格納するデザイン記憶領域822や爪情報記憶領域823等が設けられている。爪情報記憶領域823には、後述の爪情報検出部813によって検出された爪に関する各種の情報が記憶される。
なお、デザイン記憶領域822に格納されるネイルデザイン(デザイン)は、予め用意された既存のデザインであってもよいし、ユーザが自ら作成したデザインであってもよい。また、端末装置7が各種ネットワークに接続可能である場合には、ネットワーク接続可能な図示しないサーバ装置等に記憶されているネイルデザイン(デザイン)を取り込むことが可能となっていてもよい。
【0042】
端末装置7の制御部81は、機能的に見た場合、通信制御部811、表示制御部812、爪情報検出部813、印刷データ生成部814等を備えている。これら通信制御部811、表示制御部812、爪情報検出部813、印刷データ生成部814等としての機能は、制御部81のCPUと記憶部82のROMに記憶されたプログラムとの協働によって実現される。なお、端末装置7の制御部81が備える機能はこれに限定されず、その他各種の機能部を備えていてもよい。
通信制御部811は、通信部73の動作を制御するものである。
また、表示制御部812は、表示部72を制御して表示部72に各種の表示画面を表示させる。
【0043】
爪情報検出部813は、印刷装置1の撮影制御部312によって取得された爪の画像(爪画像)に基づいて、爪についての爪情報を検出する。本実施形態において爪情報検出部813は、爪情報として、爪の領域を画する爪の輪郭情報(爪輪郭)を検出する。爪情報検出部813により検出された爪輪郭の内側領域が印刷装置1によって印刷が施される印刷対象領域となる。
なお、爪情報検出部813によって検出される爪情報はこれに限定されない。
爪情報検出部813によって検出される爪情報は、例えば、爪の表面の、XY平面に対する傾斜角度(爪の傾斜角度、爪曲率)等を含んでいてもよい。また、撮影装置51によって撮影された画像等から爪の高さ(爪の垂直方向の位置)を取得できる場合には、爪の高さも爪情報に含まれてよい。
爪情報検出部813によって検出された各種の情報は、爪情報記憶領域823に記憶される。また本実施形態では、爪情報検出部813によって検出された各種の情報は印刷装置1に送られてもよい。なお、爪情報に基づく各種処理は、印刷装置1側で行われてもよい。
【0044】
印刷データ生成部814は、爪情報検出部813によって検出された爪領域に所望のデザインを合わせ込んで印刷データを生成する。
例えば、印刷データ生成部814は、ユーザによって選択されたネイルデザイン(デザイン)の画像データを切り出し、適宜拡大縮小、配置の調整等を行って爪画像から検出された爪領域にフィッティングし、デザイン用の印刷データを生成する。爪情報検出部813によって検出された爪情報が爪の傾斜角度、爪曲率等を含んでいる場合には、これらの情報に応じて適宜曲面補正等が施されてもよい。
【0045】
次に、本実施形態の印刷装置1の動作について説明する。
図3は、印刷装置1により実行される印刷処理の流れを示すフローチャートである。図3に示す印刷処理は、例えば、印刷装置1の電源が投入された際に、図2に示す制御部31と記憶部32のプログラム記憶領域321に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0046】
まず、制御部31は、印刷対象の爪に印刷するネイルデザインを端末装置7によりユーザに選択させる(ステップS1)。
例えば、制御部31は、通信制御部311により通信部13を介して端末装置7にネイルデザインの選択画面の表示指示を行う。端末装置7は、通信部73により印刷装置1からのネイルデザインの選択指示を受信すると、表示制御部812により表示部72に、デザイン記憶領域822に記憶されているネイルデザインの選択画面を表示させる。操作部71の操作によりユーザがネイルデザインを選択すると、選択されたネイルデザインの画像データがデザイン記憶領域822からRAMに読み出される。
【0047】
次いで、制御部31は、印刷対象の爪に対応する指を指保持部6に載置させ、撮影制御部312により撮影部50に撮影を行わせて爪画像を取得する(ステップS2)。
例えば、制御部31は、通信制御部311により通信部13を介して端末装置7に印刷対象の爪に対応する指を指保持部6にセットするよう促す通知画面の表示指示を行う。端末装置7は、通信部73により印刷装置1からの指示を受信すると、表示制御部812により表示部72に、印刷対象の爪に対応する指を指保持部6にセットして印刷開始を指示するよう促す通知画面を表示させる。操作部71により印刷開始が指示されると、制御部81の通信制御部811は、通信部73により印刷装置1に印刷開始指示を送信する。
【0048】
印刷装置1においては、指保持部6に指が載置され、通信部13により印刷開始指示が受信されると、制御部31は、撮影制御部312により撮影部50に撮影を行わせて、爪画像を取得させる。
【0049】
次いで、制御部31は、撮影部50により取得された爪画像の画像データを通信制御部311により通信部13を介して端末装置7に送信し、端末装置7に爪画像から爪情報を取得させるとともに(ステップS3)、印刷データの生成を指示する(ステップS4)。
端末装置7は、通信部73により印刷装置1から爪画像を受信すると、制御部81の爪情報検出部813により、爪画像から爪の輪郭形状(爪輪郭)の検出を行い、爪輪郭の内側領域を爪領域とする。そして、取得した爪情報(爪輪郭等)に基づいて、印刷データ生成部814が印刷データを生成する。
【0050】
具体的には、印刷データ生成部814は、印刷対象である爪の輪郭形状に合わせてネイルデザインの画像データを切り抜き、適宜拡大縮小等を行って、印刷対象の爪に対応する印刷対象領域を特定するとともに、当該印刷対象領域の各位置(各画素位置)に吐出する色を指示するデザイン用の印刷データを生成する。なお、ネイルデザインは、爪の全体に印刷を行うものであってもよく、その場合には印刷対象領域は爪輪郭の内側領域と等しくなる。また、フレンチネイルのように爪の一部に印刷を行うものであってもよい。この場合は、印刷対象領域は爪に合わせたネイルデザイン領域となる。また、印刷データ生成部814は、印刷対象領域全体に対して下地用インクでの印刷を指示する下地用の印刷データを生成する。
印刷データ生成部814により生成された印刷データは、通信制御部811により通信部73を介して印刷装置1に送信される。
【0051】
印刷装置1において、通信部13により印刷データが受信されると、制御部31は、下地用の印刷データに基づいて、印刷制御部313の制御によりX方向移動モータ46、Y方向移動モータ48及び下地用ヘッド41aを制御して、指保持部6に載置された印刷対象の爪の印刷対象領域に対して下地印刷を行わせる(ステップS5)。
次いで、制御部31は、デザイン用の印刷データに基づいて、印刷制御部313の制御によりX方向移動モータ46、Y方向移動モータ48及びデザイン用ヘッド41bを制御して、指保持部6に載置された印刷対象の爪の印刷対象領域に対してネイルデザインの
印刷を行わせ(ステップS6)、印刷処理を終了する。
【0052】
ここで、ステップS5における下地印刷では、下地の隠蔽性を確保するために下地用インクを重ね塗りして印刷濃度を濃くすることが好ましい。なお、印刷濃度は印刷ヘッド41(下地用ヘッド41a)からの液剤(インク)の吐出量(塗布量)により規定されるところ、装置や液剤の種類により塗り重ねることのできる(爪表面で受容することのできる)インク量には限界がある。例えば全印刷領域への1回の印刷完了状態の印刷濃度を100%としたときに、本実施形態では300%の濃度を印刷濃度の上限とする場合を一例として示す。
なお、本実施形態において、基準範囲の白色度を有するインクが、印刷対象領域全体に1回吐出される吐出量を、印刷濃度100%の吐出量とする。よって300%の印刷濃度とは、印刷対象領域全体に3回インクが吐出される吐出量で実現される濃度を意味する。なお「基準範囲の白色度」とは、インクに含まれる白色成分が安定した分散状態にある場合の白色の濃度の程度をいうものとする。
本実施形態では重ね塗りのための走査回数を減らすために、前述のように下地用ヘッド41aとして、複数のヘッド(実施形態ではヘッドA、ヘッドB、ヘッドCの3つのヘッド)を用意して、マルチヘッド方式で下地印刷を行う。
【0053】
図4に、本実施形態における下地印刷の処理の概略を示す。
まず、印刷において実現したい濃度(印刷濃度)を設定する(ステップS11)。印刷濃度、すなわち、下地に必要とされる濃度は、色印刷(すなわちデザイン用ヘッド41bによるデザインの印刷)をしたときの仕上がり具合等との関係で異なる。また、印刷濃度の設定においては、下地を塗布する爪(生爪、地爪)の色等が考慮されてもよい。印刷濃度は、例えば「下地印刷」等、印刷の種類(モード)を選べば自動的にデフォルトの値に設定されてもよい。またユーザが好みの濃度を入力して設定してもよい。
【0054】
一般的に白インク等の下地用インクは隠蔽性が低く、下地用インクをインクジェット方式で塗布する場合、100%全面印刷を行っても十分な隠蔽性を得られないことがある。このため、色インクの発色性を確保するために、複数回の重ね塗りを行って200%、300%といった高濃度で印刷を行う場合がある。例えばカラフルな柄のデザインを印刷したい場合、下地は十分に濃い濃度で印刷し隠蔽性を高くした方が色インクの発色が良くなり、くっきりとした仕上がりのデザインを印刷することができる。また、隠蔽性が高い方が生爪の色等にも左右されずに済む。他方で、多少生爪が透けて見える程度の下地の方が、自然で透明感のある仕上がりとなり、デザインによっては、薄い濃度の下地の方が好ましい場合もある。
【0055】
このため、印刷濃度は、各デザインに対応付けて設定されていてもよい。印刷濃度が各デザインに対応付けて決まっている場合には、デザインを選択すると、印刷濃度も自動的に設定される。なお、この場合でもユーザが自分の好み等で設定された値を任意に変更できてもよい。
【0056】
次に、制御部31は「印刷濃度の設定値」に基づいて「ヘッド毎濃度」を設定する(ステップS12)。
本実施形態では、所望の濃さの下地を形成するために必要な「印刷濃度の設定値」を3つのヘッド(実施形態ではヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)で均等に分担する場合を例として説明する。
特に、カートリッジとしては1つであるヘッドに、複数のヘッド機能部(ノズルを備える吐出機能部)を備える場合には、ヘッド機能部間でインク残量の偏り等があると、一部のヘッド機能部のインク残量が減少するとカートリッジ全体を交換する必要が生じ、コストパフォーマンスが悪くなってしまう。この点、必要とされる印刷濃度を各ヘッド(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)に均等に割り振った場合には、ヘッド毎のインク残量にも偏りが生じない他、使用による各ヘッドの劣化が偏らず、メンテナンス性に優れる等のため、好ましい。
