(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】喫煙材を加熱するための装置とともに使用するための物品
(51)【国際特許分類】
A24F 40/465 20200101AFI20231108BHJP
A24D 1/20 20200101ALI20231108BHJP
【FI】
A24F40/465
A24D1/20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020175448
(22)【出願日】2020-10-19
(62)【分割の表示】P 2018507624の分割
【原出願日】2016-08-26
【審査請求日】2020-11-18
(32)【優先日】2015-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ブランディーノ, トーマス ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ウィルケ, アンドリュー ピー.
(72)【発明者】
【氏名】フレイター, ジェームス ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】パプロッキー, ベンジャミン ジェイ.
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特表平08-511175(JP,A)
【文献】特表2009-509523(JP,A)
【文献】国際公開第2015/052192(WO,A1)
【文献】特開2013-150593(JP,A)
【文献】特表2010-535530(JP,A)
【文献】米国特許第04979521(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/465
A24D 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙材を加熱して前記喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための物品であって、
喫煙材の塊と、
前記喫煙材の塊の中に配置された細長い部材であって、変動磁場の侵入によって加熱可能なヒーター材を含む細長い部材と、
前記喫煙材の塊と流体連通する通路を画定する吸い口であって、香味料を備える、又は香味料を含浸する吸い口と、
を備え、
前記細長い部材が、前記喫煙材の塊の長手方向の両端部の一方又は両方から離間しており、
前記細長い部材が、その長さに垂直な矩形の又は実質的に矩形の断面を有し、
前記細長い部材の第1の部分が、前記細長い部材の第2の部分よりも、変動磁場の侵入によってその中に誘導される渦電流の影響を受けやすい、物品。
【請求項2】
前記細長い部材が、全体又は実質的に全体が前記ヒーター材からなる、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記ヒーター材が、導電性材料、磁性材料、及び非磁性材料からなる群から選択された1つ以上の材料を含む、請求項1又は2に記載の物品。
【請求項4】
前記ヒーター材が、金属又は金属合金を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の物品。
【請求項5】
前記ヒーター材が、アルミニウム、金、鉄、ニッケル、コバルト、導電性炭素、グラファイト、普通炭素鋼、ステンレス鋼、フェライトステンレス鋼、銅、及び青銅からなる群から選択された1つ以上の材料を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の物品。
【請求項6】
前記ヒーター材が前記喫煙材と接触している、及び/又は前記細長い部材が、前記喫煙材の塊によって取り囲まれている又は囲まれている、請求項1~5のいずれか一項に記載の物品。
【請求項7】
前記細長い部材が、2つの副面によって接合された反対側を向いた2つの主面を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の物品。
【請求項8】
前記細長い部材が長さ、及び前記長さに垂直な断面を有し、前記断面が幅及び奥行きを有し、前記細長い部材の前記長さが前記断面の前記幅より長く、前記断面の前記幅が前記断面の前記奥行きより広い、請求項1~7のいずれか一項に記載の物品。
【請求項9】
前記細長い部材が実質的に平面状である、請求項1~8のいずれか一項に記載の物品。
【請求項10】
前記細長い部材が非平面状である、請求項1~8のいずれか一項に記載の物品。
【請求項11】
前記細長い部材が、少なくとも1つの湾曲した主面を有する、ねじれている、又はひだ状である、請求項10に記載の物品。
【請求項12】
喫煙材を加熱して前記喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための物品であって、
喫煙材の塊と、
前記喫煙材の塊の中に配置された細長い部材であって、変動磁場の侵入によって加熱可能なヒーター材を含む細長い部材と、
前記喫煙材の塊と流体連通する通路を画定する吸い口であって、香味料を備える、又は香味料を含浸する吸い口と、
を備え、
前記細長い部材が、前記喫煙材の塊の長手方向の両端部の一方又は両方から離間しており、
前記細長い部材が、その長さに垂直な矩形の又は実質的に矩形の断面を有し、
前記細長い部材の少なくとも一部分に触媒材料をさらに備える、物品。
【請求項13】
前記物品が細長く、前記細長い部材が前記物品の長手方向軸と実質的に揃えられた長手方向軸に沿って延在するように、前記細長い部材が配置されている、請求項1~12のいずれか一項に記載の物品。
【請求項14】
前記喫煙材の塊と前記細長い部材との周りに配置されたカバーをさらに備える、請求項1~13のいずれか一項に記載の物品。
【請求項15】
前記カバーが、変動磁場の侵入によって加熱可能なヒーター材を含む、請求項14に記載の物品。
【請求項16】
前記カバーがラッパー又は紙のシートを含む、請求項14又は15に記載の物品。
【請求項17】
前記喫煙材が、タバコ、及び/又は1つ以上の保湿剤を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の物品。
【請求項18】
喫煙材を加熱して前記喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように構成された装置とともに使用するための物品を製造する方法であって、
変動磁場の侵入によって加熱可能なヒーター材を含む細長い素子を用意するステップであって、前記細長い素子が、その長さに垂直な矩形の又は実質的に矩形の断面を有
し、
前記細長い素子の第1の部分が、前記細長い素子の第2の部分よりも、変動磁場の侵入によってその中に誘導される渦電流の影響を受けやすい、ステップと、
前記細長い素子が喫煙材の塊の長手方向の両端部の一方又は両方から離間するように前記細長い素子を前記喫煙材の塊の中に配置するステップと、
前記喫煙材の塊と流体連通する通路を画定する吸い口を設けるステップであって、前記吸い口が、香味料を備える、又は香味料を含浸
する、ステップと、
を含む方法。
【請求項19】
前記配置するステップが、前記喫煙材を経路に沿って動かすことと、前記喫煙材が前記経路に沿って動くにつれて前記細長い素子を前記喫煙材の中に送り出して、前記細長い素子を前記喫煙材の中に入れ込むこととを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記喫煙材と前記細長い素子との周りにカバーを設けるステップをさらに含む、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記カバーを設ける前記ステップが、前記細長い素子と前記喫煙材とが組み合わさったものがガニチャーのトングを通過するときに、前記組み合わさったものを前記カバーで巻くことを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
