(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】エアチャック
(51)【国際特許分類】
B25J 15/04 20060101AFI20231108BHJP
B25J 15/08 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
B25J15/04 C
B25J15/08 C
(21)【出願番号】P 2020040134
(22)【出願日】2020-03-09
【審査請求日】2022-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000102511
【氏名又は名称】SMC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119404
【氏名又は名称】林 直生樹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】林 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100177769
【氏名又は名称】石川 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100188743
【氏名又は名称】加藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】原 耕二
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 剛
【審査官】松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-277474(JP,A)
【文献】特開平07-290392(JP,A)
【文献】特開平08-025266(JP,A)
【文献】特開平04-041190(JP,A)
【文献】特開平04-289090(JP,A)
【文献】特開2012-101299(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 15/00-15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉自在の一対のフィンガーを有するフィンガー支持部と、前記一対のフィンガーを開閉操作するための操作機構を有するチャック本体部と、該チャック本体部と前記フィンガー支持部とを分離可能に連結する連結機構とを有するエアチャックにおいて、
前記フィンガー支持部は、ロック位置と非ロック位置とに変位する一対のロックシャフトを有し、該一対のロックシャフトは、前記フィンガー支持部が前記チャック本体部に連結されると、前記非ロック位置に変位して前記一対のフィンガーを開閉自在とし、前記フィンガー支持部が前記チャック本体部から分離されると、前記ロック位置に変位して前記一対のフィンガーを開閉不能なるようにロックし、
前記連結機構は、前記一対のロックシャフトに個々に対応させて2組設けられ、各々の連結機構は、前記フィンガー支持部が前記チャック本体部に連結されると、対応する前記ロックシャフトをロック位置から非ロック位置に変位させると共に、該ロックシャフトを介して前記フィンガー支持部とチャック本体部とを相互に連結する、
ことを特徴とするエアチャック。
【請求項2】
前記一対のロックシャフトは、前記一対のフィンガーに個々に係止する前記ロック位置と、該一対のフィンガーに係止しない前記非ロック位置とに変位自在であると共に、ロックばねによってそれぞれ前記ロック位置に向けて付勢されており、
前記連結機構は、前記ロックシャフトを挿入するため前記チャック本体部のボディに形成されたシャフト挿入孔と、該シャフト挿入孔に前記ロックシャフトが挿入されたとき、該ロックシャフトを前記非ロック位置に変位させると共に該ロックシャフトを前記チャック本体部に係止させるシャフト係止機構とを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のエアチャック。
【請求項3】
前記シャフト係止機構は、前記ロックシャフトに形成された係止面と、前記シャフト挿入孔の孔壁に形成された係止体収容孔の内部に、前記ロックシャフトの係止面に係止する係止位置と該係止面から外れる非係止位置とに変位自在なるように収容された少なくとも1つの係止体と、該係止体を前記係止位置に向けて押圧する押圧位置と該係止体を押圧しない非押圧位置とに変位自在の押圧部材と、該押圧部材を前記押圧位置に向けて付勢する押圧ばねとを有し、
前記ロックシャフトの係止面は、該ロックシャフトの軸線に対して傾斜する傾斜面であり、該係止面は、前記係止体が該係止面に係止すると、前記ロックシャフトを前記非ロック位置に向けて変位させる、
ことを特徴とする請求項2に記載のエアチャック。
【請求項4】
前記係止体は球体であり、
前記押圧部材は、円筒状をしていて、前記シャフト挿入孔及び前記係止体の周りに該シャフト挿入孔の軸線方向に進退動自在なるように配設され、該押圧部材の内面にはテーパー面が形成され、該テーパー面は、前記押圧部材が前記押圧位置に前進すると前記係止体を前記係止位置に向けて押圧し、前記押圧部材が前記非押圧位置に後退すると前記係止体の押圧を解除する、
ことを特徴とする請求項3に記載のエアチャック。
【請求項5】
前記連結機構は、前記フィンガー支持部とチャック本体部との連結を解除する連結解除機構を有することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のエアチャック。