「ヘッド毎濃度の設定値」は、印刷濃度の設定値をヘッド数で除算した値であり、例えば「印刷濃度の設定値」が「270%」である場合、「ヘッド毎濃度」はこれを3で除した「90%」となる。
【0057】
また、本実施形態では「設定された吐出量」に関する閾値(「予め設定された濃度の閾値」)である「マスクモード切替値」が記憶部32等に記憶されており、制御部31は、この「マスクモード切替値」(「設定された吐出量」の閾値、「予め設定された濃度の閾値」)を読み出して「ヘッド毎濃度の設定値」と比較する(ステップS13)。
本実施形態で印刷ヘッド41の吐出動作の制御は、印刷対象である爪の印刷対象領域(爪輪郭の内側領域等)の各位置に対して印刷ヘッド41から液剤(インク)を吐出させるか否かを規定した「吐出規定データ」(インクを吐出させるノズルを分散させて印刷を行うためのシングリングマスクデータ、これを以下「マスクパターン」ともいう。)に基づいて行われるが、下地印刷を行う際の「吐出規定データ」の適用に関して、本実施形態では、少なくとも「第1のモード」と「第2のモード」とを有している。
【0058】
このうち「第1のモード」は、下地の印刷を分担するすべてのヘッド(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)に共通の「マスクパターン」(「吐出規定データ」)を適用して吐出制御を行うものである。以下において「第1のモード」を「共通マスクモード」(図4等参照)ともいう。これに対して「第2のモード」は、下地の印刷を分担するヘッド(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)それぞれに異なる(個別の)「マスクパターン」(「吐出規定データ」)を適用して吐出制御を行うものである。以下において「第2のモード」を「個別マスクモード」(図4等参照)ともいう。
詳細については後述するが、「第1のモード」(「共通マスクモード」)は、印刷濃度(ヘッド毎濃度)の比較的低い場合に有効なモードであり、「第2のモード」(「個別マスクモード」)は、印刷濃度(ヘッド毎濃度)が比較的高い場合に有効なモードである。
【0059】
「マスクモード切替値」(「設定された吐出量」の閾値、「予め設定された濃度の閾値」)は、この「第1のモード」、「第2のモード」のうち、いずれのモード(マスクモード)で印刷を行うかを決めるための閾値である。
この「マスクモード切替値」をどの程度とするかは、適宜設定される事項であるが、例えば「40%」程度とし、これよりも「ヘッド毎濃度の設定値」が低い場合には「第1のモード」(「共通マスクモード」)で「マスクパターン」(「吐出規定データ」)を適用し、例えば「40%」よりも「ヘッド毎濃度の設定値」が高い場合には「第2のモード」(「個別マスクモード」)で「マスクパターン」(「吐出規定データ」)を適用するというように「マスクパターン」(「吐出規定データ」)の適用するマスクモードを切り替える。
【0060】
なお、図4等の説明では、「マスクパターン」(「吐出規定データ」)の適用モードの切り替え判断において、「マスクモード切替値」(「設定された吐出量」の閾値、「予め設定された濃度の閾値」)を「ヘッド毎濃度の設定値」と比較する場合を例示したが、「マスクモード切替値」(「設定された吐出量」の閾値、「予め設定された濃度の閾値」)と比較するのは、ステップS12で設定された「印刷濃度の設定値」であってもよい。この場合には、比較される「マスクモード切替値」(「設定された吐出量」の閾値、「予め設定された濃度の閾値」)もヘッド数で除する前の値(上記例では「120%」)に変更して使用する。
【0061】
図5(a)~図5(d)に「第1のモード」(「共通マスクモード」)で「マスクパターン」(「吐出規定データ」)を適用した場合の模式的な説明図を示し、図6(a)~図6(d)に「第2のモード」(「個別マスクモード」)で「マスクパターン」(「吐出規定データ」)を適用した場合の模式的な説明図を示す。
なお、図5(a)及び図6(a)では、説明のため簡易的に3画素×3画素のマスクパターン(シングリングマスク)の例を示している。また、マスクパターン内の数値は、当該箇所に相当する画素の位置を示し、どの画素にインクを吐出させる又は吐出させない、を決定するための閾値として用いられる。
【0062】
「マスクパターン」(シングリングマスク)は、もともとバンディングノイズを低減するため等に用いられるものであり、全ての閾値(図示例では1~9)がまんべんなく均等に配置されている。例えば図5(a)及び図6(a)に示す例のように、3画素×3画素のマスクの場合であれば、1から9までの数(これを「マスク閾値」という)が当該マスクパターンの中に抜けも重複もなく配置されている。また隣り合う位置には同じ数値(「マスク閾値」)が連続しないように配置されることが好ましい。これにより、「マスクパターン」を適用して吐出制御を行った場合に、インク吐出を分散して行うように制御することができ、ざらつき等の少ない印刷結果を得ることができる。
マスクの種類は特に限定されないが、例えばディザ法によるハーフトーン処理に用いられるディザマスク(ブルーノイズマスクやグリーンノイズマスク等、ディザマトリックスを用いたマスク)等を「マスクパターン」(シングリングマスク)として用いることができる。
【0063】
図5(a)~図5(d)及び図6(a)~図6(d)に示す例では、ヘッドAで、マスク閾値1、4、7の画素を担当し(すなわち、本来担当が予定されている基準画素がマスク閾値1、4、7の画素)、ヘッドBで、マスク閾値2、5、8の画素を担当し(すなわち、本来担当が予定されている基準画素がマスク閾値2、5、8の画素)、ヘッドCで、マスク閾値3、6、9の画素を担当している(すなわち、本来担当が予定されている基準画素がマスク閾値3、6、9の画素)。また図5(b)及び図6(b)は印刷濃度が0~100%の場合を示し、図5(c)及び図6(c)は印刷濃度が200%までの場合を示し、図5(d)及び図6(d)は印刷濃度が300%までの場合を示している。
【0064】
例えば「第1のモード」(「共通マスクモード」)で「マスクパターン」(「吐出規定データ」)を適用すると、印刷濃度が0~100%の場合には、図5(b)に示すように、ヘッドAでは、1、4、7の画素にインクを吐出させ、ヘッドBでは、2、5、8の画素にインクを吐出させ、ヘッドCでは、3、6、9の画素にインクを吐出させ、各ヘッドが本来担当を予定されている基準画素に印刷を行うように、吐出制御が行われる。これにより、3つのヘッド(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)により、1,2,3,4,5,6,7,8,9の全ての画素について1回ずつ均一にインクが吐出された状態となる。
【0065】
また、印刷濃度が200%までの場合には、図5(c)に示すように、各ヘッドとも、印刷濃度が0~100%の場合にインクを吐出した吐出位置(各ヘッドの基準画素に対応する位置)に加えて、ヘッドAでは、3、6、9の画素にインクを吐出させ、ヘッドBでは、1、4、7の画素にインクを吐出させ、ヘッドCでは、2、5、8の画素にインクを吐出させるように吐出制御が行われる。これにより、3つのヘッド(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)により、1,2,3,4,5,6,7,8,9の全ての画素について2回ずつ均一にインクが吐出された状態となる。
【0066】
さらに、印刷濃度が300%までの場合には、各ヘッドとも、印刷濃度が0~100%の場合にインクを吐出した吐出位置(各ヘッドの基準画素に対応する位置)、印刷濃度が200%までの場合にインクを吐出した吐出位置に加えて、ヘッドAでは、2、5、8の画素にインクを吐出させ、ヘッドBでは、3、6、9の画素にインクを吐出させ、ヘッドCでは、1、4、7の画素にインクを吐出させるように吐出制御が行われる。これにより、3つのヘッド(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)により、1,2,3,4,5,6,7,8,9の全ての画素について3回ずつ均一にインクが吐出された状態となる。
【0067】
このように、「第1のモード」(「共通マスクモード」)の場合、印刷を分担するすべてのヘッド(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)が同じマスクパターンにしたがって吐出制御されるため、全体的に1回しか印刷を行わない印刷濃度が0~100%の低濃度の印刷を行った場合にも全く印刷されない抜けのある場所がなく、ざらつきのない印刷結果が得られる。
ただ、全てのヘッドで100%ずつ、全体で300%となるような高濃度の印刷を行った場合には、例えば図5(d)において白抜き矢印「1」で示す箇所のように、すべてのヘッド(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)で同じ画素に連続してインクが吐出されることとなる。ヘッドA、ヘッドB、ヘッドCは、あまり間隔をあけずにX方向に並んで配置されている。このため、同じ画素に各ヘッドから連続してインクが吐出されると、例えばヘッドAから吐出され、印刷対象である爪の上に着弾したが、まだインクが安定しない間に次のヘッドBやヘッドCから次々インクが吐出されて同じ個所に着弾する。このため、インク同士がくっついてしまう凝集を生じやすくなり、また先に着弾したインクがあとから着弾したインクに引っ張られて本来定着すべき位置からずれてしまう等の不具合を生じ、印刷が乱れて高品位の印刷結果が得られないおそれがある。
【0068】
これに対して、図6(b)~図6(d)に示すように、「第2のモード」(「個別マスクモード」)で「マスクパターン」(「吐出規定データ」)を適用すると、ヘッドAでは、マスクAを適用してマスク閾値1、4、7の画素(ヘッドAの基準画素)にインクを吐出させ、ヘッドBでは、マスクBを適用してマスク閾値2、5、8の画素(ヘッドBの基準画素)にインクを吐出させ、ヘッドCでは、マスクCを適用してマスク閾値3、6、9の画素(ヘッドCの基準画素)にインクを吐出させるように吐出制御が行われる。このように図5(b)~図5(d)の場合と同様、マスクパターンにしたがった吐出制御がなされても、各ヘッド(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)に適用されるマスクパターンが異なることから、各ヘッド(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)で同じ画素に重複してインクが吐出されたり、逆にいずれのヘッドからもインクが吐出されない画素(非着弾画素)が生じたりする。
【0069】
このことは、印刷濃度が0~100%と低濃度の場合に特に顕著であるが、印刷濃度が200%までの場合でも、まだすべての画素の印刷が均一とはならない。
なお、実際の印刷では「マスクパターン」(「シングリングマスク」)は256画素×256画素程度と大きな範囲にタイリングされて用いられ、「マスクパターン」を構成している1から9までの数(「マスク閾値」)も印刷対象領域全体にきれいに分散している。このため、図示例ほど極端な重複や連続する非着弾画素が発生する可能性は低いが、特に低濃度ではざらつきのある印刷結果となるおそれがある。
