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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】毛髪洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/44 20060101AFI20231108BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20231108BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20231108BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20231108BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
A61K8/44
A61K8/02
A61K8/46
A61K8/81
A61Q5/02
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019236477
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2021104967
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】502439647
【氏名又は名称】株式会社ダリヤ
(72)【発明者】
【氏名】松崎 晃一
【審査官】片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-187359(JP,A)
【文献】特開2017-019740(JP,A)
【文献】特開平08-283785(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/99
A61Q1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩
(B)ラウリン酸アミドプロピルベタイン
(C)塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体
を含有し、前記(A)成分の含有量が1~2質量%であり、前記(B)成分の含有量が5.4~12質量%であり、前記(C)成分の含有量が0.8~5質量%であり、エタノールの含有量が1質量%以下であり、多価アルコールの含有量が3質量%以下であり、かつ透明な外観を有し、粘度が20℃条件下で100mPa・s以下である毛髪洗浄剤組成物が、吐出孔内部に100メッシュおよび00メッシュから選ばれる多孔質膜を2枚または3枚有するノンエアゾールフォーマー容器に収容されてなる毛髪洗浄剤製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪洗浄剤組成物に関する。さらに詳しくは、染色された毛髪の褪色抑制性に優れ、ノンエアゾールフォーマー容器からの吐出時に目詰まりすることがなく、さらに洗い流し時の使用感が良好であり、起泡性が高く、かつ外観が透明である毛髪洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のファッション意識の高まりから、手軽に髪の色を変化させることのできる永久染毛剤や半永久染毛料といったヘアカラーリング剤は、男女問わず多くの人に受け入れられている。しかしながらヘアカラーリング剤は、紫外線やパーマネントウェーブの施術など、様々な要因で色落ちし、その要因の一つに毛髪洗浄が挙げられる。毛髪洗浄は、毛髪の汚れを落とす一方、ヘアカラーリング剤で染色した色素も同時に毛髪から離脱させてしまう。そのため、褪色抑制性に優れた毛髪洗浄剤組成物が求められ、いくつか開示されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、毛髪洗浄による褪色を抑制し、両性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性高分子およびキレート剤を含有する毛髪洗浄剤組成物が提案されている。
【0004】
一方、従来の毛髪洗浄剤組成物の形態としては、容器から毛髪洗浄剤組成物を液状に吐出させて使用するタイプのもの広く使用されていたが、このような毛髪洗浄剤組成物は、容器から毛髪洗浄剤組成物を液状のまま手に吐出させた後に、手のひら、もしくは頭髪上で泡立ててから洗髪する必要があり、簡便性に欠ける。そこで容器から泡状で出てくるノンエアゾールフォーマータイプの毛髪洗浄剤組成物もこれまで多く使用されてきた。