喫煙材を加熱して前記喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように構成された装置と、
前記装置とともに使用するための物品であって、請求項1~17のいずれか一項に記載の物品と、
を備えるシステム。
【請求項23】
前記装置が、前記物品と協働するように構成された境界面と、前記物品が前記境界面と協働するとき、前記ヒーター材に侵入する変動磁場を発生させるように構成された磁場発生器とを含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記磁場発生器が螺旋コイルを備える、請求項23に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための物品と、このような物品を製造する方法と、このような物品及び装置を備えるシステムとに関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻タバコ、葉巻タバコなどの喫煙品は、使用の間、タバコを燃焼させてタバコ煙を発生させる。燃焼させずに化合物を放出する製品を創出することによってこれらの喫煙品に代わるものを提供する試みがなされている。そのような製品の例としては、いわゆる「非燃焼・加熱式(heat-not-burn)」製品、又はタバコ加熱装置もしくはタバコ加熱製品がある。これらは、材料を燃焼するのではなく加熱することで化合物を放出する。その材料は、例えば、タバコでもよいし、他の非タバコ製品でもよい。非タバコ製品は、ニコチンを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様は、喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように構成された装置とともに使用するための物品を提供することで、本物品は、
喫煙材の塊と、
喫煙材の塊の中の細長い部材であって、変動磁場の侵入によって加熱可能なヒーター材又は加熱材を備える細長い部材と
を備える。
【0004】
例示的な実施形態では、細長い部材は、喫煙材の塊の長手方向の両側の端部まで延在している。
【0005】
例示的な実施形態では、細長い部材は、喫煙材の塊によって取り囲まれている。例示的な実施形態では、細長い部材は、喫煙材の塊によって囲まれている。
【0006】
例示的な実施形態では、細長い部材は空気又は揮発材に対して透過性がなく、あるいは、実質的に切れ目がない。別の例示的な実施形態では、細長い部材は空気に対して透過性があり、及び/又は揮発材に対して透過性がある。
【0007】
例示的な実施形態では、細長い部材は、全体又は実質的に全体が加熱材からなる。
【0008】
それぞれの例示的な実施形態では、ヒーター材又は加熱材は、導電性材料、磁性材料、及び非磁性材料からなる群から選択された1つ以上の材料を含む。それぞれの例示的な実施形態では、加熱材は、金属、金属合金を含む。それぞれの例示的な実施形態では、加熱材は、アルミニウム、金、鉄、ニッケル、コバルト、導電性炭素、グラファイト、普通炭素鋼、ステンレス鋼、フェライトステンレス鋼、銅、及び青銅からなる群から選択された1つ以上の材料を含む。
【0009】
例示的な実施形態では、加熱材は喫煙材と接触している。
【0010】
例示的な実施形態では、本物品は、細長い部材を喫煙材から離間する熱伝導遮蔽物を備える。いくつかの実施形態では、熱伝導遮蔽物は、細長い部材上の熱伝導コーティングとすることができる。
【0011】
例示的な実施形態では、細長い部材は、2つの副面によって接合された反対側を向いた2つの主面を有する。例示的な実施形態では、細長い部材は長さ、及び長さに垂直な断面を有し、断面は幅及び奥行きを有し、長さは幅より長く、幅は奥行きより広い。
【0012】
例示的な実施形態では、細長い部材は実質的に平面状である。いくつかの実施形態では、細長い部材は平坦な帯板又はリボンとすることができる。別の例示的な実施形態では、細長い部材は平面状でない。それぞれの例示的な実施形態では、細長い部材は、少なくとも1つの湾曲した主面を有する、ねじれている、又はひだ状である。
【0013】
例示的な実施形態では、細長い部材の第1の部分は、細長い部材の第2の部分よりも、変動磁場の侵入によってその中に誘導される渦電流の影響を受けやすい。いくつかの実施形態では、細長い部材の第1の部分は第1の材料で作られ、細長い部材の第2の部分は異なる第2の材料で作られ、第1の材料は第2の材料よりも影響を受けやすい材料である。いくつかの実施形態では、細長い部材の第1の部分は細長い部材の第2の部分とは異なる厚さを有することができる。
【0014】
例示的な実施形態では、本物品は、細長い部材の少なくとも一部分に触媒材料を備える。
【0015】
例示的な実施形態では、本物品は細長く、細長い部材は本物品の長手方向軸と実質的に揃えられた長手方向軸に沿って延在する。このように揃えられた軸は互いに平行とすることができる、又は互いに一致することができる。
【0016】
例示的な実施形態では、物品は、喫煙材の塊と流体連通する通路を画定する吸い口を備える。
【0017】
例示的な実施形態では、本物品は、喫煙材の塊と細長い部材との周りにカバーを備える。例示的な実施形態では、カバーは、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材を備える。いくつかの実施形態では、カバーはラッパーを備える。いくつかの実施形態では、ラッパーは紙のシートを備える。いくつかの実施形態では、カバーは断熱材の塊を備える。いくつかの実施形態では、細長い部材はカバーと接触しないようにされる。
【0018】
例示的な実施形態では、本物品は細長く、円形の断面を有する。
【0019】
例示的な実施形態では、喫煙材は、タバコ、及び/又は1つ以上の保湿剤を含む。
【0020】
例示的な実施形態では、物品は、物品の温度を検出するための温度検出器を備える。いくつかの実施形態では、物品は、使用時に装置の温度モニタと接続させるために、温度検出器に接続された1つ以上の端子を備える。
【0021】
本発明の第2の態様は、喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための物品を製造する方法を提供し、本方法は、
変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材を備える細長い素子を用意するステップと、
細長い素子を喫煙材の中に配置するステップと
を含む。
【0022】
例示的な実施形態では、配置するステップは、喫煙材を経路に沿って動かすことと、喫煙材が経路に沿って動くにつれて細長い素子を喫煙材の中に送り出して、細長い素子を喫煙材の中に入れ込むこととを含む。
【0023】
例示的な実施形態では、用意するステップと配置するステップとは、喫煙材の中に細長い素子を備える細長い組立体を形成し、本方法は、細長い組立体に沿った所定の長手方向の位置で細長い組立体を切断して物品を形成するステップを含む。
【0024】
それぞれの例示的な実施形態では、本物品は、上記の本発明の第1の態様の物品の例示的な実施形態の特徴のいずれかを有することができる。
【0025】
例示的な実施形態では、本方法は、喫煙材と細長い素子との周りに覆いを設けるステップを含む。いくつかの実施形態では、覆いはラッパーを備える。いくつかの実施形態では、ラッパーは紙のシートを備える。いくつかの実施形態では、覆いは断熱材の塊を備える。いくつかの実施形態では、細長い素子は覆いと接触しないようにされる。
