(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】全固体電池および組電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/553 20210101AFI20231108BHJP
H01M 50/103 20210101ALI20231108BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20231108BHJP
H01M 50/50 20210101ALI20231108BHJP
H01M 50/547 20210101ALI20231108BHJP
H01M 50/548 20210101ALI20231108BHJP
H01M 10/0562 20100101ALI20231108BHJP
H01M 10/0585 20100101ALI20231108BHJP
H01M 10/052 20100101ALN20231108BHJP
【FI】
H01M50/553
H01M50/103
H01M50/209
H01M50/50 201Z
H01M50/547 101
H01M50/548 101
H01M10/0562
H01M10/0585
H01M10/052
H01M50/547 201
(21)【出願番号】P 2022521811
(86)(22)【出願日】2021-04-26
(86)【国際出願番号】 JP2021016581
(87)【国際公開番号】W WO2021230055
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-09-13
(31)【優先権主張番号】P 2020083624
(32)【優先日】2020-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100130638
【氏名又は名称】野末 貴弘
(74)【代理人】
【氏名又は名称】西澤 均
(72)【発明者】
【氏名】中村 孝則
【審査官】小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-001602(JP,A)
【文献】国際公開第2018/203474(WO,A1)
【文献】特開2019-145486(JP,A)
【文献】特開2008-016263(JP,A)
【文献】特開2016-001601(JP,A)
【文献】特開2020-126791(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
H01M 50/10ー50/198
H01M 50/20ー50/298
H01M 10/0562
H01M 10/0585
H01M 10/052
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の主面、第2の主面、第1の側面、第2の側面、第1の端面、および、第2の端面を有し、前記第1の端面に引き出された正極と、前記第2の端面に引き出された負極と、前記正極と前記負極との間に配置される固体電解質層とを備える積層体と、
少なくとも前記積層体の前記第1の端面と、前記第1の主
面である第1の面とに形成され、前記正極と電気的に接続された第1の外部電極と、
少なくとも前記積層体の前記第2の端面と、前記第1の
主面と対向する
前記第2の主面である第2の面とに形成され、前記負極と電気的に接続された第2の外部電極と、
を備え、
前記第1の面に形成されている前記第1の外部電極の、前記第1の端面と前記第2の端面とが対向する長さ方向における寸法は、前記積層体の前記長さ方向における寸法の1/2より長く、
前記第2の面に形成されている前記第2の外部電極の前記長さ方向における寸法は、前記積層体の前記長さ方向における寸法の1/2より長く、
前記第1の外部電極が形成されている、前記第1の面のうちの前記第1の端面側の領域、および、前記第2の外部電極が形成されている、前記第2の面のうちの前記第2の端面側の領域のうちの少なくとも一方の領域は、絶縁体により覆われていることを特徴とする全固体電池。
【請求項2】
前記第1の外部電極は、前記積層体の前記第1の端面の全体
と前記第1の主面の一部
とともに、さらに、前記第1の側面の一部、および、前記第2の側面の一
部に形成されており、
前記第2の外部電極は、前記積層体の前記第2の端面の全体
と前記第2の主面の一部
とともに、さらに、前記第1の側面の一部、および、前記第2の側面の一
部に形成されていることを特徴とする請求項
1に記載の全固体電池。
【請求項3】
前記第1の主面の一部に形成されている前記第1の外部電極の、前記第1の側面と前記第2の側面とが対向する幅方向における寸法は、前記積層体の前記幅方向における寸法の1/2より長く、かつ、前記積層体の前記幅方向における寸法より短く、
前記第2の主面の一部に形成されている前記第2の外部電極の前記幅方向における寸法は、前記積層体の前記幅方向における寸法の1/2より長く、かつ、前記積層体の前記幅方向における寸法より短いことを特徴とする請求項
2に記載の全固体電池。
【請求項4】
前記第1の主面の一部に形成されている前記第1の外部電極は、前記第1の側面と前記第2の側面とが対向する幅方向における中央部において、前記第1の端面側から前記第2の端面側へと延びる態様で形成されており、
前記第2の主面の一部に形成されている前記第2の外部電極は、前記幅方向における中央部において、前記第2の端面側から前記第1の端面側へと延びる態様で形成されていることを特徴とする請求項
2に記載の全固体電池。
【請求項5】
前記絶縁体は、前記第1の外部電極が形成されている、前記第1の面のうちの前記第1の端面側の領域、および、前記第2の外部電極が形成されている、前記第2の面のうちの前記第2の端面側の領域をそれぞれ覆っていることを特徴とする請求項1~
4のいずれか一項に記載の全固体電池。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか一項に記載の全固体電池を複数当接させることによって構成されている組電池であって、
互いに重なり合う2つの前記全固体電池のうちの一方の全固体電池における前記第1の主面に形成されている前記第1の外部電極と、他方の全固体電池における前記第2の主面に形成されている前記第2の外部電極とが当接して電気的に接続されていることを特徴とする組電池。
【請求項7】
第1の主面、第2の主面、第1の側面、第2の側面、第1の端面、および、第2の端面を有し、前記第1の端面に引き出された正極と、前記第2の端面に引き出された負極と、前記正極と前記負極との間に配置される固体電解質層とを備える積層体と、
