(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】遠隔操作システム
(51)【国際特許分類】
B66F 9/24 20060101AFI20231108BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20231108BHJP
G05D 1/00 20060101ALI20231108BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20231108BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
B66F9/24 L
B66F9/24 Z
H04Q9/00 331A
G05D1/00 B
G08G1/00 X
G08G1/16 A
(21)【出願番号】P 2021180834
(22)【出願日】2021-11-05
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】卯路 彰
【審査官】長尾 裕貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-003890(JP,A)
【文献】国際公開第2018/110568(WO,A1)
【文献】特開2021-135799(JP,A)
【文献】特開2014-071019(JP,A)
【文献】特開2021-031210(JP,A)
【文献】特開2021-076995(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0039437(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0287405(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/24
H04Q 9/00
G05D 1/00
G08G 1/00
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォークリフトを遠隔から操作する遠隔操作システムにおいて、
前記フォークリフトに設けられたカメラと、
前記カメラによって撮影される画像を表示する表示部と、
前記フォークリフトの座標を取得するフォークリフト座標取得部と、
指定された対象物の座標を取得する対象物座標取得部と、
前記フォークリフトと前記対象物との間に形成される第1判定領域において障害物の有無を判定する第1判定部と、
前記フォークリフトと前記対象物との間に形成される第2判定領域において障害物の有無を判定する第2判定部と、
前記第1判定部によって前記障害物が有ると判定されたとき、前記障害物を避けるように前記フォークリフトと前記対象物とを結ぶ案内ルートを前記表示部に表示し、前記第1判定部によって前記障害物が無いと判定されたとき、直線で前記フォークリフトと前記対象物とを結ぶ案内ルートを前記表示部に表示するように構成された案内ルート表示部と、
前記第2判定部によって前記障害物が有ると判定されたとき、前記フォークリフトと前記障害物とを結ぶ報知線を前記表示部に表示し、前記第2判定部によって前記障害物が無いと判定されたとき、前記報知線を前記表示部に表示しないように構成された報知線表示部と、
前記障害物の種別を識別する障害物識別部と、
前記障害物の種別に応じて、複数種類の前記報知線の中から前記表示部に表示される前記報知線を決定する報知線決定部と、を備える
ことを特徴とする遠隔操作システム。
【請求項2】
前記障害物識別部は、
前記障害物の特徴と種別との関係に基づく教師データを収集する収集部と、
前記収集部に収集された前記教師データから機械学習を行い、前記機械学習により学習モデルを生成および記憶する学習モデル生成部と、
現時点の前記障害物の特徴を所定時間ごとに取得する取得部と、
前記学習モデル生成部で生成された前記学習モデルを、前記取得部から取得される前記現時点の前記障害物の特徴に適用することで、前記障害物の種別を決定する処理部と、を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の遠隔操作システム。
【請求項3】
前記教師データは、入力データと出力データとからなり、
前記入力データは、前記障害物の形状及び大きさを含み、
前記出力データは、フォークリフト、人、荷物及びパレットを含む
ことを特徴とする請求項2に記載の遠隔操作システム。
【請求項4】
前記複数種類の報知線は、点滅する前記報知線を含む
ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の遠隔操作システム。
【請求項5】
前記第1判定部は、前記フォークリフトと前記対象物とを直線で結び前記フォークリフトの幅に相当する幅を有する仮想ルートを前記第1判定領域とし、前記第1判定領域の内側において、
前記障害物の全部又は一部が存在しないとき、前記障害物が無いと判定して、
前記障害物の全部又は一部が存在するとき、前記障害物が有ると判定し、
前記案内ルート表示部は、前記案内ルートの内側に前記障害物の全部又は一部が存在しないように前記案内ルートを表示する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の遠隔操作システム。
【請求項6】
前記第2判定部は、前記フォークリフトと前記対象物とを結ぶ直線を直径とする仮想円を前記第2判定領域とし、前記第2判定領域の内側において、
前記障害物の全部又は一部が存在しないとき、前記障害物が無いと判定して、
前記障害物の全部又は一部が存在するとき、前記障害物が有ると判定する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の遠隔操作システム。
