(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】空気浄化装置
(51)【国際特許分類】
A61L 9/00 20060101AFI20231108BHJP
A61L 9/20 20060101ALI20231108BHJP
F24F 8/22 20210101ALI20231108BHJP
F24F 8/80 20210101ALI20231108BHJP
【FI】
A61L9/00 C
A61L9/20
F24F8/22
F24F8/80 216
F24F8/80 220
F24F8/80 236
F24F8/80 238
(21)【出願番号】P 2020084707
(22)【出願日】2020-05-13
【審査請求日】2023-01-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】597059948
【氏名又は名称】有限会社アーキネット
(74)【代理人】
【識別番号】110000419
【氏名又は名称】弁理士法人太田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 和由
(72)【発明者】
【氏名】江田 憲彰
(72)【発明者】
【氏名】西永 忠由
【審査官】宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-260244(JP,A)
【文献】特開2002-011083(JP,A)
【文献】特開平06-223955(JP,A)
【文献】特開2011-224121(JP,A)
【文献】特開2008-142427(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0230273(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00-9/22
B01D 53/34-53/85
B01D 53/92
B01D 53/96
F24F 8/00
F24F 8/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体
の下方に設けられた吸気口から吸入した空気中の浮遊物を燃焼して、
本体
の上方に設けられた排気口から排出する空気浄化装置であって、
前記吸気口から取り入れた空気に紫外線を照射するための紫外線照射装置と、
前記紫外線を照射された空気中の浮遊物を燃焼するための加熱装置と、
が設けられ、
前記紫外線照射装置は、
直管のUVランプを中心軸の周りに背中合わせに設置されたものであって、
前記加熱装置は、
本体の内壁と、上下に配置された第1基板及び第2基板とで加熱空間が形成され、
前記第1基板上に形成された渦巻き状の溝の内部に配設された第1ヒーターと、
前記第2基板上に形成された渦巻き状の溝の内部に配設された第2ヒーターとが設けられ、
前記第1ヒーターと第2ヒーターとは向かい合わせで前記加熱空間内を加熱するよう配置されており、
前記第1基板及び第2基板の周囲は本体の内壁に当接されており、
前記加熱空間を通過する空気が、
前記第1ヒーターが配置された第1基板の溝に設けられた第1貫通孔のみから導入され、
前記第2ヒーターが配置された第2基板の溝に設けられた第2貫通孔のみから導出されるようにされており、
前記紫外線照射装置によって殺菌された空気は、
前記加熱空間に導入されるに際し、
前記第1貫通孔によって分岐されるともに、
前記第1貫通孔内に配設された第1ヒーターによってまずは加熱され、
前記加熱空間から導出される際には、
前記第2貫通孔内に配設された第2ヒーターによって再加熱されつつ、
前記第2貫通孔を通過して、
本体から導出されるようにしたものであることを特徴とする空気浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸引した空気中の浮遊物(チリやホコリなど)を燃焼し、浄化した空気を排出する空気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、空気清浄機としては、カテキンなどを含浸したフィルターによって、細菌やウイルスを捕捉してカテキンの殺菌作用により死滅させる方式のものが用いられている。
しかし、フィルターを用いた空気清浄機は、継続使用により、フィルターの目詰まりを除去するためのメンテナンスなど、手間がかかっていた。
また、病院の待合室や介護施設のロビーなどにおいては、HEPAフィルターを用いた空気清浄化の例もある。
しかし、このHEPAフィルターについても、院内感染などを十分に防止できているとはいい難い。