【請求項6】
前記連結解除機構は、エアで動作する解除ピストンを有し、該解除ピストンは、前記フィンガー支持部とチャック本体部との連結を解除するとき、前記押圧部材を前記非押圧位置に変位させることを特徴とする請求項3に従属する請求項5に記載のエアチャック。
【請求項7】
前記連結解除機構は、手動操作部材からなり、該手動操作部材は、前記フィンガー支持部とチャック本体部との連結を解除するとき、前記押圧部材を前記非押圧位置に変位させることを特徴とする請求項3に従属する請求項5に記載のエアチャック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉自在の一対のフィンガーを備えたエアチャックに関するものであり、特に、前記一対のフィンガーを有するフィンガー支持部が、前記フィンガーを開閉操作するチャック本体部に対して着脱自在であるエアチャックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
開閉自在の一対のフィンガーを有するフィンガー支持部と、前記一対のフィンガーを開閉操作する操作機構を有するチャック本体部とが、互いに着脱自在であるエアチャックは、例えば特許文献1-3に開示されているように公知である。この種のエアチャックは、ワークの種類に合わせて前記フィンガー支持部を交換することにより、多種類のワークに対応することができるため、効率的で経済性にも勝れる。
【0003】
ところが、公知のエアチャックにおいては、前記フィンガー支持部を前記チャック本体部から取り外すと、前記一対のフィンガーがフリーな状態になるため、該一対のフィンガーが自由に変位して一定の位置関係を維持することができない。このため、前記フィンガー支持部を前記チャック本体部に取り付ける際に、前記一対のフィンガーの位置と、前記チャック本体部に内蔵された操作機構(例えばピストン)の位置とを、正確に合わせる手間が必要であった。特に、前記フィンガー支持部をロボット等で自動交換する場合には、前記一対のフィンガーの位置を、前記操作機構に合わせて調整する機構や、調整した状態に保持する機構等を用意したりする必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平4-41190号公報
【文献】特開平4-289090号公報
【文献】特開平7-290392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の技術的課題は、一対のフィンガーを有するフィンガー支持部と、前記一対のフィンガーを開閉操作するための操作機構を有するチャック本体部とが、互いに着脱自在であるエアチャックにおいて、前記フィンガー支持部をチャック本体部から取り外した際に前記フィンガーが自由に変位するのを防止するように構成することにより、前記一対のフィンガーを常に一定の位置関係に維持することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明のエアチャックは、開閉自在の一対のフィンガーを有するフィンガー支持部と、前記一対のフィンガーを開閉操作するための操作機構を有するチャック本体部と、該チャック本体部と前記フィンガー支持部とを分離可能に連結する連結機構とを有する。
前記フィンガー支持部は、ロック位置と非ロック位置とに変位する一対のロックシャフトを有し、該一対のロックシャフトは、前記フィンガー支持部が前記チャック本体部に連結されると、前記非ロック位置に変位して前記一対のフィンガーを開閉自在とし、前記フィンガー支持部が前記チャック本体部から分離されると、前記ロック位置に変位して前記一対のフィンガーを開閉不能なるようにロックする。
また、前記連結機構は、前記一対のロックシャフトに個々に対応させて2組設けられ、各々の連結機構は、前記フィンガー支持部が前記チャック本体部に連結されると、対応する前記ロックシャフトをロック位置から非ロック位置に変位させると共に、該ロックシャフトを介して前記フィンガー支持部とチャック本体部とを相互に連結する。
【0007】
本発明において、前記一対のロックシャフトは、前記一対のフィンガーに個々に係止する前記ロック位置と、該一対のフィンガーに係止しない前記非ロック位置とに変位自在であると共に、ロックばねによってそれぞれ前記ロック位置に向けて付勢されており、前記連結機構は、前記ロックシャフトを挿入するため前記チャック本体部のボディに形成されたシャフト挿入孔と、該シャフト挿入孔に前記ロックシャフトが挿入されたとき、該ロックシャフトを前記非ロック位置に変位させると共に該ロックシャフトを前記チャック本体部に係止させるシャフト係止機構とを有することが好ましい。
【0008】
前記シャフト係止機構は、前記ロックシャフトに形成された係止面と、前記シャフト挿入孔の孔壁に形成された係止体収容孔の内部に、前記ロックシャフトの係止面に係止する係止位置と該係止面から外れる非係止位置とに変位自在なるように収容された少なくとも1つの係止体と、該係止体を前記係止位置に向けて押圧する押圧位置と該係止体を押圧しない非押圧位置とに変位自在の押圧部材と、該押圧部材を前記押圧位置に向けて付勢する押圧ばねとを有し、前記ロックシャフトの係止面は、該ロックシャフトの軸線に対して傾斜する傾斜面であり、該係止面は、前記係止体が該係止面に係止すると、前記ロックシャフトを前記非ロック位置に向けて変位させるように構成されていることが好ましい。
【0009】
