(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】縦置型多段電気駆動動力アセンブリ
(51)【国際特許分類】
B60K 17/12 20060101AFI20231108BHJP
F16H 3/08 20060101ALI20231108BHJP
F16H 3/083 20060101ALI20231108BHJP
F16H 3/091 20060101ALI20231108BHJP
F16H 3/097 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
B60K17/12
F16H3/08
F16H3/083
F16H3/091
F16H3/097
(21)【出願番号】P 2021517090
(86)(22)【出願日】2019-05-29
(86)【国際出願番号】 CN2019089019
(87)【国際公開番号】W WO2019233329
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2020-12-02
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】201810581680.9
(32)【優先日】2018-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511268454
【氏名又は名称】ジン-ジン エレクトリック テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【氏名又は名称】川上 桂子
(72)【発明者】
【氏名】ユ、 ピン
(72)【発明者】
【氏名】リ、 ジエンウェン
(72)【発明者】
【氏名】ホウ、 ディフェン
(72)【発明者】
【氏名】リィー、 ヂィアチィー
【合議体】
【審判長】中屋 裕一郎
【審判官】平城 俊雅
【審判官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0088669(KR,A)
【文献】特開平9-205703(JP,A)
【文献】特開2005-253167(JP,A)
【文献】特開2017-65301(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103758943(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104696449(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 17/12
F16H 3/08,3/091,3/083,3/097
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ及び幾つかの組のギアボックスを含み、前記ギアボックスが1段減速ボックス又は多段減速ボックスであり、前記ギアボックスが互いに直列に接続されてギアボックスアセンブリを構成し、前記モータの出力軸が前記ギアボックスアセンブリの入力軸と一体に作られており、
前記モータと隣接して接続されたギアボックスが1段減速ボックス又は多段減速ボックスであり、前記モータの出力軸が、隣接する前記ギアボックスの入力軸と一体に作られ、前記モータのモータハウジングも、隣接する前記ギアボックスのフロントハウジングと一体に作られており、
隣接する2つのギアボックスにおいて前のギアボックスの出力軸が後のギアボックスの入力軸と一体に作られており、
最後に接続された前記ギアボックスの出力軸が動力アセンブリ全体の出力軸とされている、ことを特徴とする縦置型多段電気駆動動力アセンブリ。
【請求項2】
前記ギアボックスが2組設けられており、順番に接続された1段減速ボックス及び2段減速ボックスを含むか、
又は、順番に接続された2段減速ボックス及び1段減速ボックスを含むか、
又は、順番に接続された前部2段減速ボックス及び後部2段減速ボックスを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の縦置型多段電気駆動動力アセンブリ。
【請求項3】
前記ギアボックスが3組設けられており、順番に接続された前部1段減速ボックス、2段減速ボックス及び後部1段減速ボックスを含むか、
又は、順番に接続された1段減速ボックス、中間2段減速ボックス及び後部2段減速ボックスを含むか、
又は、順番に接続された前部2段減速ボックス、中間2段減速ボックス及び1段減速ボックスを含むか、
