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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】情報処理システムおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20231108BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20231108BHJP
【FI】
G06Q50/10
G05D1/02 P
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022107325
(22)【出願日】2022-07-01
【審査請求日】2022-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】須藤 豪
(72)【発明者】
【氏名】小村 章
【審査官】橋沼 和樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/059493(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0224183(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内を自律走行する複数の情報処理装置のうち、利用者によって指定された作業を実行可能な情報処理装置を特定する装置特定部と、
前記特定された情報処理装置に関する装置情報を前記利用者に提示し、該利用者に所望の前記情報処理装置を選択させる選択受付部と、
前記利用者による、前記情報処理装置の移動先の指定を受け付ける移動先受付部と、
前記選択された情報処理装置に、前記指定された移動先への移動指令を出力する管理部と、を備える、
情報処理システム。
【請求項2】
前記選択受付部は、前記特定された情報処理装置の現在の繁忙度合を示す繁忙情報が基準値以下の前記情報処理装置に関する装置情報を提示する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記選択受付部は、前記情報処理装置に割り当てられている作業のうち処理が完了していない未処理作業の数を、前記繁忙情報として前記装置情報と共に提示する、請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記選択受付部は、
前記情報処理装置に割り当てられている作業のうち処理が完了していない未処理作業の数と、
前記情報処理装置が各未処理作業の実行のために必要な移動距離と、
前記情報処理装置の移動速度と、
に基づいて推定された、前記情報処理装置が前記指定された移動先に到着するまでに要する時間を、前記繁忙情報として前記装置情報と共に提示する、請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記管理部は、前記選択された情報処理装置が、前記移動指令に応じて前記移動先への移動を開始した旨、および前記情報処理装置の該移動中の位置を、前記利用者に通知する、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記管理部は、前記選択された情報処理装置がエレベータを利用して前記移動先に移動する場合、該情報処理装置が乗車した前記エレベータのカゴの現在位置を、前記利用者に通知する、請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
建物内を自律走行する複数の情報処理装置のうち、利用者によって指定された作業を実行可能な情報処理装置を特定する装置特定ステップと、
前記特定された情報処理装置に関する装置情報を前記利用者に提示し、該利用者に所望の前記情報処理装置を選択させる選択受付ステップと、
前記利用者による、前記情報処理装置の移動先の指定を受け付ける移動先受付ステップと、
前記選択された情報処理装置に、前記指定された移動先への移動指令を出力する管理ステップと、を含む、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律走行する情報処理装置を管理する情報処理システムおよび情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、依頼された場所に移動して作業を実行するロボットなどの情報処理装置の活用が進んでいる。例えば、建物内の各種の作業(荷物の配達、清掃、警備など)を自律走行する情報処理装置が担う事例が増えている。例えば、特許文献1には、ロボットの階層間移動を容易に実現する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5‐210414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
利用者からの多様な依頼に応じて様々な機能を持つ多種多様な情報処理装置が建物に配備され得る。そのため、どの情報処理装置に作業を依頼してよいのかが利用者に分かりにくくなることが考えられる。
【0005】
本発明の一態様は、情報処理装置の選定を簡便にし、利用者にとって使い勝手のよい情報処理システムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するために、本発明の一態様に係る情報処理システムは、建物内を自律走行する複数の情報処理装置のうち、利用者によって指定された作業を実行可能な情報処理装置を特定する装置特定部と、前記特定された情報処理装置に関する装置情報を前記利用者に提示し、該利用者に所望の前記情報処理装置を選択させる選択受付部と、前記利用者による、前記情報処理装置の移動先の指定を受け付ける移動先受付部と、前記選択された情報処理装置に、前記指定された移動先への移動指令を出力する管理部と、を備えている。
【0007】
上述の課題を解決するために、本発明の一態様に係る情報処理方法は、建物内を自律走行する複数の情報処理装置のうち、利用者によって指定された作業を実行可能な情報処理装置を特定する装置特定ステップと、前記特定された情報処理装置に関する装置情報を前記利用者に提示し、該利用者に所望の前記情報処理装置を選択させる選択受付ステップと、前記利用者による、前記情報処理装置の移動先の指定を受け付ける移動先受付ステップと、前記選択された情報処理装置に、前記指定された移動先への移動指令を出力する管理ステップと、を含む。
【0008】
本発明の各態様に係る情報処理システムは、1または複数のコンピュータによって実現してもよく、この場合には、1つ以上のコンピュータを情報処理システムが備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記情報処理システムをコンピュータにて実現させる情報処理システムの制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、情報処理装置の選定を簡便にし、利用者にとって使い勝手のよい情報処理システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1に係る情報処理システムの構成を模式的に示す図である。
図2】スマートフォンの要部構成を示す機能ブロック図である。
図3】情報処理システムが実行する情報処理方法の処理の流れを示すシーケンス図である。
図4】実施形態2に係る情報処理システムの構成を模式的に示す図である。
図5】ロボットデータベースのデータ構造の一例を示す図である。
図6】タスク管理テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図7】ロボットごとのキューの一例を示す図である。
図8】移動先情報の一具体例を示す図である。
図9】利用者がロボットを呼び出すことを支援するためのユーザインタフェースの一例を示す図である。
図10】情報処理システムが実行する情報処理方法の処理の流れを示すシーケンス図である。
図11】ロボット管理サーバが実行する移動管理処理の流れを示すフローチャートである。
図12】スマートフォンが実行する進捗提示処理の流れを示すフローチャートである。
図13】進捗提示処理によって、スマートフォンに表示される進捗提示画面の一例を示す図である。
図14】ロボット管理サーバが実行するタスク管理処理の流れを示すフローチャートである。
図15】ロボットおよびエレベータ制御装置が実行するエレベータ移動処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0012】
<情報処理システム>
図1は、実施形態1に係る情報処理システム100の構成を模式的に示す図である。図1は、情報処理システム100の構成する装置の1つであるロボット管理サーバ1の要部構成を示す機能ブロック図を含む。
【0013】
情報処理システム100は、少なくとも建物内を自律走行する複数のロボット3(情報処理装置)を管理し、利用者によるロボット3の利用を支援するシステムである。情報処理システム100は、一例として、ロボット管理サーバ1と、スマートフォン2と、ロボット3とを含む。ロボット管理サーバ1は、建物内を自律走行する複数のロボット3を管理し、ロボット3を利用するサービスを利用者に対して提供する。例えば、ロボット管理サーバ1は、利用者が操作する端末装置に対してサービスを提供するサーバ装置である。
【0014】
スマートフォン2は、ロボット3を利用する利用者が操作する端末装置である。本実施形態では、スマートフォン2は、利用者の各々によって所有されている。各利用者は、自身が保有するスマートフォン2を操作して、作業を依頼したいロボット3を選定したり、呼出場所を指定したり、選定したロボット3を呼び出したりすることができる。呼出場所は、利用者が指定する作業を実行するためにロボット3が移動すべき移動先であり、例えば、利用者が居る部屋の部屋番号などであってもよい。端末装置は、ロボット管理サーバ1と通信網を介して通信可能であり、他の例では、スマートフォン2に限らず、ノートPC、デスクトップPC、タブレット端末などであってもよい。端末装置は、複数の利用者で共有されていてもよい。例えば、部署または部屋ごとに1台の端末装置が設置され、その部署または部屋に所属する利用者達が、その1台の端末装置を用いてロボット3を呼び出したりすることができる。
【0015】
ロボット3は、少なくとも建物内を自律走行して、自機が内蔵する機能を発揮して何らかの作業を実行することにより、建物内の物または当該建物の関係者に対して作用する情報処理装置である。本実施形態では、一例として、ロボット3は、単一階層(1階建て)の1つの建物内を自律走行するものとして説明する。他の例では、ロボット3は、同一敷地内に建築されている複数の建物間を、屋外の通路を走行して、移動できるものであってもよい。他の例では、ロボット3は、複数階層からなる建物内を、エレベータを利用して、階層をまたいで移動できるものであってもよい。エレベータを利用して階層移動できるロボット3を適用した例については、実施形態2にて後述する。
【0016】
ロボット3が実行する作業は、どのようなものであってもよい。本実施形態では、一例として、ロボット3は、利用者が指定する呼出場所まで移動して、当該呼出場所にて利用者からゴミを受け取り、収容するゴミ回収ロボットであるものとする。他の例では、ロボット3は、代金(現金、電子マネー、ポイントなど)と引き換えに、飲食物または物品などの商品を利用者に対して提供する販売ロボットであってもよい。ロボット3は、利用者が指定する呼出場所にて利用者から料理の注文を受け付け、調理された当該料理を当該呼出場所まで運搬する給仕ロボットであってもよい。ロボット3は、利用者が指定する呼出場所にて荷物を受け取り、利用者が指定する配達場所へ当該荷物を配達する配達ロボットであってもよい。
【0017】
