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特許7380995軟弾性ミッドソールを備えたランニングシューズのソール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】軟弾性ミッドソールを備えたランニングシューズのソール
(51)【国際特許分類】
   A43B 13/14 20060101AFI20231108BHJP
   A43B 13/20 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
A43B13/14 D
A43B13/20 Z
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021528377
(86)(22)【出願日】2019-10-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-20
(86)【国際出願番号】 EP2019079299
(87)【国際公開番号】W WO2020108896
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-04-27
(31)【優先権主張番号】01463/18
(32)【優先日】2018-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】316006152
【氏名又は名称】オン クラウズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ハイツ, イルマリン
(72)【発明者】
【氏名】ベルンハルト, オリヴィエ
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-514578(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0154189(US,A1)
【文献】特開昭58-212401(JP,A)
【文献】国際公開第2006/038357(WO,A1)
【文献】特表2008-532618(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 13/14
A43B 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行中に地面(B)に少なくとも部分的に接触する下面(2)を有する軟弾性ミッドソール(1)を有するランニングシューズのソールであって、
前記ミッドソール(1)が、横方向(Q)に延びる複数のチャネル(3a、3b、3c、3d、3e、4a、4b、4c)を備え、前記チャネル(3a、3b、3c、3d、3e、4a、4b、4c)が、前記ミッドソール(1)の側方領域において少なくとも第1の水平面及び第2の水平面に配置されており、前記第1の水平面及び前記第2の水平面が、互いに垂直方向にオフセットされており、前記チャネル(3a、3b、3c、3d、3e、4a、4b、4c)がそれぞれ、前壁(31)及び後壁(32)によって長手方向(L)において境界が定められ、前記チャネル(3a、3b、3c、3d、3e、4a、4b、4c)が、走行中に発生する垂直方向(V)及び/又は前記長手方向に作用する力の作用を受けて閉じるまで、前記長手方向(L)において垂直方向及び/又は水平方向に変形可能である、ソール。
【請求項2】
前記チャネル(3a、3b、3c、3d、3e、4a、4b、4c)が、前記ミッドソール(1)の前記側方領域に側方開口を有し、前記チャネル(3a、3b、3c、3d、3e、4a、4b、4c)が、前記長手方向において垂直方向及び/又は水平方向に変形可能である、請求項1に記載のソール。
【請求項3】
前記チャネル(3a、3b、3c、3d、3e、4a、4b、4c)が、走行中に発生する垂直方向及び/又は前記長手方向に作用する力の作用を受けて前記側方開口が閉じるまで、前記長手方向において垂直方向及び/又は水平方向に変形可能である、請求項2に記載のソール。
【請求項4】
前記チャネル(3a、3b、3c、3d、3e、4a、4b、4c)が、細長い形状の断面を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のソール。
【請求項5】
前記チャネル(3a、3b、3c、3d、3e、4a、4b、4c)が、前記ミッドソール(1)の前記側方領域において、前記軟弾性ミッドソール(1)によって完全に境界が定められている、請求項1~4のいずれか一項に記載のソール。
【請求項6】
前記チャネル(3a、3b、3c、3d、3e、4a、4b、4c)が、前記ミッドソール(1)の中央領域において、踵領域(FB)、中足領域(MB)及び前足領域(VB)にかけて延びる層(5)によって一面の境界が定められる、請求項1~5のいずれか一項に記載のソール。
【請求項7】
前記層が、弾性の非圧縮性プレートからなる、請求項6に記載のソール。
【請求項8】
前記ミッドソール(1)が、踵領域(FB)から少なくとも中足領域(MB)まで長手方向に延びる溝(6)を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のソール。
