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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】物干し装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 57/08 20060101AFI20231108BHJP
【FI】
D06F57/08 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019170107
(22)【出願日】2019-09-19
(65)【公開番号】P2021045368
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100155273
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 修孝
(72)【発明者】
【氏名】土井 進
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 美樹
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-006072(JP,A)
【文献】実開平06-041693(JP,U)
【文献】特開2015-216966(JP,A)
【文献】実開平07-020194(JP,U)
【文献】登録実用新案第3075720(JP,U)
【文献】特開2001-245932(JP,A)
【文献】特開2000-107493(JP,A)
【文献】登録実用新案第3080307(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 57/08
D06F 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延在された左右一対のフロント柱と、
上下方向に延在された左右一対のリヤ柱と、
前記フロント柱と前記リヤ柱との間に設けられ、前記フロント柱及び前記リヤ柱のそれぞれに上下方向にスライド可能に取付けられた上下一対の第1スライダと、前記第1スライダに回動可能に軸支されて前記フロント柱及び前記リヤ柱を連結する第1リンク機構部と、を含んで構成され、作動することで前記フロント柱及び前記リヤ柱を折畳状態と展開状態との間で接離させる左右一対の第1リンク機構と、
一対の前記リヤ柱の間に設けられ、一対の前記リヤ柱のそれぞれに上下方向にスライド可能に取付けられた上下一対の第2スライダと、前記第2スライダに回動可能に軸支されて一対の前記リヤ柱を連結する第2リンク機構部と、を含んで構成され、作動することで一対の前記リヤ柱を折畳状態と展開状態との間で接離させる第2リンク機構と、
前記リヤ柱に固定され、前記リヤ柱における前記第1スライダ及び前記第2スライダのスライド領域を区画するストッパと、
を備え
上下一対の前記第1スライダのうち下方の前記第1スライダ、及び上下一対の前記第2スライダのうち下方の前記第2スライダは、上下方向のスライドが制限されており、
前記リヤ柱において、前記第1スライダ及び前記第2スライダは、下方から順に、下方の前記第2スライダ、下方の前記第1スライダ、上方の前記第2スライダ、上方の前記第1スライダの順に配置され、
前記ストッパは、前記第2リンク機構を折畳状態としたとき、上方の前記第2スライダと干渉しない位置に固定されている物干し装置。
【請求項2】
前記フロント柱及び前記リヤ柱は、中空パイプ状に形成され、
前記フロント柱及び前記リヤ柱には、上側へ引出し可能に挿入された伸長部材と、前記伸長部材を固定するロック部材と、が設けられている請求項1に記載の物干し装置。
【請求項3】
一対の前記フロント柱の前記伸長部材の上端部及び一対の前記リヤ柱の前記伸長部材の上端部には、竿が架け渡されており、
前記竿の長手方向一端部が、前記伸長部材の上端部に前後方向を軸方向として回転可能に連結され、
前記竿が、前記伸長部材と共に、前記フロント柱及び前記リヤ柱の内部に挿入可能に構成されている請求項2に記載の物干し装置。
【請求項4】
一対の前記フロント柱の前記伸長部材の上端部及び一対の前記リヤ柱の前記伸長部材の上端部には、竿がそれぞれ架け渡されており、
前記竿は、
左右方向に2分割された分割竿部材と、
前記分割竿部材の一端部同士を、前後方向を軸方向として回転可能に連結する連結部材と、
前記竿の長手方向にスライド可能に前記分割竿部材に外挿されたカバーと、
を含んで構成されており、
前記分割竿部材の他端部が、前記伸長部材の上端部に前後方向を軸方向として回転可能に連結されている請求項2に記載の物干し装置。
【請求項5】
一対の前記竿には、可撓性及び弾性を有する梯子状の吊下げ部材が架け渡されている請求項3又は請求項4に記載の物干し装置。
【請求項6】
前記フロント柱及び前記リヤ柱の下端部には、キャップが取付けられており、
前記キャップには、前記フロント柱及び前記リヤ柱の径方向外側へ突出した支持片が形成されている請求項1~請求項5の何れか1項に記載の物干し装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物干し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の物干し台(物干し装置)は、2本の前方支柱と、2本の後方支柱と、を備えている。また、前方支柱及び後方支柱が、支柱間隔調節用リンク装置によって連結されており、2本の後方支柱が、脚体間隔調節用リンク装置によって連結されている。さらに、支柱間隔調節用リンク装置及び脚体間隔調節用リンク装置の端部は、後方支柱にスライド可能に外挿されたスライダに回転可能に連結されている。
【0003】
そして、使用者によって、前方支柱と後方支柱とを接離させることで、スライダが上下方向に移動すると共に、支柱間隔調節用リンク装置が作動して、前方支柱と後方支柱との間の距離を調整することができる。また、使用者によって、2本の後方支柱を接離させることで、スライダが上下方向に移動すると共に、脚体間隔調節用リンク装置が作動して、2本の後方支柱の間の距離を調整することができる。これにより、物干し台を、展開された展開状態、又は、折り畳まれた折畳状態に切替えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-6072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記物干し台では、以下に示す点において改善の余地がある。すなわち、上記物干し台では、物干し台の展開状態において、後方支柱に設けられた、支柱間隔調節用リンク装置を連結するスライダと、脚体間隔調節用リンク装置を連結するスライダと、が上下方向に隣接して配置されている。