【0005】
しかしながら、従来のノンエアゾールフォーマータイプの毛髪洗浄剤組成物は、使用感が悪く、使用感向上のために油性成分やカチオン性高分子または両性高分子を配合すると、ノンエアゾールフォーマーの容器が目詰まりするといった問題があった。
【0006】
これら問題を解決するために様々な試みが行われている。
【0007】
例えば、特許文献2には、洗浄効果とコンディショニング効果に優れ、良好な泡の感触を示し、ノンエアゾールフォーマー容器の目詰まりを起こしにくい、アニオン性界面活性剤、カチオン性ポリマー、非イオン性界面活性剤、一価の低級アルコールおよび多価アルコールを含有する毛髪洗浄剤組成物が提案されている。
【0008】
特許文献3には、優れたコンディショニング効果とクリーミーで安定した泡が得られ、ノンエアゾールフォーマー容器の目詰まりを起こしにくい、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性高分子および/または両性高分子を含有する毛髪洗浄剤組成物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2017-19740号公報
【文献】特開2000-336019号公報
【文献】特開2001-172166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1の毛髪洗浄剤組成物は、洗髪による褪色を抑制している。しかしながら、粘度が高いため、ノンエアゾールフォーマー容器では目詰まりし、使用性に難を生じる。
【0011】
特許文献2および3の毛髪洗浄剤組成物は、コンディショニング効果を有するカチオン性高分子または両性高分子を配合し、なおかつノンエアゾールフォーマー容器の目詰まりを起こしにくい。しかしながら、カチオン性高分子やジメチルジアリルアンモニウムハライドのカチオン性官能基を有する両性高分子は、アニオン性界面活性剤との複合体を形成し、ノンエアゾールフォーマー容器の目詰まりを起こしやすい。そのため、この複合体を過剰のアニオン性界面活性剤を用いて可溶化させなければならないが、アニオン性界面活性剤の含有量が増大するほど、褪色抑制性は低下する。
【0012】
また、褪色防止のためアニオン性界面活性剤の含有量を多くせず、複合体の形成を抑制するためにカチオン性高分子や両性高分子の含有量を少量にすると、洗い流し時の使用感は低下する恐れがある。
【0013】
特に高いコンディショニング効果を有する高分子量(重量平均分子量20万以上)のカチオン性高分子や両性高分子では、アニオン性界面活性剤と複合体を形成しやすく、目詰まりや褪色防止を抑制するために、含有可能量は低くなり、洗い流し時の使用感への改善の余地があった。
【0014】
加えて、このような複合体や油性成分の可溶化が不十分であると、毛髪洗浄剤組成物の外観は白濁する恐れがある。毛髪洗浄剤組成物の外観としては、透明容器に収容した際の美観の観点から、透明であることが好ましい。
【0015】
更に、従来のノンエアゾールフォーマータイプの毛髪洗浄剤組成物は、ノンエアゾールフォーマー容器の目詰まり防止のため、減粘剤としてエタノールや多価アルコールを含有する場合もあるが、エタノールや多量の多価アルコールは褪色抑制性を低下させる恐れがある。
【0016】
そこで本発明は、上記問題を鑑みてなされたものであり、染色された毛髪の褪色抑制性に優れ、ノンエアゾールフォーマー容器からの吐出時に目詰まりすることがなく、さらに洗い流し時の使用感が良好であり、起泡性が高く、かつ外観が透明である毛髪洗浄剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者は、毛髪洗浄剤組成物に、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ラウリン酸アミドプロピルベタインおよび塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体を含有させることにより、上記課題が解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0018】
すなわち、本発明は、ノンエアゾールフォーマー容器に収容し、泡状に吐出して使用される毛髪洗浄剤組成物であって、
(A)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩
(B)ラウリン酸アミドプロピルベタイン