【請求項9】
少なくとも1つのチャネル(3a、3b、3c、3d、3e、4a、4b、4c)が、垂直方向の傾斜面(8)を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載のソール。
【請求項10】
少なくとも1つのチャネル(3a、3b、3c、3d、3e、4a、4b、4c)と前記下面との間の前記軟弾性ミッドソール(1)の幅が、前記ミッドソールの中央領域におけるよりも前記ミッドソールの前記側方領域において、より薄い、請求項1~9のいずれか一項に記載のソール。
【請求項11】
前記第1の水平面の前記チャネル(3a、3b、3c、3d、3e)が、前記第2の水平面の前記チャネル(4a、4b、4c)から前記長手方向において水平方向にオフセットされている、請求項1~10のいずれか一項に記載のソール。
【請求項12】
前足領域(VB)にある前記チャネル(3e)が、単一の水平面だけに配置されている、請求項1~11のいずれか一項に記載のソール。
【請求項13】
前記チャネル(3a、3b、3c、3d、3e、4a、4b、4c)が、六角形及び/又は五角形の断面を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載のソール。
【請求項14】
踵領域(FB)にある前記第1の水平面における少なくとも1つのチャネル(3a、3b)の前記前壁(31)が、折曲縁(33)を有し、前記踵領域(FB)にある前記第1の水平面の前記少なくとも1つのチャネル(3a、3b)の前記後壁(32)が、安定した壁として形成されている、請求項1~13のいずれか一項に記載のソール。
【請求項15】
前足領域(VB)にある前記第1の水平面における少なくとも1つのチャネル(3e)の前記前壁(31)が、安定した壁として形成されており、前記前足領域(VB)にある前記第1の水平面の前記少なくとも1つのチャネル(3e)の前記後壁(32)が、折曲縁(33)を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載のソール。
【請求項16】
少なくとも1つのチャネル(3d)の前記前壁(31)及び前記後壁(32)がそれぞれ、中足領域(MB)にある前記第1の水平面において折曲縁(33)を有する、請求項1~15のいずれか一項に記載のソール。
【請求項17】
前記第2の水平面における少なくとも1つのチャネル(4a、4b、4c)の前記前壁(31)及び前記後壁(32)がそれぞれ、折曲縁(33)を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載のソール。
【請求項18】
踵領域(FB)及び中足領域(MB)にある前記チャネル(3a、3b、3c、3d、4a、4b、4c)が、垂直方向の傾斜面(8)を有する、請求項1~17のいずれか一項に記載のソール。
【請求項19】
前足領域(VB)にある前記チャネル(3e)が、前記垂直方向の傾斜面を有しない、請求項18に記載のソール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、履物技術、詳細には、スポーツ及びレジャー用の履物のための履物技術の分野に関し、ランニングシューズのソール(靴底部)に関係する。
【背景技術】
【0002】
様々な緩衝システムを備えた、数多くのランニングシューズが、従来技術において知られている。踏み込み中の垂直方向の緩衝作用を確実にするために、踵領域にゲルのコアを有するソールを備えたスポーツ及びレジャー用のシューズが、よく利用される。さらに、垂直方向の緩衝性の向上は、アウトソールとインソールとの間の踵領域に個々のばね要素を配置することによって達成されてきた。
【0003】
上述のソールは、シューズの垂直方向の緩衝性を向上させるが、ソール及びシューズに対して水平方向に作用する力の十分な緩衝作用を達成することができない。大きな水平方向成分を備えた力は、特に傾斜路でさらに増幅され、十分な緩衝作用がないため、頻繁に起こる膝関節及び股関節の痛みの主な原因の1つとなる。
【0004】
本出願人の国際公開第2016/184920号から、下方に突出し、側方に開口した、分割されたチャネル形要素を有するソールが知られている。走行中に発生する力の影響を受けて、チャネル形要素は、それらの側方開口が閉じるまで、垂直方向と水平方向との両方に変形することができる。ソールの分割は、緩衝効果も分割して、ソールに緩衝作用のない又は緩衝作用の低い領域を形成する。
【発明の概要】
【0005】
ランニングなどの多くのスポーツ活動では、地面とシューズとの最初の接触は、踵領域で起こる。その結果、シューズの踵領域に作用する力が、ソールの前足領域又は中足領域におけるよりも著しく大きくなる。これを考慮して、ランニングシューズは一般に、踵領域に特に強い緩衝材を有する。そのような設計は、少なくとも十分な垂直方向の緩衝作用を提供することができるが、強い緩衝材はシューズの重量全体に悪影響を及ぼす。結果的に、従来技術で知られているランニングシューズは、不十分な緩衝作用及び/又は高い重量を有する。