【0006】
また、物干し台を展開状態から折畳状態にするときには、支柱間隔調節用リンク装置のスライダと、脚体間隔調節用リンク装置のスライダと、が上側へスライドする。つまり、支柱間隔調節用リンク装置のスライダがスライドする領域と、脚体間隔調節用リンク装置のスライダがスライドする領域と、が重なっている。このため、物干し台の状態を切替えるときに、支柱間隔調節用リンク装置及び脚体間隔調節用リンク装置を同時に作動させると、支柱間隔調節用リンク装置のスライダと脚体間隔調節用リンク装置のスライダとが互いに干渉する場合がある。このため、物干し台の状態をスムースに切替えることができなくなり、物干し台の状態を切替えるときの作業性が低下する可能性がある。
【0007】
本発明は、上記事実を考慮して、物干し装置の状態を切替えるときの作業性を向上することができる物干し装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、上下方向に延在された左右一対のフロント柱と、上下方向に延在された左右一対のリヤ柱と、前記フロント柱と前記リヤ柱との間に設けられ、前記フロント柱及び前記リヤ柱のそれぞれに上下方向にスライド可能に取付けられた上下一対の第1スライダと、前記第1スライダに回動可能に軸支されて前記フロント柱及び前記リヤ柱を連結する第1リンク機構部と、を含んで構成され、作動することで前記フロント柱及び前記リヤ柱を折畳状態と展開状態との間で接離させる左右一対の第1リンク機構と、一対の前記リヤ柱の間に設けられ、一対の前記リヤ柱のそれぞれに上下方向にスライド可能に取付けられた上下一対の第2スライダと、前記第2スライダに回動可能に軸支されて一対の前記リヤ柱を連結する第2リンク機構部と、を含んで構成され、作動することで一対の前記リヤ柱を折畳状態と展開状態との間で接離させる第2リンク機構と、前記リヤ柱に固定され、前記リヤ柱における前記第1スライダ及び前記第2スライダのスライド領域を区画するストッパと、を備え、上下一対の前記第1スライダのうち下方の前記第1スライダ、及び上下一対の前記第2スライダのうち下方の前記第2スライダは、上下方向のスライドが制限されており、前記リヤ柱において、前記第1スライダ及び前記第2スライダは、下方から順に、下方の前記第2スライダ、下方の前記第1スライダ、上方の前記第2スライダ、上方の前記第1スライダの順に配置され、前記ストッパは、前記第2リンク機構を折畳状態としたとき、上方の前記第2スライダと干渉しない位置に固定されている物干し装置である。
【0009】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記フロント柱及び前記リヤ柱は、中空パイプ状に形成され、前記フロント柱及び前記リヤ柱には、上側へ引出し可能に挿入された伸長部材と、前記伸長部材を固定するロック部材と、が設けられている物干し装置である。
【0010】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、一対の前記フロント柱の前記伸長部材の上端部及び一対の前記リヤ柱の前記伸長部材の上端部には、竿が架け渡されており、前記竿の長手方向一端部が、前記伸長部材の上端部に前後方向を軸方向として回転可能に連結され、前記竿が、前記伸長部材と共に、前記フロント柱及び前記リヤ柱の内部に挿入可能に構成されている物干し装置である。
【0011】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、一対の前記フロント柱の前記伸長部材の上端部及び一対の前記リヤ柱の前記伸長部材の上端部には、竿がそれぞれ架け渡されており、前記竿は、左右方向に2分割された分割竿部材と、前記分割竿部材の一端部同士を、前後方向を軸方向として回転可能に連結する連結部材と、前記竿の長手方向にスライド可能に前記分割竿部材に外挿されたカバーと、を含んで構成されており、前記分割竿部材の他端部が、前記伸長部材の上端部に前後方向を軸方向として回転可能に連結されている物干し装置である。
【0012】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、一対の前記竿には、可撓性及び弾性を有する梯子状の吊下げ部材が架け渡されている物干し装置である。
【0013】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記フロント柱及び前記リヤ柱の下端部には、キャップが取付けられており、前記キャップには、前記フロント柱及び前記リヤ柱の径方向外側へ突出した支持片が形成されている物干し装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の1又はそれ以上の実施形態によれば、物干し装置の状態を切替えるときの作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施の形態に係る物干し装置を示す斜視図である。
図2図1に示されるフロント伸長柱及びリヤ伸長柱をフロント柱及びリヤ柱内に収容した状態における物干し装置を示す左側から見た側面図である。
図3図2に示される状態における物干し装置を示す後側から見た背面図である。
図4図2に示される竿を取付部材に取付けた状態における物干し装置を示す上側から見た平面図である。
図5】(A)は、図4に示される物干し装置を折畳状態に切替えた状態を示す上側から見た平面図であり、(B)は、(A)の物干し装置を結束バンドで束ねた状態を示す模式的な平面図である。
図6図1に示されるフロント伸長柱をフロント柱内に収容した状態における、右側のフロント柱の上端部を示す斜視図である。
図7図1に示されるリヤ柱の上部を示す斜視図である。
図8図2に示されるフロント柱ユニットをリヤ柱ユニット側へ接近させるときのサイドリンク機構の動作を説明するための側面図である。
図9】(A)は、図1に示される竿の第1の変形例を説明するための斜視図であり、(B)は、(A)の竿をリヤ柱ユニットに架け渡すときの動作を説明するための説明図である。
図10図1に示される竿の第2の変形例を説明するための斜視図である。
