(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】金属管成形装置及び金属管成形方法
(51)【国際特許分類】
B21D 5/01 20060101AFI20231108BHJP
B21D 37/08 20060101ALI20231108BHJP
B21C 37/08 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
B21D5/01 S
B21D5/01 M
B21D37/08
B21C37/08 E
(21)【出願番号】P 2019183155
(22)【出願日】2019-10-03
【審査請求日】2022-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】590000721
【氏名又は名称】株式会社キーレックス
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片桐 崇
(72)【発明者】
【氏名】上原 孝行
(72)【発明者】
【氏名】川口 秀明
(72)【発明者】
【氏名】中土 信之
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特公昭50-025431(JP,B1)
【文献】特開2013-237063(JP,A)
【文献】特開平05-123741(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第19504736(DE,A1)
【文献】特開2002-28729(JP,A)
【文献】特開2004-195504(JP,A)
【文献】特開2007-203342(JP,A)
【文献】特開2011-63378(JP,A)
【文献】特許第5519249(JP,B2)
【文献】特許第5530035(JP,B2)
【文献】特許第6517485(JP,B2)
【文献】特許第6015997(JP,B1)
【文献】特許第6729011(JP,B2)
【文献】特許第7034468(JP,B2)
【文献】特許第6966492(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 5/01
B21D 37/08
B21C 37/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板をU字状に曲げるU曲げ装置と、該U曲げ装置によりU字状に曲げられた金属板を、金型によりU字開口側から押圧して円環状に加工する円環加工装置とを有する金属管成形装置であって、
前記U曲げ装置は、
床面に設置された基台と、
前記基台に対向して、該基台の上側に昇降可能に配置される昇降台と、
前記基台上に固定され、下側に凹んだ凹部を有し、前記金属板が載置される下型と、
前記昇降台に固定され、前記下型に載置された前記金属板を前記凹部に向かって押圧するパンチを有する上型と、
前記下型又は前記上型の一方に設けられ、前記金属板が前記上型により前記凹部に向かって押圧されることで当該金属板に形成される、上下方向に延びた一対の立壁部に対して、該各立壁部の先端部に、互いに接近するように湾曲した先端湾曲部をそれぞれ形成する一対の湾曲形成部と、
を備え、
前記凹部は、
上下方向に平行に真っ直ぐに伸びる一対の縦面部と、
各縦面部の下側端部から互いに接近するように湾曲する一対の湾曲底面部と、
を有し、
前記パンチは実際に前記凹部に進入して前記金属板を押圧する押圧部を有し、
前記押圧部は、
前記凹部に対応する外縁形状をなす下面部と、
前記下面部の一対の上側端部から上側に真っ直ぐ延びる一対の側面部と、
前記各側面部の上側端部から上側に向かって互いに接近するように湾曲した一対の上面部と、
を有し、
前記一対の湾曲形成部は、前記各立壁部の先端部を除く部分が、前記凹部の前記各縦面部と前記押圧部の前記各側面部とで
上下方向に真っ直ぐに延びた状態で挟持される一方、前記各立壁部の先端部が、前記凹部よりも上側に突出した状態で、前記各立壁部の先端部を前記上面部に沿って曲げることで、前記各先端湾曲部を形成することを特徴とする金属管成形装置。
【請求項2】
請求項1に記載の金属管成形装置において、
前記各湾曲形成部は、前記各上面部の形状に対応するように凹んだ湾曲凹面部をそれぞれ有し、
前記上面部と前記湾曲凹面部とで前記立壁部の先端部を挟持するように、前記各湾曲形成部で前記各立壁部をそれぞれ側方から押圧することで、前記各先端湾曲部を形成することを特徴とする金属管成形装置。
【請求項3】
請求項2に記載の金属管成形装置において、
前記下型又は前記上型の他方には、前記昇降台の下降動作に伴い、前記各湾曲形成部を互いに接近させるように水平方向に移動させるカム部が設けられていることを特徴とする金属管成形装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の金属管成形装置において、
前記U曲げ装置によりU字状に曲げられた金属板において、前記各立壁部の前記先端湾曲部とは反対側の各端部を連結しかつ湾曲した部分を底壁部として、
前記各湾曲形成部は、前記各先端湾曲部の曲率を前記底壁部の曲率と略同じにすべく、前記各立壁部の先端部を湾曲させるように構成されていることを特徴とする金属管成形装置。
【請求項5】
金属板をU字状に曲げるU曲げ工程と、該U曲げ工程によりU字状に曲げられた金属板を、金型によりU字開口側から押圧して環状に加工する円環加工工程とにより金属管を成形する金属管成形方法であって、
