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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】海底光通信システム及び通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/073 20130101AFI20231108BHJP
   H04J 14/02 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
H04B10/073
H04J14/02
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022505047
(86)(22)【出願日】2021-02-02
(86)【国際出願番号】 JP2021003682
(87)【国際公開番号】W WO2021176923
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-08-08
(31)【優先権主張番号】P 2020034572
(32)【優先日】2020-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】中村 康平
【審査官】赤穂 美香
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/151067(WO,A1)
【文献】特開2019-4336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/073
H04J 14/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端局及び前記第1の端局と海底ケーブルを介して接続された第2の端局を備える海底光通信システムであって、
前記海底ケーブルは、光を伝搬可能な第1の伝送路、第2の伝送路及び第3の伝送路を収容し、
前記第1の端局は、
前記第2の端局から前記第1の伝送路を介して取得したダミー光の第1の信号品質をモニタする第1のモニタ手段と、
前記第2の伝送路を介して前記第2の端局にダミー光を出力する第1のダミー光源と、
前記第2の端局からのダミー光の前記第1の信号品質を含む光信号を、前記第3の伝送路を介して前記第2の端局に送信する光送信手段と、を備え、
前記第2の端局は、
前記第1の伝送路を介して前記第1のモニタ手段にダミー光を出力する第2のダミー光源と、
前記第1のダミー光源から前記第2の伝送路を介して取得したダミー光の第2の信号品質をモニタする第2のモニタ手段と、
前記第1の信号品質を含む前記光信号を前記第3の伝送路から受信する光受信手段と、を備える
海底光通信システム。
【請求項2】
前記第2のダミー光源は、前記第1の信号品質に基づいて、前記第1のモニタ手段に向けて出力する前記ダミー光の強度を調整する
請求項1に記載の海底光通信システム。
【請求項3】
前記第1の端局は、
前記第1のダミー光源からのダミー光を分岐する分岐手段と、
前記分岐手段により分岐された前記ダミー光及び前記光送信手段からの前記光信号を合波して、前記第2の端局の前記光受信手段に出力する合波手段と、を更に備える
請求項1又は2に記載の海底光通信システム。
【請求項4】
前記光送信手段は、前記第1のダミー光源からのダミー光と異なる波長の前記光信号を出力する
請求項3に記載の海底光通信システム。
【請求項5】
前記第1のダミー光源は、出力するダミー光の波長を切替え、
前記光送信手段は、前記第1のダミー光源がダミー光の波長を切り替えた際に、前記光信号の波長が前記第1のダミー光源が出力するダミー光の波長と異なるように、前記光信号の波長を制御する
請求項4に記載に海底光通信システム。
【請求項6】
光を伝搬可能な第1の伝送路、第2の伝送路及び第3の伝送路を収容する海底ケーブルと、第1の端局と、前記第1の端局と前記海底ケーブルを介して接続された第2の端局を備える海底光通信システムにおける通信方法であって、
前記第1の端局は、
前記第1の伝送路を介して取得した前記第2の端局からのダミー光の第1の信号品質をモニタし、
前記第2の伝送路を介して前記第2の端局にダミー光を出力し、
前記第2の端局からのダミー光の前記第1の信号品質を含む光信号を、前記第3の伝送路を介して前記第2の端局に送信し、
前記第2の端局は、
前記第1の伝送路を介して、前記第1の端局にダミー光を出力し、
前記第2の伝送路を介して取得した前記第1の端局からのダミー光の信号品質をモニタし、
前記第1の信号品質を含む前記光信号を前記第3の伝送路から受信する
通信方法。
【請求項7】
前記第2の端局は、前記第1の信号品質に基づいて、前記第1の端局に向けて出力する前記ダミー光の強度を調整する
請求項6に記載の通信方法。
【請求項8】
前記第1の端局は、
出力された前記ダミー光を分岐し、
分岐された前記ダミー光及び前記光信号を合波して、前記第2の端局に出力する
請求項6又は7に記載の通信方法。
【請求項9】
前記第1の端局は、
前記第1の端局において出力される前記ダミー光と異なる波長の前記光信号を出力する
請求項8に記載の通信方法。
【請求項10】
前記第1の端局は、
出力するダミー光の波長を切替え、
前記第1の端局において出力される前記ダミー光の波長を切り替えた際に、前記光信号の波長が前記第1の端局において出力される前記ダミー光の波長と異なるように、前記光信号の波長を制御する
請求項9に記載の通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易に端局間での通信が可能な海底光通信システム及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
海底光通信システムにおいては、端局同士が海底ケーブルを介して波長多重光信号の送受信を行う。波長多重光信号を送信する端局(以下、「送信端局」とする。)が出力する光信号の強度は、波長多重光信号を受信する端局(以下、「受信端局」とする。)において光信号が適切な信号品質で受信されるように、海底ケーブルの伝送特性を考慮して定められる。
【0003】
そのため、システムの運用前に、伝送特性を取得するために、ダミー光が送信端局から伝送路を介して受信端局に向けて出力される。これにより、受信端局は、海底ケーブルの伝送特性の影響を受けた上で受信されたダミー光の信号品質を取得する。そして、受信端局は、取得したダミー光の信号品質を送信端局に通知し、送信端局は、出力する光信号の強度を、通知された信号品質に基づいて調整する。
【0004】
なお、特許文献1及び特許文献2には、端局に光トランスポンダを設けることによって、既に運用が開始された通信システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2018/051935号