又は、順番に接続された前部2段減速ボックス、中間2段減速ボックス及び後部2段減速ボックスを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の縦置型多段電気駆動動力アセンブリ。
【請求項4】
前記ギアボックスが4組設けられており、順番に接続された前部1段減速ボックス、中間2段減速ボックス、後部2段減速ボックス及び後部1段減速ボックスを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の縦置型多段電気駆動動力アセンブリ。
【請求項5】
前記ギアボックスアセンブリの入力軸と出力軸とが、同軸に設けられているか、又は非同軸上に平行に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の縦置型多段電気駆動動力アセンブリ。
【請求項6】
前記多段減速ボックスが2段減速ボックスであり、前記2段減速ボックスには、入力軸、1本又は2本以上の中間軸、及び出力軸が設けられており、前記入力軸及び前記中間軸上には、噛み合う伝動ギアがそれぞれ設けられ、前記中間軸及び前記出力軸上には、噛み合う伝動ギアがそれぞれ設けられており、前記中間軸上の伝動ギアが前記中間軸と固定接続されているか、又は、前記中間軸上に遊嵌されており、前記出力軸上の伝動ギアが前記出力軸と固定接続されているか、又は前記出力軸上に遊嵌されている
ことを特徴とする請求項1に記載の縦置型多段電気駆動動力アセンブリ。
【請求項7】
前記入力軸と前記出力軸との間にクラッチが設けられ、前記中間軸と前記中間軸上に遊嵌された伝動ギアとの間にクラッチが設けられ、前記中間軸上のクラッチが、二段のギアの間に位置するか、又は二段のギアの外側に位置する
ことを特徴とする請求項6に記載の縦置型多段電気駆動動力アセンブリ。
【請求項8】
前記入力軸と前記出力軸との間に双方向シンクロナイザーが設けられており、前記出力軸上の伝動ギアが前記出力軸上に遊嵌されており、前記中間軸上の伝動ギアが前記中間軸と固定接続されている
ことを特徴とする請求項6に記載の縦置型多段電気駆動動力アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の伝動軸に接続され、車両を駆動するための縦置型多段電気駆動動力アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
現在の純粋な電気自動車又はハイブリッド新エネルギー自動車は、採用されている電動モータの動力特性と車両全体の要求とに差があるので、変速比及びモーメントの要求を満たすことができない。新エネルギー自動車がますます複雑になる運転状況や道路状況に対応する必要があるので、新エネルギー自動車の最高速度及び最大登坂性の両方に対するユーザーの要求がますます切実になっており、単純な電動モータによる直接駆動モードの新エネルギー自動車は、高出力、高トルク、最高速度を総合的に考慮した車両に対する新エネルギー自動車産業の開発要件を満たすことができなくなっている。
【0003】
現在の車両動力アセンブリには、すべて、1段変速機が用いられており、その出力軸は伝動軸に接続されている。この方式を使用すると、特殊な状況下では、モータの能力に制限されるため、始動、登坂などの高トルク及び高速性能の要件を同時に満たすことはできない。
【発明の概要】
【0004】
従来技術における上記の問題に鑑みて、本発明は、直列に接続された幾つかの組のギアボックスを使用して動力アセンブリの性能を向上させた縦置型多段電気駆動動力アセンブリを提供する。
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の技術案は、以下のように実現される。
【0006】
本発明は、モータ及び幾つかの組のギアボックスを含み、前記ギアボックスが1段減速ボックス又は多段減速ボックスであり、前記ギアボックスが互いに直列に接続されてギアボックスアセンブリを構成し、前記モータの出力軸が前記ギアボックスアセンブリの入力軸と一体に作られている縦置型多段電気駆動動力アセンブリを提供する。
【0007】
また、前記モータと隣接して接続されたギアボックスが1段減速ボックス又は多段減速ボックスであり、前記モータの出力軸が、隣接する前記ギアボックスの入力軸と一体に作られ、前記モータのリアカバーも、隣接する前記ギアボックスのフロントハウジングと一体に作られており、
異なるギアボックスが隣接して接続された場合、前のギアボックスの出力軸が後のギアボックスの入力軸と一体に作られているか、又は、カップリングを介して接続されていてもよい。