前記U曲げ工程は、
下側に凹んだ凹部を有する下型に前記金属板を載置する載置工程と、
前記凹部に対応する形状のパンチを有する上型により、前記下型に載置された前記金属板を前記凹部に向かって押圧する押圧工程と、
前記押圧工程により前記金属板に形成される、上下方向に延びた一対の立壁部に対して、該各立壁部の先端部に、互いに接近するように湾曲した先端湾曲部をそれぞれ形成する先端加工工程と、
を含み、
前記先端加工工程は、前記各立壁部の先端部を除く部分が前記凹部と前記パンチとで
上下方向に真っ直ぐに延びた状態で挟持される一方、前記各立壁部の先端部が前記凹部よりも上側に突出された状態で、前記各立壁部の先端部を互いに接近するように湾曲させる工程であることを特徴とする金属管成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、金属管成形装置及び金属管成形方法に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、金属管を成形する際に、金属板をU字状に曲げて、その後、U字状に曲げられた金属板をU字開口側から押圧して円環状に加工する、所謂UO成形が広く用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、予め上側が開放するU字状に曲げられた金属製板材からなる被加工材の下側を収容する凹部を有する下型と、下型にセットされた被加工材の側面部を成形する2つの側部金型と、被加工材の上側部分を成形する中間金型とを備え、各側部金型で被加工材の両側面部をそれぞれ押圧した後、中間金型により被加工材の上側部分を成形する造管装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、金属板の幅方向の両端部を曲げるC曲げ加工を行った後、金属板をU字状に曲げて、その後に金属板を円環状に曲げるというCUO成形により金属管を得る方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-104025号公報
【文献】特開2003-285117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、U字状に曲げられた金属板を円環状に加工する際には、円環加工装置により、該金属板をU字開口側から、半円状の凹面を有する金型で押圧するのが一般的である。このとき、金属板の端部のエッジが該金型の凹面に摺動しながら加工が進行する。このため、金属板の端部のエッジにより前記金型の凹面が削り取られる摩耗(所謂かじり摩耗)が進行してしまう。前記金型の凹面にかじり摩耗が進行すると、該凹面が変形して、最終的に成形される金属管の真円度が低下してしまうおそれがある。
【0007】
特許文献1に記載の造管装置では、U字状の金属板の湾曲部に連続する一対の立壁部を、予め側部金型で接近させてU字開口を狭くすることで、かじり摩耗の量を減少させている。しかし、上型を3つに分割するため、各金型の分割部分にずれが生じるおそれがあり、成形される金属管の真円度が低下してしまうおそれがある。
【0008】
これに対し、特許文献2のように、金属板をU字状に曲げる前に、C曲げ加工をすることが考えられる。しかし、C曲げ加工をするための装置及び工程が必要となり、製造コストが増加してしまう。
【0009】
ここに開示された技術は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、製造コストを抑制しつつ、UO成形により金属板を円環状に加工する際の、円環加工装置の金型のかじり摩耗を抑制するとともに、成形される金属管の真円度を出来る限り高くすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、ここに開示された技術の第1の態様は、金属板をU字状に曲げるU曲げ装置と、該U曲げ装置によりU字状に曲げられた金属板を、金型によりU字開口側から押圧して円環状に加工する円環加工装置とを有する金属管成形装置を対象として、前記U曲げ装置は、床面に設置された基台と、前記基台に対向して、該基台の上側に昇降可能に配置される昇降台と、前記基台上に固定され、下側に凹んだ凹部を有し、前記金属板が載置される下型と、前記昇降台に固定され、前記下型に載置された前記金属板を前記凹部に向かって押圧するパンチを有する上型と、前記下型又は前記上型の一方に設けられ、前記金属板が前記上型により前記凹部に向かって押圧されることで当該金属板に形成される、上下方向に延びた一対の立壁部に対して、該各立壁部の先端部に、互いに接近するように湾曲した先端湾曲部をそれぞれ形成する一対の湾曲形成部と、を備え、前記凹部は、上下方向に平行に真っ直ぐに伸びる一対の縦面部と、各縦面部の下側端部から互いに接近するように湾曲する一対の湾曲底面部と、を有し、前記パンチは実際に前記凹部に進入して前記金属板を押圧する押圧部を有し、前記押圧部は、前記凹部に対応する外縁形状をなす下面部と、前記下面部の一対の上側端部から上側に真っ直ぐ延びる一対の側面部と、前記各側面部の上側端部から上側に向かって互いに接近するように湾曲した一対の上面部と、を有し、前記一対の湾曲形成部は、前記各立壁部の先端部を除く部分が、前記凹部の前記各縦面部と前記押圧部の前記各側面部とで挟持される一方、前記各立壁部の先端部が、前記凹部よりも上側に突出した状態で、前記各立壁部の先端部を前記上面部に沿って曲げることで、前記各先端湾曲部を形成する、ことを特徴とする。
