(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】旋削工具
(51)【国際特許分類】
B23B 27/00 20060101AFI20231108BHJP
B23Q 17/09 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
B23B27/00 D
B23Q17/09 H
(21)【出願番号】P 2023519871
(86)(22)【出願日】2022-10-26
(86)【国際出願番号】 JP2022039904
【審査請求日】2023-03-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【氏名又は名称】田中 勝也
(74)【代理人】
【識別番号】100158861
【氏名又は名称】南部 史
(74)【代理人】
【識別番号】100194674
【氏名又は名称】青木 覚史
(72)【発明者】
【氏名】船木 将孝
(72)【発明者】
【氏名】大森 洋樹
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】特許第7120478(JP,B1)
【文献】特表2022-531821(JP,A)
【文献】特開2017-121681(JP,A)
【文献】国際公開第2020/241628(WO,A1)
【文献】特開2001-228042(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 27/00
B23Q 17/09
B23B 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する被加工物に接触することによって前記被加工物を切削する旋削工具であって、
棒状の形状を有し、表面に凹部が形成された金属製の本体部と、
前記本体部に設置され、前記本体部の第1の物理量を検知するセンサと、
前記センサに接続され、前記センサが検知した前記第1の物理量を含む情報を外部へと送信する通信モジュールと、を備え、
前記通信モジュールは、前記凹部内に収容され、
前記通信モジュールは、
樹脂製の基板と、
前記基板上に配置され、アンテナを含む無線通信部と、を含み、
前記基板の厚み方向において、前記アンテナから前記凹部の開口までの距離は、前記アンテナから前記凹部の底までの距離以下であ
り、
前記通信モジュールは、前記基板と前記凹部の底との間に配置される樹脂層をさらに含み、
前記樹脂層は樹脂製のスペーサであり、
前記スペーサは、
前記基板と前記凹部の底との間に位置する底壁部と、
前記底壁部から立ち上がり、前記基板の少なくとも一部に接触することにより前記基板の移動を規制する側壁部と、を含む、旋削工具。
【請求項2】
前記樹脂層は、前記基板の前記凹部の底と向かい合う主面である第1主面の全域に接触する、請求項
1に記載の旋削工具。
【請求項3】
前記樹脂層は樹脂製の両面テープである、請求項
1に記載の旋削工具。
【請求項4】
回転する被加工物に接触することによって前記被加工物を切削する旋削工具であって、
棒状の形状を有し、表面に凹部が形成された金属製の本体部と、
前記本体部に設置され、前記本体部の第1の物理量を検知するセンサと、
前記センサに接続され、前記センサが検知した前記第1の物理量を含む情報を外部へと送信する通信モジュールと、を備え、
前記通信モジュールは、前記凹部内に収容され、
前記通信モジュールは、
樹脂製の基板と、
前記基板上に配置され、アンテナを含む無線通信部と、を含み、
前記基板の厚み方向において、前記アンテナから前記凹部の開口までの距離は、前記アンテナから前記凹部の底までの距離以下であり、
前記基板の厚みは、前記凹部の深さの1/2以上である、旋削工具。
【請求項5】
回転する被加工物に接触することによって前記被加工物を切削する旋削工具であって、
棒状の形状を有し、表面に凹部が形成された金属製の本体部と、
前記本体部に設置され、前記本体部の第1の物理量を検知するセンサと、
前記センサに接続され、前記センサが検知した前記第1の物理量を含む情報を外部へと送信する通信モジュールと、を備え、
前記通信モジュールは、前記凹部内に収容され、
前記通信モジュールは、
樹脂製の基板と、
前記基板上に配置され、アンテナを含む無線通信部と、を含み、
前記基板の厚み方向において、前記アンテナから前記凹部の開口までの距離は、前記アンテナから前記凹部の底までの距離以下であり、
前記凹部は、他の部分に比べて深さが大きい深部領域を含み、
前記基板の厚み方向において、前記アンテナと前記深部領域とは重なる、旋削工具。
【請求項6】
前記本体部は、前記凹部の底を構成し、切欠き部を有する金属板を含み、
前記切欠き部が前記深部領域に対応する、請求項
5に記載の旋削工具。
【請求項7】
前記旋削工具は、前記凹部の開口を閉じる蓋をさらに備え、
前記蓋は、前記基板の厚み方向に前記蓋を貫通する窓部を有する金属製のベース部と、
前記窓部を密閉する樹脂製の窓部材と、を含む、請求項1
、4または5に記載の旋削工具。
【請求項8】
前記基板の厚み方向において、前記アンテナと前記窓部とは重なる、請求項
7に記載の旋削工具。
【請求項9】
前記旋削工具は、前記凹部の開口を閉じる樹脂製、ゴム製またはセラミック製の蓋をさらに備える、請求項1
、4または5に記載の旋削工具。
【請求項10】
前記凹部が樹脂製の充填材により充填されることにより、前記通信モジュールが前記充填材により封止されている、請求項1
、4または5に記載の旋削工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、旋削工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