図11図10に示される竿が折り畳まれる状態を説明するための説明図である。
図12図1に示されるキャップの変形例を示す斜視図である。
図13】(A)は、図5(B)に示される結束バンドの変形例を示す斜視図であり、(B)は、(A)の結束バンドによって物干し装置が束ねられた状態を模式的に示す斜視図である。
図14】(A)は、図13(A)に示される取手の変形例を示す斜視図であり、(B)は、(A)の結束バンドによって物干し装置が束ねられた状態を模式的に示す斜視図である。
図15】(A)は、吊下げ部材の第1フックが竿に引っ掛けられて、吊下げ部材が一対の竿に架け渡された状態を示す斜視図であり、(B)は、吊下げ部材の第2フックが竿に引っ掛けられて、吊下げ部材が一対の竿に架け渡された状態を示す斜視図である。
図16図15に示される吊下げ部材の不使用時における保管状態を示す模式的な斜視図である。
図17図2に示される一対のXリンクの間に中間柱ユニットを設けた例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を用いて、本実施の形態に係る物干し装置10について説明する。なお、図面において適宜示される矢印UP,矢印FR,矢印RHは、それぞれ物干し装置10の上側、前側、右側(幅方向一方側)を示している。そして、以下の説明において、上下、前後、左右の方向を示して説明するときには、特に断りのない限り、物干し装置10の上下方向、前後方向、左右方向を示すものとする。
【0017】
(物干し装置10の全体構成について)
図1図3に示されるように、物干し装置10は、左右一対のフロント柱ユニット20と、左右一対のリヤ柱ユニット40と、フロント柱ユニット20及びリヤ柱ユニット40を連結するための「第1リンク機構」としての左右一対のサイドリンク機構50と、左右一対のリヤ柱ユニット40を連結するための「第2リンク機構」としてのリヤリンク機構60と、を含んで構成されている。さらに、物干し装置10は、ストッパ70と、一対のフロント柱ユニット20及び一対のリヤ柱ユニット40の上端部に架け渡される2本の竿80を有している。
【0018】
また、物干し装置10は、2本の竿80をフロント柱ユニット20及びリヤ柱ユニット40から取外した状態おいて、サイドリンク機構50を作動させることでフロント柱ユニット20及びリヤ柱ユニット40を接離させ、リヤリンク機構60を作動させることで一対のリヤ柱ユニット40を接離させることができる構成になっている。具体的には、物干し装置10は、図4に示される展開状態、又は、図5(A)に示される折畳状態に、切替可能に構成されている。そして、展開状態では、物干し装置10が、平面視で前側へ開放されたU字形を成すように構成されている。以下、物干し装置10の各構成について説明する。なお、以下の説明では、便宜上、展開状態の物干し装置10として説明する。
【0019】
(フロント柱ユニット20について)
図1図2、及び図6に示されるように、フロント柱ユニット20は、フロント柱21と、「伸長部材」としてのフロント伸長柱22と、を含んで構成されている。
【0020】
フロント柱21は、上下方向を軸方向とした中空のパイプ状に形成されている。フロント柱21の下端部には、上側へ開放された略有底円筒状のキャップ30が取付けられており、フロント柱21の下端部がキャップ30内に嵌入されている。
【0021】
フロント柱21の上端部には、ロック部材31(図6参照)が固定されている。ロック部材31は、上下方向を軸方向とした略円筒状のロックベース31Aと、ロック片31Bと、を含んで構成されている。そして、フロント柱21の上端部が、ロックベース31Aの下部内に嵌入されて、ロックベース31Aがフロント柱21に固定されている。ロック片31Bは、略矩形板状に形成されており、ロック片31Bの基端部が、他の部分と比べて、ロック片31Bの板厚方向一方側へ突出している。そして、ロック片31Bの基端部が、上下方向を軸方向としてロックベース31Aの上部に回転可能に支持されている。また、ロックベース31Aの上部には、ロック片31Bの基端部が挿入される挿入孔31A1が貫通形成されている。
【0022】
また、左側のフロント柱21には、ロック部材31の下側において、不使用時の竿80を取付けるための取付部材32(図1参照)が固定されている。取付部材32は、上下方向を軸方向とする略円筒状の取付筒部32Aを有しており、取付筒部32Aが、左側のフロント柱21に外挿されて、フロント柱21に固定されている。また、取付筒部32Aの外周部には、上側から見て取付筒部32Aの径方向外側へ開放された略C字形状の取付フック32Bが形成されている。そして、不使用時の竿80を取付フック32Bに装着させることで、竿80が、フロント柱21と平行に配置される構成になっている。
【0023】
フロント伸長柱22は、上下方向を軸方向とした中空のパイプ状に形成されている。フロント伸長柱22の直径はフロント柱21の直径よりも小さく設定されており、フロント伸長柱22が、ロック部材31のロックベース31A及びフロント柱21の内部に、上側から挿入されている。これにより、フロント伸長柱22の大半がフロント柱21内に収容された状態(図2に示される状態)から上側へ引き出されることで、フロント柱ユニット20が上側へ伸長するように構成されている(図1参照)。また、ロック部材31のロック片31Bを回転させることで、ロック部材31の基端部がフロント伸長柱22の外周部を圧接して、フロント伸長柱22が所定の位置に固定される構成になっている。
【0024】
フロント伸長柱22の上端部には、後述する竿80を固定するための固定具33(図6参照)が固定されている。固定具33は、下側へ開放された略有底円筒状に形成されており、フロント伸長柱22の上端部が固定具33内に嵌入されて、固定具33がフロント伸長柱22に固定されている。固定具33の上端部には、左右方向から見て上側へ開放された略C字形状の固定フック33Aが一体に形成されている。
【0025】
(リヤ柱ユニット40について)
図1図3に示されるように、一対のリヤ柱ユニット40は、一対のフロント柱ユニット20の後側に配置されている。リヤ柱ユニット40は、フロント柱ユニット20と同様に構成されている。すなわち、リヤ柱ユニット40は、中空パイプ状のリヤ柱41と、中空パイプ状の「伸長部材」としてのリヤ伸長柱42と、を含んで構成されており、リヤ伸長柱42が、リヤ柱41の内部に上側から挿入されている。また、リヤ柱41の下端部には、キャップ30が取付けられており、リヤ柱41の上端部には、ロック部材31が固定されている。これにより、リヤ伸長柱42が、所定の位置で、ロック部材31によって固定される構成になっている。また、リヤ伸長柱42の上端部には、固定具33が固定されている。さらに、左側のリヤ柱41には、ロック部材31の下側において、後述する竿80を取付けるための取付部材32が固定されている。
