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特許7381064微小規模分散型エネルギー熱電併給の方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】微小規模分散型エネルギー熱電併給の方法および装置
(51)【国際特許分類】
   F02G 5/04 20060101AFI20231108BHJP
   F02C 6/18 20060101ALI20231108BHJP
   F02C 7/08 20060101ALI20231108BHJP
   F24H 3/00 20220101ALI20231108BHJP
   F24H 3/02 20220101ALI20231108BHJP
   F24H 3/06 20220101ALI20231108BHJP
   F24H 1/00 20220101ALI20231108BHJP
【FI】
F02G5/04 H
F02C6/18 Z
F02C7/08 B
F24H3/00 A
F24H3/02
F24H3/06 302
F24H1/00 631D
【請求項の数】 22
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019204339
(22)【出願日】2019-11-12
(65)【公開番号】P2020079591
(43)【公開日】2020-05-28
【審査請求日】2022-11-12
(31)【優先権主張番号】16/190,062
(32)【優先日】2018-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519403602
【氏名又は名称】デル カンポ,オスバルド
【氏名又は名称原語表記】DEL CAMPO, Osvaldo
【住所又は居所原語表記】11800 Clark Street, Arcadia, CA 91006, USA
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 満
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【弁理士】
【氏名又は名称】名塚 聡
(72)【発明者】
【氏名】デル カンポ,オスバルド
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0128557(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0020206(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0187593(US,A1)
【文献】特開平08-285282(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0084205(US,A1)
【文献】特開2005-069087(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0038311(US,A1)
【文献】特開2022-001761(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02G 1/00- 5/04
F02C 1/00- 9/58
F23R 3/00- 7/00
F24H 3/00
F24H 3/02
F24H 3/06
F24H 1/00
F24H 6/00
F24D 18/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む微小規模エネルギー熱電併給装置:
吸気口および排気口を備えたエネルギー生成装置筐体
少なくとも部分的にはエネルギー生成装置筐体内部に位置するマイクロ/ナノタービン
マイクロ/ナノタービンと回転しながら伝動するマイクロ発電機
少なくとも部分的にはエネルギー生成装置筐体内部に位置する熱交換器、低温側と高温側を備えた熱交換器
圧縮空気を熱交換器の低温側に供給するよう配置された圧縮機
熱交換器の低温側からの圧縮空気を受け入れるよう配置された燃焼室、マイクロ/ナノタービンを稼働させるため圧縮空気とともに燃料を利用するよう配置された燃焼室、および
その内部でマイクロ/ナノタービンからの高温排気ガスがエネルギー生成装置筐体の排気口を経て排出される
その内部でマイクロ発電機は微小規模分散型エネルギー熱電併給装置の稼働中に電力出力を生成するよう適合させている
その内部で給水系統は微小規模分散型エネルギー熱電併給装置の稼働中に供給水を飲料水に変換するよう適合させている
【請求項2】

圧縮機が吸気口からの空気を受け入れるよう配置されている、請求項1に記載のとおりの微小規模エネルギー熱電併給装置
【請求項3】
マイクロ発電機が交流電流を生成するよう適合させた、請求項1に記載のとおりの微小規模分散型エネルギー熱電併給装置
【請求項4】
マイクロ/ナノタービンから排出された排気と通じている給水系統、飲料水を生成するため湯沸器と復水器を含む給水系統をさらに備えた、請求項1に記載のとおりの微小規模エネルギー熱電併給装置
【請求項5】
マイクロ/ナノタービンから排出された高温排気ガスと通じている空気加熱装置、そこから流入する空気を加熱するよう構成した熱交換器と送風機を含む空気加熱装置をさらに備えた、請求項1に記載のとおりの微小規模分散型エネルギー熱電併給装置
【請求項6】
微小規模エネルギー熱電併給装置用の燃料とは、天然ガス、軽油、ガソリン、液化石油ガス(LPG)のうちの1つである、請求項1に記載のとおりの微小規模分散型エネルギー熱電併給装置
【請求項7】
請求項1に記載のとおりの微小規模分散型エネルギー熱電併給装置で、その微小規模分散型エネルギー熱電併給装置は、マイクロ/ナノタービンの軸とマイクロ発電機の回転子が微小規模分散型エネルギー熱電併給装置の稼働中一斉に回転するよう構成されている。