本実施形態では、利用者からの1回の依頼に応じて、ロボット3が遂行するべき作業の単位を、「タスク」と称する。例えば、あるロボット3に対して、第1利用者の第1作業依頼が受け付けられ、第2利用者の第2作業依頼も受け付けられた場合、ロボット3は、2個のタスクを保持しているということができる。また、ロボット3が、第1作業依頼に応答して作業を実行している場合、このロボット3の状況を「タスク処理中」ということができ、このときの第2作業依頼に対応するタスクを「未処理タスク」(未処理作業)ということができる。ロボット3のタスク管理は、ロボット管理サーバ1によって実行される。
【0018】
(ロボット管理サーバ1の構成)
図1に示すとおり、ロボット管理サーバ1は、一例として、制御部10、記憶部15、および、入出力インタフェース16を備えている。制御部10は、ロボット管理サーバ1を統括的に制御する。制御部10は、例えば、CPU(central processing unit)または専用プロセッサなどの演算装置により構成されている。後述する制御部10の各部は、上述の演算装置が、ROM(read only memory)などで実現された記憶装置に記憶されているプログラムをRAM(random access memory)などに読み出して実行することで実現できる。
【0019】
記憶部15は、制御部10によって用いられる各種データを記憶するものである。記憶部15は、ロボット管理サーバ1の外部の記憶装置として構成されてもよいし、ロボット管理サーバ1が備える内蔵メモリとして構成されてもよい。上述のROMおよびRAMなどを記憶部15として適用することができる。
【0020】
入出力インタフェース16は、ロボット管理サーバ1と他の装置との間のデータの入出力を実現するための機構である。本実施形態では、一例として、入出力インタフェース16は、通信網を介してスマートフォン2およびロボット3と通信する通信部を少なくとも含む。
【0021】
制御部10は、少なくとも、装置特定部11および管理部110を備えている。制御部10は、さらに、リスト提供部12を備えていてもよい。管理部110は、少なくとも、移動指示部102を含んで構成される。管理部110は、さらに、タスク管理部101、監視部103、および通知部104を含んでいてもよい。
【0022】
装置特定部11は、建物内を自律走行する複数のロボット3のうち、利用者によって指定された作業を実行可能なロボット3を特定する。リスト提供部12は、装置特定部11によって特定されたロボット3のリスト(装置情報)を、当該利用者のスマートフォン2に提供する。リストは、例えば、ロボット3を情報処理システム100上で一意に識別するための識別情報またはロボット名を含んでいてもよい。以下では、ロボット3を情報処理システム100上で一意に識別するための識別情報をロボットIDと称する。
【0023】
管理部110は、建物に帰属する各ロボット3を管理するための各種の情報処理を実行する。具体的には、管理部110のタスク管理部101は、ロボット3へのタスクの割り当て、または、ロボット3ごとに割り当てられたタスクの処理進捗を管理する。管理部110の移動指示部102は、処理対象のタスクに関して、利用者によって選定されたロボット3に対して、当該利用者が指定した移動先への移動指令を出力する。
【0024】
管理部110の監視部103は、各ロボット3の状況を監視する。より具体的には、監視部103は、ロボット3から現在の状況を示す情報を受信して、ロボット3の現在の状況を把握する。本実施形態では、ロボット3の状況は、一例として、(1)休止中、(2)移動中、(3)タスク処理中のいずれかに分類される。監視部103は、ロボット3からロボット3の現在位置を示す情報を受信して、ロボット3の現在位置を把握してもよい。例えば、建物の地図情報が、情報処理システム100内の装置間で共有されており、ロボット3は、現在位置を示す情報として、現在位置の座標情報または現在居る部屋の部屋識別情報などを監視部103に送信してもよい。
【0025】
管理部110の通知部104は、監視部103によって把握されたロボット3の状況または現在位置を、当該ロボット3に作業を依頼した利用者のスマートフォン2に通知する。例えば、通知部104は、利用者が作業を依頼したロボット3が、移動指示部102の移動指令に応じて当該利用者が指定した移動先への移動を開始した旨を通知してもよい。また、通知部104は、移動中のロボット3の現在位置を当該利用者に通知してもよい。通知部104は、例えば、移動を開始した旨のメッセージ、または、ロボット3の現在位置を示す情報を、上述の利用者のスマートフォン2に送信することにより、当該利用者に対してこれらの情報を通知することができる。
【0026】
上述の構成によれば、情報処理システムは、ロボット3が、利用者の依頼に対応するために移動先への移動を開始したこと、および、現在どこを移動中であるのかを利用者に提示することができる。これにより、利用者は、自分の順番が回ってきたことと、ロボット3が今どこを通過中であるのかを逐次把握することができる。こうして、ロボット3の到着の見通しが立つことにより、利用者は、いつまで待てばよいのか分からないという不安感またはストレスを感じることなく、自分の順番を待つことができる。
【0027】
(スマートフォン2の構成)
図2は、スマートフォン2の要部構成を示す機能ブロック図である。図2に示すとおり、スマートフォン2は、一例として、制御部20、通信部21、操作部22、および表示部23を備えている。スマートフォン2は、図2に示されている以外にも、スマートフォン2が一般的に備えている各種の部材を備えていてもよい。制御部20は、スマートフォン2を統括的に制御する。制御部20は、例えば、CPUまたは専用プロセッサなどの演算装置により構成されている。後述する制御部20の各部は、上述の演算装置が、ROMなどで実現された記憶装置に記憶されているプログラムをRAMなどに読み出して実行することで実現できる。
【0028】
通信部21は、スマートフォン2と他の装置との間で、通信網を介してデータの送受信を実現するものである。操作部22は、ユーザの操作を受け付けるための入力装置である。操作部22は、受け付けたユーザの操作に対応する指示信号を制御部20に入力する。一例として、操作部22は、表示部23とともにタッチパネルを構成してもよい。表示部23は、制御部20が処理した情報をユーザに視認可能に提示する出力装置である。例えば、表示部23は、液晶表示装置(LCD;Liquid Crystal Display)または有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどによって構成される。例えば、表示部23には、ロボット3を選定したり、ロボットの呼出場所を指定したり、ロボット3を呼び出したりするためのロボット呼出アプリケーションのユーザインタフェース(UI)部品が表示されてもよい。
【0029】
制御部20は、少なくとも、移動先受付部201および選択受付部203を含んでいる。制御部20は、さらに、クエリ実行部202、呼出実行部204および状況通知部205を含んでいてもよい。
【0030】
移動先受付部201は、利用者によるロボット3の移動先の指定を受け付ける。クエリ実行部202は、利用者から希望する作業の種別を受け付けて、指定された種別の作業を実行可能なロボット3をロボット管理サーバ1に問い合わせる。ロボット3が実行する作業の種別を以下では、作業種別と称する。ロボット3の集合を分類するための作業種別をどのように設定するのかは任意である。例えば、作業種別1「ゴミ回収(ペットボトル)」、作業種別2「ゴミ回収(機密書類)」、作業種別3「ゴミ回収(一般ゴミ)」などのように、同じゴミ回収の機能を持つロボット3であっても、回収対象のゴミの種類に対応させてロボット3を分類してもよい。他の例では、作業種別1「ゴミ回収」、作業種別2「販売」、作業種別3「給仕」、作業種別4「配達」などのように、おおまかな機能の違いに応じてロボット3を分類してもよい。
【0031】
例えば、クエリ実行部202は、利用者によって指定された作業種別と、当該利用者のスマートフォン2を情報処理システム100上で一意に管理するための識別情報とを含むクエリを、ロボット管理サーバ1に送信する。スマートフォン2を情報処理システム100上で一意に管理するための識別情報を、以下では、端末IDと称する。
【0032】
こうして、クエリ実行部202は、利用者が希望する作業を実行可能なロボット3のリストをロボット管理サーバ1に対して要求してもよい。すなわち、クエリは、指定された作業種別の作業を実行可能なロボット3のリストをロボット管理サーバ1に対して要求するロボットリスト要求信号である。クエリ実行部202は、移動先受付部201が受け付けた移動先を上述のクエリに含めてもよい。
【0033】
選択受付部203は、ロボット管理サーバ1によって特定されたロボット3に関する装置情報を利用者に提示し、該利用者に所望のロボット3を選択させる。例えば、選択受付部203は、利用者が希望する作業を実行可能であるとしてロボット管理サーバ1の装置特定部11が特定したロボット3のリストを表示部23に表示させる。選択受付部203は、上述のリストにリストアップされたロボット3のそれぞれを選択操作が可能なUI部品と共に表示部23に表示させることにより、利用者に所望のロボット3を選択させる。
【0034】
移動先受付部201が移動先の指定を受け付ける処理と、選択受付部203がロボット3の選択を受け付ける処理とは、どちらが先に実行されても構わない。例えば、移動先受付部201が移動先の指定を先に受け付けて、クエリ実行部202が移動先と作業種別とを含むクエリをロボット管理サーバ1に送信した後、選択受付部203が、利用者から所望のロボット3の選択を受け付けてもよい。他の例では、選択受付部203が表示部23に表示させたリストを介して利用者から所望のロボット3の選択を受け付けた後、移動先受付部201が当該ロボット3の移動先の指定を受け付けてもよい。
【0035】
呼出実行部204は、利用者によって選択されたロボット3の呼出をロボット管理サーバ1に対して行う。一例として、呼出実行部204は、ロボット3に作業を依頼することを示したリクエストを生成し、ロボット管理サーバ1に送信してもよい。リクエストは、利用者が希望する作業を該利用者が選択したロボット3に実行させるために、当該利用者が指定した移動先(呼出場所)に当該ロボット3を来させるように、ロボット管理サーバ1に対して依頼するロボット呼出信号である。呼出実行部204は、一例として、利用者のスマートフォン2の端末IDと、利用者が選択したロボット3のロボットIDと、利用者が指定した呼出場所(ロボット3の移動先)を含むリクエストを生成してもよい。
【0036】
上述のリクエストを受け付けたロボット管理サーバ1のタスク管理部101は、当該リクエストに基づくタスクを選択されたロボット3に割り当てるなど、種々のタスク管理を実行することができる。
【0037】
状況通知部205は、ロボット管理サーバ1の通知部104から提供された、ロボット3の現在の状況を利用者に通知する。例えば、状況通知部205は、通知部104から送信された状況信号に応じてロボット3の現在の状況を特定する。そして、状況通知部205は、特定したロボット3の状況を視覚的に表現する状況標識またはロボット3の現在位置を表示部23に表示させてもよい。より具体的には、状況通知部205は、ロボット3が利用者の作業依頼に対応するために移動を開始したことを説明する文字列を表示部23に表示させてもよい。また、状況通知部205は、ロボット3の現在位置を示す文字列または地図を表示部23に表示させてもよい。
【0038】
(ロボット3の構成)
ロボット3は、一例として、不図示の制御部を備えており、当該制御部は、図1に示すとおり、移動制御部301、タスク処理部302、および報告部303を含んでいる。これらの制御部の各部は、上述の演算装置が、ROMなどで実現された記憶装置に記憶されているプログラムをRAMなどに読み出して実行することで実現できる。ロボット3は、図1に示されている以外にも、各々が行う作業に関連した機能を備えていてもよく、また、自走式ロボットが一般的に備えている自走機構を備えていてもよい。