(C)塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体
を含有し、前記(A)成分の含有量が1~2質量%であり、前記(B)成分の含有量が5.4~12質量%であり、前記(C)成分の含有量が0.8~5質量%であり、エタノールの含有量が1質量%以下であり、多価アルコールの含有量が3質量%以下であり、かつ透明な外観を有することを特徴とする毛髪洗浄剤組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の毛髪洗浄剤組成物は、染色された毛髪の褪色抑制性に優れ、ノンエアゾールフォーマー容器からの吐出時に目詰まりすることがなく、さらに洗い流し時の使用感が良好であり、起泡性が高く、かつ外観が透明である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、含有量を示す単位は、特に明記しない限り全て質量%である。
【0021】
本発明は、ノンエアゾールフォーマー容器に収容し、泡状に吐出して使用される毛髪洗浄剤組成物であって、
(A)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩
(B)ラウリン酸アミドプロピルベタイン
(C)塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体
を含有し、前記(A)成分の含有量が1~2%であり、前記(B)成分の含有量が5.4~12%であり、前記(C)成分の含有量が0.8~5%であり、エタノールの含有量が1%以下であり、多価アルコールの含有量が3%以下であり、かつ透明な外観を有することを特徴とする毛髪洗浄剤組成物を提供するものである。
【0022】
本発明の毛髪洗浄剤組成物について説明する。
【0023】
本発明による、毛髪洗浄剤組成物は、洗浄性の観点から(A)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩を含有する。
【0024】
本発明で用いられる前記(A)成分としては、起泡性の観点から、炭素数10~18のアルキル基を有するものが好ましく、炭素数12~16のアルキル基を有するものがより好ましい。
【0025】
本発明で用いられる前記(A)成分のエチレンオキシドの付加モル数としては、起泡性の観点から1~3が好ましい。
【0026】
本発明で用いられる前記(A)成分の塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩、アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸由来のカチオンなどが挙げられ、起泡性の観点からナトリウムが好ましい。
【0027】
本発明で用いられる前記(A)成分の含有量は、起泡性と容器の目詰まりの観点から、1~2%が好ましい。前記(A)成分が1%未満の場合、十分な起泡性が得られない恐れがある。前記(A)成分が2%を超える場合、褪色抑制性の低下と、容器の目詰まりを起こす恐れがある。
【0028】
本発明による、毛髪洗浄剤組成物は、起泡性の観点から(B)ラウリン酸アミドプロピルベタインを含有する。
【0029】
本発明で用いられる前記(B)成分の含有量は、外観の透明性と容器の目詰まりの観点から、5.4~12%が好ましい。前記(B)成分が5.4%未満の場合、外観の透明性の低下と容器の目詰まりを起こす恐れがある。前記(B)成分が12%を超えて含有しても、それ以上の起泡性の向上を期待できない。
【0030】
本発明による、毛髪洗浄剤組成物は、洗い流し時の使用感の観点から(C)塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体を含有する。
【0031】
本発明で用いられる前記(C)成分の含有量は、洗い流し時の使用感と容器の目詰まりの観点から、0.8~5%が好ましい。前記(C)成分が0.8%未満の場合、洗い流し時の使用感が悪化する恐れがある。前記(C)成分が5%を超える場合、容器の目詰まりを起こす恐れがある。
【0032】
本発明による、毛髪洗浄剤組成物は、褪色抑制性と起泡性の観点から、エタノールの含有量は1%以下であり、好ましくは0.1%以下であり、さらに好ましくは含有しないことがよい。エタノールが1%を超える場合、褪色抑制性と起泡性の低下を起こす恐れがある。
【0033】
本発明による、毛髪洗浄剤組成物は、多価アルコールを含有することができる。
【0034】
