(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】メモリ素子を有する半導体装置
(51)【国際特許分類】
H10B 12/00 20230101AFI20231108BHJP
H10B 41/30 20230101ALI20231108BHJP
H10B 43/30 20230101ALI20231108BHJP
H10B 99/00 20230101ALI20231108BHJP
【FI】
H10B12/00 801
H10B41/30
H10B43/30
H10B99/00 451
(21)【出願番号】P 2022556246
(86)(22)【出願日】2021-04-06
(86)【国際出願番号】 JP2021014601
(87)【国際公開番号】W WO2022215157
(87)【国際公開日】2022-10-13
【審査請求日】2022-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】311014428
【氏名又は名称】ユニサンティス エレクトロニクス シンガポール プライベート リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Unisantis Electronics Singapore Pte Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(72)【発明者】
【氏名】原田 望
(72)【発明者】
【氏名】作井 康司
【審査官】宮本 博司
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-519770(JP,A)
【文献】特開2003-188279(JP,A)
【文献】特開2008-147514(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0135863(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0330623(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 12/00
H10B 43/30
H10B 99/00
H10B 41/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対して、中心軸が垂直方向、又は水平方向にある第1の半導体母体と、
前記第1の半導体母体の両端に繋がる第1の不純物層と、第2の不純物層と、
前記第1の半導体母体の一部を囲こむ、前記第1の不純物層側の第1のゲート絶縁層と、
前記第1のゲート絶縁層と、前記第2の不純物層と、の間の前記第1の半導体母体を囲こむ、前記第2の不純物層側の第2のゲート絶縁層と、
前記第1のゲート絶縁層の外周の第1の領域を囲んだ第1のゲート導体層と、
水平断面視において、前記第1のゲート導体層と分離して、前記第1のゲート絶縁層の外周の前記第1の領域と異なる第2の領域を囲んだ第2のゲート導体層と、
前記第2のゲート絶縁層を囲んだ第3のゲート導体層と、
前記第1のゲート導体層と前記第3のゲート導体層の間、及び、前記第2のゲート導体層と前記第3のゲート導体層との間にある第1の絶縁層と、を含み、
前記第1の不純物層と、前記第2の不純物層と、前記第1のゲート導体層と、前記第2のゲート導体層と、前記第3のゲート導体層に印加する電圧を制御して、前記第1の半導体母体内に、前記第1の不純物層と前記第2の不純物層との間に流す電流によるインパクトイオン化現象、またはゲート誘起ドレインリーク電流により発生させた電子群及び正孔群の内、前記電子群を、前記第1の不純物層、または前記第2の不純物層の一方、又は両方から、除去して、
前記正孔群の一部または全てを、前記第1の半導体母体内に残存させる、メモリ書き込み動作と、前記第1の不純物層と、前記第2の不純物層の一方もしくは両方から、前記正孔群のうちの残存正孔群を抜きとる、メモリ消去動作とを行う、
ことを特徴とする半導体素子を有したメモリ装置。
【請求項2】
前記第2のゲート導体層に、前記第1のゲート導体層より低電圧を印加して、前記インパクトイオン化現象、または前記ゲート誘起ドレインリーク電流により発生させた前記正孔群を、前記第2のゲート導体層寄りの前記第1の半導体母体に蓄積させる動作を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体素子を有したメモリ装置。
【請求項3】
前記第1の不純物層に繋がる配線は、ソース線であり、前記第2の不純物層に繋がる配線はビット線であり、前記第1のゲート導体層に繋がる配線が、第1の駆動制御線であり、前記第2のゲート導体層に繋がる配線が、第2の駆動制御線であり、前記第3のゲート導体層に繋がる配線がワード線であり、
前記ソース線と、前記ビット線と、前記第1の駆動制御線と、前記第2の駆動制御線と、前記ワード線とに印加する電圧により、前記メモリ消去動作と、前記メモリ書き込み動作と、を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体素子を有したメモリ装置。
【請求項4】
前記第1のゲート導体層と前記第1の半導体母体との間のゲート容量と、前記第2のゲート導体層と前記第1の半導体母体との間のゲート容量とを合計した第1のゲート容量は、前記第3のゲート導体層と前記第1の半導体母体との間の第2のゲート容量よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体素子を有したメモリ装置。
【請求項5】
それぞれが前記基板に対して垂直方向に形成された請求項1に記載のメモリ装置からなる少なくとも第1乃至第4のメモリ装置を含み、前記第1及び第2のメモリ装置は、平面視において、第1の直線上に並び、前記第3のメモリ装置は、平面視において、前記第1の直線と平行な第2の直線上に並び、且つ前記第1のメモリ装置に隣接し、そして、前記第4のメモリ装置は、前記第2の直線上に、前記第3のメモリ装置と、前記第2のメモリ装置に隣接して並び、
前記第1乃至第4のメモリ装置の前記第1の不純物層は前記基板側において電気的に接続されており、
前記第1のメモリ装置の前記第1のゲート導体層と、前記第2のメモリ装置の前記第1のゲート導体層とを接続し、且つ前記第1の直線と平行に延伸する第4のゲート導体層と、
前記第1のメモリ装置の前記第2のゲート導体層と、前記第2のメモリ装置の前記第2のゲート導体層とを接続し、且つ前記第1の直線と平行に延伸する第5のゲート導体層と、
前記第3のメモリ装置の前記第1のゲート導体層と、前記第4のメモリ装置の前記第1のゲート導体層とを接続し、且つ前記第1の直線と平行に延伸する第6のゲート導体層と、
前記第3のメモリ装置の前記第2のゲート導体層と、前記第4のメモリ装置の前記第2のゲート導体層とを接続し、且つ前記第1の直線と平行に延伸する第7のゲート導体層と、
前記第1のメモリ装置の前記第3のゲート導体層と、前記第2のメモリ装置の前記第3のゲート導体層とを接続し、且つ前記第1の直線と平行に延伸する第8のゲート導体層と、
前記第3のメモリ装置の前記第3のゲート導体層と、前記第4のメモリ装置の前記第3のゲート導体層とを接続し、且つ前記第1の直線と平行に延伸する第9のゲート導体層と、
前記第1のメモリ装置の頂部の前記第2の不純物層と、前記第3のメモリ装置の頂部の前記第2の不純物層を接続する第1の導体配線層と、
前記第2のメモリ装置の頂部の前記第2の不純物層と、前記第4のメモリ装置の頂部の前記第2の不純物層を接続する第2の導体配線層と、を有する、
ことを特徴とする半導体素子を有したメモリ装置。
【請求項6】
前記第4のゲート導体層と、前記第6のゲート導体層と、に供給される駆動電圧が前記第1のゲート導体層に供給される駆動電圧に同期し、
前記第5のゲート導体層と、前記第7のゲート導体層と、に供給される駆動電圧が前記第2のゲート導体層に供給される駆動電圧に同期している、
ことを特徴とする請求項5に記載の半導体素子を有したメモリ装置。