少なくとも前記積層体の前記第1の端面と、前記第1の側面である第1の面とに形成され、前記正極と電気的に接続された第1の外部電極と、
少なくとも前記積層体の前記第2の端面と、前記第1の側面と対向する前記第2の側面である第2の面とに形成され、前記負極と電気的に接続された第2の外部電極と、
を備え、
前記第1の面に形成されている前記第1の外部電極の、前記第1の端面と前記第2の端面とが対向する長さ方向における寸法は、前記積層体の前記長さ方向における寸法の1/2より長く、
前記第2の面に形成されている前記第2の外部電極の前記長さ方向における寸法は、前記積層体の前記長さ方向における寸法の1/2より長く、
前記第1の外部電極が形成されている、前記第1の面のうちの前記第1の端面側の領域、および、前記第2の外部電極が形成されている、前記第2の面のうちの前記第2の端面側の領域のうちの少なくとも一方の領域は、絶縁体により覆われていることを特徴とする全固体電池。
【請求項8】
前記第1の外部電極は、前記積層体の前記第1の端面の全体
と前記第1の側面の一部とともに、さらに、前記第1の主面の一部、および、前記第2の主面の一部に形成されており、
前記第2の外部電極は、前記積層体の前記第2の端面の全体
と前記第2の側面の一部とともに、さらに、前記第1の主面の一部、および、前記第2の主面の一部に形成されていることを特徴とする請求項
7に記載の全固体電池。
【請求項9】
請求項
7または
8に記載の全固体電池を複数当接させることによって構成されている組電池であって、
互いに当接する2つの前記全固体電池のうちの一方の全固体電池における前記第1の側面に形成されている前記第1の外部電極と、他方の全固体電池における前記第2の側面に形成されている前記第2の外部電極とが当接して電気的に接続されていることを特徴とする組電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全固体電池、および、全固体電池を複数接続した組電池に関する。
【背景技術】
【0002】
電解液の代わりに固体電解質を備える全固体電池が知られている。また、複数の全固体電池を接続することによって構成される組電池も知られている。
【0003】
特許文献1には、上面および下面に、外部電極として機能する正極端子および負極端子をそれぞれ設けた構成の全固体電池が記載されている。具体的には、正極、固体電解質、および、負極が積層された発電要素を絶縁基板によって挟み込むとともに、絶縁基板にコンタクトホールとスルーホールを設けて、正極を正極端子と電気的に接続するとともに、負極を負極端子と電気的に接続している。この全固体電池によれば、縦に複数個を積み重ねるだけで容易に並列接続が可能になると、特許文献1には記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の全固体電池では、絶縁基板が必要であり、さらに、絶縁基板にコンタクトホールとスルーホールを設ける必要があるため、構造が複雑で、製造コストがかかるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであり、コンタクトホールやスルーホールを設ける必要がなく、他の全固体電池と容易に接続可能な全固体電池、および、そのような全固体電池を複数接続した組電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の全固体電池は、
第1の主面、第2の主面、第1の側面、第2の側面、第1の端面、および、第2の端面を有し、前記第1の端面に引き出された正極と、前記第2の端面に引き出された負極と、前記正極と前記負極との間に配置される固体電解質層とを備える積層体と、
少なくとも前記積層体の前記第1の端面と、前記第1の主面および前記第1の側面のうちの一方の面である第1の面とに形成され、前記正極と電気的に接続された第1の外部電極と、
少なくとも前記積層体の前記第2の端面と、前記第1の面と対向する第2の面とに形成され、前記負極と電気的に接続された第2の外部電極と、
を備え、
前記第1の面に形成されている前記第1の外部電極の、前記第1の端面と前記第2の端面とが対向する長さ方向における寸法は、前記積層体の前記長さ方向における寸法の1/2より長く、
前記第2の面に形成されている前記第2の外部電極の前記長さ方向における寸法は、前記積層体の前記長さ方向における寸法の1/2より長く、
前記第1の外部電極が形成されている、前記第1の面のうちの前記第1の端面側の領域、および、前記第2の外部電極が形成されている、前記第2の面のうちの前記第2の端面側の領域のうちの少なくとも一方の領域は、絶縁体により覆われていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の全固体電池によれば、第1の外部電極が形成されている第1の面と、第2の外部電極が形成されている第2の面とが当接するように、全固体電池を当接させるだけで、全固体電池同士を容易に直列に接続することができる。第1の外部電極は、第1の端面に引き出された正極と電気的に接続され、かつ、第2の外部電極は、第2の端面に引き出された負極と電気的に接続されているので、電極間を接続するためのコンタクトホールやスルーホールを設ける必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】(a)は、第1の実施形態における全固体電池の第1の主面を見たときの模式的上面図、(b)は、第2の主面を見たときの模式的下面図、(c)は、第1の側面側の模式的側面図、(d)は、第2の側面側の模式的側面図、(e)は、第1の端面側の模式的端面図、(f)は、第2の端面側の模式的端面図である。
【
図2】全固体電池を構成する積層体の断面図である。
【
図3】第1の実施形態における全固体電池を2つ積層することによって、直列に接続して構成される組電池の側面を模式的に示す図である。
【
図4】第1の実施形態における全固体電池を3つ積層することによって、直列に接続して構成される組電池の側面を模式的に示す図である。
【
図5】第1の実施形態における全固体電池を4つ積層することによって、直列に接続して構成される組電池の側面を模式的に示す図である。
【
図6】(a)~(f)は、積層体の表面に、第1の外部電極および第2の外部電極を形成する方法を説明するための図である。
【
図7】(a)は、第2の実施形態における全固体電池の第1の主面を見たときの模式的上面図、(b)は、第2の主面を見たときの模式的下面図、(c)は、第1の側面側の模式的側面図、(d)は、第2の側面側の模式的側面図、(e)は、第1の端面側の模式的端面図、(f)は、第2の端面側の模式的端面図である。
【