【請求項8】
微小規模分散型エネルギー熱電併給装置が以下のうちの一つに取り付けられている、請求項1に記載のとおりの微小規模分散型エネルギー熱電併給装置:ハイブリッド車、船舶、屋外用途、建物または住宅
【請求項9】
微小規模分散型エネルギー熱電併給装置が配電盤制御装置・計量器と信号通信する、請求項1に記載のとおりの微小規模分散型エネルギー熱電併給装置
【請求項10】
微小規模分散型エネルギー熱電併給装置が伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)ネットワークにより制御センターと信号通信している、請求項1に記載のとおりの微小規模分散型エネルギー熱電併給装置
【請求項11】
微小規模分散型エネルギー熱電併給装置が携帯型である大きさと重量を備えた、請求項1に記載のとおりの微小規模分散型エネルギー熱電併給装置で、微小規模分散型エネルギー熱電併給装置には、さらにハンドルが備わっている。
【請求項12】
異なる利用者が有する複数の携帯型エネルギー熱電併給ユニットが共通配電網に相互接続され、さらに配電盤制御装置・計量器に相互接続され、さまざまな利用者のエネルギー需要を均衡させるよう適合させた、請求項1に記載のとおりの微小規模分散型エネルギー熱電併給装置
【請求項13】
微小規模分散型エネルギー熱電併給装置が電力供給網と電気通信している、請求項1に記載のとおりの微小規模分散型エネルギー熱電併給装置
【請求項14】
微小規模分散型エネルギー熱電併給装置が電力供給網と電気通信しており、微小規模分散型エネルギー熱電併給装置が以下のうちの少なくとも1つに従って稼働するよう適合させた、請求項1に記載のとおりの微小規模分散型エネルギー熱電併給装置:
(a) 電力供給網に余剰電力を供給する。
(b) 微小規模分散型エネルギー熱電併給装置での電力の消費量が微小規模分散型エネルギー熱電併給装置により生成されたエネルギーよりも少ない状態で電力供給網からの電力を消費する。
【請求項15】
電力供給方法、以下の手順を含む方法
以下を含む微小規模分散型エネルギー熱電併給装置の入手:
給気口と排気口を備えたエネルギー生成装置筐体
少なくとも部分的にはエネルギー生成装置筐体の内部に配置されたマイクロ/ナノタービン
マイクロ/ナノタービンと回転しながら伝動するマイクロ発電機
少なくとも部分的にはエネルギー生成装置筐体の内部に配置されている熱交換器で、低温側と高温側を備えた熱交換器
熱交換器の低温側に圧縮空気を供給するよう配置された圧縮機
熱交換器の低温側からの圧縮空気を受け入れるよう配置した燃焼室、マイクロ/ナノタービンを作動させる圧縮空気とともに燃料を利用するよう配置されている燃焼室、および
その内部でマイクロ/ナノタービンからの高温排気ガスは、エネルギー生成装置筐体の排気口から排出されている
その内部でマイクロ発電機は、微小規模分散型エネルギー熱電併給装置の稼働中に電力出力を生成するよう適合させている
その内部で給水系統は、微小規模分散型エネルギー熱電併給装置の稼働中に給水を飲料水に変換するよう適合させている
熱交換器の低温側への圧縮空気の供給
燃焼室が燃料と熱交換器の低温側から受け入れた圧縮空気を組み合わせて稼働させる、燃焼室からの出力給気を使用したマイクロ/ナノタービンの作動
マイクロ発電機はマイクロ/ナノタービンの作動により駆動する、回転運動でのマイクロ発電機の回転子の駆動
マイクロ発電機からの電力出力の生成
【請求項16】
請求項15に記載のとおりの電力を供給する方法で、この方法はさらに以下の手順を伴う。
以下による飲料水の生成:
水の給水系統への送達
湯沸器を用いた水煮沸で、湯沸器はマイクロ/ナノタービンからの排気により加熱される、および
その後の煮沸水の復水への冷却
【請求項17】
請求項15に記載のとおりの電力を供給する方法で、マイクロ発電機からの電力出力を生成する手順により、交流電流が生成される。
【請求項18】
請求項15に記載のとおりの電力を供給する方法で、微小規模分散型エネルギー熱電併給には、さらにマイクロ/ナノタービンから排出された排気と通じる空気加熱装置を含む。
この方法には、さらに以下の手順を含む:
空気加熱装置を経て空気を通過させることによる空気加熱、および
送風機を用いた加熱空気の分散
【請求項19】
請求項15に記載のとおりの電力を供給する方法で、この方法はさらに以下の手順を伴う。
天然ガス、軽油、ガソリンおよびLPGを用いた微小規模エネルギー熱電併給装置への燃料供給
【請求項20】
請求項15に記載のとおりの電力を供給する方法で、この方法はさらに以下の手順を伴う。
微小規模分散型エネルギー熱電併給装置の稼働中におけるマイクロ/ナノタービン軸とマイクロ発電機回転子の一斉回転
【請求項21】
請求項15に記載のとおりの電力を供給する方法で、この方法はさらに以下の手順を伴う。
一群としてのさまざまな利用者が有する複数の携帯型エネルギー熱電併給ユニットの相互接続
さまざまな利用者のエネルギー需要を均衡させるため相互接続された複数の携帯型エネルギー熱電併給ユニットにより生成された電力の管理
【請求項22】
請求項15に記載のとおりの電力を供給する方法で、この方法はさらに以下の手順を伴う。
電力出力の消費量が微小規模分散型エネルギー熱電併給装置により生成された電力出力よりも少ない状態での電力供給網への余剰電力の供給、および
電力出力の消費量が微小規模分散型エネルギー熱電併給装置により生成された電力出力よりも多い状態での電力供給網からの電力の取得
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は2013年11月8日に提出された米国での通常実用特許出願No. 14/075,607の優先権を主張した一部継続であり、その内容は参照により本明細書に完全に盛り込まれている。
【背景技術】
【0002】