【0026】
例示的な実施形態では、覆いを設けるステップは、細長い素子と喫煙材とが組み合わさったものがガニチャーのトングを通過するとき、この組み合わさったものを覆いで巻くステップを含む。
【0027】
本発明の第3の態様はシステムを提供し、本システムは、
喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置と、
この装置とともに使用するための物品であって、喫煙材の塊と、喫煙材の塊の中に細長い部材とを備え、細長い部材が、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材を備える、物品と
を備える。
【0028】
例示的な実施形態では、装置は、物品と協働するための境界面と、物品が境界面と協働するとき、加熱材に侵入するように変動磁場を発生させるための磁場発生器とを備える。
【0029】
それぞれの例示的な実施形態では、本システムの物品は、上記の本発明の第1の態様の物品の例示的な実施形態の特徴のいずれかを有することができる。
【0030】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態を単なる例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための物品の例の概略斜視図である。
【
図4】喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための別の物品の例の概略断面図である。
【
図5】喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための別の物品の例の概略断面図である。
【
図6】喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための別の物品の例の概略断面図である。
【
図7】喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための別の物品の例の概略断面図である。
【
図8】喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための別の物品の例の概略断面図である。
【
図9】喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための別の物品の例の概略部分断面図である。
【
図10a】喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための物品を製造する方法の例の作業を示す図である。
【
図10b】
図10aに続く図であり、喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための物品を製造する方法の例の作業を示す図である。
【
図10c】
図10bに続く図であり、喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための物品を製造する方法の例の作業を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本書では、用語「喫煙材」は、加熱されると揮発成分を、典型的には蒸気又はエアロゾルの形態で供する材料を含む。「喫煙材」は非タバコ含有材料であってもよいし、タバコ含有材料であってもよい。「喫煙材」は、例えば、タバコ自体、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、タバコ抽出物、均質化タバコ、又はタバコ代替品のうちの1つ以上を含んでいてもよい。喫煙材は、挽きタバコ、刻みラグタバコ、押出タバコ、液体、ゲル、ゲル化シート、粉末、又は塊の形態とすることが可能である。「喫煙材」は、他に非タバコ製品を含んでいてもよい。この非タバコ製品は、製品によってニコチンを含んでもよいし、含まないでもよい。「喫煙材」は、1つ以上の保湿剤、例えばグリセロール又はプロピレングリコール、を含んでいてもよい。
【0033】
本明細書では、用語「加熱材」は、変動磁場の侵入によって加熱可能な材料を指す。
【0034】
本書では、用語「香料」及び「香味料」は、成人消費者用の製品において所望の味又は香りを生成するために(現地の規制によって許可される場合に)使用することができる材料を指す。これらの材料は、抽出物(例えば、カンゾウ、アジサイ、ホオノキの葉、カモミール、フェヌグリーク、クローブ、メンソール、ニホンハッカ、アニシード、シナモン、ハーブ、ウィンターグリーン、サクランボ、ベリー、モモ、リンゴ、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウイスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、ビャクダン、ベルガモット、ゼラニウム、はちみつエッセンス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、カシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、ウイキョウ、ピーマン、ショウガ、アニス、コリアンダー、コーヒー、又はハッカ属の任意の種からのハッカ油など)、香味強化剤、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容体部位活性化剤もしくは感覚受容体部位刺激剤、糖及び/又は代替糖(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、チクロ、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、又はマンニトール)、並びに他の添加物(例えば、チャコール、クロロフィル、ミネラル、植物性物質、又は息清涼剤)を含んでいてもよい。これらは、模造品、合成材料又は天然材料、あるいはこれらの混合物であってもよい。これらは、油、液体、ゲル、粉末など、任意の適切な形態をとることができる。
【0035】
誘導加熱は、導電性物体に変動磁場を侵入させることによってその物体を加熱するプロセスである。このプロセスは、ファラデーの電磁誘導の法則及びオームの法則によって説明される。誘導ヒーターは、電磁石と、この電磁石に交流電流などの変動電流を流すための装置を備えることができる。加熱しようとする物体と電磁石が、電磁石によって生じた変動磁場がこの物体に侵入するような適切な相対位置に配置されると、この物体内に1つ以上の渦電流が発生する。この物体は電流の流れに対する抵抗を有する。したがって、この物体内にこのような渦電流が発生すると、渦電流が物体の電気抵抗に抗して流れ、それによってこの物体が加熱される。このプロセスは、ジュール加熱、オーム加熱、又は抵抗加熱と呼ばれる。誘導加熱することができる物体は、サセプタとして知られている。
【0036】
サセプタが閉回路の形態のときは、使用時におけるサセプタと電磁石との磁気結合が強くなり、その結果、ジュール加熱が増大し、又は改善されることが分かっている。
【0037】
磁気ヒステリシス加熱は、磁性材料からなる物体に変動磁場が侵入することによって物体を加熱するプロセスである。磁性材料は、原子スケールの磁石即ち磁気双極子を多く含んでいると考えることができる。磁場がこのような材料に侵入すると、磁気双極子は磁場に沿って整列する。したがって、交流磁場(例えば、電磁石によって生じたもの)などの変動磁場が磁性材料に侵入すると、磁気双極子の向きは、印加された変動磁場に応じて変化する。このような磁気双極子の再配向によって、磁性材料内に熱が発生する。