【請求項7】
前記第5のゲート導体層と、前記第6のゲート導体層と、が繋がり第10のゲート導体層となり、
前記第4のゲート導体層と、前記第7のゲート導体層と、が前記第1のゲート導体層に供給される駆動電圧に同期し、前記第10のゲート導体層が、前記第2のゲート導体層に供給される駆動電圧に同期している、
ことを特徴とする請求項5に記載の半導体素子を有したメモリ装置
【請求項8】
前記第1のゲート導体層は、前記第1のゲート絶縁層の前記第1の領域を覆った第1の導体層と、前記第1の導体層を覆った第1の配線導体層と、からなり、
前記第2のゲート導体層は、前記第1のゲート絶縁層の前記第2の領域を覆った第2の導体層と、前記第2の導体層を覆った第2の配線導体層からなる、
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体素子を有したメモリ装置。
【請求項9】
前記第3のゲート導体層は、前記第2のゲート絶縁層を覆った第3の導体層と、前記第3の導体層を覆った第3の配線導体層と、からなることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子を有したメモリ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリ素子を有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LSI(Large Scale Integration)技術開発において、メモリ素子を有する半導体装置の高集積化と高性能化が求められている。
【0003】
通常のプレナー型MOSトランジスタでは、チャネルが半導体基板の上表面に沿う水平方向に延在する。これに対して、SGTのチャネルは、半導体基板の上表面に対して垂直な方向に延在する(例えば、特許文献1、非特許文献1を参照)。このため、SGTはプレナー型MOSトランジスタと比べ、半導体装置の高密度化が可能である。このSGTを選択トランジスタとして用いて、キャパシタを接続したDRAM(Dynamic Random Access Memory、例えば、非特許文献2を参照)、抵抗変化素子を接続したPCM(Phase Change Memory、例えば、非特許文献3を参照)、RRAM(Resistive Random Access Memory、例えば、非特許文献4を参照)、電流により磁気スピンの向きを変化させて抵抗を変化させるMRAM(Magneto-resistive Random Access Memory、例えば、非特許文献5を参照)などの高集積化を行うことができる。また、キャパシタを有しない、1個のMOSトランジスタで構成された、DRAMメモリセル(非特許文献6を参照)などがある。本願は、抵抗変化素子やキャパシタを有しない、MOSトランジスタのみで構成可能な、ダイナミック フラッシュ メモリを有する半導体装置に関する。
【0004】
図7に、前述したキャパシタを有しない、1個のMOSトランジスタで構成された、DRAMメモリセルの書込み動作を、
図8に、動作上の問題点を、
図9に、読出し動作を示す(非特許文献6~10を参照)。
【0005】
図7にDRAMメモリセルの書込み動作を示す。
図7(a)は、“1”書込み状態を示している。ここで、メモリセルは、SOI基板101に形成され、ソース線SLが接続されるソースN
+層103(以下、ドナー不純物を高濃度で含む半導体領域を「N
+層」と称する)、ビット線BLが接続されるドレインN
+層104、ワード線WLが接続されるゲート導電層105、MOSトランジスタ110aのフローティングボディ(Floating Body)102により構成され、キャパシタを有さず、MOSトランジスタ110aが1個でDRAMのメモリセルが構成されている。なお、フローティングボディ102直下には、SOI基板のSiO
2層101が接している。この1個のMOSトランジスタ110aで構成されたメモリセルの“1”書込みを行う際には、MOSトランジスタ110aを飽和領域で動作させる。すなわち、ソースN
+層103から延びる電子のチャネル107には、ピンチオフ点108があり、ビット線が接続しているドレインN
+層104までには、到達していない。このようにドレインN
+層104に接続されたビット線BLとゲート導電層105に接続されたワード線WLを共に高電圧にして、ゲート電圧をドレイン電圧の約1/2程度で、MOSトランジスタ110aを動作させると、ドレインN
+層104近傍のピンチオフ点108において、電界強度が最大となる。この結果、ソースN
+層103からドレインN
+層104に向かって流れる加速された電子は、Siの格子に衝突して、その時に失う運動エネルギーによって、電子・正孔対が生成される。発生した大部分の電子(図示せず)は、ドレインN
+層104に到達する。また、ごく一部のとても熱い電子は、ゲート酸化膜109を飛び越えて、ゲート導電層105に到達する。そして、同時に発生した正孔106は、フローティングボディ102を充電する。この場合、発生した正孔は、フローティングボディ102がP型Siのため、多数キャリアの増分として、寄与する。フローティングボディ102は、生成された正孔106で満たされ、フローティングボディ102の電圧がソースN
+層103よりもVb以上に高くなると、さらに生成された正孔は、ソースN
+層103に放電する。ここで、Vbは、ソースN
+層103とP層のフローティングボディ102との間のPN接合のビルトイン電圧であり、約0.7Vである。
図7(b)には、生成された正孔106でフローティングボディ102が飽和充電された様子を示している。
【0006】
次に、
図7(c)を用いて、メモリセル110の“0”書込み動作を説明する。共通な選択ワード線WLに対して、ランダムに“1”書込みのメモリセル110aと“0”書込みのメモリセル110bが存在する。
図7(c)では、“1”書込み状態から“0”書込み状態に書き換わる様子を示している。“0”書込み時には、ビット線BLの電圧を負バイアスにして、ドレインN
+層104とP層のフローティングボディ102との間のPN接合を順バイアスにする。この結果、フローティングボディ102に予め前サイクルで生成された正孔106は、ビット線BLに接続されたドレインN
+層104に流れる。書込み動作が終了すると、生成された正孔106で満たされたメモリセル110a(
図7(b))と、生成された正孔が吐き出されたメモリセル110b(
図7(c))の2つのメモリセルの状態が得られる。正孔106で満たされたメモリセル110aのフローティングボディ102の電位は、生成された正孔がいないフローティングボディ102よりも高くなる。したがって、メモリセル110aのしきい値電圧は、メモリセル110bのしきい値電圧よりも低くなる。その様子を
図7(d)に示す。
【0007】
次に、この1個のMOSトランジスタで構成されたメモリセルの動作上の問題点を、
図8を用いて説明する。
図8(a)で示したように、フローティングボディ102の容量C
FBは、ワード線の接続されたゲートとフローティングボディ102との間の容量C
WLと、ソース線の接続されたソースN
+層103とフローティングボディ102との間のPN接合の接合容量C
SLと、ビット線の接続されたドレインN
+層103とフローティングボディ102との間のPN接合の接合容量C
BLとの総和で、
C
FB = C
WL + C
BL + C
SL (1)
で表される。したがって、書込み時にワード線電圧V
WLが振幅すると、メモリセルの記憶ノード(接点)となるフローティングボディ102の電圧も、その影響を受ける。その様子を
図8(b)に示している。書込み時にワード線電圧V
WLが0VからV
ProgWLに上昇すると、フローティングボディ102の電圧V
FBは、ワード線電圧が変化する前の初期状態の電圧V
FB1からV
FB2へ、ワード線との容量結合によって上昇する。その電圧変化量ΔV
FBは、
ΔV
FB = V
FB2 - V
FB1
= C
WL / (C
WL + C
BL + C
SL) × V