【0008】
また、前記ギアボックスが2組設けられており、順番に接続された1段減速ボックス及び2段減速ボックスを含むか、
又は、順番に接続された2段減速ボックス及び1段減速ボックスを含むか、
又は、順番に接続された前部2段減速ボックス及び後部2段減速ボックスを含んでもよい。
【0009】
また、前記ギアボックスが3組設けられており、順番に接続された前部1段減速ボックス、2段減速ボックス及び後部1段減速ボックスを含むか、
又は、順番に接続された1段減速ボックス、中間2段減速ボックス及び後部2段減速ボックスを含むか、
又は、順番に接続された前部2段減速ボックス、中間2段減速ボックス及び1段減速ボックスを含むか、
又は、順番に接続された前部2段減速ボックス、中間2段減速ボックス及び後部2段減速ボックスを含んでもよい。
【0010】
また、前記ギアボックスが4組設けられており、順番に接続された前部1段減速ボックス、中間2段減速ボックス、後部2段減速ボックス及び後部1段減速ボックスを含んでもよい。
【0011】
また、前記1段減速ボックスには、入力軸及び出力軸が設けられ、前記入力軸及び前記出力軸上には、噛み合う伝動ギアがそれぞれ設けられており、
前記入力軸上の伝動ギアが前記入力軸と固定接続されているか、又は前記入力軸上に遊嵌されており、前記出力軸上の伝動ギアが前記出力軸と固定接続されているか、又は前記出力軸上に遊嵌されており、
前記入力軸と前記入力軸上に遊嵌された伝動ギアとの間にクラッチが設けられ、前記出力軸と前記出力軸上に遊嵌された伝動ギアとの間にクラッチが設けられていてもよい。
【0012】
また、前記ギアボックスアセンブリの入力軸と出力軸とが、同軸に設けられているか、又は非同軸上に平行に設けられていてもよい。
【0013】
また、前記多段減速ボックスが2段減速ボックスであり、前記2段減速ボックスには、入力軸、1本又は2本以上の中間軸、及び出力軸が設けられており、前記入力軸及び前記中間軸上には、噛み合う伝動ギアがそれぞれ設けられ、前記中間軸及び前記出力軸上には、噛み合う伝動ギアがそれぞれ設けられており、前記中間軸上の伝動ギアが前記中間軸と固定接続されているか、又は、前記中間軸上に遊嵌されており、前記出力軸上の伝動ギアが前記出力軸と固定接続されているか、又は前記出力軸上に遊嵌されていてもよい。
【0014】
また、前記入力軸と前記出力軸との間にクラッチが設けられ、前記中間軸と前記中間軸上に遊嵌された伝動ギアとの間にクラッチが設けられ、前記中間軸上のクラッチが、二段のギアの間に位置するか、又は二段のギアの外側に位置してもよい。
【0015】
また、前記入力軸と前記出力軸との間に双方向シンクロナイザーが設けられており、前記出力軸上の伝動ギアが前記出力軸上に遊嵌されており、前記中間軸上の伝動ギアが前記中間軸と固定接続されていてもよい。
【0016】
上記構造を用いて設けられた動力アセンブリは、以下の利点を有する。
【0017】
本発明の動力アセンブリは、動力源を追加せずに、変速機の速段数を増加させ、1段減速機を追加するか又は中間軸を追加することにより、モータの高効率領域がよりよく利用され、車両の動力性能が向上され、モータの最大トルクに対する要求が軽減され、モータのサイズが縮小され、モータのコストが削減される。
【0018】
本発明の動力アセンブリは、車両のリアアクスルハーフシャフト又はフロントアクスルハーフシャフトに接続され、複数個の変速比での伝動を実現することができ、伝動形式及び動力入力方式が柔軟であり、さまざまな道路状況での車両全体の運転ニーズに対応可能になり、車両が重い負荷で坂を登っている場合、車両全体の駆動力を向上させ、車両全体の駆動力不足という欠陥を補うためには、デュアル動力入力、大きい変速比での伝動を選択することができ、車両全体が巡航している場合、車両全体の高速走行要求を満たし、エネルギーを節約し、車両の続航距離を向上させるためには、単一動力による入力、小さな変速比での伝動を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の実施例1による、2段ギアボックスと前部補助ギアボックスとを備える縦置型多段電気駆動動力アセンブリの構造模式図である(クラッチが2段ギアボックスにおける二段のギアの間にある)。
【
図2】
図2は、本発明の実施例1による、2段ギアボックスと前部補助ギアボックスとを備える縦置型多段電気駆動動力アセンブリの構造模式図である(クラッチが2段ギアボックスにおける二段のギアの外側にある)。
【
図3】