ただ、「第2のモード」(「個別マスクモード」)の場合、全てのヘッドで100%ずつ、全体で300%となるような高濃度の印刷を行った場合には、例えば図6(d)において白抜き矢印「2」で示す箇所のように、3つのヘッド(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)から異なるタイミングでインクを吐出させることとなり、インクの凝集等の印刷不良を避けることができる。なお、「第2のモード」(「個別マスクモード」)の場合に、同じ位置に着弾するインクの吐出タイミングがずれることの詳細については、図18等を用いて後述する。
【0070】
このように、「第1のモード」(「共通マスクモード」)は、印刷濃度(ヘッド毎濃度)の比較的低い低濃度での印刷の場合に有効なモードであり、「第2のモード」(「個別マスクモード」)は、印刷濃度(ヘッド毎濃度)が比較的高い高濃度での印刷の場合に有効なモードである。
このため、本実施形態では、印刷に必要とされる濃度(印刷濃度や印刷濃度から導かれるヘッド毎濃度)の設定値に応じて、それが「マスクモード切替値」(「設定された吐出量」の閾値、「予め設定された濃度の閾値」)よりも低濃度であれば「第1のモード」(「共通マスクモード」)を適用し、「マスクモード切替値」(「設定された吐出量」の閾値、「予め設定された濃度の閾値」)よりも低濃度であれば「第2のモード」(「個別マスクモード」)を適用する、というように制御部31がマスクモードの切り替えを行う。
なお、「印刷濃度の設定値」や「ヘッド毎濃度の設定値」が「マスクモード切替値」(「設定された吐出量」の閾値、「予め設定された濃度の閾値」)と丁度同じであった場合の取り扱いは、「第1のモード」(「共通マスクモード」)を適用してもよいし、「第2のモード」(「個別マスクモード」)を適用してもよい。
【0071】
まず「第1のモード」(「共通マスクモード」)が印刷ヘッド41(図5(a)~図5(d)及び図6(a)~図6(d)等において、ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)の吐出制御に適用された場合について、図7から図12等を参照しつつ説明する。
【0072】
図7に示すように、この場合には、印刷を担当する各印刷ヘッド41(実施形態では、ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)に、共通のマスクパターンをセットする(ステップS21)。
例えば図9(a)~図9(c)では、3画素×3画素のマスクパターンを4つタイリングし、6画素×6画素の印刷対象領域(印刷すべき画像の範囲)に、3つのヘッド(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)によって印刷を行う場合を模式的に示している。なお、図9(a)~図9(c)等に示す例では、各ヘッドが、6つのノズル(ノズルn1~n6)を有し、X方向に沿って主走査を行いながら印刷を行う場合を図示している。
【0073】
そして、印刷すべき画像の範囲にタイリングされたマスクパターン(シングリングマスク)から画素毎の「マスク閾値」を取得する(ステップS22)。
なお、図9(a)~図9(c)等において、マスクパターン中に付された「1」~「9」の値が、ここにいう「マスク閾値」を意味する。
【0074】
なお各ヘッドにおいてどの値の箇所への印刷を有効にするかは、印刷濃度設定値如何によって異なる。
制御部31は、まず、印刷濃度設定値が200%よりも大きいか否かを判断し(ステップS23)、印刷濃度設定値が200%よりも大きい場合(ステップS23;YES)には、画素毎のマスク閾値に「2」加算したものを、画素毎の吐出有無判定値と設定する(ステップS24)。
そして、この吐出有無判定値を使用して3つのヘッド(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)毎の吐出の有り・無しの設定を行う(ステップS25)。
【0075】
ステップS24、ステップS25の設定が行われた後、及び印刷濃度設定値が200%よりも大きくない場合(ステップS23;NO)には、制御部31はさらに、印刷濃度設定値が100%よりも大きいか否かを判断し(ステップS26)、印刷濃度設定値が100%よりも大きい場合(ステップS26;YES)には、画素毎のマスク閾値に「1」加算したものを、画素毎の吐出有無判定値と設定する(ステップS27)。
そして、この吐出有無判定値を使用して3つのヘッド(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)毎の吐出の有り・無しの設定を行う(ステップS28)。
【0076】
ステップS27、ステップS28の設定が行われた後、及び印刷濃度設定値が100%よりも大きくない場合(ステップS26;NO)には、画素毎のマスク閾値=画素毎の吐出有無判定値とする設定を行う(ステップS29)。
そして、この吐出有無判定値を使用して3つのヘッド(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)毎の吐出の有り・無しの設定を行う(ステップS30)。
【0077】
すなわち、本実施形態の例では、印刷濃度設定値が200%よりも大きい場合には、ステップS24、ステップS27、ステップS29において画素毎の吐出有無判定値の設定を行い、マスク閾値に「2」加算したもの、マスク閾値に「1」加算したもの、マスク閾値に何も加算しないもの、がともに画素毎の吐出有無判定値と設定される。
また印刷濃度設定値が100%よりも大きい場合には、ステップS24では画素毎の吐出有無判定値の設定を行わず、ステップS27、ステップS29において画素毎の吐出有無判定値の設定を行い、マスク閾値に「1」加算したものと、マスク閾値に何も加算しないものとが画素毎の吐出有無判定値と設定される。
さらに印刷濃度設定値が100%よりも大きくない場合には、ステップS24、ステップS27では画素毎の吐出有無判定値の設定を行わず、ステップS29において画素毎の吐出有無判定値の設定を行って、マスク閾値に何も加算しないものが画素毎の吐出有無判定値と設定されることとなる。
【0078】
なお、ステップS23の判断において、印刷濃度設定値が200%丁度であった場合、ステップS26の判断において、印刷濃度設定値が100%丁度であった場合の取り扱いは200%、100%よりも大きい場合として扱ってもよいし、200%、100%よりも小さい場合として扱ってもよい。
【0079】
なお、図7におけるステップS25、ステップS28、ステップS30に示すヘッド毎の吐出有無設定は、以下のようにして行う。
すなわち、まず制御部31は、図8に示すように、吐出有無判定値を、印刷を担当する各印刷ヘッド41(実施形態では、ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)の数である3で除して、その剰余を求め、剰余が「1」であるか否かを判断する(ステップS41)。
そして、剰余が「1」である場合(ステップS41;YES)には、ヘッドAを吐出有りに設定する(ステップS42)。
【0080】
他方、剰余が「1」でない場合(ステップS41;NO)、制御部31はさらに、剰余が「2」であるか否かを判断する(ステップS43)。
そして、剰余が「2」である場合(ステップS43;YES)には、ヘッドBを吐出有りに設定する(ステップS44)。
さらに、剰余が「2」でも「1」でもない場合(ステップS43;NO)、制御部31は剰余が「0」であると判断し(ステップS45)、この場合には、ヘッドCを吐出有りに設定する(ステップS46)。
【0081】
前述のように、例えば印刷濃度設定値が200%を超えている場合には、マスク閾値1~9に「2」加算したもの、マスク閾値1~9に「1」加算したもの、マスク閾値1~9に何も加算しないもの、がともに画素毎の吐出有無判定値と設定されることとなる(図7におけるステップS24、ステップS27、ステップS29参照)。
例えば、まず図7におけるステップS29ではマスク閾値1~9に何も加算しない値がヘッド毎の吐出有無設定値となる。
このため図7におけるステップS30に対応する場合の図8のヘッド毎の吐出有無設定では、吐出有無設定値1,4,7(マスク閾値1,4,7)の場合に、判断「YES」となり(図8のステップS41参照)、印刷濃度設定値が100%より大きくない場合には、タイリングしたマスクパターン中、マスク閾値1,4,7の箇所に相当する位置(画素)へのヘッドAによる印刷が有効となるように吐出制御が行われる。
【0082】
これに対して、図7におけるステップS27ではマスク閾値1~9に「1」加算した値がヘッド毎の吐出有無設定値となる。
このため図7におけるステップS28に対応する場合の図8のヘッド毎の吐出有無設定では、吐出有無設定値2,5,8(マスク閾値1,4,7)の場合に、判断「YES」となるのは図8のステップS43であり、印刷濃度設定値が100%より大きい場合には、タイリングしたマスクパターン中、マスク閾値1,4,7の箇所に相当する位置(画素)へのヘッドBによる印刷が有効となるように吐出制御が行われる。
【0083】
また、図7におけるステップS24ではマスク閾値1~9に「2」加算した値がヘッド毎の吐出有無設定値となる。
このため図7におけるステップS25に対応する場合の図8のヘッド毎の吐出有無設定では、吐出有無設定値3,6,9(マスク閾値1,4,7)の場合に、判断「YES」となるのは図8のステップS45であり、印刷濃度設定値が200%より大きい場合には、タイリングしたマスクパターン中、マスク閾値1,4,7の箇所に相当する位置(画素)へのヘッドCによる印刷が有効となるように吐出制御が行われる。
【0084】
印刷濃度設定値が200%より大きい場合には、前述のようにマスク閾値に「2」加算したもの、マスク閾値に「1」加算したもの、マスク閾値に何も加算しないもの、がともに画素毎の吐出有無判定値と設定される。このため、図8に示すヘッド毎の吐出有無設定では、マスク閾値1,4,7に相当する位置に、すべてのヘッド(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)からインクを吐出させるように設定される。
【0085】
同様に、マスク閾値2,5,8については、図7におけるステップS30に対応する場合の図8のヘッド毎の吐出有無設定では、ステップS43の判断が「YES」となり、印刷濃度設定値が100%より大きくない場合には、マスク閾値2,5,8の箇所に相当する位置(画素)へのヘッドBによる印刷が有効となり、図7におけるステップS28に対応する場合の図8のヘッド毎の吐出有無設定では、ステップS45の判断が「YES」となり、印刷濃度設定値が100%より大きい場合には、マスク閾値2,5,8の箇所に相当する位置(画素)へのヘッドCによる印刷が有効となり、図7におけるステップS25に対応する場合の図8のヘッド毎の吐出有無設定では、ステップS41の判断が「YES」となり、印刷濃度設定値が200%より大きい場合には、マスク閾値2,5,8の箇所に相当する位置(画素)へのヘッドAによる印刷が有効となる。