【文献】国際公開第2015/045311号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、例えば、海底光通信システムの運用前には、通信設備(例えば、光トランスポンダ等)が端局に設けられていない場合がある。この場合、取得したダミー光の信号品質を受信端局から送信端局へ通知するためには、海底光通信システム外の回線(具体的には、端局間を接続する海底ケーブル以外の回線)を用いて端局間の通信を確立する必要があるため、煩雑であった。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、簡易に端局間で通信が可能な海底光通信システム及び通信方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の海底光通信システムは、
第1の端局及び海底ケーブルを介して前記第1の端局と接続された第2の端局を備える海底光通信システムであって、
前記海底ケーブルは、光を伝搬可能な第1の伝送路、第2の伝送路及び第3の伝送路を収容し、
前記第1の端局は、
前記第2の端局から前記第1の伝送路を介して取得したダミー光の第1の信号品質をモニタする第1のモニタ手段と、
前記第2の伝送路を介して前記第2の端局にダミー光を出力する第1のダミー光源と、
前記第2の端局からのダミー光の前記第1の信号品質を含む光信号を、前記第3の伝送路を介して前記第2の端局に送信する光送信手段と、を備え、
前記第2の端局は、
前記第1の伝送路を介して前記第1のモニタ手段にダミー光を出力する第2のダミー光源と、
前記第1のダミー光源から前記第2の伝送路を介して取得したダミー光の第2信号品質をモニタする第2のモニタ手段と、
前記第1の信号品質を含む前記光信号を前記第3の伝送路から受信する光受信手段と、を備える。
【0009】
または、本発明は、光を伝搬可能な第1の伝送路、第2の伝送路及び第3の伝送路を収容する海底ケーブルと、第1の端局と、前記第1の端局と前記海底ケーブルを介して接続された第2の端局を備える海底光通信システムにおける通信方法であって、
前記第1の端局は、
前記第1の伝送路を介して取得した前記第2の端局からのダミー光の第1の信号品質をモニタし、
前記第2の伝送路を介して前記第2の端局にダミー光を出力し、
前記第2の端局からのダミー光の前記第1の信号品質を含む光信号を、前記第3の伝送路を介して前記第2の端局に送信し、
前記第2の端局は、
前記第1の伝送路を介して、前記第1の端局にダミー光を出力し、
前記第2の伝送路を介して取得した前記第1のダミー光源からのダミー光の第2の信号品質をモニタし、
前記第1の信号品質を含む前記光信号を前記第3の伝送路から受信する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡易に端局間で通信が可能な海底光通信システム及び通信方法を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態における海底光通信システムの構成例を示すブロック図である。
図2】本発明の第1の実施形態における海底光通信システムを説明するための図である。
図3】本発明の第1の実施形態における海底光通信システムを説明するためのフローチャートである。
図4】本発明の第1の実施形態における海底光通信システムを説明するためのフローチャートである。
図5】本発明の第1の実施形態における海底光通信システムの動作例を示すフローチャートである。
図6】本発明の第1の実施形態における海底光通信システムの動作例を示すフローチャートである。
図7】本発明の第2の実施形態における海底光通信システムの構成例を示すブロック図である。
図8】本発明の第2の実施形態における海底光通信システムの動作例を示すフローチャートである。
図9】本発明の第2の実施形態における海底光通信システムの変形例の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施の形態>
第1の実施形態における海底光通信システム1について、図1図2図3図4図5及び図6に基づき説明する。図1は、海底光通信システム1の構成例を示すブロック図である。また、図2は、海底光通信システム1におけるダミー光M1、M2及び光信号S1、S2の一例を示す図である。図3は、海底光通信システム1における処理Aを説明するためのフローチャートである。図4は、海底光通信システム1における処理Bを説明するためのフローチャートである。図5及び図6は、海底光通信システム1の動作例を説明するための図である。
【0013】
海底光通信システム1の構成について説明する。図1に示されるように、海底光通信システム1は、第1の端局100、第2の端局200、伝送路300a、300b、300c、300d、伝送路400a、400b、400c、400d及び海底ケーブル500を備える。なお、以下の説明では、伝送路300a~300dの各々を区別する必要が無い場合、伝送路300a~300dの各々を伝送路300と称する。また、伝送路400a~400dの各々を区別する必要が無い場合、伝送路400a~400dの各々を伝送路400と称する。複数の伝送路300及び複数の伝送路400は、例えば、同一の海底ケーブル500に収容されている。
【0014】
第1の端局100は、図1に示されるように、第1のダミー光源110、第1の分岐部120、第1の光送信部130、第1の合波部140、切替部150、切替部160、第1の光受信部170、第1のモニタ部180及び制御部190を備える。
【0015】
第1の端局100及び第2の端局200は、複数の伝送路300及び複数の伝送路400を収容する海底ケーブル500を介して互いに接続されている。伝送路300、400について説明する。伝送路300、400は、例えば、光ファイバである。伝送路300、400を伝搬する光は、海底ケーブル500に設けられた光増幅器によって増幅される。光増幅器は、例えば、EDFA(Erbium―Doped Fiber Amplifier)である。伝送路300,400は、光を増幅しつつ伝送する。伝送路300は、第1の端局100から第2の端局200へ光を伝送する。伝送路400は、第2の端局200から第1の端局100へ光を伝送する。
【0016】
第1のダミー光源110について説明する。第1のダミー光源110は、ダミー光を出力する。ダミー光は、所定の中心波長と、所定の帯域幅を有する光を複数含む。第1のダミー光源110は、例えば、ASE(Amplified Spontaneous Emission)光源及びWSS(Wavelength Selective Switch)を含む。ASE光源は、例えばEDF(Erbium―Doped Fiber)を含む。EDFに励起光を入力することにより、EDFにASE光を出力させることが出来る。この際、EDFから放出されるASE光は、広帯域な光である。また、WSSは、波長毎に減衰量が設定可能な光フィルタである。ASE光源から出力されたASE光を、波長毎に減衰量が設定されたWSSに入力することで、波長毎に任意の強度を有するダミー光がWSSから出力される。この際、WSSにおける波長毎の減衰量を調整することで、ダミー光の波長毎の光強度を所定の値に調整することが出来る。
【0017】
第1のダミー光源110は、図2に示されるダミー光M1又はダミー光M2の何れかを出力する。なお、以下の説明では、ダミー光M1及びダミー光M2の各々を区別する必要が無い場合、ダミー光M1及びダミー光M2の各々をダミー光と称する。図2に示されるように、ダミー光M1は、波長λ1、λ3、λ5、λ7及びλ9の各々の波長の光を含む。一方で、図2に示されるようにダミー光M2は、波長λ2、λ4、λ6、λ8及びλ10の各々の波長の光を含む。なお、ダミー光に含まれる各光の波長の間隔は、等しくなるように設定される。例えば、λ1とλ2の間隔は、λ4とλ5の間隔と等しい。