【請求項7】
前記案内ルート表示部は、前記フォークリフトの幅に相当する幅を有する前記案内ルートを表示する
ことを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の遠隔操作システム。
【請求項8】
前記案内ルート表示部は、前記障害物の右側へ避ける第1の前記案内ルートと、前記障害物の左側へ避ける第2の前記案内ルートと、を表示する
ことを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の遠隔操作システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフトを遠隔から操作するための遠隔操作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
フォークリフトは、オペレータが搭乗して荷物を運搬及び積み降ろしする作業を行うものである。そのため、オペレータが迅速かつ的確にフォークリフトを操作するためには、長年の経験が必要である。一方、熟練のオペレータの人数は限られていることから、人口の少ない地方においては、熟練のオペレータの人数が足りないことがある。そのため、熟練のオペレータが多い地域から、熟練のオペレータが遠隔で地方のフォークリフトを操作することが要望されている。
【0003】
また、人体に悪影響を及ぼすガスが充填されたタンクや、落下すると爆発する爆発物を荷役する場合等には、オペレータは、荷役場所である倉庫から離れて遠隔でフォークリフトを操作することが好ましい。
【0004】
そのため、フォークリフトを遠隔から操作するための遠隔操作システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。遠隔操作システムでは、フォークリフトが荷役を行う倉庫から離れた遠隔の基地局に操作装置が設けられており、オペレータが操作装置を使って遠隔の基地局からフォークリフトを操作するように構成されている。
【0005】
フォークリフトは、制御装置、無線通信装置、カメラ、センサ、車両の走行及び昇降等を作動する駆動装置等を備える。基地局の操作装置は、ハンドル、レバー、ペダル、制御部、表示部等を備える。例えば、表示部は、表示モニタが2つ設けられており、一方の表示モニタには、フォークリフトに搭載されたカメラで撮影される車両前方の画像が表示されて、他方の表示モニタには、センサで検出される情報等が表示される。
【0006】
フォークリフトで運搬及び積み降ろしを行う際、オペレータは、表示部の画像に基づいて車両前方の荷役対象物を確認しながらハンドルやレバー等を使ってフォークリフトを操作する。一方、フォークリフトの方向によっては、荷役対象物が表示部から見えなくなることがあるため、フォークリフトの操作が難しいという問題がある。さらに、フォークリフトと対象物との間に障害物があると、対象物及び障害物の双方の位置を確認しながら、障害物を避けるように対象物に近づく必要があるため、フォークリフトの操作が難しいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、フォークリフトを遠隔で操作する際に、フォークリフトと対象物との間に障害物があっても、フォークリフトの操作を直感的かつ容易に行うことができる遠隔操作システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る遠隔操作システムは、フォークリフトを遠隔から操作する遠隔操作システムにおいて、フォークリフトに設けられたカメラと、カメラによって撮影される画像を表示する表示部と、フォークリフトの座標を取得するフォークリフト座標取得部と、指定された対象物の座標を取得する対象物座標取得部とを備えている。さらに、遠隔操作システムは、フォークリフトと対象物との間に形成される第1判定領域において障害物の有無を判定する第1判定部と、フォークリフトと対象物との間に形成される第2判定領域において障害物の有無を判定する第2判定部とを備えている。
そして、遠隔操作システムは、案内ルート表示部を備えており、案内ルート表示部は、第1判定部によって障害物が有ると判定されたとき、障害物を避けるようにフォークリフトと対象物とを結ぶ案内ルートを表示部に表示し、第1判定部によって障害物が無いと判定されたとき、直線でフォークリフトと対象物とを結ぶ案内ルートを表示部に表示するように構成されている。
また、遠隔操作システムは、報知線表示部を備えており、報知線表示部は、第2判定部によって障害物が有ると判定されたとき、フォークリフトと障害物とを結ぶ報知線を表示部に表示し、第2判定部によって障害物が無いと判定されたとき、報知線を表示部に表示しないように構成されている。
また、遠隔操作システムは、障害物識別部、報知線決定部を備えている。障害物識別部は、障害物の種別を識別するように構成されている。また、報知線決定部は、障害物の種別に応じて、複数種類の報知線の中から表示部に表示される報知線を決定するように構成されている。
【0010】
好ましくは、障害物識別部は、収集部、学習モデル生成部、取得部、処理部を備える。収集部は、障害物の特徴と種別との関係に基づく教師データを収集するように構成されている。学習モデル生成部は、収集部に収集された教師データから機械学習を行い、機械学習により学習モデルを生成および記憶するように構成されている。取得部は、現時点の障害物の特徴を所定時間ごとに取得するように構成されている。処理部は、学習モデル生成部で生成された学習モデルを、取得部から取得される現時点の障害物の特徴に適用することで、障害物の種別を決定するように構成されている。
【0011】