【0038】
物体が導電性及び磁性の両方を有するときは、その物体に変動磁場を侵入させると、物体にジュール加熱及び磁気ヒステリシス加熱の両方を生じさせることができる。さらに、磁性材料を使用すると、変動磁場を強めることができ、それによりジュール加熱を強めることができる。
【0039】
上記のプロセスのそれぞれにおいて、熱は、外部熱源によって熱伝導により発生するのではなく、物体自体の内部で発生するので、物体内の急速な温度上昇と、より均一な熱分布を達成することができる。これは、特に、物体の材料及び幾何形状を適切に選び、その物体に対して変動磁場の大きさ及び向きを適切に選ぶことによって達成することができる。さらに、誘導加熱及び磁気ヒステリシス加熱は、変動磁場の源と物体との間に物理的な接続部を設ける必要がないので、喫煙材の残渣物などの物体上の材料の堆積はさほど問題にならず、設計自由度が広がり得、加熱プロファイルをよりよく制御でき、コストをより低くすることができる。
【0040】
図1、
図2、及び
図3を参照すると、本発明の実施形態による物品の例の概略斜視図、及び互いに対して90度で切り取った2つの概略断面図が示されている。物品1は、喫煙材10の塊と、喫煙材10の塊の中の細長い部材20とを備える。細長い部材20は、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材を備える。物品1はまた、喫煙材10の塊と細長い部材20との周りにカバー30を備える。物品1は、喫煙材10を燃やさずに、喫煙材10を加熱して喫煙材10の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するためのものである。このような装置の例を下記で説明する。
【0041】
この実施形態では、物品1は、実質的に円形の断面を有する細長い円筒状である。しかしながら、他の実施形態では、物品1は、円形以外の断面を有することができる、及び/又は、細長くない、及び/又は、円筒状でないものとすることができる。この実施形態では、物品1は、タバコの大きさに近い。
【0042】
この実施形態では、細長い部材20は、物品1の長手方向軸と実質的に揃えられた長手方向軸に沿って延在している。これは、使用時に喫煙材10をより均一に加熱する助けとなり得、また、下記の例で説明するように、物品1の製造にも助けになり得る。この実施形態では、これらの揃えられた軸は一致する。この実施形態の変形例では、揃えられた軸は互いに平行とすることができる。しかしながら、他の実施形態では、軸は互いに傾けることができる。
【0043】
この実施形態では、細長い部材20は、喫煙材10の塊の長手方向の両側の端部まで延在している。これは、使用時に喫煙材10をより均一に加熱する助けとなり得、また、下記の例で説明するように、物品1の製造にも助けになり得る。しかしながら、他の実施形態では、細長い部材20は、喫煙材10の塊の長手方向の両側の端部のどちらにも延在していなくてもよい、又は、喫煙材10の塊の長手方向の端部のうちの一方だけに延在して、喫煙材10の塊の長手方向の端部のうちの他方から離間してもよい。
【0044】
この実施形態では、細長い部材20は、喫煙材10の塊によって取り囲まれている。即ち、喫煙材10は細長い部材20の周りに延在している。細長い部材20が、喫煙材10の塊の長手方向の両側の端部のどちらにも延在していない実施形態では、喫煙材10は、細長い部材20の周りに延在し、また、細長い部材20の長手方向の端部を覆うことができ、その結果、細長い部材20は喫煙材10の塊によって囲まれている。
【0045】
この実施形態では、細長い部材20は空気又は揮発材に対して透過性がなく、実質的に切れ目がない。したがって、細長い部材20は比較的容易に製造することができる。しかしながら、この実施形態の変形例では、細長い部材20は、空気に対して透過性があってもよく、及び/又は喫煙材10が加熱されたときに生成される揮発材に対して透過性があってもよい。細長い部材20のこのような透過性は、空気が物品1を通過して、喫煙材10が加熱されたときに生成される揮発材を受け取る助けとなり得る。細長い部材20の長手方向の端部で、熱が喫煙材10を加熱することなく物品から漏れる可能性があるが、細長い部材20のこのような透過性はまた、細長い部材20の長手方向の端部への望ましくない熱経路を妨げるように働くことができる。
【0046】
この実施形態では、細長い部材20は、全体又は実質的に全体が加熱材からなる。加熱材は、導電性材料、磁性材料、及び非磁性材料からなる群から選択された1つ以上の材料を含むことができる。加熱材は、金属又は金属合金を含むことができる。加熱材は、アルミニウム、金、鉄、ニッケル、コバルト、導電性炭素、グラファイト、普通炭素鋼、ステンレス鋼、フェライトステンレス鋼、銅、及び青銅からなる群から選択された1つ以上の材料を含むことができる。細長い部材20は、例えば、カンタル(Kanthal)(商標)線又はリボンなどの抵抗線又はリボンを備えることができる。他の実施形態では、他の(1つ以上の)加熱材を使用することができる。加熱材として磁性導電材を用いると、使用時、細長い部材20と装置の電磁石との間の磁気結合を強くすることができることもまた分かっている。これは、磁気ヒステリシス加熱を潜在的に可能にすることに加えて、加熱材のジュール加熱を増大させる、又は改善することができ、したがって、喫煙材10の加熱を増大させる、又は改善することができる。
【0047】
この実施形態では、細長い部材20の加熱材は喫煙材10と接触している。したがって、加熱材が、変動磁場の侵入によって加熱されると、加熱材から喫煙材10に熱を直接伝達することができる。他の実施形態では、加熱材は喫煙材10と接触しないようにすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、物品1は、加熱材がなく細長い部材20を喫煙材10から離間する熱伝導遮蔽物を備えることができる。いくつかの実施形態では、熱伝導遮蔽物は、細長い部材20上のコーティングとすることができる。このような遮蔽物を設けると、細長い部材20の誘導加熱が終わった後に物品1内に熱を保持するのを助けることに有利となることができる。
【0048】
この実施形態では、細長い部材20は、その長さに垂直な矩形の又は実質的に矩形の断面を有する。この断面は幅及び奥行きを有する。
図2及び
図3を組み合わせると最も良く分かるように、細長い部材20の長さは断面の幅より長く、断面の幅は断面の奥行きより広い。いくつかの実施形態では、細長い部材20の長さは30ミリメートルと50ミリメートルとの間であり、例えば、40ミリメートルである。いくつかの実施形態では、細長い部材20の幅は3ミリメートルと6ミリメートルとの間であり、例えば、4.5ミリメートルである。いくつかの実施形態では、細長い部材20の奥行きは2ミリメートルより短い。いくつかの実施形態では、細長い部材20の奥行きは1ミリメートルより短い。いくつかの実施形態では、細長い部材20の奥行きは0.1ミリメートルと0.6ミリメートルとの間であり、例えば、0.3ミリメートルである。
【0049】
この実施形態では、細長い部材20は、2つの副面によって接合された反対側を向いた2つの主面を有する。したがって、細長い部材20の奥行き又は厚さは、細長い部材20の他の寸法に比べると比較的短い。加熱材は、誘導電流、及び/又は誘導された磁気双極子の再配向のほとんどが生じる外側の領域である表皮深さを有することができる。加熱材の厚さを比較的薄くすることによって、加熱材の他の寸法に比べて比較的長い奥行き又は厚さを有する加熱材と比べると、所与の変動磁場によって加熱材のより大きな割合を加熱可能にすることができる。したがって、材料をより効率的に使用することになり、コストが削減される。しかしながら、他の実施形態では、細長い部材20は、円形、楕円形、環状、多角形、方形、三角形、星型、又は放射状フィン型など、矩形以外の形状の断面を有することができる。