【0026】
(サイドリンク機構50について)
図1及び図2に示されるように、サイドリンク機構50は、フロント柱21とリヤ柱41との間に設けられている。このサイドリンク機構50は、対を成す第1スライダ51L,51Uと、「第1リンク機構部」としてのサイドリンク機構部54と、を含んで構成されている。
【0027】
<第1スライダ51L,51Uについて>
対を成す第1スライダ51L,51Uは、フロント柱21及びリヤ柱41の各々に取付けられている。図6及び図7にも示されるように、第1スライダ51L,51Uは、上下方向を軸方向とする略円筒状のスライダ本体52と、一対の連結片53と、を含んで構成されている(図6及び図7では、第1スライダ51Uのみが図示されている)。
【0028】
スライダ本体52は、フロント柱21及びリヤ柱41に外挿されて、フロント柱21及びリヤ柱41に対して上下方向にスライド可能に取付けられている。そして、第1スライダ51Uが、第1スライダ51Lに対して上側に離間して配置されている。
【0029】
連結片53は、左右方向を板厚方向とする略三角形板状に形成されている。そして、一対の連結片53が、左右方向に所定の間隔を空けて並んで配置されると共に、スライダ本体52から前後方向内側へ延出されている。すなわち、フロント柱21に取付けられた第1スライダ51L,51Uでは、連結片53がスライダ本体52から後側へ延出され、リヤ柱41に取付けられた第1スライダ51L,51Uでは、連結片53がスライダ本体52から前側へ延出されている。
【0030】
<サイドリンク機構部54について>
図1及び図2に示されるように、サイドリンク機構部54は、前後一対のXリンク55を含んで構成されている。Xリンク55は、第1リンク部材56及び第2リンク部材57を有しており、第1リンク部材56及び第2リンク部材57は、略中空パイプ状に形成されている。そして、第1リンク部材56の長手方向中間部と、第2リンク部材57の長手方向中間部と、が左右方向を軸方向としたリンクピン58によって、回動可能に連結されている。
【0031】
一対のXリンク55は、前後方向に並んで配置されており、Xリンク55の端部同士が、リンクピン58によって回動可能に連結されている。また、前側のXリンク55の第1リンク部材56及び第2リンク部材57の端部が、フロント柱21の第1スライダ51L,51Uにおける一対の連結片53間に挿入されて、リンクピン58よって連結片53に回動可能に連結されている。また、後側のXリンク55の第1リンク部材56及び第2リンク部材57の端部が、リヤ柱41の第1スライダ51L,51Uにおける一対の連結片53間に挿入されて、リンクピン58のよって連結片53に回動可能に連結されている。これにより、サイドリンク機構部54の両端部が、第1スライダ51L,51Uに回動可能に軸支されている。そして、詳細については後述するが、フロント柱ユニット20及びリヤ柱ユニット40を互いに接近させることで、第1スライダ51Uが上側へスライドして、サイドリンク機構部54が折り畳まれるように作動する構成になっている。
【0032】
(リヤリンク機構60について)
図1及び図3に示されるように、リヤリンク機構60は、一対のリヤ柱41の間に設けられている。このリヤリンク機構60は、対を成す第2スライダ61L,61Uと、「第2リンク機構部」としてのリヤリンク機構部64と、を含んで構成されている。
【0033】
<第2スライダ61L,61Uについて>
対を成す第2スライダ61L,61Uは、一対のリヤ柱41にそれぞれ取付けられている。図7にも示されるように、第2スライダ61L,61Uは、第1スライダ51L,51Uと同様に構成されている(図7では、第2スライダ61Uのみが図示されている)。すなわち、第2スライダ61L,61Uは、上下方向を軸方向とする略円筒状のスライダ本体62と、一対の連結片63と、を含んで構成されている。
【0034】
そして、スライダ本体62が、リヤ柱41に外挿されて、リヤ柱41に対して上下方向にスライド可能に取付けられている。また、第2スライダ61Lは、リヤ柱41の下端部(詳しくは、キャップ30の上側に隣接した位置)に配置されており、第2スライダ61Uが、第2スライダ61Lの上側に離間して配置されている。さらに、リヤ柱41では、第1スライダ51L,51U及び第2スライダ61L,61Uが上下方向に交互に配置されている。具体的には、第2スライダ61L、第1スライダ51L、第2スライダ61U、第1スライダ51Uが、下側からこの順に、所定の間隔を空けて並んで配置されている(図2及び図3参照)。
【0035】
連結片63は、前後方向を板厚方向とする略三角形板状に形成されている。そして、一対の連結片63が、前後方向に所定の間隔を空けて並んで配置されると共に、スライダ本体62から左右方向内側へ延出されている。すなわち、右側のリヤ柱41に取付けられた第2スライダ61L,61Uでは、連結片63がスライダ本体62から左側へ延出され、左側のフロント柱21に取付けられた第2スライダ61L,61Uでは、連結片63がスライダ本体62から右側へ延出されている。
【0036】
<リヤリンク機構部64について>
図1及び図3に示されるように、リヤリンク機構部64は、サイドリンク機構部54と同様に、左右一対のXリンク65を含んで構成されている。Xリンク65は、第1リンク部材66及び第2リンク部材67を有しており、第1リンク部材66及び第2リンク部材67は、略中空パイプ状に形成されている。そして、第1リンク部材66の長手方向中間部と、第2リンク部材67の長手方向中間部と、が前後方向を軸方向としたリンクピン68によって、回動可能に連結されている。
【0037】
Xリンク65は、左右に並んで配置されており、Xリンク65の端部同士が、リンクピン68によって回動可能に連結されている。また、右側のXリンク65の第1リンク部材66及び第2リンク部材67の端部が、右側のリヤ柱41の第2スライダ61L,61Uにおける一対の連結片63間に挿入され、リンクピン68のよって連結片63に回動可能に連結されている。また、左側のXリンク65の第1リンク部材66及び第2リンク部材67の端部が、左側のリヤ柱41の第2スライダ61L,61Uにおける一対の連結片63間に挿入され、リンクピン68のよって連結片63に回動可能に連結されている。これにより、リヤリンク機構部64の両端部が、第2スライダ61L,61Uに回動可能に軸支されている。そして、詳細については後述するが、一対のリヤ柱ユニット40を互いに接近させることで、第2スライダ61Uが上側へスライドして、リヤリンク機構部64が折り畳まれるように作動する構成になっている。