【0018】
第1のダミー光源110は、制御部190からの制御に従って、ダミー光M1又はダミー光M2の何れか一方を出力する。例えば、第1のダミー光源110がASE光源及びWSSを含む場合、制御部190は、WSSが波長λ2、λ4、λ6、λ8及びλ10を中心波長とする任意の帯域幅を有する光を遮断するように制御する。これにより、第1のダミー光源110は、ASE光源から出力されるASE光のうち、波長λ1、λ3、λ5、λ7及びλ9の光を含むダミー光M1を出力する。一方で、第1のダミー光源110は、制御部190により、波長λ1、λ3、λ5、λ7及びλ9を中心波長とする任意の帯域幅を有する光を遮断するようにWSSが制御された場合、ダミー光M2を出力する。このように、ダミー光のうちの一部を遮断することによって、送信時のダミー光の帯域外に生じた光の強度を、受信側で波長毎に検出できる。これにより、後述の第1のモニタ部180及び第2のモニタ部280の各々は、雑音成分を波長毎に求めることが出来る。例えば、第1のモニタ部180及び第2のモニタ部280各々は、ダミー光M1を受信した際に、波長λ2及び波長λ4の光強度の平均値を波長λ3における雑音成分として求める。
【0019】
また、第1のダミー光源110は、各波長の光の光強度が互いに等しいダミー光を出力するように、制御部190によって制御される。例えば、制御部190は、第1のダミー光源110が備えるWSSにおける波長毎の減衰量を調整することで、ダミー光に含まれる各波長の光の強度を等しくする。
【0020】
図1に示されるように、第1のダミー光源110は、第1の分岐部120と接続されている。第1のダミー光源110から出力されたダミー光は、第1の分岐部120に入力される。
【0021】
第1の分岐部120について説明する。第1の分岐部120は、入力されたダミー光を分岐して出力する。第1の分岐部120は、例えば光カプラである。図1に示されるように、第1の分岐部120は、第1のダミー光源110から出力されたダミー光を分岐して、第1の合波部140及び切替部150に出力する。
【0022】
第1の光送信部130について説明する。第1の光送信部130は、第1のモニタ部180で受信されたダミー光の信号品質に基づいて制御部190が求めた減衰量を示す電気信号を、光信号に重畳して出力する。第1の光送信部130から出力された光信号は、第1の合波部140に入力される。
【0023】
また、第1の光送信部130は、制御部190から第2の端局200内に設けられた要素への指示を示す電気信号を光信号に重畳して出力する。具体的には、第1の光送信部130は、第2のダミー光源210、第2の光送信部230、切替部250、260、第2の光受信部270及び第2のモニタ部280への制御部190からの指示を光信号として出力する。
【0024】
第1の光送信部130が出力する光信号の波長は、第1のダミー光源110が出力するダミー光の波長と異なるように、制御部190によって制御される。例えば、制御部190が第1のダミー光源110に対してダミー光M1を出力するように指示した場合、第1の光送信部130は、例えば、図2に示されるようにλ8の波長の光信号S1を出力する。また、制御部190が第1のダミー光源110に対してダミー光M2を出力するように指示した場合、第1の光送信部130は、例えば、図2に示されるようにλ9の波長の光信号S2を出力する。これにより、第1の分岐部120から出力されたダミー光と光信号とが第1の合波部140において合波される際に、互いに干渉することを抑制できる。
【0025】
第1の合波部140について説明する。第1の合波部140は、入力された光を合波して出力する。第1の合波部140は、例えば光カプラである。第1の合波部140は、第1の分岐部120からのダミー光と第1の光送信部130からの光信号とを合波して、切替部150に出力する。
【0026】
切替部150について説明する。切替部150は、二つの入力ポートと、複数の出力ポートを備えている。切替部150の入力ポートの一方は、第1の分岐部120と接続されている。また、切替部150の入力ポートの他方は、第1の合波部140と接続されている。切替部150の複数の出力ポートの各々は、伝送路300と接続されている。
【0027】
切替部の150は、制御部190からの指示によって、入力ポートと接続される出力ポートを切り替えることで、入力ポートから入力した光の出力先を切り替えることができる。例えば、切替部150は、第1の分岐部120から入力されたダミー光の出力先を、伝送路300aから伝送路300bに切り替えることができる。
【0028】
切替部160について説明する。切替部160は、複数の入力ポートと、二つの出力ポートを備えている。切替部160の複数の入力ポートの各々は、伝送路400と接続されている。切替部160の出力ポートの一方は、後述の第1のモニタ部180と接続されている。また、切替部160の出力ポートの他方は、後述の第1の光受信部170と接続されている。
【0029】
切替部160は、制御部190からの指示によって、入力ポートと接続される出力ポートを切り替えることで、入力ポートの接続先と接続する伝送路を切り替えることができる。例えば、切替部160は、第1のモニタ部180と接続する伝送路を、伝送路400aから伝送路400bに切り替えることができる。
【0030】
第1の光受信部170について説明する。第1の光受信部170は、前述の切替部160と接続されている。第1の光受信部170は、切替部160を介して、第2の光送信部230からの光信号を受信する。
【0031】
第1の光受信部170は、第1のダミー光源110から出力されて伝送路300を介して第2のモニタ部280で受信されたダミー光の信号品質を含む光信号を、第2の光送信部230から受信する。第1の光受信部170は、受信した光信号に含まれるダミー光の信号品質を制御部190に通知する。
【0032】
第1のモニタ部180について説明する。第1のモニタ部180は、ダミー光を受信し、受信したダミー光の信号品質を取得する。第1のモニタ部180は、例えば光スペクトラムアナライザである。図1に示されるように、第1のモニタ部180は、切替部160の出力ポートと接続されている。
【0033】
第1のモニタ部180は、受信したダミー光の信号品質(第1の信号品質)を取得する。信号品質とは、例えば、SNR(Signal-to-Noise Ratio)である。ここで、SNRは、例えば、以下のように取得される。第2のダミー光源210に備えられたWSSの透過帯域毎(以下、「送信帯域」とする。)における、第1のモニタ部180で受信される時点のダミー光の強度を信号成分とする。また、受信時のダミー光における送信帯域の端から隣接する送信帯域までに生じた光の強度を雑音成分として取得する。特定の送信帯域において長波長側及び短波長側の両方に隣接する送信帯域が存在する場合、特定の送信帯域の長波長側の一端から長波長側に隣接する送信帯域までに生じた光の強度と、当該特定の送信帯域の短波長側の一端から短波長側に隣接する送信帯域までに生じた光の強度との平均値を雑音成分として取得する。一方で、特定の送信帯域において、長波長側及び短波長側の一方のみに隣接する送信帯域が存在する場合、特定の送信帯域の隣接する送信帯域側の一端から隣接する送信帯域までの帯域(以下、「測定帯域」とする。)に生じた光の強度と、特定の送信帯域の他端から、隣接する送信帯域の反対側において測定帯域と同じ帯域幅に生じた光の強度との平均値を雑音成分として取得する。第1のモニタ部180は、送信帯域における信号成分と雑音成分の比を、送信帯域におけるSNRとして求める。