【0050】
この実施形態では、細長い部材20の断面は、細長い部材20の長さに沿って一定である。さらに、この実施形態では、細長い部材20は平面状、又は実質的に平面状である。この実施形態の細長い部材20は平坦な帯板又はリボンと考えることができる。しかしながら、下記で例を説明する他の実施形態ではその限りではない。
【0051】
この実施形態では、カバー30は、物品1の外面を画定し、物品1の外面は、使用時に装置と接触することができる。この実施形態では、カバー30は、材料のシートを備えるラッパー32を備える。この実施形態では、材料のシートは紙のシートを含むが、他の実施形態では、シートは、紙以外の材料でもよい。この実施形態では、カバー30は喫煙材10を取り囲む。他の実施形態では、カバー30はまた、物品の長手方向の端部の一方又は両方を覆うことができる。いくつかの実施形態では、ラッパー32は、ラッパー32の自由端が互いに重なるように喫煙材10の周りに巻かれる。次いで、ラッパー32はまた、ラッパー32の重ねられた自由端を互いにくっつけてそれらが離れるのを防ぐ助けとなる接着剤を備えることができる。他の実施形態では、接着剤を省略することができる。この実施形態では、細長い部材20はカバー30と接触しないようにされる。これは、使用時、細長い部材20が加熱されるときにカバー30が焦げるのを避ける助けとなり得る。しかしながら、他の実施形態では、細長い部材20はカバー30と接触してもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、カバー30は、断熱材の塊を備えることができる。断熱材は、エアロゲル、真空断熱材、綿、フリース、不織布材料、不織布フリース、織物材料、編物材料、ナイロン、発泡体、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエステルフィラメント、ポリプロピレン、ポリエステルとポリプロピレンとの混紡、酢酸セルロース、紙又は厚紙、及び波形の紙又は厚紙などの波形の材料からなる群から選択された1つ以上の材料を含むことができる。断熱材は、これに加えて又はこれに代えて、空隙を含むことができる。このような断熱材は、装置の構成部品への熱損失を防ぐのに役立つことができ、カバー30内の喫煙材をより効率的に加熱することができる。いくつかの実施形態では、断熱材は、1ミリメートルまでの厚さ、例えば、0.5ミリメートルまでの厚さを有することができる。
【0053】
この実施形態では、細長い部材20は平面状、又は実質的に平面状であるが、他の実施形態では、細長い部材20は平面状でなくてもよい。例えば、
図4から
図6を参照すると、本発明の実施形態による他の物品の各例の概略断面図が示されている。これらの実施形態の物品2、3、4は、細長い部材20の形態を除いて、
図1~
図3の物品1と同一である。
図1~
図3の物品1に対する上記の可能な変形例のいずれも、
図4、
図5、及び
図6の物品2、3、4に対して行って、個別の各実施形態を形成することができる。
【0054】
図4の実施形態では、細長い部材20は波形又は波状の経路をたどる。この経路は正弦波の経路とすることができる。細長い部材20はさらに、帯板又はリボンと考えることができるが、帯板又はリボンの2つの主面24は、細長い部材20の長さに沿って凹状と凸状に交互に湾曲している。大きく見ると、細長い部材20は、物品2の長手方向軸と一致する長手方向軸をたどっていると考えることができる。
【0055】
図5の実施形態では、細長い部材20はねじれている。この実施形態では、細長い部材20は、物品3の長手方向軸と一致する長手方向軸の周りにねじれていると考えることができる。細長い部材20はさらに、帯板又はリボンと考えることができるが、帯板又はリボンの2つの主面は湾曲している。
【0056】
図6の実施形態では、細長い部材20はひだ状である。この実施形態では、細長い部材20は、物品4の長手方向軸と一致する長手方向軸をたどっていると考えることができる。細長い部材20はさらに、帯板又はリボンと考えることができるが、帯板又はリボンの2つの大きな面は平面状ではない。
【0057】
図4~
図6の物品2、3、4の細長い部材20の非平面形状は、物品2、3、4を通過する空気が、喫煙材10が加熱されたときに生成される揮発材を受け取る助けとなり得る。非平面形状によって、空気がたどる経路は曲がりくねり、それによって空気に乱流を生じさせることができ、加熱材から喫煙材10に熱をより良好に伝達することができる。非平面形状によって、また、細長い部材20の単位長さ当たりの細長い部材20の表面積を大きくすることもできる。これは、細長い部材20のジュール加熱を増大させる、又は改善することができ、したがって、喫煙材10の加熱を増大させる、又は改善することができる。他の実施形態の平面状でない細長い部材20は、上記以外の形状を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、細長い部材20は、螺旋又は渦巻き状とすることができ、突起及び/又は凹みを有する板又は帯板又はリボンを含むことができ、網目を含むことができ、展伸金属を含むことができ、あるいは、不均一な非平面形状を有することができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、細長い部材20の第1の部分21は、細長い部材20の第2の部分22よりも、変動磁場の侵入によってその中に誘導される渦電流の影響をより受けやすくすることができる。
図7は、そのような構成の例を示す。
図7の物品5は、
図1~
図3の物品1の細長い部材20と同様の形状の細長い部材20を有しているが、影響の受けやすさが異なるこのような第1及び第2部分21、22を備える他の実施形態では、細長い部材20は、
図4~
図6の物品2、3、4の細長い部材20とそれぞれ同様な形状をしてもよい。
【0059】
細長い部材20の第1の部分21が第1の材料で作られ、細長い部材20の第2の部分22が異なる第2の材料で作られ、第1の材料が第2の材料よりもその中に誘導される渦電流の影響の受けやすさが高い結果、細長い部材20の第1の部分21は影響をより受けやすくすることができる。例えば、第1の部分21及び第2の部分22のうちの一方を鉄で作り、第1の部分21及び第2の部分22のうちの他方をグラファイトで作ることができる。これに代えて又はこれに加えて、細長い部材20の第1の部分21が細長い部材20の第2の部分22とは異なる厚さを有して、その結果、細長い部材20の第1の部分21は影響をより受けやすくすることができる。
【0060】
図7では、第1の部分21と第2の部分22とは、物品5又は細長い部材20の長手方向に互いに隣接して配置されているが、他の実施形態ではこのようにする必要はない。例えば、いくつかの実施形態では、第1の部分21と第2の部分22とは、物品5又は細長い部材20の長手方向に垂直な方向に互いに隣接して配置することができる。
【0061】
細長い部材20の、その中に誘導される渦電流の影響の受けやすさをこのように変えることは、喫煙材10を漸進的に加熱し、以て、蒸気を漸進的に生成する助けとなり得る。例えば、影響の受けやすさが高い部分21は、喫煙材10の第1の領域を比較的急速に加熱して、喫煙材10の第1の領域で、喫煙材10の少なくとも1つの成分の揮発及び蒸気の形成を開始させることができる。影響の受けやすさが低い部分22は、喫煙材10の第2の領域を比較的ゆっくり加熱して、喫煙材10の第2の領域で、喫煙材10の少なくとも1つの成分の揮発及び蒸気の形成を開始させることができる。したがって、蒸気は、使用者が吸入するために比較的迅速に形成されることができ、喫煙材10の第1の領域が蒸気の生成を終えた後でさえ、使用者が引き続き吸入するためにその後も蒸気が形成され続けることができる。喫煙材10の揮発可能な成分を使い尽くすと、喫煙材10の第1の領域は蒸気の生成を終えることができる。