【0011】
ここに開示された技術の第2の態様は、第1の態様において、前記各湾曲形成部は、前記各上面部の形状に対応するように凹んだ湾曲凹面部をそれぞれ有し、前記上面部と前記湾曲凹面部とで前記立壁部の先端部を挟持するように、前記各湾曲形成部で前記各立壁部をそれぞれ側方から押圧することで、前記各先端湾曲部を形成する、ことを特徴とする。
【0012】
ここに開示された技術の第3の態様は、第2の態様において、前記下型又は前記上型の他方には、前記昇降台の下降動作に伴い、前記各湾曲形成部を互いに接近させるように水平方向に移動させるカム部が設けられている、ことを特徴とする。
【0013】
ここに開示された技術の第4の態様は、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、前記U曲げ装置によりU字状に曲げられた金属板において、前記各立壁部の前記先端湾曲部とは反対側の各端部を連結しかつ湾曲した部分を底壁部として、前記各湾曲形成部は、前記各先端湾曲部の曲率を前記底壁部の曲率と略同じにすべく、前記各立壁部の先端部を湾曲させるようにそれぞれ構成されている、ことを特徴とする。
【0014】
ここに開示された技術の第5の態様は、金属板をU字状に曲げるU曲げ工程と、該U曲げ工程によりU字状に曲げられた金属板を、金型によりU字開口側から押圧して環状に加工する円環加工工程とにより金属管を成形する金属管成形方法を対象として、前記U曲げ工程は、下側に凹んだ凹部を有する下型に前記金属板を載置する載置工程と、前記凹部に対応する形状のパンチを有する上型により、前記下型に載置された前記金属板を前記凹部に向かって押圧する押圧工程と、前記押圧工程により前記金属板に形成される、上下方向に延びた一対の立壁部に対して、該各立壁部の先端部に、互いに接近するように湾曲した先端湾曲部をそれぞれ形成する先端加工工程とを含み、前記先端加工工程は、前記各立壁部の先端部を除く部分が前記凹部と前記パンチとで挟持される一方、前記各立壁部の先端部が前記凹部よりも上側に突出された状態で、前記各立壁部の先端部を互いに接近するように湾曲させる工程であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
ここに開示された技術の第1及び第5の態様によると、金属板をU字状に曲げる(以下、U曲げという)際に、各立壁部の先端部に先端湾曲部が形成される。これにより、円環加工装置により円環状に加工する際には、円環加工装置の金型を各先端湾曲部の曲面と接触させることができるようになる。円環加工装置の金型が各先端湾曲部の曲面に接触すれば、該金型が各立壁部の先端部により削られることが抑制される。この結果、UO成形により金属板を円環状に加工する際の、円環加工装置の金型のかじり摩耗を抑制することができる。
【0016】
また、円環加工装置の金型を過度に分割させる必要がないため、成形される金属管の真円度を高くしやすくなる。
【0017】
さらに、金属板の幅方向の端部を曲げる加工(C曲げ加工)を別途必要としないため、製造コストを抑制することができる。
【0018】
また、ここに開示された技術の第1の態様によると、湾曲形成部により、立壁部の先端部をパンチの上面部に沿って曲げて各先端湾曲部を形成することで、各先端湾曲部の形状をより適切な形状にしやすくなる。これにより、円環加工装置の金型のかじり摩耗をより効果的に抑制することができる。
【0019】
また、パンチと下型とにより金属板をU字状に曲げて、一対の立壁部を形成した後で各先端湾曲部が成形される。これにより、U字状の金属板の形状をより適切な形状にしやすくなる。この結果、成形される金属管の真円度を向上させることができる。
【0020】
ここに開示された技術の第2の態様によると、パンチの上面部と湾曲形成部の湾曲凹面部とで、立壁部の先端部を挟持して各先端湾曲部を形成することで、各先端湾曲部の形状を更に適切な形状にしやすくなる。また、各先端湾曲部の形状を保持しやすくなる。これにより、円環加工装置の金型のかじり摩耗を一層効果的に抑制することができる。
【0021】
ここに開示された技術の第3の態様によると、昇降台の下降動作に伴い、各湾曲形成部を互いに接近させることができるため、各湾曲形成部を移動させる駆動源を別途用意する必要がなく、低コスト化を図ることができる。
【0022】
ここに開示された技術の第4の態様によると、各先端湾曲部の曲率が底壁部の曲率と略同じになるため、円環加工装置の金型を各先端湾曲部の曲面とより効果的に接触させることができるようになる。これにより、円環加工装置の金型のかじり摩耗をより一層効果的に抑制することができる。
【0023】
また、円環加工装置による加工が容易になり、成形される金属管の真円度をより容易に高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】例示的な実施形態に係るU曲げ装置の断面図であって、上型が上死点の位置にある状態を示す。
【
図2】U曲げ装置の下型本体及びパンチの部分を示す拡大図である。
【
図3】O曲げ装置の断面図であって、上型が上死点の位置にある状態を示す。
【
図4】U曲げ装置の動作図であって、金属板を下型に載置した状態を示す。
【
図5】U曲げ装置の動作図であって、
図4の状態からパンチがカウンターパンチを押圧する状態を示す。
【
図6】U曲げ装置の動作図であって、