【0038】
(ストッパ70について)
図1図3図6、及び図7に示されるように、ストッパ70は、フロント柱21及びリヤ柱41に取付けられて、フロント柱21における第1スライダ51L,51Uのスライド領域を区画し、リヤ柱41における第1スライダ51L,51U及び第2スライダ61L,61Uのスライド領域を区画するための部材として構成されている。以下、リヤ柱41に取付けられたストッパ70を用いて、ストッパ70の構成について説明する。
【0039】
リヤ柱41には、5個のストッパ70が設けられている。ストッパ70は、上下方向を軸方向とし且つ一部開放された略円筒状に形成されている。そして、ストッパ70の内部にリヤ柱41が挿入されている。ストッパ70の開口部には、ストッパ70の径方向外側へ突出した一対の連結部70Aが一体に形成されており、一対の連結部70Aには、挿通孔70Bがそれぞれ貫通形成されている。そして、ネジSCが挿通孔70B内に挿通されて、ネジSCの先端部にナットNが螺合されている。これにより、ネジSC及びナットNによってストッパ70を締め付けることで、ストッパ70がリヤ柱41に固定されている。一方、ネジSC及びナットNによるストッパ70に対する締め付けを解除することで、ストッパ70がリヤ柱41に対して上下に移動可能に構成されている。すなわち、ストッパ70が、リヤ柱41に上下方向に移動可能に固定されている。
【0040】
図2及び図3に示されるように、最も下側に配置されたストッパ70は、第2スライダ61Lの上側に隣接して配置されている。これにより、リヤ柱41における、このストッパ70と、キャップ30と、の間の領域が、第2スライダ61Lのスライド領域SR1として設定されている。また、スライド領域SR1の上下寸法は、第2スライダ61Lの上下寸法と略一致している。すなわち、第2スライダ61Lの上下方向のスライドが、このストッパ70及びキャップ30によって制限されている。
【0041】
下側から2番目に配置されたストッパ70は、第1スライダ51Lの下側に隣接して配置されており、下側から3番目に配置されたストッパ70は、第1スライダ51Lの上側に隣接して配置されている。これにより、リヤ柱41における、下側から2番目に配置されたストッパ70と、下側から3番目に配置されたストッパ70と、の間の領域が、第1スライダ51Lのスライド領域SR2として設定されている。また、スライド領域SR2の上下寸法は、第1スライダ51Lの上下寸法と略一致している。これにより、第1スライダ51Lの上下方向のスライドが、これらストッパ70によって制限されている。
【0042】
下側から4番目に配置されたストッパ70は、第2スライダ61Uの下側に隣接して配置されており、最も上側に配置されたストッパ70は、第2スライダ61Uに対して上側に離間して配置される共に、第1スライダ51Uの下側に隣接して配置されている。また、最も上側に配置されたストッパ70は、取付部材32の下側に離間して配置されている。
【0043】
これにより、リヤ柱41における、下側から4番目に配置されたストッパ70と、最も上側に配置されたストッパ70と、の間の領域が、第2スライダ61Uのスライド領域SR3として設定されている。さらに、リヤ柱41における、最も上側に配置されたストッパ70と取付部材32との間の領域が、第1スライダ51Uのスライド領域SR4として設定されている。
【0044】
そして、物干し装置10の折畳状態では、最も上側に配置されたストッパ70が、第2スライダ61Uの上側に配置され、取付部材32が、第1スライダ51Uの上側に配置される設定になっている。すなわち、物干し装置10が展開状態から折畳状態に切替わるときに、第2スライダ61Uが、最も上側に配置されたストッパ70に干渉せず、第1スライダ51Uが取付部材32に干渉しない構成になっている。
【0045】
一方、図2に示されるように、フロント柱21には、3個のストッパ70が取付けられており、フロント柱21のストッパ70は、上下方向において、リヤ柱41に取付けられた、下から2番目、3番目、及び最も上側に配置されたストッパ70と同じ位置に配置されている。具体的には、フロント柱21における下側に配置された2個のストッパ70によって第1スライダ51Lが上下に挟み込まれて、フロント柱21における第1スライダ51Lの上下方向のスライドが制限されている。また、フロント柱21における、最も上側に配置されたストッパ70は、第1スライダ51Uの下側に隣接して配置されており、フロント柱21における、このストッパ70と取付部材32との間の領域が、第1スライダ51Uのスライド領域SR4として設定されている。
【0046】
そして、図8に示されるように、物干し装置10の展開状態において、使用者によってフロント柱ユニット20とリヤ柱ユニット40とを接近させることで、サイドリンク機構50が折り畳まれるように作動する構成になっている。具体的には、サイドリンク機構50では、第1スライダ51Lの上下方向のスライドが制限されているため、サイドリンク機構50の第1スライダ51Uがスライド領域SR4の下端部から上側へスライドするようになっている。これにより、フロント柱ユニット20とリヤ柱ユニット40との間の距離が、最大距離から短くなり、フロント柱ユニット20とリヤ柱ユニット40との間の距離を調整できる構成になっている。
【0047】
また、図示は省略するが、物干し装置10の展開状態において、使用者によって一対のリヤ柱41を接近させることで、リヤリンク機構60が折り畳まれるように作動する構成になっている。具体的には、リヤリンク機構60では、第2スライダ61Lの上下方向のスライドが制限されているため、リヤリンク機構60の第2スライダ61Uがスライド領域SR3の下端部から上側へスライドするようになっている。これにより、一対のリヤ柱ユニット40の間の距離が、最大距離から短くなり、一対のリヤ柱ユニット40との間の距離を調整できる構成になっている。
【0048】