【0034】
制御部190について説明する。制御部190は、不図示の配線により、第1の端局100内の、第1のダミー光源110、第1の分岐部120、第1の光送信部130、第1の合波部140、切替部150、160、第1の光受信部170及び第1のモニタ部180と接続されている。これにより、制御部190は、第1の端局100内の各要素を制御することができる。また、制御部190は、第1の光送信部130を介して、第2の端局200内の、第2のダミー光源210、第2の分岐部220、第2の光送信部230、第2の合波部240、切替部250、260、第2の光受信部270及び第2のモニタ部280と接続されている。これにより、制御部190は、第1の光送信部130を介して、第2の端局200内の各要素を制御することができる。
【0035】
第2の端局200は、図1に示されるように、第2のダミー光源210、第2の分岐部220、第2の光送信部230、第2の合波部240、切替部250、260、第2の光受信部270及び第2のモニタ部280を備える。
【0036】
第2のダミー光源210は、第1のダミー光源110と同様の構成及び機能を有する。第2のダミー光源210は、第2の分岐部220と接続されている。第2のダミー光源210から出力されたダミー光は、第2の分岐部220に入力される。
【0037】
第2の分岐部220は、第1の分岐部120と同様の構成及び機能を有する。第2の分岐部220は、第2のダミー光源210から出力されたダミー光を分岐して、第2の合波部240及び切替部250に出力する。
【0038】
第2の光送信部230は、第2のモニタ部280が取得したダミー光の信号品質を示す電気信号を、光信号に重畳して出力する。第2の光送信部230から出力された光信号は、第2の合波部240に入力される。第2の光送信部230が出力する光信号の波長は、第2のダミー光源210が出力するダミー光の波長と異なるように、第1の光送信部130と同様に制御部190によって制御される。
【0039】
また、第2の合波部240は、第2の分岐部220からのダミー光と第2の光送信部230からの光信号とを合波して、切替部250に出力する。
【0040】
切替部250について説明する。切替部250は、二つの入力ポートと、複数の出力ポートを備えている。切替部250の入力ポートの一方は、第2の分岐部220と接続されている。また、切替部250の入力ポートの他方は、第2の合波部240と接続されている。切替部250の複数の出力ポートの各々は、伝送路400と接続されている。
【0041】
切替部250は、制御部190からの指示によって、入力ポートと接続される出力ポートを切り替えることで、入力ポートから入力した光の出力先を切り替えることができる。例えば、切替部250は、第2の分岐部220から入力されたダミー光の出力先を、伝送路400aから伝送路400bに切り替えることができる。
【0042】
切替部260について説明する。切替部260は、複数の入力ポートと、二つの出力ポートを備えている。切替部260の複数の入力ポートの各々は、伝送路300と接続されている。切替部260の出力ポートの一方は、後述の第2のモニタ部280と接続されている。また、切替部260の出力ポートの他方は、後述の第2の光受信部270と接続されている。
【0043】
切替部260は、制御部190からの指示によって、入力ポートと接続される出力ポートを切り替えることで、入力ポートの接続先と接続する伝送路を切り替えることができる。例えば、切替部260は、第2のモニタ部280と接続する伝送路を、伝送路300aから伝送路300bに切り替えることができる。
【0044】
第2の光受信部270について説明する。第2の光受信部270は、前述の切替部260と接続されている。第1の光受信部170は、切替部260を介して、第1の光送信部130からの光信号を受信する。
【0045】
また、第2の光受信部270は、第1のモニタ部180で受信されたダミー光の信号品質に基づいて制御部190が求めた減衰量を含む光信号を第1の光送信部130から受信する。第2の光受信部270は、受信した光信号に含まれる減衰量を、第2のダミー光源210に通知する。
【0046】
第2のモニタ部280は、第1のモニタ部180と同様の機能および構成を備える。第2のモニタ部280は、受信したダミー光の信号品質(第2の信号品質)を取得する。なお、第2のモニタ部280は、切替部260の出力ポートと接続されている。
【0047】
制御部190は、第1のモニタ部180が取得したダミー光の信号品質に基づいて、第2のダミー光源210におけるダミー光の強度を伝送路400毎に調整する。制御部190が、第2のダミー光源210におけるダミー光の強度を調整する処理(処理A)について、図3を用いて説明する。図3は、処理Aの動作を示すフローチャートである。
【0048】
第1のモニタ部180は、伝送路400を介して、第2のダミー光源210からのダミー光を受信し、受信したダミー光の信号品質を制御部190に通知する(S101)。
【0049】
制御部190は、第1のモニタ部180が取得したダミー光の信号品質が、所定の範囲内であるかどうかを判断する(S102)。
【0050】
ダミー光の信号品質が所定の範囲内でない場合(S102のNo)、制御部190は、信号品質に応じた減衰量を波長ごとに算出して、第1の光送信部130に通知する(S103)。例えば、制御部190は、伝送路400を介して受信したダミー光における波長λ4の信号品質が閾値よりも低い場合、第2のダミー光源210におけるWSSのλ4に対する減衰量から、信号品質と閾値の差分に基づく減衰量を、第2のダミー光源210におけるλ4に対する新たな減衰量として、第1の光送信部130に通知する。例えば、制御部190は、λ4の信号品質が閾値よりも低い場合、現在の減衰量よりも少ない減衰量を、新たな減衰量として通知する。これにより、ダミー光に備えられたWSSにおけるλ4に対する減衰量が減少するため、λ4の光の信号品質を向上させることができる。
【0051】
第1の光送信部130は、制御部190から通知された減衰量を示す電気信号に基づいて光を変調し、変調された光信号を出力する(S104)。この際、第1の光送信部130は、制御部190からの制御によって、第1のダミー光源110が出力するダミー光と波長が異なる光信号を出力する。また、この際、切替部150、260は、複数の伝送路300のうち、第1のダミー光源110からのダミー光が伝搬する伝送路以外の伝送路300を介して、第1の光送信部130からの光信号を第2の光受信部270へ伝搬させる。
【0052】
第2の光受信部270は、第1の光送信部130からの光信号を受信し、光信号に含まれている減衰量を第2のダミー光源210へ通知する(S105)。
【0053】