図3は、本発明の実施例2による、2段ギアボックスと後部補助ギアボックスとを備える縦置型多段電気駆動動力アセンブリの構造模式図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施例3による、2段ギアボックスと前部補助ギアボックス、後部補助ギアボックスとを備える縦置型多段電気駆動動力アセンブリの構造模式図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施例4による、4段ギアボックスを備える縦置型多段電気駆動動力アセンブリの構造模式図である(4対のギアであり、後部の2段ギアボックスがツイン中間軸構造である)。
【
図6】
図6は、本発明の実施例4による、4段ギアボックスを備える縦置型多段電気駆動動力アセンブリの構造模式図である(4対のギアであり、シングル中間軸構造である)。
【
図7】
図7は、本発明の実施例4による、4段ギアボックスを備える縦置型多段電気駆動動力アセンブリの構造模式図である(3対のギアであり、ギアボックスアセンブリの入力軸及び出力軸が同軸で駆動される)。
【
図8】
図8は、本発明の実施例4による、4段ギアボックスを備える縦置型多段電気駆動動力アセンブリの構造模式図である(3対のギアであり、ギアボックスアセンブリの入力軸及び出力軸が非同軸で駆動される)。
【
図9】
図9は、本発明の実施例5による、4段ギアボックスと前部補助ギアボックスとを備える縦置型多段電気駆動動力アセンブリの構造模式図である(後部の2段ギアボックスがツイン中間軸構造である)。
【
図10】
図10は、本発明の実施例6による、4段ギアボックスと後部補助ギアボックスとを備える縦置型多段電気駆動動力アセンブリの構造模式図である(中間の2段ギアボックスがツイン中間軸構造である)。
【
図11】
図11は、本発明の実施例7による、4段ギアボックスと前部補助ギアボックス、後部補助ギアボックスとを備える縦置型多段電気駆動動力アセンブリの構造模式図である(後部の2段ギアボックスがツイン中間軸構造である)。
【
図12】
図12は、本発明の実施例8による、8段ギアボックスを備える縦置型多段電気駆動動力アセンブリの構造模式図である(中間の2段ギアボックスがツイン中間軸構造である)。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の目的、技術案及び利点が更に明白になるように、以下、図面を参照して、本発明の実施形態をさらに詳しく説明する。
【0021】
(実施例1)
図1に示すように、本発明の実施例1において、縦置型多段電気駆動動力アセンブリが開示され、具体的に、1つの前部補助ギアボックスが追加された縦置型2段電気駆動動力アセンブリが開示されている。動力源1(動力源1にモータが用いられ)、モータ及び変速機の入力を一体化とした軸2、動力アセンブリ出力軸3、前部補助ギアボックス4、2段ギアボックス5、電磁クラッチ9、モータハウジング11、フロントハウジング12、ミドルハウジング13、及びリアハウジング14を含む。
【0022】
そのうち、動力源1のモータ軸が前部補助ギアボックス4の入力軸と一体的に統合されており、即ちモータ及び変速機の入力を一体化とした軸2になっており、前部補助ギアボックス4の出力軸が2段ギアボックス5の入力軸と一体的に統合されており、2段ギアボックス5の出力軸が動力アセンブリ全体の出力軸とされており、前部補助ギアボックス4が1つの1段減速機であり、2段ギアボックス5が2つの電磁クラッチ9によってシフトされ、モータ及び変速機の入力を一体化とした軸2と、動力アセンブリ出力軸3とは異なる軸上に平行に設けられており、即ち、非同軸電気駆動動力アセンブリになっており、前部補助ギアボックス4及び2段ギアボックス5に採用されているギアは、配置方式が簡単であり、占用スペースが小さく、構造がコンパクトで、軽量であり、軽量化及び電気化の開発トレンドに適している。
【0023】
本発明の実施例1の伝動方式は、次の通りである。
【0024】
前部補助ギアボックス4の出力及び2段ギアボックス5の入力を一体化とした軸と、動力アセンブリ出力軸3との間の電磁クラッチ9が噛み合い、同時に、2段ギアボックス5の中間軸上の電磁クラッチ9が切り離された場合、動力源1が、モータ及び変速機の入力を一体化とした軸2、前部補助ギアボックス4の1対のギア、前部補助ギアボックス4の出力及び2段ギアボックス5の入力を一体化とした軸を順次に介して、動力を動力アセンブリ出力軸3に伝達し、このとき、縦置型2段電気駆動動力アセンブリが高速段にある。前部補助ギアボックス4の伝動比をi1、2段ギアボックス5の伝動比をi2と設定すると、縦置型2段電気駆動動力アセンブリの高速段の伝動比がi1になる。