そして、サイドリンク機構50及びリヤリンク機構60が折り畳まれた状態では、図5(A)に示されるように、物干し装置10が、折畳状態に切替わるように構成されている。また、図5(B)に示されるように、物干し装置10の折畳状態では、物干し装置10に、結束バンド34を巻き回して、折畳状態の物干し装置10を束ねるようになっている。なお、結束バンド34は、略長尺帯状に形成されると共に、ゴム等の弾性を有する部材によって構成されている。また、結束バンド34の長手方向両端部には、マジックテープ34A(登録商標)が設けられている。
【0049】
(竿80について)
図1に示されるように、一対の竿80は、左右方向に延在された中空パイプ状に形成されている。そして、一方の竿80の長手方向両端部が、フロント柱ユニット20の固定具33の固定フック33A内に装着されて、一方の竿80が、一対のフロント柱ユニット20の上端部に掛け渡されている。また、他方の竿80の長手方向両端部が、リヤ柱ユニット40の固定具33の固定フック33A内に装着されて、他方の竿80が、一対のリヤ柱ユニット40の上端部に掛け渡されている。
【0050】
また、前述のように、竿80の不使用時(固定具33から取外した状態)では、竿80が、取付部材32の取付フック32B内に装着されて、フロント柱21及びリヤ柱41と平行に配置される構成になっている。
【0051】
(作用効果)
次に、物干し装置10を折畳状態又は展開状態に切替えるときの動作を説明しつつ、本実施の形態の作用及び効果について説明する。
【0052】
上記のように構成された物干し装置10の展開状態では、サイドリンク機構50及びリヤリンク機構60が展開されて、物干し装置10が、平面視で、前側へ開放されたU字形状に展開されている。具体的には、第1スライダ51Uが、スライド領域SR4の下端部に配置され、第2スライダ61Uが、スライド領域SR3の下端部に配置されている。物干し装置10を折畳状態に切替えるときには、始めに、竿80を、固定具33から取外して、取付部材32の取付フック32Bに装着させる。また、フロント伸長柱22をフロント柱21内に収容させると共に、リヤ伸長柱42をリヤ柱41内に収容させる。
【0053】
そして、使用者によって、フロント柱ユニット20とリヤ柱ユニット40とを互いに接近させる。これにより、サイドリンク機構50の第1スライダ51Uが、フロント柱21及びリヤ柱41のスライド領域SR4の下端部から上側へスライドして、サイドリンク機構50が折り畳まれる。
【0054】
また、使用者によって、一対のリヤ柱ユニット40を互いに接近させる。これにより、リヤリンク機構60の第2スライダ61Uが、リヤ柱41のスライド領域SR3の下端部から上側へスライドして、リヤリンク機構60が折り畳まれる。
【0055】
以上により、物干し装置10が折畳状態に切替わる。そして、結束バンド34を、折り畳み状態の物干し装置10に巻き回して、物干し装置10を束ねた状態にする。これにより、物干し装置10が折畳状態から展開状態へ切替ることを抑制して、折畳状態の物干し装置10を所定の場所に保管することができる。
【0056】
一方、物干し装置10を折畳状態から展開状態へ切替えるときには、使用者によって、フロント柱ユニット20とリヤ柱ユニット40とを互いに離間させる。これにより、サイドリンク機構50の第1スライダ51Uが、フロント柱21及びリヤ柱41のスライド領域SR4を下側へスライドして、サイドリンク機構50が展開する。そして、第1スライダ51Uが、スライド領域SR4の下端部に到達することで、フロント柱ユニット20とリヤ柱ユニット40との間の距離が最大距離になる。
【0057】
また、使用者によって、一対のリヤ柱ユニット40を互いに離間させる。これにより、リヤリンク機構60の第2スライダ61Uが、リヤ柱41のスライド領域SR3を下側へスライドして、リヤリンク機構60が展開する。そして、第2スライダ61Uが、スライド領域SR3の下端部に到達することで、一対のリヤ柱ユニット40の間の距離が最大距離になる。
【0058】
以上により、物干し装置10が折畳状態から展開状態に切替わる。そして、竿80を、取付部材32から取外して、一対のフロント柱ユニット20の固定具33に取付けると共に、一対のリヤ柱ユニット40の固定具33に取付ける。
【0059】
ここで、物干し装置10では、複数のストッパ70がリヤ柱41に固定されており、ストッパ70によって、リヤ柱41における、リヤリンク機構60の第2スライダ61Uがスライドするスライド領域SR3と、サイドリンク機構50の第1スライダ51Uがスライドするスライド領域SR4と、が区画されている。すなわち、2つのリンク機構(サイドリンク機構50及びリヤリンク機構60)が連結されるリヤ柱41では、リンク機構において可動するスライダ(第1スライダ51U及び第2スライダ61U)のスライド領域が、ストッパ70によって区画されている。換言すると、物干し装置10を折畳状態又は展開状態に切替えるときに、上側又は下側へスライドする、サイドリンク機構50の第1スライダ51Uと、リヤリンク機構60の第2スライダ61Uと、が干渉しないように、サイドリンク機構50及びリヤリンク機構60がリヤ柱41に取付けられている。これにより、物干し装置10の状態を切替えるときに、サイドリンク機構50及びリヤリンク機構60を同時に作動させても、第1スライダ51Uと第2スライダ61Uとが干渉することが抑制される。このため、物干し装置10の切替動作をスムースに行うことができる。したがって、物干し装置10を折畳状態又は展開状態に切替えるときの作業性を向上することができる。
【0060】
また、ストッパ70は、フロント柱21及びリヤ柱41に移動可能に固定されている。このため、第1スライダ51Uのスライド領域SR4及び第2スライダ61Uのスライド領域SR3の上下寸法を、任意の寸法に設定することができる。これにより、物干し装置10の展開状態における、フロント柱ユニット20とリヤ柱ユニット40との間の最大距離、一対のリヤ柱ユニット40の間の最大距離を、使用形態に応じて適宜設定することができる。
【0061】
また、フロント柱ユニット20(リヤ柱ユニット40)は、フロント柱21(リヤ柱41)と、フロント柱21(リヤ柱41)の内部に挿入されたフロント伸長柱22(リヤ伸長柱42)と、を含んで構成されている。そして、フロント伸長柱22(リヤ伸長柱42)をフロント柱21(リヤ柱41)から上側へ引き出すことで、フロント柱ユニット20(リヤ柱ユニット40)を上側へ伸長させることができる。これにより、使用状態に応じて、フロント柱ユニット20及びリヤ柱ユニット40の上下寸法を適宜変更することができる。