本発明は、一般的にはエネルギー生成装置に関するものである。より具体的には、本発明は従来の商用電源供給装置を補完または代用するため住宅環境で使用でき、さらにエネルギー供給網の一部として使用できる微小規模エネルギー熱電併給(コージェネレーション)装置に関するものである。とりわけ、本発明は、電気、熱水および空気を生成することができる分散型エネルギー熱電併給法と呼ばれている。
【0003】
熱電併給は、同じエネルギー源から同時に熱と電力を生成する非常に効率的な手段である。化石燃料燃焼を発電過程で通常浪費されることになる熱に置き換えることにより、従来の発電よりも3倍さらには4倍さえ効率が向上する。一般的には、熱電併給装置は単一エネルギー源から電気と熱双方を生成するよう適合している。そのような熱電併給装置により発電運転中にエンジンまたはタービンから生成される排ガス熱または冷却水の廃熱を回収することができるため、熱電併給装置はその他の装置よりも70~80%エネルギー効率を向上させることができる。
【0004】
そうした利点のため、熱電併給装置は、最近、建物用の電気・熱供給源として強調されるようになっている。特に、熱電併給装置は、回収された廃熱が主に閉込め空間を加熱・冷却し水を加熱するのに使用されているという点で、非常に効率的なエネルギー利用を発揮している。熱電併給はほぼ1世紀にわたり使用されてきたが、1980年代中期には、比較的低い天然ガス価格により、広範囲にわたり新たな発電への魅力的な代替手段となった。実際、ガス燃焼熱電併給は、1980年代に北米で生じた従来型発電プラント建設の減少に大きく寄与している。熱電併給は、1980年代後半から1990年代初頭にかけての期間の大半において、北米で建設されたすべての発電設備容量の大部分を占めていた。
【0005】
熱電併給設備は、天然ガス以外の燃料で燃焼させることができる。現地での可用性に応じて、木材、農業廃棄物、泥炭ゴケおよび多種多様なその他の燃料を利用した稼働中設備がある。
【0006】
熱電併給の環境影響は、その固有の効率性だけではなく、その分散特性に端を発している。どのような距離でも熱を輸送するのは非実用的であるため、熱電併給設備は物理的にはその熱利用者付近に配置する必要がある。多数の環境面で好ましい結果がこの事実から派生している。つまり、電力は電力消費者の近くで生成され、伝送損失、迷走電流および配電設備の必要性を著しく低減させる傾向にある。熱電併給設備の建設は小型化され、単純サイクル発電所よりも小規模で地方に限定された会社が保有する傾向がある。原則として、そうした単純サイクル発電所は人口密集地付近にも建設されているため、その環境基準はより高く保持されている。北欧さらに北米ではますます、熱電併給が地域冷暖房システムの中核を占めるようになっている。熱電併給と組み合わせた地域暖房は、公共交通機関を除く他のあらゆる技術による温室効果ガス排出を低減させる可能性を秘めている。
【0007】
熱電併給を理解するには、大半の従来型発電が燃料燃焼による蒸気生成を基本としている点を知ることが必要である。実際にタービンを回転させ電力を生成するのは蒸気圧であり、本質的には非効率的な工程である。物理学の基本原理ゆえに、元の燃料から発生するエネルギーの3分の1しか、電気を生成する蒸気圧に変換できない。対照的に、熱電併給では、通常は発電タービンから排出される相対的に低温の蒸気という形態での余熱を利用している。そうした蒸気は広範囲にわたる加熱用途に適しており、あらゆるその環境影響とともに、炭素系燃料の燃焼を効果的に代替している。
【0008】
今日、既存発電技術として、比較的低い効率で電気を生成する大規模蒸気タービンが挙げられる。大規模蒸気タービンからは、多くの場合、硫黄酸化物、亜酸化窒素、灰、水銀などの望ましくない副生成物が排出されている。さらに、これらの大規模蒸気タービンからは大量の熱が排出され、通常は湖沼内に放出され多くの場合環境を破壊している。
【0009】
ごく最近になって、天然ガスで燃焼するマイクロタービンなどの小型化タービンがより高い効率で稼働できることが判明している。稼働中、マイクロタービンでは大型蒸気タービンと同程度の汚染は発生しないが、その代わりにごく少量の窒素酸化物とともに二酸化炭素や水などの物質が排出されている。さらに、マイクロタービン稼働による熱回収は、水を加熱するのに役立っている。
【0010】
世界の多くの地方では、電力インフラ(基盤設備)が不足している。消費者に生成電気を伝送するための送電・配電線の敷設は、特に第三世界では非常に高価である。さらに、多くの国々での電力インフラは老朽化し酷使されており、その結果「ブラウンアウト(電圧低下)」と「ブラックアウト(停電)」が生じている。その結果、独立型システムでエネルギーを生成できる、または既存のシステムに統合できるエネルギー生成システムが必要となっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
市場にはいくつかの熱電併給システムが存在しているが、そのすべてで多額の投資が必要となっており、自家所有者ユーザーまたは携帯型用途ではこの技術は利用不可能となっている。また、より大きな需要に対応した供給を行うための複数タービンの同時設置または確定区域内で発電を均衡させるためのタービン一式の相互接続がまだ不可能であるため、こうした種類の装置を段階的に増強させるのは非常に高価なものとなっている。
【0012】
そのため、上記で引用した先行技術により市場の発電ニーズの一部には対応しているものの、改善された経済的な微小規模エネルギー熱電併給装置が依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、従来の商用電源供給系統とは独立して使用できる、またはそうした系統を補完するため従来の電源供給系統に統合できる、あるいは送電網(ネットワーク)の一部としてエネルギー供給に寄与できる微小規模エネルギー熱電併給装置を対象としている。
【0014】
本発明の一形態において、微小規模エネルギー熱電併給法には、燃焼室で生成されたエネルギーを機械的エネルギーに変換し、タービンにより生成された機械的エネルギーを電気エネルギーに変換する手順が含まれる。