図5の状態からパンチが下型の凹部に進入した状態を示す。
【
図7】U曲げ装置の動作図であって、
図6の状態から各湾曲形成部により各立壁部が押圧された状態を示す。
【
図8】U曲げ装置の動作図であって、
図7の状態から上型が離型する状態を示す。
【
図9】O曲げ装置の動作図であって、予備加工品が載置された状態を示す。
【
図10】O曲げ装置の動作図であって、
図9の状態から割型が予備加工品に接触した状態を示す。
【
図11】O曲げ装置の動作図であって、
図10の状態からO曲げが完了した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0026】
図1~
図3は、本実施形態に係る金属管成形装置1の断面図を示す。この金属管成形装置1は、UO成形により金属板100を金属管Pに加工する装置である。金属管成形装置1は、平板状の金属板100をU字状に曲げるU曲げ装置10と、該U曲げ装置10によりU字状に曲げられた金属板100を、円環状に、特に断面O字状に加工するO曲げ装置50とを有する。
図1及び
図2はU曲げ装置10であり、
図3はO曲げ装置50を示す。尚、以下の説明では、金属板100をU字状に曲げる加工を単にU曲げ加工といい、金属板100をO字状に曲げる加工を単にO曲げ加工という。また、以下の説明では、U曲げ加工後の金属板100を予備加工品150ということがある。また、以下の説明では、上下方向及び左右方向について各図面に示す矢印に従って説明するが、これは実施の使用状態における方向を限定するものではない。
【0027】
本実施形態において、加工対象となる金属板100は、例えば鋼板などである。具体的には、金属板100は、高張力鋼板等の板材を用いることができる。最終的に、得られる金属管Pは、例えば自動車のプロペラシャフト等に用いられる。
【0028】
〈U曲げ装置〉
図1に示すように、U曲げ装置10は左右対称に構成されている。U曲げ装置10は、床面Fに設置された基台11と、基台11に対向して、該基台11の上側に昇降可能に配置される昇降台12とを有する。基台11上には、下型20が固定される一方、昇降台12には上型30が固定されている。また、下型20には、金属板100を左右から押圧する一対のスライド型40が設けられている。
【0029】
下型20は、下型本体21と、下型本体21の左右方向の中央に設けられた加工ダイ22を有する。加工ダイ22は、上側から下側に向かってU字状に凹むU字状凹部23を有する。U字状凹部23は、
図2に示すように、上下方向に平行に真っ直ぐに伸びる一対の縦面部23aと、各縦面部23aの下側端部から互いに接近するように湾曲する一対の湾曲底面部23bとを有する。両縦面部23aと加工ダイ22の上面との間の両角部は、それぞれR面取りが施されており、曲面になっている。
【0030】
加工ダイ22のU字状凹部23の左右方向の中央には、該U字状凹部23の下端部から上側に突出したカウンターパンチ24が配設されている。カウンターパンチ24の上面24aは、下側に向かって凹んでいる。より具体的には、カウンターパンチ24の上面24aの形状は、カウンターパンチ24の上面24aが、U字状凹部23の湾曲底面部23bと同じ高さ位置になったときに、一対の湾曲底面部23bと連続する形状をなしている。
【0031】
下型20の左右方向の中央には、カウンターパンチ24と連結された下側エアシリンダ25が内蔵されている。下側エアシリンダ25は、カウンターパンチ24を上側に向かって付勢する。また、下側エアシリンダ25は、カウンターパンチ24が上型30により押圧されるときに、衝撃を吸収するクッションの役割を果たす。カウンターパンチ24が上型30のパンチ32により押圧されたときには、下側エアシリンダ25のシリンダロッド25aが、シリンダケース内に移動することで、カウンターパンチ24が下側に移動する。
【0032】
下型本体21の左右方向の端部には、上側に向かって突出する一対のストッパ部26がそれぞれ設けられている。詳しくは後述するが、各ストッパ部26は、一対のスライド型40が互いに離れるように左右方向に移動する際に、各スライド型40が過度に移動しないように、各スライド型40の移動を制限するための部分である。
【0033】
上型30は、上型本体31と、上型本体31の左右方向の中央部分を上下に貫通するように配置されたパンチ32とを有する。
【0034】
パンチ32は、ブロック状の本体部33と、本体部33の下面から下側に延びるロッド部34と、ロッド部34の下端部に設けられた押圧部35と、本体部33の上面から上側に向かってそれぞれ延びる一対のガイドピン36とを有する。ロッド部34は、本体部33の左右方向の中央に設けられている。一対のガイドピン36は、本体部33の左右方向の両側端部にそれぞれ設けられている。
【0035】
押圧部35は、加工ダイ22のU字状凹部23に進入して金属板100を押圧する部分である。押圧部35の周面は、
図2に示すように、加工ダイ22のU字状凹部23に対応する外縁形状をなす下面部35aと、下面部35aの左右の上側端部から上側に真っ直ぐ延びる一対の側面部35bと、各側面部35bの上側端部から上側に向かって互いに接近するように湾曲した一対の上面部35cとを有する。下面部35aは、金属板100のU曲げ加工時において、各湾曲底面部23b及びカウンターパンチ24の上面24aと金属板100を挟んで対向する。各側面部35bの下側半部は、金属板100のU曲げ加工時において、縦面部23aと金属板100を挟んでそれぞれ対向する。各側面部35bの上側半部は、金属板100のU曲げ加工時において、スライド型40の後述する湾曲形成部42と金属板100を挟んでそれぞれ対向する。上面部35cは、金属板100のU曲げ加工時において、スライド型40の湾曲形成部42と金属板100を挟んでそれぞれ対向する。