より好ましくは、前記係止体は球体であり、前記押圧部材は、円筒状をしていて、前記シャフト挿入孔及び前記係止体の周りに該シャフト挿入孔の軸線方向に進退動自在なるように配設され、該押圧部材の内面にはテーパー面が形成され、該テーパー面は、前記押圧部材が前記押圧位置に変位すると前記係止体を前記係止位置に向けて押圧し、前記押圧部材が前記非押圧位置に後退すると前記係止体の押圧を解除するように構成されていることである。
【0010】
また、本発明において、前記連結機構は、前記フィンガー支持部とチャック本体部との連結を解除する連結解除機構を有していることが好ましい。
【0011】
この場合、前記連結解除機構は、エアで動作する解除ピストンを有し、該解除ピストンは、前記フィンガー支持部とチャック本体部との連結を解除するとき、前記押圧部材を前記非押圧位置に変位させるように構成されていても良い。
【0012】
あるいは、前記連結解除機構は、手動操作部材からなり、該手動操作部材は、前記フィンガー支持部とチャック本体部との連結を解除するとき、前記押圧部材を前記非押圧位置に変位させるように構成されていても構わない。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、フィンガー支持部をチャック本体部から取り外したとき、一対のフィンガーがロックシャフトによって常に一定の位置にロックされるため、該フィンガー支持部の着脱や交換を容易に行うことができる。特に、前記フィンガー支持部をロボット等で自動交換する場合に、前記一対のフィンガーの位置を操作機構に合わせて調整する必要がないため、その調整のための機構や、調整したフィンガーを調整後の状態に保持するための機構等を設ける必要がない。
また、前記フィンガー支持部とチャック本体部とを前記ロックシャフトを介して連結するようにしたので、該ロックシャフトが、前記一対のフィンガーをロックする機能と、前記フィンガー支持部とチャック本体部とを連結する機能とを兼備することになり、このため、前記フィンガー支持部とチャック本体部とを連結する連結機構の構造を、非常に合理的な構造にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係るエアチャックの第1実施形態を、斜め正面側から見た斜視図であって、フィンガー支持部をチャック本体部に連結した状態の図である。
【
図2】
図1のエアチャックを斜め後面側から見た斜視図である。
【
図3】フィンガー支持部をチャック本体部から分離した状態のエアチャックの斜視図である。
【
図6】一対のフィンガーを閉じた状態のエアチャックの縦断面図である。
【
図7】フィンガー支持部をチャック本体部から分離する途中の状態を示す断面図である。
【
図8】本発明に係るエアチャックの第2実施形態の縦断面図であって、フィンガー支持部をチャック本体部に連結した状態の図である。
【
図9】第2実施形態のエアチャックの手動操作部材を操作位置に回転させた状態の要部拡大図である。
【
図10】第2実施形態のエアチャックのフィンガー支持部をチャック本体部から分離する途中の状態を示す縦断面図である。
【
図11】本発明に係るエアチャックの第3実施形態の縦断面図である。
【
図12】第3実施形態のエアチャックのフィンガー支持部をチャック本体部から分離した状態の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1-
図7は本発明に係るエアチャックの第1実施形態を示すもので、このエアチャック1Aは、開閉自在の一対のフィンガー5,5を有するフィンガー支持部2と、前記一対のフィンガー5,5を開閉操作する操作機構6を内蔵するチャック本体部3とを有し、前記フィンガー支持部2とチャック本体部3とは、連結機構4によって分離自在なるように連結されている。
なお、以下の説明において、上、下、前、後、左、右とは、
図1に示す方向である。
【0016】
前記フィンガー支持部2は、溝形断面をなす左右に細長い支持レール10を有し、該支持レール10の上面に形成されたガイド溝11内に、前記一対のフィンガー5,5が、前記支持レール10に沿って開閉自在に支持されている。
前記フィンガー5,5は、正面視形状が略T字形をなすもので、矩形の駒状をした基体部5aと、該基体部5aから上方に立ち上がった矩形の駒状をした把持部5bとを有し、前記基体部5aが前記支持レール10のガイド溝11内に摺動自在に支持されている。そして、前記把持部5bにチャック用のアタッチメント(不図視)が取り付けられ、このアタッチメントの間にワークが把持される。
【0017】
前記支持レール10には、前記フィンガー支持部2をチャック本体部3から分離した際に、前記一対のフィンガー5,5を開閉不能な状態にロックする2組のフィンガーロック機構12,12が設けられている。該2組のフィンガーロック機構12,12は、
図4及び
図5から明らかなように、互いに同じ構成を有するもので、前記一対のフィンガー5,5に個々に対応するロックシャフト13をそれぞれ1つずつ有しており、該ロックシャフト13は、
図4に示す全開位置に移動した一対のフィンガー5,5に個々に対応するように、前記支持レール10の長手方向の一端寄りの位置と他端寄りの位置とに1つずつ設けられている。従って、前記支持レール10には、前記一対のフィンガー5,5に個々に対応する一対のロックシャフト13,13が設けられているということができる。
【0018】