ProgWL (2)
で表される。
ここで、
β= C
WL / (C
WL + C
BL + C
SL) (3)
で表され、βをカップリング率と呼ぶ。このようなメモリセルにおいて、C
WLの寄与率が大きく、例えば、C
WL:C
BL:C
SL=8:1:1である。この場合、β=0.8となる。ワード線が、例えば、書込み時の5Vから、書込み終了後に0Vになると、ワード線とフローティングボディ102との容量結合によって、フローティングボディ102が、5V×β=4Vも振幅ノイズを受ける。このため、書込み時のフローティングボディ“1”電位と“0”電位との電位差マージンを十分に取れない問題点があった。
【0008】
図9に読出し動作を示す。
図9(a)は、“1”書込み状態を、
図9(b)は、“0”書込み状態を示している。しかし、実際には、“1”書込みでフローティングボディ102にVbが書き込まれていても、書込み終了でワード線が0Vに戻ると、フローティングボディ102は、負バイアスに引き下げられる。“0”が書かれる際には、さらに深く負バイアスになってしまうため、書込みの際に“1”と“0”との電位差マージンを十分に大きく出来ない。この動作マージンが小さいことが、本DRAMメモリセルの大きい問題であった。そして、このDRAMメモリセルを駆動するための周辺回路を同一基板上に、如何に形成するかが課題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開平2-188966号公報
【文献】特開平3-171768号公報
【文献】特許第3957774号公報
【非特許文献】
【0010】
【文献】Hiroshi Takato, Kazumasa Sunouchi, Naoko Okabe, Akihiro Nitayama, Katsuhiko Hieda, Fumio Horiguchi, and Fujio Masuoka: IEEE Transaction on Electron Devices, Vol.38, No.3, pp.573-578 (1991)
【文献】H. Chung, H. Kim, H. Kim, K. Kim, S. Kim, K. Dong, J. Kim, Y.C. Oh, Y. Hwang, H. Hong, G. Jin, and C. Chung: “4F2 DRAM Cell with Vertical Pillar Transistor(VPT),” 2011 Proceeding of the European Solid-State Device Research Conference, (2011)
【文献】H. S. Philip Wong, S. Raoux, S. Kim, Jiale Liang, J. R. Reifenberg, B. Rajendran, M. Asheghi and K. E. Goodson: “Phase Change Memory,” Proceeding of IEEE, Vol.98, No 12, December, pp.2201-2227 (2010)
【文献】T. Tsunoda, K .Kinoshita, H. Noshiro, Y. Yamazaki, T. Iizuka, Y. Ito, A. Takahashi, A. Okano, Y. Sato, T. Fukano, M. Aoki, and Y. Sugiyama : “Low Power and high Speed Switching of Ti-doped NiO ReRAM under the Unipolar Voltage Source of less than 3V,” IEDM (2007)
【文献】W. Kang, L. Zhang, J. Klein, Y. Zhang, D. Ravelosona, and W. Zhao: “Reconfigurable Codesign of STT-MRAM Under Process Variations in Deeply Scaled Technology,” IEEE Transaction on Electron Devices, pp.1-9 (2015)
【文献】M. G. Ertosum, K. Lim, C. Park, J. Oh, P. Kirsch, and K. C. Saraswat : “Novel Capacitorless Single-Transistor Charge-Trap DRAM (1T CT DRAM) Utilizing Electron,” IEEE Electron Device Letter, Vol. 31, No.5, pp.405-407 (2010)
【文献】J. Wan, L. Rojer, A. Zaslavsky, and S. Critoloveanu: “A Compact Capacitor-Less High-Speed DRAM Using Field Effect-Controlled Charge Regeneration,” Electron Device Letters, Vol. 35, No.2, pp.179-181 (2012)
【文献】T. Ohsawa, K. Fujita, T. Higashi, Y. Iwata, T. Kajiyama, Y. Asao, and K. Sunouchi: “Memory design using a one-transistor gain cell on SOI,” IEEE JSSC, vol.37, No.11, pp1510-1522 (2002).
【文献】T. Shino, N. Kusunoki, T. Higashi, T. Ohsawa, K. Fujita, K. Hatsuda, N. Ikumi, F. Matsuoka, Y. Kajitani, R. Fukuda, Y. Watanabe, Y. Minami, A. Sakamoto, J. Nishimura, H. Nakajima, M. Morikado, K. Inoh, T. Hamamoto, A. Nitayama: “Floating Body RAM Technology and its Scalability to 32nm Node and Beyond,” IEEE IEDM (2006).
【文献】E. Yoshida: “A Capacitorless 1T-DRAM Technology Using Gate-Induced Drain-Leakage (GIDL) Current for Low-Power and High-Speed Embedded Memory,” IEEE IEDM (2006).
【文献】E. Yoshida, and T. Tanaka: “A Capacitorless 1T-DRAM Technology Using Gate-Induced Drain-Leakage (GIDL) Current for Low-Power and High-Speed Embedded Memory,” IEEE Transactions on Electron Devices, Vol. 53, No. 4, pp. 692-697,Apr. 2006.
【文献】J. Y. Song, W. Y. Choi, J. H. Park, J. D. Lee, and B-G. Park: “Design Optimization of Gate-All-Around (GAA) MOSFETs,” IEEE Trans. Electron Devices, vol. 5, no. 3, pp.186-191, May 2006.
【文献】N. Loubet, et al.: “Stacked Nanosheet Gate-All-Around Transistor to Enable Scaling Beyond FinFET,” 2017 IEEE Symposium on VLSI Technology Digest of Technical Papers, T17-5, T230-T231, June 2017.