切削工具による加工中に、センサによって切削工具の物理量、たとえばひずみを測定することにより、切削工具の状態を把握する技術が知られている(たとえば、特開2020-62746号公報(特許文献1)参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本開示に従った旋削工具は、回転する被加工物に接触することによって被加工物を切削する旋削工具である。この旋削工具は、棒状の形状を有し、表面に凹部が形成された金属製の本体部と、本体部に設置され、本体部の第1の物理量を検知するセンサと、センサに接続され、センサが検知した第1の物理量を含む情報を外部へと送信する通信モジュールと、を備える。通信モジュールは、凹部内に収容される。通信モジュールは、樹脂製の基板と、基板上に配置され、アンテナを含む無線通信部と、を含む。基板の厚み方向において、アンテナから凹部の開口までの距離は、アンテナから凹部の底までの距離以下である。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、切削工具の構造を示す概略斜視図である。
【
図2】
図2は、切削工具の構造を示す概略斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1において蓋を取り外した状態における切削工具の構造を示す概略斜視図である。
【
図4】
図4は、
図2において蓋を取り外した状態における切削工具の構造を示す概略斜視図である。
【
図5】
図5は、第1の端部側から見た切削工具の構造を示す概略平面図である。
【
図6】
図6は、第2の端部側から見た切削工具の構造を示す概略平面図である。
【
図7】
図7は、通信モジュールが第1の凹部内に収容された状態を示す概略断面図である。
【
図8】
図8は、通信モジュールが第1の凹部内に収容された状態を示す概略平面図である。
【
図9】
図9は、第1の蓋の構造を示す概略断面図である。
【
図11】
図11は、タレットに旋削工具が保持された状態を示す概略斜視図である。
【
図12】
図12は、実施の形態2における通信モジュールが第1の凹部内に収容された状態を示す概略断面図である。
【
図13】
図13は、実施の形態3における通信モジュールが第1の凹部内に収容された状態を示す概略断面図である。
【
図15】
図15は、実施の形態4における切削工具の構造を示す概略斜視図である。
【
図16】
図16は、実施の形態5における通信モジュールが第1の凹部内に収容された状態を示す概略断面図である。
【
図17】
図17は、実施の形態6における通信モジュールが第1の凹部内に収容された状態を示す概略断面図である。
【
図18】
図18は、実施の形態6における通信モジュールが第1の凹部内に収容された状態を示す概略断面図である。
【
図19】
図19は、実施の形態6における通信モジュールが第1の凹部内に収容された状態を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[本開示が解決しようとする課題]
加工中における旋削工具の状態を詳細に把握する観点から、センサによって得られた情報を含む信号が、情報の欠落を抑制しつつ外部に設置された受信機において受信されることが求められている。センサによって得られた情報の欠落を抑制しつつ、当該情報を含む信号を外部に設置された受信機において受信することが容易な旋削工具を提供することが、本開示の目的の1つである。
【0007】
[本開示の効果]
本開示の旋削工具によれば、センサによって得られた情報の欠落を抑制しつつ、当該情報を含む信号を外部に設置された受信機において受信することが容易な旋削工具を提供することができる。
【0008】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。本開示の旋削工具は、回転する被加工物に接触することによって被加工物を切削する旋削工具である。この旋削工具は、棒状の形状を有し、表面に凹部が形成された金属製の本体部と、本体部に設置され、本体部の第1の物理量を検知するセンサと、センサに接続され、センサが検知した第1の物理量を含む情報を外部へと送信する通信モジュールと、を備える。通信モジュールは、凹部内に収容される。通信モジュールは、樹脂製の基板と、基板上に配置され、アンテナを含む無線通信部と、を含む。基板の厚み方向において、アンテナから凹部の開口までの距離は、アンテナから凹部の底までの距離以下である。
【0009】
本開示の旋削工具では、金属製の本体部の凹部内に通信モジュールが収容される。ここで、本発明者らの検討によれば、アンテナから凹部の底までの距離を大きくすることで、外部に設置された受信機において受信される情報の欠落が減少する。また、アンテナから凹部の開口までの距離を小さくすることで、外部に設置された受信機において受信される情報の欠落が減少する。そして、本開示の旋削工具では、基板の厚み方向において、アンテナから凹部の開口までの距離は、アンテナから凹部の底までの距離以下に設定される。これにより、外部に設置された受信機において受信される情報の欠落が十分に減少する。このように、本開示の旋削工具によれば、センサによって得られた情報の欠落を抑制しつつ、当該情報を含む信号を外部に設置された受信機において受信することが容易な旋削工具を提供することができる。上記アンテナから凹部の開口までの距離は、アンテナから凹部の底までの距離よりも小さくてもよい。
【0010】
上記旋削工具において、通信モジュールは、基板と凹部の底との間に配置される樹脂層をさらに含んでいてもよい。この構成により、アンテナから凹部の開口までの距離を、アンテナから凹部の底までの距離よりも小さく設定することが容易となる。
【0011】
上記旋削工具において、樹脂層は、基板の凹部の底と向かい合う主面である第1主面の全域に接触してもよい。この構成により、基板を樹脂層によって安定して支持することができる。