【0062】
(竿80の変形例1)
次に、図9(A)及び(B)を用いて、竿80の変形例1について説明する。この図に示されるように、竿80の変形例1では、竿80が、一方のフロント伸長柱22及び一方のリヤ伸長柱42の上端部に一体に連結されている。以下、リヤ伸長柱42を用いて、竿80の変形例1について説明する。
【0063】
一対のリヤ伸長柱42の一方(本変形例では、左側のリヤ伸長柱42)の上端部には、固定具33の代わりに、支持部材90が固定されている。支持部材90は、下側へ開放された略有底円筒状に形成されており、リヤ伸長柱42の上端部が支持部材90に嵌入されている。そして、竿80の左端部が、前後方向を軸方向として、支持部材90の上端部に回動可能に連結されている。また、竿80及び支持部材90の外径が、リヤ柱41の内径よりも小さく設定されている。
【0064】
これにより、竿80をリヤ伸長柱42と同軸上に配置するように回動させることで、リヤ伸長柱42、竿80、及び支持部材90をリヤ柱41の内部に収容させることができる。したがって、折畳状態における物干し装置10の体格を、一層コンパクト化することができる。
【0065】
また、物干し装置10の展開状態において、竿80を使用するときには、竿80を、リヤ柱41から上側へ引き出して、右側のリヤ柱ユニット40側へ回転させる。そして、竿80の先端部(右端部)を、右側のリヤ柱ユニット40の固定具33の固定フック33A内に装着させる(図9(B)参照)。これにより、竿80が、一対のフロント柱ユニット20が架け渡される。
【0066】
なお、竿80の変形例1では、竿80が、フロント伸長柱22及びリヤ伸長柱42の上端部に回転可能に連結されているが、竿80を、フロント伸長柱22及びリヤ伸長柱42の一方の上端部に回転可能に連結させてもよい。また、竿80の変形例1では、フロント柱ユニット20及びリヤ柱ユニット40において、取付部材32を省略してもよい。
【0067】
(竿80の変形例2)
次に、図10及び図11を用いて、竿80の変形例2について説明する。これらの図に示されるように、竿80の変形例2では、竿80が、フロント伸長柱22及びリヤ伸長柱42の上端部に一体に連結されると共に、折畳可能に構成されている。以下、リヤ伸長柱42を用いて、竿80の変形例2について説明する。
【0068】
一対のリヤ伸長柱42の上端部には、固定具33の代わりに、支持部材91が固定されている。支持部材91は、リヤ伸長柱42から上側へ延出されると共に、左右方向内側へ直角に屈曲されている。そして、変形例2の竿80では、竿80が、左右方向に2分割されている。具体的には、竿80が、左右一対の分割竿部材81を含んで構成されている。また、竿80は、一対の分割竿部材81を連結する連結部材82と、カバー83と、を有している。
【0069】
連結部材82は、一対の分割竿部材81の間に配置され、平面視で、略十字形状に形成されている。そして、左側の分割竿部材81の一端部(右端部)が、前後方向を軸方向として連結部材82の左部に回動可能に連結されており、右側の分割竿部材81の一端部(左端部)が、前後方向を軸方向として連結部材82の右部に回動可能に連結されている。また、左側の分割竿部材81の他端部が、左側の支持部材91に前後方向を軸方向として回動可能に連結されており、右側の分割竿部材81の他端部が、右側の支持部材91に前後方向を軸方向として回動可能に連結されている。
【0070】
カバー83は、竿80の長手方向を軸方向とした略円筒状に形成されて、一対の分割竿部材81の一方にスライド可能に外挿されている。
【0071】
そして、物干し装置10の展開状態では、一対の分割竿部材81が左右方向に一直線状に延在されるようになっている(図10参照)。また、この状態において、カバー83を竿80の長手方向にスライドさせて、カバー83によって連結部材82を覆うことで、分割竿部材81が連結部材82に対して相対回転することを抑制する構成になっている。これにより、物干し装置10の展開状態では、一対の分割竿部材81における左右方向に一直線状に延在された状態が維持されて、竿80に洗濯物等を吊り下げることができる。
【0072】
一方、物干し装置10が展開状態から折畳状態へ切替るときには、カバー83を、竿80の長手方向にスライドさせて、一対の分割竿部材81の一方側に配置させる。この状態で、一対のリヤ柱ユニット40を互いに接近させることで、分割竿部材81が連結部材82に対して相対回転する。具体的には、連結部材82が下側へ変位するように、分割竿部材81が連結部材82に対して相対回転して、竿80が折り畳まれる(図11参照)。これにより、竿80の変形例2では、竿80を固定具33に取付ける作業が不要になる。このため、使用者に対する作業性を一層向上することができる。
【0073】
(キャップ30の変形例)
次に、図12を用いてキャップ30の変形例について説明する。この図に示されるように、変形例のキャップ30には、キャップ30の外周部において、複数(本変形例では、4箇所)の支持片30Aが一体に設けられている。支持片30Aは、キャップ30の周方向を板厚方向とした板状に形成されて、キャップ30からキャップ30の径方向外側へ突出している。また、支持片30Aは、キャップ30の周方向から見て、略円弧状に湾曲されている。さらに、支持片30Aの下端が、上下方向に対して直交する面に沿って形成されて、物干し装置10を床等に設置するための設置面として構成されている。
【0074】
これにより、物干し装置10を床等に設置したときの安定化を図ることができる。特に、折畳状態の物干し装置10を保管するときには、キャップ30の支持片30Aを床等に設置して、折畳状態の物干し装置10を床等に起立した状態に保管することができる。
【0075】
(結束バンド34の変形例について)
次に、図13(A)及び(B)を用いて、結束バンド34の変形例について説明する。この図に示されるように、変形例の結束バンド34では、一対の結束バンド34が、バンドピン35によって、フロント柱21又はリヤ柱41(本変形例では、フロント柱21)の上端部及び下端部に、それぞれ固定されている。また、変形例の結束バンド34では、略長尺帯状の取手36が一対の結束バンド34に架け渡されており、取手36の長手方向両端部が、バンドピン35によって結束バンド34と共に、フロント柱21に固定されている。これにより、図13(B)に示されるように、折畳状態の物干し装置10を結束バンド34によって結束させた後では、使用者が取手36を把持して、物干し装置10を持ち運びすることができる。したがって、使用者に対する利便性を向上することができる。
