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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/71 20110101AFI20231108BHJP
【FI】
H01R12/71
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023015106
(22)【出願日】2023-02-03
(62)【分割の表示】P 2020159756の分割
【原出願日】2020-09-24
(65)【公開番号】P2023041890
(43)【公開日】2023-03-24
【審査請求日】2023-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼▲崎▼ 康陽
(72)【発明者】
【氏名】坂井 啓人
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第6350134(US,B1)
【文献】特開平6-176808(JP,A)
【文献】実開平3-130176(JP,U)
【文献】特開昭55-60283(JP,A)
【文献】特開2006-100231(JP,A)
【文献】特開2000-67961(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R12/00-12/91
H01R24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板上に設置されるハウジングと、
前記ハウジングに保持される、上段端子、中段端子および下段端子と、を備え、
前記ハウジングは、上下方向に沿って配置される壁部と、前記壁部を貫通する複数の貫通孔と、を有し、
前記複数の貫通孔は、上方側から下方側に向かって、前記上段端子が貫通する上段貫通孔、前記中段端子が貫通する中段貫通孔および前記下段端子が貫通する下段貫通孔を有し、
前記上段端子、前記中段端子および前記下段端子の各々は、前記貫通孔内に保持された状態で前後方向に延びる端子接続部と、前記端子接続部の後端に連なり下方に延びる脚部と、を有し、
前記上段端子および前記中段端子の各々の前記脚部は、前記壁部の幅方向に並んで配置され、幅広部と、前記幅広部よりも下方に配置される幅狭部と、を有しており、
前記上段端子の前記幅広部は、前記上段端子の前記幅狭部に対して前記中段端子側に偏って張り出しており、
前記中段端子の前記幅広部は、前記中段端子の前記幅狭部に対して前記上段端子側に偏って張り出しており、
前記下段端子の前記脚部は、前記幅方向において、前記上段端子の前記幅狭部と前記中段端子の前記幅狭部との間に配置され、
前記脚部は、前記上段端子の前記脚部、前記下段端子の前記脚部および前記中段端子の前記脚部の順に前記幅方向に離れて並んで配置されている、コネクタ。
【請求項2】
前記上段端子、前記中段端子および前記下段端子を一組とした場合に、複数組の前記上段端子、前記中段端子および前記下段端子が前記ハウジングに保持されており、
前記脚部は、前記上段端子の前記脚部、前記下段端子の前記脚部、前記中段端子の前記脚部の順に前記幅方向に繰り返し並んで配置され、
前記上段端子の前記幅広部は、前記複数組の各々において、前記上段端子の前記幅狭部に対して同じ側に張り出しており、
前記中段端子の前記幅広部は、前記複数組の各々において、前記中段端子の前記幅狭部に対して同じ側に張り出している、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記端子接続部は、タブと、前記タブよりも後側に配置され且つ前記タブよりも幅広に形成された張出部と、を有しており、
前記上段端子の前記脚部は、前記上段端子の前記張出部の後面における前記中段端子の前記脚部から離れた前記幅方向の一側に連なり、
前記中段端子の前記脚部は、前記中段端子の前記張出部の後面における前記上段端子の前記脚部から離れた前記幅方向の他側に連なり、
前記下段端子の前記脚部は、前記下段端子の前記張出部の後面における前記幅方向の中央部に連なる、請求項1または請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記端子接続部は、タブと、前記タブよりも後側に配置され且つ前記タブよりも幅広に形成されて前記貫通孔に圧入される張出部と、を有しており、
前記張出部の後面は、前記脚部が連なる部分と、前記貫通孔への圧入時に押圧される部分と、を有し、