【0062】
他の実施形態では、細長い部材20のすべてが、変動磁場の侵入によって細長い部材20内に誘導される渦電流の影響を等しく又は実質的に等しく受けやすくすることができる。いくつかの実施形態では、細長い部材20はこのような渦電流の影響を受けやすくすることができない。そのような実施形態では、加熱材は非導電性の磁性材料の場合があり、したがって、上記の磁気ヒステリシスプロセスによって加熱可能とすることができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、物品は、喫煙材10の塊の中に複数の細長い部材20を備えることができる。この場合、細長い部材20のそれぞれは、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材を備える。複数の細長い部材20の少なくとも1つは、複数の細長い部材20の他の少なくとも1つよりも、変動磁場の侵入によってその中に誘導される渦電流の影響をより受けやすくすることができる。これは、例えば、上記のように、細長い部材20を異なる加熱材から作る、及び/又は、異なる厚さにすることによって行うことができる。この場合もまた、細長い部材20がこのように影響の受けやすさを変えると、上記と同じ態様で、喫煙材10を漸進的に加熱し、以て、蒸気を漸進的に生成する助けとなり得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、物品は、細長い部材20の少なくとも一部分に触媒材料40を備えることができる。
図8は、そのような構成の例を示す。
図8の物品6は、
図1~
図3の物品1の細長い部材20と同様の形状の細長い部材20を有しているが、このような触媒材料を設ける他の実施形態では、細長い部材20は、
図4~
図6の物品2、3、4の細長い部材20とそれぞれ同様な形状をしてもよい。触媒材料40は、細長い部材20上のコーティングの形態をとることができる。触媒材料40は、細長い部材20の(1つ以上の)表面すべてに、又は細長い部材20の(1つ以上の)表面のいくらかだけに設けることができる。
【0065】
このような触媒材料40を細長い部材20に設けることは、使用時、物品6が、加熱された化学的に活性な表面を有することができることを意味する。使用時、触媒材料40は、潜在的な刺激物を刺激性のより少ないものに変換する、又はその変換率を上げるように働くことができる。使用時、触媒材料40は、例えば、ギ酸をメタノールに変換する、又はその変換率を上げるように働くことができる。他の実施形態では、触媒材料40は、他の化学物質を変換する、例えば、水素化によってアセチレンをエタンに変換する、又はアンモニアを窒素と水素に変換する、あるいはその変換率を上げるように働くことができる。これに加えて又はこれに代えて、触媒物質は、一酸化炭素と水蒸気とを反応させて二酸化炭素と水素とを形成する(水性ガスシフト反応即ちWGSR:water-gas shift reaction)、又はその反応速度を上げるように働くことができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、物品は、喫煙材10の塊と流体連通する通路を画定する吸い口を備える。
図9を参照すると、本発明の実施形態による物品7の例の概略部分断面図が示されている。符号71が付いた物品7の部分は、
図1~
図8に示した構造物のいずれか、又はそれらの構造物の上記の変形例のいずれかを備えることができる。吸い口70及びその通路72は、この構造物に接続されるように示されており、通路72は、この構造物の喫煙材10の塊と流体連通するように位置合わせされている。吸い口70は、プラスチック材、ボール紙、又はゴムなどの任意の適切な材料から作ることができる。
【0067】
使用時、喫煙材10が、加熱された細長い部材20によって加熱されると、喫煙材10の揮発成分は使用者によって容易に吸入することができる。物品が消耗品である実施形態では、物品内の喫煙材10の揮発成分(複数可)のすべて又は実質的にすべてが消費されると、使用者は吸い口を物品の残りの部分と一緒に処分することができる。これは、複数の物品で同じ吸い口を使用するよりも衛生的とすることができ、吸い口が確実に喫煙材と正しく位置合わせされるのに役立つことができ、使用者が別の物品を使用することを望むたびに清潔で新しい吸い口を使用者に提供する。
【0068】
吸い口70は、それがある場合には、香味料を備えることができる、又は含浸することができる。香味料は、使用時、蒸気が吸い口70の通路72を通過するときに高温の蒸気によって受け取られるように配置することができる。
【0069】
次に、
図10a~
図10cを参照すると、喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための物品の製造の本発明の実施形態による方法の例が説明されている。本方法を使用して上記の
図1~
図8の物品1~6のうちのいずれかを製造することができる。
【0070】
図10aを参照すると、本方法は、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材を備える細長い素子200を用意するステップを含む。この実施形態では、細長い素子200の一部分は最終的には物品8の細長い部材20を形成する。しかしながら、細長い素子200は最終の細長い部材20より長い。細長い素子200のこの部分は、上記の細長い部材20のうちの1つの形態などの任意の形態、即ち、平面状、非平面状、波状、ねじられた、ひだ状、螺旋状、渦巻き状、又は不均一な非平面形状をとることができる。
【0071】
図10bを参照すると、細長い素子200は喫煙材100の中に配置される。喫煙材100の一部分は最終的には物品8の喫煙材10の塊を形成する。細長い素子200を用意して、喫煙材100の中に配置すると、喫煙材100の中に細長い素子200を備える細長い組立体80が形成される。さらに、この実施形態では、覆い300が喫煙材100と細長い素子200との周りに設けられる。覆い300の一部分は最終的には物品8のカバー30を形成する。この実施形態では、覆い300はラッパー320を備え、細長い組立体80の一部を形成する。物品8がカバー30なしで作られる実施形態では、喫煙材100と細長い素子200との周りに覆い300を設けることを省略してもよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、
図10bに示す組立体80を生成することは、喫煙材100を経路に沿って動かすことと、細長い素子200をスプールなどの供給源から出口を通して喫煙材100の中に送り出して、喫煙材が経路に沿って動くにつれて細長い素子200を喫煙材100の中に入れ込むことを含むことができる。細長い素子200を送り出すことは、例えば、供給ローラー又はコンベヤーなどの機械的又は電気機械的な供給装置を使って行うことができる。このような機械的又は電気機械的な供給装置は、例えば、出口を通り過ぎる喫煙材100の速度に基づいて、細長い素子200を喫煙材100の中に適切な速度で供給するように調節された供給速度を有することができる。細長い素子200と喫煙材100とが組み合わさったものはガニチャーのトングを通過することができ、ここで、覆い300で巻かれて組立体80を形成する。
【0073】