【0025】
前部補助ギアボックス4の出力及び2段ギアボックス5の入力を一体化とした軸と、動力アセンブリ出力軸3との間の電磁クラッチ9が切り離され、同時に、2段ギアボックス5の中間軸上の電磁クラッチ9が噛み合った場合、動力源1が、モータ及び変速機の入力を一体化とした軸2、前部補助ギアボックス4の1対のギア、前部補助ギアボックス4の出力及び2段ギアボックス5の入力を一体化とした軸、2段ギアボックス5の2対のギアを順次に介して、動力を動力アセンブリ出力軸3に伝達し、このとき、縦置型2段電気駆動動力アセンブリが低速段にある。前部補助ギアボックス4の伝動比をi1、2段ギアボックス5の伝動比をi2と設定すると、縦置型2段電気駆動動力アセンブリの低速段の伝動比がi1*i2になる。
【0026】
そのうち、2段ギアボックス5及び前部補助ギアボックス4の伝動比の大きさは、ギアの寸法や歯数を変えることで変更可能であり、これにより、縦置型2段電気駆動動力アセンブリの伝動比が変更される。
【0027】
また、本発明の実施例1の他の形態を
図2に示す。
図2と
図1の相違点は、
図1において、2段ギアボックス5の中間軸に用いられた電磁クラッチ9が二段のギアの間に位置するのに対して、
図2において、2段ギアボックス5の中間軸に用いられた電磁クラッチ9が二段のギアのうち一方のギアの外側に位置する、ということにある。この2つの形態のどちらでも構わない。
【0028】
(実施例2)
図3に示すように、本発明の実施例2において、縦置型多段電気駆動動力アセンブリが開示され、具体的に、1つの後部補助ギアボックスが追加された縦置型2段電気駆動動力アセンブリが開示されている。動力源1(動力源1にモータが用いられ)、モータ及び変速機の入力を一体化とした軸2、動力アセンブリ出力軸3、後部補助ギアボックス6、2段ギアボックス5、電磁クラッチ9、モータハウジング11、フロントハウジング12、ミドルハウジング13、及びリアハウジング14を含む。
【0029】
そのうち、動力源1のモータ軸が2段ギアボックス5の入力軸と一体的に統合されており、即ちモータ及び変速機の入力を一体化とした軸2になっており、2段ギアボックス5の出力軸が後部補助ギアボックス6の入力軸と一体的に統合されており、後部補助ギアボックス6の出力軸が動力アセンブリ全体の出力軸とされており、2段ギアボックス5が2つの電磁クラッチ9によってシフトされ、後部補助ギアボックス6が1つの1段減速機であり、モータ及び変速機の入力を一体化とした軸2と、動力アセンブリ出力軸3とは異なる軸上に平行に設けられており、即ち、非同軸電気駆動動力アセンブリになっており、2段ギアボックス5及び後部補助ギアボックス6に採用されているギアは、配置方式が簡単であり、占用スペースが小さく、構造がコンパクトで、軽量であり、軽量化及び電気化の開発トレンドに適している。
【0030】
本発明の実施例2の伝動方式は、次の通りである。
【0031】
モータ及び変速機の入力を一体化とした軸2と、2段ギアボックス5の出力及び後部補助ギアボックス6の入力を一体化とした軸との間の電磁クラッチ9が噛み合い、同時に、2段ギアボックス5の中間軸上の電磁クラッチ9が切り離された場合、動力源1が、モータ及び変速機の入力を一体化とした軸2、2段ギアボックス5の出力及び後部補助ギアボックス6の入力を一体化とした軸、後部補助ギアボックス6の1対のギアを順次に介して、動力を動力アセンブリ出力軸3に伝達し、このとき、縦置型2段電気駆動動力アセンブリが高速段にある。2段ギアボックス5の伝動比をi2、後部補助ギアボックス6の伝動比をi3と設定すると、縦置型2段電気駆動動力アセンブリの高速段の伝動比がi3になる。
【0032】
モータ及び変速機の入力を一体化とした軸2と、2段ギアボックス5の出力及び後部補助ギアボックス6の入力を一体化とした軸との間の電磁クラッチ9が切り離され、同時に、2段ギアボックス5の中間軸上の電磁クラッチ9が噛み合った場合、動力源1が、モータ及び変速機の入力を一体化とした軸2、2段ギアボックス5の2対のギア、2段ギアボックス5の出力及び後部補助ギアボックス6の入力を一体化とした軸、後部補助ギアボックス6の1対のギアを順次に介して、動力を動力アセンブリ出力軸3に伝達し、このとき、縦置型2段電気駆動動力アセンブリが低速段にある。2段ギアボックス5の伝動比をi2、後部補助ギアボックス6の伝動比をi3と設定すると、縦置型2段電気駆動動力アセンブリの低速段の伝動比がi2*i3になる。
【0033】