【0039】
移動制御部301は、ロボット3の自走機構を制御して、指定された移動先にロボット3を移動させる。移動制御部301は、ロボット3が、ロボット管理サーバ1の移動指示部102から出力された移動指令を受信すると、移動指令において示された移動先を目的地として、ロボット3の移動を開始する。
【0040】
タスク処理部302は、指定された呼出場所(移動先)にて、利用者から依頼された作業に関連した機能を制御して、タスクを処理する。タスク処理部302は、呼出場所に到着したら、自動的にタスクを処理してもよいし、そこで待機している利用者からの指示または操作にしたがってタスクを処理してもよい。
【0041】
報告部303は、ロボット3の状況をロボット管理サーバ1に報告する。報告部303は、例えば、ロボット3の現在の状況を示す状況情報をロボット管理サーバ1に送信してもよい。本実施形態では、ロボット3の状況は、一例として、(1)休止中、(2)移動中、(3)タスク処理中、のいずれかに分類される。
【0042】
状況「休止中」は、ロボット3がタスクを1個も保持しておらず、アイドル状態であることを意味する。休止中のロボット3は、最後のタスクを処理し終えた場所で停止して次のタスクの移動指令を待機していてもよいし、建物内に設けられた所定のドックに戻ってそこで次のタスクの移動指令を待機していてもよい。状況「移動中」は、ロボット3が、処理順が先頭のタスクを処理するために、当該タスクの呼出場所に向かって移動している最中であることを意味する。ロボット3が移動指示部102から移動先を含む移動指令を受信して移動を開始してから、当該移動先に到着するまでの間を「移動中」の状況であるとしてもよい。状況「タスク処理中」は、ロボット3が、移動先(呼出場所)に到着して、利用者の依頼に応じて何らかの作業を実行している最中であることを意味する。ロボット3が移動先に到着したことを示す信号を発してから、タスクが完了したことを示す信号を発するまでの間を「タスク処理中」の状況であるとしてもよい。タスクを完了したロボット3は、タスク処理中から休止中へと遷移し、次のタスクに対応する移動先を移動指示部102から受信すると移動中へと遷移する。
【0043】
報告部303は、状況情報を定期的に生成してロボット管理サーバ1に送信してもよいし、状況が変化したときに変化後の状況情報をロボット管理サーバ1に送信してもよいし、その両方を実行してもよい。
【0044】
例えば、ロボット3が休止中の状況においてロボット管理サーバ1から移動指令を受信すると、移動制御部301が指定された移動先への移動を開始する。これにより、ロボット3の状況は、休止中から移動中に遷移する。このとき、報告部303は、ロボット3が移動を開始したことを示す状況情報「移動開始」を、ロボット管理サーバ1に送信することにより、状況が移動中へと遷移したことをロボット管理サーバ1に報告してもよい。
【0045】
例えば、ロボット3が移動先に到着して移動制御部301が移動機構に対する制御を終了させると、タスク処理部302が、利用者から依頼された作業に関連した機能を制御して、タスクを処理する。これにより、ロボット3の状況は、移動中からタスク処理中に遷移する。このとき、報告部303は、ロボット3が移動先に到着したことを示す状況情報「目的地到着」を、ロボット管理サーバ1に送信することにより、状況が移動中からタスク処理中へと遷移したことをロボット管理サーバ1に報告してもよい。
【0046】
例えば、ロボット3は、タスクを完了すると、その場で停止して次の移動指令を待機する。これにより、ロボット3の状況は、タスク処理中から休止中に遷移する。このとき、報告部303は、ロボット3がタスクを完了したことを示す状況情報「タスク完了」を、ロボット管理サーバ1に送信することにより、状況がタスク処理中から休止中へと遷移したことをロボット管理サーバ1に報告してもよい。
【0047】
報告部303は、ロボット3の現在位置を、上述の状況情報に追加してロボット管理サーバ1に送信してもよい。また、報告部303は、ロボット3の状況が移動中である間、所定時間間隔で(例えば、10秒~数分おきに)、状況「移動中」と、その時点での現在位置とを含む状況情報をロボット管理サーバ1に送信してもよい。
【0048】
<ロボット呼出フェーズの処理フロー>
図3は、情報処理システム100が実行する情報処理方法の処理の流れを示すシーケンス図である。図3に示す情報処理方法は、利用者によるロボットの呼出を支援する情報処理方法であり、ロボット呼出フェーズにおいて、情報処理システム100によって実行される。
【0049】
本実施形態に係る情報処理方法は、建物内を自律走行する複数のロボット3のうち、利用者によって指定された作業を実行可能なロボット3を特定する装置特定ステップ(ステップS106)と、特定されたロボット3に関するリスト(装置情報)を利用者に提示し、該利用者に所望のロボット3を選択させる選択受付ステップ(ステップS110)と、利用者による、ロボット3の移動先の指定を受け付ける移動先受付ステップ(ステップS102)と、選択されたロボット3に、指定された移動先への移動指令を出力する管理ステップ(ステップS115)と、を含む。情報処理方法の一例を、図3を参照して詳細に説明すると以下のとおりである。
【0050】
ステップS101では、スマートフォン2は、例えば、利用者の操作部22を介した操作にしたがってロボット呼出アプリケーションを起動してもよい。ロボット呼出アプリケーションとは、図2に示す制御部20の各部の機能をスマートフォン2において実行可能にするプログラムである。スマートフォン2は、ロボット呼出アプリケーションを起動した時、ロボット呼出アプリケーションにて使用されるスマートフォン2の端末IDを取得してもよい。
【0051】
ステップS102(移動先受付ステップ)では、移動先受付部201は、利用者がロボット3に来てほしい場所を入力するための呼出場所指定欄を表示部23に表示させて、ロボット3の移動先の指定を受け付ける。移動先受付部201は、後述するステップS110(選択受付ステップ)の後、ステップS102を実行してもよい。
【0052】
ステップS103では、クエリ実行部202は、作業種別一覧を表示部23に選択可能に表示させて、利用者に、ロボット3に実行させたい作業の作業種別を選択させる。クエリ実行部202は、ステップS102よりも前に、ステップS103を実行してもよい。
【0053】
ステップS104では、クエリ実行部202は、クエリを生成し、ロボット管理サーバ1に送信する。例えば、クエリ実行部202は、利用者のスマートフォン2の端末IDと、利用者がステップS102で指定した呼出場所(移動先)と、利用者が指定した作業種別とを含むクエリを生成してもよい。
【0054】
ステップS105では、ロボット管理サーバ1は、スマートフォン2からクエリを受信すると、ステップS105のYESからステップS106へ処理を進める。
【0055】
ステップS106では、装置特定部11は、クエリにおいて指定されている作業種別の作業を実行可能なロボット3を特定する。例えば、ロボット管理サーバ1の記憶部15には、建物に帰属するロボット3のデータベースが記憶されており、装置特定部11は、指定された作業種別の作業を実行可能なロボット3の集合を当該データベースから抽出してもよい。このとき、装置特定部11は、クエリにおいて指定されている移動先に行くことができないロボット3を集合から除外してもよいし、繁忙なロボット3を集合から除外してもよい。例えば、データベースにおいて、ロボット3の繁忙度合いを示す繁忙情報が管理されていてもよい。繁忙情報は、ロボット3が未処理のまま抱えているタスクの個数、すなわち、未処理タスク数(未処理作業の数)であってもよいし、ロボット3が先のすべてのタスクを処理して利用者の依頼に応えられるようになるまでにかかる時間、すなわち、待ち時間であってもよい。装置特定部11は、繁忙情報が基準値を超えるロボット3を繁忙なロボットであるとしてリストから除外してもよい。
【0056】
ステップS107では、リスト提供部12は、装置特定部11によって特定されたロボット3の集合についてリストを生成する。リスト提供部12は、所定条件に基づいてリストをソートしてもよい。例えば、リスト提供部12は、ロボット3の現在位置が指定されている移動先に近い順にロボット3のリストを生成してもよい。あるいは、リスト提供部12は、未処理タスク数が少ない順にロボット3のリストを生成してもよい。あるいは、リスト提供部12は、待ち時間が短い順にロボット3のリストを生成してもよい。
【0057】
リスト提供部12は、ロボット3のロボットID、ロボット3が実行可能な作業種別を含むリストを生成してもよい。上述のデータベースにおいて、ロボット3の繁忙情報が管理されている場合には、リスト提供部12は、各ロボット3の繁忙情報をリストに含めてもよい。
【0058】
ステップS108では、リスト提供部12は、生成したリストをクエリの送信元のスマートフォン2に提供する。リスト提供部12は、クエリに含まれる端末IDに基づいて送信元のスマートフォン2の宛先を特定し、入出力インタフェース16を介してリストを当該スマートフォン2に送信することができる。
【0059】
ステップS109では、スマートフォン2は、ロボット管理サーバ1からロボット3のリストを受信すると、ステップS109のYESからステップS110へ処理を進める。
【0060】
ステップS110(選択受付ステップ)では、スマートフォン2の選択受付部203は、ステップS109で受信されたリストを表示部23に表示させる。選択受付部203は、利用者が所望のロボット3を選択することが可能なUI部品と共に当該リストを表示させて、利用者によるロボット3の選択を受け付ける。
【0061】
ステップS111では、選択受付部203は、ロボット3を選択するための利用者の操作を待機する。表示部23に表示されたUI部品を介して、いずれかのロボット3が選択された状態で、呼出を指示するUI部品(例えば、呼出ボタンなど)が押されたとする。この場合、スマートフォン2は、ステップS111のYESからステップS112へ処理を進める。
【0062】
ステップS112では、呼出実行部204は、リクエストを生成してロボット管理サーバ1に送信する。呼出実行部204は、例えば、依頼主である利用者のスマートフォン2の端末IDと、利用者が選択したロボット3のロボットIDと、利用者が指定した移動先(呼出場所)とを含むリクエストを生成してもよい。ステップS102で指定された移動先が、クエリを受信したとき(ステップS105)に、利用者の端末IDと紐付けて一時的に管理されている場合には、呼出実行部204は、移動先を省略してリクエストを生成してもよい。
【0063】
ステップS113では、ロボット管理サーバ1の管理部110は、スマートフォン2からリクエストを受信すると、ステップS113のYESからステップS114へ処理を進める。
【0064】
ステップS114では、管理部110は、リクエストにおいて示されたロボット3の状況が休止中であるか否かを判断する。管理部110は、ロボット3の状況が休止中である場合、ステップS114のYESからステップS115へ処理を進める。管理部110は、ロボット3の状況が休止中でない場合、すなわち、移動中かタスク処理中である場合、ステップS114のNOからステップS116へ処理を進める。
【0065】
ステップS115(管理ステップ)では、移動指示部102は、リクエストに示されたロボット3に対して、リクエストに示された移動先への移動指令を出力する。ここで、タスク管理部101は、ロボット3ごとにタスクをキューを用いて管理していてもよく、ステップS113で受信されたリクエストに対応するタスクを、選択されたロボット3のキューの先頭に格納してもよい。
【0066】
ステップS116では、タスク管理部101は、リクエストに示されたロボット3のキューの最後尾に、当該リクエストに対応するタスクを追加する。