【0006】
知られているランニングシューズのソールの他の欠点は、耐久性が低いことである。寿命が長くなるほど、緩衝効果の著しい損失を伴うことが多い。これは、緩衝材料の疲労によって起こることが多い。
【0007】
さらに、多くの場合、ランニングシューズの知られているソールは、ソールの異なる領域及びサブ領域全体にわたって変化する緩衝効果を持たない。
【0008】
したがって、本発明の一般的な目的は、ランニングシューズの分野における従来技術を改善すること、及び、好ましくは、従来技術の1つ又は複数の欠点を克服することである。有利な実施形態では、低重量であることが好ましい、向上した緩衝効果を有するソールが提供される。
【0009】
さらなる実施形態では、階層化された緩衝作用が、踵領域から中足領域を通って前足領域へともたらされ、緩衝効果が分割されないことが好ましい。
【0010】
さらなる実施形態では、長期間にわたって向上した耐久性を示す緩衝効果を有するソールが提供される。
【0011】
他の実施形態では、ソールは、シューズの異なる領域及びサブ領域全体にわたって変化することができる緩衝作用を備える。
【0012】
本発明の一般的な課題は、独立請求項の主題によって一般的な方法で解決される。
【0013】
さらなる有利な実施形態は、従属特許請求項の各々において、及び本開示全体において、明らかになる。
【0014】
本発明によるランニングシューズのソールは、地面に少なくとも部分的に接触する下面を含む軟弾性ミッドソールを備える。ミッドソールは、横方向に延びる複数のチャネルを有する。これらのチャネルは、ミッドソールの側方領域において少なくとも第1の水平面及び第2の水平面に配置される。ここで、第1の水平面及び第2の水平面は、互いに垂直方向にオフセットされる。さらに、チャネルは、前壁及び後壁によって長手方向において境界が定められる。さらに、チャネルは、走行中に発生する垂直方向及び/又は長手方向に作用する力の作用を受けて閉じるまで、垂直方向及び/又は長手方向において変形可能である。チャネルを少なくとも第1及び第2の水平面に配置することによって緩衝効果の著しい向上が達成される。加えて、第1の水平面及び第2の水平面は互いに垂直方向にオフセットされていることから、いわゆる階層化された緩衝作用が形成され得る。以て、緩衝作用は、緩衝要素の個々の部分にもはや限定されず、本質的にミッドソール全体にわたって広がる。階層化された緩衝作用は、下面寄りに形成される第1の水平面のチャネルがより柔軟性があり、したがって第2の水平面のチャネルより簡単に変形可能であることから、特に有利である。これは、追加の緩衝効果をこの目的のためにもたらされる特定のポイントに形成することを可能にし、全体的な緩衝効果だけでなく着用者の快適性も著しく向上させることができる。この効果は、さらなる水平面の追加のチャネルによってさらに促進され得る。
【0015】
本開示で使用される方向指示は、次のように理解されるべきである。ソールの水平面とは、ソールの下面に対して実質的に平行又は地面に対して実質的に平行に向く面を示す。さらに、水平面は若干湾曲してもよいと理解されよう。これは、例えば、ランニングシューズの典型のように、ソールが前足領域及び/又は踵領域のところで垂直方向に若干上向きに湾曲している場合であり得る。ソールの長手方向Lは、踵領域から前足領域までの軸線によって表され、したがってソールの長手方向軸線に沿って延びる。ソールの横方向Qは、長手方向軸線に対して横方向及びソールの下面に対して実質的に平行又は地面に対して実質的に平行に延びる。したがって、横方向は、ミッドソールの横方向軸線に沿って延びる。本発明の文脈では、垂直方向Vとは、ソールの下面からインソールの方に向く方向、又は動作状態で着用者の足の方に向く方向を示し、したがって、ミッドソールの垂直軸線に沿って延びる。
【0016】
さらに、ミッドソールの側方領域とは、一対のランニングシューズの片方のランニングシューズのミッドソールの側方内側及び側方外側に沿った領域を指し、この領域は、ミッドソールの長手方向軸線の方向に延びる。典型的には、側方領域の水平方向延長部は、数センチメートル、例えば0.1~5cm、好ましくは0.5~3cmである。ミッドソールの中央領域とは、いずれの場合もミッドソールの横方向に延びる、ミッドソールの中央の長手方向軸線に沿った領域を指す。典型的には、中央領域の水平方向延長部は、数センチメートル、例えば0.1~5cm、好ましくは0.5~3cmである。
【0017】
本発明の目的のため、チャネルは、典型的には管状の形であってもよい凹部として理解されるべきである。一般に、チャネルは、チャネル壁によって全体的又は部分的に境界が定められる。典型的には、チャネルには何もない。しかし、いくつかの実施形態では、チャネルに例えば弾性的に変形可能な発泡体又はガスを充填することも可能である。
【0018】
本発明によれば、各チャネルは、前壁及び後壁によって境界が定められる。壁は、平坦面又は1つ若しくは複数の折曲縁を有する2つ以上の面によって形成され得る。用語「折曲縁」は、若干丸みが付けられしたがって完全に角張っていない実施形態も含む。したがって、そのような折曲縁は、チャネルに沿って、したがってミッドソールの横方向に延びる。本発明のいくつかの実施形態では、チャネルの前壁及び/又は後壁は、いわゆる安定した壁として形成され得る。安定した壁とは、折曲縁を有さず中央ソールの実質的に垂直方向に延びる壁を示す。したがって、折曲縁を含む壁は、安定した壁より変形しやすい。