【0036】
上型本体31の左右方向の中央には、本体部33と連結された上側エアシリンダ38が内蔵されている。上側エアシリンダ38は、パンチ32を下側に向かって付勢する。また、上側エアシリンダ38は、押圧部35が金属板100を押圧するときに、金属板100からの反発荷重を吸収するクッションの役割を果たす。パンチ32と加工ダイ22とで金属板100を挟持した状態で昇降台12を下降させたときには、上側エアシリンダ38のシリンダロッド38aがシリンダケース内に移動して、パンチ32が上型本体31に対して相対移動する。
【0037】
上型本体31の左右方向の両側部分には、一対のカム部39がそれぞれ下側に向かって突設されている。
図1に示すように、一対のカム部39は左右対称となるように形成されている。詳しくは、左側のカム部39のカム面39aは、右側に向かって上側に傾斜している。一方で、右側のカム部39のカム面39aは、左側に向かって上側に傾斜している。詳しくは後述するが、各カム部39は、昇降台12の下降動作に伴い、各スライド型40の湾曲形成部42を互いに接近させるように、水平方向(左右方向)に移動させる部分である。各カム部39の大きさは、パンチ32と加工ダイ22とで金属板100を挟持した後で、スライド型40が移動を開始するような大きさに設定されている。
【0038】
一対のスライド型40は、
図1に示すように、下型20に設けられている。
図6に示すように、金属板100がパンチ32によりU字状凹部23に向かって押圧されたときには当該金属板100に、上下方向に延びた一対の立壁部101が形成される。各スライド型40は、この立壁部101を左右方向から押圧する金型である。
【0039】
左側のスライド型40は、右側にスライド移動可能になっていて、図示しない付勢装置により、左側に付勢されるように構成されている。
【0040】
左側のスライド型40は、スライド型本体41と、スライド型本体41の右下部分に設けられた湾曲形成部42とを有する。湾曲形成部42は、
図7に示すように、立壁部101を実際に左側から押圧する部分であり、該立壁部101の先端部101aに、右側に湾曲した先端湾曲部103を形成する。湾曲形成部42は、押圧部35の上面部35cの形状に対応するように凹んだ湾曲凹面部42aを有する。湾曲凹面部42aの曲率は、加工ダイ22の湾曲底面部23bの曲率と略同じである。
【0041】
左側のスライド型40の左上面には、左側のカム部39のカム面39aに沿って延びるように形成された係合面43が形成されている。具体的には、係合面43は、右側に上側に向かって傾斜している。左側のカム部39のカム面39aと係合面43とが係合した状態で、昇降台12が下降したときには、左側のスライド型40に右方向の力が作用する。この右方向の力により、該スライド型40が右方向へ移動する。そして、湾曲形成部42が金属板100の立壁部101と当接したときには、前記右方向の力により、立壁部101をパンチ32に押し付けて、該立壁部101を押圧する。
【0042】
右側のスライド型40の構成については、左側のスライド型40と左右対称になっているため、詳細な説明を省略する。右側のスライド型40の作動については、右側のカム部39のカム面39aと右側のスライド型の係合面43とが係合した状態で、昇降台12が下降したときには、右側のスライド型40に左方向の力が作用する。この左方向の力により、該スライド型40が左方向へ移動する。そして、湾曲形成部42が金属板100の立壁部101と当接したときには、前記左方向の力により、立壁部101をパンチ32に押し付けて、該立壁部101を押圧する。
【0043】
〈O曲げ装置〉
図3に示すように、O曲げ装置50は、左右対称に構成されている。O曲げ装置50は、床面Fに設置された基台51と、基台51に対向して、該基台51の上側に昇降可能に配置される昇降台52とを有する。基台51上には、第1成形型70が固定される一方、昇降台52には第2成形型80が固定されている。
【0044】
第1成形型70は、第1成形型本体71と、第1成形型本体71の左右方向の中央に設けられた下側ダイ72を有する。
【0045】
第1成形型本体71の左右方向の両側端部には、上側に向かって上側に延びるカム部73がそれぞれ設けられている。左側のカム部73のカム面73aは右側に向かって下側に傾斜している。右側のカム部73のカム面73aは左側に向かって下側に傾斜している。
【0046】
下側ダイ72は、上側から下側に向かって半円状に凹んだ半円状凹部72aを有する。
【0047】
第2成形型80は、第2成形型本体81と、第2成形型本体81に対して左右方向にスライド移動可能に設けられた一対の割型90とを有する。
【0048】
第2成形型本体81は、左右方向の両側端部に、下側に向かって延びる端側ストッパ部82を有する。また、第2成形型本体81は、左右方向の中央に、下側に向かって突出する中央突出部83を有する。
図3に示すように、中央突出部83は、各端側ストッパ部82よりも下側まで突出している。詳しくは後述するが、各端側ストッパ部82は、一対の割型90が互いに離れるように左右方向に移動する際に、各割型90が過度に移動しないように、各割型90の移動を制限するための部分である。また、中央突出部83は、割型90の後述する上側ダイ92同士が適切な位置で当接するように、各割型90の移動を制限するための部分である。