第2のダミー光源210は、通知された減衰量に基づいてダミー光の強度を調整する(S106)。これにより、強度が調整されたダミー光が第2のダミー光源210から出力される。
【0054】
第1のモニタ部180は、強度が調整されたダミー光を受信する(S107)。
【0055】
第1のモニタ部180は、受信したダミー光の信号品質を制御部190に通知する(S101)。
【0056】
制御部190は、通知されたダミー光の信号品質が所定の範囲内であるか判断する(S102)。
【0057】
ダミー光の信号品質が所定の範囲内である場合(S102のYes)、制御部190は、伝送路400に対するダミー光の強度調整が完了していることを記憶する。ダミー光の信号品質が所定の範囲内でない場合(S102のNo)、S103の処理に戻る。
【0058】
以上のように、制御部190は、第1のモニタ部180が取得したダミー光の信号品質に基づいて、第2のダミー光源210におけるダミー光の強度を伝送路400毎に調整する。
【0059】
また、制御部190は、第2のモニタ部280が取得したダミー光の信号品質に基づいて、第1のダミー光源110におけるダミー光の強度を伝送路300毎に調整する。制御部190が、第1のダミー光源110におけるダミー光の強度を調整する処理(処理B)について、図4を用いて説明する。図4は、処理Bの動作を示すフローチャートである。
【0060】
第2のモニタ部280は、伝送路300を介して受信したダミー光の信号品質を第2の光送信部230に通知する(S201)。
【0061】
第2の光送信部230は、信号品質を示す情報を重畳した光信号を第1の光受信部170へ出力する(S202)。第1の光受信部170は、第2の光送信部230からの光信号を受信し、信号品質を制御部190へ通知する。
【0062】
制御部190は、第1の光受信部170から通知されたダミー光の信号品質が、所定の範囲内であるかどうかを判断する(S203)。
【0063】
ダミー光の信号品質が所定の範囲内でない場合(S203のNo)、制御部190は、信号品質に応じた減衰量を波長ごとに算出して、第1のダミー光源110に通知する(S204)。
【0064】
第1のダミー光源110は、通知された減衰量に基づいてダミー光の強度を調整する(S205)。これにより、強度が調整されたダミー光が第1のダミー光源110から出力される。
【0065】
第2のモニタ部280は、強度が調整されたダミー光を受信する(S206)。
【0066】
ダミー光の信号品質が所定の範囲内である場合(S203のYes)、制御部190は、伝送路300に対するダミー光の強度調整が完了していることを記憶する(S207)。
【0067】
第1の実施形態における海底光通信システム1の構成について説明した。
【0068】
次に図5を用いて、海底光通信システム1において、複数の伝送路400に対するダミー光の強度調整をするための動作例について説明する。なお、本動作例の開始時において、切替部250は、第2の分岐部220から入力されたダミー光を伝送路400aに出力し、第2の合波部240から入力された光信号とダミー光の合波光を伝送路400dへ出力するように設定されている。また、切替部160は、伝送路400aから入力されたダミー光を第1のモニタ部180へ出力し、伝送路400dから入力された信号光とダミー光の合波光を第1の光受信部170に出力するように設定されている。
【0069】
第2のダミー光源210は、ダミー光M1を出力する(S301)。第1のモニタ部180は、伝送路400a~400dの何れか一つからのダミー光M1を受信する(S302)。この際、第1のモニタ部180は、受信したダミー光M1の信号品質を測定する。この動作例においては、第1のモニタ部180は、伝送路400aを伝搬したダミー光M1の信号品質を最初に取得する。
【0070】
次に、海底光通信システム1は、前述の処理Aにより、伝送路400に対するダミー光の強度調整を行う(S303)。なお、S303における処理Aでのダミー光とは、ダミー光M1を指す。
【0071】
制御部190は、前述のS303における処理Aによって、全ての伝送路400に対してダミー光M1の強度が調整されたかどうかを検出する(S304)。全ての伝送路400に対してダミー光M1の強度が調整されたと制御部190が判断した場合(S304のYes)は、後述のS307の処理が行われる。
【0072】
また、全ての伝送路400に対してダミー光M1の強度が調整されたと判断されなかった場合(S304のNo)、制御部190は、切替部250、160に対して接続先を切り替えるように指示する(S305)。具体的には、制御部190は、切替部250、160に対して、ダミー光の強度が調整されていない伝送路400を接続先として指示する。例えば、制御部190は、S103において、伝送路400aに対するダミー光の強度の調整が完了している場合は、伝送路400b、400c及び400dのうちの何れか一つを接続先として指示する。
【0073】
制御部190からの指示に応じて、切替部250、160が接続先を切り替える(S306)。具体的には、切替部250は、第2の分岐部220と接続された入力ポートを、接続先として指示された伝送路400に接続する。また、切替部160は、第1のモニタ部180に対する出力ポートを、接続先として指示された伝送路400に接続する。これにより、第1のモニタ部180は、接続先として指示された伝送路400を介して、第2のダミー光源210からのダミー光を受信する。
【0074】
この際、切替部250において、第2の合波部240に対する入力ポートの接続先である伝送路400と、第2の分岐部220に対する入力ポートの接続先である伝送路400とが同じである場合、第2の合波部240に対する入力ポートを、既にダミー光M1の強度調整が完了している伝送路400と接続する。これにより、第2の合波部240から出力される合波光と第2の分岐部220から出力されるダミー光M1とが同一の伝送路400を伝搬しないため、これらが互いに干渉することを抑制できる。
【0075】
なお、制御部190は、切替部160に対しては、第1の端局100内に設けられた不図示の回線を用いて、接続先の切り替えを指示する。また、制御部190は、接続先の切り替えの指示を示す電気信号で変調した光信号を、第1の光送信部130から第2の光受信部270に送信させる。更に、第2の光受信部270が切替部260に対して接続先の切り替え指示を通知することで、制御部190は切替部260に対して接続先の切り替えを指示できる。
【0076】
S306の処理の後は、第1のモニタ部180は、ダミー光M1の強度が調整されていない伝送路400を介して、ダミー光M1を受信する(S302)。
【0077】
全ての伝送路400に対してダミー光M1の強度が調整されたと制御部190が判断した場合(S304のYes)、第2のダミー光源210は、ダミー光M2を出力する(S307)。第1のモニタ部180は、伝送路400a~400dの何れか一つからのダミー光M2を受信する(S308)。
【0078】
次に、海底光通信システム1は、前述の処理Aにより、伝送路400に対するダミー光の強度調整を行う(S309)。なお、S309における処理Aでのダミー光とは、ダミー光M2を指す。
【0079】
制御部190が、前述のS309における処理Aによって全ての伝送路400に対するダミー光M2の強度が調整されたかどうかを検出する(S310)。