【0015】
本発明の重要な態様とは、携帯型組立装置を使用して1~5 kWhの間、特に1~3 kWhの間で、さらにより具体的には3 kWhで生成するよう設計した微小規模エネルギー熱電併給装置である。
【0016】
水道水と空気を同時に高い効率で加熱できる微小規模エネルギー熱電併給装置を提供するのが本発明の目的である。
【0017】
本発明の別の態様では、発電機は微小規模エネルギー熱電併給装置の稼働中に交流電流を生成する発電機となりうる。微小規模エネルギー熱電併給装置の燃料は、とりわけ天然ガス、軽油、ガソリンおよび液化石油ガス(LPG)である。
【0018】
本発明の別の態様に沿って、微小規模エネルギー熱電併給装置には、さらにマイクロ/ナノタービンからの高温排気を送達するマイクロ/ナノタービンから下流部への排気通路および熱伝達のため高温排気を受け入れる熱交換器が含まれている。水道水を高温水に変換する水加熱装置を熱交換器からの排気と組み合わせて、低温排気を放出することができる。この装置はモジュール(組立)式かつ携帯式で、85%以上の高い効率で電気、温水と温風を同時に生成することができる。
【0019】
本発明のさらに別の態様においては、微小規模エネルギー熱電併給装置には、本装置を住宅の暖房装置に連結するための別の熱交換器を含めることができる。
【0020】
本発明のさらに別の態様においては、微小規模エネルギー熱電併給装置を拡張して、同じ利用者により多くのエネルギーを供給し、住宅地区での家屋一群におけるエネルギー需要を均衡させるのに利用できる相互接続マイクロ/ナノタービン一式を形成することができる。
【0021】
本発明のさらに別の態様においては、微小規模エネルギー熱電併給装置は携帯型とするか、または配電系統に電力を供給する複数のエネルギー装置統との統合に対応することができ、さらに暖房装置、冷房装置や水加熱装置に統合させるよう構成することができる。
【0022】
本発明の別の態様により、効率的でクリーンな電気エネルギーを生成し、さらに暖房用の熱や温水を生成するエネルギー源を生み出し、汚染や振動を発生させず、数年にわたる保守を必要としない微小規模エネルギー熱電併給装置が実現する。
【0023】
また本発明の別の態様には、高性能、組立式、携帯型であり、インターネットにより遠方から管理できる微小規模エネルギー熱電併給装置が含まれる。
【0024】
また本発明の別の態様には、天然ガス、軽油、ガソリンやLPGを含むさまざまな燃料を用いて、3 kWh, AC 110/220 V, DC 12/24 V出力を備えた微小規模エネルギー熱電併給装置が含まれる。
【0025】
また本発明の別の態様は、電気、1時間あたり100リットルの温水および建物暖房用の温風を生成する微小規模エネルギー熱電併給装置からなる。
【0026】
要約すれば、本発明は、以下の手順を備えた微小規模エネルギー熱電併給法に関するものである。
(a) 少なくとも燃料を機械的エネルギーに変換するマイクロ/ナノタービン一式および1~5 kWhの範囲内でマイクロ/ナノタービンにより生成された機械的エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機、さらにマイクロ/ナノタービンからの高温排気を送達するマイクロ/ナノタービンから下流部への排気通路を含む、および
(b) 熱伝達のため排気通路から高温排気を受け入れる少なくとも1台の熱交換器で、この熱交換器は住宅の水や空気を加熱するのに使用できる。水加熱装置を熱交換器と組み合わせて、水道水を温水に変換したり、熱風を温風に冷却したりすることができる。複数のユニットを同時に相互接続したり、当該利用者のエネルギー需要を均衡させるためさまざまな利用者の異なるユニットを相互接続して、携帯型マイクロ/ナノタービン一式を拡張することができる。
【0027】
また、本発明は、少なくともマイクロ/ナノタービン一式と発電機一式、マイクロ/ナノタービンからの高温排気を送達するマイクロ/ナノタービンから下流部への排気通路、および熱伝達用の排気通路からの高温排気を受け入れる少なくとも1台の熱交換器を備えた微小規模エネルギー熱電併給装置に関するものである。
【0028】
また、本発明は、以下の手順を含む微小規模分散型エネルギー熱電併給法に関するものである。
(a) 燃料供給装置からマイクロ/ナノタービンへの接続
(b) マイクロ/ナノタービンからマイクロ発電機への接続
(c) マイクロ発電機から施設の電力供給網への接続
(d) 熱交換装置のマイクロ/ナノタービンから下流部に通じる排気通路への接続、および
(e) 住宅の暖房装置から熱交換装置への接続
【0029】
本発明のこうした態様およびその他の態様、特徴および利点は、別添図面および以下に記載する好ましい実施形態についての詳細な説明により、見てすぐに分かるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明の好ましい実施形態は、以下において、本発明を限定するためではなく例示するために提供する添付図面とあわせて説明するが、ここで同様の名称は類似要素を示し、その中では以下のようなものとする。
【0031】
図1に、本発明に従った例示的なマイクロ/ナノタービン駆動エネルギー生成装置の正面・側面透視図を示す。
【0032】
図2に、最初に図1で紹介したマイクロ/ナノタービン駆動エネルギー生成装置の側面立面図を示す。
【0033】
図3に、最初に図1で紹介したマイクロ/ナノタービン駆動エネルギー生成装置の背面立面図を示す。
【0034】
図4に、最初に図1で紹介したマイクロ/ナノタービン駆動エネルギー生成装置の上面平面図を示す。
【0035】
図5に、最初に図1で紹介したマイクロ/ナノタービン駆動エネルギー生成装置の正面立面図を示す。
【0036】
図6に、水道水や空気をマイクロ/ナノタービンの排気ガスを用いて加熱する家庭用途の枠内で設置される水処理装置および空気加熱装置と組み合わせたマイクロ/ナノタービン駆動エネルギー生成装置の等角図を示す。