【文献】H. Jiang, N. Xu, B. Chen, L. Zeng1, Y. He, G. Du, X. Liu and X. Zhang: “Experimental investigation of self heating effect (SHE) in multiple-fin SOI FinFETs,” Semicond. Sci. Technol. 29 (2014) 115021 (7pp).
【文献】K.J. Yang, R.N. Gupta, S. Banna, F. Nemati, H.-J. Cho, M. Ershov, M. Tarabbia, D. Hayes, and S.T. Robins, ”Optimization of Nanoscale Thyristors on SOI for High-Performance High-Density Memories”,2006 IEEE International SOI Conference Proceedings, pp.129-130 (2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
SGTを用いたメモリ装置でキャパシタを無くした、1個のトランジスタ型のDRAM(ゲインセル)では、ワード線とフローティング状態のSGTのボディとの容量結合カップリングが大きく、データ読み出し時や書き込み時にワード線の電位を振幅させると、直接SGTボディへのノイズとして、伝達されてしまう問題点があった。この結果、誤読み出しや記憶データの誤った書き換えの問題を引き起こし、キャパシタを無くした1トランジスタ型のDRAM(ゲインセル)の実用化が困難となっていた。そして、上記問題を解決すると共に、メモリセルと、同一基板上に、メモリセルを駆動するための周辺回路を高密度で、且つ低コストで形成する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明に係るメモリ装置は、
基板に対して、中心軸が垂直方向、又は水平方向にある第1の半導体母体と、
前記第1の半導体母体の両端に繋がる第1の不純物層と、第2の不純物層と、
前記第1の半導体母体の一部を囲こむ、前記第1の不純物層側の第1のゲート絶縁層と、
前記第1のゲート絶縁層と、前記第2の不純物層と、の間の前記第1の半導体母体を囲こむ、前記第2の不純物層側の第2のゲート絶縁層と、
前記第1のゲート絶縁層の外周の第1の領域を囲んだ第1のゲート導体層と、
水平断面視において、前記第1のゲート導体層と分離して、前記第1のゲート絶縁層の外周の前記第1の領域と異なる第2の領域を囲んだ第2のゲート導体層と、
前記第2のゲート絶縁層を囲んだ第3のゲート導体層と、
前記第1のゲート導体層と前記第3のゲート導体層の間、及び、前記第2のゲート導体層と前記第3のゲート導体層との間にある第1の絶縁層と、を含み、
前記第1の不純物層と、前記第2の不純物層と、前記第1のゲート導体層と、前記第2のゲート導体層と、前記第3のゲート導体層に印加する電圧を制御して、前記第1の半導体柱内に、前記第1の不純物層と前記第2の不純物層との間に流す電流によるインパクトイオン化現象、またはゲート誘起ドレインリーク電流により発生させた電子群及び正孔群の内、前記電子群を、前記第1の不純物層、または前記第2の不純物層の一方、又は両方から、除去してと、
前記正孔群の一部または全てを、前記第1の半導体母体内に残存させる、メモリ書き込み動作と、前記第1の不純物層と、前記第2の不純物層の一方もしくは両方から、前記正孔群のうちの残存正孔群を抜きとる、メモリ消去動作とを行う、
ことを特徴とする(第1発明)。
【0013】
上記の第1発明において、前記第2のゲート導体層に、前記第1のゲート導体層より低電圧を印加して、前記インパクトイオン化現象、または前記ゲート誘起ドレインリーク電流により発生させた前記正孔群を、前記第2のゲート導体層寄りの前記第1の半導体母体に蓄積させる動作を行うことを特徴とする(第2発明)。
【0014】
上記の第1発明において、前記第1の不純物層に繋がる配線は、ソース線であり、前記第2の不純物層に繋がる配線はビット線であり、前記第1のゲート導体層に繋がる配線が、第1の駆動制御線であり、前記第2のゲート導体層に繋がる配線が、第2の駆動制御線であり、前記第3のゲート導体層に繋がる配線がワード線であり、
前記ソース線と、前記ビット線と、前記第1の駆動制御線と、前記第2の駆動制御線と、前記ワード線とに印加する電圧により、前記メモリ消去動作と、前記メモリ書き込み動作とを行う、ことを特徴とする(第3発明)。
【0015】
上記の第1発明において、前記第1のゲート導体層と前記第1の半導体母体との間のゲート容量と、前記第2のゲート導体層と前記第1の半導体母体との間のゲート容量とを合計した第1のゲート容量は、前記第3のゲート導体層と前記第1の半導体母体との間の第2のゲート容量よりも大きいことを特徴とする(第4発明)。
【0016】
上記の課題を解決するために、本発明に係るメモリ装置は、
それぞれが前記基板に対して垂直方向に形成された第1発明のメモリ装置からなる少なくとも第1乃至第4のメモリ装置を含み、前記第1及び第2のメモリ装置は、平面視において、第1の直線上に並び、前記第3のメモリ装置は、平面視において、前記第1の直線と平行な第2の直線上に並び、且つ前記第1のメモリ装置に隣接し、そして、前記第4のメモリ装置は、前記第2の直線上に、前記第3のメモリ装置と、前記第2のメモリ装置に隣接して並び、
前記第1乃至第4のメモリ装置の前記第1の不純物層は前記基板側において電気的に接続されており、
前記第1のメモリ装置の前記第1のゲート導体層と、前記第2のメモリ装置の前記第1のゲート導体層とを接続し、且つ前記第1の直線と平行に延伸する第4のゲート導体層と、
前記第1のメモリ装置の前記第2のゲート導体層と、前記第2のメモリ装置の前記第2のゲート導体層とを接続し、且つ前記第1の直線と平行に延伸する第5のゲート導体層と、
前記第3のメモリ装置の前記第1のゲート導体層と、前記第4のメモリ装置の前記第1のゲート導体層とを接続し、且つ前記第1の直線と平行に延伸する第6のゲート導体層と、
前記第3のメモリ装置の前記第2のゲート導体層と、前記第4のメモリ装置の前記第2のゲート導体層とを接続し、且つ前記第1の直線と平行に延伸する第7のゲート導体層と、
前記第1のメモリ装置の前記第3のゲート導体層と、前記第2のメモリ装置の前記第3のゲート導体層とを接続し、且つ前記第1の直線と平行に延伸する第8のゲート導体層と、
前記第3のメモリ装置の前記第3のゲート導体層と、前記第4のメモリ装置の前記第3のゲート導体層とを接続し、且つ前記第1の直線と平行に延伸する第9のゲート導体層と、
前記第1のメモリ装置の頂部の前記第2の不純物層と、前記第3のメモリ装置の頂部の前記第2の不純物層を接続する第1の導体配線層と、
前記第2のメモリ装置の頂部の前記第2の不純物層と、前記第4のメモリ装置の頂部の前記第2の不純物層を接続する第2の導体配線層と、を有する、
ことを特徴とする(第5発明)。
【0017】
上記の第5発明において、前記第4のゲート導体層と、前記第6のゲート導体層と、に供給される駆動電圧が前記第1のゲート導体層に供給される駆動電圧に同期し、
前記第5のゲート導体層と、前記第7のゲート導体層と、に供給される駆動電圧が前記第2のゲート導体層に供給される駆動電圧に同期していることを特徴とする(第6発明)。
【0018】
上記の第5発明において、前記第5のゲート導体層と、前記第6のゲート導体層と、が繋がり第10のゲート導体層となり、前記第4のゲート導体層と、前記第7のゲート導体層と、が前記第1のゲート導体層に供給される駆動電圧に同期し、前記第10のゲート導体層が、前記第2のゲート導体層に供給される駆動電圧に同期している、ことを特徴とする(第7発明)
【0019】