本発明の毛髪洗浄剤組成物に含有できる多価アルコールとしては、特に限定されないが、例えば、グリセリン、ジグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等が挙げられる。
【0035】
本発明による、毛髪洗浄剤組成物における多価アルコールの含有量は、褪色抑制性と起泡性の観点から、好ましくは3%以下である。多価アルコールが3%を超える場合、褪色抑制性と起泡性の低下を起こす恐れがある。
【0036】
本発明による、毛髪洗浄剤組成物は、毛髪洗浄剤組成物を透明容器に収容する際の美観の観点から、透明であることが好ましい。
【0037】
本発明における透明とは、100mLのグリフィンビーカーに毛髪洗浄剤組成物を100mL充填した時に、ビーカーの底に置いた紙の文字(フォント11程度)が読める程度の状態であることを意味する。
【0038】
本発明による、毛髪洗浄剤組成物は、上記成分の他に必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で上記成分以外の通常の化粧料、医薬部外品、医薬品等に用いられる各種成分、例えば、直接染料、酸性染料、塩基性染料、HC染料、前記(A)および(B)成分以外の界面活性剤、カチオン性高分子、前記(C)成分以外の両性高分子、油性成分、保湿剤、増粘剤、薬効成分、蛋白誘導体、加水分解蛋白、アミノ酸類、金属封鎖剤、酸化防止剤、植物性抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、防腐剤、色素、顔料、粉体、pH調整剤、紫外線吸収剤、香料等から選ばれる少なくとも1種以上を含有することができる。ただし、これら例示に限定されるものでない。
【0039】
本発明による、毛髪洗浄剤組成物は、容器の目詰まりの観点から、20℃の条件下で粘度が100mPa・s以下であることが好ましい。粘度が100mPa・sを超える場合、容器の目詰まりを起こす恐れがある。
【0040】
本発明における毛髪洗浄剤組成物の20℃の条件下における粘度は、常法にて調製して得られ毛髪洗浄剤組成物を20℃で1日間放置し調温した後に、ヘリカルスタンド付B型粘度計(モデル:デジタル粘度計TVB-10M、東機産業株式会社製)により、1号ローターにて1分間、粘度が100mPa・s以下の場合は回転速度60rpm、100mPa・sを超える場合は回転速度30rpmの条件下で測定したものである。
【0041】
本発明による、毛髪洗浄剤組成物は、刺激性と使用感との観点から、20℃の条件下でpHが5~7であることが好ましい。pHが5未満の場合、洗髪時に刺激を感じる恐れがある。pHが7を超える場合、乾かした後の指通りの低下を起こす恐れがある。
【0042】
本発明における毛髪洗浄剤組成物の20℃の条件下におけるpHは、常法にて調製して得られ毛髪洗浄剤組成物を20℃で1日間放置し調温した後に、ガラス電極式水素イオン濃度指示計(F-71、堀場製作所製)にて測定したものである。
【0043】
本発明に用いられる毛髪洗浄剤組成物は、ノンエアゾールフォーマー容器に収容し、泡状に吐出して使用される。すなわち、ノンエアゾールフォーマー容器に収容して、ノンエアゾールフォーマー型毛髪洗浄剤製品とすることができる。また、本発明の毛髪洗浄剤組成物は、パウチ容器、ポリ容器などの詰め替え用容器に収容した製品とし、前記詰め替え用容器からノンエアゾールフォーマー容器に移し替えて使用する形態とすることもできる。
【0044】
本発明の毛髪洗浄剤組成物を泡状に吐出するノンエアゾールフォーマー容器としては、毛髪洗浄剤組成物と空気を混合して泡状にする種類のノンエアゾールフォーマー容器が挙げられ、さらに具体的には、ノズル部分を押すことにより泡を吐出できるポンプフォーマー型や、ボトルをスクイズすることにより泡を吐出できるスクイズフォーマー型が挙げられる。一定量の泡を吐出できるといった観点から、ポンプフォーマー型が好ましい。
【0045】
本発明の毛髪洗浄剤組成物を泡状に吐出するノンエアゾールフォーマー容器としては、特に限定されないが、容器の目詰まりと泡質の観点から、好ましくは吐出孔内部に100メッシュ~200メッシュの2枚以上の多孔質膜を有するものであり、より好ましくは100メッシュと200メッシュの2枚の多孔質膜を有するものである。
【実施例
【0046】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、本明細書に示す評価試験において、毛髪洗浄剤組成物に含まれる成分、および、その含有量を種々変更しながら実施した。各成分の含有量を示す単位は全て質量%であり、これを常法にて調製した。