【0037】
図7に、最初に図1で紹介したマイクロ/ナノタービン駆動エネルギー生成装置の等角図を示しており、マイクロ/ナノタービンの機能部品を紹介した図である。
【0038】
図8に、最初に図6で紹介した水処理装置の等角図を示しており、水処理装置の機能部品を紹介した図である。
【0039】
図9に、最初に図6で紹介した空気加熱装置の等角図を示しており、空気加熱装置の機能部品を紹介した図である。
【0040】
図10に、最初に図6で紹介したエネルギー生成装置の配置に従って水処理装置と空気加熱装置と組み合わせたマイクロ/ナノタービンエネルギー生成装置に代表的な動作概略図を示す、および
【0041】
図11に、特定用途で必要となる場合にエネルギーを取り入れることでさまざまなエネルギー生成装置が電力供給網と相互作用することができる、またはその用途でエネルギーを必要としていない場合には電力供給網にエネルギーを供給することができる電力供給網に接続されたエネルギー生成装置の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下の詳細な説明は、本来単なる例示に過ぎず、説明する実施形態または用途および記載する実施形態の利用法を制限する意図はない。本明細書で使用するとおり、「例示的」または「例証的」という単語は、「実施例、実例または例証として役立つ」という意味である。本明細書で「例示的」または「例証的」と記載するどの実施も、必ずしもその他の実施よりも優先されるまたは有利であると解釈すべきではない。以下に記載する実施のすべては、当業者が本開示の実施形態を実施または使用できるようにするために提供する例示的な実施であり、特許請求の範囲で定める本開示の範囲を制限する意図はない。
【0043】
さらに、先行技術分野、背景、簡単な要旨、または以下の詳細な説明で提示する明示的または暗示的な理論で限定するという意図はない。また、別添図面で例証し以下の明細書で説明する特定装置は、単に添付する特許請求の範囲で定める発明概念の例示的な実施形態に過ぎないものと理解すべきである。したがって、本明細書で開示する実施形態に関連する特定の寸法およびその他の物理的特性は、特許請求の範囲で明示的に別段の定めがある場合を除き、限定的であると考えるべきではない。
【0044】
本発明は、図1~5および7に例証するとおり、例示的微小規模エネルギー熱電併給装置100と呼ぶ。
【0045】
微小規模エネルギー熱電併給装置100は、好ましくは持ち運びできるようにする大きさと設計形状であり、各場所間で簡単に持ち運びできるものとする。これは全般的には小型、軽量であり、この目的では特に有用であるハンドル170を備えることができる。マイクロ/ナノタービン122は、好ましくは持ち運びできる寸法であり、その出力は1時間あたり1~5 kWの範囲内であり、さらに好ましくは2~4 kWの範囲内とする。さらに、マイクロ/ナノタービン122は、70%以上、さらに好ましくは80%以上、およびさらに標準的には80~86%の範囲内にある効率を有するよう構成することができる。
【0046】
本微小規模エネルギー熱電併給装置100は、以下に説明するとおり、その他のエネルギー装置統およびエネルギーを必要とする系統との統合に適合している。
【0047】
気体熱エネルギーが燃焼室150からマイクロ/ナノタービン122に供給され、そのタービンで気体熱エネルギーが機械的エネルギーに変換される。タービン122により、マイクロ発電機124が回転する。マイクロ発電機124の回転運動により、この機械的エネルギーが生成電力出力132に変換される。生成された電力出力132は、住居または家屋の電力供給網、住宅群の電力供給網、建物、事業所、事業所群、ハイブリッド車、船舶、屋外用途またはその他の電力消費団体に供給することができる。
【0048】
微小規模エネルギー熱電併給装置100には、エネルギー生成装置筐体102を搭載している。エネルギー生成装置筐体102は、好ましくは、アルミニウムなどの素材からなる押出中空台座部分で作られている。各種の形体が押出台座部分に機械加工される。これには、作動部品を組み立ててエネルギー生成装置筐体102を構築するための例えばボルト、ねじ、リベット、ブラケット(取付金具)などの部品取付用金具103を受け入れる一連の機能を含めることができる。別の機能として、エネルギー生成装置脚部109一式を組み立てるための一連の機能が挙げられる。各エネルギー生成装置脚部109は、好ましくはゴムなどの可塑性素材で作られ、その可塑性は微小規模エネルギー熱電併給装置100の稼働中に発生する振動を吸収するために用意されている。エネルギー生成装置脚部109系列は、個別にエネルギー生成装置筐体102に組み立てるか、支持ブラケットに組み立て、次いで支持ブラケットをエネルギー生成装置筐体102に組み立てることができる。エネルギー生成装置脚部109系列は、エネルギー生成装置筐体102の下部または底部パネル、前部エンドキャップ104の下部または底部および/または後部エンドキャップ106の下部または底部に直接的または間接的に組み立てることが好ましい。あるいは、脚部109は前部エンドキャップ104および後部エンドキャップ106に一体的に形成することができる。
【0049】
好ましくは換気グリル105を備えた前部エンドキャップ104は、エネルギー生成装置筐体102の前端部に固定される。前部エンドキャップ104は、エネルギー生成装置筐体102の前端部に固定される。前部エンドキャップ104と後部エンドキャップ106のそれぞれは、好ましくは、エネルギー生成装置筐体102の外面にスライド可能な状態で組み立てられる。次に前部エンドキャップ104と後部エンドキャップ106を、例えば接着剤、1つ以上の機械的締結具、機械的干渉具などの適切な方法によりエネルギー生成装置筐体102に固定できる。前部エンドキャップ104と後部エンドキャップ106のうち少なくとも1つは、エネルギー生成装置筐体102に取り外し可能な状態で組み立てられる。エネルギー生成装置筐体102から前部エンドキャップ104および後部エンドキャップ106のうちの少なくとも1つが取り外し可能となることで、補修や修理のために作動部品に近付けるようになる。