【0012】
上記旋削工具において、樹脂層は樹脂製のスペーサであってもよい。この構成により、アンテナから凹部の開口までの距離を、アンテナから凹部の底までの距離よりも小さく設定することが一層容易となる。
【0013】
上記旋削工具において、スペーサは、平板状の形状を有していてもよい。この構成により、基板をスペーサによって安定して支持することができる。
【0014】
上記旋削工具において、スペーサは、基板と凹部の底との間に位置する底壁部と、底壁部から立ち上がり、基板の少なくとも一部に接触することにより基板の移動を規制する側壁部と、を含んでいてもよい。この構成により、組み立て時において、基板が側壁部に接触するように基板をスペーサ上に配置することで、スペーサに対する基板の位置決めが容易となる。さらに、スペーサを凹部内において適切に位置決めすることにより、凹部内における基板の位置決めが容易となり、アンテナを適切な位置に配置することが容易となる。
【0015】
上記旋削工具において、樹脂層は樹脂製の両面テープであってもよい。この構成により、アンテナから凹部の開口までの距離を、アンテナから凹部の底までの距離よりも小さく設定することを容易にするとともに、通信モジュールを本体部に対して容易に固定することができる。
【0016】
上記旋削工具において、基板の厚みは、凹部の深さの1/2以上であってもよい。この構成により、アンテナから凹部の開口までの距離を、アンテナから凹部の底までの距離よりも小さく設定することが容易となる。
【0017】
上記旋削工具において、凹部は、他の部分に比べて深さが大きい深部領域を含んでいてもよい。基板の厚み方向において、アンテナと深部領域とは重なっていてもよい。この構成により、アンテナから凹部の開口までの距離を、アンテナから凹部の底までの距離よりも小さく設定することが容易となる。
【0018】
上記旋削工具において、本体部は、凹部の底を構成し、切欠き部を有する金属板を含んでいてもよい。切欠き部が深部領域に対応していてもよい。切欠き部を有する金属板を採用することにより、アンテナから凹部の開口までの距離を、アンテナから凹部の底までの距離よりも小さく設定することが容易となる。
【0019】
上記旋削工具は、凹部の開口を閉じる蓋をさらに備えていてもよい。蓋は、基板の厚み方向に蓋を貫通する窓部を有する金属製のベース部と、窓部を密閉する樹脂製、ゴム製またはセラミック製の窓部材と、を含んでいてもよい。このように蓋を採用することにより、凹部内に収容される通信モジュールを保護することができる。そして、金属製の本体部を採用することで旋削工具の剛性向上に寄与することができる。また、非金属製の窓部を採用することにより、センサによって得られた情報の欠落を抑制しつつ、通信モジュールから発信される信号を外部へと送信することができる。
【0020】
基板の厚み方向において、アンテナと窓部とは重なっていてもよい。この構成により、センサによって得られた情報の欠落を一層抑制することができる。
【0021】
上記旋削工具は、凹部の開口を閉じる樹脂製、ゴム製またはセラミック製の蓋をさらに備えていてもよい。このように蓋を採用することにより、凹部内に収容される通信モジュールを保護することができる。そして、蓋の材料として非金属を採用することにより、センサによって得られた情報の欠落を抑制しつつ、通信モジュールから発信される信号を外部へと送信することができる。
【0022】
上記旋削工具において、凹部が樹脂製の充填材により充填されることにより、通信モジュールが充填材により封止されていてもよい。この構成により、通信モジュールを一層確実に保護することができる。また、充填材によってアンテナの共振周波数を調整することができる。
【0023】
[本願発明の実施形態の詳細]
次に、本開示にかかる旋削工具の実施の形態を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0024】
(実施の形態1)
(1)本体部の構造
図1は、切削工具の構造を示す概略斜視図である。
図2は、
図1とは異なる視点から見た切削工具の構造を示す概略斜視図である。
図3は、
図1において蓋を取り外した状態における切削工具の構造を示す概略斜視図である。
図4は、
図2において蓋を取り外した状態における切削工具の構造を示す概略斜視図である。
図5は、第1の端部側から見た切削工具の構造を示す概略平面図である。
図6は、第2の端部側から見た切削工具の構造を示す概略平面図である。
【0025】
図1~
図6を参照して、本実施の形態の旋削工具1は、第1の端部10Aから第2の端部10Bまで延びる棒状の本体部10を備えている。本明細書において、第1の端部10Aから第2の端部10Bへと延びる方向、すなわち本体部10の長手方向はY方向である。Y方向に直交する本体部10の幅方向はX方向である。X方向およびY方向に直交する本体部10の高さ方向はZ方向である。本体部10は、金属製である。本開示の本体部の形状は、特に限定されるものではないが、たとえば本実施の形態における本体部10は、直方体状の形状を有している。本体部10の表面は、第1の面11と、第2の面12と、第3の面13と、第4の面14と、第5の面15と、第6の面16とを含んでいる。第1の面11は、第1領域11Aと、第1領域11Aの第1の端部10A側に配置される第3領域11Cと、第1領域11Aと第3領域11Cとを接続する段差部である第2領域11Bとを含んでいる。本体部10の第1の端部10Aには、切削チップ90を保持するための凹部である保持部19が形成されている。保持部19は、第1の面11の第3領域11C、第4の面14および第5の面15において開口している。保持部19には、切削チップ90および敷板81が配置されている。切削チップ90は、敷板81上に積み重ねて配置されている。第1の端部10A付近の第4の面14上には、切削チップ90を固定するための固定部82が配置されている。切削チップ90は、敷板81と固定部82とに挟まれることにより保持されている。切削チップ90は、回動可能な固定部82により着脱可能に固定されている。切削チップ90は、逃げ面90A,90Bを含む。旋削工具1は、回転する被加工物に切削チップ90が接触することによって被加工物を切削する切削工具である。すなわち、旋削工具1は、旋削加工に用いられる切削工具である。