図8】(a)は、第2の実施形態における全固体電池を2つ直列に接続して構成される組電池の側面を模式的に示す図であり、(b)は、3つ直列に接続して構成される組電池の側面を模式的に示す図であり、(c)は、4つ直列に接続して構成される組電池の側面を模式的に示す図である。
【
図9】(a)は、第3の実施形態における全固体電池の第1の主面を見たときの模式的上面図、(b)は、第2の主面を見たときの模式的下面図、(c)は、第1の側面側の模式的側面図、(d)は、第2の側面側の模式的側面図、(e)は、第1の端面側の模式的端面図、(f)は、第2の端面側の模式的端面図である。
【
図10】(a)は、第3の実施形態における全固体電池を2つ直列に接続して構成される組電池200を模式的に示す上面図であり、(b)は、3つ直列に接続して構成される組電池を模式的に示す上面図である。
【
図11】(a)は、第4の実施形態における全固体電池の第1の主面を見たときの模式的上面図、(b)は、第2の主面を見たときの模式的下面図、(c)は、第1の側面側の模式的側面図、(d)は、第2の側面側の模式的側面図、(e)は、第1の端面側の模式的端面図、(f)は、第2の端面側の模式的端面図である。
【
図12】(a)は、第4の実施形態における全固体電池を2つ積層することによって直列に接続して構成される組電池を模式的に示す側面図であり、(b)は、3つ積層することによって直列に接続して構成される組電池を模式的に示す側面図である。
【
図13】(a)は、第5の実施形態における全固体電池の第1の主面を見たときの模式的上面図、(b)は、第2の主面を見たときの模式的下面図、(c)は、第1の側面側の模式的側面図、(d)は、第2の側面側の模式的側面図、(e)は、第1の端面側の模式的端面図、(f)は、第2の端面側の模式的端面図である。
【
図14】(a)は、第5の実施形態における全固体電池を2つ積層することによって直列に接続して構成される組電池を模式的に示す側面図であり、(b)は、3つ積層することによって直列に接続して構成される組電池を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施形態を示して、本発明の特徴を具体的に説明する。
【0011】
<第1の実施形態>
図1(a)は、第1の実施形態における全固体電池100の第1の主面を見たときの模式的上面図、
図1(b)は、第2の主面を見たときの模式的下面図、
図1(c)は、第1の側面側の模式的側面図、
図1(d)は、第2の側面側の模式的側面図、
図1(e)は、第1の端面側の模式的端面図、
図1(f)は、第2の端面側の模式的端面図である。また、
図2は、全固体電池100を構成する積層体10の断面図である。
【0012】
図1および
図2に示すように、全固体電池100は、全体として直方体の形状を有しており、積層体10と、第1の外部電極21と、第2の外部電極22と、絶縁体30とを備える。全固体電池の定格電圧は、例えば2Vである。
【0013】
積層体10は、互いに対向する第1の端面15aおよび第2の端面15bと、互いに対向する第1の主面16aおよび第2の主面16bと、互いに対向する第1の側面17aおよび第2の側面17bとを有する。ここでは、第1の端面15aおよび第2の端面15bが対向する方向を長さ方向L、第1の主面16aおよび第2の主面16bが対向する方向を積層方向T、第1の側面17aおよび第2の側面17bが対向する方向を幅方向Wと定義する。長さ方向L、積層方向T、および、幅方向Wのうちの任意の2つの方向は、互いに直交する方向である。
【0014】
図2に示すように、積層体10は、正極1と、負極2と、固体電解質層3とを備える。より詳細には、積層体10は、正極1と負極2とが積層方向Tにおいて、固体電解質層3を介して交互に複数積層された構造を有する。
【0015】
本実施形態において、正極1は、正極活物質を含む正極活物質層と正極集電体とを有する。正極活物質としては、例えば、ナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物、オリビン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物、リチウム含有層状酸化物、スピネル型構造を有するリチウム含有酸化物等が挙げられる。正極集電体は、例えば、Pt、Au、Ag、Al、Cu、ステンレス、ITO(酸化インジウムスズ)等により構成することができる。
【0016】
正極1は、第1の端面15aに引き出されているが、第2の端面15b、第1の側面17a、および、第2の側面17bには引き出されていない。
【0017】
本実施形態において、負極2は、負極活物質を含む負極活物質層と負極集電体とを有する。負極活物質としては、例えば、MOx(Mは、Ti,Si,Sn,Cr,Fe,NbおよびMoからなる群より選ばれた少なくとも一種であり、xは、0.9≦x≦2.0の関係を満たす)で表される化合物、黒鉛-リチウム化合物、リチウム合金、ナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物、オリビン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物、スピネル型構造を有するリチウム含有酸化物等が挙げられる。負極集電体は、例えば、Pt、Au、Ag、Al、Cu、ステンレス、ITO(酸化インジウムスズ)等により構成することができる。
【0018】
負極2は、第2の端面15bに引き出されているが、第1の端面15a、第1の側面17a、および、第2の側面17bには引き出されていない。
【0019】
固体電解質層3に含まれる固体電解質としては、例えば、ナシコン構造を有するリチウム含有リン酸化合物、ペロブスカイト構造を有する酸化物固体電解質、ガーネット型若しくはガーネット型類似構造を有する酸化物固体電解質等が挙げられる。
【0020】
なお、本発明における全固体電池100は、後述する第1の外部電極21、第2の外部電極22、および、絶縁体30の形状および配置位置に特徴がある。すなわち、正極1、負極2、および、固体電解質層3を備える積層体10の構成が上述した構成に限定されることはない。
【0021】
第1の外部電極21は、少なくとも積層体10の第1の端面15aと、第1の主面16aおよび第1の側面17aのうちの一方の面である第1の面とに形成されている。本実施形態において、第1の面は第1の主面16aであり、第1の外部電極21は、第1の端面15aの全体と、第1の主面16aの一部、第1の側面17aの一部、および、第2の側面17bの一部とに形成されている。なお、後述するように、第1の外部電極21の一部は、絶縁体30によって覆われている。すなわち、