【0050】
ハンドル170またはハンドル組立品170は、エネルギー生成装置102(図示のとおり)、前部エンドキャップ104および/または後部エンドキャップ106に組み立てられる。ハンドル170は、エネルギー生成装置筐体102から取り外しできるようにするのが好ましい。これにより、加熱空気排気口107に容易に近づけるようになる。
【0051】
加熱空気排気口107を導入するため、エネルギー生成装置筐体102を変更することができる。加熱空気排気口107は、熱を伝達するよう設計されているため、好ましくはエネルギー生成装置筐体102の上部パネルを通じて形成され、熱は自然に上昇するため、その最適な位置はエネルギー生成装置筐体102の上部パネル沿いとなる。排気移送体108はエネルギー生成装置筐体102の上部パネルに組み立てることができ、別のユニットへの排気移送体108を通過する加熱ガス用の導管が用意される。排気移送体108は、ハンドル170を収納するため着脱式とすることができる。
【0052】
微小規模エネルギー熱電併給装置100の作動部品を、図7に提示する等角概略図および図10に例証する回路図に示す。作動部品には、圧縮機120、マイクロ/ナノタービン122、マイクロ発電機124、熱交換器140および燃焼室150が含まれる。インバータ中央処理装置(CPU)130と有線または無線通信回路131を、生成電力の電気的管理を行い、それとは別の関心として、補助装置、修理要員、第三者またはその他の必要な受益者に情報を提供する通信リンクを提供するため含めることができる。
【0053】
マイクロ/ナノタービン122により、本装置が駆動する。マイクロ/ナノタービン122は、タービン軸126により圧縮機120に回転しながら連結する。マイクロ発電機124は、発電機軸127により圧縮機120かマイクロ/ナノタービン122のいずれかに回転しながら連結する。タービン軸126と発電機軸127は、連続軸、分離軸、自在継手で連結された分離軸セグメントなどとすることができる。ギア、変速機またはその他の回転変換要素(図示せず)は、回転速度やトルクを変更するかその他の設計要素に適合させるため、3つの回転要素120、122、124のうちの任意の2つまたはそれぞれの間で統合することができる。ブラケット、軸受、機械的締結具、調整機能などを含め、既知の適切な作動部品支持物設計仕様に従ってこれら各要素の支持物を用意する。圧縮機120、マイクロ/ナノタービン122およびマイクロ発電機124の特定詳細事項は、本発明の一部を成していないため、記載していない。微小規模エネルギー熱電併給装置100では、市場で提供されている任意の適切な圧縮機120、任意の適切なマイクロ/ナノタービン122および任意の適切なマイクロ発電機124を使用することができる。
【0054】
燃焼室150には燃料供給装置129を備えており、燃料を使用してマイクロ/ナノタービン122の回転運動を引き起こす回転力を生成する。燃料129は、天然ガス、軽油、ガソリン、液化石油ガス(LPG)などとすることができる。マイクロ/ナノタービン122の回転運動は、圧縮機120の回転を推進する。マイクロ/ナノタービン122の回転運動は、マイクロ発電機124の回転も推進する。次に圧縮機120により供給される圧縮空気は、熱交換器140の熱交換体(低温側)142に曝され、圧縮空気を冷却する。冷却圧縮空気は燃焼室150に移送される。燃料129と組み合わさった冷却圧縮空気の使用により、マイクロ/ナノタービン122を駆動するのに使用する燃焼工程の効率が向上する。タービンから排出された加熱空気は、熱交換器140の熱交換体(高温側)144に向かう。
【0055】
圧縮機120、マイクロ/ナノタービン122およびマイクロ発電機124の相互の位置関係は、本装置の技術者や設計者に合わせて変更できる。
【0056】
通常のマイクロ発電機124には、回転子と固定子を含めることができる。回転子は、固定子内部に回転可能な状態で配置される永久磁石となり、マイクロ/ナノタービン122の回転中固定子に対して回転する。機械的エネルギーをマイクロ/ナノタービン122から発電機軸127そして回転子に伝達できるため、発電機軸127、マイクロ/ナノタービン122およびマイクロ発電機124の回転子が、例えば最高100,000 RPMまであるいはそれ以上の速度で一斉に回転する。
【0057】
マイクロ発電機124の回転運動により、電力出力が生成される。電力出力は、生成電力出力部132として直接送電線に伝送するか、生成電力出力部132としての出力となる前に生成電力出力部132を通過させることができる。逆電力を使用して、有線または無線通信回路131を作動させることができる。有線または無線通信回路131により通信リンクがもたらされ、第三者への微小規模エネルギー熱電併給装置100、監視用コンピュータ、修理要員などにそれぞれデータを伝送できるようになる。データには、電力出力132、燃料129の消費量、マイクロ/ナノタービン122、圧縮機120および/またはマイクロ発電機124の回転速度、動作温度、振動数、潤滑状態などの動作データを含めることができる。有線通信回路131は、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)、シリアル通信、パラレル通信、イーサネット(登録商標)などを含む適切な有線通信プロトコルに従って作動させることができる。無線通信回路131は、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、無線周波数(RF)、近距離無線通信(NFC)、無線周波数識別(RFID)などを含む適切な無線通信プロトコルに従って作動させることができる。