前記ロックシャフト13は、円柱状の胴部13aと、該胴部13aの上端(基端)に形成された円板状の頭部13bとを有している。前記頭部13bの直径は前記胴部13aの直径より大径である。また、前記ロックシャフト13は、前記頭部13bを前記支持レール10の上面に形成された円形凹部10a内に嵌合させた状態で、前記支持レール10と該支持レール10の下面に固定されたガイド部材14とを上下動自在なるように貫通し、前記支持レール10の下方に向けて延出している。
【0019】
前記ガイド部材14は、円形容器形をした部材であって、前記ロックシャフト13の上下動をガイドする機能と、ばね座としての機能とを兼備しており、このガイド部材14と前記ロックシャフト13の頭部13bとの間にロックばね15が圧縮状態に介設され、このロックばね15によって前記ロックシャフト13が、図の上向き、即ち、前記頭部13bの上面が前記フィンガー5の基体部5aの下面に押し付けられる方向に向けて、常に付勢されている。
【0020】
前記頭部13bの上面中央には、ロック突起16が形成され、前記フィンガー5の基体部5aの下面には、前記ロック突起16が係止可能なロック凹部17が形成されている。図示した例では、前記ロック突起16は円錐台状をなし、前記ロック凹部17は円錐孔状をなしているが、該ロック突起16及びロック凹部17の形状は、それ以外の形状であっても良い。
【0021】
また、前記ロックシャフト13の下端部(先端部)には、環状の係止凹部18が形成されていて、前記フィンガー支持部2をチャック本体部3に前記連結機構4で連結したとき、後で詳細に説明するように、該連結機構4の係止体19が前記係止凹部18の係止面18aに係止することにより、前記ロックシャフト13が、前記ロックばね15を圧縮しながら図の下方、即ち、前記頭部13bのロック突起16が前記フィンガー5のロック凹部17から離れる方向に、変位するようになっている。
前記係止面18aは、ロックシャフト13の先端(下端)側に向けて次第に該ロックシャフト13の中心軸線から遠ざかる方向に傾斜する傾斜面であり、図示した例では円錐面である。
【0022】
前記フィンガーロック機構12はこのように構成されているから、
図4及び
図5に示すように前記フィンガー支持部2を前記チャック本体部3に連結すると、前記連結機構4の係止体19が前記ロックシャフト13の係止面18aに係止することにより該ロックシャフト13を、前記頭部13bのロック突起16が前記フィンガー5のロック凹部17から離れる位置(非ロック位置)に変位させるため、前記一対のフィンガー5,5は開閉可能な状態になる。このとき、前記フィンガー支持部2の支持レール10は、前記チャック本体部3の上端に当接している。
【0023】
また、
図3及び
図7に示すように、前記フィンガー支持部2をチャック本体部3から分離すると、前記ロックシャフト13は、前記ロックばね15に押されて前記ロック突起16が前記ロック凹部17に係止する位置(ロック位置)に変位するため、前記一対のフィンガー5,5は開閉不能な状態にロックされる。
【0024】
前記チャック本体部3は、直方体状をしたボディ23を有している。該ボディ23の左右方向の中央部には、前記一対のフィンガー5,5を開閉操作する前記操作機構6が設けられている。該操作機構6は、
図4及び
図5に示すように、1組のシリンダ装置24と、該シリンダ装置24の動作を前記一対のフィンガー5,5に伝える2つの開閉レバー25,25とを有している。
【0025】
前記シリンダ装置24は、前記ボディ23の中央部を第1軸線L1に沿って上下方向に延びる円形のシリンダ孔26を有している。該シリンダ孔26の下端部には、短円柱形をした下部栓27が、シール部材27aを介して気密に取り付けられ、該シリンダ孔26の上端部には、短円柱形をした上部栓28が、シール部材28aを介して気密に取り付けられ、これら下部栓27と上部栓28との間にピストン室29が区画され、該ピストン室29の内部に、開閉ピストン30がピストンパッキンを30a介して摺動自在に収容されている。
【0026】
また、前記開閉ピストン30の上面中央部には、前記第1軸線L1に沿って延びる円柱状の開閉ロッド31の下端部が一体に連なっている。該開閉ロッド31は、前記上部栓28をシール部材31aを介して気密に且つ摺動自在に貫通し、該開閉ロッド31の上端は、前記ボディ23の上部に形成されたレバー収容部32内に突出し、該開閉ロッド31の上端に、前記一対の開閉レバー25,25を支持する板状の支持壁31bが形成されている。
【0027】
図4中の符号33が付された部材は、前記開閉ピストン30に取り付けられたリング状の永久磁石であって、位置検出用の被検体である。
図1及び
図2に示すように、前記ボディ23の前面及び後面には、磁気センサ(不図示)を取り付けるためのセンサ取付溝34が形成され、このセンサ取付溝34内に取り付けられた磁気センサで前記永久磁石33を検出することにより、前記開閉ピストン30の動作位置を検出することができる。この場合、前記センサ取付溝34内に2つの磁気センサを取り付けることにより、前記開閉ピストン30の上昇端及び下降端の両方を検出することができる。
【0028】
図4及び
図5に戻って、前記ピストン室29は、前記開閉ピストン30と上部栓28との間の第1圧力室35と、前記開閉ピストン30と下部栓27との間の第2圧力室36とに区画され、前記第1圧力室35は、前記ボディ23の前面に形成された第1ポート37(
図1参照)に、該ボディ23の内部を通る不図示の流路を通じて連通し、前記第2圧力室36は、前記ボディ23の後面に形成された第2ポート38(
図2参照)に、前記ボディ23の内部を通る不図示の通孔を通じて連通している。
【0029】
従って、