また、教師データは、入力データと出力データとからなり、入力データは、障害物の形状及び大きさを含み、出力データは、フォークリフト、人、荷物及びパレットを含むことが望ましい。
【0012】
複数種類の報知線は、点滅する報知線を含むことが好ましい。
【0013】
また、第1判定部は、フォークリフトと対象物とを直線で結びフォークリフトの幅に相当する幅を有する仮想ルートを第1判定領域とし、第1判定領域の内側において、障害物の全部又は一部が存在しないとき、障害物が無いと判定して、障害物の全部又は一部が存在するとき、障害物が有ると判定し、案内ルート表示部は、案内ルートの内側に障害物の全部又は一部が存在しないように案内ルートを表示することが望ましい。
【0014】
好ましくは、第2判定部は、フォークリフトと対象物とを結ぶ直線を直径とする仮想円を第2判定領域とし、第2判定領域の内側において、障害物の全部又は一部が存在しないとき、障害物が無いと判定して、障害物の全部又は一部が存在するとき、障害物が有ると判定する。
【0015】
そして、案内ルート表示部は、フォークリフトの幅に相当する幅を有する案内ルートを表示することが望ましい。
【0016】
また、好ましくは、案内ルート表示部は、障害物の右側へ避ける第1の案内ルートと、障害物の左側へ避ける第2の案内ルートと、を表示する。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る遠隔操作システムによると、フォークリフトを遠隔で操作する際に、フォークリフトと対象物との間に障害物があっても、フォークリフトの操作を直感的かつ容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図6】遠隔操作システムの制御フローを示すフローチャート図。
【
図8】直線の案内ルートが表示された表示部を示す画像図。
【
図10】曲線の案内ルートが表示された表示部を示す画像図。
【
図11】曲線の案内ルートを説明するための平面図。
【
図12】障害物がフォークリフトの場合の報知線を説明するための画像図。
【
図13】障害物が人の場合の報知線を説明するための画像図。
【
図14】第1及び第2の案内ルートが表示された表示部を示す画像図。
【
図15】第1及び第2の案内ルートを説明するための平面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づいて、本発明に係る遠隔操作システムの一実施形態を説明する。
【0020】
[遠隔操作システム]
図1のとおり、遠隔操作システムは、施設100において走行および荷役作業を行うためのフォークリフト1を備える。そして、遠隔操作システムは、施設100から離れた遠隔地に設けられた基地局200が設けられる。基地局200には、操作装置2が設けられており、オペレータが操作装置2を用いて、所定のフォークリフト1を遠隔で操作することができる。
【0021】
本実施形態では、施設100は、倉庫であるが、工場、屋外作業場等でもよい。また、本実施形態では、フォークリフト1は、リーチ式フォークリフトであるが、カウンターバランス式フォークリフト等でもよい。例えば、オペレータが遠隔の基地局200からフォークリフト1を操作することで、施設100において、人体に悪影響を及ぼすガスが充填されたタンクや、落下すると爆発する爆発物を荷役することができる。
【0022】
[フォークリフト]
図2のとおり、フォークリフト1は、カメラ10、障害物センサ11、レーザースキャナ12、駆動装置13、制御部14、無線通信部15等を備える。
図3のとおり、制御部14は、画像処理部141、フォークリフト座標取得部142、駆動コントロール部143、障害物座標取得部144等を備える。制御部14は、CPU(中央処理装置)、入出力インターフェース、ROM、RAM等で構成されており、情報を処理するためのプログラムが記憶される。制御部14には、カメラ10、障害物センサ11、レーザースキャナ12、駆動装置13、無線通信部15が接続されている。
【0023】
駆動装置13は、車体の後部に設けられた駆動輪16を駆動するための走行モータ、車体の前部に設けられたフォーク17を昇降・傾動・進退するための複数の油圧シリンダー等からなる。基地局200に設けられた操作装置2からの操作信号が無線通信部15を介して制御部14に送られて、この操作信号が駆動コントロール部143で処理されて、操作装置2の操作に基づいて、走行モータ及び油圧シリンダーの駆動装置13が駆動されるようになっている。これにより、オペレータによる操作装置2の操作に連動して、走行モータ及び油圧シリンダー等の駆動装置13が駆動して、フォークリフト1を操作することができる。
【0024】
カメラ10は、フォークリフト1に搭乗して操作するオペレータの目線の位置に配置されており、オペレータの目線の位置からフォークリフト1の前方を撮影するようになっている。カメラ10は、例えば、CCDイメージセンサ又はC-MOSイメージセンサを備えている。カメラ10で撮影される画像は、制御部14の画像処理部141で画像処理されて、操作装置2に設けられた表示部20(
図4)に表示されるようになっている。これにより、基地局200で操作装置2を用いてフォークリフト1を遠隔操作するオペレータは、表示部20によって、フォークリフト1に搭乗して操作するときと同じ目線でフォークリフト1の前方を確認することができる。
【0025】
フォークリフト1は、レーザースキャナ12を備えており、施設100内には、複数の反射部101が設置される。レーザースキャナ12は、レーザーを水平に360度回転しながら反射部101に送受信する。その結果、フォークリフト1は、施設100内の走行経路に沿って配置された複数の反射部101をレーザースキャナ12で認識することができる。ここで、反射部101は、施設100内の壁に固定されており、その位置情報が、制御部14のフォークリフト座標取得部142のマップ上に記憶されている。フォークリフト1は、複数の反射部101をレーザースキャナ12で認識することで、フォークリフト座標取得部142が、三角測量の原理に基づいて、フォークリフト1の位置座標を計測および取得することができる。