【0019】
当業者には、チャネルの変形性は、例えば、チャネル壁を一緒に垂直方向に動かすこと及び/又はチャネルを長手方向にせん断変形させることを含むことができることが明らかである。
【0020】
さらに、「走行時に地面と接触する下面」という表現は、ミッドソールが例えばアウトソールであるさらなる層で覆われている実施形態も含む。そのような場合、地面との接触は、少なくとも部分的にそうしたアウトソールによって確立される。
【0021】
好ましい一実施形態では、軟弾性ミッドソールは一体形成される。したがって、軟弾性ミッドソールは、好ましくは単一材料からなり、したがって、いくつかの構成要素、特に互いに接着又は溶着された構成要素からなるミッドソールより安定性がある。
【0022】
好ましい一実施形態では、チャネルは、ミッドソールの側方領域に側方開口を有する。チャネルは、走行中に発生する垂直方向及び/又は長手方向に作用する力の作用を受けて側方開口が閉じるまで、長手方向において垂直方向及び/又は水平方向に変形可能であることが好ましい。
【0023】
典型的には、上側及び下側のチャネル壁は、走行中に発生する力の影響を受けて互いに接触することができる。
【0024】
典型的な実施形態では、チャネルは、長手方向に細長い形状の断面を有することができる。
【0025】
チャネルは、ミッドソールの側方領域では軟弾性ミッドソールによって完全に境界が定められることが好ましい。したがって、そのような実施形態では、ミッドソールの側方領域においてチャネル壁の全体がミッドソールによって形成され得る。したがって、典型的には、ソールの側面図において、チャネルは、別に好ましくは一体型ミッドソールの横方向開口として表すこともできる。好ましい実施形態では、ミッドソールは、分割部分を有しない。分割されたミッドソールに比べてこのミッドソールは全体的に非常に高い安定性を有するように設計されるので、これはソールの耐久性を著しく向上させることができる。さらに、ソール又はランニングシューズの使用時間全体にわたって、軟弾性ミッドソールの疲労が回避される、又は少なくとも著しく減少される。その結果、ミッドソールの有利な緩衝効果が長期間にわたって一定に維持され得る。
【0026】
他の実施形態では、チャネルは、ミッドソールの中央領域において、踵領域、中足領域及び前足領域にかけて延びる層によって一面の境界が定められる。この少なくとも1つの面は、動作状態において着用者の足に面する面であることが好ましい。したがって、そのような実施形態では、チャネルは、ミッドソールの中央領域に実質的にU字形又はV字形の断面を有することができる。或いは、断面は、上方に開いた台形と表現することもできる。
【0027】
典型的には、踵領域、中足領域及び前足領域にかけて延びる層は、弾性の非圧縮性プレートからなる。
【0028】
好ましい一実施形態では、ミッドソールは、踵領域から少なくとも中足領域まで長手方向に延びる溝を備える。典型的には、溝は、中足領域までしか延びない。しかし、溝が実質的にミッドソール全体に延びる、及び溝がソール先端及び踵末端でのみ連結されてもよい。典型的には、チャネルは、地面に向けて開口し、横側面が軟弾性ミッドソールによって、底面がランニングシューズのインソール又はそうでなければ上述した層によって境界が定められる。溝は、側面が傾斜するような本質的にV字形であることが特に好ましい。これは、石や木片を捕らえることを防ぐ。ミドルソールにおける横方向のチャネルは、溝に向けて開口していることが好ましいとされ得る。
【0029】
溝が踵から中足領域まで延びる一実施形態は、特に有利であることが分かった。溝は、チャネルの変形性をより良好にすることができ、これは壁厚がより厚い場合に特に有利であり、したがって踵領域及び中足領域に設けられることが好ましい。その一方で典型的には、前足領域では必要な緩衝効果ははるかに弱い。その理由は、前足領域のチャネル壁はかなり薄い壁厚を備えるため、踵領域及び中足領域にあるチャネルよりも変形しやすいからである。
【0030】
さらなる一実施形態では、少なくとも1つのチャネルは、垂直方向の傾斜面を有する。典型的には、チャネルの垂直方向傾斜面は、横方向に延び、特に、側方領域から中央領域に向けて上昇することができる。そのような傾斜面を有するチャネルは、典型的には、ミッドソールの側方領域では第1の水平面に配置され、中央領域では、この傾斜面に起因して、第1の水平面から垂直方向にオフセットしたさらに別の第3の水平面に配置され得る。同様に、チャネルは、ミッドソールの側方領域では第2の水平面に配置され、中央領域では、この傾斜面に起因して、第2の水平面から垂直方向にオフセットされたさらに別の第4の水平面に配置され得る。第1及び第2の水平面は互いに垂直方向にオフセットされているが、第3及び第4の水平面は同一とすることができ、すなわち互いに垂直方向にオフセットされていない。しかし、第3及び第4の水平面も互いに垂直方向にオフセットさせることも可能である。