図4の状態から、前記第1ポート37を通じて圧縮エアを前記第1圧力室35内に供給すると共に、前記第2ポート38を通じて前記第2圧力室36を大気に開放すると、前記開閉ピストン30及び開閉ロッド31は
図6のよぅに下降し、また、前記開閉ピストン30及び開閉ロッド31が下降した
図6の状態から、前記第2ポート38を通じて圧縮エアを前記第2圧力室36内に供給すると共に、前記第1ポート37を通じて前記第1圧力室35を大気に開放すると、前記開閉ピストン30及び開閉ロッド31は
図4のように上昇する。
【0030】
前記開閉レバー25は、前記ロッド側に延びる第1アーム25aと前記フィンガー5側に延びる第2アーム25bとを有するL字形の部材であって、2つの開閉レバー25,25が、前記ボディ23の上端のレバー収容部32内に、前記第1軸線L1を挟んで左右相対するように配設され、各開閉レバー25の前記第1アーム25aと第2アーム25bとの中間部が、前記ボディ23の前後方向に延びるレバーシャフト39によって該ボディ23に回転自在に支持されている。
【0031】
前記開閉レバー25の第1アーム25aの先端には、U字形をした切欠き25cが形成され、この切欠き25c内に、前記開閉ロッド31の上端の前記支持壁31bに固定された操作ピン40が係合している。前記支持壁31bは板状の壁であり、この支持壁31bに前記操作ピン40が、前記レバーシャフト39と平行をなす向きで、該操作ピン40の一端及び他端が前記支持壁31bの前面側及び後面側にそれぞれ突出するように取り付けられ、一方の開閉レバー25の切欠き25cが前記支持壁31bの前面側で前記操作ピン40に係合し、他方の開閉レバー25の切欠き25cが前記支持壁31bの後面側で前記操作ピン40に係合している。
【0032】
また、前記開閉レバー25の第2アーム25bの先端には、外面に円弧状のカム面を有する係合カム25dが形成され、この係合カム25dが、前記フィンガー5の基体部5aの下面に形成された係合凹部5c内に、前記支持レール10に形成された開口を通じて揺動自在且つ分離自在に嵌合している。
【0033】
前記開閉レバー25はこのように構成されているため、
図4の状態から、前記シリンダ装置24の開閉ピストン30及び開閉ロッド31が下降すると、
図6に示すように、前記一対の開閉レバー25,25の第1アーム25a,25aの先端が前記操作ピン40で引き下げられることにより、該一対の開閉レバー25,25は、前記第2アーム25b,25bの先端の係合カム25d,25dが互いに近づく方向に回転し、前記一対のフィンガー5,5は閉じる。
また、前記一対のフィンガー5,5が閉じた
図6の状態から、前記開閉ピストン30及び開閉ロッド31が上昇すると、
図4に示すように、前記一対の開閉レバー25,25は、第2アーム25b,25bの先端の係合カム25d,25dが互いに離れる方向に回転するため、前記一対のフィンガー5,5は開く。
このようなフィンガー5,5の開閉動作により、該フィンガー5,5の間にワークを把持したり、把持したワークを解放したりする。
【0034】
前記連結機構4は、前記フィンガー支持部2と前記チャック本体部3とを前記ロックシャフト13を介して連結するもので、一対のロックシャフト13,13に個々に対応する2組の前記連結機構4,4が、前記ボディ23の前記操作機構6を挟んで左右相対する位置に、左右対称をなすように配設されている。従って、前記ロックシャフト13は、前記連結機構4の一部を構成するものであるため、「連結シャフト」と言い換えることができる。
【0035】
前記連結機構4,4は、
図5に一方の連結機構4について詳細に示すように、前記ロックシャフト13と、該ロックシャフト13が挿入される円形のシャフト挿入孔44と、該シャフト挿入孔44に前記ロックシャフト13が挿入されたとき、該ロックシャフト13を前記非ロック位置に変位させると共に該ロックシャフト13を前記チャック本体部3に係止させるシャフト係止機構45と、前記フィンガー支持部2を該チャック本体部3との連結を解除する連結解除機構46と、前記フィンガー支持部2を分離したあと前記係止体19を前記非係止位置に保持する係止体保持機構56とを有している。
【0036】
前記シャフト挿入孔44を形成するため、前記ボディ23には、前記第1軸線L1と平行な第2軸線L2に沿って延びる円形の貫通孔47が形成され、該貫通孔47の上端寄りの位置に、該貫通孔47より小径の円筒形をしたスリーブ48が挿入され、該スリーブ48の内部に前記シャフト挿入孔44が形成されている。
【0037】
前記スリーブ48は、上端に固定用のフランジ部48aを有していて、該フランジ部48aを、前記ボディ23の上面に係止させた状態で、該ボディ23の上面に固定したプレート49と該ボディ23との間に挟持することにより、前記貫通孔47内に固定されている。また、前記シャフト挿入孔44の入口部分の内径は、入口側即ちスリーブ48の上端側に向かって次第に大径化するようにテーパーが付されている。
【0038】
前記スリーブ48には、前記シャフト挿入孔44の孔壁に開口する複数の係止体収容孔50が形成され、各係止体収容孔50の内部に、球状をした前記係止体19が、その一部が前記シャフト挿入孔44の内部に突出する係止位置と、該係止体19が前記シャフト挿入孔44内に突出しない前記非係止位置とに変位自在なるように収容されている。
図示した例では、3つの係止体収容孔50と、各係止体収容孔50内に収容された3つの係止体19とが、前記第2軸線L2の周りに120度間隔で配設されている。しかし、前記係止体19及び係止体収容孔50の数は、それ以外であっても良く、例えば1つ又は2つであっても、4つ以上であっても構わない。