前記下段端子の前記張出部は、前記幅方向において、前記上段端子の前記幅狭部と前記中段端子の前記幅狭部との間に配置されている、請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1および特許文献2には、回路基板に設置されるコネクタが開示されている。このコネクタは、ハウジングと、ハウジングに保持される複数の端子と、を備えている。ハウジングの壁部には、上段、中段、下段に貫通孔が形成されている。上段、中段、下段の貫通孔にはそれぞれ上段端子、中段端子、下段端子が挿入されている。各端子は、貫通孔に挿入される端子接続部と、端子接続部の後端に連なり屈曲して下方に延びる脚部と、を有している。
【0003】
各端子の脚部は、互いに短絡しないように一定以上の間隔をあける必要がある。そこで、特許文献1および特許文献2のコネクタでは、上段端子の脚部と、中段端子および下段端子の各々の脚部とを前後にずらしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-199106号公報
【文献】特開2020-71938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記構成では、コネクタの前後方向の寸法が大きくなる。そこで、全ての端子の脚部を幅方向に一列に並べて配置することが考えられる。しかし、全ての脚部を幅方向に一列に並べて配置する場合、端子同士の間隔を一定以上あける必要があるため、単に幅方向に一列に並べるだけでは、端子の設置間隔を小さくすることに限界がある。
【0006】
そこで、本開示は、端子の設置間隔を小さくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のコネクタは、回路基板上に設置されるハウジングと、前記ハウジングに保持される、上段端子、中段端子および下段端子と、を備え、前記ハウジングは、上下方向に沿って配置される壁部と、前記壁部を貫通する複数の貫通孔と、を有し、前記複数の貫通孔は、上方側から下方側に向かって、前記上段端子が貫通する上段貫通孔、前記中段端子が貫通する中段貫通孔および前記下段端子が貫通する下段貫通孔を有し、前記上段端子、前記中段端子および前記下段端子の各々は、前記貫通孔内に保持された状態で前後方向に延びる端子接続部と、前記端子接続部の後端に連なり下方に延びる脚部と、を有し、前記上段端子および前記中段端子の各々の前記脚部は、前記壁部の幅方向に並んで配置され、幅広部と、前記幅広部よりも下方に配置される幅狭部と、を有しており、前記上段端子の前記幅広部は、前記上段端子の前記幅狭部に対して前記中段端子側に偏って張り出しており、前記中段端子の前記幅広部は、前記中段端子の前記幅狭部に対して前記上段端子側に偏って張り出しており、前記下段端子の前記脚部は、前記幅方向において、前記上段端子の前記幅狭部と前記中段端子の前記幅狭部との間に配置されているコネクタである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、端子の設置間隔を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態1のコネクタの斜視図である。
図2図2は、実施形態1のコネクタの背面図である。
図3図3は、実施形態1の上段端子、下段端子および中段端子の斜視図である。
図4図4は、図2に示す上段端子、下段端子および中段端子を含む領域の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のコネクタは、
(1)回路基板上に設置されるハウジングと、前記ハウジングに保持される、上段端子、中段端子および下段端子と、を備え、前記ハウジングは、上下方向に沿って配置される壁部と、前記壁部を貫通する複数の貫通孔と、を有し、前記複数の貫通孔は、上方側から下方側に向かって、前記上段端子が貫通する上段貫通孔、前記中段端子が貫通する中段貫通孔および前記下段端子が貫通する下段貫通孔を有し、前記上段端子、前記中段端子および前記下段端子の各々は、前記貫通孔内に保持された状態で前後方向に延びる端子接続部と、前記端子接続部の後端に連なり下方に延びる脚部と、を有し、前記上段端子および前記中段端子の各々の前記脚部は、前記壁部の幅方向に並んで配置され、幅広部と、前記幅広部よりも下方に配置される幅狭部と、を有しており、前記上段端子の前記幅広部は、前記上段端子の前記幅狭部に対して前記中段端子側に偏って張り出しており、前記中段端子の前記幅広部は、前記中段端子の前記幅狭部に対して前記上段端子側に偏って張り出しており、前記下段端子の前記脚部は、前記幅方向において、前記上段端子の前記幅狭部と前記中段端子の前記幅狭部との間に配置されている。