上記の第1発明において、前記第1のゲート導体層は、前記第1のゲート絶縁層の前記第1の領域を覆った第1の導体層と、前記第1の導体層を覆った第1の配線導体層と、からなり、前記第2のゲート導体層は、前記第1のゲート絶縁層の前記第2の領域を覆った第2の導体層と、前記第2の導体層を覆った第2の配線導体層からなる、ことを特徴とする(第8発明)。
【0020】
上記の第5発明において、前記第3のゲート導体層は、前記第2のゲート絶縁層を覆った第3の導体層と、前記第3の導体層を覆った第3の配線導体層とからなことを特徴とする(第9発明)。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1実施形態に係るダイナミック フラッシュメモリ装置の構造を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係るダイナミック フラッシュメモリ装置の消去動作メカニズムを説明するための図である。
【
図3】第1実施形態に係るダイナミック フラッシュメモリ装置の書込み動作メカニズムを説明するための図である。
【
図4A】第1実施形態に係るダイナミック フラッシュメモリ装置の読出し動作メカニズムを説明するための図である。
【
図4B】第1実施形態に係るダイナミック フラッシュメモリ装置の読出し動作メカニズムを説明するための図である。
【
図5】第2実施形態に係るダイナミック フラッシュ メモリセルの構造を説明するための図である。
【
図6】第3実施形態に係るダイナミック フラッシュ メモリセルの構造を説明するための図である。
【
図7】従来例のキャパシタを有しない、DRAMメモリセルの書込み動作を示す図である。
【
図8】従来例のキャパシタを有しない、DRAMメモリセルの動作上の問題点を説明するための図である。
【
図9】従来例のキャパシタを有しない、DRAMメモリセルの読出し動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る、半導体素子を用いたメモリ装置(以後、ダイナミック フラッシュ メモリと呼ぶ)の実施形態の構造、及び動作について、図面を参照しながら説明する。
【0023】
(第1実施形態)
図1~
図4を用いて、本発明の第1実施形態に係るダイナミック フラッシュ メモリセルの構造と動作メカニズムを説明する。
図1を用いて、ダイナミック フラッシュ メモリセルの構造を説明する。そして、
図2を用いてデータ消去メカニズムを、
図3を用いてデータ書き込みメカニズムを、
図4A、
図4Bを用いてデータ読出しメカニズムを説明する。
【0024】
図1に、本発明の第1実施形態に係るダイナミック フラッシュ メモリセルの構造を示しており、(a)は斜視図、(b)は後述の第1及び第2のゲート導体層5a、5bの部分の水平断面図である。
図1(a)に示すように、基板1(特許請求の範囲の「基板」の一例である)上に、P型又はi型(真性型)の導電型を有するシリコン柱2(特許請求の範囲の「第1の半導体柱」の一例である)(以下、シリコン柱を「Si柱」と称する。)と、Si柱2の底部に繋がるN
+層3a(特許請求の範囲の「第1の不純物層」の一例である)と、Si柱2の頂部に繋がるN
+層3b(特許請求の範囲の「第2の不純物層」の一例である)とが形成されている。N
+層3aとN
+層3bは、一方がソースとなる場合に、他方がドレインとなる。そして、Si柱2のN
+層3aとN
+層3bの間がチャネル領域7となる。このSi柱2の下部を囲む第1のゲート絶縁層4a(特許請求の範囲の「第1のゲート絶縁層」の一例である)と、Si柱2の上部を囲む第2のゲート絶縁層4b(特許請求の範囲の「第2のゲート絶縁層」の一例である)が形成されている。この第1のゲート絶縁層4a、第2のゲート絶縁層4bは、このソース、ドレインとなるN
+層3a、3bに、それぞれ接するか、または近接している。この第1のゲート絶縁層4aを囲んで第1のゲート導体層5a(特許請求の範囲の「第1のゲート導体層」の一例である)と、第2のゲート導体層5b(特許請求の範囲の「第2のゲート導体層」の一例である)とがある。
図1(b)に示すように、第1のゲート導体層5aと第2のゲート導体層5bとは、第1のゲート絶縁層4aを囲んで、分離して形成されている。そして、第2のゲート絶縁層4bを囲む第3のゲート導体層5c(特許請求の範囲の「第3のゲート導体層」の一例である)がそれぞれ形成されている。そして、第1のゲート導体層5aと第3のゲート導体層5c、第2のゲート導体層5bと第3のゲート導体層5cは、絶縁層6(特許請求の範囲の「第1の絶縁層」の一例である)により分離されている。そして、チャネル領域7は、第1のゲート絶縁層4aで囲まれた第1のチャネル領域7aと、第2のゲート絶縁層4bで囲まれた第2のチャネル領域7bと、よりなる。これによりソース、ドレインとなるN
+層3a、3b、チャネル領域7、第1のゲート絶縁層4a、第2のゲート絶縁層4b、第1のゲート導体層5a、第2のゲート導体層5b、第3のゲート導体層5cからなるダイナミック フラッシュ メモリセル9が形成される。そして、N
+層3aはソース線SL(特許請求の範囲の「ソース線」の一例である)に、N
+層3bはビット線BL(特許請求の範囲の「ビット線」の一例である)に、第1のゲート導体層5aは第1のプレート線PL1(特許請求の範囲の「第1の駆動制御線」の一例である)に、第2のゲート導体層5bは第2のプレート線PL2(特許請求の範囲の「第2の駆動制御線」の一例である)に、第3のゲート導体層5cはワード線WL(特許請求の範囲の「ワード線」の一例である)に、それぞれ接続している。
【0025】
なお、ダイナミック フラッシュ メモリセルは、基板1に対して、水平にあってもよい。この場合、
図1(b)に示す、第1のゲート導体層5aと、第2のゲート導体層5bとの、それぞれの両端の切れ目を繋げたA-A‘線は、基板1に対して平行であってもよいし、垂直であってもよい。また、基板1はSOI(Silicon On Insulator)、単層または複数層よりなるSiまたは他の半導体材料より形成してもよい。また、基板1はN層、またはP層の単層、又は複数層よりなるウエル層であってもよい。また、
図1(b)では第1のゲート導体層5aと第2のゲート導体層5bが第1のゲート絶縁層4aを囲む円周方向の長さ(外周長)は同じであるか、それぞれの外周長が異なってもよい。
【0026】
図2を用いて、消去動作メカニズムを説明する。N
+層3a、3b間のチャネル領域7は、電気的に基板から分離され、フローティングボディとなっている。
図2(a)に消去動作前に、前のサイクルでインパクトイオン化により生成された正孔群11がチャネル領域7に蓄えられている状態を示す。ここでは、第2のPL線PL2の電圧を、第1のPL線PL1の電圧より低くすることにより、正孔群11をPL線PL2に繋がる第2のゲート導体層側のチャネル領域7に蓄える。そして。
図2(b)に示すように、消去動作時には、ソース線SLの電圧を、負電圧V
ERAにする。ここで、V
ERAは、例えば、-3Vである。その結果、チャネル領域7の初期電位の値に関係なく、ソース線SLが接続されているソースとなるN
+層3aとチャネル領域7のPN接合が順バイアスとなる。その結果、前のサイクルでインパクトイオン化により生成された、チャネル領域7に蓄えられていた、正孔群11が、ソース部のN
+層3aに吸い込まれ、チャネル領域7の電位V
FBは、V
FB=V
ERA+Vbとなる。ここで、VbはPN接合のビルトイン電圧であり、約0.7Vである。したがって、V
ERA=-3Vの場合、チャネル領域7の電位は、-2.3Vになる。この値が、消去状態のチャネル領域7の電位状態となる。このため、フローティングボディのチャネル領域7の電位が負の電圧になると、ダイナミック フラッシュ メモリセル9のNチャネルMOSトランジスタのしきい値電圧は、基板バイアス効果によって、高くなる。これにより、
図2(c)に示すように、このワード線WLが接続された第2のゲート導体層5bのしきい値電圧は高くなる。このチャネル領域7の消去状態は論理記憶データ“0”となる。なお、上記のビット線BL、ソース線SL、ワード線WL、プレート線PL1、PL2に印加する電圧条件は、消去動作を行うための一例であり、消去動作ができる他の動作条件であってもよい。