【0080】
また、全ての伝送路400に対してダミー光M2の強度が調整された、と判断されなかった場合(S310のNo)、制御部190は、S305での処理と同様に、切替部250、160に対して接続先を切り替えるように指示する(S311)。
【0081】
制御部190からの指示に応じて、S306の処理と同様に、切替部250、160が接続先を切り替える(S312)。
【0082】
S312の処理の後のS308の処理においては、第1のモニタ部180は、ダミー光M2の強度が調整されていない伝送路400を介して、ダミー光M2を受信する(S308)。全ての伝送路400に対してダミー光M2の強度が調整されたと制御部190が判断した場合(S310のYes)は、複数の伝送路400を伝搬するダミー光の信号品質を取得するための動作が終了する。
【0083】
次に図6を用いて、海底光通信システム1において、複数の伝送路300に対するダミー光の強度を調整するための動作例について説明する。なお、本動作例の開始時において、切替部150は、第1の分岐部120から入力されたダミー光を伝送路300aに出力し、第1の合波部140から入力された光信号とダミー光の合波光を伝送路300dへ出力するように設定されている。また、切替部260は、伝送路300aから入力されたダミー光を第2のモニタ部280へ出力し、伝送路300dから入力された信号光とダミー光の合波光を第2の光受信部270に出力するように設定されている。
【0084】
第1のダミー光源110は、ダミー光M1を出力する(S401)。第2のモニタ部280は、伝送路300a~300dの何れか一つからのダミー光M1を受信する(S402)。この際、第2の光受信部270は、受信したダミー光M1の信号品質を測定する。この動作例においては、第2のモニタ部280は、伝送路300aを伝搬したダミー光M1の信号品質を最初に取得する。
【0085】
次に、海底光通信システム1は、前述の処理Bにより、伝送路300に対するダミー光の強度調整を行う(S403)。なお、S403における処理Bでのダミー光とは、ダミー光M1を指す。
【0086】
制御部190が、前述のS403における処理Bによって全ての伝送路300に対してダミー光M1の強度が調整されたかどうかを検出する(S404)。全ての伝送路300に対してダミー光M1の強度が調整された、と制御部190が判断した場合(S404のYes)は、後述のS407の処理が行われる。
【0087】
また、全ての伝送路300に対してダミー光M1の強度が調整されたと判断されなかった場合(S404のNo)、制御部190は、切替部150、260に対して接続先を切り替えるように指示する(S405)。具体的には、制御部190は、切替部150、260に対して、ダミー光の強度が調整されていない伝送路300を接続先として指示する。例えば、制御部190は、S403において、伝送路300aに対するダミー光の強度の調整が完了している場合は、伝送路300b、300c及び300dのうちの何れか一つを接続先として指示する。
【0088】
制御部190からの指示に応じて、切替部150、260が接続先を切り替える(S406)。具体的には、切替部150は、第1の分岐部120に対する入力ポートを、接続先として指示された伝送路300に接続する。また、切替部260は、第2のモニタ部280に対する出力ポートを、接続先として指示された伝送路300に接続する。この際、切替部150において、第1の合波部140に対する入力ポートの接続先である伝送路300と、第1の分岐部120に対する入力ポートの接続先である伝送路300とが同じである場合、第1の合波部140に対する入力ポートの接続先を、既にダミー光M1の強度調整が完了している伝送路300に切り替える。これにより、第1の合波部140から出力される合波光と第1の分岐部120から出力されるダミー光M1とが同一の伝送路300を伝搬しないため、これらが互いに干渉することを抑制できる。
【0089】
なお、制御部190は、切替部150に対しては、第1の端局100内に設けられた不図示の回線を用いて、接続先の切り替えを指示する。また、制御部190は、接続先の切り替えの指示を示す電気信号で変調した光信号を、第1の光送信部130から第2の光受信部270に送信させる。更に、第2の光受信部270が切替部260に対して接続先の切り替え指示を通知することで、制御部190は切替部260に対して接続先の切り替えを指示できる。
【0090】
S406の処理の後は、第2のモニタ部280は、ダミー光M1の強度が調整されていない伝送路300を介して、ダミー光M1を受信する(S402)。
【0091】
全ての伝送路300に対してダミー光M1の強度が調整されたと制御部190が判断した場合(S404のYes)、第1のダミー光源110は、ダミー光M2を出力する(S407)。第2のモニタ部280は、伝送路300a~300dの何れか一つを介して、ダミー光M2を受信する(S408)。
【0092】
次に、海底光通信システム1は、前述の処理Bより、伝送路300に対して出力されるダミー光の強度調整を行う(S409)。なお、S409における処理Bでのダミー光とは、ダミー光M2を指す。
【0093】
制御部190は、前述のS409における処理Bによって全ての伝送路300に対してダミー光M2の強度が調整されたかどうかを検出する(S410)。全ての伝送路300に対してダミー光M2の強度が調整されたと制御部190が判断した場合(S410のYes)は、複数の伝送路300に出力するダミー光の強度調整を終了する。
【0094】
また、全ての伝送路300に対してダミー光M2の強度が調整されたと判断されなかった場合(S410のNo)、制御部190は、S405での処理と同様に、切替部150、260に対して接続先を切り替えるように指示する(S411)。
【0095】
制御部190からの指示に応じて、S406の処理と同様に、切替部150、260が接続先を切り替える(S412)。
【0096】
S412の処理の後のS408の処理においては、第2のモニタ部280は、ダミー光M2の強度が調整されていない伝送路300を介して、ダミー光M2を受信する。
【0097】
なお、上記の説明では、海底光通信システム1は、図5のS303及び図6のS403によって、ダミー光の強度を調整するとした。しかし、ダミー光の信号品質を取得すればよく、ダミー光の強度調整が不要な場合は、海底光通信システム1は、図5のS303及び図6のS403の処理を行わなくともよい。この場合、図5のS304及び図6のS404においては、すべての伝送路300を介して伝送されたダミー光の信号品質が取得されたかどうかを判断する。
【0098】
以上、海底光通信システム1における、複数の伝送路300に出力するダミー光の強度を調整するための動作について説明した。
【0099】