【0011】
このコネクタでは、上段端子の幅広部は、上段端子の幅狭部に対して中段端子側に偏って張り出している。そして、中段端子の幅広部は、前記中段端子の前記幅狭部に対して前記上段端子側に偏って張り出している。このため、幅広部によって上段端子および中段端子の強度を高めつつ、上段端子および中段端子の幅狭部間の幅方向のスペースを大きく確保することができる。そして、このスペースに、下段端子の脚部が配置されている。このため、下段端子をスペース効率良く設置することができる。したがって、このコネクタによれば、上段端子、中段端子、下段端子の設置間隔を小さくすることができる。
【0012】
(2)前記上段端子の前記幅広部は、前記中段端子の前記幅広部と前記幅方向から見て重なる位置まで延びていることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、上段端子の幅広部が中段端子の幅広部と幅方向から見て重ならない構成と比較して、上段端子の幅広部を長めに設定することができる。よって、上段端子の強度を向上させることができる。特に、上段端子の脚部は、中段端子および下端端子の各々の脚部よりも上下方向に長く形成され、強度を十分に確保するのが困難なため、本構成を採用するメリットは高い。
【0014】
(3)前記端子接続部は、タブと、前記タブよりも後端側に配置され且つ前記タブよりも幅広に形成された張出部と、有しており、前記上段端子の前記幅広部と前記中段端子の前記幅広部は、背面視において前記上下方向に前記下段端子の前記張出部と重なる位置に配置されていることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、上段端子、中段端子の強度を高めつつ、上段端子、下段端子および中段端子の設置間隔を小さくすることができる。
【0016】
(4)前記上段端子、前記中段端子および前記下段端子の各々は、前記脚部の下端から後方に延びる基板接続部を有し、前記上段端子、前記中段端子および前記下段端子の各々の前記基板接続部は、前記幅方向から見て重なる位置に配置されていることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、回路基板の表面における各基板接続部の占有面積が前後方向に大きくならずに済む。特に、下段端子の脚部が幅方向において上段端子の幅狭部と中段端子の幅狭部との間に配置されていることにより、上記構成を採り易い。
【0018】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0019】
<実施形態1>
実施形態1は、回路基板90に設置されるコネクタ10を例示する。なお、以下の説明では、コネクタ10における相手側コネクタが嵌合される側を前方側とし、その反対側を後方側とする。また、コネクタ10に対する回路基板90側を下方側とし、その反対側を上方側とする。また、コネクタ10を後方側から見た左右方向を左右方向とする。
【0020】
コネクタ10は、図1および図2に示すように、ハウジング12、複数の上段端子13、複数の中段端子14、複数の下段端子15、および一対の取付部材16を備える。以下では、上段端子13、中段端子14および下段端子15を区別する必要がない場合、端子13,14,15という。
【0021】
ハウジング12は、合成樹脂製であり、回路基板90上に設置される。ハウジング12は、上下方向および左右方向に沿って配置される壁部20と、壁部20の外周から前方に突出した筒状(詳細には円筒状)のフード部21と、を有する。本実施形態1では、左右方向が「壁部の幅方向」の一例に相当する。ハウジング12の左右両側には、取付部材16が装着される装着溝26が形成されている。ハウジング12は、装着溝26に装着された取付部材16が回路基板90の半田付けされることで、回路基板90に固定される。
【0022】