【0049】
左側の割型90は、右側にスライド移動可能になっていて、図示しない付勢装置により、左側に付勢されるように構成されている。左側の割型90は、左側の端側ストッパ部82により、左側への移動を制限されている。左側の割型90は、割型本体91と、割型本体91の右下部分に設けられた上側ダイ92とを有する。
【0050】
左側の割型本体91は、左下の部分に、左側のカム部73のカム面73aと係合する係合面91aを有する。左側のカム部73のカム面73aと係合面91aとが係合した状態で、昇降台52が下降したときには、左側の割型90に右方向の力が作用する。この右方向の力により、左側の割型90が右方向へ移動する。
【0051】
左側の上側ダイ92は、四分円状に凹んだ円弧状凹部92aを有する。この円弧状凹部92aは、
図11に示すように、下側ダイ72の半円状凹部72aと協働して1つの円形を形成するように構成されている。
【0052】
右側の割型90の構成については、左側の割型90と左右対称になっているため、詳細な説明を省略する。右側の割型90の作動については、右側のカム部73のカム面73aと右側の割型90の係合面91aとが係合した状態で、昇降台52が下降したときには、右側の割型90に左方向の力が作用する。この左方向の力により、右側の割型90が左方向へ移動する。
【0053】
〈金属管の成形方法〉
次に、金属管成形装置1により、金属板100から金属管Pを成形する方法について説明する。尚、
図9~
図11については、図面を見やすくするために装置全体を拡大して示しているため、
図4~
図8と比較して、
図9~
図11は金属板100の全長が長くなったように見えている。
【0054】
まず、
図4に示すように、金属板100を型開き状態の下型20と上型30との間に搬入する。金属板100は、左右方向の中央部分がU字状凹部23の上に位置するように下型20上に載置される。このとき、各スライド型40は、初期位置に位置した状態となっている。また、カウンターパンチ24は下側エアシリンダ25により、U字状凹部23の湾曲底面部23bよりも上側に突出した状態となっている。
【0055】
次に、
図4の状態から昇降台12を下降動作させて、
図5に示すように、金属板100を、パンチ32の押圧部35により、U字状凹部23に向かって押圧する。金属板100の中央部分は、押圧部35とカウンターパンチ24とにより挟持される。金属板100の左側部分及び右側部分は、加工ダイ22のエッジ部分から上向きの反発荷重を受けて、パンチ32に近づくように上側に曲げられる。カウンターパンチ24は、押圧部35により下向きに押されて、下側エアシリンダ25の付勢力に抗して下側に移動する。
【0056】
次いで、
図5の状態から昇降台12を下降させて、
図6に示すように、パンチ32の押圧部35と加工ダイ22(厳密には、加工ダイ22とカウンターパンチ24)とで金属板100を挟持した状態にする。これにより、金属板100には、左右に対向しかつ上下方向に伸びる一対の立壁部101と、各立壁部の下側の各端部を連結しかつ湾曲する底壁部102が形成される。各立壁部101の先端部101aは、加工ダイ22よりも上側にそれぞれ突出した状態となる。このとき、各スライド型40と上型30の各カム部39とは、まだ接触していない。つまり、各スライド型40は、まだ水平方向(左右方向)には移動していない。これは、各カム部39の大きさを調整することで可能となる。
【0057】
次に、
図6の状態から昇降台12を下降させて、上型30の各カム部39により各スライド型40を押圧することで、各スライド型40を互いに接近させるように水平方向(左右方向)に移動させる。そして、
図7に示すように、各スライド型40の湾曲形成部42により、各立壁部101の先端部101aを、押圧部35の上面部35cに向かってそれぞれ押圧する。これにより、各立壁部101の先端部101aが、各上面部35cと各湾曲形成部42の湾曲凹面部42aとでそれぞれ挟持されて、各上面部35cに沿って曲げられる。この結果、各立壁部101の先端部101aに、互いに接近するように湾曲した先端湾曲部103が形成される。具体的には、左側の立壁部101には、右側に向かって湾曲した先端湾曲部103が形成される一方、右側の立壁部101には、左側に向かって湾曲した先端湾曲部103が形成される。各先端湾曲部103の曲率は、底壁部102の曲率と略同じである。これにより、金属板100が予備加工品150に加工される。尚、この先端湾曲部103の曲率と底壁部102の曲率とを比較したときの略同じとは、曲率が同じか又は僅かに小さい範囲である。
【0058】
続いて、
図7の状態から昇降台12を上昇させて、上型30を離型させる。上型30が上昇すると、各スライド型40が互いに離間する方向に移動する。このとき、予備加工品150の立壁部101は、スプリングバックにより互いに離れるように移動する。これにより、
図8に示すように、予備加工品150のU字開口が開いて、パンチ32の押圧部35が離型できるようになる。そして、上型30を上死点まで上昇させた後は、予備加工品150を下型20から取り出す。尚、各スライド型40は、各ストッパ部26により左右方向の移動が規制されて、初期位置に戻って待機した状態となる。
【0059】