このため、印刷濃度設定値が200%より大きい場合には、マスク閾値2,5,8に相当する位置についても、すべてのヘッド(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)からインクを吐出させる。
【0086】
マスク閾値3,6,9については、印刷濃度設定値が100%より大きくない場合には、図8のステップS45の判断が「YES」となり、マスク閾値3,6,9の箇所に相当する位置(画素)へのヘッドCによる印刷が有効となり、印刷濃度設定値が100%より大きい場合には、図8のステップS41の判断が「YES」となり、マスク閾値3,6,9の箇所に相当する位置(画素)へのヘッドAによる印刷が有効となり、印刷濃度設定値が200%より大きい場合には、図8のステップS43の判断が「YES」となり、マスク閾値3,6,9の箇所に相当する位置(画素)へのヘッドBによる印刷が有効となる。
このため、印刷濃度設定値が200%より大きい場合には、マスク閾値3,6,9に相当する位置についても、同様に、すべてのヘッド(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)からインクを吐出させるように設定される。
【0087】
このように、図7及び図8にしたがってヘッド毎の吐出有無設定をすることで、印刷濃度設定値が200%より大きい場合には、マスク閾値1~9に相当する位置に、すべてのヘッド(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)から1回ずつインクが吐出され、結果的に300%の印刷濃度を実現する。
【0088】
このように画素によって印刷が有効となるヘッドを割り振ることで、3つのヘッド(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)によって、均等にかつ重複の無いように各画素に対するインク吐出を担当させることができる。
なお、各ヘッド(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)によるインク吐出を均等に行わせる方法は、ここの例示したような、吐出有無判定値をヘッド数で除したときの剰余で判定する手法に限定されない。
【0089】
また、吐出有無判定値は、前述のように、印刷濃度設定値に応じて決定される。すなわち、印刷濃度設定値が200%を超えている場合(図7におけるステップS23;YESの場合)には、マスク閾値に「2」を加算したものが吐出有無判定値となり、印刷濃度設定値が100%を超えている場合(図7におけるステップS26;YESの場合)には、マスク閾値に「1」を加算したものが吐出有無判定値となり、印刷濃度設定値が100%より小さい場合(図7におけるステップS26;NOの場合)にはマスク閾値=吐出有無判定値となる。このため、ヘッド数で除したときの剰余も印刷濃度に応じて変化し、各ヘッド(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)の間や、各濃度間においてインクが吐出される画素の重複がないように構成される。
【0090】
なお、印刷濃度設定値が100%より小さい場合(例えば90%である場合)には、マスク閾値×90%以下である画素にはインクを吐出させる、といった条件を付加して対応してもよい。
また、例えば印刷濃度が90%に設定されている場合に、3つのヘッド(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)で印刷を担当する場合には、各ヘッドに30%ずつの印刷を割り振ってもよい。
また、例えば印刷濃度が270%に設定されている場合のように、100%のヘッド数倍ではない印刷濃度が設定されている場合には、当該印刷濃度を各ヘッドで均等に分担する。例えば270%の印刷濃度を3つのヘッド(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)で分担する場合であれば、各ヘッドが90%ずつの印刷濃度を実現するように、例えば分担するマスク閾値を適宜間引く等により対応する。
【0091】
例えば図9(a)ではヘッドAのノズルn1~n6の構成、ヘッドAの吐出制御に適用するマスクパターン、及びマスクパターンを適用してヘッドAによる印刷を行った結果を図示している。
また図9(b)ではヘッドBのノズルn1~n6の構成、ヘッドBの吐出制御に適用するマスクパターン、及びマスクパターンを適用してヘッドBによる印刷を行った結果を図示している。
さらに図9(c)ではヘッドCのノズルn1~n6の構成、ヘッドCの吐出制御に適用するマスクパターン、及びマスクパターンを適用してヘッドCによる印刷を行った結果を図示している。
【0092】
図9(a)~図9(c)等では、すべてのヘッド(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)を用いて100%の印刷濃度を実現する場合に、各ヘッドが担当する画素(これを基準画素とする)を示すマスク閾値を以下のように規定する例を示している。
すなわち、図9(a)に示すように、マスクパターンがタイリングされた6画素×6画素の印刷すべき画像の範囲のうち、マスク閾値として「1」「4」「7」が設定されている画素が、ヘッドAがインク吐出を担当すべき基準画素(ヘッドAからのインク吐出が有効とされる画素)となる。図9(a)では、図中右端に示すように、ヘッドAによる吐出が有効となる画素を薄い網掛けで示している。
同様に、ヘッドBがインク吐出を担当すべき基準画素(ヘッドBからのインク吐出が有効とされる画素)は、図9(b)に示すように、6画素×6画素の印刷すべき画像の範囲のうち、マスク閾値として「2」「5」「8」が設定されている画素であり、図9(b)では、図中右端に示すように、ヘッドBによる吐出が有効となる画素を薄い網掛けで示している。
また、ヘッドCがインク吐出を担当すべき基準画素(ヘッドCからのインク吐出が有効とされる画素)は、図9(c)に示すように、6画素×6画素の印刷すべき画像の範囲のうち、マスク閾値として「3」「6」「9」が設定されている画素であり、図9(c)では、図中右端に示すように、ヘッドCによる吐出が有効となる画素を薄い網掛けで示している。
【0093】
図10図12は、図9(a)~図9(c)で示した各ヘッド(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)によって、具体的にどのようにして印刷を行うかを説明する説明図である。
図10は100%の印刷濃度で印刷を行う場合であり、図11は200%の印刷濃度で印刷を行う場合である。また、図12は、300%の印刷濃度で印刷を行う場合を示している。なお、図10及び図11において、各ヘッド(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)は図中左側から右側方向にX方向に沿って移動するものとする。
【0094】
100%の印刷濃度で印刷を行う場合には、図10に示すように、まず、ヘッドAが印刷対象領域(マスクパターンがタイリングされている範囲に対応する領域)を通過し、マスクパターンの「1」「4」「7」に相当する位置(画素)が有効になり、ヘッドAのノズルn1~n6からインクが吐出される。
次にヘッドBが印刷対象領域を通過するときに、マスクパターンの「2」「5」「8」に相当する位置(画素)が有効になり、ヘッドBのノズルn1~n6からインクが吐出される。
最後にヘッドCが印刷対象領域を通過するときに、マスクパターンの「3」「6」「9」に相当する位置(画素)が有効になり、ヘッドCのノズルn1~n6からインクが吐出される。
これにより、図10の下段に示すように、3つのヘッド(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)によってマスクパターンが設定された領域内のマスク閾値1~9に対応するすべての位置(画素)が有効となり、マスクパタ-ンにしたがって各ヘッドが異なる位置にインクを吐出させることで、抜けや重複のない100%印刷を行うことができる。
【0095】
また200%の印刷濃度で印刷を行う場合には、図11に示すように、まず、ヘッドAが印刷対象領域を通過し、その際に、マスクパターンの「1」「4」「7」に相当する位置(画素)に加えて「3」「6」「9」に相当する位置(画素)が有効になり、ヘッドAのノズルn1~n6からインクが吐出される。
次にヘッドBが印刷対象領域を通過するときに、マスクパターンの「2」「5」「8」に相当する位置(画素)に加えて「1」「4」「7」に相当する位置(画素)が有効になり、ヘッドBのノズルn1~n6からインクが吐出される。
最後にヘッドCが印刷対象領域を通過するときに、マスクパターンの「3」「6」「9」に相当する位置(画素)に加えて「2」「5」「8」に相当する位置(画素)が有効になり、ヘッドCのノズルn1~n6からインクが吐出される。
これにより、図11の下段に示すように、3つのヘッド(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)によってマスクパターンが設定された領域内のマスク閾値1~9に対応するすべての位置(画素)が均等に2回ずつインク吐出され、重複等のないきれいな200%印刷を行うことができる。
【0096】
また、300%の印刷濃度で印刷を行う場合については、図12において、6画素×6画素の印刷対象領域をY方向(副走査方向)に2分割し、まずY方向の上流側(図12において上側)の3行分の印刷をヘッドA、ヘッドB、ヘッドCのノズルn4,n5、n6で印刷してから、印刷ヘッド41を3ノズル分、下流側(図12において下側)に移動させ、下流側の残りの3行分の印刷を行う場合を例示している。なお図12で示す例では、各ヘッド(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)のノズルn1~n6のうち、ノズルn4,n5、n6は、マスク閾値が奇数番号である箇所に相当する位置(画素)のみにインクを吐出し、ノズルn1,n2、n3は、マスク閾値が偶数番号である箇所に相当する位置(画素)のみにインクを吐出するとのルールを設けて、X方向の「左から右」「右から左」「左から右」という3回のパスを繰り返すことで6画素×6画素の印刷対象領域全体に印刷する場合のシングリング動作を示している。
【0097】