図1では、目視できる第1の外部電極21の領域にハッチングを施している。なお、第1の外部電極21のうち、面をまたがって形成されている部分は、途切れることなく繋がっている。
【0022】
第1の外部電極21は、第1の端面15aにおいて、第1の端面15aに引き出されている正極1と接続されており、それにより、第1の外部電極21と正極1とが電気的に接続されている。
【0023】
図1(a)に示すように、第1の主面16aに形成されている第1の外部電極21の長さ方向Lにおける寸法は、積層体10の長さ方向Lにおける寸法の1/2より長い。なお、
図1(a)~(d)において、一点鎖線は、積層体10の長さ方向Lにおける寸法の1/2の位置を示す線である。
【0024】
第1の側面17aおよび第2の側面17bに形成されている第1の外部電極21は、三角形の形状を有する。
【0025】
第2の外部電極22は、少なくとも積層体10の第2の端面15bと、第1の面と対向する第2の面に形成されている。本実施形態では、第2の面は第2の主面16bであり、第2の外部電極22は、第2の端面15bの全体と、第2の主面16bの一部、第1の側面17aの一部、および、第2の側面17bの一部とに形成されている。
図1では、目視できる第2の外部電極22の領域にハッチングを施している。なお、第2の外部電極22のうち、面をまたがって形成されている部分は、途切れることなく繋がっている。
【0026】
第2の外部電極22は、第2の端面15bにおいて、第2の端面15bに引き出されている負極2と接続されており、それにより、第2の外部電極22と負極2とが電気的に接続されている。
【0027】
なお、積層体10の第1の側面17aおよび第2の側面17bには、第1の外部電極21および第2の外部電極22を形成しない構成としてもよい。
【0028】
図1(b)に示すように、第2の主面16bに形成されている第2の外部電極22の長さ方向Lにおける寸法は、積層体10の長さ方向Lにおける寸法の1/2より長い。
【0029】
第1の側面17aおよび第2の側面17bに形成されている第2の外部電極22は、略三角形の形状を有する。
図1(c)および
図1(d)に示すように、第1の側面17aおよび第2の側面17bにそれぞれ形成されている第1の外部電極21および第2の外部電極22は、互いに接触しないように形成されている。
【0030】
第1の外部電極21が形成されている、第1の面である第1の主面16aのうちの第1の端面15a側の領域、および、第2の外部電極22が形成されている、第2の面である第2の主面16bのうちの第2の端面15b側の領域のうちの少なくとも一方の領域は、絶縁体30により覆われている。絶縁体30は、電気的に絶縁可能な材料で構成されていればよく、例えば、高分子材料やガラス材料等からなる。高分子材料としては、例えば、フッ素系材料を使用することができる。また、ガラス材料としては、例えば、エポキシ系材料を使用することができる。
【0031】
本実施形態では、第1の主面16aのうちの第1の端面15a側の領域が絶縁体30により覆われている。
図1のドット領域が絶縁体30により覆われている領域である。より詳しくは、
図1(a)~(e)に示すように、第1の端面15aの全体、第1の主面16aのうちの第1の端面15a側の所定領域、第2の主面16bのうちの第2の端面15b側の所定領域、第1の側面17aのうちの第1の端面15a側の所定領域、および、第2の側面17bのうちの第1の端面15a側の所定領域が絶縁体30によって覆われている。
【0032】
第1の主面16aのうちの第1の端面15a側の所定領域は、直列に接続する対象である別の全固体電池を第1の主面16a上に積層したときに、第1の外部電極21と、積層した別の全固体電池の第1の外部電極とが接触しないように、その広さを定めておく。
【0033】
図3は、2つの全固体電池100a、100bを積層することによって、直列に接続して構成される組電池200の側面を模式的に示す図である。全固体電池100aの構成は、
図1に示す全固体電池100の構成と同じである。一方、全固体電池100bは、絶縁体30が形成されている位置が
図1に示す全固体電池100と異なる。すなわち、全固体電池100bでは、第2の主面16bのうちの第2の端面15b側の領域が絶縁体30により覆われている。より詳しくは、第2の端面15bの全体、第2の主面16bのうちの第2の端面15b側の所定領域、第1の主面16aのうちの第2の端面15b側の所定領域、第1の側面17aのうちの第2の端面15b側の所定領域、および、第2の側面17bのうちの第2の端面15b側の所定領域が絶縁体30によって覆われている。全固体電池100aの第1の主面16aと、全固体電池100bの第2の主面16bとが対向するように、2つの全固体電池100a、100bは積層される。
【0034】
上述したように、第1の面である第1の主面16aに形成されている第1の外部電極21の長さ方向Lにおける寸法は、積層体10の長さ方向Lにおける寸法の1/2より長く、第2の面である第2の主面16bに形成されている第2の外部電極22の長さ方向Lにおける寸法は、積層体10の長さ方向Lにおける寸法の1/2より長い。したがって、
図3に示すように、全固体電池100aの第1の主面16a上に形成されている第1の外部電極21は、全固体電池100bの第2の主面16b上に形成されている第2の外部電極22と当接し、これにより、互いに電気的に接続されている。全固体電池100aの第1の外部電極21は、全固体電池100bの第1の外部電極21とは接触しておらず、電気的に絶縁されている。また、全固体電池100aの第2の外部電極22は、全固体電池100bの第2の外部電極22とは接触しておらず、電気的に絶縁されている。
【0035】
このように、2つの全固体電池100a、100bを当接させるだけで容易に直列接続することができる。また、第1の外部電極21が形成される第1の面が第1の主面16aであり、第2の外部電極22が形成される第2の面が第2の主面16bであることにより、2つの全固体電池100a、100bを積層方向Tに積層することによって組電池200を構成するので、組電池200の実装面積は、1つの全固体電池の実装面積と同じとなり、省スペース化を実現することができる。
【0036】
なお、導電性ペーストやはんだなどの接合材を用いて、2つの全固体電池100a、100bを接続するようにしてもよい。接合材を用いて接続することにより、全固体電池100aと全固体電池100bとの間の接続をより確実に行うことができる。
【0037】
図4は、3つの全固体電池100a、100b、100cを積層することによって、直列に接続して構成される組電池300の側面を模式的に示す図である。全固体電池100a、100cの構成は、