【0067】
ステップS117では、通知部104は、ロボット3の現在の状況に対応する状況信号を、依頼主のスマートフォン2に送信してもよい。具体的には、通知部104は、利用者によって選択されたロボット3が、現在、先の依頼に対応中であることを意味する「作業中」の状況信号をスマートフォン2に送信してもよい。
【0068】
以上で、情報処理システム100は、ロボット呼出フェーズを完了させて、ロボット状況監視フェーズに移行する。ロボット状況監視フェーズは、利用者によって呼び出されたロボット3の状況を逐次監視し、把握された状況を当該利用者に通知する情報処理方法を実行するフェーズである。ロボット状況監視フェーズの詳細は、実施形態2において、図10図13を参照して詳細に説明する。
【0069】
<効果>
以上のとおり、実施形態1に係る情報処理システム100は、建物内を自律走行する複数の情報処理装置(ロボット3)のうち、利用者によって指定された作業を実行可能な情報処理装置を特定する装置特定部11と、特定された情報処理装置に関する装置情報(リスト)を利用者に提示し、該利用者に所望の情報処理装置を選択させる選択受付部203と、利用者による、情報処理装置の移動先の指定を受け付ける移動先受付部201と、選択された情報処理装置に、指定された移動先への移動指令を出力する管理部110(移動指示部102)と、を備えている。
【0070】
以上のとおり、実施形態1に係る情報処理方法は、建物内を自律走行する複数の情報処理装置(ロボット3)のうち、利用者によって指定された作業を実行可能な情報処理装置を特定する装置特定ステップ(ステップS106)と、特定された情報処理装置に関する装置情報(リスト)を利用者に提示し、該利用者に所望の情報処理装置を選択させる選択受付ステップ(ステップS110)と、利用者による、情報処理装置の移動先の指定を受け付ける移動先受付ステップ(ステップS102)と、選択された情報処理装置に、指定された移動先への移動指令を出力する管理ステップ(ステップS115)と、を含む。
【0071】
上述の構成または方法によれば、情報処理システムは、利用者によって指定された作業を実行可能な情報処理装置の中から所望の情報処理装置を該利用者に選択させ、選択された情報処理装置を、該利用者によって指定された移動先に移動させる。
【0072】
このようにすれば、利用者は、どの情報処理装置に作業を依頼すればよいのかが分からずとも、自分が希望する作業を指定するだけで、当該作業を実行可能な情報処理装置に関する情報を得ることができる。そうして、利用者は、作業を依頼する情報処理装置を簡便に選定し、情報処理装置の呼出場所(移動先)を併せて指定して、容易に、所望の情報処理装置を、所望の呼出場所に呼び出すことができる。
【0073】
結果として、情報処理装置の選定を簡便にし、利用者にとって使い勝手のよい情報処理システムを実現することができる。
【0074】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0075】
<情報処理システム>
図4は、実施形態2に係る情報処理システム200の構成を模式的に示す図である。情報処理システム200において、実施形態1に係る情報処理システム100と異なる点は、情報処理システム200が、さらに、エレベータ制御装置4を含む点である。
【0076】
本実施形態では、ロボット3は、複数階層からなる建物内を、エレベータを利用して、階層をまたいで移動できる。エレベータ制御装置4は、ロボット3からの乗場呼びに応答して、ロボット3がいる出発階にカゴを移動させて、ロボット3からの行き先階呼びに応答して、当該ロボット3が指定する行先階までカゴを昇降させ、ロボット3の階層をまたぐ移動を支援する。
【0077】
エレベータ制御装置4としては、エレベータの利用者の端末装置と通信して、端末装置から該利用者の出発階を示す情報を受信し、エレベータの利用に関して、利用者の要望に応答するように構成されているものを採用できる。エレベータ制御装置4は、ロボット3からエレベータ利用要求を受信することができる。エレベータ利用要求には、ロボット3の出発階および行先階を示す情報が含まれている。また、エレベータ制御装置4は、制御対象の1つ以上のカゴの情報を、端末装置に提供するのと同様の方法で、ロボット管理サーバ1またはロボット3に提供することができる。すなわち、建物に敷設された既存のエレベータシステムに容易に各実施形態に係る情報処理システムを適用することができる。
【0078】
(エレベータ制御装置4の構成)
図4に示すとおり、エレベータ制御装置4は、一例として、制御部40、および、入出力インタフェース46を備えている。制御部40は、エレベータ制御装置4を統括的に制御する。制御部40は、例えば、CPUまたは専用プロセッサなどの演算装置により構成されている。後述する制御部40の各部は、上述の演算装置が、ROMなどで実現された記憶装置に記憶されているプログラムをRAMなどに読み出して実行することで実現できる。
【0079】
入出力インタフェース46は、エレベータ制御装置4と他の装置との間のデータの入出力を実現するための機構である。本実施形態では、一例として、入出力インタフェース46は、通信網を介してロボット管理サーバ1およびロボット3と通信する通信部を少なくとも含む。
【0080】
制御部40は、一例として、カゴ制御部41およびカゴ情報提供部42を備えていてもよい。カゴ制御部41は、建物内に敷設されたエレベータの各カゴを制御する。カゴ制御部41は、ロボット3から受信したエレベータ利用要求に応答して、各カゴの動力機構(不図示)と通信し、カゴの昇降、停止、扉の開閉などを実行する。
【0081】
具体的には、カゴ制御部41は、出発階と行先階とを指定したエレベータ利用要求をロボット3から受信すると、カゴを出発階に移動させて、当該カゴにロボット3を乗車させて行先階まで移動させる。カゴ制御部41は、カゴが出発階に到着した時に、ロボット3に乗車を促す信号(乗車指示)を発信してもよいし、カゴが行先階に到着した時に、ロボット3に降車を促す信号(降車指示)を発信してもよい。
【0082】
複数のカゴを制御対象とする場合、エレベータ制御装置4は、ロボット3から指定された出発階および行先階と、各カゴの現在の居場所を示す現在階などに基づいて、ロボット3に割り当てる最適なカゴを選択してもよい。エレベータ制御装置4は、ロボット3に割り当てるカゴを決定すると、決定したカゴを識別するカゴ番号(例えば、1号機、2号機、・・・、N号機など)を、ロボット3に通知してもよい。
【0083】
カゴ情報提供部42は、カゴの現在階を含むカゴ情報を生成し、当該カゴ情報を入出力インタフェース46を介して、ロボット管理サーバ1に送信する。カゴ情報提供部42は、定期的にカゴの最新のカゴ情報をロボット管理サーバ1に提供してもよいし、ロボット管理サーバ1からの要求に応じて、カゴ情報をロボット管理サーバ1に提供してもよい。また、カゴ情報提供部42は、ロボット3によるカゴへの乗降のイベントが発生する度にカゴ情報をロボット管理サーバ1に提供してもよい。カゴ情報は、少なくとも、カゴの現在の居場所を示す現在階を含み、制御対象のカゴが複数ある場合には、カゴを識別するカゴ番号をさらに含んでいてもよい。
【0084】
(ロボット3の構成)
本実施形態に係る移動制御部301は、さらに、エレベータを利用して階層間移動する機能を有する。具体的には、移動制御部301は、ロボット管理サーバ1の移動指示部102から指示された移動先とロボット3が現在居る階床と異なる場合、現在居る階床を出発階、移動先に示された階床を行先階とするエレベータ利用要求を生成し、エレベータ制御装置4に送信する。そして、移動制御部301は、あらかじめ把握しているエレベータの乗場への移動を開始する。移動制御部301は、エレベータ制御装置4から乗車するカゴのカゴ番号を受信した場合には、その指定されたカゴ番号のカゴに乗車できる位置までロボット3を移動させてもよい。
【0085】
移動制御部301は、エレベータ制御装置4から乗車指示を受信した場合、ロボット3を出発階に到着しているカゴの中へ移動させる。移動制御部301は、カゴが行先階に到着して、エレベータ制御装置4から降車指示を受信した場合、ロボット3をカゴの外へ移動させる。移動制御部301は、移動先にしたがって、ロボット3を、カゴを降りた場所から呼び出された部屋まで移動させる。
【0086】
報告部303は、ロボット3の「移動中」の状況に関して、エレベータを利用した階層間移動の状況に関して、より詳細にロボット管理サーバ1に報告してもよい。一例として、本実施形態では、(1)休止中、(2)移動中、(3)タスク処理中の状況のうち、(2)移動中は、さらに、(2a)移動中、(2b)エレベータに乗車、(2c)エレベータで移動中、(2d)エレベータから降車、のいずれかに分類される。
【0087】
状況「移動中」は、ロボット3がエレベータを使わずに水平移動を行っている最中であることを意味する。例えば、ロボット3が現在位置から同一階床の別の部屋へ移動しているとき、ロボット3が現在位置からエレベータ乗場へ移動しているとき、ロボット3がエレベータを降りた場所から呼出場所の部屋へ移動しているときなどが「移動中」に含まれる。報告部303は、ロボット3が、移動指令に応答して移動を開始したことを示す状況情報「移動開始」を、ロボット管理サーバ1に送信することにより、状況が、休止中から移動中へと遷移したことをロボット管理サーバ1に報告してもよい。
【0088】
状況「エレベータに乗車」は、ロボット3がエレベータのカゴに乗車したことを意味する。報告部303は、ロボット3が、エレベータ制御装置4からの乗車指示に応答して、カゴ内への移動を開始した時またはカゴ内への移動を終了した時、状況情報「エレベータ乗車」をロボット管理サーバ1に送信してもよい。これにより、ロボット管理サーバ1は、状況が「移動中」から「エレベータに乗車」に遷移したことを把握することができる。エレベータ制御装置4が制御するカゴが複数ある場合、報告部303は、エレベータ制御装置4から指定されたカゴのカゴ番号を上述の状況情報に含めて報告してもよい。
【0089】
状況「エレベータで移動中」は、ロボット3がカゴ内にて階層間移動を行っている最中であることを意味する。報告部303は、カゴの昇降が開始されたときに、状況情報「エレベータで移動中」をロボット管理サーバ1に送信してもよいが、これを省略してもよい。ロボット管理サーバ1は、状況情報「エレベータで移動中」を受信せずとも、状況情報「エレベータ乗車」を受信した後、後述する状況情報「エレベータ降車」を受信するまでは、ロボット3がエレベータで移動中であると判断してもよい。
【0090】
状況「エレベータから降車」は、ロボット3がエレベータのカゴから降車したことを意味する。報告部303は、ロボット3が、エレベータ制御装置4からの降車指示に応答して、カゴから出るための移動を開始した時またはカゴの外へ出た時、状況情報「エレベータ降車」をロボット管理サーバ1に送信してもよい。これにより、ロボット管理サーバ1は、状況が「エレベータで移動中」から「エレベータから降車」に遷移したことを把握することができる。エレベータ制御装置4が制御するカゴが複数ある場合、報告部303は、エレベータ制御装置4から指定されたカゴのカゴ番号を上述の状況情報に含めて報告してもよい。
【0091】
報告部303は、カゴを降りた場所から目的までの水平移動中において状況情報の報告を省略して、ロボット3が指定された移動先に到着した時に、状況情報「目的地到着」をロボット管理サーバ1に送信してもよい。ロボット管理サーバ1は、水平移動中の報告を受けずとも、状況情報「エレベータ降車」を受信した後、状況情報「目的地到着」を受信するまでは、ロボット3が目的地に向かって「移動中」であると判断してもよい。そして、ロボット管理サーバ1は、状況情報「目的地到着」を受信すると、ロボット3の状況が「タスク処理中」に遷移したと判断してもよい。
【0092】