本発明の実施例2は、その他の内容が実施例1と同じであり、ここで繰り返して説明しない。
【0034】
(実施例3)
図4に示すように、本発明の実施例3において、縦置型多段電気駆動動力アセンブリが開示され、具体的に、1つの前部補助ギアボックス及び1つの後部補助ギアボックスが追加された縦置型2段電気駆動動力アセンブリが開示されている。動力源1(動力源1にモータが用いられ)、モータ及び変速機の入力を一体化とした軸2、動力アセンブリ出力軸3、前部補助ギアボックス4、後部補助ギアボックス6、2段ギアボックス5、電磁クラッチ9、モータハウジング11、フロントハウジング12、ミドルハウジング13、及びリアハウジング14を含む。
【0035】
そのうち、動力源1のモータ軸が前部補助ギアボックス4の入力軸と一体的に統合されており、即ちモータ及び変速機の入力を一体化とした軸2になっており、前部補助ギアボックス4の出力軸が2段ギアボックス5の入力軸と一体的に統合されており、2段ギアボックス5の出力軸が後部補助ギアボックス6の入力軸と一体的に統合されており、後部補助ギアボックス6の出力軸が動力アセンブリ全体の出力軸とされており、2段ギアボックス5が2つの電磁クラッチ9によってシフトされ、前部補助ギアボックス4及び後部補助ギアボックス6は、いずれも1段減速機であり、モータ及び変速機の入力を一体化とした軸2と、動力アセンブリ出力軸3とは同軸であり、即ち同軸電気駆動動力アセンブリになっており、2段ギアボックス5、前部補助ギアボックス4及び後部補助ギアボックス6に採用されているギアは、配置方式が簡単であり、占用スペースが小さく、構造がコンパクトで、軽量であり、軽量化及び電気化の開発トレンドに適している。
【0036】
本発明の実施例3の伝動方式は、次の通りである。
【0037】
前部補助ギアボックス4の出力及び2段ギアボックス5の入力を一体化とした軸と、2段ギアボックス5の出力及び後部補助ギアボックス6の入力を一体化とした軸との間の電磁クラッチ9が噛み合い、同時に、2段ギアボックス5の中間軸上の電磁クラッチ9が切り離された場合、動力源1が、モータ及び変速機の入力を一体化とした軸2、前部補助ギアボックス4の1対のギア、前部補助ギアボックス4の出力及び2段ギアボックス5の入力を一体化とした軸、2段ギアボックス5の出力及び後部補助ギアボックス6の入力を一体化とした軸、後部補助ギアボックス6の1対のギアを順次に介して、動力を動力アセンブリ出力軸3に伝達し、このとき、縦置型2段電気駆動動力アセンブリが高速段にある。前部補助ギアボックス4の伝動比をi1、2段ギアボックス5の伝動比をi2、後部補助ギアボックス6の伝動比をi3と設定すると、縦置型2段電気駆動動力アセンブリの高速段の伝動比がi1*i3になる。
【0038】
前部補助ギアボックス4の出力及び2段ギアボックス5の入力を一体化とした軸と、2段ギアボックス5の出力及び後部補助ギアボックス6の入力を一体化とした軸との間の電磁クラッチ9が切り離され、同時に、2段ギアボックス5の中間軸上の電磁クラッチ9が噛み合った場合、動力源1が、モータ及び変速機の入力を一体化とした軸2、前部補助ギアボックス4の1対のギア、前部補助ギアボックス4の出力及び2段ギアボックス5の入力を一体化とした軸、2段ギアボックス5の2対のギア、2段ギアボックス5の出力及び後部補助ギアボックス6の入力を一体化とした軸、後部補助ギアボックス6の1対のギアを順次に介して、動力を動力アセンブリ出力軸3に伝達し、このとき、縦置型2段電気駆動動力アセンブリが低速段にある。前部補助ギアボックス4の伝動比をi1、2段ギアボックス5の伝動比をi2、後部補助ギアボックス6の伝動比をi3と設定すると、縦置型2段電気駆動動力アセンブリの低速段の伝動比がi1*i2*i3になる。
【0039】
本発明の実施例3は、その他の内容が実施例1と同じであり、ここで繰り返して説明しない。
【0040】
(実施例4)
図5に示すように、本発明の実施例4において、縦置型多段電気駆動動力アセンブリが開示され、具体的に、縦置型4段電気駆動動力アセンブリが開示されている。動力源1(動力源1にモータが用いられ)、モータ及び変速機の入力を一体化とした軸2、動力アセンブリ出力軸3、ツイン中間軸構造の4段ギアボックス7、電磁クラッチ9、モータハウジング11、フロントハウジング12、ミドルハウジング13、リアハウジング14、及び双方向シンクロナイザー15を含む。
【0041】