【0031】
好ましい一実施形態では、踵領域及び中足領域にあるすべてのチャネルが垂直方向傾斜面を有する。踵領域及び中足領域にあるチャネルのそのような垂直方向傾斜面は、踵領域及び中足領域の安定性を向上させ、可能性のある浮揚作用を減少させる又は回避することができるという利点を有する。典型的には、チャネルの垂直方向傾斜面は、横方向に延び、特に、側方領域から中央領域に向けて上昇することができる。
【0032】
ミッドソールは、上述のように、踵領域から中足領域に長手方向に延びる溝を有することが好ましい。さらに、踵領域及び中足領域にあるチャネルのすべてが、垂直方向傾斜面を有することができる。ここで、チャネルは、ミッドソールの横方向に溝に向けて開口することができる。
【0033】
典型的には、垂直方向傾斜面は上向きの傾斜面とすることができ、すなわちチャネルは動作状態において着用者の足に向けて上昇している。例えば、チャネルは、ミッドソールの側方領域では、第1の、下側の水平面、及び第2の、上側の水平面に配置され、傾斜面によって、中央領域では、第3、第4の水平面にそれぞれ配置され得、第3、第4の水平面はそれぞれ、第1及び第2の水平面より垂直方向に上方に配置される。
【0034】
チャネルは、ミッドソールの側方領域では全体がミッドソールによって、中央領域では一部のみがミッドソールによって形成され、したがって、中央領域では、チャネルの少なくとも1つの面、典型的には上側面、すなわち動作状態において着用者の足に面する面が、踵領域、中足領域及び前足領域にかけて延びる層によって境界が定められることが特に好ましい。垂直方向傾斜面は、側方領域と中央領域との間に位置する、又は一部がミッドソールの中央領域に、一部がミッドソールの側方領域に位置することができる。
【0035】
垂直方向傾斜面を有する1つ又は複数のチャネルを含む本発明によるミッドソールは、いくつかの利点を有する。第一に、これは、ミッドソールの側方領域における効率的な緩衝作用を可能にする。しかしそれと同時に、ソールの安定性も向上し、したがって水平方向の変形に関連するいわゆる浮揚作用が防止又は少なくとも減少される。他の利点は、ミッドソールの中央領域の安定性の全体的な向上であり、その結果、改善されたより安定性のある走行感覚になる。上述の溝を含む実施形態では、溝に関連する任意の不安定性は、1つ又は複数の垂直方向に上昇するチャネルによって防止される。
【0036】
好ましい一実施形態では、少なくとも1つのチャネルと下面との間の軟弾性ミッドソールの幅は、ミッドソールの中央領域におけるよりもミッドソールの側方領域において、より薄い。これにより、ミッドソールの中央領域がより安定する。さらに、軟弾性ミッドソールの疲労が、使用時間全体にわたって回避され、又は少なくとも著しく減少されるので、ランニングシューズ又はソールの使用時間が著しく増加され得る。
【0037】
踵領域及び中足領域にある各チャネルと下面との間の軟弾性ミッドソールの幅は、ミッドソールの中央領域におけるよりミッドソールの側方領域において、より薄い実施形態が、特に好ましい。
【0038】
典型的な一実施形態では、第1の水平面のチャネルは、第2の水平面のチャネルに対して長手方向において水平方向にオフセットされている。これは、階層化された緩衝の効果をさらに促進する。例えば、チャネルは、踵で踏み込む間、まず第1の水平面のチャネルが変形するように配置され得る。したがって、このチャネルは、踵領域から見て走行方向に横方向にある第1のチャネルである。次に、それに続く第2のチャネルは、第2の水平面に垂直方向に上方にオフセットされ、水平方向にソールの先端の方向に配置され得る。それに応じて、横方向の次の第3のチャネルは再び第1の水平面に配置され、ソール先端の方向において第2のチャネルに対して水平方向にオフセットされている。そのような交互配置は、ソールの全長、又は好ましくは踵領域と中足領域だけに沿って延びることができる。第1及び第2の水平面のチャネルの水平方向のオフセットはいくつかの利点を有する。例えば、階層的な配置は、緩衝作用が緩衝要素の個々の分割部分にもはや限定されず、代わりに、実質的にミッドソール全体に及ぶことを意味する。第1の水平面の概して上方、すなわち動作状態における着用者の足の方向に配置される第2の水平面のチャネルは、それらの位置に起因して、下にある第1の水平面のチャネルより大きな力でしか変形し得ない。こうして、第2の水平面のチャネルは、踵領域及び中足領域など特に応力を受ける領域における緩衝効果を向上させるのに適している。水平方向のチャネルのオフセットにより、ミッドソールの全幅、したがってミッドソールの重量が、緩衝効果に悪影響を及ぼすことなく最低限に抑えられ得る。
【0039】
好ましい一実施形態では、前足領域にあるチャネルは、単一水平面だけに配置される。一般的に、第1の水平面の上方に配置される第2の水平面に横方向に配置されるチャネルによってもたらされる追加の緩衝効果は、踵領域及び中足領域などソールの高い応力が掛かる領域だけに必要であり、したがって、前足領域の第2の水平面のチャネルを省略することができる。
【0040】