報告部303は、上述のように、エレベータの昇降のイベントが発生する度に状況情報をロボット管理サーバ1に送信してもよいし、ロボット3の現在位置を定期的にロボット管理サーバ1に送信してもよい。
【0093】
(ロボット管理サーバ1の構成)
本実施形態では、ロボット管理サーバ1の監視部103は、各ロボット3のエレベータを利用した移動を含め、ロボット3の状況を監視する。より具体的には、監視部103は、ロボット3から状況情報を受信するとともに、エレベータ制御装置4から提供されたカゴ情報を取得して、ロボット3の状況を把握する。
【0094】
監視部103は、ロボット3から状況情報「移動開始」を受信すると、ロボット3の状況が「休止中」から「移動中」に遷移したと判断する。
【0095】
監視部103は、ロボット3から状況情報「エレベータ乗車」およびカゴ番号を受信すると、ロボット3の状況が「エレベータに乗車」に遷移したと判断する。さらに、監視部103は、受信したカゴ番号のカゴの現在階を取得し、ロボット3が乗車した階床(以下、乗車階)を特定する。状況情報の受信から所定秒(例えば5秒)経過すると、監視部103は、ロボット3の状況が「エレベータで移動中」に遷移したと推定してもよい。
【0096】
監視部103は、ロボット3から状況情報「エレベータ降車」およびカゴ番号を受信すると、ロボット3の状況が「エレベータで移動中」から「エレベータから降車」に遷移したと判断する。さらに、監視部103は、受信したカゴ番号のカゴの現在階を取得し、ロボット3が降車した階床(以下、降車階)を特定する。状況情報の受信から所定秒(例えば5秒)経過すると、監視部103は、ロボット3の状況が、再び「移動中」に遷移したと推定してもよい。
【0097】
監視部103は、ロボット3から状況情報「目的地到着」を受信すると、ロボット3の状況が「タスク処理中」に遷移したと判断する。
【0098】
通知部104は、監視部103によって判断されたロボット3の現在の状況を、当該状況を表す状況信号として、逐次、利用者のスマートフォン2に送信してもよい。
【0099】
例えば、監視部103が、ロボット3の状況が「休止中」から「移動中」に遷移したと判断したとき、通知部104は、「移動開始」を表す状況信号をスマートフォン2に送信してもよい。当該状況信号を受信したスマートフォン2においては、ロボット3が先の依頼の対応を終えて、利用者の依頼に対応するために移動を開始したと解釈される。
【0100】
例えば、監視部103が、ロボット3の状況が「エレベータに乗車」に遷移したと判断して乗車階を特定したとき、通知部104は、「エレベータ乗車、乗車階=f1」を表す状況信号をスマートフォン2に送信してもよい。当該状況信号を受信したスマートフォン2においては、ロボット3がf1階でエレベータに乗ったと解釈される。
【0101】
その後、通知部104は、状況が「エレベータから降車」に遷移したと判断されるまでの間、「エレベータで移動中」を表す状況信号をスマートフォン2に送信してもよいし、送信を省略してもよい。
【0102】
例えば、監視部103が、ロボット3の状況が「エレベータから降車」に遷移したと判断して降車階を特定したとき、通知部104は、「エレベータ降車、降車階=f2」を表す状況信号をスマートフォン2に送信してもよい。当該状況信号を受信したスマートフォン2においては、ロボット3がf2階でエレベータから降りたと解釈される。
【0103】
例えば、監視部103は、ロボット3から状況情報「目的地到着」を受信したとき、通知部104は、「目的地到着」を表す状況信号をスマートフォン2に送信してもよい。当該状況信号を受信したスマートフォン2においては、ロボット3が利用者によって指定された移動先に到着したと解釈される。
【0104】
以上のとおり、通知部104(管理部110)は、利用者によって選択されたロボット3がエレベータを利用して指定された移動先に移動する場合、ロボット3が乗車したエレベータのカゴの現在位置(乗車階または降車階)を、利用者に通知してもよい。
【0105】
上述の構成によれば、情報処理システムは、ロボット3が移動先に移動するために乗車したエレベータのカゴの位置を利用者に提示する。これにより、利用者は、ロボット3の階層をまたいだ移動状況を具体的に把握しながら、ロボット3の到着を待つことができる。
【0106】
<データ構造>
(ロボットデータベース)
ロボット管理サーバ1は、建物に帰属するロボット3の情報を、データベースを用いて管理してもよい。図5は、ロボットデータベースのデータ構造の一例を示す図である。ロボットデータベースは、例えば、記憶部15に記憶されている。ロボット管理サーバ1が扱うデータのデータ構造を配列またはキューで示したことは一例であって、当該データ構造を、図示の形式に限定する意図はなく、ロボット管理サーバ1が扱うデータに対して適宜のデータ構造が採用され得る。データ構造を示すその他の図においても同様である。
【0107】
ロボットデータベースは、一例として、ロボットID、機能、位置、状況、未処理タスク数(繁忙情報)、移動速度の各要素を含んで構成される。ロボットIDは、ロボット3を情報処理システム100上で一意に識別するための識別情報である。ロボットIDの他に、ロボット3の名前が格納されていてもよい。
【0108】
機能は、ロボット3が実行可能な作業の作業種別を示す情報である。本実施形態では、建物に帰属するロボット3は、ゴミを回収する機能を備えたロボットであり、各ロボット3は、回収するゴミの種類に対応する作業種別によって分類されている。
【0109】
位置は、ロボット3の現在位置を示す情報である。本実施形態では、ロボット3の位置および移動先は、階床と部屋番号との組み合わせで表される。
【0110】
状況は、ロボット3の現在の状況を示す情報である。本実施形態では、上述のとおり、ロボット3の状況は、(1)休止中、(2a)移動中、(2b)エレベータに乗車、(2c)エレベータで移動中、(2d)エレベータから降車、(3)タスク処理中のいずれかに分類される。
【0111】
未処理タスク数は、ロボット3が作業を完了させていないタスクの個数を示す情報である。ロボット3が現在対応中であるタスクを、未処理タスク数にカウントするかしないかは、いずれでもよく、いずれかに統一されている。未処理タスク数の他に、待ち時間が格納されていてもよい。
【0112】
移動速度は、ロボット3の移動性能としての移動速度を示す情報である。ロボット3がタスク遂行のために移動しなければならない距離と当該移動速度とを参照することにより、ロボット管理サーバ1は、ロボット3が移動に要する時間を算出することができる。待ち時間を算出しない構成、または、待ち時間の算出に移動時間を考慮しない構成では、データベースにおいて移動速度の要素を省略してもよい。
【0113】
装置特定部11は、図5に示すデータベースの機能のカラムを参照して、利用者によって指定された作業を実行可能なロボット3の集合を抽出することができる。
【0114】
リスト提供部12は、データベースの未処理タスク数のカラムを参照して、未処理タスク数の少ない順にソートしたリストを生成したり、未処理タスク数が所定値以上のロボット3をリストから除外したりすることができる。リスト提供部12は、未処理タスク数と移動速度とに基づいてロボット3ごとの待ち時間を推測し、待ち時間が短い順にソートしたリストを生成することもできる。待ち時間の算出は、後述するように、タスク管理部101によって実行されてもよい。
【0115】
監視部103は、ロボット3の報告部303から報告を受けた状況情報の内容に応じて、ロボット3の現在の状況を判断し、状況のカラムを更新する。監視部103は、ロボット3から現在位置の報告を受けた場合には、位置のカラムを更新してもよい。
【0116】
(タスク管理テーブル)
ロボット管理サーバ1は、利用者のスマートフォン2から受信したリクエストを、タスク管理テーブルを用いて管理してもよい。図6は、タスク管理テーブルのデータ構造の一例を示す図である。タスク管理テーブルは、例えば、記憶部15に記憶されている。
【0117】
タスク管理テーブルは、一例として、タスクID、処理順、呼出日時、端末ID、ロボットID、移動先、進捗の各要素を含んで構成される。タスクIDは、スマートフォン2から受信した1つのリクエストに対応する1つのタスクを一意に識別するための識別情報である。
【0118】
処理順は、1つのロボット3が抱えているタスクの中で、当該タスクの順番が何番目であるのかを示す情報である。タスク管理部101は、通常、スマートフォン2からリクエストが受け付けられた日時が早い順に、タスクの処理順を決定する。タスク管理部101は、タスクが1つ完了する度に、処理順を1つ繰り上げてもよい。また、タスク管理部101は、処理が完了したタスクの処理順を、空値に更新してもよい。
【0119】
呼出日時は、スマートフォン2からリクエストが発行された日時、または、当該リクエストがロボット管理サーバ1にて受け付けられた日時を示す。端末IDは、リクエストを発行したスマートフォン2の識別情報である。ロボットIDは、利用者によって選択されたロボット3の識別情報である。移動先は、利用者によって指定された呼出場所の識別情報である。進捗は、当該タスクの処理進捗を示す情報である。「処理中」は、ロボット3が当該タスクに対応中であることを意味する。当該タスクに対応する移動先への移動を開始すれば、当該タスクに対応中であると判断されてもよい。「未処理」は、ロボット3が当該タスクに関してまだ移動も開始していないことを意味する。「完了」は、ロボット3が当該タスクを完了していることを意味する。
【0120】
タスク管理部101は、スマートフォン2からリクエストを受信すると、タスクIDおよび処理順を付与して図6に示すタスク管理テーブルに登録する。処理順が先頭(例えば、「1」)でないタスクについて、タスク管理部101は、進捗「未処理」を関連付けてもよい。
【0121】
移動指示部102は、タスク管理テーブルから、処理順が先頭のタスクのロボットIDと移動先とを読み出して、当該ロボットIDに対応するロボット3に対して、当該移動先への移動を指示する移動指令を出力する。この移動指令に応答してロボット3が移動を開始すると、タスク管理部101は、当該タスクの進捗を「未処理」から「処理中」に更新してもよい。タスク管理部101は、ロボット3から状況情報「タスク完了」を受信すると、当該タスクの進捗を「処理中」から「完了」に更新してもよい。
【0122】
(待ち行列)
図6に示すタスク管理テーブルのタスクを、ロボット3ごとに処理順に並べると、図7に示すようなキューで表すことができる。タスク管理部101は、ロボット3ごとにキューを作成し、記憶部15に記憶して適宜参照してもよい。しかし、図7に示すキューは、タスク管理部101の機能について理解を助ける目的で示されたものであり、ロボット管理サーバ1は、このようなキューを、必ずしも作成したり、保持したりしない。
【0123】
図示の例では、キューの左端を先頭として、左端から順に、依頼された順にタスクが格納される。キューの先頭(左端)にあるタスクは、処理順が1のタスク、左から2番目にあるタスクは、処理順が2のタスクである。キューが空のロボット3、すなわち、休止中のロボット3に対してリクエストが発行されると、タスク管理部101は、キューの先頭に当該リクエストに対応するタスクを格納し、当該タスクに対応する移動先を示した移動指令をロボット3に出力する。
【0124】
1個以上のタスクがキューに格納されているロボット3に対してリクエストが発行されると、タスク管理部101は、当該ロボット3のキューの最後尾に当該リクエストに対応するタスクを格納する。
【0125】
タスク管理部101は、キューの状態に基づいて、ロボット3ごとに繁忙情報を算出してもよい。例えば、タスク管理部101は、キューに格納されているタスクの個数を、未処理タスク数としてもよい。タスク管理部101は、特定した未処理タスク数を、図5に示す未処理タスク数のカラムに格納する。
【0126】