【0058】
生成電力出力132は、ただちに使用することも、以後の使用に備えて貯蔵することも、例えば電力会社の送電網などのネットワーク内部で配電するためネットワークに送達することもできる。生成電力出力132の貯蔵は、バッテリまたはその他の適切な貯蔵媒体により行うことができる。
【0059】
空気は、ナノタービンへの入力給気160により微小規模エネルギー熱電併給装置100内に供給される。ナノタービンへの入力給気160は、前部エンドキャップ104の換気グリル105から進入する。マイクロ/ナノタービン122からの高温出力ガスは、熱交換器140の熱交換体(低温側)142に供給され、その後加熱空気排気口107に移送され高温排気(燃焼器)162が排気される。マイクロ/ナノタービン122からの高温出力ガスは、熱交換器140の熱交換体(高温側)144に向かい、熱交換器140の熱交換体(低温側)142から排熱するのに使用される。
【0060】
本装置の最初の任意要素として、水処理装置200がある。水処理装置200の作動部品を、図8に提示する等角概略図および図10に例証する回路図に示す。水処理装置200と微小規模エネルギー熱電併給装置100には、多数の類似要素が含まれている。類似要素には同様な方法で番号が付けられ、その中では、水処理装置200の各要素にある参照文字の前には数字「2」が付く点を除き、水処理装置200の類似要素と微小規模エネルギー熱電併給装置100には同じ番号が付けられている。水処理装置200の筐体は、微小規模エネルギー熱電併給装置100の筐体と同様である。高温排気(燃焼器)162は、排気移送体108により微小規模エネルギー熱電併給装置100から水処理装置200に移送される。高温排気(燃焼器)162は、エネルギー生成装置筐体202の内部に配置されている熱交換器240の熱交換体(高温側)242に向かう。水271は、温水加熱器またはボイラ270により熱交換器240に供給される。水は、温水加熱器またはボイラ270から復水器272に移行する。復水器272から、水は熱交換器240の熱交換体(低温側)244を通過する。水271が温水加熱器またはボイラ270を通過し引き続き復水器272に入ると、水処理装置200からの出力は、飲料水273となる。高温排気(燃焼器)162からの熱のごく一部しか熱交換器240により吸収されないため、残留加熱ガスは、高温排気262として水処理装置200の排気移送体208を通り抜ける。
【0061】
水処理装置200は、給水系統に加熱空気を供給するよう変更することができる。例えば、給水系統は、内部または外部温水加熱器または湯沸器270に高温空気を供給できる。次に、水を別の復水器に移送して飲料水273を生成することができる。湯沸器は熱交換器からの排熱管に接続されるようになり、(図6に示す)暖房装置370の加熱ダクト376と同様である。
【0062】
微小規模エネルギー熱電併給装置100は、さらに空気加熱装置をサポートするのにも使用できる。本装置の別の任意要素として、空気加熱装置300がある。空気加熱装置300の作動部品を、図9に提示する等角概略図および図10に例証する回路図に示す。空気加熱装置300と微小規模エネルギー熱電併給装置100には、多数の類似要素が含まれる。類似要素には同様な方法で付番され、空気加熱装置300の類似要素と微小規模エネルギー熱電併給装置100には、空気加熱装置300の各要素にある参照文字の前には数字「3」が付く点を除き、同じ番号が付いている。空気加熱装置300の筐体は、微小規模エネルギー熱電併給装置100の筐体と同様である。高温排気(燃焼器)162または高温排気262は、それぞれ排気移送体108または排気移送体208により微小規模エネルギー熱電併給装置100または水処理装置200から空気加熱装置300に移送される。高温排気(燃焼器)162、262は、エネルギー生成装置筐体302の内部に配置されている熱交換器340の熱交換体(高温側)342に向かう。入力給気360は、熱交換器340に向かう。熱交換器への入力給気360が熱交換器340を通過すると、空気の温度が上昇する。空気は、出力給気(高温側)364として排出される。出力給気(高温側)364に変換される熱交換器への入力給気360は、熱交換器340を通過するダクト(導管)(図示せず)内部に格納することができる。逆に、高温排気(燃焼器)162、262は、熱交換器内部またはその周囲を通過し、残留加熱空気は排気移送体208を経て高温排気362として排出される。
【0063】
暖房装置370では、排気熱を使用して、ある場所または建物用に排気熱および/または出力熱378を供給することができる。図6に例証するとおり、暖房装置370を微小規模エネルギー熱電併給装置100に接続して出力給気(高温側)164(記載により分かる構成、図示せず)を受け入れるか、空気加熱装置300の排気口に接続して、加熱ダクト376により出力給気(高温側)364を受け入れることができる。暖房装置370は、マイクロ/ナノタービン122または水処理装置200から下流部への排気通路から高温排気162、262を受け入れ、熱伝達を行うようになる。この方法では、微小規模エネルギー熱電併給装置がある場所または建物での加熱要件について補助することができる。
【0064】
例示的な実施形態に示すとおり、出力給気(高温側)364は、熱交換器372に向かって流れる。空気は送風機374により暖房装置370内に引き込まれ、熱交換器372を通過する。空気が熱交換器372を通過すると、その空気は温められる。空気は出力給気(高温側)364と混ざり合い、さらに空気の温度全体が上昇して排気熱および/または出力熱378として排出される。
【0065】
図11は、電力供給網600に接続された微小規模エネルギー熱電併給装置100の概略図である。
【0066】