このように、海底光通信システム1は、第1の端局100及び海底ケーブル500を介して第1の端局100と接続される第2の端局200を備える。海底ケーブル500は、少なくとも二つの伝送路300及び少なくとも一つの伝送路400を収容する。第1の端局100は、第1のダミー光源110、第1の光送信部130及び第1のモニタ部180を備える。第2の端局200は、第2のダミー光源210、第2のモニタ部280及び第2の光受信部270を備える。第1のモニタ部180は、第2の端局200から第1の伝送路(伝送路400)を介して取得したダミー光の信号品質(第1の信号品質)をモニタする。第1のダミー光源110は、第2の伝送路(伝送路300)を介して第2の端局200にダミー光を出力する。第1の光送信部130は、第1のモニタ部180が取得したダミー光の信号品質を含む光信号を、第3の伝送路(伝送路300)を介して第2の端局200に送信する。第2のダミー光源210は、第1の伝送路(伝送路400)を介して、第1のモニタ部180にダミー光を出力する。第2のモニタ部280は、第1のダミー光源110から第2の伝送路(伝送路300)を介して取得したダミー光の信号品質をモニタする。第2の光受信部270は、第1の光送信部130からの光信号を第3の伝送路(伝送路300)から受信する。
【0100】
以上のように、海底光通信システム1において、第1の端局100は、第2の端局200へ出力するダミー光及びダミー光の信号品質を含む第2の端局200からの光信号の両方を、海底ケーブル500を介して、第2の端局200へ出力する。具体的には、第2のダミー光源210は、伝送路400を介して、ダミー光を第1のモニタ部180に出力する。また、第1のダミー光源110は、伝送路300を介して、ダミー光を第2のモニタ部280に出力する。また、第1の光送信部130は、他の伝送路300を介して、光信号を第2の光受信部270に出力する。これにより、海底光通信システム1は、簡易に端局間で通信が可能である。例えば、海底光通信システム1の運用前に、第1の端局100及び第2の端局200間の伝送路の伝送特性を測定する為に、測定対象の伝送路300及び伝送路400にダミー光のみを伝搬させる必要がある場合であっても、他の伝送路300を用いて光信号を出力することによって、海底光通信システム1外の回線を用いずに端局間で通信することができる。
【0101】
また、第2のダミー光源210は、第1の光送信部130から出力された光信号に含まれている信号品質に基づいて、第1のモニタ部180に向けて出力するダミー光の強度を調整する。例えば、第1の端局100側で受信された時点でのダミー光の信号品質に基づいて、第2のダミー光源210から出力するダミー光の強度を調整することで、第2のダミー光源210は、受信時に適切な信号品質を有するダミー光を出力することができる。そして、海底光通信システム1が運用される際は、第2のダミー光源210が出力するダミー光のスペクトラム形状に基づく強度の光信号を運用の際に用いられる光トランスポンダから出力する。これにより、適切な信号品質の光信号を、第2の端局200から第1の端局100へ送信することができる。
【0102】
また、第1の端局100は、第1の分岐部120及び第1の合波部140を備える。第1の分岐部120は、第1のダミー光源110からのダミー光を分岐する。第1の合波部140は、第1の分岐部120により分岐されたダミー光及び第1の光送信部130からの光信号を合波して、第2の端局200内の第2の光受信部270に出力する。
【0103】
海底光通信システム1において、第1の端局100及び第2の端局200間を接続する伝送路は、入力した光信号を一定の強度まで増幅して出力する光増幅器が用いられている。一般的に、海底光通信においては、WDM(Wavelength Division Multiplexing)光信号が用いられる。そのため、光増幅器は、WDM光信号に含まれる光信号の総パワーを一定強度まで増幅する。一方で、上記のような光増幅器に一波長の光信号が入力された場合、光増幅器は、一波長の光信号のパワーを、WDM光信号に合わせて設定された上記の一定レベルまで増幅する。この結果、光増幅器で増幅された一波長の光信号のパワーは、光増幅器で増幅されたWDM信号に含まれる各波長の光信号のパワーよりも顕著に高い。海底光通信に用いられる光ファイバにおいては、顕著に高いパワーをもつ波長の光信号が入射した場合、非線形光学効果が生じる。非線形効果が生じると、信号品質に悪影響を与えるため好ましくない。
【0104】
一方で、海底光通信システム1においては、第1の光送信部130から出力される光信号は、第1の分岐部120により分岐されたダミー光と合波され、WDM信号として出力する。そのため、光増幅器が光信号とダミー光とが多重化されたWDM信号を増幅するため、非線形光学効果の発生が抑制される。また、第1の合波部140において第1の光送信部130からの光信号と合波されるダミー光と、第1の分岐部120から切替部150に出力されるダミー光とは、同一の光源から出力されている。従って、海底光通信システム1においては、非線形光学効果の発生を抑制するために、ダミー光を出力するダミー光源を追加する必要がない。
【0105】
また、第1の光送信部130は、第1のダミー光源110からのダミー光と異なる波長の光信号を出力する。これにより、第1の合波部140においてダミー光と光信号を合波する際に、ダミー光と光信号とが互いに干渉することを抑制できる。
【0106】
また、第1のダミー光源110は、出力するダミー光の波長を切替える。第1の光送信部130は、第1のダミー光源110がダミー光の波長を切り替えた際に、光信号の波長が第1のダミー光源110が出力するダミー光の波長と異なるように、光信号の波長を制御する。例えば、第1のダミー光源110が図2に示されるダミー光M1を出力し、第1の光送信部130が波長λ8の光信号を出力している場合において、第1のダミー光源がダミー光をダミー光M1からダミー光M2に切り替えると、第1の光送信部130は、光信号の波長を波長λ8から波長λ9に切り替える。これにより、ダミー光の波長が切り替えられる場合であっても、第1の合波部140においてダミー光と光信号を合波する際に、ダミー光と光信号とが互いに干渉することを抑制できる。
【0107】
なお、第1の実施形態における海底光通信システム1は、複数の伝送路300及び複数の伝送路400を介して伝送された光信号の信号品質を取得するために、切替部150、160、250、260を備える。しかし、複数の伝送路300及び複数の伝送路400を介して伝搬された光信号の信号品質を取得する必要がない場合、海底光通信システム1は、切替部150、160、250、260を備えなくともよい。
【0108】
また、第1の実施形態における海底光通信システム1は、伝送路300を介して伝搬された光信号の信号品質を第1の端局100に通知するために、第2の光送信部230及び第1の光受信部170を備える。一方で、伝送路300を介して伝搬された光信号の信号品質を第1の端局100に通知する必要がない場合、海底光通信システム1は、第2の光送信部230及び第1の光受信部170を備えなくともよい。
【0109】
また、第1の実施形態における海底光通信システム1は、第2の光送信部230から出力される光信号を第2のダミー光源210からのダミー光と合波するために、第2の分岐部220及び第2の合波部240を備える。一方で、第2の光送信部230から出力される光信号を第2のダミー光源210からのダミー光と合波する必要がない場合、海底光通信システム1は、第2の分岐部220及び第2の合波部240を備えなくともよい。
【0110】
以上、海底光通信システム1について説明した。
【0111】
<第2の実施の形態>