【0026】
図3および
図4を参照して、本体部10の第1の面11の第1領域11Aには、第1の凹部11Eが形成されている。第2の面12には、第2の凹部12Eが形成されている。第3の面13には、第3の凹部13Eが形成されている。第1の面11の第1領域11Aの、第1の凹部11Eから見て第2の端部10B側には、電池61を収容するための凹部である電池収容部11Fが形成されている。電池収容部11F内に、電池61が収容されている。
【0027】
(2)センサおよび通信モジュールの配置
図3および
図4に示すように、第1の凹部11E内には、第1の基板51が配置されている。第2の凹部12E内には、第2の基板52が配置されている。第3の凹部13E内には、第3の基板53が配置されている。第1の基板51、第2の基板52および第3の基板53のそれぞれは、樹脂などの絶縁体からなる基板本体と、基板本体の表面に形成される銅などの導電体製の回路パターン(図示しない)とを含む。
【0028】
第1の基板51上には、コネクタ33が配置されている。第2の基板52上には、コネクタ34が配置されている。第1の凹部11Eと第2の凹部12Eとは、第1の貫通孔10Dにより接続されている。コネクタ34とコネクタ33とが、第1の貫通孔10Dを通るフレキシブルケーブル54により接続されている。これにより、第1の基板51と第2の基板52とは電気的に接続されている。第2の基板52上には、コネクタ35が配置されている。第3の基板53上には、コネクタ37が配置されている。第2の凹部12Eと第3の凹部13Eとは、第2の貫通孔10Hにより接続されている。コネクタ35とコネクタ37とが、第2の貫通孔10Hを通るフレキシブルケーブル55により接続されている。これにより、第2の基板52と第3の基板53とは電気的に接続されている。
【0029】
第1の基板51上には、無線通信部31が配置されている。無線通信部31は、アンテナ32を含んでいる。アンテナ32を含む無線通信部31および第1の基板51は、通信モジュール20を構成する。通信モジュール20は、第1の凹部11E内に収容されている。アンテナ32としては、たとえばチップアンテナまたはパターンアンテナを採用することができる。
【0030】
第2の面12には、第1のひずみセンサ45が配置されている。第1のひずみセンサ45は、本体部10の第2の面12における第1の物理量としてのひずみを検知する。第1のひずみセンサ45は、第2の面12の第2の凹部12E内に配置されている。第1のひずみセンサ45には、第1配線としての配線46が接続されている。第1のひずみセンサ45および配線46は、第1のひずみセンサ部品44を構成する。第2の基板52上には、コネクタ36が配置されている。配線46は、コネクタ36に接続されている。これにより、第1のひずみセンサ45は、第2の基板52と電気的に接続されている。
【0031】
第3の面13には、第2のひずみセンサ48が配置されている。第2のひずみセンサ48は、本体部10の第3の面13における第1の物理量としてのひずみを検知する。第2のひずみセンサ48は、第3の面13の第3の凹部13E内に配置されている。第2のひずみセンサ48には、第2配線としての配線49が接続されている。第2のひずみセンサ48および配線49は、第2のひずみセンサ部品47を構成する。第3の基板53上には、コネクタ38が配置されている。配線49は、コネクタ38に接続されている。これにより、第2のひずみセンサ48は、第3の基板53と電気的に接続されている。
【0032】
通信モジュール20は、第1の基板51、第2の基板52および第3の基板53を介して第1のひずみセンサ45および第2のひずみセンサ48に電気的に接続されている。通信モジュール20は、第1のひずみセンサ45および第2のひずみセンサ48が検知した本体部10のひずみの情報を外部へと送信する。なお、第1のひずみセンサ45および第2のひずみセンサ48の一方または両方に代えて、加速度センサなどの他の物理量を検知するセンサが採用されてもよい。また、第1のひずみセンサ45および第2のひずみセンサ48に加えて、加速度センサなどの他の物理量を検知するセンサが採用されてもよい。
【0033】
電池61と第1の基板51とは、配線(図示しない)により接続されている。電池61は、電気的に接続された第1の基板51、第2の基板52および第3の基板53を介して、アンテナ32を含む無線通信部31、第1のひずみセンサ45および第2のひずみセンサ48に、電力を供給する。なお、本実施の形態においては、電力供給源として電池が採用される場合について説明したが、本開示の切削工具における電力供給源は電池に限定されない。電力供給源は、たとえば本実施の形態のように本体部に内蔵される電池であってもよいし、切削工具とは別に準備され、切削工具に接続される電源モジュールであってもよいし、それらの両方であってもよい。また、電池61は充電可能な二次電池であることが好ましいが、一次電池であってもよい。
【0034】
(3)通信モジュールの構造の詳細
図7は、通信モジュールが第1の凹部内に収容された状態を示す概略断面図である。
図8は、通信モジュールが第1の凹部内に収容された状態を示す概略平面図である。
図7は、
図8の線分VII-VIIに沿う断面図である。
図3、
図7および