【0026】
また、フォークリフト1は、障害物センサ11が設けられている。障害物センサ11は、例えば光学系センサからなる。障害物センサ11は、フォークリフト1の前方の所定エリアに存在する障害物を検知すると共に、フォークリフト1から障害物までの距離及び方向を計測することができる。制御部14の障害物座標取得部144は、障害物センサ11の検知信号とフォークリフト1の位置座標とに基づいて、障害物の位置座標を計測および取得することができる。
【0027】
[操作装置]
図4のとおり、操作装置2は、表示部20、操作部21、対象物指定部22、制御部23、無線通信部24等を備える。制御部23は、画像処理部231、対象物座標取得部232、第1判定部234、第2判定部235、案内ルート表示部236、報知線表示部237、障害物認識部238、報知線決定部239等を備える。制御部23は、CPU(中央処理装置)、入出力インターフェース、ROM、RAM等で構成されており、情報を処理するためのプログラムが記憶される。制御部23には、表示部20、操作部21、対象物指定部22、無線通信部24が接続されている。
【0028】
表示部20は、例えば、2つの表示モニタからなり、一方の表示モニタには、フォークリフト1に搭載されたカメラ10で撮影されている車両の前方の画像が表示されて、他方の表示モニタには、各種センサ類で検出される情報や操作に必要な情報等が表示されるようになっている。
【0029】
操作部21は、ハンドル、レバー、ペダル等を備えており、オペレータが、フォークリフトを実際に搭乗して操作する場合と同様に操作できるようになっている。操作部21からの操作信号は、制御部23を介して無線通信部24で送信されて、フォークリフト1の無線通信部15で受信される。そして、オペレータが操作部21のハンドルやレバー等を操作することで、上述したとおり、フォークリフト1の駆動装置13等を遠隔から操作することができる。
【0030】
対象物指定部22は、例えば、マウスからなる。後述するとおり、オペレータが、対象物指定部22であるマウスを用いて、表示部20に表示されたポインタ220で対象物110を指定すると、案内ルート表示部236が、指定された対象物110とフォークリフト1とを結ぶ案内ルートGR,GR1,GR2(
図8,
図9,
図10,
図11,
図12,
図13,
図14,
図15)を表示部20に表示するようになっている。オペレータは、フォークリフト1を対象物110まで走行する際に、表示部20に表示される案内ルートGR,GR1,GR2に沿って走行することができるので、フォークリフト1の操作を直感的かつ容易に行うことができる。
【0031】
また、指定された対象物110以外の障害物120について、報知線表示部237が、障害物120とフォークリフト1とを結ぶ報知線DL(
図10,
図11,
図12,
図13,
図14,
図15)を表示部20に表示するようになっている。オペレータは、フォークリフト1を対象物110まで走行する際に、表示部20に表示される報知線DLによって直感的に障害物120の位置を認識することができるので、障害物120を避けながら、フォークリフト1の操作を直感的かつ安全に行うことができる。
【0032】
そして、
図5のとおり、障害物識別部238は、収集部240、学習モデル生成部241、処理部242、取得部243を備える。収集部240は、障害物120の特徴と種別との関係に基づく教師データ5を収集するようになっている。学習モデル生成部241は、収集部240に収集された教師データ5から機械学習を行い、機械学習により学習モデルを生成及び記憶するようになっている。本実施の形態の学習モデル生成部241は、教師あり学習を実施するようになっている。教師あり学習では、教師データ5、すなわち、入力データIDと出力データODとの組を大量に学習モデル生成部241に入力する。
【0033】
入力データIDは、例えば、障害物120の特徴となる形状及び大きさ等を含み、画像処理による物体領域の画素数、エッジ量、色等の特徴量によって決定される。出力データODは、障害物120の種別であるフォークリフト、人、荷物、パレット等である。なお、実際に、障害物120の特徴である形状及び大きさ等によって、障害物120の種別であるフォークリフト、作業者等の人、荷物、パレット等が認識されることから、障害物120の特徴と種別との間に相関関係等の一定の関係が存在することは推認できる。
【0034】
学習モデル生成部241は、一般的なニューラルネットワーク等の機械学習アルゴリズムを用いる。学習モデル生成部241は、相関関係を有する入力データIDと出力データODを教師データ5として機械学習を行うことにより、入力から出力を推定するモデル(学習モデル)、すなわち、入力データIDを入力すると、出力データODを出力するモデルを生成する。
【0035】
障害物識別部238は、現時点の入力データIDを所定時間ごとに取得する取得部243を備える。上記の通り、入力データIDは、障害物120の特徴となる形状及び大きさである。入力データIDは、所定時間(例えば5秒)ごとに取得される。
【0036】
障害物識別部238は、学習モデル生成部241で生成された学習モデルを、取得部243から取得される現時点の入力データIDに適用することで、障害物120の種別を決定する処理部242を備える。
【0037】