そのうち、動力源1のモータ軸がツイン中間軸構造の4段ギアボックス7の入力軸と一体的に統合されており、即ちモータ及び変速機の入力を一体化とした軸2になっており、ツイン中間軸構造の4段ギアボックス7の出力軸が動力アセンブリ全体の出力軸とされており、ツイン中間軸構造の4段ギアボックス7が2つの電磁クラッチ9及び1つの双方向シンクロナイザー15によってシフトされ、ツイン中間軸構造の4段ギアボックス7が、前後の2つの2段ギアボックス5によって組み合せてなり、前部2段ギアボックス5の出力軸が後部2段ギアボックス5の入力軸と一体的に統合されており、そのうち、後部2段ギアボックス5が2本の中間軸を有し、即ち、後部2段ギアボックスが、ツイン中間軸構造の2段ギアボックスになっており、そのため、4段ギアボックス全体が、ツイン中間軸構造の4段ギアボックスである。
【0042】
本発明の実施例4の伝動方式は、次の通りである。
【0043】
モータ及び変速機の入力を一体化とした軸2と、前部2段ギアボックス5の出力及び後部2段ギアボックス5の入力を一体化とした軸との間の電磁クラッチ9が噛み合い、双方向シンクロナイザー15の作用で、前部2段ギアボックス5の出力及び後部2段ギアボックス5の入力を一体化とした軸が動力アセンブリ出力軸3と接合され、同時に、前部2段ギアボックス5の中間軸上の電磁クラッチ9が切り離された場合、動力源1が、モータ及び変速機の入力を一体化とした軸2、前部2段ギアボックス5の出力及び後部2段ギアボックス5の入力を一体化とした軸を順次に介して、動力を動力アセンブリ出力軸3に伝達し、このとき、縦置型4段電気駆動動力アセンブリが1速段即ち直結段にあり、縦置型4段電気駆動動力アセンブリの1速段の伝動比が1になる。
【0044】
モータ及び変速機の入力を一体化とした軸2と、前部2段ギアボックス5の出力及び後部2段ギアボックス5の入力を一体化とした軸との間の電磁クラッチ9が噛み合い、双方向シンクロナイザー15の作用で、後部2段ギアボックス5における二段目の大ギアが動力アセンブリ出力軸3と接合され、同時に、前部2段ギアボックス5の中間軸上の電磁クラッチ9が切り離された場合、動力源1が、モータ及び変速機の入力を一体化とした軸2、前部2段ギアボックス5の出力及び後部2段ギアボックス5の入力を一体化とした軸、後部2段ギアボックス5の2対のギアを順次に介して、動力を動力アセンブリ出力軸3に伝達し、このとき、縦置型4段電気駆動動力アセンブリが2速段にある。前部2段ギアボックス5の伝動比をi4、後部2段ギアボックス5の伝動比をi5と設定すると、縦置型4段電気駆動動力アセンブリの2速段の伝動比がi5になる。
【0045】
モータ及び変速機の入力を一体化とした軸2と、前部2段ギアボックス5の出力及び後部2段ギアボックス5の入力を一体化とした軸との間の電磁クラッチ9が切り離され、双方向シンクロナイザー15の作用で、前部2段ギアボックス5の出力及び後部2段ギアボックス5の入力を一体化とした軸が動力アセンブリ出力軸3と接合され、同時に、前部2段ギアボックス5の中間軸上の電磁クラッチ9が噛み合った場合、動力源1が、モータ及び変速機の入力を一体化とした軸2、前部2段ギアボックス5の2対のギア、前部2段ギアボックス5の出力及び後部2段ギアボックス5の入力を一体化とした軸を順次に介して、動力を動力アセンブリ出力軸3に伝達し、このとき、縦置型4段電気駆動動力アセンブリが3速段にある。前部2段ギアボックス5の伝動比をi4、後部2段ギアボックス5の伝動比をi5と設定すると、縦置型4段電気駆動動力アセンブリの3速段の伝動比がi4になる。
【0046】
モータ及び変速機の入力を一体化とした軸2と、前部2段ギアボックス5の出力及び後部2段ギアボックス5の入力を一体化とした軸との間の電磁クラッチ9が切り離され、双方向シンクロナイザー15の作用で、後部2段ギアボックス5における二段目の大ギアが動力アセンブリ出力軸3と接合され、同時に、前部2段ギアボックス5の中間軸上の電磁クラッチ9が噛み合った場合、動力源1が、モータ及び変速機の入力を一体化とした軸2、前部2段ギアボックス5の2対のギア、前部2段ギアボックス5の出力及び後部2段ギアボックス5の入力を一体化とした軸、後部2段ギアボックス5の2対のギアを順次に介して、動力を動力アセンブリ出力軸3に伝達し、このとき、縦置型4段電気駆動動力アセンブリが4速段にある。前部2段ギアボックス5の伝動比をi4、後部2段ギアボックス5の伝動比をi5と設定すると、縦置型4段電気駆動動力アセンブリの4速段の伝動比がi4*i5になる。
【0047】
本発明の実施例4のもう1つの形態を
図6に示す。
図6と
図5の相違点は、
図5が
図6に基づいて1つの中間軸を追加してなることにあり、こうして、出力トルクを増大させ、モータコストを低減するという目的を達成することができる。