さらなる一実施形態では、チャネルは、特に好ましくは軟弾性ミッドソールの側方領域に、六角形及び/又は五角形の断面を有する。典型的には、五角形又は六角形の少なくとも1つの角は、長手方向、すなわち走行方向又は走行方向の反対方向に配置される。例えば、五角形又は六角形の1つの角は、ソール先端に向けて走行方向に、又はソール末端に向けて走行方向の反対方向に配置され得る。さらに、五角形又は六角形は、非対称を構成することができ、例えば、五角形又は六角形の走行方向にある辺、すなわち地面に本質的に平行な辺は、五角形又は六角形の他の辺より長くてもよい。これによって、チャネルが細長い断面形状になる。
【0041】
チャネルの断面は、本質的に互いに平行及び地面又は下面に対して本質的に平行な2辺を有することが特に好ましい。チャネルの断面の角張った形状は、チャネルの変形性に好影響を有する。したがって、六角形の形状は、好ましくは第2の上側の水平面に配置されるチャネルに、それらの位置に起因して、より低い変形性を有するので、適している。この変形性は、六角形の形状によってある程度まで増加され得る。したがって、チャネルの正しい形状に起因して、各個別のチャネルの変形性を、その位置及びチャネルに作用する特定の力について個別にフレキシブルに構成することができる。
【0042】
チャネルは、典型的には、ミッドソールの側方領域において、2~10mmの高さ(チャネルの垂直方向延長部)及び5~35mm、好ましくは10~30mmの長さ(チャネルの長手方向延長部)を有する。
【0043】
さらなる一実施形態では、少なくとも1つのチャネルの前壁は、踵領域にある第1の水平面において折曲縁を有する。さらに、踵領域にある第1の水平面における少なくとも1つのチャネルの後壁は、安定した壁として形成される。したがって、後壁は、折曲縁を有さず、縁なし面を備えることが好ましい。そのような実施形態は、踵領域における踏み込みの間のシューズの最初の接触が、踵領域にある少なくとも1つのチャネルの後壁に最も強い力を作用させるので、特に有利であることが分かった。このように形成された後壁によって、これらの比較的強い力が効果的に吸収され得るようになる。
【0044】
さらに、踵領域にある少なくとも1つのチャネルの前壁の折曲縁は、チャネルを、走行中に発生する力を受けて閉じるまで変形させることができる。
【0045】
例えば、この実施形態では、少なくとも1つのチャネルの各断面は、五角形の形状とすることができ、その場合、五角形の1つの角は走行方向にソール先端の方を向き、五角形の一辺は、後壁に配置されている。
【0046】
しかし、逆に、踵領域にある第1の水平面における少なくとも1つのチャネルの後壁が折曲縁を備え、踵領域にある第1の水平面における少なくとも1つのチャネルの前壁を安定した壁として形成することも可能である。これは、例えば、必要に応じた代替緩衝プロファイルの提供に役立ち得る。
【0047】
好ましい一実施形態では、前足領域にある第1の水平面における少なくとも1つのチャネルの前壁は、安定した壁として設計される。さらに、前足領域にある第1の水平面における少なくとも1つのチャネルの後壁は、折曲縁を備える。したがって、前壁は、折曲縁を有さず、縁なし面からなることが好ましい。前足領域に作用する最も大きい力は、ランナーの蹴り出しに由来する。したがって、少なくとも1つのチャネルの前壁を、前足領域における安定した壁として折曲縁を有しないように設計することが特に有利であることが分かった。これは、ランナーによる蹴り出す力が、特に蹴り出しに全面的に使用可能になり、ソールによって吸収されないことを確実にする。それと同時に、前足領域にある少なくとも1つのチャネルの後壁が折曲縁を有するので、それでも踏み込んで走る間の前足領域における優れた緩衝効果が確実にされる。
【0048】
しかし、逆に、前足領域にある第1の平面の少なくとも1つのチャネルの前壁が折曲縁を有し、前足領域にある第1の水平面における少なくとも1つのチャネルの後壁を安定した壁として形成することも可能である。これは、例えば、必要に応じた代替緩衝プロファイルの提供に役立ち得る。
【0049】
さらなる一実施形態では、少なくとも1つのチャネルの前壁及び後壁はそれぞれ、中足領域にある第1の水平面において折曲縁を有する。踏み込む間に踵領域で大部分の力がすでに吸収され、大部分の蹴り出しがソールの前足領域に作用するので、比較的低い力が中足領域の少なくとも一部に生ずる。したがって、前壁と後壁の両方に折曲縁を設けることによって、中足領域にある少なくとも1つのチャネルの変形性を向上させることが有利であることが分かった。
【0050】
この目的のため、長手方向に細長い形状を有する断面の六角形のチャネルが設けられ得ることが特に好ましい。
【0051】
少なくとも1つのチャネル、好ましくはすべてのチャネルの前壁及び後壁はそれぞれ、第2の水平面において折曲縁を有することが好ましい。これは、ミッドソール内でのそれらの位置に起因して第1の下側の水平面のチャネルより全体的に低い変形性を有する第2の上側の水平面のチャネルの変形性を向上させるので、有利である。
【0052】