図8を参照して、本体部10は、第1の凹部11Eの底である第1の下壁111と、第1の下壁111よりも第1の凹部11Eの開口からの距離が小さい第2の下壁112とを含んでいる。第1の下壁111および第2の下壁112は、第1の凹部11Eを規定する壁面を構成する。第1の凹部11Eを深さ方向に見て、第2の下壁112は、第1の下壁111を取り囲む。
【0035】
第1の下壁111上に、樹脂層としての樹脂製のスペーサ21が配置されている。スペーサ21は、通信モジュール20を構成する。スペーサ21は、平板状の形状を有している。スペーサ21上に、第1の基板51が配置される。第1の基板51は、第1主面51Aと、厚み方向において第1主面51Aと反対に位置する第2主面52Bとを含んでいる。第1の基板51は、第1主面51Aにおいてスペーサ21と接触している。スペーサ21は、第1の基板51の第1の下壁111と向かい合う主面である第1主面51Aの全域に接触している。スペーサ21は、第1の基板51と第1の凹部11Eの底である第1の下壁111との間に配置される樹脂層である。第1の基板51の第2主面51B上に、アンテナ32を含む無線通信部31が配置されている。なお、上記説明においては、樹脂層として樹脂製のスペーサ21が採用される場合について説明したが、樹脂製のスペーサ21に代えて樹脂製の両面テープ21が採用されてもよい。
【0036】
図7を参照して、第1の基板51の厚み方向(Z方向)において、アンテナ32から第1の凹部11Eの開口までの距離d
1は、アンテナ32から第1の凹部11Eの底である第1の下壁111までの距離d
2以下である。本実施の形態では、距離d
1は距離d
2よりも小さい。
【0037】
(4)蓋の設置状態および蓋の構造
図1~
図4を参照して、旋削工具1は、第1の蓋71と、第2の蓋72と、第3の蓋73と、第4の蓋74を備えている。第1の蓋71は、第1の凹部11Eを覆っている。第2の蓋72は、電池収容部11Fを覆っている。第3の蓋73は、第2の凹部12Eを覆っている。第4の蓋74は、第3の凹部13Eを覆っている。すなわち、第1の蓋71、第2の蓋72、第3の蓋73および第4の蓋74は、それぞれ第1の凹部11E、電池収容部11F、第2の凹部12Eおよび第3の凹部13Eの開口を閉じている。
【0038】
図9は、第1の蓋の構造を示す概略断面図である。
図9は、第1の蓋71を厚み方向に切断した状態を示す(Y-Z平面における断面を示す)断面図である。
図1および
図9を参照して、第1の蓋71は、第1の基板51の厚み方向(Z方向)に第1の蓋71を貫通する窓部71Cを有する金属製のベース部71Aと、窓部71Cを密閉する樹脂製の窓部材71Bとを含んでいる。Z方向において、アンテナ32と窓部71Cとは重なる。第1の蓋71は、第2の下壁112上に配置されるとともに、第1の凹部11E内に収容されている。窓部71Cを構成する材料は、樹脂に代えて、ゴムまたはセラミックが採用されてもよい。
【0039】
図1~
図4を参照して、本体部10は、電池収容部11Fを深さ方向(Z方向)に平面的に見て、電池収容部11Fの外縁に沿う環状の段差部113を含む。第2の蓋72は、段差部113上に配置されるとともに、電池収容部11F内に収容されている。第2の蓋72は、本体部10に対して、たとえばねじにより固定されていてもよい。
【0040】
さらに、本体部10は、第2の凹部12Eの底である第1の下壁121と、第1の下壁121よりも第2の凹部12Eの開口からの距離が小さい第2の下壁122とを含んでいる。第1の下壁121および第2の下壁122は、第2の凹部12Eを規定する壁面を構成する。第2の凹部12Eを深さ方向に見て、第2の下壁122は、第1の下壁121を取り囲む。第3の蓋73は、第2の下壁122上に配置されるとともに、第2の凹部12E内に収容されている。
【0041】
さらに、
図2および
図4を参照して、本体部10は、第3の凹部13Eの底である第1の下壁131と、第1の下壁131よりも第3の凹部13Eの開口からの距離が小さい第2の下壁132とを含んでいる。第1の下壁131および第2の下壁132は、第3の凹部13Eを規定する壁面を構成する。第3の凹部13Eを深さ方向に見て、第2の下壁132は、第1の下壁131を取り囲む。第4の蓋74は、第2の下壁132上に配置されるとともに、第3の凹部13E内に収容されている。第1の蓋71、第3の蓋73および第4の蓋74は、本体部10に対して接着されていてもよい。
【0042】
(4)旋削工具の動作
図1~
図4を参照して、旋削工具1の動作時においては、旋削工具1は、回転する被加工物に切削チップ90にて接触することにより、被加工物を加工する。このとき、本体部10のひずみが、第1のひずみセンサ45および第2のひずみセンサ48により検知される。第1のひずみセンサ45および第2のひずみセンサ48が検知するひずみの情報を含む信号は、アナログ信号である。アナログ信号であるひずみの情報は、ADコンバータ(図示しない)においてデジタル信号に変換された後、無線通信部31へと送信され、アンテナ32から外部へと送信される。ここで、窓部材71Bがはめ込まれた窓部71Cを有する第1の蓋71が採用されることにより、窓部71Cを介して信号が送信される。この信号は、外部において受信され、分析されることにより、本体部10の状態が把握される。
【0043】
旋削工具1は、種々の方法で工作機械に対して固定されて使用することができる。旋削工具1は、たとえば工作機械の保持機構に以下のような態様で固定される。
図10は、タレットの構造を示す概略斜視図である。
図11は、タレットに旋削工具が保持された状態を示す概略斜視図である。なお、旋削工具1は、第1の蓋71、第2の蓋72および第3の蓋73が取り付けられた状態でタレットに保持されるが、説明を容易にする観点から、
図11においては第1の蓋71、第2の蓋72および第3の蓋73が取り外された状態が示されている。