以上により、U曲げ加工が完了する。U曲げ加工が完了した後は、O曲げ装置50により予備加工品150にO曲げ加工が施される。
【0060】
まず、
図9に示すように、第1成形型70の下側ダイ72に予備加工品150をセットする。予備加工品150は、底壁部102が下側ダイ72に収容されかつU字開口が上側を向くようにセットされる。
【0061】
次に、
図9の状態から昇降台52を下降させる。これにより、
図10に示すように、左右の割型90は、第1成形型70の各カム部73により左右方向の力を受けて、下側に移動するとともに、互いに接近する方向に移動する。このとき、各割型90における上側ダイ92の円弧状凹部92aと各先端湾曲部103の曲面とが当接する。これにより、各割型90は、予備加工品150の先端湾曲部103を、下側に押圧するとともに、互いに接近する方向に押圧する。そして、
図10に示すように、各割型90の上側ダイ92が互いに当接したときには、予備加工品150のU字開口が狭くなった状態となる。また、
図10に示すように、各割型90の上側ダイ92が互いに当接したときには、各上側ダイ92の円弧状凹部92aが協働して1つの半円状凹部が形成される。これにより、下側ダイ72と型合わせされたときには、真円度の高い円形の型が形成される。
図10に示すように、上側ダイ92同士が当接したタイミングでは、各上側ダイ92と下側ダイ72との間には、所定の長さの隙間が形成された状態となる。
【0062】
次いで、
図10の状態から昇降台52を更に下降させる。これにより、
図11に示すように、予備加工品150は、各上側ダイ92の円弧状凹部92a及び下側ダイ72の半円状凹部72aに押し付けられて、O字状に曲げ変形される。このとき、各割型90は、中央突出部83により案内されることで、左右方向にずれることなく、真っ直ぐ下側に移動することができる。その後、昇降台52を上昇させて、各割型90を含めて第2成形型80を離型させる。これにより、O曲げ加工が完了する。
【0063】
以上により、金属板100から金属管Pが成形される。金属管Pが成形された後は、突き合わせ部分を図示しない溶接装置により溶接して、金属管Pが完成する。
【0064】
前述のように、本実施形態では、U曲げ装置10により金属板100から予備加工品150を成形することで、予備加工品150の各立壁部101の先端部101aに先端湾曲部103をそれぞれ形成する。これにより、O曲げ装置50によりO曲げ加工するときには、各先端部101aのエッジ部分は上側ダイ92に当接せずに、先端湾曲部103の曲面が上側ダイ92に当接する。この結果、上側ダイ92が予備加工品150の各先端部101aにより削り取られにくくなり、予備加工品150を円環状に加工する際の、O曲げ装置50の金型(特に、割型90の上側ダイ92)のかじり摩耗を抑制することができる。
【0065】
尚、前述の実施形態では、上側ダイ92が左右に分割されていて、斜め下側に移動しながら予備加工品150の先端湾曲部103に当接するようになっていた。しかし、上側ダイ92が左右に分割されておらずに、上側ダイが、単純に上側に凹んだ半円状凹部を有する形状であって、下向きに移動しながら予備加工品150に当接する構成であっても、前述の効果を得ることができる。すなわち、上側ダイが前記の構成であったとしても、該上側ダイの前記半円状凹部には先端湾曲部103の曲面を当接させることができるため、前記上側ダイにより予備加工品150を押圧する際に、該上側ダイにかじり摩耗が生じるのを抑制することができる。
【0066】
したがって、本実施形態では、金属管成形装置1のU曲げ装置10は、床面Fに設置された基台11と、基台11に対向して、該基台11の上側に昇降可能に配置される昇降台12と、基台11上に固定され、下側に凹んだU字状凹部23を有し、金属板100が載置される下型20と、昇降台12に固定され、下型20に載置された金属板100をU字状凹部23に向かって押圧するパンチ32を有する上型30と、下型20に設けられ、金属板100が上型30によりU字状凹部23に向かって押圧されることで当該金属板100に形成される、上下方向に延びた一対の立壁部101に対して、該各立壁部101の先端部101aに、互いに接近するように湾曲した先端湾曲部103をそれぞれ形成する一対の湾曲形成部42とを備える。これにより、金属板100のU曲げ加工の際に、各立壁部101の先端部101aに先端湾曲部103が形成される。このため、O曲げ装置50により円環状に加工する際には、O曲げ装置50の上側ダイ92を各先端湾曲部103の曲面と接触させることができるようになる。この結果、U字状に曲げられた金属板100を円環状に加工する際の、O曲げ装置50の上側ダイ92のかじり摩耗を抑制することができる。また、O曲げ装置50の上側ダイ92を過度に分割させる必要がないため、成形される金属管Pの真円度を高くしやすくなる。さらに、先端湾曲部103を形成する工程を別途用意することなく、U曲げ加工の際に先端湾曲部103を形成することができるため、製造コストを抑制することができる。
【0067】
また、本実施形態において、パンチ32は実際にU字状凹部23に進入して金属板100を押圧する押圧部35を有し、押圧部35は、U字状凹部23に対応する外縁形状をなす下面部35aと、下面部35aの一対の上側端部から上側に真っ直ぐ延びる一対の側面部35bと、各側面部35bの上側端部から上側に向かって互いに接近するように湾曲した一対の上面部35cとを有し、湾曲形成部42により、立壁部101の先端部101aを上面部35cに沿って曲げることで、各先端湾曲部103を形成する。これにより、各先端湾曲部103の形状をより適切な形状にしやすくなる。この結果、O曲げ装置50の上側ダイ92のかじり摩耗をより効果的に抑制することができる。