図1に示す全固体電池100の構成と同じである。一方、全固体電池100bの構成は、
図3に示す全固体電池100bの構成と同じである。
【0038】
図4に示す組電池300は、
図3に示す組電池200に対して、全固体電池100cをさらに積層方向Tに積層した構造を有する。具体的には、全固体電池100cの第2の主面16bと全固体電池100bの第1の主面16aとが対向するように、全固体電池100cが積層される。
図4に示すように、全固体電池100bの第1の主面16a上に形成されている第1の外部電極21は、全固体電池100cの第2の主面16b上に形成されている第2の外部電極22と当接し、電気的に接続されている。全固体電池100bの第1の外部電極21は、全固体電池100cの第1の外部電極21とは接触しておらず、電気的に絶縁されている。また、全固体電池100bの第2の外部電極22は、全固体電池100cの第2の外部電極22とは接触しておらず、電気的に絶縁されている。
【0039】
このように、3つの全固体電池100a、100b、100cを積層するだけで、3つの全固体電池100a、100b、100cが直列に接続された構造の組電池300を得ることができる。
【0040】
図5は、4つの全固体電池100a、100b、100c、100dを積層することによって、直列に接続して構成される組電池400の側面を模式的に示す図である。全固体電池100a、100cの構成は、
図1に示す全固体電池100の構成と同じである。一方、全固体電池100b、100dの構成は、
図3に示す全固体電池100bの構成と同じである。
【0041】
図5に示す組電池400は、
図4に示す組電池300に対して、全固体電池100dをさらに積層方向Tに積層した構造を有する。具体的には、全固体電池100dの第2の主面16bと全固体電池100cの第1の主面16aとが対向するように、全固体電池100dが積層される。
図5に示すように、全固体電池100cの第1の主面16a上に形成されている第1の外部電極21は、全固体電池100dの第2の主面16b上に形成されている第2の外部電極22と当接し、電気的に接続されている。全固体電池100cの第1の外部電極21は、全固体電池100dの第1の外部電極21とは接触しておらず、電気的に絶縁されている。また、全固体電池100cの第2の外部電極22は、全固体電池100dの第2の外部電極22とは接触しておらず、電気的に絶縁されている。
【0042】
このように、4つの全固体電池100a、100b、100c、100dを積層するだけで、4つの全固体電池100a、100b、100c、100dが直列に接続された構造の組電池400を得ることができる。同様に、5つ以上の全固体電池100を積層することによって、5つ以上の全固体電池100が直列に接続された構造の組電池を得ることができる。
【0043】
(全固体電池の製造方法)
全固体電池100の製造方法の一例について説明する。
【0044】
まず、活物質粒子を含むペーストをシートの上に塗工し、乾燥させることにより、正極1を構成するための第1のグリーンシートを作製する。同様に、負極2を構成するための第2のグリーンシートを作製する。また、固体電解質を含むペーストをシートの上に塗工して乾燥させることにより、固体電解質層3を構成するための第3のグリーンシートを作製する。
【0045】
続いて、第1のグリーンシート、第2のグリーンシート、および、第3のグリーンシートを適宜積層し、プレスすることによって、未焼成の積層体を得る。その後、未焼成の積層体に対して脱脂処理を行った後、焼成することによって、積層体10を得る。
【0046】
続いて、積層体10の表面に、第1の外部電極21および第2の外部電極22を形成する。
図6は、積層体10の表面に、第1の外部電極21および第2の外部電極22を形成する方法を説明するための図である。
【0047】
はじめに、
図6(a)に示すように、積層体10を所望の角度傾けた状態で、外部電極用導電性ペースト31に浸漬する。このとき、積層体10の第1の主面16aに塗工される外部電極用導電性ペーストの長さ方向Lの寸法が積層体10の長さ方向Lの寸法の1/2より長くなるようにし、かつ、第1の端面15aの全体に外部電極用導電性ペーストが塗工されるように、積層体10を浸漬する。
【0048】
続いて、所定の温度で乾燥させる(
図6(b)参照)。
【0049】
続いて、
図6(c)に示すように、積層体10の反対側の面に外部電極用導電性ペーストを塗工するために、積層体10を所望の角度傾けた状態で、外部電極用導電性ペースト31に浸漬する。このとき、積層体10の第2の主面16bに塗工される外部電極用導電性ペーストの長さ方向Lの寸法が積層体10の長さ方向Lの寸法の1/2より長くなるようにし、かつ、第2の端面15bの全体に外部電極用導電性ペーストが塗工されるように、積層体10を浸漬する。
【0050】
続いて、所定の温度で乾燥させる(
図6(d)参照)。
【0051】
続いて、
図6(e)に示すように、積層体10の第1の端面15aが鉛直下方を向くようにした状態で、積層体10を所定の深さまで絶縁ペースト32に浸漬する。
【0052】
この後、外部電極用導電性ペーストおよび絶縁ペーストを塗工した積層体10を焼成する。上述した工程により、全固体電池100が得られる。
【0053】
<第2の実施形態>
図7(a)は、第2の実施形態における全固体電池100の第1の主面16aを見たときの模式的上面図、
図7(b)は、第2の主面16bを見たときの模式的下面図、
図7(c)は、第1の側面17a側の模式的側面図、
図7(d)は、第2の側面17b側の模式的側面図、
図7(e)は、第1の端面15a側の模式的端面図、
図7(f)は、第2の端面15b側の模式的端面図である。
【0054】
第2の実施形態における全固体電池100が第1の実施形態における全固体電池100と異なるのは、絶縁体30が形成されている領域である。第1の実施形態における全固体電池100では、第1の面である第1の主面16aのうちの第1の端面15a側の領域を覆うように絶縁体30が設けられているが、第2の実施形態における全固体電池100では、第1の面である第1の主面16aのうちの第1の端面15a側の領域、および、第2の面である第2の主面16bのうちの第2の端面15b側の領域をそれぞれ覆うように絶縁体30が設けられている。
【0055】
図7(a)、(e)に示すように、絶縁体30は、積層体10の第1の主面16aのうちの第1の端面15a側の領域、および、第1の端面15aのうちの第1の主面16a側の領域を覆うように設けられている。また、
図7(b)、(f)に示すように、絶縁体30は、積層体10の第2の主面16bのうちの第2の端面15b側の領域、および、第2の端面15bのうちの第2の主面16b側の領域を覆うように設けられている。さらに、