この場合、まず図中1段目に示すように、ヘッドA、ヘッドB、ヘッドCをX方向の「左から右」に移動させながら印刷を行う場合(これを「第1パス」という。)、印刷濃度が300%であるため、ヘッドAでは、本来はマスクパターンの「1」「4」「7」に相当する位置(画素)が基準画素となるが、これに加えて「2」「5」「8」に相当する位置(画素)、及び「3」「6」「9」に相当する位置(画素)が有効になる。しかし、「第1パス」において印刷を担当しているノズルは、ノズルn4,n5、n6であるため、マスク閾値が奇数番号である箇所に相当する位置(画素)のみにインクを吐出させる。これにより、図12に示すように、「1」「3」「5」「7」「9」にインクが吐出される。同様に、ヘッドBも本来はマスクパターンの「2」「5」「8」に相当する位置(画素)が基準画素となるが、これに加えてに加えて「3」「6」「9」、及び「1」「4」「7」に相当する位置(画素)が有効になる。そしてノズルn4,n5、n6からは、このうち、マスク閾値が奇数番号である「1」「3」「5」「7」「9」にインクが吐出される。このことはヘッドCについても同様であるため、ヘッドCまで「第1パス」が完了した時点では、マスク閾値「1」「3」「5」「7」「9」に相当する画素に3つのヘッドからインクが吐出され、この部分だけが300%となった状態となる。
【0098】
次に図中2段目に示すように、ヘッドC、ヘッドB、ヘッドAをX方向の「右から左」に移動させながら印刷を行う(これを「第2パス」という。)。「第2パス」では「第1パス」の完了時点から印刷ヘッド41を3ノズル分下流側に移動させる。
この場合も各ヘッドは本来すべてのマスク閾値の箇所について有効となるが、「第2パス」においてY方向の上流側3行分の印刷を担当するノズルは、ノズルn1,n2、n3である。このため、マスク閾値が偶数番号である箇所に相当する位置(画素)のみにインクを吐出させる。これにより、「第2パス」が完了した時点では、「第1パス」において印刷されなかった「2」「4」「6」「8」に3つのヘッドからインクが吐出され、この部分が300%となった状態となる。このため、「第2パス」が完了した時点において、Y方向の上流側3行分の領域はすべて300%の印刷濃度となる。
また、「第2パス」では、Y方向下流側の3行分の印刷をヘッドA、ヘッドB、ヘッドCのノズルn4,n5、n6で行う。この部分については「第1パス」の場合と同様に、「1」「3」「5」「7」「9」に3つのヘッドからインクが吐出され、この部分だけが300%となった状態となる。
【0099】
さらに図中3段目に示すように、ヘッドC、ヘッドB、ヘッドAをX方向の「左から右」に移動させながら印刷を行う(これを「第3パス」という。)。「第3パス」では「第2パス」の完了時点から印刷ヘッド41を3ノズル分下流側に移動させる。これにより、Y方向下流側の3行分の印刷をヘッドA、ヘッドB、ヘッドCのノズルn1,n2、n3が担当する。
これにより、「第3パス」が完了した時点では、「第2パス」において印刷されなかった「2」「4」「6」「8」に3つのヘッドからインクが吐出され、この部分が300%となった状態となる。このため、「第3パス」が完了した時点において、Y方向の上流側3行分及び下流側3行分の領域がすべて300%の印刷濃度となる。
【0100】
例えば印刷濃度を300%とするような高濃度の印刷を行う場合、全てのヘッド(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)から100%ずつのインク吐出が行われる。この場合、全てのヘッドに共通のマスクパターン(シングリングマスク)を適用して印刷すると、図12に示すように、ヘッドAからインクが吐出された後、ヘッドB、ヘッドCからもそれほど間を置かずに続けてインクが吐出される。このため、インクの凝集等を生じやすく、印刷の仕上がり品質が低下するおそれがある。
【0101】
次に「第2のモード」(「個別マスクモード」)が印刷ヘッド41(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)の吐出制御に適用された場合について、図13から図18等を参照しつつ説明する。
【0102】
図13に示すように、この場合には、印刷を担当する各印刷ヘッド41(実施形態では、ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)に、それぞれ個別のマスクパターン(図15等において、マスクA、マスクB、マスクC)をセットする(ステップS51)。なお、各ヘッド(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)に適用される各マスクパターン(マスクA、マスクB、マスクC)は、それぞれランダムな並びに生成されたものでもよいし、1つのパターンを上下や左右に180度反転させたり、90度回転させたりすることで、別のマスクパターンとして利用してもよい。このように基本のパターンの向きを変えて複数種類のマスクパターンを作り出すことで、記憶部32等に記憶されるデータ量を軽くすることができる。
例えば図15(a)~図15(c)では、3画素×3画素のマスクパターンを4つタイリングし、6画素×6画素の印刷対象領域(印刷すべき画像の範囲)に、3つのヘッド(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)によって印刷を行う場合を模式的に示している。なお、図15(a)~図15(c)等に示す例では、各ヘッドが、6つのノズル(ノズルn1~n6)を有し、X方向に沿って主走査を行いながら印刷を行う場合を図示している。
【0103】
そして、印刷すべき画像の範囲にタイリングされた各マスクパターン(マスクA、マスクB、マスクC)からそれぞれ画素毎のマスク閾値(マスクAのマスク閾値、マスクBのマスク閾値、マスクCのマスク閾値)を取得する(ステップS52)。
なお、図9(a)~図9(c)と同様、図15(a)~図15(c)等において、マスクパターン中に付された「1」~「9」の値は、ここにいう「マスク閾値」を意味する。
【0104】
次に制御部31は、印刷濃度設定値が200%よりも大きいか否かを判断し(ステップS53)、印刷濃度設定値が200%よりも大きい場合(ステップS53;YES)には、各マスク(マスクA、マスクB、マスクC)の画素毎のマスク閾値に「2」加算したものを、各マスク(マスクA、マスクB、マスクC)についての画素毎の吐出有無判定値と設定する(ステップS54)。
そして、この吐出有無判定値を使用して各ヘッド(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)の吐出の有り・無しの設定を行う(ステップS55)。
【0105】
ステップS54、ステップS55の設定が行われた後、及び印刷濃度設定値が200%よりも大きくない場合(ステップS53;NO)には、制御部31はさらに、印刷濃度設定値が100%よりも大きいか否かを判断し(ステップS56)、印刷濃度設定値が100%よりも大きい場合(ステップS56;YES)には、各マスク(マスクA、マスクB、マスクC)の画素毎のマスク閾値に「1」加算したものを、各マスク(マスクA、マスクB、マスクC)についての画素毎の吐出有無判定値と設定する(ステップS57)。
そして、この吐出有無判定値を使用して各ヘッド(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)の吐出の有り・無しの設定を行う(ステップS58)。
【0106】
ステップS57、ステップS58の設定が行われた後、及び印刷濃度設定値が100%よりも大きくない場合(ステップS56;NO)には、各マスク(マスクA、マスクB、マスクC)の画素毎のマスク閾値=各マスク(マスクA、マスクB、マスクC)についての画素毎の吐出有無判定値と設定する(ステップS59)。
そして、この吐出有無判定値を使用して各ヘッド(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)の吐出の有り・無しの設定を行う(ステップS60)。
すなわち、本実施形態の例では、「第1のモード」(「共通マスクモード」)の場合と同様に、印刷濃度設定値が200%よりも大きい場合には、マスク閾値に「2」加算したもの、マスク閾値に「1」加算したもの、マスク閾値に何も加算しないもの、がともに画素毎の吐出有無判定値と設定されることとなる。また印刷濃度設定値が100%よりも大きい場合には、マスク閾値に「1」加算したものと、マスク閾値に何も加算しないものとが画素毎の吐出有無判定値と設定される。さらに印刷濃度設定値が100%よりも大きくない場合には、マスク閾値に何も加算しないものが画素毎の吐出有無判定値と設定されることとなる。
【0107】
なお、ステップS53の判断において、印刷濃度設定値が200%丁度であった場合、ステップS56の判断において、印刷濃度設定値が100%丁度であった場合の取り扱いは200%、100%よりも大きい場合として扱ってもよいし、200%、100%よりも小さい場合として扱ってもよい。
【0108】
なお、図13におけるステップS55、ステップS58、ステップS60に示すヘッド毎の吐出有無設定は、以下のようにして行う。
すなわち、まず制御部31は、図14に示すように、各マスク(マスクA、マスクB、マスクC)の吐出有無判定値を、印刷を担当する各印刷ヘッド41(実施形態では、ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)の数である3で除して、その剰余を求め、剰余が「0」であるか否かを判断する(ステップS71)。
そして、剰余が「0」である場合(ステップS71;YES)には、ヘッドA、ヘッドB、ヘッドCを吐出有りに設定する(ステップS72)。
他方剰余が「0」でない場合(ステップS71;NO)には、各ヘッド(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)について吐出無しに設定する(ステップS73)。
【0109】
なお、「第1のモード」(「共通マスクモード」)の場合には、ヘッド毎の吐出有無設定において図8に示したように、ヘッド毎に判定する剰余の値を変え、画素の重なりを避けるようにしたが、「第2のモード」(「個別マスクモード」)が適用される場合には、ヘッド毎に使用する「マスクパターン」(「シングリングマスク」)が異なるため、吐出有無判定値をヘッド数3で除した際の剰余の値を変えて対応しなくても画素の重なりを避けることができる。
このため、図14に示すように、剰余の値が「0」の場合等、一つの値で吐出有無設定を行ってもよい。すなわちこの場合、例えば印刷濃度100%のときの吐出有無判定値を3で除した剰余が「0」となるマスク閾値3,6,9に相当する画素を、各ヘッド(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)でインク吐出を担当すべき基準画素とする。
【0110】
例えば図15ではヘッドAのノズルn1~n6の構成、ヘッドAの吐出制御に適用するマスクパターン(マスクA)、及びマスクパターンを適用してヘッドAによる印刷を行った結果を図示している。
図15に示すように、マスクパターンがタイリングされた6画素×6画素の印刷すべき画像の範囲のうち、マスク閾値として「3」「6」「9」が設定されている画素が、ヘッドAが本来インク吐出を担当すべき基準画素(インク吐出が有効とされる画素)となる。図15では、図中右端に示すように、ヘッドAによる吐出が有効となる画素を薄い網掛けで示している。
【0111】