報知線決定部239は、障害物120の種別に応じて、複数種類の報知線DLが準備されており、処理部242によって決定された障害物120の種別(出力データOD)に応じて、複数種類の報知線DLの中から表示部20に表示される報知線DLを決定する。そして、報知線表示部237は、報知線決定部239で決定された報知線DLを表示部20に表示する。
【0038】
このように、障害物識別部238が、障害物120の種別を識別して、そして、報知線決定部239が、障害物120の種別に応じて、複数種類の報知線DLの中から表示部20に表示される報知線DLを決定するようになっている。障害物120は、施設100にあるフォークリフト、作業者等の人、荷物、パレット等であって、フォークリフトや人は移動することがあり、また、人に接触すると非常に危険であること等から、荷物やパレットに比べて一層の注意が必要である。そのため、障害物120の種別に応じて、報知線DLの種類を変更及び決定することで、オペレータは、フォークリフト1を対象物110まで走行する際に、表示部20に表示される報知線DLによって直感的に障害物120の種別を認識することができ、その結果、注意の度合をコントロールしながら、フォークリフト1の操作を直感的かつ安全に行うことができる。
【0039】
[第1実施形態]
遠隔操作システムの第1実施形態について説明する。
【0040】
図6及び
図7のとおり、フォークリフト座標取得部142によって、常時、フォークリフト1の絶対座標(Fx,Fy)が計測および取得される(ステップS1)。そして、表示部20には、常時、カメラ10によって撮影される画像が表示されている。オペレータは、表示部20に表示された画像に基づいて、操作部21でフォークリフト1を遠隔操作する。
【0041】
図8のとおり、オペレータは、荷役対象となる対象物110が表示部20に表示されると、対象物指定部22であるマウスを使って、表示部20に表示されるポインタ220で対象物110を指定する(ステップS2)。具体的には、オペレータは、ポインタ220を対象物110に重ねてマウスをクリックすると、対象物110が指定される。
【0042】
画像処理部231は、床面や壁面等との境界を識別して、指定された対象物110の形状を認識する(ステップS3)。そして、対象物座標取得部232は、表示部20に表示された対象物110のカメラ座標を取得して、フォークリフト1の絶対座標(Fx,Fy)に基づいて、対象物110の絶対座標(Ox,Oy)が計測および取得される(ステップS4)。
【0043】
図9のとおり、第1判定部234は、フォークリフト1の絶対座標(Fx,Fy)と対象物110の絶対座標(Ox,Oy)とを結び、フォークリフト1の幅Wに相当する幅を有する仮想ルートVRを形成する。さらに、第1判定部234は、仮想ルートVRを第1判定領域AR1とする(ステップS5)。また、第2判定部235は、フォークリフト1の絶対座標(Fx,Fy)と対象物110の絶対座標(Ox,Oy)とを結ぶ直線を直径とする仮想円を第2判定領域AR2とする(ステップS6)。
【0044】
そして、障害物センサ11が、障害物120の絶対座標(Sx,Sy)を計測および取得すると共に、画像処理部231が、床面や壁面等との境界を識別することで、対象物110以外で存在する障害物120の形状を認識する(ステップS7)。その後、第1判定部234及び第2判定部235は、フォークリフト1と対象物110との間における障害物120の有無を判定する(ステップS8,S11)。障害物120の有無の判定は、以下のとおり行われる。
【0045】
[案内ルート]
第1判定部234は、第1判定領域AR1の内側において、障害物120の全部又は一部が存在しないときに、障害物120が無いと判定する(ステップS8)。フォークリフト1が実際に走行する際、フォークリフト1の幅Wに相当する幅を有する走行ルートが形成されるので、幅Wを有する仮想ルートVRを第1判定領域AR1とすることによって、フォークリフト1の実際の走行ルートを仮想的かつ直感的に想定することができる。
【0046】
そして、
図8及び
図9のとおり、第1判定部234によって障害物120が無いと判定されたとき、直線でフォークリフト1と対象物110とを結ぶ案内ルートGRが形成及び表示される(ステップS9)。案内ルートGRは、フォークリフト1の幅Wに相当する幅を有しており、その結果、障害物120が無いと判定されたときは、案内ルートGRは、仮想ルートVR及び第1判定領域AR1と一致することになる。フォークリフト1が実際に走行する際、フォークリフト1の幅Wに相当する幅を有する走行ルートが形成されるので、幅Wを有する案内ルートGRによって、フォークリフト1の実際の走行ルートを仮想的かつ直感的に想定することができるようになっている。
【0047】
図8のとおり、案内ルート表示部236は、形成された案内ルートGRをカメラ座標に変換して、表示部20に表示する。そして、フォークリフト1が移動することによって、フォークリフト1の絶対座標(Fx,Fy)が変更されるが、随時変更されるフォークリフト1の絶対座標(Fx,Fy)に追従して、案内ルートGRが表示部20に表示されるようになっている。
【0048】
一方、第1判定部234は、形成された第1判定領域AR1の内側において、障害物120の全部又は一部が存在するとき、障害物120が有ると判定する(ステップS8)。そして、第1判定部234によって障害物120が有ると判定されたとき、障害物120を避けるようにフォークリフト1と対象物110とを結ぶ案内ルートGRが形成及び表示される(ステップS10)。
図10及び
図11のとおり、案内ルートGRは、フォークリフト1の幅Wに相当する幅を有しており、認識された障害物120と案内ルートGRとが重ならない曲線で形成される。例えば、フォークリフト1の両端点と、障害物120から所定距離だけ離れた点と、対象物110の両端点とをスプライン曲線で結ぶことで案内ルートGRを形成することができる。