図7(c)、(d)に示すように、絶縁体30は、第1の側面17aの一部および第2の側面17bの一部も覆うように設けられている。
【0056】
なお、第1の実施形態における全固体電池100と同様に、積層体10の第1の側面17aおよび第2の側面17bには、第1の外部電極21および第2の外部電極22を形成しない構成としてもよい。
【0057】
第2の実施形態における全固体電池100は、第1の実施形態における全固体電池100と同様の方法により作製することができる。ただし、積層体10を絶縁ペースト32に浸漬する際(
図6(e)参照)、積層体10の第1の端面15aが鉛直下方を向いた状態から、第1の主面16aが下方になるように少し傾けた状態にして、絶縁ペースト32に浸漬する。また、積層体10の第2の端面15bが鉛直下方を向いた状態から、第2の主面16bが下方になるように少し傾けた状態にして、絶縁ペースト32に浸漬する。
【0058】
図8(a)は、第2の実施形態における全固体電池100を積層することによって、2つ直列に接続して構成される組電池200の側面を模式的に示す図である。
図3に示す組電池200と同様に、2つの全固体電池100を積層方向Tに積層することによって、2つの全固体電池100が直列に接続された組電池200が構成されている。
【0059】
図8(b)は、第2の実施形態における全固体電池100を積層することによって、3つ直列に接続して構成される組電池300の側面を模式的に示す図である。
図4に示す組電池300と同様に、3つの全固体電池100を積層方向Tに積層することによって、3つの全固体電池100が直列に接続された組電池300が構成されている。
【0060】
図8(c)は、第2の実施形態における全固体電池100を4つ直列に接続して構成される組電池400の側面を模式的に示す図である。
図5に示す組電池400と同様に、4つの全固体電池100を積層方向Tに積層することによって、4つの全固体電池100が直列に接続された組電池400が構成されている。同様に、5つ以上の全固体電池100を積層することによって、5つ以上の全固体電池100が直列に接続された構造の組電池を得ることができる。
【0061】
ここで、第2の実施形態における全固体電池100では、
図7(e)、(f)に示すように、第1の端面15aに第1の外部電極21が露出し、第2の端面15bに第2の外部電極22が露出している。したがって、第1の端面15aおよび第2の端面15bを当接面として、さらに他の全固体電池100や、積層セラミックコンデンサなどの電子部品と接続することが可能となる。
【0062】
<第3の実施形態>
図9(a)は、第3の実施形態における全固体電池100の第1の主面16aを見たときの模式的上面図、
図9(b)は、第2の主面16bを見たときの模式的下面図、
図9(c)は、第1の側面17a側の模式的側面図、
図9(d)は、第2の側面17b側の模式的側面図、
図9(e)は、第1の端面15a側の模式的端面図、
図9(f)は、第2の端面15b側の模式的端面図である。
【0063】
第3の実施形態における全固体電池100が第1の実施形態における全固体電池100と異なるのは、第1の外部電極21、第2の外部電極22、および、絶縁体30が形成されている領域である。
【0064】
第1の外部電極21は、少なくとも積層体10の第1の端面15aと、第1の主面16aおよび第1の側面17aのうちの一方の面である第1の面に形成されている。本実施形態において、第1の面は第1の側面17aであり、第1の外部電極21は、第1の端面15aの全体と、第1の側面17aの一部、第1の主面16aの一部、および、第2の主面16bの一部とに形成されている(
図9参照)。
【0065】
図9(c)に示すように、第1の面である第1の側面17aに形成されている第1の外部電極21の長さ方向Lにおける寸法は、積層体10の長さ方向Lにおける寸法の1/2より長い。
【0066】
第2の外部電極22は、少なくとも積層体10の第2の端面15bと、第1の面と対向する第2の面とに形成されている。本実施形態において、第2の面は第2の側面17bであり、第2の外部電極22は、第2の端面15bの全体と、第2の側面17bの一部、第1の主面16aの一部、および、第2の主面16bの一部とに形成されている。
【0067】
図9(d)に示すように、第2の面である第2の側面17bに形成されている第2の外部電極22の長さ方向Lにおける寸法は、積層体10の長さ方向Lにおける寸法の1/2より長い。
【0068】
本実施形態における全固体電池100でも、第1の面である第1の側面17aのうちの第1の端面15a側の領域、および、第2の面である第2の側面17bのうちの第2の端面15b側の領域のうちの少なくとも一方の領域は、絶縁体30により覆われている。ここでは、第1の面である第1の側面17aのうちの第1の端面15a側の領域、および、第2の面である第2の側面17bのうちの第2の端面15b側の領域がそれぞれ、絶縁体30によって覆われている。本実施形態では、
図9(a)~(f)に示すように、第1の側面17aの一部および第2の側面17bの一部だけでなく、第1の主面16aの一部、第2の主面16bの一部、第1の端面15aの一部、および、第2の端面15bの一部も絶縁体30によって覆われている。
【0069】
第1および第2の実施形態における全固体電池100は、第1の主面16aと、別の全固体電池100の第2の主面16bとが当接する態様で積層することによって、直列に接続するように構成されている。
【0070】
これに対して、第3の実施形態における全固体電池100は、第1の側面17aと、別の全固体電池100の第2の側面17bとが当接する態様で、2つの全固体電池100を当接させることによって、直列に接続する。
【0071】
図10(a)は、第3の実施形態における全固体電池100を2つ直列に接続して構成される組電池200を模式的に示す上面図である。上述したように、2つの全固体電池100のうちの一方の全固体電池100の第1の側面17aと、他方の全固体電池100の第2の側面17bとが当接するように、2つの全固体電池100を当接させる。
【0072】
上述したように、第1の面である第1の側面17aに形成されている第1の外部電極21の長さ方向Lにおける寸法は、積層体10の長さ方向Lにおける寸法の1/2より長く、第2の面である第2の側面17bに形成されている第2の外部電極22の長さ方向Lにおける寸法は、積層体10の長さ方向Lにおける寸法の1/2より長い。したがって、