他の実施形態では、踵領域及び中足領域にあるチャネルは垂直方向傾斜面を有するが、前足領域にあるチャネルは垂直方向傾斜面を有しない。垂直方向傾斜面によってもたらされる追加の安定性は、特に踵領域及び/又は中足領域の諸部分など高い応力を受ける領域に非常に有利である。その一方で、垂直方向傾斜面は前足領域には必ずしも必要なく、したがって、ソールの前足領域における追加の複雑さが不要にされ得る。例えば、前足領域にあるチャネルは、本質的に一水平面内にありながら横方向にミッドソールを完全に横断することができる。さらに、例えばミッドソールの前足領域における側方領域では、チャネルは、軟弾性ミッドソールによって完全に境界が定められ、中央領域では、一面好ましくは上側面、すなわち動作状態において着用者の足に面する面がある層によって境界が定められ得る。典型的には、この層は、すでに述べたタイプのインソール、又は弾性の非圧縮性プレートである。
【0053】
本発明の態様は、以下の図面及び付随する説明に示される実施形態を参照して、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】本発明の一実施形態によるランニングシューズのソールの概略側面図である。
図2】本発明のさらなる一実施形態によるランニングシューズの、本発明によるソールの下面の図である。
図3】本発明のさらなる一実施形態によるランニングシューズの、本発明によるソールの概略側面図である。
図4】本発明のさらなる一実施形態によるランニングシューズの、本発明によるソールの長手方向に沿った(図2のBBに沿った)概略断面図である。
図5】本発明のさらなる一実施形態によるランニングシューズの、本発明によるソールの横方向に沿った(図2のAAに沿った)概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図1に示される概略側面図は、軟弾性ミッドソール1を備えたランニングシューズのソールの一実施形態を示している。軟弾性ミッドソールは、外側から図示されており、走行中に破線で示される地面Bと接触する下面2を有する。さらに、ミッドソール1は、ミッドソールの側方領域に横方向Qに延びるいくつかのチャネル3a、3b、3c、3d、3e、4a、4b及び4cを備える(より良く明確にするため、本発明による図示のソールのすべてのチャネルが示されるわけではない)。図1は、ミッドソールの側方領域の平面図である。チャネル3a、3b、3c、3d及び3eは、図示のように第1の水平面に配置される。ソールは、先端が垂直方向(V)に上向きに若干曲がっているので、第1の水平面は、若干の湾曲、この場合、地面から見て凸状の湾曲を有する。軟弾性ミッドソールは、第2の水平面に配置されるチャネル4a、4b及び4cをさらに備える。2つの水平面は、垂直方向Vに互いにオフセットされて配置される。座標系に基づくと、水平面は、本質的に、すなわちミッドソールの若干の垂直方向湾曲を考慮した、ミッドソールの横方向Qと長手方向Lの平面にあることが明らかである。図示の実施形態では、第1の水平面のチャネルは、軟弾性ミッドソールの全長にわたり延び、第2の水平面のチャネルは、踵領域と中足領域だけに延びる。しかし、第2の水平面のチャネルを前足領域にも配置することも考えられる。
【0056】
第1の水平面は、下側面、すなわち下面2寄りに位置する面を形成し、第2の水平面は、上側面、すなわち動作状態において着用者の足寄りに位置する面を形成する。図示の実施形態では、各チャネル3a、3b、3c、3d、3e、4a、4b及び4cは、ミッドソール1の側方領域に側方開口を有する。動作状態において、これらの側方開口は、走行中に発生する力によって閉じるまで変形することができる。この場合、この閉鎖は本質的に、長手方向における垂直方向変形及び/又は水平方向変形、すなわちチャネルのせん断変形によって起こり得る。さらに、ミッドソール1の側方領域において、チャネル3a、3b、3c、3d、3e、4a、4b及び4cは、完全に軟弾性ミッドソール1によって境界が定められる。したがって、側方領域において、すべてのチャネルの壁は軟弾性ミッドソールによって形成される。
【0057】
図1に示される実施形態では、第1の水平面のチャネル3a、3b、3c、3d及び3eは、長手方向において第2の水平面のチャネル4a、4b及び4cに対して水平方向にオフセットして配置される。ソールの最初の接触は典型的には踵部で起こるので、第1のチャネル3aが最初に変形する。次いで、踏み込んで走る過程で、第2のチャネル4aの変形が起こり、次に第3のチャネル3b、第4のチャネル4b、第5のチャネル3cなどと変形が順次的に起こる。ソール1内でのチャネルの位置に起因して、第2の水平面のチャネル4a、4b及び4cだけが、下側水平面のチャネル3a~eより大きな力で変形され得る。
【0058】
図2は、本発明の一実施形態によるミッドソール1の下面2の図を示している。さらに、ミッドソールの前足領域VB、中足領域MFB及び踵領域FBの分割も図示されている。これは、単に当業者のためのガイドラインの役目を果たすだけであり、領域の正確な境界を画定する意図はない。図示のミッドソール1は、踵領域から中足領域に延びる溝6を有する。溝は、地面B、すなわち図2に示される眺めにおける閲覧者の方に向けて開口し、横側面で軟弾性ミッドソール1によって、底面で層5によって境界が定められる。横側面は、溝6が閲覧者の方に向けてV字形に開口するように傾斜していることも見ることができる。さらに、溝に向けて溝の中へと開口するチャネル3b及び4bなどのチャネルも見ることができる。