【0027】
図3に、本発明の第1実施形態に係るダイナミック フラッシュ メモリセルの書込み動作を示す。
図3(a)に示すように、ソース線SLの接続されたN
+層3aに例えば0Vを入力し、ビット線BLの接続されたN
+層3bに例えば3Vを入力し、プレート線PL1,PL2の接続された第1のゲート導体層5a、第2のゲート導体層5bに、例えば、2Vを入力し、ワード線WLの接続された第3のゲート導体層5cに、例えば、5Vを入力する。その結果、
図3(a)に示したように、プレート線PL1の接続された第1のゲート導体層5a及びプレート線PL2の接続された第2のゲート導体層5bの内側には、反転層12aが形成され、第1のゲート導体層5a、第2のゲート導体層5aを有する第1のNチャネルMOSトランジスタは飽和領域で動作させる。この結果、プレート線PL1,PL2の接続された第1のゲート導体層5a、第2のゲート導体層5bの内側の反転層12aには、ピンチオフ点13が存在する。一方、ワード線WLの接続された第3のゲート導体層5cを有する第2のNチャネルMOSトランジスタは線形領域で動作させる。この結果、ワード線WLの接続された第3のゲート導体層5cの内側には、ピンチオフ点は存在せずに全面に反転層12bが形成される。このワード線WLの接続された第3のゲート導体層5cの内側に全面に形成された反転層12bは、第3のゲート導体層5cを有する第2のNチャネルMOSトランジスタの実質的なドレインとして働く。この結果、直列接続された第1のゲート導体層5a、第2のゲート導体層5bと、を有する第1のNチャネルMOSトランジスタと、第3のゲート導体層5cを有する第2のNチャネルMOSトランジスタとの間のチャネル領域7の境界領域(第1の境界領域)で電界は最大となり、この領域でインパクトイオン化現象が生じる。この領域は、ワード線WLの接続された第3のゲート導体層5cを有する第2のNチャネルMOSトランジスタから見たソース側の領域であるため、この現象をソース側インパクトイオン化現象と呼ぶ。このソース側インパクトイオン化現象により、ソース線SLの接続されたN
+層3aからビット線の接続されたN
+層3bに向かって電子が流れる。加速された電子が格子Si原子に衝突し、その運動エネルギーによって、電子・正孔対が生成される。生成された電子の大半はビット線BLの接続されたN
+層3bに流れる。また、“1”書込みにおいて、ゲート誘起ドレインリーク(GIDL:Gate Induced Drain Leakage)電流を用いて電子・正孔対を発生させ(非特許文献11を参照)、生成された正孔群でフローティングボディFB内を満たしてもよい。なお、インパクトイオン化現象による電子・正孔対の生成は、N
+層3aとチャネル領域7の境界、またはN
+層3bとチャネル領域7との境界でも行うことが出来る。
【0028】
そして、
図3(b)に示すように、生成された正孔群11は、チャネル領域7の多数キャリアであり、チャネル領域7を正バイアスに充電する。ソース線SLの接続されたN
+層3aは、0Vであるため、チャネル領域7はソース線SLの接続されたN
+層3aとチャネル領域7との間のPN接合のビルトイン電圧Vb(約0.7V)まで充電される。チャネル領域7が正バイアスに充電されると、第1のNチャネルMOSトランジスタと第2のNチャネルMOSトランジスタのしきい値電圧は、基板バイアス効果によって、低くなる。これにより、
図3(c)で示すように、ワード線WLの接続された第2のチャネル領域7bのNチャネルMOSトランジスタのしきい値電圧は、低くなる。このチャネル領域7の書込み状態を論理記憶データ“1”に割り当てる。
【0029】
なお、書込み動作時に、第1の境界領域に替えて、第1の不純物層と第1のチャネル半導体層との間の第2の境界領域、または、第2の不純物層と第2のチャネル半導体層との間の第3の境界領域で、インパクトイオン化現象、またはGIDL電流で、電子・正孔対を発生させ、発生した正孔群11でチャネル領域7を充電しても良い。なお、上記のビット線BL、ソース線SL、ワード線WL、プレート線PL1、PL2に印加する電圧条件は、書き込み動作を行うための一例であり、書き込み動作ができる他の動作条件であってもよい。
【0030】
図4A、
図4Bを用いて、本発明の第1実施形態に係るダイナミック フラッシュ メモリセルの読出し動作と、これに関係するメモリセル構造を説明する。
図4A(a)~
図4A(c)を用いて、ダイナミック フラッシュ メモリセルの読出し動作を説明する。
図4A(a)に示すように、チャネル領域7がビルトイン電圧Vb(約0.7V)まで充電されると、NチャネルMOSトランジスタのしきい値電圧が基板バイアス効果によって、低下する。この状態を論理記憶データ“1”に割り当てる。
図4A(b)に示すように、書込みを行う前に選択するメモリブロックは、予め消去状態“0”にある場合は、チャネル領域7がフローティング電圧V
FBはV
ERA+Vbとなっている。書込み動作によってランダムに書込み状態“1”が記憶される。この結果、ワード線WLに対して、論理“0”と“1”の論理記憶データが作成される。
図4A(c)に示すように、このワード線WLに対する2つのしきい値電圧の高低差を利用して、センスアンプで読出しが行われる。
【0031】
図4B(d)~
図4B(g)を用いて、本発明の第1実施形態に係るダイナミック フラッシュ メモリセルの読出し動作時の、3つの第1のゲート導体層5a、第2のゲート導体層5b、第3のゲート導体層5cのゲート容量の大小関係と、これに関係する動作を説明する。ワード線WLの接続する第3のゲート導体層5cのゲート容量は、プレート線PL1,PL2の接続する第1のゲート導体層5aと、第2のゲート導体層5bを合わせたゲート容量よりも小さく設計することが望ましい。
図4B(d)に示すように、プレート線PL1,PL2の接続する第1のゲート導体層5a、第2のゲート導体層5bの垂直方向の長さを、ワード線WLの接続する第3のゲート導体層5cの垂直方向の長さより長くして、ワード線WLの接続する第3のゲート導体層5cのゲート容量を、プレート線PL1、PL2の接続する第1のゲート導体層5aと、第2のゲート導体層5bを合わせたゲート容量よりも小さくする。
図4B(e)に
図4B(d)のダイナミック フラッシュ メモリの1セルの等価回路を示す。そして、
図4B(f)にダイナミック フラッシュ メモリの結合容量関係を示す。ここで、C
WLは第3のゲート導体層5cの容量であり、C
PLは第1のゲート導体層5aの容量C
PL1と第2のゲート導体層5bの容量C
PL2との合わせた容量であり、C
BLはドレインとなるN
+層3bと第2のチャネル領域7bとの間のPN接合の容量であり、C
SLはソースとなるN
+層3aと第1のチャネル領域7aとの間のPN接合の容量である。
図4B(d)に示すように、ワード線WLの電圧が振幅すると、その動作がチャネル領域7にノイズとして影響を与える。この時のチャネル領域7の電位変動ΔV
FBは、
ΔV
FB = C
WL/(C
PL+C
WL+C
BL+C
SL) × V
ReadWL (4)
となる。ここで、V
ReadWLはワード線WLの読出し時の振幅電位である。式(4)から明らかなようにチャネル領域7の全体の容量C
PL+C
WL+C
BL+C
SLに比べて、C
WLの寄与率を小さくすれば、ΔV
FBは小さくなることが分かる。C
BL+C
SLはPN接合の容量であり、大きくするためには、例えば、Si柱2の直径を大きくする。しかしメモリセルの微細化に対しては望ましくない。これに対して、プレート線PL1,PL2に接続する第1のゲート導体層5a、第2のゲート導体層5bの軸方向の長さを、ワード線WLの接続する第3のゲート導体層5cの軸方向の長さより更に長くすることによって、平面視におけるメモリセルの集積度を落すことなしに、ΔV
FBを更に小さくできる。なお、上記のビット線BL、ソース線SL、ワード線WL、プレート線PL1,PL2に印加する電圧条件は、読み出し動作を行うための一例であり、読み出し動作ができる他の動作条件であってもよい。