【0076】
なお、結束バンド34の変形例では、取手36が、一対の結束バンド34に架け渡されているが、取手36の形態は、これに限らない。例えば、図14(A)に示されるように、取手36を輪状に巻きまわして、取手36の長手方向両端部を、フロント柱21(又はリヤ柱41)の上端部に取手ピン37によって固定してもよい。この場合でも、図14(B)に示されるように、折畳状態の物干し装置10を結束バンド34によって結束させた後では、使用者が取手36を把持して、物干し装置10を持ち運びすることができる。
【0077】
また、本実施の形態の物干し装置10では、サイドリンク機構50(リヤリンク機構60)において、下側の第1スライダ51L(第2スライダ61L)が、ストッパ70によってスライド不能に構成され、上側の第1スライダ51U(第2スライダ61U)が上下方向にスライド可能に構成されている。これに代えて、サイドリンク機構50(リヤリンク機構60)において、下側の第1スライダ51L(第2スライダ61L)を上下方向にスライド可能に構成して、上側の第1スライダ51U(第2スライダ61U)をストッパ70によって上下方向にスライド可能に構成してもよい。この場合には、サイドリンク機構50及びリヤリンク機構60を作動させるように、第1スライダ51L,51U及び第2スライダ61L,61Uの上下位置を適宜設定してもよい。
【0078】
また、本実施の形態の物干し装置10において、2本の竿80に加えて、2本の竿80に架け渡された吊下げ部材100を設けてもよい。以下、吊下げ部材100について、図15及び図16を用いて説明する。
【0079】
吊下げ部材100は、平面視で略梯子形状に形成されている。具体的には、吊下げ部材100は、前後方向に延在された紐状の左右一対の吊下げ連結部101と、左右方向に延在された紐状の複数の吊下げ部102と、を含んで構成されている。吊下げ連結部101の長手方向両端部には、第1フック103Aが設けられている。また、吊下げ連結部101の長手方向両端部には、第1フック103Aに対して吊下げ連結部101の長手方向内側において、第2フック103Bが設けられている。すなわち、吊下げ連結部101には、4箇所の第1フック103A及び4箇所の第2フック103Bが設けられている。また、吊下げ部材100は、シリコン等によって構成されて、弾性及び可撓性を有している。
【0080】
そして、吊下げ部材100を使用するときには、前後方向における2本の竿80の離間距離に応じて、吊下げ部材100を2本の竿80に架け渡す。例えば、フロント柱ユニット20とリヤ柱ユニット40との間の距離が最大距離のときには、図15(A)に示されるように、4箇所の第1フック103Aを2本の竿80に引っ掛けて、吊下げ部材100を2本の竿に架け渡す。また、例えば、フロント柱ユニット20とリヤ柱ユニット40との間の距離が最大距離よりも小さいときには、図15(B)に示されるように、4箇所の第2フック103Bを2本の竿80に引っ掛けて、吊下げ部材100を2本の竿に架け渡す。これにより、物干し装置10において、洗濯物等を吊り下げるための吊下げ部を増加させることができる。
【0081】
また、上述のように、吊下げ部材100は、弾性及び可撓性を有している。このため、図16に示されるように、吊下げ部材100の不使用時には、吊下げ部材100をロール状に巻いた状態にすることができる。また、ロール状に巻いた吊下げ部材100を、バンド105によって巻き回すと共に、第1フック103Aを、折畳状態の物干し装置10の結束バンド34に引っ掛けて、物干し装置10と共に保管することができる。
【0082】
また、本実施の形態の物干し装置10では、4本の柱(フロント柱ユニット20及びリヤ柱ユニット40)を含んで構成されているが、物干し装置10を6本の柱によって構成してもよい。例えば、図17に示されるように、サイドリンク機構50における一対のXリンク55の間に、フロント柱ユニット20と同様に構成された中間柱ユニット110を設けてもよい。つまり、一対のXリンク55の第1リンク部材56及び第2リンク部材57が、リンクピン58によって中間柱ユニット110の中間柱111に回動可能に連結されている。これにより、中間柱ユニット110の中間伸長柱112の上端部に固定された固定具33に、竿80を取付けることができる。すなわち、物干し装置10において、3本の竿80を備えることができる。これにより、物干し装置10において、洗濯物等を吊り下げるための吊下げ部を増加させることができる。
【0083】
また、上述のように、物干し装置10を6本の柱によって構成する場合には、中間柱ユニット110の中間伸長柱112の上端部に固定される固定具33を二股状に形成して、固定具33に一対の固定フック33Aを設けるように構成してもよい。これにより、中間柱ユニット110に2本の竿80を取付けることができる。すなわち、物干し装置10において、4本の竿80を備えることができる。これにより、物干し装置10において、洗濯物等を吊り下げるための吊下げ部を一層増加させることができる。
【0084】
また、本実施の形態の物干し装置10において、2本の竿80に加えて、前後方向に延在され且つ2本の竿80の長手方向両端部に掛け渡される2本の竿を設けてもよい。例えば、図示は省略するが、2本の竿80に架け渡される竿の長手方向両端部に、取付部材32と同様に構成された連結具を設けて、当該連結具を用いて、前後方向に延在される竿を、2本の竿80に架け渡すように構成してもよい。この場合においても、物干し装置10において4本の竿を備えることができる。これにより、物干し装置10において、洗濯物等を吊り下げるための吊下げ部を一層増加させることができる。
【符号の説明】
【0085】
10 物干し装置
21 フロント柱
22 フロント伸長柱(伸長柱)
30 キャップ
30A 支持片
31 ロック部材
41 リヤ柱
42 リヤ伸長柱(伸長柱)
50 サイドリンク機構(第1リンク機構)
51L 第1スライダ
51U 第1スライダ
54 サイドリンク機構部(第1リンク機構部)
60 リヤリンク機構(第2リンク機構)
61L 第2スライダ
61U 第2スライダ
64 リヤリンク機構部(第2リンク機構部)
70 ストッパ
80 竿
81 分割竿部材
82 連結部材
83 カバー
100 吊下げ部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17