なお、図示は省略するが、ヘッドB、ヘッドCについても同様にノズルn1~n6を備えるものとし、ヘッドBの吐出制御にはマスクBを適用し、ヘッドCの吐出制御にはマスクCを適用して印刷を行う。ヘッドB、ヘッドCいずれについても、本来インク吐出を担当すべき基準画素(インク吐出が有効とされる画素)マスクパターンがタイリングされた6画素×6画素の印刷すべき画像の範囲のうち、マスク閾値として「3」「6」「9」が設定されている画素である。
【0112】
図16図18は、各ヘッド(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)によって、具体的にどのようにして印刷を行うかを説明する説明図である。
図16は100%の印刷濃度で印刷を行う場合であり、図17は200%の印刷濃度で印刷を行う場合である。また、図18は、300%の印刷濃度で印刷を行う場合を示している。なお、図16及び図17において、各ヘッド(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)は図中左側から右側方向に移動するものとする。
【0113】
100%の印刷濃度で印刷を行う場合には、図16に示すように、まず、ヘッドAが印刷対象領域(マスクパターンがタイリングされている範囲に対応する領域)を通過し、マスクパターンの「3」「6」「9」に相当する位置(画素)が有効になり、ヘッドAのノズルn1~n6からインクが吐出される。
次にヘッドBが印刷対象領域を通過するときにも、マスクパターンの「3」「6」「9」に相当する位置(画素)が有効になり、ヘッドBのノズルn1~n6からインクが吐出される。
最後にヘッドCが印刷対象領域を通過するときに、マスクパターンの「3」「6」「9」に相当する位置(画素)が有効になり、ヘッドCのノズルn1~n6からインクが吐出される。
【0114】
このようにすることで、すべてのヘッドにおいて同じマスク閾値に対応する位置(画素)が有効となるが、「第2のモード」(「個別マスクモード」)による場合には、各ヘッドに適用されるマスクパターンが異なるため、インクが吐出される位置は分散される。
ただ、この場合、各ヘッドにおいてインク吐出が有効となる位置(画素)は、それぞれ異なるマスクパターンによって割り振られるため、いずれのヘッドによってもインクが吐出されない画素や、逆に重複してインクが吐出される画素が生じ、それぞれのヘッドが100%の印刷を行っても必ずしも全ての画素を埋めることはできない。このため、印刷結果がざらついてしまい、高品質なものとならない。
このことは、例えば図17に示すような印刷濃度が200%である場合でも同様である。
【0115】
これに対して、図18に示す印刷濃度300%のような高濃度の場合には、例えば図12で示したのと同様に「第1パス」~「第3パス」の3回の往復で300%の印刷濃度を実現するとした場合に、「第2のモード」(「個別マスクモード」)によると、同じ位置(画素)にインクを吐出させるタイミングがヘッド毎にずれる可能性が高い。
【0116】
例えば、図12で示したのと同様のルールを適用して、各ヘッド(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)のノズルn1~n6のうち、ノズルn4,n5、n6は、マスク閾値が奇数番号である箇所に相当する位置(画素)のみにインクを吐出し、ノズルn1,n2、n3は、マスク閾値が偶数番号である箇所に相当する位置(画素)のみにインクを吐出するとした場合、同じ位置(画素)にインクを吐出させるタイミングがヘッド毎に異なるパスとなり、同じ位置(画素)に連続してすべてのヘッドからインクが吐出される事態を回避することができる。
【0117】
具体的には、例えば図18における左上端の画素に対応するマスク閾値は、ヘッドAに適用するマスクAでは「1」(奇数)であるため、奇数を担当するノズルn4,n5、n6が印刷対象領域を通過する「第1パス」においてノズルからインクが吐出される。これに対して、ヘッドBに適用されるマスクBでは、同じ左上端の画素に対応するマスク閾値が、「8」(偶数)であり、ヘッドCに適用されるマスクCでは、当該画素に対応するマスク閾値が、「2」(偶数)であるため、「第1パス」においてはインクが吐出されず、偶数を担当するノズルn1,n2、n3が印刷対象領域を通過する「第2パス」においてノズルからインクが吐出される。
このようにインクが吐出されるタイミングが1パス分ずれるため、印刷濃度が高い場合でもインクの凝集等を生じにくく、印刷が乱れないため、高品位の印刷結果を得ることができる。
【0118】
このように、全てのヘッドに共通のマスクパターンを適用する場合と、ヘッド毎にそれぞれ個別のマスクパターンを適用する場合とでは、印刷濃度によって印刷結果の良し悪しに差がある。この点いずれを適用して印刷処理を行うかを切り替えることで、印刷濃度に適したマスクパターンを適用して印刷を行うことができる。
【0119】
なお、各ヘッドに共通のマスクパターンを適用する「第1のモード」(「共通マスクモード」)において吐出有無判定値を求める場合(図7参照)、各ヘッドに個別のマスクパターンを適用する「第2のモード」(「個別マスクモード」)において吐出有無判定値を求める場合(図13参照)ともに、印刷濃度設定値が200%よりも大きい場合(すなわち、図7においてステップS23;YES、図13においてステップS53;YESの場合)には、当然に印刷濃度設定値は100%よりも大きいといえる。
このため、印刷濃度設定値が100%よりも大きいか否かの判断処理(すなわち、図7においてステップS26、図13においてステップS56)を省略して、印刷濃度設定値が100%よりも大きい場合の画素毎の吐出有無判定値の設定(すなわち、図7においてステップS27、図13においてステップS57)とヘッド毎の噴射有無設定(すなわち、図7においてステップS28、図13においてステップS58)、及び印刷濃度設定値が100%よりも大きくない場合の画素毎の吐出有無判定値の設定(すなわち、図7においてステップS29、図13においてステップS59)とヘッド毎の噴射有無設定(すなわち、図7においてステップS30、図13においてステップS60)のみを行うこととしてもよい。
【0120】
ここで、図19から図26を参照しつつ、印刷ヘッド41が、デザインの印刷前に下地を印刷することが可能である場合に、制御部31(制御手段)が爪に印刷する下地の印刷濃度を設定する下地濃度設定手段として機能する場合の、下地濃度の設定処理について具体的に説明する。なお、下地濃度(下地の印刷濃度)は下地用インクの塗布量により変わり、下地濃度が高いとは下地用インクの塗布量が多く隠蔽性が高いことを意味する。
【0121】
この場合、まず図19に示すように、ユーザが爪に印刷したいデザインを操作部12等から選択・入力すると制御部31が入力操作を受け付けてデザインを設定する(ステップS101)。次に制御部31は、ユーザが自分で透け感レベルを設定したいとの選択・入力を行ったか否かを判断する(ステップS102)。「透け感」は、印刷したときのデザインの透明感であり、デザイン印刷時の地爪の見え方に影響する。透け感レベルを高く設定すると、透明感のある印象の仕上がりとなる。また透け感レベルを低く設定すると、白色等の下地用インクをしっかりと塗り重ねて隠蔽性の高い仕上がりとなる。ユーザが自分で透け感レベルを設定したい場合(ステップS102;YES)には、制御部31はユーザによって入力された透け感レベルの設定を受け付ける(ステップS103)。例えばユーザが選択したデザインに対応する透け感レベルがレベル3である場合に、ユーザがもっと透明感のある仕上がりにしたい等により透け感レベルをレベル5に設定する等の調整を行った場合、制御部31はこの入力を受け付ける。他方ユーザが透け感レベルを自分では設定しない(装置側に委ねる)とした場合(ステップS102;NO)、制御部31は透け感レベルを自動設定する(ステップS104)。
【0122】
本実施形態の記憶部32等には、対応付けテーブル(LUT;Look Up Table、図23参照)が記憶されており、ユーザにより手動で、又は制御部31により自動で透け感レベルが設定された場合には、制御部31はこのLUT(以下において「透け感テーブル」という。)を参照して、設定された透け感レベルに対応する下地の印刷濃度を設定する(ステップS105)。
なお、透け感レベルを設定せず、直接下地の印刷濃度を設定してもよい。ただユーザが設定する値としては、下地の印刷濃度値よりも透け感レベルによった方が求めるデザインの完成イメージに直接結びつくため、分かりやすく、好ましい。
【0123】
図23は、透け感テーブルの一例を示す図である。
例えば図示例では、透け感レベルがレベル1からレベル7に分けられており、レベル7が最も透け感レベルが高い。具体的には、例えば全く下地用インクを塗布せず、地爪がそのまま見えている透け感が完全にあるレベルであって、対応する下地印刷濃度は0%である。これに対してレベル1は最も透け感レベルが低く、全く地爪が見えなくなるような透け感の無いレベルである。この場合、対応する下地印刷濃度は例えば300%である。前述のように、本実施形態では全印刷領域への1回の印刷完了状態の印刷濃度を100%としたときに、300%の濃度を印刷濃度の上限としており、透け感レベル1は、印刷濃度の上限まで下地を印刷することを意味する。
なお、図23では印刷濃度の50%刻みで透け感レベルをLUTにより対応付けているが、透け感レベルと印刷濃度との対応付けは図示例に限定されない。下地の印刷濃度(下地塗布量)と「透け感」との関係は下地用インクの種類にも影響を受ける。このため、下地用インクの種類ごとに透け感テーブルを持ってもよい。また印刷濃度(下地塗布量)は、透け感レベルがリニアになるように決定されることが好ましい。例えば、全く地爪の見えなくなる印刷濃度(塗布量)を透け感レベル0とし、下地用インクの塗布量0%(下地印刷濃度0%)を透け感レベル100をとして、レベル1~レベル99の中間レベルの塗布量は演算で求めるとしてもよい。
【0124】
図20から図22は、透け感レベルが自動設定される場合の処理を示すフローチャートである。
例えば図20では、ユーザによって選択され、設定されたデザイン(図19のステップS101参照)から透け感レベルを自動設定する場合を示している。
例えば記憶部32等には、デザインと当該デザインにふさわしい透け感レベルとが対応付けられたデザイン対応付けテーブル(以下「デザインLUT」という、図24参照)が記憶されている。
デザインLUTは、特に透け感レベルが低い方が美しい仕上がりとなるデザインのグループをAグループ、それ以外のデザインをBグループとしたものである。Aグループに入るデザインはデフォルトで決められていてもよいし、ユーザが特に遮蔽性に優れた下地の上に印刷したいと考えるデザインを任意に登録してもよい。また、予めデフォルトでAグループに登録されているデザインを事後にAグループから外したり、当初入っていなかったデザインを新たにAグループに登録する等、ユーザの好みに応じて適宜変更できてもよい。
【0125】