例えば、特許文献1には、HEPAフィルターや吸着剤を用いて、循環空気中に含まれる汚染物質を除去・低減させる空気調和システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の空気調和システムでは、HEPAフィルターによっては、空気中の菌やウイルスを捕らえることは難しく、ほとんどの細菌やウイルスは、再循環空気の中に温存されたまま室内に供給されることが懸念される。
本発明は上述の問題に鑑みてなされたもので、空気に存在する細菌やウイルスは、多くは空気中のチリやホコリなどの浮遊物に付着して漂っているという点に着目し、空気中のチリやホコリなどの浮遊物を積極的に吸引して、加熱・焼失させ、浮遊物に付着している菌やウイルスを死滅させることにより、空気を浄化することができる空気浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の空気浄化装置は、以下の特徴を有する。
(1)本体の下方に設けられた吸気口から吸入した空気中の浮遊物を燃焼して、
本体の上方に設けられた排気口から排出する空気浄化装置であって、
前記吸気口から取り入れた空気に紫外線を照射するための紫外線照射装置と、
前記紫外線を照射された空気中の浮遊物を燃焼するための加熱装置と、
が設けられ、
前記紫外線照射装置は、
直管のUVランプを中心軸の周りに背中合わせに設置されたものであって、
前記加熱装置は、
本体の内壁と、上下に配置された第1基板及び第2基板とで加熱空間が形成され、
前記第1基板上に形成された渦巻き状の溝の内部に配置された第1ヒーターと、
前記第2基板上に形成された渦巻き状の溝の内部に配置された第2ヒーターとが設けられ、
前記第1ヒーターと第2ヒーターとは向かい合わせで前記加熱空間内を加熱するよう配置されており、
前記第1基板及び第2基板の周囲は本体の内壁に当接されており、
前記加熱空間を通過する空気が、
前記第1ヒーターが配置された第1基板の溝に設けられた第1貫通孔のみから導入され、
前記第2ヒーターが配置された第2基板の溝に設けられた第2貫通孔のみから導出されるようにされており、
前記紫外線照射装置によって殺菌された空気は、
前記加熱空間に導入されるに際し、
前記第1貫通孔によって分岐されるともに、
前記第1貫通孔内に配設された第1ヒーターによってまずは加熱され、
前記加熱空間から導出される際には、
前記第2貫通孔内に配設された第2ヒーターによって再加熱されつつ、
前記第2貫通孔を通過して、
本体から導出されるようにしたものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の空気浄化装置は、空気中のチリやホコリなどの浮遊物を積極的に吸引して、加熱・焼失させ、浮遊物に付着している菌やウイルスを死滅させることにより、空気を浄化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態1の空気浄化装置の外観を示す説明図である。
【
図2】実施形態1の空気浄化装置の内部構造を示す縦断面図である。
【
図3】実施形態1の空気浄化装置の加熱装置の構成を示す縦断面図である。
【
図4】実施形態1の加熱装置の形状を示す平面図であり、(a)はセラミック基板の溝に配設されたヒーターの配置を示し、(b)はセラミック基板に設けられた貫通孔を示す。
【
図5】実施形態1の空気浄化装置の紫外線照射装置の外観を示す斜視図である。
【
図6】実施形態2の空気浄化装置の内部構造を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の空気浄化装置について説明する。
<実施形態1>
図1は、本発明の実施形態1の空気浄化装置の外観を示す説明図である。
図2は、実施形態1の空気浄化装置の内部構造を示す縦断面図である。
図3は、実施形態1の空気浄化装置の加熱装置の構成を示す縦断面図である。
図4は、実施形態1の加熱装置の形状を示す平面図であり、
(a)はセラミック基板の溝に配設されたヒーターの配置を示し、(b)はセラミック基板に設けられた貫通孔を示す。
【0009】
図1に示すように、実施形態1の空気浄化装置1は、その外形が縦長の直方体形状の、耐火被覆を施したステンレス製の本体10を備えている。
本体10には、その下方に、外部から空気を空気浄化装置1に取り入れるための吸気口11が設けられているとともに、その上方には、空気浄化装置1を通過して、処理した空気を外部に排出する排気口12が設けられている。
【0010】
<加熱装置>
図2、
図3、
図4に示すように、空気浄化装置1には、その内部に加熱装置20が設けられている。
加熱装置20は、吸気口11から取り入れた空気を加熱するための装置であり、
例えば、ニクロム線コイル(ヒーター21)を、セラミック製の基板22上に形成された溝23に渦巻き状に配線した、いわゆる卓上電熱コンロのようなものが挙げられる。