図10(a)に示すように、2つの全固体電池100を当接させた状態では、一方の全固体電池100の第1の外部電極21は、他方の全固体電池100の第2の外部電極22と当接し、これにより、互いに電気的に接続されている。一方の全固体電池100の第1の外部電極21は、他方の全固体電池100の第1の外部電極21とは接触しておらず、電気的に絶縁されている。また、一方の全固体電池100の第2の外部電極22は、他方の全固体電池100の第2の外部電極22とは接触しておらず、電気的に絶縁されている。
【0073】
図10(b)は、第3の実施形態における全固体電池100を3つ直列に接続して構成される組電池300を模式的に示す上面図である。隣り合う2つの全固体電池100の接続方法は、
図10(a)に示す2つの全固体電池100の接続方法と同じである。図は省略するが、同様の方法により、4つ以上の全固体電池100を直列に接続した組電池を得ることができる。
【0074】
<第4の実施形態>
図11(a)は、第4の実施形態における全固体電池100の第1の主面16aを見たときの模式的上面図、
図11(b)は、第2の主面16bを見たときの模式的下面図、
図11(c)は、第1の側面17a側の模式的側面図、
図11(d)は、第2の側面17b側の模式的側面図、
図11(e)は、第1の端面15a側の模式的端面図、
図11(f)は、第2の端面15b側の模式的端面図である。なお、
図1(c)、(d)、
図3(c)、(d)、
図4(c)、(d)では示していないが、
図11(c)、(d)では、他の全固体電池100と接続したときの接続関係が分かるように、第1の主面16a上に形成されている第1の外部電極21および絶縁体30と、第2の主面16b上に形成されている第2の外部電極22および絶縁体30とを、厚みのある領域として示している。
【0075】
第4の実施形態における全固体電池100が第1の実施形態における全固体電池100と異なるのは、第1の外部電極21、第2の外部電極22、および、絶縁体30が形成されている領域である。
【0076】
第1の外部電極21は、少なくとも積層体10の第1の端面15aと、第1の主面16aおよび第1の側面17aのうちの一方の面である第1の面に形成されている。本実施形態において、第1の面は第1の主面16aであり、第1の外部電極21は、第1の端面15aの全体と、第1の主面16aの一部、第1の側面17aの一部、および、第2の側面17bの一部とに形成されている(
図11参照)。
図11(a)に示すように、第1の主面16aに形成されている第1の外部電極21の面積は、第1の実施形態における全固体電池100の第1の主面16aに形成されている第1の外部電極21(
図1(a)参照)の面積よりも小さい。具体的には、
図11(a)に示すように、第1の主面16a上において、第2の側面17b側において、第1の外部電極21が形成されていない領域がある。
【0077】
図11(a)に示すように、第1の主面16aに形成されている第1の外部電極21の長さ方向Lにおける寸法は、積層体10の長さ方向Lにおける寸法の1/2より長い。また、第1の主面16aに形成されている第1の外部電極21の幅方向Wにおける寸法は、積層体10の幅方向Wにおける寸法の1/2より長く、かつ、積層体10の幅方向Wにおける寸法より短い。
【0078】
第2の外部電極22は、少なくとも積層体10の第2の端面15bと、第1の面と対向する第2の面とに形成されている。本実施形態において、第2の面は第2の主面16bであり、第2の外部電極22は、第2の端面15bの全体と、第2の主面16bの一部、第1の側面17aの一部、および、第2の側面17bの一部とに形成されている。
図11(b)に示すように、第2の主面16bに形成されている第2の外部電極22の面積は、第1の実施形態における全固体電池100の第2の主面16bに形成されている第2の外部電極22(
図1(b)参照)の面積よりも小さい。具体的には、
図11(b)に示すように、第2の主面16b上において、第1の側面17a側において、第2の外部電極22が形成されていない領域がある。
【0079】
図11(b)に示すように、第2の主面16bに形成されている第2の外部電極22の長さ方向Lにおける寸法は、積層体10の長さ方向Lにおける寸法の1/2より長い。また、第2の主面16bに形成されている第2の外部電極22の幅方向Wにおける寸法は、積層体10の幅方向Wにおける寸法の1/2より長く、かつ、積層体10の幅方向Wにおける寸法より短い。
【0080】
第1の主面16a上の第1の外部電極21、および、第2の主面16b上の第2の外部電極22は、例えば、外部電極用導電性ペーストを含むインクを、インクジェット印刷により塗工した後、焼成することによって形成することができる。
【0081】
なお、第1の実施形態における全固体電池100と同様に、積層体10の第1の側面17aおよび第2の側面17bには、第1の外部電極21および第2の外部電極22を形成しない構成としてもよい。
【0082】
絶縁体30は、第1の面である第1の主面16aのうちの第1の端面15a側の領域、および、第2の面である第2の主面16bのうちの第2の端面15b側の領域をそれぞれ覆うように形成されている。絶縁体30は、例えば、絶縁材料を含むインクをインクジェット印刷により塗工することによって形成することができる。
【0083】
第4の実施形態における全固体電池100によれば、第1の実施形態における全固体電池100と比べて、使用する外部電極用導電性ペーストの量を少なくすることができるので、製造コストを低減することができる。
【0084】
図12(a)は、第4の実施形態における全固体電池100を2つ積層することによって直列に接続して構成される組電池200を模式的に示す側面図である。2つの全固体電池100の接続関係は、
図3に示す2つの全固体電池100a、100bの接続関係と同じである。すなわち、積層方向Tにおける下側の全固体電池100の第1の主面16a上の第1の外部電極21と、上側の全固体電池100の第2の主面16b上の第2の外部電極22とが当接することによって、互いに電気的に接続されている。
【0085】
なお、上述したように、第1の主面16aに形成されている第1の外部電極21の長さ方向Lにおける寸法は、積層体10の長さ方向Lにおける寸法の1/2より長く、第2の主面16bに形成されている第2の外部電極22の長さ方向Lにおける寸法は、積層体10の長さ方向Lにおける寸法の1/2より長い。また、第1の主面16aに形成されている第1の外部電極21の幅方向Wにおける寸法は、積層体10の幅方向Wにおける寸法の1/2より長く、第2の主面16bに形成されている第2の外部電極22の幅方向Wにおける寸法は、積層体10の幅方向Wにおける寸法の1/2より長い。そのような構造により、2つの全固体電池100を積層したときに、一方の全固体電池100の第1の外部電極21と、他方の全固体電池100の第2の外部電極22とを確実に当接させることができる。