【0048】
本発明の実施例4のもう1つの形態を
図7、
図8に示す。
図7及び
図8における4段ギアボックスに3対のギアが用いられており、
図5及び
図6における4段ギアボックスよりも、ギアが1対少なくなっている。そのうち、
図7において、モータ及び変速機の入力を一体とした軸2と、動力アセンブリ出力軸3とは同軸であり、即ち同軸電気駆動動力アセンブリになっているのに対して、
図8において、モータ及び変速機の入力を一体化とした軸2と、動力アセンブリ出力軸3とは、異なる軸上に平行に設けられており、即ち非同軸電気駆動動力アセンブリになっている。
【0049】
本発明の実施例4は、その他の内容が実施例1と同じであり、ここで繰り返して説明しない。
【0050】
(実施例5)
図9に示すように、本発明の実施例5において、縦置型多段電気駆動動力アセンブリが開示され、具体的に、1つの前部補助ギアボックスが追加された縦置型4段電気駆動動力アセンブリが開示されている。本発明の実施例5は、実施例1に基づいて、2段ギアボックスを4段ギアボックスに変更したことに相当するか、又は、実施例1に基づいて、2段ギアボックスの後ろに1つの後部2段補助ギアボックスを追加したことに相当する。前部補助ギアボックス4の出力軸がツイン中間軸構造の4段ギアボックス7の入力軸と一体的に統合されており、ツイン中間軸構造の4段ギアボックス7の出力軸が動力アセンブリ全体の出力軸とされている。具体的な実施形態は、実施例1及び実施例4を参照されたい。
【0051】
(実施例6)
図10に示すように、本発明の実施例6において、縦置型多段電気駆動動力アセンブリが開示され、具体的に、1つの後部補助ギアボックスが追加された縦置型4段電気駆動動力アセンブリが開示されている。本発明の実施例6は、実施例2に基づいて、2段ギアボックスを4段ギアボックスに変更したことに相当するか、又は、実施例2に基づいて、2段ギアボックスの前に1つの前部2段補助ギアボックスを追加したことに相当する。ツイン中間軸構造の4段ギアボックス7の出力軸が後部補助ギアボックス6の入力軸と一体的に統合されており、後部補助ギアボックス6の出力軸が動力アセンブリ全体の出力軸とされている。具体的な実施形態は、実施例2及び実施例4を参照されたい。
【0052】
(実施例7)
図11に示すように、本発明の実施例7において、縦置型多段電気駆動動力アセンブリが開示され、具体的に、1つの前部補助ギアボックス及び1つの後部補助ギアボックスが追加された縦置型4段電気駆動動力アセンブリが開示されている。本発明の実施例7は、実施例3に基づいて、2段ギアボックスを4段ギアボックスに変更したことに相当する。前部補助ギアボックス4の出力軸がツイン中間軸構造の4段ギアボックス7の入力軸と一体的に統合されており、ツイン中間軸構造の4段ギアボックス7の出力軸が後部補助ギアボックス6の入力軸と一体的に統合されており、後部補助ギアボックス6の出力軸が動力アセンブリ全体の出力軸とされている。具体的な実施形態は、実施例3及び実施例4を参照されたい。
【0053】
(実施例8)
図12に示すように、本発明の実施例8において、縦置型多段電気駆動動力アセンブリが開示され、具体的に、縦置型8段電気駆動動力アセンブリが開示されている。本発明の実施例7は、実施例4に基づいて、ツイン中間軸構造の4段ギアボックス7の後ろに1つの後部2段補助ギアボックスを追加したことに相当するか、又は、実施例3に基づいて、前部補助ギアボックス、後部補助ギアボックスの1段減速機を前部2段補助ギアボックス、後部2段補助ギアボックスに変更したことに相当する。具体的な実施形態は、実施例3及び実施例4を参照されたい。
【0054】
以上、あくまでも本発明の具体的な実施形態であり、本発明の上記教示の下で、当業者は、上記実施例に基づいて他の改良又は変形を行うことができる。当業者であれば、上記の具体的な記載は、本発明の目的をより良く解釈するためのものであり、本発明の保護範囲が特許請求の範囲の保護範囲に基づくものであることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0055】
1. 動力源 2. モータ及び変速機の入力を一体とした軸 3. 動力アセンブリ出力軸 4.前部補助ギアボックス 5.2段ギアボックス 6. 後部補助ギアボックス 7. ツイン中間軸構造の4段ギアボックス 8. シングル中間軸構造の4段ギアボックス 9.電磁クラッチ 10. 8段ギアボックス 11.モータハウジング 12.フロントハウジング 13. ミドルハウジング 14. リアハウジング 15.双方向シンクロナイザー。