例えば(アニメや漫画等の)キャラクタや国旗のデザイン等は、一般に遮蔽性に優れた下地の上に印刷された方が美しく発色し、くっきりとした好ましい仕上がりとなる。このため図24に示す例では、キャラクタや国旗等のデザインはAグループに入れられており、それ以外のデザインの場合にはBグループとされる。
【0126】
図20に示すように、下地濃度設定手段としての制御部31は、図24に示すようなデザインLUTを参照して、印刷するデザインとして設定されたデザイン(図19のステップS101参照)がAグループに属するものか否かを判断する(ステップS111)。
そして、デザインがAグループに入っている(登録されている)場合(ステップS111;YES)には、透け感レベルを低く(例えばレベル2等に)設定する(ステップS112)。他方デザインがAグループに入っていない場合(Bグループである場合、ステップS111;NO)には、透け感レベルを高く(例えばレベル4等に)設定する(ステップS113)。
なお、設定されたデザインがAグループに入っているか否かの判断は、例えばデザイン画像から判定してもよいし、デザインがプロファイルデータを持っていて、当該デザインがAグループである旨の情報や透け感レベルの情報を制御部31が読み取ることができてもよい。
【0127】
デザインに応じた透け感レベルが設定されると、さらに制御部31は、爪色に基づく濃度設定を行う(ステップS114)。
図22は、爪色濃度設定処理について説明するフローチャートである。
図22に示すように、爪色濃度設定処理では、まず爪の平均濃度を取得(測定)する(ステップS131)。平均濃度を取得する手法は特に限定されないが、例えば爪をカメラ51で撮影し、爪の画像を取得して、当該画像からRGB値(R=Red(赤)、G=Green(緑)、B=Blue(青)の各値)を取得する。この場合のRGB値は平均値でもよいし、全てを加算した値を用いてもよい。
【0128】
そして取得した爪の平均濃度が基準濃度範囲内か否かを判断する(ステップS132)。制御部31が基準濃度範囲内か否かを判断する手法は特に限定されない。例えばRGB値について、それぞれ基準濃度範囲を規定したテーブル(これを以下「爪色濃度判定テーブル」という)を記憶部32等に記憶させておき、制御部31はこの爪色濃度判定テーブルを参照して爪の平均濃度が基準濃度範囲内か否かを判断する。
図26は、爪色濃度判定テーブルの一例を示した図である。
図26に示す例では、Rの基準濃度範囲が150から170であり、G及びBの基準濃度範囲が100から120である場合を示している。なお、基準範囲をどの程度の値とするかは適宜設定される。
【0129】
爪の平均濃度が基準濃度範囲内である場合(ステップS132;YES)には、設定された、要素(例えばデザイン等)に基づく透け感レベルをそのまま設定する。例えば図20で、デザインに応じた透け感レベルがレベル4に設定されると、爪色を考慮した補正を行うことなく、「透け感レベル4」が設定される(ステップS133)。
これに対して、爪の平均濃度がRGB値のうちの一つでも基準濃度範囲でない場合(ステップS132;NO)には、制御部31はさらに、爪の平均濃度が基準濃度範囲よりも濃いか否かを判断する(ステップS134)。基準濃度はRGB値で表現されており、数値が小さいほど濃度が濃いといえる。したがって、例えば爪色のRの値が130等である場合には、爪の平均濃度が基準濃度範囲よりも濃いと判断する(ステップS134;YES)。この場合には設定された、要素(例えばデザイン等)に基づく透け感レベルよりも1段階下げたレベルを透け感レベルとして設定する(ステップS135)。例えば前述の例のように、デザインに応じた透け感レベルがレベル4に設定された場合、制御部31は爪色を考慮して「透け感レベル3」と設定する。
【0130】
他方、爪の平均濃度が基準濃度範囲よりも薄いと判断する場合(ステップS134;NO)には設定された、要素に基づく透け感レベルよりも1段階上げたレベルを透け感レベルとして設定する(ステップS136)。例えばデザインに応じた透け感レベルがレベル4に設定された場合、制御部31は爪色を考慮して「透け感レベル5」と設定する。
なお、例えばカメラ51で撮影した爪の画像からRGB値を取得する場合、取得される数値はカメラ51や光源52等の条件によって変わるため、基準濃度範囲の値についても装置毎に決定することが好ましい。
【0131】
爪の色が濃い場合には下地の印刷濃度を濃くしなければ地爪の影響を抑えたデザインの印刷を行うことができない。この点、爪色濃度によって透け感レベルを補正すれば、爪の色に応じた適切な印刷を行うことができる。
なお、爪色濃度設定処理を行うことは必須ではなく、図20のステップS112,S113で設定された透け感レベルに応じた印刷濃度の設定を行ってもよい。
【0132】
また、透け感レベルの自動設定はデザインに基づいて行われる場合に限定されない。どのような印象の爪にしたいか(透明感のあるものにしたいか、絵柄がくっきりしたものにしたいか等)は、当該ネイルプリントをして、いつ誰とどこに出掛けるのか、Time(時間)、Place(場所)、Occasion(場面)等、様々なシチュエーションによっても異なる。
そこで例えば、ユーザが、選択されたデザインを印刷してどのような場面(場所)に出掛けるかに応じて透け感レベルを自動設定してもよい。
【0133】
図21は、出掛ける場面に応じて透け感レベルを自動設定する場合の処理の一例を示すフローチャートである。
この場合、例えば記憶部32等には、出掛ける場面(場所)と当該場面(場所)にふさわしい透け感レベルとが対応付けられた場面対応付けテーブル(以下「場面LUT」という、図25参照)が記憶されている。
場面LUTは、特に透け感レベルが低い方が好まれる場面をA場面、それ以外の場面をB場面としたものである。A場面に入れられる場面はデフォルトで決められていてもよいし、ユーザが特に透け感レベルの低いネイルプリントをして出掛けたいと考える場面を登録してもよい。また、予めデフォルトでA場面に登録されている場面を事後にA場面から外したり、当初入っていなかった場面を新たにA場面に登録する等、ユーザの好みに応じて適宜変更できてもよい。
【0134】
例えば野球観戦等のスポーツイベントやアニメイベント等の場面では、一般に遮蔽性に優れた下地の上にくっきりとデザインが印刷されたネイルプリントが好まれる傾向にある。このため図25に示す例では、スポーツイベントやアニメイベント等の場面はA場面に入れられており、それ以外の場面の場合にはB場面とされる。
【0135】
この場合、図21に示すように、下地濃度設定手段としての制御部31は、まずネイルプリントをしてどのような場面に出掛けるのか、出掛ける場面についての情報(場面情報)を取得する(ステップS121)。場面情報の取得の仕方は特に限定されない。例えばユーザに予め出掛ける予定、行先等を操作部12等から入力させ、入力された情報から制御部31が場面情報を取得してもよい。
出掛ける場面の情報を取得すると、制御部31は、図25に示すような場面LUTを参照して、当該出掛ける場面はA場面に属するものか否かを判断する(ステップS122)。
ユーザが出かけようとしている場面(場所)がA場面に入っている(登録されている)場合(ステップS122;YES)には、透け感レベルを低く(例えばレベル2等に)設定する(ステップS123)。他方場面(場所)がA場面に入っていない場合(B場面である場合、ステップS122;NO)には、透け感レベルを高く(例えばレベル4等に)設定する(ステップS124)。
そしてこの場合も、さらに爪色濃度設定(ステップS125、図22参照)を行い、爪色に応じて透け感レベルを補正してもよい。
【0136】
なお、透け感レベルを自動設定する場合には、様々な要素を組み合わせて透け感レベルを決定してもよい。この場合には、適宜各要素や項目に優先順位を付したり重み付けをして透け感レベルの設定を行ってもよい。
各要素や項目に付ける優先順位や重み付けは、ユーザが決めてもよいし、デフォルトの設定があってもよい。またデフォルトで設定されている場合にもユーザがこれを任意に変更できてもよい。また、透け感レベルを上下させる場合に基準となる現状の透け感レベルを予め上下に補正できてもよい。例えば、デフォルトの透け感レベルがレベル3である場合に、ユーザが全体的に透け感のある仕上がりを好む場合、デフォルトの透け感レベルをレベル4に変更できてもよい。
【0137】
また、ここでは下地濃度設定手段としての制御部31が透け感レベルを自動設定する場合に、印刷するデザインの傾向(透け感レベルの低い方が好ましいAグループかそれ以外か)、印刷したネイルデザインをして出掛ける先の傾向(場面・場所が透け感レベルの低いものが好まれるA場面かそれ以外か)、及び爪色濃度を考慮する場合について例示したが、透け感レベルを自動設定する場合に考慮される要素はこれに限定されない。例えばユーザの年齢や、男女の別、大人か子供(例えば中学生以下)か等を考慮してもよい。これらの要素の全部又は一部に優先順位を付けたり重み付けをして、複数の要素を掛け合わせて考慮してもよい。さらにユーザが楽しい、淋しい、晴れやかといった気分等を情報として入力すると、それに応じた透け感レベル(例えば楽しい場合には絵柄がくっきりとした印刷となるように低い透け感レベル)を提案することができてもよい。
またここでは、デザインLUTや場面LUTが、透け感レベルの低い方が好ましい群(Aグループ、A場面)とそれ以外(Bグループ、B場面)とに分類される場合を例示したが、対応付けLUTの構成はこれに限定されない。例えば特に透け感レベルの高い方が好ましい群について登録できるようにして、それ以外の群との分類を行ってもよい。また、透け感レベルの低い方が好ましい群、透け感レベルの高い方が好ましい群、それ以外の3つの群に分類して印刷濃度の設定を行うようにしもよい。
【0138】
以上説明したように、本実施形態の印刷装置1は、液剤であるインクを吐出する複数のノズルn1~n6を備え、印刷対象である爪に印刷を施す印刷ヘッド41と、インクの吐出を規定した「吐出規定データ」としての「マスクパターン」に基づいて印刷ヘッド41の吐出動作を制御する制御手段としての印刷制御部313等、を備え、「吐出規定データ」の適用に関して、少なくとも「第1のモード」と「第2のモード」とを有し、印刷制御部313は、「設定された吐出量」の閾値(「予め設定された濃度の閾値」)である「マスクモード切替値」に基づいて、「第1のモード」と「第2のモード」とを切り替える。
これにより、求められる印刷濃度が高濃度である場合も低濃度である場合も、それぞれに適した「マスクパターン」の適用の仕方をすることができ、印刷濃度に関わらず、高品位の印刷結果を得ることができる。
【0139】
また本実施形態では、印刷ヘッド41を複数備えており、印刷制御部313は、「設定された吐出量」の閾値(「予め設定された濃度の閾値」)よりも低濃度で印刷する場合には、全ての印刷ヘッド41について共通の吐出規定データを適用する「第1のモード」により吐出動作の制御を行い、「設定された吐出量」の閾値よりも高濃度で印刷する場合には、各印刷ヘッド41について個別の吐出規定データを適用する「第2のモード」により吐出動作の制御を行う。