実施形態1では、それぞれが300W/hの電力量の、2台のヒーター21が対向して向かい合わせで配設されて加熱装置20を構成している。
これにより、ヒーター21(21a、21b)同士が向かい合わせに配設されて形成された加熱空間25の温度を高温化することができる。
また、ヒーター21が設けられている基板22(22a、22b)には、その裏から表へ(または表から裏へ)空気を通過させるための貫通孔24(24a、24b)が複数形成されている。
実施形態1では、加熱装置20を通過する空気が、第1ヒーター21aが配置された第1基板22aに設けられた第1貫通孔24aから導入され、第2ヒーター21bの第2基板22bに設けられた第2貫通孔24bから導出されるように構成されている。
なお、実施形態1では、直径6mmで34個の貫通孔24が、それぞれ第1基板22a、第2基板22bに形成されているが、通気孔の直径や個数は、状況により適宜決定することができる。
【0011】
基板22は、円盤状の周囲が、本体10の内壁に当接するように、本体10の上下方向中央に配置されている。
なお、基板22には、ヒーター21に電力を供給するための電極端子が設けられており、外部の電源に接続されるようになっている。
これにより、電極端子に電圧を印加してヒーター21に電流を流すことによって通過する空気を加熱することができる。
【0012】
<紫外線照射装置30>
また、空気浄化装置1の下方には、紫外線照射装置30が設けられている。
これにより、吸気口13から本体10内に取り入れた空気を殺菌することができる。
紫外線照射装置30としては、UVランプ31が挙げられる。
実施形態1では、UVランプ受け台32の上に上下方向に形成された中心軸33の周りに、15WのUVランプ3本を背中合わせに設置している。
【0013】
<吸気ファン40、排気ファン50>
本体10の下方には、外部から空気を本体10に取り入れるための吸気ファン40が取り付けられている。
また、本体10の上方には、処理された空気を外部に排出するための排気ファン50が取り付けられている。
実施形態1の空気浄化装置1では、風量150m3/時間の、吸気ファン40、排気ファン50を、本体10の下方、上方にそれぞれ取り付け、外部空気を下部の吸気口11から吸い上げ、処理した空気を上部の排気口12から排出するようにしている。
【0014】
次に、上のように構成された空気浄化装置1の動作について説明する。
空気浄化装置1に電源を接続してオンにすると、吸気ファン40が回転し、空気浄化装置1が設置された室内の空気を吸気口11から吸入する。
吸気口11から吸入された空気は、まずは紫外線照射装置30によって殺菌される。
殺菌された空気は上昇して、加熱装置20の第1基板22aに設けられた第1貫通孔24aで細い流路に分かれて加熱空間25に導入される。
この導入時において、空気はこの細い流路(第1貫通孔24a)に分岐されることによって、細い流路中の空気がヒーター21の熱に直接さらされる。
その後、加熱空間25でチリやホコリなどの浮遊物が焼失された空気は、第2基板22bに設けられた第2貫通孔24bから導出される。
このように、貫通孔24を通過する空気に含まれているチリやホコリなどの浮遊物を、直接ヒーター21と接触させることによって効率よく焼失させることができる。
また、通過する空気が直接ヒーターと接触することにより、菌やウイルスなども死滅させることができる。
そして、排気ファン50によって排気口12から外部に排出される。
【0015】
<実施形態2>
図6は、実施形態2の空気浄化装置2の内部構造を示した断面図である。
図示するように、実施形態2の空気浄化装置2は、天井などに吊して運転できるように、本体を横型に設計した点に特徴を有する。
実施形態2の空気浄化装置2は、横方向に空気を流通させて使用するように、天井に吊るされており、外部空気は左側の吸気口11から吸引され、右側の排気口12から排出されるようになっている。
本体10の内部には、実施形態1と同様の加熱装置20が設けられている。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明の空気浄化装置は、空気中のチリやホコリなどの浮遊物を積極的に吸引して、加熱・焼失させ、浮遊物に付着している菌やウイルスを死滅させることにより、空気を浄化することができ、病院、介護施設、教室、体育館などの施設に設置することができる。
【符号の説明】
【0017】
1、2 空気浄化装置
10 本体
11 吸気口
12 排気口
20 加熱装置
21 ヒーター
21a 第1ヒーター
21b 第2ヒーター
22 基板
22a 第1基板
22b 第2基板
23 溝
24 貫通孔
24a 第1貫通孔
24b 第2貫通孔
25 加熱空間
30 紫外線照射装置
31 UVランプ
32 UVランプ受け台
33 中心軸
40 吸気ファン
50 排気ファン