ハウジング12は、複数の上段貫通孔23、複数の中段貫通孔24および複数の下段貫通孔25を有する。以下では、上段貫通孔23、中段貫通孔24および下段貫通孔25を区別する必要がない場合、貫通孔23,24,25という。貫通孔23,24,25は、壁部20を前後方向に貫通する。上段貫通孔23、中段貫通孔24および下段貫通孔25は、それぞれ上方側から下方側に向かって配置される。複数の上段貫通孔23、複数の中段貫通孔24および複数の下段貫通孔25は、それぞれ左右方向に一列に並んで配置される。貫通孔23,24,25の形状および大きさは互いに同一である。貫通孔23,24,25は、背面視において上下方向に対し左右方向に長い矩形状をなしている。上段貫通孔23、中段貫通孔24および下段貫通孔25は、上下方向から見て重なる位置に配置されている。上段貫通孔23は、上下方向から見て重なる位置に配置された下段貫通孔25に対して左方にずれて配置されている。中段貫通孔24は、上下方向から見て重なる位置に配置された下段貫通孔25に対して右方にずれて配置されている。
【0023】
上述した上段端子13は、上段貫通孔23に後方から挿入され、上段貫通孔23を貫通した状態で保持される。中段端子14は、中段貫通孔24に後方から挿入され、中段貫通孔24を貫通した状態で保持される。下段端子15は、下段貫通孔25に後方から挿入され、下段貫通孔25を貫通した状態で保持される。
【0024】
端子13,14,15は、図3に示すように、雄端子金具であり、それぞれ導電性の金属板を打ち抜き加工および曲げ加工等して形成されている。端子13,14,15は、それぞれ細長い形状をなしており、端子接続部60、脚部31,41,51および基板接続部61を有する。
【0025】
端子接続部60は、貫通孔23,24,25内に保持された状態で前後方向に延びる。端子接続部60は、タブ62、係止部63および張出部64を有する。タブ62は、ハウジング12のフード部21内に配置され、コネクタ10が不図示の相手側コネクタと嵌合された状態において、相手側コネクタが備える不図示の相手側端子と接続される。係止部63は、タブ62よりも後方に配置されている。係止部63は、左右両側に突出した圧入突起として構成されており、貫通孔23,24,25の内周面に圧入によって係止される。張出部64は、係止部63よりも後方に配置されており、タブ62よりも左右方向に張り出した形状をなしている。張出部64は、背面視において上下方向に対して左右方向に長い矩形状をなしており、平面視において矩形状をなしている。端子13,14,15は、張出部64の後面65が治具等によって前方に押圧されることで、貫通孔23,24,25内に圧入される。押圧された端子13,14,15は、張出部64の前面66が貫通孔23,24,25内の規制面に突き当たることで、前方への変位が規制され、位置決めされる。
【0026】
端子13,14,15の脚部31,41,51は、端子接続部60の後端(詳細には張出部64の後面65)に連なり下方に延びる。脚部31,41,51は、左右方向に一列に並んで配置される。上段端子13の脚部31の高さ寸法は、中段端子14の脚部41の高さ寸法よりも大きい。中段端子14の脚部41の高さ寸法は、下段端子15の脚部51の高さ寸法よりも大きい。上段端子13、中段端子14および下段端子15の各々の脚部31,41,51は、下端の高さ位置が揃うように配置される。脚部31,41,51は、幅広部32,42,52と、縮幅部33,43,53と、幅広部32,42,52よりも左右方向の幅寸法が小さい幅狭部34,44,54と、を有する。
【0027】
幅広部32,42,52は、端子接続部60(詳細には張出部64)の後端に連なり、下方に湾曲状に屈曲する幅広屈曲部35,45,55と、幅広屈曲部35,45,55の下端から下方に延びる幅広平面部36,46,56と、を有する。幅広部32,42,52の左右方向の幅寸法は一定であり、幅広部32,42,52の厚さ寸法よりも大きい。
【0028】
縮幅部33,43,53は、幅広部32,42,52の下端から下方に延び、下方に向けて幅寸法が小さくなる。縮幅部33,43,53の上端の幅寸法は、幅広部32,42,52の下端の幅寸法と同じである。縮幅部33,43,53の下端の幅寸法は、幅狭部34,44,54の上端の幅寸法と同じである。
【0029】
幅狭部34,44,54は、幅広部32,42,52よりも下方に配置される。幅狭部34,44,54は、縮幅部33,43,53を介して幅広部32,42,52の下端に連なり且つ下方に延びる幅狭平面部37,47,57と、幅狭平面部37,47,57の下端に連なり且つ後方に湾曲状に屈曲する幅狭屈曲部38,48,58と、を有する。幅狭部34,44,54の左右方向の幅寸法は一定であり、幅狭部34,44,54の厚さ寸法と同じである。
【0030】