図10を参照して、工作機械(図示しない)に含まれる保持機構としてのタレット140には、旋削工具1を保持するための溝141が形成されている。溝141は、底壁142と、底壁142から立ち上がる一対の側壁143とにより規定される。底壁142には、ねじ孔145A,145Cが形成されている。本実施の形態においては、複数の(2つの)ねじ孔145A,145Cが形成されている。ねじ孔145Aおよびねじ孔145Cは、溝141の延びる方向に沿って並べて配置されている。旋削工具1は、第1の固定部材150、第2の固定部材160およびねじ169A,169Cを用いてタレット140の溝141内に固定される。
【0044】
具体的には、第1の固定部材150は、台形形状を有する一対の端面155と、それぞれ長方形形状を有し、一対の端面155を繋ぐように一対の端面155に垂直に配置される上面151、底面152、第1の側面153および第2の側面154を含む形状を有している。台形形状を有する端面155の互いに平行な辺のうち、上面151に接続されている辺は、底面152に接続されている辺よりも短い。第2の固定部材160は、台形形状を有する一対の端面165と、それぞれ長方形形状を有し、一対の端面165を繋ぐように一対の端面165に垂直に配置される上面161、底面162、第1の側面163および第2の側面164を含む形状を有している。台形形状を有する端面165の互いに平行な辺のうち、上面161に接続されている辺は、底面162に接続されている辺よりも長い。第2の固定部材160には、上面161から底面162まで貫通するねじ孔165A,165B,165Cが形成されている。ねじ孔165Aおよびねじ孔165Cは、ねじ孔145Aおよびねじ孔145Cに対応するように並べて配置されている。
【0045】
図10および
図11を参照して、第1の固定部材150は、底面152がタレット140の底壁142と接触し、かつ第1の側面153がタレット140の側壁143に接触するように配置される。旋削工具1は、第3の面13がタレット140の底壁142と接触し、かつ第2の面12がタレット140の側壁143に接触するように配置される。第2の固定部材160は、第1の側面163が第1の固定部材150の第2の側面154と接触し、かつ第2の側面164が旋削工具1の第4の面14と接触するように配置される。第2の固定部材160は、底面162がタレット140の底壁142に向かい合うように配置される。そして、ねじ169Aおよびねじ169Cが、それぞれ第2の固定部材160のねじ孔165Aおよびねじ孔165Cを貫通し、タレット140のねじ孔145Aおよびねじ孔145Cに挿入されるように配置される。ねじ169Bは、第2の固定部材160のねじ孔165Bに挿入される。ねじ169Aおよびねじ169Cが締め付けられることにより、第2の固定部材160の底面162とタレット140の底壁142との距離が小さくなる。このようにして第2の固定部材160がシムとして機能し、旋削工具1がタレット140に対して強固に固定される。一方、旋削工具1をタレット140から取り外す際には、ねじ169Bがねじ孔165Bへとねじ込まれる。ねじ169Bは、ねじ孔165Bを貫通し、その先端が底壁142に接触する。ねじ169Bをさらにねじ込むと、底面162と底壁142との距離が大きくなるように第2の固定部材160がタレット140に対して相対的に移動する。これにより、第2の固定部材160を容易に取り外すことができる。第2の固定部材160が取り外されると、タレット140に対する旋削工具1の固定が解除され、旋削工具1をタレット140から容易に取り外すことができる。
【0046】
ここで、
図11を参照して、長手方向に垂直な断面が四角形状である本体部10を有する旋削工具1は、四角形の4つの辺に対応する本体部10の外周面のうち切削チップ90の横逃げ面90Aに対応する第1の面11以外の3つの面(第2の面12、第3の面13および第4の面14)においてタレット140または第2の固定部材160と接触する態様で保持される。そのため、切削チップ90の横逃げ面90Aに対応する面である第1の面11に形成された第1の凹部11E内に通信モジュール20を配置することにより、通信モジュール20から発信される信号がタレット140および第2の固定部材160によって遮られることなく外部へと送信される。
【0047】
また、電池61を収容する空間である電池収容部11Fは、第1の面11において開口している。これにより、旋削工具1をタレット140に固定した状態で電池61を交換することが容易となっている。
【0048】
(5)本実施の形態の効果
本実施の形態の旋削工具では、金属製の本体部10の第1の凹部11E内に通信モジュール20が収容される。そして、第1の基板51の厚み方向(Z方向)において、アンテナ32から第1の凹部11Eの開口までの距離d1は、アンテナ32から第1の凹部11Eの底(第1の下壁111)までの距離d2よりも小さく設定される。これにより、外部に設置された受信機において受信される情報の欠落が十分に減少する。その結果、本開示の旋削工具1は、第1のひずみセンサ45および第2のひずみセンサ48によって得られた情報の欠落を抑制しつつ、当該情報を含む信号を外部に設置された受信機において受信することが容易な旋削工具となっている。また、第1の基板51と第1の凹部11Eの第1の下壁111との間に樹脂層としての樹脂製のスペーサ21または両面テープ21を配置することにより、上記距離d1を距離d2よりも小さく設定することが容易となっている。
【0049】
(実施の形態2)
次に、他の実施の形態である実施の形態2について説明する。
図12は、実施の形態2における通信モジュールが第1凹部内に収容された状態を示す概略断面図である。
図12は、実施の形態1の
図7に対応する図である。実施の形態2における旋削工具1は、基本的には実施の形態1の旋削工具1と同じの構造を有し、同じの効果を奏する。しかし、
図12および