【0047】
<容器の目詰まり>
本明細書に示す「容器の目詰まり」に係る評価試験においては、300mLのポンプフォーマー型ノンエアゾールフォーマー容器に、毛髪洗浄剤組成物を300mL充填し、25℃の条件下において30回吐出した。このときの吐出のしやすさを、10名のパネラーにより、下記の評価基準のように評価し、その合計点を評価結果として評価した。なお、表1~表4では、吐出孔内部に100メッシュと200メッシュの2枚の多孔質膜を有する(大和製罐社製:型番F5L、吐出量1g)ポンプフォーマー型ノンエアゾールフォーマー容器を用いた。
【0048】
<容器の目詰まりの評価基準>
問題なく吐出できた :2点
吐出するのにやや力が必要、または泡の体積が小さい:1点
吐出するのに相当の力が必要、または泡にならない :0点
【0049】
<容器の目詰まりの評価結果>
◎:15点以上~20点以下
○:10点以上~15点未満
△:5点以上~10点未満
×:0点以上~5点未満
【0050】
<褪色抑制性>
本明細書に示す「褪色抑制性」に係る評価試験においては、35℃の温水1gで濡らした100%ヤク毛(ビューラックス社製)1gに対し、下記の塩基性染料含有組成物0.3gを塗布し、25℃にて5分間静置した後、35℃の温水で1分間洗い流し、ドライヤーを用いて乾燥させた。この染色操作を5回繰り返した。染毛した毛束1gに対して、精製水にて10%に希釈した毛髪洗浄剤組成物を1g塗布し、クシを用いて表裏各10回コーミングした後、35℃の温水で1分間洗い流した。この洗髪操作を5回繰り返した後の色味の変化を、10名のパネラーにより、下記の評価基準のように評価し、その合計点を評価結果として評価した。
【0051】
<塩基性染料含有組成物-1>
塩基性青75 0.02%
エチレングリコール 5.00%
メチルポリシロキサン 5.00%
セチルアルコール 5.00%
1,3-ブチレングリコール 3.00%
流動パラフィン 2.50%
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 2.00%
クエン酸 0.02%
クエン酸ナトリウム(2水和物) 0.15%
パラオキシ安息香酸メチル 0.20%
精製水 77.11%
合計 100.00%
【0052】
<褪色抑制性>
洗髪前と洗髪後の毛束を比較して、色落ちを感じなかった:2点
洗髪前と洗髪後の毛束を比較して、色落ちをやや感じた :1点
洗髪前と洗髪後の毛束を比較して、色落ちをかなり感じた:0点
【0053】
<褪色抑制性>
◎:15点以上~20点以下
○:10点以上~15点未満
△:5点以上~10点未満
×:0点以上~5点未満
【0054】
<起泡性」
本明細書に示す「起泡性」に係る評価試験においては、毛髪洗浄剤組成物3gを、35℃の温水で適度に濡らしたウィッグ(人毛黒毛100%、ビューラックス社製、型番:クイーン・カットNo.775N)に塗布し、1分間両手で揉み込んだ。このときの起泡性を、10名のパネラーにより、下記の評価基準のように評価し、その合計点を評価結果として評価した。
【0055】
<起泡性の評価基準>
泡立ちが良好であった:2点
泡立ちがやや悪かった:1点
泡立ちが悪かった :0点
【0056】
<起泡性の評価結果>
○:15点以上~20点以下
△:7点以上~15点未満
×:0点以上~7点未満
【0057】
<洗い流し時の使用感>
本明細書に示す「洗い流し時の使用感」に係る評価試験においては、毛髪洗浄剤組成物3gを、35℃の温水で適度に塗らしたウィッグ(人毛黒毛100%、ビューラックス社製、型番:クイーン・カットNo.775N)に塗布し、1分間両手で揉み込み、その後35℃の温水で1分間洗い流した。このときの、洗い流しの使用感を、10名のパネラーにより、下記の評価基準のように評価し、その合計点を評価結果として評価した。
【0058】
<洗い流し時の使用感の評価基準>
きしみや引っ掛かりをまったく感じなかった:2点
きしみや引っ掛かりをやや感じた :1点
きしみや引っ掛かりを感じた :0点
【0059】
<洗い流し時の使用感の評価結果>
○:15点以上~20点以下
△:7点以上~15点未満
×:0点以上~7点未満
【0060】
<吐出後の泡質>
本明細書に示す「吐出後の泡質」に係る評価試験においては、300mLのポンプフォーマー型ノンエアゾールフォーマー容器に、毛髪洗浄剤組成物を300mL充填し、25℃の条件下において3回吐出した。このときの吐出の泡質を、10名のパネラーにより、下記の評価基準のように評価し、その合計点を評価結果として評価した。
【0061】
<吐出後の泡質>