端子13,14,15の脚部31,41,51は、右方に向けて上段端子13の脚部31、下段端子15の脚部51、中段端子14の脚部41の順に繰り返し配置される。図4に示す例では、右方に向けて上段端子13A、下段端子15A、中段端子14A、上段端子13B、下段端子15B、中段端子14Bの脚部31,51,41が順に配置されている。以下では、1組の上段端子13A、中段端子14Aおよび下段端子15Aに着目して説明する。
【0031】
上段端子13A、中段端子14A、および下段端子15Aの各々の張出部64は、上下方向から見て重なる位置に配置される。上段端子13Aの張出部64は、下段端子15Aの張出部64に対して左方にずれて配置されている。中段端子14Aの張出部64は、下段端子15Aの張出部64に対して右方にずれている。上段端子13Aの脚部31は左側に配置され、中段端子14Aの脚部41は右側に配置される。下段端子15Aの脚部51は、左右方向において、上段端子13Aの脚部31と中段端子14Aの脚部41との間に配置される。
【0032】
上段端子13Aの脚部31は、張出部64の後面65の左部に連なる。なお、上段端子13Aの張出部64の後面65の右部は、治具等によって押圧される押圧面として機能する。上段端子13Aの脚部31の左面は、上下方向に段差なく延びている。上段端子13Aの脚部31の右面は、縮幅部33において下方に向けて左方に傾斜している。言い換えると、上段端子13Aの幅広部32および縮幅部33は、幅狭部34に対して右方にのみ張り出しており、左方には張り出していない。
【0033】
中段端子14Aの脚部41は、張出部64の後面65の右部に連なる。なお、中段端子14Aの張出部64の後面65の左部は押圧面として機能する。中段端子14Aの脚部41の右面は、上下方向に段差なく延びている。中段端子14Aの脚部41の左面は、縮幅部43において下方に向けて右方に傾斜している。言い換えると、中段端子14Aの幅広部42および縮幅部43は、幅狭部44に対して左方にのみ張り出しており、右方には張り出していない。上述した上段端子13Aの幅広部32は、中段端子14Aの幅広部42と左右方向に重なる位置まで延びている。上段端子13Aの縮幅部33は、中段端子14Aの縮幅部43と左右方向に重なる位置まで延びている。
【0034】
下段端子15Aの脚部51は、張出部64の後面65の左右方向中央部に連なる。なお、下段端子15Aの張出部64の後面65の左右両側は、押圧面として機能する。下段端子15Aの脚部51および張出部64は、上段端子13Aの幅狭部34と、中段端子14Aの幅狭部44との間に配置される。言い換えると、下段端子15Aの脚部51および張出部64は、上段端子13Aの幅広部32および中段端子14Aの幅広部42よりも下方に配置されており、上段端子13Aの縮幅部33および中段端子14Aの縮幅部43よりも下方に配置されている。下段端子15Aの縮幅部53の左右両面は、下方に向けて左右方向内方に傾斜している。上述した上段端子13Aの幅広部32と中段端子14Aの幅広部42とは、背面視において上下方向に下段端子15Aの張出部64と重なる位置に配置されている。
【0035】
基板接続部61は、端子13,14,15の脚部31,41,51(詳細には、幅狭屈曲部38,48,58)の下端に連なり、後方に延びている。基板接続部61の幅寸法は、幅狭部34,44,54と同じ幅寸法である。基板接続部61は、回路基板90の表面に形成された導電路に半田付けされる。上段端子13、中段端子14および下段端子15の各々の基板接続部61は、左右方向から見て重なる位置に配置されている。各基板接続部61の後端は、前後方向において同一の位置に配置されている。
【0036】
次に、コネクタ10の製造方法について説明する。ハウジング12の上段貫通孔23、中段貫通孔24、下段貫通孔25には、それぞれ上段端子13、中段端子14、下段端子15が後方から挿入される。端子13,14,15は、張出部64の後面65が治具等で押圧されることで、貫通孔23,24,25内に圧入される。端子13,14,15は、張出部64の前面66が貫通孔23,24,25内の規制面に突き当たることで位置決めされる。ハウジング12の左右両側の装着溝26には、取付部材16が装着される。これによりコネクタ10が完成する。回路基板90の表面には導電路が形成されており、必要箇所に半田ペーストが塗布されている。コネクタ10は、回路基板90上に載置され、リフローによって回路基板90に半田付けされる。詳細には、取付部材16が回路基板90に半田付けされ、各端子13,14,15の基板接続部61が回路基板90上に形成された導電路に半田付けされる。
【0037】