【0032】
また、
図1では、基板1上に垂直方向に立った第1のSi柱2aの側面全体を囲んだ第1のゲート絶縁層4a、第2のゲート絶縁層4bを設け、第1のゲート絶縁層4a、第2のゲート絶縁層4bの全体を囲んで第1のゲート導体層5a、第2のゲート導体層5b、第3のゲート導体層5cを有するSGTを例にダイナミック フラッシュ メモリ素子を説明した。本実施形態の説明で示したように、本ダイナミック フラッシュ メモリ素子は、インパクトイオン化現象、またはゲート誘起ドレインリーク電流により発生した正孔群がチャネル領域7に保持される条件を満たす構造であればよい。このためには、チャネル領域7は基板1と分離されたフローティングボディ構造であればよい。これより、例えばSGTの1つであるGAA(Gate All Around : 例えば非特許文献12を参照)技術、Nanosheet技術(例えば、非特許文献13を参照)を用いて、チャネル領域の半導体母体を基板1に対して水平に形成されていても、前述のダイナミック フラッシュ メモリ動作ができる。また、SOI(Silicon On Insulator)を用いたデバイス構造であってもよい。このデバイス構造ではチャネル領域の底部がSOI基板の絶縁層に接しており、且つ他のチャネル領域を囲んでゲート絶縁層、及び素子分離絶縁層で囲まれている。この構造においても、チャネル領域はフローティングボディ構造となる。このように、本実施形態が提供するダイナミック フラッシュ メモリ素子では、チャネル領域がフローティングボディ構造である条件を満足すればよい。また、Finトランジスタ(例えば非特許文献14を参照)をSOI基板上に形成した構造であっても、チャネル領域がフローティングボディ構造であれば、本ダイナミック・フラッシュ動作が出来る。
【0033】
本実施形態は、下記の特徴を供する。
(特徴1)
本発明の第1実施形態に係るダイナミック フラッシュ メモリセルは、書込み、読出し動作をする際に、ワード線WLの電圧が上下に振幅する。この際に、プレート線PL1、PL2に接続する第1のゲート導体層5a、第2のゲート導体層5bは、ワード線WLとチャネル領域7との間の容量結合比を低減させる役目を担う。この結果、ワード線WLの電圧が上下に振幅する際の、チャネル領域7の電圧変化の影響を著しく抑えることができる。これにより、論理“0”と“1”を示すワード線WLのSGTトランジスタのしきい値電圧差を大きくすることが出来る。これは、ダイナミック フラッシュ メモリセルの動作マージンの拡大に繋がる。
【0034】
(特徴2)
本発明の第1実施形態では、プレート線PL1に接続する第1のゲート導体層5aと、プレート線PL2に接続する第2のゲート導体層5bと、が第1のゲート絶縁層4aを囲んで、分離して形成される。プレート線PL2に印加する電圧を、プレート線PL1に印加する電圧より低くすることにより、正孔群は、プレート線PL2に接続する第2のゲート導体層5b寄りのチャネル領域7aに蓄積される。これにより、チャネル領域7aの全体を1つのゲート電極で囲った構造と比べて、多くの正孔群を蓄積することができる。また、読み出し動作において、第2のゲート導体層5bに印加する電圧によりチャネル領域7aのフロティングボディ電圧を制御できる。これによって、読み出し動作において、より安定したバックバイアス効果を維持できる。これらにより、より広い動作マージンを持つダイナミック フラッシュ メモリセルが実現する。
【0035】
(第2実施形態)
図5を用いて、第2実施形態のダイナミック フラッシュ メモリのメモリセルの構造を説明する。
図5(a)は、ダイナミック フラッシュ メモリの第1のプレート線導体層を横切った平面図である。
図5(b)は
図5(a)のX-X’線に沿った断面図である。
図5(c)は
図5(a)のY-Y’線に沿った断面図である。
【0036】
P層20(以下、アクセプタ不純物を含む半導体領域を「P層」と称する)と、P層20に繋がるN+層21がある。そして、N+層21上にSi柱22a、22b、22c、22dがある。そして、Si柱22a~22dの頂部にN+層23a、23b、23c、23d(図示せず)がある。そして、Si柱22a~22dの外周部のN+層21上にSiO2層26がある。そして、Si柱22a~22dの下方側面を囲みHfO2層27aがある。そして、HfO2層27a側面を囲み、Si柱22a、22bの側面に分離して繋がり、且つX-X’線方向に延伸したTiN層28a1、28a2と、Si柱22c、22dの側面に分離して繋がり、且つX-X’線方向に延伸したTiN層28b1、28b2とがある。そして、TiN層28a1,28a2、28b1,28b2を覆ってSiO2層33がある。そして、Si柱22a~24dの上方側面を囲み、且つSiO2層33上にHfO2層27bがある。そして、全体を覆って、SiO2層37がある。そして、N+層23a、23cに繋がった配線金属層40aと、N+層23b、23dに繋がった配線金属層40bと、がある。
【0037】
図5において、N
+層21はソース線SLに接続している。そして、TiN層28a1、28b1は第1のプレート線PLa1、PLb1に繋がり、TiN層28a2、28b2は第2のプレート線PLa2、PLb2に繋がる。そして、TiN層36a、36bは、ワード線WL1,WL2に繋がる。そして、N
+層23a、23cは、ビット線BL1に繋がり、N
+層23b、23dは、ビット線BL2に繋がる。これにより、基板20上に複数のダイナミック フラッシュ メモリセルが形成される。
【0038】
なお、
図5では、TiN層28a1、28b1は第1のプレート線PLa1、PLb1に繋がり、TiN層28a2、28b2は第2のプレート線PLa2、PLb2に繋がる例を説明した。これに対して、TiN層28a1、28b1は第2のプレート線PLa2、PLb2に繋がり、TiN層28a2、28b2は第1のプレート線PLa1、PLb1に繋げてもよい。また、TiN層28a1、28b2は第1のプレート線PLa1、PLb1に繋げ、TiN層28a2、28b2は第2のプレート線PLa2、PLb2に繋げても、TiN層28a1、28a2、28b1、28b2のそれぞれを
図1における第1のゲート導体層5aと、第2のゲート導体層5bの役割を行うことができる。
【0039】
また、
図5では、TiN層28a1、28a2、28b1,28b2は、単一のTiN材料で形成した例を示した。これに対し、ゲート導体層の役割を持つ導体層と、配線導体層の役割を持つ導体層より形成されていてもよい。これらゲート導体層と、配線導体層と、は単層、または複数の材料層より構成されていてもよい。同じくゲート導体層36a、36bも、ゲート導体層の役割を持つ導体層と、配線導体層の役割を持つ導体層より形成されていてもよい。これらゲート導体層と、配線導体層と、は単層、または複数の材料層より構成されていてもよい。
本実施形態は、下記の特徴を供する。
(特徴1)
本実施形態では、Si柱22a、22bの外周部を囲み、且つX-X’線方向に繋がり、且つ分離した第1のプレート線PLa1に繋がったTiN層28a1と、第2のプレート線PLa2に繋がったTiN層28a2と、を設けた。同様に、Si柱22c、22dの外周部を囲み、且つX-X’線方向に繋がり、且つ分離した第1のプレート線PLb1に繋がったTiN層28b1と、第2のプレート線PLb2に繋がったTiN層28b2と、を設けた。そして、第2のプレート線PLa2、PLb2に印加する電圧を第1のプレート線PLa1、PLb1に印加する電圧より小さくすることにより、インパクトイオン化により生成した正孔群を、第2のTiN層28a2、28b2寄りのSi柱22a~22dに蓄積することが出来る。これにより、蓄積正孔群の量は、Si柱22a~22dの外周の全体をプレート線導体層で囲んだダイナミック フラッシュ メモリセルより大きくできる。これにより、ダイナミック フラッシュ メモリセルの動作マージンを拡大できる。
(特徴2)