図7を参照して、実施の形態2の旋削工具1は、通信モジュールの構造において、実施の形態1の旋削工具1とは異なっている。
【0050】
具体的には、実施の形態2の旋削工具1の通信モジュール20においては、樹脂層としてのスペーサ21(または両面テープ21)が省略されている。そして、実施の形態2においては、第1の基板51の厚みt1は、第1の凹部11Eの深さの1/2以上となっている。このような構成により、本実施の形態の旋削工具1は、部品点数を減らしつつ、アンテナ32から第1の凹部11Eの開口までの距離d1を、アンテナ32から第1の凹部11Eの底(第1の下壁111)までの距離d2よりも小さく設定することが容易となっている。
【0051】
(実施の形態3)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態3について説明する。
図13は、実施の形態3における通信モジュールが第1凹部内に収容された状態を示す概略断面図である。
図13は、実施の形態1の
図7に対応する図である。
図14は、実施の形態3において採用される金属板の構造を示す概略斜視図である。実施の形態3における旋削工具1は、基本的には実施の形態1の旋削工具1と同じの構造を有し、同じの効果を奏する。しかし、
図13および
図7を参照して、実施の形態3の旋削工具1は、第1の凹部11Eの構造において、実施の形態1の旋削工具1とは異なっている。
【0052】
実施の形態3の旋削工具1の本体部10は、
図13および
図14を参照して、第1の凹部11Eの底を構成し、切欠き部18Cを有する金属板18を含んでいる。金属板18は、厚み方向において互いに反対に位置する第1主面18Aおよび第2主面18Bを有している。金属板18は、厚み方向(Z方向)に見た平面形状が、Z方向に見た第1の凹部11Eの平面形状に対応する四角形状の形状を有している。そして、金属板18には、四角形の一の角部が除去されるように、切欠き部18Cが形成されている。金属板18の第2主面18Bが第1の凹部11Eの開口とは反対側となるように金属板18が第1の凹部11E内に配置されている。その結果、金属板18の第1主面18Aが第1の凹部11Eの底である第1の下壁111を構成するとともに、切欠き部18Cに対応する領域が深部領域11Gとなる。
【0053】
このような構成により、実施の形態3の第1の凹部11Eは、開口からの距離d31を有する他の領域に比べて深さが大きい(開口からの距離d32を有する)深部領域11Gを含んでいる。そして、第1の基板51の厚み方向(Z方向)において、アンテナ32と深部領域11Gとは重なっている。この構成により、実施の形態3の旋削工具1は、本体部10の剛性を高く維持しつつ、アンテナ32から第1の凹部11Eの開口までの距離d1を、アンテナ32から第1の凹部11Eの底までの距離d2よりも小さく設定することが容易となっている。
【0054】
(実施の形態4)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態4について説明する。
図15は、実施の形態4における切削工具の構造を示す概略斜視図である。
図15は、実施の形態1の
図1に対応する図である。実施の形態4における旋削工具1は、基本的には実施の形態1の旋削工具1と同じの構造を有し、同じの効果を奏する。しかし、
図15および
図1を参照して、実施の形態4の旋削工具1は、第1の蓋71の構造において、実施の形態1の旋削工具1とは異なっている。
【0055】
図15を参照して、実施の形態4の旋削工具1の第1の蓋71は、樹脂製、ゴム製またはセラミック製である。そして、実施の形態4の旋削工具1の第1の蓋71においては、窓部材71Bが省略されている。このように、第1の蓋71の材料として非金属を採用することにより、本実施の形態の旋削工具1は、窓部材71Bを省略するとともに、第1のひずみセンサ45および第2のひずみセンサ48によって得られた情報の欠落を抑制しつつ、通信モジュール20から発信される信号を外部へと送信することが可能となっている。
【0056】
(実施の形態5)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態5について説明する。
図16は、実施の形態5における通信モジュールが第1凹部内に収容された状態を示す概略断面図である。
図16は、実施の形態1の
図7に対応する図である。実施の形態5における旋削工具1は、基本的には実施の形態1の旋削工具1と同じの構造を有し、同じの効果を奏する。しかし、
図16および
図7を参照して、実施の形態5の旋削工具1は、第1の凹部11Eの内部の構造において、実施の形態1の旋削工具1とは異なっている。
【0057】
具体的には、実施の形態5の旋削工具1の第1の凹部11Eは樹脂製の充填材26により充填されることにより、通信モジュール20が充填材26により封止されている。これにより、本実施の形態においては、通信モジュール20を一層確実に保護することができる。また、充填材26によってアンテナ32の共振周波数を調整することも可能となっている。
【0058】
(実施の形態6)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態6について説明する。
図17は、実施の形態6における通信モジュールが第1凹部内に収容された状態を示す概略断面図である。
図18は、実施の形態6における通信モジュールが第1凹部内に収容された状態を、
図17とは異なる断面にて示す概略断面図である。
図19は、実施の形態6における通信モジュールが第1の凹部内に収容された状態を示す概略平面図である。
図17および
図19は、それぞれ実施の形態1の
図7および
図8に対応する図である。実施の形態6における旋削工具1は、基本的には実施の形態1の旋削工具1と同じの構造を有し、同じの効果を奏する。しかし、