タスク管理部101は、未処理タスク数と、タスク1個あたりの平均処理時間とに基づいて、待ち時間を算出してもよい。あるいは、タスク管理部101は、未処理タスク数と、タスク1個あたりの平均処理時間と、キュー内の各タスクに関連付けられている移動先に基づいて特定される移動経路の移動距離と、ロボット3の移動速度とに基づいて、待ち時間を算出してもよい。
【0127】
リスト提供部12は、利用者が希望する作業を実行可能なロボット3のリストを生成するとき、これらの繁忙情報を含めることができる。また、リスト提供部12は、繁忙情報が基準値を超えるロボット3をリストから除外してもよい。このようなリストを受け取ったスマートフォン2の選択受付部203は、繁忙情報が基準値以下の、すなわち、繁忙でないロボット3に関するリストを利用者に提示することができる。
【0128】
上述の構成によれば、情報処理システムは、繁忙度合が基準以下のロボット3(情報処理装置)に関するリスト(装置情報)を利用者に提示することができる。すなわち、提示されたリストには、繁忙度合が高く、指定された作業の実行が遅れるロボット3に関する情報は含まれていない。それゆえ、利用者は、ロボット3が移動指令に対応可能になるまでに要する時間(すなわち、ロボット3が既に受けたすべての移動指令に対応し終えるまでに要する時間)が相対的に短いロボット3を容易に選択することができる。
【0129】
繁忙情報は、例えば、他の1以上の利用者からの依頼に応じてロボット3が処理すべき未処理のタスクの数を示す情報である未処理タスク数であってもよい。未処理タスク数を含むリストを受け取ったスマートフォン2の選択受付部203は、例えば、ロボット3に割り当てられた作業のうち処理が完了していない作業の数を示す未処理タスク数を、繁忙情報としてロボット3のリストと共に提示してもよい。
【0130】
上述の構成によれば、情報処理システムは、ロボット3のリストと、当該ロボット3が抱えているタスクの個数を当該利用者に提示する。これにより、利用者は、どの程度の待ち時間が生じるのかを予測した上で、所望のロボット3を選択することができる。
【0131】
また、選択受付部203は、未処理タスク数が所定個数以下のロボット3のリストだけを表示部23に表示させてもよい。上述の構成によれば、他の利用者の依頼に基づく未処理タスク数が比較的多く、利用者の依頼に応えるのが遅くなりそうなロボット3に関する情報は提示されない。それゆえ、利用者は、ロボット3が、自身の依頼に基づく移動指令に対応可能になるまでに要する時間(すなわち、ロボット3が既に受けたすべての依頼に対応し終えるまでに要する時間)が相対的に短いロボット3を容易に選択することができる。
【0132】
他の例では、繁忙情報は、ロボット3が抱えている未処理のタスクをすべて完了させて、利用者の依頼に応じられるまでの所要時間を示す待ち時間であってもよい。待ち時間は、他の利用者によって依頼された未処理のタスクの数に応じて算出されてもよいし、さらに、それらの未処理タスクについて、ロボット3が呼出場所間を移動するのに必要な移動時間も加味して算出されてもよい。さらに、待ち時間は、他の利用者の最後のタスクを処理した場所から、利用者が呼び出した場所までの移動時間を含んで算出されてもよい。待ち時間を含むリストを受け取ったスマートフォン2の選択受付部203は、ロボット3ごとの、未処理タスク数と、その未処理タスクの各々を順次実行するために必要な移動距離と、ロボット3の移動速度とに基づいて推定された、ロボット3が利用者によって指定された移動先に到着するまでに要する時間を、繁忙情報としてロボット3のリストと共に提示してもよい。
【0133】
上述の構成によれば、情報処理システムは、ロボット3のリストと共に、ロボット3が利用者によって指定された移動先に到着するまでに要する時間、すなわち、利用者の待ち時間を当該利用者に提示する。これにより、利用者は、どの程度の待ち時間が生じるのかを把握した上で、所望のロボット3を選択することができる。
【0134】
また、選択受付部203は、待ち時間が所定時間以下のロボット3のリストだけを表示部23に表示させてもよい。上述の構成によれば、他の利用者の依頼に基づく未処理タスク数が比較的多く、利用者の依頼に応えるのが遅くなりそうなロボット3に関する情報は提示されない。それゆえ、利用者は、ロボット3が、自身の依頼に基づく移動指令に対応可能になるまでに要する時間(すなわち、ロボット3が既に受けたすべての依頼に対応し終えるまでに要する時間)が相対的に短いロボット3を容易に選択することができる。
【0135】
(移動先情報)
図8は、移動先情報の一具体例を示す図である。移動先情報は、利用者が呼出場所として指定できる場所、および、ロボット3の現在位置を表す場所などを、情報処理システム100(200)の装置間で共有するための情報である。
【0136】
図示の例では、移動先情報は、階床ごとに各エリアの位置関係を平面座標にプロットしたマップ情報である。移動先情報は、マップ情報に限らず、1階受付、1階廊下、1階A室、1階D室、エレベータ内、2階廊下、2階A室、2階B室、・・・、などのように、階床と部屋番号との組み合わせで、建物内の個別のエリアを識別する文字列の配列であってもよい。
【0137】
移動先情報は、ロボット管理サーバ1、スマートフォン2およびロボット3がアクセス可能な記憶装置に保存されていてもよいし、共通の移動先情報が、ロボット管理サーバ1、スマートフォン2およびロボット3のそれぞれにあらかじめ配布されていてもよい。
【0138】
スマートフォン2の移動先受付部201は、利用者が希望する呼出場所を移動先情報から選択できるUI部品を表示部23に表示させてもよい。ロボット3の報告部303は、ロボット3の現在位置を、移動先情報から選択してロボット管理サーバ1に報告してもよい。ロボット管理サーバ1は、移動先情報を用いて、各ロボット3の現在位置、および、利用者が指定する呼出場所を把握することができる。
【0139】
<ロボット呼出フェーズの画面例>
図9は、利用者がロボット3を呼び出すことを支援するためのUIの一例を示す図である。本実施形態では、一例として、スマートフォン2に導入されているロボット呼出アプリケーションを介して、UI画面を表示部23に表示させることにより、利用者が簡便に所望のロボット3を呼び出すことを可能にする。
【0140】
ロボット呼出フェーズにおける処理フローは、図3を用いて説明したとおりである。以下では、図3を参照しながら、図9に示すUI画面の具体例を説明する。
【0141】
ステップS102では、移動先受付部201は、移動先指定画面Scr1を表示部23に表示させて、利用者から移動先の指定を受け付ける。移動先指定画面Scr1は、ロボット呼出アプリケーションの初期画面として起動時に最初に表示されてもよいし、別のデザインの初期画面を経てから表示されてもよい。
【0142】
制御部20は、少なくとも、移動先を指定するためのUI部品91を含むように移動先指定画面Scr1を生成する。UI部品91は、例えば、ドロップダウンリストまたはリストボックスなどのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)によって実現されていてもよい。ユーザは、GUIを操作して、移動先情報に含まれる選択可能な移動先から、所望の移動先を簡単に指定することができる。UI部品91は、移動先を選択可能にした図8に示すようなマップ情報であってもよい。あるいは、移動先を示す文字列を利用者が手入力できるように、UI部品91は、テキストボックスとして構成されていてもよい。
【0143】
ステップS103では、クエリ実行部202は、作業種別指定画面を表示部23に表示させて、利用者から作業種別の指定を受け付ける。図示の例のように、移動先指定画面Scr1が作業種別指定画面を兼ねていてもよい。すなわち、制御部20は、作業種別を指定するためのUI部品92をさらに含む移動先指定画面Scr1を生成してもよい。
【0144】
UI部品91を介して移動先が指定され、UI部品92を介して作業種別が指定されると、クエリ実行部202は、指定された移動先および作業種別を含むクエリを生成し、ロボット管理サーバ1に送信することができる(ステップS104)。クエリ実行部202がクエリを実行したときには、クエリ実行画面Scr2が表示される。クエリ実行画面Scr2は、一例として、移動先として「5FA室」、作業種別として「全て」が指定された例を示している。
【0145】
ステップS109において、上述のクエリに応答したリストがロボット管理サーバ1から提供されると、選択受付部203は、受信したリストに基づいて、ロボットの一覧、例えば、図示のロボットリスト93を、クエリ実行画面Scr2に表示させる。ロボットリスト93は、例えば、ロボットごとに選択可能なボタンで構成されており、利用者は、ロボット3の情報が記載されたボタンを押下することにより、ボタンに対応するロボット3を選択することができる。ボタンには、例えば、ロボット3の情報として、ロボット3のロボットID、ロボット3が実行可能な作業の作業種別、および、ロボット3の繁忙情報が記載されていてもよい。繁忙情報は、例えば、ロボット3が抱える未処理タスク数であってもよく、括弧内の数字が未処理タスク数を表していてもよい。例えば、ロボットリスト93の一番上のボタンの記載「ro001 ペットボトル (0)」は、ロボットID「ro001」のロボット3は、ペットボトルを回収するロボットであり、現在、未処理タスクを抱えていない(すぐに出動可能である)ことを意味する。
【0146】
図示の例では、作業種別が「全て」と指定されている。そのため、ロボットリスト93には、すべてのロボット3についてボタンが表示されている。他の例では、例えば、作業種別「ペットボトル」が指定された場合には、ペットボトルを回収するロボット3のボタンだけがロボットリスト93に表示される。
【0147】
利用者は、ロボットリスト93から所望のロボット3のボタンを押下してロボット3を選択し、呼出ボタン94を押下することにより、ロボット3の呼出を行うことができる。選択受付部203がロボットの選択を受け付けた状態で、呼出ボタン94が押下されると、制御部20は、呼出実行画面Scr3を表示部23に表示させる。そして、ステップS112にて、呼出実行部204は、リクエストを生成し、ロボット管理サーバ1に送信する。具体的には、呼出実行部204は、操作されているスマートフォン2の端末IDと、UI部品91に入力された移動先と、ロボットリスト93から選択されたボタンに対応するロボット3のロボットIDとを含むリクエストを生成する。
【0148】
以上で説明したUI部品を操作することにより、利用者は、簡便に、希望する作業を実行可能なロボット3を確認し、所望のロボット3を選択し、呼び出すことが可能となる。
【0149】
<ロボット状況監視フェーズの処理フロー>
図10は、情報処理システム200が実行する情報処理方法の処理の流れを示すシーケンス図である。図10に示す情報処理方法は、利用者からの作業依頼に応答するロボットの状況を監視する情報処理方法であり、ロボット呼出フェーズの後に続くロボット状況監視フェーズおいて、情報処理システム200によって実行される。ロボット状況監視フェーズは、例えば、図3に示すステップS115にて、ロボット管理サーバ1がロボット3に対して移動指令を出力することに応答して開始される。
【0150】
ステップS201では、ロボット3の移動制御部301は、ロボット管理サーバ1から移動指令を受信すると、ステップS201のYESからステップS202へ処理を進める。移動指令には、移動先を示す情報が含まれている。ステップS201の後、ロボット3およびエレベータ制御装置4は、エレベータ移動処理(ステップS200)を実行する。図10に示すエレベータ移動処理(ステップS200)は、ステップS202~S206の処理を含んでいる。
【0151】
ステップS202では、移動制御部301は、移動指令が指定する移動先を目的地にセットし、目的地に向かって移動を開始する。移動制御部301は、ロボット3の現在位置の階床と、目的地の階床とが異なる場合には、現在位置の階床を出発階とし、目的地の階床を行先階とするエレベータ利用要求を、エレベータ制御装置4に送信する。