【0049】
図10のとおり、案内ルート表示部236は、形成された案内ルートGRをカメラ座標に変換して、表示部20に表示する。そして、フォークリフト1が移動することによって、フォークリフト1の絶対座標(Fx,Fy)が変更されることになるが、随時変更されるフォークリフト1の絶対座標(Fx,Fy)に追従して、案内ルートGRが表示部20に表示される。
【0050】
[報知線]
また、第2判定部235は、第2判定領域AR2の内側において、障害物120の全部又は一部が存在しないときに、障害物120が無いと判定する(ステップS11)。フォークリフト1が実際に走行する際、フォークリフト1と対象物110との間の所定の範囲(第2判定領域AR2)内に障害物120が有る場合は、オペレータはフォークリフト1が障害物120に衝突しないよう注意する必要があるが、フォークリフト1と対象物110との間の所定の範囲(第2判定領域AR2)内に障害物120が無い場合は、フォークリフト1が障害物120に衝突する可能性が低いことから、障害物120を認識する必要性が低い。そのため、
図8及び
図9のとおり、第2判定部235によって、フォークリフト1と対象物110との間の所定の範囲(第2判定領域AR2)内に障害物120が無いと判定されたとき、報知線DLを形成及び表示しないようになっている(ステップS12)。
【0051】
一方、第2判定部235は、形成された第2判定領域AR2の内側において、障害物120の全部又は一部が存在するとき、障害物120が有ると判定する(ステップS11)。第2判定部235によって、フォークリフト1と対象物110との間の所定の範囲(第2判定領域AR2)内に障害物120が有ると判定されたとき、障害物識別部238が、障害物120の種別を識別する(ステップS13)。そして、報知線決定部239が、障害物120の種別に応じて、複数種類の報知線DLの中から表示部20に表示される報知線DLを決定する(ステップS14)。そして、
図10及び
図11のとおり、フォークリフト1と障害物120とを直線で結ぶ報知線DLが形成及び表示される(ステップS15)。
【0052】
図10のとおり、報知線表示部237は、形成された報知線DLをカメラ座標に変換して、表示部20に表示する。そして、フォークリフト1が移動することによって、フォークリフト1の絶対座標(Fx,Fy)が変更されることになるが、随時変更されるフォークリフト1の絶対座標(Fx,Fy)に追従して、報知線DLが表示部20に表示される。
【0053】
上記のとおり、第2判定部235は、フォークリフト1と対象物110とを結ぶ直線を直径とする仮想円を第2判定領域AR2とする。そのため、オペレータがフォークリフト1を操作する際に、障害物120に対する注意が必要な領域が第2判定領域AR2となるので、フォークリフト1の操作の際に必要な報知線DLのみが形成及び表示されて、不必要な報知線DLが形成及び表示されないようになっており、適切に報知線DLを表示することができる。
【0054】
また、
図10のとおり、障害物120が荷物の場合、荷物は移動することなく停止しており、オペレータは通常の注意を払えばよいこと等から、報知線DLは、比較的幅の狭い直線によって形成及び表示されるようになっている。また、
図12のとおり、障害物120がフォークリフトの場合、フォークリフトは移動して、オペレータは通常よりも注意を払う必要があること等から、報知線DLは、幅が広くて目立つ模様の直線によって形成及び表示されるようになっている。また、
図13のとおり、障害物120が作業者等の人の場合、人は移動して、衝突すると重大な事故を及ぼし、オペレータは細心の注意を払う必要があること等から、報知線DLは、非常に目立つよう点滅する目立つ模様の直線によって形成及び表示されるようになっている。
【0055】
[第2実施形態]
遠隔操作システムの第2実施形態について説明する。なお、上記第1実施形態と同様の構成については、重複説明を避けるために、詳細な説明を省略する。
【0056】
図6のとおり、フォークリフト座標取得部142によって、常時、フォークリフト1の絶対座標(Fx,Fy)が計測および取得される(ステップS1)。そして、オペレータが、対象物指定部22で対象物110を指定する(ステップS2)。
【0057】
画像処理部231は、指定された対象物110の形状を認識する(ステップS3)。そして、対象物座標取得部232は、対象物110の絶対座標(Ox,Oy)が計測および取得される(ステップS4)。
【0058】
第1判定部234は、第1判定領域AR1を形成する(ステップS5)。第2判定部235は、第2判定領域AR2を形成する(ステップS6)。そして、障害物センサ11が、障害物120の絶対座標(Sx,Sy)を計測および取得すると共に、画像処理部231が、障害物120の形状を認識する(ステップS7)。その後、第1判定部234及び第2判定部235は、フォークリフト1と対象物110との間における障害物120の有無を判定する(ステップS8,S11)。
【0059】
第1判定部234によって第1判定領域AR1の内側に障害物120が無いと判定されたとき、上記第1実施形態と同様に、フォークリフト1と対象物110とを直線で結ぶ案内ルートGRが形成及び表示される(ステップS9)。
【0060】
一方、第1判定部234によって第1判定領域AR1の内側に障害物120が有ると判定されたとき、障害物120を避けるようにフォークリフト1と対象物110とを結ぶ曲線の案内ルートGRが形成及び表示される(ステップS10)。
【0061】
このとき、第2実施形態では、
図14及び
図15のとおり、障害物120の右側へ避けるような第1の案内ルートGR1と、障害物120の左側へ避けるような第2の案内ルートGR2とからなる2つの案内ルートが形成及び表示される。その結果、オペレータは、路面及び周囲の状況等を確認しながら、障害物120の右側を走行するか左側に走行するかを直感的に決定することができる。