【0039】
また、前記スリーブ48の外周面と前記貫通孔47の内周面との間には、筒状をした押圧部材53が、前記スリーブ48に沿って第2軸線L2方向に変位自在なるように配設されている。該押圧部材53は、基端(上端)側の小径部53aと、先端(下端)側の大径部53bとを有し、前記小径部53aの内周面は前記スリーブ48の外周面に摺動自在に接触し、前記大径部53bの外周面は前記貫通孔47の内周面に摺動自在に接触している。前記大径部53bの直径は、前記小径部53aの直径より大径である。
【0040】
前記押圧部材53の内面には、前記小径部53aと大径部53bとの間に、前記係止体19を前記係止位置に向けて押圧するためのテーパー面53cが形成されている。該テーパー面53cは、前記押圧部材53の先端側に向けて次第に前記第2軸線L2から遠ざかる方向に傾斜しており、前記押圧部材53が下方の押圧位置に向けて前進すると、該テーパー面53cは、前記係止体19を前記シャフト挿入孔44内に突出する前記係止位置に向けて押し動かし、前記押圧部材53が上方の非押圧位置に向けて後退すると、該テーパー面53cは、前記係止体19を押圧状態から解放して前記非係止位置に向けて変位可能にする。
【0041】
前記押圧部材53の大径部53bと、前記ボディ23に形成されたばね座23aとの間には、前記小径部53aの外周面を取り巻く押圧ばね54が圧縮状態に介設され、この押圧ばね54によって前記押圧部材53が、前記係止体19を係止位置に押し動かす方向である前進方向に向けて常時付勢されている。
そして、前記ロックシャフト13の前記係止面18aと、前記係止体19と、前記押圧部材53と、前記押圧ばね54とにより、前記ロックシャフト13を前記チャック本体部3に係止させるための前記シャフト係止機構45が構成されている。
【0042】
前記連結解除機構46は、エアで動作する解除ピストン60を有し、該解除ピストン60が、前記貫通孔47の内部に、シール部材60aを介して第2軸線L2方向に摺動自在なるように配設されている。この解除ピストン60が配設されている位置は、前記スリーブ48及び押圧部材53より下方であり、該解除ピストン60の上端は、前記押圧部材53の下端に当接している。
【0043】
前記解除ピストン60と、前記貫通孔47の下端部をシール部材61aを介して気密に塞ぐ下部壁61との間には、解除圧力室62が形成され、この解除圧力室62は、前記ボディ23の前面に開口する解除ポート63(
図1参照)に、該ボディ23の内部に形成された不図示の通孔を通じて連通している。このため、前記解除ポート63から前記解除圧力室62に圧縮空気を供給すると、前記解除ピストン60は
図4に示す下降位置から、
図7に示す上昇位置まで変位し、そのとき、前記押圧部材53を押圧ばね54に抗して押し上げる。
なお、前記解除ポート63は、ボディ23の前面だけに1つ設けられていて、2組の連結機構4,4の連結解除機構46,46によって共有されている。
【0044】
また、前記係止体保持機構56は、前記解除圧力室62の内部に第2軸線L2に沿って変位自在なるように配設された保持ピストン64と、該保持ピストン64から第2軸線L2に沿って上向きに延びる保持ロッド65とを有している。該保持ロッド65は、前記解除ピストン60の中心部をシール部材65aを介して摺動自在に貫通し、該保持ロッド65の先端(上端)は、前記シャフト挿入孔44内に嵌入して、前記ロックシャフト13の下端に近接又は当接している。
【0045】
前記保持ピストン64の外周と前記解除圧力室62の内周との間には、エアが流通可能な空隙gが介在している。このため、前記解除圧力室62に圧縮空気が供給されると、前記保持ピストン64の上面64a及び下面64bにそれぞれ空気圧が作用し、これら上面64aと下面64bとの受圧面積差に基づく空気圧作用力が、前記保持ピストン64に上向きに作用する。
【0046】
また、前記保持ピストン64の下面に形成された凹部64cと、前記下部壁61の上面に形成された凹部61bとの間には、保持ばね66が圧縮状態に介設され、この保持ばね66によって前記保持ピストン64及び保持ロッド65が、上方に向けて常時付勢されている。
従って、前記保持ピストン64は、前記解除圧力室62に圧縮空気が供給されたとき、前記空気圧作用力と前記保持ばね66の付勢力との合成力により、上向きに移動することになる。
【0047】
前記連結解除機構46及び係止体保持機構56は、次のように動作する。即ち、
図4及び
図5に示すように前記フィンガー支持部2が前記チャック本体部3に連結されている状態から、前記解除ポート63を通じて解除圧力室62内に圧縮空気を供給すると、前記解除ピストン60が上昇し、前記押圧部材53を押圧ばね54に抗して押し上げるため、該押圧部材53は、
図7に示す非押圧位置まで上昇(後退)する。このため、前記係止体19は、前記押圧部材53による押圧から解放されて非係止位置に向けて変位可能な状態になり、前記フィンガー支持部2とチャック本体部3との連結状態は解除される。そこで、前記フィンガー支持部2を持ち上げることにより、該フィンガー支持部2を、
図7の状態を経て、
図3に示すように、前記チャック本体部3から分離することができる。
【0048】
このとき、前記係止体19は、前記フィンガー支持部2の分離と共に前記ロックシャフト13が前記シャフト挿入孔44から引き抜かれる際に、前記ロックシャフト13の円錐面状をした前記係止面18aによって横向きに押され、
図7の非係止位置に変位する。
【0049】