図11に示すとおり、本微小規模エネルギー熱電併給装置100は、電力線610により配電盤制御装置・計量器620に取り付けられる。配電盤制御装置・計量器は、建物または敷地への配電を補助する。全般的に、本微小規模エネルギー熱電併給装置100からの瞬間負荷は、標準家庭用電気ボックスの制御装置に従う。本ナノ・タービン微小規模エネルギー熱電併給装置100は、容易に電気ボックス制御装置のあらゆる標準構成に適合できる。
【0067】
本装置は、制御センター500を介した伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)ネットワーク400を用いて制御することもできる。それに応じて、微小規模エネルギー熱電併給装置100は、必要な場合電力供給網600からエネルギーを取り入れれるか、現地装置の消費量が生成されるエネルギーよりも少ない場合には電力供給網600にエネルギーを供給することができる。本装置の主な機能には、同じ利用者の複数ユニットを接続して拡張する能力が含まれているか、複数のユニットを電力供給網として相互接続して特定利用者一群のエネルギー需要量を均衡させることができる。
【0068】
上記で全般的に指摘したとおり、ナノタービン微小規模エネルギー熱電併給装置100を住宅内に統合し、既存のエネルギー装置を補完または代用することができる。エネルギー装置はエネルギーを必要とする全種類・規模の建物や構造物さらに敷地に統合させることができる点に注意する必要がある。理解のとおり、本装置100には、機器や系統がほとんど含まれないこともあり、追加機器・系統が含まれる場合もある。
【0069】
エネルギー装置100により、1つ以上の暖房装置、冷房装置、水加熱装置および電気系統を移動式・携帯式ユニットに統合させることができる。上記の説明から理解されるとおり、エネルギー装置100は、さまざまな種類の燃料で動力供給される。ナノタービン微小規模エネルギー熱電併給装置100を用いることで、エネルギー系統によりある場所、建物または構造物での電気的、水加熱・冷却や温水、および/または飲料水へのニーズを満たすことができる。これを、ハイブリッド車、船舶動力、屋外用途および家庭用用途で使用することもできる。
【0070】
家庭用エネルギー装置100により、例えば住宅などの単一の場所、構造物または建物の電気的ニーズすべてではないにしても少なくともその一部を満たすよう供給することができる。エネルギー装置100は、接続箱または配電盤制御装置・計量器で電力供給網600と統合させ、ある場所での電気負荷を分散することができる。エネルギー装置または電力供給網600のいずれかは、予備装置または補助装置として役立つ他の系統を伴う一次系とすることができる。エネルギー装置により必要となるものよりも多くの電気が生成された場合には、電気負荷をある種のバッテリなどの貯蔵装置内に貯蔵することもでき、で力供給網600に還流させることもできる。電気会社に接続されていない系統では、遠隔位置にある類似系統構成さらに電気負荷を地域の電力供給網600上の特定位置に送達できる。あるいは、余剰電気負荷が電力供給網600に戻った場合、余剰電気を有する住宅では、電気会社の送電網を通じて電気負荷を受け入れる特定の住宅または場所を指定することができる。このような電気負荷共有により、2か所において、電気会社から購入するよりも低いコストで電気負荷を交換できるようになる。
【0071】
本装置には、以下を含むがそれらには限定されないいくつかの用途がある。
(a) 電気自動車のハイブリッド化
(b) 電力および熱の国内生産
(c) 高性能電力供給網
(d) 船舶への出力・熱供給
(e) 屋外用途
【0072】
図面および上記の説明に示す実施形態は例証目的に過ぎず、特許請求の範囲で定める本発明の範囲を限定する意図はなく、均等論を含む特許法の原則により解釈されるとおりに従う。
【符号の説明】
【0073】
参照番号 説明
100 微小規模エネルギー熱電併給装置
102 エネルギー生成装置筐体
103 部品取付用金具
104 前部エンドキャップ
105 換気グリル
106 後部エンドキャップ
107 加熱空気排気口
108 排気移送体
109 エネルギー生成装置脚部
120 圧縮機
122 マイクロ/ナノタービン
124 マイクロ発電機
126 タービン軸
127 発電機軸
129 燃料供給装置
130 インバータ中央処理装置(CPU)
131 有線または無線通信回路
132 生成電力出力
140 熱交換器
142 熱交換体(低温側)
144 熱交換体(高温側)
150 燃焼室
160 ナノタービンへの入力給気
162 高温排気(燃焼器)
164 出力給気(高温側)
170 ハンドル
200 水処理装置
202 エネルギー生成装置筐体
203 部品取付用金具
204 前部エンドキャップ
205 換気グリル
206 後部エンドキャップ
207 加熱空気排気口
208 排気移送体
209 エネルギー生成装置脚部
240 熱交換器
242 熱交換体(高温側)
244 熱交換体(低温側)
260 ナノタービンへの入力給気
262 高温排気
264 出力給気(高温側)
270 温水加熱器またはボイラ
271 水
272 復水器
273 飲料水
300 空気加熱装置
302 エネルギー生成装置筐体
303 部品取付用金具
304 前部エンドキャップ
305 換気グリル
306 後部エンドキャップ
307 加熱空気排気口
308 排気移送体
309 エネルギー生成装置脚部
340 熱交換器
342 熱交換体(高温側)
344 熱交換体(低温側)
360 熱交換器への入力給気
362 高温排気
364 出力給気(高温側)
370 暖房装置
372 熱交換器
374 送風機
376 加熱ダクト
378 排気熱および/または出力熱
400 伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)ネットワーク
500 制御センター
600 電力供給網
610 電力線
620 配電盤制御装置・計量器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11