【0062】
図14のとおり、案内ルート表示部233は、形成された第1及び第2の案内ルートGR1,GR2をカメラ座標に変換して、表示部20に表示する。そして、フォークリフト1が移動することによって、フォークリフト1の絶対座標(Fx,Fy)が変更されることになるが、随時変更されるフォークリフト1の絶対座標(Fx,Fy)に追従して、第1及び第2の案内ルートGR1,GR2が表示部20に表示される。なお、第1及び第2の案内ルートGR1,GR2は、それぞれが異なる色、形状又は点滅度で表示されており、その結果、オペレータは、各案内ルートGR1,GR2をそれぞれ認識しやすくになっている。
【0063】
また、上記第1実施形態と同様に、第2判定部235によって第2判定領域AR2の内側に障害物120が無いと判定されたとき、報知線DLを形成及び表示しないようになっている(ステップS12)。そして、第2判定部235によって第2判定領域AR2の内側に障害物120が有ると判定されたとき、障害物120の種別が識別されて(ステップS13)、表示部20に表示される報知線DLが決定される(ステップS14)。その後、フォークリフト1と障害物120とを結ぶ報知線DLが形成及び表示される(ステップS15)。
【0064】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明の構成はこれらの実施形態に限定されない。例えば、以下のように変更することもできる。
・上記実施形態では、障害物センサ11は、光学系センサであるが、例えば、カメラ10で撮影された画像に基づいて、画像処理部141で対象物110以外の障害物120を認識してもよいため、画像処理部141で構成されてもよい。
・上記実施形態では、案内ルートGRは、フォークリフト1の幅Wに相当する幅を有した帯形状であるが、矢印、点滅線、細線等であってもよい。
・上記実施形態では、案内ルートGRは、障害物120を避けるように、曲線で形成されているが、折れ曲げ線等で形成されてもよい。
・本実施形態では、第2判定領域AR2について、フォークリフト1と対象物110とを結ぶ直線を直径とする仮想円を第2判定領域AR2としているが、任意形状の領域を第2判定領域AR2としてもよく、例えば、フォークリフト1と対象物110とを結ぶ直線を対角線とする仮想正方形を第2判定領域AR2としてもよい。
・本実施形態では、対象物指定部22は、マウスであるが、例えば、表示モニタ20がタッチパネルであれば、表示モニタ20に表示された対象物110をオペレータが指で押圧して指定してもよく、タッチセンサーで構成されてもよい。
・複数種類の報知線DLは、障害物120の種別に応じて、様々な形態が考えられ、上記実施形態以外に、例えば、フォークリフト1と障害物120とを曲線で結んだり、障害物120に近づくに従って点滅の間隔が速くなったり、形状が変化したりするように構成されてもよい。
【0065】
本発明の効果について説明する。
【0066】
本発明は、フォークリフト1を遠隔から操作する遠隔操作システムにおいて、フォークリフト1に設けられたカメラ10と、カメラ10によって撮影される画像を表示する表示部20と、フォークリフト1の座標を取得するフォークリフト座標取得部142と、指定された対象物110の座標を取得する対象物座標取得部232とを備える。さらに、本発明に係る遠隔操作システムは、フォークリフト1と対象物110との間に形成される第1判定領域AR1において障害物120の有無を判定する第1判定部234と、フォークリフト1と対象物110との間に形成される第2判定領域AR2において障害物120の有無を判定する第2判定部235とを備える。
本発明に係る遠隔操作システムは、さらに、案内ルート表示部236を備える。案内ルート表示部236は、第1判定部234によって障害物120が有ると判定されたとき、障害物120を避けるようにフォークリフト1と対象物110とを結ぶ案内ルートGRを表示部20に表示し、第1判定部234によって障害物120が無いと判定されたとき、直線でフォークリフト1と対象物110とを結ぶ案内ルートGRを表示部20に表示するように構成されている。
本発明に係る遠隔操作システムは、さらに、報知線表示部237を備える。報知線表示部237は、第2判定部235によって障害物120が有ると判定されたとき、フォークリフト1と障害物120とを結ぶ報知線DLを表示部20に表示し、第2判定部235によって障害物120が無いと判定されたとき、報知線DLを表示部20に表示しないように構成されている。
本発明に係る遠隔操作システムは、さらに、障害物120の種別を識別する障害物識別部238と、障害物120の種別に応じて、複数種類の報知線DLの中から表示部20に表示される報知線DLを決定する報知線決定部239と、を備える。
【0067】
上記のとおり、フォークリフト1と対象物110との間に障害物120が存在するときでも、表示部20に、障害物120を避けるようにフォークリフト1と対象物110とを結ぶ案内ルートGRが表示される。その結果、オペレータは、フォークリフト1を対象物110まで走行する際に、表示部20に表示される案内ルートGRに沿って走行することができるので、フォークリフト1の操作を直感的かつ容易に行うことができる。
【0068】
また、指定された対象物110以外の障害物120について、障害物120とフォークリフト1とを結ぶ報知線DLが表示部20に表示される。その結果、オペレータは、フォークリフト1を対象物110まで走行する際に、表示部20に表示される報知線DLによって直感的に障害物120の位置を認識することができるので、障害物120を避けながら、フォークリフト1の操作を直感的かつ安全に行うことができる。