図10cを参照すると、細長い組立体80は、次いで、細長い組立体80に沿った所定の長手方向の位置で切断されて物品8を形成する。このように形成された物品8では、細長い部材20は、喫煙材10の塊の長手方向の両側の端部まで延在している。物品8が上記のような吸い口を有する実施形態では、組立体80をこのように切断する前、切断中、又は切断した後、吸い口を細長い組立体80に接続することができる。吸い口の組立体80への接続は、例えば、接着剤によって、又は吸い口を組立体80に留めることによって行うことができる。
【0074】
他の実施形態では、物品の形成には細長い組立体の切断の必要がない。いくつかのこのような実施形態では、細長い素子200は、製造される物品の細長い部材20とすることができ、喫煙材100そのものが製造される物品の喫煙材10の塊を形成することができ、覆い300が製造される物品のカバー30とすることができる。いくつかのこのような実施形態では、細長い部材20は、喫煙材10の塊の長手方向の両側の端部まで延在していなくてもよい。
【0075】
上記の実施形態に対する各変形例であり得るいくつかの実施形態では、カバー30は、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材を備えることができる。例えば、いくつかの実施形態では、カバー30は、全体又は実質的に全体が加熱材から構成することができる。いくつかの実施形態では、カバー30は、喫煙材10を取り囲む加熱材の閉回路を備えることができる。カバー30の加熱材は、細長い部材20の加熱材に対する上記の材料のいずれか1つ以上を含むことができる。
【0076】
上記の物品1、2、3、4、5、6、7、8及びそれらの変形例のそれぞれは、喫煙材10を加熱して喫煙材10の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用することができる。この装置は、喫煙材10を燃焼させずに、喫煙材10を加熱して喫煙材10の少なくとも1つの成分を揮発させるためのものとすることができる。物品1、2、3、4、5、6、7、8(複数可)のいずれか1つとこのような装置とは、システムとして一緒に提供することができる。システムは、物品1、2、3、4、5、6、7、8が本装置とは別個のものであるキットの形態をとることができる。これに代えて、システムは、物品1、2、3、4、5、6、7、8が本装置と組み合わされた組立体の形態をとることができる。
【0077】
本装置は、物品1、2、3、4、5、6、7、8の細長い部材20の加熱材を加熱するための変動磁場を発生させるための磁場発生器を備えることができる。このような磁場発生器は、電源と、コイルと、コイルに交流電流などの変動電流を流すためのデバイスと、制御器と、制御器を使用者が操作するためのユーザインターフェースとを備えることができる。電源は、充電式電池、非充電式電池、商用電源への接続部などとすることができる。
【0078】
コイルは、銅などの導電性材料の螺旋コイルなどの任意の適切な形態をとることができる。磁場発生器は、コイルによって生成される磁束を集中させ、磁場をより強力にするためにコイルを巻いた透磁性コアを備えることができる。透磁性コアは、例えば鉄で作ることができる。いくつかの実施形態では、透磁性コアは、コイルの長さに沿って部分的にだけ延在して、特定の領域のみに磁束を集中させることができる。
【0079】
コイルに変動電流を流すためのデバイスは、電源とコイルとの間で電気的に接続されてもよい。制御器は、電源に電気的に接続され、コイルに変動電流を流すためのデバイスを制御するためにこのデバイスに通信可能に接続することができ、その結果、電源からコイルへの電力の供給を制御することができる。いくつかの実施形態では、制御器は、プリント回路基板(PCB:printed circuit board)上の集積回路(IC:integrated circuit)などのICを備えることができる。他の実施形態では、制御器は異なる形態をとることができる。いくつかの実施形態では、本装置は、コイルに変動電流を流すためのデバイス及び制御器を備える単一の電気又は電子構成部品を有することができる。制御器は、ユーザインターフェースを使用者が操作して動作することができ、ユーザインターフェースは、押しボタン、トグルスイッチ、ダイヤル、タッチスクリーンなどを備えることができる。使用者がユーザインターフェースを操作すると、制御器は、コイルに変動電流を流すためのデバイスに、コイルに交流電流を印加させてコイルに交流磁場を発生させることができる。
【0080】
本装置は、物品1、2、3、4、5、6、7、8を受け入れるための凹部又は他の境界面を有することができ、物品1、2、3、4、5、6、7、8が凹部内にあるとき、又は境界面と協働しているとき、使用時、コイルによる変動磁場又は交流磁場が、物品1、2、3、4、5、6、7、8の加熱材に対応する箇所の凹部又は境界面に侵入するように、コイルを凹部又は境界面に対して配置することができる。物品1、2、3、4、5、6、7、8の加熱材が導電性材料のとき、物品1、2、3、4、5、6、7、8の細長い部材20の加熱材内に1つ以上の渦電流を発生させることができる。渦電流が物品1、2、3、4、5、6、7、8の細長い部材20の加熱材の電気抵抗に抗して流れると、物品1、2、3、4、5、6、7、8の細長い部材20の加熱材はジュール加熱によって加熱される。物品1、2、3、4、5、6、7、8の細長い部材20の加熱材が磁性材料のとき、加熱材内の磁気双極子の向きは印加された磁場の変化に応じて変化し、それによって、磁気ヒステリシス加熱で物品1、2、3、4、5、6、7、8の細長い部材20の加熱材内に熱が生成される。
【0081】
本装置は、物品1、2、3、4、5、6、7、8を凹部に挿入したときに物品1、2、3、4、5、6、7、8を圧縮するための、又は境界面と協働するための機構を有することができる。物品1、2、3、4、5、6、7、8をこのように圧縮すると、喫煙材10を圧縮することができ、その結果、喫煙材10の熱伝導率を上げることができる。言い換えると、喫煙材10を圧縮すると、物品1、2、3、4、5、6、7、8内の熱伝達をより高くすることができる。
【0082】
本装置は、使用時、凹部、境界面、又は物品1、2、3、4、5、6、7、8の温度を検知するための温度センサを有することができる。温度センサは、制御器に通信可能に接続することができ、その結果、制御器は温度を監視することができる。いくつかの実施形態では、温度センサは、凹部、境界面、又は物品を光学的に温度測定するように構成することができる。いくつかの実施形態では、物品1、2、3、4、5、6、7、8は、物品1、2、3、4、5、6、7、8の温度を検出するために抵抗温度検出器(RTD:resistance temperature detector)などの温度検出器を備えることができる。物品1、2、3、4、5、6、7、8は、温度検出器に電気接続などで接続された1つ以上の端子をさらに備えることができる。端子(複数可)は、物品1、2、3、4、5、6、7、8が凹部内にあるとき、又は境界面と協働しているとき、本装置の温度モニタと電気接続などで接続させるためのものとすることができる。制御器は温度モニタを備えることができる。したがって、装置の温度モニタは、装置とともに使用中の物品1、2、3、4、5、6、7、8の温度を測定することができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、物品1、2、3、4、5、6、7、8の加熱材が適切な抵抗を有していれば、温度変化に対する加熱材の反応は、物品1、2、3、4、5、6、7、8内の温度に関する情報を与えるには十分となり得るであろう。本装置の温度センサは加熱材を分析するためのプローブをさらに備えることができる。