泡の目がきめ細かい :2点
泡の目がややきめ細かい:1点
泡の目が粗い :0点
【0062】
<吐出後の泡質>
◎:15点以上~20点以下
○:10点以上~15点未満
△:5点以上~10点未満
×:0点以上~5点未満
【0063】
表1の実施例1、2では、前記(A)成分の含有量を変えても、比較例1~3と比較して、容器の目詰まりが起きず、良好な褪色抑制性および起泡性を示す結果が得られた。
【0064】
【表1】
※1:高粘度のため、1号ローター、30rpmでは測定不可
【0065】
表2の実施例3、4では、前記(B)成分の含有量を変えても、比較例4、5と比較して、透明な外観を示す結果が得られた。
【0066】
【表2】
【0067】
表3の実施例5,6では、前記(C)成分の含有量を変えても、比較例6~10と比較して、容器の目詰まりが起きず、良好な洗い流し時の使用感を示す結果が得られた。
【0068】
【表3】
※2:析出したため、粘度測定不可
【0069】
表4の実施例7~10では、多価アルコールの種類及び含有量を変えても、比較例11、12と比較して、良好な褪色抑制性および起泡性を示す結果が得られた。
【0070】
【表4】
【0071】
実施例1の毛髪洗浄剤組成物を用いて、<容器の目詰まり>と<泡質>を評価した。表5の実施例11~23では、多孔質膜の種類及び枚数を変えても、容器の目詰まりが起きず、良好な泡質を示す結果が得られた。
【0072】
【表5】
【0073】
実施例1の毛髪洗浄剤組成物と、ノンエアゾールフォーマー容器として100メッシュと200メッシュの2枚の多孔質膜を有するスクイズフォーマー型を用いて、上記評価試験と同様の評価試験を実施した結果、<容器の目詰まり>は「◎」であり、<泡質>は「◎」であった。
【0074】
実施例1の毛髪洗浄剤組成物と下記の塩基性染料含有組成物-2、および塩基性染料含有組成物-3を用いて「褪色抑制性」評価試験を実施した。試験の結果、塩基性染料の種類を変えても、良好な褪色抑制性を示す結果が得られた。
【0075】
<塩基性染料含有組成物-2>
塩基性赤51 0.02%
エチレングリコール 5.00%
メチルポリシロキサン 5.00%
セチルアルコール 5.00%
1,3-ブチレングリコール 3.00%
流動パラフィン 2.50%
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 2.00%
クエン酸 0.02%
クエン酸ナトリウム(2水和物) 0.15%
パラオキシ安息香酸メチル 0.20%
精製水 77.11%
合計 100.00%
【0076】
<塩基性染料含有組成物-3>
塩基性茶16 0.20%
エチレングリコール 5.00%
メチルポリシロキサン 5.00%
セチルアルコール 5.00%
1,3-ブチレングリコール 3.00%
流動パラフィン 2.50%
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 2.00%
クエン酸 0.02%
クエン酸ナトリウム(2水和物) 0.15%
パラオキシ安息香酸メチル 0.20%
精製水 76.93%
合計 100.00%
【0077】
下記に毛髪洗浄剤組成物の処方例を示す。以下の毛髪洗浄剤組成物は、目詰まりすることなく、褪色抑制性と洗い流し時の使用感および起泡性において良好な結果を示し、かつ外観が透明であった。
【0078】
<処方例>
(C12,13)パレス-3硫酸Na 1.40%
ラウリン酸アミドプロピルベタイン液 6.00%
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体 1.30%
1,3-ブチレングリコール 2.00%
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 0.50%
リン酸二水素ナトリウム 0.50%
リン酸一水素ナトリウム 0.10%
エデト酸二ナトリウム 0.30%
安息香酸Na 0.03%
パラオキシ安息香酸メチル 0.30%
ローヤルゼリーエキス 0.10%
ツバキ花エキス 0.10%
ヒバマタエキス 0.10%
ホホバ種子油 0.10%
香料 0.30%
水 86.87%
合計 100.00%
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、染色された毛髪の褪色抑制性に優れ、ノンエアゾールフォーマー容器からの吐出時に目詰まりすることがなく、さらに洗い流し時の使用感が良好であり、起泡性が高く、かつ外観が透明である液体洗浄剤組成物を提供することができる。