【0152】
ステップS203では、エレベータ制御装置4は、エレベータ利用要求に応答して、ロボット3を乗せるカゴを選択し、当該カゴのカゴ制御部41は当該カゴを出発階に移動させる。エレベータ制御装置4は、ロボット3に対して選択したカゴのカゴ番号を送信してもよい。移動制御部301は、エレベータ制御装置4から、乗るべきカゴのカゴ番号を受信すると、指定されたカゴ番号のカゴに乗車できる位置まで移動を続ける。そして、移動制御部301は、エレベータ制御装置4から乗車指示を受信した場合、ロボット3を出発階に到着しているカゴの中へ移動させる。移動制御部301は、カゴが行先階に到着して、エレベータ制御装置4から降車指示を受信した場合、ロボット3をカゴの外へ移動させる。移動制御部301は、移動先にしたがって、ロボット3を、カゴを降りた場所から呼び出された部屋まで移動させる。ロボット3がエレベータを利用して移動するタスク管理処理の詳細については、図14を参照して後述する。
【0153】
ステップS204では、カゴ情報提供部42は、動かしたカゴの現在階をロボット管理サーバ1に送信する。カゴ情報提供部42は、制御対象のすべてのカゴの現在階を、定期的にロボット管理サーバ1に送信してもよい。
【0154】
ステップ205では、ロボット3の報告部303は、移動に関してロボット3の状況が変化したとき、ステップS205のYESからステップS206へ処理を進める。
【0155】
ステップS206では、報告部303は、移動に関する状況情報をロボット管理サーバ1に送信する。報告部303が報告する状況情報のうち、上述した「移動開始」、「エレベータ乗車」、「エレベータで移動中」、「エレベータ降車」および「目的地到着」が移動に関する状況情報に該当する。報告部303は、状況情報「エレベータ乗車」または「エレベータ降車」を報告するとき、エレベータ制御装置4から指定されたカゴ番号を含めて当該状況情報を報告する。エレベータ移動処理(ステップS200)の詳細については、図15を参照して後述する。
【0156】
ステップS207では、ロボット管理サーバ1は、移動管理処理を実行する。移動管理処理とは、ロボット3の移動に関する状況、すなわち移動進捗を把握し、把握した移動進捗を、ロボット3の作業を待つ利用者のスマートフォン2に通知する処理である。本実施形態では、ロボット管理サーバ1は、ステップS204でエレベータ制御装置4から提供されたカゴの現在位置と、ステップS206にてロボット3から提供された移動に関する状況情報とを統合して、ロボット3の移動進捗を把握する。移動管理処理(ステップS207)の詳細については、図11を参照して後述する。
【0157】
ステップS208では、スマートフォン2は、進捗提示処理を実行する。進捗提示処理とは、ロボット3について把握された移動進捗を利用者に提示する処理である。進捗提示処理(ステップS208)の詳細については、図12を参照して後述する。以上のとおり、移動進捗が把握され、利用者に移動進捗が提示されているうちに、ロボット3はいずれ目的に到着する。
【0158】
ステップS209では、ロボット3の移動制御部301は、セットした目的地にロボット3が到着したことを検出する。ロボット3は、目的地に到着するとステップS209のYESからステップS210へ処理を進める。
【0159】
ステップS210では、報告部303は、状況情報「目的地到着」をロボット管理サーバ1に報告する。そして、タスク処理部302は、利用者の作業依頼に応えてタスクを処理する。
【0160】
ステップS211では、タスク処理部302は、タスクを完了すると、ステップS211のYESからステップS212へ処理を進める。
【0161】
ステップS212では、報告部303は、状況情報「タスク完了」を報告する。報告部303は、タスクの完了報告としての状況情報においては、カゴ番号を空値としてもよいし、カゴ番号のデータ要素を省略してもよい。
【0162】
ステップS213では、ロボット管理サーバ1は、タスク管理処理を実行する。タスク管理処理とは、タスクの完了報告に応答して、タスクの進捗を更新する処理である。1つのタスクを完了したロボット3につき、新規のタスクをキューから読み出して当該ロボット3に新たな移動指令を出力する処理もタスク管理処理に含まれる。タスク管理処理(ステップS213)の詳細については、図14を参照して後述する。
【0163】
上述の情報処理方法によれば、ロボット3の状況が常に把握され、当該ロボット3を待つ利用者に適時に状況が通知される。そのため、利用者は、いつまで待てばよいのか分からないという不安感またはストレスを感じることなく、自分の順番を待つことができる。
【0164】
(エレベータ利用処理)
図15は、ロボット3およびエレベータ制御装置4が実行するエレベータ移動処理(図10のステップS200)の流れを示すシーケンス図である。
【0165】
ステップS202aでは、ロボット3は、エレベータ利用要求をエレベータ制御装置4に送信する。ステップS202aの処理は、図10におけるステップS202の処理に含まれる処理の一例である。
【0166】
ステップS203aでは、エレベータ制御装置4は、エレベータ利用要求の送信元のロボット3を乗車させるカゴを選択する。エレベータ制御装置4は、ステップS203bで、当該ロボット3に対して選択したカゴのカゴ番号を送信する。
【0167】
エレベータ制御装置4は、選択したカゴを制御し、当該ロボット3の出発階に移動させる。ステップS205aでは、ロボット3は、指定されたカゴ番号のカゴに乗車できる乗場に移動する。当該カゴが出発階に到着した場合、ステップS203cで、エレベータ制御装置4は、当該ロボット3に対して、乗車指示を送信する。また、エレベータ制御装置4は、ステップS204aで、当該カゴの現在位置をロボット管理サーバ1に送信する。
【0168】
ステップS205bでは、乗車指示を受信したロボット3は、指定されたカゴへの乗車を開始する。ロボット3は、ステップS206aで、移動に関する状況情報をロボット管理サーバ1に送信する。カゴに乗車したロボット3は、ステップS205cで、乗車完了通知をエレベータ制御装置4に送信する。
【0169】
ステップS203dでは、エレベータ制御装置4は、ロボット3が乗車したカゴを指定された行先階まで移動させる。当該カゴが行先階に到着した場合、ステップS203eで、エレベータ制御装置4は、当該ロボット3に対して、降車指示を送信する。また、エレベータ制御装置4は、ステップS204bで、当該カゴの現在位置をロボット管理サーバ1に送信する。
【0170】
ステップS205dでは、降車指示を受信したロボット3は、カゴからの降車を開始する。カゴから降車したロボット3は、ステップS205eで、降車完了通知をエレベータ制御装置4に送信する。また、ロボット3は、ステップS206bで、移動に関する状況情報をロボット管理サーバ1に送信する。
【0171】
ここで、ステップS203a~S203eの処理は、図10におけるステップS203の処理に含まれる処理の一例であり、ステップS204a~S204bの処理は、図10におけるステップS204の処理に含まれる処理の一例である。また、ステップS205a~S205eの処理は、図10におけるステップS205の処理に含まれる処理の一例であり、ステップS206a~S206bの処理は、図10におけるステップS206の処理に含まれる処理の一例である。
【0172】
ステップS204a、S204b、S206a、およびS206bの処理の後、ロボット管理サーバ1は、移動管理処理(図10のステップS207)を行う。
【0173】
(移動管理処理)
図11は、ロボット管理サーバ1が実行する移動管理処理(図10のステップS207)の流れを示すフローチャートである。
【0174】
ステップS301では、監視部103は、エレベータ制御装置4からカゴ情報を受信するとステップS301のYESからステップS302へ処理を進める。カゴ情報は、カゴの現在位置を示す情報であり、カゴのカゴ番号と当該カゴの現在階とを含む。カゴ情報を受信しない間、監視部103は、ステップS301のNOからステップS303へ処理を進めてもよい。
【0175】
ステップS302では、監視部103は、カゴ情報を受信したカゴにつき、現在階を更新する。
【0176】
ステップS303では、監視部103は、ロボット3から移動に関する状況情報を受信するとステップS303のYESからステップS304へ処理を進める。移動に関する状況情報を受信しなければ、監視部103は、ステップS303のNOからステップS310へ処理を進めてもよい。
【0177】
ステップS304では、監視部103は、依頼主のスマートフォン2の端末IDを特定する。監視部103は、ステップS303で受信した状況情報に含まれているロボットIDに基づいて、タスク管理テーブル(図6)またはそのロボット3のキュー(図7)より、ロボット3が現在対応中のタスクのタスクIDを特定することができる。監視部103は、タスクIDに基づいて、依頼主のスマートフォン2の端末IDを特定することができる。
【0178】
ステップS305では、監視部103は、ステップS303で受信した状況情報を解析する。状況情報において、A「移動開始」または、D「目的地到着」を示す値が含まれており、カゴ番号が空値である場合、監視部103は、ステップS305のAまたはDからステップS306へ処理を進める。状況情報において、B「エレベータ乗車」を示す値と、カゴ番号とが含まれている場合、監視部103は、ステップS305のBからステップS307へ処理を進める。状況情報において、C「エレベータ降車」を示す値と、カゴ番号とが含まれている場合、監視部103は、ステップS305のCからステップS309へ処理を進める。
【0179】
ステップS306では、監視部103は、ステップS305においてAならば、ロボット3が依頼主のタスクを処理するために移動を開始したと判断する。そして、通知部104は、「移動開始」を表す状況信号を、ステップS304で特定したスマートフォン2に送信する。ステップS305においてDならば、監視部103は、ロボット3が依頼主によって指定された呼出場所に到着したと判断する。そして、通知部104は、「目的地到着」を表す状況信号をスマートフォン2に送信する。
【0180】
ステップS307では、監視部103は、ステップS305で受信したカゴ番号のカゴについて、現在階(f1階)を読み出し、ロボット3が、f1階でエレベータに乗ったと判断する。そして、通知部104は、「エレベータ乗車、乗車階=f1」を表す状況信号をスマートフォン2に送信する。
【0181】
ステップS308では、監視部103は、「エレベータ降車」の状況情報がロボット3から報告されるまでの間、ロボット3がエレベータで移動中であると判断する。通知部104は、この間、「エレベータで移動中」を表す状況信号をスマートフォン2に送信してもよいし、送信を省略してもよい。
【0182】
ステップS309では、監視部103は、ステップS305で受信したカゴ番号のカゴについて、現在階(f2階)を読み出し、ロボット3が、f2階でエレベータを降りたと判断する。そして、通知部104は、「エレベータ降車、降車階=f2」を表す状況信号をスマートフォン2に送信する。
【0183】
ステップS306~ステップS309の後、監視部103は、ステップS301に戻り、以降の処理を繰り返してもよい。
【0184】
ステップS310では、監視部103は、ロボット3から状況情報「タスク完了」を受信した場合(ステップS310にてYES)、移動管理処理を終了する。
【0185】
以上のとおり、本実施形態では、ロボット3は、建物のエレベータを利用して建物の階層間を移動可能である。ロボット管理サーバ1の監視部103は、エレベータ制御装置4と連携し、ロボット3から提供される状況情報と、エレベータ制御装置4から提供されるカゴ情報とを統合して、階層間を移動するロボット3の移動進捗および現在位置を把握することができる。
【0186】
(進捗提示処理)