【0068】
特に、本実施形態において、各湾曲形成部42は、各上面部35cの形状に対応するように凹んだ湾曲凹面部42aをそれぞれ有し、上面部35cと湾曲凹面部42aとで立壁部101の先端部101aを挟持するように、各湾曲形成部42で各立壁部101をそれぞれ側方から押圧することで、各先端湾曲部103を形成する。これにより、各先端湾曲部103の形状を更に適切な形状にしやすくなるとともに、各先端湾曲部103の形状を保持しやすくなる。これにより、O曲げ装置50の上側ダイ92のかじり摩耗を一層効果的に抑制することができる。
【0069】
また、本実施形態において、上型30には、昇降台12の下降動作に伴い、各湾曲形成部42を互いに接近させるように水平方向に移動させるカム部39が設けられている。昇降台12の下降動作に伴い、各湾曲形成部42を互いに接近させることができるため、各湾曲形成部42を移動させる駆動源を別途用意する必要がなく、低コスト化を図ることができる。
【0070】
特に、本実施形態では、下型20に湾曲形成部42を有するスライド型40が設けられ、上型30に各カム部39が設けられているため、各湾曲形成部42を上下させることなく左右方向に水平に移動させることができる。これにより、各立壁部101に左右方向の力を効率的に与えることができ、各先端湾曲部103を形成しやすくなる。
【0071】
また、本実施形態において、各湾曲形成部42は、パンチ32がU字状凹部23に進入して、金属板100を該パンチ32と加工ダイ22とで挟持した後、各立壁部101の先端部101aを湾曲させるように構成されている。これにより、各立壁部101及び底壁部102が形成された後に、先端湾曲部103が形成されるため、予備加工品150の形状をより適切な形状にしやすくなる。この結果、成形される金属管Pの真円度を向上させることができる。
【0072】
また、本実施形態において、各湾曲形成部42は、各先端湾曲部103の曲率を底壁部102の曲率と略同じ(同じか又は僅かに小さい)にすべく、各立壁部101の先端部101aを湾曲させるように構成されている。これにより、O曲げ装置50の金型を各先端湾曲部103の曲面とより効果的に接触させることができるようになる。これにより、O曲げ装置50の上側ダイ92のかじり摩耗をより一層効果的に抑制することができる。
【0073】
(その他の実施形態)
ここに開示された技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
【0074】
例えば、前述の実施形態では、パンチ32における押圧部35の上面部35cと湾曲凹面部42aを有する湾曲形成部42とで、立壁部101の先端部101aを挟持するように、湾曲形成部42で立壁部101を側方から押圧することで、先端湾曲部103を形成していた。これに限らず、例えば、湾曲形成部42を押圧ローラで構成して、該押圧ローラにより、立壁部101を押圧部35の上面部35cに向かって押圧させることで先端湾曲部103を形成するようにしてもよい。
【0075】
また、前述の実施形態では、湾曲形成部42を有するスライド型40は、カム部39により左右方向に移動するように構成されていた。これに限らず、スライド型40を左右方向に移動させる流体シリンダを設けて、該流体シリンダによりスライド型40ごと湾曲形
成部42を左右方向に移動させるようにしてもよい。この場合、パンチ32がU字状凹部23に進入して、金属板100を該パンチ32と加工ダイ22とで挟持した後に、スライド型40をパンチ32に向かって移動させるように、流体シリンダの制御装置を設けておくことが好ましい。
【0076】
また、前述の実施形態では、下型20に湾曲形成部42を有するスライド型40が設けられ、上型30にカム部39が設けられていた。これに限らず、下型20にカム部39を設けて、上型30に湾曲形成部42を有するスライド型40を設けるようにしてもよい。
【0077】
また、前述の実施形態では、O曲げ加工の際に円柱状の中子を用いていなかったが、該円柱状の中子を用いてもよい。これにより、金属管Pの真円度を一層向上せることができる。
【0078】
前述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本開示の範囲を限定的に解釈してはならない。本開示の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本開示の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0079】
ここに開示された技術は、金属板をU字状に曲げるU曲げ装置と、該U曲げ装置によりU字状に曲げられた金属板を、金型によりU字開口側から押圧して円環状に加工する円環加工装置とを有する金属管成形装置として有用である。
【符号の説明】
【0080】
1 金属管成形装置
10 U曲げ装置
11 基台
12 昇降台
20 下型
23 U字状凹部
30 上型
32 パンチ
35 押圧部
35a 下面部
35b 側面部
35c 上面部
39 カム部
42 湾曲形成部
42a 湾曲凹面部
50 O曲げ装置(円環加工装置)
100 金属板
101 立壁部
101a 先端部
102 底壁部
103 先端湾曲部
F 床面
P 金属管