また、前記保持ロッド65は、前記保持ピストン64に上向きに作用する空気圧作用力と保持ばね66の付勢力との合成力により上向きに押され、前記ロックシャフト13と共に上昇し、
図7に示すように、前記保持ピストン64が前記解除ピストン60に当接する上昇端の位置まで上昇する。このとき、前記保持ロッド65の先端(上端)は、前記シャフト挿入孔44の内部を前記係止体19より上方位置まで上昇するため、該保持ロッド65の側面は、非係止位置に変位した前記係止体19に当接し、該係止体19を前記非係止位置に保持する。このため、前記押圧部材53は、前記係止体19に係止することによって非押圧位置を保持し、前記解除圧力室62内の圧縮空気が排出された後も、前記非押圧位置を保持する。また、前記解除ピストン60も上昇端の位置を保持する。
【0050】
前記保持ピストン64に作用する空気圧作用力と前記保持ばね66の付勢力との合成力は、前記解除ピストン60が押圧部材53を非押圧位置にさせて係止体19の押圧を解消した際に、前記ロックシャフト13を
図7の位置まで押し上げることができる大きさに設定されていても良い。
【0051】
一方、前記ロックシャフト13は、
図7のように前記係止体19が非係止位置に変位した段階で、前記ロックばね15に押されて前記ロック位置に変位するため、前記一対のフィンガー5,5は開閉不能なるようにロックされる。
【0052】
次に、分離した前記フィンガー支持部2を前記チャック本体部3に連結するときは、前記解除圧力室62を大気に開放した状態で、
図7に示すように、前記ロックシャフト13を前記シャフト挿入孔44内に挿入し、該ロックシャフト13によって前記保持ロッド65を押し下げる。そして、前記ロックシャフト13を、
図4及び
図5に示すように、前記フィンガー支持部2の支持レール10が前記チャック本体部3のプレート49の上面に当接し、前記ロックシャフト13の係止凹部18が前記係止体19に隣接する位置まで押し下げると、前記押圧部材53が押圧ばね54に押されて下降(前進)し、テーパー面53cで前記係止体19を前記係止凹部18内に嵌合する係止位置に変位させるため、該係止体19は前記係止面18aに係止し、前記フィンガー支持部2と前記チャック本体部3とが連結される。それと同時に、前記係止体19は、円錐面状の前記係止面18aを押して前記ロックシャフト13を非ロック位置まで押し下げるため、前記一対のフィンガー5,5は開閉自在となる。このとき、前記解除ピストン60も、前記押圧部材53によって
図4及び
図5の下降位置に押し下げられる。
【0053】
図8-
図10は本発明に係るエアチャックの第2実施形態を示すもので、この第2実施形態のエアチャック1Bが前記第1実施形態のエアチャック1Aと相違する点は、連結解除機構46が、エアチャック1Aの空気圧で動作する解除ピストン60の代わりに、手動操作部材70を備えている点である。このため、このエアチャック1Bにおいて、前記解除ピストン60の代わりに設けられた上部壁68は、貫通孔47の内部に固定状態に配設されており、また、該上部壁68と下部壁61との間の保持室71は、圧力室ではなく、ボディ23に形成された不図示の通孔を通じて大気に開放されている。従って、前記ボディ23に、圧縮空気を前記保持室71に供給するためのポートは形成されていない。
【0054】
前記エアチャック1Bの前記相異点以外の構成は、第1実施形態のエアチャック1Aと実質的に同じであるので、相違点である連結解除機構46について以下に説明し、エアチャック1Aと同一の構成部分については、主要な同一構成部分にエアチャック1Aと同じ符号を付してその説明は省略する。
【0055】
前記連結解除機構46は、円柱状をした手動操作部材70で構成されている。この手動操作部材70は、前記チャック本体部3のボディ23を前面から後面まで貫通する円形の取付孔72内に、前記第2軸線L2と直交する軸線を中心にして正逆方向に回転自在なるように取り付けられ、該手動操作部材70の前端面及び後端面に、六角レンチ等の工具を差し込んで回転操作するための六角形の操作孔(不図示)が形成されている。従って、前記手動操作部材70は、前記ボディ23の前面及び後面のどちら側からでも回転操作を行うことができる。
【0056】
前記手動操作部材70は、該手動操作部材70の外周の一部又は全部に雄螺子を設けると共に、前記取付孔72の一部又は全部に雌螺子を設けることにより、該取付孔72内にねじ込み式に取り付けられ、回転操作によって進退動するように構成されている。しかし、該手動操作部材70は、該手動操作部材70及び前記取付孔72に螺子を形成しないことにより、回転操作によって軸方向に進退動しないように構成することもできる。
【0057】
前記手動操作部材70が取り付けられている位置は、前記押圧部材53の先端付近において該押圧部材53と交叉する位置であり、前記手動操作部材70が前記押圧部材53の先端に近接する部分には、該押圧部材53の先端を押し上げるための操作カム73が形成されている。
【0058】
前記操作カム73は、円柱の側面の一部を略L字形に切欠くことにより形成されたもので、逃げ部73aと当接部73bとを有しており、
図8に示すように、前記手動操作部材70が非操作位置に回転しているときは、前記押圧部材53の下端部が前記逃げ部73a内に位置して当接部73bに押されないため、該押圧部材53は、前記押圧ばね54の付勢力により前進(下降)して、前記係止体19を係止位置に押圧する押圧位置を占め、前記フィンガー支持部2と前記チャック本体部3とは連結されている。
【0059】
この状態から、前記手動操作部材70を、回転させて操作位置に切り換えると、