【0069】
また、障害物識別部238が、障害物120の種別を識別して、そして、報知線決定部239が、障害物120の種別に応じて、複数種類の報知線DLの中から表示部20に表示される報知線DLを決定するようになっている。障害物120は、施設100にあるフォークリフト、作業者等の人、荷物、パレット等であるが、フォークリフトや人は移動することがあり、また、人に接触すると非常に危険であること等から、荷物やパレットに比べて一層の注意が必要である。そのため、障害物120の種別に応じて、報知線DLの種類を変更及び決定することで、オペレータは、フォークリフト1を対象物110まで走行する際に、表示部20に表示される報知線DLによって直感的に障害物120の種別を認識することができ、その結果、注意の度合をコントロールしながら、フォークリフト1の操作を直感的かつ安全に行うことができる。
【0070】
障害物識別部238は、収集部240、学習モデル生成部241、取得部242、処理部242を備える。収集部240は、障害物120の特徴と種別との関係に基づく教師データ5を収集する。学習モデル生成部241は、収集部240に収集された教師データ5から機械学習を行い、機械学習により学習モデルを生成および記憶する。さらに、取得部242は、現時点の障害物120の特徴を所定時間ごとに取得する。そして、処理部242は、学習モデル生成部241で生成された学習モデルを、取得部243から取得される現時点の障害物120の特徴に適用することで、障害物120の種別を決定する。
【0071】
上記のとおり、障害物識別部238は、大量の教師データに基づいて、機械学習により学習モデルを生成することによって、障害物120の種別を判断するので、迅速かつ正確に障害物120の種別を決定することができる。
【0072】
教師データ5は、入力データIDと出力データODとからなり、入力データIDは、障害物120の形状及び大きさを含み、出力データODは、フォークリフト、人、荷物及びパレットを含む。実際に、障害物120の特徴である形状及び大きさによって、障害物120の種別であるフォークリフト、作業者等の人、荷物、パレットが認識されることから、迅速かつ正確に障害物120の種別を決定することができる。
【0073】
複数種類の報知線DLは、点滅する報知線DLを含む。障害物120が作業者等の人である場合、衝突すると重大な事故になるので、オペレータは操作に細心の注意を払う必要があることから、報知線DLを点滅することで、オペレータに対してより一層の注意を促すことができる。
【0074】
好ましくは、第1判定部234は、フォークリフト1と対象物110とを直線で結びフォークリフト1の幅Wに相当する幅を有する仮想ルートVRを第1判定領域AR1とし、第1判定領域AR1の内側において、障害物120の全部又は一部が存在しないとき、障害物120が無いと判定して、障害物120の全部又は一部が存在するとき、障害物120が有ると判定し、案内ルート表示部236は、案内ルートGRの内側に障害物120の全部又は一部が存在しないように案内ルートGRを表示する。
【0075】
フォークリフト1が実際に走行する際、フォークリフト1の幅Wに相当する幅を有する走行ルートが形成されるので、幅Wを有する仮想ルートVRによって、フォークリフト1の実際の走行ルートを仮想的かつ直感的に想定することができる。
【0076】
好ましくは、第2判定部235は、フォークリフト1と対象物110とを結ぶ直線を直径とする仮想円を第2判定領域AR2とし、第2判定領域AR2の内側において、障害物120の全部又は一部が存在しないとき、障害物120が無いと判定して、障害物120の全部又は一部が存在するとき、障害物120が有ると判定する。
【0077】
フォークリフト1と対象物110とを結ぶ直線を直径とする仮想円を第2判定領域AR2とすることで、オペレータがフォークリフト1を操作する際に、障害物120の注意が必要な領域を第2判定領域AR2として、その結果、フォークリフト1の操作の際に必要な報知線DLのみが形成されて、不必要な報知線DLが形成されないようになっており、適切に報知線DLを表示することができる。
【0078】
また、案内ルート表示部233は、フォークリフト1の幅Wに相当する幅を有する案内ルートGRを表示することが望ましい。
フォークリフト1が実際に走行する際、フォークリフト1の幅Wに相当する幅を有する案内ルートGRが形成及び表示される。案内ルートGRが幅Wを有することで、オペレータは、フォークリフト1の実際の走行ルートを仮想的かつ直感的に想定することができるため、走行しやすいようになっている。
【0079】
さらにまた、案内ルート表示部233は、障害物120の右側へ避ける第1の案内ルートGR1と、障害物120の左側へ避ける第2の案内ルートGR2とを表示することが好ましい。
オペレータは、路面及び周囲の状況等に応じて、障害物120の右側を走行するか左側に走行するかを直感的に決定することができる。
【符号の説明】
【0080】
1 フォークリフト
10 カメラ
110 対象物
120 障害物
14 制御部
141 画像処理部
142 フォークリフト座標取得部
144 障害物座標取得部
2 操作装置
20 表示部
21 操作部
23 制御部
231 画像処理部
232 対象物座標取得部
234 第1判定部
235 第2判定部
236 案内ルート表示部
237 報知線表示部
238 障害物識別部
239 報知線決定部
240 収集部
241 学習モデル生成部
242 処理部
243 取得部
5 教師データ
ID 入力データ
OD 出力データ
AR1 第1判定領域
AR2 第2判定領域
GR 案内ルート
GR1 第1の案内ルート
GR2 第2の案内ルート
VR 仮想ルート
W フォークリフトの幅
DL 報知線