低濃度の印刷では、複数の印刷ヘッド41に共通のマスクパターンを適用して非着弾画素や重複画素が生じないようにすることが好ましいが、他方で複数の印刷ヘッド41に共通のマスクパターンを適用すると、高濃度の印刷では、複数の印刷ヘッド41から連続してインクが吐出されインクの凝集等を生じるおそれがある。
この点、求められる印刷濃度に応じて、「マスクパターン」の適用について異なるパターン(マスクの適用モード)を使い分けることで、低濃度の印刷、高濃度の印刷のいずれの場合にも印刷品質の低下を抑えることができる。
【0140】
また本実施形態では、「吐出規定データ」が、印刷対象である爪の印刷対象領域の各位置に対して印刷ヘッド41からインクを吐出させるか否かを規定した「マスクパターン」であり、印刷制御部313は、「マスクパターン」に基づいて印刷ヘッド41の吐出動作を制御する。
これにより印刷ヘッド41からのインク吐出が精度よく分散されるように制御することが可能となり、インクが吐出されていない箇所とインクが重複して吐出されている箇所とが混在すること等により発生するざらつきを抑制することができる。
【0141】
また本実施形態では、「吐出規定データ」である「マスクパターン」として、例えばディザマスクのような、印刷ヘッド41の各ノズルから均等にインクを吐出させるように構成されているものを用いる。
このため、インクが吐出される位置を分散させることができ、ある列やある範囲で印刷されない画素が集中したり、重複して印刷される画素が連続するような事態を招きにくい構成となっている。これにより、インクの塗り残しや重複した印刷等を抑制し、ざらつき等のない印刷結果を得ることができる。
【0142】
また本実施形態では、液剤が、ネイルデザイン等を印刷する前に形成される下地を印刷する下地用インクであり、印刷制御部313は、印刷対象である爪の印刷対象領域に重ねて複数回の印刷を行うように印刷ヘッド41の吐出動作を制御する。
下地用インクとして用いられる白インク等は比較的隠蔽性が低く、1回の印刷ではネイルデザインをくっきりと際立たせることができるような濃度を得られない場合がある。
このような隠蔽性の低いインクによる印刷でも複数回塗り重ねることで十分な濃度を得ることができ、隠蔽性が改善して、ネイルデザイン印刷時におけるインク色の再現性を向上させることができる。これにより、形成された下地の上に鮮やかなネイルデザインを印刷することが可能となる。
【0143】
また印刷ヘッド41は、デザインの印刷前に下地を印刷することが可能であって、制御部31が、印刷する下地の印刷濃度を設定する下地濃度設定手段として機能し、印刷ヘッド41は、下地濃度設定手段としての制御部31によって設定された下地の印刷濃度で、下地を印刷する。
このため、デザインの印刷に適した透け感レベルでネイルプリントを行うことができる。
【0144】
また印刷に適した透け感レベル(下地用インクによる隠蔽性の程度)は、デザインの種類、傾向によってことなり、透けない(印刷濃度が高く隠蔽性が高い)方が美しい場合と、透け感(透明感)のある方が美しい場合がある。
この点本実施形態では、下地濃度設定手段としての制御部31が、デザインに基づいて下地の印刷濃度を設定する。
このため、デザインを引き立たせることのできる、印刷に適した透け感レベルでネイルプリントを行うことができる。
【0145】
また印刷濃度は、印刷ヘッド41からの液剤の吐出量により規定される。
このため、印刷ヘッド41の印刷動作を制御することで、所望の印刷濃度を実現することができる。
【0146】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0147】
例えば、本実施形態では、下地印刷を行う場合に、「吐出規定データ」の適用に関して、少なくとも「第1のモード」と「第2のモード」とを有し、印刷制御部313が「設定された吐出量」の閾値(「予め設定された濃度の閾値」)である「マスクモード切替値」に基づいて、「第1のモード」と「第2のモード」とを切り替える例を示したが、「吐出規定データ」の適用に関してモード切替を行うのは下地印刷の場合に限定されない。
例えばネイルデザインを印刷する場合に「吐出規定データ」の適用に関してモード切替を行ってもよい。デザイン印刷でも無地の色印刷を行うような場合には、濃く印刷したい場合と透明感のある薄い濃度の印刷を行いたい場合等、様々な要望があり、ユーザの好み等に応じて適宜モード切替を行うことができるようにしてもよい。
【0148】
また、本実施形態では、3つの印刷ヘッド41(ヘッドA、ヘッドB、ヘッドC)によって印刷を行う場合を例に説明し、印刷を均等に分担させる際もヘッド数3で除した値を用いる等したが、印刷を担当する印刷ヘッド41は3つに限定されない。さらに多い数で印刷を分担してもよい。
【0149】
また上記実施形態では、印刷ヘッド41として下地用ヘッド41aとデザイン用ヘッド41bとが一体的に構成され、同一のホルダ42に保持されて1つの印刷装置内に設けられている場合を例示したが、印刷ヘッド41の構成はこれに限定されない。
例えば下地用ヘッドとデザイン用ヘッドとが別体となっていて別々のホルダ42に保持されていてもよい。
さらに、下地用ヘッドのみを有し下地印刷を行う印刷装置、デザイン用ヘッドのみを有しデザインを印刷する印刷装置が別個に存在し、下地とデザインとがそれぞれ別々の印刷装置で印刷される形態であってもよい。
【0150】
また、上記実施形態では、印刷装置1と端末装置7とが連携して印刷を行う場合を例示したが、すべての動作が印刷装置1のみで完結される構成としてもよい。
この場合には、印刷装置1に爪の画像やデザインを確認することのできる表示部を設けてもよい。
また、例えば、印刷装置1の記憶部32にネイルデザインを記憶するデザイン記憶領域等を設け、ここに記憶されたデザインをユーザに提案(表示)していずれかのデザインを選択させるようにしてもよい。
なお、印刷装置1が各種ネットワークに接続可能である場合には、ネットワーク接続可能な図示しないサーバ装置等に記憶されているネイルデザイン(デザイン)を取り込むことが可能となっていてもよい。このように外部から取得したデザインを、選択可能なネイルデザインの候補としてユーザに提案可能とした場合には、バリエーションに富んだネイルデザインを爪に印刷することが可能となる。
【0151】
また、本実施形態では、端末装置7側の制御部81において爪情報の検出や印刷データの生成等の処理を行う場合を例示したが、これらの処理をすべて端末装置側で行うことは必須ではない。これらのうちの一部又は全部を印刷装置1の制御部31において行うようにしてもよい。
このように各種処理を印刷装置1側と端末装置7側とで分担するように構成した場合には、制御装置30,80の負担(制御部31,81の処理能力面での負担や記憶部32,82のメモリ容量面での負担)も分散され各部の負担を軽減することができる。
【0152】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
液剤を吐出する複数のノズルを備え、印刷対象に印刷を施す印刷ヘッドと、
液剤の吐出を規定した吐出規定データに基づいて前記印刷ヘッドの吐出動作を制御する制御手段と、
を備え、
前記吐出規定データの適用に関して、少なくとも第1のモードと第2のモードとを有し、
前記制御手段は、設定された印刷濃度に基づいて、前記第1のモードと前記第2のモードとを切り替える、
ことを特徴とする印刷装置。
<請求項2>
前記印刷ヘッドを複数備える場合に、
前記制御手段は、前記設定された印刷濃度の閾値よりも低濃度で印刷する場合には、全ての前記印刷ヘッドについて共通の吐出規定データを適用する前記第1のモードにより前記吐出動作の制御を行い、前記設定された印刷濃度の閾値よりも高濃度で印刷する場合には、各前記印刷ヘッドについて個別の吐出規定データを適用する前記第2のモードにより前記吐出動作の制御を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
<請求項3>
前記吐出規定データは、前記印刷対象の印刷対象領域の各位置に対して前記印刷ヘッドから液剤を吐出させるか否かを規定したマスクパターンであり、
前記制御手段は、前記マスクパターンに基づいて前記印刷ヘッドの吐出動作を制御する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。
<請求項4>
前記吐出規定データは、前記印刷ヘッドの各ノズルから均等に液剤を吐出させるように構成されている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。
<請求項5>
前記液剤は、下地を印刷する下地用インクであり、
前記制御手段は、前記印刷対象の印刷対象領域に重ねて複数回の印刷を行うように前記印刷ヘッドの吐出動作を制御する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。
<請求項6>
前記印刷ヘッドは、デザインの印刷前に下地を印刷することが可能であって、
印刷する前記下地の印刷濃度を設定する下地濃度設定手段を備えており、
前記印刷ヘッドは、前記下地濃度設定手段によって設定された前記下地の印刷濃度で、前記下地を印刷することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。
<請求項7>
前記下地濃度設定手段は、前記デザインに基づいて前記下地の印刷濃度を設定することを特徴とする請求項6に記載の印刷装置。
<請求項8>
前記印刷濃度は、前記印刷ヘッドからの液剤の吐出量により規定されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。
<請求項9>
液剤を吐出する複数のノズルを備え、印刷対象に印刷を施す印刷ヘッドの吐出動作を、液剤の吐出を規定した吐出規定データに基づいて制御する場合に、
前記吐出規定データの適用に関して、少なくとも第1のモードと第2のモードとを有し、
設定された印刷濃度に基づいて、前記第1のモードと前記第2のモードとを切り替える切替工程を含んでいる、
ことを特徴とする印刷制御方法。
<請求項10>
液剤を吐出する複数のノズルを備え、印刷対象に印刷を施す印刷ヘッドの吐出動作を、液剤の吐出を規定した吐出規定データに基づいて制御する場合に、
前記吐出規定データの適用に関して、少なくとも第1のモードと第2のモードとを有し、
設定された印刷濃度に基づいて、前記第1のモードと前記第2のモードとを切り替える切替機能を、コンピュータに実現させる、
ことを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0153】
1 印刷装置
7 端末装置
31 制御部
313 印刷制御部
32 記憶部
321 プログラム記憶領域
40 印刷部
41 印刷ヘッド
81 制御部
811 通信制御部
812 表示制御部
813 爪情報検出部
814 印刷データ生成部
82 記憶部
822 デザイン記憶領域
823 爪情報記憶領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26