図17~
図19および
図7~
図8を参照して、実施の形態6の旋削工具1は、スペーサ21の構造において、実施の形態1の旋削工具1とは異なっている。
【0059】
図17~
図19を参照して、実施の形態6の旋削工具1のスペーサ21は、第1の基板51と第1の凹部11Eの底である第1の下壁111との間に位置する底壁部211と、底壁部211から立ち上がり、第1の基板51の外周面に接触することにより第1の基板51の移動を規制する側壁部212とを含んでいる。側壁部212は、底壁部211上の空間である第1の空間21Aを取り囲むように形成されている。Z方向において、側壁部212の底壁部211からの高さは、第1の基板51の厚みよりも大きい。別の観点で説明すると、第1の基板51から第1の凹部11Eの開口までの距離に比べて、側壁部212から第1の凹部11Eの開口までの距離は小さい。
【0060】
図19を参照して、第1の凹部11Eの第1の下壁111は、Z方向に見て四角形状(長方形状)の形状、より具体的には隣り合う辺が角部において円弧状の曲線で接続された四角形状(長方形状)の形状を有している。スペーサ21は、Z方向に見て、第1の下壁111に対応する(第1の下壁111よりもわずかに小さい)四角形状(長方形状)の形状、より具体的には隣り合う辺が角部において円弧状の曲線で接続された四角形状(長方形状)の形状を有している。スペーサ21は、外周面に対応する4つの辺が、第1の凹部11Eを取り囲む本体部10の4つの側壁(長方形状の第1の下壁111の4つ辺に対応する側壁)に接触するように配置されている。スペーサ21は、第1の凹部11Eにはめ込まれている。
【0061】
第1の空間21Aは、Z方向に見て四角形状(長方形状)の形状を有している。第1の基板51は、Z方向に見て、第1の空間21Aに対応する(第1の空間21Aよりもわずかに小さい)四角形状(長方形状)の形状を有している。第1の基板51は、第1の空間21Aにはめ込まれている。第1の基板51は、第1の空間21Aを取り囲む側壁部212に接触することにより、移動が規制されている。第1の基板51は、スペーサ21によって位置決めされている。側壁部212は、他の領域に比べてZ方向における高さが小さい切欠き部213を含んでいる。切欠き部213は、第1の貫通孔10Dに対応する位置に形成されている。コネクタ33に接続されたフレキシブルケーブル54は、切欠き部213を通って第1の貫通孔10Dへと進入している。
【0062】
本実施の形態の旋削工具1の組み立て時においては、第1の基板51がスペーサ21の第1の空間21Aにはめ込まれ、側壁部212により移動が規制される。これにより、スペーサ21に対する第1の基板51の位置決めが達成される。さらに、スペーサ21が第1の凹部11Eにはめ込まれることにより、本体部10の第1の凹部11Eに対するスペーサ21の位置決めが達成される。その結果、本実施の形態においては、第1の基板51上に配置される無線通信部31に含まれるアンテナ32を適切な位置に配置することが容易となっている。
【0063】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、請求の範囲によって規定され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0064】
1 旋削工具、10 本体部、10A 第1の端部、10B 第2の端部、10D 第1の貫通孔、10H 第2の貫通孔、11 第1の面、11A 第1領域、11B 第2領域、11C 第3領域、11E 第1の凹部、11F 電池収容部、11G 深部領域、12 第2の面、12E 第2の凹部、13 第3の面、13E 第3の凹部、14 第4の面、15 第5の面、16 第6の面、18 金属板、18A 第1主面、18B 第2主面、18C 切欠き部、19 保持部、20 通信モジュール、21 スペーサ(両面テープ)、21A 第1の空間、26 充填材、31 無線通信部、32 アンテナ、33~38 コネクタ、44 第1のひずみセンサ部品、45 第1のひずみセンサ、46 配線、47 第2のひずみセンサ部品、48 第2のひずみセンサ、49 配線、51 第1の基板、51A 第1主面、51B 第2主面、52 第2の基板、52B 第2主面、53 第3の基板、54,55 フレキシブルケーブル、61 電池、71 第1の蓋、71A ベース部、71B 窓部材、71C 窓部、72 第2の蓋、73 第3の蓋、74 第4の蓋、81 敷板、82 固定部、90 切削チップ、90A,90B 逃げ面、111 第1の下壁、112 第2の下壁、113 段差部、121 第1の下壁、122 第2の下壁、131 第1の下壁、132 第2の下壁、140 タレット、141 溝、142 底壁、143 側壁、145A,145C ねじ孔、150 第1の固定部材、151 上面、152 底面、153 第1の側面、154 第2の側面、155 端面、160 第2の固定部材、161 上面、162 底面、163 第1の側面、164 第2の側面、165 端面、165A,165B,165C ねじ孔、169A,169B,169C ねじ、211 底壁部、212 側壁部、213 切欠き部、d1,d2,d31,d32 距離、t1 厚み。
【要約】
切削工具は、回転する被加工物に接触することによって被加工物を切削する旋削工具である。この旋削工具は、棒状の形状を有し、表面に凹部が形成された金属製の本体部と、本体部に設置され、本体部の第1の物理量を検知するセンサと、センサに接続され、センサが検知した第1の物理量を含む情報を外部へと送信する通信モジュールと、を備える。通信モジュールは、凹部内に収容される。通信モジュールは、樹脂製の基板と、基板上に配置され、アンテナを含む無線通信部と、を含む。基板の厚み方向において、アンテナから凹部の開口までの距離は、アンテナから凹部の底までの距離以下である。