以上のように、本実施形態1のコネクタ10では、上段端子13の幅広部32は、上段端子13の幅狭部34に対して中段端子14側にのみ張り出している。そして、中段端子14の幅広部42は、中段端子14の幅狭部44に対して上段端子13側にのみ張り出している。このため、幅広部32,42によって上段端子13および中段端子14の強度を高めつつ、上段端子13および中段端子14の幅狭部34,44間の幅方向のスペースを大きく確保することができる。そして、このスペースに、下段端子15Aの脚部51が配置されている。このため、下段端子15Aをスペース効率良く設置することができる。したがって、このコネクタ10によれば、上段端子13A、中段端子14A、下段端子15Aの設置間隔を小さくすることができる。
【0038】
さらに、上段端子13Aの幅広部32は、中段端子14Aの幅広部42と左右方向から見て重なる位置まで延びている。このため、上段端子13Aの幅広部32が中段端子14Aの幅広部42と左右方向から見て重ならない構成と比較して、上段端子13Aの幅広部32を長めに設定することができる。よって、上段端子13Aの強度を向上させることができる。特に、上段端子13Aの脚部31は、中段端子14Aおよび下段端子15Aの各々の脚部41,51よりも上下方向に長く形成され、強度を十分に確保するのが困難なため、本構成を採用するメリットは高い。
【0039】
さらに、上述した上段端子13Aの幅広部32と中段端子14Aの幅広部42とは、背面視において上下方向に下段端子15Aの張出部64と重なる位置に配置されている。このため、上段端子13A、中段端子14Aの強度を高めつつ、上段端子13A、下段端子15Aおよび中段端子14Aの設置間隔を小さくすることができる。
【0040】
さらに、上段端子13A、中段端子14Aおよび下段端子15Aの各々の基板接続部61は、左右方向から見て重なる位置に配置されている。このため、回路基板90の表面における各基板接続部61の占有面積が前後方向に大きくならずに済む。特に、下段端子15Aの脚部51が左右方向において上段端子13Aの幅狭部34と中段端子14Aの幅狭部44との間に配置されていることにより、上記構成を採り易い。
【0041】
[本開示の他の実施形態]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えるべきである。
(1)上記実施形態1では、上段端子の幅広部が幅狭部に対して左方に張り出さない構成としたが、左方に張り出す構成としてもよい。また、中段端子の幅広部が幅狭部に対して右方に張り出さない構成としたが、右方に張り出す構成としてもよい。
(2)上記実施形態1では、下段端子が幅広部および幅狭部の両方を有する構成としたが、幅広部のみを有し幅狭部を有しない構成としてもよい。
(3)端子接続部は全体として前後方向に延びている構成であればよく、前後方向(例えば回路基板の表面に対して平行な方向)に対して傾いていてもよい。同様に、脚部は全体として上下方向に延びる形状であればよく、上下方向(例えば回路基板の表面に対して直交する方向)に対して傾いていてもよい。また、コネクタの使用時において、前後方向は水平方向と異なることもあり、上下方向は鉛直方向と異なることもある。
(4)上記実施形態1では、上段端子、中段端子、下段端子の脚部が縮幅部を有する構成としたが、縮幅部を有しない構成としてもよい。つまり、幅広部が幅狭部に直接連なる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0042】
10…コネクタ
12…ハウジング
13,13A,13B…上段端子
14,14A,14B…中段端子
15,15A,15B…下段端子
16…取付部材
20…壁部
21…フード部
23…上段貫通孔
24…中段貫通孔
25…下段貫通孔
26…装着溝
31…上段端子の脚部
32…上段端子の幅広部
33…上段端子の縮幅部
34…上段端子の幅狭部
35…上段端子の幅広屈曲部
36…上段端子の幅広平面部
37…上段端子の幅狭平面部
38…上段端子の幅狭屈曲部
41…中段端子の脚部
42…中段端子の幅広部
43…中段端子の縮幅部
44…中段端子の幅狭部
45…中段端子の幅広屈曲部
46…中段端子の幅広平面部
47…中段端子の幅狭平面部
48…中段端子の幅狭屈曲部
51…下段端子の脚部
52…下段端子の幅広部
53…下段端子の縮幅部
54…下段端子の幅狭部
55…下段端子の幅広屈曲部
56…下段端子の幅広平面部
57…下段端子の幅狭平面部
58…下段端子の幅狭屈曲部
60…端子接続部
61…基板接続部
62…タブ
63…係止部
64…張出部
65…張出部の後面
66…張出部の前面
90…回路基板
図1
図2
図3
図4