例えば、ワード線WL1、プレート線PLa1にパルス電圧を印加して、ワード線WL1に繋がったメモリセルの読み出しを行う動作において、プレート線PLa2への印加電圧を固定させておくことにより、プレート線PLa2に繋がるTiN層28a2と、プレート線PLa1、PLb1間の容量カップリングノイズを減らすことが出来る。これにより、ダイナミック フラッシュ メモリセルの動作マージンを拡大できる。
【0040】
(第3実施形態)
図6を用いて、第3実施形態のダイナミック フラッシュ メモリのメモリセルの構造を説明する。
図6(a)は、ダイナミック フラッシュ メモリの第1のプレート線導体層を横切った平面図である。
図6(b)は
図6(a)のX-X’線に沿った断面図である。
図6(c)は
図6(a)のY-Y’線に沿った断面図である。
図6において、
図5と同一構成部分には同一符号が付してある。
【0041】
HfO
2層27a側面を囲み、平面視において、向かい合ったSi柱22a、22b列と、Si柱22c、22d列と、の側面に繋がったTiN層28B1がある。そして、TiN層28B1と分離してSi柱22a、22bの外周部を囲み、且つX-X’線に沿って繋がるTiN層28A1がある。そして、TiN層28B1と分離してSi柱22c、22dの外周部を囲み、且つX-X’線に沿って繋がるTiN層28A2がある。そして、TiN層28A1、28A2は第1のプレート線PLA1、PLA2に接続している。そして、TiN層28B1は第2のプレート線PLB1に接続している。その他は、
図5を用いて説明した第2実施形態と同じである。
【0042】
本実施形態は、下記の特徴を供する。
(特徴1)
第2実施形態において、TiN層28a2と、TiN層28b1と、は分離して形成されていた。これに対して、本実施形態では、TiN層28a2と、TiN層28b1と、の分離領域がない構造になっている。これにより、セル面積が第2実施形態のダイナミック フラッシュ メモリセルより小さくでき、ダイナミック フラッシュ メモリセルの高集積化が図れる。
【0043】
(その他の実施形態)
なお、第1実施形態では、Si柱2を形成したが、これ以外の半導体材料よりなる半導体柱であってもよい。このことは、本発明に係るその他の実施形態においても同様である。
【0044】
また、第1実施形態における、N+層3a、3bは、ドナー不純物を含んだSi、または他の半導体材料層より形成されてもよい。また、異なる半導体材料層より形成されてもよい。また、それらの形成方法はエピタキシャル結晶成長法、または、他の方法でN+層を形成してもよい。このことは、本発明に係るその他の実施形態においても同様である。
【0045】
また、第2実施形態では、プレート線PLa1、PLa2、PLb1、PLb2に繋がるゲート導体層としてTiN層28a1、28a2、28b1、28b2を用いた。これに対して、TiN層28a1、28a2、28b1、28b2に替えて、単層または複数の導体材料層を組み合わせて用いてもよい。同じく、ワード線WL1、WL2に繋がるゲート導体層としてTiN層36a、36bを用いた。これに対して、TiN層36a、36bに替えて、単層または複数の導体材料層を組み合わせて用いてもよい。また、ゲートTiN層28a1、28a2、28b1、28b2、36a、36bは、その外側が、例えばWなどの配線金属層に繋がっていてもよい。このことは、本発明に係るその他の実施形態においても同様である。
【0046】
第2実施形態、第3実施形態では、P層10上に4個のSi柱22a~22dを形成した例を説明したが、4個以上であってもよい。
【0047】
また、第1実施形態では、Si柱2の平面視における形状は、円形状であった。それに対し、Si柱2の平面視における形状は、楕円、一方向に長く伸びた形状などであってもよい。そして、平面視形状の異なるSi柱を混在してダイナミック フラッシュ メモリセルを形成することができる。これらのこのことは、本発明に係るその他の実施形態においても同様である。
【0048】
また、
図1では、矩形状の垂直断面を有するSi柱2を用いて説明したが、垂直断面が台形状であってもよい。また、ダイナミック フラッシュ メモリセルのSi柱2での、第1のゲート絶縁層4aで囲まれたSi柱2の断面と、第2のゲート絶縁層4bで囲まれたSi柱2の断面と、のそれぞれが矩形状、台形状に異なっていてもよい。このことは、本発明に係るその他の実施形態においても同様である。
【0049】
また、第2実施形態における、Si柱22a~22dの底部のN+層21に接続して例えばW層などの導体層を用いてもよい。このことは、本発明に係るその他の実施形態においても同様である。
【0050】
また、
図1において、プレート線PL1、PL2に接続された第1のゲート導体層5a、第2のゲート導体層5bのゲート容量が、ワード線WLに接続された第3のゲート導体層5cのゲート容量よりも大きくなるように、第1のゲート導体層5a、第2のゲート導体層5bのゲート長を、第3のゲート導体層5cのゲート長よりも長くすることにより、更に第1のゲート導体層5a、第2のゲート導体層5bを合わせたゲート容量を、第3のゲート導体層5cのゲート容量よりも、大きく出来る。また、その他にも、第1のゲート導体層5a、第2のゲート導体層5bのゲート長を、第3のゲート導体層5cのゲート長よりも長くする、または長くしない構造においても、例えば、第1のゲート絶縁層4aのゲート絶縁膜の膜厚を、第2のゲート絶縁層4bのゲート絶縁膜の膜厚よりも薄くしても、第1のゲート導体層5a、第2のゲート導体層5bを合わせたゲート容量を、第3のゲート導体層5cのゲート容量よりも、大きく出来る。また、それぞれのゲート絶縁層の材料の誘電率を変えて、第1のゲート絶縁層4aのゲート絶縁膜の誘電率を、第2のゲート絶縁層4bのゲート絶縁膜の誘電率よりも高くしてもよい。また、ゲート導体層5a、5b、5cの長さ、ゲート絶縁層4a、4bの膜厚、誘電率のいずれかを組み合わせて、第1のゲート導体層5aと、第2のゲート導体層5bと、を合わせたゲート容量が、第3のゲート導体層5cのゲート容量よりも、更に大きくしてもよい。このことは、本発明に係るその他の実施形態においても同様である。
【0051】
なお、第2実施形態では、Si柱22a~22dを、平面視において、正方格子状に配置した例を示したが、斜方格子状に配置させてもよい。このことは、本発明に係るその他の実施形態においても同様である。
【0052】
また、
図1において、N
+層3a、3bの一方をP
+層にして、サイリスタ現象を用いた動作(例えば、非特許文献15を参照)、またはトンネル現象を用いた動作により、読み出し動作を行ってもよい。このことは、本発明に係るその他の実施形態においても同様である。
【0053】
また、本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した各実施形態は、本発明の一実施例を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。上記実施例及び変形例は任意に組み合わせることができる。さらに、必要に応じて上記実施形態の構成要件の一部を除いても本発明の技術思想の範囲内となる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明に係る、メモリ素子を有する半導体装置によれば、高密度で、かつ高性能のダイナミック フラッシュ メモリを有する半導体装置が得られる。
【符号の説明】
【0055】
1 基板
20 P層
2、22a、22b、22c、22d Si柱
3a、3b、21、23a、23b、23c、23d N+層
4a 第1のゲート絶縁層
4b 第2のゲート絶縁層
5a 第1のゲート導体層
5b 第2のゲート導体層
5c 第3のゲート導体層
6 絶縁層
7 チャネル領域
7a 第1のチャネル層
7b 第2のチャネル層
11 正孔群
12a、12b 反転層
13 ピンチオフ点
SL ソース線
PL1 第1のプレート線
PL2 第2のプレート線
WL ワード線
BL ビット線
27a、27b HfO2層
28a1、28a2、28b1、28b2、28A1、28B1,28A2、36a、36b TiN層
26、33、37 SiO2層
40a、40b 配線金属層