【0059】
図3は、軟弾性ミッドソール1を含むランニングシューズの、本発明によるソールの一実施形態を示している。チャネル3a、3d、3e及び4cは(並びに、明確にするために示されないが図示の残りのチャネルも)それぞれ、前壁31及び後壁32を有する。加えて、軟弾性ミッドソール1の側方領域におけるチャネルの断面は、五角形又は六角形である。
【0060】
踵領域に位置するチャネル3aは、五角形の断面を有し、五角形の1つの角が長手方向において走行方向、すなわちソール7の先端の方向に位置する。五角形はさらに、五角形の辺のうち長手方向の辺が五角形の他の辺より長く形成されるので、非対称に形成される。したがって、チャネルは平たい形状を有する。五角形の長手方向の辺はさらに、互いに平行及び実質的に底面又は下面に平行に形成される。さらに、チャネル3aの前壁31は、断面において走行方向にソール7の先端の方に向けて配置される五角形の角に対応する、折曲縁を有する。概要をより分かりやすくするため、図3には、チャネル3bの折曲縁33しか参照符号付きで示されていない。後壁32は、安定した壁として設計され、したがって折曲縁を有しない。
【0061】
中足領域において第1の水平面に配置されるチャネル3d、及び第2の水平面の中足領域に配置されるチャネル4cはそれぞれ、六角形の断面を有する。以て、六角形の1つの角は、長手方向において走行方向を指示し、1つの角は、長手方向において走行方向とは反対を指す。それぞれの六角形は、六角形の辺のうち長手方向の辺が六角形の他の辺より長くなるように形成されるので、非対称に形成される。したがって、チャネルは平たい形状を有する。加えて、チャネル3d及び4cそれぞれの前壁31と後壁32の両方が折曲縁を有する。これらの折曲縁は、断面において、六角形の、ソールの先端7の方に向かう走行方向に配置される角、及びソールの末端9の方に向かう走行方向とは反対に配置される角に対応する。
【0062】
軟弾性ミッドソールの前足領域の第1の水平面に配置されるチャネル3eは、チャネル3aのような非対称の五角形の形状の断面を有する。しかし、チャネル3eは、五角形の1つの角が長手方向において走行方向とは反対に配置されるように形成される。さらに、チャネル3eの後壁32は、断面において、五角形の、走行方向とは反対にミッドソールのソール末端9の方に向けて配置される角に対応する折曲縁を有する。その一方で、前壁31は、安定した壁として設計され、したがって折曲縁を有しない。
【0063】
図4は、軟弾性ミッドソール1を含むランニングシューズの本発明によるソールのさらなる一実施形態の長手方向の断面を概略的に示している。踵領域には、ミッドソールの側方領域のチャネル3a、3b及び4aが破線で示されている。チャネルは、垂直方向に傾斜面を有し、この傾斜面に起因して、中央領域ではさらなる第3又は第4の水平面に配置される。第3及び第4の水平面は、同一であり、すなわち垂直方向に互いにオフセットされていない。しかし、第3及び第4の水平面は、第1及び第2の水平面の両方から垂直方向にオフセットされている。中央領域ではチャネル3a、3b及び4aはそれぞれ実線で図示されている。チャネルは、ミッドソール1の側方領域ではミッドソールによって完全に境界が定められるが、中央領域では一部だけがミッドソールによって境界が定められ、上側面は層5によって境界が定められる。
【0064】
前足領域に位置するチャネル3eは、中央領域に傾斜面を有しない。しかし、チャネル3eはさらに、中央領域において軟弾性ミッドソール1によって部分的にのみ境界が定められる。上側面で、チャネル3eは、層5によって制限される。
【0065】
図5は、軟弾性ミッドソール1を含むランニングシューズの本発明によるソールのさらなる一実施形態を示している。図5は、ミッドソールの側方領域LB及び中央領域MBの概略的な分割をさらに示している。これらの領域は、垂直方向だけでなく横方向及び長手方向にも延びる。しかし、図示の矢印は、正確な領域境界を定めていない。図5は、側方領域において軟弾性ミッドソール1によって完全に境界が定められる第1の水平面のチャネル3aを通るミッドソール1の断面である。チャネルは、垂直方向に上向きの、すなわち動作状態において着用者の足の方に向けた傾斜面8をさらに有する。中央領域では、中央領域のチャネル3aの上側境界は層5によって形成されることから、チャネル3aは、軟弾性ミッドソールによって一部だけ境界が定められる。ミッドソールは、ミッドソール及び層5によって境界が定められる溝6をさらに有する。溝6は、この場合、本質的にV字形である。
【符号の説明】
【0066】
1 軟弾性ミッドソール
2 下面
3a~e 第1の水平面のチャネル
4a~c 第2の水平面のチャネル
5 層
6 溝
7 ソール先端
8 傾斜面
9 ソール末端
31 前壁
32 後壁
33 折曲縁
B 地面
FB 踵領域
L 長手方向
LB 側方領域
MB 中央領域
MFB 中足領域
Q 横方向
V 垂直方向
VB 前足領域
図1
図2
図3
図4
図5