【0086】
図12(b)は、第4の実施形態における全固体電池100を3つ積層することによって直列に接続して構成される組電池300を模式的に示す側面図である。3つの全固体電池100の接続関係は、
図4に示す3つの全固体電池100a、100b、100cの接続関係と同じである。図は省略するが、同様の方法により、4つ以上の全固体電池100を直列に接続した組電池を得ることができる。
【0087】
なお、第4の実施形態における全固体電池100では、
図11(e)、(f)に示すように、第1の端面15aに第1の外部電極21が露出し、第2の端面15bに第2の外部電極22が露出しているので、第1の端面15aおよび第2の端面15bを当接面として、さらに他の全固体電池100や、積層セラミックコンデンサなどの電子部品と接続することが可能となる。
【0088】
<第5の実施形態>
図13(a)は、第5の実施形態における全固体電池100の第1の主面16aを見たときの模式的上面図、
図13(b)は、第2の主面16bを見たときの模式的下面図、
図13(c)は、第1の側面17a側の模式的側面図、
図13(d)は、第2の側面17b側の模式的側面図、
図13(e)は、第1の端面15a側の模式的端面図、
図13(f)は、第2の端面15b側の模式的端面図である。
【0089】
第5の実施形態における全固体電池100が第1の実施形態における全固体電池100と異なるのは、第1の外部電極21、第2の外部電極22、および、絶縁体30が形成されている領域である。
【0090】
第1の外部電極21は、少なくとも積層体10の第1の端面15aと、第1の主面16aおよび第1の側面17aのうちの一方の面である第1の面とに形成されている。本実施形態において、第1の面は第1の主面16aであり、第1の外部電極21は、第1の端面15aの全体と、第1の主面16aの一部、第1の側面17aの一部、および、第2の側面17bの一部とに形成されている(
図13参照)。
図13(a)に示すように、第1の主面16aに形成されている第1の外部電極21は、幅方向Wの中央部において、第1の端面15a側から第2の端面15b側へと延びる態様で形成されている。すなわち、第1の主面16aのうち、幅方向Wの中央部の領域にのみ、第1の外部電極21が形成されている。
【0091】
図13(a)に示すように、第1の主面16aに形成されている第1の外部電極21の長さ方向Lにおける寸法は、積層体10の長さ方向Lにおける寸法の1/2より長い。
【0092】
第2の外部電極22は、少なくとも積層体10の第2の端面15bと、第1の面と対向する第2の面とに形成されている。本実施形態において、第2の面は第2の主面16bであり、第2の外部電極22は、第2の端面15bの全体と、第2の主面16bの一部、第1の側面17aの一部、および、第2の側面17bの一部とに形成されている。
図13(b)に示すように、第2の主面16bに形成されている第2の外部電極22は、幅方向Wの中央部において、第2の端面15b側から第1の端面15a側へと延びる態様で形成されている。すなわち、第2の主面16bのうち、幅方向Wの中央部の領域にのみ、第2の外部電極22が形成されている。
【0093】
図13(b)に示すように、第2の主面16bに形成されている第2の外部電極22の長さ方向Lにおける寸法は、積層体10の長さ方向Lにおける寸法の1/2より長い。
【0094】
第1の主面16a上に形成されている第1の外部電極21、および、第2の主面16b上に形成されている第2の外部電極22は、例えば、外部電極用導電性ペーストを含むインクを、インクジェット印刷により塗工した後、焼成することによって形成することができる。
【0095】
なお、第1の実施形態における全固体電池100と同様に、積層体10の第1の側面17aおよび第2の側面17bには、第1の外部電極21および第2の外部電極22を形成しない構成としてもよい。
【0096】
絶縁体30は、第1の面である第1の主面16aのうちの第1の端面15a側の領域、および、第2の面である第2の主面16bのうちの第2の端面15b側の領域をそれぞれ覆うように形成されている。絶縁体30は、例えば、絶縁材料を含むインクをインクジェット印刷により塗工することによって形成することができる。
【0097】
第5の実施形態における全固体電池100によれば、第4の実施形態における全固体電池100と比べて、使用する外部電極用導電性ペーストの量をさらに少なくすることができるので、製造コストをさらに低減することができる。
【0098】
図14(a)は、第5の実施形態における全固体電池100を2つ積層することによって直列に接続して構成される組電池200を模式的に示す側面図である。2つの全固体電池100の接続関係は、
図3に示す2つの全固体電池100a、100bの接続関係と同じである。すなわち、積層方向Tにおける下側の全固体電池100の第1の主面16a上の第1の外部電極21と、上側の全固体電池100の第2の主面16b上の第2の外部電極22とが当接することによって、互いに電気的に接続されている。
【0099】
図14(b)は、第5の実施形態における全固体電池100を3つ積層することによって直列に接続して構成される組電池300を模式的に示す側面図である。3つの全固体電池100の接続関係は、
図4に示す3つの全固体電池100a、100b、100cの接続関係と同じである。図は省略するが、同様の方法により、4つ以上の全固体電池100を直列に接続した組電池を得ることができる。
【0100】
なお、第5の実施形態における全固体電池100では、
図13(e)、(f)に示すように、第1の端面15aに第1の外部電極21が露出し、第2の端面15bに第2の外部電極22が露出しているので、第1の端面15aおよび第2の端面15bを当接面として、さらに他の全固体電池100や、積層セラミックコンデンサなどの電子部品と接続することが可能となる。
【0101】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0102】
第1の実施形態における全固体電池100は、第1の外部電極21が形成されている、第1の面である第1の主面16aのうちの第1の端面15a側の領域のみが絶縁体30により覆われた構成となっているが、第2の外部電極22が形成されている、第2の面である第2の主面16bのうちの第2の端面15b側の領域も絶縁体30によって覆われた構成としてもよい。
【符号の説明】
【0103】
1 正極
2 負極
3 固体電解質層
10 積層体
21 第1の外部電極
22 第2の外部電極
31 外部電極用導電性ペースト
32 絶縁ペースト
100 全固体電池
200、300、400 組電池