【0084】
制御器は、温度を所定の温度範囲内に確実に維持するために、温度センサ又は、温度検出器から受信された1つ以上の信号に基づいて、必要に応じてコイルに流す変動電流又は交流電流の特性をデバイスに調節させることができる。この特性は、例えば、振幅又は周波数とすることができる。所定の温度範囲内では、使用時、凹部に挿入された、又は境界面と協働している物品1、2、3、4、5、6、7、8内の喫煙材10は、喫煙材10を燃焼させずに、喫煙材10の少なくとも1つの成分を揮発させるのに十分に加熱することができる。いくつかの実施形態では、温度範囲は、約50℃~約250℃、例えば、約50℃と約150℃との間、約50℃と約120℃との間、約50℃と約100℃との間、約50℃と約80℃との間、又は約60℃と約70℃との間である。いくつかの実施形態では、温度範囲は約170℃と約220℃との間である。他の実施形態では、温度範囲は、この範囲以外のことがある。本装置は、喫煙材10の揮発成分(複数可)を使用者に送出するための送出デバイスを有することができる。
【0085】
本装置は、装置の外部と凹部又は境界面とを流体接続する空気入口を画定することができる。使用者は、本装置の吸い口の通路などの通路を通して揮発成分(複数可)を引き込むことによって喫煙材の揮発成分(複数可)を吸入することができ得る。揮発成分(複数可)が物品1、2、3、4、5、6、7、8から出ると、空気は、本装置の空気入口を経て凹部又は境界面内に引き込むことができる。
【0086】
本装置は、使用者に触覚フィードバックを与えることができる。このフィードバックは、サセプタの加熱が生じていることを示すことができる、又は、物品1、2、3、4、5、6、7、8の喫煙材10の揮発可能な成分(複数可)が、元の量の所定の割合より多く消費されたことを示すようにタイマによってフィードバックを生じさせることができる、などである。この触覚フィードバックは、サセプタとコイルとの相互作用(即ち、磁気的な応答)によって、導電性素子とコイルとの相互作用によって、不平衡モータの回転によって、圧電素子に繰り返し電流を印加及び除去することなどによって生じさせることができる。
【0087】
本装置はコイルを2つ以上備えることができる。複数のコイルは、物品1、2、3、4、5、6、7、8の喫煙材10を漸進的に加熱し、以て、蒸気を漸進的に生成するように動作させることができる。例えば、1つのコイルは、加熱材の第1の領域を比較的急速に加熱して、喫煙材10の第1の領域で、喫煙材10の少なくとも1つの成分の揮発及び蒸気の形成を開始させることができる。別のコイルは、加熱材の第2の領域を比較的ゆっくり加熱して、喫煙材10の第2の領域で、喫煙材10の少なくとも1つの成分の揮発及び蒸気の形成を開始させることができる。したがって、蒸気は、使用者が吸入するために比較的迅速に形成することができ、喫煙材10の第1の領域が蒸気の生成を終えた後でさえ、使用者が引き続き吸入するためにその後も蒸気を形成し続けることができる。最初のうちは加熱されていない喫煙材10の第2の領域は、喫煙材10の第1の領域が加熱されている間、生成された蒸気の温度を下げるように、又は生成された蒸気の刺激を弱くするようにフィルタとして働くことができる。
【0088】
いくつかの実施形態では、細長い部材又はカバーの加熱材は、その中に切れ目又は穴を備えていてもよい。このような切れ目又は穴は、使用時に喫煙材の異なる領域が加熱される度合いを制御するための熱断絶部として機能してもよい。加熱材のうち切れ目又は穴を有する領域は、切れ目又は穴のない領域よりも加熱される程度を低くすることができる。これは、喫煙材を漸進的に加熱し、したがって、蒸気を漸進的に生成する助けとなり得る。
【0089】
上記の実施形態の各々において、喫煙材10はタバコを含んでいる。しかしながら、これらの実施形態の各々の変形例では、喫煙材10は、タバコのみからなるものであってもよいし、ほぼ全体がタバコのみからなるものであってもよいし、タバコとタバコ以外の喫煙材とを含むものであってもよいし、タバコ以外の喫煙材を含むものであってもよいし、タバコを含まないものであってもよい。いくつかの実施形態では、喫煙材10は、蒸気又はエアロゾルの形成剤や、湿潤剤(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、トリアセチン、又はジエチレングリコール)を含んでいてもよい。
【0090】
本発明を具現化する物品は、例えば、カートリッジ又はカプセルとすることができる。
【0091】
上記の実施形態のそれぞれでは、物品1、2、3、4、5、6、7、8は消耗品である。物品1、2、3、4、5、6、7、8の喫煙材10の揮発可能な成分(複数可)のすべて又は実質的にすべてが消費されると、使用者は、本装置から物品1、2、3、4、5、6、7、8を取り外して、物品1、2、3、4、5、6、7、8を処分することができる。使用者は、引き続き、物品1、2、3、4、5、6、7、8の別なもので本装置を再使用することができる。しかしながら、他のそれぞれの実施形態では、物品1、2、3、4、5、6、7、8は消耗品でないものとすることができ、喫煙材10の揮発可能な成分(複数可)が消費されると、本装置と物品1、2、3、4、5、6、7、8とを一緒に処分することができる。
【0092】
いくつかの実施形態では、上記の装置は、本装置とともに使用可能な物品1、2、3、4、5、6、7、8とは別個に販売され、供給され、又は別の方法で提供される。しかしながら、いくつかの実施形態では、装置及び1つ以上の上記物品1、2、3、4、5、6、7、8を、キットや組立体などのシステムとして、場合によっては清掃器具などの追加の構成要素とともに一緒に提供してもよい。
【0093】
本発明は、本明細書で説明した物品のいずれか1つと、本明細書で説明した装置のいずれか1つとを備えるシステムとして実施することも可能である。ここで、磁場発生器によって生成される変動磁場の侵入による加熱のための加熱材(例えば、サセプタの形態のもの)は、装置自身がさらに有する。装置自身の加熱材で発生した熱を物品に伝達して、物品内の喫煙材をさらに加熱することができる。
【0094】
様々な課題に対処し、技術を進歩させるため、本開示はその全体にわたって様々な実施形態を例示している。これらの実施形態は、特許請求された発明を実施することが可能なものであり、また、喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための優れた物品と、このような物品を製造する優れた方法と、このような物品及びこのような装置を備える優れたシステムとを提供するものである。本開示の利点及び特徴は、実施形態のうち代表的な例のものにすぎず、すべての利点や特徴を網羅したものでもなければ、他の利点や特徴を排除するものでもない。これらは、特許請求の範囲などに開示される特徴の理解と教示を助けるためだけに提示されている。本開示の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の側面は、特許請求の範囲によって規定されたとおりに本開示を限定するもの、あるいは特許請求の範囲の均等物を制限するものと考えるべきではなく、本開示の範囲や趣旨から逸脱することなく他の実施形態を利用し、変形を施すことができることを理解されたい。様々な実施形態が、開示された要素、構成、特徴、部品、ステップ、手段などの様々な組合せを適切に備え、それらのみから構成され、あるいは実質的にそれらのみから構成されてもよい。本開示は、特許請求の範囲に現在は記載されていないが将来記載される可能性のある他の発明を含む可能性がある。
【符号の説明】
【0095】
1、2、3、4、5、6、7、8…物品、10、100…喫煙材、20…細長い部材、200…細長い素子、80…細長い組立体。