図9に示すように、前記操作カム73の当接部73bが前記押圧部材53の下端面に当接して該押圧部材53を押し上げるため、該押圧部材53は、前記押圧ばね54を圧縮しながら後退(上昇)し、前記係止体19の押圧を解除する非押圧位置を占める。そこで、この状態で、前記フィンガー支持部2を持ち上げて前記ロックシャフト13を上昇させると、前記係止体19が、前記ロックシャフト13の係止面18aに押されて
図9に鎖線で示す非係止位置に変位するため、
図10の状態を経て、前記フィンガー支持部2を該チャック本体部3から完全に分離することができる。
【0060】
このとき、前記係止体保持機構56の保持ロッド65は、保持ばね66により上向きに押されて前記ロックシャフト13と共に上昇し、
図10に示すように、前記保持ピストン64が上部壁68に当接する上昇端の位置で停止する。そして、前記保持ロッド65は、非係止位置に変位した前記係止体19に当接し、該係止体19を前記非係止位置に保持する。
なお、前記保持ばね66の付勢力は、前記手動操作部材70で押圧部材53を非押圧位置に変位させて前記係止体19の押圧を解消した際に、前記ロックシャフト13を
図10の位置まで押し上げることができる大きさに設定されていても良い。
【0061】
また、分離した前記フィンガー支持部2を前記チャック本体部3に連結するときは、
図10に示すように、前記ロックシャフト13をシャフト挿入孔44内に挿入し、該ロックシャフト13で前記係止体保持機構56の保持ロッド65を押し下げながら、該ロックシャフト13を
図9に示す位置まで押し込む。このとき前記係止体19は、
図9の鎖線位置にある。そして、前記手動操作部材70を回転させて
図8の非操作位置に復帰させると、前記押圧部材53が押圧ばね54に押されて下降(前進)するため、前記係止体19が、前記押圧部材53のテーパー面53cに押されて前記係止凹部18の係止面18aに当接し、前記ロックシャフト13を下向きに押して非ロック位置に変位させると共に、該ロックシャフト13を介して前記フィンガー支持部2とチャック本体部3とを連結する。
【0062】
なお、前記手動操作部材70及びボディ23には、該手動操作部材70が前記操作位置にあるのか非操作位置にあるのかということを目で確認することができるように、何らかの目印を設けることができる。
【0063】
図11及び
図12は本発明に係るエアチャックの第3実施形態を示すもので、この第3実施形態のエアチャック1Cが前記第2実施形態のエアチャック1Bと相違する点は、連結解除機構46の手動操作部材80が押釦形をしていて、ボディ23の左側面と右側面とに設けられているという点である。それ以外の構成は実質的に前記第2実施形態のエアチャック1Bと同じである。
【0064】
前記第3実施形態のエアチャック1Cにおいて、前記ボディ23の左側面及び右側面には、押圧部材53の先端に対応する位置に、釦取付孔82が形成され、この釦取付孔82内に、前記手動操作部材80が、取付プレート83に支持された状態で、前記押圧部材53に向けてボディ23の左右方向に進退動自在に取り付けられている。
【0065】
前記手動操作部材80は、四角いブロック形をしていて、その先端に、斜め上向きに傾斜するカム面80a、即ち、前記手動操作部材80の下面側から上面側に向けて次第に前記第2軸線L2から遠ざかる方向に傾斜するカム面80aを有している。
また、前記手動操作部材80は、ボディ23から突出する非操作位置と、ボディ23の内部に押し込まれた操作位置とに変位可能であり、前記非操作位置から操作位置に押し込むと、この操作位置に自己保持し、もう一度押すと、前記非操作位置に復帰するように構成されている。
【0066】
図11は、フィンガー支持部2がチャック本体部3に連結された状態であり、このとき前記手動操作部材80は、後退した非操作位置にある。
この状態から、前記手動操作部材80を操作位置まで押し込むと、
図12に示すように、該手動操作部材80の前記カム面80aが前記押圧部材53の下端を押し上げるため、該押圧部材53は上昇して係止体19の押圧を解除する非押圧位置を占める。そこで、前記フィンガー支持部2を持ち上げると、前記ロックシャフト13の係止面18aが前記係止体19を押して非係止位置に変位させるため、該ロックシャフト13とチャック本体部3との係止は解消され、前記フィンガー支持部2を該チャック本体部3から完全に分離することが可能になる。
【0067】
分離した前記フィンガー支持部2を前記チャック本体部3に連結するときは、前記ロックシャフト13をシャフト挿入孔44内に挿入し、該ロックシャフト13で前記係止体保持機構56の保持ロッド65を押し下げながら、該ロックシャフト13を
図11に示す位置まで押し込む。そして、前記手動操作部材80を非操作位置に復帰させると、前記押圧部材53が押圧ばね54に押されて下降(前進)するため、前記係止体19が、前記押圧部材53のテーパー面53cに押されて前記係止凹部18の係止面18aに当接し、前記ロックシャフト13を下向きに押して非ロック位置に変位させると共に、該ロックシャフト13を介して前記フィンガー支持部2とチャック本体部3とを連結する。
【符号の説明】
【0068】
1A,1B,1C エアチャック
2 フィンガー支持部
3 チャック本体部
4 連結機構
5 フィンガー
6 操作機構
13 ロックシャフト
15 ロックばね
18a 係止面
19 係止体
23 ボディ
44 シャフト挿入孔
45 シャフト係止機構
46 連結解除機構
50 係止体収容孔
53 押圧部材
53c テーパー面
54 押圧ばね
60 解除ピストン
70,80 手動操作部材