第2の実施形態における海底光通信システム2について、図7及び図8に基づき説明する。図7は、海底光通信システム2の構成例を示すブロック図である。また、図8は、海底光通信システム2における動作例を説明するためのフローチャートである。
【0112】
海底光通信システム2の構成について説明する。海底光通信システム2は、第1の端局100、第2の端局200及び海底ケーブル500を含む。なお、海底光通信システム2における第1の端局100は、海底光通信システム1における第1の端局100から、切替部150、切替部160、第1の光受信部170及び制御部190を省いたものである。更に、海底光通信システム2における第2の端局200は、海底光通信システム2における第2の端局200から、切替部250、切替部260及び第2の光受信部270を省いたものである。また、第1の端局100及び第2の端局200間は、海底ケーブル500により接続されている。海底ケーブル500は、伝送路300a、300b、400を収容する。
【0113】
第1の端局100は、図7に示されるように、第1のダミー光源110、第1の光送信部130及び第1のモニタ部180を備える。
【0114】
第1のダミー光源110は、第2の端局200に向けてダミー光を出力する。具体的には、第1のダミー光源110は、伝送路300aを介して、第2のモニタ部280へダミー光を出力する。
【0115】
第1のモニタ部180は、第2の端局200からのダミー光の信号品質をモニタする。具体的には、第1のモニタ部180は、第2の端局200内の第2のダミー光源210からのダミー光を受信し、受信したダミー光の信号品質をモニタする。
【0116】
第1の光送信部130は、第1のモニタ部180が取得したダミー光の信号品質を含む光信号を第2の端局200に送信する。具体的には、第1の光送信部130は、第1のモニタ部180がモニタした信号品質を示す電気信号を光信号に重畳し、伝送路300bを介して第2の端局内の第2の光受信部270に出力する。
【0117】
第2の端局200は図7に示されるように、第2のダミー光源210、第2の光受信部270及び第2のモニタ部280を備える。
【0118】
第2のダミー光源210は、第1の端局100に向けてダミー光を出力する。具体的には、第2のダミー光源210は、伝送路400を介して、第1のモニタ部180へダミー光を出力する。
【0119】
第2の光受信部270は、第1の光送信部130からの光信号を受信する。
【0120】
第2のモニタ部280は、第1の端局100からのダミー光の信号品質をモニタする。具体的には、第2のモニタ部280は、第1の端局100内の第1のダミー光源110からのダミー光を受信し、受信したダミー光の信号品質をモニタする。
【0121】
次に図8を用いて、海底光通信システム2の動作を説明する。
【0122】
第1のダミー光源110は、第2のモニタ部280にダミー光を出力し、第2のダミー光源210は、第1のモニタ部180にダミー光を出力する(S501)。
【0123】
第1のモニタ部180は、第2のダミー光源210からのダミー光の信号品質をモニタし、第2のモニタ部280は、第1のダミー光源110からのダミー光の信号品質をモニタする(S502)。
【0124】
第1の光送信部130は、第1のモニタ部180が取得したダミー光の信号品質を含む光信号を、第2の光受信部270に向けて送信する(S503)。
【0125】
なお、第2のダミー光源210は、第2の光受信部270が受信した光信号に含まれているダミー光の信号品質に基づいて、出力するダミー光の強度を調整してもよい。
【0126】
以上のように、海底光通信システム2において、第1の端局100は、第2の端局200へ出力するダミー光及びダミー光の信号品質を含む第2の端局200からの光信号の両方を、海底ケーブル500を介して、第2の端局200へ出力する。具体的には、第2のダミー光源210は、伝送路400を介して、ダミー光を第1のモニタ部180に出力する。また、第1のダミー光源110は、伝送路300aを介して、ダミー光を第2のモニタ部280に出力する。また、第1の光送信部130は、他の伝送路300bを介して、光信号を第2の光受信部270に出力する。これにより、海底光通信システム2は、簡易に端局間で通信が可能である。例えば、海底光通信システム2の運用前に、第1の端局100及び第2の端局200間の伝送路の伝送特性を測定する為に、測定対象の伝送路にダミー光のみを伝搬させる場合であっても、他の伝送路を用いて光信号を出力することによって、海底光通信システム2外の回線を用いずに端局間で通信することができる。
【0127】
以上、海底光通信システム2について説明した。
【0128】
次に、図9を用いて、海底光通信システム2Aについて説明する。図9は、海底光通信システム2Aの構成例を示すブロック図である。
【0129】
図9に示されるように、海底光通信システム2Aは、第1の分岐部120及び第1の合波部140を更に備える点において、海底光通信システム2と相違する。
【0130】
第1の分岐部120は、第1のダミー光源110から出力されたダミー光を分岐する。具体的には、第1の分岐部120は、ダミー光を分岐して第1の合波部140及び伝送路300aに出力する。
【0131】
第1の合波部140は、第1の分岐部120により分岐されたダミー光及び第1の光送信部130からの光信号を合波して、第2の光受信部270に出力する。
【0132】
なお、海底光通信システム2Aの動作は、海底光通信システム2の動作と同様である。
【0133】
以上のように、海底光通信システム2Aにおいては、第1の光送信部130から出力される光信号を、第1の分岐部120により分岐されたダミー光と合波して出力する。そのため、伝送路上に設けられた光増幅器が光信号とダミー光とが多重化されたWDM信号を増幅場合でも、非線形光学効果の発生が抑制される。また、第1の合波部140において第1の光送信部130からの光信号と合波されるダミー光と、第1の分岐部120から切替部150に出力されるダミー光とは、同一の光源から出力されている。従って、海底光通信システム2Aにおいては、非線形光学効果の発生を抑制するために、ダミー光を出力するダミー光源を追加で設ける必要がない。
【0134】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0135】
この出願は、2020年3月2日に出願された日本出願特願2020-034572を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0136】
100 第1の端局
110 第1のダミー光源
120 第1の分岐部
130 第1の光送信部
140 第1の合波部
150、160、250、260 切替部
170 第1の光受信部
180 第1のモニタ部
190 制御部
200 第2の端局
210 第2のダミー光源
220 第2の分岐部
230 第2の光送信部
240 第2の合波部
270 第2の光受信部
280 第2のモニタ部
300、300a、300b、300c、300d、400、400a、400b、400c、400d 伝送路
500 海底ケーブル
M1、M2 ダミー光
S1、S2 光信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9