図12は、スマートフォン2が実行する進捗提示処理(図10のステップS208)の流れを示すフローチャートである。図13は、進捗提示処理によって、スマートフォン2に表示される進捗提示画面の一例を示す図である。スマートフォン2の状況通知部205は、ロボット管理サーバ1から、ロボット3の状況を表す状況信号を受信する度に、当該状況信号に対応する可視化情報である状況標識を含む進捗提示画面を生成し、表示部23に表示させる。
【0187】
ステップS401では、状況通知部205は、ステップS117(図3)を実行したロボット管理サーバ1から、「作業中」を表す状況信号を受信する(ステップS401のYES)。この場合、ステップS402では、状況通知部205は、ロボット3が先の依頼に対応中であることを表す状況標識81を含む進捗提示画面Scr11を、表示部23に表示させる。これを見た利用者は、まだ自分の順番が来ていないことを理解することができる。
【0188】
ステップS403では、状況通知部205は、「移動開始」を表す状況信号を受信する(ステップS403のYES)。この場合、ステップS404では、状況通知部205は、利用者の依頼に対応するべく移動中であることを表す状況標識82を含む進捗提示画面Scr12を、表示部23に表示させる。これを見た利用者は、自分の順番が来たことを理解し、自分が指定した呼出場所にロボット3が向かっている最中であることを理解することができる。
【0189】
ステップS405では、状況通知部205は、「エレベータ乗車、乗車階=f1」を表す状況信号を受信する(ステップS405のYES)。この場合、ステップS406では、状況通知部205は、ロボット3がエレベータに乗車したこととその乗車階を表す状況標識83を含む進捗提示画面Scr13を、表示部23に表示させる。これを見た利用者は、ロボット3が何階からエレベータに乗ったのかを理解することができる。
【0190】
ステップS407では、状況通知部205は、「エレベータで移動中」を表す状況標識を受信してもよい。あるいは、状況通知部205は、ステップS406で「エレベータ乗車」の状況信号を受信後、「エレベータ降車」の状況信号を受信していないことを判断してもよい(ステップS407のYES)。このいずれかの場合、ステップS408では、状況通知部205は、ロボット3がエレベータ内に居て昇降中であることを表す状況標識84を含む進捗提示画面Scr14を、表示部23に表示させる。これを見た利用者は、ロボット3がエレベータに乗っている最中であることを理解することができる。
【0191】
ステップS409では、状況通知部205は、「エレベータ降車、降車階=f2」を表す状況信号を受信する(ステップS409のYES)。この場合、ステップS410では、状況通知部205は、ロボット3がエレベータから降車したこととその降車階を表す状況標識85を含む進捗提示画面Scr15を、表示部23に表示させる。これを見た利用者は、ロボット3が何階でエレベータを降りたのかを理解することができる。
【0192】
ステップS411では、状況通知部205は、「目的地到着」を表す状況信号を受信する(ステップS411のYES)。この場合、ステップS412では、状況通知部205は、ロボット3が目的地に到着したことを表す状況標識86を含む進捗提示画面Scr16を、表示部23に表示させる。これを見た利用者は、ロボット3が自分の呼出場所に到着したことを理解することができる。
【0193】
状況標識81~86は、図示のとおり、文字列または文章であってもよいし、記号、アイコン、イラスト、または、これらを組み合わせることにより状況を表現するものであってもよい。
【0194】
(タスク管理処理)
図14は、ロボット管理サーバ1が実行するタスク管理処理(図10のステップS213)の流れを示すフローチャートである。タスク管理処理は、例えば、ロボット管理サーバ1が各ロボット3から完了報告としての状況情報を受信したときに開始される。
【0195】
ステップS501では、タスク管理部101は、完了報告の送信元のロボット3に対応するキューから、完了されたタスクを削除する。ここでタスク管理部101は、さらに、図6に示すタスク管理テーブルにおいて、完了されたタスクの進捗を「処理中」から「完了」に更新してもよい。また、タスク管理部101は、図5に示すロボットデータベースにおいて、上述のロボット3の未処理タスク数を、1個減算してもよい。
【0196】
ステップS502では、タスク管理部101は、上述のロボット3のキューにタスクが残っているか否かを判断する。タスク管理部101は、キューに1個以上のタスクが格納されている場合には、ステップS502のYESからステップS503へ処理を進める。タスク管理部101は、キューが空になった場合には、ステップS502のNOからステップS505へ処理を進める。ここで、タスク管理部101は、図5に示すロボットデータベースにおいて、上述のロボット3の未処理タスク数が0であるか否かを判断してもよい。
【0197】
ステップS503では、タスク管理部101は、キューの先頭のタスクに関連付けられている移動先を取得する。例えば、タスク管理部101は、図6に示すタスク管理テーブルから、先頭のタスクのタスクIDに関連付けられている移動先を読み出してもよい。
【0198】
ステップS504では、タスク管理部101は、上述のロボット3に対して、取得した移動先へ移動することを指示する移動指令を出力して、タスク管理処理を終了する。ロボット3は、この移動指令にしたがって、次のタスクを遂行することができる(図10参照)。ここで、タスク管理部101は、図6に示すタスク管理テーブルにおいて、先頭のタスクの進捗を「未処理」から「処理中」へ更新してもよい。
【0199】
ステップS505では、タスク管理部101は、上述のロボット3の状況を「休止中」に更新して、タスク管理処理を終了する。例えば、タスク管理部101は、図5に示すロボットデータベースにおいて、上述のロボット3の状況を、「タスク処理中」から「休止中」へ更新してもよい。
【0200】
以上のとおり、本実施形態では、ロボット3が抱える未処理タスク数、および、ロボット3の状況は、常に最新の状態でロボット管理サーバ1において管理される。これにより、ロボット管理サーバ1は、利用者からの問い合わせに応じて、その時点のロボット3の状況を正確に利用者に提示することができる。例えば、ロボット3の状況(具体的には、繁忙情報)が示されたロボット3のリストが、ロボット管理サーバ1からスマートフォン2に提供され、スマートフォン2が当該リストを利用者に提示することができる。結果として、利用者は、ロボット3の状況を確認しながら、所望のロボット3を選択することができる。
【0201】
〔ソフトウェアによる実現例〕
ロボット管理サーバ1、スマートフォン2、およびロボット3(以下、まとめて「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部10、制御部20、ロボット3に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0202】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0203】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0204】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0205】
また、上記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0206】
〔まとめ〕
以上の説明から明らかなように、本発明の態様1に係る情報処理システムは、建物内を自律走行する複数の情報処理装置のうち、利用者によって指定された作業を実行可能な情報処理装置を特定する装置特定部と、前記特定された情報処理装置に関する装置情報を前記利用者に提示し、該利用者に所望の前記情報処理装置を選択させる選択受付部と、前記利用者による、前記情報処理装置の移動先の指定を受け付ける移動先受付部と、前記選択された情報処理装置に、前記指定された移動先への移動指令を出力する管理部と、を備える。
【0207】
本発明の態様2に係る情報処理システムは、前記態様1において、前記選択受付部は、前記特定された情報処理装置の現在の繁忙度合を示す繁忙情報が基準値以下の前記情報処理装置に関する装置情報を提示してもよい。
【0208】
本発明の態様3に係る情報処理システムは、前記態様2において、前記選択受付部は、前記情報処理装置に割り当てられている作業のうち処理が完了していない未処理作業の数を、前記繁忙情報として前記装置情報と共に提示してもよい。
【0209】
本発明の態様4に係る情報処理システムは、前記態様2または3において、前記選択受付部は、前記情報処理装置に割り当てられている作業のうち処理が完了していない未処理作業の数と、前記情報処理装置が各未処理作業の実行のために必要な移動距離と、前記情報処理装置の移動速度と、に基づいて推定された、前記情報処理装置が前記指定された移動先に到着するまでに要する時間を、前記繁忙情報として前記装置情報と共に提示してもよい。
【0210】
本発明の態様5に係る情報処理システムは、前記態様1から4のいずれかにおいて、前記管理部は、前記選択された情報処理装置が、前記移動指令に応じて前記移動先への移動を開始した旨、および前記情報処理装置の該移動中の位置を、前記利用者に通知してもよい。
【0211】
本発明の態様6に係る情報処理システムは、前記態様1から5のいずれかにおいて、前記管理部は、前記選択された情報処理装置がエレベータを利用して前記移動先に移動する場合、該情報処理装置が乗車した前記エレベータのカゴの現在位置を、前記利用者に通知してもよい。
【0212】
本発明の態様7に係る情報処理方法は、建物内を自律走行する複数の情報処理装置のうち、利用者によって指定された作業を実行可能な情報処理装置を特定する装置特定ステップと、前記特定された情報処理装置に関する装置情報を前記利用者に提示し、該利用者に所望の前記情報処理装置を選択させる選択受付ステップと、前記利用者による、前記情報処理装置の移動先の指定を受け付ける移動先受付ステップと、前記選択された情報処理装置に、前記指定された移動先への移動指令を出力する管理ステップと、を含む。
【0213】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0214】
1 ロボット管理サーバ(サーバ装置)
2 スマートフォン(端末装置)
3 ロボット(情報処理装置)
4 エレベータ制御装置
10 制御部
11 装置特定部
12 リスト提供部
15 記憶部
16 入出力インタフェース
20 制御部
21 通信部
22 操作部
23 表示部
40 制御部
41 カゴ制御部
42 カゴ情報提供部
46 入出力インタフェース
93 ロボットリスト(装置情報)
100、200 情報処理システム
101 タスク管理部
102 移動指示部
103 監視部
104 通知部
110 管理部
201 移動先受付部
202 クエリ実行部
203 選択受付部
204 呼出実行部
205 状況通知部
301 移動制御部
302 タスク処理部
303 報告部
【要約】
【課題】利用者にとって使い勝手のよい情報処理システムを実現する。
【解決手段】情報処理システム(100)は、建物内を自律走行する複数の情報処理装置(ロボット3)のうち、利用者によって指定された作業を実行可能な情報処理装置を特定する装置特定部(11)と、特定された情報処理装置に関する装置情報を利用者に提示し、該利用者に所望の情報処理装置を選択させる選択受付部(203)と、利用者による、情報処理装置の移動先の指定を受け付ける移動先受付部(201)と、選択された情報処理装置に、指定された移動先への移動指令を出力する管理部(110)と、を備えている。
【選択図】図1
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